JP6620670B2 - 単結晶引き上げ装置及び単結晶引き上げ方法 - Google Patents

単結晶引き上げ装置及び単結晶引き上げ方法 Download PDF

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Description

本発明は、単結晶引き上げ装置、及びこれを用いた単結晶引き上げ方法に関する。
シリコンやガリウム砒素などの半導体は単結晶で構成され、小型から大型までのコンピュータのメモリ等に利用されており、記憶装置の大容量化、低コスト化、高品質化が要求されている。
従来、これら半導体の要求を満たす単結晶を製造するための単結晶引き上げ方法の1つとして、坩堝内に収容されている溶融状態の半導体原料に磁場を印加させ、これにより、溶融液に発生する熱対流を抑止して、大直径かつ高品質の半導体を製造する方法(一般に磁場印加チョクラルスキー(MCZ)法と称している)が知られている。
図21を用いて従来のMCZ法による単結晶引き上げ装置の一例を説明する。図21の単結晶引き上げ装置100は、上面が開閉可能な引き上げ炉101を備え、この引き上げ炉101内に坩堝102を内蔵した構成となっている。そして、引き上げ炉101の内側には坩堝102内の半導体原料106を加熱溶融するためのヒータ103が坩堝102の周囲に設けられ、引き上げ炉101の外側には、1対の超電導コイル104(104a、104b)を円筒型容器としての冷媒容器(以下、円筒型冷媒容器と称する)105に内蔵した超電導磁石130が配置されている。
単結晶の製造に際しては、坩堝102内に半導体原料106を入れてヒータ103により加熱し、半導体原料106を溶融させる。この溶融液中に図示しない種結晶を例えば坩堝102の中央部上方から下降して着液させ、図示しない引き上げ機構により種結晶を所定の速度で引き上げ方向108の方向に引き上げていく。これにより、固体・液体境界層に結晶が成長し、単結晶が生成される。この際、ヒータ103の加熱によって誘起される溶融液の流体運動、即ち熱対流が生じると、引き上げられる溶融液が乱され、単結晶生成の歩留りが低下する。
そこで、この対策として、超電導磁石130の超電導コイル104を使用する。即ち、溶融液の半導体原料106は、超電導コイル104への通電によって発生する磁力線107により動作抑止力を受け、坩堝102内で対流することなく、種結晶の引き上げに伴って成長単結晶がゆっくりと上方に向って引き上げられ、固体の単結晶109として製造されるようになる。なお、引き上げ炉101の上方には、図示しないが、単結晶109を坩堝の中心軸110に沿って引き上げるための引き上げ機構が設けられている。
次に、図22により、図21に示した単結晶引き上げ装置100に用いられる超電導磁石130の一例について説明する。図21及び図22において、同じ構成要素には同じ符号を付している。また、図を見やすくするため、それぞれの図において構成要素を適宜省略している。この超電導磁石130は、円筒型真空容器119に超電導コイル104(104a,104b)を円筒型冷媒容器105を介して収納した構成とされている。この超電導磁石130においては、真空容器119内の中心軸110を介して互いに向き合う1対の超電導コイル104a,104bが収納されている。これら1対の超電導コイル104a、104bは横向きの同一方向に沿う磁場を発生しているヘルムホルツ型磁場コイルであり、図21に示すように、引き上げ炉101及び真空容器119の中心軸110に対して水平に直交する磁力線107を発生している(この中心軸110の位置を磁場中心と称している)。
なお、この超電導磁石130は、図21、22に示すように2つの超電導コイル104a、104bに電流を導入する電流リード111、円筒型冷媒容器105の内部に納められた第1の輻射シールド117及び第2の輻射シールド118を冷却するための小型ヘリウム冷凍機112、円筒型冷媒容器105内のヘリウムガスを放出するガス放出管113及び液体ヘリウムを補給する補給口を有するサービスポート114等を備えている。このような超電導磁石130のボア115(その内径はDである)内に、図21に示した引き上げ炉101が配設される。
図23は、上述した従来の超電導磁石130の磁場分布を示している。図22に示すように、従来の超電導磁石130においては、互いに向き合った1対の超電導コイル104a、104bが配置されていることから、各コイル配置方向(図23のX方向)では両側に向って磁場が次第に大きくなり、これと直交する方向(図23のY方向)では上下方向に向って次第に磁場が小さくなる。このような従来の構成では図23に示すようにボア115内の範囲の磁場勾配が大きすぎるため、溶融した単結晶原料に発生する熱対流抑制が不均衡になっており、かつ磁場効率が悪い。即ち、図23に同じ磁束密度の領域を斜線で示したように、中心磁場近傍付近の領域では、磁場均一性がよくない(即ち、図23において、上下、左右に細長いクロス状になっている)ため、熱対流の抑制効果が低く、高品質の単結晶を引き上げることができないという問題点があった。
特許文献1には、上記の問題点を解決するため、図24(a)、図24(b)に示すように、超電導コイル104の数を4以上(例えば、104a、104b、104c、104dの4つ)とし、引き上げ炉の周囲に同軸的に設けた筒形容器内の平面上に配置するとともに、その配置された各超電導コイルを筒形容器の軸心を介して対向する向きに設定し、かつ超電導コイルの相互に隣接する1対ずつのもの同士が筒形容器の内側に向く配設角度θ(図24(b)参照)を100度〜130度の範囲(即ち、X軸を挟んで隣接するコイル軸間の中心角度α(図24(b)参照)は50度〜80度)に設定することが開示されている。これによって、ボア115内部に磁場勾配の少ない均一性のよい横磁場を発生させることができ、また、平面上に同心円状もしくは正方形状の磁場分布を発生させることができ、不均衡電磁力を大幅に抑制することができるとされ、また、その結果、引き上げ方向の均一磁場領域が向上するとともに、横磁場方向の磁力線がほぼ水平になり、不均衡電磁力の抑制により、高品質の単結晶の製造が実現でき、更に、この単結晶引き上げ方法によれば、高品質の単結晶を歩留りよく引き上げることができることも開示されている。なお、図24(a)、(b)中の構成要素のうち図21、22に示した構成要素に相当するものについては同じ符号を付した。また、図24(b)中、dはコイルの内径、lは対向するコイル間の距離である。
即ち、図24の超電導コイル104a、104b、104c、104dの配設角度θを、それぞれ、100度、110度、115度、120度、130度(即ち、コイル軸間の中心角度αはそれぞれ80度、70度、65度、60度、50度)とした場合の磁場分布を示した図25〜図29では、中心磁場が十分に広い領域に亘って均一に配置される。その一方で、図30に示すように、配設角度θが90度(コイル軸間の中心角度αは90度)と小さい場合には、中心磁場のY方向の幅が極端に狭くなり、図31に示すように、配設角度θが140度(コイル軸間の中心角度αは40度)と大きい場合には、中心磁場のX方向の幅が極端に狭くなっている。従って、図24の超電導磁石130において、配設角度θを100度〜130度の範囲に設定することで、ボア115内部に同心円状もしくは正方形状の等分布磁場を得ることができるとされている。
特開2004−051475号公報
しかしながら、本発明者らが検討した結果、図25〜図29に示すように均一な磁場分布であっても、中心軸110における磁力線(即ち、図25〜図29中に示したX軸とY軸の交点における磁力線)がX軸方向に向かう横磁場においては、X軸と平行な断面内とX軸に垂直な断面内とでは熱対流に違いがあることが、3次元の融液対流を含む総合伝熱解析により明らかとなった。
図19は、図21、22に示す2コイルを用いた従来技術で結晶引き上げを行っている状態を解析した結果であり、図中左側は中心軸110における磁力線方向(即ち、X軸)に平行な断面内の流速分布を示しており、また右側はX軸に垂直な断面(即ち、Y軸に平行な断面)内の流速分布を示したものである。このように原料融液に磁場を印加することで対流は抑制され、特に原料融液の下半分では殆ど流れがなくなっているが、上半分には流れ場が残っている。磁場中で導電性流体が運動する場合、磁力線ならびに磁力線に垂直な速度成分と直交する方向に誘起電流が生ずるが、電気的に絶縁性を有する石英坩堝を用いた場合は、坩堝壁と原料融液の自由表面が絶縁壁となるため、これらに直交する方向の誘起電流は流れなくなる。このため、原料融液の上部においては電磁力による対流抑制力が弱くなっており、また図19の左側(X軸に平行な断面内)と右側(X軸と垂直な断面内)を比べると、X軸と垂直な断面内(磁力線に垂直な断面内)の方が、X軸に平行な断面内(磁力線に平行な断面内)よりも対流が強くなっていることがわかる。
一方、図24に示す4コイルにより均一な磁場分布を形成した特許文献1で開示されている技術(ただし、コイル軸間の中心角度αは60度)で単結晶引き上げを行っている状態を解析した結果を示す図20では、図19と比較すると、左側(X軸に平行な断面内)と右側(X軸と垂直な断面内)の流速差が若干小さくなっているが、それでも坩堝の周方向で不均一な流速分布となっている。
ここで、図19、20に示す解析結果は、解析ソフトとしてFEMAG−TMFを使用し、以下に示す単結晶引き上げ条件を用いて引き上げを行っている状態をシミュレーション解析したものである。
使用坩堝 :直径800mm
単結晶原料のチャージ量:400kg
育成する単結晶 :直径306mm
単結晶の直胴部の長さ :40cm
磁束密度 :コイル軸を含む水平面内の中心軸110において3000
Gとなるように調整
単結晶回転速度 :6rpm
坩堝回転速度 :0.03rpm
なお、図19、20において表示されている速度は、断面内の速度であり、周方向速度は除外している。
図19、20で見られるように、従来技術及び特許文献1に開示された技術においては、X軸に垂直な断面内に坩堝壁から成長界面への流れ場が残存することで、石英坩堝から溶出する酸素が結晶に到達するため、水平磁場印加による酸素濃度低下効果には限界があり、最近要求が多くなっているパワーデバイスやイメージセンサー用半導体結晶における極低濃度の酸素濃度要求に応えることが難しくなっているという問題点がある。また、坩堝の周方向で不均一な流れ場が存在することは、単結晶を回転させながら引き上げる単結晶においては成長縞の原因となり、成長方向に平行な断面内を評価すると、結晶回転周期の抵抗率・酸素濃度変動が観察されるため、成長方向に垂直にスライスしたウェーハ面内ではリング状の分布となってしまうという問題点もある。ただし、このような極低酸素結晶はパワーデバイスやイメージセンサー用途に限られており、その他のメモリやCPUなどのロジック用途には例えば10ppma−JEIDA以上の酸素濃度を有する結晶が要求されていることから、同じ引き上げ装置で極低酸素結晶と高酸素結晶の両方を製造できることが望ましい。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、同じ引き上げ装置において、簡便な方法で酸素濃度の高い単結晶も得ることができる単結晶引き上げ装置及び単結晶引き上げ方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、加熱ヒータ及び溶融した単結晶原料が収容される坩堝が配置され中心軸を有する引き上げ炉と、前記引き上げ炉の周囲に設けられ超電導コイルを有する磁場発生装置とを備え、前記超電導コイルへの通電により前記溶融した単結晶原料に水平磁場を印加して、前記溶融した単結晶原料の前記坩堝内での対流を抑制する単結晶引き上げ装置であって、前記磁場発生装置は、前記超電導コイルのコイル軸を含む水平面内の前記中心軸における磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものである単結晶引き上げ装置を提供する。
このような単結晶引き上げ装置であれば、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、同じ引き上げ装置において、簡便な方法で酸素濃度の高い単結晶も得ることができる。
また、前記磁場発生装置は、前記中心軸における磁力線方向が90度ずれており、かつ前記磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものであることが好ましい。
このような磁場発生装置を備えたものであれば、2種類の磁場を切り替えることで、より確実に酸素濃度の低い単結晶と酸素濃度の高い単結晶の両方を製造することができる。
また、前記磁場発生装置は、前記磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場のうち一方において、前記磁力線方向をX軸としたときに、前記X軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、前記水平面内の前記中心軸における磁束密度を磁束密度設定値とした場合、前記X軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値を超えた値となると同時に、前記水平面内において前記X軸と直交し前記中心軸を通るY軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、前記Y軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値の120%以下となるような磁場分布を発生させるものであることが好ましい。
単結晶引き上げ装置の磁場発生装置が、このような磁場分布を発生させるものであれば、電磁力による対流抑制力が不十分なX軸と垂直な断面内において、原料融液の流速が低減されにくくなることから、坩堝壁から溶出した酸素が単結晶に到達するまでの時間が短くなり、原料融液の自由表面からの酸素蒸発量が減少することで、単結晶に取り込まれる酸素濃度を増加させることができる。つまり、2種類の磁場のうち一方において、上記のような磁場分布を発生させることで、酸素濃度の高い単結晶を製造することができる。
また、前記磁場発生装置は、前記磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場のうち一方において、前記磁力線方向をY軸としたときに、前記Y軸上の磁束密度分布が上に凸の分布であり、前記水平面内の前記中心軸における磁束密度を磁束密度設定値とした場合、前記Y軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値の60%以下となると同時に、前記水平面内において前記Y軸と直交し前記中心軸を通るX軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、前記X軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値の170%以上となるような磁場分布を発生させるものであることも好ましい。
単結晶引き上げ装置の磁場発生装置が、このような磁場分布を発生させるものであれば、電磁力による対流抑制力が不十分なY軸と垂直な断面内においても、原料融液の流速を低減できるとともに、原料融液のY軸に平行な断面内における流速と、原料融液のY軸における垂直な断面における流速とをバランスさせることができる。Y軸と垂直な断面内においても、原料融液の流速を低減することによって、坩堝壁から溶出した酸素が単結晶に到達するまでの時間が長くなり、原料融液の自由表面からの酸素蒸発量が増加することで、単結晶に取り込まれる酸素濃度を大幅に低減させることができる。また、原料融液のY軸に平行な断面における流速と、原料融液のY軸に垂直な断面における流速とをバランスさせることによって、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができる。つまり、2種類の磁場のうち一方において、上記のような磁場分布を発生させることで、酸素濃度が極めて低く、成長縞が抑制された単結晶を製造することができる。
また、前記磁場発生装置は、それぞれ対向配置された超電導コイルの対がそれぞれのコイル軸が同じ水平面内に含まれるように2対設けられたものであり、前記コイル軸間の前記X軸を挟む中心角度αが60度以上70度以下のものであることが好ましい。
磁場発生装置の超電導コイルをこのように配置することで、上記のような磁場分布をより確実に発生させることができる。
また、前記磁場発生装置は、それぞれ対向配置された超電導コイルの対がそれぞれのコイル軸が同じ水平面内に含まれるように2対設けられたものであり、一方の対に流れる電流方向を切り替えることで前記中心軸における磁力線方向を切り替えることができるものであることが好ましい。
このような磁場発生装置であれば、電流方向を切り替えるだけで、容易に2種類の磁場を切り替えることができる。
また、本発明では、上記の単結晶引き上げ装置を用いて、半導体単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法を提供する。
このような単結晶引き上げ方法であれば、取り込まれる酸素濃度が大幅に低減されるとともに成長縞が抑制された半導体単結晶を育成でき、同じ引き上げ装置を用いて、取り込まれる酸素濃度を増加させた半導体単結晶も容易に育成することができる。
以上のように、本発明の単結晶引き上げ装置であれば、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、また、例えば超電導コイルに流れる電流の方向を切り替えるなどの簡便な方法で2種類の磁場を切り替えることができ、これによって、同じ引き上げ装置において、簡便な方法で酸素濃度の高い単結晶を得ることができる。
本発明の単結晶引き上げ装置の一例を示す概略断面図である。 本発明の単結晶引き上げ装置における、2種類の磁場の一例を示す図である。 実施例1における超電導コイルの配置、電流方向、及び磁力線方向を示す図である。 実施例2における超電導コイルの配置、電流方向、及び磁力線方向を示す図である。 実施例3における超電導コイルの配置、電流方向、及び磁力線方向を示す図である。 比較例1における超電導コイルの配置、電流方向、及び磁力線方向を示す図である。 比較例2における超電導コイルの配置、電流方向、及び磁力線方向を示す図である。 実施例1におけるコイル軸を含む平面内の磁束密度分布を示す図である。 実施例2におけるコイル軸を含む平面内の磁束密度分布を示す図である。 実施例3におけるコイル軸を含む平面内の磁束密度分布を示す図である。 比較例1におけるコイル軸を含む平面内の磁束密度分布を示す図である。 実施例1における融液断面内の流速分布を示す図である。 実施例2における融液断面内の流速分布を示す図である。 実施例3における融液断面内の流速分布を示す図である。 比較例1における融液断面内の流速分布を示す図である。 実施例1〜3と比較例1における、磁力線方向の磁束密度分布を示すグラフである。 実施例1〜3と比較例1における、磁力線と垂直方向の磁束密度分布を示すグラフである。 コイル軸間の中心角度αと単結晶中酸素濃度との関係を示すグラフである。 従来技術の2コイルの超電導磁石を用いた場合の融液断面における流速分布を示す図である。 特許文献1の4コイルの超電導磁石を用いた場合の融液断面における流速分布を示す図である。 従来の単結晶引き上げ装置の一例を示す概略断面図である。 従来の単結晶引き上げ装置に用いられる2コイルの超電導磁石の一例を示す概略斜視図である。 従来の単結晶引き上げ装置における磁束密度分布を示す図である。 特許文献1の4コイルの超電導磁石を示す概略斜視図及び概略横断面図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=100度のときの磁束密度分布を示す図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=110度のときの磁束密度分布を示す図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=115度のときの磁束密度分布を示す図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=120度のときの磁束密度分布を示す図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=130度のときの磁束密度分布を示す図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=90度のときの磁束密度分布を示す図である。 図24において超電導コイルの配設角度θ=140度のときの磁束密度分布を示す図である。
上述のように、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、同じ引き上げ装置において、簡便な方法で酸素濃度の高い単結晶も得ることができる単結晶引き上げ装置及び単結晶引き上げ方法の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができる磁場発生装置を備えた単結晶引き上げ装置であれば、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、磁場を切り替えることで、同じ引き上げ装置において、酸素濃度の高い単結晶も得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、加熱ヒータ及び溶融した単結晶原料が収容される坩堝が配置され中心軸を有する引き上げ炉と、前記引き上げ炉の周囲に設けられ超電導コイルを有する磁場発生装置とを備え、前記超電導コイルへの通電により前記溶融した単結晶原料に水平磁場を印加して、前記溶融した単結晶原料の前記坩堝内での対流を抑制する単結晶引き上げ装置であって、前記磁場発生装置は、前記超電導コイルのコイル軸を含む水平面内の前記中心軸における磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものである単結晶引き上げ装置である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<単結晶引き上げ装置>
図1は、本発明の単結晶引き上げ装置の一例を示す概略断面図である。まず、図1を参照しながら、本発明の単結晶引き上げ装置の実施態様の一例を説明する。図1の単結晶引き上げ装置11は、加熱ヒータ3と、溶融した単結晶原料(以下、融液と称する)6が収容される坩堝2が配置され中心軸10を有する引き上げ炉1と、引き上げ炉1の周囲に設けられ超電導コイル4を有する磁場発生装置30とを備えており、超電導コイル4への通電により融液6に水平磁場を印加して、融液6の坩堝2内での対流を抑制しながら、単結晶9を引き上げ方向8に引き上げる構成になっている。
磁場発生装置30は、超電導コイル4のコイル軸を含む水平面12内の中心軸10における磁力線7方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものである。
ここで、本発明の単結晶引き上げ装置の磁場発生装置で発生させる2種類の磁場について、図2を参照しながら説明する。図2(a)及び図2(b)は、本発明の単結晶引き上げ装置における、2種類の磁場の一例を示す図である。図2(a)及び図2(b)では、それぞれ対向配置された超電導コイル4の対がそれぞれのコイル軸13が同じ水平面内に含まれるように2対設けられ、電流経路を有しており、それぞれのコイルの対は別々に配線されている。また、超電導コイル4上の矢印は、該当コイルを真上から見た場合の電流ループの向きを示しており、左側の2コイルは右巻きコイルのため、電流の向きと逆方向に電流ループが形成されており、右側の2コイルは左巻きコイルのため、電流の向きと同方向に電流ループが形成されている。図2(a)においては、中心軸における磁力線方向はX軸方向となるが、図2(b)のように、左下と右上のコイルに流れる電流方向(電流極性)を反転させることによって、これらのコイルが作る電流ループが逆転し、中心軸における磁力線方向はY軸方向に変化する。
磁場発生装置30は、中心軸10における磁力線7方向が90度ずれており、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものであることが好ましい。このような磁場発生装置を備えたものであれば、2種類の磁場を切り替えることで、より確実に酸素濃度の低い単結晶と酸素濃度の高い単結晶の両方を製造することができる。
また、磁場発生装置30は、磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場のうち一方において、超電導コイル4のコイル軸13を含む水平面12内の中心軸10における磁力線7方向をX軸としたときに、X軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、水平面12内の中心軸10における磁束密度を磁束密度設定値とした場合、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値を超えた値となると同時に、水平面12内においてX軸と直交し中心軸10を通るY軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の120%以下となるような磁場分布を発生させるものであることが好ましい。
X軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、X軸上の磁束密度が坩堝壁(両側)で磁束密度設定値を超えた値であり、同時に、Y軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、Y軸上の磁束密度が坩堝壁(両側)で磁束密度設定値の120%以下の磁場分布であれば、X軸と垂直な断面内における対流抑制力が減少し、原料融液の流速が低減されにくくなることから、坩堝壁から溶出した酸素が単結晶に到達するまでの時間が短くなり、原料融液の自由表面からの酸素蒸発量が減少することで、単結晶に取り込まれる酸素濃度を増加させることができる。つまり、上記のような磁場分布を発生させることで、酸素濃度の高い単結晶を製造することができる。
また、磁場発生装置30は、磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場のうち一方において、超電導コイル4のコイル軸13を含む水平面12内の中心軸10における磁力線7方向をY軸としたときに、Y軸上の磁束密度分布が上に凸の分布であり、水平面12内の中心軸10における磁束密度を磁束密度設定値とした場合、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の60%以下となると同時に、水平面12内においてY軸と直交し中心軸10を通るX軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の170%以上となるような磁場分布を発生させるものであることも好ましい。
Y軸上の磁束密度分布が上に凸の分布であり、Y軸上の磁束密度が坩堝壁(両側)で磁束密度設定値の60%以下であり、同時に、X軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、X軸上の坩堝壁(両側)で磁束密度設定値の170%以上の磁場分布であれば、Y軸と垂直な断面内における電磁力による対流抑制力が十分な状態となり、原料融液の流速が十分に低減されるとともに、原料融液のY軸に平行な断面内における流速と、原料融液のY軸における垂直な断面における流速とをバランスさせることができるため、坩堝壁から溶出した酸素が単結晶に到達するまでの時間が長くなり、原料融液の自由表面からの酸素蒸発量が増加することで、単結晶に取り込まれる酸素濃度を大幅に低減させることができる。また、原料融液のY軸に平行な断面における流速と、原料融液のY軸に垂直な断面における流速とをバランスさせることによって、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができる。つまり、上記のような磁場分布を発生させることで、酸素濃度が極めて低く、成長縞が抑制された単結晶を製造することができる。
つまり、上記のような磁場分布を発生させる2種類の磁場を切り替えて発生させることができる磁場発生装置を用いることで、より確実に、酸素濃度が極めて低く成長縞が抑制された単結晶と、酸素濃度の高い単結晶の両方を、同じ単結晶引き上げ装置で製造することができる。
また、磁場発生装置30は、それぞれ対向配置された超電導コイル4の対がそれぞれのコイル軸が同じ水平面内に含まれるように2対設けられたものであり、コイル軸間のX軸を挟む中心角度αが60度以上70度以下のものであることが好ましい。磁場発生装置の超電導コイルをこのように配置することで、上記のような磁場分布をより確実に発生させることができる。
なお、コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを60度以上70度以下とした場合、一方のコイル対に流れる電流方向を切り替えることで、磁力線方向がX軸方向からY軸方向に変化するとともに、磁力線方向であるY軸を挟む中心角度α’は(180−α)度となるため、磁力線方向を含むコイル軸間の中心角度は110度以上120度以下に変化することになる。
また、磁場発生装置30は、それぞれ対向配置された超電導コイル4の対がそれぞれのコイル軸が同じ水平面内に含まれるように2対設けられたものであり、一方の対に流れる電流方向を切り替えることで中心軸10における磁力線7方向を切り替えることができるものであることが好ましい。このような磁場発生装置であれば、電流方向を切り替えるだけで、容易に2種類の磁場を切り替えることができる。
なお、このような磁場分布の切り替えは、要求される酸素濃度が異なる結晶を育成する場合、磁場励磁前に行うことができる。超電導コイルに流れる電流は超電導マグネット用の直流電源から供給されるが、電源内部にて極性を変更した上で、励磁することにより、簡便に磁場分布の切り替えが可能となる。なお、超電導状態においては、コイル間には反発力あるいは吸引力が互いに作用しているため、このような状況で電流方向を変更すると、コイル自体が動くことでクエンチ(超電導状態の崩壊)を引き起こしてしまうため、極性を変更する場合は、必ず励磁開始前に実施する必要がある。
以上のように、本発明の単結晶引き上げ装置であれば、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、また、例えば超電導コイルに流れる電流の方向を切り替えるなどの簡便な方法で2種類の磁場を切り替えることができ、これによって、同じ引き上げ装置において、簡便な方法で酸素濃度の高い単結晶を得ることができる。
<単結晶引き上げ方法>
また、本発明では、上述の本発明の単結晶引き上げ装置を用いて、半導体単結晶を引き上げる単結晶引き上げ方法を提供する。
このような単結晶引き上げ方法であれば、取り込まれる酸素濃度が大幅に低減されるとともに成長縞が抑制された半導体単結晶を育成でき、同じ引き上げ装置を用いて、取り込まれる酸素濃度を増加させた半導体単結晶も容易に育成することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示される単結晶引き上げ装置11において、超電導コイルの配置を図3に示されるコイル配置(コイル軸間のX軸を挟む中心角度αが60度;2対のコイルを1対ずつ別々に配線)としたものを用いて、以下に示す引き上げ条件で、半導体単結晶の引き上げを行った。
(引き上げ条件)
使用坩堝 :直径800mm
単結晶原料のチャージ量:400kg
育成する単結晶 :直径306mm
単結晶の直胴部の長さ :40cm
磁束密度 :コイル軸を含む水平面内の中心軸において3000Gとな
るように調整
単結晶回転速度 :6rpm
坩堝回転速度 :0.03rpm
[実施例2]
図1に示される単結晶引き上げ装置11において、超電導コイルの配置を図4に示されるコイル配置(中心角度αが70度;2対のコイルを1対ずつ別々に配線)としたものを用いる以外は実施例1と同様にして、半導体単結晶の引き上げを行った。
[実施例3]
図1に示される単結晶引き上げ装置11において、超電導コイルの配置を図5に示されるコイル配置(中心角度αが80度;2対のコイルを1対ずつ別々に配線)としたものを用いる以外は実施例1と同様にして、半導体単結晶の引き上げを行った。
[比較例1]
図1に示される単結晶引き上げ装置11において、超電導コイルの配置を図6に示されるコイル配置(中心角度αが90度;2対のコイルを1対ずつ別々に配線)としたものを用いる以外は実施例1と同様にして、半導体単結晶の引き上げを行った。
[比較例2]
図1に示される単結晶引き上げ装置11において、超電導コイルの配置を図7に示されるコイル配置(コイル軸間のX軸を挟む中心角度αが60度;2対のコイルをすべて直列に配線)としたものを用いる以外は実施例1と同様にして、半導体単結晶の引き上げを行った。
実施例1〜3及び比較例1の単結晶引き上げ装置を用いた場合の、コイル軸を含む水平面内の磁束密度分布を測定した。その結果を図8〜11に示す。ここで、図8(a)〜11(a)は、磁力線方向がX軸方向の場合のコイル軸を含む水平面内の磁束密度分布であり、図8(b)〜11(b)は、磁力線方向がY軸方向の場合のコイル軸を含む水平面内の磁束密度分布である。また、磁力線方向がX軸方向の場合と磁力線方向がY軸方向の場合の坩堝壁での磁束密度を表1に示す。また、磁力線方向の磁束密度分布を示すグラフを図16に、磁力線と垂直方向の磁束密度分布を示すグラフを図17に示す。
更に、解析ソフトとしてFEMAG−TMFを使用し、実施例1〜3及び比較例1の単結晶引き上げ装置を用いて上記に示す引き上げ条件で単結晶の引き上げを行った場合の単結晶の直胴部の長さが40cmとなった時点の融液の断面(磁力線と平行な断面と垂直な断面)における流速分布をシミュレーション解析した。その解析結果を図12〜15に示す。なお、図12(a)〜15(a)は、磁力線と平行な断面における流速分布であり、図12(b)〜15(b)は、磁力線と垂直な断面における流速分布である。
また、実施例1〜3及び比較例1、2で育成した半導体単結晶について、酸素濃度を調べた。その結果を図18に示す。
コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを60度(α’を120度)とし、2対のコイルを1対ずつ別々に配線した実施例1では、電流方向の切り替えにより磁力線方向をX軸方向、Y軸方向と切り替えた場合に、図8(a)及び図8(b)に示されるように、それぞれ異なる磁場分布が発生していた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がX軸方向の場合、X軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図16)であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値を超えた値となっており、Y軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の120%以下となっていた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がY軸方向の場合、Y軸上の磁束密度分布は上に凸の分布(図16)であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の60%以下となっており、X軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の170%以上となっていた。また、図12(a)及び図12(b)に示されるように、融液の断面における流速分布も、磁力線と平行な断面と磁力線と垂直な断面でそれぞれ異なっていた。また、図18に示されるように、磁力線方向がX軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶の酸素濃度は10〜15ppma−JEIDA程度であり、磁場を切り替えて磁力線方向がY軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶の酸素濃度は3ppma−JEIDA程度であることから、磁場の切り替えによって酸素濃度が大きく異なる単結晶を製造できていることが分かる。また、育成した低酸素濃度の単結晶には、成長縞が見られなかった。
コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを70度(α’を110度)とし、2対のコイルを1対ずつ別々に配線した実施例2では、電流方向の切り替えにより磁力線方向をX軸方向、Y軸方向と切り替えた場合に、図9(a)及び図9(b)に示されるように、それぞれ異なる磁場分布が発生していた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がX軸方向の場合、X軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図16)であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値を超えた値となっており、Y軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の120%以下となっていた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がY軸方向の場合、Y軸上の磁束密度分布は上に凸の分布(図16)であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の60%以下となっており、X軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の170%以上となっていた。また、図13(a)及び図13(b)に示されるように、融液の断面における流速分布も、磁力線と平行な断面と磁力線と垂直な断面でそれぞれ異なっていた。また、図18に示されるように、磁力線方向がX軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶の酸素濃度は8〜11ppma−JEIDA程度であり、磁場を切り替えて磁力線方向がY軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶の酸素濃度は3.5ppma−JEIDA程度であることから、磁場の切り替えによって酸素濃度が大きく異なる単結晶を製造できていることが分かる。また、育成した低酸素濃度の単結晶には、成長縞が見られなかった。
コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを80度(α’を100度)とし、2対のコイルを1対ずつ別々に配線した実施例3では、電流方向の切り替えにより磁力線方向をX軸方向、Y軸方向と切り替えた場合に、図10(a)及び図10(b)に示されるように、それぞれ異なる磁場分布が発生していた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がX軸方向の場合、X軸上の磁束密度分布は上に凸の分布(図16)であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値未満となっており、Y軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の120%を超えた値となっていた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がY軸方向の場合、Y軸上の磁束密度分布は上に凸の分布(図16)であるものの、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の60%を超える値となっており、X軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であるものの、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の170%未満となっていた。また、図14(a)及び図14(b)に示されるように、融液の断面における流速分布も、磁力線と平行な断面と磁力線と垂直な断面でそれぞれ異なっていた。また、図18に示されるように、磁力線方向がX軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶の酸素濃度は6〜8ppma−JEIDA程度であり、磁場を切り替えて磁力線方向がY軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶の酸素濃度は4ppma−JEIDA程度であることから、磁場の切り替えによって酸素濃度が異なる単結晶を製造できていることが分かる。また、育成した低酸素濃度の単結晶には、成長縞が見られなかった。
一方、コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを90度(α’も90度)とし、2対のコイルを1対ずつ別々に配線した比較例1では、図11(a)及び図11(b)に示されるように、電流方向の切り替えにより磁力線方向をX軸方向、Y軸方向と切り替えた場合にも、磁場分布はそのまま90度回転するだけであり、それぞれ異なる磁場分布は発生していなかった。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がX軸方向の場合、X軸上の磁束密度分布は上に凸の分布(図16)であり、X軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値未満となっており、Y軸上の磁束密度分布は下に凸の分布(図17)であり、Y軸上の磁束密度は坩堝壁では磁束密度設定値の120%を超えた値となっていた。また、表1及び図16、17に示されるように、磁力線方向がY軸方向の場合にも、磁力線方向がX軸方向の場合の磁束密度分布が90度回転した以外は同様の磁束密度分布となっていた。また、図15(a)及び図15(b)に示されるように、融液の断面における流速分布も、磁力線と平行な断面と磁力線と垂直な断面でそれぞれ同じであった。また、図18に示されるように、磁力線方向がX軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶と磁力線方向がY軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶中の酸素濃度に違いは見られず、どちらも5〜6ppma−JEIDA程度であることから、磁場を切り替えても酸素濃度が異なる単結晶を製造できないことが分かる。また、育成した低酸素濃度の単結晶には、成長縞が見られなかった。
また、コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを60度とし、2対のコイルをすべて直列に配線した比較例2では、磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができないため、図18に示されるように、実施例1において磁力線方向がX軸方向である水平磁場を印加して引き上げた単結晶と同程度の酸素濃度の高い(10〜15ppma−JEIDA程度の)単結晶しか製造することができなかった。なお、育成した高酸素濃度の単結晶には、成長縞が見られた。
以上のことから、本発明の単結晶引き上げ装置であれば、育成する単結晶中の酸素濃度を低減できるとともに、育成する単結晶中の成長縞を抑制することができ、同じ引き上げ装置において、簡便な方法で酸素濃度の高い単結晶も得ることができることが明らかとなった。また、コイル軸間のX軸を挟む中心角度αを60度以上70度以下とすることで、磁場を切り替えた場合の単結晶の酸素濃度の差が特に大きくなることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…引き上げ炉、 2…坩堝、 3…加熱ヒータ、 4…超電導コイル、
6…溶融した単結晶原料(融液)、 7…磁力線、 8…引き上げ方向、
9…単結晶、 10…中心軸、 11…単結晶引き上げ装置、
12…コイル軸を含む水平面、 13…コイル軸、 30…磁場発生装置。

Claims (7)

  1. 加熱ヒータ及び溶融した単結晶原料が収容される坩堝が配置され中心軸を有する引き上げ炉と、前記引き上げ炉の周囲に設けられ超電導コイルを有する磁場発生装置とを備え、前記超電導コイルへの通電により前記溶融した単結晶原料に水平磁場を印加して、前記溶融した単結晶原料の前記坩堝内での対流を抑制する単結晶引き上げ装置であって、
    前記磁場発生装置は、それぞれ対向配置された超電導コイルの対がそれぞれのコイル軸が同じ水平面内に含まれるように2対設けられたものであり、
    前記磁場発生装置は、前記超電導コイルのコイル軸を含む水平面内の前記中心軸における磁力線方向が互いに異なり、かつコイル軸間の中心角度が90度ではなく、磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものであることを特徴とする単結晶引き上げ装置。
  2. 前記磁場発生装置は、前記中心軸における磁力線方向が90度ずれており、かつ前記磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場を切り替えて発生させることができるものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶引き上げ装置。
  3. 前記磁場発生装置は、前記磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場のうち一方において、前記磁力線方向をX軸としたときに、前記X軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、前記水平面内の前記中心軸における磁束密度を磁束密度設定値とした場合、前記X軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値を超えた値となると同時に、前記水平面内において前記X軸と直交し前記中心軸を通るY軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、前記Y軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値の120%以下となるような磁場分布を発生させるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶引き上げ装置。
  4. 前記磁場発生装置は、前記磁力線方向が互いに異なり、かつ磁場分布が互いに異なる、2種類の磁場のうち一方において、前記磁力線方向をY軸としたときに、前記Y軸上の磁束密度分布が上に凸の分布であり、前記水平面内の前記中心軸における磁束密度を磁束密度設定値とした場合、前記Y軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値の60%以下となると同時に、前記水平面内において前記Y軸と直交し前記中心軸を通るX軸上の磁束密度分布が下に凸の分布であり、前記X軸上の磁束密度は坩堝壁では前記磁束密度設定値の170%以上となるような磁場分布を発生させるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶引き上げ装置。
  5. 前記磁場発生装置は、前記コイル軸間の前記X軸を挟む中心角度αが60度以上70度以下のものであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の単結晶引き上げ装置。
  6. 前記磁場発生装置は、一方の対に流れる電流方向を切り替えることで前記中心軸における磁力線方向を切り替えることができるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の単結晶引き上げ装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の単結晶引き上げ装置を用いて、半導体単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶引き上げ方法。
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