以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)と記載される場合には、拡張物理下りリンク制御チャネル(EPDCCH:Enhanced PDCCH)も含むものとする。
LTE−Aシステムでは、半径数キロメートル程度の広範囲のカバレッジエリアを有するマクロセル内に、半径数十メートル程度の局所的なカバレッジエリアを有するスモールセルが形成されるHetNet(Heterogeneous Network)が検討されている。キャリアアグリゲーションおよびデュアルコネクティビティは、HetNet構成に適用する事が可能である。
図1Aは、キャリアアグリゲーションに係る無線基地局およびユーザ端末の通信を示している。図1Aに示す例において、無線基地局eNB1はマクロセルを形成する無線基地局(以下、マクロ基地局という)であり、無線基地局eNB2はスモールセルを形成する無線基地局(以下、スモール基地局という)である。たとえば、スモール基地局は、マクロ基地局に接続するRRH(Remote Radio Head)のような構成であってもよい。
キャリアアグリゲーションが適用される場合、1つのスケジューラ(たとえば、マクロ基地局eNB1の有するスケジューラ)が複数セルのスケジューリングを制御する。マクロ基地局eNB1の有するスケジューラが複数セルのスケジューリングを制御する構成では、たとえば光ファイバのような高速回線などの理想的バックホール(ideal backhaul)で各無線基地局間が接続されることが想定される。
図1Bは、デュアルコネクティビティに係る無線基地局およびユーザ端末の通信を示している。デュアルコネクティビティが適用される場合、複数のスケジューラが独立して設けられ、当該複数のスケジューラ(たとえば、無線基地局MeNBの有するスケジューラおよび無線基地局SeNBの有するスケジューラ)がそれぞれ管轄する1つ以上のセルのスケジューリングを制御する。無線基地局MeNBの有するスケジューラおよび無線基地局SeNBの有するスケジューラがそれぞれの管轄する1つ以上のセルのスケジューリングを制御する構成では、たとえばX2インタフェースなどの遅延の無視できない非理想的バックホール(non-ideal backhaul)で各無線基地局間が接続されることが想定される。
図1Bに示すように、デュアルコネクティビティでは、各無線基地局が、1つまたは複数のセルから構成されるセルグループ(CG:Cell Group)を設定する。各セルグループは、同一無線基地局が形成する1つ以上のセルまたは送信アンテナ装置、送信局などの同一送信ポイントが形成する1つ以上のセルから構成される。
PCellを含むセルグループはマスタセルグループ(MCG:Master Cell Group)と呼ばれ、マスタセルグループ以外のセルグループはセカンダリセルグループ(SCG:Secondary Cell Group)と呼ばれる。マスタセルグループおよびセカンダリセルグループを構成するセルの合計数は、所定値(たとえば、5セル)以下となるように設定される。
マスタセルグループが設定される無線基地局はマスタ基地局(MeNB:Master eNB)と呼ばれ、セカンダリセルグループが設定される無線基地局はセカンダリ基地局(SeNB:Secondary eNB)と呼ばれる。マスタセルグループおよびセカンダリセルグループを構成するセルの合計数は、所定値(たとえば、5セル)以下となるように設定される。
デュアルコネクティビティでは、無線基地局間はキャリアアグリゲーションと同等のタイトな協調は前提としない。そのため、ユーザ端末は、セルグループごとに下りリンクL1/L2制御(PDCCH/EPDCCH)、上りリンクL1/L2制御(PUCCH/PUSCHによるUCI(Uplink Control Information)フィードバック)を独立に行う。したがってセカンダリ基地局においても、共通サーチスペースやPUCCHなどのPCellと同等の機能を有するスペシャルSCellが必要となる。本明細書において、PCellと同等の機能を有するスペシャルSCellを、「PSCell(Primary Secondary Cell)」とも記す。
キャリアアグリゲーションでは、1つの無線基地局(たとえばマクロ基地局eNB1)が2つの無線基地局のスケジューリングを制御する(図2A参照)。すなわち、マクロ基地局eNB1は、2つの無線基地局eNB1,eNB2に対するユーザ端末の送信電力の合計が許容最大送信電力を超えない範囲で、送信電力を動的に調整する送信電力制御をすることができる(図2B参照)。
デュアルコネクティビティでは、マスタ基地局MeNB、セカンダリ基地局SeNBがそれぞれ独立にスケジューリングするので、マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBに対するユーザ端末の合計送信電力が許容最大送信電力を超えない範囲で、送信電力を動的に調整する送信電力制御をすることが困難である。ユーザ端末は、必要となる合計送信電力がユーザ端末の許容最大送信電力を超える場合、許容最大送信電力を超えない値になるまで、電力をスケールダウン(パワースケーリング)するか、一部または全部のチャネルまたは信号を欠落させる(ドロッピング)処理を行う。デュアルコネクティビティでは、マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、それぞれ対となる無線基地局(マスタ基地局MeNBにとってセカンダリ基地局SeNB、セカンダリ基地局SeNBにとってマスタ基地局MeNB)がどのような電力制御を行っているか把握できないため、このようなパワースケーリングやドロッピングが起こるタイミングや頻度を想定できないおそれがある。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBにとって、想定外のパワースケーリングやドロッピングが行われた場合、正しく上りリンク通信を行うことができなくなり、通信品質やスループットが著しく劣化するおそれがある。
さらに、デュアルコネクティビティは、無線基地局またはセルグループ間のサブフレームタイミングが非同期のシナリオにおいても設定できる可能性がある。非同期のデュアルコネクティビティでは、セルグループ間のサブフレーム送信タイミング差が任意の値を取り得る。かかる場合、たとえばあるセルグループでの送信と別のセルグループでの送信が、サブフレームの半分だけオーバーラップすることも有り得る。この場合、2つのセルグループに対する送信がオーバーラップする半サブフレーム区間のみ許容最大送信電力を超えるおそれが生じ、その部分のみ、パワースケーリングやドロッピングを行う可能性もある。
パワースケーリングやドロッピングがサブフレーム全体にわたって行われる場合、無線基地局は送信されたサブフレームを受信し、そのサブフレームに含まれる参照信号によってチャネル推定を行うことでサブフレームの受信電力または振幅を推定できるから、そのサブフレームに含まれる一部または全部の信号またはチャネルを正しく復調できる可能性がある。しかしながら、パワースケーリングやドロッピングがサブフレームの一部分のみ行われた場合、参照信号とデータとで受信電力または振幅が異なる可能性がある。かかる場合、無線基地局は参照信号を用いても、サブフレームの中でどのようにパワースケーリングやドロッピングが行われたか把握できないため、受信したサブフレームからその一部または全部の信号を正しく復調できる可能性がより小さくなるおそれがある。このように、デュアルコネクティビティでは各々の無線基地局で独立に送信電力を制御するため、ユーザ端末の送信電力の合計が許容最大送信電力を超えないように送信電力制御を行うことが困難である。
そこで、デュアルコネクティビティでは、無線基地局またはセルグループごとの「保証送信電力(minimum guaranteed power)」という概念が導入される。xCG(MCGまたはSCG)の保証送信電力をPxeNB(PMeNBまたはPSeNB)とすると、無線基地局xeNB(MeNBまたはSeNB)は、ユーザ端末に対し、保証送信電力PMeNBとPSeNBの両方、またはいずれか一方をRRCなど上位レイヤシグナリングにより通知する。ユーザ端末は、無線基地局xeNBから送信要求があった場合、すなわち上りリンクグラントまたはRRCによりPUSCHまたはPUCCHの送信がトリガされた場合に、xCGへの送信電力を計算し、必要とされる送信電力(要求電力)が保証送信電力PxeNB以下であれば、当該要求電力をxCGの送信電力として確定する。
無線基地局xeNBの要求電力が保証送信電力PxeNBを超える場合には、ユーザ端末は、条件次第で送信電力が保証送信電力PxeNB以下となるように制御することがある。具体的には、ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループの合計要求電力がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えるおそれがある場合には、保証送信電力PxeNBを超える電力が要求されたセルグループに対し、パワースケーリング(Power-scaling)やチャネルまたは信号のドロッピングを行う。その結果、送信電力が保証送信電力PxeNB以下となったら、それ以上のパワースケーリングやチャネルまたは信号のドロッピングは行わない。
図3Aに示すように、同期デュアルコネクティビティで、マスタ基地局およびセカンダリ基地局から同じタイミングで要求された要求電力の合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超える場合には、ユーザ端末は、セルグループあたりの送信電力が保証送信電力PxeNBを超えるセルグループに対してパワースケーリングまたはドロッピングを行い、ユーザ端末あたりの送信電力の合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えないよう制御する(条件1)。
図3Bに示すように、非同期デュアルコネクティビティで部分重複区間の要求電力がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えないことをユーザ端末が把握できない場合には、ユーザ端末は各セルグループの送信電力がそれぞれ保証送信電力PxeNB以下となるように割り当てる(条件2)。
ユーザ端末の動作について、より具体的に説明する。ユーザ端末は、初めに、上りリンク送信を行うCCごとに、そのCCで必要とされる送信電力(CCごとの要求電力)とCCごとの許容最大送信電力PCMAX,cを求め、比較する。ユーザ端末は、当該CCの要求電力がPCMAX,cを超えている場合、パワースケーリングやチャネルまたは信号のドロッピングを行い、当該CCの送信電力をPCMAX,c以下とする。
また、ユーザ端末は、ユーザ端末あたりの許容最大送信電力PCMAXを求める。得られたCCごとの送信電力をセルグループごとに加算し、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループそれぞれにおいて、CCごとの送信電力の総和が、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを超えていないか確認する。ユーザ端末は、任意のセルグループ(xCGとする)のCCごとの送信電力の総和が該当する保証送信電力(PxeNBとする)を超えない場合、その送信電力を当該セルグループの送信電力として確定する。一方、ユーザ端末は、任意のセルグループ(xCGとする)のCCごとの送信電力の総和が該当するセルグループの保証送信電力(PxeNBとする)を超える場合、前記の条件により、所定のルールでパワースケーリングまたはドロッピングを適用する。なお、パワースケーリングまたはドロッピングによって当該セルグループに属するCCの送信電力の総和が該当するセルグループの保証送信電力(PxeNBとする)を下回った場合、それ以上のパワースケーリングまたはドロッピングは行わなくてもよい。
保証送信電力PxeNBは、無線基地局またはセルグループごとに定義されるパラメータであり、無線基地局がユーザ端末に対し、RRCなどの上位レイヤシグナリングで設定する。マスタ無線基地局MeNBとセカンダリ無線基地局SeNBは、それぞれ少なくとも自身のセルグループの保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを把握するものとする。これらのパラメータは、各セルグループを制御するそれぞれの無線基地局が自身で決定してもよいし、マスタ無線基地局MeNBが両方のセルグループに対する保証送信電力を一括して決定し、セカンダリ無線基地局SeNBに対してバックホールシグナリングにより通知してもよい。また、保証送信電力を決定するにあたり、無線基地局は、ユーザ端末のCCごとの許容最大送信電力や、同時送信するCCの組み合わせごとの許容最大送信電力、そして送信電力制御に用いる各種パラメータ、などの情報を交換してもよい。さらに、無線基地局は、自身の保証送信電力だけでなく、互いの保証送信電力をバックホールシグナリングにより交換してもよい。
保証送信電力PxeNBの設定は、無線基地局にとって、ユーザ端末に対する自セルグループの要求電力が保証送信電力PxeNBを超えない限り、ユーザ端末が要求電力を確実に割り当てるという利点がある。このため、デュアルコネクティビティでは各々の無線基地局で独立に送信電力を制御するが、保証送信電力PxeNBを適切に設定することにより、少なくともユーザ端末に対して制御信号や音声信号、モビリティ等に関する制御情報など、接続維持や品質保持が不可欠な情報や信号に対して、必要な電力を保証することができる。
無線基地局が、ユーザ端末のCCごとの許容最大送信電力や、同時送信するCCの組み合わせごとの許容最大送信電力、そして送信電力制御に用いる各種パラメータ、などの情報を交換した場合、互いに対となる無線基地局でどのような送信電力制御を行うかを推定できる。たとえば、ユーザ端末のCCごとの許容最大送信電力を認識した場合、対となる無線基地局に対してユーザ端末が送信し得る最大の送信電力を推定することができる。
無線基地局が、自身の保証送信電力だけでなく、互いの保証送信電力を交換した場合、相手の保証送信電力を考慮したスケジューリングを行うことが可能となる。このように、無線基地局MeNBとSeNBは、自身の保証送信電力PxeNBに加え、ユーザ端末の送信電力制御に関連する各種パラメータを情報交換することで、より適切に電力割り当てを行うことができるようになる。
同期デュアルコネクティビティは、ユーザ端末のサブフレーム送信タイミング差が最大でも数十μs程度となる可能性がある。したがって、ユーザ端末は、CCごとの送信電力をセルグループごとに加算し、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループそれぞれにおいて、CCごとの送信電力の総和が、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを超えていないかどうか、ということと、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えていないかどうか、ということを、同時に確認できる。
ユーザ端末は、同期デュアルコネクティビティでは、前記のように全CCの送信電力の総和がPCMAXを超えるかどうかをチェックし、マスタ基地局およびセカンダリ基地局から同じタイミングで要求された両セルグループの要求電力の合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えない場合には、パワースケーリングやドロッピングを行わず、当該要求電力を送信電力として割り当てる。一方、マスタ基地局およびセカンダリ基地局から同じタイミングで要求された両セルグループの要求電力の合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超える場合には、パワースケーリングやドロッピングを行って、送信電力が許容最大送信電力PCMAX以下となるよう制御する。なお、パワースケーリングやドロッピングを行うのは、保証電力を超過する送信電力を要求されるセルグループに限定する。
図4Aに示す例では、マスタ基地局から保証送信電力PMeNBを超える電力が要求され、セカンダリ基地局から保証送信電力PSeNB以下の電力が要求されている。ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループそれぞれにおいて、CCごとの送信電力の総和が、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを超えていないかどうか、ということと、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えていないかどうか、ということを確認する。図4Aに示す例では、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループの合計要求電力がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えないため、ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループの要求電力を送信電力として割り当てる。
図4Bに示す例では、マスタ基地局から保証送信電力PMeNB以下の電力が要求され、セカンダリ基地局から保証送信電力PSeNBを超える電力が要求されている。ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループそれぞれにおいて、CCごとの送信電力の総和が、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを超えていないかどうか、ということと、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えていないかどうか、ということを確認する。図4Bに示す例では、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループの合計要求電力がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えないため、ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループの要求電力を送信電力として割り当てる。
図5Aに示す例では、マスタ基地局から保証送信電力PMeNB以下の電力が要求され、セカンダリ基地局から保証送信電力PSeNBを超える電力が要求されている。ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループそれぞれにおいて、CCごとの送信電力の総和が、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを超えていないかどうか、ということと、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えていないかどうか、ということを確認する。この場合、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えるため、ユーザ端末は、パワースケーリングまたはドロッピングを適用する。具体的には、マスタセルグループのCCごとの送信電力の総和が保証送信電力PMeNBを超えないが、セカンダリセルグループのCCごとの送信電力の総和が保証送信電力PSeNBを超えることから、ユーザ端末は、マスタセルグループに対しては当該要求電力を送信電力として割り当て、残りの電力(許容最大送信電力PCMAXからマスタセルグループの送信電力を減算して得られる余剰電力)をセカンダリセルグループに割り当てる。ユーザ端末は、セカンダリセルグループに対しては、前記残りの電力を許容最大送信電力とみなし、セカンダリセルグループに対して、パワースケーリングまたはドロッピングを適用する。
前記パワースケーリングやドロッピングのルールとしては、Rel.10/11で規定されたルールを適用することもできる。Rel.10/11では、CAにおいて複数のCCで同時送信がある場合、全CCの要求送信電力がユーザ端末あたりの許容最大送信電力PCMAXを超えた場合のパワースケーリングやドロッピングのルールが規定されている。前記残りの電力(許容最大送信電力PCMAXからマスタセルグループの送信電力を減算して得られる余剰電力)を許容最大送信電力とみなし、当該セルグループで要求された送信電力を要求送信電力とみなせば、当該セルグループに対してRel.10/11で規定されたルールでパワースケーリングやドロッピングを行うことができる。これらは既に規定された仕組みで実現できるため、ユーザ端末は、送信電力制御およびパワースケーリングやドロッピングのルールとして新しい仕組みを導入することなく、既存の仕組みの流用によって容易に実現することができる。
図5Bに示す例では、マスタ基地局から保証送信電力PMeNBを超える電力が要求され、セカンダリ基地局からも保証送信電力PSeNBを超える電力が要求されている。ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループそれぞれにおいて、CCごとの送信電力の総和が、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBを超えていないかどうか、ということと、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えていないかどうか、ということを確認する。この場合、両セルグループにおける全CCの送信電力の総和が、許容最大送信電力PCMAXを超えるため、ユーザ端末は、パワースケーリングまたはドロッピングを適用する。具体的には、マスタセルグループのCCごとの送信電力の総和が保証送信電力PMeNBを、セカンダリセルグループのCCごとの送信電力の総和が保証送信電力PSeNBを超えることから、ユーザ端末は、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループに対して、パワースケーリングまたはドロッピングを適用し、それぞれのセルグループの送信電力が保証送信電力PMeNBおよび保証送信電力PSeNB以下となるよう制御する。この場合も、両セルグループに対するパワースケーリングやドロッピングのルールとして、Rel.10/11で規定されたルールを適用できる。ユーザ端末は、保証送信電力PMeNBおよびPSeNBをそれぞれのセルグループの許容最大送信電力とみなし、それぞれのセルグループにおける要求電力を計算して、セルグループごとに、Rel.10/11で規定されたルールに基づいてパワースケーリングやドロッピングを適用して、それぞれのセルグループにおける送信電力が保証送信電力PMeNBまたはPSeNB以下となるように制御すればよい。
非同期デュアルコネクティビティでは、ユーザ端末が、先行タイミングのセルグループに対する上りリンク送信開始時点で、後行タイミングのセルグループに対する上りリンク送信で要求される要求電力を認識できない場合がある。この場合、ユーザ端末は、保証送信電力PxeNBを無線基地局またはセルグループあたりの最大送信電力とみなして送信電力制御を行う。保証送信電力は、セルグループ間で排他的、すなわちPMeNB+PSeNB≦PCMAXとなるよう設定される。したがって、ユーザ端末がセルグループ間に適切に電力を割り振ることが困難な非同期デュアルコネクティビティであっても、保証送信電力PxeNB分をそれぞれのセルグループあたりの許容最大送信電力とすることにより、送信タイミングの異なるセルグループ間で互いの送信電力に影響することなく、適切に電力制御を行うことができる。
図5Cに示す例では、ユーザ端末は、先行タイミングにおいて後行タイミングの要求電力を認識できない。先行タイミングではセカンダリ基地局からは保証送信電力PSeNBを超える電力が要求され、後行タイミングではマスタ基地局からは保証送信電力PMeNB以下の電力が要求されている。この場合、ユーザ端末は、マスタセルグループの要求電力を保証して、当該要求電力を送信電力として割り当てる。ユーザ端末は、保証送信電力PSeNBを最大送信電力としてスケーリングした電力をセカンダリ基地局の送信電力として割り当てる。
ユーザ端末は、同期、非同期、無線基地局または他セルグループの別に関わらず、保証送信電力PxeNB以下の要求電力について電力割り当てを保証する。要求電力が保証送信電力PxeNBを超える場合は、ユーザ端末が割り当て可能と判断できる場合のみ当該要求電力を送信電力として割り当てる。
なお、非同期デュアルコネクティビティであっても、ユーザ端末が保証送信電力PxeNBを超える電力を割り当て可能と判断できる場合もある。このような例としては、いずれか一方のセルグループのみDRX状態に遷移している場合、少なくともいずれか一方のセルグループがTDDである場合、などが挙げられる。一方のセルグループがDRX状態に遷移している場合、そのセルグループにおいて、上りリンクのデータ送信が発生することはない。また、一方のセルグループがTDDである場合、下り通信用の時間区間(たとえばDLサブフレームやSpecialサブフレーム)では、当該セルで上りリンクの送信が発生することはない。
ユーザ端末は、このように上りリンクの送信が発生しないタイミングをあらかじめ認識している場合、非同期デュアルコネクティビティであっても、保証送信電力を超える電力を割り当て可能とできる。また、このような場合、ユーザ端末は、同期デュアルコネクティビティと同様、任意のタイミングにおいて全CCの送信電力の総和がPCMAXを超えるかどうかをチェックし、マスタ基地局およびセカンダリ基地局から同じタイミングで要求された両セルグループの要求電力の合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えない場合には、パワースケーリングやドロッピングを行わず、当該要求電力を送信電力として割り当てることが可能である。
保証送信電力は、PMeNBとPSeNBとの合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXよりも小さな値になるように設定されてもよい。この場合には、いずれの無線基地局にとっても電力割り当てが保証されない非保証電力領域が生じる。非保証電力領域は、各無線基地局に電力が保証されるのではなく、保証電力領域とは異なるプライオリティに従って電力が割り当てられる。たとえば、各無線基地局にそれぞれの保証電力を分配した残りの非保証電力を、各無線基地局のチャネルや信号の優先度に従って配分してもよい。チャネルや信号の優先度は、たとえばMCGのPUCCH>SCGのPUCCH>MCGのPUSCH>SCGのPUSCHとすることができる。チャネルや信号の優先度は、たとえば、MCGのSR>SCGのSR>MCGのHARQ−ACK>SCGのHARQ−ACK>MCGのデータ>SCGのデータ>MCGのCQI>SCGのCQIとしてもよい。ただしチャネルや信号の優先度はこれに限られない。
図6に示す例では、保証送信電力PMeNBとPSeNBとの合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXよりも小さな値になるように設定されているため、非保証電力領域が生じている。マスタ基地局からは保証送信電力PMeNBを超える電力が要求され、セカンダリ基地局からは保証送信電力PSeNBを超える電力が要求されている。この場合、ユーザ端末は、各無線基地局のチャネルや信号の種別に応じて、送信電力をスケーリングするかまたは信号をドロップして、非保証電力を各無線基地局に送信電力として割り当てる。
デュアルコネクティビティでは、無線基地局またはセルグループ内でキャリアアグリゲーションすることが可能である。キャリアアグリゲーションでは、CCの設定または解除(configure/removal)をRRCシグナリングで指示する。さらに、MACシグナリングでCCのアクティブ化または非アクティブ化(activate/de-activate)を指示する。無線基地局は、ユーザ端末に対し、MACレイヤにおける非アクティブ化タイマ(De-activation time)を設定することでも非アクティブ化を指示することができる。ユーザ端末に対するトラフィックに応じて、CCのアクティブ化または非アクティブ化をMACレイヤによる動的な指示で実現することにより、ユーザ端末の消費電力を低減することが可能となる。ただし、PCellおよびスペシャルSCell(PSCell)は常にアクティブ状態とする。
図7Aでは、全セル(セルC1からC5)がアクティブ状態となる例を示している。図7Bでは、マスタセルグループ(MCG)のSCell(セルC2)と、セカンダリセルグループ(SCG)のSCellの1つ(セルC4)が非アクティブ状態となる例を示している。同時送信するCC数が多いほど、必要な送信電力が増加することを考慮すれば、アクティブ状態のセル数に応じて、無線基地局が保証したいセルグループあたりの送信電力が異なる可能性がある。この場合、MACレイヤによるアクティブ制御と同じ頻度で保証送信電力PxeNBを設定するRRCシグナリングを行うと、オーバヘッドと遅延が大きくなり、スループットが低下する。
これに対して、本発明者らは、デュアルコネクティビティにおける保証電力設定時のユーザ端末動作について、無線基地局が、セル(CC)ごとの保証送信電力PxeNBを設定してユーザ端末に通知する構成を見出した。この方法によれば、アクティブ状態のセル数に応じて適切な保証送信電力を設定できる。
以下、無線基地局が、セル(CC)ごとの保証送信電力PxeNBを設定してユーザ端末に通知する構成について、詳細に説明する。
(第1の態様)
第1の態様では、無線基地局が、ユーザ端末に、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングにより各セル(CC)の保証送信電力PxeNB(PxeNB,c)の値を通知する構成について説明する。ユーザ端末は、アクティブ状態のセルとセル数に応じて保証送信電力PxeNBを求める。
無線基地局とユーザ端末とで、図8に示すようなセル(CC)ごとの保証送信電力PxeNB(PxeNB,c)の値が規定された共通のテーブルを保持する。図8に示すテーブルは、マスタセルグループおよびセカンダリセルグループが5つのセル(CC)で構成される場合を示している。ユーザ端末は、このテーブルに基づいてアクティブ状態のセルとセル数に応じて保証送信電力PxeNBを求めることができる。図8に示すテーブルには、「セルグループ/無線基地局」、「CCインデックス」、「保証送信電力PMeNB,c」および「保証送信電力PSeNB,c」の値が規定されている。
図8に示すテーブルによれば、マスタセルグループ(MCG)に属するセル1(PCell)に対して保証送信電力PMeNB,1=M1[dBm]が設定され、マスタセルグループ(MCG)に属するセル2(SCell)に対して保証送信電力PMeNB,2=M2[dBm]が設定されている。セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3(PSCell)に対して保証送信電力PSeNB,3=S3[dBm]が設定され、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル4(SCell)に対して保証送信電力PSeNB,4=S4[dBm]が設定され、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル5(SCell)に対して保証送信電力PSeNB,5=S5[dBm]が設定されている。
図8に示すテーブルにおいて、すべてのセルに対する保証送信電力PxeNB,cを合計すると、ユーザ端末の許容最大送信電力PCMAX以下となる。すなわち、ユーザ端末の許容最大送信電力PCMAX≦M1+M2+S3+S4+S5[dBm]が成り立つ。
たとえば、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3とセル5がアクティブ状態である場合、図8に示すテーブルを参照すると、セル3の保証送信電力PSeNB,3=S3[dBm]、セル5の保証送信電力PSeNB,5=S5[dBm]である。したがって、セカンダリセルグループの保証送信電力PSeNBは、
PSeNB=10log10{10(S3/10)+10(S5/10)}[dBm]
と求まる。
保証送信電力PxeNB,cの値は絶対値ではなく、ユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXやPCMAX_HまたはPCMAX_Lに対する比率[%]であってもよい。許容最大送信電力PCMAXはユーザ端末が選択する値であり、サブフレーム間でPCMAX_H以下、PCMAX_L以上となるように一定の変動が許容されている。ユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXに対する比率[%]として定義した場合、保証送信電力PxeNB,cの和が100[%]となるよう設定することで、ユーザ端末の許容最大送信電力PCMAX値選択結果に関わらず、ユーザ端末が利用可能な送信電力すべてを保証電力として各CCに割り当てることができるので、無駄のない電力制御が可能となる。一方、PCMAX_Hは無線基地局がユーザ端末に設定する準静的なパラメータであることから、PCMAX_Hに対する比率[%]として定義した場合、保証送信電力PxeNB,cに対し、無線基地局の把握できない変動が発生することがなくなる。したがって、安定した送信電力制御が可能となる。また、PCMAX_Lはユーザ端末が設定し得る許容最大送信電力PCMAXの値の最悪値(最小値)となる。したがって、PCMAX_Lに対する比率[%]として定義した場合、保証送信電力PxeNB,cの値を、ユーザ端末の実装に関わらず任意のタイミングでユーザ端末が送信できなければならない値(Minimum requirement)として設定できる。
図9を参照して、ユーザ端末がアクティブ状態のセル数に応じて保証電力を設定する方法について説明する。図9Aに示す状態では、マスタセルグループ(MCG)ではPCell(セルC1)のみアクティブで、セカンダリセルグループ(SCG)ではスペシャルSCell(セルC3)のみアクティブである。ユーザ端末は、図8に示すテーブルに基づいて、マスタセルグループの保証送信電力PMeNBおよびセカンダリセルグループの保証送信電力PSeNBを求める。このとき、保証送信電力PMeNBと保証送信電力PSeNBとの合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えないため、非保証電力が生じる。
図9Bに示す状態は、図9Aに示す状態からマスタセルグループ(MCG)におけるSCell(セルC2)を追加でアクティブとしている。ユーザ端末は、図8に示すテーブルに基づいて、マスタセルグループの保証送信電力PMeNBを再度求める。アクティブ状態のセルが増え、保証電力が大きくなったため、図9Aに示す状態と比較して非保証電力は少なくなる。
図9Cに示す状態は、図9Bに示す状態からセカンダリセルグループ(SCG)におけるSCell2つ(セルC4およびC5)を追加でアクティブとしている。すなわち、図9Cに示す状態では、全セルがアクティブ状態である。ユーザ端末は、図8に示すテーブルに基づいて、セカンダリセルグループの保証送信電力PSeNBを再度求める。この例では、保証送信電力PMeNBと保証送信電力PSeNBとの合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXと等しくなるため、非保証電力はなくなる。
無線基地局がセル(CC)ごとの保証送信電力PxeNB(PxeNB,c)を設定し、ユーザ端末に通知することにより、ユーザ端末はアクティブ状態のセル数に応じて適切に保証電力を設定できる。アクティブ状態のセルが少ない場合には大きな電力を保証しなくてもよくなるため、非保証電力を作り出すことができる。非保証電力は、特定のまたはすべての基地局が利用できる電力である。ただし、非保証電力は、いずれの基地局からも保証されない電力であるため、状況に応じてユーザ端末が電力を割り当てない可能性もある。
アクティブ状態のセルが多くなったときに保証電力を大きくすることにより、大きな送信電力が必要となるセルグループに対し、より大きな保証電力を確保することができる。また、アクティブ化・非アクティブ化に応じてRRCシグナリングで保証電力を設定しなおす必要がないため、RRCシグナリングの頻度を減らすことができ、オーバヘッドを削減することが可能となる。また、遅延の少ないMACシグナリングで保証送信電力PxeNBを変更できるため、遅延特性を改善することが可能となる。
マスタ基地局とセカンダリ基地局は、図8に例示したテーブルを共通で保持していてもよいし、マスタ基地局はマスタセルグループ(MCG)に関連する行のみ、セカンダリ基地局はセカンダリセルグループ(SCG)に関連する行のみを保持していてもよい。共通で保持する場合、双方のセルグループで保証される電力を考慮しながらスケジューリングを行うことができ、効率的な電力割り当てが期待できる。それぞれのセルグループの関連する行のみ保持する場合、テーブルのすべての要素をシグナリングする必要がなくなるため、オーバヘッドの削減が期待できる。
テーブルには、設定(configure)されたすべてのCCの保証送信電力を保持しなくてもよい。図8において、たとえばCC index #5のSCellで保証電力を設定しない場合、CC index #5のSCellに対する行がないテーブルを保持すればよい。保証送信電力が設定されない場合、ユーザ端末は、保証送信電力=0と認識する。このように、保証送信電力=0のCCについてはテーブルを設定しないことにより、シグナリングオーバヘッドの削減および無線基地局またはユーザ端末に必要なメモリ量を削減できる。
(第2の態様)
第1の態様で示したように、セルごとに保証送信電力PxeNBを設定した場合、セルグループ内に設定されたセル数に対してアクティブ状態のセル数が少ないと非保証電力が生じる。これに対して、アクティブ状態のセル数によらず、できるだけ多くの電力を保証電力として利用したいというニーズがある。そこで、第2の態様では、アクティブ状態のセルの組み合わせごとに保証送信電力PxeNBを設定する構成について説明する。
無線基地局とユーザ端末とで、図10に示すようなセルまたはセルの組み合わせごとの保証送信電力PxeNB(PxeNB,c)の値が規定された共通のテーブルを保持する。図10に示すテーブルによれば、マスタセルグループ(MCG)に属するセル1(PCell)に対して保証送信電力PMeNB,1=M1[dBm]が設定され、マスタセルグループ(MCG)に属するセル1と2との組み合わせ(セル1+2)に対して保証送信電力PMeNB,1+2=M2[dBm]が設定されている。セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3(PSCell)に対して保証送信電力PSeNB,3=S3[dBm]が設定され、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3と4との組み合わせ(セル3+4)に対して保証送信電力PSeNB,3+4=S4[dBm]が設定され、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3と5との組み合わせ(セル3+5)に対して保証送信電力PSeNB,3+5=S5[dBm]が設定され、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3と4と5との組み合わせ(セル3+4+5)に対して保証送信電力PSeNB,3+4+5=S6[dBm]が設定されている。
マスタセルグループ(MCG)に属するセル1(PCell)と、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3(PSCell)は常にアクティブ状態であり、非アクティブ状態となることはない。
たとえば、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル3とセル5がアクティブ状態の場合、図10に示すテーブルを参照すると、セカンダリセルグループの保証送信電力PSeNB,3+5=S5[dBm]と求まる。
保証送信電力PxeNB,cの値は絶対値ではなく、第1の態様と同様に、ユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXやPCMAX_HまたはPCMAX_Lに対する比率[%]であってもよい。
図11を参照して、ユーザ端末がアクティブ状態のセル数に応じて保証電力を設定する方法について説明する。図11Aに示す状態では、マスタセルグループ(MCG)ではPCell(セルC1)のみアクティブで、セカンダリセルグループ(SCG)ではスペシャルSCell(セルC3)のみアクティブである。ユーザ端末は、図10に示すテーブルに基づいて、マスタセルグループの保証送信電力PMeNBおよびセカンダリセルグループの保証送信電力PSeNBを求める。図10に示すテーブルによれば、マスタセルグループの保証送信電力PMeNB=PMeNB,1=M1[dBm]であり、セカンダリセルグループの保証送信電力PSeNB=PSeNB,3=S3[dBm]である。このとき、保証送信電力PMeNBと保証送信電力PSeNBとの合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXを超えないため、非保証電力が生じる。
図11Bに示す状態は、図11Aに示す状態からマスタセルグループ(MCG)におけるSCell(セルC2)を追加でアクティブとしている。ユーザ端末は、図10に示すテーブルに基づいて、マスタセルグループの保証送信電力PMeNBを再度求める。図10に示すテーブルによれば、マスタセルグループの保証送信電力PMeNB=PMeNB,1+2=M2[dBm]である。
図11Cに示す状態は、図11Bに示す状態からセカンダリセルグループ(SCG)におけるSCell2つ(セルC4およびC5)を追加でアクティブとしている。すなわち、図11Cに示す状態では、全セルがアクティブ状態である。ユーザ端末は、図10に示すテーブルに基づいて、セカンダリセルグループの保証送信電力PSeNBを再度求める。図10に示すテーブルによれば、セカンダリセルグループの保証送信電力PSeNB=PSeNB,3+4+5=S6[dBm]である。この例では、保証送信電力PMeNBと保証送信電力PSeNBとの合計がユーザ端末の許容最大送信電力PCMAXと等しくなるため、非保証電力はなくなる。
第2の態様よれば、第1の態様におけるテーブルを用いた場合と比較して、非保証電力を減らすことができる(図9、図11参照)。したがって、アクティブ状態のセル数が少ないときでも、無線基地局またはセルグループに大きな保証電力を割り当てることができる。
第2の態様によれば、アクティブ状態のセルの組み合わせによらず固定となるPMeNB/PSeNBの値を設定することにより、アクティブ状態のセル数によらず常に一定のPMeNB/PSeNBとすることも可能である。これにより、より柔軟な保証電力割り当て運用が可能となる。
マスタ基地局とセカンダリ基地局は、図10に例示したテーブルを共通で保持していてもよいし、マスタ基地局はマスタセルグループ(MCG)に関連する行のみ、セカンダリ基地局はセカンダリセルグループ(SCG)に関連する行のみを保持していてもよい。共通で保持する場合、双方のセルグループで保証される電力を考慮しながらスケジューリングを行うことができ、効率的な電力割り当てが期待できる。それぞれのセルグループの関連する行のみ保持する場合、テーブルのすべての要素をシグナリングする必要がなくなるため、オーバヘッドの削減が期待できる。
テーブルには、設定(configure)されたすべてのCCの保証送信電力を保持しなくてもよい。図10において、たとえばCC index #5のSCellで保証送信電力を設定しない場合、CC index #3+#5とCC index #3+#4+#5に対する行がないテーブルを保持すればよい。保証送信電力が設定されない場合、ユーザ端末は、保証送信電力=0と認識する。このように、保証送信電力=0のCCについてはテーブルを設定しないことにより、シグナリングオーバヘッドの削減および基地局またはユーザ端末に必要なメモリ量を削減できる。
(第3の態様)
第3の態様では、ユーザ端末が、SCellのアクティブ化または非アクティブ化に伴って、無線基地局に対してPHR(Power HeadRoom)を報告する構成について説明する。
図12Aに示す状態では、マスタセルグループ(MCG)ではPCell(セルC1)およびSCell(セルC2)がアクティブで、セカンダリセルグループ(SCG)ではスペシャルSCell(セルC3)のみアクティブである。このとき、マスタ基地局から見れば、保証送信電力PMeNBを超える領域には非保証電力領域が存在している。
図12Bに示す状態では、マスタセルグループ(MCG)ではPCell(セルC1)およびSCell(セルC2)がアクティブで、セカンダリセルグループ(SCG)ではスペシャルSCell(セルC3)およびSCell(セルC4およびC5)がアクティブである。このとき、マスタ基地局から見れば、保証送信電力PMeNBを超える領域にはセカンダリ基地局の保証送信電力PSeNBの領域が存在している。
図12Aに示す状態から、セカンダリ基地局がSCellをアクティブ化すると図12Bに示す状態となる。図12Bに示す状態から、セカンダリ基地局がSCellを非アクティブ化すると図12Aに示す状態となる。マスタ基地局から見て、保証送信電力PMeNBを超える領域にセカンダリ基地局の保証送信電力PSeNBの領域が存在しているか、非保証電力領域が存在しているかは、セカンダリセルグループのSCellのアクティブまたは非アクティブ状態により異なる。
ある無線基地局またはセルグループがセルのアクティブ化または非アクティブ化を行ったことを、デュアルコネクティビティに係る他の無線基地局またはセルグループが把握する必要がある。図12に示す例によると、保証送信電力PMeNBを超える領域にセカンダリ基地局の保証送信電力PSeNBの領域が存在しているか、非保証電力領域が存在しているかによってユーザ端末の電力割り当て優先動作が異なるため、マスタ基地局がいずれの領域が存在しているかを把握することができないと、保証送信電力PMeNBを超える電力の適切な割り当てが困難となる。
しかし、セルのアクティブ化または非アクティブ化はMACシグナリングで指示するため、無線基地局間で動的に情報交換することができない。
そこで、ユーザ端末は、SCellがアクティブ化または非アクティブ化された際に、すべての無線基地局に対してPHR(Power HeadRoom)を報告する。PHRにはどのセルがアクティブ状態かを示すフラグビットがあるため、各無線基地局はどのセルがアクティブ状態かを把握できる。セルのアクティブ化は無線基地局からのMACシグナリングによるアクティブ化指示でトリガされる。セルの非アクティブ化は非アクティブ化タイマ(De-activation time)の満了または無線基地局からのMACシグナリングよる非アクティブ化指示でトリガされる。
図13を参照して、ユーザ端末がSCellのアクティブ化または非アクティブ化の際に、無線基地局に対してPHRを報告する方法について説明する。まず、ユーザ端末に対して、マスタセルグループに属するPCell(#1)とセカンダリセルグループに属するPSCell(#3)とがアクティブ状態であるとする。
その後、マスタ基地局MeNBが、SCell(#2)をアクティブ化する。ユーザ端末は、マスタ基地局MeNBとセカンダリ基地局SeNBにPHRを報告する。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、互いの保証送信電力PMeNB、PSeNBを把握するとともに、非保証電力がどれくらいあるのかを把握して、それぞれ独立に送信電力を制御する。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、PCell(#1)およびPSCell(#3)がアクティブ状態だった前段階と比べて、非保証電力が減ったことを把握する。
その後、マスタ基地局MeNBが、SCell(#2)を非アクティブ化する。ユーザ端末は、マスタ基地局MeNBとセカンダリ基地局SeNBにPHRを報告する。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、互いの保証送信電力PMeNB、PSeNBを把握するとともに、非保証電力がどれくらいあるのかを把握して、それぞれ独立に送信電力を制御する。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、PCell(#1)、SCell(#2)およびPSCell(#3)がアクティブだった前段階と比べて、非保証電力が増えたことを把握する。
その後、セカンダリ基地局SeNBが、SCell(#4,#5)をアクティブ化する。ユーザ端末は、マスタ基地局MeNBとセカンダリ基地局SeNBにPHRを報告する。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、互いの保証送信電力PMeNB、PSeNBを把握するとともに、非保証電力がどれくらいあるのかを把握して、それぞれ独立に送信電力を制御する。マスタ基地局MeNBおよびセカンダリ基地局SeNBは、PCell(#1)およびPSCell(#3)がアクティブだった前段階と比べて、非保証電力が減ったことを把握する。
このように、ユーザ端末がSCellのアクティブ化または非アクティブ化に伴って、無線基地局に対してPHRを報告することにより、電力を有効活用するようにアクティブ・非アクティブ制御をすることが可能となる。
また、無線基地局が他の無線基地局のアクティブ状態を適切かつ低遅延に把握し、トラフィックとユーザ端末の送信電力余力に応じて適切に送信電力制御をすることができる。たとえば、他の無線基地局のアクティブ状態のセルが減ったことを把握して、自基地局のセルを追加でアクティブ化することができる。追加でアクティブ化することにより自基地局の保証電力が増えるが、ユーザ端末がアクティブ化に伴ってPHRを報告するため、他の無線基地局に自基地局の保証電力が増えたことを伝えることができる。たとえば、他の無線基地局のアクティブ状態のセルが増えたことを把握して、自基地局のセルに対する保証電力以上の割り当てを制限することもできる。
(第4の態様)
LTE Rel.12では、eIMTA(enhanced Interference Management and Traffic Adaptation)またはDynamic TDD向けとして、サブフレームをサブフレームセットに分割し、独立に送信電力制御を行うことが検討されている。デュアルコネクティビティにおけるマスタ基地局またはセカンダリ基地局に属するセルでも、サブフレームセットごとの送信電力制御が行われる可能性がある。
サブフレームセットごとに送信電力制御を行う場合、サブフレームセットごとに必要な送信電力が異なる可能性がある。したがって、eITMA向けのサブフレームセットごとの送信電力制御の機能を用いる場合に、保証送信電力PxeNBの値が1つというのは好ましくない。
そこで、サブフレームセットごとに送信電力制御を行う場合、当該サブフレームセットごとに異なる保証送信電力PxeNBの値を設定可能とする。たとえば、サブフレームセット1については保証送信電力PMeNB,1またはPSeNB,1を設定し、セブフレームセット2については保証送信電力PMeNB,2またはPSeNB,2を設定する。
これにより、サブフレームセットごとに異なる保証送信電力PxeNBの値を設定することができる。この構成は、TDD+FDDデュアルコネクティビティなどにも適用できる。
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、上述の送信電力制御を行う無線通信方法が適用される。
図14は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す概略構成図である。図14に示すように、無線通信システム1は、複数の無線基地局10(11および12)と、各無線基地局10によって形成されるセル内にあり、各無線基地局10と通信可能に構成された複数のユーザ端末20と、を備えている。無線基地局10は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。
図14において、無線基地局11は、たとえば相対的に広いカバレッジを有するマクロ基地局で構成され、マクロセルC1を形成する。無線基地局12は、局所的なカバレッジを有するスモール基地局で構成され、スモールセルC2を形成する。なお、無線基地局11および12の数は、図14に示す数に限られない。
マクロセルC1およびスモールセルC2では、同一の周波数帯が用いられてもよいし、異なる周波数帯が用いられてもよい。また、無線基地局11および12は、基地局間インタフェース(たとえば、光ファイバ、X2インタフェース)を介して互いに接続される。
無線基地局11と無線基地局12との間、無線基地局11と他の無線基地局11との間または無線基地局12と他の無線基地局12との間では、デュアルコネクティビティ(DC)またはキャリアアグリゲーション(CA)が適用される。
ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでいてもよい。ユーザ端末20は、無線基地局10を経由して他のユーザ端末20と通信を実行できる。
上位局装置30には、たとえば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel、EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control Channel)、報知チャネル(PBCH)などが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、所定のSIB(System Information Block)が伝送される。PDCCH、EPDCCHにより、下り制御情報(DCI)が伝送される。
無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。
図15は、本実施の形態に係る無線基地局10の全体構成図である。図15に示すように、無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部(送信部および受信部)103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、インタフェース部106とを備えている。
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30からインタフェース部106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、たとえば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナごとにプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。送受信部103には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッタ/レシーバ、送受信回路または送受信装置を適用できる。
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
送受信部103は、ユーザ端末に対して自セルグループに属するセルごとの保証送信電力値PxeNBまたはセルおよび複数セルの組み合わせごとの保証送信電力値PxeNBならびに自セルグループにおけるセルのアクティブ・非アクティブ情報を送信する。各送受信部103は、ユーザ端末からパワーヘッドルームを受信する。
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、インタフェース部106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
インタフェース部106は、基地局間インタフェース(たとえば、光ファイバ、X2インタフェース)を介して隣接無線基地局と信号を送受信(バックホールシグナリング)する。あるいは、インタフェース部106は、所定のインタフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。
図16は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。図16に示すように、無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104は、制御部301と、下り制御信号生成部302と、下りデータ信号生成部303と、マッピング部304と、デマッピング部305と、チャネル推定部306と、上り制御信号復号部307と、上りデータ信号復号部308と、判定部309と、を少なくとも含んで構成されている。
制御部301は、PDSCHで送信される下りユーザデータ、PDCCHと拡張PDCCH(EPDCCH)の両方、またはいずれか一方で伝送される下り制御情報、下り参照信号などのスケジューリングを制御する。また、制御部301は、PRACHで伝送されるRAプリアンブル、PUSCHで伝送される上りデータ、PUCCHまたはPUSCHで伝送される上り制御情報、上り参照信号のスケジューリングの制御(割り当て制御)も行う。上りリンク信号(上り制御信号、上りユーザデータ)の割り当て制御に関する情報は、下り制御信号(DCI)を用いてユーザ端末20に通知される。
制御部301は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて、下りリンク信号および上りリンク信号に対する無線リソースの割り当てを制御する。つまり、制御部301は、スケジューラとしての機能を有している。制御部301には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路または制御装置を適用できる。
下り制御信号生成部302は、制御部301により割り当てが決定された下り制御信号(PDCCH信号とEPDCCH信号の両方、またはいずれか一方)を生成する。具体的に、下り制御信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、下りリンク信号の割り当て情報を通知する下りリンクアサインメントと、上りリンク信号の割り当て情報を通知する上りリンクグラントを生成する。下り制御信号生成部302には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器または信号生成回路を適用できる。
下りデータ信号生成部303は、制御部301によりリソースへの割り当てが決定された下りデータ信号(PDSCH信号)を生成する。下りデータ信号生成部303により生成されるデータ信号には、各ユーザ端末20からのCSI等に基づいて決定された符号化率、変調方式に従って符号化処理、変調処理が行われる。
マッピング部304は、制御部301からの指示に基づいて、下り制御信号生成部302で生成された下り制御信号と、下りデータ信号生成部303で生成された下りデータ信号の無線リソースへの割り当てを制御する。マッピング部304には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッピング回路またはマッパーを適用できる。
デマッピング部305は、ユーザ端末20から送信された上りリンク信号をデマッピングして、上りリンク信号を分離する。チャネル推定部306は、デマッピング部305で分離された受信信号に含まれる参照信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を上り制御信号復号部307、上りデータ信号復号部308に出力する。
上り制御信号復号部307は、上り制御チャネル(PRACH,PUCCH)でユーザ端末から送信されたフィードバック信号(送達確認信号等)を復号し、制御部301へ出力する。上りデータ信号復号部308は、上り共有チャネル(PUSCH)でユーザ端末から送信された上りデータ信号を復号し、判定部309へ出力する。判定部309は、上りデータ信号復号部308の復号結果に基づいて、再送制御判定(A/N判定)を行うとともに結果を制御部301に出力する。
図17は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。図17に示すように、ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(送信部および受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などがなされる。この下りリンクのデータのうち、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。送受信部203には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッタ/レシーバ、送受信回路または送受信装置を適用できる。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(HARQ:Hybrid ARQ)の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
送受信部203は、無線基地局10からRRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングにより指示される、各CCの保証送信電力PxeNBの値またはセルの組み合わせごとの保証送信電力PxeNBの値を受信する。送受信部203は、無線基地局10からRRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングにより指示される、CCの設定または解除(configure/removal)情報を受信する。送受信部203は、無線基地局10からMACシグナリングで指示される、CCのアクティブ化または非アクティブ化(activate/de-activate)情報を受信する。
図18は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。図18に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、制御部401と、上り制御信号生成部402と、上りデータ信号生成部403と、マッピング部404と、デマッピング部405と、チャネル推定部406と、下り制御信号復号部407と、下りデータ信号復号部408と、判定部409と、を少なくとも含んで構成されている。
制御部401は、無線基地局10から送信された下り制御信号(PDCCH信号)や、受信したPDSCH信号に対する再送制御判定結果に基づいて、上り制御信号(A/N信号等)や上りデータ信号の生成を制御する。無線基地局から受信した下り制御信号は下り制御信号復号部407から出力され、再送制御判定結果は、判定部409から出力される。制御部401には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路または制御装置が適用される。
制御部401は、アクティブ状態のセル数と、セルごとの保証送信電力値PxeNB,cまたはセルの組み合わせごとのPxeNB,cとを用いて、セルグループの保証送信電力値PxeNBを制御する電力制御部として機能する。
上り制御信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて上り制御信号(送達確認信号やチャネル状態情報(CSI)等のフィードバック信号)を生成する。上りデータ信号生成部403は、制御部401からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。なお、制御部401は、無線基地局から通知される下り制御信号に上りリンクグラントが含まれている場合に、上りデータ信号生成部403に上りデータ信号の生成を指示する。上り制御信号生成部402には、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器または信号生成回路を適用できる。
マッピング部404は、制御部401からの指示に基づいて、上り制御信号(送達確認信号等)と、上りデータ信号の無線リソース(PUCCH、PUSCH)への割り当てを制御する。
デマッピング部405は、無線基地局10から送信された下りリンク信号をデマッピングして、下りリンク信号を分離する。チャネル推定部406は、デマッピング部405で分離された受信信号に含まれる参照信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を下り制御信号復号部407、下りデータ信号復号部408に出力する。
下り制御信号復号部407は、下り制御チャネル(PDCCH)で送信された下り制御信号(PDCCH信号)を復号し、スケジューリング情報(上りリソースへの割り当て情報)を制御部401へ出力する。また、下り制御信号に送達確認信号をフィードバックするセルに関する情報や、RF調整の適用有無に関する情報が含まれている場合も、制御部401へ出力する。
下りデータ信号復号部408は、下り共有チャネル(PDSCH)で送信された下りデータ信号を復号し、判定部409へ出力する。判定部409は、下りデータ信号復号部408の復号結果に基づいて、再送制御判定(A/N判定)を行うとともに、結果を制御部401に出力する。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
本出願は、2014年6月30日出願の特願2014−134751に基づく。この内容は、すべてここに含めておく。