以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。なお、形態を説明するための図面において、方向について特に記載しない場合には図面上での方向をいうものとする。また、それらの図面は、窓ガラスの面を対向して見たときの図であって、窓ガラスが車両に取り付けられた状態での車内視(又は、車外視)の図であり、図面上での左右方向(横方向)が水平方向に相当し、上下方向が垂直方向に相当する。しかし、車外視の図として参照してもよい。
例えば、窓ガラスが車両の後部に取り付けられるリヤガラスである場合、図面上での左右方向が車幅方向に相当する。また、本発明に係る窓ガラスは、主に、車両の後部に取り付けられるリヤガラス(後部窓ガラス)である。また、平行、直角などの方向は、本発明の効果を損なわない程度のズレを許容するものである。
また、本発明において、窓ガラスは車両ボディの開口部を覆う一例である。窓ガラスは板状部材であって、素材はガラスに限られず、樹脂、フィルム等であってもよい。後部窓ガラス60(車両用窓ガラス又はリヤガラスともいう。)は、車両筺体のフランジによって形成される筺体開口部(開口部ともいう)に取り付けられている。
なお、窓の車体開口縁とは窓ガラス(板)がはめ込まれる車体の開口部の周縁であって車体アースとなるべきものをいい、例えば、金属等の導電性材料で構成されている。
<窓の全体構成>
図2は、本発明の一実施形態であるガラスアンテナ(車両用ガラスアンテナ、車両用アンテナともいう)1を備える後部窓ガラスの全体平面図である。
後部窓ガラス(リヤガラス)60は、外側の車体ボディに形成されたフランジ(あるいは樹脂製のパネル)に取り付けられる外周縁61を有する窓ガラスである。車体ボディの車体開口縁(フランジ)は後部窓ガラスがはめ込まれる車体の開口部の周縁であって車体アースとなる。フランジは、金属等の導電性材料で構成されている。
本発明の実施形態では、後部窓ガラス60の外周縁と、車体ボディ側のフランジの内周縁(開口縁)とは等しい位置に設けられるものとして、符号61で示す。しかし、車体ボディ側のフランジと後部窓ガラス60の外周縁の近傍が重なっていてもよい。
図2において、ガラスアンテナ(窓ガラスにプリント、埋め込み、貼り付け等により組み込まれたアンテナ)は、車両用の後部窓ガラス60に平面的な導体パターンとして設けられる給電部及びアンテナ導体10,20を含んで構成される。
第1実施形態〜第10実施形態が適用される後部窓ガラス60には、複数本のヒーター線42と該ヒーター線42に給電する複数のバスバ41a,41bとを有する通電加熱式のデフォッガ40が設けられている。
詳しくは、図2に示すデフォッガ40の例では、帯状のバスバ41a,41bは、後部窓ガラス60の左側領域及び右側領域に(左右両端部側に)それぞれ少なくとも1本ずつ設けられている。また、バスバ41a,41bは後部窓ガラス60の縦方向又は略縦方向に伸長されている(延伸している、延在している)。
一例として、バスバ41aは車体アースに接続され、バスバ41bはスイッチ31を介して直流電源30の陽極に接続されている。
複数本のヒーター線42は水平方向又は略水平方向、広義には横方向又は略横方向に延在している。一例として、一般の自動車では、視野確保の点から、デフォッガ40の横幅、即ち、バスバ41aと41bとの間は、間隔(Dw)が900mm〜1200mmであることが好ましい。
本発明において、デフォッガの形状は限定されない。すなわち、バスバは2つに限定されない。しかし、これに限定されず、バスバは2つ又は3つ以上であってもよい。バスバは後部窓ガラス60の縦方向又は略縦方向に延在していなくてもよく、例えば、横方向又は略横方向に延在していてもよい。
ここで、複数本のヒーター線42のバスバ41a,41以外の部分を短絡線43,44により短絡されていてもよい。詳しくは、図2に示す例では、短絡線として、第1の短絡線43と第2の短絡線44の2本の短絡線が設けられ、それぞれ後部窓ガラス60の縦方向又は略縦方向に延在している。
第1の短絡線43は、後部窓ガラス60の左右中央を境として左側に配されており、第2の短絡線44は、後部窓ガラス60の左右中央を境として右側に配されている。さらに、第1の短絡線43及び第2の短絡線44は、該左右中央から左右40mm〜300mmの領域にそれぞれ設けられている。
図2に示すように、デフォッガ40より上側の、後部窓ガラス60の余白領域であって、後部窓ガラス60の上縁部周辺に、本発明のガラスアンテナが設けられている。ここで、周波数帯H及びLでのアンテナ利得の向上のため、デフォッガ40のガラスアンテナ1との間の最短間隔、即ち最上部にあるヒーター線42uと後述する給電接続用横エレメント21との距離が、20mm〜100mmであることが好ましい。
本発明のガラスアンテナは、周波数帯L、及び、周波数帯Lより高い周波数帯Hの2種類の周波数帯を良好に受信する。周波数帯L(低周波数帯)としては、例えば、AM放送帯(530kHz〜1605kHz)が挙げられ、周波数帯H(高周波数帯)としては、例えば、日本のFM放送帯(76MHz〜95MHz)及び欧州のFMラジオ88MHz〜108MHzが挙げられる。本発明では、日本のFM放送帯(76MHz〜95MHz)及び欧州のFMラジオ88MHz〜108MHzの両方に対応する広帯域のFM放送帯(76MHz〜108MHz)を、周波数帯Hとする。
本発明の、第1実施形態〜第6実施形態及び第8実施形態〜第10実施形態では、周波数帯Lと周波数帯Hとの給電を共用する、1つの給電部(給電点)5を有する。第7実施形態では、周波数帯H用の第1の給電部6と、周波数帯H用及び周波数帯L用の第2の給電部7とをそれぞれ有する。
なお、以後の説明において、文を簡略化するために、アンテナエレメントを単にエレメントという。また、車両用ガラスアンテナを単にガラスアンテナという。
<第1実施形態>
図3は、本発明の第1実施形態に係るガラスアンテナ1の平面図である。
ガラスアンテナ1は、第1のアンテナ導体10と、第2のアンテナ導体と、給電部5とを備える。給電部5は第1のアンテナ導体10と第2のアンテナ導体20とに接続されている。
第1のアンテナ導体10は、給電接続用縦エレメント11、第1の横エレメント12、及び第2の横エレメント13を備えている。第1のアンテナ導体10は、全体が周波数帯H用のアンテナ導体として機能し、給電接続用縦エレメント11、第1の横エレメント12、及び第2の横エレメント13はH用のアンテナエレメントとして機能する。
第2のアンテナ導体20が、給電接続用横エレメント21、接続用縦エレメント22、第3の横エレメント23、第4の横エレメント24、上方縦エレメント25、上方横エレメント26、及び調整用エレメント29を備えている。第2のアンテナ導体20は、L用のアンテナ導体及びH用のアンテナ導体の両方として機能する。
具体的には、給電接続用横エレメント21、第3の横エレメント23、及び第4の横エレメント24はL用のアンテナエレメントとして機能する。上方横エレメント26は、H用のアンテナエレメントとして機能する。調整用エレメント29は、H用のアンテナエレメントを調整するエレメントとして機能する。接続用縦エレメント22及び上方縦エレメント25は、指向性を調整するエレメントとして機能する。
第1のアンテナ導体10において、給電接続用縦エレメント11は給電部5から縦方向又は略縦方向、特には、垂直方向又は略垂直方向に延在している。
給電接続用縦エレメント11には、第1の横エレメント12及び第2の横エレメント13が接続されている。本実施形態では、第1の横エレメント12の上方に位置した、第2の横エレメント13の一端が、給電接続用縦エレメント11の終端と接続されている。しかし、構成はこれに限定されず、略垂直方向において、給電接続用縦エレメント11の上端が、第2の横エレメント13の一端から突出していてもよい。
給電接続用縦エレメント11に接続される、第1の横エレメント12及び第2の横エレメント13は、ともに給電部側から離れる方向に向かって延在している。なお、構成はこれに限定されず、水平方向において、第1の横エレメント12及び第2の横エレメント13の端部は、給電接続用縦エレメント11をよりも突出していてもよい。
第2のアンテナ導体20において、給電接続用横エレメント21は給電部5から横方向又は略横方向、特には、水平方向又は略水平方向に延在している。給電接続用横エレメント21は、L用のアンテナエレメントとして機能するが、この構成により、周波数帯Hのアンテナ利得を向上させることもできる。
また、図2に示す例では、車内側又は車外側から見て、後部窓ガラス60の余白領域の左側領域に1つの給電部5が設けられており、給電部5に給電接続用横エレメント21が直接接続されている。しかし、接続関係はこれに限定されず、図3の拡大図(平面図)で示すように、給電接続用横エレメント21は、第1のアンテナ導体10の給電接続用縦エレメント11(の接続部19)を介して給電部5に接続されていてもよい。すなわち、給電接続用横エレメント21は直接、又は間接的に、電気的に給電部5に接続されていればよい。
給電接続用横エレメント21の終端(図3の右側)には、接続用縦エレメント22が接続されている。接続用縦エレメント22は、指向性を調整するエレメントであって、その位置が変化することにより、周波数帯Hの指向性に影響を与える。
なお、図3に示す構成では、給電接続用横エレメント21の端部(他端)に接続用縦エレメント22が接続されている。しかし、接続はこれに限定されず、給電接続用横エレメント21のいずれかの位置に接続用縦エレメント22が接続されていればよい。
同様に、接続用縦エレメント22の端部(下端)に調整用エレメント29が接続されている。しかし、これに限定されず、接続用縦エレメント22のいずれの部分に、調整用エレメント29が接続されればよい。
本実施形態には、接続用縦エレメント22には、第3の横エレメント23、及び第4のエレメント24、上方縦エレメント25、及び調整用エレメント29が接続されている。
接続用縦エレメント22に接続される、第3の横エレメント23、第4のエレメント24、及び上方縦エレメント25に接続される上方横エレメント26が、略水平方向であって、ともに接続用縦エレメント22から給電部5に近づく方向に延在している。
第1のアンテナ導体10の第1の横エレメント12と、第2のアンテナ導体20の第3の横エレメント23とは相互に近接して容量結合されている。第1のアンテナ導体10の第2の横エレメント13と、第2のアンテナ導体20の第4の横エレメント24とは相互に近接して容量結合されている。
このように、2つの容量結合部を設けていることによって、1つの容量結合部を設けている場合と比較して、周波数帯Hを受信する際のアンテナ利得が飛躍的に向上する。
また、本実施形態において、第2のアンテナ導体20には、第4の横エレメント24の上方に、上方横エレメント26が設けられていることで、容量結合を形成するエレメントに加えて、別の線条エレメントを備えることになる。上方横エレメント26は、高周波数帯Hの利得向上及び受信可能な帯域の拡張に用いられる。
図2では、上方縦エレメント25は接続用縦エレメント22と接続され、一体化して延在している。このように、本構成では、上方縦エレメント25は接続用縦エレメント22の上端と接続されているが、上方エレメントの構成はこれに限定されない。
例えば、上方縦エレメント25と接続用縦エレメント22とが連接せず、上方縦エレメント25が、第4の横エレメント24のいずれかの部分と接続され、上方に延在していてもよい。この場合、上方縦エレメント25に接続された上方横エレメント26は、接続用縦エレメント22の位置から水平方向で異なる位置を起点として、給電部5の側に向かうように、第4の横エレメント24と同一の方向に延在する。
第1の容量結合部において、第3の横エレメント23及び第1の横エレメント12がともに水平方向又は略水平方向、広義には横方向又は略横方向に延在しており、第3の横エレメント23と第1の横エレメント12とが相互に平行又は略平行である。本実施形態では、第1の横エレメント12が第3の横エレメント23よりも上側に配されている。
同様に、第2の容量結合部において、第4の横エレメント24及び第2の横エレメント13がともに水平方向又は略水平方向に延在し、相互に平行又は略平行である。本実施形態では、第4の横エレメント24が第2の横エレメント13より上側に配されている。
上述のように、本実施形態では、第2の容量結合部の上には、さらに、上方横エレメント26を設けている。従って、上記のように容量結合部で配置することで、給電部5側から上方横エレメント26側へ、交互に互い違いに線条エレメントが配置されるようになり、アンテナ利得が向上する。
ここで、容量結合を形成する、第3の横エレメント23、第1の横エレメント12、第2の横エレメント13、及び第4の横エレメント24は、夫々、何らか接続されない端部が開放端である。
ここで、周波数帯Hとして、日本のFM放送帯、米国・欧州のFM放送帯及びテレビVHF帯のLow帯に含まれる全ての帯域(76MHz〜108MHz)に対応させるため、下側に位置する第1の容量結合部の長さが200mm〜800mm、特には、300mm〜732mmであると好適である。また、上側に位置する第2の容量結合部の長さが230mm〜430mm、特には、264mm〜344mmであると好適である。
また、第1の容量結合部及び第2の容量結合部において、容量結合を形成するエレメント間の間隔が、5mm〜30mm、特には、10mm〜20mmであると好適である。
本発明の実施形態に係る図2〜図7及び図10〜図12に示す例では、車内側又は車外側から見て、接続用縦エレメント22より左側に、第1の容量結合部、第2の容量結合部、給電接続用横エレメント21、及び上方横エレメント26が配されている。
よって、指向性調整のための接続用縦エレメント22を境として、調整用エレメント29は第1の容量結合部、第2の容量結合部とは反対側に配されている。このように、容量結合と調整用エレメント29を離して配置することにより、2つの容量結合部の長さ及び給電接続用横エレメント21の長さ、及び上方横エレメント26を必要な程度に確保することができる。略水平に延在する横エレメント21,23,24,26の長さを確保することで、周波数帯Lのアンテナ利得を確保し、周波数帯Hのアンテナ利得が向上させることができる。
ここで、周波数帯Hの中心周波数における空気中の波長をλ、ガラス波長短縮率をk、k=0.64とし、λg=λ・kとする。
具体的には、接続用縦エレメント22の位置については、後部窓ガラス60の左右中央から0.13λg以下の範囲に配されることが、周波数帯Hを受信する際に無指向性となるので好ましい。この位置のより好ましい範囲は、後部窓ガラス60の左右中央から0.04λg〜0.1λg以下の範囲である。
ここで、第2のアンテナ導体20において、指向性調整用の接続用縦エレメント22は後部窓ガラス60の縦方向又は略縦方向に延在している。しかし、これに限定されず、少なくとも、接続用縦エレメント22と上方縦エレメント25との合計の導体長(合計長)の50%以上が後部窓ガラス60の縦方向又は略縦方向に延在していれば、指向調整用のアンテナエレメントとして使用できる。
接続用縦エレメント22の、縦方向又は略縦方向に延在している部分の導体長が、(λg/53)〜600mmであることが好ましい。この部分の導体長が(λg/53)以上である場合には、(λg/53)未満である場合と比較して周波数帯H用のアンテナ利得が向上し、好ましい。
詳しくは、本発明における周波数帯Hの帯域(76MHz〜108MHz)に対応させるため、接続用縦エレメント22及び上方縦エレメント25の合計長の、縦方向又は略縦方向に延在している部分の導体長が、40mm〜600mmであると好適である。この部分の導体長のより好ましい範囲は、50mm〜500mmであり、特に好ましい範囲は、60mm〜400mmである。
また、接続用縦エレメント22と上方縦エレメント25の合計長が600mm以下である場合には、600mm超である場合と比較してコンパクト化が達成でき好ましい。この部分の導体長のより好ましい範囲は(λg/41.7)〜500mmであり、特に好ましい範囲は、(λg/34.8)〜400mmである。
本発明において、第1の容量結合部の組と、第2の容量結合部の組との間の間隔、即ち、第1の横エレメント12と第4の横エレメント24との間の平均間隔が、10mm〜30mm、特には、15mm〜20mmであると好適である。
詳しくは、この平均間隔が10mm以上である場合には、10mm未満である場合と比較してアンテナ利得を向上させられ、好ましい。この平均間隔が30mm以下である場合には、30mm超である場合と比較して、無指向性に近づき、好ましい。
上方エレメント(25+26)は、所定の長さで設ける場合に、アンテナ利得を向上させる効果がある。そのため、下記ルート長(合計長)を考慮して、上方エレメントの夫々適切な導体長を設けるものとする。
例えば、給電部を含まないものとして、給電部から順に、接続部19、給電接続用横エレメント21、接続用縦エレメント22、上方縦エレメント25、上方横エレメント26までのルートのルート長が、nを整数としたとき、(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲であると好適である。詳細は実施例とともに後述する。
なお、上方横エレメント26の先端は、開放端である構成に限られず、曲げられたり折り返されたりしていてもよい。例えば、図6に示すように、上方横エレメント26の先端が折り返されている、即ち、上方横エレメント26は第3の横エレメント23の延在方向と同じ方向に延在後、上方折り曲げ縦エレメント261及び上方折り返し横エレメント262により、折り返して、第1の横エレメント12の延在方向と同じ方向に延在してもよい。
この場合、上記エレメント(接続部)19⇒21⇒22⇒25⇒26のルート長に加えて、上方折り曲げ縦エレメント261と上方折り返し横エレメント262の長さ(エレメント長)も加えて、上記(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係るガラスアンテナ1Aの平面図である。
本実施形態は、図3に示す第1実施形態と比較して、第2のアンテナ導体20Aに、上方エレメント25,26が設けられておらず、代わりに、下方エレメント27,28が設けられている点が異なる。
詳しくは、本実施形態では、給電接続用横エレメント21の下側に、下方エレメントとして、下方縦エレメント27と下方横エレメント28が設けられている。
ここで、車内側又は車外側から見て、後部窓ガラス60の左右中央を境として、右側の領域には、下方縦エレメント27が設けられている。下方縦エレメント27は縦方向又は略縦方向に延在している。下方縦エレメント(第1の下方縦エレメント)27の端部に、下方横エレメント28が接続されている。
なお、図4では、給電接続用横エレメント21の下方に配置される下方横エレメント28が一本配置される例を説明するが、窓ガラスの余白部分の大きさに応じて、本実施形態の変形例として、下方横エレメントを複数本配置してもよい。
この場合、上述の周波数帯Hの帯域(76MHz〜108MHz)においてアンテナ利得を向上させるために、複数方並んだ下方エレメントの間隔が、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
さらに、図4で点線に示すように、下方エレメントの構成要素として、給電接続用横エレメント21に接続されてループを作成するための第2の下方縦エレメント281をさらに設けてもよい。詳しくは、一端が下方横エレメント28の他端と接続され、他端が給電接続用横エレメント21に接続される、第2の下方縦エレメント281が設けられている。この構成では、給電接続用横エレメント21、下方縦エレメント27、下方横エレメント28、及び第2の下方縦エレメント281で下方ループを形成する。下方ループを形成することで、周波数帯Hのアンテナ利得が向上する。
下方エレメント(27+28)は、所定の長さで設ける場合に、アンテナ利得を向上させる効果がある。そのため、下記ルート長を考慮して、下方エレメントの夫々適切な導体長を設けるものとする。
例えば、給電部を含まないものとして、給電部から順に、接続部19、給電接続用横エレメント21、下方縦エレメント27、及び下方横エレメント28までのルートのルート長が、0.57λg〜0.62λgの範囲であると好適である。詳細は実施例とともに後述する。
なお、下方横エレメント28の先端は、開放端である構成に限られず、上記のようにループが形成されている場合、上記エレメント19⇒21⇒27⇒28までのルート長に加えて、第2の下方縦エレメント281の長さ(エレメント長)も加えて、上記0.57λg〜0.62λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
あるいは、図7に示すように、先端が折り返されている、即ち、下方横エレメント28は第3の横エレメント23の延在方向と同じ方向に延在後、下方折り曲げ縦エレメント281及び下方折り返し横エレメント282により、折り返して、第1の横エレメント12の延在方向と同じ方向に延在してもよい。
この場合、上記エレメント19⇒21⇒27⇒28までのルート長に加えて、折り曲げエレメントである、下方折り曲げ縦エレメント281と下方折り返し横エレメント282の長さも加えて、上記0.57λg〜0.62λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係るガラスアンテナ1Bの平面図である。
本実施形態は、図3に示す第1実施形態及び図4に示す第2実施形態と比較して、第2のアンテナ導体20Bに、上方エレメント25,26と、下方エレメント27,28との両方が設けられている点が異なる。
本実施形態では、第1実施形態において上方エレメント25,26を設けることで得られる利点と、第2実施形態において下方エレメント27,28を設けることで得られる利点の両方の利点を享受し得る。
なお、後述の実施例で説明するように、上方エレメント(25+26)と下方エレメント(27+28)の相互に与える影響により、周期的に変化するアンテナ利得が向上するように、上方エレメント及び下方エレメントを夫々適切な導体長に設けるものとする。
例えば、下方エレメント(27+28)を440mmで固定したとき、給電部を含まないものとして、給電部から順に、接続部19、給電接続用横エレメント21、接続用縦エレメント22、上方縦エレメント25、上方横エレメント26までのルートのルート長が、nを整数としたとき、(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲であると好適である。詳細は実施例とともに後述する。
なお、本実施形態においても、上方横エレメント26の先端は、開放端である構成に限られず、折り返されていてもよい。例えば、図6に示すように、先端が折り返されている場合、下方エレメント(27+28)を440mmで固定し、上記エレメント19⇒21⇒22⇒25⇒26のルート長に加えて、上方折り曲げ縦エレメント261と上方折り返し横エレメント262の長さも加えて、上記(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
<第4実施形態>
図6は、本発明の第4実施形態に係るガラスアンテナ1Cの平面図である。
本実施形態は、図3に示す第1実施形態に対して、第1のアンテナ導体10Cと、第2のアンテナ導体20Cとに接続される(短絡する)ループ形成エレメント8,9がさらに設けられている点が異なる。
即ち、図6に示すように、本実施形態に係るガラスアンテナ1Cは、上方エレメント25,26及びループ形成エレメント8,9を有している。
なお、図6では、2つのループ形成エレメント8,9が配されている。ただし、給電接続用横エレメント21と第1の横エレメント23とを短絡させる第1のループ形成エレメント8、及び第1の横エレメント23と第2の横エレメント24と短絡させる第2のループ形成エレメント9の両方を備えなくてもよく、少なくとも一つを有していてもよい。
ここで、ループ形成エレメント8,9は略垂直に延在するため、ループ形成エレメント8,9のエレメント長は、略水平に延在する、給電接続用横エレメント21と第1の横エレメント12との間隔、第1の横エレメント12と第2の横エレメント13との間隔に該当する。
従って、上述のように周波数帯H(76MHz〜108MHz)の指向性の向上のために、ループ形成エレメント8,9のエレメント長は、5mm〜60mm、特には、10mm〜40mmであることが、好ましい。
<第5実施形態>
図7は、本発明の第5実施形態に係るガラスアンテナ1Dの平面図である。
本実施形態は、図4に示す第2実施形態と比較して、第1のアンテナ導体10Dと、第2のアンテナ導体20Dとに接続される(短絡する)ループ形成エレメント8,9がさらに設けられている点が異なる。ループ形成エレメント8,9の構成は、図6に示す第4実施形態と同様である。
即ち、図7に示すように、本実施形態に係るガラスアンテナ1Dは、下方エレメント27,28及びループ形成エレメント8,9を有している。
<第6実施形態>
図8は、本発明の第6実施形態に係るガラスアンテナ1Eの平面図である。
本実施形態は、図5に示す第3実施形態と比較して、第1のアンテナ導体10Eと、第2のアンテナ導体20Eとに接続される(短絡する)ループ形成エレメント8,9がさらに設けられている点が異なる。ループ形成エレメント8,9の構成は、図6に示す第4実施形態と同様である。
即ち、図8に示すように、本実施形態に係るガラスアンテナ1Eは、上方エレメント25,26、下方エレメント27,28、及びループ形成エレメント8,9を有している。
<第7実施形態>
図9は、本発明の第7実施形態に係るガラスアンテナ1Fの平面図である。
本実施形態は、図2、図3に示す第1実施形態と比較して、給電部が、周波数帯Lより高い周波数帯H用の第1の給電部6と、周波数帯L用に主に用いる、第2の給電部7に分かれている点が主に異なる。
詳しくは、本実施形態では、第1のアンテナ導体10Fの給電接続用縦エレメント11Fは第1の給電部6に接続されている。また、第2のアンテナ導体20Fの給電接続用横エレメント21Fは、給電接続用縦エレメント11Fとは接続されず、第2の給電部7に直接接続されている。
第1の給電部6と第2の給電部7との間の最短間隔D67は、0.1mm〜200mmが好ましい。この最短間隔が0.1mm以上である場合には、0.1mm未満である場合と比較して製造が容易で好ましい。この最短間隔が200mm以下であると、200mm超である場合と比較して実装上の便宜のために好ましい。この最短間隔のより好ましい範囲は、1mm〜100mmであり、特に好ましい範囲は、2mm〜50mmである。
なお、図9に示す例では、給電接続用横エレメント21Fは第2の給電部7に直接接続されている。しかし、これに限定されず、給電接続用横エレメント21Fは、何らかの接続エレメント(例えば、第1のアンテナ導体10とは接触しないエレメント)を介して第2の給電部7に接続されていてもよい。すなわち、給電接続用横エレメント21Fは電気的に第2の給電部7に接続されていればよい。
また、第1〜第6実施形態では、接続用縦エレメント22の端部(下端)に調整用エレメント29が接続されていたが、図8に示す本実施形態では、接続用縦エレメント22Fの端部以外の部分に調整用エレメント29Fが接続されている。
また、第7実施形態において、上方エレメント(25+26)は、所定の長さで設ける場合に、アンテナ利得を向上させる効果がある。そのため、下記ルート長を考慮して、上方エレメントの夫々適切な導体長を設けるものとする。
例えば、給電部を含まないものとして、給電部から順に、接続部19、給電接続用横エレメント21F、接続用縦エレメント22F、上方縦エレメント25、上方横エレメント26までのルートのルート長が、nを整数としたとき、(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲であると好適である。
なお、上方横エレメント26の先端に折り返しを形成する場合の合計長は、第1の実施形態と同様に、折り返しの部分を含めて、上記範囲になるように設定すると好適である。
<第8実施形態>
図10は、本発明の第8実施形態に係るガラスアンテナ1Gの平面図である。本実施形態は、図2、図3に示す第1実施形態と比較して、上方横エレメント26Gの先端は、開放端ではなく、下方に折り返されている点が異なる。
図10に示すように、上方横エレメント26Gの先端が上方に折り返されている、即ち、上方横エレメント26Gは第3の横エレメント23の延在方向と同じ方向に延在後、上方上折り曲げ縦エレメント261及び上方上折り返し横エレメント262により、上方にお折り返して、第1の横エレメント12の延在方向と同じ方向に延在している。
この場合、上記エレメント(接続部)19⇒21⇒22⇒25⇒26G⇒261⇒262のルート長が、上記(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
また、上述の周波数帯Hの帯域(76MHz〜108MHz)においてアンテナ利得を向上させるために、上方上折り返し横エレメント262と上方横エレメント26Gとの間隔であって、上方上折り曲げエレメント261の長さは、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
同様に、上方横エレメント26Gと第1のアンテナ導体10の第2の横エレメント13との間隔は、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
なお、図10では、上方横エレメント26Gが給電部5及び給電接続用縦エレメント11の上方の位置まで延在後に、上方上折り曲げ縦エレメント261により下方向へ延在させているが、図6に示すように、手前で折り曲げてもよい。また、上方上折り返し横エレメント262を設けなくてもよい。
<第9実施形態>
図11は、本発明の第9実施形態に係るガラスアンテナ1Hの平面図である。本実施形態は、図2、図3に示す第1実施形態と比較して、上方横エレメント26Hの先端は、開放端ではなく、上方に折り返されている点が異なる。
図11に示すように、上方横エレメント26Hの先端が下方に折り返されている、即ち、上方横エレメント26Hは第3の横エレメント23の延在方向と同じ方向に延在後、上方下折り曲げ縦エレメント263及び上方下折り返し横エレメント264により、下方に折り返して、第1の横エレメント12の延在方向と同じ方向に延在している。
この場合、上記エレメント(接続部)19⇒21⇒22⇒25H⇒26H⇒263⇒264のルート長が、上記(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
また、上述の周波数帯Hの帯域(76MHz〜108MHz)においてアンテナ利得を向上させるために、上方横エレメント26Hと上方下折り返し横エレメント264との間隔であって、上方下折り曲げエレメント263の長さは、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
同様に、上方下折り返し横エレメント264と第1のアンテナ導体10の第2の横エレメント13との間隔は、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
なお、図11では、上方横エレメント26Hが給電部5及び給電接続用縦エレメント11の上方の位置まで延在後に、上方下折り曲げ縦エレメント263により上方向へ延在させているが、手前で折り曲げてもよい。また、上方下折り返し横エレメント264を設けなくてもよい。
<第10実施形態>
図12は、本発明の第10実施形態に係るガラスアンテナ1Iの平面図である。本実施形態は、図10に示す第8実施形態と比較して、上方縦エレメント25Iの下端が、接続用縦エレメント22の他端ではなく、第4の横エレメント24に接続されている点が異なる。
図12に示すように、上方縦エレメント25Iは、第4の横エレメント24に接続されて上方に延在し、上方横エレメント26Iの一端は、このように構成された上方縦エレメント25Iの上端に接続され、第4の横エレメント24の途中の上方に位置している。そして、上方横エレメント26Iは、その位置から、第3の横エレメント23の延在方向と同じ方向に延在後、上方上折り曲げ縦エレメント265及び上方上折り返し横エレメント266により、上方に折り返して、第1の横エレメント12の延在方向と同じ方向に延在している。
この場合、アンテナエレメントの給電部からの最長のルート長さには、接続用縦エレメント22の上端から上方縦エレメント25Iの下端までの第4の横エレメント24上の長さ(距離D25)も含まれる。ここで、上記エレメント(接続部)19⇒21⇒22⇒D25⇒25I⇒26I⇒265⇒266のルート長が、上記(0.15+0.5n)λg〜(0.45+0.5n)λgの範囲になるように、合計長を設定すると、好適である。
また、上述の周波数帯Hの帯域(76MHz〜108MHz)においてアンテナ利得を向上させるために、上方上折り返し横エレメント266と上方横エレメント26Iとの間隔であって、上方上折り曲げエレメント265の長さは、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
同様に、上方横エレメント26Iと第1のアンテナ導体10の第2の横エレメント13との間隔は、5mm〜25mm、特には、10mm〜20mmであることが周波数帯Hのアンテナ利得を向上させられ、好ましい。
なお、図12では、上方横エレメント26Gが給電部5及び給電接続用縦エレメント11の上方の位置まで延在後に、上方上折り曲げ縦エレメント261により下方向へ延在させているが、図6に示すように、手前で折り曲げてもよい。また、上方上折り返し横エレメント266を設けなくてもよい。
また、上方縦エレメント25Iは、接続用縦エレメント22の上端から起点(下端)が異なっているが、上方縦エレメント25Iの起点が移動できる範囲(離れる距離D25)は、上方縦エレメント25Iが、第2の横エレメント13と接触しない範囲であって、特に、上方縦エレメント25Iが第2の横エレメント13の端部から5mm以上離間する位置に設けると好ましい。
<全体の変形例>
第1のアンテナ導体10、第2のアンテナ導体20、給電部5、第1の給電部6、第2の給電部7及びデフォッガ40は、通常、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストを後部窓ガラス60の車内側表面にプリントし、焼き付けて形成される。しかし、この形成方法に限定されず、銅等の導電性物質からなる、線状体又は箔状体を、後部窓ガラス60の車内側表面又は車外側表面に形成してもよく、後部窓ガラス60自身の内部に設けてもよい。また、その内部又はその表面に導体層を設けた合成樹脂製フィルムを後部窓ガラス60の車内側表面又は車外側表面に形成して、第1のアンテナ導体10及び第2のアンテナ導体20等としてもよい。
本発明において、後部窓ガラス60の面上に隠蔽膜を形成し、この隠蔽膜の上にL用アンテナ導体、給電部5、第1の給電部6及び第2の給電部7から選ばれる少なくとも一つを設けてもよい。この隠蔽膜は黒色セラミック膜等のセラミックスが挙げられる。
ここで、車両は移動体であるため、複数のアンテナを設け、場所によって受信感度の良い何れか一方のアンテナに切り替え可能な電波選択能を備える(協働してダイバーシティ受信を行う)と好ましい。
そのため、本発明において、同一の周波数帯L及び周波数帯Hを受信するための、補助アンテナを窓ガラス60に設けることもできる。このように、窓ガラス60に補助アンテナを設置することで、アンテナ切り替えにより受信性能を向上させる効果を得られる。
あるいは、本発明のガラスアンテナと、別の部位(例えば、フロントガラスやシャークフィン、スポイラー)に、補助アンテナを設けて、相互に切り替え可能にしてもよい。
また、異なる周波数、例えば周波数帯Hよりも高い放送波(DAB等)を受信するための別の用途の異種アンテナをリヤガラスに設けてもよい。この場合、異種アンテナを後部窓ガラス上に設けるとき、調整用エレメント29の上方であって、接続用縦エレメント22に対して給電部5から離れた側方(図2では右側)に設けると好ましい。
異種アンテナを設けた場合、本発明のガラスアンテナは、高い放送波(DAB)の受信特性を調整することに用いることができる。
以上、ガラスアンテナ及び窓ガラスを複数の実施形態例により説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではない。他の実施形態例の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
<実施例>
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図3の第1実施形態及び図10の第8実施形態において、上方エレメント25,26の長さ(L25+L26(+L261+L262))が異なる、示す自動車用ガラスアンテナを製作した。ここで、異なるアンテナ長毎に、周波数−アンテナ利得特性を測定し、平均の特性を算出した。なお、後述する第5実施例とは異なり、本実施例では下方エレメントは設けていない。
自動車から見て、水平方向の0〜360°の60dBμV/m電界中におけるアンテナ利得を3°毎に測定した。図2の全体図では、ヒーター線42は11本に記載されているが、測定の際には、ヒーター線42は14本とした。
本実施例において、この0〜360°の平均アンテナ利得を採用した。本実施例における、これらの測定条件については、図13〜図32においても同様である。
図3(図10)に示す、第1実施形態(及び第8実施形態)のガラスアンテナ1の各部の寸法は下記の通りである。Lは夫々のエレメントの導体長を表すものとする。
L11 80mm
L12 550mm
L13 390mm
L19 5mm
L21 770mm
L22 60mm
L23 585mm
L24 650mm
L29 335mm
なお、第1の容量結合及び第2の容量結合を形成する、向かい合うエレメントの間の距離は10mm、後部窓ガラス60と水平方向とがなす角のうちの小さい方の角の角度は24.4°とした。
また給電部の大きさは、縦27mm×横14mm、各エレメントの線幅を0.8mmとした。
さらに、後部窓ガラス60におけるガラスアンテナ1の配置を下記の通りとした(図2、図4参照)。D1は車体開口縁(後部窓ガラスの縁部)61の側縁61sと給電接続用縦エレメント11との側縁61sとの距離、D2は車体開口縁61の上縁61uと第2の横エレメント13との距離、D4は最も上に位置するヒーター線42uと下方横エレメント28との距離を示す。Wwは後部窓ガラス60の横幅、Whは後部窓ガラス60の縦幅を示す。
D1 20mm
D2 45mm
D4 40mm
Ww60 1320mm
Wh60 700mm。
本実施例において、ガラスアンテナにおける上方エレメントの長さ(L25+L26(+L261+L262))を0(無し),145,245,345,445,545,645,745,845,945,1045,1145,1245,1345,1445,1545と16通りに変化させた。
なお、これらの長さを基に、給電部5からのアンテナ長(上記ルートの合計長)を、短縮率k=0.64、周波数帯Hの中心周波数である92MHzにおける空気中の波長をλ、λg=λ・kとして、波長換算すると、0.40,0.47,0.52,0.57,0.61,0.66,0.71,0.76,0.81,0.85,0.90,0.95,1.00,1.04,1.09,1.14λgに相当する。
詳しくは、アンテナ長は、「給電部」から「エレメント先端」までの長さの合計長(L19+L21+L22+L25+L26(+L261+L262))で規定する。図13、図14のグラフの開始点を835mm(L19:5mm+L21:770mm+L22:60mm)であって、0.40λgとする。
なお、本実施例では、図10に示すように、上方エレメントを伸長させる際は下方に折り曲げ、測定した中で、最も長い場合の上方エレメントの長さ(L25I+L26I+L265+L266)が1545mmの場合の寸法を、下記とした。
L25G:40mm
L26G:770mm
L261:10mm
L262:725mm。
図13は、上方エレメントを有する図3の構成で、図10に示す方向に上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。なお、本実施例では、図10に示すように、上方エレメントを伸長させる際は上方に折り曲げた。
とした。
図14は、上方エレメントを有する図3の構成で、図10に示す方向に上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図13及び図14に示すグラフより、上方エレメントを付さないとき(グラフの左端)と比較して、0.65λg〜0.95λgの範囲で効果があることがわかる。
さらにグラフの右側により、1.05λg以上の長さのときも、利得が向上していることがわかる。よって、図13及び図14のグラフより、少なくとも、0.65λg〜0.95λgの範囲、及び1.05λg〜の範囲で利得が向上していことから、アンテナ長さ(上記ルートの合計長)に応じて、周期的(一例として約0.5λg毎)に特性が変化していた。
この効果的な範囲の中でも、例えば、0.70λg付近、即ち、上方エレメントの長さ640mm(L25G:40mm+L26G:600mm,折り返しなし)付近が特に好ましい。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図3の第1実施形態及び図11の第9実施形態において、上方エレメント25,26の長さ(L25H+L26H(+L263+L264))が異なる、示す自動車用ガラスアンテナを製作した。ここで、異なるアンテナ長毎に、周波数−アンテナ利得特性を測定し、平均の特性を算出した。
本実施例において、ガラスアンテナにおける上方エレメントの長さ(L25H+L26H(+L263+L264))を0(無し),145,245,345,445,545,645,745,845,945,1045,1145,1245,1345,1445,1545と16通りに変化させた。
なお、これらの長さを基に、給電部5からのアンテナ長(上記ルートの合計長)を、短縮率k=0.64、周波数帯Hの中心周波数である92MHzにおける空気中の波長をλ、λg=λ・kとして、波長換算すると、0.40,0.47,0.52,0.57,0.61,0.66,0.71,0.76,0.81,0.85,0.90,0.95,1.00,1.04,1.09,1.14λgに相当する。
詳しくは、アンテナ長は、「給電部」から「エレメント先端」までの長さの合計長(L19+L21+L22+L25H+L26H(+L263+L264))で規定する。図15、図16のグラフの開始点を835mm(L19:5mm+L21:770mm+L22:60mm)であって、0.40λgとする。
なお、本実施例では、図11に示すように、上方エレメントを伸長させる際は上方に折り曲げ、測定した中で、最も長い場合の上方エレメントの長さ(L25I+L26I+L265+L266)が1545mmの場合の寸法を、下記とした。
L25H:30mm
L26H:770mm
L263:10mm
L264:735mm。
図15は、上方エレメントを有する図3の構成で、図11に示す上方向に上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。なお、本実施例では、図11に示すように、上方エレメントを伸長させる際は下方に折り曲げた。
図16は、上方エレメントを有する図3の構成で、図11に示す上方向に上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図15及び図16に示すグラフより、上方エレメントを付さないとき(グラフの左端)と比較して、0.65λg〜0.95λgの範囲で効果があることがわかる。
さらにグラフの右側により、1.05λg以上の長さのときも、利得が向上していることがわかる。よって、図15及び図16のグラフより、少なくとも、0.65λg〜0.95λgの範囲、及び1.05λg〜の範囲で利得が向上していことから、アンテナ長さ(上記ルートの合計長)に応じて、周期的(一例として約0.5λg毎)に特性が変化していた。
この効果的な範囲の中でも、例えば、0.66λg付近、即ち、上方エレメントの長さ540mm(L25H:30mm+L26H:510mm,折り返しなし)付近が特に好ましい。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図12の第10実施形態において、上方エレメントの長さ(L25I+L26I+L265+L266)が異なる、示す自動車用ガラスアンテナを製作した。ここで、異なるアンテナ長毎に、周波数−アンテナ利得特性を測定し、平均の特性を算出した。
本実施例において、ガラスアンテナにおける上方エレメントの長さ(L25I+L26I+L265+L266)を距離D25と合わせて、0(無し),145,245,345,445,545,645,745,845,945,1045,1145,1245,1345,1445mmと15通りに変化させた。
なお、これらの長さを基に、給電部5からのアンテナ長(上記ルートの合計長)を、短縮率k=0.64、周波数帯Hの中心周波数である92MHzにおける空気中の波長をλ、λg=λ・kとして、波長換算すると、0.40,0.47,0.52,0.57,0.61,0.66,0.71,0.76,0.81,0.85,0.90,0.95,1.00,1.04,1.09λgに相当する。
ここで、詳しくは、アンテナ長は、「給電部」から「エレメント先端」までの長さ(L19+L21+L22+D25+L25I+26I+265+266)で規定しており、2グラフの開始点を935mm(L19:5mm+L21:770mm+L22:60mm+D25:100mm)とする。そのため、例えば、0.47λgに相当する145mmではD25の距離で100mm差し引かれるため、上方アンテナの長さは、45mmとなる。
なお、本実施例では、図12に示すように、上方エレメントを伸長させる際は下方に折り曲げ、測定した中で、最も長い場合の上方エレメントの長さ(L25I+L26I+L265+L266)が1445mmの場合の寸法を、下記とした。
L25G:40mm
L261:770mm
L261:10mm
L262:625mm。
図17は、上方エレメントの起点が異なる図12の構成で、上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフを示す。なお、本実施例では、図10に示すように、上方エレメントを伸長させる際は下方に折り曲げた。
図18は、上方エレメントの起点が異なる図12の構成で、上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図17及び図18に示すグラフより、上方エレメントを付さないとき(グラフの左端)と比較して、0.4λg〜0.55λg及び0.70λg〜1.00λgの範囲で効果があることがわかる。なお、距離D25の分、上方アンテナエレメントの位置が給電部側に移動するため、グラフにすると、第1実施例からシフトして、利得が良好な範囲が異なる。
よって、図17及び図18のグラフより、少なくとも、0.4λg〜0.55λgの範囲、及び0.70λg〜1.00λgの範囲で利得が向上していことから、アンテナ長さ(上記ルートの合計長)に応じて、周期的(一例として約0.4λg〜0.5λg毎)に特性が変化していた。
この効果的な範囲の中でも、上方エレメントの長さは、640mm(L25G:40mm+L26G:600mm、折り返しなし)、即ち、上方エレメントと距離D25との合計長が740mmであって、図17及び図18のグラフに示す、0.71λg付近が特に好ましい。
このように実施例1〜実施例3では、適切な長さの上方エレメントを追加することで、比較例の構成から、利得が向上する効果があることがわかる。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図4の第2実施形態の構成について、下方エレメント27,28の長さ(L27+L28)が異なるガラスアンテナを製作した。ここで、異なるアンテナ長(所定のルートの合計長)毎に、周波数−アンテナ利得特性を測定し、平均の特性を算出した。
本実施例において、ガラスアンテナにおける下方エレメントの長さ(L27+L28)を0(無し)、30,80,130,240,440,540,640mmと8通りに変化させた。
なお、これらの長さを基に、短縮率k=0.64、周波数帯Hの帯域の76MHz〜108MHZの中心周波数を92MHzとした中心周波数における空気中の波長をλ、λg=λ・kとして計算すると、給電部5からのアンテナ長(上記ルートの合計長)を波長換算すると、0.36,0.39,0.41,0.43,0.49,0.58,0.63,0.68λgに相当する。
詳しくは、アンテナ長は、「給電部」から「エレメント先端」までの長さ(L19+L21+L27+L28)で規定しており、図19及び図20のグラフの開始点を775mm(L19:5mm+L21:770mm)であって、0.36λgとする。
図19は、図4の第2実施形態の構成で下方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における水平偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図20は、図4の構成で下方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図19及び図20に示すグラフより、下方エレメントを有さないとき(グラフの左端)と比較して、0.57λg〜0.62λgの合計長になるように、下方エレメントの導体長を設定すると、利得向上の効果があることがわかる。
また、図19及び図20のグラフにより、三角関数のように周期的に遷移しているため、0.7λg以上の帯域で、利得が再び向上することも想定しうる。
この効果的な範囲の中でも、下方エレメント長さは、0.59λg付近、即ち、460mm(L27:40mm+L28:420mm)付近が特に好ましい。
このように実施例4では、適切な長さの下方エレメントを追加することで、比較例の構成から、利得が向上する効果があることがわかる。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図5の第3実施形態において、下方エレメント27,28の長さ(L27+L28)を固定し、及び上方エレメント25,26の長さ(L25+L26)が異なる、示す自動車用ガラスアンテナを製作した。ここで、異なるアンテナ長毎に、周波数−アンテナ利得特性を測定し、平均の特性を算出した。
第3実施形態において、下方エレメント27,28の寸法は、
L27: 40mm
L28: 420mm
と一定とした。その他の構成の寸法は、上記実施例1に示す寸法と同様である。
本実施例において、実施例1と同様に、ガラスアンテナにおける上方エレメントの長さ(L25+L26)を変化させ、0(無し),145,245,345,445,545,645,745,845,945,1045,1145,1245,1345,1445,1545と16通りに変化させた。
なお、これらの長さを基に、給電部5からのアンテナ長(上記ルートの合計長)を、短縮率k=0.64、周波数帯Hの中心周波数である92MHzにおける空気中の波長をλ、λg=λ・kとして、波長換算すると、0.40,0.47,0.52,0.57,0.61,0.66,0.71,0.76,0.81,0.85,0.90,0.95,1.00,1.04,1.09,1.14λgに相当する。
詳しくは、アンテナ長は、「給電部」から「エレメント先端」までの長さの合計長(L19+L21+L22+L25+L26)で規定する。図21、図22のグラフの開始点を835mm(L19:5mm+L21:770mm+L22:60mm)であって、0.40λgとする。
図21は、第3実施形態において、下方エレメントを適切な長さで固定し、上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における、水平偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図22は、第3実施形態において、下方エレメントを適切な長さで固定し、上方エレメントの長さを変化させたときの、76MHz〜108MHzの全周波数帯における、垂直偏波の平均のアンテナ利得を示すグラフである。
図21及び図22に示すグラフより、上方エレメントを付さないとき(グラフの左端)と比較して、0.65λg〜0.95λgの範囲で効果があることがわかる。
さらにグラフの右側により、1.15λg以上の長さのときも、利得が向上していることがわかる。よって、図15及び図16のグラフより、少なくとも、0.65λg〜0.95λgの範囲、及び1.15λg〜の範囲で利得が向上していことから、アンテナ長さ(上記ルートの合計長)に応じて、周期的(一例として0.5λg毎)に特性が変化していた。
この効果的な範囲の中でも、0.70λg付近、即ち、上方エレメントの長さが、640mm(L25:40mm+L26:600mm)付近が特に好ましい。
実施例5により、実施例4と比較して、第2実施形態の構成に適切な上方エレメントを追加することで、利得が向上する効果があることがわかる。
また、実施例5と実施例1とを比較して、下方エレメントを付している場合であっても、追加する上方エレメントの長さにより、利得の変化は同様であることがわかる。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図3の第1実施形態及び図1の比較例の構成に示すガラスアンテナを製作し、第1実施形態及び比較例における周波数−アンテナ利得特性を測定した。
比較例の寸法は、第1実施形態とほぼ同じであるが、上方エレメント(25,26)を設けていない点が異なる。また、給電部55が、図2に示す給電接続用横エレメント21よりも上にあり、給電接続用縦エレメント11に対応する、エレメント51aの縦方向の長さが図2よりも短く60mmである点も異なる。
ここで、本実施例における、上方エレメント25,26の寸法は、実施例1の結果を踏まえて、
L25: 40mm
L26: 600mm
とした。他の寸法は、実施例1と同様である。
図23は、図3に示す上方エレメントを有する構成と比較例とを比較し、76MHz〜108MHzの各周波数帯における水平偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図24は、図4に示す上方エレメントを有する構成と比較例とを比較し、76MHz〜108MHzの各周波数帯における垂直偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図23及び図24のグラフの傾向から、第1実施形態のアンテナ利得は、比較例のアンテナ利得に対して、特に76MHz〜96MHzの利得が低い帯域及び、100MHz〜104MHzで利得が落ち込む帯域で、落ち込みが解消されて利得が上がっていることがわかる。
これにより、例えば米国・欧州のFM放送帯(88MHz〜108MHz)だけでなく、日本のFM帯(76MHz〜90MHz)もカバーできることになり、広帯域に対応できるようになる。
また、図23に示す水平偏波について、比較例の構成の全帯域の平均利得は53.1dBμVであるのに対して、上方エレメントを付した構成の全帯域の平均利得は、54.1dBμVである。
図24に示す垂直偏波について、比較例の構成の全帯域の平均利得は56.6dBμVであるのに対して、上方エレメントを付した構成の全帯域の平均利得は、58.0dBμVである。
よって、上方エレメントを設けることで、第1実施形態は、比較例に対して、全帯域のアンテナの特性が向上する。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図4の第2実施形態及び図1の比較例の構成に示すガラスアンテナを製作し、第2実施形態及び比較例における周波数−アンテナ利得特性を測定した。
ここで、本実施例における、下方エレメント27,28の寸法は、実施例1の結果を踏まえて、
L27: 40mm
L28: 420mm
とした。他の寸法は、実施例1と同様である。
図25は図4に示す下方エレメントを有する構成と比較例とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における水平偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図26は、下方エレメントを有する構成と比較例とにおける、76MHz〜108MHzの各周波数帯における垂直偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図25及び図26のグラフの傾向から、特に76MHz〜96MHzの利得が低い帯域、及び104MHz〜108MHzの帯域で、利得が向上していることがわかる。これにより、例えば米国・欧州のFM放送帯(88MHz〜108MHz)だけでなく、日本のFM帯(76MHz〜90MHz)もカバーできることになり、広帯域に対応できるようになる。
また、図25に示す水平偏波について、比較例の構成の全帯域の平均利得は53.1dBμVであるのに対して、下方エレメントを付した構成の全帯域の平均利得は、53.8dBμVである。
図26に示す水平偏波について、比較例の構成の全帯域の平均利得は56.6dBμVであるのに対して、下方エレメントを付した構成の全帯域の平均利得は、57.6dBμVである。
よって、下方エレメントを設けることで、第2実施形態は、比較例に対して、全帯域のアンテナの特性が向上する。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図5の第3実施形態及び第2実施形態の構成に示すガラスアンテナを製作し、第3実施形態及び第2実施形態における周波数−アンテナ利得特性を測定した。第3実施形態における、構成の寸法は上述の実施例6及び実施例7と同様である。
上記は、下方エレメントが付せられたガラスアンテナと図1に示す比較例のガラスアンテナ50とで比較したが、所定の長さの上方エレメントを追加することで、利得が向上する効果を確認した。
図27は、図5に示す上方エレメント及び下方エレメントを有する構成と図4に示す下方エレメントを有する構成とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における水平偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図28は、図5に示す上方エレメント及び下方エレメントを有する構成と図4に示す下方エレメントを有する構成とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における垂直偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図27及び図28のグラフから、特に100MHz〜104MHzで利得が落ち込む帯域で、落ち込みが解消されて利得が上がっていることがわかる。これにより、例えば日本のFM帯(76MHz〜90MHz)だけではなく、米国・欧州のFM放送帯(88MHz〜108MHz)をカバーできることになり、広帯域に対応できるようになる。
また、図27に示す水平偏波について、図4の第2実施形態の構成の全帯域の平均利得は53.8dBμVであるのに対して、図5の第3実施形態の構成の全帯域の平均利得は、54.6dBμVである。
図28に示す垂直偏波について、図4の第2実施形態の構成の全帯域の平均利得は57.6dBμVであるのに対して、図5の第3実施形態の構成の全帯域の平均利得は、58.5dBμVである。
上記比較により、下方エレメントのみの構成と比較して、適切な長さの下方エレメントと上方エレメントとの両方を設けることで、全帯域のアンテナの特性が向上することがわかる。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図7の第5実施形態及び図4の第2実施形態の構成に示すガラスアンテナを製作し、第5実施形態及び第2実施形態における周波数−アンテナ利得特性を測定した。
第5実施形態において、ループ形成エレメント8,9の寸法は
L8: 40mm
L9: 40mm
とした。その他の構成の寸法は上述の実施例1、実施例6、実施例7と同様である。
図29は、図7に示す下方エレメント及びループ形成エレメントを有する構成と図4に示す下方エレメントを有する構成とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における水平偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図30は、図7に示す下方エレメント及びループ形成エレメントを有する構成と図4に示す下方エレメントを有する構成とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における垂直偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図29及び図30のグラフから、特に100MHz〜104MHzで利得が落ち込む帯域、及び104MHz〜108MHzで、落ち込みが解消されて利得が上がっていることがわかる。これにより、例えば日本のFM帯(76MHz〜90MHz)だけではなく、米国・欧州のFM放送帯(88MHz〜108MHz)をカバーできることになり、広帯域に対応できるようになる。
図29に示す水平偏波について、図4の第2実施形態の構成の全帯域の平均利得は53.8dBμVであるのに対して、図7の第5実施形態の構成の全帯域の平均利得は、54.7dBμVである。
図30に示す垂直偏波について、図4の第2実施形態の構成の全帯域の平均利得は56.6dBμVであるのに対して、図7の第5実施形態の構成の全帯域の平均利得は、58.4dBμVである。
上記比較により、下方エレメントのみの構成と比較して、ループ形成エレメントと下方エレメントとの両方を設けることで、全帯域のアンテナの特性が向上することがわかる。
自動車の後部窓ガラス60を使用し、図8の第6実施形態及び図1の比較例の構成に示すガラスアンテナを製作し、第6実施形態及び比較例における周波数−アンテナ利得特性を測定した。
第6実施形態の構成の寸法は、上述の実施例1、実施例6、実施例7、実施例9を参照して、同様のものとする。
図31は、図8に示す、上方エレメント、下方エレメント及びループ形成エレメントを有する構成と比較例とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における水平偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図32は、図8に示す、上方エレメント、下方エレメント及びループ形成エレメントを付した構成と比較例とを比較する、76MHz〜108MHzの各周波数帯における垂直偏波のアンテナ利得を示すグラフである。
図31及び図32のグラフから、特に100MHz〜104MHzで利得が落ち込む帯域で、落ち込みが解消されて利得が向上していること、及び76MHz〜96MHzの利得が低い帯域で、利得が向上していることがわかる。これにより、例えば日本のFM帯(76MHz〜90MHz)及び、米国・欧州のFM放送帯(88MHz〜108MHz)の両方を充分にカバーできることになり、広帯域に対応できるようになる。
図31に示す水平偏波について、図1の比較例の構成の全帯域の平均利得は53.1dBμVであるのに対して、図8の第6実施形態の構成の全帯域の平均利得は、55.0dBμVである。
図32に示す水平偏波について、図1の比較例の構成の全帯域の平均利得は56.6dBμVであるのに対して、図8の第6実施形態の構成の全帯域の平均利得は、58.8BμVである。
上方エレメント、下方エレメント、及びループ形成エレメントを設けることで、図1に示す比較例の構成と比較して、水平偏波、垂直偏波の両方とも、全体的な利得の向上と周波数特性の改善が見られる。
表1は実施例6〜実施例10の水平偏波のアンテナ利得の比較をまとめて示す。表2は実施例6〜実施例10の水平偏波のアンテナ利得の比較をまとめて示す。
表1に示すように、周波数帯Hにおける水平偏波の平均利得は、比較例では53.1dBμV、第1実施形態では、54.1dBμV、第2実施形態では53.8dBμV、第3実施形態では54.6dBμV、第5実施形態では54.7dBμV、第6実施形態では55.0dBμVであった。
表2に示すように、周波数帯Hにおける垂直偏波の平均利得は、比較例では56.6dBμV、第1実施形態では、58.0dBμV、第2実施形態では57.6dBμV、第3実施形態では58.5dBμV、第5実施形態では58.4dBμV、第6実施形態では58.8dBμVであった。
従って、比較例と比較して、本発明において、下方エレメントを設けること、上方エレメントを設けること、ループ形成エレメントを設けること、及びそれらを組み合わせることで、利得が向上し、広帯域をカバーできる。