JP6592038B2 - 加工技術管理システム及び加工技術管理方法 - Google Patents
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Description
これらを利用する場合、まず、ユーザがCADにより加工形状を設計する。次に、ユーザが、設計された加工形状に加工するための加工指令をCAMにより作成する。そして、CNC工作機械が、作成された加工指令に基づいてワークに対する加工を実行する。これにより、ユーザは、ワークを所望の形状に加工することができる。
特許文献1に開示の技術では、加工実行時のプロセス情報を、加工セットと関連付けて記憶する。ユーザは、記憶された情報を参照することにより、加工プロセスを最適化する。これにより、ユーザは、この最適化された加工プロセスに対応する加工指令を作成することが可能となる。
前記共有データベースには、前記CNC工作機械(例えば、後述の第1のCNC工作機械30a、第2のCNC工作機械30b)と、前記複数のCNC工作機械に対応する前記加工状態記録部(例えば、後述の第1の加工状態記録部40a、第2の加工状態記録部40b)とが接続されるようにしてもよい。
<実施形態の構成>
図1に示すように、本実施形態である統合システム1は、CAD10、CAM20、CNC工作機械30、加工状態記録部40、加工技術管理部50及び共有データベース60を備える。
これらの装置の具体的な構成や機能については、当業者によく知られているので、ここでは詳細な説明を省略する。
加工形状は、上述したようにCAD10により設計される。加工技術情報は、ユーザが、加工指令の作成の際に参考とする情報である。加工技術情報には、例えば、加工指令における、加工形状、切削条件、ストラテジ、アプローチ方法、及びリトラクト方法といった加工内容の設定例が含まれている。加工技術情報は、加工技術管理部50により管理される。
ユーザは、CAM20が読み込んだ加工技術情報を参考にしながら、被加工物を加工形状に加工するための加工指令を作成する。加工指令には、上述した加工内容の設定が含まれている。また、詳細は後述するが、本実施形態における加工指令には、加工指令を作成したユーザの狙いを示す情報等も含まれている。
加工実行情報は、CNC工作機械30による加工指令に基づいた加工実行時の状態を示す情報である。加工実行情報は、加工状態記録部40により管理される。
加工技術情報や加工実行情報の詳細については後述する。
加工状態記録部40は、これらの情報(サーボ情報、各種センサデータ情報及び加工状態の撮像画像)を収集し、加工指令に含まれる加工内容や加工の狙い等の情報と紐付けることにより加工実行情報を生成する。そして、加工状態記録部40は、生成した加工実行情報を共有データベース60に格納する。
つまり、本実施形態によれば、加工指令を作成するユーザ個人の知識に依らずに、ユーザの狙いに沿った質の高い加工指令を作成することが可能となる。
これら各装置のそれぞれは、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備える。また、これら各装置のそれぞれは、アプリケーションソフトウェアやOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置も備える。
次に、図2を参照して、加工状態記録部40により生成される加工実行情報の詳細な内容について説明をする。
具体的には、上位層である加工実行情報には、加工指令番号、CNC工作機械番号、加工指令開始日時、加工指令終了日時、及び被削材の取り付け状態を示す情報と、1種類の工具で1種類の加工形状を加工する単位を加工ステップとした場合における単数または複数の加工ステップの情報とが含まれる。図中では、加工ステップの情報として、第1加工ステップから第N(Nは任意の自然数)加工ステップまでの情報を図示する。
加工要求情報の内容の記述は、ユーザが任意の文字列をテキストとして入力することにより行われてもよいし、ユーザが予め用意した文字列から選択することにより行われてもよい。次に、加工要求情報に含まれる各情報について説明する。
加工フィーチャは、加工指令にて加工する加工形状の特徴である。加工フィーチャの例としては、平面、穴、溝、ポケット、及びボス等が挙げられる。
表面粗さは、加工指令にて加工する加工面の凹凸の状態である。表面粗さは、例えば算術平均粗さとして、[Ra]を単位とした値で示される。
加工状態記録部40は、CNC工作機械30で加工指令が実行される都度、上述したような加工実行情報を生成する。そして、加工状態記録部40は生成した加工実行情報を共有データベース60に格納する。この加工状態記録部40の動作について、図4のシーケンス図を参照して説明する。
ステップS21にて、加工の実行の開始を通知された加工状態記録部40は、加工実行情報を生成するために、加工指令の実行状態を示す情報の収集を開始する。具体的には、上述の各種センサデータ情報、サーボ情報及び加工中の撮像動画像の収集を開始する。収集は上述したように加工ステップ毎に行われる。
ステップS22にて、加工状態記録部40が第1加工ステップの実行状態を示す情報の収集を開始する。
ステップS23にて、加工状態記録部40が第1加工ステップの実行状態を示す情報の収集を終了する。
以上説明した動作により、CNC工作機械30で加工指令が実行される都度、加工実行情報が生成され、共有データベース60に蓄積されていく。
次に、加工技術管理部50が、共有データベース60に蓄積された加工実行情報の中から加工技術候補を選択する方法について説明をする。
これにより、加工技術管理部50は、文字列での表現は異なるが狙い自体は一致しているような場合に、これら文字列が一致していると判断することができる。
第1の条件及び第2の条件について具体例を用いて説明をする。
例えば、ユーザが作成した要求情報において、加工の狙いが「加工工数最小」の場合に、合致している必要がある情報として「CAMトレランス」と「表面粗さ」が指定されていたとする。
また、加工実行情報Aと加工実行情報Bについては、CAMトレランスや表面粗さの値もそれぞれ合致しているので第2の条件も満たしている。よって、これら加工実行情報Aと加工実行情報Bを比較対象とする。一方で、加工実行情報Cについては、表面粗さの値が「0.4」であり、加工実行情報Aと加工実行情報Bの表面粗さの値が「3.2」とは相違している。そのため、加工実行情報Cは、加工実行情報A及び加工実行情報Bとは比較対象とはならない。
ここで、加工技術管理部50は、加工の狙いを満たしているものを、加工指令の作成のために有意であると判定し、加工技術候補として選択する。この加工指令の作成のために有意であると判定し、加工技術候補として選択する基準はユーザにより予め設定されている。
次に、上記第1の例以外の例として、第2の例から第6の例について説明する。
合致している必要がある情報:加工の狙い
選択基準:単位除去体積当たりの工具コストが最小となるものを最良とする為、加工技術管理部50は、「工具1個の工具コスト÷工具の寿命時間÷単位時間当たりの除去体積」で算出した結果を比較し、最小の値となった加工実行情報を加工技術候補として選択する。
合致している必要がある情報:加工の狙い、CAMトレランス、表面粗さ、及び寸法公差、幾何公差
選択基準:加工実行情報に測定情報が関連付けられていることから、加工技術管理部50は、その加工実行情報により加工された被加工物が良品であるのか不良品であるのかが分かる。これに基づいて不良品率を算出し、最も不良品率の少ない加工実行情報を加工技術候補として選択する。
合致している必要がある情報:加工の狙い
選択基準:加工の要求(CAMトレランス、面粗度、寸法公差、及び幾何公差)が合致しているか否かに関わらず、加工技術管理部50は、単位時間当たりの除去体積の値の大小を比較し、最も大きい数値となっている加工実行情報を加工技術候補として選択する。
合致している必要がある情報:加工の狙い
選択基準:加工技術管理部50は、各軸(X軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸、C軸、及び主軸)の消費電力量のデータから単位除去体積当たりの消費電力量を比較し、消費電力量が最も少ない加工実行情報を加工技術候補として選択する。
合致している必要がある情報:加工の狙い、CAMトレランス及び表面粗さ
選択基準:加工技術管理部50は、被加工物の検査情報に基づいて、加工面品位が最も良好な被加工物に加工をした加工実行情報を加工技術候補として選択する。
更に、加工技術管理部50は、選択基準に基づいて算出した、除去体積や、工具コストを、加工実行情報と紐付けて共有データベース60に保存するようにしてもよい。
次に、加工技術管理部50が、共有データベース60に蓄積された加工実行情報から、加工技術候補を選択する際の動作について、図6のフローチャートを参照して説明をする。
ステップS31にて、加工技術管理部50が、共有データベース60から加工実行情報を読み込む。ステップS32にて、加工要求情報を指標として、加工実行情報を分析・比較する。具体的な方法は、<加工技術候補の選択>として上述した通りである。
加工技術候補として選択する場合には、ステップS33にてYesと判定され、処理はステップS34に進む。そして、ステップS34にて、今回読み込んだ加工実行情報を、加工技術候補として共有データベース60に格納する。これにより本処理は終了する。
以上説明した動作により、加工実行情報の中から、有意な情報を抽出し、加工技術候補として選択することが可能となる。
また、加工技術候補が増えすぎることを防止する為、上記の加工技術候補の選択動作と同様に、今回選択された加工技術候補を既存の加工技術候補もしくは既存の加工技術情報と比較するプロセスを踏むことで、より洗練された情報のみを加工技術候補として選択できるようにすることができる。
次に、加工技術管理部50が、共有データベース60に格納されている既存の加工技術情報を更新する方法について説明をする。
次に、加工技術管理部50が上述のようにして加工技術情報の更新をする際の動作について、図8のフローチャートを参照して説明をする。
加工技術情報を更新する場合には、ステップS43にてYesと判定され、処理はステップS44に進む。そして、ステップS44にて、加工技術管理部50は、既存の加工技術情報の内容を加工技術候補の内容で上書きすることにより、加工技術情報を更新する。これにより処理は終了する。
以上説明した動作により、加工技術管理部50は、加工技術候補が、既存の加工技術情報よりも有意な場合、加工技術候補により、加工技術情報を更新することが可能となる。
次に、加工技術管理部50が、CAM20により加工指令を作成するユーザに対して加工技術情報を提示する方法について説明をする。
上述したように、加工技術管理部50は、加工実行情報に基づいた有意な情報を加工技術情報として共有データベース60に格納する。本実施形態では、CAM20により加工指令を作成するユーザに対して、共有データベース60に格納されている加工技術情報を提示する。
次に、加工技術管理部50が上述のようにして加工指令を作成するユーザに対して加工技術情報を提示する際の動作について、図10のフローチャートを参照して説明をする。
ステップS51にて、加工技術管理部50は、ユーザがこれから作成する加工指令に対応する、被加工物の材質、加工フィーチャ、及び加工の狙いをCAM20から取得する。
ステップS53にて、CAM20は受信した加工技術情報をユーザに対して提示する。例えば、加工技術情報の内容を、CAM20が備えるディスプレイに表示することにより提示する。
これにより本処理は終了する。
以上説明した本実施形態によれば、CNC工作機械30で加工指令を実行する都度、加工実行情報が記憶され、ユーザの狙いという指標によって分析、抽出された加工技術情報が蓄積されていく。そして、ユーザがCAM20にて加工指令を作成する際に、作成する加工指令に対応する加工技術情報を提示することができる。そのため、本実施形態によれば、ユーザ個人の知識に依らずに質の高い加工指令を作成することが可能となる。
しかしながら、本実施形態によれば、実際に加工に利用された加工指令等に基づいて、加工実行情報を生成するので、工場等の現場で加工指令を変更されてしまうような場合でも、加工技術情報を適切に管理することが可能となる。
しかしながら、本実施形態によれば、加工実行情報という、加工結果に対してのフィードバックを反映した情報をユーザに対して提示することができるので、フィードバックがなかったという課題を解決することができる。
なお、上記の統合システムに含まれる各装置及び各部のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の統合システムに含まれる各装置及び各部のそれぞれにより行なわれる加工技術管理方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
上述した実施形態では、加工技術管理部50が、共有データベース60に格納されている加工技術情報の更新等の管理をしていた。これに加えて、ユーザが共有データベース60に格納されている加工技術情報の編集を行えるようにしてもよい。
そして、例えば、被加工物の材質、加工フィーチャ、及び加工の狙いの或る組み合わせに対応する加工技術情報が共有データベース60に格納されていない場合に、ユーザが、加工技術情報を新規に格納する。また、例えば、ユーザによって加工技術情報の更新や削除を行う。
上述の実施形態では、図1に示したように、統合システム1に、CNC工作機械30と加工状態記録部40の組が一組含まれていた。これに対して、CNC工作機械30と加工状態記録部40の組が複数組含まれるようにしてもよい。例えば、図12に示す統合システム1Aのように、CNC工作機械30aと加工状態記録部40aの組と、CNC工作機械30bと加工状態記録部40bの組の二組が含まれるようにしてもよい。そして、これら複数の組のそれぞれが共有データベース60を共有するようにするとよい。このように規模の大きなシステムとすることにより、加工実行情報をより多く収集することができる。
また、このような構成にすれば、例えば、CNC工作機械30aで新工具のテスト加工を実施するなど、新たな技術を利用した際に、別の担当者による管理が行われているCNC工作機械30bでも、CNC工作機械30aでの実績から新技術を適用することが可能となる。
ユーザ又は検査装置(図示せず)が、CNC工作機械30により加工された被加工物を測定することにより検査を行う場合に、加工技術管理部50は、この検査結果を加工実行情報に含ませるようにしてもよい。
上述した実施形態では、CAD10、CAM20及びCNC工作機械30を別体の装置として図示しているが、これら別体となっている装置の機能の一部又は全部を同一の装置により実現するようにしてもよい。例えばCAD10とCAM20を同一の装置で実現するようにしてもよい。
更に、各装置の各機能を、適宜複数のサーバに分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用するようにしてもよい。
10 CAD
20 CAM
30 CNC工作機械
30a 第1CNC工作機械
30b 第2CNC工作機械
40 加工状態記録部
40a 第1加工状態記録部
40b 第2加工状態記録部
50 加工技術管理部
60 共有データベース
100 入力装置
Claims (9)
- 加工形状を出力するCADと、被加工物を前記加工形状に加工するための加工指令を作成するCAMと、前記加工指令に基づいて加工を行うと共に加工実行状態を出力するCNC工作機械とが共有データベースに接続された統合システムにおける、前記加工形状、前記加工指令及び前記加工実行状態に基づいて加工技術情報を管理する加工技術管理システムであって、
前記CNC工作機械が前記加工を実行した場合に、前記加工に求められる要求を示す要求情報と、前記加工実行状態を示す状態情報とを対応付けて、加工実行情報として前記共有データベースに登録する加工状態記録部と、
前記要求情報の少なくとも一部が合致する複数の前記加工実行情報それぞれを比較し、比較結果に基づいて、前記要求情報における要求を他の加工実行情報よりも満たしていると判定された加工実行情報を、前記CAMでの前記加工指令の作成のために用いる加工技術情報の候補とする加工情報管理部と、
を備える加工技術管理システム。 - 前記加工情報管理部は、前記加工技術情報の候補と、前記加工技術情報の候補と前記要求情報の少なくとも一部が合致する既存の加工技術情報とを比較し、比較の結果に基づいて、前記加工技術情報の候補の方が前記要求情報における要求を満たしていると判定された場合に、前記加工技術情報の候補を新たな加工技術情報として前記共有データベースに登録する請求項1に記載の加工技術管理システム。
- 前記加工情報管理部は、前記CAMにて前記加工指令が作成される場合に、前記共有データベースに登録されている加工技術情報であって、作成される加工指令に対応する加工技術情報を前記CAMに対して出力する請求項2に記載の加工技術管理システム。
- 前記要求情報には前記加工指令を作成したユーザの加工の狙いを示す情報が含まれており、
前記要求情報の少なくとも一部が合致するとは、少なくとも前記加工の狙いが合致することである請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の加工技術管理システム。 - 前記加工指令には、加工ステップ毎に前記要求情報が含まれており、
前記加工状態記録部は、前記加工ステップ毎に、前記要求情報を含む前記加工ステップと前記状態情報とを対応付けて、加工実行情報として前記共有データベースに登録する請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の加工技術管理システム。 - 前記共有データベースは、ユーザにより編集可能である請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の加工技術管理システム。
- 前記共有データベースには、前記CNC工作機械と、前記複数のCNC工作機械に対応する前記加工状態記録部とが接続される請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の加工技術管理システム。
- 前記加工情報管理部は、
前記CNC工作機械により加工された前記被加工物を測定することにより得られた検査結果を取得し、
前記状態情報に加えて前記検査結果に基づいて、前記要求情報における要求を満たしているか否かについての判定を行う請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の加工技術管理システム。 - 加工形状を出力するCADと、被加工物を前記加工形状に加工するための加工指令を作成するCAMと、前記加工指令に基づいて加工を行うと共に加工実行状態を出力するCNC工作機械とが共有データベースに接続された統合システムにおける、前記加工形状、前記加工指令及び前記加工実行状態に基づいて加工技術情報を管理する加工技術管理方法であって、
前記CNC工作機械が前記加工を実行した場合に、前記加工に求められる要求を示す要求情報と、前記加工実行状態を示す状態情報とを対応付けて、加工実行情報として前記共有データベースに登録する加工状態記録ステップと、
前記要求情報の少なくとも一部が合致する複数の前記加工実行情報の前記状態情報を比較し、比較した前記状態情報に基づいて、前記要求情報における要求を他の加工実行情報よりも満たしていると判定された加工実行情報を、前記CAMでの前記加工指令の作成のために用いる加工技術情報の候補とする加工情報管理ステップと、
を備える加工技術管理方法。
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