JP6595270B2 - 食品改良剤 - Google Patents
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Description
配列1:FQSQY、
配列2:LWIDMNEA、
配列3:EYDTHNLYG、
配列4:VGHWLGDN、
配列5:GEPFL、及び、
配列6:FYDWYTG、
からなる群より選択されるいずれか1以上の配列を含有してもよい。
澱粉をα−グルコシダーゼで処理する工程、
処理した澱粉を加工食品に添加する工程、
を含む、加工食品の品質の改良方法であって、
α−グルコシダーゼがα型のオリゴ糖類およびα型の多糖類からなる群より選択される糖質に作用し、α1,2結合を有する糖質とα−1,3結合を有する糖質を生成する加工食品の品質の改良方法である。
本発明は、澱粉を含む原料を加工して製造する飲食品に関する。本発明において、澱粉とは、穀類やイモ類、豆類等の植物の組織中に存在する貯蔵物質であり、D-グルコースを構成体とする水に不溶性のグルカンである。澱粉は、鎖状分子のアミロースと、多岐に分岐したアミロペクチンから構成される。本発明の澱粉含有原料に含まれる澱粉は、特に限定されないが、グルコース重合度が100以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましい。
本発明において、飲食品は、澱粉を含む原料を加工し製造するものであれば特に限定されないが、たとえば穀類加工品、イモ類加工品、豆類加工品等を挙げることができる。また、前記の公知の方法で抽出した澱粉を含有する原料を加工した飲食品も含まれる。穀類加工品の例としては、米加工品(米飯、もち、清酒、甘酒、米粉を原料とする和菓子等)、小麦加工品(パン、麺、中華饅頭や餃子の皮、ビザ生地、パイ生地、焼菓子、生菓子等)、大麦加工品(パン、ビール、ビール様飲料等)、コーン加工品(コーンミール、コーンフレーク、コーンウィスキー等)が挙げられるが、これらに限定されない。イモ類加工品の例としては、じゃがいも加工品(マッシュポテト、フライドポテト、ハッシュドポテト、ニョッキ、ポテトチップス等)、さつまいも加工品(スイートポテト、いもようかん等)が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明の飲食品には、公知の方法で抽出した澱粉に、本発明のα−グルコシダーゼを作用させた後、物理的処理または化学的処理を、単独または2種以上組合せて行った加工澱粉も含まれる。
本発明は、α型のオリゴ糖類、およびα型の多糖類からなる群より選択される糖質に作用し、α−1,2結合およびα−1,3結合を生成することのできるα−グルコシダーゼの使用等に関する。本発明は澱粉含有原料に含まれる澱粉そのものに直接的にα−グルコシダーゼを作用させて、原料中の澱粉の性質を変化させる。性質の変化した澱粉は、グルコース重合度が好ましくは100以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは10,000以上である。この性質が変化した澱粉を含む原料を用いて作製した飲食品は、性質を変化させていない澱粉を含む原料を用いて作製した飲食品よりも、飲食品としての品質が高い。例えば、本発明によれば、性質を変化させていない澱粉を含む原料を用いるよりも、より柔らかい食品を作製することができる。
糸状菌(Absidia、Acremonium、Actinomadura、Alternaria、Aspergillus、Chaetomium、Coprinus、Coriolus、Geotrichum、Humicola、Monascus、Mortierella、Mucor、Nocardiopsis、Oidiodendron、Penicillium、Rhizomucor、Rhizopus、Trichoderma、Verticillium等)
担子菌(Coliolus、Corticium、Cyathus、Irpexs、Polyporus、Pycnoporus、Trametes等)、
細菌(Aeromonas、Agrobacterium、Alcaligenes、Agrobacterium、Alteromonas、Arthrobacter、Bacillus、Brevibacterium、Chromobacterium、Corynebacterium、Crypnohectria、Erwinia、Escherichia、Flavobacterium、Klebsiella、Lactobacillus、Lactococcus、Leuconostoc、Microbacterium、Micrococcus、Pimelobacter、Plesiomonas、Protaminobacter、Pseudomonas、Serratia、Streptococcus、Streptoverticillium、Sulfolobus、Thermus、Xanthomonas等)
放線菌(Actinomadura、Actinomyces、Actinoplanes、Amycolatopsis、Eupenicillium、Nocardiopsis、Streptomyces、Thermomonospora等)
酵母(Aureobasidium、Candida、Irpex、Kluyveromyces、Pycnoporus、Saccharomyces、Trichosporon等)など食品製造にて使用例のある株が望ましい。
(1)温度安定性:pH4.0、30分間保持で、65℃では初期活性の90%以上の残存;
(2)pH安定性:4℃、24時間保持で、pH3.0〜5.5。
(3)基質特異性:マルトース、ニゲロース、コージビオース、マルトオリゴ糖などα−グルコオリゴ糖および、アミロース、可溶性澱粉などのα−グルカンの非還元末端のαグルコシド結合を分解し、グルコースを遊離する。また、スクロースを分解する活性を有する;
(4)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、48,000ダルトンおよび59,000ダルトン;
(5)等電点:pI4.9〜5.5(中心値5.2);
(6)至適温度:pH4.0、10分間反応で、65℃;
(7)至適pH:50℃、10分間反応で、pH3.5。
配列1:FQSQY
配列2:LWIDMNEA
配列3:EYDTHNLYG
配列4:VGHWLGDN
配列5:GEPFL
配列6:FYDWYTG
2つのアミノ酸配列の同一性%は、視覚的検査および数学的計算によって決定することができる。また、コンピュータープログラムを用いて同一性%を決定することもできる。そのようなコンピュータープログラムとしては、例えば、BLAST、FASTA(Altschulら、 J. Mol. Biol., 215:403-410(1990))、及びClustalW(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)等があげられ、デフォルトのパラメーターを用いることができる。また、BLASTプログラムによる同一性検索の各種条件(パラメーター)は、「Altschulら(Nucl. Acids. Res., 25, p.3389-3402, 1997)」に記載されたもので、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)やDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェブサイトから公的に入手することができる(BLASTマニュアル、Altschulら NCB/NLM/NIH Bethesda, MD 20894)。また、遺伝情報処理ソフトウエアGENETYX (ゼネティックス社製)、DNASIS Pro(日立ソフト社製)、Vector NTI(Infomax社製)等のプログラムを用いて決定することもできる。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、O−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニンおよびシクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸および2−アミノスベリン酸
C群:アスパラギンおよびグルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸および2,3−ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリンおよび4−ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニンおよびホモセリン
G群:フェニルアラニンおよびチロシン
非保存的置換の場合は、上記種類のうち、ある1つのメンバーと他の種類のメンバーとを交換することができるが、この場合は、本発明で使用するタンパク質の生物学的機能を保持するために、アミノ酸のヒドロパシー指数(ヒドロパシーアミノ酸指数)を考慮することが好ましい(Kyteら, J. Mol. Biol., 157:105-131(1982))。
本発明は、上記のα−グルコシダーゼを用いて、澱粉を含む原料を加工して得られる飲食品の改良方法に関する。本発明によって澱粉の特性を変化させることにより、飲食品の食感や味質を改善することが可能となる。
(実験例1−1)分析法
1)α−グルコシダーゼ活性の分析方法
マルトースを基質とした加水分解活性にて評価した。具体的には、70μLの試料に対して、5%マルトース水溶液を10μL、100mM酢酸緩衝液(pH4.0)を20μL加え、50℃で10分間反応させた後、沸騰浴で5分間処理することで反応を停止した。反応液中に生成したグルコース量をグルコースCIIテストワコー(和光純薬工業製)にて測定した。1分間に1μmolのマルトースを分解する酵素量を1Uと定義した。
試料中の二,三糖類成分中の、α−1,2、α−1,3、α−1,4、α−1,6結合を有するオリゴ糖の組成は、試料を以下の条件でアミノカラムによる分析に供して算出した。各ピークは、あらかじめ同条件で分析した標準糖の溶出時間と比較して同定した。
標準糖:
二糖類の標準糖は市販試薬を用い、三糖類の標準糖には市販試薬または以下の手法で得られる組成物を用いた。ニゲロトリオース、ニゲロシルグルコースはBiochimica et Biophysica Acta 第1700巻 189ページ 2004年に記載された手法に従い調製し標準糖とした。コージビオシルグルコースは特開2003−169665号公報に記載された手法に従い調製し標準糖とした。
HPLC測定条件 :
カラム: Unison UK-Amino 250×3mm (インタクト製)
カラム温度 : 50℃
溶媒グラディエント:
特開2011−177118に記載のアスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC10254株由来のα−グルコシダーゼは以下のように調製した。
(実験例1−2)で得られたアスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC10254株由来の精製酵素0.5mL(0.9U/mL)を、45%マルトース1mLに作用させ、(最終濃度30%)、55℃で48時間反応後に、沸騰浴槽で10分間加熱し、酵素を失活させた。得られた反応生成物は(実験例1−1)、2)の方法に従って二,三糖類成分の組成を分析した。結果を図1に示す。反応生成物中にα−1,2結合およびα−1,3結合を有する糖質が認められた。
特開2011−177118に記載のアスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)NBRC4043株を培養して得られた培養液よりα−グルコシダーゼの精製酵素を調製した。α−グルコシダーゼの精製方法は(実験例1−2)で行った精製方法と同様の方法で行った。得られた精製酵素を用いて、(実験例1−3)で行った分析方法と同様の方法でマルトースを基質とした場合の転移物を分析した。アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)NBRC4043株由来α−グルコシダーゼを用いて得た反応生成物には、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC10254株由来α−グルコシダーゼを用いて得た反応生成物と同様にα−1,2結合およびα−1,3結合を有する糖質が認められた。
本発明者らは、特開2011−177118にて、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC10254株由来α−グルコシダーゼに以下のアミノ酸配列群(a)〜(e)が含まれていることを確認している。
配列(a):LLVEYQTDERLHVMIYDADEEVYQVPESVLPR、
配列(b):TWLPDDPYVYGLGEHSDPMR、
配列(c):IPLETMWTDIDYMDKR、
配列(d):VFTLDPQR、
配列(e):WASLGAFYTFYR
上記配列群を5つすべて有するα−グルコシダーゼとして、特開2011−177118に記載されている、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS513.88株由来α−グルコシダーゼ(Accession no. XP_001389510)を強発現する遺伝子組み換え株を作製した。アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS513.88株由来α−グルコシダーゼ(Accession no. XP_001389510)のアミノ酸配列をコードするDNAの開始コドンからターミネーターを含むように終始コドンの下流300bpまでを増幅させたPCR産物を、In Fusion HD Cloning Kit(クロンテック製)を用いて、高発現プロモーターとしてアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)RIB40由来の翻訳伸長因子TEF1のプロモーター領域とともに、制限酵素Kpn I、Hind IIIで消化したpPTR II(タカラバイオ製)に導入しプラスミドベクターを構築した。プラスミドの設計を図2に示す。そしてアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ATCC38163株を宿主としてプロトプラスト−PEG法(Agricultural and Biological Chemistry 第51巻 2549ページ 1987年)を行い、遺伝子組み換え株を作製した。
(実験例1−5)で作製した遺伝子組み換え株を培養し、α−グルコシダーゼ溶液を調製した。2L容の三角フラスコに、炭素源をグリセロールに改変したツァペック ドックス培地1Lを入れて、蒸気滅菌した後、ピリチアミンを添加し、遺伝子組換え株を植菌し、37℃の温度で4日間、振とう培養を行なった。そして、ミラクロス(メルク・ミリポア社製)で集菌、蒸留水で洗浄し、水分をよく搾った。
NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて、上記アミノ酸配列群(a)〜(e)の5つすべてのアミノ酸配列を有するα−グルコシダーゼと推測される配列を検索した。その結果、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC1015株(α−グルコシダーゼのAccession no.:EHA26885)および、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)IFO4308株(α−グルコシダーゼのAccession no.:GAA87366)がアミノ酸配列群(a)〜(e)の5つをすべて有することが分かった。
(実験例1−7)で設計した、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC1015株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.:EHA26885)のアミノ酸配列をコードするDNAの開始コドンからターミネーターを含むように終始コドンの下流300bpまでを増幅させるためのプライマーを用いて、アスペルギルス属の分譲株から抽出したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行った。得られたPCR産物を用いて遺伝子配列を決定した(配列番号11)。PCRによる増幅が認められた分譲株について、得られたPCR産物を用いて、(実験例1−5)で行った遺伝子組み換え株作製方法と同様の方法で遺伝子組み換え株を作製した。(実験例1−6)で行った方法と同様の方法でα−グルコシダーゼ溶液を取得し、(実験例1−3)で行った分析方法と同様の方法でマルトースを基質とした場合の転移物を分析した。その結果、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)NBRC4066株由来のα−グルコシダーゼによる反応生成物には、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)ATCC10254株由来のα−グルコシダーゼと同様にα−1,2結合およびα−1,3結合を有する糖質が認められた。また、このアスペルギルス・ニジュールNBRC4066株由来のα−グルコシダーゼ遺伝子を導入して得られた遺伝子組換え株から抽出したmRNAを鋳型として、逆転写反応によってcDNAを合成した。このcDNAについてシークエンス解析を行い、cDNAの全長配列を決定した(配列番号12)。さらに、前記cDNA配列からα−グルコシダーゼのアミノ酸配列を決定した。決定したアミノ酸配列を配列番号5に示す。アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)NBRC4066株のα−グルコシダーゼ(配列番号5)のアミノ酸配列は、上記アミノ酸配列群(a)〜(e)の5つをすべて有していた。
NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて、上記アミノ酸配列群(a)〜(e)から選択される1以上のアミノ酸配列を有する、α−グルコシダーゼと推測される配列を検索した。その結果、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ATCC38163株(α−グルコシダーゼのAccession no.:ABF50846、配列番号6)が、アミノ酸配列(e)を有する、α−グルコシダーゼと推測される配列を持っていた。(実験例1−5)の手法に従って、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ATCC38163株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.:ABF50846)のアミノ酸配列をコードするDNAの開始コドンからターミネーターを含むように終始コドンの下流300bpまでを増幅させたPCR産物を用いて、遺伝子組み換え株を作製した。
NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて(実験例1−5)に記載した、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS513.88株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.: XP_001389510)のアミノ酸配列と同一性の高い配列を検索した。CBS513.88株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.: XP_001389510)のアミノ酸配列と同一性の高い、α−グルコシダーゼと推測される配列をコードするDNAの開始コドンからターミネーターを含むように終始コドンの下流300bpまでを増幅させたPCR産物を用いて、(実験例1−5)で行った手法と同様の手法で遺伝子組み換え株を作製した。
NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae)由来のゲノムシーケンスを得た。ゲノムシーケンスよりα−グルコシダーゼと推定されるアミノ酸配列を定義し、(実験例1−5)に記載した、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS513.88株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.: XP_001389510)のアミノ酸配列と同一性の高い配列を抽出した。抽出したアミノ酸配列をコードするDNAの開始コドンからターミネーターを含むように終始コドンの下流300bpまでを増幅させたPCR産物を用いて、(実験例1−5)で行った方法と同様の方法で遺伝子組み換え株を作製した。
(実験例1−5)〜(実験例1−11)で精製したAspergillus niger、ATCC1015株由来のα−グルコシダーゼ(配列番号4)、NBRC4066株由来のα−グルコシダーゼ(配列番号5)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)IFO4308株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.:GAA87366)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)RIB40株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.:XP_001818060)、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae)NBRC4239株由来のα−グルコシダーゼ(配列番号10)、アスペルギルス・アキュレタス(Aspergillus aculeatus)ATCC16872株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.:Aacu16872_025147)および、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ATCC38163株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.:ABF50846、ABF50883)のアミノ酸配列について、ClustalW(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)を用いて、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS513.88株由来のα−グルコシダーゼ(Accession no.: XP_001389510)のアミノ酸配列と比較したところ、いずれも60%以上の同一性を示した。さらに、これらのα−グルコシダーゼは、共通して、以下のアミノ酸配列群1〜6を有することが分かった。
配列1:FQSQY、
配列2:LWIDMNEA、
配列3:EYDTHNLYG、
配列4:VGHWLGDN、
配列5:GEPFL、
配列6:FYDWYTG
(実験例1−13)その他のα−グルコシダーゼのアミノ酸配列との比較
主に基質よりも重合度が1つ大きいα−1,6結合を有する糖質を生成するアスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS513.88株由来α−グルコシダーゼ(Accession no.:XP_001402053)のアミノ酸配列は、アスペルギルス・ニジュール(Aspergillus niger)CBS 513.88株由来α−グルコシダーゼ(Accession no.: XP_001389510)のアミノ酸配列とClustalW(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)を用いて比較すると同一性は36%であった。また、上記アミノ酸配列群1〜6を有していなかった。
本実験例では、本発明にかかる飲食品用の食品改良剤を用いて澱粉含有原料を処理し、これにより得られた糖質を加工して製造した食品の特性を示す。
市販の小麦澱粉10gを原料とし、原料小麦澱粉1gに対して、0.2Uとなるよう酵素を添加した緩衝液(12mM リン酸緩衝液pH6.0)を20mL加え、25℃で24時間撹拌し、酵素反応を行った。反応終了後、反応液をろ過し、ろ物を100mLの水で洗浄後、乾燥させ、小麦澱粉を得た。
米飯の調製は、「応用糖質科学 第4巻 p.93−102 2014年」を参照して行った。市販の生米一粒(約20mg)に、原料生米1g当り25Uとなるよう酵素を添加した緩衝液(12mM リン酸緩衝液pH6.0)を70μL加え、常温で2時間浸漬した。米は10℃で1か月保存した米を用いた。その後、GeneAmp PCR System9700(Applied Biosystems社製)を使用して、下の表に示す条件で炊飯した。
もち米250gを洗米し、原料生米1g当り0.02Uとなるよう酵素を添加した緩衝液(12mM リン酸緩衝液pH6.0)を160mL加え、常温で30分間浸漬した。その後、ホームベーカリー SD−BMS102(Panasonic社製)のもちコースにて、もちを作製した。
乾燥米麹200gに、原料米麹1g当り1.5Uとなるよう酵素を添加した緩衝液(12mM リン酸緩衝液pH6.0)を800mL加え、50℃で6時間浸漬し、甘酒を得た。
さらに、清酒の仕込み工程に酵素を添加することを想定し、低温にて(実験例2−4)と同様の試験を行った。原料米麹1g当り1.5Uとなるように、乾燥米麹と酵素溶液を混合したものを、10℃で3週間保持した。その結果を下表に示す。
下表に示す配合の製パン原料に対し、強力粉1g当り0.2Uとなるように酵素を水に添加し、ホームベーカリー SD−BH105(Panasonic社製)の食パン・早焼きコースにて、食パンを作製した。
下表に示す配合の製麺原料に対し、中力粉1g当り2Uとなるように酵素を水に添加し、Noodle MakerHR2365/01(PHILIPS社製)にて2mm丸麺用製麺キャップを使用して製麺した。酵素として、(実験例1−2)で得たATCC10254株由来α−グルコシダーゼ、(実験例1−8)で得たNBRC4066株由来α−グルコシダーゼ(配列番号5)、(実験例1−11)で得たNBRC4239株由来α−グルコシダーゼ(配列番号10)を用いて作製したうどんをそれぞれ、実施例19、実施例20、実施例21とし、TGLを用いて作製したうどんを比較例7とした。また、酵素を添加せずに作製したうどんを参考例7とした。
下表に示す配合の製パン原料に対して、強力粉1g当り0.2Uとなるよう水に酵素を溶解し、添加ホームベーカリーSD−BH105の食パン・早焼きコースにて、大麦入り食パンを作製した。酵素として、(実験例1−2)で得たATCC10254株由来α−グルコシダーゼ、(実験例1−8)で得たNBRC4066株由来α−グルコシダーゼ(配列番号5)、(実験例1−11)で得たNBRC4239株由来α−グルコシダーゼ(配列番号10)を使用して作製したパンをそれぞれ、実施例22、実施例23、実施例24とし、TGLを使用して作製したパンを比較例8とした。また、酵素を使用しないこと以外は同じ条件で作製したパンを参考例8とした。
麦芽200gに対して、麦芽1g当り1U又は5Uとなるよう酵素を添加した酵素溶液800mLを加え、50℃で1.5時間、更に60℃で1.5時間、その後80℃で15分間の加熱処理を行った。酵素として、(実験例1−2)で得たATCC10254株由来α−グルコシダーゼを用いたものを実施例25及び実施例26、(実験例1−8)で得たNBRC4066株由来α−グルコシダーゼ(配列番号5)を用いたものを実施例27及び実施例28、(実験例1−11)で得たNBRC4239株由来α−グルコシダーゼ(配列番号10)を用いたものを実施例29及び実施例30とし、TGLを用いたものを比較例8及び比較例9とした。また、コントロールとして酵素を用いないこと以外は同様の条件で処理したものを参考例8とした。加熱処理後、遠心分離にて上清を回収し、液中の水溶性食物繊維含有量を酵素-HPLC法(AOAC 2001.03)により求めた。その結果を下表に示す。
じゃがいも1個を、皮をむいて1.5cmの厚さに切り、じゃがいも1g当り2Uとなるよう酵素を添加した緩衝液(12mM リン酸緩衝液pH6.0)を180mL加え、常温で2時間浸漬した。その後、じゃがいもを茹で、水を切ってマッシャ−でつぶしマッシュポテトを作製した。ATCC10254株由来α−グルコシダーゼ、NBRC4066株由来α−グルコシダーゼ(配列番号5)、NBRC4239株由来α−グルコシダーゼ(配列番号10)を添加して作製したマッシュポテトをそれぞれ、実施例34、実施例35、実施例36とし、TGLを添加して作製したマッシュポテトを比較例11とした。また、酵素を添加せずに作製したマッシュポテトを参考例10とした。
(実験例2−1)で作製した酵素処理澱粉を用いて、澱粉含有食品を製造した。具体的には、畜肉加工品として下表の配合ソーセージを常法によって作製した。
Claims (9)
- 澱粉含有原料を加工して製造される飲食品用の食品改良剤であって、
食品改良剤が、α型のオリゴ糖類およびα型の多糖類からなる群より選択される糖質に作用し、α−1,2結合を有する糖質とα−1,3結合を有する糖質を生成するα−グルコシダーゼを含有し、
α−グルコシダーゼをコードするアミノ酸配列が、配列番号1〜10のいずれかに記載されたアミノ酸配列と90%以上の同一性を有しており、α−グルコシダーゼをコードするアミノ酸配列が、以下:
・配列1:FQSQY、
・配列2:LWIDMNEA、
・配列3:EYDTHNLYG、
・配列4:VGHWLGDN、
・配列5:GEPFL、および、
・配列6:FYDWYTG、
からなる群より選択されるいずれか1以上の配列を含有する、上記食品改良剤。 - 小麦加工品、大麦加工品、いも類加工品または米加工品の品質を改良するための、請求項1に記載の食品改良剤。
- 前記α−グルコシダーゼが、アスペルギルス(Aspergillus)属菌由来のα−グルコシダーゼである、請求項1または2に記載の食品改良剤。
- α−グルコシダーゼを澱粉に作用させることを含む、澱粉含有原料を加工して製造される飲食品の改良方法であって、
前記α−グルコシダーゼが、α型のオリゴ糖類およびα型の多糖類からなる群より選択される糖質に作用し、α−1,2結合を有する糖質とα−1,3結合を有する糖質を生成
するものであり、
α−グルコシダーゼをコードするアミノ酸配列が、配列番号1〜10のいずれかに記載されたアミノ酸配列と90%以上の同一性を有しており、α−グルコシダーゼをコードするアミノ酸配列が、以下:
・配列1:FQSQY、
・配列2:LWIDMNEA、
・配列3:EYDTHNLYG、
・配列4:VGHWLGDN、
・配列5:GEPFL、および、
・配列6:FYDWYTG、
からなる群より選択されるいずれか1以上の配列を含有する、上記方法。 - 小麦加工品、大麦加工品、いも類加工品または米加工品の品質を改良するための、請求項4に記載の方法。
- 前記α−グルコシダーゼが、アスペルギルス(Aspergillus)属菌由来のα−グルコシダーゼである、請求項5に記載の方法。
- 澱粉をα−グルコシダーゼで処理する工程、
処理した澱粉を加工食品に添加する工程、
を含む、加工食品の品質の改良方法であって、
前記α−グルコシダーゼがα型のオリゴ糖類およびα型の多糖類からなる群より選択される糖質に作用し、α1,2結合を有する糖質とα−1,3結合を有する糖質を生成するものであり、
α−グルコシダーゼをコードするアミノ酸配列が、配列番号1〜10のいずれかに記載されたアミノ酸配列と90%以上の同一性を有しており、α−グルコシダーゼをコードするアミノ酸配列が、以下:
・配列1:FQSQY、
・配列2:LWIDMNEA、
・配列3:EYDTHNLYG、
・配列4:VGHWLGDN、
・配列5:GEPFL、および、
・配列6:FYDWYTG、
からなる群より選択されるいずれか1以上の配列を含有する、上記方法。 - 畜肉加工食品または水産加工食品の品質を改良するためのものである、請求項7に記
載の方法。 - 前記α−グルコシダーゼが、アスペルギルス(Aspergillus)属菌由来のα−グルコシ
ダーゼである、請求項7または8に記載の方法。
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