JP6592870B1 - 良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法 - Google Patents

良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期保存性に優れ、且つ、半固体や液体の中で長期間浸漬させても、カリカリ感の食感を維持させることが可能な良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法の提供。【解決手段】ココナッツオイル又はパーム油を、ナッツ類に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有し、前記ナッツ類の表面の全部に形成され、前記植物性油脂の粉末で構成された粉末層とを備え、酸価は、1.0以下である、良食感ナッツ類。ココナッツオイル又はパーム油を、融点以上で、且つ、沸点以下の範囲内で加熱する加熱ステップS101と、ナッツ類を、前記加熱された植物性油脂に浸漬させる浸漬ステップS102と、液体から取り出しS104、前記ナッツ類の表面に前記油脂の粉末を吹き付けS105、ナッツ類の表面に、粉末層を形成させる形成ステップと、前記粉末層を形成させたナッツ類を乾燥させる乾燥ステップS106とを備える、良食感ナッツ類の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法に関する。
従来より、ナッツ類の果実について、そのナッツ類のカリカリ感等の食感を維持する技術は存在する。例えば、特開2005−287486号公報(特許文献1)には、ロースト処理したナッツ類の表面を、ラフティリンを3%以上含む糖液にて被膜するナッツ類へのラフティリン付着処理方法が開示されている。これにより、得られたナッツ類はカリカリとした食感に仕上がり、これまでにないテクスチャーを有するとしている。
又、特開2016−77195号公報(特許文献2)には、野菜および果実の少なくとも一方から成る食品が真空凍結乾燥され、糖成分が前記食品の表面に析出および/または付着されて成るアイスクリーム類用の添加食材が開示されている。これにより、この添加食材をアイスクリーム類に添加しても、アイスクリーム類の口溶け感を有しながら、カリカリ、サクサクとした相反する食感を同時に感じることで生まれる斬新な食感を楽しむことが出来るとしている。
又、他の観点では、例えば、特開2014−64555号公報(特許文献3)には、ナッツ類の白化防止方法が開示されている。この方法では、切断又は破砕した小片ナッツ類の全周又は少なくとも切断面或いは破砕面に、溶融された硬化油、又は液状(粘性のあるものを含む)の乳化剤、又はそれら硬化油と乳化剤の混合剤のいずれか一又は二以上のコーティング剤をコーティングし、コーティングした小片ナッツ類を自然冷却又は強制冷却してコーティング剤を硬化させて、小片ナッツ類の全周又は少なくとも切断面或いは破砕面にコーティング膜を成膜する。これにより、切断、破砕したナッツ類は切断面、破砕面の白化のみならず、ナッツ類と菓子との境目部分の白化をも防止することが出来るとしている。
特開2005−287486号公報 特開2016−77195号公報 特開2014−64555号公報
ナッツ類は、通常、外部に放置すると、周囲の空気中の水分を吸収し、ナッツ類の酸価が上昇する。ここで、酸価(Acid Value、AV)とは、油脂の精製及び変質の指標となる数値を意味し、油脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数と定義される。食品分野において油脂類の酸価は、3以下とされている。ナッツ類が空気中の水分を吸収すると、ナッツ類の油脂が水と接触し、加水分解して、遊離脂肪酸が増加し、酸価が上昇する。そのため、ナッツ類は、通常、水分に触れないように保存する必要があるという課題がある。
又、アイスクリーム等の半固体やドレッシング等の液体に破砕後の小片のナッツ類を添加すると、ナッツ類の周囲の水分がナッツ類の内部に浸透し、ナッツ類に水分が吸収される。ここで、ナッツ類の含水率が上昇すると、上述のように、ナッツ類の酸価が上昇するとともに、ナッツ類の特有なカリカリ感が失われる。特に、ナッツ類の含水率は、半固体や液体の中に入れている時間が長ければ長い程、上昇するため、アイスクリームやドレッシングの中にナッツ類を予め添加しておくことが出来ないという課題がある。
特許文献1に記載の技術は、糖液をナッツ類に被膜することで、ナッツ類のカリカリ感を維持するが、糖液は水分と馴染みやすいため、ナッツ類の酸価が上昇する可能性がある。又、このナッツ類を半固体や液体の中で長期間浸漬させると、ナッツ類に水分が吸収されて、ナッツ類のカリカリ感が失われる可能性が高い。
又、特許文献2に記載の技術は、食品を真空凍結乾燥し、糖成分を食品の表面に析出させることで、食品のカリカリを維持するが、上述と同様に、糖は水分と馴染みやすいため、酸価の上昇と、半固体や液体の中における食品のカリカリ感の喪失の可能性が高い。
又、特許文献3に記載の技術は、ナッツ類の全周等に、硬化油を含むコーティング膜を成膜させることで、ナッツ類の白化を防止するが、コーティング膜だけでは、水分へのバリア性が不十分であり、酸価の上昇と、半固体や液体の中における食品のカリカリ感の喪失の可能性が高い。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、長期保存性に優れ、且つ、半固体や液体の中で長期間浸漬させたとしても、ナッツ類の特有なカリカリ感の食感を維持させることが可能な良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る良食感ナッツ類は、ナッツ類と、粉末層と、を備える。ナッツ類は、融点が常温よりも高い植物性油脂であって、ココナッツオイル又はパーム油の植物性油脂を、本ナッツ類の全体に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有している。粉末層は、ナッツ類の表面の全部に形成され、前記植物性油脂と同一の植物性油脂の粉末で構成されている。又、良食感ナッツ類の酸価は、1.0以下である。
本発明に係る良食感ナッツ類の製造方法は、加熱ステップと、浸漬ステップと、形成ステップと、乾燥ステップと、を備える。加熱ステップは、融点が常温よりも高い植物性油脂であって、ココナッツオイル又はパーム油の植物性油脂を、前記植物性油脂の融点以上で、且つ、前記植物性油脂の沸点以下の範囲内の所定の加熱温度で加熱する。浸漬ステップは、ナッツ類を、前記加熱温度で加熱された植物性油脂の液体内に所定の浸漬期間だけ浸漬させることで、当該ナッツ類の内部に前記植物性油脂を吸収させる。形成ステップは、前記植物性油脂を吸収させたナッツ類を前記植物性油脂の液体から取り出して、前記ナッツ類の表面の全部に前記植物性油脂と同一の植物性油脂の粉末を吹き付けて、前記ナッツ類の表面の全部に、前記植物性油脂の粉末で構成された粉末層を形成させる。乾燥ステップは、前記粉末層を形成させたナッツ類を乾燥させる。
本発明では、長期保存性に優れ、且つ、半固体や液体の中で長期間浸漬させたとしても、ナッツ類の特有なカリカリ感の食感を維持させることが可能である。
良食感ナッツ類の製造方法の実行手順を示すフローチャートである。 所定の加熱温度における浸漬期間に対する植物性油脂の含有濃度の変化を示したグラフである。 実施例1と比較例1に係る小片アーモンドの外観写真と断面写真である。 実施例1と比較例1に係る小片アーモンドを水に入れた際の浮き沈みを示す写真である。 実施例1と比較例1に係る小片アーモンドをアイスクリームに入れた時の写真と、実施例1と比較例1に係る小片アーモンドとアイスクリームを攪拌した時の写真である。 実施例1−5と比較例1−4の原料と評価結果の表である。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係る良食感ナッツ類は、ナッツ類と、粉末層と、を備える。ナッツ類は、融点が常温よりも高い植物性油脂であって、ココナッツオイル(ヤシ油)又はパーム油の植物性油脂を、本ナッツ類の全体に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有している。粉末層は、ナッツ類の表面の全部に形成され、植物性油脂と同一の植物性油脂の粉末で構成されている。又、良食感ナッツ類の酸価は、1.0以下である。
これにより、長期保存性に優れ、且つ、半固体や液体の中で長期間浸漬させたとしても、ナッツ類の特有なカリカリ感の食感を維持させることが可能となる。即ち、本発明では、ナッツ類の内部に、融点が常温よりも高い植物性油脂を本ナッツ類の全体に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有させている。植物性油脂は、動物性油脂と比較してナッツ類の内部に吸収し易いため、ナッツ類との相性がよく、植物性油脂をナッツ類の内部に長期間含有させておくことが可能となる。又、融点が常温よりも高い植物性油脂を用いることで、ナッツ類に吸収された植物性油脂は、常温においてナッツ類の内部で固化する。これにより、内部の植物性油脂が水分を弾き、周囲の水分の吸収を阻害する。
又、本発明では、植物性油脂を含有させているため、本ナッツ類の全体の含油率は、通常のナッツ類と比較して高い状態である。このように、本発明では、ナッツ類の含油率を上昇させることで、外部からの水分の吸収を更に阻害することが出来る。
そして、本発明では、ナッツ類の表面の全部に、植物性油脂の粉末で構成された粉末層を設けている。この粉末層が、ナッツ類の内部の植物性油脂と同一の油脂で構成されることで、ナッツ類の内部に馴染みやすく、ナッツ類の表面で固化し、植物性油脂をナッツ類の内部に閉じ込めるため、植物性油脂と粉末層が二重の効果で外部からの水分の吸収を更に阻害することが出来る。
更に、ココナッツオイル又はパーム油の植物性油脂の酸化安定性は極めて高く、酸化し難い。これらの構成により、本発明に係る良食感ナッツ類の酸化が1.0以下となる。この酸価は、ナッツ類を外部に放置したとしても、又は、乾燥剤を用いずにナッツ類を長期的に保存したとしても、ナッツ類を周囲の水分がナッツ類に吸収されないことから、ナッツ類の酸価を1.0以下に維持する。そのため、本発明に係る良食感ナッツ類は、長期保存性に優れる。そして、本発明に係る良食感ナッツ類は、半固体や液体の中で長期間浸漬させたとしても、ナッツ類の含水率が上昇しないため、ナッツ類の特有のカリカリ感等の食感を維持させることが可能となるのである。
ここで、ナッツ類の種類に特に限定は無いが、例えば、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、ラッカセイ、クルミ、マカデミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピカン、松の実、ブラジルナッツ等を挙げることが出来る。又、ナッツ類の形態に特に限定は無いが、例えば、焙煎後のナッツ類でもよいし、焙煎後のナッツ類を破砕した小片ナッツ類でも構わない。小片ナッツ類のサイズに特に限定は無いが、例えば、小片ナッツ類の長径が、1mm〜10mmの範囲内であると、アイスクリームやドレッシングに入れ易くなり、好ましい。
又、植物性油脂のココナッツオイル、又はパーム油の種類に特に限定は無い。ココナッツオイルの融点は、純度により変動するものの、例えば、20度〜25度の範囲内であり、ココナッツオイルは、25度を超えると、透明の液体状態となる。又、パーム油の融点は、純度により変動するものの、例えば、27度〜50度の範囲内である。
又、植物性油脂の含有濃度C(重量%)は、本ナッツ類の全体に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有すると好ましく、ナッツ類の製造効率とナッツ類の長期保存性と植物性油脂の吸収率を考慮すると、本ナッツ類の全体に対して15重量%〜25重量%の範囲内であると更に好ましい。
又、植物性油脂の含有濃度C(重量%)の測定方法に特に限定は無い。例えば、植物性油脂を含有させる前のナッツ類の全重量W0(g)を初期重量として測定し、次に、植物性油脂を含有させたナッツ類の全重量W1(g)を実重量として測定し、実重量W1(g)から初期重量W0(g)を減算した減算値dW(g)を植物性油脂の含有量として算出し、植物性油脂の含有量dW(g)を実重量W1(g)で除算した除算値C(重量%)を植物性油脂の含有濃度として算出することが出来る。
又、本ナッツ類の含油率は、本ナッツ類が本来含有している油脂により算出される本来含油率よりも高くなり、本ナッツ類の比重は、水の比重よりも低くなる。そのため、本ナッツ類は、水に浮く性質を有する。
又、本ナッツ類の含油率(重量%)は、本ナッツ類の全体に対して50重量%〜80重量%の範囲内で含有すると好ましく、植物性油脂の吸収率を考慮すると、本ナッツ類の全体に対して55重量%〜70重量%の範囲内であると更に好ましい。
又、粉末層を構成する植物性油脂の粉末の種類に特に限定は無い。植物性油脂の融点は常温よりも高いため、植物性油脂が固化状態の際に粉末化したものを用いることが出来る。
又、粉末層の厚みに特に限定は無いが、例えば、粉末層の厚みは、0.5mm〜3.0mmの範囲内であると好ましく、0.5mm〜1.5mmの範囲内であると更に好ましい。
又、良食感ナッツ類の酸価は、1.0以下であると好ましく、ナッツ類の品質を考慮すると、0.7以下であると更に好ましい。酸価は、製造時点から、外部に放置するか又は空瓶に入れて封止して、所定期間(例えば、1ヵ月、6ヵ月、1年、7年等)経過した時点の値であると好ましい。良食感ナッツ類の酸価の測定方法に特に限定は無いが、例えば、良食感ナッツ類のサンプルを用いた中和滴定法を用いることが出来る。
又、良食感ナッツ類の利用形態に特に限定は無いが、例えば、そのまま食したりサラダにふりかけたりしても良いし、アイスクリームの内部に入れたり、ドレッシングの内部に入れたりすることが出来る。良食感ナッツ類は、内部の植物性油脂と表面の粉末層により、長期保存性に優れる。又、アイスクリームの種類に特に限定は無く、例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等を挙げることが出来る。
次に、本発明に係る良食感ナッツ類の製造方法について、図1を参照しながら、具体的に説明する。先ず、製造者は、焙煎後のナッツ類(例えば、アーモンド)又は破砕後の小片ナッツ類(例えば、小片アーモンド)を用意する。
次に、製造者は、油槽に植物性油脂(例えば、ココナッツオイル又はパーム油)を貯め、油槽に予め設置した加熱手段(例えば、電気ヒーター)を動作させ、油槽内の植物性油脂を、植物性油脂の融点以上で、且つ、植物性油脂の沸点以下の範囲内の所定の加熱温度で加熱する(図1:S101)。
ここで、加熱温度に特に限定は無い。例えば、ココナッツオイルの融点は、純度によるものの、20度〜25度の範囲内であり、ココナッツオイルの沸点は、約160度である。又、パーム油の融点は、純度によるものの、27度〜50度の範囲内であり、パーム油の沸点は、205度以上である。そのため、加熱温度は、例えば、55度〜160度の範囲内に設定されるが、製造容易性や品質確保の点から、60度〜80度の範囲内に設定されると好ましい。これにより、植物性油脂を液体にしてナッツ類への吸収を促進するとともに、ナッツ類の焦げを確実に防止することが出来る。
更に、製造者は、ナッツ類を、加熱温度で加熱された植物性油脂の液体内に浸漬させる(図1:S102)。これにより、加熱された植物性油脂にナッツ類を浸漬させることで、ナッツ類が加熱されて、膨脹し、植物性油脂を吸収し易くなる。
そして、製造者は、ナッツ類を植物性油脂の液体内に浸漬させた時点から、所定の浸漬期間を経過するまで、ナッツ類を浸漬させることで、当該ナッツ類の内部に植物性油脂を吸収させる(図1:S103)。これにより、ナッツ類の内部に植物性油脂を所定の含有濃度になるまで吸収させることが可能となる。
ここで、浸漬期間に特に限定は無い。図2は、所定の加熱温度における浸漬期間に対する植物性油脂の含有濃度の変化を示したグラフである。例えば、加熱温度の大小により最適な浸漬期間は変動するものの、図2に示すように、特定の加熱温度において、ナッツ類の内部の植物性油脂の含有濃度C(重量%)は、浸漬期間T(日)が長くなる程、上昇し、特定の浸漬期間Ts(日)を超過すると、その含有濃度C(重量%)の上昇率は小さくなる。例えば、浸漬期間T(日)が特定の浸漬期間Ts(日)の場合は、含有濃度C(重量%)は特定の含有濃度Cs(重量%)から緩やかに上昇する。そのため、浸漬期間T(日)は、植物性油脂の吸収効率の点から、特定の浸漬期間Ts(日)に設定されると好ましい。加熱温度が60度〜80度の範囲内に設定された場合は、浸漬期間は1日〜10日の範囲内に設定されると好ましく、2日〜5日の範囲内であると更に好ましい。
浸漬期間が経過すると、製造者は、ナッツ類を植物性油脂の液体から引き上げ手段(例えば、網やザル等)により取り出す(図1:S104)。
液状の植物性油脂から取り出したナッツ類の表面には植物性油脂が残存している。そのため、製造者は、取り出したナッツ類の表面の全部に植物性油脂と同一の植物性油脂の粉末を吹き付けて、ナッツ類の表面の全部に、植物性油脂の粉末で構成された粉末層を形成させる(図1:S105)。
ここで、ナッツ類の表面の全部に植物性油脂の粉末を吹き付ける方法に特に限定は無い。例えば、容器内に植物性油脂の粉末を予め充填させておき、その容器内に、取り出したナッツ類を入れて、容器を振動させることで、ナッツ類の表面の全部に植物性油脂の粉末を絡めて、ナッツ類の表面に残存する植物性油脂に粉末を付着させる。表面に付着した粉末が固化して、ナッツ類の表面の全部に粉末層が形成される。他の方法として、例えば、引き上げ手段を振動させて、ナッツ類を回転させながら、当該ナッツ類に対して植物性油脂の粉末を吹き付けても良い。
ナッツ類の表面の全部に粉末層が形成されると、製造者は、加熱手段(例えば、電気ヒーター)を用いて、粉末層を形成させたナッツ類を乾燥させる(図1:S106)。これにより、酸価が1.0以下の良食感ナッツ類を製造することが出来る。
以下、実施例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1>
焙煎後のアーモンド(油脂の本来含油率が54重量%)を破砕し、その破砕後の小片アーモンドを60度〜80度の範囲内のココナッツオイルに2日〜5日間浸漬させて、小片アーモンドの内部にココナッツオイルを吸収させた。次に、ココナッツオイルを吸収した小片アーモンドの表面の全部にココナッツオイルの粉末を吹き付けて、小片アーモンドの表面の全部にココナッツオイルの粉末層を形成させた。そして、粉末層を形成させた小片アーモンドを乾燥させて、この小片アーモンドを良食感ナッツとし、実施例1とした。
<実施例2>
実施例1において、ココナッツオイルをパーム油に代えたこと以外は、実施例1と同様にして良食感ナッツを製造し、その良食感ナッツを実施例2とした。
<実施例3>
実施例1において、アーモンドをピスタチオ(油脂の本来含油率が56重量%)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして良食感ナッツを製造し、その良食感ナッツを実施例3とした。
<実施例4>
実施例1において、アーモンドをカシューナッツ(油脂の本来含油率が48重量%)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして良食感ナッツを製造し、その良食感ナッツを実施例4とした。
<実施例5>
実施例1において、アーモンドをラッカセイ(油脂の本来含油率が49重量%)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして良食感ナッツを製造し、その良食感ナッツを実施例5とした。
<比較例1>
実施例1において、破砕後の小片アーモンドそのものを比較例1とした。
<比較例2>
実施例3において、破砕後の小片ピスタチオそのものを比較例2とした。
<比較例3>
実施例4において、破砕後の小片カシューナッツそのものを比較例3とした。
<比較例4>
実施例5において、破砕後の小片ラッカセイそのものを比較例4とした。
<評価方法>
含有濃度C(重量%)は、下記のように測定した。先ず、植物性油脂を含有させる前のナッツ類の初期重量W0(g)と、植物性油脂を含有させたナッツ類の実重量W1(g)を測定し、実重量W1(g)から初期重量W0(g)を減算した減算値dW(g)を算出し、植物性油脂の含有量dW(g)を実重量W1(g)で除算した除算値C(重量%)を植物性油脂の含有濃度C(重量%)として算出した。
次に、酸価は、製造時点から、空瓶に入れて封止し、所定期間(6ヵ月)経過した時点のナッツ類で測定し、一般財団法人食品環境検査協会へ依頼して、中和滴定法により測定した。尚、検出限界は、0.1であった。
最後に、官能試験としてのカリカリ感は、下記のように評価した。市販のアイスクリームを小皿に所定量(20g)取り、そのアイスクリームを常温で溶かし、溶かしたアイスクリームの中にナッツ類を所定量(5g)入れて、攪拌し、溶けたアイスクリームの中にナッツ類を含有させた。ナッツ類をアイスクリームに馴染ませると、その小皿を冷蔵庫で所定の保存期間(6ヵ月)保存し、その後、冷蔵庫から小皿を取り出して、アイスクリームと一緒にナッツ類を食し、ナッツ類の特有のカリカリ感があるかどうかを食感で評価した。
〇:ナッツ類の特有のカリカリ感がある。
×:ナッツ類の特有のカリカリ感がない。
<評価結果>
図3は、実施例1と比較例1に係る小片アーモンドの外観写真と断面写真である。図3に示すように、比較例1に係る小片アーモンドの断面には、アーモンド特有の仁の色が均一に現れているが、実施例1に係る小片アーモンドの断面には、アーモンド特有の仁の色が濃くなっており、小片アーモンドの内部までココナッツオイルが浸透していることが理解される。又、小片アーモンドの表面には、1mm程度の厚さのココナッツオイルの粉末層が形成されていることが理解される。
図4は、実施例1と比較例1に係る小片アーモンドを水に入れた際の浮き沈みを示す写真である。図4に示すように、比較例1に係る小片アーモンドは、水に入れると、水よりも重く、沈むのに対して、実施例1に係る小片アーモンドは、水に入れると、水よりも軽く、浮くことが理解される。つまり、小片アーモンドの内部にココナッツオイルが含有されることで、小片アーモンドの物性(例えば、比重)が、水に浮く性質(水の比重より軽い)に変化したことが理解される。
図5は、実施例1と比較例1に係る小片アーモンドをアイスクリームに入れた時の写真と、実施例1と比較例1に係る小片アーモンドとアイスクリームを攪拌した時の写真である。
図5に示すように、実施例1と比較例1に係る小片アーモンドとアイスクリームを攪拌して、小片アーモンドをアイスクリームに馴染ませると、その小皿を冷蔵庫で保存し、所定の保存期間が経過すると、冷蔵庫から小皿を取り出して、アイスクリームと一緒に小片アーモンドを食した。比較例1に係る小片アーモンドは、水分を吸収しており、カリカリ感が無かったが、一方、実施例1に係る小片アーモンドは、水分を吸収しておらず、カリカリ感を維持していた。
図6は、実施例1−5と比較例1−4の原料と評価結果の表を示す。図6に示すように、含有濃度C(重量%)について、実施例1−5では、植物性油脂を吸収し、含有濃度C(重量%)が5重量%以上であった。
次に、酸価について、比較例1−4では、1.0を超えていたが、一方、実施例1−5では、0.7以下であり、良好な値であった。
最後に、カリカリ感について、比較例1−4では、カリカリ感が無く、「×」であったが、一方、実施例1−5では、カリカリ感が有り、「〇」であった。
ここで、実施例1について、製造時点から、空瓶に入れて封止し、7年後経過したナッツ類の酸価を測定したところ、驚くべきことに、0.4であり、製造時点から7年を経過しても、酸価が殆ど変化していなかった。これは、内部に吸収させた植物性油脂と、表面に形成させた粉末層が、周囲の水分の吸収を阻害し、これにより、酸価の上昇を抑え、ナッツ類の変質を長期間にわたって防止したことを示している。
従って、本発明では、長期保存性に優れ、且つ、半固体や液体の中で長期間浸漬させたとしても、ナッツ類の特有なカリカリ感の食感を維持させることが可能となることが分かった。
以上のように、本発明は、そのままでも良いし、アイスクリームやドレッシング等に入れても、カリカリ感を維持する良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法として有用であり、長期保存性に優れ、且つ、半固体や液体の中で長期間浸漬させたとしても、ナッツ類の特有なカリカリ感の食感を維持させることが可能な良食感ナッツ類及び良食感ナッツ類の製造方法として有効である。

Claims (2)

  1. 融点が常温よりも高い植物性油脂であって、ココナッツオイル又はパーム油の植物性油脂を、本ナッツ類の全体に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有したナッツ類と、
    前記ナッツ類の表面の全部に形成され、前記植物性油脂と同一の植物性油脂の粉末で構成された粉末層と、
    を備えた良食感ナッツ類であって、
    酸価は、1.0以下である
    良食感ナッツ類。
  2. 融点が常温よりも高い植物性油脂であって、ココナッツオイル又はパーム油の植物性油脂を、前記植物性油脂の融点以上で、且つ、前記植物性油脂の沸点以下の範囲内の所定の加熱温度で加熱する加熱ステップと、
    ナッツ類を、前記加熱温度で加熱された植物性油脂の液体内に所定の浸漬期間だけ浸漬させることで、当該ナッツ類の内部に前記植物性油脂を吸収させる浸漬ステップと、
    前記植物性油脂を吸収させたナッツ類を前記植物性油脂の液体から取り出して、前記ナッツ類の表面の全部に前記植物性油脂と同一の植物性油脂の粉末を吹き付けて、前記ナッツ類の表面の全部に、前記植物性油脂の粉末で構成された粉末層を形成させる形成ステップと、
    前記粉末層を形成させたナッツ類を乾燥させる乾燥ステップと、
    を備え
    前記植物性油脂は、前記ナッツ類の全体に対して5重量%〜30重量%の範囲内で含有した、
    良食感ナッツ類の製造方法。
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