JP6602608B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、口腔用組成物に関する。
一般に、ヒトの唾液中のカルシウム濃度は0.5〜3.0mM程度であり、これよりも更に多くのカルシウムイオンが存在すると、ハイドロキシアパタイトに対する飽和度が上昇し、エナメル質の再石灰化が促進されることが知られている。カルシウムイオンを口腔内に供給する技術としては、微細な炭酸カルシウムを用いて、歯垢で生産される酸を中和することによりカルシウムイオンを口腔内に放出させる技術が知られている(特許文献1を参照)。
上記以外のエナメル質う蝕を予防する技術として以下の技術が知られている。
たとえば、特許文献2の歯磨組成物は、歯垢沈着を抑制し優れたう蝕抑制効果を目的として、ハイドロキシアパタイトとキシリトールとを用いている。
特許文献3の口腔用組成物は、歯牙の歯質強化を低下させることを目的として、トレハロースと燐酸カルシウムとを用いている。
特許文献4の組成物は、歯の再石灰化等によりう蝕の発生を低下させることを目的として、リン酸化オリゴ糖を用いている。
特開平9−295924号公報 特開平9−175963号公報 特開2001−213746号公報 特開2002−325556号公報
しかしながら、エナメル質ではミネラル密度が約97%であるのに対し、象牙質ではミネラル密度が約50%と低く、エナメル質の酸に溶け始める臨界pHが約5.3であるのに対し、象牙質の臨界pHは約6.5であり極めて酸に弱いため、上記公知技術では、象牙質を再石灰化させる効果が十分ではなかった。
象牙質う蝕の一つである根面う蝕の罹患率が近年増加しているという疫学データからも、象牙質う蝕の予防はいまだ十分でないことが示唆され、より高い象牙質う蝕の予防技術が望まれているのが現状である。
本発明の課題は、象牙質う蝕予防効果を向上した口腔用組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ピロリドンカルボン酸等のラクタム化合物と、1次粒子の平均粒子径が20nm〜300nmの水不溶性カルシウム塩とを用いることで、象牙質を再石灰化させ、これにより、象牙質う蝕予防効果を向上させることができるという知見が得られた。本発明は係る新規な知見に基づくものである。
本発明は下記[1]〜[7]を提供する。
[1](A)成分:ピロリドンカルボン酸、6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸、3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上のラクタム化合物と、(B)成分:1次粒子の平均粒子径が20nm〜300nmの水不溶性カルシウム塩と、を含有する、口腔用組成物。
[2](A)成分がピロリドンカルボン酸及び/又はその塩である[1]に記載の口腔用組成物。
[3](B)成分がハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウムから選ばれる1種以上の水不溶性カルシウム塩である[1]又は[2]に記載の口腔用組成物。
[4]口腔用組成物の全質量に対する(A)成分の含有量が0.1〜10質量%である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
[5]口腔用組成物の全質量に対する(B)成分の含有量が0.01〜10質量%である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
[6](B)成分に対する(A)成分の質量比(A)/(B)が、0.01〜500である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
[7]歯磨剤、洗口剤、錠剤、粒状剤、チューインガム、及びグミから選ばれる製剤である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
本発明によれば、象牙質う蝕予防効果を向上した口腔用組成物を提供することができる。
本発明の口腔用組成物は、(A)成分:ピロリドンカルボン酸、6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸、3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上のラクタム化合物と、(B)成分:1次粒子の平均粒子径が20nm〜300nmの水不溶性カルシウム塩と、を含有する。
<(A)成分>
(A)成分は、ラクタム骨格を有し、かつ酸性基を有する化合物であって、ピロリドンカルボン酸、6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸、3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上のラクタム化合物である。
塩としては、薬理学的に許容される塩であれば特に限定はされない。薬理学的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。その具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;リシン塩、アルギニン塩、ヒスチジン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられる。これらの塩の中でも水溶性の塩が好ましく、なかでも無機塩基塩が好ましく、特にナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
ラクタム化合物は、公知のスキームに従って合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
ピロリドンカルボン酸の市販品としては、味の素株式会社から発売されている「AJIDEW(登録商標) A−100」を挙げることができる。ピロリドンカルボン酸ナトリウムの市販品としては、味の素株式会社製「AJIDEW(登録商標) N−50、PCAソーダ(AI=50%水溶液)」を挙げることができる。
6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸の市販品としては、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社から発売されている「(S)−6−Oxo−2−piperidine carboxylic acid(商品名)」を挙げることができる。
3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸の市販品としては、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社から発売されている「3−(2−oxoazepan−1−yl)propanoic acid(商品名)」を挙げることができる。
(A)成分は、ラクタム化合物1種であってもよいし、2種以上のラクタム化合物の組み合わせであってもよいが、ピロリドンカルボン酸及びその塩のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量は特に制限されないが、(B)成分の安定性をより向上させ、使用感(異味)をより改善させることができるという観点から、口腔用組成物全量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。
(A)成分の含有量の上限は特に限定されないが、多量に配合しても(B)成分の安定性の向上効果及び使用感(異味)の改善効果への寄与が限定的(飽和)となる可能性があることから、口腔用組成物全量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
従って、(A)成分の含有量は、口腔用組成物全量に対して、好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜5質量%である。
<(B)成分>
(B)成分は、1次粒子の平均粒子径が20nm〜300nmの水不溶性カルシウム塩である。水不溶性とは、通常、20℃の水に対する溶解度が0.1g/100g以下であることをいう。
水不溶性のカルシウム塩としては、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム塩、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化チタン(IV)カルシウム、ホウ酸カルシウム、モリブデン酸カルシウム、シュウ酸カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウムが好ましく、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウムがより好ましい。
水不溶性カルシウム塩の1次粒子の平均粒子径の測定は、電子顕微鏡で観察して計測する。すなわち粒子を水に分散し、さらに超音波を数分照射して高度に分散し、この分散液を電顕観察用の保持台に少量滴下して乾燥させ、最後に蒸着して電顕観察を行う。粒子径の計測には、異なった複数の視野から単一粒子と認めることができる粒子のみを選択して計測する。粒子が不定形の場合は、最長径と最短径の積の平方根を単一粒子の粒子径とする。本発明の平均粒子径は、前記で得た粒子100個以上の単一粒子径の平均値とする、数平均粒子径である。
水不溶性微細カルシウム塩の1次粒子の平均粒子径は、製造性の観点から、20nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。
水不溶性微細カルシウム塩の1次粒子の平均粒子径の上限値は、有効性が良好であるという観点から、300nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
従って、水不溶性微細カルシウム塩の1次粒子の平均粒子径は、好ましくは20nm〜300nmであり、より好ましくは40nm〜150nmである。
(B)成分の含有量は特に制限されないが、象牙質再石灰化を向上させる効果が十分に発揮されるという観点から、口腔内組成物の全質量に対し0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。(B)成分の含有量の上限は特に限定されないが、口腔内組成物の10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。(B)成分の含有量が口腔内組成物の全質量の10質量%を超えると使用感(異味)・安定性が低下する可能性がある。
(B)成分に対する(A)成分の質量比[(A)/(B)]は、特に制限されないが、十分な象牙質再石灰化の向上、良好な製剤の使用感(異味)、安定性が得られるという観点から、0.01以上であるのが好ましく、0.5以上であるのがより好ましい。
(A)/(B)の上限は、特に制限されないが、十分な象牙質再石灰化の向上効果が得られるという観点から、500以下であるのが好ましく、50以下であるのがより好ましい。
従って、(A)/(B)は、好ましくは0.01〜500であり、より好ましくは0.5〜50である。
<本発明の口腔用組成物の形態>
本発明の口腔用組成物の剤形及び形状は特に限定されず、例えば、液体(溶液、乳液、懸濁液等)、半固体(ゲル、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体等)等の任意の剤形に調製することができる。好ましくは、液体、半固体である。
また、前記調製された製剤は、例えば、歯磨剤(練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、粉歯磨等)、洗口剤、錠剤、粒状剤、口中清涼剤、口腔内塗布剤、口腔内貼付剤、チューインガム、錠菓、飴、グミ、フィルム、トローチ等の各種製品として利用することができるが、口腔用途の範囲であれば、前記に限定されない。好ましくは、歯磨剤、洗口剤、錠剤、粒状剤、チューインガム、グミから選ばれる製剤である。
<他の任意成分>
本発明の口腔用組成物には、必要に応じ、(A)成分、及び(B)成分に加え、各製剤に配合可能な他の成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。他の任意成分としては、例えば、界面活性剤、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、甘味剤、防腐剤、香料、薬用成分、着色剤、光沢剤、pH調整剤、水等の溶媒、賦形剤などが挙げられる。以下に任意成分の具体例を示すが、本発明の口腔用組成物に配合可能な成分はこれらに制限されるものではない。
界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩などのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアミドなどのノニオン界面活性剤、アルキルベタイン系両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤等のベタイン型両性界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤などの両性界面活性剤などを使用できる。これらの界面活性剤は、1種を単独であるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
アニオン界面活性剤としては、特に汎用性の点で、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩などが好適に用いられる。具体的には、発泡性・耐硬水性の点で、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキル鎖の炭素鎖長として炭素数が10〜16のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどを使用することができる。
ノニオン界面活性剤としては、特に汎用性の点で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキロールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルなどが好適に用いられる。具体的には、アルキル鎖の炭素鎖長として炭素数が14〜18、エチレンオキサイド平均付加モル数が15〜30のポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキサイド平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル鎖の炭素鎖長として炭素数が12〜14のアルキロールアミド、脂肪酸の炭素数が12〜18のソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイド平均付加モル数が10〜40のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を使用することができる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤が好ましい。ベタイン系両性界面活性剤としては例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びラウリルヒドロキシスルホベタインが挙げられる。中でも、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン及びN−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムが好ましく、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを含有することがより好ましい。
研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
研磨剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。研磨剤を配合する場合、その配合量は、歯磨剤においては組成物全体の2〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
粘結剤としては、例えば、プルラン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース及びその塩(たとえばナトリウム塩)、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩(たとえばナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルセルロース及びその塩(たとえばナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその塩(たとえばナトリウム塩)、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、通常、製剤全体に対して0.01〜2%配合することができる。粘結剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
粘稠剤としては、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、通常、製剤全体に対して1〜50%配合することができる。粘稠剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、キシリトール、アラビトール等が挙げられる。甘味剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、エチレンジアミン四酢酸塩などを配合することができる。防腐剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
香料としては、例えば、ペパーミント、スペアミント等の精油、レモン、ストロベリー等のフルーツ系のエッセンス、1−メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、リナロール、リモネン、オシメン、シネオール、n−デシルアルコール、シトロネロール、ワニリン、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、チモール、ローズマリー油、セージ油、シソ油、レモン油、オレンジ油等の香料素材が好適である。
香料としてはさらに、例えば、天然香料、合成香料(単品香料)、調合香料(油脂香料(油性香料)、粉末香料など)が挙げられる。香料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
天然香料としては、例えば、マスティック油、パセリ油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、レモン油、コリアンダー油、オレンジ油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローレル油、カモミール油、カルダモン油、キャラウェイ油、ベイ油、レモングラス油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、ペパーミントアブソリュート、ローズアブソリュート、オレンジフラワー、シトラス油、ミックスフルーツ油、ストロベリー油、シナモン油、クローブ油、グレープ油、クローブ油、タイム油、セージ油、ハッカ油、ローズマリー油、マジョラム油、オリガナム油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚子油、マンゴーアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、トウガラシ抽出物、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、カプシカムオレオレジン等が挙げられる。
単品香料としては、例えば、アネトール、サリチル酸メチル、シンナムアルデヒド、リナロール、リナリルアセテート、リモネン、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルアンスラニレート、バニリン、ウンデカラクトン(γ−ウンデカラクトン、δ−ウンデカラクトンなど)、ヘキサナール(トランス−2−ヘキセナールなど)、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール(シス−3−ヘキセノールなど)、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート、シネオール(1,8−シネオールなど)、メンソフラン、リナロールオキサイド、バニリルブチルエーテル、フラネオール、エチルシクロペンテノロン、2−メチルブチリックアシッド、プロピオニックアシッド、デカラクトン(γ−デカラクトン、δ−デカラクトンなど)、ノナラクトン(γ−ノナラクトン、δ−ノナラクトンなど)、ヘキサラクトン(γ−ヘキサラクトン、δ−ヘキサラクトンなど)、イソアミルアセテート、ベンズアルデヒド、ヘキシルアセテート、エチル−2−メチルブチレート、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、フェニルエチルグリシデート、フェニルエチルアルコール、アリルヘキサノエート、メチルシンナメート、エチルβ−メチルチオプロピオネート、シス−6−ノネノール、キャロン、メチルジャスモネート等が挙げられる。
調合香料とは、単品香料及び/又は天然香料を調合して作られる香料である。例えば、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、ヨーグルトフレーバー、フルーツミックスフレーバー等が挙げられる。
香料の形態は限定されず、精油、抽出物、固形物、及びこれらのいずれかを噴霧乾燥した粉体のいずれでも構わない。
さらに薬用成分として、クロロヘキシジン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の殺菌又は抗菌剤、縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤、トラネキサム酸、グリチルリチン2カリウム塩、ε−アミノカプロン酸等の抗炎症剤、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等の酵素剤、ビタミンC、塩化リゾチーム、塩化ナトリウム等の収斂剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等の知覚過敏抑制剤、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化スズ、アミンフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化ケイ素ナトリウム、フッ化ケイ素カルシウム等のフッ素化合物などを、薬剤学的に許容できる範囲で使用することができる。フッ素化合物の配合量はフッ素として50〜3000ppmが好ましい。
着色剤としては、例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、タマリンド色素等の天然色素や、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィンナトリウム、二酸化チタン等が挙げられる。口腔用組成物が着色剤を含有する場合、その含有量は、口腔用組成物全量に対して0.00001〜3質量%であることが好ましい。
光沢剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、雲母チタン、シェラック、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどのワックス類、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。口腔用組成物が光沢剤を含有する場合、その含有量は、口腔用組成物全量に対して0.01〜5質量%が好ましい。
本発明の口腔用組成物のpHは有効性及び安定性の観点から6〜9が好ましく、7〜8であることがより好ましく、必要に応じてpH調整剤を使用してpH調整することができる。pH調整剤としては、リン酸又はその塩(リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなど)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウムなど)、リンゴ酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、グルタミン酸又はその塩、乳酸、塩酸、酢酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
溶剤としては、例えば、水、及び、エタノール、プロパノールなどの炭素原子数3以下の低級アルコール等が挙げられる。溶剤の量は、各剤型により、各々、適切な量に調整することができる。例えば、口腔用組成物が練歯磨の場合、好ましい溶剤は水であり、練歯磨全量に対する水分量は10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましい。前記水分の一部を低級アルコールに置換することもでき、低級アルコール量は、練歯磨全量に対して0〜30質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることがより好ましい。口腔用組成物が洗口剤や液体歯磨等の液体口腔用組成物の場合、好ましい溶剤は水及び/又は低級アルコールであり、液体口腔用組成物全量に対する水と低級アルコールの総量は30〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%がより好ましい。
賦形剤としては、例えば、水飴、ブドウ糖、果糖、転化糖、デキストリン、オリゴ糖等が挙げられる。口腔用組成物が固形製剤である場合、通常、賦形剤を配合する。賦形剤を配合する場合、その配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
チューインガムとは、ガムベースと糖質を主原料とする咀嚼弾性のあるものであり、必要に応じて糖衣を有していてもよい。チューインガム主体に配合されるガムベースとしては、チューインガムに通常用いられるものを使用できる。ガムベースは、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂(平均重合度が約100〜約1000)、天然樹脂類(チクル、ジェルトン、ソルバなど)、ポリイソブチレン、ポリブデン、エステルガム等のガムベース用樹脂(基礎剤)、乳化剤、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、充填剤(タルクなど)、ラノリン、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリンなどの可塑剤又は軟化剤、天然ワックス、石油ワックス、パラフィンなどから選ばれる成分を配合したものが挙げられる。ガムベースは市販品を使用でき、具体的には、ナチュラルベース(株)製のガムベース、ユース(株)製のガムベースが好適である。なお、上記ガムベースは、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジ等の天然色素や二酸化チタン等の着色剤を含有していてもよい。
ガムベースの配合量は、組成物全体の10〜50%、特に15〜30%であることが好ましい。
錠菓とは、糖質を主原料とし、打錠機などの機器で圧縮成型したものであり、必要に応じて糖衣を有していてもよい。錠菓は常法で製造することができ、特に限定されないが、例えば、各成分を混合し、打錠機などの機器で圧縮(例えば、5〜20kNの圧力条件で)することにより製造することができる。
飴の例としては、キャラメル、ヌガーなどのソフトキャンディ、ドロップ、タフィなどのハードキャンディなどが挙げられ、特に限定されないが、高い機能性実感付与の点でハードキャンディが好ましい。ハードキャンディは常法で製造することができ、特に限定されないが、例えば、機能成分および香料以外の原料に水を加えて高温(例えば、140〜200℃)で煮詰めた後、冷却(例えば、70〜130℃まで)し、機能成分および香料を添加し、更に冷却、成型する方法で製造することができる。機能成分の活性を保持したまま安定に配合するために、機能成分および香料以外の原料に水を加えて高温(140〜200℃)で煮詰めた後に、冷却(例えば、70℃〜100℃まで)し、機能成分および香料を添加し、更に冷却、成型する方法で製造することがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「%」は、別途明示のない限り、「質量%」を意味する。
(実施例1〜15、比較例1〜5)
1.歯磨剤(練歯磨剤)の調製方法
精製水中に、(A)成分、70質量%ソルビトール、サッカリンナトリウム及び水酸化ナトリウムを常温で混合溶解しX液を調製した。水酸化ナトリウムはX液のpHが6.5〜8となるように添加した。一方、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウムを常温で溶解・分散させることによりY液を調製した。
次に、撹拌中のX液中にY液を添加混合した後、(B)成分、無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウム及び香料を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用いて常温で混合し、4kPaまで減圧し脱泡を行い、歯磨剤(口腔用組成物)1.0kg(100質量部)を得た。各実施例及び各比較例において用いた材料と、その配合割合については、各表に示した。
歯磨剤の調製に使用した材料の詳細は以下のとおりである。
(A)成分
ピロリドンカルボン酸(γ−ラクタム化合物):AJIDEW A−100(登録商標)(味の素(株))
ピロリドンカルボン酸ナトリウム50%水溶液:AJIDEW(登録商標) N−50、(味の素(株))
6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸(δ−ラクタム化合物):(S)−6−Oxo−2−piperidine carboxylic acid(商品名)(シグマ アルドリッチ ジャパン(株))
3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸(ε−ラクタム化合物):3−(2−Oxoazepan−1−yl)propanoic acid(商品名)(シグマ アルドリッチ ジャパン(株))
(B)成分
微細ハイドロキシアパタイト:
SHAp焼成ハイドロキシアパタイトナノ粒子 球状(商品名)((株)ソフセラ)(1次粒子の平均粒子径は40nm、20℃の水に対する溶解度は0.04mg/100g)、表中には「ソフセラ焼成ハイドロキシアパタイトナノ粒子 球状」と記載
微細炭酸カルシウム:カルエッセン−A(商品名)(白石カルシウム(株))(1次粒子の平均粒子径は70nm、20℃の水に対する溶解度は1.5mg/100g)、表中には「カルエッセン−A」と記載
水不溶性カルシウム塩の1次粒子の平均粒子径の測定は、電子顕微鏡で観察して(「電顕観察」ともいう)計測した。すなわち粒子を水に分散し、さらに超音波を数分照射して高度に分散し、この分散液を電顕観察用の保持台に少量滴下して乾燥させ、最後に蒸着して2〜3万倍で電顕観察を行った。得られた顕微鏡写真をスケールを含めて2〜3倍に拡大し、単一粒子と認めることができる粒子のみを選択して粒子径を計測した。異なった4つの視野からあわせて100個以上の粒子を計測し、その平均値を以って平均粒子径とした。粒子が不定形の場合は、最長径と最短径の積の平方根を単一粒子の平均粒子径とした。
比較例で用いた水不溶性カルシウム塩
ハイドロキシアパタイトHAP−200(商品名)(太平化学産業(株))(1次粒子の平均粒子径0.45μm、20℃の水に対する溶解度は0.12mg/100g)、表中「ハイドロキシアパタイト研磨剤」と記載
重質炭酸カルシウム BF300(商品名)(備北粉化工業(株))(1次粒子の平均粒子径2.8μm、20℃の水に対する溶解度は1.4mg/100g)、表中「重質炭酸カルシウム」と記載
その他、カルボキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビット、無水ケイ酸、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、水酸化ナトリウム、及び精製水は化粧品原料基準規格品を用いた。ソルビットについては、70%水溶液品(表中、70%ソルビトールと記載)を用いて歯磨剤を調製した。配合量の記載は全て純度100%に換算した値であり、精製水の量には、ソルビットによる持込水分量が含まれている。
2.評価試験
上述のようにして得られた実施例1〜15の歯磨剤と、比較例1〜5の歯磨剤の評価試験(象牙質の再石灰化促進評価、製剤の使用感(異味)の評価、及び安定性の評価)を以下のようにして行った。
(1)象牙質の再石灰化促進評価
(a)牛歯根から表面にウィンドウを施した象牙質ブロックを作製し、100mmol/L、pH4.8の酢酸溶液(脱灰液)に37℃、3日間浸漬し、コラーゲンの露出した、う蝕歯サンプルを作製した。
(b)上記う蝕歯サンプルを、各実施例及び各比較例の歯磨剤処理液(使用時に唾液で希釈されることを想定して歯磨剤を蒸留水で3倍に希釈した液)に3分間、室温で浸漬させ、軽く処理液を除いた。
(c)飲食後プラークが酸にさらされることを想定し、う蝕歯サンプルのウィンドウ面に、100mmol/L、pH5.0の酢酸溶液15μLを滴下し5分放置した後、軽く水洗した。
(d)上記う蝕歯サンプルを、CaCl:1.5mmol/L、KHPO4:5.0mmol/L、酢酸:100mmol/L、NaCl:100mmol/L、1.0単位/mLのClostridium histolyticum由来のコラゲナーゼ(Type 1A,Sigma製)を含むpH6.5の再石灰化液に37℃で、6時間浸漬した。
(e)上記再石灰化液で処理した各う蝕歯サンプルを、再び各実施例及び比較例の処理液に3分間、室温で浸漬させ、軽く処理液を除き、再び100mmol/L、pH5.0の酢酸溶液を15μL滴下し5分放置後軽く水洗し、(d)と同じ再石灰化液に37℃、17時間浸漬した。
(f)上記(b)〜(e)の処理を1日各1回、合計7日間繰り返した。
(g)7日間の処理後、各う蝕歯サンプルの象牙質ブロックを蒸留水でよく濯ぎ、マイクロカッター(マルトー(株)製、「MC−201(商品名)」)にてサンプルのウィンドウに対して垂直方向に厚さ約200μmの切片を流水下で注意深く切り出した。
(h)ウェット状態で切り出したサンプル薄片を軟X線用フィルム(KONICA MINOLTA(株)製、「HIGH PRECISION PHOTO PLATE(商品名)」)の上に置き、その上から、軟X線発生装置(ソフテックス(株)製、「CMR−2(商品名)」)により、軟X線(2.8mA、18kVp)を10分照射し、各薄片サンプルのTMR(Transverse Micro Radiography)像を取得した。
(i)各薄片サンプルの脱灰程度を、薄片サンプルとともに撮影した15枚のアルミニウムステップウェッジのTMR像から、画像解析装置(OLIMPUS(株)製、「DP2−BSW(商品名)」)を用いて、各薄片サンプルのTMR像のミネラルプロファイルを作成した。
得られた各ミネラルプロファイルから、再石灰化量を算出した。更に、脱灰しないサンプル、脱灰後のサンプル、薬剤処理しないサンプル(無処理群)の再石灰化量についても同様に算出した。
(j)上記一連の実験操作を、各群(実施例、比較例及び無処理群)につき、それぞれN=3で行ない、その平均値を求め、「実施例及び比較例(各例)の各平均再石灰化量」及び「無処理群の平均再石灰化量」とした。「無処理群の平均再石灰化量」を基準再石灰化量とし、「実施例及び比較例の各平均再石灰化量」から下記式(1)により象牙質再石灰化率を求めた。
各例の象牙質再石灰化率(%)=
[(各例の平均再石灰化量−無処理群の平均再石灰化量)/(平均初期脱灰ミネラル量−無処理群の平均再石灰化量)]×100・・・・・・・(1)
式(1)中の平均初期脱灰ミネラル量とは(1)(a)で得られたう蝕歯サンプルにおける脱灰ミネラル量の平均値をいう。
各サンプルによる象牙質再石灰化効果は、以下5段階の基準に基づいて評価し、評価結果を表1〜2に示した。下記評価点(象牙質再石灰化スコア)が3以上であれば、良好な再石灰化効果があると判断した。
〔評価基準〕
5点:象牙質再石灰化率が60%以上
4点:象牙質再石灰化率が40%以上60%未満
3点:象牙質再石灰化率が20%以上40%未満
2点:象牙質再石灰化率が10%以上20%未満
1点:象牙質再石灰化率が10%未満
(2)製剤の使用感(異味)の評価
10名の被験者が、各実施例及び比較例の歯磨剤の使用感(異味)を下記評点基準に基づき点数を付け、10名の平均値から下記評価基準に基づき使用感(異味)を評価し、結果を表1〜2に示した。
〔評点基準〕
4点:まったく異味を感じなかった。
3点:わずかに異味を感じるが、問題ないレベルであった。
2点:異味を感じた。
1点:顕著に異味を感じた。
〔評価基準〕
◎:平均3.5点以上
○:平均3.0点以上 3.5点未満
△:平均2.0点以上 3.0点未満
×:平均2.0点未満
(3)製剤の安定性の評価
各実施例及び比較例の歯磨剤を製造後50℃環境下に1ヶ月間保管した後の製剤の劣化具合(液分離)を目視で評価し、結果を表1〜2に示した。
〔評価基準〕
◎:製剤の劣化(液分離)がない。
○:製剤の劣化(液分離)がわずかに見られるが、歯磨剤としての使用に支障のないレベルである。
×:製剤の劣化(液分離)が著しく見られ歯磨剤としての使用に支障がある。
Figure 0006602608
Figure 0006602608
3.結果と考察
(A)成分及び(B)成分を含む実施例1〜15の歯磨剤では象牙質再石灰化スコアが3以上という良好な結果が得られた。一方、(A)成分を含まない比較例1及び2の歯磨剤、(B)成分を含まない比較例3、(B)成分に代えて(B)成分よりも1次粒子の平均粒子径が大きい水不溶性カルシウム塩を含む比較例4〜5の歯磨剤では象牙質再石灰化スコアが2以下という結果が得られた。
この結果から、ピロリドンカルボン酸、6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸、3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上のラクタム化合物[(A)成分]と、1次粒子の平均粒子径が20nm〜300nmの水不溶性カルシウム塩[(B)成分]とを含有する組成物を用いることにより、象牙質の再石灰化を充分に向上させることができ、これにより象牙質う蝕抑制効果を向上させることができるということがわかった。
特に、歯磨剤の全質量に対し、(A)成分の含有量が0.5質量%以上で、(B)成分の含有量が0.1〜5質量%の歯磨剤(実施例2〜7、実施例9〜10、実施例12、実施例14)では、象牙質再石灰化率が60%以上(象牙質再石灰化スコアが5)であり、使用感及び安定性にも優れているので、より好ましいということがわかった。
以下に本発明の口腔用組成物を用いた他の配合例を示す。
処方例1.歯磨剤(象牙質の再石灰化促進効果◎、使用感(異味)◎、安定性◎)
ピロリドンカルボン酸ナトリウム50%水溶液 6.0%
軽質炭酸カルシウム コロカルソーEX 2.0%
(白石カルシウム(株) 1次粒子の平均粒子径250nm)
無水ケイ酸 15.0%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0%
プロピレングリコール 5.0%
ポリアクリル酸ナトリウム 0.8%
キサンタンガム 0.5%
70%ソルビット液 40.0%
キシリトール 5.0%
香料 0.5%
精製水 残
計 100.0%
処方例2.歯磨剤(象牙質の再石灰化促進効果◎、使用感(異味)◎、安定性◎)
ピロリドンカルボン酸 2.0%
SHAp焼成ハイドロキシアパタイトナノ粒子ロッド状 2.0%
(株)ソフセラ 1次粒子の平均粒子径150nm)
無水ケイ酸 2.0%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0%
プロピレングリコール 3.0%
ヒドロキシエチルセルロース 0.5%
70%ソルビット液 30.0%
キシリトール 5.0%
香料 0.5%
精製水 残
計 100.0%
処方例3.洗口剤(象牙質の再石灰化促進効果◎、使用感(異味)◎)
ピロリドンカルボン酸ナトリウム50%水溶液 5.0%
SHAp焼成ハイドロキシアパタイトナノ粒子 球状 1.0%
(株)ソフセラ 1次粒子の平均粒子径40nm)
キシリトール 3.0%
グリセリン(AI=100) 5.0%
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 0.5%
クエン酸ナトリウム 0.3%
クエン酸 0.1%
香料 0.2%
エタノール 8.0%
プロピレングリコール 3.0%
精製水 残
計 100.0%
処方例4.歯磨剤(象牙質の再石灰化促進効果◎、使用感(異味)◎、安定性◎)
ピロリドンカルボン酸ナトリウム50%水溶液 6.0%
SHAp焼成ハイドロキシアパタイトナノ粒子球状 1.0%
(株)ソフセラ 1次粒子の平均粒子径40nm)
フッ化ナトリウム 0.21%
無水ケイ酸 12.0%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0%
プロピレングリコール 1.0%
キサンタンガム 0.3%
70%ソルビット液 30.0%
サッカリンナトリウム 0.1%
香料 1.0%
精製水 残
計 100.0%

Claims (7)

  1. (A)成分:ピロリドンカルボン酸、6−オキソ−2−ピペリジンカルボン酸、3−(2−オキソ−1−アゼパニル)プロパン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる一種以上のラクタム化合物と、
    (B)成分:1次粒子の平均粒子径が20nm〜300nmの水不溶性カルシウム塩と、
    を含有し、
    (B)成分に対する(A)成分の質量比(A)/(B)が、0.01〜50である、口腔用組成物。
  2. (A)成分がピロリドンカルボン酸及び/又はその塩である請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. (B)成分がハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウムから選ばれる一種以上の水不溶性カルシウム塩である請求項1又は請求項2に記載の口腔用組成物。
  4. 口腔用組成物の全質量に対する(A)成分の含有量が0.1〜10質量%である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
  5. 口腔用組成物の全質量に対する(B)成分の含有量が0.01〜10質量%である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
  6. 歯磨剤、洗口剤、錠剤、粒状剤、チューインガム、及びグミから選ばれる製剤である、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
  7. 象牙質再石灰化促進用である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
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