JP6619339B2 - ポリープ再発 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2013年8月30日に出願の米国特許仮出願第61/872,613号(その開示の全体がすべての目的のためにここに参照により組み入れられる。)に対する優先権を主張する。
発明の背景
[0002]大腸癌(CRC)は、肺癌及び乳癌に次いで世界中で3番目に多い癌であり、すべての大腸癌のほぼ60%は、より発展した地域で発生する。2013年に米国で140000以上の新症例が診断されたと推定される(American Cancer Society:Cancer Facts and Figures 2013年。Atlanta、GA:American Cancer Society、2013年)。大腸癌を発症する大多数の人は、リスク因子が分かっていない。大腸癌の正確な原因は不明であるが、年齢、個人歴及び腺腫の存在などの因子によって、この疾患を発症するリスクが増加する。
[0003]CRCを発症するリスクは、年齢によっても増加する。この疾患は50歳を超える人に最も多く、CRCに罹る可能性は10年ごとに増加する。しかし、大腸癌は、若い人も発症することがある。
[0004]調査によると、卵巣、子宮又は乳癌の病歴を有する女性は、大腸癌を発症するリスクが若干高いことがわかっている。大腸癌を既に起こしたことがある人は、特に最初の疾患が60歳になる前に診断された場合は、その疾患を二度発症することがある。さらに、結腸の慢性炎症状態(例えば、潰瘍性大腸炎又はクローン病を含む炎症性腸疾患)を有する人は、CRCを発症するリスクがより高い。
[0005]大腸癌は、非悪性前駆病変又は腺腫性ポリープ(腺腫とも呼ばれる)が関与する症例で主に発症すると考えられている。ある特定の時点で、腺腫は粘膜下組織に侵入して悪性化することがある。それによって、局所的(ステージI)から転移した(ステージIV)癌に進行し得る。結腸壁に限定される浸潤癌(ステージI及びII)は、しばしば手術で治療可能である。しかし、治療せずに放置すると、癌は所属リンパ節に拡散することがあり(ステージIII)、このステージで患者のおよそ48%が5年より長く生存すると診断される。身体の他の部位に転移した癌(ステージIV)は通常治療可能でなく、およそ7%が5年より長く生存する。
[0006]大腸ポリープは、結腸及び/又は直腸の内壁上の非癌性腫瘍であることがある。大腸ポリープは50歳を超える人でかなり多く、腺腫によって大腸癌の発症のリスクが増加する。腺腫が非癌性ポリープであるとしても、それらは結腸及び直腸の癌の発症の前駆体と考えられている。
[0007]腺腫が癌に発達するか又は既に発達している可能性は、そのサイズに部分的に依存する。通常、より大きなポリープは悪性であるか又は悪性化する可能性がより高い。さらに、腺腫の悪性度は、ポリープ中の細胞の組織構造に関係がある。ポリープ中の細胞は、癌性(悪性)になる傾向に関しては様々である。複数のポリープがあると、CRCの発症の可能性が増加することが分かっている。例えば、複数の非癌性ポリープを有する患者は、最終的に悪性化し得るさらなるポリープを将来発症する可能性がより高い。
[0008]ほとんどの腺腫性ポリープは散発性であり、したがって受け継いだ遺伝子変異と関連しないと考えられる。それにもかかわらず、一親等の親族が1cmを超えるサイズの結腸ポリープを有する場合は、1cmを超えるサイズの結腸ポリープを有するリスク又は結腸癌を発症するリスクは2倍大きい。ある研究では、リスクは約4%から8%に増加した。したがって、散発性腺腫においても遺伝因子がある可能性がある。
[0009]大腸癌を診断するための現行の方法では、良性又は前癌性ポリープが癌に進行して悪性化する可能性があるかどうかについて判定することができない。ポリープ組織を正確に結腸癌病期分類する必要性がある。本発明は、これをはじめとする必要性に対し、患者が大腸癌を発症するリスクがあるかどうかについてポリープ試料から判定するための方法を提供することによって応える。
[0010]一実施形態では、本発明は、対象において大腸癌(CRC)を発症するリスクを診断する(例えば、判定する)ための方法であって:
a)対象から採取されたポリープ試料に由来する細胞を溶解して細胞溶解物を形成するステップと、
b)細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルを測定するステップと、
c)対照と比較した、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルに基づいて、対象が大腸癌(CRC)を発症するリスクがあるかどうか示すステップと、
d)ポリープ試料が前癌性である場合は、任意選択で対象を治療剤又はポリープ切除術で治療するステップと、を含む方法を提供する。
[0011]一部の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達分析物は、HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF1R、SHC、CK、AKT、ERK、MEK、RSK、PRAS、RPS6、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
[0012]一部の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の測定された活性化及び/又は発現レベルが対照と比較して高い場合に、対象はCRCを発症するリスクがある。
[0013]一部の実施形態では、ステップ(b)は、シグナル伝達分析物の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の任意の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルを測定することを含む。
[0014]一部の実施形態では、ステップ(b)は近接二重検出アッセイで実施される。一部の態様では、近接二重検出アッセイは、協調的酵素増強反応免疫アッセイ(Collaborative Enzyme Enhanced Reactive Immuno Assay)(CEER)である。
[0015]一部の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化レベルは、そのリン酸化レベルに対応する。一部の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化レベルは、HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF1R、SHC、CK、AKT、ERK、MEK、RSK、PRAS、RPS6、及びそれらの組み合わせのリン酸化レベルに対応する。一部の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化レベルは、PI3K複合体のレベルに対応する。
[0016]一部の実施形態では、対照は健常者に由来する。一部の実施形態では、対照はCRC対象に由来する。一部の実施形態では、対照は非腺腫性組織に由来する。
[0017]一部の実施形態では、ポリープ試料はポリープ切除術に由来する。一部の実施形態では、ポリープ試料は腺腫性ポリープである。一部の実施形態では、ポリープ切除術は結腸及び/又は直腸のポリープ切除術である。
[0018]一部の実施形態では、上記方法は、ステップ(b)で決定された少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルに基づいて、大腸癌の治療のための適切な抗癌剤を選択することをさらに含む。一部の態様では、抗癌剤は、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、増殖抑制剤、化学療法剤、及びそれらの組み合わせの群から選択される。一部の実施形態では、上記方法はポリープ切除術を推奨することをさらに含む。
[0019]本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から当業者に明らかになる。
図1A〜1C(FIGS.1A〜1C)は、HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF1R、SHC、CK、Akt、Erk、Mek、Rsk、PRAS及びRPS6などの活性化した分析物及び分析物の総量のレベルを測定するために使用されたCEERアッセイの例示的な実施形態を示す。図1Aは、本発明の近接二重検出アッセイフォーマット(例えば、CEER)の一実施形態を示し、それは、結合した各標的タンパク質ごとの以降のチャネリング事象のために酵素で連結される2つの追加の検出抗体の共局在性に依存する。図1Bは、ニトロセルロースでコーティングしたガラススライドなどの基板にプリントされた捕捉抗体の空間配置を示す。捕捉抗体は、1mg/ml及び0.5mg/mlの連続希釈濃度により3反復でプリントされる。図1Cは、スライドの上で複数の分析物及び試料を分析することができることを示す。 図2A〜2D(FIGS.2A〜2D)は、正常な患者試料、A群のポリープ試料及びB群のポリープ試料における活性化した分析物のレベルを示す。図2AではpHER1レベル;図2BではpHER2レベル;図2CではpHER3レベル;図2DではpPI3Kレベルを示す。 図2E〜2H(FIGS.2E〜2H)は、正常な患者試料、A群のポリープ試料及びB群のポリープ試料における活性化した分析物のレベルを示す。図2EではpAKTレベル;図2FではpERKレベル;図2GではpMEKレベル;図2HではpRSKレベルを示す。 図3A〜3B(FIGS.3A〜3B)は、A群(図3A)及びB群(図3B)のポリープ試料における活性化した分析物のレベルを示す。B群の試料は、A群の試料と比較して高いレベルのpHER3を有する。
発明の詳細な説明
I.イントロダクション
[0023]本発明は、ポリープ試料における分析物の活性化及び/又は発現レベルを測定することによってCRCを患者が発症するリスクを予測するためのアッセイ及び方法を提供する。上記方法は、in vitroの方法であるのが好ましい。本発明は、大腸癌の治療のための適切な抗癌剤を選択するためのアッセイ及び方法も提供する。特定の実施形態では、上記方法は、ポリープ試料に由来する細胞における特定の組み合わせのシグナル伝達分析物の活性化状態又はレベルの検出に依存する。したがって、本明細書に記載される方法は、癌の初期の対象において、例えば前癌状態のポリープ又は腺腫の対象においてCRCを診断するのに特に有用である。
[0024]実施例1は、前癌性ポリープが、正常な対照及び非癌性ポリープと比較して高いレベルの、活性化(リン酸化)した分析物(例えば、HER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、MEK、RSK、及びそれらの組み合わせ)を有することを実証する。
II.定義
[0025]用語「癌」は、異常な細胞の無制御の増殖を特徴とする疾患のクラスのあらゆるメンバーを含むものとする。この用語は、悪性、良性、軟組織又は固形と特徴づけられようがすべての既知の癌及び新生物状態、並びに転移前後の癌を含むすべての段階及びグレードの癌を含む。異なる型の癌の例には:消化器及び胃腸の癌、例えば、大腸癌、胃癌(例えば腹部の癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、胃腸カルチノイド腫瘍、結腸癌、直腸癌、肛門癌、胆管癌、小腸癌、及び食道癌;乳癌;肺癌(例えば非小細胞肺癌(NSCLC));胆嚢癌;肝癌;膵癌;虫垂癌;前立腺癌、卵巣癌;腎臓癌(例えば腎細胞癌);中枢神経系の癌;皮膚癌;リンパ腫;神経膠腫;絨毛癌;頭頚部癌;骨原性肉腫;及び血液癌が含まれる(但し、それらに限定されない)。本明細書において、「腫瘍」は1つ又は複数の癌性細胞を含む。
[0026]用語「結腸癌病期分類」には、American Joint Committee on Cancerが提供するTNM(腫瘍/リンパ節/転移)系及びより広いステージI〜IVグルーピングが含まれる。ステージ0又はTは、粘膜に限定される結腸腫瘍に相当する。ステージI又はT1は、粘膜下組織に浸潤する結腸腫瘍に相当する。ステージI又はT2は、固有筋層に浸潤する結腸腫瘍に相当する。ステージII−A又はT3は、漿膜下層に又はそれを越えて浸潤するが、他の器官を巻き込まない結腸腫瘍に相当する。ステージII−B又はT4は、結腸腫瘍が隣接器官に浸潤するか又は臓側腹膜を穿孔することを示す。ステージIII−A又はT1−2 N1は、1〜3個の所属リンパ節への結腸腫瘍転移に相当する。ステージIII−B又はT3−4 N2は、4個以上の所属リンパ節への結腸腫瘍転移に相当する。ステージIV又は任意のT、任意のN及びM1は、遠隔転移の存在に相当する。
[0027]用語「分析物(analyte)」には、その存在、量(発現レベル)、活性化状態及び/又は同一性が決定される目的の任意の分子、通常はポリペプチドなどの巨大分子が含まれる。
[0028]用語「シグナル伝達分子」又は「シグナルトランスデューサ」には、細胞の中での順序良く連続した生化学反応を通常含む、細胞外のシグナル又は刺激を細胞が応答に変換する過程を実行するタンパク質及び他の分子が含まれる。シグナル伝達分子の例には:受容体チロシンキナーゼ、例えば、EGFR(例えば、EGFR/HER1/ErbB1、HER2/Neu/ErbB2、HER3/ErbB3、HER4/ErbB4)、VEGFR1/FLT1、VEGFR2/FLK1/KDR、VEGFR3/FLT4、FLT3/FLK2、PDGFR(例えば、PDGFRA、PDGFRB)、c−KIT/SCFR、INSR(インスリン受容体)、IGF−IR、IGF−IIR、IRR(インスリン受容体関連受容体)、CSF−1R、FGFR1〜4、HGFR1〜2、CCK4、TRK A〜C、c−MET、RON、EPHA1〜8、EPHB1〜6、AXL、MER、TYRO3、TIE1〜2、TEK、RYK、DDR1〜2、RET、c−ROS、V−カドヘリン、LTK(白血球チロシンキナーゼ)、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)、ROR1〜2、MUSK、AATYK1〜3、及びRTK106;トランケートされた形態の受容体チロシンキナーゼ、例えば、アミノ末端細胞外ドメインの欠落しているトランケートされたHER2受容体(例えば、p95ErbB2(p95m)、p110、p95c、p95nなど)、アミノ末端細胞外ドメインの欠落しているトランケートされたcMET受容体、及びアミノ末端細胞外ドメインの欠落しているトランケートされたHER3受容体;受容体チロシンキナーゼダイマー(例えば、p95HER2/HER3;p95HER2/HER2;HER1、HER2、HER3又はHER4を有するトランケートされたHER3受容体;HER2/HER2;HER3/HER3;HER2/HER3;HER1/HER2;HER1/HER3;HER2/HER4;HER3/HER4など);非受容体チロシンキナーゼ、例えば、BCR−ABL、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、Ack及びLIMK;チロシンキナーゼシグナル伝達カスケードの構成成分、例えば、AKT(例えば、AKT1、AKT2、AKT3)、MEK(MAP2K1)、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PI3K(例えば、PIK3CA(p110)、PIK3R1(p85))、PDK1、PDK2、ホスファターゼ及びテンシン同族体(PTEN)、SGK3、4E−BP1、P70S6K(例えば、p70 S6キナーゼスプライスバリアントアルファI)、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、RAF、PLA2、MEKK、JNKK、JNK、p38、Shc(p66)、Ras(例えば、K−Ras、N−Ras、H−Ras)、Rho、Rac1、Cdc42、PLC、PKC、p53、サイクリンD1、STAT1、STAT3、ホスファチジルイノシトール4,5−二リン酸(PIP2)、ホスファチジルイノシトール3,4,5−三リン酸(PIP3)、mTOR、BAD、p21、p27、ROCK、IP3、TSP−1、NOS、GSK−3β、RSK1〜3、JNK、c−Jun、Rb、CREB、Ki67、及びパキシリン;核ホルモン受容体、例えば、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、アンドロゲン受容体、糖質コルチコイド受容体、無機質コルチコイド受容体、ビタミンA受容体、ビタミンD受容体、レチノイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、及びオーファン受容体;核内受容体活性化補助因子及びリプレッサー、例えば、それぞれ乳癌1(AIB1)及び核内受容体コリプレッサー1(NCOR)で増幅されるもの;及びそれらの組み合わせが含まれる(但し、それらに限定されない)。
[0029]用語「活性化状態」は、特定のシグナル伝達分子が活性化しているかどうかを指す。同様に、用語「活性化レベル」は、特定のシグナル伝達分子がどの程度活性化しているかを指す。活性化状態は、1つ又は複数のシグナル伝達分子のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体生成状態に通常対応する。活性化状態(括弧で記載される)の非限定的な例には以下のものが含まれる:HER1/EGFR(EGFRvIII、リン酸化(p−)EGFR、EGFR:Shc、ユビキチン化(u−)EGFR、p−EGFRvIII);ErbB2(p−ErbB2、p95HER2(トランケートされたErbB2)、p−p95HER2、ErbB2:Shc、ErbB2:PI3K、ErbB2:EGFR、ErbB2:ErbB3、ErbB2:ErbB4);ErbB3(p−ErbB3、トランケートされたErbB3、ErbB3:PI3K、p−ErbB3:PI3K、ErbB3:Shc);ErbB4(p−ErbB4、ErbB4:Shc);c−Met(p−c−MET、トランケートされたc−MET、c−MET:HGF複合体);AKT1(p−AKT1);AKT2(p−AKT2);AKT3(p−AKT3);PTEN(p−PTEN);P70S6K(p−P70S6K);MEK(p−MEK);ERK1(p−ERK1);ERK2(p−ERK2);PDK1(p−PDK1);PDK2(p−PDK2);SGK3(p−SGK3);4E−BP1(p−4E−BP1);PIK3R1(p−PIK3R1);c−KIT(p−c−KIT);ER(p−ER);IGF−1R(p−IGF−1R、IGF−1R:IRS、IRS:PI3K、p−IRS、IGF−1R:PI3K);INSR(p−INSR);FLT3(p−FLT3);HGFR1(p−HGFR1);HGFR2(p−HGFR2);RET(p−RET);PDGFRA(p−PDGFRA);PDGFRB(p−PDGFRB);VEGFR1(p−VEGFR1、VEGFR1:PLCγ、VEGFR1:Src);VEGFR2(p−VEGFR2、VEGFR2:PLCγ、VEGFR2:Src、VEGFR2:ヘパリン硫酸、VEGFR2:VE−カドヘリン);VEGFR3(p−VEGFR3);FGFR1(p−FGFR1);FGFR2(p−FGFR2);FGFR3(p−FGFR3);FGFR4(p−FGFR4);TIEl(p−TIEl);TIE2(p−TIE2);EPHA(p−EPHA);EPHB(p−EPHB);GSK−3β(p−GSK−3β);NFKB(p−NFKB)、IKB(p−IKB、p−P65:IKB);BAD(p−BAD、BAD:14−3−3);mTOR(p−mTOR);Rsk−1(p−Rsk−1);Jnk(p−Jnk);P38(p−P38);STAT1(p−STAT1);STAT3(p−STAT3);FAK(p−FAK);RB(p−RB);Ki67;p53(p−p53);CREB(p−CREB);c−Jun(p−c−Jun);c−Src(p−c−Src);パキシリン(p−パキシリン);GRB2(p−GRB2)、Shc(p−Shc)、Ras(p−Ras)、GAB1(p−GAB1)、SHP2(p−SHP2)、GRB2(p−GRB2)、CRKL(p−CRKL)、PLCγ(p−PLCγ)、PKC(例えば、p−PKCα、p−PKCβ、p−PKCδ)、アデューシン(p−アデューシン)、RB1(p−RB1)、及びPYK2(p−PYK2)。
[0030]本明細書において、用語「希釈系列」は、特定の試料(例えば細胞溶解物)又は試薬(例えば抗体)の一連の下降濃度を含むものとする。希釈系列は、開始濃度の試料又は試薬の測定済みの量と、希釈剤(例えば希釈バッファー)とを混合して、より低い濃度の試料又は試薬を作製する工程、及び所望の数の連続希釈溶液を得るのに十分な回数この工程を繰り返すことによって通常生成される。試料又は試薬は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、500又は1000倍に連続希釈して、試料又は試薬の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50段階の下降濃度を含む希釈系列を生成することができる。例えば、1mg/mlの開始濃度の捕捉抗体試薬の二倍連続希釈を含む希釈系列は、開始濃度の捕捉抗体のある量と希釈バッファーの等量を混合して0.5mg/ml濃度の捕捉抗体を作製し、この工程を繰り返して0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/ml、0.0325mg/mlなどの捕捉抗体濃度を得ることによって生成することができる。
[0031]本明細書で用いられる用語「優れたダイナミックレンジ」は、わずか1つの細胞又は何千もの細胞中で特定の分析物を検出するアッセイの能力を指す。例えば、本明細書に記載されるイムノアッセイは、捕捉抗体濃度の希釈系列を用いて、約1〜10000個の細胞(例えば、約1、5、10、25、50、75、100、250、500、750、1000、2500、5000、7500又は10000個の細胞)中で目的の特定のシグナル伝達分子を有利に検出するので、優れたダイナミックレンジを有する。
[0032]本明細書で用いられる用語「試料」には、患者から得られる任意の生物検体が含まれる。試料には、結腸ポリープ、直腸ポリープ、全血、血漿、血清、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核細胞)、管洗浄液、腹水、胸水、乳首吸引液、リンパ(例えば、リンパ節の播種性腫瘍細胞)、骨髄穿刺液、唾液、尿、大便(すなわち、糞便)、痰、気管支洗浄液、涙、微細針吸引液(例えば、ランダムな乳輪周囲微細針吸引によって収集されるもの)、任意の他の体液、組織試料(例えば、腫瘍組織)、例えば腫瘍(例えば、針生検)又はリンパ節(例えば、センチネルリンパ節生検)の生検材料、組織試料(例えば、腫瘍組織)、例えばポリープ切除術又は腫瘍の外科切除、及びその細胞抽出物が含まれる(但し、それらに限定されない)。一部の実施形態では、試料は、全血又はその分画構成成分、例えば、血漿、血清又は細胞ペレットである。他の実施形態では、試料は、当技術分野で公知である任意の技術を用いて、全血又はその細胞分画から固形腫瘍の循環細胞を単離することによって得られる。さらに他の実施形態では、試料は、(例えば、大腸癌などの固形腫瘍に由来する)ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織試料である。特定の実施形態では、試料は、大腸癌の対象から得られる凍結組織から調製される腫瘍の溶解物又は抽出物である。好ましい実施形態では、試料はポリープ切除術の後のポリープ試料に由来する細胞溶解物である。
[0033]用語「対象」又は「患者」又は「個体」には一般的にヒトが含まれるが、他の動物、例えば他の霊長類、齧歯動物、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどが含まれてもよい。
[0034]「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、固体支持体、例えばガラス(例えばガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ(例えば、磁気ビーズ、ポリスチレンビーズなど)、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束、又は他の任意の適切な基材に固定化又は拘束される捕捉抗体の異なるセット及び/又は希釈系列を含む。捕捉抗体は、共有結合性又は非共有結合性の相互作用(例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、双極子双極子結合)を介して固体支持体に通常固定化又は拘束される。ある特定の場合には、捕捉抗体は、固体支持体に結合している捕捉剤と相互作用する捕捉タグを含む。本明細書に記載されるアッセイで用いられるアレイは、異なる既知の/アドレス可能な場所の固体支持体の表面に結合している複数の異なる捕捉抗体及び/又は捕捉抗体濃度を一般的に含む。
[0035]用語「捕捉抗体」は、細胞抽出物などの試料中における目的の1つ又は複数の分析物に特異的な(すなわち、それに結合するか、結合されるか又はそれと複合体を形成する)固定化抗体を含むものとする。特定の実施形態では、捕捉抗体は、アレイの固体支持体に拘束される。種々のシグナル伝達分子のいずれかを固体支持体に固定化するための適切な捕捉抗体は、Upstate(Temecula、CA)、Biosource(Camarillo、CA)、Cell Signaling Technologies(Danvers、MA)、R&D Systems(Minneapolis、MN)、Lab Vision(Fremont、CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)、Sigma(St.Louis、MO)及びBD Biosciences(San Jose、CA)から入手可能である。
[0036]本明細書で用いられる用語「検出抗体」には、試料中における目的の1つ又は複数の分析物に特異的な(すなわち、それに結合するか、結合されるか又はそれと複合体を形成する)検出可能な標識を含む抗体が含まれる。本用語は、検出可能な標識を含む別の分子種がその抗体に結合することができる、目的の1つ又は複数の分析物に特異的である抗体も包含する。検出可能な標識の例には、ビオチン/ストレプトアビジン標識、核酸(例えばオリゴヌクレオチド)標識、化学反応性標識、蛍光性標識、酵素標識、放射性標識、及びそれらの組み合わせが含まれる(但し、それらに限定されない)。種々のシグナル伝達分子のいずれかの活性化状態及び/又は総量を検出するための適切な検出抗体は、Upstate(Temecula、CA)、Biosource(Camarillo、CA)、Cell Signaling Technologies(Danvers、MA)、R&D Systems(Minneapolis、MN)、Lab Vision(Fremont、CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)、Sigma(St.Louis、MO)、及びBD Biosciences(San Jose、CA)から入手可能である。非限定的な例として、HER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、RSK、cMET、IGF1R、PRAS、RPS6、c−KIT、c−Src、FLK−1、PDGFRA、PDGFRB、MAPK、PTEN、Raf及びMEKなどのシグナル伝達分子の種々のリン酸化型に対するリン酸化特異抗体がSanta Cruz Biotechnologyから入手可能である。
[0037]用語「活性化状態依存性抗体」には、試料中における目的の1つ又は複数の分析物の特定の活性化状態に特異的な(すなわち、それに結合するか、結合されるか、又はそれと複合体を形成する)検出抗体が含まれる。好ましい実施形態では、活性化状態依存性抗体は、1つ又は複数のシグナル伝達分子などの1つ又は複数の分析物のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体生成状態を検出する。一部の実施形態では、受容体チロシンキナーゼのEGFRファミリーのメンバーのリン酸化及び/又はEGFRファミリーメンバー間のヘテロダイマー複合体の形成は活性化状態依存性抗体を用いて検出される。特定の実施形態では、活性化状態依存性抗体は、以下のシグナル伝達分子の1つ又は複数における1つ又は複数のリン酸化部位を検出するのに有用である(リン酸化部位はヒトタンパク質配列のアミノ酸の位置に対応する):EGFR/HER1/ErbB1(例えばチロシン(Y)1068);ErbB2/HER2(例えばY1248);ErbB3/HER3(例えばY1289);ErbB4/HER4(例えばY1284);c−Met(例えば、Y1003、Y1230、Y1234、Y1235及び/又はY1349);SGK3(例えば、トレオニン(T)256及び/又はセリン(S)422);4E−BP1(例えばT70);ERK1(例えば、T185、Y187、T202及び/又はY204);ERK2(例えば、T185、Y187、T202及び/又はY204);IGFR1(例えば、Y1158、Y1161、Y1162及び/又はY1163);MEK(例えば、S217及び/又はS221);PIK3R1(例えばY688);PDK1(例えばS241);P70S6K(例えば、T229、T389及び/又はS421);PTEN(例えばS380);AKT1(例えば、S473及び/又はT308);AKT2(例えば、S474及び/又はT309);AKT3(例えば、S472及び/又はT305);GSK−3β(例えばS9);NFKB(例えばS536);IKB(例えばS32);BAD(例えば、S112及び/又はS136);mTOR(例えばS2448);Rsk−1(例えば、T357、T359、T573、S221、S380及び/又はS363);JNK(例えば、T183及び/又はY185);P38(例えば、T180及び/又はY182);SHC(例えば、Y239、Y240、Y317、Y349及び/又はY427);STAT3(例えば、Y705及び/又はS727);CK(例えば、S23、S73、S73及び/又はS431)FAK(例えば、Y397、Y576、S722、Y861及び/又はS910);RB(例えば、S249、T252、S612及び/又はS780);RB1(例えばS780);アデューシン(例えば、S662及び/又はS724);PYK2(例えば、Y402及び/又はY881);PKCα(例えばS657);PKCα/β(例えば、T368及び/又はT641);PKCδ(例えばT505);p53(例えば、S392及び/又はS20);CREB(例えばS133);c−Jun(例えばS63);c−Src(例えばY416);並びにパキシリン(例えば、Y31及び/又はY118)。
[0038]用語「活性化状態非依存性抗体」には、それらの活性化状態に関係なく試料中における目的の1つ又は複数の分析物に特異的な(すなわち、それに結合するか、結合されるか、又はそれと複合体を形成する)検出抗体が含まれる。例えば、活性化状態非依存性抗体は、1つ又は複数のシグナル伝達分子などの1つ又は複数の分析物のリン酸化体と非リン酸化体の両方を検出することができる。
[0039]用語「インキュベートする」は、「接触させる」及び「曝露する」と同義に用いられ、特に明記しない限り、いかなる特定の時間又は温度の必要条件も意味しない。
[0040]「受容体チロシンキナーゼ」又は「RTK」には、膜貫通ドメイン及びチロシンキナーゼモチーフを特徴とする56(56)個のタンパク質のファミリーが含まれる。RTKは細胞シグナル伝達で機能し、増殖、分化、接着、移動及びアポトーシスを調節するシグナルを伝える。受容体チロシンキナーゼの変異による活性化及び/又は過剰発現は、細胞を形質転換し、癌の発達で重要な役割をしばしば演ずる。RTKは、種々の分子標的剤、例えば、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、スニチニブ、イマチニブ、ニロチニブなどの標的になっている。1つのよく特徴づけられたシグナル伝達経路はMAPキナーゼ経路であり、その経路は、細胞において上皮成長因子(EGF)からのシグナルを、細胞増殖の促進のために伝達する役割を担う。
[0041]本明細書で用いられる用語「無病生存」及び「DFS」には、特定の疾患(例えば癌)について、患者が疾患の徴候なしに(例えば、既知の再発なしに)生存する治療後の時間の長さが含まれる。ある特定の実施形態では、無病生存は特定の療法の有効性を評価するために使用される臨床パラメーターであり、それは通常1年又は5年の単位で測定される。
[0042]用語「無増悪生存」には、特定の疾患(例えば癌)について、患者がその疾患のさらなる症状なしにその疾患を抱えて生きている、治療中及び治療後の時間の長さが含まれる。
[0043]用語「全生存」には、癌などの疾患と診断されたか又はそれを治療された後の既定の期間生存する患者を記載する臨床エンドポイントが含まれる。
III.実施形態の説明
[0044]本発明は、大腸癌の発症が疑われる患者に由来する前癌細胞におけるシグナル伝達経路の構成要素のステータス(例えば、発現及び/又は活性化レベル)を検出するための組成物及び方法を提供する。ある特定の態様では、本発明は、1つ又は複数の脱調節されたシグナル伝達経路を下方制御又は遮断するための適切な療法を選択するための組成物及び方法も提供する。したがって、本発明の特定の実施形態は、所与の患者の前癌ポリープ試料における全体の及び活性化したシグナル伝達タンパク質のコレクション(collection)によって提供される特定の分子サイン(molecular signature)に基づいて、パーソナライズされた療法の設計を容易にするために使用することができる。
[0045]特定の態様では、本発明は、疾患の初期における大腸癌の診断を可能にする分子マーカー(分析物)を提供する。具体的な実施形態では、HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF1R、SHC、CK、AKT、ERK、MEK、PRSK、PRAS、RPS6、及びそれらの組み合わせなどの少なくとも1つ又は複数の分析物の発現及び/又は活性化(リン酸化)のレベルを測定することは、大腸癌を発症する個体のリスクを予測するために及び/又はその治療のための適切な抗癌剤を選択するために特に有用である。
[0046]一部の実施形態では、本発明は、対象において大腸癌(CRC)を発症するリスクを診断するための方法であって、
(a)対象から採取されたポリープ試料に由来する細胞を溶解して細胞溶解物を形成するステップと、
(b)細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は(全体の)発現レベルを測定するステップと、
(c)対照と比較した、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルに基づいて、対象がCRCを発症するリスクがあるかどうか示すステップと、を含む方法を提供する。
[0047]一部の実施形態では、本発明は、大腸癌(CRC)を発症する可能性がある対象を識別するための方法であって:
a)対象から採取したポリープ試料から得られる細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルを測定するステップと、
b)対照と比較した、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルに基づいて、対象がCRCを発症する可能性があるかどうか示すステップと、
c)ポリープ試料が前癌性であるかどうか判定するステップ、及び任意選択で対象を治療剤又はポリープ切除術で治療するステップと、を含む方法を提供する。
[0048]一部の実施形態では、本発明は、大腸癌(CRC)を発症する可能性がある対象を識別するための方法であって、対象から採取したポリープ試料から得られる細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルを測定するステップを含み、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の測定された活性化及び/又は発現レベルが対照と比較して高い場合に、上記対象はCRCを発症する可能性がある、方法を提供する。
[0049]一部の実施形態では、本発明は、対象の大腸癌を病期分類するための方法を提供する。特に、上記方法は、癌細胞が結腸壁に限定される局在化した(ステージ0からステージII;TからT3)大腸癌を個体が有する、と判定するのに有用である。
[0050]一部の態様では、上記方法は、CRCを発症するリスクがあると判定された患者の治療のための療法を選択するための方法を提供する。上記方法は、
(a)対象から採取されたポリープ試料に由来する細胞を溶解して細胞溶解物を形成するステップと、
(b)細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は(全体の)発現レベルを測定するステップと、
(c)対照と比較した、少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルに基づいて、対象がCRCを発症するリスクがあるかどうか示すステップと、
(d)ステップ(b)で決定された少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルに基づいて、大腸癌の治療のための適切な抗癌剤を選択するステップと、を含む。
[0051]例えば、対象がCRCを発症するリスクが高く、且つ対象のポリープ試料が高レベルのHER2を発現すると判定される場合は、抗HER2治療剤の投与を推奨することが好適であり得る。
[0052]ある特定の実施形態では、細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は(全体の)発現レベルを測定するステップは、シグナル伝達分析物の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の任意の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルを測定することを含む。一部の実施形態では、シグナル伝達分析物は、HER1、HER2、HER3、IGFR1、PI3K、ERK、cMET、AKT及び/又はMEKシグナル伝達経路の構成要素である。他の実施形態では、分析物には、癌(例えば、大腸癌)で活性化される他の癌経路(cancer pathway)の構成要素が含まれる。一部の実施形態では、試験試料におけるシグナル伝達分析物の、対照に対する相対的な活性化及び/又は発現レベルを解釈するために、アルゴリズムが使用される。
[0053]一部の実施形態では、患者試料における少なくとも1つのシグナル伝達分析物(例えば、HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF1R、SHC、CK、AKT、ERK、MEK、PRSK、PRAS及び/又はRPS6)の活性化及び/又は発現レベルが、対照、例えばCRCを有さないか又はCRCを有するリスクがない個体に由来する試料(例えば、良性ポリープ若しくは粘膜、非癌性ポリープ若しくは粘膜又は非腺腫性ポリープ若しくは粘膜)のそれより高い場合は、患者はCRCを発症するリスクがあると判定される。一部の実施形態では、患者試料における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルが、陽性対照、例えばCRCを有する個体に由来する試料(例えば、腺腫又は悪性ポリープ)のそれに実質的に等しい場合は、患者はCRCを発症するリスクがあると判定される。
[0054]一部の実施形態では、試料における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルが閾値カットオフより低い場合は、患者はCRCを発症するリスクがないことが示される。他の実施形態では、試料における少なくとも1つのシグナル伝達分析物の活性化及び/又は発現レベルが閾値カットオフより高い場合は、患者はCRCを発症するリスクがあることが示される。一部の態様では、閾値カットオフ値は、患者データセット及び当業者に公知である統計解析を使用して決定される。
[0055]本明細書に記載される方法は、少なくとも1つの分析物の活性化及び/又は発現レベルが第1の時点及び第2の(後の)時点の両方からの試料で測定されるように、個体におけるCRCの進行をモニターするために使用することができる。分析物の活性化レベル及び/又は発現の増加は、個体がCRCの後期に進行しつつあることを示す。上記方法は、CRCの治療のために個体が治療剤を受けるべきかどうか判定するために使用することもできる。一部の場合には、治療剤は、患者において活性化するシグナル伝達分析物の1つ又は複数に対するものである。
IV.試料単離
[0056]一部の実施形態では、本明細書に記載される方法における大腸ポリープ組織は、ポリープ切除術によって個体から収集される。ポリープ切除術は大腸ポリープを除去する外科的手技であると、当業者は理解する。通常、結腸鏡を使用して個体の胃腸管内におけるポリープの位置を知り、生検鉗子、スネア、着脱可能なループライゲーション器具などのツールを使用してポリープを安全に摘出し、分析のために回収する。ポリープ切除術の前に、結腸を空にし、完全に清潔にする。
[0057]一部の実施形態では、細胞溶解の前にポリープ組織を冷凍し、−80℃で又は液体窒素で保存する。
[0058]in situでの活性化状態を保つために、シグナル伝達タンパク質(分析物)は、通常、組織試料の単離直後に抽出される。好ましくは、組織試料は96、72、48、24、6又は1時間以内に、より好ましくは30、15又は5分以内に溶解する。シグナルトランスデューサ活性化を復活又は刺激するために、単離細胞は通常約1〜30分、ナノモルからマイクロモル濃度の成長因子とインキュベートされてもよい(例えば、Irishら、Cell、118:217〜228頁(2004)を参照)。刺激性成長因子には、上皮成長因子(EGF)、ヘレグリン(HRG)、TGF−α、PIGF、アンギオポエチン(Ang)、NRG1、PGF、TNF−α、VEGF、PDGF、IGF、FGF、HGF、サイトカインなどが含まれる。単離(例えば、ポリープ切除術による組織生検)の後、当技術分野で公知である任意の技術を使用し、細胞を溶解してシグナル伝達タンパク質を抽出する。細胞溶解は、約1〜360分の間で開始されるのが好ましい。一部の実施形態では、組織(例えば、ポリープ)試料中の細胞を溶解するために、MSD溶解緩衝液(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)及び当業者に公知である他の緩衝液を含む市販されている溶解緩衝液が使用される(但し、それらに限定されない)。一部の場合には、細胞は製造業者の取扱説明書プロトコールによって溶解される。一部の実施形態では、溶解物は使用時まで−80℃で保存される。
V.分析物
[0059]細胞抽出物における発現(例えば総量)レベル及び/又は活性化(例えばリン酸化)レベルについて調べることができるシグナル伝達分子などの分析物の非限定的な例には、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケード構成成分、核ホルモン受容体、核内受容体活性化補助因子、核内受容体リプレッサー、及びそれらの組み合わせが含まれる。
[0060]一実施形態では、本発明の方法は、細胞抽出物における以下の分析物:(1)HER1/EGFR/ErbB1;(2)HER2/ErbB2;(3)p95HER2(トランケートされたHER2);(4)HER3/ErbB3;(5)c−MET;(6)IGF1R;(7)CK;(8)PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1);(9)SHC;(10)AKT;(11)PRAS;(12)RSK;(13)ERK(例えば、Erk1(MAPK3)及び/又はErk2(MAPK1));(14)MEK及びそれらの組み合わせの少なくとも1つ又は複数の発現レベル(例えば総量)及び/又は活性化レベル(例えば、リン酸化又は複合体形成のレベル)を決定するステップを含む。
[0061]特定の一実施形態では、本発明は、以下の分析物:HER1、HER2、HER3、cMET、IGF−1R、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、AKT、ERK(例えば、ERK1(MAPK3)及び/又はERK2(MAPK1))、MEK、RSK、PRAS、RPS6、CK及びSHCの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又は10個の発現レベル(例えば総量)及び/又は活性化レベル(例えば、リン酸化又は複合体形成のレベル)を決定するステップを含む。
[0062]一部の実施形態では、活性化レベルは、HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF−1R、SHC、CK、AKT、ERK、MEK、RSK、PRAS、RPS6及びそれらの組み合わせのリン酸化レベルに対応する。ある特定の他の実施形態では、活性化レベルは、PI3K複合体のレベルに対応する。PI3K複合体の例には、二量体化された受容体チロシンキナーゼ対、PI3K p85サブユニット(例えば、PIK3R1)及びPI3K p110サブユニット(例えば、PIK3CA又はPIK3CBなどのα又はβサブユニット)を含む1つ又は複数の複合体が含まれる(但し、それらに限定されない)。例えば、国際公開第2013/033623号(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)を参照。
[0063]ある特定の実施形態では、本発明は、細胞抽出物における1つ又は複数(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50個又はそれ以上)のさらなる分析物の発現レベル(例えば総量)及び/又は活性化レベル(例えば、リン酸化又は複合体形成のレベル)を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、1つ又は複数(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50個又はそれ以上)のさらなる分析物は、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケード構成成分、核ホルモン受容体、核内受容体活性化補助因子、核内受容体リプレッサー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数のシグナル伝達分子を含む。
[0064]特定の実施形態では、本発明は、細胞抽出物において以下のさらなる分析物:HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、PDK1、PDK2、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、EPH−A、EPH−B、EPH−C、EPH−D、FLT−3、TIE−1、TIE−2、c−FMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON、PIP2、PIP3、p27、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、受容体ダイマー、及びそれらの組み合わせのうちの1つ、若しくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50個若しくはそれ以上の任意の組み合わせの発現レベル(例えば総量)及び/又は活性化レベル(例えば、リン酸化又は複合体形成のレベル)を決定するステップをさらに含む。
[0065]シグナル伝達分子などの分析物の全体の発現及び活性化(例えばリン酸化)レベルは種々の技術のいずれかを用いて決定することができる。ある特定の実施形態では、癌細胞の細胞抽出物などの試料中におけるシグナル伝達分子などの分析物の発現及び/又は活性化(例えばリン酸化)レベル及び/又は状態は、本明細書に記載されるように、単一検出アッセイ又は近接二重検出アッセイ(例えばCEER(商標))などのイムノアッセイで検出される。
VI.単一検出アッセイ
[0066]一部の実施形態では、腫瘍細胞などの細胞の細胞抽出物における目的の1つ又は複数の分析物の発現及び/又は活性化のレベルを検出するためのアッセイは、優れたダイナミックレンジを有する多重、ハイスループット二抗体アッセイである。非限定的な例として、アッセイで用いられる2つの抗体は、(1)目的の特定の分析物に特異的な捕捉抗体、及び(2)分析物の活性化型に特異的な検出抗体(すなわち活性化状態依存性抗体)を含むことができる。活性化状態依存性抗体は、例えば、分析物のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体生成状態を検出することが可能である。あるいは、検出抗体は、細胞抽出物における分析物の総量を検出する活性化状態非依存性抗体を含む。活性化状態非依存性抗体は、分析物の活性化体及び非活性化体の両方を検出することが一般に可能である。
[0067]特定の一実施形態では、目的の分析物の発現又は活性化のレベルを検出するための二抗体アッセイは、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体の1つ又は複数の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成するステップと、
(ii)複数の捕捉された分析物を対応する分析物に特異的な検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成するステップであって、検出抗体は分析物の活性化(例えばリン酸化)レベルを検出するための活性化状態依存性抗体又は分析物の発現レベル(例えば総量)を検出するための活性化状態非依存性抗体を含むステップと、
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅対(signal amplification pair)の第1及び第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを生成するステップと、
(iv)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0068]本明細書に記載される二抗体アッセイは、通常、異なるアドレス可能な場所の固体支持体の表面に結合している複数の異なる捕捉抗体を一定範囲の捕捉抗体濃度で含む抗体ベースのアレイである。本発明における使用に適した固体支持体の例は上述の通りである。
[0069]捕捉抗体及び検出抗体は、分析物との結合(すなわち、捕捉抗体及び検出抗体の両方はそれらの対応するシグナル伝達分子に同時に結合することができる。)に関してそれらの間の競合を最小にするように選択されるのが好ましい。
[0070]一実施形態では、検出抗体は結合対の第1のメンバー(例えばビオチン)を含み、シグナル増幅対の第1のメンバーは結合対の第2のメンバー(例えばストレプトアビジン)を含む。結合対メンバーは、当分野で周知の方法を用いて検出抗体に、又はシグナル増幅対の第1のメンバーに直接又は間接的に結合することができる。ある特定の場合には、シグナル増幅対の第1のメンバーはペルオキシダーゼ(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、カタラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、脱ヨウ素酵素など)であり、シグナル増幅対の第2のメンバーはチラミド試薬(例えばビオチン−チラミド)である。これらの場合には、増幅されるシグナルはチラミド試薬のペルオキシダーゼ酸化によって生成され、過酸化水素(H)の存在下で活性化チラミドを生成する。
[0071]活性化チラミドは直接的に検出されるか、又はシグナル検出試薬、例えば、ストレプトアビジン標識蛍光団、又はストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと発色性試薬との組み合わせの添加により検出される。本発明における使用に適した蛍光団の例には、アレクサフルオール(Alexa Fluor)(登録商標)色素(例えば、アレクサフルオール(登録商標)555)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、オレゴングリーン(Oregon Green)(商標)、ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商標)フルオール(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などが含まれる(但し、それらに限定されない)。ストレプトアビジン標識は、当分野で周知の方法を用いて蛍光団又はペルオキシダーゼに直接又は間接的に結合することができる。本発明における使用に適した発色性試薬の非限定的な例には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、4−クロロ−1−ナフトール(4CN)、及び/又はポルフィリノーゲンが含まれる。
[0072]本明細書に記載される二抗体アッセイを実施するための例示的プロトコールは、米国特許第8,163,499号明細書(その開示の全体はすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)で提供されている。
[0073]二抗体法の別の実施形態では、本発明は、トランケートされた受容体の発現又は活性化のレベルを検出する方法であって、
(i)細胞抽出物を完全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートするステップと、
(ii)細胞抽出物から複数のビーズを除去し、それによって完全長受容体を除去して完全長受容体を欠く細胞抽出物を形成するステップと、
(iii)完全長受容体を欠く細胞抽出物を、完全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1つ又は複数の捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップと、
(iv)複数の捕捉されたトランケートされた受容体を、完全長受容体のICD結合領域に特異的な検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップであって、検出抗体はトランケートされた受容体の活性化(例えばリン酸化)レベルを検出するための活性化状態依存性抗体又はトランケートされた受容体の発現レベル(例えば総量)を検出するための活性化状態非依存性抗体を含むステップと、
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体をシグナル増幅対の第1及び第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを生成するステップと、
(vi)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む方法を提供する。
[0074]ある特定の実施形態では、トランケートされた受容体はp95HER2であり、完全長受容体はHER2である。ある特定の他の実施形態では、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、ビオチンはビーズに結合され、ビオチンは抗体に結合される(例えば、抗体が完全長受容体のECD結合領域に特異的な場合)。
[0075]米国特許第8,163,499号明細書(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)は、目的の受容体の細胞外ドメイン(ECD)に対する抗体でコーティングされたビーズが完全長受容体(例えばHER2)に結合するが、トランケートされた受容体(例えばp95HER2)に結合せず、アッセイからあらゆる完全長受容体を除去することを示す。米国特許第8,163,499号明細書は、トランケートされた受容体(例えばp95HER2)が捕捉抗体に結合すると、次に完全長受容体(例えばHER2)の細胞内ドメイン(ICD)に特異的な検出抗体によって検出することができることを示す。検出抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に直接にコンジュゲートすることができる。検出するシグナルを生成するために、次にチラミドシグナル増幅(tyramide signal amplification)(TSA)を実施することができる。トランケートされた受容体(例えばp95HER2)の発現レベル又は活性化状態は、例えば、その全体の濃度又はそのリン酸化状態、ユビキチン化状態及び/又は複合体生成状態を決定するために調べることができる。
[0076]別の実施形態では、本発明は、(a)固体支持体に拘束される1つ又は複数の捕捉抗体の希釈系列;及び(b)1つ又は複数の検出抗体(例えば、活性化状態非依存性抗体及び/又は活性化状態依存性抗体)を含む、上記の二抗体アッセイを実施するためのキットを提供する。場合によっては、キットは、腫瘍細胞などの細胞における1つ又は複数のシグナル伝達分子の発現レベル及び/又は活性化状態を検出するためにキットを用いる方法の取扱説明書をさらに含むことができる。キットは、本発明の特定の方法の実施に関して上に記載される追加の試薬、例えば、シグナル増幅対の第1及び第2のメンバー、チラミドシグナル増幅試薬、洗浄バッファーなどのいずれかを含むこともできる。
VII.近接二重検出アッセイ
[0077]一部の実施形態では、腫瘍細胞などの細胞の細胞抽出物における目的の1つ又は複数の分析物の発現及び/又は活性化のレベルを検出するためのアッセイは、優れたダイナミックレンジを有する多重、ハイスループット近接(すなわち三抗体)アッセイである。非限定的な例として、近接アッセイで用いられる3つの抗体は、(1)目的の特定の分析物に特異的な捕捉抗体、(2)分析物の活性化型に特異的な検出抗体(すなわち活性化状態依存性抗体)、及び(3)分析物の総量を検出する検出抗体(すなわち活性化状態非依存性抗体)を含むことができる。活性化状態依存性抗体は、例えば分析物のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体生成状態を検出することが可能である一方、活性化状態非依存性抗体は、分析物の総量(すなわち、活性化と非活性化の両方の型)を検出することが可能である。
[0078]特定の一実施形態では、目的の分析物の活性化のレベル又は状態を検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体の1つ又は複数の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成するステップと、
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な1つ又は複数の活性化状態非依存性抗体及び1つ又は複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成するステップであって、活性化状態非依存性抗体は促進部分(facilitating moiety)で標識され、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識され、促進部分は、シグナル増幅対の第1のメンバーにつながってそれと反応する酸化剤を、生成するステップと、
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅対の第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを生成するステップと、
(iv)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0079]別の特定の実施形態では、トランケートされた受容体である目的の分析物の活性化のレベル又は状態を検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を完全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートするステップと、
(ii)細胞抽出物から複数のビーズを除去し、それによって完全長受容体を除去して完全長受容体を欠く細胞抽出物を形成するステップと、
(iii)完全長受容体を欠く細胞抽出物を、完全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1つ又は複数の捕捉抗体とインキュベートして複数の捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップと、
(iv)複数の捕捉されたトランケートされた受容体を、完全長受容体のICD結合領域に特異的な1つ又は複数の活性化状態非依存性抗体及び1つ又は複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップであって、活性化状態非依存性抗体は促進部分で標識され、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識され、促進部分は、シグナル増幅対の第1のメンバーにつながってそれと反応する酸化剤を、生成するステップと、
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体をシグナル増幅対の第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを生成するステップと、
(vi)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0080]ある特定の実施形態では、トランケートされた受容体はp95HER2であり、完全長受容体はHER2である。ある特定の他の実施形態では、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、ビオチンはビーズに結合され、ビオチンは抗体に結合される(例えば、抗体が完全長受容体のECD結合領域に特異的な場合)。
[0081]代替の実施形態では、活性化状態依存性抗体は促進部分で標識されてもよく、活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識されてもよい。
[0082]別の非限定的な例として、近接アッセイで用いられる3つの抗体は、(1)目的の特定の分析物に特異的な捕捉抗体、(2)分析物の総量を検出する第1の検出抗体(すなわち第1の活性化状態非依存性抗体)、及び(3)分析物の総量を検出する第2の検出抗体(すなわち第2の活性化状態非依存性抗体)を含むことができる。好ましい実施形態では、第1及び第2の活性化状態非依存性抗体は分析物上の異なる(例えば別個の)エピトープを認識する。
[0083]特定の一実施形態では、目的の分析物の発現レベルを検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体の1つ又は複数の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成するステップと、
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な1つ又は複数の第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成するステップであって、第1の活性化状態非依存性抗体は促進部分で標識され、第2の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識され、促進部分は、シグナル増幅対の第1のメンバーにつながってそれと反応する酸化剤を、生成するステップと、
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅対の第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを生成するステップと、
(iv)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0084]別の特定の実施形態では、トランケートされた受容体である目的の分析物の発現レベルを検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を完全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートするステップと、
(ii)細胞抽出物から複数のビーズを除去し、それによって完全長受容体を除去して完全長受容体を欠く細胞抽出物を形成するステップと、
(iii)完全長受容体を欠く細胞抽出物を、完全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1つ又は複数の捕捉抗体とインキュベートして複数の捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップと、
(iv)複数の捕捉されたトランケートされた受容体を、完全長受容体のICD結合領域に特異的な1つ又は複数の第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップであって、第1の活性化状態非依存性抗体は促進部分で標識され、第2の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識され、促進部分は、シグナル増幅対の第1のメンバーにつながってそれと反応する酸化剤を、生成するステップと、
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体をシグナル増幅対の第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを生成するステップと、
(vi)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0085]ある特定の実施形態では、トランケートされた受容体はp95HER2であり、完全長受容体はHER2である。ある特定の他の実施形態では、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、ビオチンはビーズに結合され、ビオチンは抗体に結合される(例えば、抗体が完全長受容体のECD結合領域に特異的な場合)。
[0086]代替の実施形態では、第1の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識されてもよく、第2の活性化状態非依存性抗体は促進部分で標識されてもよい。
[0087]本明細書に記載される近接アッセイは、通常、異なるアドレス可能な場所の固体支持体の表面に結合している1つ又は複数の異なる捕捉抗体を一定範囲の捕捉抗体濃度で含む抗体ベースのアレイである。本発明における使用に適した固体支持体の例は上述の通りである。
[0088]捕捉抗体、活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体は、分析物との結合に関してそれらの間の競合を最小にするように(すなわち、すべての抗体はそれらの対応するシグナル伝達分子に同時に結合することができるように)選択されるのが好ましい。
[0089]一部の実施形態では、分析物の1つ又は複数の活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体、又は分析物の1つ又は複数の発現レベルを検出するための第1の活性化状態非依存性抗体は、検出可能な部分をさらに含む。このような場合には、検出可能な部分の量は、細胞抽出物における分析物の1つ又は複数の量と相関する。検出可能な部分の例には、蛍光性標識、化学反応性標識、酵素標識、放射性標識などが含まれる(但し、それらに限定されない)。検出可能な部分は、アレクサフルオール(登録商標)色素(例えばアレクサフルオール(登録商標)647)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、オレゴングリーン(商標)、ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商標)フルオール(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などの蛍光団であるのが好ましい。検出可能な部分は、当分野で周知の方法を用いて活性化状態非依存性抗体に直接的又は間接的に結合することができる。
[0090]特定の場合には、分析物の1つ又は複数の活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体又は分析物の1つ又は複数の発現レベルを検出するための第1の活性化状態非依存性抗体は促進部分で直接的に標識される。促進部分は、当分野で周知の方法を用いて活性化状態非依存性抗体に結合することができる。本発明における使用のための適切な促進部分には、促進部分に近接する(すなわち、空間的に近いか近接する)別の分子につながり(すなわち向けられ)、それと反応する(すなわち、結合するか、結合されるか、又は複合体を形成する)酸化剤を生成することが可能であるいかなる分子も含まれる。促進部分の例には、酵素、例えば、グルコースオキシダーゼ、又は電子受容体として酸素分子(O)を含む酸化/還元反応を触媒する他の任意の酵素、及び光増感剤、例えば、メチレンブルー、ローズベンガル、ポルフィリン、スクアラート色素、フタロシアニンなどが含まれる(但し、それらに限定されない)。酸化剤の非限定的な例には、過酸化水素(H)、一重項酸素、及び酸化/還元反応で酸素原子を渡すか電子を得る他の任意の化合物が含まれる。適切な基質(例えば、グルコース、光など)の存在下において、促進部分(例えば、グルコースオキシダーゼ、光増感剤など)は、その2つの部分が相互に近接する場合にシグナル増幅対の第1のメンバー(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、保護基で保護されるハプテン、酵素阻害剤へのチオエーテル結合によって不活性化される酵素など)につながってそれと反応する酸化剤(例えば、過酸化水素(H)、単一酸素など)を生成するのが好ましい。
[0091]他の特定の場合には、分析物の1つ又は複数の活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体、又は分析物の1つ又は複数の発現レベルを検出するための第1の活性化状態非依存性抗体は、活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドリンカーと促進部分にコンジュゲートされる相補的なオリゴヌクレオチドリンカーとの間のハイブリダイゼーションを介して促進部分で間接的に標識される。オリゴヌクレオチドリンカーは、当分野で周知の方法を用いて促進部分又は活性化状態非依存性抗体に結合することができる。一部の実施形態では、促進部分にコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドリンカーは、活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドリンカーと100%の相補性を有する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドリンカー対は、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下のハイブリダイゼーションの結果、少なくとも1、2、3、4、5、6個、又はそれ以上のミスマッチ領域を含む。当業者は、種々の分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体が、同じオリゴヌクレオチドリンカー又は異なるオリゴヌクレオチドリンカーにコンジュゲートできることを理解するであろう。
[0092]促進部分又は活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドリンカーの長さは、変更することができる。一般に、リンカー配列は、長さが少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75又は100ヌクレオチドであってもよい。一般的に、結合のためにランダムな核酸配列が生成される。非限定的な例として、オリゴヌクレオチドリンカーのライブラリーは、スペーサードメイン、サインドメイン(signature domain)及びコンジュゲーションドメインの3つの異なる連続したドメインを有するように設計することができる。オリゴヌクレオチドリンカーは、それらがコンジュゲートされる促進部分又は活性化状態非依存性抗体の機能を破壊することのない、効率的な結合のために設計されるのが好ましい。
[0093]オリゴヌクレオチドリンカー配列は、種々のアッセイ条件の下でいかなる二次構造の形成も阻止又は最小にするように設計することができる。通常、リンカー中のセグメント毎に融点を注意深くモニターして、アッセイ全体へのそれらの関与を可能にする。一般に、リンカー配列のセグメントの融点の範囲は、1〜10℃である。各リンカー中の3つの異なるドメインの各々を分析するために、規定のイオン濃度の下で融点、二次構造及びヘアピン構造を決定するためのコンピューターアルゴリズム(例えばOLIGO6.0)を使用することができる。合わせた配列全体は、それらの構造特徴づけ及び他のコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドリンカー配列とのそれらの比較のために、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下でそれらが相補的なオリゴヌクレオチドリンカーにハイブリダイズするかどうかについて分析することもできる。
[0094]オリゴヌクレオチドリンカーのスペーサー領域は、オリゴヌクレオチド架橋部位からのコンジュゲーションドメインの十分な分離を提供する。コンジュゲーションドメインは、相補的なオリゴヌクレオチドリンカー配列で標識された分子を、核酸ハイブリダイゼーションを介してコンジュゲーションドメインに連結する働きをする。核酸媒介ハイブリダイゼーションは、抗体−分析物(すなわち抗原)複合体の形成の前又は後に実施することができ、より柔軟なアッセイフォーマットを提供する。多くの直接的な抗体コンジュゲーション方法と異なって、比較的小さなオリゴヌクレオチドを抗体又は他の分子に連結することは、抗体のそれらの標的分析物との特異的親和性に、又はコンジュゲートされる分子の機能に最小限の影響を及ぼす。
[0095]一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドリンカーのサイン配列ドメイン(signature sequence domain)は、複合多重化タンパク質アッセイ(complex multiplexed protein assay)で用いることができる。種々のサイン配列を有するオリゴヌクレオチドリンカーに、複数の抗体をコンジュゲートすることができる。多重イムノアッセイでは、抗体とそれらの抗原との間の交差反応性を多重アッセイフォーマットで検出するために、適当なプローブで標識されたリポーターオリゴヌクレオチド配列を用いることができる。
[0096]オリゴヌクレオチドリンカーは、いくつかの異なる方法を用いて抗体又は他の分子にコンジュゲートすることができる。例えば、オリゴヌクレオチドリンカーは、5’末端又は3’末端のチオール基で合成することができる。チオール基は、還元剤(例えばTCEP−HCl)を用いて脱保護することができ、生じるリンカーは脱塩スピンカラムを用いることによって精製することができる。生じる脱保護されたオリゴヌクレオチドリンカーは、SMCCなどのヘテロ二官能基架橋リンカーを用いて抗体又は他の型のタンパク質の一級アミンにコンジュゲートすることができる。あるいは、オリゴヌクレオチドの上の5’リン酸基は、水溶性カルボジイミドEDCで処理してリン酸エステルを形成し、その後アミン含有分子に結合することができる。ある特定の場合には、3’リボース残基上のジオールは、アルデヒド基に酸化し、その後還元アミノ化を用いて抗体又は他の型のタンパク質のアミン基にコンジュゲートすることができる。特定の他の場合には、オリゴヌクレオチドリンカーは、3’末端又は5’末端のビオチン改変で合成して、ストレプトアビジン標識分子にコンジュゲートすることができる。
[0097]オリゴヌクレオチドリンカーは、Usmanら、J.Am.Chem.Soc.、109:7845頁(1987);Scaringeら、Nucl.Acids Res.、18:5433頁(1990);Wincottら、Nucl.Acids Res.、23:2677〜2684頁(1995);及びWincottら、Methods Mol.Bio.、74:59頁(1997)に記載されるものなどの、当技術分野で公知の種々の技術のいずれかを用いて合成することができる。一般に、オリゴヌクレオチドの合成では、一般的な核酸保護基及び結合基、例えば5’末端のジメトキシトリチル及び3’末端のホスホラミダイトを利用する。オリゴヌクレオチド合成のための適切な試薬、核酸脱保護の方法、及び核酸精製方法は当業者に公知である。
[0098]特定の場合には、分析物の1つ又は複数の活性化レベルを検出するための活性化状態依存性抗体、又は分析物の1つ又は複数の発現レベルを検出するための第2の活性化状態非依存性抗体は、シグナル増幅対の第1のメンバーで直接的に標識される。シグナル増幅対メンバーは、当分野で周知の方法を用いて、活性化レベルを検出するために活性化状態依存性抗体に、又は発現レベルを検出するために第2の活性化状態非依存性抗体に結合することができる。特定の他の場合には、活性化状態依存性抗体又は第2の活性化状態非依存性抗体は、活性化状態依存性抗体又は第2の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされる結合対の第1のメンバーとシグナル増幅対の第1のメンバーにコンジュゲートされる結合対の第2のメンバーとの間の結合を介して、シグナル増幅対の第1のメンバーで間接的に標識される。結合対メンバー(例えばビオチン/ストレプトアビジン)は、当分野で周知の方法を用いて、シグナル増幅対メンバーに、又は活性化状態依存性抗体若しくは第2の活性化状態非依存性抗体に結合することができる。シグナル増幅対のメンバーの例には、ペルオキシダーゼ、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、カタラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、脱ヨウ素酵素などが含まれる(但し、それらに限定されない)。シグナル増幅対メンバーの他の例には、保護基によって保護されるハプテン、及び酵素阻害剤へのチオエーテル結合によって不活性化される酵素が含まれる。
[0099]近接チャネリングの1つの例では、促進部分はグルコースオキシダーゼ(GO)であり、シグナル増幅対の第1のメンバーは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)である。GOをグルコースなどの基質と接触させると、それは酸化剤(すなわち過酸化水素(H))を生成する。HRPがGOに近接するチャネリングの中にある場合、GOによって生成されるHはHRPとつながって複合体化し、HRP−H複合体を形成するが、それは、シグナル増幅対の第2のメンバー(例えば、化学発光基質、例えば、ルミノール若しくはイソルミノール、又は蛍光原基質、例えば、チラミド(例えばビオチン−チラミド)、ホモバニリン酸、又は4−ヒドロキシフェニル酢酸)の存在下で、増幅されたシグナルを生成する。GO及びHRPを近接アッセイで使用する方法は、例えば、Langryら、U.S.Dept. of Energy Report番号UCRL−ID−136797(1999)に記載される。ビオチン−チラミドがシグナル増幅対の第2のメンバーとして用いられる場合は、HRP−H複合体はチラミドを酸化して、近くの求核残基と共有結合する反応性チラミドラジカルを生成する。活性化チラミドは直接的に検出されるか、又はシグナル検出試薬、例えばストレプトアビジン標識蛍光団、又はストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと発色性試薬との組み合わせの添加により検出される。本発明における使用に適した蛍光団の例には、アレクサフルオール(登録商標)色素(例えばアレクサフルオール(登録商標)555)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、オレゴングリーン(商標)、ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商標)フルオール(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などが含まれる(但し、それらに限定されない)。ストレプトアビジン標識は、当分野で周知の方法を用いて蛍光団又はペルオキシダーゼに直接的又は間接的に結合することができる。本発明における使用に適した発色性試薬の非限定的な例には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、4−クロロ−1−ナフトール(4CN)、及び/又はポルフィリノーゲンが含まれる。
[0100]近接チャネリングの別の例では、促進部分は光増感剤であり、シグナル増幅対の第1のメンバーは、特異的結合パートナー(例えば、リガンド、抗体など)へのそのハプテンの結合を阻止する保護基で保護されている複数のハプテンで標識される大きな分子である。例えば、シグナル増幅対のメンバーは、保護されたビオチン、クマリン及び/又はフルオレセイン分子で標識されるデキストラン分子であってもよい。適切な保護基には、フェノキシ、アナリノ(analino−)、オレフィン、チオエーテル及びセレノエーテルの保護基が含まれる(但し、それらに限定されない)。本発明の近接アッセイにおける使用に適した追加の光増感剤及び保護されたハプテン分子は、米国特許第5,807,675号明細書に記載される。光増感剤が光によって励起される場合、それは酸化剤(すなわち一重項酸素)を生成する。ハプテン分子が光増感剤に近接したチャネリングの中にある場合は、光増感剤によって生成される一重項酸素はハプテンの保護基の上のチオエーテルにつながり、それと反応してカルボニル基(ケトン又はアルデヒド)及びスルフィン酸を生じ、ハプテンから保護基を放出する。保護されていないハプテンは、シグナル増幅対の第2のメンバー(例えば、検出可能なシグナルを生成することができる特異的結合パートナー)に特異的に結合するのに利用可能である。例えば、ハプテンがビオチンである場合は、特異的結合パートナーは酵素標識ストレプトアビジンであってもよい。例示的な酵素には、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、HRPなどが含まれる。未結合の試薬を除去するために洗浄した後、検出可能なシグナルは、酵素の検出可能な(例えば、蛍光性、化学発光性、発色性など)基質を加えることによって生成することができ、当技術分野で公知の適切な方法及び装置を用いて検出することができる。あるいは、検出可能なシグナルは、チラミドシグナル増幅を用いて増幅することができ、活性化したチラミドは、上述の通り直接的に検出するか又はシグナル検出試薬の添加により検出することができる。
[0101]近接チャネリングのさらに別の例では、促進部分は光増感剤であり、シグナル増幅対の第1のメンバーは酵素−阻害剤複合体である。酵素及び阻害剤(例えばホスホン酸標識デキストラン)は、切断可能なリンカー(例えばチオエーテル)によって相互に連結される。光増感剤が光によって励起される場合、それは酸化剤(すなわち一重項酸素)を生成する。酵素−阻害剤複合体が光増感剤に近接するチャネリングの中にある場合は、光増感剤によって生成される一重項酸素は切断可能なリンカーにつながってそれと反応し、酵素から阻害剤を放出し、それによって酵素を活性化する。検出可能なシグナルを生成するために酵素基質が添加され、或いは、増幅されたシグナルを生成するために増幅試薬が添加される。
[0102]近接チャネリングのさらなる例では、促進部分はHRPであり、シグナル増幅対の第1のメンバーは上述の通り保護されたハプテン又は酵素−阻害剤複合体であり、保護基はp−アルコキシフェノールを含む。フェニレンジアミン及びHの添加は反応性フェニレンジイミンを生成し、それは、保護されたハプテン又は酵素−阻害剤複合体につながり、p−アルコキシフェノール保護基と反応して露出したハプテン又は反応性酵素を生じる。増幅されたシグナルは、上述のように生成され、検出される(例えば、米国特許第5,532,138号明細書及び第5,445,944号明細書を参照)。
[0103]本明細書に記載される近接アッセイを実施するための例示的プロトコールは米国特許第8,163,499号明細書(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)で提供されている。
[0104]別の実施形態では、本発明は、(a)固体支持体に拘束される1つ又は複数の捕捉抗体の希釈系列;並びに(b)1つ又は複数の検出抗体(例えば、活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体の組み合わせ及び/又は発現レベルを検出するための第1及び第2の活性化状態非依存性抗体の組み合わせ)を含む上記近接アッセイを実施するためのキットを提供する。一部の場合には、キットは、腫瘍細胞などの細胞における1つ又は複数のシグナル伝達分子の発現及び/又は活性化状態を検出するためにキットを用いる方法の取扱説明書をさらに含むことができる。キットは、本発明の特定の方法の実施に関して上で記載されている追加の試薬、例えばシグナル増幅対の第1及び第2のメンバー、チラミドシグナル増幅試薬、促進部分のための基質、洗浄バッファーなどのいずれかを含むこともできる。
[0105]ある特定の実施形態では、1つ又は複数の分析物の活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することは:
(i)細胞から生成した細胞抽出物を捕捉抗体(例えば、1つ又は複数の分析物に特異的な捕捉抗体)の希釈系列とインキュベートして(例えば接触させて)、複数の捕捉された分析物を形成するステップであって、捕捉抗体は(例えば、細胞抽出物に存在する分析物を分析物及び捕捉抗体を含む捕捉された分析物の複合体に変換するために)固体支持体の上に拘束されるステップと、
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体(例えば、1つ又は複数の分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体)及び対応する分析物に特異的な活性化状態依存性抗体(例えば、1つ又は複数の分析物に特異的な活性化状態依存性抗体)を含む検出抗体とインキュベートして(例えば接触させて)、複数の検出可能な捕捉された分析物を形成する(例えば、捕捉された分析物の複合体を捕捉された分析物及び検出抗体を含む検出可能な捕捉された分析物の複合体に変換する)ステップであって、
活性化状態非依存性抗体は促進部分で標識され、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識され、促進部分はシグナル増幅対の第1のメンバーに導かれてそれと反応する酸化剤を生成するステップと、
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅対の第2のメンバーとインキュベートして(例えば接触させて)増幅されたシグナルを生成するステップと、
(iv)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0106]ある特定の他の実施形態では、トランケートされた受容体(例えばp95HER2)である1つ又は複数の分析物の活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することは:
(i)細胞から生成される細胞抽出物を完全長受容体(例えば完全長HER2)の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートする(例えば接触させる)ステップと、
(ii)細胞抽出物から複数のビーズを除去し、それによって完全長受容体(例えば、完全長HER2)を除去して完全長受容体(例えば、完全長HER2)を欠く細胞抽出物を形成する(例えば、細胞抽出物を特異的完全長受容体又は完全長受容体ファミリーを欠く細胞抽出物に変換する)ステップと、
(iii)完全長受容体(例えば、完全長HER2)を欠く細胞抽出物を、完全長受容体(例えば、完全長HER2)の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な複数の捕捉抗体とインキュベートして(例えば接触させて)複数の捕捉されたトランケートされた受容体を形成するステップであって、捕捉抗体は固体支持体の上に拘束される(例えば、完全長受容体を欠く細胞抽出物に存在するトランケートされた受容体をトランケートされた受容体及び捕捉抗体の複合体に変換する)ステップと、
(iv)複数の捕捉されたトランケートされた受容体を、完全長受容体(例えば、完全長HER2)のICD結合領域に特異的な活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして(例えば接触させて)、複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体を形成する(例えば、捕捉されたトランケートされた受容体の複合体を捕捉されたトランケートされた受容体及び検出抗体を含む検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体の複合体に変換する)ステップであって、
活性化状態非依存性抗体は促進部分で標識され、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅対の第1のメンバーで標識され、促進部分は、シグナル増幅対の第1のメンバーに導かれてそれと反応する酸化剤を、生成するステップと、
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケートされた受容体をシグナル増幅対の第2のメンバーとインキュベートして(例えば接触させて)増幅されたシグナルを生成するステップと、
(vi)シグナル増幅対の第1及び第2のメンバーから生成される増幅されたシグナルを検出するステップと、を含む。
[0107]活性化状態非依存性抗体は、促進部分で直接的に標識することができるか、又は例えば、活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドと促進部分にコンジュゲートされる相補的なオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションを介して促進部分で間接的に標識することができる。同様に、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅対の第1のメンバーで直接的に標識することができるか、又は例えば、活性化状態依存性抗体にコンジュゲートされる結合対の第1のメンバーとシグナル増幅対の第1のメンバーにコンジュゲートされる結合対の第2のメンバーとの間の結合を介して、シグナル増幅対の第1のメンバーで間接的に標識することができる。ある特定の場合には、結合対の第1のメンバーはビオチンであり、結合対の第2のメンバーはストレプトアビジン又はニュートラアビジンなどのアビジンである。
[0108]一部の実施形態では、促進部分は例えばグルコースオキシダーゼであってもよい。ある特定の場合には、グルコースオキシダーゼ及び活性化状態非依存性抗体は、例えば、米国特許第8,163,499号明細書(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)に記載されるように、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートすることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700又は750kDa)の分子量を有する。他の実施形態では、酸化剤は、例えば、過酸化水素(H)であってもよい。さらに他の実施形態では、シグナル増幅対の第1のメンバーは、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼであってもよい。さらなる実施形態では、シグナル増幅対の第2のメンバーは、例えば、チラミド試薬(例えばビオチン−チラミド)であってもよい。増幅されるシグナルは、活性化チラミドを生成するビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化によって生成される(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに変換する)のが好ましい。活性化チラミドは、直接的に検出するか、又は例えばシグナル検出試薬の添加によって間接的に検出することができる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識蛍光団、及びストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼと例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色性試薬との組み合わせが含まれる。
[0109]ある特定の場合には、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び活性化状態依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされてもよい。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100kDa)の分子量を有する。
[0110]トランケートされた受容体は通常、完全長受容体の断片であり、完全長受容体と細胞内ドメイン(ICD)結合領域を共有する。ある特定の実施形態では、完全長受容体は、細胞外ドメイン(ECD)結合領域、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメイン(ICD)結合領域を含む。いかなる特定の理論にも縛られることなく、例えば、短縮されたECDを有するトランケートされた受容体又は膜関連若しくはサイトゾルのICD断片を含むトランケートされた受容体を形成するために、トランケートされた受容体は、完全長受容体のECDのタンパク分解プロセシングを通じて、又は膜貫通ドメインの前方、内部若しくは後方に位置するメチオニン残基からの翻訳の選択的開始によって発生することができる。
[0111]ある特定の好ましい実施形態では、トランケートされた受容体はp95HER2であり、対応する完全長受容体はHER2である。しかし、当業者は、トランケートされたタンパク質を検出するための本明細書に記載される方法が、EGFR VIII変異体(神経膠芽腫、大腸癌などにおいて結びつけられている)、他のトランケートされた受容体チロシンキナーゼ、カスパーゼなどを含む(但し、それらに限定されない)、いくつかの異なるタンパク質に適用できることを理解するであろう。国際公開第2009/108637号(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)は、マルチプレックス、ハイスループット、優れたダイナミックレンジを有する近接二重検出マイクロアレイELISAを使用して細胞でp95HER2などのトランケートされた受容体を検出するための本発明のアッセイ方法の例示的な実施形態を提供する。
[0112]一部の実施形態では、ECD結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチン対を含み、ストレプトアビジンはビーズに結合され、ビオチンは抗体に結合される。ある特定の場合には、抗体は、完全長受容体(例えば完全長HER2)のECD結合領域に特異的である。
[0113]一部の実施形態では、捕捉抗体の各希釈系列は、捕捉抗体の一連の下降濃度を含む。ある特定の場合には、捕捉抗体は、少なくとも2倍(例えば、2、5、10、20、50、100、500又は1000倍)に連続希釈されて、アレイの上にスポットされる捕捉抗体の設定数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25又はそれ以上)の下降濃度を含む希釈系列を生成する。少なくとも2、3、4、5又は6反復の各捕捉抗体希釈がアレイの上にスポットされるのが好ましい。
[0114]他の実施形態では、固体支持体は、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束、又は任意の他の適切な基材を含む。好ましい実施形態では、捕捉抗体は、ニトロセルロースポリマーをコーティングされたガラススライド(例えばWhatman Inc.(Florham Park、NJ)から市販されているFAST(登録商標)スライド)の上に(例えば、共有結合又は非共有相互作用を介して)拘束される。本発明における使用に適した抗体アレイを構築するための例示的な方法は例えば米国特許第8,163,499号明細書(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)に記載されている。
VIII.抗体生成
[0115]本発明のイムノアッセイに従って腫瘍細胞中のシグナル伝達分子の発現及び活性化のレベルを解析するためのまだ市販されていない抗体の生成及び選択は、いくつかの方法で達成することができる。例えば、1つの方法は当技術分野で公知のタンパク質発現及び精製方法を用いて目的のポリペプチド(すなわち抗原)を発現及び/又は精製することであり、別の方法は、当技術分野で公知の固相ペプチド合成方法を用いて目的のポリペプチドを合成することである。例えば、Guide to Protein Purification、Murray P.Deutcher編、Meth.Enzymol.、第182巻(1990);Solid Phase Peptide Synthesis、Greg B.Fields編、Meth.Enzymol.、第289巻(1997);Kisoら、Chem.Pharm.Bull.、38:1192〜99頁(1990);Mostafaviら、Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids、1:255〜60頁(1995);及びFujiwaraら、Chem.Pharm.Bull.、44:1326〜31頁(1996)を参照。精製又は合成されたポリペプチドは、次に、例えばマウス又はウサギに注射して、ポリクローナル又はモノクローナルの抗体を生成することができる。当業者は、例えばAntibodies、A Laboratory Manual、Harlow and Lane編、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring
Harbor、N.Y.(1988)に記載されているように、抗体生成のために多くの手法が利用できることを認識するであろう。また、当業者は、抗体を模倣する(例えば、その機能的結合領域を保持する)結合断片又はFab断片も遺伝情報から種々の手法により調製できることを理解するであろう。例えば:Antibody Engineering:A Practical Approach、Borrebaeck編、Oxford University Press、Oxford(1995);及びHuseら、J.Immunol.、149:3914〜3920頁(1992)を参照。
[0116]当業者は、抗体又は結合断片の生成並びに目的の種々のポリペプチドの親和性及び特異性についてのスクリーニング及び選択において多くのアプローチを取ることができるが、これらのアプローチが本発明の範囲を変更しないことを認識するであろう。
[0117]ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、その断片及び抗体の精製方法のより詳細な説明は米国特許出願公開第2011/071,042号明細書(その開示の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)に見出される。
IX.抗癌療法
[0118]ある特定の実施形態では、抗癌剤は、抗シグナル伝達剤(すなわち、細胞増殖抑制剤)、例えばモノクローナル抗体又はチロシンキナーゼ阻害剤;増殖抑制剤;化学療法剤(すなわち細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又は異常な細胞(例えば癌性細胞)における無制御の増殖を低減又は抑止する能力を有する他の任意の化合物を含む。一部の実施形態では、単離細胞は、少なくとも1つの化学療法剤と併用される、1つ又は複数の抗シグナル伝達剤、増殖抑制剤及び/又はホルモン療法剤で治療される。一部の実施形態では、CRCを発症するリスクがあると判定された患者は、無病生存、無憎悪生存又は全生存についての患者の予後を改善することを目的とした抗癌剤で治療される。他の実施形態では、CRCを発症するリスクがあると判定された患者は、ポリープ切除術を受ける。
[0119]ある特定の場合には、大腸癌治療のために本発明の方法で使用される化学療法薬には、5−フルオロウラシル(5−FU)が含まれ(但し、それらに限定されない)、それは長年大腸癌のための第一選択の化学療法薬である。他の薬物には、カンプトサー(Camptosar)及びエロキサチン(Eloxatin)が含まれる。拡散した大腸癌の治療のために、いくつかの他の化学療法薬も使用される。これらにはベクチビックス(Vectibix)、アービタックス(Erbitux)、アバスチン(Avastin)及びアフリベルセプト(Aflibercept)が含まれ、転移性大腸癌のために通常5−FUプラスカンプトサー又はエロキサチンと一緒に与えられる。レゴラフェニブ(Regorafenib)は、他の薬物の効果が停止した後に単剤として経口服用することができる別の薬物である。
[0120]本発明における使用に適した抗シグナル伝達剤の例には:モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標))、ペルツズマブ(2C4)、アレムツズマブ(カンパス(Campath)(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標))、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))、ゲムツズマブ(ミロタルグ(Mylotarg)(登録商標))、パニツムマブ(ベクチビックス(商標))、リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標))及びトシツモマブ(BEXXAR(登録商標));チロシンキナーゼ阻害剤、例えばゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標))、スニチニブ(ステント(Sutent)(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標))、ラパチニブ(GW−572016;タイケルブ(Tykerb)(登録商標))、カネルチニブ(CI1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(BAY43−9006;ネクサバー(Nexavar)(登録商標))、イマチニブメシレート(グリーベック(Gleevec)(登録商標))、レフルノミド(SU101))、バンデタニブ(ザクチマ(ZACTIMA)(商標);ZD6474)、ペリチニブ、CP−654577、CP−724714、HKI−272、PKI−166、AEE788、BMS−599626、HKI−357、BIBW2992、ARRY−334543、JNJ−26483327、及びJNJ−26483327;及びそれらの組み合わせが含まれる(但し、それらに限定されない)。
[0121]例示的な増殖抑制剤には:mTOR阻害剤、例えばシロリムス(ラパマイシン)、テムシロリムス(CCI−779)、エベロリムス(RAD001)、BEZ235及びXL765;AKT阻害剤、例えば、1L6−ヒドロキシメチル−カイロ−イノシトール−2−(R)−2−O−メチル−3−O−オクタデシル−sn−グリセロカーボネート、9−メトキシ−2−メチルエリプチシニウムアセテート、1,3−ジヒドロ−1−(1−((4−(6−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−g]キノキサリン−7−イル)フェニル)メチル)−4−ピペリジニル)−2H−ベンズイミダゾール−2−オン、10−(4’−(N−ジエチルアミノ)ブチル)−2−クロロフェノキサジン、3−ホルミルクロモンチオセミカルバゾン(Cu(II)Cl複合体)、API−2、プロトオンコジーンTCL1のアミノ酸10〜24に由来する15マー(15mer)のペプチド(Hiromuraら、J.Biol.Chem.、279:53407〜53418頁(2004)、KP372−1、並びにKozikowskiら、J.Am.Chem.Soc.、125:1144〜1145頁(2003)及びKauら、Cancer Cell、4:463〜476頁(2003)に記載される化合物;PI3K阻害剤、例えば、PX−866、ワートマニン、LY294002、ケルセチン、テトロドトキシンクエン酸塩、マレイン酸チオペラミド、GDC−0941(957054−30−7)、IC87114、PI−103、PIK93、BEZ235(NVP−BEZ235)、TGX−115、ZSTK474、(−)−デグエリン、NU7026、ミリセチン、タンデュチニブ、GDC−0941ビスメシレート、GSK690693、KU−55933、MK−2206、OSU−03012、ペリホシン、トリシリビン、XL−147、PIK75、TGX−221、NU7441、PI828、XL−765及びWHI−P154;MEK阻害剤、例えばPD98059、ARRY−162、RDEA119、U0126、GDC−0973、PD184161、AZD6244、AZD8330、PD0325901、及びARRY−142886;並びにそれらの組み合わせが含まれる。
[0122]全HER阻害剤(pan−HER inhibitor)の非限定的な例には、PF−00299804、ネラチニブ(HKI−272)、AC480(BMS−599626)、BMS−690154、PF−02341066、HM781−36B、CI−1033、BIBW−2992、及びそれらの組み合わせが含まれる。
[0123]化学療法剤の非限定的な例には、白金ベースの薬物(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、スピロプラチン、イプロプラチン、サトラプラチンなど)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロルエタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソ尿素など)、代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロウラシル、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ロイコボリン、カペシタビン、シタラビン、フロクシウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(ゲムザー(Gemzar)(登録商標))、ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))、ラルチトレキセドなど)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標))など)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、エトポシドリン酸塩、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、その薬学的に許容される塩、その立体異性体、その誘導体、その類似体、及びそれらの組み合わせが含まれる。
[0124]ホルモン療法剤の例には、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標))、レトロゾール(フェマラ(Femara)(登録商標))、ボロゾール、エクセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標))、4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(6−OXO)、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、ホルメスタン(レンタロン(Lentaron)(登録商標))など)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(例えば、バゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソホキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンなど)、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、及びゴセレリン等のゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)、その薬学的に許容される塩、その立体異性体、その誘導体、その類似体、及びそれらの組み合わせが含まれる(但し、それらに限定されない)。
[0125]本発明において有用な癌ワクチンの非限定な例には、Active BiotechからのANYARA、Northwest BiotherapeuticsからのDCVax−LB、IDM PharmaからのEP−2101、PharmexaからのGV1001、Idera PharmaceuticalsからのIO−2055、Introgen TherapeuticsからのINGN225、及びBiomira/MerckからのStimuvaxが含まれる。
[0126]放射線療法剤の例には、47Sc、64Cu、67Cu、89Sr、86Y、87Y、90Y、105Rh、111Ag、111In、117mSn、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At及び212Biなどの放射性核種が含まれ(但し、それらに限定されない)、任意選択で腫瘍抗原に対する抗体にコンジュゲートされる。
[0127]HER2阻害剤の非限定的な例には:モノクローナル抗体、例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))及びペルツズマブ(2C4);小分子チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、ペリチニブ、CP−654577、CP−724714、カネルチニブ(CI1033)、HKI−272、ラパチニブ(GW−572016;タイケルブ(登録商標))、PKI−166、AEE788、BMS−599626、HKI−357、BIBW2992、ARRY−334543、JNJ−26483327、及びJNJ−26483327;及びそれらの組み合わせが含まれる。
[0128]c−Met阻害剤の非限定的な例には:モノクローナル抗体、例えば、AMG102及びMetMAb;c−Metの小分子阻害剤、例えば、ARQ197、JNJ−38877605、PF−04217903、SGX523、GSK1363089/XL880、XL184、MGCD265及びMK−2461;及びそれらの組み合わせが含まれる。
X.投与方法
[0129]本発明の方法により、本明細書に記載される抗癌剤は、当技術分野で公知である任意の都合のよい手段によって対象に投与される。本発明の方法は、対象における腫瘍(例えば大腸腫瘍)の治療のための適切な坑癌剤又は抗癌剤の組み合わせを選択するために使用することができる。当業者は、本明細書に記載される抗癌剤を、単独で、又は従来の化学療法、放射線療法、ホルモン療法、免疫療法、及び/又は外科手術と組み合わせた治療方法の一部として投与することができることを理解するであろう。
[0130]ある特定の実施形態では、抗癌剤は、抗シグナル伝達剤(すなわち細胞増殖抑制剤)、例えば、モノクローナル抗体又はチロシンキナーゼ阻害剤;増殖抑制剤;化学療法剤(すなわち細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又は異常な細胞(例えば癌性細胞)における無制御の増殖を低減又は抑止する能力を有する他の任意の化合物を含む。一部の実施形態では、対象は、少なくとも1つの化学療法剤と併用される、1つ又は複数の抗シグナル伝達剤、増殖抑制剤、及び/又はホルモン療法剤で治療される。例示的なモノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、増殖抑制剤、化学療法剤、ホルモン療法剤、放射線療法剤、及びワクチンは上に記載されている。
[0131]一部の実施形態では、本明細書に記載される抗癌剤は、従来の免疫療法剤、例えば、免疫活性化剤(例えば、バシラス・カルメット−ゲラン(Bacillus Calmette−Guerin)(BCG)、レバミゾール、インターロイキン2、アルファインターフェロンなど)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体−カリケアマイシンコンジュゲート、抗CD22モノクローナル抗体−シュードモナス外毒素コンジュゲートなど)、及び放射線免疫療法(例えば、111In、90Y又は131Iにコンジュゲートした抗CD20モノクローナル抗体など)(但し、それらに限定されない)と同時投与されてもよい。
[0132]抗癌剤は、必要に応じて適切な医薬賦形剤と一緒に投与でき、容認された投与様式のいずれかで実施できる。したがって、投与は、例えば、経口、口内、舌下、歯肉、口蓋、静脈内、局所、皮下、経皮、経真皮、筋肉内、関節内、非経口、小動脈内、皮内、心室内、脳内、腹腔内、膀胱内、鞘内、病巣内、鼻腔内、直腸、膣投与であってもよく、又は吸入によってもよい。「同時投与」は、抗癌剤が、第2の薬物(例えば、別の抗癌剤、抗癌剤療法と関連する副作用を低減するのに有用な薬物、放射線療法剤、ホルモン療法剤、免疫療法剤など)の投与と同時に、その直前に、又はその直後に投与されることを意味する。
[0133]抗癌剤の治療的有効量は、繰り返し、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8回又はそれ以上の回数投与することができるか、又は用量を連続注入によって投与することができる。用量は、好ましくは正確な用量の単回投与に適した単位剤形での、固体、半固体、凍結乾燥粉末又は液体剤形(例えば、錠剤、ピル剤、ペレット剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、坐薬、停留浣腸、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、エアゾール剤、フォーム剤など)の形態を取ることができる。
[0134]本明細書において、用語「単位剤形」は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位用量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の発現(onset)、耐容性及び/又は治療効果を生むように計算された抗癌剤の所定量を、適切な医薬用賦形剤(例えばアンプル)と一緒に含有する。さらに、より希釈された単位剤形を次に生成することができる、より濃縮された剤形を調製することができる。したがって、より濃縮された剤形は、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍又はそれ以上の倍数の実質的により多くの量の抗癌剤を含有する。
[0135]そのような剤形の調製方法は、当業者に公知である(例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第18版、Mack Publishing Co.、Easton、PA(1990)を参照)。剤形は、従来の薬用担体又は賦形剤を一般的に含み、他の薬剤、担体、アジュバント、希釈剤、組織浸透増強剤、可溶化剤などをさらに含むことができる。適当な賦形剤は、当技術分野で周知の方法によって、特定の剤形及び投与経路に合うように調整することができる(例えば、上記のREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESを参照)。
[0136]適切な賦形剤の例には、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカンタ、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、食塩水、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリアクリル酸(例えば、カーボポール、例えば、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール981)などが含まれる(但し、それらに限定されない)。剤形は:潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油;湿展剤;乳化剤;懸濁剤;保存剤、例えば、メチル−、エチル−及びプロピル−ヒドロキシベンゾエート(すなわちパラベン);pH調整剤、例えば、無機酸及び有機酸及び塩基;甘味料;及び香味料をさらに含むことができる。剤形は、生分解性ポリマービーズ、デキストラン、及びシクロデキストリン封入複合体を含むこともできる。
[0137]経口投与については、治療的有効用量のものは、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、噴霧剤、ロゼンジ剤、散剤、及び徐放性製剤の形態であってもよい。経口投与のための適切な賦形剤には、医薬用のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含まれる。
[0138]一部の実施形態では、治療的有効用量のものは、ピル剤、錠剤又はカプセル剤の形態を取り、したがって、剤形は抗癌剤と一緒に以下のいずれかを含有することができる:希釈剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど;崩壊剤、例えば、デンプン又はその誘導体;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど;及び結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース及びその誘導体。抗癌剤は、例えばポリエチレングリコール(PEG)担体中に置かれる坐薬に製剤化されてもよい。
[0139]液体剤形は、抗癌剤及び任意選択で1つ又は複数の薬学的に許容されるアジュバントを担体、例えば、食塩水(例えば0.9w/v%塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどに溶解するか又は分散させることによって調製し、例えば、経口、局所又は静脈内投与のための溶液又は懸濁液を形成することができる。抗癌剤は停留浣腸に製剤化されてもよい。
[0140]局所投与については、治療的有効用量のものは、乳剤、ローション剤、ゲル剤、フォーム剤、クリーム剤、ゼリー剤、液剤、懸濁剤、軟膏及び経皮パッチの形態であってもよい。吸入による投与については、抗癌剤は、乾燥粉末として、又はネブライザーを通す液剤形態で送達することができる。非経口投与については、治療的有効用量のものは無菌注射液及び無菌のパッケージされた粉末の形態であってもよい。注射液は約4.5〜約7.5のpHで製剤化されるのが好ましい。
[0141]治療的有効用量のものは凍結乾燥形態で提供することもできる。そのような剤形は、投与前の再構成のためのバッファー(例えば、重炭酸塩)を含むことができ、又は、バッファーは、例えば水による再構成のために凍結乾燥剤形態で含まれてもよい。凍結乾燥剤形は、適切な血管収縮剤(例えば、エピネフリン)をさらに含むことができる。凍結乾燥剤形は、再構成される剤形を対象に直ちに投与することができるように、任意選択で再構成のためのバッファーと一緒にパッケージされている注射器で提供することができる。
[0142]対象を周期的な時間間隔でモニターして、ある特定の治療レジメンの有効性を評価することもできる。例えば、ある特定のシグナル伝達分子の活性化状態は、本明細書に記載される抗癌剤の1つ又は複数による治療の治療効果に基づいて変化し得る。対象をモニターして、個別のアプローチで反応性を評価し、ある特定の薬物又は治療の効果を理解することができる。さらに、特定の抗癌剤又は抗癌剤の組み合わせに初期に反応する対象は、その薬物又は薬物の組み合わせに不応性になることがあり、これらの対象が後天的な薬剤抵抗性を発達させたことを示す。これらの対象では、現在の療法を中止し、本発明の方法に従って代替治療を処方することができる。
XI.実施例
[0143]以下の実施例は請求される発明を例示するために提供され、それを限定するためではない。
実施例1.大腸癌の診断のための患者のポリープ試料で使用された高レベルの活性化した分析物
[0144]この実施例は、個体において大腸癌の発症のリスクを判定する方法を示す。上記方法は、個体から採取したポリープ試料から調製した細胞溶解物における少なくとも1つのシグナル伝達分子の活性化及び/又は発現レベルを検出するステップ、活性化及び/又は発現レベルを対照と比較するステップ、並びに試料の活性化及び/又は発現レベルが参照対照(例えば、健康な対照又は非腺腫性ポリープ対照)のそれより高い場合は個体が大腸癌を発症するリスクがあることを示すステップを含む。この実施例は、大腸癌でのポリープの再発及び進行の研究からの患者試料を使用した方法の例示的な実施形態を提供する。
[0145]上記研究に含まれた患者は、2003年及び/又はそれ以降にポリープ切除術を受けており、10mm未満の複数のポリープ若しくは10mm未満の1〜2個の腺腫を患い、及び/又はCRCの中間リスクに分類されるグレードの異形成を有していた。これらの患者は、3〜5年おきにスクリーニング結腸鏡検査を受ける予定である。
[0146]S字結腸の非腺腫性粘膜から、患者1名につき8つの生検試料を収集した。0.5cm以下の直径のものなど、小さいポリープは、局所的に電気凝固させた。0.5cm以上の直径のものなど、絨毛及び腺管絨毛ポリープは、組織学的評価にまわした。試料生検の前に、PEG−4000溶液(例えば、水4Lに1120gのPEG4000)の経口投与によって患者の腸を清浄化した。合計で、サイズが約2〜3mmの42個のヒト組織生検試料を収集した。
[0147]組織溶解物は、MSD(登録商標)トリス溶解緩衝液(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)又は溶解緩衝液(Prometheus Laboratories、San Diego、CA)を使用して調製した。
[0148]HER1、HER2、HER3、cMET、PI3K、IGF1R、SHC、CK、Akt、Erk、Mek、Rsk、PRAS及びRPS6を含む分析物の活性化(リン酸化)レベル及び/又は発現レベルは、CEERアッセイを使用して測定した。
[0149]各アッセイのために、2つの溶解物濃度を使用した(例えば、図1B(FIG.1B)に示すように8μg及び2μg)。通常、1μgの細胞溶解物は、約200〜400個の細胞を含有する。各特定の分析物アッセイのために、特定の量の試料を使用した。
[0150]本明細書に提示されるデータは、数量化の下限(LLOQ)より上の有意な活性化シグナルを与えた分析物を表す。有意な結果を与えなかった分析物は、データ解析から削除した。
[0151]患者データは、組織生検からの臨床データによって2つの群に分離した:正常な患者対ポリープを有する患者。表1は、研究で使用した代表的な患者試料及び患者の臨床記述を掲載する。ポリープを有する群のデータは、リン酸化されたHER3のレベルによって2つのサブセットにさらに選別した。「ポリープ(A群)」群には、正常と同程度のHER3活性化のレベルを有する患者が含まれた。「ポリープ(B群)」群には、高いレベルのHER3活性化を有する患者が含まれた。
Figure 0006619339
[0152]分析物データは、B群のHER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、MEK及びRSKの活性化レベルが、A群のそれらより統計学的に有意に高かったことを示す。したがって、対象から採取されたポリープ試料における高レベルの活性化した分析物の存在は、対象が癌を発症するリスクがあることを示す可能性が考えられた。
図2のグラフは、HER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、MEK及びRSKの活性化レベルが正常な患者とA群の患者との間で同程度であることも示す。全体のPI3Kレベルは、測定した全分析物の試料負荷対照(sample loading control)として使用した。表2は、解析で使用した正常な患者試料からのデータを示す。データの数字は、試料あたりの計算された単位(computed unit)(CU)を表す。
Figure 0006619339
[0153]図3は、A群及びB群からの試料における活性化した分析物のレベルを示す。データの数字は、試料あたりの計算された単位(CU)を表す。これらの群は、活性化した癌経路マーカー(例えば、pAKT、pERK、pMEK、pRSK、pHER1、pHER2、pHER3及びpPI3K)の特徴的なパターンを示す。特に、図3AのA群は、解析した分析物について、より低い活性化レベルを示した。図3BのB群は、解析した分析物ついて、より高い活性化レベルを示した。全体のPI3Kは、等量のタンパク質が試料中に存在することを示す負荷対照として使用した。
[0154]受容体チロシンキナーゼHER1、HER2及びHER3は、種々の癌悪性腫瘍に関与すると文献及び臨床場面で十分に立証されている。HER3の高いリン酸化は、リン酸化PI3Kと相関することが実証されている。本研究のデータ(図3を参照)も、これらの2つのマーカーの間の直接相関を示す。さらに、PI3Kレベルが高い場合、PI3Kの直接下流標的であるAKTも増加する(図3を参照)。予想通りに、MEKはHER1及びHER2によって促進されるので、活性化HER1及びHER2のレベルが高いと、リン酸化MEKのレベルも高い傾向にあった。さらに、MEKの下流のリン酸化ERK及びRSKも、B群ポリープで大きく活性化されていた。まとめると、データは、B群の患者が、癌経路と関連する活性化マーカーを発現するポリープを有することを実証する。
[0155]この実施例で提供されるデータは、癌経路の活性化マーカーのレベル、例えばHER1、HER2、HER3、PI3K及びMEK経路の活性化マーカーのレベルが、ポリープの特定のサブセットと関連することを示す。対象におけるそのようなポリープの存在は、その対象が大腸癌を発症するリスクがあることを示す。したがって、採取した患者のポリープ試料におけるより高いレベルの活性化した分析物の存在は、CRCを有すると、又はCRCを発症する傾向があると患者を診断するために使用することができると考えられている。本明細書に記載される方法は、前癌性ポリープ又は良性ポリープ試料においてCRCを発症するリスクの早期検出のためのアッセイを提供する。
方法
CEERアッセイのための多重化マイクロアレイプリンティング
[0156]捕捉抗体は、非接触プリンター(NanoPlotter、GeSim)を使用して、ニトロセルロースでコーティングされたガラススライド(ONCYTE、Grace Biolab)にプリントした。スポット直径はおよそ175μmであり、プリントされたスライドは乾燥させたチャンバーに室温で保存した。およそ500pl(ピコリットル)の捕捉抗体を、1mg/ml及び0.5mg/mlの連続希釈濃度により3反復でプリントした。精製したマウスIgGを、陰性対照としてプリントした。分析的較正反応及び内部品質対照反応を、すべてのスライドで実行した。
CEERアッセイのための抗体コンジュゲーション及び精製
[0157]標的特異的抗体及び対応する検出酵素を、二官能性架橋剤、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)で活性化した。サイズ排除カラムを使用して、コンジュゲートをHPLCによって精製した。精製したコンジュゲートでの抗体活性は競合ELISAによって検出し、酵素活性は各検出酵素に特異的な機能的アッセイによって検出した。
CEERアッセイの実施
[0158]抗体をスポットしたスライドを、室温で1時間、80μlのブロッキング緩衝液でブロックし、その後TBSTで2回洗浄した。その後、80μlの連続希釈試料溶解物、標準及び対照を対応する各スライドに加え、その後室温で一晩インキュベートした。翌日、スライドをTBSTで5回洗浄し、リン酸化(phospho)分析物又は全体の分析物(例えば、リン酸化型(phosphor)HER2又は全体のHER2)のいずれかに特異的な抗体をスライドに加え、その後室温で2時間インキュベートした。グルコースの存在下でシグナル生成及び増幅を媒介するために、チラミド溶液を次に加えた。続いてAlexa Fluors色素とインキュベーションすると、蛍光シグナルが生じた。乾燥の後、スライドをスキャナ(TECAN、San Jose、CA)でスキャンし、取得したデータはProScanソフトウェアを使用してさらに解析し、定量化アルゴリズム(Prometheus Laboratories、San Diego、CA)を使用してプロットした。
CEERのためのアッセイ標準
[0159]BT474、T47D及びHCC827を含有する混合細胞溶解物を、HER1、HER2、HER3、cMET及びPI3Kの定量化のために使用した。具体的には、BT474細胞はHER2のための標準として使用し;T47D細胞はHER3のための標準として使用し;HCC827細胞は、HER1、cMET及びPI3Kのための標準として使用した。各標準は、以前に決定された最適の細胞滴定からなる。1CUが1つの参照細胞の溶解物から生成されるシグナルに等しいように計算される単位(CU)を生成するために、各分析物参照標準をその対応する参照試料とともに(例えば、HER2分析物とBT474細胞)分析した。各分析には、バックグラウンド除去のために対照緩衝液が含まれた。以下の分析物:AKT、PRAS40、RPS6、MEK及びERKのための対照として組換えタンパク質を使用した。取得したデータは、Prometheusによって開発されたアルゴリズムを使用して定量化した。
[0160]この実施例は、多くの種類の癌で上方制御されることが知られているバイオマーカーの発現を解析するために、最小限の量の組織試料を必要とする、大腸癌についての高感度のアッセイを使用できることを実証する。
[0161]本明細書で引用されるすべての刊行物及び特許出願は、各刊行物又は特許出願が参照により組み入れられることが具体的に及び個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載の発明は、明確な理解のために例を示していくらか詳細に説明されているが、本発明の教示に鑑みて、いくらかの変更及び改変を、添付の特許請求の範囲及びその精神を逸脱することなく本発明に対して行うことができることは、当業者には明らかであろう。

Claims (16)

  1. 対象において大腸癌(CRC)を発症するリスクを診断するための方法であって、
    a)前記対象から採取されたポリープ試料に由来する細胞を溶解して細胞溶解物を形成するステップと、
    b)前記細胞溶解物における、HER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、MEK、及びRSKを含む、シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルを測定するステップと、
    c)対照と比較した、前記シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルに基づいて、前記対象がCRCを発症するリスクがあるかどうか示すステップと、
    d)前記ポリープ試料が前癌性であるかどうか判定するステップと、を含む方法。
  2. 前記シグナル伝達分析物の組み合わせの、測定された活性化及び/又は発現レベルが前記対照と比較して高い場合に、前記対象はCRCを発症するリスクがある、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(b)は近接二重検出アッセイで実施される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記近接二重検出アッセイは協調的酵素増強反応免疫アッセイ(CEER(商標))である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化レベルはそのリン酸化レベルに対応する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記対照は非腺腫性組織に由来する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ポリープ試料は腺腫性ポリープである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記対照は健常者に由来する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記対照はCRC対象に由来する陽性対照である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ポリープ試料はポリープ切除術に由来する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ポリープ切除術は結腸及び/又は直腸のポリープ切除術である、請求項10に記載の方法。
  12. ステップ(b)で決定された前記シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルに基づいて、大腸癌の治療のための適切な抗癌剤を選択することをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記抗癌剤は、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、増殖抑制剤、化学療法剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. ポリープ切除術を推奨することをさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 大腸癌(CRC)を発症する可能性がある対象を識別するための方法であって、
    a)前記対象から採取したポリープ試料から得られる細胞溶解物における、HER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、MEK、及びRSKを含む、シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルを測定するステップと、
    b)対照と比較した、前記シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルに基づいて、前記対象がCRCを発症する可能性があるかどうか示すステップと、
    c)前記ポリープ試料が前癌性であるかどうか判定するステップと、を含む方法。
  16. 大腸癌(CRC)を発症する可能性がある対象を識別するための方法であって、
    前記対象から採取したポリープ試料から得られる細胞溶解物における、HER1、HER2、HER3、PI3K、AKT、ERK、MEK、及びRSKを含む、シグナル伝達分析物の組み合わせの活性化及び/又は発現レベルを測定するステップを含み、
    前記シグナル伝達分析物の組み合わせの、測定された活性化及び/又は発現レベルが対照と比較して高い場合に、前記対象はCRCを発症する可能性がある、方法。
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