JP6593138B2 - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生体 - Google Patents
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Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[B]酸発生体以外の感放射線性酸発生体(以下、「[CB]他の酸発生体」ともいう。)、[C]酸拡散制御体、[A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい重合体(以下、「[D]重合体」ともいう。)、及び[E]溶媒を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。[A]重合体が構造単位(I)を有することにより、露光時において、[B]酸発生体等から生じる酸により露光部の構造単位(I)の酸解離性基が解離して、露光部と非露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じ、その結果、レジストパターンを形成することができる。また、[A]重合体は、上記構造単位(I)以外に、他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位としては、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう。)、フェノール性水酸基を含む構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう。)、アルコール性水酸基を含む構造単位(以下、「構造単位(IV)」ともいう。)、及び上記構造単位(I)〜(IV)以外の他の構造単位(V)等が挙げられる。[A]重合体は、上記各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
構造単位(I)は、酸解離性基を有する構造単位である。構造単位(I)としては、酸解離性基を有する限り特に限定されないが、解像性をより向上させる観点から、下記式(3−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう。)、下記式(3−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう。)、下記式(3−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−3)」ともいう。)及びこれらの組み合わせが好ましく、構造単位(I−1)がより好ましい。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロオクテン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
−O−、−SO−、−SO2−、−SO2O−等のヘテロ原子のみからなる基;
−CO−、−COO−、−COS−、−CONH−、−OCOO−、−OCOS−、−OCONH−、−SCONH−、−SCSNH−、−SCSS−等の炭素原子とヘテロ原子とを組み合わせた基などが挙げられる。
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、オキソ基(=O)などが挙げられる。
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを有する構造単位である。[A]重合体が構造単位(II)を有すると、レジスト膜と基板との密着性等、レジスト基本特性がより向上する。また、レジスト膜の現像液への溶解性がより向上する。なお、構造単位(II)は酸解離性基を含まない。
構造単位(III)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である(ただし、構造単位(I)及び(II)に該当するものを除く)。[A]重合体が構造単位(III)をさらに有することで、現像液に対する溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能をより向上させることができる。また、得られるレジストパターンの基板への密着性を向上させることができる。さらに、KrF露光、EUV露光又は電子線露光の場合、当該感放射線性樹脂組成物の感度を高めることができる。
構造単位(IV)は、アルコール性水酸基を有する構造単位である(ただし、構造単位(I)〜(III)に該当するものを除く)。[A]重合体が構造単位(IV)をさらに有することで、現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能をより向上させることができる。
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(IV)以外にもその他の構造単位を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、けい皮酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;
(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシ−n−プロピル等の不飽和カルボン酸のカルボキシアルキルエステル類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド等の不飽和アミド化合物;
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド化合物;
N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等の含窒素ビニル化合物などの単量体に由来する構造単位(V)が挙げられる。
[A]重合体は、例えばラジカル開始剤を使用して所定の各構造単位に対応する単量体を適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することができる。
[B]酸発生体は、下記式(1)で表される部分構造を含む[a]アニオンを有し、露光により酸を発生し、その酸により[A]重合体等が有する酸解離性基を解離させる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ということがある。)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。[B]酸発生体は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環のシクロアルケン構造;
オクタヒドロナフタレン構造、ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等のシクロアルカン構造;
アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造等のアザシクロアルカン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等のオキサシクロアルカン構造などが挙げられる。
シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等のシクロアルケン構造;
アザシクロブテン構造、アザシクロペンテン構造、アザシクロヘキセン構造等のアザシクロアルケン構造などの炭素−炭素二重結合と窒素原子とを含む複素環構造;
オキサシクロブテン構造、オキサシクロペンテン構造、オキサシクロヘキセン構造等のオキサシクロアルケン構造などの炭素−炭素二重結合と酸素原子とを含む複素環構造などが挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、[B]酸発生体以外の感放射線性酸発生体である[CB]他の酸発生体を含有してもよい。当該感放射線性樹脂組成物が[B]酸発生体以外に[CB]他の酸発生体を含有すると、解像性をより向上させることができる。[CB]他の酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[CB]他の酸発生剤」ということがある。)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。[CB]他の酸発生体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2価の連結基として、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、イミノ基、アルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、アリーレン基、アラルキレン基等が挙げられる。
3価の連結基として、アルカントリイル基、シクロアルカントリイル基、アレーントリイル基等が挙げられる。
4価の連結基として、アルカンテトライル基、シクロアルカンテトライル基、アレーンテトライル基等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、[C]酸拡散制御体を含有していてもよい。[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体等から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御することによって、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、当該感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上するため、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができる。これにより、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。当該感放射線性樹脂組成物における[C]酸拡散制御体の含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」ということがある。)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。なお、[C]酸拡散制御体は、[B]酸発生体とは異なる構造を有するものである。
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体よりもフッ素原子含有率(質量%)が大きい[D]重合体を含有してもよい。当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有すると、レジスト膜を形成した際に、膜中の[D]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があるため、液浸露光時における[B]酸発生剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[D]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなるため、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、[E]溶媒を含有してもよい。[E]溶媒としては、[A]重合体、[B]酸発生体、及び必要に応じて加えられる任意成分を溶解又は分散できれば特に限定されず、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールジアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分として、脂環式骨格化合物、界面活性剤、増感剤等を含有していてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、上記脂環式骨格化合物を含んでいると、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善することができる。脂環式骨格化合物としては、例えば1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、上記界面活性剤を含んでいると、塗布性、ストリエーション、現像性等をさらに改善することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
増感剤は、[B]酸発生体等からの酸の生成量を増加させる作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、及び[E]溶媒等の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。混合する際の組成物中の固形分の濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。また、上記濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。また、当該感放射線性樹脂組成物は、その使用に際して、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって調製される。
当該レジストパターン形成方法は、感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう。)、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)、及び現像液で上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう。)を備えるレジストパターン形成方法であって、上記感放射線性樹脂組成物として、当該感放射線性樹脂組成物を用いる。
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を用い、レジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウエハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウエハ等の従来公知のものなどが挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介する等して、露光光を照射し、露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(波長13.5nm、EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましい。露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
本工程では、現像液を用い、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンが形成される。上記現像液としては、例えばアルカリ現像液、有機溶媒を含有する現像液等が挙げられる。
本発明の感放射線性酸発生体は、上記式(1)で表される部分構造を含むアニオンを有する。当該感放射線性酸発生体は、上記構造を有するため、解像性及びLWR性能を向上させることができる。当該感放射線性酸発生体については、上述の感放射線性樹脂組成物の[B]酸発生体として説明しているので、ここでは説明を省略する。
本発明の化合物は、上記式(1)で表される部分構造を含むアニオンを有する。当該化合物は、上記構造を有するため、当該感放射線性酸発生体として好適に用いることができる。当該化合物については、上述の感放射線性樹脂組成物の[B]酸発生体として説明しているので、ここでは説明を省略する。
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により東ソー社製のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
化合物の1H−NMR分析、及び重合体の各構造単位含有割合を求めるための13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを使用して測定した。
[合成例1]化合物(B−1)の合成
ピロ亜硫酸カリウム2.2g(20mmol)と水10mLとを反応容器に入れた後、下記式に示すシクロヘキシルイソシアネート(b1)2.5g(20mmol)のジオキサン溶液10mLを滴下し、19時間撹拌した。析出した固体を濾過し、酢酸エチル50mLで洗浄し、得られた固体を減圧下で乾燥させ、下記式に示す化合物(b2)を得た(収量3.0g、収率61%)。次いで化合物(b2)3.0g(12mmol)、トリフェニルスルホニウム塩化物3.6g(12mmol)、塩化メチレン100mL、及び水50mLを反応容器に入れ、2時間撹拌した。反応終了後、塩化メチレン及び水で分液を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、下記式に示す化合物(B−1)を得た(収量4.4g、収率77%)。化合物(B−1)の1H−NMR分析結果を以下に示す。
前駆体を適宜選択し、合成例1と同様の操作を行うことによって、下記式(B−2)〜(B−5)でそれぞれ表される化合物(B−2)〜(B−5)を合成した。
下記式に示す化合物(b−3)2.0g(10mmol)、亜硫酸ナトリウム1.3g(10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド50mLを反応容器に入れ、室温で12時間撹拌した。反応終了後、減圧下、50℃で溶媒を除去した。次いでトリフェニルスルホニウム塩化物3.0g(10mmol)、塩化メチレン100mL、及び水50mLを反応容器に入れ、2時間撹拌した。反応終了後、塩化メチレンと水で分液を行い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、化合物(B−6)を得た(収量3.2g、収率63%)。
前駆体を適宜選択し、合成例6と同様の操作を行うことによって、下記式(B−7)〜(B−12)でそれぞれ表される化合物(B−7)〜(B−12)を合成した。
δ7.82−7.65(15H)、6.93(1H)、3.82(3H)、3.72(3H)
δ7.82−7.65(15H)、6.68(1H)、3.81(3H)、3.71(3H)
前駆体を適宜選択し、合成例13と同様の操作を行うことによって、下記式(B−14)〜(B−18)でそれぞれ表される化合物(B−14)〜(B−18)を合成した。
各実施例及び比較例の重合体を合成するために下記の単量体を準備した。
化合物(M−1)9.38g及び化合物(M−6)10.62gを2−ブタノン40gに溶解させ、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.785gを溶解させ、単量体溶液を調製した。次に、2−ブタノン20gを入れた200mL三口フラスコを窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に加熱し、調製した単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間、80℃で加熱することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応溶液を室温に冷却し、メタノール300g中に投入して析出した固体を濾別した。濾別した固体をメタノール60mLで2回洗浄し、濾別した後、減圧下、50℃で15時間乾燥させ、重合体(A−1)を合成した(収量12.9g、収率64.7%)。重合体(A−1)のMwは6,200であり、Mw/Mnは1.39であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)及び化合物(M−6)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ49.3モル%及び50.7モル%であった。
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は、合成例19と同様の操作を行うことによって、下記表1に示す重合体(A−2)〜(A−5)を合成した。なお、表1において「−」は該当する成分を用いていないことを意味する。
化合物(M−13)45.24g、化合物(M−1)54.76g、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4.58g、及びt−ドデシルメルカプタン1、14gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解させた後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して凝固精製した後、得られた固体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加え、さらにメタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた固体をアセトン150gに溶解させた後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した固体をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−6)を得た(収量62.1g、収率70%)。重合体(A−6)のMwは7,200であり、Mw/Mnは1.88であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン単位及び化合物(M−1)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ50.2モル%及び49.8モル%であった。
化合物(M−2)21.5g及び化合物(M’−1)8,5gを2−ブタノン20gに溶解させ、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.38gを溶解させ、単量体溶液を調製した。次に、2−ブタノン10gを入れた100mL三口フラスコを窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に加熱し、調製した単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間、80℃で加熱することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応溶液を室温に冷却した。反応溶液を分液漏斗に移液した後、45gのn−ヘキサンで上記反応溶液を均一に希釈し、180gのメタノールを投入して混合した。次いで9gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。次いで、下層を回収し、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、固形分である重合体(D−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率60%)。重合体(D−1)のMwは7,200であり、Mw/Mnは2.00であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)及び化合物(M’−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ71.1モル%及び28.9モル%であった。
下記実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[CB]他の酸発生剤、[C]酸拡散制御剤、及び[E]溶媒を以下に示す。
上記合成した化合物(B−1)〜(B−18)。
下記(CB−1)〜(CB−6)で表される化合物。
下記式(C−1)〜(C−4)で表される化合物。
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:シクロヘキサノン
E−3:γ−ブチロラクトン
重合体(A−1)100質量部、酸発生剤(B−1)7.9質量部、酸拡散制御剤(C−1)2.1質量部、重合体(D−1)3.0質量部、並びに溶媒(E−1)2,240質量部、溶媒(E−2)960質量部及び溶媒(E−3)30質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過することにより実施例1の感放射線性樹脂組成物を調製した。
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、実施例2〜23及び比較例1〜5の感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、表2において「−」は該当する成分を用いていないことを意味する。
12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚み105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成したパターンが、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される場合の露光量を最適露光量とした。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記形成した各レジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物のLWR性能及び解像性を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を下記表3に示す。
上記走査型電子顕微鏡を用いてレジストパターンを上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能とした。LWR性能は、値が小さいほど良いことを示す。LWR性能は、4.9nm以下の場合は良好と評価できる。
上記最適露光量において、ラインアンドスペース(1L/1S)を形成するマスクパターンのサイズを変えた場合に解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定値を解像性(nm)とした。解像性は、値が小さいほど良いことを示す。解像性は、36nm以下の場合は良好と評価できる。
12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚み105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJ/cm2で全面露光を行った後に、90℃で60秒間のPEBを実施した。このPEB後のレジスト膜の平均厚みを測定し、これを膜厚Aとした。続いて、酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像した後に、再度レジスト膜の平均厚みを測定し、これを膜厚Bとした。そして、膜厚Aから膜厚Bを引いた値(A−B)を求め、これを膜減り(nm)とした。なお、厚み測定には光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン製造社の「ラムダエース」)を用いた。評価結果を下記表3に示す。膜減りは、値が小さいほど良いことを示す。膜減りは、4.3nm以下の場合は良好と評価できる。
重合体(A−6)100質量部、酸発生剤(B−7)20質量部、酸拡散制御剤(C−4)3.2質量部、並びに溶媒(E−1)4,280質量部及び溶媒(E−2)1,830質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより実施例24の感放射線性樹脂組成物を調製した。
下記表4に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例24と同様に操作して、実施例25〜29及び比較例6〜8の感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、表4において「−」は該当する成分を用いていないことを意味する。
8インチのシリコンウエハ表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、表4に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記電子線露光により形成したレジストパターンについて、上記ArF露光の場合と同様に評価を実施した。評価結果を下記表5に示す。なお、電子線露光の場合、LWR性能は5.2nm以下の場合は良好と評価でき、解像性は35nm以下の場合は良好と評価でき、膜減りは3.3nm以下の場合は良好と評価できる。
Claims (6)
- 酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、及び
下記式(1)で表される部分構造を含むアニオンを有する感放射線性酸発生体
を含有する感放射線性樹脂組成物。
- 上記感放射線性酸発生体が、下記式(2−1)、(2−2)又は(2−3)で表される請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
式(2−1)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R2は、炭素数1〜30の1価の有機基である。R1及びR2は、互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。nが1以上の場合、1又は複数のRxと1又は複数のRyとR1とR2とのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する原子又は原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。
式(2−2)中、R3は、炭素数1〜30の1価の有機基である。nが1以上の場合、R x とR 3 とが互いに合わせられ、これらが結合する原子鎖と共に環員数4〜20のオキシシクロアルカン構造を形成していてもよく、R y とR 3 とが互いに合わせられ、これらが結合する原子鎖と共に環員数4〜20の炭素−炭素二重結合と酸素原子とを含む複素環構造を形成していてもよい。
式(2−3)中、R4は、(チオ)カルボニル基の炭素原子に炭素原子で結合する炭素数1〜30の1価の有機基である。nが1以上の場合、1又は複数のRxと1又は複数のRyとR4とのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。) - 上記酸解離性基を含む構造単位が、下記式(3−1)で表される構造単位、下記式(3−2)で表される構造単位、下記式(3−3)で表される構造単位又はこれらの組み合わせである請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
式(3−2)中、R9は、水素原子又はメチル基である。L1aは、単結合、−COO−又は−CONH−である。Rkは、炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、0〜4の整数である。aが2以上の場合、複数のRkは同一でも異なっていてもよい。R10は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R11及びR12は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。
式(3−3)中、R13は、水素原子又はメチル基である。R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。bは、1〜4の整数である。1又は複数のR14、1又は複数のR15及びR16のうちの2つ以上は、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は炭素鎖と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。bが2以上の場合、複数のR14は同一でも異なっていてもよく、複数のR15は同一でも異なっていてもよい。L1bは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R16とL1bとは、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。R17は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R18及びR19は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。) - レジスト膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を備え、
上記レジスト膜を請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法。 - 下記式(1)で表される部分構造を含むアニオンを有する感放射線性酸発生体。
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