JP6610420B2 - 鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]鋼板表面に、下層として付着量が100mg/m2以上5000mg/m2以下の金属亜鉛層と、上層として酸化物からなる酸化物層とを有し、前記酸化物層は、Znを30mg/m2以上、Sを1.0mg/m2以上、Cを0.2mg/m2以上、Oおよび固体潤滑剤を含有し、さらに、平均厚さが20nm以上であることを特徴とする鋼板。
[2]前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、グラファイト、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのうち少なくとも1種を合計で、50mg/m2以上1000mg/m2以下含有し、平均粒子径が50〜5000nmであることを特徴とする上記[1]に記載の鋼板。
[3]前記酸化物層に、硫酸基、炭酸基及び水酸基が存在することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の鋼板。
[4]前記酸化物層にZn4(SO4)1−X(CO3)X(OH)6・nH2Oで表される結晶構造物が含まれることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼板。ここで、Xは0<X<1の実数、nは0≦n≦10の実数である。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼板の製造方法であって、鋼板に付着量が100mg/m2以上5000mg/m2以下となるよう電気亜鉛めっきを行う下層形成工程と、前記下層形成工程で形成された下層形成後の鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上および固体潤滑剤を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う酸化物層形成工程と、前記酸化物層形成工程で形成された酸化物層形成後の鋼板を、アルカリ性水溶液に接触させた状態で0.5秒以上保持し、その後水洗、乾燥を行う中和処理工程とを備え、前記アルカリ性水溶液は炭酸イオンを炭酸イオン濃度として0.1g/L以上含有することを特徴とする鋼板の製造方法。
[6]前記酸性溶液は、pHが2〜6であり、温度が20〜80℃であることを特徴とする上記[5]に記載の鋼板の製造方法。
[7]前記アルカリ性水溶液は、pHが9〜12であり、温度が20〜70℃であることを特徴とする上記[5]または[6]に記載の鋼板の製造方法。
酸化物層中のZn含有量、S含有量については、重クロム酸アンモニウム2%+アンモニア水14%溶液(%は質量%を意味する)で、酸化物層を溶解した溶液を、ICP発光分析装置を用いて分析することで定量することが可能である。酸化物層に含まれる、Cについては、酸化物層を直径0.2mm以下、長さ40mm以上のステンレスブラシとエタノールを用いて表面をこすり、得られたエタノール液を吸引ろ過することで、酸化物層成分を粉末成分として抽出することが可能である。これを、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて昇温分析することで定量するこが可能である。
下層形成工程とは、めっきを施す方法により、鋼板表面に、付着量が100mg/m2以上5000mg/m2以下の下層、すなわち金属亜鉛層を形成する工程である。母材鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれも用いることができる。
酸化物層形成工程とは、下層形成工程で形成された下層形成後の鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上および固体潤滑剤を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う工程である。上層のZn、O、S、固体潤滑剤を含有する酸化物層を鋼板上へ形成する一例として、鋼板を、硫酸イオン、Znイオン、固体潤滑剤を含有する酸性溶液に所定時間接触させ、その後水洗を行う方法が挙げられる。なお、必要に応じて、水洗後に乾燥を行ってもよい。具体的には、鋼板を、硫酸イオン:3g/L以上、Znイオン:3g/L以上および固体潤滑剤:0.1g/L以上含有する酸性溶液と接触させた後、水洗を行う。酸性溶液はpHが2〜6であることが好ましい。pHが2未満では下層に形成した金属亜鉛層の溶解が激しく、酸化物層の生成も抑制される場合がある。一方、pHが6超えの酸性溶液では溶液中のZnイオンが析出し、スラッジが発生してしまう場合があり、好ましくない。よって、酸性溶液のpHは2以上が好ましい。酸性溶液のpHは6以下が好ましい。
中和処理工程とは、前記酸化物層形成工程で形成された酸化物層の表面を、アルカリ性水溶液に接触させた状態で0.5秒以上保持し、その後水洗、乾燥を行う工程である。
酸化物層の厚さの測定
鋼板に形成された酸化物層の厚みの測定には蛍光X線分析装置を使用した。測定時の管球の電圧および電流は30kVおよび100mAとし、分光結晶はTAPに設定してO−Kα線を検出した。O−Kα線の測定に際しては、そのピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、O−Kα線の正味の強度が算出できるようにした。なお、ピーク位置およびバックグラウンド位置での積分時間は、それぞれ20秒とした。
重クロム酸アンモニウム2%+アンモニア水14%溶液(%は質量%を意味する)を用いて、酸化物層のみを溶解し、その溶液を、ICP発光分析装置を用いて、Zn、Sの定量分析を実施した。
走査型電子顕微鏡を用いて、加速電圧5kV、作動距離8.5mm、倍率5000倍でランダムに抽出した5視野を観察し、固体潤滑剤の平均粒子径、個数を求めた。観察視野中の単位面積当たりの固体潤滑剤の合計体積を求め、密度と掛け合わせることで含有量を算出し、5視野の平均値を求めて固体潤滑剤の含有量とした。
同様に粉末化し採取した酸化物層成分、ガスクロマトグラフ質量分析法を用いて分析しCの存在形態について分析を実施した。
X線光電子分光装置を用いて、Zn、S、Oの存在形態について分析した。Al Ka モノクロ線源を使用し、Zn LMM、 S 2pに相当するスペクトルのナロー測定を実施した。
示唆熱天秤を用いて100℃以下の重量減少量を測定した。測定には粉末試料は約15mgを用いた。試料を装置内に導入後、室温(約25度)から1000℃まで、昇温速度10℃/minで昇温させ、昇温時の熱重量変化を記録した。
同様に粉末化し採取した酸化物層成分のX線回折を実施し、結晶構造を推定した。ターゲットにはCuを用い、加速電圧40kV、管電流50mA、スキャン速度4deg/min、スキャン範囲2〜90°の条件で測定を実施した。
(2)プレス成形性(摺動特性)の評価方法
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
[条件1]
図2に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):100cm/minとした。
[条件2]
図3に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):20cm/minとした。
(3)脱脂性の評価方法
脱脂性の評価は、脱脂後の水濡れ率で評価を行った。作成した試験片に、スギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを片面2.0g/m2塗油したのち、日本パーカライジング(株)製のFC−L4460のアルカリ脱脂液を用いてサンプルの脱脂を行った。脱脂液にスギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを10g/Lを予め添加することで自動車生産ラインにおけるアルカリ脱脂液の劣化をシミュレートした。ここで、脱脂時間は60秒とし、温度は37℃とした。脱脂時は脱脂液を直径10cmのプロペラを150rpmの速度で攪拌した。脱脂完了から20秒後の試験片の水濡れ率を測定することで、脱脂性の評価を行った。
(4)外観ムラの評価
外観ムラには目視により評価した。図4に示す外観見本を基準として、評点を1〜5点を付与し評価した。なお4点以上が良好であることを示し、5点は更に良好であることを示している。
評点1:面積率が50%以上の明確なムラが存在する。
評点2:面積率は50%以上であるが、ムラは明確ではない。
評点3:面積率が20%以上の明確なムラが存在する。
評点4:面積率は20%以上であるが、明確ではないムラが存在する。
評点5:目視で確認できるムラは存在しない。
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 引き抜き荷重
Claims (7)
- 鋼板表面に、
下層として付着量が100mg/m2以上5000mg/m2以下の金属亜鉛層と、
上層として酸化物からなる酸化物層とを有し、
前記酸化物層は、Znを30mg/m2以上、Sを1.0mg/m2以上、Cを0.2mg/m2以上、Oおよび固体潤滑剤を含有し、さらに、平均厚さが20nm以上であり、
前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、グラファイト、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのうち少なくとも1種を合計で、50mg/m 2 以上1000mg/m 2 以下含有し、平均粒子径が50〜5000nmであることを特徴とする鋼板。 - 前記金属亜鉛層の付着量は、2000mg/m 2 以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
- 前記酸化物層に、硫酸基、炭酸基及び水酸基が存在することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板。
- 前記酸化物層にZn4(SO4)1-X(CO3)X(OH)6・nH2Oで表される結晶構造物が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板。
ここで、Xは0<X<1の実数、nは0≦n≦10の実数である。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法であって、鋼板に付着量が100mg/m2以上5000mg/m2以下となるよう電気亜鉛めっきを行う下層形成工程と、
前記下層形成工程で形成された下層形成後の鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上および固体潤滑剤を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う酸化物層形成工程と、
前記酸化物層形成工程で形成された酸化物層形成後の鋼板を、アルカリ性水溶液に接触させた状態で0.5秒以上保持し、その後水洗、乾燥を行う中和処理工程とを備え、
前記アルカリ性水溶液は炭酸イオンを炭酸イオン濃度として0.1g/L以上含有することを特徴とする鋼板の製造方法。 - 前記酸性溶液は、pHが2〜6であり、温度が20〜80℃であることを特徴とする請求項5に記載の鋼板の製造方法。
- 前記アルカリ性水溶液は、pHが9〜12であり、温度が20〜70℃であることを特徴とする請求項5または6に記載の鋼板の製造方法。
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