JP6608849B2 - 複合材料を含む水素貯蔵の製造方法 - Google Patents

複合材料を含む水素貯蔵の製造方法

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Description

本発明は、水素化可能材料を含む複合材料を含む水素貯蔵手段、水素貯蔵手段の製造方法、及び水素貯蔵手段の製造装置に関する。
21世紀における主要な課題の1つは代替エネルギー源の提供である。周知のように、鉱油又は天然ガスのような化石エネルギーキャリアの資源は限られている。ここで注目されている代替物が水素である。水素(H)そのものはエネルギー源ではなく、まず、他のエネルギー源を利用した準備が必要である。例えば太陽エネルギー手段による直接的な発電とは対照的に、水素は貯蔵、輸送することができる。さらに、水素は様々な方法、例えば燃料電池又は直接燃焼によりエネルギーに戻すことができる。発生する唯一の廃棄物は水である。しかしながら、可燃性が高いこと、及び空気と混合すると爆発性が高い水素/酸素混合物になることが水素を取り扱う際の欠点である。
したがって、輸送用の貯蔵、又は貯蔵自体を安全に行うことが大きな課題である。
水素は全ての気体の中で最も小さい分子を有することから、水素貯蔵手段に貯蔵したり再度取り出したりすることが容易ではない。米国特許出願公開第2006/0030483(A1)号明細書には、水素貯蔵手段として中空のマイクロビーズが記載されている。米国特許出願公開第2012/0077020(A1)号及び米国特許出願公開第2013/0136684(A1)号明細書には、水素貯蔵手段におけるマトリックス材料としての炭素の使用が開示されている。電池の電極における水素の貯蔵がドイツ特許第60030221(T2)号明細書で説明されている。
米国特許出願公開第2006/0030483(A1)号明細書 米国特許出願公開第2012/0077020(A1)号明細書 米国特許出願公開第2013/0136684(A1)号明細書 ドイツ特許第60030221(T2)号明細書
本発明の目的は、従来技術より優れた性質、特にはより長い寿命を有する水素貯蔵手段を提供することである。
請求項1の特徴を有する水素貯蔵手段、請求項12の特徴を有する水素貯蔵手段製造方法、及び請求項16の特徴を有する装置が提案される。有利な特徴、構成及び発展が、以下の説明、図及び請求項から、構成の個々の特徴を限定することなく明らかにされる。むしろ、ある構成の1つ以上の特徴を別の構成の1つ以上の特徴と組み合わせてさらに別の構成を得ることができる。とりわけ、各独立請求項をそれぞれ互いに組み合わせることもできる。独立請求項における表現を、本願発明の主題を限定するものとみなすべきではない。したがって、請求項の表現の1つ以上の特徴は入れ替えたり省略したり、さらに追加されたりもし得る。特定の実施例に関連して記載された特徴を、一般化した形態で用いたり、あるいは同様にそれらを他の実施例、特には応用例で用いたりすることも可能である。
中央に配置される第1領域と、第1領域の周囲に配置される第2領域とを有する第1水素貯蔵手段の第1の詳細を示す図である。 第1水素貯蔵手段の第1領域のマトリックスの詳細を示す図である。 第2領域内に第1領域を有する複合材料を示す図である。 低温領域と高温領域とを有する水素貯蔵手段を示す図である。 第1領域と第2領域とを有する水素貯蔵手段の製造の例示である。
本発明は、水素化可能材料を含む複合材料を含む水素貯蔵手段であって、上記複合材料が、上記水素化可能材料が埋め込まれた1種以上のポリマーマトリックスを第1領域に含み、1以上の層を別の第2領域に含み、上記層のうち1つが以下の主要機能:主水素貯蔵、主熱伝導、及び/又は主気体伝導、のうち少なくとも1つを有することを特徴とする水素貯蔵手段に関する。
層に割り当てられ得るさらなる機能は、例えば、1以上の方向における複合領域の支持又は安定化、1以上の方向における柔軟性、好ましくは弾性、とりわけ1以上の方向における強度に関する。
本出願における用語「層」は、好ましくは、ある材料又は2種以上の材料が薄板状に配置され、隣接する環境から薄板として区切られ得ることを意味する。例えば、隣接する層が直接接触するように、異なる材料が順次、緩い配置で重ねて注入されてよい。好ましい構成において、水素化可能材料を含む複合材料は、水素の吸収及び/又は放出時に生じる熱を水素化可能材料から直接隣接層に放出できるよう、熱伝導層と隣接するように配置され得る水素化可能層を形成してよい。
「主水素貯蔵」、「主熱伝導」、及び/又は「主気体伝導」の1以上である主要機能は、各層が少なくともこの機能を複合材料の第2領域における主目的として果たすことを意味すると理解される。例えば、ある層が主に水素貯蔵のために利用され、同時に熱伝導性を付与可能であることが考えられる。そのような場合には、主に熱伝導を担う1以上の別の層が存在していることが好ましく、これは、水素貯蔵手段の他の層と比較して、熱の大部分がこの層を経て、圧縮された複合材料から放散されることを意味する。この場合、主に気体を伝導する層を利用することが可能であり、これにより、例えば水素は複合材料に流れ込む、あるいは、例えば複合材料から導き出される。この場合、熱は流動流体によって運ばれることもできる。本発明の文脈において、この流動流体は水素、又は水素を50体積%以上、好ましくは60体積%以上、特には70体積%以上、好ましくは80体積%以上、とりわけ90体積%又は95体積%以上の割合で含む気体混合物である。水素化可能材料は、流体として気体混合物が使用される場合であっても本質的に水素だけが貯蔵されるよう、水素を排他的に貯蔵することが好ましい。
例示的な構成において、水素貯蔵層は、主気体伝導を有する層を一方に含み、主熱伝導を有する層を他方に有する。例えば、主水素貯蔵層が、両側に隣接する主熱伝導層を有することも可能である。層のそれぞれの外形は、好ましくは互いに平行であり得る。もしくは、層の侵入があってもよい。例えば、層は互いに角度を有して配置されてもよい。例えば、一方の層は他方の層に対して直角であってよく、この場合両層が主として同じ又は異なる主要機能を有する。
「水素貯蔵手段」とは、水素を貯蔵可能な貯蔵容器のことである。水素の貯蔵は、水素を保存し貯蔵する慣用的な方法を用いて行うことができ、例えば、圧縮機で圧縮することによる圧力容器での貯蔵のような圧縮ガス貯蔵、又は、冷却及び圧縮による液化形態での貯蔵のような液化ガス貯蔵で行うことができる。水素貯蔵の別の形態は固体又は液体をベースとしたものであり、例えば水素と金属又は合金との化合物として貯蔵するような金属水素化物貯蔵手段、又は高多孔質材料内での水素吸蔵のような吸蔵が挙げられる。加えて、水素の貯蔵及び輸送については、一時的に水素を有機物に結合させることで、周囲圧力で貯蔵可能な「化学結合水素」と称される液状化合物にする水素貯蔵手段も考えられる。
水素貯蔵手段は、例えば、水素と反応して水素化物(金属水素化物)を生成する金属又は合金を含み得る。この水素貯蔵方法は水素化とも称され、熱を放出しながら進行する。したがって、これは発熱反応である。水素化で貯蔵した水素は脱水素で再度放出させることができる。脱水素は吸熱反応であるため、ここでは熱の供給が必要となる。したがって、対応する水素貯蔵手段は2つの極限状態を有し得る。(1)水素貯蔵材料に水素が完全に充填され、材料が完全に水素化物の形態である、(2)水素貯蔵材料が水素を全く貯蔵しておらず、材料が金属又は合金の形態である。
本発明の文脈における水素貯蔵手段は、筐体と、筐体内に配置され水素貯蔵の機能を担う複合材料とを含む。加えて、複合材料は以下に記載される機能をさらに有し得る。
本発明において用語「複合材料」は、水素化可能材料を配置するために水素貯蔵手段において多様な成分が用いられていることを意味する。複合材料は、ポリマーマトリックス及び個々の層のような個別の成分から形成される。複合材料の特性に関しては、成分の物理的性質及び形状が重要である。複合材料は、圧密化されていることが好ましい。
用語「複合物品」とは、2種以上の材料から構成される複合材のことである。この場合、第1材料が第2材料すなわちマトリックスに埋め込まれている。マトリックスは開口気孔又は閉鎖気孔を有し得る。マトリックスは好ましくは多孔質である。一方の材料を他方の材料に埋め込むことにより、例えば、埋め込まなければ個々の成分だけがそれぞれ有していた補助的な材料特性が得られる。複合物品の特性に関しては、成分の物理的性質及び形状が重要である。特に、サイズ効果がしばしば重要である。結合は、例えば、粘着的方法、又は、形状の一致による方法、又はこれらの組み合わせにより実現される。これにより、例えば、マトリックスにおける水素化可能材料の固定した位置決めを可能にすることができる。このように、水素化可能材料がポリマーマトリックスに埋め込まれる。
本発明によれば、水素化可能材料に加えて、さらなる成分がポリマーマトリックスに埋め込まれることが可能である。マトリックスに組み込まれ得るさらなる成分は、例えば熱伝導及び/又は気体伝導のための材料である。
本発明において、マトリックスは、1種以上のポリマーを含み得ることから、高分子マトリックスと称される。本発明において記載されるマトリックスは、ポリマーマトリックスを意味すると理解される。したがって、マトリックスは1種のポリマー、又は2種以上のポリマーの混合物を含み得る。マトリックスは好ましくは1種のポリマーのみを含む。とりわけ、マトリックスそのものが水素貯蔵性であってよい。例えば、エチレン(ポリエチレン、PE)が利用可能である。チタン−エチレン化合物の利用が好ましい。好ましい構成において、チタン−エチレン化合物は14重量%以下の水素を貯蔵できる。
「ポリマー」とは、高分子と称され、構成繰り返し単位と称される同一又は同等の単位から成る直鎖又は分岐した分子から構成される化合物のことである。合成ポリマーは一般にプラスチックである。
1種以上のポリマーを使用することで、マトリックスは材料に良好な光学的、機械的、熱的及び/又は化学的性質を付与することができる。例えば、水素貯蔵手段は、このポリマーのおかげで、良好な熱安定性、周囲の媒質への耐性(耐酸化性、耐食性)、良好な伝導性、良好な水素吸収/貯蔵能、又はポリマーがなければ実現し得ない、例えば機械的強度のような他の性質を有し得る。
例えば水素の貯蔵はできないが大きく膨張可能なポリマー、例えばポリアミド又はポリビニルアセテートの使用も可能である。
本発明において、ポリマーはホモポリマー又はコポリマーであってよい。コポリマーは、2種以上の異なるタイプのモノマー単位から構成されるポリマーである。3種の異なるモノマーから成るコポリマーはターポリマーと称される。本発明において、ポリマーは、例えば、ターポリマーも含み得る。
ポリマー(ホモポリマー)は、炭素及び水素に加えて、硫黄と、酸素と、窒素と、リンとから選択される1種以上のヘテロ原子を含むモノマー単位を有することが好ましく、得られるポリマーが、例えばポリエチレンとは対照的に、完全に無極性ではないことが好ましい。ポリマーは、1種以上のモノマー単位が、炭素及び水素に加えて、硫黄と、酸素と、窒素と、リンとから選択される1種以上のヘテロ原子を含むコポリマー及び/又はターポリマーであることが好ましい。ここで、2以上のモノマー単位が、対応するヘテロ原子を有してもよい。
ポリマーは水素貯蔵材料に対して付着性を有することが好ましい。つまり、ポリマーが水素貯蔵材料そのものに良好に付着することで、水素貯蔵中に生じる応力下にあっても水素貯蔵材料に安定性高く付着するマトリックスを形成する。
ポリマーの付着性によって、材料を水素貯蔵手段に安定的に浸透させ、また、材料を水素貯蔵手段の定められた位置に最長時間、すなわち、数サイクルの水素貯蔵及び水素放出にわたって位置決めすることが可能になる。サイクルとは、1回の水素化とそれに続く脱水素の作業を指す。水素貯蔵材料は、好ましくは、材料を経済的に使用できるように、500サイクル以上、特には1000サイクル以上にわたって安定であるべきである。本発明の文脈における「安定」とは、貯蔵可能な水素量と水素貯蔵速度とが、500又は1000サイクル後であっても水素貯蔵手段の使用開始時の値に略一致することを意味する。とりわけ、「安定」とは、水素化可能材料が最初に導入された水素貯蔵手段内の同じ位置で維持されることを意味する。
好適な実施形態において、本発明の水素貯蔵材料は低温水素貯蔵材料である。したがって、発熱過程である水素貯蔵の間、温度は最高150℃に達する。対応する水素貯蔵材料のマトリックスに使用するポリマーはこれらの温度で安定でなくてはならない。したがって、好適なポリマーは180℃以下、特には165℃以下、特には145℃以下で分解されない。
とりわけ、ポリマーの融点は、100℃以上、特には105℃以上であり、かつ150℃未満、特には140℃未満、とりわけ135℃以下である。好ましくは、ISO1183に準拠して20℃で求められるポリマー密度は0.7g/cm以上、特には0.8g/cm以上、好ましくは0.9g/cm以上であるが1.3g/cm以下、好ましくは1.25g/cm以下、特には1.20g/cm以下である。ISO527に準拠した引張強さは好ましくは10〜100MPaの範囲、特には15〜90MPaの範囲、より好ましくは15〜80MPaの範囲である。ISO527に準拠した引張弾性率は好ましくは50〜5000MPaの範囲、特には55〜4500MPaの範囲、より好ましくは60〜4000MPaの範囲である。驚くべきことに、これらの機械的性質を有するポリマーは特に安定性が高く且つ良好な加工性を有することが判明している。とりわけ、マトリックスと、マトリックスに埋め込まれた水素化可能材料との間で安定した密着が可能にするため、水素化可能材料は数サイクルにわたって水素貯蔵手段内の同じ位置に留まる。これにより水素貯蔵手段の寿命は長くなる。
より好ましくは、本発明において、ポリマーはEVA、PMMA、EEAMA及びこれらのポリマーの混合物から選択される。
EVA(エチルビニルアセテート)とは、ビニルアセテートの割合が2〜50重量%の範囲であるエチレンとビニルアセテートとのコポリマー群のことである。ビニルアセテートの割合が低いと剛性のフィルムが形成され、割合が高いとポリマーの付着性が高くなる。典型的なEVAは室温で固体であり且つ最高750%の引張伸びを有する。加えて、EVAは応力亀裂に耐性がある。EVAは以下の一般式(I)を有する。
Figure 0006608849
本発明におけるEVAは好ましくは0.9〜1.0g/cm(ISO1183に準拠)の密度を有する。ISO527に準拠した降伏応力は特には4〜12MPa、好ましくは5〜10MPaの範囲、とりわけ5〜8MPaである。とくに適切なものは、12MPa超、特には15MPa超であり、かつ50MPa未満、特には40MPa未満、とりわけ25MPa以下である引張強さ(ISO527に準拠)を有するEVAである。破断伸び(ISO527に準拠)は特には30%超又は35%超、とりわけ40%超又は45%超、好ましくは50%超である。引張弾性率は好ましくは35〜120MPa、とりわけ40〜100MPa、好ましくは45〜90MPa、特には50〜80MPaの範囲である。適切なEVAは、例えばAxalta Coating Systems LLCから商品名Coathylene(登録商標)CB 3547で販売されている。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、以下の一般構造式(II)を有する合成透明熱可塑性ポリマーである。
Figure 0006608849
ガラス転移温度は、モル質量に応じて約45〜130℃である。軟化温度は好ましくは80〜120℃、特には90〜110℃である。熱可塑性コポリマーは、耐候性、耐光性、及び耐UV性に優れる。
本発明におけるPMMAの密度は好ましくは0.9〜1.5g/cm(ISO1183に準拠)、特には1.0〜1.25g/cmである。特に適しているのは、30MPa超、好ましくは40MPa超、特には50MPa超であり、かつ90Mpa未満、特には85MPa未満、とりわけ80MPa以下の引張強さ(ISO527に準拠)を有するPMMAである。破断伸び(ISO527に準拠)は特には10%未満、とりわけ8%未満、好ましくは5%未満である。引張弾性率は好ましくは900〜5000MPaの範囲、好ましくは1200〜4500MPa、特には2000〜4000MPaである。適切なPMMAは例えばTer Hell Plastics GmbH(ドイツ、ボーフム)から商品名7M Plexiglas(登録商標)ペレットで販売されている。
EEAMAは、エチレン、アクリル酸エステル及び無水マレイン酸モノマー単位から形成されるターポリマーである。EEAMAは、モル質量に応じて約102℃の融点を有する。好ましくは20℃で(DIN53217/ISO2811)1.0g/cm以下であり0.85g/cm以上の相対密度を有する。適切なEEAMAは、例えば、Axalta Coating Systems LLCから商品名Coathylene(登録商標)TB3580で販売されている。
好ましくは、複合材料は本質的に水素貯蔵材料とマトリックスとを含む。複合材料の総重量を基準としたマトリックスの重量割合は好ましくは10重量%以下、特には8重量%以下、より好ましくは5重量%以下であり、好ましくは1重量%以上、特には2〜3重量%以上である。マトリックスの重量割合を最小限にすることが望ましい。マトリックスが水素を貯蔵できるとしても、水素貯蔵能は水素貯蔵材料そのもののものほど高くない。しかしながら、まず水素貯蔵材料の酸化を低レベルにとどめる、又は酸化を完全に防止することで材料粒子間の密着性を確保するために、マトリックスは必要である。
マトリックスは結晶化度の低いポリマーを含むことが好ましい。ポリマーの結晶化度は材料の性質を大きく変化させる可能性がある。半結晶性材料の性質はポリマーの結晶質領域及び非晶質領域の両方により決定される。その結果、同様に2種以上の物質から形成されている複合材料との間には一定の関係がある。例えば、マトリックスの膨張能は密度の上昇と共に低下する。
マトリックスは、プリプレグの形態もとり得る。プリプレグは「予備含浸繊維(Preimpregnated Fibers)」の英略語である。プリプレグはポリマーを予備含浸させた準完成布地製品であり、部品製造のために熱及び圧力により硬化される。適切なポリマーは、粘性は高いが重合していない熱硬化性ポリマーマトリックスを有するものである。本発明で好ましいポリマーは、プリプレグの形態もとり得る。
プリプレグ中に存在する繊維は、純粋な単方向層として、織地又はスクリムとして存在し得る。プリプレグは、本発明において、細かく砕き、フレーク又は削り屑として水素化可能材料と共に加工して複合材料にもされ得る。
本発明の1つの態様において、ポリマーは、水素化可能材料と接触する液体の形態をとり得る。ここでの「液体」の1つの意味は、ポリマーが溶融していることである。しかしながら、ポリマーが適切な溶媒に溶解されていることも本発明の範囲に含まれ、この場合は、複合材料の製造後、溶媒を再度除去する。しかしながら、ポリマーは、水素化可能材料と混合されるペレットの形態をとることも可能である。複合材料の圧密化の結果として、ポリマーは軟化し、水素化可能材料を埋め込むマトリックスが形成される。ポリマーを粒子、すなわちペレットの形態で使用するならば、30〜60μmの範囲、特には40〜45μmのx50粒径(体積に基づいた粒径)を有することが好ましい。x90粒径は特には90μm以下、好ましくは80μm以下である。
本発明の水素貯蔵手段は、水素化可能材料を含む第1領域に加え、1以上の層を有する別の1以上の第2領域を含む。これらの層の1つは熱伝導層であってよい。本発明によれば、熱伝導層は1以上の熱伝導金属及び/又は黒鉛を含んでよい。熱伝導材料は一方では良好な熱伝導性を有さなくてはならず、他方では、水素貯蔵手段の総重量を最小限に抑えるために重量が最小限でなくてはならない。金属の熱伝導率λは、好ましくは100W/(m・K)以上、特には120W/(m・K)以上、好ましくは180W/(m・K)以上、とりわけ200以上である。本発明において、熱伝導金属は合金又は異なる金属の混合物であってもよい。熱伝導金属は好ましくは銀、銅、金、アルミニウム、及びこれらの金属の混合物又はこれらの金属を含む合金、から選択される。銀が特に好ましいが、これは銀が400W/(m・K)を超える高い熱伝導率を有するためである。同様にアルミニウムも好ましいが、これは236W/(m・K)の高い熱伝導率に加えて低密度ゆえに低重量だからである。
本発明において、黒鉛は膨張黒鉛及び非膨張黒鉛の両方を含む。膨張黒鉛の使用が好ましい。あるいは、カーボンナノチューブ(単層、2層又は多層)の使用も可能であるが、これはカーボンナノチューブもまた極めて高い熱伝導性を有するからである。ナノチューブは高コストであるため、膨張黒鉛、又は膨張黒鉛と非膨張黒鉛との混合物が好ましく用いられる。混合物が存在する場合、重量基準で、膨張黒鉛よりも非膨張黒鉛をより多く使用する。
細砕形状の天然黒鉛(非膨張黒鉛)は、複合材料における付着性が低く、また不変で安定した複合材を得るための加工が困難である。したがって、金属水素化物による水素貯蔵の場合、膨張黒鉛をベースとした品質の黒鉛を利用するのが好ましい。膨張黒鉛は特には天然黒鉛から製造され、また非膨張黒鉛よりはるかに低い密度を有しながらも、複合材における良好な付着性を有するため、安定した複合材料を得ることができる。しかしながら、膨張黒鉛だけを使用すると水素貯蔵手段の体積が大きくなりすぎて経済的な運用が不可能になるおそれがある。したがって、膨張黒鉛と非膨張黒鉛との混合物の使用が好ましい。
水素貯蔵手段又は複合材料及び/又は複合物品がプレスによって圧密化された場合、膨張黒鉛は特に効率的に熱を伝導可能な配向層を形成する。膨張黒鉛の黒鉛層(六角形面)は圧縮時の圧力により互いにずれ、薄板又は層が形成される。この時、黒鉛のこれらの六角形の面は横方向(軸方向のプレス作業時の圧力の方向に対して略直角)に配置されるため、水素を複合材料に速やかに導入でき、また熱を内外に効率的に伝導できる。結果的に、熱の伝導だけでなく気体の伝導又は流体の伝導も可能になる。
あるいは、膨張黒鉛を例えばカレンダー加工でフィルムにすることができる。その後、これらのフィルムを再度細砕する。このようにして得られたフレークを熱伝導材料として使用できる。この圧延によってもまた炭素格子に優先方向がもたらされ、その結果、熱及び流体の特に良好なさらなる伝導が可能になる。
黒鉛及び/又は1以上の熱伝導金属は、第2層に直接隣接する第1層に配置され得る。本発明によれば、複合材料を含む第1領域は層の形態をとり得る。したがって、例えば第1層は、複合材料を含む第2層に直接隣接し得る。具体的には、水素貯蔵手段はその内部に交互に配置された複数の第1層と複数の第2層を含む。本発明によれば、第1層と第2層とは異なる、第1層と第2層との間に配置され得る第3層を含むことも可能である。もしくは、2つの第1層が第2層によって隔てられ、その後、2つの第1層が第3層によって隔てられることも可能である。このように、第3層が第1層及び/又は第2層と直接隣接することが可能である。水素貯蔵手段においては、上記3つの層に加えて、さらなる層が存在することも可能である。原則として、それぞれの機能が適切な位置で水素貯蔵手段の動作に対応可能であれば、層は任意の順序で配置されてよい。
高温水素化物が水素化可能材料として複合材料中に存在する場合、熱伝導材料として黒鉛を使用するのが好ましい。低温水素化物の場合は、熱伝導金属、特にはアルミニウムが好ましい。この組み合わせは2つの層が直接隣り合っている場合に特に好ましい。本発明においては、例えば、第1領域を構成する第1層、すなわち高温水素化物を含む本発明の複合材料が、黒鉛を含む第2層に直接隣接することが可能である。この第2層は熱伝導金属を含む第3層に直接隣接してよく、第3層はさらに黒鉛を含む第4層に隣接する。さらにこの第4層は複合材料を含む第1層に直接隣接し得る。本発明においては任意の層順序が可能である。本発明の文脈において、「〜を含む(comprise)」とは、記載の材料だけでなく別の構成要素も存在し得ることを意味するが、好ましくは、「〜を含む」は「〜から成る」を意味する。
黒鉛及び/又はアルミニウム及び/又は他の熱伝導金属は、顆粒、粉末、シート又はフィルムの形態をとり得る。シート又はフィルムは本発明の文脈における層をすでに構成し得る。しかしながら、複合材料の層に少なくとも部分的に入り込む層を形成する三次元構成の存在も考えられ、この場合にはより良好に熱を除去及び供給することが可能である。特に、黒鉛は、熱伝導性に加えて、良好な気体伝導性も有する。しかしながら、黒鉛と比較するとアルミニウムはより良好な熱伝導性を有する。
気体の伝導のため、水素貯蔵手段は多孔質層を有することが好ましい。これは、例えば、上述したように、黒鉛を含む熱伝導層であってよい。本発明において、多孔質層は、熱伝導金属又は水素化可能材料が高密度に圧縮されず気体の伝導(流体の伝導)が速やかに可能となる多孔質領域であってもよい。
水素化可能材料は水素を吸収し、必要に応じて再度放出することができる。好ましい実施形態において、材料は任意の三次元形態の粒状材料を含み、例えば粒子、ペレット、繊維、好ましくは切断繊維、フレーク及び/又は他の形状である。とりわけ、材料はシート又は粉末の形態もとり得る。この場合、材料は必ずしも一様な形態を有さなくてもない。むしろ、形態は規則的又は不規則であってよい。本発明における粒子は、例えば、事実上球形の粒子、また不規則及び/又は角のある外形を有する粒子である。表面は滑らかであってよいが、材料の表面が粗さ及び/又は凸凹、及び/又はくぼみ、及び/又は***を有していてもよい。本発明において、水素貯蔵手段は、1種だけの特定の三次元形態の材料を含み得るため、材料の粒子は全て同じ空間的広がりを有する。しかしながら、水素貯蔵手段が異なる形態/形状の材料を含むことも可能である。材料が多様な形状又は形態を有することで、材料は多様な水素貯蔵手段で使用することができる。
好ましくは、材料は中空体、例えば1つ以上の空洞部を有する及び/又は中空形状を有する粒子、例えば中空繊維又は中空チャネルを有する押出成形体を含む。「中空繊維」とは、1本以上の連続的な空洞部を断面に有する円筒形繊維のことである。中空繊維を使用することで、複数本の中空繊維を組み合わせて中空繊維膜を得ることが可能であり、その結果、高い多孔性によって、水素の吸収及び/又は材料からの水素の放出を容易にすることができる。
好ましくは、水素化可能材料は二峰性のサイズ分布を有する。このようにして、水素貯蔵手段における水素化可能材料のバルク密度ひいては密度を高めることができ、それにより水素貯蔵能、すなわち貯蔵手段中に貯蔵できる水素の量は向上する。
本発明において、水素化可能材料は、1種以上の水素化可能金属及び/又は1種以上の水素化可能合金を含んでよく、好ましくはこれらから構成されてよい。
使用されるその他の水素化可能材料は、
アルカリ土類金属及びアルカリ金属アラネート、
アルカリ土類金属及び水素化ホウ素アルカリ金属、
金属−有機構造体(MOF)及び/又は
クラスレート、
並びに、当然ながら、それぞれの材料のそれぞれの組み合わせ、であってよい。
本発明において、材料は非水素化可能金属又は合金も含み得る。
本発明において、水素化可能材料は低温水素化物及び/又は高温水素化物を含み得る。「水素化物」は、水素化された形態にあるか水素化されていない形態にあるかに関わらず、水素化可能材料を指す。低温水素化物は好ましくは−55〜180℃、特には−20〜150℃、とりわけ0〜140℃の温度範囲内で水素を貯蔵する。高温水素化物は好ましくは280℃以上、特には300℃以上の温度範囲内で水素を貯蔵する。ここで挙げた温度で、水素化物は水素を貯蔵するだけでなくそれを放出することもでき、すなわちこれらの温度範囲内で機能可能である。
この文脈で説明される「水素化物」は、水素化形態にある、及び非水素化形態にある水素化可能材料を意味すると理解される。
本発明では、水素貯蔵手段の製造において、水素化可能材料を水素化形態又は非水素化形態で使用することが可能である。
本開示の文脈における水素化物及びその性質に関しては、S.Sakietuna et al. International Journal of Energy,32(2007)、p.1121−1140の表1〜4が参照される。
水素貯蔵(水素化)は室温で行うことができる。水素化は発熱反応である。発生する反応熱は除去することができる。一方、脱水素の場合は、エネルギーを水素化物に熱の形で供給する必要がある。脱水素は吸熱反応である。
例えば、低温水素化物は高温水素化物と共に使用され得る。例えば、一構成において、例えば低温水素化物と高温水素化物とが第2領域の層において混合物として提供され得る。異なる層又は領域、特には異なる第2領域においてこれらをそれぞれ別々に配置することも可能である。例えば、第1領域がこれらの第2領域の間に配置され得る。さらに別の構成において、第1領域は、マトリックス中に分散された低温水素化物と高温水素化物との混合物を有する。異なる第1領域が低温水素化物又は高温水素化物を含むことも可能である。
好ましくは、水素化可能材料は、マグネシウム、チタン、鉄、ニッケル、マンガン、ニッケル、ランタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム又はこれらの金属の2種以上の混合物から選択される金属を含む。水素化可能材料は、上掲の金属のうち1種以上を含む合金も含み得る。
より好ましくは、水素化可能材料(水素貯蔵材料)は、150℃以下の温度、特には−20〜140℃、特には0〜100℃の温度範囲内で水素を貯蔵及び再度放出可能な合金を1種以上含む。ここでこの1種以上の合金は好ましくはABタイプ、ABタイプ及び/又はABタイプの合金から選択される。ここでA及びBはそれぞれ異なる金属を指し、A及び/又はBは特にはマグネシウム、チタン、鉄、ニッケル、マンガン、ランタン、ジルコニウム、バナジウム及びクロムを含む群から選択される。添え字は特定の合金における金属の化学量論比を表す。本発明において、ここでの合金には異質な原子をドープし得る。本発明において、ドーピングレベルは50原子%以下、特には40原子%以下又は35原子%以下、好ましくは30原子%以下又は25原子%以下、とりわけ20原子%以下又は15原子%以下、好ましくは10原子%以下又は5原子%以下のA及び/又はBであってよい。ドーピングは、例えばマグネシウム、チタン、鉄、ニッケル、マンガン、ランタン又は他のランタニド、ジルコニウム、バナジウム及び/又はクロムで行うことができる。ここでドーピングは1種以上の異なる異質な原子で行うことができる。ABタイプの合金は速やかに活性化可能であり、つまり、活性化に必要な条件が水素貯蔵手段の動作におけるものと同様である。ABタイプの合金はさらにAB又はABタイプの合金より高い延性を有する。それに対して、AB又はABタイプの合金はABタイプの合金より高い機械的安定性及び硬度を有する。ここではABタイプの合金としてFeTi、ABタイプの合金としてTiMn、ABタイプの合金としてLaNiを例示し得る。
より好ましくは、水素化可能材料(水素貯蔵材料)は、2種以上の水素化可能合金と、1種以上のABタイプの合金と、ABタイプ及び/又はABタイプの合金である第2合金との混合物を含む。ABタイプの合金の割合は、水素化可能材料の総重量を基準として、特には1〜50重量%、特には2〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、とりわけ5〜20重量%である。
水素化可能材料(水素貯蔵材料)は好ましくは粒状形態(粒子)である。
粒子は特には20〜700μm、好ましくは25〜500μm、とりわけ30〜400μm、特には50〜300μmであるx50粒径を有する。x50は、粒子の50%が記載の値以下のメジアン粒径を有することを意味する。粒径はレーザー回折により求めたが、篩分析により求めることもできる。この場合のメジアン粒径は重量を基準とした粒径であり、体積を基準とした粒径はこの場合同じである。ここで記載するのは初回の水素化が行われる前の水素化可能材料の粒径である。水素貯蔵中、材料内では応力が生じ、これは数サイクルの間にx50粒径が縮小することにつながり得る。
驚くべきことに、このサイズの材料は水素貯蔵において特に良好な性質を示すことが判明している。水素の貯蔵及び放出では、材料が膨張(水素化の過程で)又は収縮(脱水素の過程で)する。この体積変化は最高で30%であってよい。その結果、水素化可能材料の粒子内、すなわち水素貯蔵材料内で機械的応力が生じる。水素の充填及び放出(水素化及び脱水素)を繰り返す間に、粒子が崩壊することが判明している。そのため、特に水素化可能材料が25μm未満、とりわけ30μm未満、特には50μm未満の粒径を有すると、使用中に微粉末となり、水素を効果的に貯蔵できなくなる可能性がある。さらに、水素貯蔵手段そのものにおける材料の分布に変化が起きる場合がある。数ナノメートルの極めて小さい直径を有する材料粒子を有する床は水素貯蔵手段における最も低い位置で回収を行うことができる。水素を充填する場合(水素化)、水素貯蔵材料が膨張するため、この時点で、水素貯蔵手段の壁に高い機械的応力が生じる。材料に適切な粒径を選択することで、少なくとも部分的にはこれを回避することが可能である。他方、より小さい粒径では粒子がマトリックスと相互作用して付着する接触点の数が増えるため安定性が改善されるが、これは700μm超、特には500μm超のサイズを有する粒子の場合は達成できない。
「材料」、「水素化可能材料」及び「水素貯蔵材料」という語は、本願においては同義として使用される。
さらなる構成において、水素貯蔵手段は高温水素化物を含む高温水素化物容器と、低温水素化物を含む低温容器とを有する。高温水素化物は350℃より高い温度を発生させ得て、これは放散させなくてはならない。この熱は極めて迅速に放出され、例えば水素貯蔵手段に関連したコンポーネントの加熱に利用することができる。利用する高温水素化物は例えばマグネシウムをベースとした金属粉末であってよい。これに対し、低温水素化物は、水素を貯蔵及び再放出可能な、好ましくは−55〜155℃の範囲、特に好ましくは0〜140℃の温度範囲内の温度を有する。低温水素化物は例えばTi0.8Zr0.2CrMn又はTi0.98Zr0.020.43Cr0.05Mn1.2である。一構成では、水素を高温水素化物の容器から低温水素化物の容器へ、又はその逆方向に、移動させ、温度が貯蔵可能な範囲内であるそれぞれの場合にそこで貯蔵することを構想している。本開示の範囲内で、この目的の例示として、ここでドイツ特許第3639545(C1)号明細書が参照される。
またさらなる構成では、水素貯蔵手段においてとその動作において異なる温度範囲と圧力範囲とを利用可能であるように、例えば製造されたブランクにおいて、例えばFeTiとMgLnとの混合物が用いられる。つまり、低温水素貯蔵手段と中温水素貯蔵手段とを共に一の圧力容器内で利用可能である、すなわち、異なる温度範囲において利用可能な2つの水素貯蔵手段となる。好ましくは、これら2つの温度範囲の重なりは20℃以下である。もしくは、これらの範囲は互いに、好ましくは50℃未満の隔たりを有してもよい。この場合、及びその他の構成において、温度制御のために、圧力容器を通過し、かつ、内部に好ましくは複合材料が形成されるブランクを包囲するウォータージャケットを用いることが好ましい。
加えて、複合材料の1以上の成分、例えば1以上のアルミニウムの中間層が、焼結工程で形成されてよい。焼結工程において、細粒セラミック又は金属物質は加熱されるが、温度は主成分の融点より低く留まり、工作物の形状は保たれる。出発材料の粒子が圧密化され、気孔空間が塞がれるため、通常は収縮がある。固相焼結と、溶融を伴う液相焼結とは、根本的に区別される。焼結の熱処理により、先行する加工ステップ、例えば押出成形、で形成された細粒又は粗粒子素地が、固形の工作物に変換される。焼結体は、熱処理を行って初めて、特定の用途で必要とされるその最終的な性質、例えば硬度、強度又は熱伝導性、を獲得する。これにより、例えば、水素化可能材料が収容される開口気孔マトリックスを形成することが可能である。また、これにより、例えば気体伝導性であり且つ水素貯蔵手段で使用するチャネル構造体を形成することも可能である。
水素化可能材料の割合は50体積%超〜98体積%であることが好ましく、マトリックスの割合は好ましくは複合材料の2体積%以上〜50体積%であることが好ましい。水素化可能材料及びマトリックスの体積百分率の割合は、公知の試験法及び検出法により、例えば走査型電子顕微鏡を用いて求めることができる。また、光学顕微鏡を使用することも可能である。撮像プログラムを、コンピュータプログラムによる自動評価と併せて用いることが好ましい。
好適な実施形態において、マトリックスは1種のポリマーに加え、任意の多形の炭素を含む。炭素は好ましくは黒鉛、特には膨張天然黒鉛の形態である。このようにして、水素の吸収及び/又は放出時に生じる熱をより良好に放散させることが可能である。
一の成分、例えば炭素は、本来であれば水素貯蔵手段内で共に用いることができない材料と材料との間の仕切りとしても用いることができる。このように、マトリックス中の障壁によって、アルミニウムとマグネシウムとを共に用いることが可能である。
マトリックス及び/又は層が、例えば膨張天然黒鉛を炭素多形の1つとして含む、異なる炭素多形の混合物を含むことが好ましい。非膨張黒鉛を膨張天然黒鉛と共に使用するのが好ましく、この場合は、重量基準で膨張黒鉛よりも非膨張黒鉛をより多く使用する。とりわけ、マトリックスは、例えば水素化可能材料を内部に含む膨張天然黒鉛を含み得る。さらなる炭素多形には例えば単層、2層又は多層ナノチューブ、グラフェン及びフラーレンが含まれる。
複合材料は1以上の領域において弾力性を有することが好ましい。このようにして、例えば水素吸収時に、水素化可能材料が、複合材料を損傷したり過大な応力を加えたりすることなく膨張できるようにすることが可能である。
好適な実施形態において水素貯蔵手段は、一方にマトリックスを含み他方に1以上の層を含む、交互に配置される第1領域と第2領域とを有する。第1領域と第2領域とが交互に配置されることで、例えば第2領域の層の剥離が、第1領域によって防止可能となる。第1領域のマトリックスにより、例えば第1領域と第二領域との配置を確実に位置決めすることが可能である。このようにして、例えば液体が水素貯蔵手段を通過する際、第二領域の層の軽量な構成要素を例えば下方向に流すことができる。これらは隣接する第1層のマトリックスによって保持されるからである。
第1領域は水素貯蔵手段の内側領域に配置され、第2領域は水素貯蔵手段の外側領域に配置されることが好ましい。一の構成において、内側領域は例えば、水素貯蔵手段の軸方向において、水素貯蔵手段の中央部にあってよい。さらに内側領域は、水素貯蔵手段の径方向に見て、マトリックスが層に完全に包囲されるように、単に水素貯蔵手段の長手軸に沿った領域であってもよい。また、第1領域が水素貯蔵手段の外側領域に配置され、第2領域が水素貯蔵手段の内部に配置されることも可能である。第1領域と第2領域とが、水素貯蔵手段の別々の部位に配置されることも可能である。好ましくは、第1領域と第2領域とが最適化計算を用いて配置されてもよい。この場合、1つの基準は熱伝導率であってよく、別の基準は気体透過率であってよく、さらに別の基準は水素貯蔵能であってよい。例えば、寸法に従って、第1領域と第2領域とを内側から外側に向かってそれぞれ異なる密度で設けることが有利であり得る。また、第1領域と第2領域とがそれぞれ異なる気体透過率を有することも可能である。したがって、例えばより高い気体透過率を有する一の領域が、水素貯蔵手段において、内側領域内のより低い気体透過率を有する領域よりも外側の領域に配置されることが望ましい。
さらに、水素貯蔵手段内で多様な複合材料を共に用いることも考えられる。例えば、第1領域と第2領域とに関して差異を有する複合材料を、水素貯蔵手段内で組み合わせて用いることが可能である。ここで、提案された複合材料を、例えばそれぞれに圧密化複合材料を形成する他の水素化可能薄板及び/又はマトリックスと共に用いることも可能である。これは、例えば積層可能な圧密化シートによって実現可能である。別の選択肢は接合圧密化である。例えば、第1領域及び第2領域は、薄板又はマトリックスのみがこれらに隣接するように、提案されたとおり配置できる。このような配置は、その後圧密化されて複合材料を形成可能である。
一の構成において、第1領域及び第2領域は、複合材料内の平面に沿って互いに並行に配置される。ここで、第1領域又は第2領域をシェル又はコアとしたコアシェル構造のような幾何学形態が形成されることも可能である。複合材料における第1領域及び第2領域の配置により、その他の幾何学形状を形成することも可能である。この場合、第1領域及び第2領域は水平又は垂直に配置されてよい。このようにして第1領域及び第2領域の異なる膨張特性を互いに組み合わせることで、例えば複合材料全体を安定化させることも可能である。一の構成において、例えば、好ましくは水素が吸収又は再放出されているかどうかにかかわらず複合材料全体がほぼ等しい寸法を維持するように、第1領域及び第2領域の膨張特性は互いに補完し合ってよい。
圧密化は、熱及び/又は例えば気体の同時影響下で偶発的に行われることができる。また、例えば第1領域及び/又は第2領域に配置され得るバインダを吸引によって除去するために、吸引力を提供することも可能である。バインダは、例えば多孔構造を形成するために、複合材料から完全に又は部分的にのみ除去されてよい。例えば、バインダは2つの領域の一方に配置され、2つの領域の他方にはバインダが配置されなくてよい。異なるバインダを用いることも可能であり、例えば、第1領域には第2領域におけるものとは異なるバインダが提供される。
本発明はさらに、水素貯蔵手段、好ましくは上述又は後述の水素貯蔵手段の製造方法であって、水素貯蔵手段の第1領域が水素化可能材料が埋め込まれたマトリックスによって形成され、水素貯蔵手段の第2領域が1以上の層によって形成され、層が好ましくは単独の材料又は均質化された材料混合物を主成分として用いて製造されることを特徴とする製造方法に関する。
好適な構成において、第1領域及び第2領域が互いに独立してそれぞれ生産された後に2つの領域が組み合わせられる。
2つの第1領域及び第2領域の一方が製造され、その後他方の領域が製造されることが好ましい。例えば、一方の領域は少なくとも部分的に他方の領域を包囲、例えば収容してもよい。
さらなる構成において、2つの領域は同時に製造される。
第1領域及び第2領域は共に圧縮され、複合領域を形成することが好ましい。圧縮は例えば上方ラム及び下方ラムを用いて圧力により軸方向に行うことができる。また、圧縮は静水圧プレスにより行うことができる。静水圧プレス法は、圧力は液体及び気体中を全方向に均一に伝播するという物理法則に基づいたものであり、対象となる部分において、その面積に直接比例する力を発生させる。第1及び第2領域をプレス系の圧力容器、例えばゴム型に導入することができる。圧力容器内の液体を介してゴム金型の全ての面に作用する圧力により、封入された第1及び第2領域が均等に圧縮される。第1及び第2領域を備えたプリフォームを静水圧プレス、例えば液体に挿入することも可能である。好ましくは500〜6000barの範囲内の高圧を印加することで、複合材料を製造することができる。静水圧プレスにおける高圧が、例えば、複合材料において新しい材料特性を実現することを可能にする。
本発明はさらに、水素貯蔵手段、好ましくは上述の水素貯蔵手段を、より好ましくは上述の方法により製造する装置であって、装置が水素貯蔵手段の第1領域と第2領域とを接合するステーションを有し、第1領域がマトリックス内に配置された水素化可能材料を含むマトリックスを含み、第2領域が以下の主要機能:水素貯蔵、熱伝導、又は気体伝導、のうち1つをそれぞれ有する層を含むことを特徴とする装置に関する。
好適な構成において、水素化可能材料は、マトリックス及び/又は層がらせん状構造となるよう、水素貯蔵手段に導入される。
この文脈において、用語「らせん状充填」又は「らせん状構造」は、水素化可能材料の放出のために排出開口部を円形に旋回させてらせん状構造を形成する充填装置による材料の配置を指す。さらに、充填装置は、放出された材料が波状となるよう排出開口部を単に前後に旋回させてよい。水素化可能材料は、例えば、スリップキャスティング又は押出成形によりマトリックス内に導入可能である。本発明の開示の範囲において、この目的について、ドイツ特許出願公開第10 2014 006 379号及びドイツ特許出願公開第10 2014 006 367号の対応する内容が参照される。
水素貯蔵手段内で、水素化可能材料はマトリックス及び層の中で変動的に配置されることが好ましい。「変動的」とは、マトリックス内及び層内の水素化可能材料が、例えば水素貯蔵手段を通過する流体に依存して、例えば水素化可能材料の濃度/割合に傾斜又は上昇があるように勾配を有することを意味する。
複合材料内の層を形成する薄板について、これらが1つの第1材料と1つの第2材料とを互いに隔離された位置で含み、互いに隣り合う、好ましくは互いに隣接する薄板をそれぞれ形成し、第1材料は主水素貯蔵材料を含み、第2材料は主熱伝導材料を含み、主熱伝導材料は水素貯蔵手段の内部から水素貯蔵手段の外部へと延出することが好ましい。第1薄板と第2薄板との間に勾配が形成され、これに沿って第1薄板から第2薄板への移行がなされることが好ましい。
複合材料は、気体の導入部と排出部とが設けられた円柱状の全体形状を目標とすることが好ましい。気体を層内へ伝導することにより、水素を吸収又は放出可能である。したがって、円柱軸に対して内側から外側へ、垂直以外にも延出する熱伝導層があることが好ましい。すなわち、熱伝導層が、円柱軸に対して垂直でない角度で複合材料を通じて延出することも可能である。熱伝導層とその配置は、例えば、対応するアルミニウム粒子の配置を通じて実現可能である。
また、水素貯蔵手段は、コアシェル構造の形状である成分を有することも考えられ、ここでコアには第1材料が含まれ、シェルには別の第2材料が含まれ、第1材料及び/又は第2材料は水素貯蔵材料を含む。例えばこれは、複合材料の層において好ましい。1の構成において、シェルの第2材料は、少なくとも水素透過性であるように構成されるポリマーを含む。さらなる構成において、コアは熱伝導材料を含み、シェルは水素貯蔵材料を含む。他方で、コアが主水素貯蔵材料を含み、シェルが主熱伝導材料を含み、熱伝導材料が水素透過性である場合があってもよい。
さらに、水素貯蔵手段の製造方法において、水素貯蔵材料と熱伝導材料との別々の薄板がプレス型に導入され、共に圧縮されてサンドイッチ構造を形成してよく、サンドイッチ構造を水素貯蔵手段として利用する際には、熱伝導材料が、好ましくは水素貯蔵手段の径方向において熱伝導の役割を担う。複合材料が結果として第1領域及び第2領域を有するように、別々の薄板間に、及び/又は薄板に隣接して、例えば1以上のマトリックスが配置されてよい。
例えば、熱伝導材料として金属粉末及び/又は通常の天然黒鉛が用いられてよく、この場合、通常の天然黒鉛が用いられるときには、サンドイッチ構造内の配置された六角格子構造の方向への熱伝導を利用可能とするために、充填時にそのレンズ状粒子が水平に配列されることが好ましい。
さらに、追加又は代替として、圧延膨張黒鉛から成る1以上のフィルム、圧延膨張黒鉛のフレーク、及び/又は黒鉛織物が、熱伝導材料としてサンドイッチ構造内に導入されてもよい。
さらなる構成において、多孔性を維持する材料の1以上の薄板が、気体誘導層としてサンドイッチ構造内に導入され、共に圧縮されてよい。好ましくは、複数のサンドイッチ構造が別々にプレスされ、その後共通の容器内に配置される。
さらなる有利な構成及び特徴が、後掲の図及び対応する説明から明らかである。図及び説明で明らかにされる個々の特徴は例示にすぎず、特定の構成に限定されない。むしろ、1以上の図の1以上の特徴を別の図、またこれまでの説明の他の特徴と組み合わせることでさらに別の構成を得ることができる。したがって、特徴は、限定としてではなく、単なる例示として記載される。
図1は、第1領域2を中央に有する第1水素貯蔵手段1の概略図である。第1領域2は、水素化可能材料が埋め込まれるマトリックスを有する。マトリックスは、好ましくは、水素化可能材料を少なくともおおむね位置決め可能なだけではない。マトリックスはさらに、例えば一定の熱伝導率、ならびに場合により多孔性を提供することが可能である。例えば、粒子等が埋め込まれた膨張天然黒鉛がマトリックスとして利用可能である。このように、マトリックスは水素貯蔵のほか、熱伝導性を有し得る。粒子はマトリックスを通じて固定可能である。これらは、例えば気孔への移動に限定された、一定の移動の自由度を有し得る。もしくは、例えば閉鎖多孔性を提供し、例えば水素貯蔵能を有する粒子を閉鎖気孔に収容することが可能である。第2領域3は第1領域1の周囲に、好ましくは完全に包囲する環として形成される。もしくは、開口、空隙、断絶、又は孔を提供することも可能である。第2領域3には、例えば、それぞれ異なる主要機能、すなわち水素貯蔵、熱伝導、及び気体伝導を有する様々な層が交互に配置される。例えば、第1層4は、水素が例えば大きな圧力低下なく第1領域2に至るまで通過する、又は第1領域2から流出することが可能となるように、気体透過性を保証し得る。一方、第2層5は、発生する熱を、好ましくは水素貯蔵手段1の内部から外部へと分散、特には放熱することが可能である。熱は、好ましくは伝導によって伝わり、さらには、放射効果等によって熱伝達も可能である。層は、おおよそ平行なシート状に配置されるが、これは考え得る構成の1つにすぎない。熱伝導層が、例えば気体伝導層内へ、また水素貯蔵層6内へと延出することも同様に可能である。層は、水平に延出するほか、垂直に延出してもよい。層は、垂直及び水平の成分を有してもよい。このように形成された複合材料は、まとめて、又は順にプレスできる。
図2は、図1の水素貯蔵手段内の第1領域2のマトリックス7の詳細を示す概略図である。概略的に示されるマトリックス7には、例えば粒子8が埋め込まれている。これらは顆粒であってもよい。マトリックスは、一定の膨張能、好ましくは弾性能を有することが好ましい。これは、水素貯蔵又は水素放出に伴って粒子8の質量が変化した際に、粒子8を定位置に保持し得る。
図3は、第1領域9と第2領域10とが混合状態で存在する、複合材料のさらなる実施例を示す。具体的には、第1領域が第2領域10に、好ましくは第2領域の異なる層の1つに、挿入されている。これは、例えば異なる材料を空洞に逐次的に充填し、その後充填物をプレスすることで複合材料を形成することによって達成可能である。
図4は、例示として、低温水素化物領域12と高温水素化物領域13とを有する水素貯蔵手段11を示す図である。高温水素化物領域13は中央に配置され、水素貯蔵手段11内で、低温水素化物領域12によって包囲されることが好ましい。例えば、それぞれの場合に、低温水素化物領域12は第1領域14と第2領域15とを有し、その一方、例えば高温領域には積層された層16のみが設けられている。2つの領域は、逆の配置も可能である。
図5は、例示として、第1領域17と第2領域18とを別々に製造する様子を概略的に示す。これらは別々に圧密化され、その後組み合わせられて、容器内で複合材料を形成する。
したがって本出願は、水素化可能材料を含む複合材料を含む水素貯蔵手段であって、複合材料が、水素化可能材料が埋め込まれた1種以上のマトリックスを第1領域に含み、1以上の層を別の第2領域に含み、層のうち少なくとも1つが以下の主要機能:水素貯蔵、熱伝導、又は気体伝導、のうち1つを有することを特徴とする水素貯蔵手段を包含する。マトリックス及び/又は層がそれぞれ炭素を含むことが好ましい。具体的には、マトリックス及び/又は層が、膨張天然黒鉛を炭素多形の1つとして含む、様々な炭素多形の混合物を含むことが好ましい。
複合材料は1以上の領域において弾力性を有することが好ましい。具体的には、水素貯蔵手段は、一方にマトリックスを含み他方に1以上の層を含む、交互に配置される第1領域と第2領域とを有する。
この場合、第1領域は水素貯蔵手段の内側領域に配置され、第2領域は水素貯蔵手段の外側領域に配置される。
本発明の水素化可能材料は、低温水素化物及び高温水素化物を含み得る。
さらなる実施形態において、本発明の目的は、水素貯蔵手段の製造方法であって、水素貯蔵手段の第1領域が水素化可能材料が埋め込まれたマトリックスによって形成され、水素貯蔵手段の第2領域が1以上の層によって形成され、層が好ましくは単独の材料又は均質化された材料混合物を主成分として用いて製造されることを特徴とする製造方法によって達成される。第1領域及び第2領域が互いに独立してそれぞれ生産された後に2つの領域が組み合わせられることが好ましい。第1領域及び前記第2領域のうち一方が製造された後、既に製造された領域を包含して他方の領域が製造されることも可能である。
第1領域及び第2領域は共に圧縮され、複合領域を形成することが好ましい。
さらなる実施形態において、本発明の目的は、水素貯蔵手段、好ましくは水素貯蔵手段を、特に好ましくは上述の方法により製造する装置であって、装置が水素貯蔵手段の第1領域と第2領域とを接合するステーションを有し、第1領域がマトリックス内に配置された水素化可能材料を含むマトリックスを含み、第2領域が以下の主要機能:水素貯蔵、熱伝導、又は気体伝導、のうち1つをそれぞれ有する層を含むことを特徴とする装置によって達成される。
本装置は、水素化可能材料をマトリックス及び/又は層内にらせん状充填で導入可能であり、水素化可能材料が水素貯蔵手段内で、特にはマトリックス及び層の中で、変動的に配置されるように構成されることが好ましい。

Claims (16)

  1. 水素化可能材料を含む複合材料を含む水素貯蔵手段の製造方法であって、前記複合材料が、前記水素化可能材料が埋め込まれた1種以上のポリマーを含む1種以上のマトリックスを第1領域に含み、1以上の層を別の第2領域に含み、前記層のうち少なくとも1つが以下の主要機能:水素貯蔵、熱伝導、又は気体伝導、のうち1つを有し、前記水素貯蔵手段の第1領域が水素化可能材料が埋め込まれた1種以上のポリマーを含むマトリックスによって形成され、前記水素貯蔵手段の第2領域が1以上の層によって形成され、層が単独の材料又は均質化された材料混合物を主成分として用いて製造され、前記第1領域及び前記第2領域が500〜6000barの圧力で圧着されて複合領域を形成することを特徴とする製造方法。
  2. 前記第1領域及び前記第2領域が互いに独立してそれぞれ生産された後に2つの領域が組み合わせられることを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 前記第1領域及び前記第2領域のうち一方が製造された後、既に製造された領域を包含して他方の領域が製造されることを特徴とする請求項に記載の方法。
  4. 前記マトリックスが炭素をさらに含み、前記マトリックス及び/又は層が多様な炭素多形の混合物を含み、前記炭素多形の1つとして膨張天然黒鉛を含むことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の方法
  5. 前記第2領域が、熱伝導材料を含む1以上の層を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法
  6. 前記熱伝導材料が金属又は合金を含むことを特徴とする請求項に記載の方法
  7. 前記炭素が膨張天然黒鉛の形態をとることを特徴とする請求項、請求項、又は請求項に記載の方法
  8. 前記ポリマーの密度が0.7g/cm〜1.3g/cmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法
  9. 前記ポリマーの引張強さが10〜100MPaの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法
  10. 前記ポリマーがEVAと、PMMAと、EEAMAと、これらのポリマーの混合物と、を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法
  11. 交互に配置された第1領域と第2領域とを有し、前記第1領域及び前記第2領域は一方がマトリックスを含み他方が1以上の層を含み、及び/又は前記第1領域が前記水素貯蔵手段の内側領域に配置され前記第2領域が前記水素貯蔵手段の外側領域に配置されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法
  12. 前記水素化可能材料として低温水素化物及び/又は高温水素化物を含み、前記低温水素化物が−55〜180℃の温度範囲内で水素を貯蔵する水素化可能材料であり、前記高温水素化物が280℃以上の温度範囲内で水素を貯蔵する水素化可能材料であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法
  13. 前記水素化可能材料が前記マトリックス及び/又は前記層の中で変動的に配置されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法により製造する装置であって、前記装置が前記水素貯蔵手段の第1領域と第2領域とを接合するステーションを有し、前記第1領域がマトリックス内に配置された水素化可能材料を含むマトリックスを含み、前記第2領域が以下の主要機能:水素貯蔵、熱伝導、又は気体伝導、のうち1つをそれぞれ有する層を含ことを特徴とする装置。
  15. 前記装置が、前記水素化可能材料がらせん状充填で前記マトリックス及び/又は層へと導入可能であるように構成されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
  16. 前記装置が、前記水素化可能材料が前記水素貯蔵手段内において変動的に配置されるように構成されることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の装置。
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