JP6610420B2 - 鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス成形時における摺動性、および自動車の製造工程におけるアルカリ脱脂性に優れた鋼板およびその製造方法に関するものである。
冷延鋼板および熱延鋼板(以下、単に鋼板と称する場合もある。)は、自動車車体用途を中心に広範な分野で広く利用されている。そのような用途での鋼板は、プレス成形、塗装を施されて使用に供される。特に、近年のCO排出規制強化の観点から、自動車車体の軽量化の目的で使用される鋼板は、高強度鋼板の使用比率が増加傾向にある。
しかし、強度が440MPaを超える高強度鋼板は、型カジリが発生しやすいという欠点を有する。これは、鋼板の強度上昇に伴い、プレス成形時の金型と鋼板の面圧が上昇すること、鋼板の硬さが金型の硬さに近づくことが原因である。すなわち、強度が440MPaを超える高強度鋼板では、連続プレス成形時に金型の磨耗が激しくなり、成形品の外観を損なう等の自動車の生産性に深刻な悪影響を及ぼす。さらに、そのような高強度鋼板は、強度上昇に伴い鋼板の伸びが劣る傾向にあるため、プレス成形時に鋼板の破断が起こりやすい。一方、強度が440MPa以下の比較的強度の低い鋼板に対しても、部品の一体化や意匠性の向上のため、より複雑な成形を可能とする、更なるプレス成形性の向上が求められている。
鋼板のプレス成形性を向上させる方法として、金型に表面処理を施す方法が広く用いられる。しかし、この方法では、金型に表面処理を施した後、金型の調整を行えない等の問題がある。従って、鋼板自身のプレス成形性が改善されることが強く要請されている。
ところで、近年、生産工程の簡素化、生産工程における環境負荷物質の低減などが試みられている。特に、塗装工程の前処理である、アルカリ脱脂工程のライン長の短縮化、アルカリ脱脂工程における作業環境の低温化が進んでいる。このような過酷な条件でも、塗装工程に悪影響を及ぼさない、優れた脱脂性を有する鋼板が求められている。
上記の通り、自動車用の鋼板として、優れたプレス成形性を有するとともに、従来よりも過酷なアルカリ脱脂条件下においても、優れた脱脂性を満足する鋼板が求められている。
プレス成形性を改善させる方法としては、鋼板の表面に潤滑皮膜を形成する技術が知られている。
特許文献1には、アルカリ金属ホウ酸塩と潤滑剤としてステアリン酸亜鉛とワックスの混成物を含有する潤滑皮膜を鋼板上に形成することにより、プレス成形性を向上させる技術を開示している。
特許文献2には、リチウムシリケートを皮膜成分とし、これに潤滑剤としてワックスと金属石鹸を加えた物を鋼板上に形成することにより、プレス成形性を向上させる技術を開示している。
特許文献3には、シラノール基あるいは水酸基を有するポリウレタン樹脂を1〜15μmの厚さで形成することにより、高面圧加工による連続成形時に耐型カジリ性を向上させる技術を開示している。
特許文献4には、エポキシ樹脂中に潤滑剤を添加したアルカリ可溶型有機皮膜を鋼板上に形成することにより、潤滑性を向上させる技術を開示している。
脱脂性を改善させる方法としては、アルカリ性の溶液やP(リン)を含有する溶液で洗浄する技術が挙げられる。
特許文献5には、酸化物層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を、アルカリ性の溶液で洗浄することで、脱脂性を向上させる技術を開示している。
特許文献6には、酸化物層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を、Pを含有する溶液で洗浄することで、脱脂性を向上させる技術を開示している。
特許文献7には、酸化物層を有する熱延および冷延鋼板の表面を、Pを含有する溶液で洗浄することで、脱脂性を向上させる技術を開示している。
特開2007−275706号公報 特開2002−307613号公報 特開2001−234119号公報 特開2000−167981号公報 特開2007−016266号公報 特開2007−016267号公報 特開2007−016268号公報
従来の金型に表面処理を施す方法では、鋼板表面に被覆した皮膜による、鋼板と金型の接触抑制効果により、摩擦抵抗が減少する。しかし、高強度鋼板のプレス成形における高面圧条件下では、皮膜の磨耗量が増加する。そのため、前記従来の方法を用いても、摺動距離が一定量を超えると要求特性を満足する効果を得られない。また、前記従来の方法は、比較的強度の低い鋼板に対しても、摺動性は要求特性を満足するものではない。そのため、プレス成形可能な部品形状に制限があった。
特許文献1〜4に記載の技術では、含有する潤滑剤等による潤滑効果で、潤滑性が良くなる。しかし、これらの技術の脱脂性については要求特性を満足するものではない。
特許文献5〜7に記載の技術では、脱脂性改善効果が認められる。しかし、近年の厳しい脱脂条件においては、その効果は要求特性を満足するものではない。また、Pイオンは環境負荷物質の1種であり使用しないことが望ましい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、プレス成形時の摺動抵抗が小さく、過酷なアルカリ脱脂条件(作業環境の低温化、ライン長の短縮化の条件)においても優れた脱脂性を有する鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、処理液に環境負荷物質を含まなくてもよいことを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、鋼板の表面に、下層として薄い金属亜鉛層を有し、その上層に酸化物層としてZn、O、S、Cを含有し、平均厚さが20nm以上であり、かつ固体潤滑剤を含有する酸化物層を形成することで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]鋼板表面に、下層として付着量が100mg/m以上5000mg/m以下の金属亜鉛層と、上層として酸化物からなる酸化物層とを有し、前記酸化物層は、Znを30mg/m以上、Sを1.0mg/m以上、Cを0.2mg/m以上、Oおよび固体潤滑剤を含有し、さらに、平均厚さが20nm以上であることを特徴とする鋼板。
[2]前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、グラファイト、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのうち少なくとも1種を合計で、50mg/m以上1000mg/m以下含有し、平均粒子径が50〜5000nmであることを特徴とする上記[1]に記載の鋼板。
[3]前記酸化物層に、硫酸基、炭酸基及び水酸基が存在することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の鋼板。
[4]前記酸化物層にZn(SO)1−X(CO)(OH)・nHOで表される結晶構造物が含まれることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼板。ここで、Xは0<X<1の実数、nは0≦n≦10の実数である。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼板の製造方法であって、鋼板に付着量が100mg/m以上5000mg/m以下となるよう電気亜鉛めっきを行う下層形成工程と、前記下層形成工程で形成された下層形成後の鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上および固体潤滑剤を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う酸化物層形成工程と、前記酸化物層形成工程で形成された酸化物層形成後の鋼板を、アルカリ性水溶液に接触させた状態で0.5秒以上保持し、その後水洗、乾燥を行う中和処理工程とを備え、前記アルカリ性水溶液は炭酸イオンを炭酸イオン濃度として0.1g/L以上含有することを特徴とする鋼板の製造方法。
[6]前記酸性溶液は、pHが2〜6であり、温度が20〜80℃であることを特徴とする上記[5]に記載の鋼板の製造方法。
[7]前記アルカリ性水溶液は、pHが9〜12であり、温度が20〜70℃であることを特徴とする上記[5]または[6]に記載の鋼板の製造方法。
なお、本発明において、鋼板とは、熱延鋼板、冷延鋼板である。
本発明によれば、プレス成形時の摺動抵抗が小さく、過酷なアリカリ脱脂条件においても優れた脱脂性を有する鋼板が得られる。
また、本発明によれば、処理液が炭酸イオンを含むことで、Pイオン等の環境負荷物質を含まなくてもよい。
摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。 実施例の条件1で使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。 実施例の条件2で使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。 外観ムラを評価するための評価基準を示した模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明では、鋼板表面に、下層として薄い金属亜鉛層と、上層として酸化物層とを有し、酸化物層は、Zn、O、S、Cおよび固体潤滑剤を含有し、Znが30mg/m以上、Sが1.0mg/m以上、Cが0.2mg/m以上であり、さらに、酸化物層の平均厚さが20nm以上であることを特徴とする。
上記金属亜鉛層には優れたせん断変形能があり、高い面圧下における金型と鋼板の接触部の変形を容易にする効果がある。このため、金属亜鉛層が存在することにより、金型と鋼板との間の摺動抵抗が低下する。また、金属亜鉛層には、摺動時に、後述する酸化物層中の酸化物および固体潤滑剤とともに金型表面に付着する効果がある。このため、金型に、金属亜鉛層および酸化物層の成分が付着することにより、金型と鋼板の直接的な接触を抑制し、さらなる摩擦力の低減を可能とすると考えられる。
上記酸化物層の潤滑メカニズムについては明確ではないが、以下のように考えることができる。摺動時には、金型と鋼板の間には高い面圧が生じ、潤滑油が排除され、金型と鋼板には直接的に接触する部分が生じる。さらに凝着力から鋼板の表面にはせん断応力が生じる。このような場合において、Zn、Oの元素には、金型と鋼板の直接的な接触を抑制する凝着抑制力がある。また、Sは極圧添加剤として使用される元素である。Sには、油が排除されるような高面圧状態においても、鋼板表面あるいは金型に吸着することで、鋼板と金型の凝着を抑制する凝着抑制力がある。さらに、固体潤滑剤を含むことにより、固体潤滑剤が金型と鋼板の間の摺動の一部を担い、摩擦係数は著しく低下する。これらの元素の相乗効果により、高強度鋼板のプレス成形時の高面圧条件や比較的強度の低い鋼板の複雑成形時においても、優れたプレス成形性を有することが可能となると考えられる。
上記酸化物層の脱脂性について、次のように考えることができる。酸化物層にはミクロな凹凸が存在するため、油との親和性が強くなる。しかし、中和処理工程のアルカリ性水溶液中に炭酸イオンが存在すると、酸化物層内に炭酸イオンが取り込まれ、結晶構造を変化させる。これとともに、物性も変化し、油との親和力が低下するため、脱脂性が飛躍的に向上する。このため、処理液が環境負荷物質であるPイオンを含まなくても十分な脱脂性を得ることができると考えられる。
金属亜鉛層のZn付着量は、100mg/m以上5000mg/m以下とする。100mg/m未満では、十分な摺動特性を得ることが難しく、5000mg/mを超えると自動車製造の際に重要となるスポット溶接性が低下する。
酸化物層中のZn、S、Cの含有量は、Znが30mg/m以上、Sが1.0mg/m以上、Cが0.2mg/m以上である。酸化物層のZn含有量が30mg/m未満、S含有量が1.0mg/m未満だと十分な摺動特性向上効果、すなわち、プレス成形性向上効果を得ることが難しい。一方、Zn含有量が1000mg/m超え、S含有量が100mg/m超えになると、自動車製造の際に重要となるスポット溶接性や化成処理性が低下する場合がある。Zn含有量は1000mg/m以下、S含有量は100mg/m以下が好ましい。
また、C含有量が0.2mg/m未満だと脱脂性の観点で不十分である。一方、C含有量が40mg/m超えになると、自動車製造の際に重要となるスポット溶接性や化成処理性が低下する場合がある。C含有量は40mg/m以下が好ましい。
酸化物層の平均厚さは、20nm以上とする。20nm未満では十分なプレス成形性が得られない。一方、200nmを超えると表面の反応性が極端に低下し、化成処理皮膜を形成するのが困難になる場合がある。よって、200nm以下とするのが好ましい。
酸化物層中に固体潤滑剤を効率よく含有させるためには、平均粒子径が50nm〜5000nmである粒子状の固体潤滑剤を用いることが好ましい。平均粒子径が50nm未満でも摩擦係数を低減する効果は見込まれる。しかし、粒子の作製が困難であり、液中で凝集を起こしやすくなり、処理液の管理が困難となる。一方、平均粒子径が5000nmを超えると、酸化物層中に取り込まれ難くなり、また酸化物層との密着性が劣る傾向がある。さらに好ましい平均粒子径は、100nm〜500nmである。
本発明においては、固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、グラファイト、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうち、少なくとも1種を含有することが好ましい。固体潤滑剤の含有量は、合計で50mg/m以上1000mg/m以下が好ましい。50mg/m未満では十分な潤滑効果を発揮できない可能性がある。一方、1000mg/m超えの場合には、スポット溶接性や化成処理性が低下する。
また、酸化物層中に、硫酸基、炭酸基、水酸基が存在することが酸化物層安定性の観点で好ましい。また、酸化物層形成後の鋼板を、炭酸イオンを含有するアルカリ性水溶液と接触させるという製造条件を採用すれば、酸化物層中に硫酸基、炭酸基及び水酸基を存在させられる。
また、酸化物層にZn(SO1−X(CO(OH)・nHOで表される結晶構造物が含まれることが好ましい。ここで、Xは0<X<1の実数、nは0≦n≦10の実数である。上記結晶構造物が含まれることで層状結晶のすべり変形による摺動特性の向上という効果が得られる。また、上記効果を得る観点から、上記結晶構造物の含有量は、後述する実施例で確認できる程度であることが好ましい。なお、酸化物層形成後の鋼板を、炭酸イオンを含有するアルカリ性水溶液と接触させるという製造条件を採用すれば、酸化物層にZn(SO1−X(CO(OH)・nHOで表される結晶構造物を含有させることができる。
本発明で形成した酸化物層は下記の方法で分析することが可能である。
酸化物層中のZn含有量、S含有量については、重クロム酸アンモニウム2%+アンモニア水14%溶液(%は質量%を意味する)で、酸化物層を溶解した溶液を、ICP発光分析装置を用いて分析することで定量することが可能である。酸化物層に含まれる、Cについては、酸化物層を直径0.2mm以下、長さ40mm以上のステンレスブラシとエタノールを用いて表面をこすり、得られたエタノール液を吸引ろ過することで、酸化物層成分を粉末成分として抽出することが可能である。これを、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて昇温分析することで定量するこが可能である。
酸化物層の厚さについては、蛍光X線を用いて測定し、得られた酸素強度を、厚さが既知である酸化シリコン皮膜を形成したシリコンウエハーの値を基準として、シリカ膜厚に換算し測定することができる。これから測定した値の平均値を酸化物層の平均厚さとする。
結晶水については、同様に粉末化した酸化物層成分を、示唆熱天秤を用いて分析することが可能であり100℃以下の重量減少が結晶水に相当する。
Zn、S、Oの存在形態はX線光電子分光装置を用いて分析することが可能である。
Cの存在形態については、上述の酸化物層成分を粉末成分として抽出する方法と同様に、粉末化した酸化物層成分を、ガスクロマトブラフ質量分析法を用いて分析することが可能である。
さらに結晶構造については、X線回折から得られた酸化物層の回折ピークを基に結晶構造を特定することが可能である。
酸化物層中の固体潤滑剤の含有量は、SEM観察像から、任意の20個の固体潤滑剤粒子の粒径を測定し、平均することで固体潤滑剤の平均粒子径を求め、一定面積にある固体潤滑剤粒子の存在数を測定し、全体積に密度を積算することで算出することが可能である。
次に、本発明の鋼板の製造方法について説明する。
本発明の鋼板の製造方法とは、鋼板表面に、下層として付着量が100mg/m以上5000mg/m以下の金属亜鉛層と、上層として酸化物層とを有し、酸化物層はZnを30mg/m以上、Sを1.0mg/m以上、Cを0.2mg/m以上、Oおよび固体潤滑剤を含有し、さらに酸化物層の平均厚さが20nm以上である鋼板の製造方法であって、下層形成工程と、酸化物層形成工程と、中和処理工程とを備える。
先ず、下層形成工程について説明する。
下層形成工程とは、めっきを施す方法により、鋼板表面に、付着量が100mg/m以上5000mg/m以下の下層、すなわち金属亜鉛層を形成する工程である。母材鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれも用いることができる。
下層形成工程において、めっきを施す方法は特に限定されず、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき等の一般的な方法を採用可能である。また、めっきの処理条件は特に限定されず、適宜好ましい条件を採用すればよい。一例として、亜鉛イオンを所定量含有する酸性のめっき液で満たされた亜鉛めっき浴中で、陰極としての鋼板及び不溶性陽極を用いて、めっき液を循環させながら電解することで鋼板表面に亜鉛めっきを形成する方法、すなわち電気亜鉛めっきを行う方法があげられる。さらに、めっき後に、合金化処理を施してもよい。なお、合金化処理の方法は特に限定されず、一般的な方法を採用可能である。
次に、酸化物層形成工程について説明する。
酸化物層形成工程とは、下層形成工程で形成された下層形成後の鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上および固体潤滑剤を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う工程である。上層のZn、O、S、固体潤滑剤を含有する酸化物層を鋼板上へ形成する一例として、鋼板を、硫酸イオン、Znイオン、固体潤滑剤を含有する酸性溶液に所定時間接触させ、その後水洗を行う方法が挙げられる。なお、必要に応じて、水洗後に乾燥を行ってもよい。具体的には、鋼板を、硫酸イオン:3g/L以上、Znイオン:3g/L以上および固体潤滑剤:0.1g/L以上含有する酸性溶液と接触させた後、水洗を行う。酸性溶液はpHが2〜6であることが好ましい。pHが2未満では下層に形成した金属亜鉛層の溶解が激しく、酸化物層の生成も抑制される場合がある。一方、pHが6超えの酸性溶液では溶液中のZnイオンが析出し、スラッジが発生してしまう場合があり、好ましくない。よって、酸性溶液のpHは2以上が好ましい。酸性溶液のpHは6以下が好ましい。
酸性溶液の温度は20〜80℃が好ましい。温度が20℃未満では酸化物層形成速度が遅い。一方、温度が80℃を超えると溶液の蒸発量が増加し、液濃度の管理が困難になり、コスト増大に繋がるため好ましくない。
本工程で、Zn、S、Oおよび固体潤滑剤を含有する酸化物層の形成メカニズムについては明確ではないが、次のように考えることができる。金属亜鉛層を被覆した鋼板を硫酸イオン、Znイオンおよび固体潤滑剤を含有する酸性溶液に接触させると、鋼板側では亜鉛の溶解反応と水素イオンの還元による水素発生が生じ鋼板表面のpHが上昇する。このときpHが上昇した鋼板表面付近の溶液中に硫酸イオンとZnイオンが存在するとZn、O、Sが化合物として沈殿析出する。また、同時に鋼板付近の溶液中に固体潤滑剤が存在すると、Zn、O、Sの化合物にフッ素樹脂が取り込まれる。そして、上記酸化物層が形成すると考えられる。
上記形成メカニズムの観点から、鋼板を接触させる溶液中の硫酸イオンは3g/L以上、Znイオンは3g/L以上、固体潤滑剤は0.1g/L以上含有することが好ましい。硫酸イオンおよびZnイオンがそれぞれ3g/L未満の場合、析出速度が遅く、十分な厚さの酸化物層形成が困難となる場合がある。固体潤滑剤が0.1g/L未満の場合、酸化物層に取り込まれる量が少なくなる可能性がある。一方、硫酸イオンが170g/L以上、Znイオンが120g/L以上、固体潤滑剤が100g/L以上となると、それ以上の析出速度の増加は期待できない。そのため、コストとの兼ね合いから、硫酸イオンは170g/L未満、Znイオンは120g/L未満、固体潤滑剤は100g/L未満であることが好ましい。
上記酸性溶液を上記鋼板に接触させる方法は特に限定されず、鋼板を酸性溶液に浸漬させて接触させる方法、鋼板に酸性溶液をスプレーして接触させる方法、塗布ロールを用いて鋼板上に酸性溶液を塗布する方法等がある。
酸化物層形成工程の最後に水洗を行う。なお、必要に応じて、その後、乾燥を行ってもよい。なお、水洗、乾燥の方法は特に限定されず、一般的な方法を採用可能である。
次に、中和処理工程について説明する。
中和処理工程とは、前記酸化物層形成工程で形成された酸化物層の表面を、アルカリ性水溶液に接触させた状態で0.5秒以上保持し、その後水洗、乾燥を行う工程である。
本発明においては、アルカリ性水溶液は、炭酸イオンを炭酸イオン濃度として0.1g/L以上含有する。炭酸イオンを含有するアルカリ性水溶液を酸化物層に接触させることで、温度が低く、ライン長が短いため処理時間が短い過酷なアルカリ脱脂条件においても、鋼板は優れた脱脂性を発現することが可能である。ここで、温度が低いとは、例えば35〜40℃であることを指す。ライン長が短く処理時間が短いとは、例えば60〜90秒であることを指す。
アルカリ性水溶液中の炭酸イオンの濃度は、炭酸イオンを用いることによる効果、すなわち、酸化物層と油との親和力を低下させ、更に脱脂性を向上させる効果を得る観点から、炭酸イオンとして0.1g/L以上とする。0.1g/L未満であると、酸化物層への炭酸イオンの取り込みが不十分となり、物性を十分に変化させることができない。一方、生産コストの観点から100g/L以下が好ましい。
また、炭酸イオンのもととなる物質については特に限定されない。例えば、二酸化炭素の吹き込みや、炭酸ナトリウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸カリウム及びその水和物を炭酸イオン源として用いることができる。上記例示される二酸化炭素及び炭酸塩の使用はコストおよび調達の観点から好ましい。
上記アルカリ性水溶液のpHはアルカリ性であれば特に限定されない。本発明においては、pHは9〜12であることが好ましい。pHが9以上であれば充分に中和処理を行える。また、pHが12以下であれば金属亜鉛層の溶解を防止しやすい。
上記アルカリ性水溶液の液温は特に限定されない。本発明においては、溶液の温度は20〜70℃が好ましい。液温が20℃以上であれば反応速度が増加する。液温が70℃以下であれば酸化物層溶解が抑制される。
アルカリ性水溶液を酸化物層に接触させる方法は特に限定されない。例えば、酸化物層が形成された鋼板にアルカリ性水溶液に浸漬させて接触させる方法、酸化物層が形成された鋼板をアルカリ性水溶液をスプレーして接触させる方法、塗布ロールを用いて酸化物層上にアルカリ性水溶液を塗布する方法等がある。
本発明においては、アルカリ性水溶液を酸化物層に接触させる時間を0.5秒以上とする。0.5秒以上に設定することで、鋼板に優れた脱脂性を付与できる。
なお、溶液中に不純物が含まれることによりN、Pb、Na、Mn、Ba、Sr、Si、Zr、Al、Sn、Cu、Be、B、F、Neなどが酸化物層中に取り込まれても、本発明の効果が損なわれるものではない。
以下、本発明を実施例により説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
板厚1.2mmの冷延鋼板に対して、電気亜鉛めっきを施し、表1に示す付着量の金属亜鉛層を形成した。引き続き、表1に示す条件に調整した酸性溶液に鋼板を所定時間浸漬した。次に、水洗を行った後、引き続き、表1に示す条件で中和処理を行った。
上記により得られた鋼板に対して、表面の酸化物層の厚み及び詳細を測定し、プレス成形性(摺動特性)、脱脂性および外観ムラを評価した。以下に示す。
(1)酸化物層の分析
酸化物層の厚さの測定
鋼板に形成された酸化物層の厚みの測定には蛍光X線分析装置を使用した。測定時の管球の電圧および電流は30kVおよび100mAとし、分光結晶はTAPに設定してO−Kα線を検出した。O−Kα線の測定に際しては、そのピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、O−Kα線の正味の強度が算出できるようにした。なお、ピーク位置およびバックグラウンド位置での積分時間は、それぞれ20秒とした。
また、試料ステージには、これら一連の試料と一緒に、適当な大きさに劈開した膜厚96nm、54nm及び24nmの酸化シリコン皮膜を形成したシリコンウエハーをセットし、これらの酸化シリコン皮膜からもO−Kα線の強度を算出できるようにした。これらのデータを用いて酸化物層厚さとO−Kα線強度との検量線を作成し、供試材の酸化物層の厚さを酸化シリコン皮膜換算での酸化物層厚さとして算出した。これから測定した値の平均値を酸化物層の平均厚さとする。
酸化物層の組成分析
重クロム酸アンモニウム2%+アンモニア水14%溶液(%は質量%を意味する)を用いて、酸化物層のみを溶解し、その溶液を、ICP発光分析装置を用いて、Zn、Sの定量分析を実施した。
酸化物層を直径0.15mm、長さ45mmのステンレスブラシとエタノールを用いて表面をこすり、得られたエタノール液を吸引ろ過することで、酸化物層成分を粉末成分として抽出した。粉末として採取した酸化物層成分を、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて昇温分析することでCの定量分析を実施した。ガスクロマトグラフ質量分析計の前段に熱分解炉を接続した。熱分解炉内に採取した粉末試料を約2mg挿入し、熱分解炉の温度を30℃から500℃まで、昇温速度5℃/minで昇温させた、熱分解炉内で発生するガスをヘリウムでガスクロマトグラフ質量分析計内に搬送し、ガス組成を分析した。GC/MS測定時のカラム温度は300℃に設定した。
固体潤滑剤含有量の分析
走査型電子顕微鏡を用いて、加速電圧5kV、作動距離8.5mm、倍率5000倍でランダムに抽出した5視野を観察し、固体潤滑剤の平均粒子径、個数を求めた。観察視野中の単位面積当たりの固体潤滑剤の合計体積を求め、密度と掛け合わせることで含有量を算出し、5視野の平均値を求めて固体潤滑剤の含有量とした。
Cの存在形態
同様に粉末化し採取した酸化物層成分、ガスクロマトグラフ質量分析法を用いて分析しCの存在形態について分析を実施した。
Zn、S、Oの存在形態
X線光電子分光装置を用いて、Zn、S、Oの存在形態について分析した。Al Ka モノクロ線源を使用し、Zn LMM、 S 2pに相当するスペクトルのナロー測定を実施した。
結晶水の定量
示唆熱天秤を用いて100℃以下の重量減少量を測定した。測定には粉末試料は約15mgを用いた。試料を装置内に導入後、室温(約25度)から1000℃まで、昇温速度10℃/minで昇温させ、昇温時の熱重量変化を記録した。
結晶構造の特定
同様に粉末化し採取した酸化物層成分のX線回折を実施し、結晶構造を推定した。ターゲットにはCuを用い、加速電圧40kV、管電流50mA、スキャン速度4deg/min、スキャン範囲2〜90°の条件で測定を実施した。
(2)プレス成形性(摺動特性)の評価方法
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押上げることにより、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付けられている。上記押し付け力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油として、スギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを試料1の表面に塗布して試験を行った。
図2、図3は使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に押し付けられた状態で摺動する。図2に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ5mm、摺動方向両端の下部は曲率1.0mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有する。図3に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ59mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ50mmの平面を有する。
摩擦係数測定試験は以下に示す2条件で行った。
[条件1]
図2に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):100cm/minとした。
[条件2]
図3に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):20cm/minとした。
供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
(3)脱脂性の評価方法
脱脂性の評価は、脱脂後の水濡れ率で評価を行った。作成した試験片に、スギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを片面2.0g/m塗油したのち、日本パーカライジング(株)製のFC−L4460のアルカリ脱脂液を用いてサンプルの脱脂を行った。脱脂液にスギムラ化学工業(株)製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを10g/Lを予め添加することで自動車生産ラインにおけるアルカリ脱脂液の劣化をシミュレートした。ここで、脱脂時間は60秒とし、温度は37℃とした。脱脂時は脱脂液を直径10cmのプロペラを150rpmの速度で攪拌した。脱脂完了から20秒後の試験片の水濡れ率を測定することで、脱脂性の評価を行った。
(4)外観ムラの評価
外観ムラには目視により評価した。図4に示す外観見本を基準として、評点を1〜5点を付与し評価した。なお4点以上が良好であることを示し、5点は更に良好であることを示している。
評点1:面積率が50%以上の明確なムラが存在する。
評点2:面積率は50%以上であるが、ムラは明確ではない。
評点3:面積率が20%以上の明確なムラが存在する。
評点4:面積率は20%以上であるが、明確ではないムラが存在する。
評点5:目視で確認できるムラは存在しない。
以上より得られた結果を表2、3に示す。
表1、2、3より以下の事項がわかる。
酸化物層形成処理および中和処理を行わなかったNo.1〜6の比較例は、酸化物層にS、Cが含有しないという点で比較例であり、プレス成形性に劣る。No.7〜12、19〜21は酸化物層形成処理および中和処理を行っているが、酸性溶液中に固体潤滑剤を含有しないという点で比較例であり、プレス成形性に劣る。No.13、14は下層の金属亜鉛層の付着量が不十分な点で比較例であり、プレス成形性に劣る。No.30は酸性溶液中に硫酸イオンおよびZnイオンが十分に添加されていない比較例であり、酸化物層の厚みが不十分であり、プレス成形性に劣る。No.33は酸性溶液の温度が低い比較例であり、酸化物層の厚みが不十分であり、プレス成形性に劣る。No.37、41は酸性溶液のpHが好適範囲からはずれる比較例であり、酸化物層の厚みが不十分であり、プレス成形性に劣る。No.51、52はアルカリ性水溶液中に十分な炭酸イオンが添加されない比較例であり、酸化物層中のC含有量が不十分であり、プレス成形性、脱脂性、外観が不十分である。
No.15〜18、22〜29、31、32、34〜36、38〜40、42〜50、53〜68は好適な範囲である発明例である。下層の金属亜鉛層が100mg/m以上5000mg/m以下の範囲にあり、上層の酸化物層に十分なZn、S、C、固体潤滑剤が含まれ、プレス成形性および脱脂性に優れ、外観も良好である。
No.53について詳細な酸化物層分析を行った。
ガスクロマトグラフ質量分析の結果、150℃〜500℃の間にCOの放出が確認でき、Cは炭酸塩として存在することが分かった。
X線光電子分光装置を用いて、分析した結果、Zn LMMに相当するピークが987eV付近に観察され、Znは水酸化亜鉛の状態として存在していることが分かった。同様に、S 2pに相当するピークが171eV付近に観察され、Sは硫酸塩として存在していることが分かった。
X線吸収微細構造装置を用いて分析した結果、2153、2158、2170eV付近にピークが観察され、Pはピロリン酸塩として存在することが分かった。
示唆熱天秤の結果から、100℃以下に11.2%の重量減少が認められ、結晶水を含有していることが分かった。
X線回折の結果、2θが8.5°、15.0°、17.4°、21.3°、23.2°、26.3°、27.7°、28.7°、32.8°、34.1°、58.6°、59.4°付近に回折ピークが観察される。
以上の結果と組成比率、電荷バランスから、Zn(SO0.95(CO0.05(OH)・3.3HOで示される結晶構造物質を含有していることが分かる。
他の、実施例についても、同様の手順で水酸化亜鉛、硫酸塩、炭酸塩、ピロリン酸塩、結晶水の存在の確認と、Zn(SO1−X(CO(OH)・nHOで示される結晶構造物を含有するかどうかについて調査した。存在、及び含有が確認されたものについては○、確認されなかったものには×として、調査した結果を表2中に示した。本発明例は、No.53と同様に、水酸化亜鉛、硫酸塩、炭酸塩、ピロリン酸塩、結晶水が存在し、Zn(SO1−X(CO(OH)・nHOで示される結晶構造物を含有していることがわかる。
本発明の鋼板はプレス成形性に優れることから、自動車車体用途を中心に広範な分野で適用できる。
1 摩擦係数測定用試料
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 引き抜き荷重

Claims (7)

  1. 鋼板表面に、
    下層として付着量が100mg/m以上5000mg/m以下の金属亜鉛層と、
    上層として酸化物からなる酸化物層とを有し、
    前記酸化物層は、Znを30mg/m以上、Sを1.0mg/m以上、Cを0.2mg/m以上、Oおよび固体潤滑剤を含有し、さらに、平均厚さが20nm以上であり、
    前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、グラファイト、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのうち少なくとも1種を合計で、50mg/m 以上1000mg/m 以下含有し、平均粒子径が50〜5000nmであることを特徴とする鋼板。
  2. 前記金属亜鉛層の付着量は、2000mg/m 以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
  3. 前記酸化物層に、硫酸基、炭酸基及び水酸基が存在することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板。
  4. 前記酸化物層にZn(SO)1-X(CO)(OH)・nHOで表される結晶構造物が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板。
    ここで、Xは0<X<1の実数、nは0≦n≦10の実数である。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法であって、鋼板に付着量が100mg/m以上5000mg/m以下となるよう電気亜鉛めっきを行う下層形成工程と、
    前記下層形成工程で形成された下層形成後の鋼板を、硫酸イオンを3g/L以上、Znイオンを3g/L以上および固体潤滑剤を0.1g/L以上含有する酸性溶液に接触させ、その後水洗を行う酸化物層形成工程と、
    前記酸化物層形成工程で形成された酸化物層形成後の鋼板を、アルカリ性水溶液に接触させた状態で0.5秒以上保持し、その後水洗、乾燥を行う中和処理工程とを備え、
    前記アルカリ性水溶液は炭酸イオンを炭酸イオン濃度として0.1g/L以上含有することを特徴とする鋼板の製造方法。
  6. 前記酸性溶液は、pHが2〜6であり、温度が20〜80℃であることを特徴とする請求項5に記載の鋼板の製造方法。
  7. 前記アルカリ性水溶液は、pHが9〜12であり、温度が20〜70℃であることを特徴とする請求項5または6に記載の鋼板の製造方法。
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