JP6619371B2 - コンバイン - Google Patents

コンバイン Download PDF

Info

Publication number
JP6619371B2
JP6619371B2 JP2017028202A JP2017028202A JP6619371B2 JP 6619371 B2 JP6619371 B2 JP 6619371B2 JP 2017028202 A JP2017028202 A JP 2017028202A JP 2017028202 A JP2017028202 A JP 2017028202A JP 6619371 B2 JP6619371 B2 JP 6619371B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
input shaft
feeder
unit
conveyor
lock mechanism
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017028202A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018130095A (ja
Inventor
直哉 池田
直哉 池田
草地 寛太
寛太 草地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yanmar Co Ltd
Original Assignee
Yanmar Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yanmar Co Ltd filed Critical Yanmar Co Ltd
Priority to JP2017028202A priority Critical patent/JP6619371B2/ja
Publication of JP2018130095A publication Critical patent/JP2018130095A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6619371B2 publication Critical patent/JP6619371B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Harvester Elements (AREA)

Description

本発明は、刈取部にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部へと供給する搬送装置を備えたコンバインに関する。
従来、刈取部にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部へと供給する搬送装置であるフィーダを備えたコンバインがある。フィーダは、ハウジングとしてのフィーダハウス内に穀稈搬送用のコンベヤを設けた構成を備える。コンベヤは、その送り終端側を軸支するコンベヤの駆動軸として、左右方向を軸方向とする刈取入力軸を有する。
フィーダの後端部は、刈取入力軸を回動軸として、コンバインの走行機体側に回動可能に支持されている。フィーダは、その前側に設けられた刈刃装置や掻込リール等とともに刈取部を構成し、刈取部は、走行機体に対するフィーダの回動により昇降動作するように構成されている。
このような構成のコンバインには、フィーダで穀稈が詰まった場合に備え、穀稈の詰まりを解消するために、コンベヤを逆転させるための構成を備えたものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特許文献1には、エンジンの出力軸と刈取部との間の動力伝達機構において、エンジンの側方に設けられたカウンタケース内に逆転ギヤやスライドギヤ等を含む動力切替機構を組み込んだ構成が開示されている。カウンタケース内の動力切替機構により、カウンタケースから動力を取り出すための刈取出力軸の正転・逆転が切り替えられる。
また、特許文献2には、フィーダのコンベヤ入力軸となる刈取入力軸に伝達する回転を逆転させる逆転機構を、エンジンの動力を受けて脱穀部の扱胴を回転させる扱胴入力軸と刈取入力軸との間の伝動機構に設けた構成が開示されている。特許文献2の逆転機構は、刈取入力軸を逆転させるための動力を伝達するためのプーリ、ベルトおよびギヤ、並びにこれらを支持する軸等により構成されている。
特開2004−121123号公報 特開2016−136924号公報
上述したような従来の技術は、いずれも、エンジンから刈取部へ動力を伝達させる経路内に、コンベヤを逆転させるための逆転用の伝動機構を設けた構成である。このため、エンジンから刈取部への動力伝達機構が構造的に複雑となり、部品点数が多くなり、コスト的にも不利となる。また、特許文献2の構成のように、逆転用の動力伝達機構が、刈取入力軸の正転用の動力伝達経路から分岐した態様で設けられた構成によれば、正・逆転用の動力伝達の相互の干渉を避けるための構造が必要となる。このため、構造が複雑となったり装置構成が大型となったりするといった問題がある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、刈取部にて刈り取られた穀稈を脱穀部へと搬送・供給する搬送装置を備えた構成において、構造の複雑化を招くことなく、簡単な構造により、搬送装置におけるコンベヤの逆転方向への動作を可能とし、搬送装置における穀稈の詰まりを解消することができるコンバインを提供することを目的とする。
本発明に係るコンバインは、刈取部にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部へと供給する搬送装置を備えたコンバインであって、前記搬送装置は、ハウジング内に、左右方向を軸方向として動力の伝達を受ける入力軸を駆動軸とするコンベヤを有し、コンバインの本機に対して前記入力軸を中心とした回動により昇降するように設けられたものであり、前記搬送装置の下降動作中に前記入力軸の回転を規制するロック機構を備えるものである。
また、本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記ロック機構は、前記入力軸の前記ハウジング内からの突出部分に固定された第1係合部材と、前記本機側に支持された状態で設けられており、前記第1係合部材に係合することで前記入力軸の回転を規制する第2係合部材と、を有するものである。
また、本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記ロック機構は、前記第1係合部材を、前記入力軸に軸支された歯車とし、前記第2係合部材を、前記歯車に係合する方向に付勢された爪部材とし、前記入力軸の回転方向を、前記コンベヤを逆転させる回転方向に制限するラチェット機構であるものである。
また、本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記ロック機構は、前記ハウジングの左右側方のうち、前記本機の左右方向の外側となる側の側方に設けられているものである。
また、本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記刈取部および前記脱穀部の少なくともいずれかの操作を行うための作業操作具の操作により、前記ロック機構の作動・非作動が操作されるように構成されているものである。
本発明によれば、刈取部において刈り取られた穀稈を脱穀部へと搬送・供給する搬送装置を備えた構成において、構造の複雑化を招くことなく、簡単な構造により、搬送装置におけるコンベヤの逆転方向への動作を可能とし、搬送装置における穀稈の詰まりを解消することができる。
本発明の一実施形態に係るコンバインの左側面図である。 本発明の一実施形態に係るコンバインの右側面図である。 本発明の一実施形態に係るコンバインの平面図である。 本発明の一実施形態に係るコンバインにおける動力伝達構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係るフィーダおよびその近傍の構成を示す左側面図である。 本発明の一実施形態に係るフィーダの構成を示す左側面図である。 本発明の一実施形態に係るフィーダの後部を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係るフィーダの後部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るロック機構の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るロック機構を示す左側面図である。 本発明の一実施形態に係るロック機構の作動状態を示す左側面図である。 本発明の一実施形態に係る作業クラッチレバーの構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る作業クラッチレバーの操作態様についての説明図である。
本発明は、刈取部にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部へと供給する搬送装置が刈取入力軸を回動軸として回動昇降可能に設けられた構成において、搬送装置の下降動作を用いて搬送装置のコンベヤの逆方向への動作を可能とすることで、簡単な構造により搬送装置における穀稈の詰まりを解消しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
[コンバインの全体構成]
まず、図1から図4を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方に向かって左側(図3における下側)および右側(図3における上側)を、それぞれコンバイン1における左側および右側とする。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るコンバイン1は、刈り取った圃場の作物を機体内に掻き込み、脱穀・選別・穀粒貯留し、適宜機外に搬出可能とした収穫機としての普通型コンバインである。コンバイン1は、自走可能な走行機体2の前端部に設けられた刈取部3を有する。刈取部3は、稲や麦等の未刈り穀稈を刈り取りながら取り込む刈取装置として構成されたものであり、走行機体2に対して昇降可能に取り付けられている。
走行機体2は、左右一対のクローラ部5,5を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部4を備える。左右のクローラ部5,5間には、機体フレーム6が架設されている。各クローラ部5は、その前端部に設けられた駆動スプロケット5aおよびクローラ部5の後端部に設けられたテンションローラ5bを含む複数の回転体と、これらの回転体に巻回された履帯5cとを有する。クローラ部5を構成する複数の回転体は、走行機体2の下面側に設けられたトラックフレーム5dに設けられている。また、駆動スプロケット5aは、コンバイン1が備えるエンジン25の動力の伝達を受けて回転駆動する。
機体フレーム6上の左側には、刈取部3により刈り取られて供給された穀稈を脱穀する脱穀部7と、脱穀部7により脱穀された穀粒を選別する選別部8とが設けられている。脱穀部7および選別部8は、脱穀部7を上段、選別部8を下段とした態様で配設されている。
機体フレーム6上において、脱穀部7および選別部8の右方には、選別部8で選別された穀粒(清粒)を貯留するグレンタンク10を有する穀粒貯留部9が設けられている。グレンタンク10内には、グレンタンク10の排出口に向けて貯溜穀粒を搬送する下部排出コンベヤ11が設けられている(図4参照)。グレンタンク10の排出口に連通するように、縦搬送コンベヤ12が上下方向に沿って立設されている。縦搬送コンベヤ12の上端部には、穀粒排出コンベヤ13が連設されている。穀粒排出コンベヤ13は、水平方向に旋回可能かつ水平軸回りに上下揺動可能に設けられている。これらのコンベヤにより、グレンタンク10内の穀粒が搬送され、穀粒排出コンベヤ13の先端部に設けられた籾投口14からトラックの荷台やコンテナ等に排出される。
また、機体フレーム6上において、穀粒貯留部9の前方の位置、つまり機体フレーム6上における右側前部の位置には、オペレータが搭乗する運転部15が設けられている。運転部15は、キャビン16により覆われている。運転部15には、運転座席17、運転座席17の前方に配置された操縦ハンドル18、主変速レバー21、副変速レバー22、脱穀クラッチ57および刈取クラッチ75(図4参照)を入り切り操作する作業クラッチレバー23等が設けられている。主変速レバー21、副変速レバー22、および作業クラッチレバー23は、運転座席17の左側に設けられたレバーコラム24に配設されている。
走行機体2上における穀粒貯留部9の後方には、駆動源としてのエンジン25が設けられている。エンジン25は、ディーゼルエンジンであり、排気ガス浄化装置であるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)26を搭載している。DPF26は、エンジン25から排出される排気ガス中の黒煙を主体とする粒子状物質等を捕集する。エンジン25は、その排気ガスをDPF26中に通過させることで、排気ガスを浄化するようにしている。
刈取部3について説明する。刈取部3は、搬送装置としてのフィーダ30と、穀物ヘッダ(プラットホーム)31と、刈刃装置32と、左右一対の分草体33,33と、掻込リール34とを有する。
フィーダ30は、刈取部3にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部7へと供給する搬送装置である。フィーダ30は、ハウジングとしてのフィーダハウス35と、フィーダハウス35内に設けられた穀稈搬送用のコンベヤ36とを有する。フィーダ30は、キャビン16の左方に位置し、平面視で長手方向を前後方向とする略四角筒状に構成されたフィーダハウス35の後端開口部を脱穀部7の前側の扱口7aに連通させた状態で設けられている。
穀物ヘッダ31は、横長バケット状に構成され、フィーダハウス35の前端開口部に連通するように、フィーダ30の前側に連設されている。穀物ヘッダ31内には、掻込オーガ(プラットホームオーガ)37が設けられている。掻込オーガ37は、左右方向を回転軸方向として回転可能に軸架されている。
刈刃装置32は、穀物ヘッダ31の前下端縁部に設けられており、バリカン状に構成されている。左右一対の分草体33,33は、穀物ヘッダ31の前側の左右側部から前方へ突出するように設けられている。掻込リール34は、タインバー付きのリールであり、掻込オーガ37の前上方の位置に設けられている。掻込リール34は、穀物ヘッダ31に基端部が枢支された左右一対のリール支持アーム34a,34aの先端部間に、左右方向を回転軸方向として回転可能に支持されている。掻込リール34は、回転しながら連続的に穀稈の着莢部に作用し、穀稈の着莢部を掻込オーガ37側へ掻き込む。刈取部3の各部の動作には、各種伝動機構を介して伝達されるエンジン25の動力が用いられる。
フィーダハウス35内のコンベヤ36は、その送り終端側を軸支する駆動軸として、脱穀部7の前部に設けられ左右方向を軸方向とする刈取入力軸(フィーダハウスコンベヤ軸)38を有する。フィーダ30の後端部は、刈取入力軸38により、左右方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。また、フィーダハウス35の下面部と機体フレーム6との間には、昇降用シリンダ39が介設されている。
昇降用シリンダ39は、その伸長時に油圧の作用をともなう単動式の油圧シリンダである。したがって、昇降用シリンダ39が油圧の作用をともなって伸長することで、刈取部3(フィーダ30)が上昇方向に回動し、昇降用シリンダ39の油圧が解除されることで、刈取部3(フィーダ30)の自重による下降にともない、昇降用シリンダ39が短縮する。
このような構成により、刈取部3は、昇降用シリンダ39の伸縮動作によって刈取入力軸38を回動支軸として昇降するように設けられている。すなわち、フィーダ30の後端部は、刈取入力軸38を回動軸として、コンバイン1の走行機体2側に回動可能に支持されている。そして、フィーダ30は、その前側に設けられた刈刃装置32や掻込リール34等とともに刈取部3を構成し、刈取部3は、昇降用シリンダ39の伸縮動作による走行機体2に対するフィーダ30の回動により昇降動作するように構成されている。フィーダ30の昇降動作は、運転部15に設けられた所定の操作部により操作される。
脱穀部7および選別部8について説明する。脱穀部7は、扱口7aを前側に開口させた扱室内に設けられた扱胴41と、扱胴41の下方に配置された受網42とを有する。扱胴41は、前後方向を軸方向とする扱胴軸41aにより回転可能に支持されている。扱胴41は、扱胴軸41aを中心軸に沿わせた円筒状の本体部を有し、本体部の外周面には、螺旋状の羽根が設けられている。扱胴41の上側には、扱室内の脱穀物の搬送速度(滞留時間)を調節するための複数の送塵弁が角度調節可能に設けられている。受網42は、穀粒を漏下させるものであり、扱胴41の下部の外周面に沿うように設けられている。
選別部8は、受網42の下方に配置された揺動部としての揺動選別盤43と、駆動源からの回転動力によって揺動選別盤43を揺動させる揺動軸44aを含む揺動機構44と、一番コンベヤ45と、二番コンベヤ46と、唐箕47とを有する。なお、図4に示すように、唐箕47の前方には、プレファン71が設けられており、唐箕47の後方には、セカンドファン72が設けられている。
揺動選別盤43は、フィードパン、フィードパンの後方に配置され穀粒漏下量を調節するチャフシーブ、チャフシーブの下方に配置されたグレンシーブ等の比重選別用の構成を有する。一番コンベヤ45は、一番穀粒を集約するように機体幅方向に延びる一番樋内に配置されている。二番コンベヤ46は、一番コンベヤ45の後方の位置において、二番穀粒を集約するように機体幅方向に延びる二番樋内に配置されている。唐箕47は、揺動選別盤43に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送風する。
また、脱穀部7および選別部8の配設部分の機体左側方には、還元コンベヤ48が設けられている。還元コンベヤ48は、下端部を二番コンベヤ46近傍に位置させて二番コンベヤ46に連設されるとともに、上端部を扱胴41の前端部の近傍に位置させ、前上がりの傾斜状に延設されている。また、還元コンベヤ48の上端部には、扱胴41の前方において左右方向に延びる上コンベヤ49(図4参照)が設けられている。
以上のような構成を備えたコンバイン1は、圃場において、刈取入力軸38を中心としたフィーダ30の昇降動作により刈取部3を地上に対して所望の高さ(収穫作物である穀稈の刈取高さ)となるまで上昇させ、非作業状態から作業状態となり、その状態で走行機体2により走行する。これにより、コンバイン1は、収穫作物を左右の分草体33,33により刈取対象と非刈取対象とに分草し、刈取対象の穀稈の穂先側の着莢部を掻込リール34により掻き込みながら刈刃装置32により穀稈の着莢部を刈り取る。
所望の刈取位置で刈り取られた穀稈の着莢部は、回転駆動する掻込オーガ37により穀物ヘッダ31内に掻き込まれるとともに、穀物ヘッダ31の左右中央部のフィーダハウス35の入口付近に集められ、フィーダハウス35内のコンベヤ36によりフィーダハウス35内を通って扱口7aに投入され、脱穀部7に供給される。
脱穀部7に供給された穀稈の着莢部は、脱穀部7により脱穀処理される。具体的には、脱穀部7に供給された穀稈は、回転する扱胴41により後方に向けて搬送されながら、主に扱胴41と受網42との間で脱穀される。受網42の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は、受網42から漏下する。受網42から漏下しない藁屑等は、扱胴41の搬送作用によって、選別部8の後部に設けられた排塵口から圃場に排出される。
一方、脱穀部7で脱穀処理され受網42から漏下した穀粒は、選別部8により選別処理される。具体的には、扱胴41にて脱穀されて受網42から漏下した脱穀物は、揺動選別盤43による比重選別作用と、唐箕47による風選別作用とにより、精粒等の穀粒(一番物)と、枝梗付き穀粒等の穀粒と藁の混合物(二番物)と、藁屑等とに選別されて取出される。
選別部8における選別により揺動選別盤43から落下した穀粒(一番物)は、一番コンベヤ45とこれに連設された揚穀コンベヤ(図示略)とによってグレンタンク10へ搬送される。二番物は、二番コンベヤ46とこれに連設された還元コンベヤ48および上コンベヤ49とによって扱胴41の脱穀始端側に戻され、再度脱穀処理を受ける。藁屑等は、選別部8の後部に設けられた排塵口から圃場に排出される。
次に、本実施形態に係るコンバイン1の動力伝達構成について、図4を用いて説明する。コンバイン1は、エンジン25の回転動力により、刈取部3、走行部4、脱穀部7、選別部8、および穀粒貯留部9を駆動させる。
エンジン25の出力軸25aの回転動力は、出力軸25aと第1カウンタ軸51との間に設けられた第1ベルト伝動機構52により第1カウンタ軸51に伝達される。一方、エンジン25の回転動力は、オーガクラッチ53を介して、下部排出コンベヤ11等の各種コンベヤを含む穀粒貯留部9に伝達される。なお、エンジン25は、昇降用シリンダ39等を作動させるチャージポンプ54を駆動させる作業機ポンプ軸を有する。
エンジン25の出力軸25aから第1カウンタ軸51に伝達された回転動力は、脱穀部7への動力伝達系と、走行部4、選別部8および刈取部3への動力伝達系とに分岐する。
まず、脱穀部7への動力伝達系に関し、第1カウンタ軸51の回転動力は、第2ベルト伝動機構55により第1ロータ駆動軸56に伝達される。第2ベルト伝動機構55には、第1カウンタ軸51の回転動力を第1ロータ駆動軸56に任意に断続して伝える脱穀クラッチ57が設けられている。
第1ロータ駆動軸56の回転動力は、脱穀変速装置58を介してロータ駆動軸59に伝達され、ロータ駆動軸59の回転動力は、第3ベルト伝動機構60を介して扱胴軸41aに伝達される。脱穀変速装置58は、高速ギヤ列と低速ギヤ列とを有する2段式の構成を備え、コンバイン1が備える制御装置による制御下で所定のアクチュエータにより、処理対象の作物の種類等に応じて適宜変速動作させられる。
このような構成により、エンジン25の駆動力が、脱穀部7へと伝達される。そして、作業クラッチレバー23の操作により、脱穀クラッチ57がON/OFFされ、脱穀部7への動力伝達の断続が行われる。
次に、走行部4への動力伝達系に関し、第1カウンタ軸51の回転動力は、第4ベルト伝動機構61により第2カウンタ軸62に伝達される。第2カウンタ軸62の回転動力は、第5ベルト伝動機構63を介してHST入力軸64に伝達され、HST入力軸64により、走行用HSTおよび旋回用HSTを含むトランスミッション65に入力される。ここで、「HST」とは、油圧ポンプを駆動させることで発生させた油圧を油圧モータで再び回転力に変換する方式を採用した油圧式無段変速装置である。トランスミッション65の駆動力により、走行部4を構成するクローラ部5の駆動スプロケット5aが回転駆動させられる。
また、選別部8への動力伝達系に関し、第2カウンタ軸62の回転動力は、第6ベルト伝動機構66により第1PTO駆動軸67に伝達され、第1PTO駆動軸67の回転動力は、ギヤ等を含む伝動機構68を介して第2PTO駆動軸69に伝達される。第2PTO駆動軸69の回転動力は、所定の伝動機構により、プレファン71を回転させるプレファン軸71a、唐箕47を回転させる唐箕軸47a、および一番コンベヤ45を回転させる一番コンベヤ軸45aにそれぞれ伝達される。また、第2PTO駆動軸69の回転動力は、一番コンベヤ軸45aを介して揺動機構44の揺動軸44aに伝達される。また、一番コンベヤ軸45aの回転動力は、所定の伝動機構により、セカンドファン72を回転させるセカンドファン軸72aに伝達される。
揺動軸44aの回転動力は、所定の伝動機構により二番コンベヤ46を回転させる二番コンベヤ軸46aに伝達される。二番コンベヤ軸46aの回転動力は、所定の伝動機構により還元コンベヤ48を回転させる縦コンベヤ軸48aに伝達され、縦コンベヤ軸48aの回転動力は、所定の伝動機構により上コンベヤ49を回転させる横コンベヤ軸49aに伝達される。
そして、刈取部3への動力伝達系に関し、第2PTO駆動軸69の回転動力は、第7ベルト伝動機構73により刈取入力軸38に伝達される。刈取入力軸38の回転駆動により、フィーダハウス35内のコンベヤ36が作動する。第7ベルト伝動機構73には、第2PTO駆動軸69の回転動力を刈取入力軸38に任意に断続して伝える刈取クラッチ75が設けられている。なお、刈取入力軸38の右側端部には、第7ベルト伝動機構73を構成するプーリ73aが固設されている。
刈取入力軸38の回転動力は、第1チェン伝動機構76によりPF駆動軸77に伝達される。PF駆動軸77の回転動力は、第2チェン伝動機構78を介して掻込オーガ37を回転させるPFオーガ軸37aに伝達される。また、PF駆動軸77の回転動力は、第8ベルト伝動機構80を介して刈刃装置32を駆動させる刈刃駆動軸32aに伝達される。また、PF駆動軸77の回転動力は、第1リールカウンタ軸81および第2リールカウンタ軸82を含む動力伝達機構により、掻込リール34を回転させるリール軸34bに伝達される。
このような構成により、エンジン25の駆動力が、刈取部3へと伝達される。そして、作業クラッチレバー23の操作により、刈取クラッチ75がON/OFFされ、刈取部3への動力伝達の断続が行われる。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るコンバイン1は、簡単な構造により搬送装置としてのフィーダ30における穀稈の詰まりを解消すべく、フィーダ30の下降動作を用いてフィーダ30のコンベヤ36を逆方向へ動作させるコンベヤ逆方向動作機構部を備える。すなわち、コンバイン1は、刈取部3においてフィーダ30を備え、そのフィーダ30が刈取入力軸38を回動軸として回動昇降可能に設けられた構成において、コンベヤ逆方向動作機構部により、フィーダ30の下降動作によってコンベヤ36を逆方向へ動作させる。以下、コンベヤ逆方向動作機構部ついて、図5から図11を用いて説明する。
本実施形態に係るコンバイン1において、フィーダ30は、フィーダハウス35内に、左右方向を軸方向として動力の伝達を受ける刈取入力軸38を駆動軸とするコンベヤ36を有し、コンバイン1の本機に対して刈取入力軸38を中心とした回動により昇降するように設けられている。すなわち、上述のとおり、フィーダ30は、フィーダハウス35と機体フレーム6との間に設けられた昇降用シリンダ39の伸縮動作によって、刈取入力軸38を中心として昇降動作するように設けられている(図5、矢印A1参照)。
フィーダハウス35は、左右の側面部91L,91Rと、下面部92と、上面部93とを有し、これらの面部によって前後両端開口の筒状体を構成している。詳細には、上面部93は、それぞれ傾斜平面状の後側面部93aおよび前側面部93bを有し、側面視で前後中央部を頂部とする屈曲面形状を有する。かかる上面部93の屈曲面形状に対応して、左右の側面部91L,91Rは、上部を山形状とする。
このようなフィーダハウス35においては、その後端部において、左右の側面部91L,91R、下面部92、および上面部93の後側面部93aの各面部の後端部により、略横長矩形状の開口部94が形成されている(図8参照)。また、フィーダハウス35の下面部92の前部に対して、昇降用シリンダ39の前側の端部が軸支部39aにより左右方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。
コンベヤ36は、フィーダハウス35内において左右両側に互いに平行に設けられたチェン95と、左右のチェン95間に架設された複数のプレート96を有するチェンコンベヤである。プレート96は、チェン95の外周側に設けられている。プレート96は、左右のチェン95間における架設方向(左右方向)を長手方向とする細長い部材であり、クランク状あるいは略「U」字状の横断面形状を有する屈曲板状の部材である。プレート96は、ボルト等の締結具によってチェン95に固定されている。本実施形態では、15本のプレート96が、チェン95の長手方向について所定の間隔を隔ててチェン95に取り付けられている。
コンベヤ36は、その駆動軸である刈取入力軸38のフィーダハウス35内の架設部分の左右両側に刈取入力軸38と一体に回転するように設けられたスプロケット97に、チェン95の後側の部分を巻回させる。一方、チェン95の前側の部分は、フィーダハウス35内の前端部に設けられた円筒形状の前ドラム98に巻回されている。前ドラム98は、フィーダハウス35の左右の側面部91L,91R間において左右方向を軸方向とする所定の回転軸であるコンベヤ従動軸98aを中心として回転可能に軸支されている。つまり、チェン95は、スプロケット97および前ドラム98に無端状に巻回されており、刈取入力軸38の回転にともなうスプロケット97の回転により、巻回状態を維持しながらプレート96を移動させるように駆動する。コンベヤ36は、スプロケット97の後端部をフィーダハウス35の後側の開口部94から突出させるとともに、前ドラム98の前端部をフィーダハウス35の前側開口部からわずかに突出させるように設けられている。
このような構成により、コンベヤ36は、刈取入力軸38が左側面視で反時計方向(左回転方向)に回転することで(図6、矢印B1参照)、正転方向に駆動し(図6、矢印B2参照)、掻込オーガ37によりフィーダハウス35内に取り込まれた穀稈をプレート96に引っかけて斜め後上方に向けて搬送する。すなわち、コンベヤ36の正転方向の駆動時においては、スプロケット97および前ドラム98の下側に位置する直線状のチェン95の経路部分(フィーダハウス35の下面部92の直上に位置するチェン95の経路部分)が、前側から後側に移動する往路部分となり、スプロケット97および前ドラム98の上側に位置する直線状のチェン95の経路部分が、後側から前側に移動する復路部分となる。コンベヤ36により搬送された穀稈は、フィーダハウス35から扱口7a(図1参照)を介して脱穀部7に供給される。
刈取入力軸38は、フィーダハウス35の後端部において、左右の側面部91L,91R間に架設されるとともに側面部91L,91Rから左右外側に突出している。刈取入力軸38は、軸受部材等を介してフィーダハウス35に対して相対回動可能に設けられている。そして、刈取入力軸38の両端部は、それぞれフィーダハウス35の後端部の左右両側に設けられた支持ブラケット100(100L,100R)に対して軸受部材等を介して回転自在に支持されている。
支持ブラケット100は、上下方向を長手方向とする部材であり、ベース部分として固定面部101および支持面部102により平面視で略「L」字状をなす屈曲板状の部分を有し、ベース部分の屈曲形状の内側に架設された水平板状の複数のリブ部103を有する。支持ブラケット100は、そのベース部分において略「L」字状の平面視形状における一辺部をなす平板状部分である固定面部101を後側に向けるとともに、同じく略「L」字状の平面視形状における他辺部をなす平板状部分である支持面部102を左右内側に向けた状態で設けられている。
左右の支持ブラケット100L,100Rは、フィーダハウス35の左右両外側において、支持面部102をフィーダハウス35の側面部91L,91Rの外側面に沿わせるとともに、支持面部102同士を互いに対向させ、ベース部分同士が略左右対称となるように配設されている。つまり、左右の支持ブラケット100L,100Rは、それぞれの支持面部102間にフィーダハウス35の後端部を左右両側から挟み込む態様で設けられている。
また、支持ブラケット100は、コンバイン1の本機側に固定された状態で設けられている。具体的には、支持ブラケット100は、コンバイン1の本機側に設けられた左右の支柱105(105L,105R)に固定されている。支柱105は、コンバイン1の本機の機枠を構成する部材であり、脱穀部7の前方において走行機体2上の左右両側の2箇所に立設されている。左側の支柱105Lの上部の前面側に、左側の支持ブラケット100Lが固定され、右側の支柱105Rの上部の前面側に、右側の支持ブラケット100Rが固定されている。
支持ブラケット100は、その固定面部101を前側から貫通する複数のボルト等の締結部材106により、固定面部101を支柱105の前面に接触させた状態で支柱105に固定されている。本実施形態では、各支持ブラケット100は、上下方向に所定の間隔を隔てて配設された4本の締結部材106により支柱105に固定されている。
このように、フィーダ30は、コンバイン1の本機側の構成である支柱105に固定された支持ブラケット100に対して左右方向を軸方向として昇降回動可能に支持されている。すなわち、フィーダ30は、その後端部を左右の支持ブラケット100L,100Rにより左右から挟持された態様で、刈取入力軸38を回動軸として本機側に対して昇降回動するように設けられている。
また、左側の支持ブラケット100Lの上部の前方には、フィーダハウス35の回動角より刈高さ(本機に対する刈取部3の高さ)の検出を行う刈取位置センサ107が設けられている。刈取位置センサ107は、支持ブラケット100Lの固定面部101の前方に設けられたセンサ支持ステー108に取り付けられており、本機側に支持されている。センサ支持ステー108は、支持ブラケット100Lを本機側に固定する4本の締結部材106のうち上側の2本の締結部材106をそれぞれ貫通させる筒状のスリーブ体106aを介して上記2本の締結部材106により固定支持されている。
刈取位置センサ107は、左右方向を軸方向として回動可能に設けられ前方に突出した検出片107aを有する。一方、フィーダハウス35の左側の側面部91Lには、検出片107aに作用する棒状の検出用ピン109が突設されている。検出用ピン109は、検出片107aの上側に位置し、フィーダ30の昇降動作における所定の動作範囲内で検出片107aに作用して検出片107aを回動させる。このような構成により、刈取位置センサ107は、フィーダ30の昇降動作において検出用ピン109の作用を受ける検出片107aの回動量に基づいて刈高さを検出する。
以上のような構成を備えたコンバイン1は、上記のとおりフィーダ30の下降動作を用いてフィーダ30のコンベヤ36を逆方向へ動作させるコンベヤ逆方向動作機構部として、フィーダ30の下降動作中に刈取入力軸38の回転を規制するロック機構110を備える。すなわち、フィーダ30がその昇降動作の下端位置から上昇した状態において、ロック機構110により刈取入力軸38の回動が規制され、刈取入力軸38の回動が規制された状態でフィーダ30が下降することで、コンベヤ36がフィーダハウス35に対して相対的に逆方向に動作する。
ロック機構110によれば、詳細には次のような作用が得られる。刈取入力軸38は、上述のとおり左右の支持ブラケット100を介してコンバイン1の本機側に支持されるとともに、フィーダハウス35に対しては相対回動可能に設けられている。また、後述のとおりロック機構110を構成する部材である歯車120および爪部材130は、いずれも支持ブラケット100Lを介して本機側に設けられている。
このため、ロック機構110により刈取入力軸38の回動が規制された状態で、フィーダ30が刈取入力軸38を回動中心として下降回動すると、そのフィーダ30の下降回動量分、固定状態の刈取入力軸38は、強制的にフィーダハウス35に対して相対的に回動する。つまり、ロック機構110によりロック状態となった刈取入力軸38は、本機側に対しては固定状態となり、この状態でフィーダ30が本機側に対して下降することで、刈取入力軸38を軸として下降回動するフィーダハウス35に対して刈取入力軸38は相対回動することになる。
ここでの下降回動するフィーダハウス35(図6、矢印C1参照)に対する刈取入力軸38の相対的な回動の回動方向は、左側面視で時計方向(右回転方向)であり、コンベヤ36の正転方向駆動時の回転方向の逆方向(図6、矢印C2参照)となる。したがって、フィーダ30の下降回動動作において、フィーダハウス35側を固定側として見た場合、フィーダハウス35の下降回動量分、刈取入力軸38がコンベヤ36を逆転方向に動作させる方向に回動し、コンベヤ36が逆方向に動作することになる。
したがって、ロック機構110としては、上述のような刈取入力軸38についてのロック作用が得られる構成であればよい。すなわち、ロック機構110としては、本機側に支持された刈取入力軸38がフィーダハウス35に対して相対回動する構成において、本機側に対するフィーダハウス35の昇降回動に干渉することなく(昇降回動を許容しながら)、刈取入力軸38の回転を規制し、いわば刈取入力軸38を本機側に対してロック状態(回転不能状態)とする作用をなす構成であればよい。以下、本実施形態に係るロック機構110の具体的な構成について説明する。
図5から図8に示すように、ロック機構110は、フィーダハウス35の左右側方のうち、コンバイン1の本機の左右方向の外側となる左側の側方に設けられている。すなわち、本実施形態では、キャビン16の左側方にフィーダ30が設けられており、フィーダハウス35の左側方が、コンバイン1の本機の左右方向の外側となり、フィーダハウス35の後端部の左側方に、ロック機構110が設けられている。
ロック機構110は、刈取入力軸38に固設された第1係合部材としての歯車120と、歯車120に係合する爪部材130とを有する。そして、ロック機構110は、刈取入力軸38の回転方向を、コンベヤ36を逆転させる回転方向(以下「逆転方向」という。)に制限するラチェット機構として構成されている。
歯車120は、刈取入力軸38のフィーダハウス35内からの左方への突出部分に固定されている。歯車120は、刈取入力軸38を貫通させる円環状の板状部材であり、その内周側の部分である本体部分の外周側に、複数の歯121を有する。歯121は、歯車120の回転軸方向視で略三角形状をなす山型形状を有する。歯車120の周方向に隣り合う歯121間に、歯車120の回転軸方向視で略「V」字状をなす係合凹部122が形成される。
歯車120は、刈取入力軸38に固定された状態で設けられ、刈取入力軸38と一体に回転する。具体的には、刈取入力軸38の左端部には、円板状の拡径部分であるフランジ部38aが設けられている。フランジ部38aは、刈取入力軸38の軸本体部に対して一体の部分である。歯車120は、フランジ部38aに対して左右内側(右側)に重なった状態で、固定ボルト123によりフランジ部38aに固定されている。本実施形態では、歯車120は、フランジ部38aの周方向に等間隔を隔てた6箇所で固定ボルト123により固定されている。固定ボルト123は、フランジ部38aおよび歯車120の本体部分を刈取入力軸38の軸方向に沿って貫通し、ナット等により締結され、歯車120をフランジ部38aに固定させている。
爪部材130は、コンバイン1の本機側に支持された状態で設けられており、歯車120に係合することで刈取入力軸38の回転を規制する。爪部材130は、フィーダハウス35の左側方において、歯車120の前方の位置に設けられている。爪部材130は、所定の形状部分を有する板状の部材であり、板厚方向を左右方向として、回動可能に設けられている。爪部材130は、歯車120と略同じ板厚を有し、歯車120に係合可能なように、左右方向の位置を歯車120と略同じとする位置に設けられている(図7参照)
爪部材130は、左側の支持ブラケット100Lに対して回動可能に支持された状態で設けられている。つまり、爪部材130は、支持ブラケット100Lを介してコンバイン1の本機側に支持されている。このため、支持ブラケット100Lの前側には、爪部材130を支持する部分である爪支持部104が突設されている。爪部材130は、支持ブラケット100Lの爪支持部104に、左右方向を軸方向とする支軸131により、左右方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。
爪部材130は、支軸131による支持部分であって支軸131を貫通させる支持基部132と、支持基部132から上方に突出した爪本体部133とを有する。支持基部132は、支軸131の周囲に張り出した形状を有し、支持基部132の上側に爪本体部133が設けられている。爪本体部133は、支持基部132上側から後側に向けて屈曲した形状を有し、その先端部に、歯車120が位置する後方側に向けて鋭角状をなす先鋭係合部134を有する。爪部材130は、先鋭係合部134を歯車120の係合凹部122に嵌合させることで、歯車120に係合する。先鋭係合部134は、係合凹部122に合うように係合凹部122の略「V」字状の凹形状に対応した外形を有する。
このような構成により、爪部材130は、左側面視で時計方向(右回転方向)に回動することで、先鋭係合部134を、歯車120において前側に位置する係合凹部122に嵌合させ、歯車120に係合する。一方、歯車120に係合した状態の爪部材130が左側面視で反時計方向(左回転方向)に回動することで、爪部材130の歯車120に対する係合が解除される。
爪部材130は、バネ140により、歯車120に係合する方向、つまり左側面視で右回転方向(以下「係合方向」という。)に付勢されている。バネ140は、引張コイルバネであり、爪部材130に対して爪部材130を係合方向に引っ張る作用を与える。バネ140は、爪部材130に対して後下側(図10において右下側)に設けられており、爪部材130の後側の部分を下方に引っ張ることで、弾性力により爪部材130を係合方向に付勢する。
具体的には、バネ140は、その一端側である上端側のフック部140aを、爪部材130の支軸131による支持部分の後側(図10において右側)の部位を貫通する係止ピン141に係止させている。爪部材130を貫通する係止ピン141の右側(図10において奥側)への突出部分に、バネ140の上端側のフック部140aが引っ掛けられている。
一方、バネ140の他端側である下端側のフック部140bは、支持ブラケット100Lに固定された支持ステー142に係止されている。支持ステー142は、所定の屈曲形状を有する屈曲板状の部材であり、平板状の固定基部142aと、固定基部142aの下縁部から固定基部142aに対して直角状に屈曲した支持板部142bとを有する。
支持ステー142は、固定基部142aを支持ブラケット100Lに対して左側から重ねた状態で、固定基部142aを貫通する固定ボルト143により、前後2箇所で支持ブラケット100Lに固定されている。支持ステー142は、支持ブラケット100Lにおいて、爪部材130を支持する爪支持部104の下方の部位、詳細には爪部材130と歯車120の係合部位の直下方の部位となる下端部に固定されている。
このように支持ブラケット100Lの下端部に固定された支持ステー142において、支持板部142bは、その上側の板面を上側(やや斜め前上側)に向けた状態となる。バネ140は、その下側のフック部140bを支持板部142bに形成された係止孔142cに貫通させた状態で、支持ステー142に係止支持されている。
また、爪部材130の支軸131を中心とする回動動作は、爪部材130に連結された操作ワイヤ145を介して操作される。操作ワイヤ145の一端側は、連結部材146を介して爪部材130に連結されている。連結部材146は、側面視で略矩形板状の外形をなす長手状の部材であり、その上端部を、爪部材130の支軸131による支持部分の前側(図10において左側)の部位を貫通する係止ピン147に連結させている。爪部材130を貫通する係止ピン147の右側(図10において奥側)への突出部分に、連結部材146の上端部が連結されている。係止ピン147は、連結部材146においてその長手方向に沿って形成された長孔146aを貫通している。これにより、連結部材146は、係止ピン147に対して長孔146aの長手方向に沿って相対移動可能に設けられている。一方、連結部材146の下端部に、操作ワイヤ145の一端部が連結されている。
操作ワイヤ145は、支持ステー142の支持板部142bに固定支持された管状のワイヤ支持部材148を貫通するとともにフレキシブルな被覆チューブ149により被覆された状態で延設されている。ワイヤ支持部材148は、支持板部142bにおけるバネ140用の係止孔142cの前方の部位にて支持板部142bを垂直状に貫通した態様でナット部材による締結作用等によって支持板部142bに固定支持されている。操作ワイヤ145の他端側は、例えば運転部15に設けられた所定の操作具によって操作されるように、所定のリンク機構を構成する操作部材等を介して所定の操作具に連結されている。
爪部材130において、爪部材130にバネ140を係止させるための係止ピン141と、爪部材130に操作ワイヤ145を連結させるための係止ピン147とは、支軸131による支持位置を間に挟んで前後略反対側に位置する。つまり、バネ140用の係止ピン141は、支軸131の後方に位置し、操作ワイヤ145用の係止ピン147は、支軸131の前方に位置する。
また、爪部材130と支持ステー142の支持板部142bとの間において、バネ140の架設方向(伸縮方向)と、操作ワイヤ145の延設方向とは互いに略平行となっている。そして、爪部材130は、操作ワイヤ145による下方への引張り作用、およびバネ140による下方への引張り作用により、支軸131を中心として前後にシーソーのごとく回動する。
また、支持ステー142においては、固定基部142aの前後両側に、固定基部142aに対して直角状に屈曲した前板面部142dおよび後板面部142eが設けられている。前板面部142dおよび後板面部142eにより、これらの間に位置するバネ140および操作ワイヤ145が保護されている。
ロック機構110の動作について、図10および図11を用いて説明する。通常、図10に示すように、ロック機構110は作動せず、爪部材130は、歯車120に係合する回動位置(以下「係合位置」という。)から係合方向と反対方向(以下「反係合方向」という。)に移動した非係合位置に位置する。つまり、ロック機構110は非作動状態となり、刈取入力軸38は非ロック状態となっている。爪部材130が非係合位置にある状態は、バネ140の係合方向への付勢作用に抗して爪部材130を反係合方向に引っ張る操作ワイヤ145の引張り作用により保持される。
そして、操作ワイヤ145を操作する所定の操作具の操作により、ロック機構110を作動状態とするための操作が行われることで、操作ワイヤ145による爪部材130の引張り作用が解除される。これにより、図11に示すように、爪部材130は、バネ140の付勢力により係合方向に回動し(図11、矢印D1参照)、爪部材130が係合位置に達し、先鋭係合部134が歯車120の前側に位置する係合凹部122に嵌合し、爪部材130が歯車120に係合した状態となる。つまり、ロック機構110が作動状態となり、刈取入力軸38がロック状態となる。
ロック機構110の作動状態から、所定の操作具の操作によってロック機構110を非作動状態とするための操作が行われることで、操作ワイヤ145が引っ張られる。これにより、爪部材130がバネ140の付勢力に抗して反係合方向に回動し(図10、矢印D2参照)、爪部材130の歯車120に対する係合が解除され、爪部材130が非係合位置に達し、ロック機構110は非作動状態、つまり通常状態に戻る。
なお、操作ワイヤ145の爪部材130に対する連結構造にいては、係止ピン147を連結部材146の長孔146aに係合させた構成により、操作ワイヤ145の作用方向について遊びが設けられている。これにより、爪部材130の歯車120に対する意図せぬ係合等が防止され、ロック機構110の確実な作動状態・非作動状態の切換え操作が可能となっている。
また、歯車120と爪部材130の係合構造に関し、ロック機構110は、爪部材130を歯車120に係合させた状態(作動状態)において、歯車120の、コンベヤ36の逆転方向に対応する回転方向、つまり左側面視で右回転方向の回転が許容されるラチェット式の構造となっている。すなわち、歯車120の各歯121は、ロック機構110の作動状態において歯車120の回転方向が刈取入力軸38の逆転方向の回転に対応した方向に制限されるように、歯車120の周方向について、歯車120の半径方向に対してコンベヤ36の正転方向側(左側面視で左回転方向側)に傾いている。
したがって、ロック機構110によれば、例えばフィーダハウス35内における穀稈の詰まり作用等によって、フィーダハウス35の昇降動作にともなって刈取入力軸38がフィーダハウス35と一体的に回動する状態が生じた場合において、ロック機構110が作動状態となることで、次のような作用が得られる。
すなわち、フィーダ30の下降動作時においては、ロック機構110により歯車120のコンベヤ36の正転方向に対応する方向の回動が規制され、刈取入力軸38のフィーダハウス35との一体的な回動が規制される。つまり、フィーダ30の下降動作時においては、刈取入力軸38がフィーダハウス35に対して相対回動し、上述のとおりフィーダ30の下降動作時におけるコンベヤ36の逆方向の動作状態が得られる。一方、フィーダ30の上昇動作時においては、ロック機構110により歯車120のコンベヤ36の逆転方向に対応する方向の回動が許容され、刈取入力軸38がフィーダハウス35と一体的に回動する。
以上のように、本実施形態に係るロック機構110は、刈取入力軸38に軸支された歯車120と、歯車120に係合する方向(係合方向)に付勢された爪部材130とを有し、刈取入力軸38の回転方向を、コンベヤ36を逆転させる回転方向に制限するラチェット機構である。そして、ロック機構110の動作は、操作ワイヤ145を介して、所定の操作具により操作される。
本実施形態では、ロック機構110の操作具として、運転部15に設けられた、脱穀クラッチ57および刈取クラッチ75(図4参照)を入り切り操作する作業クラッチレバー23が採用されている。つまり、本実施形態のコンバイン1は、刈取部3および脱穀部7の操作を行うための作業操作具である作業クラッチレバー23の操作により、ロック機構110の作動・非作動が操作されるように構成されている。したがって、操作ワイヤ145の他端側は、作業クラッチレバー23によって操作されるように、爪部材130と作業クラッチレバー23との間に設けられた所定のリンク機構等を構成する操作部材等を介して作業クラッチレバー23に連結されている。
ロック機構110の操作具としての作業クラッチレバー23の操作構造態様について、図12および図13を用いて説明する。図12に示すように、作業クラッチレバー23は、所定の形状を有する棒状のレバー本体部23aと、レバー本体部23aの上端部に設けられた略球状の把持部23bとを有する。
作業クラッチレバー23は、運転座席17の左側に設けられたレバーコラム24に設けられたレバーガイド部150から上側に突出した状態で設けられている。レバーガイド部150は、作業クラッチレバー23のレバー本体部23aを貫通させた状態で、所定の操作内容に対応した複数の操作位置を停止位置とする所定の操作移動経路に沿う作業クラッチレバー23の移動をガイドする。なお、レバー本体部23aは、レバーコラム24から上方かつ運転座席17側である右側に傾倒状に延出するように所定の屈曲形状を有する。
レバーガイド部150は、レバーコラム24の上面部24aに形成されたガイド開口部151と、ガイド開口部151の下方に設けられたガイドプレート152とを有する。
ガイド開口部151は、作業クラッチレバー23の操作移動経路に沿う所定の開口形状を有する。ガイドプレート152は、平面視で矩形状の外形を有する。ガイドプレート152には、平面視でガイド開口部151の開口範囲内に含まれるようにガイド開口部151の開口寸法よりも小さく、しかもガイド開口部151の開口形状に沿った開口形状を有するプレート開口部152aが形成されている。プレート開口部152aは、弾性変形可能な板状の被覆部材153により覆われている。被覆部材153は、作業クラッチレバー23のレバー本体部23aを貫通させる開口部を有する。この被覆部材153の開口部は、作業クラッチレバー23の移動経路に沿うスリット状の部分と、作業クラッチレバー23の各操作位置における略円形状等の幅広の部分とからなる。
レバーガイド部150は、作業クラッチレバー23の操作移動経路を構成する経路部分として、左右方向に沿う第1の移動経路部161と、第1の移動経路部161の右端部から前方に延びる第2の移動経路部162と、第1の移動経路部161の左端部から後方に延びる第3の移動経路部163とを有する。レバーガイド部150は、これらの移動経路部により、全体として略クランク形状をなすように構成されている。なお、図12においては、便宜上、各移動経路部をハッチング部分として模式的に示している。
そして、作業クラッチレバー23は、レバーガイド部150における第1の移動経路部161と第3の移動経路部163との角部分、第1の移動経路部161と第2の移動経路部162の角部分、第2の移動経路部162の前端部分、および第3の移動経路部163の後端部分を、それぞれ所定の操作内容に対応した操作位置とする。具体的には次のとおりである。
作業クラッチレバー23は、その操作位置として、第1の移動経路部161と第3の移動経路部163との角部分に対応する停止操作位置P0と、第1の移動経路部161と第2の移動経路部162の角部分に対応する第1操作位置P1と、第2の移動経路部162の前端部分に対応する第2操作位置P2と、第3の移動経路部163の後端部分に対応する第3操作位置P3との4箇所の操作位置を有する。
停止操作位置P0は、刈取部3および脱穀部7への動力の伝達を切状態とするとともにロック機構110を非作動状態とする操作位置である。すなわち、作業クラッチレバー23が停止操作位置P0にある状態(図13(a)参照)では、刈取クラッチ75および脱穀クラッチ57(図4参照)はOFFの状態となり、ロック機構110においては爪部材130が非係合位置に位置し、刈取入力軸38は非ロック状態となる。つまり、作業クラッチレバー23を停止操作位置P0に位置させた状態は、いわばニュートラル状態である。本実施形態では、レバーコラム24の表面において、停止操作位置P0の近傍に、「OFF」の文字を表示した停止表示部170が設けられている。
第1操作位置P1は、停止操作位置P0から第1の方向である右方向に所定量移動した位置であって、脱穀部7への動力の伝達を入状態とする操作位置である。すなわち、作業クラッチレバー23が第1操作位置P1にある状態(図13(b)参照)では、刈取クラッチ75はOFFの状態、脱穀クラッチ57はONの状態、ロック機構110は非作動状態となり、脱穀部7が稼動状態となる。本実施形態では、レバーコラム24の表面において、第1操作位置P1の近傍に、「脱こく」の文字を表示した脱穀表示部171が設けられている。
第2操作位置P2は、第1操作位置P1から所定の方向である前方に所定量移動した位置であって、脱穀部7への動力の伝達の入状態を保持しながら、刈取部3への動力の伝達を入状態とする操作位置である。すなわち、作業クラッチレバー23が第2操作位置P2にある状態(図13(c)参照)では、刈取クラッチ75および脱穀クラッチ57はONの状態、ロック機構110は非作動状態となり、刈取部3および脱穀部7が稼動状態となる。本実施形態では、レバーコラム24の表面において、第2操作位置P2の近傍に、「刈取」の文字を表示した刈取表示部172が設けられている。
第3操作位置P3は、停止操作位置P0から第1の方向と異なる第2の方向である方に所定量移動した位置であって、ロック機構110を作動状態とする操作位置である。すなわち、作業クラッチレバー23が第3操作位置P3にある状態(図13(d)参照)では、刈取クラッチ75および脱穀クラッチ57はOFFの状態となり、ロック機構110においては爪部材130が係合位置に位置し、刈取入力軸38はロック状態となる。
したがって、作業クラッチレバー23が停止操作位置P0から第3操作位置P3に移動操作されることで、所定のリンク機構等を介して、爪部材130を非係合位置に保持していた操作ワイヤ145による爪部材130の引張り作用が解除される。これにより、バネ140の付勢力によって爪部材130が係合方向に回動して歯車120に係合し、刈取入力軸38がロック状態となる。
つまり、操作ワイヤ145および所定のリンク機構を含む爪部材130と作業クラッチレバー23との連結構造は、作業クラッチレバー23の停止操作位置P0から第3操作位置P3へのストローク動作により、爪部材130に対するバネ140の付勢力に抗した操作ワイヤ145の引張りを解除するように構成されている。逆に言うと、操作ワイヤ145を含む上記の連結構造は、作業クラッチレバー23の第3操作位置P3から停止操作位置P0へのストローク動作により、バネ140の付勢力に抗して爪部材130を係合位置から非係合位置に移動させ保持する操作ワイヤ145の引張り作用が得られるように構成されている。本実施形態では、レバーコラム24の表面において、第3操作位置P3の近傍に、「刈取逆転」の文字を表示した刈取逆転表示部173が設けられている。
以上のような作業クラッチレバー23の操作構造を備えたコンバイン1の作業態様の一例について、図13を用いて説明する。図13(a)に示すように、作業クラッチレバー23が停止操作位置P0にある状態、つまり脱穀部7、刈取部3、およびロック機構110のいずれもがOFFの状態である非作業状態から、作業開始に際し、図13(b)に示すように、作業クラッチレバー23が、第1操作位置P1に向けて右方に移動操作される(矢印X1参照)。これにより、まず、脱穀クラッチ57がONとなり、脱穀部7が稼動を開始し、扱胴41等が回り始める。
次に、図13(c)に示すように、作業クラッチレバー23を第2操作位置P2に向けて前方に移動操作することで(矢印X2参照)、脱穀部7が稼動した状態で、刈取クラッチ75がONとなり、刈取部3が稼動を開始し、フィーダ30のコンベヤ36や掻込オーガ37等が回り始める。これにより、コンバイン1が作業状態となり、刈取部3による刈取作業や脱穀部7による脱穀作業等が行われる。
そして、コンバイン1による作業中に、フィーダ30内で穀稈の詰まりが生じた場合等、図13(d)に示すように、作業クラッチレバー23を第2操作位置P2から第3操作位置P3に移動操作することで、刈取部3および脱穀部7の稼動が停止するとともに、ロック機構110が作動状態となる。
ここで、作業クラッチレバー23の第2操作位置P2から第3操作位置P3までの移動操作においては、作業クラッチレバー23は、第1操作位置P1および停止操作位置P0を経るように、第2の移動経路部162、第1の移動経路部161および第3の移動経路部163からなるクランク状の経路に沿って移動する。すなわち、作業クラッチレバー23は、コンバイン1の作業状態から、刈取クラッチ75をOFFとする第2操作位置P2から第1操作位置P1への後方操作(矢印X3参照)、脱穀クラッチ57をOFFとする第1操作位置P1から停止操作位置P0への左方操作(矢印X4参照)、および刈取逆転をONとする停止操作位置P0から第3操作位置P3への後方操作(矢印X5参照)の三段階の操作を経て、第3操作位置P3に移動する。作業クラッチレバー23が停止操作位置P0にあるニュートラル状態を基準とした場合、ニュートラル状態から作業クラッチレバー23の後方操作(矢印X5参照)により、ロック機構110が作動状態となる。
作業クラッチレバー23が第3操作位置P3に移動操作されてロック機構110が作動状態となることで、爪部材130および歯車120を介して刈取入力軸38がロック状態となる。かかる状態において運転部15の所定の操作部の操作によってフィーダ30を下降動作させることにより、上述のとおりフィーダ30においてコンベヤ36が相対的に逆方向に動作することになる。これにより、フィーダ30内における穀稈の詰まりが解消されることになる。
ここで、フィーダ30内の穀稈の詰まりを解消するに際し、フィーダ30の下降動作は、あらためてフィーダ30を上昇させることで、必要に応じて複数回行われてもよい。そして、ロック機構110の作動状態においてフィーダ30を上昇動作させる際、穀稈の詰まり作用等によって刈取入力軸38がフィーダハウス35とともに回動する状態であっても、ロック機構110のラチェット構造により刈取入力軸38の逆転方向の回動は許容される。つまり、フィーダ30の下降動作時においてはコンベヤ36を逆方向に動作させるためにロック機構110により刈取入力軸38の回動を規制する必要があるが、昇降用シリンダ39によるフィーダ30の上昇動作時においては、昇降用シリンダ39に対する過負荷が回避されるように、フィーダハウス35内の穀稈の詰まり状態等に関わらず、刈取入力軸38の逆転方向の回動が許容されている。
フィーダ30内における穀稈の詰まりが解消された後、再度作業クラッチレバー23を第1操作位置P1、第2操作位置P2と移動操作することで、コンバイン1が作業状態となり、作業が再開される。
以上のような構成を備えた本実施形態のコンバイン1によれば、刈取部3において刈り取られた穀稈を脱穀部7へと搬送・供給するフィーダ30を備えた構成において、構造の複雑化を招くことなく、簡単な構造により、フィーダ30におけるコンベヤ36の逆転方向への動作を可能とし、フィーダ30における穀稈の詰まりを解消することができる。
すなわち、本実施形態のコンバイン1は、フィーダ30の下降動作時にロック機構110によって刈取入力軸38をロックすることで、フィーダ30の下降動作を直接的に利用して相対的にコンベヤ36を逆方向に回転させる構成を備えている。つまり、刈取部3や脱穀部7等の作業部を駆動させる伝動系とは無関係の動力でコンベヤ36を逆方向に回転させる構成を備えている。
これにより、コンベヤの逆転用の伝動機構をエンジンから刈取部への動力伝達経路内に設けた従来構成との比較において、エンジン25から刈取部3への動力伝達構成を特に変更することなく、コンベヤ36を逆方向に動作させるための構成を安価でシンプルな構成で実現することが可能となる。また、本実施形態に係るロック機構110は、フィーダ30の自重による下降動作を用いてコンベヤ36を逆方向に動作させるものであるため、コンバイン1において昇降用シリンダ39等を動作させる油圧装置についても特に変更する必要がなく、また、コンベヤ36を逆方向に動作させるために余分な動力を使う必要もない。
また、本実施形態に係るロック機構110によれば、エンジン25から刈取部3への動力伝達経路とは無関係にロック機構110を構成することができる。このため、エンジン25から刈取部3への動力伝達経路においてコンベヤ36の正・逆転用の動力伝達の相互の干渉を避けるための構造を設ける必要がないので、構造が複雑となったり装置構成が大型となったりすることなく、コンベヤ36を逆方向に動作させるための構成をなすことが可能となる。
また、本実施形態に係るロック機構110は、刈取入力軸38に固設された歯車120と、支持ブラケット100を介してコンバイン1の本機側に設けられた爪部材130とを主な構成部材として構成されている。このような構成によれば、ロック機構110を極めてシンプルな構成により実現することができ、コンバイン1の既存の構成に対して容易に設けることが可能となる。
また、本実施形態に係るロック機構110は、歯車120と爪部材130とにより、ロック機構110の作動状態においてコンベヤ36を逆転させる回転方向のみ刈取入力軸38の回転を許容するラチェット機構として構成されている。
このような構成によれば、例えばフィーダハウス35内における穀稈の詰まり作用等によって刈取入力軸38がフィーダハウス35と一体的に回動する状態が生じた場合においても、フィーダ30の下降動作時における刈取入力軸38の供回りを防止することができ、フィーダ30の下降動作によるコンベヤ36の逆転作用を確実に得ることができる。また、ロック機構110が作動状態でもフィーダ30の上昇動作にともなう刈取入力軸38の回動が許容されることから、フィーダ30の上昇動作時において昇降用シリンダ39に対して過大な負荷がかかることを防止することができる。これにより、フィーダ30内の穀稈の詰まりを除去するに際し、複数回、フィーダ30の下降動作によってコンベヤ36を逆方向に動作させる場合において、フィーダ30の昇降動作を円滑に行うことが可能となる。
また、本実施形態に係るロック機構110においては、爪部材130を歯車120に対する係合方向についてバネ140により付勢するとともに、爪部材130をバネ140に抗して操作ワイヤ145により引っ張ることで歯車120に対する係合解除状態を保持する構成が採用されている。このような構成によれば、爪部材130の係合を解除してロック機構110を非作動状態とする際に、爪部材130を操作ワイヤ145により引っ張ることで、確実に爪部材130の係合を解除させることができる。
すなわち、仮に、バネの付勢力により爪部材130の係合を解除させる構成を採用した場合、バネの状態等によっては、作業クラッチレバー23の操作がバネを介して爪部材130に十分に伝わらなかったり、バネの作用によって爪部材130が歯車120に噛み込んだ状態のままとなったりするといった不具合が考えられる。そこで、爪部材130の係合を解除させる操作部材として引張り用の操作ワイヤ145を採用することで、作業クラッチレバー23の操作を確実に爪部材130に伝達することができ、作業クラッチレバー23の操作により確実にロック機構110を非作動状態とすることが可能となる。
また、本実施形態に係るロック機構110は、フィーダ30においてフィーダハウス35に対して機体左右外側である左側の側方に設けられている。このような構成によれば、ロック機構110の配設部位が、コンバイン1の機体左外側部分となるので、ロック機構110に対するアクセス性を向上させることができる。これにより、ロック機構110について良好なメンテナンス性を得ることができる。したがって、例えば本実施形態に係るコンバイン1とはキャビン16のフィーダ30の配置が左右逆の構成を想定した場合、ロック機構110は、フィーダハウス35に対して機体の左右外側となる右側の側方に設けられることが好ましい。
また、本実施形態に係るコンバイン1は、運転部15に設けられた作業クラッチレバー23によりロック機構110の動作を操作するように構成されている。このような構成によれば、運転部15内で運転作業中のオペレータは、運転座席17から離席することなくロック機構110を操作することができるため、穀稈の詰まりを除去するに際して良好な操作性を得ることができる。
また、ロック機構110を作業クラッチレバー23により操作する構成を採用することにより、運転部15に設けられた既存の操作具をロック機構110の操作具として共用することができるので、ロック機構110を操作するための操作部を別途設ける必要がなり、運転部15に配設される各種操作部の構成を簡略なものとすることができる。
さらに、例えばロック機構110が作業クラッチレバー23とは別途設けられた操作具により操作される構成の場合、刈取クラッチ75とロック機構110とが互いに独立して操作されることになるので、刈取クラッチ75がONの状態でロック機構110が作動状態となることを回避するための構成が必要となる。この点、ロック機構110を作業クラッチレバー23により操作する構成を採用することにより、刈取クラッチ75とロック機構110の操作具の共通化を図ることができ、その操作具において刈取クラッチ75の操作とロック機構110の操作とを互いに別操作とすることで、刈取クラッチ75がONの状態でロック機構110が作動状態となることを確実に回避することができる。
また、作業クラッチレバー23によりロック機構110を操作可能とした構成において、本実施形態では、作業クラッチレバー23が、その操作位置として停止操作位置P0、第1操作位置P1、第2操作位置P2、および第3操作位置P3を有するとともに、これらの操作位置を経路端部または経路角部に有するクランク状の操作移動経路が構成されている。このような構成によれば、作業クラッチレバー23の操作移動経路の形状が牽制手段となり、刈取作業中に誤ってロック機構110を作動させることを可及的に防止することが可能となる。これにより、コンベヤ36やロック機構110等の各部の損傷を防止することが可能となる。
具体的には、作業クラッチレバー23の移動操作に関し、停止操作位置P0を起点として作業部を駆動させる移動方向(本実施形態では右方向)とは異なる方向(本実施形態では方向)への移動操作が、ロック機構110を作動させるための操作とされている。このため、作業クラッチレバー23の操作位置により作業部が動作している状態から、誤操作等による作業クラッチレバー23の不意な移動によりロック機構110が作動することを避けることができる。
すなわち、仮に、作業クラッチレバー23の移動操作について、作業部を駆動させる移動操作と、ロック機構110を作動させるための移動操作とが共通の直線に沿う互いに連続した移動経路の操作となる構成の場合、例えば作業クラッチレバー23の誤操作等によりロック機構110を意図せず急に作動させてしまうことが考えられる。そこで、作業クラッチレバー23のレバーガイド部150は、ロック機構110についての移動経路部として、ニュートラル状態となる停止操作位置P0を介して第1の移動経路部161とは異なる方向に設けられた第3の移動経路部163を有する。このため、ロック機構110を作動させる際に作業部がOFFの状態を確実に得ることができるとともに、ロック機構110の意図せぬ作動を避けることができ、高い安全性を得ることができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るコンバインは、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態では、フィーダ30を昇降動作させる昇降用シリンダ39は、フィーダ30を上昇させる際に油圧を作用させる単動式の油圧シリンダであるが、これに限定されず、昇降用シリンダ39は復動式のシリンダであってもよい。ただし、フィーダ30の下降動作を用いてコンベヤ36を逆方向に動作させる構成においては、余分な動力を不要として構造の簡略化を図る観点からは、昇降用シリンダ39は上述した実施形態のように単動式であることが好ましい。
また、上述した実施形態では、ロック機構110を操作するための操作具として刈取部3および脱穀部7の操作を行うための作業クラッチレバー23が用いられているが、これに限定されるものではない。ロック機構110を操作するための操作具としては、刈取部3および脱穀部7のいずれか一方の操作を行うための操作具であったり、ロック機構110の操作用に別途設けた操作具であったりしてもよい。ただし、既存の構成を利用して構成の簡略化を図ったり、刈取部3等の作業部とロック機構110との同時的な動作状態を回避したりする観点からは、ロック機構110の操作具は、刈取部3および脱穀部7の少なくともいずれかの操作を行うための作業操作具であることが好ましい。
また、上述した実施形態では、作業クラッチレバー23のレバーガイド部150は、第1の移動経路部161、第2の移動経路部162、および第3の移動経路部163により全体として略クランク形状をなすように構成されているが、これに限定されるものではない。レバーガイド部150において、停止操作位置P0から第3操作位置P3までの第3の移動経路部163が沿う方向(第2の方向)は、停止操作位置P0から第1操作位置P1までの第1の移動経路部161が沿う方向(第1の方向)とは異なる方向であればよい。したがって、例えば、第3の移動経路部163が停止操作位置P0から方に向けて設けられ、レバーガイド部150が各移動経路部により全体として略「U」字状をなすような構成であってもよい。
1 コンバイン
2 走行機体
3 刈取部
6 機体フレーム
7 脱穀部
23 作業クラッチレバー(作業操作具)
30 フィーダ(搬送装置)
35 フィーダハウス(ハウジング)
36 コンベヤ
38 刈取入力軸
57 脱穀クラッチ
75 刈取クラッチ
110 ロック機構
120 歯車(第1係合部材)
130 爪部材(第2係合部材)
161 第1の移動経路部
162 第2の移動経路部
163 第3の移動経路部
P0 停止操作位置
P1 第1操作位置
P2 第2操作位置
P3 第3操作位置

Claims (5)

  1. 刈取部にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部へと供給する搬送装置を備えたコンバインであって、
    前記搬送装置は、ハウジング内に、前記ハウジングに対して相対回動可能に設けられ左右方向を軸方向として動力の伝達を受ける入力軸を駆動軸とするコンベヤを有し、コンバインの本機に対して前記入力軸を中心とした回動により昇降するように設けられたものであり、
    前記搬送装置の下降動作中に前記入力軸の回転を規制するロック機構を備える
    ことを特徴とするコンバイン。
  2. 前記ロック機構は、
    前記入力軸の前記ハウジング内からの突出部分に固定された第1係合部材と、
    前記本機側に支持された状態で設けられており、前記第1係合部材に係合することで前記入力軸の回転を規制する第2係合部材と、を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
  3. 前記ロック機構は、前記第1係合部材を、前記入力軸に軸支された歯車とし、前記第2係合部材を、前記歯車に係合する方向に付勢された爪部材とし、前記入力軸の回転方向を、前記コンベヤを逆転させる回転方向に制限するラチェット機構である
    ことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
  4. 前記ロック機構は、前記ハウジングの左右側方のうち、前記本機の左右方向の外側となる側の側方に設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバイン。
  5. 前記刈取部および前記脱穀部の少なくともいずれかの操作を行うための作業操作具の操作により、前記ロック機構の作動・非作動が操作されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。
JP2017028202A 2017-02-17 2017-02-17 コンバイン Active JP6619371B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017028202A JP6619371B2 (ja) 2017-02-17 2017-02-17 コンバイン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017028202A JP6619371B2 (ja) 2017-02-17 2017-02-17 コンバイン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018130095A JP2018130095A (ja) 2018-08-23
JP6619371B2 true JP6619371B2 (ja) 2019-12-11

Family

ID=63247193

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017028202A Active JP6619371B2 (ja) 2017-02-17 2017-02-17 コンバイン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6619371B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5346429A (en) * 1993-02-24 1994-09-13 Case Corporation Feeder assembly for a combine
JP3434969B2 (ja) * 1996-04-26 2003-08-11 株式会社クボタ 全稈投入型コンバイン
JP6215249B2 (ja) * 2015-03-25 2017-10-18 ヤンマー株式会社 コンバイン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018130095A (ja) 2018-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2015045631A1 (ja) 作業機、及び、コンバイン
JP6666086B2 (ja) コンバイン
JP4241654B2 (ja) コンバインの伝動構造
JP2018164410A (ja) コンバイン
JP2007166978A (ja) コンバイン
JP5460298B2 (ja) コンバイン
JP6619371B2 (ja) コンバイン
JP6619377B2 (ja) コンバイン
JP6893158B2 (ja) コンバイン
JP2009022203A (ja) コンバイン
JP6837535B2 (ja) コンバイン
JP5355241B2 (ja) 走行車両
JP2009112264A (ja) コンバイン
JP7337040B2 (ja) コンバイン
JP5814862B2 (ja) コンバイン
JP2011167094A (ja) コンバイン
JP2008263909A (ja) コンバイン
WO2015178100A1 (ja) コンバイン
JP2587496Y2 (ja) コンバインの排藁搬送駆動機構
JP5340617B2 (ja) コンバイン
JP2006262871A (ja) コンバインの伝動構造
JP2004298002A (ja) コンバイン
JP2000004645A (ja) コンバイン
JP2009219375A (ja) コンバイン
JP2010068714A (ja) コンバイン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191114

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6619371

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350