JP6588753B2 - 嵌合構造 - Google Patents

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本発明は、第1部材と第2部材を、内歯と外歯の噛み合わせ嵌合により連結する嵌合構造に関する。
従来、内歯リング71に円弧歯リング72(外歯リング)を揺動自在に噛み合わせた軸連結部材51による嵌合構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−190440号公報
しかしながら、従来の嵌合構造にあっては、内歯リングと外歯リングの歯面接触部におけるそれぞれの歯面接触線が共通接線として引かれ、この共通接線と半径線とのなす作用角に、所定角度(例えば、内歯と外歯がインボリュート歯形の場合は20°等)を持たせている。このため、内歯リングと外歯リングとして熱膨張率が異なる異種材料を使用した場合、温度変化に伴って歯面接触部の周方向相対隙間が変化し、隙間が増大した場合にはガタ打ち音が発生してしまう、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、第1部材と第2部材の材料として熱膨張率が異なる異種材料を使用しても、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制する嵌合構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、内歯が形成された第1部材と、外歯が形成された第2部材を、内歯と前記外歯を噛み合わせた嵌合歯により連結する。
この嵌合構造において、内歯と外歯の歯型形状全体の中で有するそれぞれの歯面接触線と半径線とのなす角度を作用角というとき、内歯の歯面と外歯の歯面のうち少なくとも一方の歯面に、作用角が0度の放射平面による直線歯面を形成する。
内歯と外歯を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯のうち、少なくとも1歯に直線歯面嵌合歯を有する。
直線歯面嵌合歯は、内歯と外歯の歯先と歯底の間に径方向隙間を有する嵌合歯構成であり、内歯の歯面と外歯の歯面作用角0度で周方向に歯面間を接触させる歯面構造とする。
よって、内歯の歯面と外歯の歯面のうち少なくとも一方の歯面に、作用角が0度の放射平面による直線歯面が形成される。そして、内歯と外歯を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯のうち、少なくとも1歯に直線歯面嵌合歯を有する。この直線歯面嵌合歯は、内歯と外歯の歯先と歯底の間に径方向隙間を有する嵌合歯構成であり、内歯の歯面と外歯の歯面が作用角0度で周方向に歯面間を接触させる歯面構造とされる
すなわち、直線歯面嵌合歯の内歯と外歯の歯面接触を保ったままで、2つの歯面間での直線歯面に沿った半径方向への相対変位が許容される。例えば、内歯に外歯よりも熱膨張率が高い材料を使用した場合、内歯がより多く収縮する低温時には、常温時における径方向隙間を縮めることにより内歯の収縮を吸収する。一方、内歯がより多く膨張する高温時には、常温時における径方向隙間を拡大して内歯の膨張を吸収する。そして、内歯と外歯の円周方向の膨張・収縮については、径方向隙間を縮めたり拡大したりする径方向相対隙間の変化があっても、作用角が0度の直線歯面を有する直線歯面嵌合歯の内歯と外歯は、歯面接触を保ったままである。このため、直線歯面嵌合歯の歯面間の周方向相対隙間の変化が抑制される。
この結果、第1部材と第2部材の材料として熱膨張率が異なる異種材料を使用しても、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制することができる。
実施例1の嵌合構造が適用された電気自動車用の減速機を示す断面図である。 図1のA部を拡大した実施例1の嵌合構造を示す拡大図である。 実施例1の嵌合構造におけるカッターによる外歯の加工軌跡(a)とカッター形状(b)を示す図である。 実施例1の嵌合構造において温度変化時の嵌合状況の変化を示す作用説明図である。 実施例2の嵌合構造において内歯を直線歯面とした場合に外歯の作用角に微小角を設定することが許容される嵌合構造の例を示す拡大図である。 実施例2の嵌合構造において内歯を直線歯面とした場合に外歯の作用角に微小角を設定することが許容されない嵌合構造の例を示す拡大図である。 実施例3の嵌合構造において外歯を直線歯面とした場合に内歯の作用角に微小角を設定することが許容される嵌合構造の例を示す拡大図である。 実施例3の嵌合構造において外歯を直線歯面とした場合に内歯の作用角に微小角を設定することが許容されない嵌合構造の例を示す拡大図である。
以下、本発明の嵌合構造を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における嵌合構造の構成を、「嵌合構造が適用された減速機構成」、「嵌合構造の詳細構成」、「創成歯切り加工による外歯構成」に分けて説明する。
[嵌合構造が適用された減速機構成]
図1は、実施例1の嵌合構造が適用された電気自動車用の減速機(ドライブトレイン)を示す。以下、図1に基づき、嵌合構造が適用された減速機構成を説明する。
電気自動車の駆動系に搭載され、遊星歯車式減速機構を有する減速機は、図1に示すように、減速機ケース1と、サンギア2と、ピニオン3と、ピニオンキャリア4と、リングギア5と、を備える。そして、減速機ケース1(第1部材)に対して遊星歯車のリングギア5(第2部材)を圧入嵌合により固定連結する噛み合い構造として、実施例1の嵌合構造が適用されている。
前記減速機ケース1は、軽量であるアルミ系材料を素材とするもので、内周面に等間隔で内側に向かって突出する内歯6が設けられる。リングギア5は、高強度である鉄系材料を素材とするもので、外周面に等間隔で外側に向かって突出する外歯7が設けられる。そして、減速機ケース1に対してリングギア5を連結する実施例1の嵌合構造は、異種材料により形成された内歯6と外歯7を圧入嵌合により噛み合わせる嵌合歯とすることで構成している。
前記サンギア2には、入力軸8を介して図外の電動モータが連結される。ピニオン3を支持するピニオンキャリア4には、図外の駆動輪が連結される。つまり、シングルピニオン型の遊星歯車において、サンギア入力・キャリア出力・リングギア固定とすることにより、サンギア2からの入力回転数を所定の減速比で減速し、ピニオンキャリア4から出力する減速ギア機構が構成される。なお、遊星歯車の中心点Oは、リングギア5の中心点でもあり、この中心点Oを通って放射状に延びる線を半径線という。
[嵌合構造の詳細構成]
図2は、図1のA部を拡大した実施例1の嵌合構造を示す。以下、図1及び図2に基づき、実施例1における嵌合構造の詳細構成を説明する。
実施例1の嵌合構造は、図2に示すように、内歯6の歯面と外歯7の歯面の双方に、作用角が0度の放射平面による内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aを形成している。
ここで、「作用角」とは、内歯6と外歯7の歯型形状全体の中で有するそれぞれの歯面接触線CLin,CLoutと半径線RLとのなす角度をいい、“ピッチ円上の圧力角”の意味ではなく“歯型形状全体の中で有する作用角”の意味である。例えば、内歯6の歯面接触線CLin及び外歯7の歯面接触線CLoutのそれぞれを半径線RLと一致させ、厳密な意味で作用角=0度による内歯側直線歯面6a及び外歯側直線歯面7aとした場合は、図2に示すように、内歯6と外歯7の歯面接触部が放射平面接触部になる。さらに、本願の特許請求の範囲及び明細書で用いる「作用角が0度」とは、「作用角=0度」という厳密な意味で用いるのではなく、「作用角≒0度」というように製造誤差による0度近傍の角度範囲も含む意味として用いる。
前記内歯6には、内歯側直線歯面6a,6aに挟まれた径方向の内側に内歯頂面6bを有し、内歯側直線歯面6a,6aに挟まれた径方向の外側に内歯底面6cを有する。外歯7には、外歯側直線歯面7a,7aに挟まれた径方向の外側に外歯頂面7bを有し、外歯側直線歯面7a,7aに挟まれた径方向の内側に外歯底面7cを有する。そして、内歯頂面6bと外歯底面7cとの間に小径側隙間t1を確保している。
実施例1の嵌合構造において、全周にわたって内歯6と外歯7を噛み合わせた複数の嵌合歯を、全歯形状が同じ外歯7を主体とする円ピッチ分割をしたとき、構成の相違により大径嵌合歯9と直線歯面嵌合歯10との2種類に分けられる。そして、図2に示すように、2種類に分けられた大径嵌合歯9と直線歯面嵌合歯10を周上において組み合わせた組み合わせ嵌合歯としている。直線歯面嵌合歯10は、図1に示すように、等間隔による三箇所の周方向位置に、一つの大径嵌合歯9を挟んだ両側に全部で6歯設定している。なお、複数の嵌合歯のうち、直線歯面嵌合歯10を除く嵌合歯は全て大径嵌合歯9としている。
前記大径嵌合歯9は、図2に示すように、歯先と歯底のラジアル方向に隙間の無い嵌合歯構成であり、両歯面6a,7aは、歯面間に数ミクロンの隙間を持たせたルーズな歯面構造としている。この大径嵌合歯9の必要数と位置は、図1に示すように、実施例1では18歯としているが、センタリングによる軸心合わせができるように歯数と歯位置を決めれば良い。即ち、大径嵌合歯9としては、複数の歯面嵌合歯のうち、センタリングによる軸心合わせが可能なように、概略等間隔の3箇所以上の周方向位置にそれぞれ1つの歯(最低3歯)以上の歯面嵌合歯を選択する。この大径嵌合歯9は、図2に示すように、外歯頂面7bと内歯底面6cの間に設けられる大径側隙間t2を埋めた大径接触部9aを有する。
前記直線歯面嵌合歯10は、図2に示すように、歯先と歯底のラジアル方向に隙間を有する嵌合歯構成であり、両歯面6a,7aは、ガタ打ち音や制御応答遅れを解消するように誤差を含む作用角0度で歯面間を接触させる歯面構造としている。この直線歯面嵌合歯10の必要数と位置は、図1に示すように、実施例1では6歯としているが、回転方向のガタ抑制が目的なので、十分な歯強度があれば、3歯程度でも十分であり、大径嵌合歯9でセンタリングできていれば、1歯でも可能である。即ち、直線歯面嵌合歯10としては、複数の歯面嵌合歯のうち、最低1歯でも可能であり、最大はセンタリングのために必要な大径嵌合歯9(3歯)以外の全ての歯でも可能とする。この直線歯面嵌合歯10は、外歯頂面7bと内歯底面6cの間に設けられる大径側隙間t2を確保している。
前記大径嵌合歯9及び直線歯面嵌合歯10における外歯7の外歯側直線歯面7aは、図2に示すように、外歯7の両側に形成された歯面のうち、基礎円BCの位置から内径方向であって、外歯7の歯元より少し上の位置までの歯面領域11に設定している。ここで、基礎円BCは、内歯6と外歯7による噛み合い中心円PC(ピッチ円)より外径側であり、かつ、外歯7の歯頂円TCより内径側の大径位置に設定している。
[創成歯切り加工による外歯構成]
図3は、実施例1の嵌合構造におけるカッターによる外歯の加工軌跡(a)とカッター形状(b)を示す。以下、図3に基づき、創成歯切り加工による外歯構成を説明する。
前記外歯7は、図3に示すように、ホブカッター21を用いた創成歯切り加工により製造される転位歯車とし、外歯側直線歯面7aを、基礎円BCの位置から内径方向に設定している。
ここで、カッターの位置を被切削歯車の半径方向に動かすことを「転位(被切削歯車の外方向にずらす場合を正転位、中心方向にずらす場合を負転位という。)」という。そして、カッターの中心線(基準ピッチ線)からある距離だけ離れた一つの直線を歯切りピッチ線とし、被切削歯車のピッチ円を、この歯切りピッチ線に接するようにして歯切り加工したものを「転位歯車」という。つまり、外歯7は、インボリュート歯車の歯切り加工に用いるラックカッターに代え、ホブカッター21を用いた創成歯切り加工を行うことで、図3(a)の加工軌跡に示すように、基礎円BCの位置から内径方向に外歯側直線歯面7aを創成することが可能となる。
前記ホブカッター21は、外歯7を創成歯切りにより加工する際に用いられ、図7(b)に示すように、歯切りピッチ線PLより内径側を加工するカッター部位を、ピッチ径/2の基円形によるサイクロイド曲線を有する曲線形状21aとしている。そして、歯切りピッチ線PCより外径側を加工するカッター部位を、工具圧力角0度とする直線形状21bとしている。
次に、作用を説明する。
実施例1の嵌合構造における作用を、「背景技術」、「直線歯面による嵌合作用」、「嵌合構造での他の特徴作用」に分けて説明する。
[背景技術]
インホイールモータ車や電気自動車等の変速が不要なドライブトレイン(減速機)において、減速に遊星歯車を用いる場合には、遊星歯車を構成する歯車の一つであるリングギアは、ケースに対して直接固定する構造となる。なお、変速装置の場合には、リングギアとケースの間に、クラッチ装置(バンドブレーキ、多板クラッチ等)が設置されることが多い。
特に、嵌合構造に特別な工夫を行わない場合には、通常のインボリュートスプラインやセレーション等でリングギアとケースを嵌合することになり、下記の問題がある。
通常、リングギアはギア噛み合い部の強度を確保できる材料、ケースは軽量な材料というように、リングギアとケースについては材質が異なるため、膨張係数に差異が生じる。そのため、温度による熱膨張差/収縮差により、リングギアとケースの間の隙間/圧入力に変化が生じる。そして、隙間/圧入力の変化により、
・低温時(又は高温時)の圧入力増大に伴う破損。つまり、圧入力が増大するとケース又はリングギアに作用する応力が過大になる。
・高温時(又は低温時)の隙間増大に伴うガタ打ち音の発生。つまり、隙間が増大すると駆動力及び路面からの負荷入力の変化によるガタ詰まり音が発生する。
という問題が生じる。
上記問題を防止するには、リングギアとケースの材料を、温度による熱膨張差/収縮差が変わらない同一材料や同種材料を用いる必要があるが、この場合、ケース(カバー)に異種(異膨張係数)材料を使用できず、軽量化できないという別の問題が生じる。
また、大量生産の製品に適用する場合は、大量生産や低コスト化に適した工法によって製造可能であることが必要である。しかし、セレーション等による嵌合構造にすると、加工タクトが長く、大量生産化・低コスト化に対応できない問題も存在する。
[直線歯面による嵌合作用]
上記背景技術の問題に着目し、これらの問題解決を目指して本発明はなされた。以下、図4に基づき、嵌合構造の特徴作用である直線歯面による嵌合作用を説明する。
実施例1では、内歯6の歯面と外歯7の歯面の双方に、作用角が0度の放射平面による内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aを形成する。そして、内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたとき、内歯6と外歯7が周方向に歯面接触する直線歯面嵌合歯10を有するとともに、内歯6と外歯7の間に径方向隙間(小径側隙間t1、大径側隙間t2)を設ける構成とした。
すなわち、直線歯面嵌合歯10の内歯6と外歯7の歯面接触を保ったままで、2つの歯面6,7間での内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aに沿った半径方向への相対変位が、径方向隙間である小径側隙間t1と大径側隙間t2により許容される。
例えば、内歯6に外歯7よりも熱膨張率が高い材料を使用した場合、内歯6と外歯7のうち、内歯6がより多く収縮する低温時には、図4(b)に示す常温時における径方向隙間tb(=t1)を縮めることにより内歯6の収縮を吸収する(図4(a))。つまり、常温時における径方向隙間tbが縮められて低温時における径方向隙間ta(<tb=t1)となる。一方、内歯6と外歯7のうち、内歯6がより多く膨張する高温時には、図4(b)に示す常温時における径方向隙間tb(=t1)を拡大して内歯6の膨張を吸収する(図4(c))。つまり、常温時における径方向隙間tbを拡大して高温時における径方向隙間tc(>tb=t1)となる。そして、内歯6と外歯7の円周方向の膨張・収縮については、径方向隙間を縮めたり拡大したりする径方向相対隙間の変化があっても、作用角が0度の内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aを有する直線歯面嵌合歯10の内歯6と外歯7は、歯面接触を保ったままである。このため、減速機ケース1とリングギア5の材料として、熱膨張率が異なる異種材料を使用したとき、温度変化があっても、直線歯面嵌合歯10の歯面接触部の周方向相対隙間の変化が抑制される。
この結果、リングギア5と減速機ケース1の材料として熱膨張率が異なる異種材料を使用しても、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制することができる。そして、高温時または低温時、歯面接触部の周方向相対隙間が増大し、駆動力及び路面からの負荷入力の変化によるガタ詰まり音が発生することを防止できる。さらに、リングギア5と減速機ケース1の材料として、それぞれの必要強度に応じた材料選択が可能となるため、同一材料を用いる場合に比べ、大幅な軽量化を図ることができる。
[嵌合構造での他の特徴作用]
実施例1では、内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたとき、大径接触部9aにより内歯6と外歯7が径方向に接触する大径嵌合歯9を有する。そして、内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯を、直線歯面嵌合歯10と大径嵌合歯9との組み合わせ嵌合歯とする構成とした。
すなわち、大径嵌合歯9に有する大径接触部9aが、減速機ケース1に対するリングギア5の位置決め面となり、大径嵌合歯9がセンタリング機能を分担し、直線歯面嵌合歯10が温度変化による周方向の歯面隙間変化の抑制機能を分担する。
したがって、減速機ケース1(内歯6)とリングギア5(外歯7)の同軸性向上と、温度変化による周方向の歯面隙間変化抑制と、の両立が図られる。
実施例1では、大径嵌合歯9は、内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたとき、内歯6と外歯7に周方向の歯面隙間を設ける構成とした。
即ち、大径嵌合歯9は、内歯6の歯面6aと外歯7の歯面7aに周方向隙間が設けられるため、内歯6と外歯7の嵌合組み付けが容易である。
実施例1では、大径嵌合歯9を、円周上に配列される複数の嵌合歯のうち、三箇所以上の周方向等間隔位置に設定する構成とした。
なお、リングギア5の外歯7の歯数は、必ずしも3の倍数になるとは限らないため、「三箇所以上の周方向等間隔位置」とは、歯数が1〜2歯程度異なる場合も含む。
したがって、センタリング機能を分担する大径嵌合歯9が、三箇所以上の周方向等間隔位置に設定されることで、軸ずれを生じる入力があっても、内歯6を形成する減速機ケース1と、外歯7を形成するリングギア5の同軸性が確保される。また、実施例1のように、遊星歯車のリングギア5に適用する場合、ピニオン3との歯当たり精度が向上するため、ギア寿命の向上やギアノイズの低減が可能となる。
実施例1では、大径嵌合歯9を、円周上に配列される複数の嵌合歯のうち、直線歯面嵌合歯10を除く全ての嵌合歯に設定する構成とした。
すなわち、嵌合歯のうち、位置と数の設定が優先される大径嵌合歯9は、内歯6の歯面6aと外歯7の歯面7aに周方向隙間が設けられるため、内歯6と外歯7の嵌合組み付けがさらに容易になる。
したがって、内歯6と外歯7の嵌合組み付け性をさらに良好にしながら、減速機ケース1とリングギア5の同軸性向上と、温度変化による周方向の歯面隙間変化抑制と、の両立が図られる。
実施例1では、外歯7に形成された歯面うち、基礎円BCの位置から内径方向の所定位置までの歯面領域11に、外歯側直線歯面7aを設定する構成とした。
すなわち、外歯7の外歯側直線歯面7aによる接触面積が、例えば、ピッチ円領域のみを直線歯面による接触面積とする場合に比べ、より広く確保される。
したがって、大きな嵌合圧入力や回転(トルク)反力や製造バラツキを許容する対応性がより向上する。
実施例1では、基礎円BCを、内歯6と外歯7による噛み合い中心円PCより外径側であり、かつ、外歯7の歯頂円TCより内径側の大径位置に設定する構成とした。
すなわち、基礎円BCそのものを大径位置に設定したことで、例えば、噛み合い中心円PCの位置に設定する場合に比べ、直線歯面による接触面積がより広く確保される。
したがって、大きな嵌合圧入力や回転(トルク)反力や製造バラツキを許容する対応性がさらに向上する。
実施例1では、外歯7を創成歯切りにより加工する際に用いられるホブカッター21のうち、歯切りピッチ線PLより内径側を加工するカッター部位を、サイクロイド曲線を有する曲線形状21aとする構成とした。
すなわち、外歯7において、創成歯切りにより作用角が0度の外歯側直線歯面7aを、切り下げることなく確保できる。このとき、作用角が0度の外歯側直線歯面7aは、基礎円BCの位置から内径方向の所定位置までの歯面領域11となる。つまり、所望の外歯側直線歯面7aを有する外歯7の製造を、大量生産に適するホブカッター21を用いた創成歯切り加工にて実現できる。
したがって、大量生産に適するホブカッター21を用いた創成歯切り加工としたことで、外歯7が形成されるリングギア5の製造コストの削減が可能になる。
実施例1では、外歯7を創成歯切りにより加工する際に用いられるホブカッター21のうち、歯切りピッチ線PLより外径側を加工するカッター部位を、工具圧力角0度による直線形状21bとする構成とした。
すなわち、サイクロイド曲線以外の部位の工具圧力角を0度(0度近傍を含む)とすることで、基礎円BCが基準ピッチ円まで大きくなることから、平坦な面による外歯側直線歯面7aを歯底径から基礎円径の間まで最大にとることが可能になる。
したがって、外歯側直線歯面7aの領域を決める基礎円BCが大きくなることで、外歯側直線歯面7aを広く確保した外歯7の製造が実現される。
実施例1では、直線歯面嵌合歯10の内歯6の歯面と外歯7の歯面の双方に、作用角が0度の内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aに設定する構成とした。
すなわち、内歯6と外歯7の歯面接触部が、内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aによる面接触となり、直線歯面による接触面積が広く確保される。
したがって、大きな嵌合圧入力や回転(トルク)反力が作用する対象への適用が可能になる。加えて、互いに嵌合する内歯6と外歯7に製造バラツキが生じても、直線歯面による接触面積の確保が可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例1の嵌合構造にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 内歯6が形成された第1部材(減速機ケース1)と、外歯7が形成された第2部材(リングギア5)を、内歯6と外歯7を噛み合わせた嵌合歯により連結する嵌合構造において、
内歯6と外歯7の歯型形状全体の中で有するそれぞれの歯面接触線CLin,CLoutと半径線RLとのなす角度を作用角というとき、
内歯6の歯面と外歯7の歯面の双方に、作用角が0度の放射平面による内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aを形成し、
内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたとき、内歯6と外歯7が周方向に歯面接触する直線歯面嵌合歯10を有するとともに、内歯6と外歯7の間に径方向隙間(小径側隙間t1、大径側隙間t2)を設ける(図2)。
このため、第1部材(減速機ケース1)と第2部材(リングギア5)として熱膨張率が異なる異種材料を使用しても、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制することができる。
(2) 内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたとき、内歯6と外歯7が径方向に接触する大径嵌合歯9を有し、
内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯を、直線歯面嵌合歯10と大径嵌合歯9との組み合わせ嵌合歯とする(図2)。
このため、(1)の効果に加え、大径嵌合歯9と直線歯面嵌合歯10の機能分担により、第1部材(減速機ケース1)と第2部材(リングギア5)の同軸性向上と、温度変化による周方向の歯面隙間変化抑制と、の両立を図ることができる。
(3) 大径嵌合歯9は、内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせたとき、内歯6と外歯7に周方向の歯面隙間を設ける(図2)。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、内歯6と外歯7の嵌合組み付け性を良好にすることができる。
(4) 大径嵌合歯9は、円周上に配列される複数の嵌合歯のうち、三箇所以上の周方向等間隔位置に設定する(図1)。
このため、(2)の効果に加え、内歯6を形成する第1部材(減速機ケース1)と、外歯7を形成する第2部材(リングギア5)と、の同軸性をより向上することができる。加えて、ギア機構(遊星歯車)に嵌合構造を適用する場合には、ギア寿命の向上やギアノイズを低減することができる。
(5) 大径嵌合歯9は、円周上に配列される前記複数の嵌合歯のうち、直線歯面嵌合歯10を除く全ての嵌合歯に設定する(図1)。
このため、(4)の効果に加え、内歯6と外歯7の嵌合組み付け性をさらに良好にしながら、第1部材(減速機ケース1)と第2部材(リングギア5)の同軸性向上と、温度変化による周方向の歯面隙間変化抑制と、の両立を図ることができる。
(6) 外歯7に形成された歯面のうち、基礎円BCの位置から内径方向の所定位置までの歯面領域11に、外歯側直線歯面7aを設定する(図2)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、大きな嵌合圧入力や回転(トルク)反力や製造バラツキを許容する対応性を、より向上させることができる。
(7) 基礎円BCを、内歯6と外歯7による噛み合い中心円PCより外径側であり、かつ、外歯7の歯頂円TCより内径側の大径位置に設定した(図2)。
このため、(6)の効果に加え、大きな嵌合圧入力や回転(トルク)反力や製造バラツキを許容する対応性を、さらに向上させることができる。
(8) 外歯7を創成歯切りにより加工する際に用いられるホブカッター21のうち、歯切りピッチ線PCより内径側を加工するカッター部位を、サイクロイド曲線を有する曲線形状21aとした(図3)。
このため、(6)又は(7)の効果に加え、大量生産に適するホブカッター21を用いた創成歯切り加工としたことで、外歯7が形成される第2部材(リングギア5)の製造コストを削減することができる。
(9) 外歯7を創成歯切りにより加工する際に用いられるホブカッター21のうち、歯切りピッチ線PLより外径側を加工するカッター部位を、工具圧力角0度とする直線形状21bとした(図3)。
このため、(8)の効果に加え、外歯側直線歯面7aの領域を決める基礎円BCが大きくなることで、外歯側直線歯面7aを広く確保した外歯7の製造を実現することができる。
(10) 嵌合歯(大径嵌合歯9、直線歯面嵌合歯10)は、内歯6の歯面と外歯7の歯面の双方を、作用角が0度の放射平面による直線歯面(内歯側直線歯面6a、外歯側直線歯面7a)に設定した(図2)。
このため、(1)〜(9)の効果に加え、大きな嵌合圧入力や回転(トルク)反力が作用する対象へ適用することができる。加えて、互いに嵌合する内歯6と外歯7に製造バラツキが生じても、直線歯面による接触面積を確保することができる。
実施例2は、嵌合歯として、内歯6の歯面を作用角が0度の放射平面による内歯側直線歯面6aに設定し、外歯7の歯面を作用角が微小角を有する外歯側傾斜歯面7a’に設定した例である。
図5は、実施例2の嵌合構造において内歯を直線歯面とした場合に外歯の作用角に微小角を設定することが許容される嵌合構造の例を示し、図6は、実施例2の嵌合構造において内歯を直線歯面とした場合に外歯の作用角に微小角を設定することが許容されない嵌合構造の例を示す。以下、図5及び図6に基づき、実施例2の構成を説明する。
なお、「嵌合構造が適用された減速機構成」及び「創成歯切り加工による外歯構成」については、実施例1と同様であるので図示並びに説明を省略する。
実施例2の大径嵌合歯9及び直線歯面嵌合歯10は、内歯6の歯面接触線CLinが半径線RLと一致しているのに対し、外歯7の歯面接触線Cloutは半径線RLと一致していない。そして、外歯側傾斜歯面7a’の場合は、図5に示すように、歯面接触線Cloutと半径線RLに微小角が設定され、外歯側傾斜歯面7a’は、その頂面側と内歯側直線歯面6aが接触し、底面側に向かって隙間が徐々に拡大するテーパー面とされている。一方、外歯側傾斜歯面7a”の場合は、図6に示すように、歯面接触線Cloutと半径線RLに微小角が設定され、外歯側傾斜歯面7a”は、その底面側と内歯側直線歯面6aが接触し、頂面側に向かって隙間が徐々に拡大するテーパー面とされている。
したがって、外歯側傾斜歯面7a’の場合、図5に示すように、内歯6と外歯7の収縮・膨張により径方向隙間が変化するとき、歯面接触部での周方向相対隙間の変化が生じない。一方、外歯側傾斜歯面7a”の場合、図6に示すように、内歯6と外歯7の収縮・膨張により径方向隙間が変化するとき、歯面接触部を押し付けたり離したりするという周方向相対隙間の変化が生じる。
よって、内歯6の歯面を内歯側直線歯面6aとし、外歯7の歯面を作用角が微小角を有する外歯側傾斜歯面とした場合、図5に示す外歯側傾斜歯面7a’は許容するものの、図6に示す外歯側傾斜歯面7a”は許容しない。
次に、効果を説明する。
実施例2の嵌合構造にあっては、下記の効果が得られる。
(11a) 嵌合歯(大径嵌合歯9、直線歯面嵌合歯10)は、内歯6の歯面を、作用角が0度の放射平面による直線歯面(内歯側直線歯面6a)に設定し、外歯7の歯面を作用角が微小角を有する傾斜歯面(外歯側傾斜歯面7a’)に設定し、内歯6の歯面と外歯7の歯面は、外歯7の歯面の頂面側で接触する(図5)。
このため、上記(1)〜(9)の効果に加え、嵌合歯として内歯6の歯面だけを直線歯面(内歯側直線歯面6a)としながら、熱膨張率が異なる異種材料を使用したとき、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制することができる。
実施例3は、嵌合歯として、外歯7の歯面を作用角が0度の放射平面による外歯側直線歯面7aに設定し、内歯6の歯面を作用角が微小角を有する内歯側傾斜歯面6a’に設定した例である。
図7は、実施例3の嵌合構造において外歯を直線歯面とした場合に内歯の作用角に微小角を設定することが許容される嵌合構造の例を示し、図8は、実施例3の嵌合構造において外歯を直線歯面とした場合に内歯の作用角に微小角を設定することが許容されない嵌合構造の例を示す。以下、図7及び図8に基づき、実施例3の構成を説明する。
なお、「嵌合構造が適用された減速機構成」及び「創成歯切り加工による外歯構成」については、実施例1と同様であるので図示並びに説明を省略する。
実施例3の大径嵌合歯9及び直線歯面嵌合歯10は、外歯7の歯面接触線CLoutが半径線RLと一致しているのに対し、内歯6の歯面接触線Clinは半径線RLと一致していない。そして、内歯側傾斜歯面6a’の場合は、図7に示すように、歯面接触線Clinと半径線RLに微小角が設定され、内歯側傾斜歯面6a’は、その頂面側と外歯側直線歯面7aが接触し、底面側に向かって隙間が徐々に拡大するテーパー面とされている。一方、内歯側傾斜歯面7a”の場合は、図8に示すように、歯面接触線Clinと半径線RLに微小角が設定され、内歯側傾斜歯面6a”は、その底面側と外歯側直線歯面7aが接触し、頂面側に向かって隙間が徐々に拡大するテーパー面とされている。
したがって、内歯側傾斜歯面6a’の場合、図7に示すように、内歯6と外歯7の収縮・膨張により径方向隙間が変化するとき、歯面接触部での周方向相対隙間の変化が生じない。一方、内歯側傾斜歯面6a”の場合、図8に示すように、内歯6と外歯7の収縮・膨張により径方向隙間が変化するとき、歯面接触部を押し付けたり離したりするという周方向相対隙間の変化が生じる。
よって、外歯7の歯面を外歯側直線歯面7aとし、内歯6の歯面を作用角が微小角を有する内歯側傾斜歯面とした場合、図7に示す内歯側傾斜歯面6a’は許容するものの、図8に示す内歯側傾斜歯面6a”は許容しない。
次に、効果を説明する。
実施例3の嵌合構造にあっては、下記の効果が得られる。
(11b) 嵌合歯(大径嵌合歯9、直線歯面嵌合歯10)は、外歯7の歯面を、作用角が0度の放射平面による直線歯面(外歯側直線歯面7a)に設定し、内歯6の歯面を作用角が微小角を有する傾斜歯面(内歯側傾斜歯面6a’)に設定し、内歯6の歯面と外歯7の歯面は、内歯6の歯面の頂面側で接触する(図7)。
このため、上記(1)〜(9)の効果に加え、嵌合歯として外歯7の歯面だけを直線歯面(外歯側直線歯面7a)としながら、熱膨張率が異なる異種材料を使用したとき、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制することができる。
以上、本発明の嵌合構造を実施例1〜3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、嵌合歯として内歯6の歯面と外歯7の歯面の双方に、作用角が0度の放射平面による内歯側直線歯面6aと外歯側直線歯面7aを設定する例を示した。しかし、実施例2,3に示すように、嵌合歯として内歯6の歯面と外歯7の歯面の一方の歯面のみに、直線歯面を設定し、他方の歯面に微小角を設定する例であっても良い。
実施例1〜3では、内歯6と外歯7の嵌合を圧入とする例を示した。しかし、内歯と外歯の嵌合を、大きな圧入力を加えることなく、噛み合わせ嵌合による差し込み連結とする例であっても良い。
実施例1〜3では、内歯6と外歯7を全周にわたって噛み合わせた複数の嵌合歯を、大径接触部9aを有する大径嵌合歯9(18歯)と、直線歯面嵌合歯10(6歯)と、の組み合わせとする例を示した。
しかし、大径嵌合歯の必要数・位置については、直線歯面嵌合歯の残りの歯であれば、具体的な必要数及び位置については自由度を持ち、センタリングができれば良く、厳密な必要数及び位置までは問わない。
直線歯面嵌合歯の必要数・位置については、最低1歯でも可能であり、最大はセンタリングのために必要な大径嵌合歯(3歯)以外の全てでも可能である。但し、ピニオン3が3個(等間隔)の場合、直線歯面嵌合歯が等間隔に3箇所あるのは、位置が合ったときにラジアル方向隙間のために変形勝手になってしまい、あまり好ましくない。また、理論的には、全てを直線歯面嵌合歯にすることも可能である。その理由は、ピニオンの歯数が3の倍数でないとき、ピニオンを等間隔に配置できない。このようにピニオンが不等間隔配置になる場合には、直線歯面嵌合歯の歯面によってセンタリングとガタ抑制の両方を行うことが可能であることによる。
実施例1〜3では、外歯7に形成された歯面のうち、基礎円BCの位置から内径方向の所定位置までの歯面領域11に、外歯側直線歯面7aを設定する例を示した。しかし、外歯側直線歯面の設定範囲としては、この領域に限られるものではなく、外歯に形成された歯面のうち、内歯の歯面との間で歯面接触部となる何れかの領域に設定する例であっても良い。
実施例1〜3では、ホブカッター21を用いた創成歯切り加工により外歯7を製造する大量生産に適する例を示した。しかし、外歯の加工法については、カッターを用いた創成歯切り加工に限定されるものではなく、他の切削加工や塑性加工や精密鋳造等によるものであっても勿論良い。内歯の加工法についても同様である。
実施例1〜3では、本発明の嵌合構造を、遊星歯車を用いた電気自動車の減速機(ドライブトレイン)に適用する例を示した。しかし、本発明の嵌合構造は、ドライブトレインへの適用に限らず、異種材料(異膨張係数材料)の嵌合構造の全般に広く適用することができる。要するに、内歯が形成された第1部材と、外歯が形成された第2部材を、内歯と外歯を噛み合わせた嵌合歯により連結する嵌合構造であれば適用できる。
1 減速機ケース(第1部材)
2 サンギア
3 ピニオン
4 ピニオンキャリア
5 リングギア(第2部材)
6 内歯
6a 内歯側直線歯面(直線歯面)
6b 内歯頂面
6c 内歯底面
7 外歯
7a 外歯側直線歯面(直線歯面)
7b 外歯頂面
7c 外歯底面
9 大径嵌合歯(歯面嵌合歯)
9a 大径接触部
10 直線歯面嵌合歯(歯面嵌合歯)
11 歯面領域
21 ホブカッター
21a 曲線形状
21b 直線形状
O 遊星歯車の中心点
CLin 内歯6の歯面接触線
CLout 外歯7の歯面接触線
RL 半径線
t1 小径側隙間(径方向隙間)
t2 大径側隙間(径方向隙間)
BC 基礎円
PC 噛み合い中心円
TC 外歯7の歯頂円
PL 歯切りピッチ線

Claims (10)

  1. 内歯が形成された第1部材と、外歯が形成された第2部材を、前記内歯と前記外歯を噛み合わせた嵌合歯により連結する嵌合構造において、
    前記内歯と前記外歯の歯型形状全体の中で有するそれぞれの歯面接触線と半径線とのなす角度を作用角というとき、
    前記内歯の歯面と前記外歯の歯面のうち少なくとも一方の歯面に、前記作用角が0度の放射平面による直線歯面を形成し、
    前記内歯と前記外歯を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯のうち、少なくとも1歯に直線歯面嵌合歯を有し、
    前記直線歯面嵌合歯は、前記内歯と前記外歯の歯先と歯底の間に径方向隙間を有する嵌合歯構成であり、前記内歯の歯面と前記外歯の歯面作用角0度で周方向に歯面間を接触させる歯面構造とする
    ことを特徴とする嵌合構造。
  2. 請求項1に記載された嵌合構造において、
    前記内歯と前記外歯を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯のうち、前記直線歯面嵌合歯以外の嵌合歯を大径嵌合歯とし、
    前記大径嵌合歯は、前記内歯と前記外歯の歯先と歯底の間に径方向隙間の無い嵌合歯構成であり、前記内歯の歯面と前記外歯の歯面に周方向隙間を持たせた歯面構造とし、
    前記内歯と前記外歯を全周にわたって噛み合わせたときの複数の嵌合歯を、前記直線歯面嵌合歯と前記大径嵌合歯との組み合わせ嵌合歯とする
    ことを特徴とする嵌合構造。
  3. 請求項2に記載された嵌合構造において、
    前記大径嵌合歯は、前記内歯と前記外歯を全周にわたって噛み合わせたとき、前記内歯と前記外歯に周方向の歯面隙間を設ける
    ことを特徴とする嵌合構造。
  4. 請求項2又は請求項3に記載された嵌合構造において、
    前記大径嵌合歯は、円周上に配列される前記複数の嵌合歯のうち、三箇所以上の周方向等間隔位置に設定する
    ことを特徴とする嵌合構造。
  5. 請求項4に記載された嵌合構造において、
    前記大径嵌合歯は、円周上に配列される前記複数の嵌合歯のうち、前記直線歯面嵌合歯を除く全ての嵌合歯に設定する
    ことを特徴とする嵌合構造。
  6. 請求項1から請求項5までの何れか一項に記載された嵌合構造において、
    前記内歯と前記外歯による噛み合い中心円である転位歯車のピッチ円より外径側であり、かつ、前記外歯の歯頂円より内径側の大径位置に設定した円を基礎円というとき、
    前記外歯に形成された歯面うち、前記基礎円の位置から内径方向の所定位置までの歯面領域に、外歯側直線歯面を設定する
    ことを特徴とする嵌合構造。
  7. 請求項6に記載された嵌合構造において、
    前記外歯を創成歯切りにより加工する際に用いられるホブカッターのうち、歯切りピッチ線より内径側を加工するカッター部位を、サイクロイド曲線を有する曲線形状とする
    ことを特徴とする嵌合構造。
  8. 請求項7に記載された嵌合構造において、
    前記外歯を創成歯切りにより加工する際に用いられるホブカッターのうち、歯切りピッチ線より外径側を加工するカッター部位を、工具圧力角0度による直線形状とする
    ことを特徴とする嵌合構造。
  9. 請求項1から請求項8までの何れか一項に記載された嵌合構造において、
    前記嵌合歯は、前記内歯の歯面と前記外歯の歯面の双方を、前記作用角が0度の放射平面による直線歯面に設定する
    ことを特徴とする嵌合構造。
  10. 請求項1から請求項8までの何れか一項に記載された嵌合構造において、
    前記嵌合歯は、前記内歯の歯面と前記外歯の歯面の一方を、前記作用角が0度の放射平面による直線歯面に設定し、他方を前記作用角が微小角を有する傾斜歯面に設定し、前記一方の歯面と前記他方の歯面は、前記他方の歯面の頂面側で接触し、
    前記微小角は、前記内歯と前記外歯として熱膨張率が異なる異種材料を使用したとき、温度変化に伴う歯面接触部の周方向相対隙間の変化を抑制する角度に設定する
    ことを特徴とする嵌合構造。
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