本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態として、第1ないし第5の実施の形態について説明するが、そのうち、第3の実施の形態が、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明の実施の形態による建設機械の制御装置を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げて、添付図面に従って説明する。
図1ないし図3は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、車両となる油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に設けられ掘削作業等を行う多関節構造の作業装置14とを備えている。このとき、下部走行体2と上部旋回体4とは、油圧ショベル1の車体を構成している。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、左,右の走行油圧モータ2Eによって回転駆動される。このとき、走行油圧モータ2Eは、車両を走行動作させるアクチュエータを構成している。
旋回装置3は、下部走行体2上に設けられ、減速機(図示せず)、旋回油圧モータ3A等によって構成されている。この旋回装置3は、上部旋回体4を下部走行体2に対して旋回させる。このとき、旋回油圧モータ3Aは、車両を旋回動作させるアクチュエータを構成している。
上部旋回体4は、旋回フレーム5と、旋回フレーム5上に設けられエンジン21等が収容された建屋カバー6と、オペレータが搭乗するキャブ7とを備えている。キャブ7内には、操作レバー、操作ペダル等からなる操作装置8と、各種の車両の情報を表示するモニタ装置9と、制御用スイッチ10Aおよび周辺装置用スイッチ10Bを備えた操作パネル10と、キャブ7内を明るくする照明器具11と、キャブ7内の空気調和を行うエアコン12とが設けられている。キャブ7のフロントパネル7Aには、汚れや水滴を拭き取るワイパ13が設けられている。
操作装置8は、走行用の操作レバー・ペダルや作業用の操作レバー等により構成されている。この操作装置8は、車両の走行動作、旋回動作、作業装置14の俯仰動動作等を操作するものである。
モニタ装置9は、例えば液晶モニタ等によって構成されている。モニタ装置9は、その表示画面によって機械の状態(例えば、エンジン21の駆動状態、車両の走行状態、旋回状態、作業装置14の掘削状態等)をオペレータに報知する。
操作パネル10の制御用スイッチ10Aは、例えば軽負荷に応じた軽負荷モードと重負荷に応じた重負荷モードのように、油圧ショベル1の運転モードを選択するものである。また、操作パネル10の周辺装置用スイッチ10Bは、照明器具11、エアコン12、ワイパ13の駆動、停止等を切り換え操作するものである。
照明器具11は、キャブ7の内部を照らす室内灯によって構成されている。照明器具11、エアコン12およびワイパ13は、アクチュエータおよびモニタ装置9とは異なる周辺装置を構成している。
作業装置14は、ショベル機構を構成している。この作業装置14は、例えばブーム14A、アーム14B、バケット14Cと、これらを駆動するブームシリンダ14D、アームシリンダ14E、バケットシリンダ14Fとを備えている。ブーム14A、アーム14B、バケット14Cは、互いにピン結合されている。作業装置14は、旋回フレーム5に取付けられ、シリンダ14D〜14Fを伸長または縮小することによって、俯仰動する。このとき、シリンダ14D〜14Fは、車両の作業装置14を俯仰動させるアクチュエータを構成している。
次に、油圧ショベル1の動作を制御する油圧システムの構成について、図2を参照して説明する。
エンジン21は、旋回フレーム5に設けられている。このエンジン21は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関を用いて構成されている。エンジン21の出力側には、油圧ポンプ22が機械的に接続されている。エンジン21は、エンジンコントローラ31によって、その回転数(回転速度)や駆動力が制御されている。エンジン21の駆動力は、油圧ポンプ22およびパイロットポンプ23に伝達される。これにより、エンジン21は、油圧ポンプ22等の動力源を構成している。
油圧ポンプ22は、エンジン21およびパイロットポンプ23に機械的に接続されている。この油圧ポンプ22は、パイロットポンプ23および作動油タンク24と共に油圧源を構成している。油圧ポンプ22は、例えば斜板式、斜軸式、ラジアルピストン式等のような各種のポンプ機構によって構成され、エンジン21によって駆動される。油圧ポンプ22は、走行油圧モータ2E、旋回油圧モータ3A、シリンダ14D〜14F等を駆動するメインポンプを構成している。このため、油圧ポンプ22は、作動油タンク24内の作動油を昇圧してコントロールバルブ25に向けて供給する。油圧ポンプ22には、ポンプ吐出圧を検出する圧力センサ22Aと、ポンプ吐出圧や流量を調整する電磁弁22Bが設けられている。
パイロットポンプ23は、油圧ポンプ22に連なって設けられている。このパイロットポンプ23は、操作装置8を操作したときに、その操作量に応じたパイロット圧をコントロールバルブ25に供給する。
コントロールバルブ25は、油圧ポンプ22が発生した油圧を、オペレータによる操作装置8の操作に基づいて、各アクチュエータ(油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F)に分配するものである。コントロールバルブ25は、油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14Fを制御する複数個の方向制御弁を含んで構成されている。コントロールバルブ25は、油圧ポンプ22から供給される圧油の供給と排出を、操作装置8の操作に基づくパイロット圧に応じて切り換える。
ここで、操作装置8は、例えば流量制御弁(図示せず)を用いて、パイロットポンプ23から吐出される圧油の流量と方向を制御し、パイロット圧をコントロールバルブ25に供給する。これにより、コントロールバルブ25は、油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14Fに対する圧油の方向が切り換え制御される。この結果、油圧ポンプ22からコントロールバルブ25に供給された圧油は、油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F等のアクチュエータに適宜分配され、これらを駆動(回転、伸長、縮小)する。
コントロールバルブ25には、各アクチュエータ(油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F)の負荷圧や操作装置8の操作量を示すパイロット圧を検出する圧力センサ25Aが設けられている。これに加えて、コントロールバルブ25には、各アクチュエータに供給する作動油の圧力や流量を調整して各アクチュエータの作動速度等を制御する電磁弁25Bが設けられている。
次に、油圧ショベル1の制御装置(制御システム)の構成について、図2および図3を参照して説明する。後述するように、油圧ショベル1の制御装置は、各種の制御や情報・指令の伝達を行う複数のコントローラ31,32,34,36,37を備えている。これらの一部となるコントローラ31,32はCAN(Controller Area Network)によって互いに接続され、残余のコントローラ34,36,37は他のCANによって互いに接続されている。
エンジンコントローラ31は、エンジン21の回転数等を制御する。具体的には、エンジンコントローラ31は、メインコントローラ32から出力される指令に基づいてエンジン21のシリンダ(図示せず)内に噴射される燃料の噴射量(燃料噴射量)を可変に制御する。このため、エンジンコントローラ31は、メインコントローラ32の指令に従ってエンジン21(原動機)を制御するデバイスコントローラを構成している。
メインコントローラ32は、エンジン21、コントロールバルブ25等を通じて、アクチュエータ(油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F)を制御する。このため、メインコントローラ32は、アクチュエータを制御するアクチュエータコントローラを構成している。
メインコントローラ32の入力側は、油圧ポンプ22とコントロールバルブ25に付加された圧力センサ22A,25Aに接続されている。メインコントローラ32の出力側は、油圧ポンプ22とコントロールバルブ25に付加された電磁弁22B,25Bに接続されている。メインコントローラ32は、圧力センサ22A,25Aからポンプ吐出圧、各アクチュエータの負荷圧、操作装置8の操作量を示すパイロット圧を取得する。メインコントローラ32は、これらの取得したポンプ吐出圧、負荷圧、操作量等に基づいて、オペレータの操作状況や機械および搭載機器の状態に応じて油圧ポンプ22が発生する油圧や各アクチュエータへの油圧分配を調整するための演算処理を実行する。メインコントローラ32は、演算処理の結果に基づいて、電磁弁22B,25Bを駆動し、油圧ポンプ22の吐出圧や流量、各アクチュエータの作動速度等を制御する。なお、油圧回路にコントロールバルブ以外の油圧制御装置を備えている場合には、それらの油圧制御装置に圧力センサや電磁弁を付加してもよい。
制御用シリアル通信伝送路33は、メインコントローラ32に接続された第2の通信伝送路を構成している。この制御用シリアル通信伝送路33は、エンジンコントローラ31とメインコントローラ32との間を接続している。制御用シリアル通信伝送路33は、所定の伝送速度で時系列のシリアルデータを伝送する。即ち、制御用シリアル通信伝送路33は、エンジンコントローラ31とメインコントローラ32との間でシリアル通信を行う制御用のネットワークを構成している。制御用シリアル通信伝送路33は、シリアルデータとして、例えばメインコントローラ32から出力される回転速度指令(データ)をエンジンコントローラ31に伝送する。これにより、機械が作業を行っている場合は、メインコントローラ32は、エンジンコントローラ31に回転速度指令等を与えることによって、エンジン21と油圧ポンプ22を効率のよい回転速度で駆動させる。また、機械が作業を停止している場合は、メインコントローラ32は、エンジン21等の回転速度を低下させて、燃費の向上や騒音の低減を図る。
情報モニタコントローラ34は、モニタ装置9を用いてオペレータに機械の状態を知らせる。このため、情報モニタコントローラ34は、モニタ装置9に表示する情報を制御する情報表示コントローラを構成している。また、情報モニタコントローラ34は、操作パネル10に接続されている。このため、情報モニタコントローラ34は、設定された運転モードやエアコン12、ワイパ13等の作動要求を、操作パネル10から取得する。情報モニタコントローラ34は、例えば運転モードを取得すると、メインコントローラ32に向けて、運転モード(データ)を送信する。情報モニタコントローラ34は、例えばエアコン12の作動要求を取得すると、エアコンコントローラ36に向けて、エアコン12の作動指令(データ)を送信する。情報モニタコントローラ34は、例えば照明器具11、ワイパ13等の作動要求を取得すると、ボディコントローラ37に向けて、これらの作動指令(データ)を送信する。
また、情報モニタコントローラ34は、無線通信装置35に接続されている。無線通信装置35は、外部のデータセンタ(図示せず)との間で情報の授受を行うものである。このため、情報モニタコントローラ34は、無線通信装置35を用いて、外部のデータセンタに機械や搭載機器の状態に関する情報を送信することができ、データセンタから機械の保守に関する情報を取得することができる。
エアコンコントローラ36は、情報モニタコントローラ34から出力される指令に基づいて、エアコン12の動作を制御する。これにより、エアコンコントローラ36は、オペレータによる操作パネル10の操作に応じて、エアコン12を動作させる。この結果、エアコン12は、オペレータの要求に応じた暖気や冷気をキャブ7内に供給する。このため、エアコンコントローラ36は、周辺装置であるエアコン12を制御する周辺装置コントローラを構成している。
ボディコントローラ37は、情報モニタコントローラ34から出力される指令に基づいて照明器具11やワイパ13の動作を制御する。これにより、ボディコントローラ37は、オペレータによる操作パネル10の操作に応じて、照明器具11やワイパ13を動作させる。この結果、照明器具11は、オペレータの要求に応じて点灯または消灯する。また、ワイパ13は、オペレータの要求に応じて、駆動または停止する。このため、ボディコントローラ37は、周辺装置である照明器具11およびワイパ13を制御する周辺装置コントローラを構成している。
周辺用シリアル通信伝送路38は、情報モニタコントローラ34、エアコンコントローラ36およびボディコントローラ37に接続された第1の通信伝送路を構成している。この周辺用シリアル通信伝送路38は、所定の伝送速度で時系列のシリアルデータを伝送する。即ち、周辺用シリアル通信伝送路38は、情報モニタコントローラ34、エアコンコントローラ36およびボディコントローラ37の間でシリアル通信を行う周辺装置用のネットワークを構成している。なお、周辺用シリアル通信伝送路38でのデータの伝送速度は、制御用シリアル通信伝送路33と同じ値でもよく、異なる値でもよい。
周辺用シリアル通信伝送路38は、情報モニタコントローラ34から出力される各種の指令(データ)をエアコンコントローラ36またはボディコントローラ37に伝送する。これにより、エアコンコントローラ36は、情報モニタコントローラ34から出力される指令を受信し、この指令に基づいてエアコン12を制御する。ボディコントローラ37は、情報モニタコントローラ34から出力される指令を受信し、この指令に基づいて照明器具11やワイパ13を制御する。
周辺用シリアル通信伝送路38は、エアコンコントローラ36から出力されるキャブ7内の温度データを情報モニタコントローラ34に伝送する。これにより、情報モニタコントローラ34は、キャブ7内の温度をモニタ装置9に表示する。
データ中継装置39は、例えばキャブ7内に配置され、コネクタ40を介してキャブ7の外部に設けられたメインコントローラ32等に接続されている。このデータ中継装置39は、制御用シリアル通信伝送路33と周辺用シリアル通信伝送路38とに接続されている。このとき、コネクタ40は、制御用シリアル通信伝送路33の途中に設けられている。このため、制御用シリアル通信伝送路33は、コネクタ40を介して、キャブ7の外部から内部に導かれている。
データ中継装置39は、例えばゲートウェイのように、データを異なる2つのネットワーク(制御用のネットワークと周辺装置用のネットワーク)間で中継する通信機器である。このとき、データ中継装置39は、制御用シリアル通信伝送路33に伝送されるデータのうち周辺用シリアル通信伝送路38で必要なデータを選択して周辺用シリアル通信伝送路38に伝達する。同様に、データ中継装置39は、周辺用シリアル通信伝送路38に伝送されるデータのうち制御用シリアル通信伝送路33で必要なデータを選択して制御用シリアル通信伝送路33に伝達する。
データ中継装置39は、例えばオペレータが設定した運転モードを、情報モニタコントローラ34からメインコントローラ32に伝達するときに、この運転モードのデータの送信と受信を中継する。また、データ中継装置39は、例えば機械や機器の状態(エンジン21、アクチュエータの状態)を、メインコントローラ32から情報モニタコントローラ34に伝達するときに、これらのデータの送信と受信を中継する。
このとき、データ中継装置39は、周辺用シリアル通信伝送路38からデータを受信する第1受信装置39Aと、受信したデータを一時的に格納する第1データバッファ39Bと、第1データバッファ39Bに格納されたデータを制御用シリアル通信伝送路33に送信する第1送信装置39Cとを備えている。
これに加え、データ中継装置39は、制御用シリアル通信伝送路33からデータを受信する第2受信装置39Dと、受信したデータを一時的に格納する第2データバッファ39Eと、第2データバッファ39Eに格納されたデータを周辺用シリアル通信伝送路38に送信する第2送信装置39Fとを備えている。
第1受信装置39Aは、周辺用シリアル通信伝送路38に伝送されるデータのうち、エンジンコントローラ31またはメインコントローラ32に送信するデータのみを受信する。即ち、データ中継装置39は、周辺用シリアル通信伝送路38から受信するデータのうち、制御用シリアル通信伝送路33へ送信するデータが予め設定されている。このため、第1受信装置39Aは、周辺用シリアル通信伝送路38からデータを受信すると、例えばそのデータフレームのベースIDに基づいて、制御用のコントローラ31,32で必要なデータか否かを判別する。コントローラ31,32で必要なデータと判定したときには、第1受信装置39Aで受信したデータは、第1データバッファ39Bに格納される。これにより、周辺装置の機能拡張等により周辺用シリアル通信伝送路38の伝送量が増加しても、制御用シリアル通信伝送路33の伝送量には影響しない。
同様に、第2受信装置39Dは、制御用シリアル通信伝送路33に伝送されるデータのうち、情報モニタコントローラ34、エアコンコントローラ36またはボディコントローラ37に送信するデータのみを受信する。即ち、データ中継装置39は、制御用シリアル通信伝送路33から受信するデータのうち、周辺用シリアル通信伝送路38へ送信するデータが予め設定されている。このため、第2受信装置39Dは、制御用シリアル通信伝送路33からデータを受信すると、例えばそのデータフレームのベースIDに基づいて、非制御用のコントローラ34,36,37で必要なデータか否かを判別する。コントローラ34,36,37で必要なデータと判定したときには、第2受信装置39Dで受信したデータは、第2データバッファ39Eに格納される。これにより、制御装置の機能拡張等により制御用シリアル通信伝送路33の伝送量が増加しても、周辺用シリアル通信伝送路38の伝送量には影響しない。
第1送信装置39Cは、第1データバッファ39Bに格納されたデータを、予め設定された所定の送信周期(例えば10ms〜1s程度)で制御用シリアル通信伝送路33に送信する。このとき、所定の送信周期は、データに拘らず一律に設定され、または、データ毎に設定されている。このため、第1送信装置39Cは、周辺用シリアル通信伝送路38から予め設定されたデータを受信したときに、そのデータを所定の送信周期で制御用シリアル通信伝送路33へ送信する。これにより、非制御用のコントローラ34,36,37に不具合が生じて、周辺用シリアル通信伝送路38に連続的に不適切なデータが送信されたときでも、制御用シリアル通信伝送路33のデータ伝送の負荷増大を回避することができる。
同様に、第2送信装置39Fは、第2データバッファ39Eに格納されたデータを、予め設定された所定の送信周期で周辺用シリアル通信伝送路38に送信する。このとき、所定の送信周期は、データに拘らず一律に設定され、または、データ毎に設定されている。このため、第2送信装置39Fは、制御用シリアル通信伝送路33から予め設定されたデータを受信したときに、そのデータを所定の送信周期で周辺用シリアル通信伝送路38へ送信する。これにより、制御用のコントローラ31,32に不具合が生じて、制御用シリアル通信伝送路33に連続的に不適切なデータが送信されたときでも、周辺用シリアル通信伝送路38のデータ伝送の負荷増大を回避することができる。
なお、第1送信装置39Cの送信周期と第2送信装置39Fの送信周期とは、同じ値でもよく、異なる値でもよい。これらの送信周期は、シリアル通信伝送路33,38、コントローラ31,32,34,36,37等の仕様に応じて適宜設定される。
データ中継装置39は、第1受信装置39Aが新規なデータを受信する毎に、第1データバッファ39Bに格納されたデータを上書きしてもよく、第1送信装置39Cがデータしていないときには、第1受信装置39Aによるデータ受信を停止してもよい。同様に、データ中継装置39は、第2受信装置39Dが新規なデータを受信する毎に、第2データバッファ39Eに格納されたデータを上書きしてもよく、第2送信装置39Fがデータしていないときには、第2受信装置39Dによるデータ受信を停止してもよい。
第1の実施の形態による油圧ショベル1の制御装置は、上述のような構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータがイグニションスイッチ(図示せず)をスタート位置に操作すると、エンジン21が始動する。このとき、エンジンコントローラ31は、メインコントローラ32からの回転速度指令に基づいて、エンジン21に燃料を供給し、エンジン21を指令に従った所定の回転数(回転速度)で駆動させる。この状態で、オペレータが操作装置8の走行用操作レバー・ペダルを操作すると、コントロールバルブ25を通じて油圧ポンプ22からの圧油が下部走行体2の走行油圧モータ2Eに供給される。これにより、油圧ショベル1は、前進、後退等のような走行動作を行う。また、オペレータが操作装置8の作業用操作レバーを操作すると、コントロールバルブ25を通じて油圧ポンプ22からの圧油が旋回油圧モータ3Aやシリンダ14D〜14Fに供給される。これにより、油圧ショベル1は、旋回動作や作業装置14の俯仰動による掘削動作等を行う。
また、オペレータが操作パネル10の周辺装置用スイッチ10Bを操作すると、情報モニタコントローラ34は、操作パネル10から各種の作動要求等からなる指令(データ)を取得する。これにより、情報モニタコントローラ34は、操作パネル10の操作内容に応じて、モニタ装置9の表示内容を切り換える。
これに加え、情報モニタコントローラ34は、取得した指令を周辺用シリアル通信伝送路38に送信する。このとき、エアコンコントローラ36およびボディコントローラ37は、周辺用シリアル通信伝送路38を通じて、これらの指令を受信する。これにより、エアコンコントローラ36は、エアコン12の駆動と停止を切り換えると共に、設定温度に応じてエアコン12を運転させる。また、ボディコントローラ37は、照明器具11の点灯と消灯を切り換えると共に、ワイパ13の駆動と停止を切り換える。
ここで、周辺装置用スイッチ10Bによる指令は、エンジンコントローラ31またはメインコントローラ32に送信されるものではない。従って、データ中継装置39は、周辺装置用スイッチ10Bによる指令を受信しない。即ち、データ中継装置39は、周辺装置用スイッチ10Bによる指令に対して、周辺用シリアル通信伝送路38と制御用シリアル通信伝送路33との間を遮断する。このため、周辺装置用スイッチ10Bによる指令が制御用シリアル通信伝送路33に伝送されることはない。
一方、オペレータが操作パネル10の制御用スイッチ10Aを操作すると、情報モニタコントローラ34は、操作パネル10から例えば運転モードからなる指令(データ)を取得する。これにより、情報モニタコントローラ34は、選択された運転モードに応じて、モニタ装置9の表示内容を切り換える。
これに加え、情報モニタコントローラ34は、取得した指令を周辺用シリアル通信伝送路38に送信する。このとき、制御用スイッチ10Aによる指令は、エアコンコントローラ36およびボディコントローラ37が使用するものではないため、エアコンコントローラ36およびボディコントローラ37によって受信されることはない。
これに対し、制御用スイッチ10Aによる指令は、エンジンコントローラ31またはメインコントローラ32による制御に使用される。従って、データ中継装置39は、制御用スイッチ10Aによる指令を受信して、制御用シリアル通信伝送路33に出力する。即ち、データ中継装置39は、制御用スイッチ10Aによる指令に対して、周辺用シリアル通信伝送路38と制御用シリアル通信伝送路33との間を接続する。このため、制御用スイッチ10Aによる指令(運転モード)は、制御用シリアル通信伝送路33を介して、エンジンコントローラ31またはメインコントローラ32によって受信される。
これにより、メインコントローラ32は、選択された運転モードに応じて、電磁弁22B,25Bを駆動し、油圧ポンプ22の吐出圧や流量、各アクチュエータの作動速度等を制御する。これに加えて、メインコントローラ32は、選択された運転モードに応じた回転速度指令をエンジンコントローラ31に向けて送信する。これにより、エンジンコントローラ31は、メインコントローラ32から出力される指令に基づいて燃料噴射量を可変に制御し、指令に応じた回転数となるようにエンジン21を制御する。
ここで、エンジン21に対する回転速度指令は、情報モニタコントローラ34、エアコンコントローラ36またはボディコントローラ37に送信されるものではない。従って、データ中継装置39は、メインコントローラ32による回転速度指令を受信しない。即ち、データ中継装置39は、回転速度指令に対して、周辺用シリアル通信伝送路38と制御用シリアル通信伝送路33との間を遮断する。このため、回転速度指令が周辺用シリアル通信伝送路38に伝送されることはない。
一方、エンジンコントローラ31は、燃料計および温度センサ(いずれも図示せず)に接続され、これらから燃料の残量および冷却水の温度を取得する。このとき、エンジンコントローラ31は、燃料残量および冷却水温度の検出結果を、制御用シリアル通信伝送路33を介して、メインコントローラ32に送信する。これにより、メインコントローラ32は、これらの検出結果に基づいて、油圧ポンプ22の吐出圧や流量、各アクチュエータの作動速度等を制御する。
このとき、燃料残量および冷却水温度は、モニタ装置9に表示されるため、情報モニタコントローラ34によって使用される。従って、データ中継装置39は、燃料残量および冷却水温度の検出結果(データ)を受信して、周辺用シリアル通信伝送路38に出力する。即ち、データ中継装置39は、燃料残量および冷却水温度の検出結果に対して、周辺用シリアル通信伝送路38と制御用シリアル通信伝送路33との間を接続する。このため、燃料残量および冷却水温度の検出結果は、周辺用シリアル通信伝送路38を介して、情報モニタコントローラ34によって受信される。これにより、情報モニタコントローラ34は、燃料残量および冷却水温度の検出結果をモニタ装置9に表示させる。
かくして、第1の実施の形態では、制御用シリアル通信伝送路33と周辺用シリアル通信伝送路38とに接続されたデータ中継装置39を備えた。このデータ中継装置39は、周辺用シリアル通信伝送路38を伝送するデータのうち、制御用シリアル通信伝送路33で必要なデータを選択して、制御用シリアル通信伝送路33に伝送させる。このとき、主にキャブ7の内部に設置され、機械の制御以外の機能に対応したコントローラ34,36,37を周辺用シリアル通信伝送路38によってシリアル通信で接続したときには、これらのコントローラ34,36,37等の機能拡張に伴って、周辺用シリアル通信伝送路38のデータが増大する。しかしながら、このような周辺用シリアル通信伝送路38のデータの増大は、制御用シリアル通信伝送路33に接続されたコントローラ31,32に影響を与えることがない。この結果、エンジン21やアクチュエータ(油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F)のリアルタイム制御を維持することができる。
また、データ中継装置39は、制御用シリアル通信伝送路33を伝送するデータのうち、周辺用シリアル通信伝送路38で必要なデータを選択して、周辺用シリアル通信伝送路38に伝送させる。このため、メインコントローラ32等の機能拡張に伴って制御用シリアル通信伝送路33のデータが増大しても、周辺用シリアル通信伝送路38に接続されたコントローラ34,36,37に影響を与えることがない。
この結果、制御用シリアル通信伝送路33と周辺用シリアル通信伝送路38とのいずれについても、他方の通信伝送路への影響を考慮せずに、一方の通信伝送路の伝送データを増加させることができ、機能の拡張性を向上することができる。
さらに、データ中継装置39は、周辺用シリアル通信伝送路38から受信するデータのうち、制御用シリアル通信伝送路33へ送信するデータとそのデータの送信周期とが予め設定され、周辺用シリアル通信伝送路38から予め設定したデータを受信し、そのデータを予め設定した送信周期で制御用シリアル通信伝送路33へ送信する。このため、非制御用のコントローラ34,36,37で不具合が生じて、周辺用シリアル通信伝送路38で不当な連続送信が発生した場合でも、所定の送信周期で制御用シリアル通信伝送路33にデータが送信される。従って、制御用シリアル通信伝送路33に接続されたコントローラ31,32は、受信処理負荷が不当に増加することがない。この結果、各種のアクチュエータに対する制御処理への影響を抑制して、適切なアクチュエータの制御を行うことができ、油圧ショベル1の信頼性を高めることができる。
次に、図4は本発明の第2の実施の形態によるデータ中継装置を示している。第2の実施の形態の特徴は、データ中継装置は、データを受信したときの時間間隔が所定の時間間隔以上となったときに、受信データをバッファに格納するフィルタ処理部を備えることにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態によるデータ中継装置41は、第1の実施の形態によるデータ中継装置39の第1受信装置39A、第1データバッファ39B、第1送信装置39C、第2受信装置39D、第2データバッファ39E、第2送信装置39Fとほぼ同様な第1受信装置41A、第1データバッファ41B、第1送信装置41C、第2受信装置41D、第2データバッファ41E、第2送信装置41Fを備えている。
但し、データ中継装置41は、第1フィルタ処理部41Gと第2フィルタ処理部41Hとをさらに備えている。この点で、第2の実施の形態によるデータ中継装置41は、第1の実施の形態によるデータ中継装置39とは異なる。
第1フィルタ処理部41Gは、第1受信装置41Aが周辺用シリアル通信伝送路38からデータを受信した場合、その時間間隔が一律に設定された時間間隔以上であるとき、または、データ毎に予め設定された時間間隔以上であるときに、受信データを第1データバッファ41Bに格納する。また、第2フィルタ処理部41Hは、第2受信装置41Dが制御用シリアル通信伝送路33からデータを受信した場合、その時間間隔が一律に設定された時間間隔以上であるとき、または、データ毎に予め設定された時間間隔以上であるときに、受信データを第2データバッファ41Eに格納する。
かくして、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第2の実施の形態では、第1フィルタ処理部41Gは、周辺用シリアル通信伝送路38からデータを受信した場合、その時間間隔が予め設定された時間間隔(例えば10s程度)以上であるときに、受信データを第1データバッファ41Bに格納する。これにより、非制御用のコントローラ34,36,37の不具合によって周辺用シリアル通信伝送路38から不当に連続的なデータが送信されても、第1データバッファ41Bのオーバーフローを回避することができる。
同様に、第2フィルタ処理部41Hは、制御用シリアル通信伝送路33からデータを受信した場合、その時間間隔が予め設定された時間間隔以上であるときに、受信データを第2データバッファ41Eに格納する。これにより、制御用のコントローラ31,32の不具合によって制御用シリアル通信伝送路33から不当に連続的なデータが送信されても、第2データバッファ41Eのオーバーフローを回避することができる。
次に、図5は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、データ中継装置が情報モニタコントローラに設けられたことにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態による情報モニタコントローラ51は、第1の実施の形態による情報モニタコントローラ34とほぼ同様な機能を有する。このため、情報モニタコントローラ51は、操作パネル10に接続され、操作パネル10からエアコン12、ワイパ13等の作動要求を取得する。また、情報モニタコントローラ51は、周辺用シリアル通信伝送路38を介してエアコンコントローラ36およびボディコントローラ37に接続されている。これにより、情報モニタコントローラ51は、エアコン12、ワイパ13等の作動要求を、周辺用シリアル通信伝送路38を通じてコントローラ36,37に送信する。
これに加え、情報モニタコントローラ51は、第1の実施の形態によるデータ中継装置39とほぼ同様なデータ中継装置52を備えている。この場合、データ中継装置52は、情報モニタコントローラ51に接続されたハードウェア的な構成でもよく、情報モニタコントローラ51をゲートウェイ的に動作させるためのソフトウェア的な構成でもよい。情報モニタコントローラ51のデータ中継装置52は、制御用シリアル通信伝送路33および周辺用シリアル通信伝送路38に接続されている。このため、情報モニタコントローラ51は、第1の実施の形態による情報モニタコントローラ34と同様に、オペレータによって設定された運転モードを操作パネル10から取得したときには、この運転モードを、制御用シリアル通信伝送路33を通じてメインコントローラ32に送信する。
また、情報モニタコントローラ51は、メインコントローラ32からの燃料残量や冷却水温度等のデータを、データ中継装置52によって制御用シリアル通信伝送路33を通じて受信する。これにより、情報モニタコントローラ51は、データ中継装置52によって受信したデータに基づいて、モニタ装置9の表示を切り換える。
かくして、第3の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第3の実施の形態では、情報モニタコントローラ51はデータ中継装置52を内蔵するから、データ中継装置を別個に設けた場合に比べて、キャブ7内に搭載する装置の数を減少させることができる。このため、設置空間の低減が可能であると共に、情報モニタコントローラ51とデータ中継装置52との間を別個のケーブルで接続する必要がなく、組立性や生産性を高めることができる。
なお、前記第3の実施の形態では、データ中継装置52は情報モニタコントローラ51に設けられる構成とした。図6に示す参考例では、データ中継装置54はメインコントローラ53に設けられる構成としている。このとき、メインコントローラ53のデータ中継装置54は、制御用シリアル通信伝送路33および周辺用シリアル通信伝送路38に接続されている。また、制御用シリアル通信伝送路33は、メインコントローラ53とエンジンコントローラ31とに接続されている。ここで、メインコントローラ53はキャブ7の外部に設けられるのに対し、情報モニタコントローラ34はキャブ7の内部に設けられている。メインコントローラ53と情報モニタコントローラ34との間は、周辺用シリアル通信伝送路38によって接続されている。このため、コネクタ40は、周辺用シリアル通信伝送路38の途中に設けられている。
次に、図7は本発明の第4の実施の形態を示している。第4の実施の形態の特徴は、制御用シリアル通信伝送路にメインコントローラおよびエンジンコントローラ以外の装置を接続したことにある。なお、第4の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
メインコントローラ61は、第1の実施の形態によるメインコントローラ32とほぼ同様に構成されている。このため、メインコントローラ61は、制御用シリアル通信伝送路67を介してエンジンコントローラ31に接続されている。
但し、メインコントローラ61は、キャブ7の内部に設けられている。また、メインコントローラ61は、第1の実施の形態によるデータ中継装置39とほぼ同様なデータ中継装置62を備えている。メインコントローラ61のデータ中継装置62は、制御用シリアル通信伝送路67および周辺用シリアル通信伝送路38に接続されている。このため、メインコントローラ61は、第1の実施の形態によるメインコントローラ32と同様に、エンジンコントローラ31から燃料残量および冷却水温度の検出結果(データ)を取得したときには、この検出結果を、周辺用シリアル通信伝送路38を通じて情報モニタコントローラ34に送信する。
これに加え、メインコントローラ61は、制御用シリアル通信伝送路67を通じて、圧力センサ22A,25Aのセンサドライバ63,65に接続されると共に、電磁弁22B,25Bの電磁弁ドライバ64,66に接続されている。このため、メインコントローラ61は、センサドライバ63,65および制御用シリアル通信伝送路67を通じて、圧力センサ22A,25Aからの圧力情報を取得する。また、メインコントローラ61は、電磁弁ドライバ64,66および制御用シリアル通信伝送路67を通じて、電磁弁22B,25Bを駆動する。
このとき、メインコントローラ61はキャブ7の内部に設けられるのに対し、エンジンコントローラ31およびドライバ63〜66はキャブ7の外部に設けられている。メインコントローラ61とエンジンコントローラ31、ドライバ63〜66との間は、制御用シリアル通信伝送路67によって接続されている。このため、コネクタ40は、制御用シリアル通信伝送路67の途中に設けられている。
センサドライバ63は、油圧ポンプ22の圧力センサ22Aに接続され、圧力センサ22Aからの圧力情報を取得する。また、センサドライバ63は、制御用シリアル通信伝送路67に接続されている。これにより、センサドライバ63は、取得した圧力情報(データ)を、制御用シリアル通信伝送路67を通じてメインコントローラ61に送信する。
電磁弁ドライバ64は、油圧ポンプ22の電磁弁22Bに接続されると共に、制御用シリアル通信伝送路67に接続されている。これにより、電磁弁ドライバ64は、制御用シリアル通信伝送路67を通じて、メインコントローラ61からの指令(データ)を受信し、受信した指令に基づいて、電磁弁22Bを駆動する。即ち、電磁弁ドライバ64は、メインコントローラ61の指令に従い、電磁弁22Bおよび油圧ポンプ22を通じて、アクチュエータ(油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F)を制御するデバイスコントローラを構成している。
センサドライバ65は、コントロールバルブ25の圧力センサ25Aに接続され、圧力センサ25Aからの圧力情報を取得する。また、センサドライバ65は、制御用シリアル通信伝送路67に接続されている。これにより、センサドライバ65は、取得した圧力情報(データ)を、制御用シリアル通信伝送路67を通じてメインコントローラ61に送信する。
電磁弁ドライバ66は、コントロールバルブ25の電磁弁25Bに接続されると共に、制御用シリアル通信伝送路67に接続されている。これにより、電磁弁ドライバ66は、制御用シリアル通信伝送路67を通じて、メインコントローラ61からの指令(データ)を受信し、受信した指令に基づいて、電磁弁25Bを駆動する。即ち、電磁弁ドライバ66は、メインコントローラ61の指令に従い、電磁弁25Bおよびコントロールバルブ25を通じて、アクチュエータ(油圧モータ2E,3A、シリンダ14D〜14F)を制御するデバイスコントローラを構成している。
制御用シリアル通信伝送路67は、第1の実施の形態による制御用シリアル通信伝送路33とほぼ同様に構成されている。このため、制御用シリアル通信伝送路67は、エンジンコントローラ31とメインコントローラ61とに接続され、所定の伝送速度で時系列のシリアルデータを伝送する。これに加えて、制御用シリアル通信伝送路67は、コントローラ31,61以外の装置として、センサドライバ63,65および電磁弁ドライバ64,66に接続されている。これにより、制御用シリアル通信伝送路67は、メインコントローラ61とドライバ63〜66との間でデータ伝送を行うものである。
かくして、第4の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第4の実施の形態では、制御用シリアル通信伝送路67に、コントローラ31,61以外の装置(ドライバ63〜66)を接続したから、エンジンコントローラ31とメインコントローラ61とを含めた制御系側の拡張性を高めることができる。
なお、油圧ショベル1のメンテナンス時には、メインコントローラ61は、センサドライバ63,65によって取得した圧力情報(データ)を、情報モニタコントローラ34に送信して、モニタ装置9に表示させてもよい。これにより、油圧ポンプ22等の状態を容易に把握することができる。
前記第4の実施の形態では、メインコントローラ61をキャブ7の内部に設けた場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、メインコントローラをキャブの外部に設けてもよい。
次に、図8は本発明の第5の実施の形態を示している。第5の実施の形態の特徴は、操作装置の操作量を電気信号で取得する操作装置コントローラを備え、この操作装置コントローラを制御用シリアル通信伝送路に接続したことにある。なお、第5の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
操作装置71は、キャブ7内に設けられ、第1の実施の形態による操作装置8と同様に、走行用の操作レバー・ペダルや作業用の操作レバー等により構成されている。このため、操作装置71は、車両の走行動作、旋回動作、作業装置14の俯仰動動作等を操作するものである。但し、操作装置71は、その操作量を例えば電圧、電流等のような電気信号で出力し、メインコントローラ74によってパイロット圧を制御する。この点で、第5の実施の形態による操作装置71は、パイロット圧を直接的に制御する第1の実施の形態による操作装置8とは異なる。
操作装置コントローラ72は、操作装置71に接続され、操作装置71の操作量を電気信号によって取得する。また、操作装置コントローラ72は、制御用シリアル通信伝送路75に接続されている。これにより、操作装置コントローラ72は、取得した操作量(データ)を、制御用シリアル通信伝送路75を通じてメインコントローラ74に送信する。
パイロットバルブ73は、パイロットポンプ23とコントロールバルブ25とを接続する油路の途中に設けられている。パイロットバルブ73は、パイロット圧を調整する電磁弁73Aを備えている。電磁弁73Aは、メインコントローラ74に接続され、メインコントローラ74によって制御される。
メインコントローラ74は、第1の実施の形態によるメインコントローラ32とほぼ同様に構成されている。但し、メインコントローラ74は、制御用シリアル通信伝送路75を通じて、操作装置コントローラ72に接続されている。これに加え、メインコントローラ74は、パイロットバルブ73の電磁弁73Aに接続されている。このため、メインコントローラ74は、操作装置コントローラ72および制御用シリアル通信伝送路75を通じて、操作装置71の操作量を取得する。そして、メインコントローラ74は、操作装置71の操作量に基づいて、電磁弁73Aを駆動してパイロット圧を制御する。
制御用シリアル通信伝送路75は、第1の実施の形態による制御用シリアル通信伝送路33とほぼ同様に構成されている。このため、制御用シリアル通信伝送路75は、エンジンコントローラ31とメインコントローラ32とに接続され、所定の伝送速度で時系列のシリアルデータを伝送する。これに加えて、制御用シリアル通信伝送路75は、コントローラ31,32以外の装置として、キャブ7内に設けられた操作装置コントローラ72に接続されている。これにより、制御用シリアル通信伝送路75は、操作装置コントローラ72から送信された操作装置71の操作量データを、メインコントローラ74に伝送する。
かくして、第5の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第5の実施の形態では、操作装置71の操作量を電気信号で取得する操作装置コントローラ72を備えたから、操作装置71とコントロールバルブ25との間を接続するパイロット油圧回路の管路を削減することができる。
また、キャブ7内に設けられた操作装置コントローラ72は、制御用シリアル通信伝送路75に接続される構成とした。このため、例えば、メインコントローラ74に各種の指令等を送信する操作支援装置76や遠隔操作装置77がキャブ7内に設けられるときでも、これらの操作支援装置76や遠隔操作装置77を制御用シリアル通信伝送路75に接続することができる。このとき、操作支援装置76は、バケット14Cがキャブ7に干渉しないように作業装置14の作動範囲を制限したり、外部から与えられる施工情報や作業装置14の位置情報に基づいて作業装置14の作動軌跡を制御するものである。また、遠隔操作装置77は、遠隔地から有線または無線で機械を操作するものである。このため、制御用シリアル通信伝送路75を介して、操作支援装置76や遠隔操作装置77からの指令(データ)をメインコントローラ74に送信することができ、機械の機能を容易に拡張することができる。
なお、操作支援装置76を用いて法面工事を行う場合には、法面情報を、操作支援装置76から情報モニタコントローラ34に送信してもよい。これにより、例えば3Dによる法面のガイダンス画面をモニタ装置9に表示させることができる。また、この場合、操作パネル10によって、法面の傾斜角を設定すると共に、設定した傾斜角の情報を、情報モニタコントローラ34から操作支援装置76に送信してもよい。
前記第5の実施の形態では、データ中継装置39は、他のコントローラ31,32,34,36,37,72とは別個に独立して設けた。本発明はこれに限らず、データ中継装置は、例えば情報モニタコントローラに内蔵されてもよく、メインコントローラに内蔵されてもよい。
前記第1,第3,第5の実施の形態では、メインコントローラ32,53,74をキャブ7の外部に設けた場合を例に挙げて説明したが、メインコントローラをキャブの内部に設けてもよい。また、前記各実施の形態では、情報モニタコントローラ34,51はキャブ7の内部に設けた場合を例に挙げて説明したが、情報モニタコントローラをキャブの外部に設けてもよい。即ち、メインコントローラや情報モニタコントローラの配置部位については、キャブの内部と外部のいずれに設けてもよい。この点は、他のコントローラやドライバについても同様である。
前記各実施の形態では、周辺装置の一例として、キャブ7内を照らす室内灯からなる照明器具11を挙げて説明したが、作業現場を照らす作業灯でもよい。また、周辺装置は、照明器具11、エアコン12、ワイパ13に限らず、例えばラジオも含まれる。
前記各実施の形態では、エンジン21を油圧ポンプ22の動力源とした建設機械に適用した場合を例に挙げて説明したが、電動機を油圧ポンプの動力源とした電動式建設機械に適用してもよく、エンジンと電動機との両方を油圧ポンプの動力源としたハイブリッド式建設機械に適用してもよい。
前記各実施の形態では、建設機械として、自走可能なクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、自走可能なホイール式油圧ショベル、移動式クレーン、さらには、走行しない基体上に旋回可能に旋回体が搭載された設置式のショベル、クレーン等に適用してもよい。また、建設機械として、例えばホイールローダ、フォークリフト等のように、旋回体を備えない各種の作業車両、作業機械等にも広く適用することができるものである。
前記各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。