JP6614673B2 - バイオバランス(登録商標)yを利用した堆肥及びその製造方法 - Google Patents

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Description

クロスリファレンス
本出願は、2014年9月19日に日本国において出願された特願2014−190904号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願に記載された内容は全て、参照によりそのまま本明細書に援用される。また、本願において引用した全ての特許、特許出願及び文献に記載された内容は全て、参照によりそのまま本明細書に援用される。
本発明は、動物(特に家畜動物)の糞尿を原料として製造される堆肥の分野に関する。また、本発明は、前記堆肥を含有する、戻し堆肥、植物(特には野菜や米等の食用植物)育成用の肥料、培養土、又は土壌改良剤の分野に関する。
伝統的な動物(特に家畜動物)の糞尿を原料とした堆肥の製造は、糞尿と稲藁などを混合して野積みし、長時間かけて堆肥化されていた。しかし、この方法では悪臭等の問題が生じることが問題となっていた。また、堆肥化の過程では、枯草菌などの好気性微生物による発酵を利用することから、従来、複数回の堆積切り返しを行うか、攪拌を行うことにより、悪臭を除くと共に空気との接触面や接触時間を増やす必要があった(特許文献1〜3)。
悪臭の発生を抑制し、短期間で堆肥化させる別の手段として、有機物の分解作用を示す微生物を添加する堆肥化方法が報告されている(特許文献4〜8)。また、堆肥化過程における悪臭を抑制するための別の手段として、微生物を含む飼料を与えた家畜の糞尿から堆肥を製造することが報告されている(特許文献9〜13)。そのほとんどは、得られた糞尿の堆肥化には従来どおりの複数回の堆積切り返しや攪拌を必要としている(特許文献9〜12)が、特許文献13は、バチルス属に属する微生物及びクロストリジウム属に属する微生物を含む混合微生物と、多孔質担体を組み合わせて飼料に添加することにより、1回の切り返しでも悪臭も少なく堆肥化可能であることが開示されている。
一方、本発明者は、ラクトバチルス属デルブリッキー種に属する乳酸菌を添加した飼料を摂取した家畜の糞尿は、悪臭が抑制されることを報告している(特許文献14)。
特開2005−320181号 特開2012−246177号 特開2013−234097号 特開2008−127225号 特開2011−65号 特開2011−223883号 特開2012−23994号 特開2013−60378号 特開2004−91225号 特開2007−14241号 特開2007−14243号 特開2007−15881号 特開2008−253226号 特開2005−245299号
既に報告されている堆肥の製造方法、特には、特開2008−253226号(前記特許文献13)に記載された堆肥の製造方法においては、有用菌のほかに本来食用ではない多孔質担体を家畜に摂取させる必要があり、家畜の品質維持・健康管理上の問題が考えられていた。また、当該文献において得られた堆肥(有機肥料)の水分含有率は44.2%と低く、水分を必要とする堆肥中の有用菌数も減少していると思われた。
本発明者は、家畜にとってより安全で、かつ、簡便な手法で質のよい堆肥を製造する方法について鋭意検討した結果、ラクトバチルス属デルブリッキー種に属する乳酸菌を摂取した動物由来の糞尿を原料として用いることにより、切り返しの数が1回程度でも悪臭を発することなく堆肥化が短期間で進み、かつ、堆肥中の水分含有量も豊富となる堆肥が製造できることを見出した。また、本発明者は、このような堆肥の特徴を与える堆肥中の要因を特定すべく鋭意研究を行った。その結果、好気条件下、このような堆肥においては、低温域から中温域(20〜40℃)において高い増殖活性を示す放線菌の数が際立って多いことを見出した。更に、本発明者らは、このような放線菌の中から特徴的であると思われる株を単離することに成功し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、好気条件下、中温域において高い増殖活性を示す放線菌の数が際立って多いことを特徴とする堆肥、特には、ラクトバチルス属デルブリッキー種に属する乳酸菌を摂取した動物由来の糞尿を原料として用いることにより得られた堆肥に関し、具体的には以下の発明に関する。
(1) 家畜動物の糞便から製造した堆肥であって、中温域の温度範囲内の好気条件下で生育する放線菌数が、低温域又は高温域の好気条件下で生育する放線菌数よりも多いことを特徴とする堆肥。
(2) 家畜動物の糞便から製造した堆肥であって、中温域の好気条件下で生育する放線菌数が、好気堆肥中の同条件で生育する放線菌数よりも多いことを特徴とする堆肥。
(3) 前記家畜動物が、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物であることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれか1項に記載の堆肥。
(4) 前記ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料が、バイオバランス(登録商標)Yであることを特徴とする、(3)に記載の堆肥。
(5) 大腸菌陰性である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の堆肥。
(6) pHが6.0〜9.0であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の堆肥。
(7) 水分含量が45%以上であるであることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の堆肥。
(8) 放線菌又は放線菌を含有する資材が添加されていないことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の堆肥。
(9) ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便を堆積することを備える、堆肥の製造方法。
(10) a)ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便の水分を調製するステップ、
b)前記糞便を堆積して静置するステップ、
c)前記工程により得られた堆肥を反転させるステップ、及び、
d)前記堆肥を静置するステップ、
を備える、(9)に記載の製造方法。
(11) 前記ステップa)の期間中、放線菌数が少ないことを特徴とする、(10)に記載の製造方法。
(12) 前記ステップb)及びステップd)の期間中の前記糞便又は前記堆肥堆積物の内部温度が30〜60℃であることを特徴とする、(10)又は(11)に記載の製造方法。
(13) 前記ステップa)における水分調製が、乾材を添加することにより行われることを特徴とする、(10)〜(12)に記載の製造方法。
(14) ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料が、バイオバランス(登録商標)Yであることを特徴とする、(9)〜(13)のいずれか1項に記載の製造方法。
(15) 放線菌又は放線菌を含有する資材を添加しないことを特徴とする、(9)〜(14)のいずれか1項に記載の製造方法。
(16) ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便を堆積することを備える、堆肥中の中温域の好気条件下で生育する放線菌数を増加させる方法。
(17) ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料が、バイオバランス(登録商標)であることを特徴とする、(16)に記載の方法。
(18) 放線菌又は放線菌を含有する資材を添加しないことを特徴とする、(16)又は(17)に記載の方法。
(19) 以下の、i)〜ii)のいずれか一つに記載の放線菌
i)Streptomyces sp. A44株
ii)Streptomyces sp. A51株
(20) 前記中温域の好気条件下で生育する放線菌が、請求項19に記載の放線菌の少なくとも1つを含む、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の堆肥。
(21) (1)〜(8)、及び(20)のいずれか1項に記載の堆肥と乾材とを含有する、戻し堆肥。
(22) 少なくとも1つの(19)に記載の放線菌を添加することを含む、(9)〜(14)のいずれか1項に記載の製造方法。
(23) (9)〜(14)、及び、(20)のいずれか1項に記載の製造方法により得られた堆肥と乾材とを混合するステップを備える、戻し堆肥の製造方法。
(24) 少なくとも1つの請求項19に記載の放線菌を添加することを含む、(16)〜(17)のいずれか1項に記載の方法。
(25) (1)〜(8)、及び(20)のいずれか1項に記載の堆肥を含有することを特徴とする、培養土、肥料、又は土壌改良剤。
(26) (19)に記載の放線菌を含有する有害菌を排除するための組成物。
(27) (19)に記載の放線菌を添加することを含む、土壌、堆肥又は糞尿中の有害菌の排除方法。
(28) 有害菌が大腸菌、及び/又はストレプトコッカス属の菌である、(26)に記載の組成物又は(27)に記載の方法。
(29) 有害菌が、大腸菌、Streptococcus dysgalactiaeStreptococcus uberis、及びStreptococcus agalactiaeから選択される1以上の菌である、(26)に記載の組成物又は(27)に記載の方法。
よって、一態様において、本発明は、家畜動物の糞便から製造した堆肥であって、中温域の好気条件下で生育する放線菌数が多いことを特徴とする堆肥に関する。本明細書において、家畜動物とは、主にその生産物(乳、肉、卵、毛、皮、毛皮、労働力など)の利用を目的として飼育される動物を意味し、例えば、牛、馬、水牛、鹿、羊、山羊、アルパカ、豚、猪、ウサギ、鶏、鶉、ダチョウ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ホロホロ鳥を含む。
好ましくは、家畜動物は、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料(以下、本段落において「本飼料」という)を摂取した家畜動物である。ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) ANTI MUFFA(FERM BP−10663)は、2004年2月27日付にて、産業技術総合研究所つくばセンター 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6)(現在の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8))に受託番号FERM BP−10663として寄託されている。本飼料、並びに、その製造方法及び摂取方法については、特開2005−245299号公報に記載されている。また、本飼料として、好ましくは、バイオバランス(登録商標)Y(株式会社バイオバランス、日本国愛知県名古屋市)である。本明細書において、バイオバランス(登録商標)Yは、株式会社バイオバランス(日本国愛知県名古屋市)が販売しているラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する家畜用飼料のことである。
本明細書において、「中温域の好気条件下で生育する放線菌」とは、好気条件下、中温域に属する温度範囲で一定期間(例えば、1週間〜1ヶ月)培養した際の増殖率が高い放線菌を意味する。本発明の堆肥化方法を利用することにより、攪拌や強制通気、高温条件を利用しないことから、このような放線菌が十分に生育することが可能である。
本明細書において、「中温域」とは、例えば、15℃〜45℃の温度範囲を意味し、好ましくは、20℃〜40℃の温度範囲とすることができ、最も好ましくは37℃である。また、本明細書において、「低温域」とは、中温域の下限値よりも低い温度を意味し、例えば、15℃未満、20℃未満、37℃未満を意味しても良い。また、本明細書において、「高温域」とは、中温域の上限値よりも高い温度を意味し、例えば、45℃よりも高い温度、40℃よりも高い温度、又は37℃よりも高い温度を意味しても良い。
本明細書において、中温域の好気条件下で生育する放線菌数が「多い」とは、例えば、同じ堆肥中に含まれる他の温度範囲(低温域、又は高温域)で生育する放線菌と比較して、中温域で生育する放線菌の数が多いことを意味する。あるいは、当該放線菌数が「多い」とは、好気堆肥と比較して、堆肥質量(例えば、1g)当たりに含まれる中温域で生育する放線菌の数が多いことを意味しても良い。ここで、「好気堆肥」とは、上述のとおり空気との接触面や接触時間を人工的に増やすことにより醸成された堆肥を意味する。空気との接触面や接触時間の増加は、機械的に行われたものであっても良いし、人力で行われたものでも良い。堆肥の製造過程において、人力により空気との接触面や接触時間が増加される場合、通常は堆肥の反転(切り返しとも呼ばれる)により行われるが、本明細書における好気堆肥は、このような反転が少なくとも2回行われることにより製造された堆肥を意味する。このような好ましくは、好気堆肥は高温条件下(例えば、70℃以上)で醸成させたものであってもよい。なお、本明細書において、特にそのように解することが不整合である場合を除き、放線菌の「数」とは、単位体積(例えば、1cm)又は単位重量(例えば、1g)当たりの数を意味する。
本明細書において、放線菌とは、放線菌(Actinomycetes)に分類される菌であれば特に限定されないが、例えば、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に分類される菌であってもよい。好ましくは、本発明における中温域の好気条件下で生育する放線菌はStreptomyces sp. A44株、Streptomyces sp. A51株である。これらの放線菌は、日本国北海道帯広市において静置発酵型堆肥より分離されたものである。これらの微生物は、2014年9月9日付にて、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受領番号NITE BP−01934(Streptomyces sp. A44株)、及びNITE BP−01935(Streptomyces sp. A51株)として寄託されている。
特に、本発明の堆肥は、作物又はそれを食するものにとって有害な微生物となりうる大腸菌が陰性である特徴を備えていても良い。ここで、大腸菌が陰性とは、大腸菌がまったく存在しないことを意味するものではなく、堆肥1g当たりの大腸菌数が100個以下であることを意味する。堆肥1g当たりの大腸菌数は、例えば、堆肥1gを滅菌生理食塩水に懸濁させた後、段階希釈して寒天培地に播種し、37℃で24時間培養後、コロニー数を計数し、希釈倍率とコロニー数を掛け合わせることにより、計算することができる。
また、本発明の堆肥は、弱酸性〜弱アルカリ性を示すことが特徴であっても良く、好ましくは、pH6.0〜9.0であり、より好ましくは、pH6.5〜8.0である。
更に、本発明の堆肥は、水分含量が高いことが特徴であってもよく、例えば、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上であってよい。特に、水分量が55%以上であれば、有用菌の生存・増殖が妨げられないことから好ましい。よって、本発明の堆肥は、水分含量が、45〜90%、55〜90%、50〜85%、55〜85%、55〜80%などであっても良い。
後述のとおり、本発明によれば、堆肥化過程において放線菌やバチルス属の微生物などを添加しなくとも、比較的嫌気的な条件下(切り替えし1回)でも既に述べたような質の高い堆肥を得ることができる。即ち、本発明の堆肥は、その製造工程において有用微生物(放線菌、バチルス属の微生物を含む)、又は有用微生物を含有する資材が添加されていないことを特徴としても良い。天然には多数の微生物が存在するため、ここで、「添加されていない」とは、少なくとも菌培養物(培養液、培養培地を含む)として添加されていないことを意味し、例えば、糞尿又は糞尿と乾材との混合物に対するCFU/g−DM(乾燥重量)値として、10以上、10以上、10以上、10以上、10以上、10以上、10以上、1010以上、又は1011以上の有用微生物を添加しないことを意味しても良い。
別の態様において、本発明は、本発明の堆肥を含有する戻し堆肥に関する。本発明の戻し堆肥は、本発明の堆肥と乾材との混合物であってもよく、又は当該混合物を主成分として含んでいてもよい。例えば、本発明の堆肥と乾材との混合割合は、堆肥:乾材=7:3〜8:2とすることができる。
更に別の態様において、本発明は、本発明の堆肥を含有する培養土、肥料、又は土壌改良剤に関する。培養土、肥料、又は土壌改良剤における本発明の堆肥の含有割合は、目的に応じて任意の量とすることができるが、例えば、100%、10%〜90%、20〜80%、30%〜70%とすることができる。特に、本発明の堆肥はそのまま(100%)でも培養土として使用することができる点で優れている。
別の態様において、本発明は、本発明の放線菌を含有する有害菌を排除するための組成物に関する。本発明の組成物は、例えば、放線菌培養物又はその加工物であってもよく、ここで加工物とは濃縮又は乾燥させて放線菌培養物を含む。本明細書において、有害菌とは、人体、家畜、農産物等に悪影響を与える菌であれば特に限定されないが、好ましくは、大腸菌(E.coli)又はストレプトコッカス属の菌である。ストレプトコッカス属の菌としては、Streptococcus pyogenesStreptococcus agalactiaeStreptococcus dysgalactiaeなどのpyogenicグループ;Streptococcus anginosusStreptococcus constellatusStreptococcus intermediusなどのanginosusグループ;Streptococcus pneumoniaeStreptococcus mitisStreptococcus sanguinisなどのmitisグループ;Streptococcus uberisStreptococcus spp.、Streptococcus cristatusStreptococcus gordoniiStreptococcus oralisStreptococcus parasanguinisStreptococcus salibariusStreptococcus bovisStreptococcus mutansを挙げることができる。有害菌として好ましくは、E.coliS.dysgalactiaeS.uberis、及びS.agalactiaeである。例えば、有害菌としては、E.coli IID562、S.dysgalactiae NRIC1986、S.uberis NRIC1153、及びS.agalactiae NRIC1137であってもよい。
本発明は、家畜にとってより安全で、かつ、簡便な手法で質のよい堆肥を提供することができる。また、本発明の堆肥は、非常に簡単な方法で製造することができるため、堆肥化に要する費用、時間等を節約することができる。特に、本発明の堆肥は、堆肥中の水分含有量が豊富で、大腸菌数が非常に少なく、戻し堆肥や植物の育成用の肥料として非常に有用である。また、本発明の放線菌は、このような優れた堆肥の性質を維持する上で非常に有用である。
BB堆肥中と一般的な好気堆肥中の放線菌数を比較したグラフである。横軸は、放線菌の培養温度を示し、縦軸は放線菌数(log CFU/g堆肥)を示す。 単離した放線菌2株(Streptomyces sp. A44株、Streptomyces sp. A51株)のEscherichia coli IID562株に対する抗菌活性を測定した結果を示す写真及び表である。 A44株の分子系統解析図である。 A51株の分子系統解析図である。 Streptomyces sp. A44株及びStreptomyces sp. A51株による、堆肥中の大腸菌排除試験の結果を表すグラフである。縦軸は大腸菌数(CFU/g)を表し、横軸は大腸菌接種からの日数を表す。グラフ中、ひし形は対照群、白丸はStreptomyces sp. A44株及びStreptomyces sp. A51株の培養物を0.2%添加した群、黒丸はStreptomyces sp. A44株及びStreptomyces sp. A51株の培養物を1%添加した群を表す。
1.堆肥の製造方法
一態様において本発明は、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便を堆積することを備える堆肥の製造方法に関する。上述のとおり、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) ANTI MUFFA(FERM BP−10663)は、受託番号FERM BP−10663として寄託されている。ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料は、当該乳酸菌を含有している飼料であれば、その形態、組成が限定されるものではなく、固形飼料の他、粉体、液体、ゲル状、グミ状などのあらゆる形態の動物が経口摂取可能な飼料を含む。また、ここで言う飼料とは、家畜動物の成育に必要な成分を含んでいるか否かは問わない。よって、例えば、無栄養であっても、家畜動物が経口摂取可能であれば飼料に含まれる。このような飼料として好ましくは、バイオバランス(登録商標)Y(株式会社バイオバランス、日本国愛知県名古屋市)である。
より具体的には、本発明の堆肥の製造方法は、以下のステップを備えることができる:
a)ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便の水分を調製するステップ、
b)前記糞便を堆積して静置するステップ、
c)前記工程により得られた堆肥を反転させるステップ、及び、
d)前記堆肥を静置するステップ、
を備える、堆肥の製造方法。
前記a)のステップの水分調製は、例えば、乾材を添加することにより行うことができる。このような乾材としては、オガクズ、カンナクズ、又はモミガラ等を挙げることができる。含有させる水分量は、堆肥の熟成が可能な水分量であり、例えば、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上であってよい。特に、水分量が55%以上であれば、有用菌の生存・増殖が妨げられないことから好ましい。よって、本発明の方法において含有させる水分量は、45〜90%、55〜90%、50〜85%、55〜85%、55〜80%などであっても良い。また、本発明の方法では、堆肥化の初期過程(堆積化されたばかりの糞便)では放線菌数が少ないが、(その後、放線菌を外部から添加しなくとも)最終的に製造された堆肥には放線菌が豊富に存在する。よって、前記ステップa)における糞便中の放線菌数は少なくてもよい。ここで、放線菌数が少ないとは、好ましくは、糞便又は堆肥1g当たりの放線菌数が6.0 log CFU未満、又は、2.0〜5.0 log CFUであることを意味しても良い。
前記ステップb)及びステップd)の静置(堆積)は、任意の場所で行うことができ、コンクリート等の人口地面や土等の天然の地面の上でよい。好ましくは、これらのステップは、風雨にさらされない場所で行われ、例えば、屋根等の雨除けの下、小屋等の室内、表面を水不透性のシート(例えば、ビニールシート)で覆われて行われる。また、これらのステップの間の糞便又は堆肥の堆積物の内部温度としては、例えば、30〜60℃、30〜55℃であってもよく、好ましくは、有用菌を死滅させないために、高温になりすぎない温度(例えば、55℃以下)が選択される。静置の期間は、ステップb)については、1〜3ヶ月とすることができ、好ましくは、1〜2ヶ月である。ステップd)の静置の期間は既に熟成が進んでいることから、より短くい時間で堆肥化させることができ、例えば、2週間〜1ヶ月とすることができる。堆積する高さは、任意の高さとすることができるが、堆積・切り返しが容易な高さ、または適切な内部温度を与える高さとして、1〜5mとすることができ、好ましくは、2〜3mである。
ステップc)の堆肥の反転は、本技術分野では切り返しと呼ばれる方法であり、堆肥の内側と外側を入れ替えたり、内側と外側の堆肥を混合したりすることによって、堆肥全体の熟成度を均一にするために行われる。本発明の堆肥の製造方法は、堆肥の反転ステップ(ステップc))の回数が少ないにもかかわらず良質な堆肥を製造可能である。本発明の堆肥の製造方法においては、通常、堆肥の反転は1回のみでよい。
好ましくは、本発明の堆肥の製造方法は、本発明の家畜動物の糞便から製造した堆肥であって、中温域の好気条件下で生育する放線菌数が多いことあるいは、低温域又は高温域の好気条件下で生育する放線菌数よりも多いことを特徴とする堆肥の製造方法である。
また、本発明の堆肥の製造方法は、堆肥化開始時には放線菌数が少ない。それにもかかわらず、外部から放線菌を添加しなくとも、堆肥化が完了した時点では非常に多くの放線菌を含有させることができる。即ち、従来は、堆肥中の放線菌数を増やすために放線菌又は放線菌を含有する資材を堆肥の製造途中で人工的に添加していたが、本発明の方法においてはそのような添加は不要である。よって、一態様において本発明の製造方法は、その製造工程において、人工的に放線菌又は放線菌を含有する資材を添加しないことを特徴としてもよい。ここで、放線菌を含有する資材とは、放線菌を増殖させ又は付着させた植物、植物加工品(発酵物など)、土壌、又は培地等を意味する。
あるいは、本発明においては、堆肥の性質を向上させるために有用である、放線菌Streptomyces sp. A44株、及びStreptomyces sp. A51株を見出したことから、別の態様において、本発明の方法は、これらの放線菌株の少なくとも1つの菌株を堆肥化工程において添加することを備えていても良い。
2.放線菌数を増加させる方法
別の態様において、本発明は、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便を堆積することを備える、堆肥中の中温域の好気条件下で生育する放線菌数を増加させる方法に関する。ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料については、上述の製造方法と同様である。
また、特に本発明の方法は、堆肥化開始時には放線菌数が少ないにもかかわらず、外から放線菌を添加しなくとも、堆肥化が完了した時点では非常に多くの放線菌を含有させることができる。よって、一態様において本発明の方法は、放線菌又は放線菌を含有する資材を添加しないことを特徴としてもよい。ここで、放線菌を含有する資材とは、放線菌を増殖させ又は付着させた植物、植物加工品(発酵物など)、土壌、又は培地等を意味する。
あるいは、本発明の方法は、本発明において特に有用であることが見出された放線菌Streptomyces sp. A44株、及びStreptomyces sp. A51株の少なくとも1つの菌株を堆肥化工程において添加することを備えていても良い。
3.戻し堆肥の製造方法
本発明の堆肥は、戻し堆肥とすることができる。よって、一態様において本発明は、前記堆肥の製造方法により得られた堆肥と乾材とを混合するステップを備える、戻し堆肥の製造方法に関する。ここで、乾材としては、オガクズ、カンナクズ、又はモミガラ等を挙げることができる。
4.本発明の堆肥を含有する各種プロダクトの製造方法
本発明の堆肥を含有する培養土、肥料、又は土壌改良剤は、堆肥からこれらのプロダクトを製造するための当業者周知の方法を適宜利用して、製造することができる。
5.本発明の堆肥、戻し堆肥、本発明の堆肥を含有する各種プロダクトの使用方法
本発明の堆肥、戻し堆肥、本発明の堆肥を含有する各種プロダクトは、それぞれの用途に応じて、当業者が通常使用する方法に準じて使用することができる。
6.本発明の放線菌を含有する有害菌を排除するための組成物の製造
本発明の放線菌を含有する有害菌を排除するための組成物は、例えば、放線菌培養物又はその加工物として製造することができる。放線菌の培養は放線菌に適した培地中で行うことができ、例えば、ブドウ糖と酵母エキスを水に溶解した液体培地に土壌(例えば、バーミキュライト)を混合した培地を用いることができる。Streptomyces sp.A44株及び/又はStreptomyces sp.A51株の種菌を生理食塩水に懸濁して放線菌培地に接種し、10日間〜2月間培養を行うことにより、放線菌培養物を得ることができる。放線菌培養物は、必要に応じて、濃縮又は乾燥させて放線菌培養物の加工物としてもよい。
7.本発明の放線菌を添加することを含む、土壌、堆肥又は糞尿中の有害菌の排除方法
本発明の放線菌は、土壌、堆肥又は糞尿中の有害菌を排除することができることから、このような有害菌の排除方法に用いることができる。本発明の有害菌の排除方法においては、目的の土壌、堆肥又は糞尿に前記放線菌組成物を直接添加することにより行うことができ、必要に応じて添加後に混合しても良い。あるいは、牛舎、豚舎又は鶏舎等の家畜の収容施設内の糞尿が接触する箇所や戻し堆肥に予め前記放線菌組成物を散布又は混合しておいてもよい。
以下、本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。
(実施例1)BB堆肥の製造方法
バイオバランス(登録商標)Y(株式会社バイオバランス、日本国愛知県名古屋市)を給与した牛の除糞物に、オガクズ加えて水分70%に調整し、雨除けの下で2〜3mの高さに堆積し、1月静置した。この期間の中心温度を測定したところ、40〜55℃であった。その後、反転してさらに1ケ月間静置堆積を行ない堆肥化を完了した。(以下、得られた堆肥を「BB堆肥」という)
(実施例2)好気堆肥とバイオバランス(登録商標)Yにおける放線菌数の差異
実施例1で得られたBB堆肥を105℃で6時間乾燥したものと好気堆肥各1gをSDS−酵母エキス(Yeast extract)を含む前処理液9gに分散し、40℃、20分間前処理した。その後、滅菌生理食塩水で10000倍まで段階希釈ものを50μlHV平板(Humic acid−vitamin agar、HV agar)に塗抹した。塗抹した平板を好気条件で55℃、37℃、25℃に設定したインキュベーターにて2週間培養した。出現したコロニーを放線菌として計数した。
SDS−酵母エキス(Yeast extract)を含む前処理液は、0.5gのSodium dodecyl sulfate(関東化学)及び60gのYeast extract(OXOID)を50mM Phosphate buffer(pH 7.0)に溶解し、121℃で15分間オートクレーブして作製した。
また、放線菌分離培地であるHV平板(Humic acid−vitamin agar、HV agar)は、以下の組成をpH7.2に調整後、121℃15分オートクレーブし、常法に従い平板を作製した。

Humic acid*1(和光純薬) 1.0g
NaHPO(関東化学) 0.5g
KCl(関東化学) 1.7g
MgSO・7HO(関東化学) 0.05g
FeSO・7HO(関東化学) 0.01g
CaCO(関東化学) 0.02g
B−vitamins*2 5mL
Cycloheximide*3(和光純薬) 50mg
Nalidixic acid*4(和光純薬) 20mg
Agar(極東化学) 20g
Distilled water 1L

*1 Humic acid溶液
5g/100ml 0.2N NaOH溶液として110℃、10分間加熱溶解したものを培地1Lに対して20ml添加した。
*2 B−Vitamins
下記試薬(全て、和光純薬)を溶解して調製後、フィルターで濾過滅菌した。
Thiamine−HCl 100mg
Rivoflavin 100mg
Niacin 100mg
Pyridoxin−HCl 100mg
Inositol 100mg
Ca−pantothenate 100mg
p−aminobenzoic acid 100mg
biotin 50mg
*3 Cycloheximide溶液(終濃度50ppm)
1000mg/100mlのEtOH溶液として調製し、培地1Lに対して5mlを添加した。
*4 Nalidixic acid溶液(終濃度500ppm)
2000mg/100ml、0.2N NaOH溶液として調製し、培地1Lに対して1ml添加した。
結果を図1に示す。25〜37℃で培養することにより出現した放線菌のコロニー数は好気堆肥よりもBB堆肥の方が100倍以上多かった。また、同じBB堆肥内での比較においても、25〜37℃で培養することにより出現した放線菌のコロニー数は他の温度で培養することにより出現した放線菌のコロニー数より多かった。したがって、BB堆肥は好気堆肥よりも、放線菌による有機物分解が活用しやすい堆肥であることが示された。
(実施例3)抗菌活性を有する放線菌の単離
実施例2で培養したHV培地から放線菌を釣菌し、YM培地で画線単離した。単離した放線菌2株(Streptomyces sp. A44株、Streptomyces sp. A51株)をYM培地、HV培地で再度培養して生育条件を検討した。あらかじめEscherichia coli IID562株を塗抹したNB培地に、放線菌が生育したYM培地片を乗せ、24時間後における阻止円の形成を確認した。
結果を表1及び図2に示す。単離放線菌は、25℃と37℃で生育を示したが、55℃では生育しなかった。なお、単離放線菌は、Escherichia coli IID562株に対して抗菌性を示した。したがって、単離放線菌は、堆積期間中に病原菌の増殖を抑制すると考えられる。
(実施例4)放線菌株の特定
得られた放線菌株は、ISP培地No.2(ISP2)寒天培地(「ダイゴ」(日本製薬))にて30℃、1週間好気培養を行い、光学顕微鏡(BX50F4(オリンパス))と実体顕微鏡(SZH10(オリンパス))を用いて簡易形態観察を行った。また、16S rDNA塩基配列については、BLAST相同性検索、及び分子系統解析はアポロンDB−BA10.0(テクノスルガ・ラボ)、国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)を基に解析を行った。A44株及びA51株から得られた塩基配列を、それぞれ、配列番号1及び配列番号2に示す。これらの配列と、データベース上位30株の相同率を比較した。ソフトウェアはアポロン3.0(テクノスルガ・ラボ)を使用した。比較結果を基に分子系統解析を行い、A44株、A51株の分子系統学的位置を確認した。
得られた放線菌株を特定した結果を表2(Streptomyces sp. A44株)及び表3(Streptomyces sp. A51株)に示す。また、その結果、相同率の比較においてA44株、A51株はデータベース上の既知種と完全に一致する相同率を示さず、分子系統学的位置においても何れの既知種とも異なる分子系統学的位置を示した。A44株及びA51株分子系統解析図をそれぞれ図3及び図4に示す。これらの解析結果からA44株、A51株をそれぞれStreptomyces sp.と同定した。この結果から、いずれもストレプトマイセスの新株であることが確認された。
(実施例5)堆肥の微生物叢
バイオバランス(登録商標)Y(株式会社バイオバランス、日本国愛知県名古屋市)を給与した牛の除糞物に、オガクズ加えて水分70%に調整して堆積した。50〜60℃で1ケ月間静置堆積を行なった後、反転してさらに1ケ月間静置堆積を行ない肥化を完了した。完成した堆肥について、大腸菌群はXMG培地を、放線菌はHA培地を用いて検査した。
その結果、大腸菌群は陰性であった。放線菌は2.0×10CFU/gとなった。これにより、***炎や細菌性下痢の原因となる大腸菌群を含まない衛生的堆肥であることが示された。
(実施例6)放線菌培養物の有害菌排除作用
(1)放線菌培養物の調製
ブドウ糖4g、酵母エキス4gを水1Lに溶解し液体培地とした。バーミキュライト1kgに対し、水10mlを添加し固体培地とした。液体培地と固体培地はそれぞれ121℃、15分間高圧蒸気滅菌を行った後、1:1に混合し放線菌培地とした。トリプチケースソイ寒天培地に塗抹し、十分に生育させたStreptomyces sp.A44株とStreptomyces sp.A51株のコロニーを採取したものを生理食塩水に懸濁して種菌とした。種菌を放線菌培地に接種し、28日間培養を行い、培養後の放線菌培養物に含まれる放線菌数を測定した。28日間の培養で得られた放線菌培養物に含まれる放線菌数は8.9×10CFU/gであった。
(2)放線菌培養物の有害菌排除作用試験
前記(1)で得られた放線菌培養物を堆肥の重量に対して0.2%、又は1.0%混合し、有害菌としてEscherichia coli IID562株を1g当り10〜10CFUとなるように接種した。対照群として、放線菌を添加していない堆肥に同様にEscherichia coli IID562株を1g当り10〜10CFUとなるように接種した。その後、全ての堆肥を50〜60℃で28日間静置し、Escherichia coli IID562株についてXMG培地を用いて検査した。
結果を図5に示す。放線菌培養物を添加した堆肥はいずれも対照群と比べて大腸菌数が速やかに減少した。従って、Streptomyces sp.A44株及びStreptomyces sp.A51株は、堆肥中に含まれる大腸菌を速やかに排除する効果を有することが示された。
(実施例7)放線菌の諸性質の検討
「放線菌の分類と同定」(日本放線菌学会編、日本学会事務センター)に記載の内容に基づき、Streptomyces sp. A44株とStreptomyces sp. A51株の形態的性質、培養的性質、生理学的性質について検討した。Streptomyces sp. A44株及びStreptomyces sp. A51株の結果を、それぞれ、以下の表4及び表5に示す。
(実施例8)放線菌が有する抗菌活性の検討
Streptomyces sp. A44株又はStreptomyces sp. A51株をTS寒天培地又はYM寒天培地で25℃又は37℃で生育させた。それぞれの生育培地を5mmストローで打ち抜き、寒天片を採取した。抗菌活性を測定する対象の菌(供試菌)としては、E.coli IID562、P.aeruginosa NRIC0201、S.dysgalactiae NRIC1986、S.uberis NRIC1153、及びS.agalactiae NRIC1137を使用した。供試菌を予め塗抹したLB培地に、前記寒天片を乗せ、36〜48時間培養後に生育阻止部分の長さを計測した。
Streptomyces sp. A44株及びStreptomyces sp. A51株の阻止円を測定した結果を、それぞれ表6及び表7に示す。この結果から、Streptomyces sp. A44株及びStreptomyces sp. A51株はいずれも中温域(25℃)で3〜7日培養することにより、より強い抗菌活性を発揮することが示された。また、培養温度と培養培地の違により、抗菌スペクトルと抗菌活性の強さが異なっていたことから、二種類以上の抗菌活性物質を生産していることが推測された。Streptomyces sp. A44株は、E.coli IID562、S.dysgalactiae NRIC1986、S.uberis NRIC1153、及びS.agalactiae NRIC1137に対して抗菌活性を示し、Streptomyces sp. A51株は、S.uberis NRIC1153、及びS.agalactiae NRIC1137に対して抗菌活性を示すことが明らかとなった。

Claims (19)

  1. ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物の糞便から製造した堆肥であって、20℃〜40℃の好気条件下で生育する放線菌数が、20℃よりも低い温度又は40℃よりも高い温度の好気条件下で生育する放線菌数よりも多いことを特徴とする堆肥。
  2. 前記ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料が、バイオバランス(登録商標)Yであることを特徴とする、請求項に記載の堆肥。
  3. 大腸菌群陰性である、請求項1又は請求項2に記載の堆肥。
  4. pHが6.0〜9.0であることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の堆肥。
  5. 水分含量が45%以上であるであることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の堆肥。
  6. 放線菌又は放線菌を含有する資材が添加されていないことを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の堆肥。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の堆肥の製造方法。
  8. a)ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便の水分を調製するステップ、
    b)前記糞便を堆積して静置するステップ、
    c)前記工程により得られた堆肥を反転させるステップ、及び、
    d)前記堆肥を静置するステップ、
    を備える、請求項に記載の製造方法。
  9. 前記反転は1回行われる、請求項8に記載の製造方法。
  10. ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料が、バイオバランス(登録商標)Yであることを特徴とする、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 放線菌又は放線菌を含有する資材を添加しないことを特徴とする、請求項〜請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. a)ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料を摂取した家畜動物から得た糞便の水分を調製するステップ、
    b)前記糞便を堆積して静置するステップ、
    c)前記工程により得られた堆肥を1回反転させるステップ、及び、
    d)前記堆肥を静置するステップ、
    を備える、堆肥中の20℃〜40℃の好気条件下で生育する放線菌数を増加させる方法であって、放線菌又は放線菌を含有する資材を添加しないことを特徴とする、方法。
  13. ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ANTI MUFFA(FERM BP−10663)を含有する飼料が、バイオバランス(登録商標)Yであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 20℃〜40℃の好気条件下で生育する放線菌が、Streptomyces sp. A44株及び/又はStreptomyces sp. A51株を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の堆肥。
  15. 請求項1〜請求項、及び請求項14のいずれか1項に記載の堆肥と乾材とを含有する、戻し堆肥。
  16. Streptomyces sp. A44株及び/又はStreptomyces sp. A51株を添加することを含む、請求項〜請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 請求項〜請求項11、及び、請求項16のいずれか1項に記載の製造方法により得られた堆肥と乾材とを混合するステップを備える、戻し堆肥の製造方法。
  18. Streptomyces sp. A44株及び/又はStreptomyces sp. A51株を添加することを含む、請求項12又は請求項13に記載の方法。
  19. 請求項1〜請求項、及び請求項14のいずれか1項に記載の堆肥を含有することを特徴とする、培養土、肥料、又は土壌改良剤。
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