以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図15は、本実施の形態による貨幣入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣入出金機の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣入出金機における紙幣入出金装置を右側方から見たときの内部構成を概略的に示す概略構成図である。また、図3は、図2に示す紙幣入出金装置の入金一時保留部の構成を示す側面図であり、図4は、図2に示す紙幣入出金装置の筐体に設けられた前扉(下部扉)を背面側から見たときの構成を示す斜視図である。また、図5は、図3等に示す入金一時保留部の構成を示す斜視図であり、図6(a)(b)は、図5に示す入金一時保留部の構成を示す斜視図である。また、図7は、図1に示す貨幣入出金機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図8(a)〜図8(f)は、図1に示す貨幣入出金機の紙幣入出金装置においてバラ紙幣の通常入金処理が中断されて割込入金処理が行われる際のバラ紙幣の搬送経路を順に示す説明図であり、図9(a)〜図9(d)は、図1に示す貨幣入出金機の紙幣入出金装置においてバラ紙幣の通常入金処理が中断されて割込入金処理が行われる際の入金一時保留部のセパレータの動作を順に示す側面図である。また、図10および図11は、図2に示す紙幣入出金装置の投入部および繰出部の構成を示す側面図であり、図12は、図2に示す紙幣入出金装置の投入部において押さえ部材が下方に移動したときに当該投入部の内部を筐体の前面側から見たときの構成を示す正面図である。また、図13および図14は、それぞれ、図1に示す貨幣入出金機の操作表示部に表示されるメニュー画面を示す図であり、図15は、図1に示す貨幣入出金機において割込入金処理が行われる際に操作表示部に表示される入金画面を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機1は、紙幣入出金装置10および硬貨入出金装置110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。ここで、本実施の形態による貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10は、バラ紙幣の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣から帯封紙幣を作成したりこの作成された帯封紙幣の出金処理を行ったりすることができるようになっている。また、本実施の形態による貨幣入出金機1における硬貨入出金装置110は、バラ硬貨の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことにより包装硬貨を作成したりこの作成された包装硬貨の出金処理を行ったりすることができるようになっている。このような貨幣入出金機1は、例えば、銀行等の金融機関(より詳細には、金融機関の事務所スペース)に設置され、金融機関の行員等により利用されるようになっている。なお、貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10および硬貨入出金装置110のうち硬貨入出金装置110の詳細な説明は省略する。
本実施の形態による貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10の構成について図1および図2を用いて説明する。図1および図2に示すように、紙幣入出金装置10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、筐体12の外部から内部にバラ紙幣を入金するための投入部14、筐体12の内部から外部にバラ紙幣を出金するためのバラ紙幣投出部24、筐体12の内部から外部に帯封紙幣を出金するための帯封紙幣投出部48がそれぞれ設けられている。なお、図2における筐体12の左側の側面が紙幣入出金装置10の前面側(すなわち、図1に示すように紙幣入出金装置10を手前側から見たときの正面側)となっており、図2における右方向が筐体12の奥行き方向となっている。
図1に示すように、投入部14の前面は筐体12の外部に開口しており、操作者はこの開口を介して投入部14の内部にアクセスする(具体的には、投入部14の内部に手を入れる)ことができるようになっている。このことにより、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができるようになる。投入部14の構成の詳細については後述する。
一方、バラ紙幣投出部24および帯封紙幣投出部48にはそれぞれシャッター24a、48aが設けられており、これらのシャッター24a、48aは、バラ紙幣投出部24の前面に面する開口(すなわち、バラ紙幣の出金口)や帯封紙幣投出部48の前面に面する開口(すなわち、帯封紙幣の出金口)をそれぞれ開閉するようになっている。そして、シャッター24a、48aによりバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の開口が開かれると、操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部にそれぞれアクセスする(具体的には、バラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部に手を入れる)ことができるようになり、当該操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣を筐体12の内部から外部に取り出すことができるようになる。これらのシャッター24a、48aはシャッター駆動部24b、48b(図7参照)によりそれぞれ駆動されるようになっている。
なお、本実施の形態による紙幣入出金装置10では、バラ紙幣投出部24は、バラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための出金部として機能するとともに、入金処理時に後述する識別部20により識別することができなかったバラ紙幣や、識別部20により正常なバラ紙幣ではないと識別されたバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための入金リジェクト部として機能するようになっている。
また、図2に示すように、筐体12の前面におけるバラ紙幣投出部24の下方には、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣投出部24により筐体12の外部に出金すべきではないと判断されたバラ紙幣が集積される出金リジェクト部26が設けられている。出金リジェクト部26の前面は筐体12の外部に開口しておらず、操作者は筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出さない限りこの出金リジェクト部26にアクセスすることができないようになっている。
図2に示すように、投入部14には、当該投入部14に投入されたバラ紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための繰出部16が設けられている。繰出部16の構成の詳細については後述する。また、紙幣入出金装置10の筐体12の内部には、当該筐体12内でバラ紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部18が設けられており、繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により筐体12内で搬送されるようになっている。また、搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別されるようになっている。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられており、識別部20により識別されたバラ紙幣は表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられるようになっている。
また、図2に示すように、搬送部18には入金一時保留部30(収納部)および複数(図2に示す例では4つ)のバラ紙幣収納部32(追加収納部)がそれぞれ接続されており、搬送部18からこれらの入金一時保留部30や各バラ紙幣収納部32にバラ紙幣が送られるようになっている。これらの入金一時保留部30や各バラ紙幣収納部32には図2における上下方向に移動可能となっているステージ30a、32aがそれぞれ設けられており、これらのステージ30a、32a上でバラ紙幣が積層状態で集積されるようになっている。
また、入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出繰入部30bが設けられており、当該入金一時保留部30に一時的に保留されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部30bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18から入金一時保留部30にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられるようになっている。ここで、入金一時保留部30には、バラ紙幣の入金処理において識別部20により識別されたバラ紙幣が各バラ紙幣収納部32に収納される前に一時的に保留されるようになっている。また、入金一時保留部30には、当該入金一時保留部30におけるバラ紙幣の保留空間を2つの紙幣収納領域に区分け可能なセパレータ30cが図2における上下方向に移動自在に設けられている。このような入金一時保留部30の構成の詳細については後述する。
また、各バラ紙幣収納部32の上端部の近傍には紙幣繰出繰入部32bが設けられており、各バラ紙幣収納部32に収納されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部32bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出繰入部32bにより搬送部18から各バラ紙幣収納部32にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられるようになっている。ここで、各バラ紙幣収納部32には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣が収納されるようになっている。なお、予め設定された特定の金種のバラ紙幣が収納されるバラ紙幣収納部32が4つ設けられる代わりに、複数のバラ紙幣収納部32のうち少なくとも1つのバラ紙幣収納部32に複数の金種のバラ紙幣が混合状態で収納されるようになっていてもよい。また、複数の金種のバラ紙幣が混合状態で収納されるバラ紙幣収納部32からバラ紙幣を搬送部18に繰り出すことができないようになっていてもよい。
図1および図2に示すように、筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、この下部扉12aを開くことにより操作者は入金一時保留部30の内部にアクセスすることができるようになっている。このような下部扉12aの構成の詳細については後述する。また、入金一時保留部30および各バラ紙幣収納部32は、筐体12の内部から手前側に(すなわち、図2における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。そして、操作者が下部扉12aを開いて引出ユニット13を筐体12の内部から手前側に引き出すことにより、当該操作者は各バラ紙幣収納部32を引出ユニット13から取り外したり引出ユニット13に装着したりすることができるようになる。また、本実施の形態による紙幣入出金装置10では、引出ユニット13を筐体12の内部にロックするためのロック機構50(図7参照)が引出ユニット13に設けられている。
また、図2に示すように、搬送部18には複数(図2に示す例では2つ)の整理一時保留部40が接続されており、当該搬送部18から各整理一時保留部40にバラ紙幣が送られるとこれらの整理一時保留部40にバラ紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、本実施の形態による紙幣入出金装置10では、所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が各整理一時保留部40の隣に設けられている。
また、図2に示すように、筐体12の内部において帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられており、当該アーム機構44は各整理一時保留部40、帯封部42および後述する帯封紙幣揚送部46の間で移動可能となっている。このようなアーム機構44は、各整理一時保留部40に集積された所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を帯封部42に搬送するようになっている。また、帯封部42において帯封処理が行われる際に、所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を保持しているアーム機構44はこの帯封部42に移動し、当該帯封部42においてアーム機構44の上下一対のアーム部により挟持された状態にある紙幣束の外周面に帯封紙が巻かれるようになっている。また、帯封部42において帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a(後述)上に帯封紙幣を受け渡すことができるようになっている。このような動作を繰り返すことにより、複数の帯封紙幣を帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に集積させることができる。
帯封紙幣揚送部46には、図2における上下方向に移動可能となっているステージ46aが設けられており、帯封部42により作成された帯封紙幣がアーム機構44からステージ46a上に受け渡されると、当該ステージ46a上に帯封紙幣が集積されるようになる。そして、アーム機構44からステージ46a上に帯封紙幣が受け渡された後、ステージ46aが図2における上方向に移動することにより帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルに到達し、シャッター48aが開くと、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を筐体12の外部に取り出すことができるようになる。また、ステージ46aが更に上昇すると、当該ステージ46a上に集積されている帯封紙幣を後述する帯封紙幣搬送部60に受け渡したり、帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣をステージ46a上に集積させたりすることができるようになる。
図2に示すように、筐体12の内部における上部領域には、複数(図2に示す例では4つ)の帯封紙幣収納部70が設けられており、これらの帯封紙幣収納部70には、帯封部42により作成された帯封紙幣が積層状態で収納されるようになっている。具体的には、各帯封紙幣収納部70には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納されるようになっている。なお、予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される帯封紙幣収納部70が4つ設けられる代わりに、複数の帯封紙幣収納部70のうち少なくとも1つの帯封紙幣収納部70に金種が異なる帯封紙幣が混合状態で収納されるようになっていてもよい。
各帯封紙幣収納部70の内部にはそれぞれ図2における上下方向に移動可能となっているステージ70aが設けられており、帯封紙幣収納部70の上端部(天井部分)に設けられた開口(図示せず)からこれらの各帯封紙幣収納部70に送られた帯封紙幣はステージ70a上に積層状態で集積されるようになっている。また、各帯封紙幣収納部70から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70aが上昇することにより各帯封紙幣収納部70の上端部(天井部分)に設けられた開口から帯封紙幣が上方に出されるようになる。
また、これらの各帯封紙幣収納部70の上方には帯封紙幣の搬送を行う帯封紙幣搬送部60が設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に循環移動することができるようになっている。そして、帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣が搬送される際に、当該帯封紙幣は循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で図2における左右いずれかの方向に移動するようになる。また、図2に示すように、帯封紙幣搬送部60による帯封紙幣の搬送路における帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70との間には判別部62が設けられており、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は当該判別部62によりその金種が判別されるようになっている。
ここで、帯封部42により作成された帯封紙幣を各帯封紙幣収納部70に収納させる際には、アーム機構44から帯封紙幣が帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に受け渡された後に当該ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達するようになる。また、循環ベルト60bは図2における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、ステージ46a上の帯封紙幣のうち最上位にある帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図2における右方向に搬送され、判別部62によりその金種が判別された後、当該判別部62による判別結果に基づいて対応する各帯封紙幣収納部70に収納されるようになる。一方、各帯封紙幣収納部70に収納されている帯封紙幣を帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に出金する際には、循環ベルト60bは図2における時計回りの方向に循環移動し、各帯封紙幣収納部70から上方に押し出された最上位の帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図2における左方向に搬送されるようになる。また、ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達するようになる。そして、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣の金種が判別部62により判別された後、当該帯封紙幣はステージ46a上に集積される。複数の帯封紙幣を出金する際には、帯封紙幣の送り込みに合わせてステージ46aが所定量(具体的には、帯封紙幣の厚み寸法相当)ずつ下降する。ステージ46a上に所定の数の帯封紙幣が集積されると当該ステージ46aが帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルに到達し、シャッター48aが開く。このことにより、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を筐体12の外部に取り出すことができるようになる。
次に、本実施の形態の紙幣入出金装置10における入金一時保留部30および下部扉12aの構成の詳細について図3乃至図6を用いて説明する。
上述したように、本実施の形態の紙幣入出金装置10における入金一時保留部30の内部にはステージ30aが設けられている。ステージ30aは図2における上下方向に移動可能となっており、搬送部18から紙幣繰出繰入部30bにより入金一時保留部30の内部に送られたバラ紙幣はステージ30a上に積層状態で集積されるようになっている。また、この際に、搬送部18から入金一時保留部30の内部に所定枚数のバラ紙幣が送られる度にステージ30aは少しずつ図2における下方向に移動するようになっている。また、入金一時保留部30の内部に一時的に保留されているバラ紙幣を紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18に繰り出す場合には、ステージ30aが図2における上方向に移動し、このステージ30aに積層状態で集積されている複数のバラ紙幣のうち最上層に位置するバラ紙幣を紙幣繰出繰入部30bのキッカローラ80b(後述)に当接させるようになっている。
このようなステージ30aは図3に示す駆動部91により図2や図3における上下方向に移動させられるようになっている。駆動部91は、駆動モータ91aと、駆動モータ91aのプーリに掛けられた循環ベルト91bとを有しており、この循環ベルト91bにステージ30aが取り付けられている。また、循環ベルト91bは概ね入金一時保留部30の内部で上下方向に延びるよう設けられている。また、駆動モータ91aは正逆両方向に回転可能となっており、このことにより循環ベルト91bは図3における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に循環移動することができるようになっている。そして、駆動モータ91aが回転して循環ベルト91bが循環移動を行うことにより、この循環ベルト91bに取り付けられたステージ30aが図3における上下方向に移動するようになる。
また、ステージ30aには検知板90aが取り付けられており、入金一時保留部30の内部における下部領域にはこの検知板90aを検知するためのフォトインタラプタ等の2つの検知センサ92a、92bが設けられている。ここで、ステージ30aが上方位置に位置するときにはこのステージ30aに取り付けられている検知板90aが各検知センサ92a、92bにより検知されないが、ステージ30aが下降するとまず検知板90aが上側の検知センサ92aにより検知される。そして、ステージ30aが更に下降すると検知板90aが下側の検知センサ92bにより検知される。ここで、下側の検知センサ92bはステージ30aが下限位置に到達したことを検知するための下限センサとして機能するようになっており、下側の検知センサ92bにより検知板90aが検知されると駆動部91の駆動モータ91aが停止させられてステージ30aが下方向にこれ以上移動しないようになっている。
図3や図5等に示すように、入金一時保留部30の上端部近傍に設けられた紙幣繰出繰入部30bは、左右一対のフィードローラ80aと、左右一対のキッカローラ80bと、各フィードローラ80aに対向するよう設けられたゲートローラ80cとを有している。ここで、搬送部18から紙幣繰出繰入部30bにより入金一時保留部30にバラ紙幣を送る際には、各フィードローラ80aと各ゲートローラ80cとの間に形成されたゲート部を通過したバラ紙幣が入金一時保留部30の内部に送られてステージ30a上に集積されるようになる。また、入金一時保留部30に一時的に保留されているバラ紙幣を紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18に繰り出す際には、ステージ30aに集積されている複数のバラ紙幣のうち最上層に位置するバラ紙幣が各キッカローラ80bにより各フィードローラ80aに向かって蹴り出され、これらのキッカローラ80bにより蹴り出されたバラ紙幣が各フィードローラ80aにより1枚ずつ搬送部18に繰り出されるようになる。この際に、各フィードローラ80aにより繰り出されるバラ紙幣は各フィードローラ80aと各ゲートローラ80cとの間に形成されたゲート部を通過することにより1枚ずつに分離されるようになっている。
また、本実施の形態の紙幣入出金装置10では、入金一時保留部30の内部においてステージ30aの上方にセパレータ30c(区分け部材)が設けられており、このセパレータ30cにより入金一時保留部30の内部を複数(図2や図3に示す例では2つ)の紙幣収納領域に区分けることができるようになっている。ここで、セパレータ30cは、入金一時保留部30の内部を2つの紙幣収納領域に区分ける区分け位置(具体的には、図2において二点鎖線で示す位置)と、入金一時保留部30の内部を1つの紙幣収納領域とする退避位置(具体的には、図2において実線で示す位置)との間で図2における上下方向に移動自在となっている。より詳細には、セパレータ30cが区分け位置に移動したときには、当該セパレータ30cは紙幣繰出繰入部30bの下方に位置するようになる。このことにより、ステージ30aとセパレータ30cとの間に第1紙幣収納領域が形成されるとともに、セパレータ30cと紙幣繰出繰入部30bとの間に第2紙幣収納領域が形成されるようになる。一方、セパレータ30cが退避位置に移動したときには、当該セパレータ30cは、後述するように上側セパレータ部分94が後退位置にあって前後方向に縮小した状態となって紙幣繰出繰入部30bの手前側(前方)に位置するようになる。このことにより、ステージ30aと紙幣繰出繰入部30bとの間に1つの紙幣収納領域が形成されるようになる(図3において参照符合30pで表示)。なお、本実施の形態では、セパレータ30cには当該セパレータ30cを入金一時保留部30の内部で上下方向に移動させる駆動源が設けられておらず、セパレータ30cはステージ30aと連れ立って入金一時保留部30の内部で上下方向に移動するようになっている。
本実施の形態では、図3、図5および図6に示すように、セパレータ30cは、上側セパレータ部分94および下側セパレータ部分96からなる2つのセパレータ部分から構成されている。なお、図6(a)は、セパレータ30cが退避位置にあるときの上側セパレータ部分94および下側セパレータ部分96の状態を示す図であり、図6(b)は、セパレータ30cが区分け位置にあるときの上側セパレータ部分94および下側セパレータ部分96の状態を示す図である。ここで、セパレータ30cが図6(a)に示すような退避位置にあるときには、当該セパレータ30cは図示しないロック部によってロックされ、退避位置からセパレータ30cが自重により入金一時保留部30内で下方向に落下しないようになっている。一方、このようなロック部によるセパレータ30cのロックが外れると、当該セパレータ30cは自重により入金一時保留部30内で下方向に落下するようになり、ステージ30aに集積されている紙幣の上にセパレータ30cが載るようになる。この際に、ステージ30aに紙幣が集積されていない場合には、ステージ30aにセパレータ30cが直接載るようになる。
また、入金一時保留部30の内部における上下方向の中央位置には、セパレータ30c(具体的には、下側セパレータ部分96)の移動を規制するための規制部材(図示せず)が設けられており、ロック部によるロックが解除されたセパレータ30cの下側セパレータ部分96はこの規制部材よりも下方に移動することができないようになっている。
また、図3、図5および図6に示すように、上側セパレータ部分94の奥行き方向の長さは、下側セパレータ部分96の奥行き方向の長さの約半分の大きさとなっている。また、上側セパレータ部分94は、下側セパレータ部分96の奥行き方向における手前側の半分の領域である後退位置と、下側セパレータ部分96の奥行き方向における奥側の半分の領域である進出位置との間で移動自在となっている。より詳細には、上側セパレータ部分94と下側セパレータ部分96との間には図3における左右方向に伸縮可能となっているパンタグラフ機構(図示せず)が設けられており、このパンタグラフ機構が伸縮すると下側セパレータ部分96に対して上側セパレータ部分94が図3における左右方向に移動するようになる。このことにより、セパレータ30cが図2に示すような実線位置に位置するときには、下側セパレータ部分96を図6(a)に示すような後退位置に位置させることにより、この下側セパレータ部分96と紙幣繰出繰入部30bの各キッカローラ80bとが衝突してしまうことを防止することができるようになる。
また、図3に示すように、入金一時保留部30の内部には、上側セパレータ部分94の位置を検知するためのフォトインタラプタ等の3つの検知センサ95a、95b、95cが設けられている。ロック部によりセパレータ30cがロックされており、当該セパレータ30cが図2の実線で示すような退避位置に位置しているときには、上側セパレータ部分94に取り付けられた検知板94aが検知センサ95cにより検知されるようになる。このことにより、後述する制御部300においてセパレータ30cが図2の実線で示すような退避位置に位置していると判断されるようになる。一方、ロック部によるセパレータ30cのロックが解除され、当該セパレータ30cが図2の実線で示すような退避位置から下方向に移動すると、上側セパレータ部分94に取り付けられた検知板94aが検知センサ95a、95bにより検知されるようになる。このようにして、セパレータ30cが図2の実線で示すような退避位置から下方向に移動したときの当該セパレータ30cの位置が検知されるようになる。
本実施の形態では、このようなセパレータ30cおよび当該セパレータ30cを退避位置にロックするロック部等により、入金一時保留部30におけるバラ紙幣の保留空間を複数(具体的には、2つ)の紙幣収納領域に区分け可能な区分け機構が構成されている。
また、本実施の形態の紙幣入出金装置10では、図4および図5に示すように、筐体12に設けられた下部扉12aは外扉部分12bおよび内扉部分12cからなる二重の扉部分から構成されている。ここで、内扉部分12cは外扉部分12bにロック可能となっているとともに、この内扉部分12cは筐体12にもロック可能となっている。内扉部分12cが外扉部分12bにロックされた場合には、これらの外扉部分12bおよび内扉部分12cは一体的に開閉するようになり、外扉部分12bおよび内扉部分12cを開くと入金一時保留部30におけるセパレータ30cにより区分けされた全ての紙幣収納領域(すなわち、上述したようなセパレータ30cより下側の第1紙幣収納領域およびセパレータ30cより上側の第2紙幣収納領域の両方)にアクセス可能となる。このことにより、操作者は外扉部分12bおよび内扉部分12cを一体的に開いたときに入金一時保留部30におけるセパレータ30cにより区分けされた各紙幣収納領域からバラ紙幣を取り出したりこれらの各紙幣収納領域にバラ紙幣を投入したりすることができるようになる。
一方、内扉部分12cが筐体12にロックされた場合には、この内扉部分12cを動かすことができなくなるため外扉部分12bのみが開閉するようになる。この場合には、外扉部分12bを開いたときに、入金一時保留部30におけるセパレータ30cにより区分けされた複数の紙幣収納領域のうち一部の紙幣収納領域(具体的には、セパレータ30cと紙幣繰出繰入部30bとの間にある第2紙幣収納領域)のみにアクセス可能となる。このことにより、操作者は外扉部分12bのみを開いたときにセパレータ30cと紙幣繰出繰入部30bとの間にある第2紙幣収納領域からバラ紙幣を取り出したりこの第2紙幣収納領域にバラ紙幣を投入したりすることができるようになるが、ステージ30aとセパレータ30cとの間にある第1紙幣収納領域からバラ紙幣を取り出したりこの第1紙幣収納領域にバラ紙幣を投入したりすることができなくなる。ここで、第1紙幣収納領域からバラ紙幣を取り出すことができないようにするために、内扉部分12cの上端縁の高さは、規制部材(図示せず)によりその下限位置が規制されたセパレータ30c(具体的には、下側セパレータ部分96)の当該下限位置と同じ高さかそれよりも高い位置に設定されている。なお、内扉部分12cを外扉部分12bと筐体12のどちらの側にロックするかは、操作者がアクセスしようとする紙幣収納領域によって決められるようになっている。また、ロック機構としては、例えば電気的ロック機構が用いられるようになっている。このような下部扉12aの構造によれば、アクセスしようとする紙幣収納領域に関係なく、操作者にしてみれば外扉部分12bを開けるという共通の動作で、第1紙幣収納領域と第2紙幣収納領域の両方にアクセスできたり、あるいは第2紙幣収納領域のみにアクセスできたりするので扱いやすく操作性に優れたものとなる。
また、図2に示すように、本実施の形態による紙幣入出金装置10において、入金一時保留部30への出入り口(具体的には、紙幣繰出繰入部30bの近傍)には紙幣検知センサ31が設けられており、搬送部18から入金一時保留部30に送られる直前のバラ紙幣や入金一時保留部30から紙幣繰出繰入部30bにより繰り出された直後のバラ紙幣が紙幣検知センサ31により検知されるようになっている。このような紙幣検知センサ31によるバラ紙幣の検知情報は後述する制御部300に送られるようになっている。
次に、本実施の形態の紙幣入出金装置10における投入部14および繰出部16の構成の詳細について図10を用いて説明する。
図10に示すように、繰出部16は、フィードローラ16aと、直列に並ぶよう設けられた2つのキッカローラ16bと、フィードローラ16aに対向するよう設けられたゲートローラ16cとを有している。ここで、投入部14に投入されたバラ紙幣を繰出部16により搬送部18に繰り出す際に、投入部14の載置板14b(後述)に積層状態で載置されている複数のバラ紙幣のうち最下層のバラ紙幣が各キッカローラ16bによりフィードローラ16aに向かって(すなわち、図10における右方向に)蹴り出されるようになっている。また、各キッカローラ16bにより蹴り出されたバラ紙幣はフィードローラ16aにより1枚ずつ搬送部18に繰り出されるようになる。この際に、フィードローラ16aにより繰り出されるバラ紙幣はフィードローラ16aとゲートローラ16cとの間に形成されたゲート部を通過することにより1枚ずつに分離されるようになっている。
また、図10に示すように、投入部14は、複数の紙幣が積層状態で載置される載置板14bを有しており、この載置板14bの上方には紙幣の集積領域14aが形成されている。操作者が投入部14の集積領域14aに紙幣の束を投入する際に、載置板14bに複数の紙幣が積層状態で載置されるようになる。また、載置板14bの上方には押さえ部材14cが設けられており、投入部14に投入されたバラ紙幣を繰出部16により搬送部18に繰り出す際に、載置板14bに載置されているバラ紙幣を押さえ部材14cにより下方に向かって押圧するようになっている。このことにより、載置板14bに積層状態で載置されている複数のバラ紙幣のうち最下層のバラ紙幣を各キッカローラ16bにより確実にフィードローラ16aに向かって蹴り出すことができるようになる。ここで、図10に示すように、投入部14には略鉛直方向に沿って延びる長穴から形成されるガイド溝14eが設けられており、押さえ部材14cの基端部には、ガイド溝14eに沿って移動するピン部材14dが設けられている。そして、ピン部材14dがガイド溝14eに沿って移動することにより、押さえ部材14cは図10に示すような待機位置から載置板14bに向かって移動することができるようになる(図11参照)。この押さえ部材14cは、図示しないモータによって駆動されるようになっており、押さえ部材14cが所定の高さ位置で停止可能となるよう当該モータが制御されるようになっている。
また、図10に示すように、投入部14の入口近傍には、2組のアクセス検知センサ14f、14gが上下方向に沿って並ぶよう設けられている。ここで、各アクセス検知センサ14f、14gは、それぞれ、発光素子および受光素子を有するフォトインタラプタから構成されており、操作者が投入部14にバラ紙幣の束を投入する際に、操作者の手や操作者により把持されるバラ紙幣の束が各アクセス検知センサ14f、14gにより検知されることによって投入部14への操作者のアクセスが検知されるようになる。
また、投入部14には、集積領域14aに存在する金属を検知する金属検知センサ(図示せず)が設けられている。このような金属検知センサが設けられていることにより、載置板14bに積層状態で載置された複数のバラ紙幣の間にクリップ等の金属が挟まっている場合にこのような金属を検知することができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1には、当該貨幣入出金機1の各構成部材の制御を行う制御部300が設けられている。より詳細には、図7に示すように、制御部300には、紙幣入出金装置10の投入部14、繰出部16、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、入金一時保留部30(具体的には、入金一時保留部30に設けられたステージ30aを駆動する駆動部91や紙幣繰出繰入部30b、およびセパレータ30cを退避位置にロックするロック部等)、紙幣検知センサ31、各バラ紙幣収納部32(具体的には、各バラ紙幣収納部32に設けられたステージ32aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部32b)、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46、帯封紙幣搬送部60、判別部62、各帯封紙幣収納部70(具体的には、各帯封紙幣収納部70に設けられたステージ70aの駆動機構(図示せず))、引出ユニット13に設けられたロック機構50、各シャッター24a、48aを開閉させるシャッター駆動部24b、48b等がそれぞれ接続されている。そして、識別部20によるバラ紙幣の識別結果に係る信号や紙幣検知センサ31によるバラ紙幣の検知結果に係る信号、および判別部62による帯封紙幣の金種の判別結果に係る情報等が制御部300に送られるとともに、制御部300は紙幣入出金装置10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、図7に示すように、制御部300には、硬貨入出金装置110の各構成部材が制御されるようになっており、当該制御部300は、硬貨入出金装置110の各構成部材に指令の信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。また、制御部300には、操作表示部302、印字部304、記憶部306および通信インターフェース部308がそれぞれ接続されている。図1に示すように、操作表示部302は、例えば硬貨入出金装置110の上部に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示するようになっている。また、操作者はこの操作表示部302により制御部300に様々な指令を入力することができるようになっている。また、図1に示すように、印字部304は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。また、記憶部306は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理履歴や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶するようになっている。また、制御部300は通信インターフェース部308を介して上位端末等の外部装置310に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
また、図7に示すように、制御部300には、入金一時保留部30に収納可能なバラ紙幣の量である収納可能量に係る情報を取得する収納可能量取得手段380が接続されている。ここで、入金一時保留部30における紙幣の保留領域がセパレータ30cにより2つの紙幣収納領域に区分けられた場合には、投入部14により筐体12の内部に投入されて搬送部18により入金一時保留部30に送られたバラ紙幣はセパレータ30cの上に載置されるようになるが、収納可能量取得手段380は、セパレータ30cと紙幣繰出繰入部30bとの間に形成される第2紙幣収納領域に収納可能なバラ紙幣の量に係る情報を収納可能量に係る情報として取得するようになる。このような収納可能量取得手段380の機能の詳細については後述する。
次に、このような構成からなる貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10の動作(具体的には、バラ紙幣の入金処理)について説明する。
紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の入金処理を行うにあたり、操作者が操作表示部302により操作者IDの入力を行うと、操作表示部302には図13に示すようなメニュー画面が表示されるようになる。そして、図13に示すような操作表示部302のメニュー画面において操作者が「入金」ボタンまたは「オン入金」ボタンを押下することによりバラ紙幣の入金処理開始の指令を制御部300に与えた後、投入部14に1または複数のバラ紙幣を積層状態で投入すると、投入部14に投入されたバラ紙幣は1枚ずつ繰出部16により筐体12の内部に繰り出され、この繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により識別部20に搬送される。ここで、投入部14に投入されたバラ紙幣が繰出部16により筐体12の内部に繰り出される際に、押さえ部材14cが図10に示すような待機位置から下方に移動することによって、載置板14b上に積層状態で載置されている複数のバラ紙幣が押さえ部材14cにより上方から下方に向かって押さえられるようになる。そして、識別部20によりバラ紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別された後、表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。
その後、識別部20により正常な紙幣であると識別されたバラ紙幣は搬送部18により入金一時保留部30に送られ、この入金一時保留部30に保留される。この際に、搬送部18から入金一時保留部30の内部に所定枚数のバラ紙幣が送られる度にステージ30aは少しずつ図2における下方向に移動する。また、入金一時保留部30のセパレータ30cは図示しないロック部により図2の実線で示すような退避位置に位置するようロックされている。一方、識別部20により正常な紙幣ではないと識別されたバラ紙幣や識別部20により識別することができなかったバラ紙幣はリジェクト紙幣としてバラ紙幣投出部24に送られる。また、バラ紙幣投出部24にバラ紙幣が存在することが図示しない検知センサにより検知されると、このバラ紙幣投出部24に設けられたシャッター24aが開くようになる。このことにより、操作者はバラ紙幣投出部24からリジェクト紙幣を取り出して投入部14に再投入等することができるようになる。
そして、投入部14に投入されたバラ紙幣が全て筐体12の内部に繰り出されて入金一時保留部30等に送られることにより投入部14にバラ紙幣が存在しなくなると、操作表示部302には入金確定の指令を操作者に求める画面が表示されるようになる。その後、操作者が操作表示部302により入金確定の指令を入力すると、入金されたバラ紙幣の明細書が発行されるとともに、入金一時保留部30の内部に一時的に保留されているバラ紙幣が紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18に繰り出される。そして、入金一時保留部30から搬送部18に繰り出されたバラ紙幣は識別部20を送られることによりその金種等が識別され、その後、搬送部18によって各バラ紙幣収納部32に金種毎に送られ、これらのバラ紙幣収納部32に金種毎に収納されるようになる。そして、入金一時保留部30に保留されているバラ紙幣が全て各バラ紙幣収納部32に振り分けられると、紙幣入出金装置10におけるバラ紙幣の入金処理の一連の動作が完了する。
一方、操作表示部302に入金確定の指令を操作者に求める画面が表示されているときに、操作者が入金確定の指令ではなく返却の指令を入力すると、入金一時保留部30の内部に一時的に保留されているバラ紙幣が紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18に繰り出され、この繰り出されたバラ紙幣は搬送部18によりバラ紙幣投出部24に送られる。そして、入金一時保留部30に保留されているバラ紙幣が全てバラ紙幣投出部24に送られると、このバラ紙幣投出部24に設けられたシャッター24aが開くようになる。このことにより、操作者は返却されたバラ紙幣をバラ紙幣投出部24から取り出すことができるようになる。なお、操作者が操作表示部302により返却の指令を入力した後、入金一時保留部30の前面に設けられた下部扉12aを開くことによりバラ紙幣を入金一時保留部30から筐体12の外部に直接取り出してもよい。具体的には、操作表示部302により返却の指令が入力されると、下部扉12aにおいて内扉部分12cが外扉部分12bにロックされるようになり、これらの外扉部分12bおよび内扉部分12cは一体的に開閉するようになる。このことにより、操作者は下部扉12aにおける外扉部分12bおよび内扉部分12cを開くとステージ30a上の領域にアクセス可能となり、入金一時保留部30のステージ30a上に集積されているバラ紙幣を筐体12の外部に取り出すことができるようになる。
また、貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の通常の入金処理(以下、通常入金処理ともいう)が行われる途中で、入金確定の指令が入力されて入金一時保留部30から各バラ紙幣収納部32にバラ紙幣を振り分ける際に、図14に示すようなメニュー画面が操作表示部302に表示されるようになっている。具体的には、バラ紙幣の通常入金処理が行われる途中で、入金一時保留部30から各バラ紙幣収納部32にバラ紙幣を振り分ける際に操作表示部302に表示されるメニュー画面では、図13に示すメニュー画面における「入金」ボタンおよび「オン入金」ボタンがそれぞれ「割込入金」ボタンおよび「割込オン入金」に切り替わるようになる。そして、バラ紙幣の通常入金処理において入金一時保留部30から各バラ紙幣収納部32にバラ紙幣が振り分けられる途中で、図14に示すような操作表示部302のメニュー画面において操作者によって「割込入金」ボタンまたは「割込オン入金」ボタンが押下されることにより新たな入金処理の指令が制御部300に与えられると、バラ紙幣の通常入金処理が中断されるとともに後述するバラ紙幣の割込入金処理が行われるようになる。また、割込入金処理が終了すると、中断されていたバラ紙幣の通常入金処理が再開されるようになる。具体的には、ある操作者が多量のバラ紙幣(例えば、2000枚のバラ紙幣)の入金処理を行っている途中で、別の操作者が別の取引に係るバラ紙幣の入金処理を行おうとした場合に、最初のバラ紙幣の入金処理が中断され、別の操作者が別の取引に係るバラ紙幣について割込入金処理が行われるようになり、この割込入金処理が終了すると、最初のバラ紙幣の入金処理が再開されるようになる。このことにより、別の操作者が別の取引に係るバラ紙幣の割込入金処理を行うにあたり、最初の操作者による多量のバラ紙幣の入金処理が完了するまで待つ必要がなくなるため操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、割込入金処理が行われる際に、入金一時保留部30における紙幣の保留領域がセパレータ30cにより2つの紙幣収納領域に区分けられるようになっており、割込入金処理において投入部14により筐体12の内部に投入されて搬送部18により入金一時保留部30に送られたバラ紙幣はセパレータ30cの上に載置されるようになっている。このことにより、通常入金処理が行われる際に入金一時保留部30に一時的に保留されるバラ紙幣と、割込入金処理が行われる際に入金一時保留部30に一時的に保留されるバラ紙幣とをセパレータ30cにより区分けすることができるため、割込入金処理を行うまでに行われた通常入金処理を無駄にすることないため作業性を向上させることができる。このような割込入金処理が行われるときの動作について説明する。
図8(a)は、バラ紙幣の通常入金処理が行われているときのバラ紙幣の搬送経路を示す図である。上述したように、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の入金処理を行うにあたり、投入部14に投入されたバラ紙幣は1枚ずつ繰出部16により筐体12の内部に繰り出され、この繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により識別部20に搬送される。そして、識別部20によりバラ紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別された後、表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。その後、識別部20により正常な紙幣であると識別されたバラ紙幣は搬送部18により入金一時保留部30に送られ、この入金一時保留部30に保留される。また、搬送部18から入金一時保留部30の内部に所定枚数のバラ紙幣が送られる度にステージ30aは少しずつ下方向に移動する。ここで、ステージ30a上に集積されるバラ紙幣を図8や図9において参照符合Pで示す。また、バラ紙幣の通常入金処理が行われる際に、入金一時保留部30のセパレータ30cは図示しないロック部により紙幣繰出繰入部30bよりも上方の退避位置に位置するようロックされている(図9(a)参照)。
また、バラ紙幣の通常入金処理が行われている途中で、入金一時保留部30から各バラ紙幣収納部32にバラ紙幣を振り分ける際に、図14に示すような操作表示部302のメニュー画面において「割込入金」ボタンまたは「割込オン入金」ボタンが操作者により押下されると、制御部300に割込入金処理の指令が与えられるようになる。ここで、制御部300に割込入金処理の指令が与えられると、入金一時保留部30の出入り口の近傍位置にバラ紙幣が存在しないことが紙幣検知センサ31により検知されたことを条件として、ロック部によるセパレータ30cのロックが解除され、図8(b)および図9(b)に示すようにセパレータ30cが入金一時保留部30の内部を2つの紙幣収納領域に区分ける区分け位置に移動するようになる。上述したように、セパレータ30cが区分け位置に移動したときには、当該セパレータ30cは紙幣繰出繰入部30bの下方に位置するようになる。このことにより、ステージ30aとセパレータ30cとの間に第1紙幣収納領域が形成されるとともに、セパレータ30cと紙幣繰出繰入部30bとの間に第2紙幣収納領域が形成されるようになる。図9(b)に示すように、上述したバラ紙幣の通常入金処理が行われる際に入金一時保留部30に既に保留されているバラ紙幣はステージ30aとセパレータ30cとの間の第1紙幣収納領域に収納されるようになる。
また、セパレータ30cが区分け位置に移動し、入金一時保留部30におけるバラ紙幣の保留領域がセパレータ30cにより2つの紙幣収納領域に区分けられると、セパレータ30cと紙幣繰出繰入部30bとの間に形成される第2紙幣収納領域に収納可能なバラ紙幣の量(以下、収納可能量ともいう)に係る情報が収納可能量取得手段380により取得される。なお、収納可能量取得手段380により取得される収納可能量はセパレータ30cの区分け位置により決まるようになっている。このため、セパレータ30cの区分け位置が予め設定されている場合には、収納可能量取得手段380により取得される収納可能量も予め設定された所定の値(例えば、150枚)となる。なお、セパレータ30cが図2において実線で示すような退避位置に位置しているときには、収納可能量取得手段380により取得される収納可能量は、入金一時保留部30におけるセパレータ30cにより区分けされていないバラ紙幣の保留領域に保留可能なバラ紙幣の量(例えば、2000枚)となる。
また、制御部300に割込入金処理の指令が与えられると、通常入金処理に係る、入金一時保留部30に既に保留されているバラ紙幣の情報(具体的には、ステージ30aとセパレータ30cとの間の第1紙幣収納領域に収納されているバラ紙幣の金種別枚数や合計金額に関する情報)や操作日時情報が操作者のID情報に紐付けられて記憶部306に記憶されるようになる。
また、制御部300に割込入金処理の指令が与えられると、操作表示部302には図15に示すような割込入金処理に係るバラ紙幣を投入部14に投入することを操作者に促す画面が表示されるようになる。そして、割込入金処理に係るバラ紙幣が操作者により投入部14に投入されると、図8(c)に示すように、投入部14に新たに投入されたバラ紙幣は1枚ずつ繰出部16により筐体12の内部に繰り出され、この繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により識別部20に搬送される。そして、識別部20によりバラ紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別された後、表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。その後、識別部20により正常な紙幣であると識別されたバラ紙幣は搬送部18により入金一時保留部30に送られ、この入金一時保留部30に保留される。ここで、割込入金処理に係るバラ紙幣はセパレータ30cの上に載置されるようになる。言い換えると、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に入金一時保留部30に送られたバラ紙幣は第2紙幣収納領域に収納されるようになる。図8(c)および図9(c)において、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に入金一時保留部30に送られたバラ紙幣を参照符合P´で示す。
本実施の形態では、割込入金処理に係るバラ紙幣が全て投入部14から筐体12の内部に繰り出されて入金一時保留部30等に送られることにより投入部14にバラ紙幣が存在しなくなると、操作表示部302には入金確定の指令を操作者に求める画面が表示されるようになる。そして、操作者が操作表示部302により入金確定の指令を入力すると、バラ紙幣の割込入金処理に係る明細書が発行されるとともに、入金一時保留部30の内部に一時的に保留されているバラ紙幣のうちセパレータ30cの上に載置されているバラ紙幣が紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18に繰り出される。そして、入金一時保留部30から搬送部18に繰り出されたバラ紙幣は識別部20に送られることによりその金種等が識別され、その後、搬送部18によって各バラ紙幣収納部32に金種毎に送られ、これらのバラ紙幣収納部32に金種毎に収納されるようになる。そして、入金一時保留部30の第2紙幣収納領域に保留されているバラ紙幣が全て各バラ紙幣収納部32に振り分けられると、紙幣入出金装置10におけるバラ紙幣の割込入金処理の一連の動作が完了する(図8(d)参照)。その後、図8(e)および図9(d)に示すようにセパレータ30cが退避位置に戻るようになる。具体的には、駆動部91によってステージ30aが上昇し、このステージ30a上に載置されているバラ紙幣に乗った状態のセパレータ30cが退避位置まで移動すると、ロック部によりセパレータ30cが退避位置にロックされるようになる。
その後、制御部300は、バラ紙幣の通常入金処理における入金一時保留部30から各バラ紙幣収納部32へのバラ紙幣の振り分け動作が再開されるようになる。具体的には、バラ紙幣の割込入金処理が完了すると、中断していたバラ紙幣の通常入金処理を再開することを操作者に促すメッセージが操作表示部302には表示されるようになる。そして、操作者が操作表示部302の画面において「確認」のボタンを押下すると、バラ紙幣の通常入金処理における入金一時保留部30から各バラ紙幣収納部32へのバラ紙幣の振り分け動作が再開されるようになる。このときに、操作表示部302において改めて操作者IDの入力を求め、記憶されている最初の操作者IDと同一であることを条件に、上記の処理を実行できるようにしてもよい。
なお、割込入金処理を行うにあたりセパレータ30cを退避位置から区分け位置に移動させる際に、紙幣検知センサ31によりバラ紙幣が検知されない場合においてのみ、セパレータ30cやロック部等の区分け機構を作動させるようになっている。このことにより、入金一時保留部30における例えば紙幣繰出繰入部30bにおいてバラ紙幣の詰まり等の異常が生じたときにセパレータ30cが退避位置から区分け位置に移動してしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態では、制御部300に割込入金処理の指令が与えられると、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限するよう、投入部14において押さえ部材14cが図10に示す待機位置から下方に移動し、図11において実線で示すような途中位置で停止し、この途中位置に維持されるようになっている。このように、投入部14において押さえ部材14cが載置板14bに接近するよう移動することにより、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を少なくすることができるようになる。なお、図11において、押さえ部材14cによりバラ紙幣の受入量が制限された投入部14に投入されるバラ紙幣の束を参照符合Pで示す。
本実施の形態の紙幣入出金装置10において、押さえ部材14cが図10に示すような待機位置に維持されている場合には、投入部14における集積領域14aに例えば500枚のバラ紙幣を集積させることができるようになっている。これに対し、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量が例えば150枚である場合には、投入部14において押さえ部材14cを図10に示す位置から下方に移動させ、図11において実線で示すような途中位置で停止させることにより、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を150枚以下に制限することができるようになる。
より詳細に説明すると、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量が例えば150枚である場合において、押さえ部材14cが図10に示すような待機位置に維持されたままのときには、バラ紙幣の割込入金処理において操作者が投入部14に150枚を超えるバラ紙幣を投入するおそれがある。しかしながら、投入部14に150枚を超えるバラ紙幣が投入された場合には、投入部14に投入された割込入金処理に係るバラ紙幣が筐体12の内部に繰り出されて識別部20により識別された後に入金一時保留部30に送られる際に、入金一時保留部30のセパレータ30c上に150枚のバラ紙幣が送られると入金一時保留部30にこれ以上バラ紙幣を保留させることができなくなるため割込入金処理が中断してしまう。この場合には、割込入金処理を取りやめて入金一時保留部30のセパレータ30c上に保留されているバラ紙幣を返却したり、入金一時保留部30のセパレータ30c上に保留されているバラ紙幣を一旦各バラ紙幣収納部32に振り分ける等の処理が必要となり、作業性が悪くなってしまうという問題がある。
これに対し、本実施の形態では、上述したように、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限するよう、投入部14において押さえ部材14cを図10に示す待機位置から下方に移動させることにより、入金一時保留部30においてバラ紙幣の保留領域がセパレータ30cにより2つの紙幣収納領域に区分けられることによって当該入金一時保留部30において収納可能なバラ紙幣の量が変化した場合でも、投入部14に受け入れられたバラ紙幣を全て入金一時保留部30に送ることができ、よってバラ紙幣の割込入金処理が途中で中断されてしまうことを防止することができるようになる。
なお、本実施の形態では、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の通常入金処理が行われる際に、投入部14において載置板14b上にバラ紙幣がなくなると当該投入部14にバラ紙幣の追加投入を行うことができるようになっているが、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に、投入部14において載置板14b上にバラ紙幣がなくなったときに当該投入部14にバラ紙幣が追加投入されても載置板14b上のバラ紙幣が繰出部16により筐体12の内部に繰り出されないようになっている。バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に、投入部14に追加投入されたバラ紙幣を筐体12の内部に繰り出して入金一時保留部30に送ると、入金一時保留部30においてセパレータ30c上にこれ以上バラ紙幣を保留させることができなくなり割込入金処理が中断してしまうおそれがあるからである。
また、本実施の形態では、図12に示すように、筐体12の内部を前面側から見たときの投入部14の奥側の面には、押さえ部材14cが下方に移動して途中位置で停止したときに割込入金処理になる旨のメッセージ等を表示する第1表示ラベル15aが設けられている。また、第1表示ラベル15aには、投入部14におけるバラ紙幣の受入量が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量(例えば、150枚)以下に制限されることも表示されるようになっている。なお、第1表示ラベル15aにおいて、投入部14におけるバラ紙幣の受入量が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限されるという表示が省略されるようになっていてもよい。また、押さえ部材14cの上面には、当該押さえ部材14c上に物を置かないようにすることを操作者に促す旨のメッセージ等を表示する第2表示ラベル15bが設けられている。そして、投入部14において押さえ部材14cが図10に示す待機位置から下方に移動し、図11において実線で示すような途中位置で停止するようになると、操作者が投入部14に割込入金処理に係るバラ紙幣を投入する際に第1表示ラベル15aおよび第2表示ラベル15bがそれぞれ見えるようになる。このことにより、操作者は割込入金処理を行ってもよいことに気づくとともに、押さえ部材14c上に操作者が誤って物を載せてしまうことを防止することができるようになる。
また、本実施の形態では、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の通常入金処理が行われる途中で操作表示部302に図14に示すような割込入金処理に係るメニュー画面を表示させると、操作表示部302には、割込入金処理において入金紙幣が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量(具体的には、例えば150枚)以下に制限される旨のメッセージが表示されるようになる。また、図15に示すような入金画面が操作表示部302に表示される場合にも、当該操作表示部302には、割込入金処理において入金紙幣が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限される旨のメッセージが表示されるようになる。このように、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に、入金紙幣が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限される旨のメッセージを操作表示部302に表示させることにより、操作者が収納可能量よりも多いバラ紙幣を投入部14に誤って投入してしまうことをより一層確実に防止することができるようになる。また、図15に示すような割込入金処理に係る入金画面が操作表示部302に表示される際に、投入部14の押さえ部材14cの位置が載置板14bに向かって下方に移動した位置である旨の画面が表示されるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙幣入出金装置10によれば、搬送部18から送られたバラ紙幣を収納する収納部(より詳細には、収納可能なバラ紙幣の量が可変となっている収納部)として入金一時保留部30が設けられており、この入金一時保留部30に収納可能なバラ紙幣の量である収納可能量に係る情報が収納可能量取得手段380により取得されるようになっている。また、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段として押さえ部材14cが設けられている。このように、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段が設けられていることにより、入金一時保留部30において収納可能なバラ紙幣の量が変化した場合でも、投入部14に受け入れられたバラ紙幣を全て入金一時保留部30に送ることができ、よってバラ紙幣の割込入金処理が途中で中断されてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態の紙幣入出金装置10においては、上述したように、入金一時保留部30におけるバラ紙幣の収納空間を複数の紙幣収納領域に区分け可能な区分け機構としてセパレータ30cや当該セパレータ30cを退避位置でロックするロック部が設けられている。そして、収納可能量取得手段380は、入金一時保留部30における、セパレータ30c等の区分け機構により区分けされた、搬送部18からバラ紙幣を送ることが可能な紙幣収納領域の大きさに基づいて収納可能量に係る情報を取得するようになっている。
また、本実施の形態の紙幣入出金装置10においては、上述したように、収納可能量取得手段380は、割込入金処理が行われる際に、入金一時保留部30に収納可能なバラ紙幣の量である収納可能量に係る情報を取得し、押さえ部材14c等の受入量規制手段は、割込入金処理が行われる際に、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限するようになっている。
また、本実施の形態の紙幣入出金装置10においては、上述したように、受入量規制手段は、投入部14に設けられ、当該投入部14に受け入れられたバラ紙幣を押さえるために移動可能となっている押さえ部材14cを有しており、押さえ部材14cの位置が変わることにより投入部14におけるバラ紙幣の受入量が制限されるようになっている。また、この場合、押さえ部材14cの位置が所定の途中位置(具体的には、図11において実線で示す位置)まで移動したときに投入部14におけるバラ紙幣の受入量が制限されることを操作者に案内する案内部として第1表示ラベル15aが設けられている。
また、本実施の形態の紙幣入出金装置10においては、上述したように、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量を報知する報知手段として操作表示部302が設けられている。具体的には、図14および図15に示すように、割込入金処理が行われる際に操作表示部302に表示されるメニュー画面や入金画面では、割込入金処理において入金紙幣が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量(具体的には、例えば150枚)以下に制限される旨のメッセージが表示されるようになる。このように、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に、入金紙幣が収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限される旨のメッセージを操作表示部302に表示させることにより、操作者が収納可能量よりも多いバラ紙幣を投入部14に誤って投入してしまうことをより一層確実に防止することができるようになる。なお、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量を報知する報知手段は操作表示部302に限定されることはない。他の種類の報知手段として、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量を音声により操作者に報知するスピーカー等の音声部が用いられてもよい。
なお、本実施の形態による紙幣入出金装置10やこのような紙幣入出金装置10によるバラ紙幣の処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本発明に係る紙幣入出金装置10は、硬貨入出金装置110と組み合わせられることにより貨幣入出金機1を構成するようなものに限定されることはない。本発明に係る紙幣処理装置として、紙幣入出金装置10が単体で用いられてもよい。この場合には、制御部300や収納可能量取得手段380は紙幣入出金装置10の筐体12の内部に設けられるようになっていてもよい。
また、上述した貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10および上位端末等の外部装置310を組み合わせることにより本発明に係る紙幣処理システムが構成されるようになっていてもよい。この場合には、上位端末等の外部装置310は、紙幣入出金装置10の管理を行う管理装置として機能するようになる。また、上記の説明では、入金一時保留部30に収納可能なバラ紙幣の量である収納可能量に係る情報を取得する収納可能量取得手段380が貨幣入出金機1に設けられている態様について述べたが、本発明に係る貨幣処理システムでは、管理装置としての外部装置310に、紙幣入出金装置10の入金一時保留部30に収納可能なバラ紙幣の量である収納可能量に係る情報を取得する収納可能量取得手段が設けられるようになっていてもよい。
また、所定の操作者に対して所定の端末(例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末等)が予め割り当てられており、バラ紙幣の割込入金処理が行われる際に収納可能量取得手段380により取得された収納可能量が、操作者が所持する端末に表示されるようになっていてもよい。
また、上記の説明では、セパレータ30cには当該セパレータ30cを入金一時保留部30の内部で上下方向に移動させる駆動源が設けられておらず、セパレータ30cはステージ30aと連れ立って入金一時保留部30の内部で上下方向に移動するようになっているような態様について述べたが、本実施の形態による紙幣入出金装置10はこのような態様に限定されることはない。他の例として、セパレータ30cを入金一時保留部30の内部で上下方向に移動させる駆動源が設けられていてもよい。また、セパレータ30cが入金一時保留部30におけるバラ紙幣の保留空間に上方から進入する代わりに、当該バラ紙幣の保留空間にセパレータ30cが側方から進入するようになっていてもよい。
また、上記の説明では、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の割込入金処理が行われる際に押さえ部材14cが図10に示すような待機位置から下方に移動したときに、当該押さえ部材14cが停止する途中位置が1箇所である場合について述べたが、押さえ部材14cが停止する途中位置が2箇所以上であってもよい。例えば、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の割込入金処理が行われる際に、入金一時保留部30においてセパレータ30cが退避位置から下方に移動したときの区分け位置が2箇所以上設けられている場合には、収納可能量取得手段380により取得される収納可能量の種類も2つ以上となる。このため、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量の大きさに基づいて、押さえ部材14cが図10に示すような位置から下方に移動したときに停止する途中位置が複数の途中位置の中から選択されるようになっていてもよい。
また、上述した紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の入金処理が行われる際に、投入部14から筐体12の内部に投入されたバラ紙幣が識別部20により識別された後に入金一時保留部30に一旦保留されるのではなく、投入部14から筐体12の内部に投入されたバラ紙幣が識別部20により識別された後に各バラ紙幣収納部32に金種毎に直接送られてこれらのバラ紙幣収納部32に収納されるようになっていてもよい。この場合、各バラ紙幣収納部32においてバラ紙幣の収納領域がセパレータ等により区分けされることにより当該バラ紙幣収納部32における収納可能なバラ紙幣の量が可変となっているときには、バラ紙幣収納部32に収納可能なバラ紙幣の量である収納可能量に係る情報が収納可能量取得手段380により取得されるようになっていてもよい。また、投入部14におけるバラ紙幣の受入量が、押さえ部材14c等の受入量規制手段により、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限されるようになっていてもよい。このように、収納可能なバラ紙幣の量が可変となっている収納部として入金一時保留部30ではなくバラ紙幣収納部32が用いられてもよい。
また、紙幣入出金装置10において、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段は押さえ部材14cに限定されることはない。例えば、投入部14において、押さえ部材14c以外に、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を制限するための専用の部材が設けられていてもよい。また、投入部14の内側面にLED等の複数の表示部を鉛直方向に沿って並ぶよう配置し、これらの表示部における点灯/消灯の切り替えや点灯色により、投入部14に投入されるバラ紙幣の受入量を操作者に報知するようにしてもよい。また、投入部14の入口を開閉するためのシャッターを設置し、このシャッターの停止位置を変えることにより投入部14の入口の開口量を変えるようにしてもよい。例えば、シャッターを全開状態にしたときに100枚程度のバラ紙幣を投入可能な大きさの投入部14であった場合に、半分程度閉じた位置でシャッターを停止させると、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を50枚程度に制限することができる。このように、シャッターの停止位置を変えることにより投入部14の入口の開口量を変えることにより、投入部14におけるバラ紙幣の受入量を、収納可能量取得手段380により取得された収納可能量以下に制限することができるようになる。
また、紙幣入出金装置10において、押さえ部材14cの上面にセンサを設け、押さえ部材14cの上にバラ紙幣が載置されたときに、このセンサにより押さえ部材14c上のバラ紙幣が検知されるようになっていてもよい。この場合には、押さえ部材14c上のバラ紙幣がセンサにより検知されたときに、例えば警告音が発せられることにより、押さえ部材14cの上にバラ紙幣が誤って載置されたことが操作者に報知されるようになる。
また、本発明に係る紙幣処理装置として、図16に示すような紙幣処理装置410が用いられるようになっていてもよい。図16は、変形例に係る紙幣処理装置410を側方から見たときの内部構成を示す側面図である。なお、以下の記載では、「紙幣」は全てバラ紙幣を指すものとする。また、図16における筐体412(後述)の左側の側面が紙幣処理装置410の前面側(すなわち、紙幣処理装置410を手前側から見たときの正面側)となっており、図16における右方向が筐体412の奥行き方向となっている。図16に示すような紙幣処理装置410は、主に出納機として用いられるようになっている。
まず、変形例に係る紙幣処理装置410の全体的な構成について説明する。図16に示すように、紙幣処理装置410は略直方体形状の筐体412を備えており、この筐体412の前面には、当該筐体412の外部から内部に紙幣を投入するための投入部414が設けられている。また、投入部414は、筐体412の内部から外部に紙幣を投出するための投出部としても機能するようになっている。すなわち、投入部414は、操作者がこの投入部414に紙幣を投入したりこの投入部414から紙幣を取り出したりすることができるよう構成されている。より詳細には、図16に示すように投入部414は鉛直方向に対して斜めに傾斜しており、この投入部414には紙幣が積層状態で斜めに傾斜して投入されるようになっている。また、投入部414は、図16における矢印方向に移動可能となっている載置板414aを有しており、この載置板414a上に紙幣が積層状態かつ斜めに傾斜した状態で載置されるようになっている。そして、投入部414に投入された紙幣が後述する紙幣繰出機構415により筐体412の内部に繰り出される際に、載置板414aは図16における右上方向に移動するようになっている。図16において、投入部414に投入された紙幣を参照符号Pで示す。
投入部414には紙幣繰出機構415が設けられており、この紙幣繰出機構415により投入部414に集積された紙幣が1枚ずつ筐体412の内部に繰り出されるようになっている。また、紙幣の出金処理を行う際には、筐体412の内部に設けられた搬送部416(後述)から紙幣が1枚ずつ投入部414に送られるようになっている。ここで、紙幣繰出機構415は、フィードローラ415aと、キッカローラ415bと、フィードローラ415aに対向するよう設けられたゲートローラ415cとを有している。投入部414に投入された紙幣を紙幣繰出機構415により筐体412の内部に繰り出す際に、投入部414の載置板414aに積層状態で載置されている複数の紙幣のうち最上層の紙幣がキッカローラ415bによりフィードローラ415aに向かって(すなわち、図16における右方向に)蹴り出されるようになっている。また、この際に、載置板414aが図16における右上方向に移動することにより、載置板414aに積層状態で載置されている複数の紙幣のうち最上層の紙幣がキッカローラ415bに常に接触するようになる。また、キッカローラ415bにより蹴り出された紙幣はフィードローラ415aにより1枚ずつ後述する搬送部416に繰り出されるようになる。この際に、フィードローラ415aにより繰り出される紙幣はフィードローラ415aとゲートローラ415cとの間に形成されたゲート部を通過することにより1枚ずつに分離されるようになっている。
また、投入部414にはシャッター機構(図示せず)が設けられており、このシャッター機構により投入部414の開閉が行われるようになっている。より具体的には、操作者が投入部414に紙幣を投入したり投入部414から紙幣を取り出したりする際には、シャッター機構が開いて投入部414が筐体412の外部に露出されるようになっている。一方、投入部414に集積された紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構415により筐体412の内部に繰り出されたり搬送部416(後述)から投入部414に紙幣が1枚ずつ送られたりする際には、シャッター機構が投入部414を塞ぐようになっている。
図16に示すように、筐体412の内部には、紙幣を1枚ずつ搬送するための搬送部416が設けられている。搬送部416には投入部414が接続されており、投入部414に集積され、紙幣繰出機構415により筐体412の内部に繰り出された紙幣は、搬送部416により搬送されるようになっている。また、搬送部416における各分岐箇所には分岐部材426が設けられている。後述する制御部450により各分岐部材426が制御されることによって、紙幣の搬送経路が決められるようになっている。
また、搬送部416には識別部418が設置されている。識別部418は、搬送部416で搬送される紙幣の金種や正損、真偽等を識別するようになっている。より具体的には、識別部418は、例えば、投入部414から筐体412の内部に繰り出された紙幣の金種や正損、真偽等を識別するようになっている。また、識別部418は、紙幣の搬送状態の識別も行うことができるようになっている。
図16に示すように、筐体412の前面には入金リジェクト部420が設けられている。この入金リジェクト部420は搬送部416に接続されている。そして、紙幣繰出機構415により筐体412の内部に繰り出された紙幣のうち、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部416により入金リジェクト部420に送られるようになっている。より具体的には、識別部418により偽券であると識別された紙幣や、識別部418により識別することができなかった紙幣、あるいは斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部416により入金リジェクト部420に送られるようになっている。
また、筐体412の内部には出金リジェクト部422が設けられており、この出金リジェクト部422は搬送部416に接続されている。そして、紙幣の出金処理が行われるときに、後述する収納部430から搬送部416に繰り出された紙幣のうち、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣(具体的には例えば斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣)は、搬送部416により出金リジェクト部422に送られるようになっている。
図16に示すように、筐体412の下部には複数の収納部430が収納されている。各収納部430はそれぞれ搬送部416に接続されており、搬送部416から送られた紙幣を積層状態で収納するとともに、収納された紙幣を1枚ずつ搬送部416に繰り出すようになっている。複数の収納部430は、入金一時保留部432、金種別収納部434a〜434cおよび金種混合収納部436から構成されている。
複数の収納部430のうち、入金一時保留部432は、投入部414により筐体412の外部から内部に投入され、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣を一時的に保留するようになっている。そして、入金一時保留部432により一時的に保留された紙幣は、操作者によって操作表示部(図示せず)により紙幣の入金処理の確定がなされたときに、各金種別収納部434a〜434cや金種混合収納部436に送られるようになっている。
各金種別収納部434a〜434cは、それぞれ、予め設定された特定の金種の紙幣を収納するようになっている。より具体的に説明すると、各金種別収納部434a〜434cにはそれぞれ対応する紙幣の金種が予め設定されており、この設定された金種のみの紙幣を各金種別収納部434a〜434cはそれぞれ収納するようになっている。
一方、金種混合収納部436は、複数の金種の紙幣を混合して収納するようになっている。より具体的には、金種混合収納部436には、各金種別収納部434a〜434cにおいて設定されている金種とは異なる金種の紙幣が収納されるようになっている。また、各金種別収納部434a〜434cがフル状態となったときには、この金種別収納部434a〜434cに対応する金種の紙幣が搬送部416から金種混合収納部436に送られ、この金種混合収納部436に収納されるようになっている。
各収納部430にはそれぞれ紙幣繰出機構430aが設けられており、各収納部430に積層状態で収納された紙幣は紙幣繰出機構430aにより1枚ずつ搬送部416に繰り出すことができるようになっている。
また、入金一時保留部432には、当該入金一時保留部432における紙幣の保留空間を2つの紙幣収納領域に区分け可能なセパレータ432aが図16における上下方向に移動自在に設けられている。セパレータ432aは、入金一時保留部432の内部を2つの紙幣収納領域に区分ける区分け位置(具体的には、図16において二点鎖線で示す位置)と、入金一時保留部432の内部を1つの紙幣収納領域とする退避位置(具体的には、図16において実線で示す位置)との間で図16における上下方向に移動自在となっている。より詳細には、セパレータ432aが区分け位置に移動したときには、当該セパレータ432aは紙幣繰出機構430aの下方に位置するようになる。このことにより、入金一時保留部432に設けられたステージ432bとセパレータ432aとの間に第1紙幣収納領域が形成されるとともに、セパレータ432aと紙幣繰出機構430aとの間に第2紙幣収納領域が形成されるようになる。一方、セパレータ432aが退避位置に移動したときには、当該セパレータ432aは紙幣繰出機構430aの上方に位置するようになる。このことにより、ステージ432bと紙幣繰出機構430aとの間に1つの紙幣収納領域が形成されるようになる。
また、筐体412の内部には一時集積部440が設けられている。この一時集積部440には搬送部416が接続されており、搬送部416から1枚ずつ送られた紙幣が一時集積部440に積層状態で集積されるようになっている。一時集積部440に集積された紙幣の束は、図示しない帯封部により帯封処理(結束処理)が行われ、帯封紙幣が形成されるようになっている。帯封紙幣は、図示しない帯封紙幣投出部により筐体412の外部に投出されたり、筐体412内に設けられた帯封紙幣収納部(図示せず)に収納されたりするようになっている。
また、図16に示すように、紙幣処理装置410の各構成部材の制御を行う制御部450が筐体412の内部に設けられている。制御部450には、投入部414に設けられた載置板414aを駆動する駆動部(図示せず)、紙幣繰出機構415、搬送部416、識別部418、各収納部430に設けられた紙幣繰出機構430a、搬送部416の各分岐箇所に設けられた分岐部材426、投入部414に設けられたシャッター機構等が接続されている。ここで、識別部418により識別された紙幣の識別情報は制御部450に送られるようになっている。また、制御部450は、紙幣処理装置410の各構成部材に制御信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、制御部450には、入金一時保留部432に収納可能な紙幣の量である収納可能量に係る情報を取得する収納可能量取得手段480が接続されている。ここで、入金一時保留部432における紙幣の保留領域がセパレータ432aにより2つの紙幣収納領域に区分けられた場合には、投入部414により筐体412の内部に投入されて搬送部416により入金一時保留部432に送られた紙幣はセパレータ432aの上に載置されるようになるが、収納可能量取得手段480は、セパレータ432aと紙幣繰出機構430aとの間に形成される第2紙幣収納領域に収納可能な紙幣の量に係る情報を収納可能量に係る情報として取得するようになる。このような収納可能量取得手段480の機能の詳細については後述する。
次に、上述のような構成からなる紙幣処理装置410の動作(具体的には、紙幣の入金処理)について説明する。以下に示すような紙幣処理装置410の動作は、制御部450が紙幣処理装置410の各構成部材の制御を行うことにより行われる。
紙幣の入金処理を行うにあたり、最初に、紙幣処理装置410の投入部414のシャッター機構を開き、操作者が紙幣を投入部414に投入する。このときに、載置板414aは最も降下した位置(下端位置)で停止している。そして、シャッター機構を閉じると、投入部414に投入された紙幣は紙幣繰出機構415により1枚ずつ搬送部416に繰り出される。紙幣繰出機構415により搬送部416に繰り出された紙幣は当該搬送部416により搬送され、識別部418によりその金種や正損、真偽等の識別が行われる。そして、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣は、分岐部材426により入金一時保留部432に搬送される。入金一時保留部432において、搬送部416から送られた紙幣が積層状態で一時的に保留される。なお、この際に、セパレータ432aは図16において実線で示すような退避位置に維持される。
一方、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣は、すなわち、識別部418により偽券であると識別された紙幣や、識別部418により識別することができなかった紙幣、あるいは斜行等の搬送異常が検出された紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部416により入金リジェクト部420に送られ、この入金リジェクト部420に集積される。そして、投入部414から紙幣が全て筐体412の内部に繰り出された後に、入金リジェクト部420に集積されたリジェクト紙幣は操作者により取り出されることとなる。
上述のような動作は、投入部414に投入された紙幣が全て筐体412の内部に繰り出されるまで行われる。そして、投入部414に投入された紙幣が全て筐体412の内部に繰り出されると、操作表示部(図示せず)にこのことが表示される。その後、操作者が操作表示部により「入金確定」の指令を制御部450に対して行うと、入金一時保留部432から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構430aにより搬送部416に繰り出され、この繰り出された紙幣は搬送部416により搬送され、識別部418によりその金種の識別が行われる。そして、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣は、その金種に対応する各金種別収納部434a〜434cに搬送され、これらの金種別収納部434a〜434cに収納される。一方、入金一時保留部432から繰り出された紙幣について、その金種が、金種別収納部434a〜434cにおける金種と一致しない場合や、対応する金種の金種別収納部434a〜434cがフル状態である場合には、この紙幣は金種混合収納部436に搬送され、この金種混合収納部436に金種混合状態で収納される。また、識別部418により斜行等の搬送異常が検出された紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部416により出金リジェクト部422に送られ、この出金リジェクト部422に集積される。このようにして、入金一時保留部432から各金種別収納部434a〜434cや金種混合収納部436等に紙幣が全て送られると、紙幣の入金処理が終了する。
また、操作者が操作表示部により「入金確定」の指令の代わりに「返却」の指令を制御部450に対して行うと、入金一時保留部432から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構430aにより繰り出され、この繰り出された紙幣は投入部414に戻される。そして、入金一時保留部432から投入部414に全ての紙幣が搬送された後に、この投入部414に設けられたシャッター機構が開くことによって、投入部414に戻された紙幣は操作者により取り出されることとなる。
また、図16に示すような変形例に係る紙幣処理装置410において紙幣の通常の入金処理(以下、通常入金処理ともいう)が行われる途中で、入金一時保留部432から各金種別収納部434a〜434cに紙幣を振り分ける際に、新たな入金処理の指令が操作者によって操作表示部(図示せず)により制御部450に与えられると、紙幣の通常入金処理が中断されるとともに後述する紙幣の割込入金処理が行われるようになる。また、割込入金処理が終了すると、中断されていた紙幣の通常入金処理が再開されるようになる。具体的には、ある操作者が多量の紙幣の入金処理を行っている途中で、別の操作者が別の取引に係る紙幣の入金処理を行おうとした場合に、最初の紙幣の入金処理が中断され、別の操作者が別の取引に係る紙幣について割込入金処理が行われるようになり、この割込入金処理が終了すると、最初の紙幣の入金処理が再開されるようになる。このことにより、図16に示すような変形例に係る紙幣処理装置410でも、別の操作者が別の取引に係る紙幣の割込入金処理を行うにあたり、最初の操作者による紙幣の入金処理が完了するまで待つ必要がなくなるため操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、図16に示すような変形例に係る紙幣処理装置410では、割込入金処理が行われる際に、入金一時保留部432における紙幣の保留領域がセパレータ432aにより2つの紙幣収納領域に区分けられるようになっており、割込入金処理において投入部414により筐体412の内部に投入されて搬送部416により入金一時保留部432に送られた紙幣はセパレータ432aの上に載置されるようになっている。このことにより、通常入金処理が行われる際に入金一時保留部432に一時的に保留される紙幣と、割込入金処理が行われる際に入金一時保留部432に一時的に保留される紙幣とをセパレータ432aにより区分けすることができるため、割込入金処理を行うまでに行われた通常入金処理を無駄にすることないため作業性を向上させることができる。
より詳細には、割込入金処理の指令が操作者によって操作表示部(図示せず)により制御部450に与えられると、図16において二点鎖線に示すようにセパレータ432aが入金一時保留部432の内部を2つの紙幣収納領域に区分ける区分け位置に移動するようになる。上述したように、セパレータ432aが区分け位置に移動したときには、当該セパレータ432aは紙幣繰出機構430aの下方に位置するようになる。このことにより、ステージ432bとセパレータ432aとの間に第1紙幣収納領域が形成されるとともに、セパレータ432aと紙幣繰出機構430aとの間に第2紙幣収納領域が形成されるようになる。ここで、紙幣の通常入金処理が行われる際に入金一時保留部432に既に保留されている紙幣はステージ432bとセパレータ432aとの間の第1紙幣収納領域に収納されるようになる。また、セパレータ432aが図16において二点鎖線で示すような区分け位置に移動し、入金一時保留部432における紙幣の保留領域がセパレータ432aにより2つの紙幣収納領域に区分けられると、セパレータ432aと紙幣繰出機構430aとの間に形成される第2紙幣収納領域に収納可能な紙幣の量(以下、収納可能量ともいう)に係る情報が収納可能量取得手段480により取得される。なお、収納可能量取得手段480により取得される収納可能量はセパレータ432aの区分け位置により決まるようになっている。このため、セパレータ432aの区分け位置が予め設定されている場合には、収納可能量取得手段480により取得される収納可能量も予め設定された所定の値となる。なお、セパレータ432aが図16において実線で示すような退避位置に位置しているときには、収納可能量取得手段480により取得される収納可能量は、入金一時保留部432におけるセパレータ432aにより区分けされていない紙幣の保留領域に保留可能な紙幣の量となる。
また、制御部450に割込入金処理の指令が与えられると、操作表示部(図示せず)には割込入金処理に係る紙幣を投入部414に投入することを操作者に促す画面が表示されるようになる。そして、割込入金処理に係る紙幣が操作者により投入部414に投入されると、投入部414に新たに投入された紙幣は1枚ずつ紙幣繰出機構415により筐体412の内部に繰り出され、この繰り出された紙幣は搬送部416により識別部418に搬送される。そして、識別部418により紙幣の金種等が識別された後、識別部418により正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部416により入金一時保留部432に送られ、この入金一時保留部432に保留される。ここで、割込入金処理に係る紙幣はセパレータ432aの上に載置されるようになる。言い換えると、紙幣の割込入金処理が行われる際に入金一時保留部432に送られた紙幣は第2紙幣収納領域に収納されるようになる。
その後、割込入金処理に係る紙幣が全て投入部414から筐体412の内部に繰り出されて入金一時保留部432等に送られることにより投入部414に紙幣が存在しなくなると、操作表示部には入金確定の指令を操作者に求める画面が表示されるようになる。そして、操作者が操作表示部により入金確定の指令を入力すると、紙幣の割込入金処理に係る明細書が発行されるとともに、入金一時保留部432の内部に一時的に保留されている紙幣のうちセパレータ432aの上に載置されている紙幣が紙幣繰出機構430aにより搬送部416に繰り出される。また、入金一時保留部432から搬送部416に繰り出された紙幣は識別部418を送られることによりその金種等が識別され、その後、搬送部416によって金種別収納部434a〜434cに金種毎に送られ、これらの金種別収納部434a〜434cに金種毎に収納されるようになる。そして、入金一時保留部432の第2紙幣収納領域に保留されている紙幣が全て各金種別収納部434a〜434cに振り分けられると、紙幣処理装置410における紙幣の割込入金処理の一連の動作が完了する。その後、セパレータ432aが図16において実線で示すような退避位置に戻るようになる。
その後、紙幣の通常入金処理における入金一時保留部432から各金種別収納部434a〜434cへの紙幣の振り分け動作が再開されるようになる。具体的には、紙幣の割込入金処理が完了すると、中断していた紙幣の通常入金処理を再開することを操作者に促すメッセージが操作表示部に表示されるようになる。そして、操作者が操作表示部の画面において「確認」のボタンを押下すると、紙幣の通常入金処理における入金一時保留部432から各金種別収納部434a〜434cへの紙幣の振り分け動作が再開されるようになる。このときに、操作表示部において改めて操作者IDの入力を求め、記憶されている最初の操作者IDと同一であることを条件に、上記の処理を実行できるようにしてもよい。
また、図16に示すような変形例に係る紙幣処理装置410でも、制御部450に割込入金処理の指令が与えられると、投入部414における紙幣の受入量を、収納可能量取得手段480により取得された収納可能量以下に制限するよう、投入部414において載置板414aが図16に示す位置から右上方向に移動した後、途中位置で停止し、この途中位置に維持されるようになっている。このように、投入部414において載置板414aが紙幣繰出機構415のキッカローラ415bに接近するよう移動することにより、投入部414における紙幣の受入量を少なくすることができるようになる。例えば、載置板414aが投入部414における下端位置に維持されている場合には、投入部414に例えば500枚の紙幣を集積させることができるようになっている。これに対し、紙幣の割込入金処理が行われる際に、収納可能量取得手段480により取得された収納可能量が例えば150枚である場合には、投入部414において載置板414aを図16に示す位置から右上方向に移動させた後、途中位置で停止させることにより、投入部414における紙幣の受入量を150枚以下に制限することができるようになる。
このように、図16に示すような紙幣処理装置410でも、図1乃至図15に示す紙幣入出金装置10と同様に、搬送部416から送られた紙幣を収納する収納部として入金一時保留部432が設けられており、この入金一時保留部432に収納可能な紙幣の量である収納可能量に係る情報が収納可能量取得手段480により取得されるようになっている。また、投入部414における紙幣の受入量を、収納可能量取得手段480により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段として載置板414aが設けられている。このように、投入部414における紙幣の受入量を、収納可能量取得手段480により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段が設けられていることにより、入金一時保留部432において収納可能な紙幣の量が変化した場合でも、投入部414に受け入れられた紙幣を全て入金一時保留部432に送ることができ、よって紙幣の割込入金処理が途中で中断されてしまうことを防止することができる。
また、図1乃至図15に示す貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10や図16に示す紙幣処理装置410は紙幣の処理を行うものであるが、本発明に係る紙葉類処理装置は紙幣の処理を行うものに限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理装置として、小切手、商品券、投票用紙等の紙幣以外の紙葉類を処理するものが用いられてもよい。
また、本発明に係る紙葉類処理装置における一時保留部は、紙葉類が積層状態で集積されるようなものに限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理装置における一時保留部として、その一端がドラムの外周面に取り付けられた帯状のテープにより紙葉類をテープごとドラムに巻き取るようなもの(いわゆる、テープ巻取方式)が用いられてもよい。この場合には、テープによりドラムに巻き取られる紙葉類の間の間隔を通常の間隔よりも大きくすることによって、テープ巻取方式の一時保留部における紙葉類の保留空間を複数の紙葉類収納領域に区分けることができるようになる。このような一時保留部としてテープ巻取方式のものが設けられている紙葉類処理装置(具体的には、有価媒体処理装置)の構成について図17を用いて説明する。
図17は、変形例に係る有価媒体処理装置500を側方から見たときの内部構成を示す側面図である。また、図17における筐体502(後述)の左側の側面が有価媒体処理装置500の前面側(すなわち、有価媒体処理装置500を手前側から見たときの正面側)となっており、図17における右方向が筐体502の奥行き方向となっている。図17に示すような有価媒体処理装置500も、主に出納機として用いられるようになっている。なお、以下の記載では、「紙幣」は全てバラ紙幣を指すものとする。また、「有価媒体」とは、損券や旧券等の紙幣、および紙幣以外の特定の有価証券を含むものである。また、「特定の有価証券」とは、小切手や手形等の予め設定された種類の有価証券のことをいう。なお、図17に示すような変形例に係る有価媒体処理装置500により処理される有価媒体は紙葉類であり、このような有価媒体処理装置500は、紙葉類の処理を行う紙葉類処理装置の一種である。
まず、変形例に係る有価媒体処理装置500の全体的な構成について説明する。図17に示すように、有価媒体処理装置500は略直方体形状の筐体502を備えており、この筐体502の前面上部には、当該筐体502の外部から内部に有価媒体を投入するための投入部510が設けられている。また、筐体502の前面には、筐体502の内部に収納された新券を機体外に投出するための投出部560が設けられている。また、投入部510には繰出機構512が設けられており、操作者によって投入部510に集積状態で投入された有価媒体は繰出機構512により機体内に1枚ずつ繰り出されるようになっている。図17に示すように、有価媒体処理装置500の機体内には搬送部514が設けられており、繰出機構512により1枚ずつ投入部510から繰り出された有価媒体は搬送部514により1枚ずつ搬送されるようになっている。
図17に示すように、投入部510は、複数の紙幣が積層状態で載置される載置板510bを有しており、この載置板510bの上方には紙幣の集積領域510aが形成されている。操作者が投入部510の集積領域510aに紙幣の束を投入する際に、載置板510bに複数の紙幣が積層状態で載置されるようになる。また、載置板510bの上方には押さえ部材510cが設けられており、投入部510に投入された紙幣を繰出機構512により搬送部514に繰り出す際に、載置板510bに載置されている紙幣を押さえ部材510cにより下方に向かって押圧するようになっている。このことにより、載置板510bに積層状態で載置されている複数の紙幣のうち最下層の紙幣を繰出機構512により確実に搬送部514に繰り出すことができるようになる。ここで、図17に示すように、投入部510には略鉛直方向に沿って延びる長穴から形成されるガイド溝510eが設けられており、押さえ部材510cの基端部には、ガイド溝510eに沿って移動するピン部材510dが設けられている。そして、ピン部材510dがガイド溝510eに沿って移動することにより、押さえ部材510cは図17に示すような待機位置から載置板510bに向かって移動することができるようになる。この押さえ部材510cは、図示しないモータによって駆動されるようになっており、押さえ部材510cが所定の高さ位置で停止可能となるよう当該モータが制御されるようになっている。
また、搬送部514には撮像部516が設けられており、この撮像部516は、有価媒体処理装置500の機体内に投入された有価媒体を撮像して画像データを得るようになっている。また、搬送部514には一時保留部520が設けられており、有価媒体処理装置500の機体内に投入された有価媒体は一時保留部520に一時的に保留されるようになっている。一時保留部520はテープ巻取方式のものからなる。より具体的には、一時保留部520は、正逆両方向に回転可能なドラム520aを有しており、このドラム520aに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部514から一時保留部520に送られた有価媒体は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム520aにより巻き取られて収納されるようになっている。また、ドラム520aを逆転させると、巻き取られた有価媒体が1枚ずつ繰り出されて、搬送部514に送られるようになっている。
また、変形例に係る有価媒体処理装置500では、テープ巻取方式の一時保留部520において、テープによりドラム520aに巻き取られる有価媒体の間の間隔を通常の間隔よりも大きくすることによって、一時保留部520における有価媒体の保留空間を複数の有価媒体収納領域に区分けることができるようになっている。
また、有価媒体処理装置500の機体内には、小切手や手形等の特定の有価証券を収納する特定有価証券収納部530と、損券や旧券を収納する損券収納部540、542とがそれぞれ設けられている。より具体的には、特定有価証券収納部530は、第1の収納部530a、第2の収納部530bおよび第3の収納部530cからなる3つの収納部から構成されており、第1の収納部530aには、有価媒体処理装置500が設置されている銀行と同じ銀行における他の支店で発行された小切手等が収納されるようになっている。また、第2の収納部530bや第3の収納部530cには、有価媒体処理装置500が設置されている銀行とは異なる銀行で発行された小切手等が収納されるようになっている。また、特定有価証券収納部530の各収納部530a、530b、530cはそれぞれスタッカ方式のものからなり、搬送部514からこれらの収納部530a、530b、530cに送られた小切手等は、既に収納部530a、530b、530cに収納されている小切手等の上に積み重ねられるようになっている。
損券収納部540、542には損券や旧券が収納されるようになっている。ここで、損券収納部540はスタッカ方式のものからなり、搬送部514から損券収納部540に送られた損券や旧券は、既に損券収納部540に収納されている損券や旧券の上に積み重ねられるようになっている。一方、損券収納部542はテープ巻取方式のものからなる。より具体的には、損券収納部542は、正逆両方向に回転可能なドラム542aを有しており、このドラム542aに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部514から損券収納部542に送られた損券や旧券は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム542aにより巻き取られて収納されるようになっている。また、ドラム542aを逆転させると、巻き取られた損券や旧券が1枚ずつ繰り出されて、搬送部514に送られるようになっている。
図17に示すように、小切手等の特定の有価証券を収納する特定有価証券収納部530は、損券や旧券を収納する損券収納部540、542の上方に設けられている。また、一時保留部520は特定有価証券収納部530や損券収納部540、542の上方に設けられている。
また、有価媒体処理装置500の筐体502の内部には、新券を収納する新券収納部550が設けられている。より具体的には、新券収納部550は、第1の収納部550a、第2の収納部550b、第3の収納部550cおよび第4の収納部550dからなる4つの収納部から構成されており、第1の収納部550aには新券の1万円札が、第2の収納部550bには新券の千円札が、第3の収納部550cには新券の五千円札がそれぞれ収納されている。また、第4の収納部550dに収納される新券の金種については操作者が選択することができるようになっている。これらの各収納部550a、550b、550c、550dにはそれぞれ繰出機構552a、552b、552c、552dが設けられており、収納部550a、550b、550c、550dに収納されている新券はそれぞれ繰出機構552a、552b、552c、552dにより搬送部514に1枚ずつ繰り出されるようになっている。なお、新券収納部550に収納される「新券」とは、中央銀行から銀行等の金融機関に配送され、市場に未だ流通していない官封券のことをいう。
投出部560は搬送部514に接続されており、搬送部514から投出部560に送られた新券等の有価媒体は当該投出部560で積み重ねられるようになっている。また、投出部560には羽根車562が設けられており、搬送部514から羽根車562に送られた新券等の有価媒体は、羽根車562における一対の羽根の間に挟まれた状態で当該羽根車562が図17における反時計回りの方向に回転することにより投出部560に送られるようになっている。このような羽根車562が設けられていることにより、投出部560に集積される新券等の有価媒体の整列を行うことができる。また、投出部560にはシャッター561aが設けられており、このシャッター561aが開放状態となったときに、投出部560に集積された新券等の有価媒体を操作者が取り出すことができるようになっている。また、投出部560には抜き取り検知部561bが設けられており、投出部560に集積された新券等の有価媒体が当該投出部560から抜き取られると、抜き取り検知部561bによりこのことが検知されるようになっている。
図17に示すように、有価媒体処理装置500の機体内で有価媒体を搬送する搬送部514は、第1の搬送部514aおよび第2の搬送部514bから構成されている。ここで、第1の搬送部514aは、投入部510により筐体502の内部に投入された有価媒体を一時保留部520や特定有価証券収納部530、損券収納部540に搬送するようになっている。一方、第2の搬送部514bは、新券収納部550に収納された新券を投出部560に搬送するようになっている。ここで、第1の搬送部514aにおける有価媒体の搬送路、および第2の搬送部514bにおける新券の搬送路は互いに独立して設けられている。すなわち、第1の搬送部514aは、図17における二点鎖線で示す仮想線Lの右側に設けられており、第2の搬送部514bは、図17における二点鎖線で示す仮想線Lの左側に設けられており、両者は接続箇所514pで接続されているものの、それ以外の箇所では互いに独立したものとなっている。
また、搬送部514における第2の搬送部514bには簡易識別部564が設けられている。この簡易識別部564は、新券収納部550から第2の搬送部514bに繰り出された新券の金種のみの識別を行うようになっている。
また、有価媒体処理装置500の前面(図17における左側の側面)には扉518が設けられている。特定の権限を有する者はこの扉518を開けて有価媒体処理装置500の機体の内部にアクセスすることができるようになっており、このことにより新券収納部550に新券を補充したりこの新券収納部550から新券を取り出したりすることができるようになっている。
また、図17に示すように、有価媒体処理装置500の筐体502の内部には制御部570が設けられており、この制御部570により有価媒体処理装置500の各構成部材が制御されるようになっている。より詳細には、制御部570には撮像部516、搬送部514、特定有価証券収納部530、損券収納部540、542、新券収納部550、投入部510、投出部560、一時保留部520等が接続されている。前述のように、撮像部516は、有価媒体処理装置500の機体内に投入された有価媒体を撮像して画像データを得るようになっているが、撮像部516により得られた画像データは制御部570に送られるようになっている。また、制御部570は、搬送部514、特定有価証券収納部530、損券収納部540、542、新券収納部550、投入部510、投出部560、一時保留部520等の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、制御部570には、一時保留部520に収納可能な有価媒体の量である収納可能量に係る情報を取得する収納可能量取得手段580が接続されている。より詳細には、テープ巻取方式の一時保留部520では、テープによりドラム520aに巻き取られた有価媒体は奥側に収納されるようになる。このため、ドラム520aに巻き取られていないような残りのテープでドラム520aに巻き取ることができる有価媒体の枚数が、上記の収納可能量となる。ここで、テープの全長は予め決まっており、ドラム520aに巻き取られたテープの量は当該ドラム520aの回転量等に基づいて把握することができるため、ドラム520aに巻き取られていないような残りのテープの長さを算出することができる。例えば、全体で100枚程度の有価媒体を保留可能な一時保留部520において、テープにより30枚の有価媒体がドラム520aに巻き取られている場合には、ドラム520aに巻き取られていないような残りのテープの長さに基づいて、一時保留部520に収納可能な有価媒体の量である収納可能量は70枚となることが算出される。また、有価媒体の大きさによって一時保留部520に収納可能な有価媒体の枚数が変わる可能性があるが、テープによる巻取方向における有価媒体の長さと有価媒体の間の間隔の大きさとの合計であるピッチを一定にすることにより、一時保留部520に収納可能な有価媒体の枚数を所定の値とすることができ、よって一時保留部520に保留される有価媒体の枚数管理が容易となる。また、有価媒体処理装置500において有価媒体の割込入金処理を行う場合は、1回目の入金処理で一時保留部520に最後に保留された有価媒体の後端縁と、2回目の入金処理で一時保留部520に最初に保留される有価媒体の先端縁との間の間隔を通常の有価媒体の間の間隔よりも大きくすることにより、1回目の入金処理で一時保留部520に保留される有価媒体と、2回目の入金処理で一時保留部520に保留される有価媒体とを確実に分離することができるようになる。
次に、上述のような構成からなる有価媒体処理装置500の動作(具体的には、有価媒体の入金処理)について説明する。以下に示すような有価媒体処理装置500の動作は、制御部570が有価媒体処理装置500の各構成部材の制御を行うことにより行われる。
有価媒体処理装置500において有価媒体の入金処理を行うにあたり、操作者はまず所有するIDカードをIDカードリーダ(図示せず)により読み取らせる。制御部570は、IDカードリーダによって読み取られたIDカードのID情報に基づいて、操作者の権限等を確認する。次に、操作者は、操作表示部(図示せず)により入金モードを選択する。具体的には、操作表示部には入金モードとして「一枚取込モード」「一括取込モード」「再取込モード」という3つのモードが表示され、操作者はこれらの3つのモードのうちから1つのモードを選択する。その後、操作者が投入部510に有価媒体を投入すると、繰出機構512により有価媒体が筐体502の内部に1枚ずつ繰り出され、搬送部514の第1の搬送部514aにより筐体502の内部で搬送される。その後、この有価媒体は撮像部516により撮像され、撮像された有価媒体の画像データが得られる。そして、制御部570は、筐体502の内部に投入された有価媒体に、斜行状態や重送状態(二枚以上重なった状態)である等の搬送異常がないかどうかを判別する。そして、搬送異常がないと判別された有価媒体は一時保留部520に搬送され、この一時保留部520で一時的に保留される。一方、筐体502の内部に投入された有価媒体に異常がある場合には、この有価媒体は搬送部514の第1の搬送部514aにより投出部560に搬送され、筐体502の外部に返却されるようになる。ここで、入金モードを選択する際に一枚取込モードが選択されていた場合には、有価媒体処理装置500における入金動作が終了する。一方、入金モードを選択する際に一枚取込モードが選択されておらず、代わりに一括取込モードや再取込モードが選択されていた場合には、投入部510に投入された有価媒体が繰出機構512により筐体502の内部に1枚ずつ取り込まれるという動作が引き続き行われるようになる。
有価媒体が一時保留部520に保留されると、操作表示部(図示せず)には有価媒体の画像データが表示されるようになる。そして、操作者は、操作表示部に表示された有価媒体の画像データに基づいて、操作表示部により入金データを入力する。ここで、入金データとは、撮像部516により撮像された有価媒体の種類(具体的には、紙幣、小切手、手形等の種類)や価値等のことをいう。また、有価媒体の種類が紙幣である場合には、紙幣の金種や新旧に係る情報も入金データとして入力する。操作者が操作表示部により入金データを入力すると、操作表示部には、入金データと、有価媒体の画像データとが並列に表示されるようになる。
その後、投入部510に投入された有価媒体が全て筐体502の内部に取り込まれ、これらの有価媒体が一時保留部520に保留された後、操作表示部には、入金データの確定を求める旨の表示がなされる。そして、操作者が入金データの確定の指令を行うと、一時保留部520に一時的に保留された有価媒体は搬送部514の第1の搬送部514aにより1枚ずつ搬送され、特定有価証券収納部530の各収納部530a〜530cや損券収納部540、542に分類収納されるようになる。その後、入力された入金データは有価媒体処理装置500に設けられた記憶部(図示せず)に記憶される。一方、操作者が入金データの確定を行う代わりに、入金データの修正を行った場合には、入力された入金データの修正が行われる。その後、操作表示部には、修正された入金データの確定を求める旨の表示がなされる。一方、入金データの修正も行われず、有価媒体の返却の指令が操作表示部により入力された場合には、一時保留部520に一時的に保留された有価媒体は搬送部514の第1の搬送部514aにより投出部560に搬送され、筐体502の外部に返却されるようになる。このようにして、有価媒体処理装置500への有価媒体の入金動作が完了する。
また、有価媒体処理装置500において有価媒体の通常の入金処理(以下、通常入金処理ともいう)が行われる途中で、一時保留部520から特定有価証券収納部530の各収納部530a〜530cや各損券収納部540、542に有価媒体を振り分ける途中で、新たな入金処理の指令が操作者により制御部570に与えられると、有価媒体の通常入金処理が中断されるとともに後述する有価媒体の割込入金処理が行われるようになる。また、割込入金処理が終了すると、中断されていた有価媒体の通常入金処理が再開されるようになる。このことにより、別の操作者が別の取引に係る有価媒体の割込入金処理を行うにあたり、最初の操作者による有価媒体の入金処理が完了するまで待つ必要がなくなるため操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、割込入金処理が行われる際に、一時保留部520における有価媒体の保留領域が複数の有価媒体収納領域に区分けられるようになっており、割込入金処理において投入部510により筐体502の内部に投入されて搬送部514により一時保留部520に送られた有価媒体は、一時保留部520において区分けられた複数の有価媒体収納領域のうち一時保留部520の出入り口に近い側の有価媒体収納領域に収納されるようになっている。このことにより、通常入金処理が行われる際に一時保留部520に一時的に保留される有価媒体と、割込入金処理が行われる際に一時保留部520に一時的に保留される有価媒体とを分離することができるため、割込入金処理を行うまでに行われた通常入金処理を無駄にすることないため作業性を向上させることができる。
また、割込入金処理が行われる際に、一時保留部520における有価媒体の保留領域が複数の有価媒体収納領域に区分けられると、区分けられた複数の有価媒体収納領域のうち一時保留部520の出入り口に近い側の有価媒体収納領域に収納可能な有価媒体の量(以下、収納可能量ともいう)に係る情報が収納可能量取得手段580により取得される。
また、図17に示すような変形例に係る有価媒体処理装置500では、制御部570に割込入金処理の指令が与えられると、投入部510における有価媒体の受入量を、収納可能量取得手段580により取得された収納可能量以下に制限するよう、投入部510において押さえ部材510cが図17に示す待機位置から下方に移動し、その後、途中位置で停止し、この途中位置に維持されるようになっている。このように、投入部510において押さえ部材510cが載置板510bに接近するよう移動することにより、投入部510における有価媒体の受入量を少なくすることができるようになる。
ここで、図17に示すような変形例に係る有価媒体処理装置500において、押さえ部材510cが実線で示す待機位置に維持されている場合には、投入部510における集積領域510aに例えば100枚の有価媒体を集積させることができるようになっている。これに対し、有価媒体の割込入金処理が行われる際に、収納可能量取得手段580により取得された収納可能量が例えば50枚である場合には、投入部510において押さえ部材510cを図17において実線で示す待機位置から下方に移動させ、途中位置で停止させることにより、投入部510における有価媒体の受入量を50枚以下に制限することができるようになる。
このように、図17に示すような有価媒体処理装置500でも、図1乃至図15に示す紙幣入出金装置10と同様に、搬送部514から送られた有価媒体(紙葉類)を収納する収納部として一時保留部520が設けられており、この一時保留部520に収納可能な有価媒体の量である収納可能量に係る情報が収納可能量取得手段580により取得されるようになっている。また、投入部510における有価媒体の受入量を、収納可能量取得手段580により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段として押さえ部材510cが設けられている。このように、投入部510における有価媒体の受入量を、収納可能量取得手段580により取得された収納可能量以下に制限するための受入量規制手段が設けられていることにより、テープ巻取方式の一時保留部520において収納可能な有価媒体の量が変化した場合でも、投入部510に受け入れられた有価媒体を全て一時保留部520に送ることができ、よって有価媒体の割込入金処理が途中で中断されてしまうことを防止することができる。
また、本発明に係る紙葉類処理装置として、識別部により紙幣の記番号を読み取ることができるものが用いられる場合には、筐体の内部に投入されて識別部により識別された後に一時保留部に保留される紙幣について、一時保留部の保留領域をセパレータ等の区分け機構により区分けしなくても、一時保留部に保留されている紙幣について通常入金処理に係る紙幣と割込入金処理に係る紙幣とを区分けることができる。このため、このような紙葉類処理装置では、一時保留部における紙幣の保留空間を区分け機構により複数の紙幣収納領域に区分けしなくても、紙幣の通常入金処理を行っている途中でこの紙幣の通常入金処理を中断させて紙幣の割込入金処理を行うことができるようになる。