<第1の実施形態>
第1の実施形態では、MRI装置10Aの3箇所にそれぞれ設置された制御側無線通信装置36A,36B,36C(図1参照)から検査信号がそれぞれ無線送信され、無線型のRFコイル装置100の位置信号応答部124(図4参照)から、各検査信号に対する各応答信号が無線送信される。
各検査信号に対する応答時間が制御側無線通信装置36A,36B,36C毎に算出され、これにより各制御側無線通信装置36A,36B,36Cと、RFコイル装置100との各距離が算出され、RFコイル装置100の位置が特定される。このようにして特定された位置と、RFコイル装置100の識別情報に基づく当該RFコイル装置100内の各要素コイルの配置データとに基づき、各要素コイルの位置が判定される。
さらに、MRI装置10Aの制御側は、RFコイル装置の種類、撮像領域、パルスシーケンスの種類に基づいて要素コイルの適正選択数を決定する。この適正選択数は、RFコイル装置からMRI装置の受信器側にMR信号のデータを無線送信する速度が、パルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従するように決定される。そして、撮像領域に対する受信感度が高いと推定される順に、上記適正選択数の要素コイルが自動選択され、本スキャンで用いられる。
以下、第1の実施形態の詳細について、MRI装置の全体構成(図1)、無線型RFコイル装置の構成(図2及び図3)、デジタル無線通信系統の構成及び要素コイルの位置特定方法(図4)、要素コイルの適正選択数の決定方法(図5及び図6)、要素コイルの選択方法(図7及び図8)、撮像動作の流れ(図9)、の順に説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、第1の実施形態のMRI装置10Aの全体構成の一例を示すブロック図である。ここでは一例として、MRI装置10Aの構成要素を寝台装置20、ガントリ30、制御装置40の3つに分けて説明する。
第1に、寝台装置20は、支持台21と、天板22と、支持台21内に配置される天板移動機構23とを有する。
天板22の上面には、被検体Pが載置される。ここでは一例として、被検体Pには、MR信号のデータを無線送信する胸部用のRFコイル装置100、及び、同じく無線型の骨盤部用のRFコイル装置200が装着されるものとする。また、これら無線型且つ装着型のRFコイル装置100,200はMRI装置10Aの一部であるとものする。但し、これは一解釈にすぎず、RFコイル装置100,200は、MRI装置10Aとは独立した構成要素として捉えてもよい。
支持台21は、天板22を水平方向(装置座標系のZ軸方向)に移動可能に支持する。天板移動機構23は、天板22がガントリ30外に位置する場合に、支持台21の高さを調整することで、天板22の鉛直方向の位置を調整する。また、天板移動機構23は、天板22を水平方向に移動させることで天板22をガントリ30内に入れ、撮像後には天板22をガントリ30外に出す。
第2に、ガントリ30は、例えば円筒状に構成され、撮像室に設置される。ガントリ30は、静磁場磁石31と、シムコイルユニット32と、傾斜磁場コイルユニット33と、RFコイルユニット34と、制御側無線通信装置36A,36B,36Cと、投光器37とを有する。
静磁場磁石31は、例えば超伝導コイルであり、円筒状に構成される。静磁場磁石31は、後述の制御装置40の静磁場電源42から供給される電流により、撮像空間に静磁場を形成する。撮像空間とは例えば、被検体Pが置かれて、静磁場が印加されるガントリ30内の空間を意味する。なお、静磁場電源42を設けずに、静磁場磁石31を永久磁石で構成してもよい。
シムコイルユニット32は、例えば円筒状に構成され、静磁場磁石31の内側において、静磁場磁石31と同軸に配置される。シムコイルユニット32は、後述の制御装置40のシムコイル電源44から供給される電流により、静磁場を均一化するオフセット磁場を形成する。
傾斜磁場コイルユニット33は、例えば円筒状に構成され、シムコイルユニット32の内側に配置される。傾斜磁場コイルユニット33は、不図示のX軸傾斜磁場コイル、Y軸傾斜磁場コイル、Z軸傾斜磁場コイルを有する。
本明細書では、特に断りのない限り、X軸、Y軸、Z軸は装置座標系であるものとする。ここでは一例として、装置座標系のX軸、Y軸、Z軸を以下のように定義する。まず、鉛直方向をY軸方向とし、天板22は、その上面の法線方向がY軸方向となるように配置される。天板22の水平移動方向をZ軸方向とし、ガントリ30は、その軸方向がZ軸方向となるように配置される。X軸方向は、これらY軸方向、Z軸方向に直交する方向であり、図1の例では天板22の幅方向である。
また、ここでは一例として、磁場中心は、ガントリ30の幾何学的中心に位置するものとし、磁場中心を装置座標系の原点とする。
X軸傾斜磁場コイルは、後述の傾斜磁場電源46から供給される電流に応じたX軸方向の傾斜磁場Gxを撮像領域に形成する。同様に、Y軸傾斜磁場コイルは、傾斜磁場電源46から供給される電流に応じたY軸方向の傾斜磁場Gyを撮像領域に形成する。同様に、Z軸傾斜磁場コイルは、傾斜磁場電源46から供給される電流に応じたZ軸方向の傾斜磁場Gzを撮像領域に形成する。そして、スライス選択方向傾斜磁場Gss、位相エンコード方向傾斜磁場Gpe、及び、読み出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Groは、装置座標系の3軸方向の傾斜磁場Gx,Gy,Gzの合成により、任意の方向に設定可能である。
上記撮像領域は、例えば、1画像又は1セットの画像の生成に用いられるMR信号の収集範囲の少なくとも一部であって、画像となる領域である。撮像領域は例えば、撮像空間の一部として装置座標系で3次元的に規定される。例えば折り返しアーチファクトを防止するために、画像化される領域よりも広範囲でMR信号が収集される場合、撮像領域はMR信号の収集範囲の一部である。一方、MR信号の収集範囲の全てが画像となり、MR信号の収集範囲と撮像領域とが合致する場合もある。また、上記「1セットの画像」は、例えばマルチスライス撮像などのように、1のパルスシーケンスで複数画像のMR信号が一括的に収集される場合の複数画像である。
RFコイルユニット34は、例えば円筒状に構成され、傾斜磁場コイルユニット33の内側に配置される。RFコイルユニット34は、例えば、RFパルスの送信及びMR信号の受信を兼用する全身用コイル(図示せず)を含む。
投光器37は、例えばガントリ30の入り口に設置され、天板22に向けて位置決め用の光を照射する。位置決め用の光の照射位置がほぼ磁場中心となるように、天板移動機構23により天板22の位置が制御される。
制御側無線通信装置36A,36B,36Cはそれぞれ、互いに離れるように、例えばガントリ30の内壁に対して配置される。ここでは一例として、制御側無線通信装置36A,36Bはガントリ30の奥側に配置され、制御側無線通信装置36Cはガントリ30の入り口側に配置されるが、これは配置態様の一例にすぎない。例えば、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cの位置は、相互に入れ替え可能である。また、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cのいずれか一つは、ガントリ30の端部ではなく、Z軸方向にガントリ30の中央に配置されてもよい。
ここでは一例として、制御側無線通信装置36A,36B,36Cは、以下の理由で、X座標が互いに異なるように、且つ、Y座標が互いに異なるように、且つ、Z座標が互いに異なるように配置される。
詳細は後述するが、無線通信の応答時間長に基づいてRFコイル装置100と、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cとの各距離DA−100,DB−100,DC−100が算出される。この後、制御側無線通信装置36Aから距離DA−100の球面、制御側無線通信装置36Bから距離DB−100の球面、制御側無線通信装置36Cから距離DC−100の球面の3つの交差点がRFコイル装置100の位置として算出される。従って、制御側無線通信装置36A,36B,36Cの各X座標を全てゼロとする対称配置だと、上記交差点が複数となり、位置判定ができないおそれがある。
また、正確な距離測定のため、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cは、天板22上のRFコイル装置100,200から放射される電磁波の直接波が入射しやすい位置に配置されることが望ましい。ここでは一例として、直接波が天板22で遮られないように、制御側無線通信装置36A,36B,36Cは、撮像空間となるガントリ30のボア内において、鉛直方向上側に配置される。
第3に、制御装置40は、静磁場電源42と、シムコイル電源44と、傾斜磁場電源46と、RF送信器48と、RF受信器50と、シーケンスコントローラ58と、演算装置60と、入力装置72と、表示装置74と、記憶装置76とを有する。なお、制御装置40は、周波数アップコンバージョン部80、パルス波形生成部82、固定周波数生成部84、可変周波数生成部86等の構成要素をさらに有するが、煩雑となるので図1では省略し、これらについては後述の図4で説明する。
傾斜磁場電源46は、傾斜磁場Gx,Gy,Gzを形成するための各電流を前述のX軸傾斜磁場コイル、Y軸傾斜磁場コイル、Z軸傾斜磁場コイルにそれぞれ供給する。
RF送信器48は、シーケンスコントローラ58から入力される制御情報に基づいて、核磁気共鳴を起こすラーモア周波数のRF電流パルスを生成し、これをRFコイルユニット34に送信する。このRF電流パルスに応じたRFパルスが、RFコイルユニット34から被検体Pに送信される。
RFコイルユニット34の全身用コイルや、被検体Pに装着されるRFコイル装置100,200は、被検体P内の原子核スピンがRFパルスによって励起されることで発生したMR信号を検出し、検出されたMR信号は、最終的にはRF受信器50に入力される。
RF受信器50は、受信したMR信号に所定の信号処理を施すことで、デジタル化されたMR信号の複素データである生データを生成する。RF受信器50は、MR信号の生データを演算装置60の画像再構成部62に入力する。
シーケンスコントローラ58は、演算装置60の指令に従って、傾斜磁場電源46、RF送信器48及びRF受信器50の駆動に必要な制御情報を記憶する。ここでの制御情報とは例えば、傾斜磁場電源46に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報である。シーケンスコントローラ58は、記憶した所定のパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源46、RF送信器48及びRF受信器50を駆動させることで、傾斜磁場Gx,Gy,Gz及びRFパルスを発生させる。
演算装置60は、システム制御部61と、システムバスSBと、画像再構成部62と、画像処理部64と、位置取得部65と、選択部66とを有する。
システム制御部61は、本スキャンの撮像条件の設定、撮像動作及び撮像後の画像表示において、システムバスSB等の配線を介してMRI装置10A全体のシステム制御を行う。上記撮像条件とは例えば、どの種類のパルスシーケンスにより、どのような条件でRFパルス等を送信し、どのような条件で被検体PからMR信号を収集するかを意味する。撮像条件の例としては、撮像空間内の位置的情報としての撮像領域、フリップ角、繰り返し時間TR(Repetition Time)、スライス数、撮像部位、スピンエコー法やパラレルイメージング等のパルスシーケンスの種類などが挙げられる。上記撮像部位とは、例えば、頭部、胸部などの被検体Pのどの部分を撮像領域として画像化するかを意味する。
上記本スキャンは、T1強調画像などの目的とする診断画像の撮像のスキャンであって、位置決め画像用のMR信号の収集スキャンや、較正スキャンを含まない。スキャンとは、MR信号の収集動作を指し、画像再構成を含まない。
較正スキャンとは例えば、本スキャンの撮像条件の内の未確定のものや、画像再構成処理や画像再構成後の補正処理に用いられる条件やデータを決定するために、本スキャンとは別に行われるスキャンを指す。較正スキャンには、本スキャンでのRFパルスの中心周波数を算出するシーケンス等がある。プレスキャンとは、較正スキャンの内、本スキャン前に行われるものを指す。
また、システム制御部61は、撮像条件の設定画面情報を表示装置74に表示させ、入力装置72からの指示情報に基づいて撮像条件を設定し、設定した撮像条件をシーケンスコントローラ58に入力する。また、システム制御部61は、撮像後には、生成された表示用画像データが示す画像を表示装置74に表示させる。
入力装置72は、撮像条件や画像処理条件を設定する機能をユーザに提供する。
画像再構成部62は、位相エンコードステップ数及び周波数エンコードステップ数に応じて、RF受信器50から入力されるMR信号の生データをk空間データとして配置及び保存する。k空間とは、周波数空間の意味である。画像再構成部62は、k空間データにフーリエ変換を含む画像再構成処理を施すことで、被検体Pの画像データを生成する。画像再構成部62は、生成した画像データを画像処理部64に入力すると共に記憶装置76に保存する。
画像処理部64は、再構成後の画像データに所定の画像処理を施し、画像処理後の画像データを表示用画像データとして記憶装置76に保存する。
記憶装置76は、上記の表示用画像データに対し、その表示用画像データの生成に用いた撮像条件や被検体Pの情報(患者情報)等を付帯情報として付属させて記憶する。
なお、演算装置60、入力装置72、表示装置74、記憶装置76の4つを1つのコンピュータとして構成し、例えば制御室に設置してもよい。
また、上記説明では、MRI装置10Aの構成要素をガントリ30、寝台装置20、制御装置40の3つに分類したが、これは一解釈例にすぎない。例えば、天板移動機構23は、制御装置40の一部として捉えてもよい。
或いは、RF受信器50は、ガントリ30外に配置された制御装置40の構成要素ではなく、ガントリ30の一部としてガントリ30内に配置されてもよい。この場合、ガントリ30外へのMR信号のデータの出力に際しては、例えば光通信ケーブルを用いて光デジタル信号として送信すれば、外部ノイズの影響が軽減されるので望ましい。
図2は、無線型且つ装着型の胸部用のRFコイル装置100の構成の一例を示す平面模式図である。図2に示すように、RFコイル装置100は、可撓性を有する材料によって折り曲げ等の変形が可能に形成されたカバー部材104内に各構成要素が配置されている。このように変形可能な材料としては、例えば特開2007−229004号公報に記載の可撓性を有する回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)などを用いることができる。
RFコイル装置100は、制御部108と、要素コイル106a,106b,106c,106d,106e,106f,106g,106h,106iと、アンテナ130dとをカバー部材110内に有する。図2では9個の要素コイル106a〜106iを示すが、要素コイルの数や配置は図2の態様に限定されるものではない。
ここでは一例として、要素コイル106a,106b,106fはサイズが相対的に小さく、要素コイル106c,106e,106g,106iはサイズが要素コイル106a,106b,106fよりも大きく、要素コイル106d,106hは、106c,106e,106g,106iよりもさらにサイズが大きいものとする。ここでのサイズとは、例えば、MR信号を検出する導線のループの大きさであり、サイズの違いによる受信感度の違いについては、図7及び図8を用いて後述する。
制御部108は、RFコイル装置100の動作を制御するものである。要素コイル106a〜106iはそれぞれ、被検体Pから放射されるMR信号を検出し、アナログの電気信号としてのMR信号を後段に出力する。アンテナ130dは、RFコイル装置100の位置判定の検査信号を無線で受信し、この検査信号に対する応答信号を無線送信する。この動作の詳細については、後述の図4で説明する。
図3は、無線型且つ装着型の骨盤部用のRFコイル装置200の構成の一例を示す平面模式図である。図3に示すように、RFコイル装置200は、FPCなどの可撓性を有する材料によって折り曲げ等の変形が可能に形成されたカバー部材204内に各構成要素が配置されている。
RFコイル装置200は、制御部208と、要素コイル206a,206b,206c,206d,206e,206fと、アンテナ130dとをカバー部材204内に有する。これら制御部208、要素コイル130a〜206f、アンテナ130dの各機能は、RFコイル装置100の制御部108、要素コイル106a〜106i、アンテナ130dとそれぞれ同様である。ここでは一例として、6個の要素コイル206a〜206fを示すが、要素コイルの数や配置は図2の態様に限定されるものではない。
図4は、第1の実施形態のMRI装置10Aにおいて、デジタル無線通信系統に関わる構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置40は、図1で述べた構成要素に加えて、周波数アップコンバージョン部80、パルス波形生成部82、固定周波数生成部84、可変周波数生成部86をさらに有する。また、RF受信器50は、周波数ダウンコンバージョン部50aと、データ生成部50bとを有する。
制御側無線通信装置36Aは、データ受信部312と、参照信号送信部316と、ゲート信号送信部320と、位置信号送受信部324と、アンテナ330a,330b,330c,330dとを有する。制御側無線通信装置36B,36Cの構成も制御側無線通信装置36Aと同様であるが、ここでは一例として、MR信号のデータの送受信に関わる動作は制御側無線通信装置36Aが行うものとする。従って、制御側無線通信装置36B,36Cは、位置信号送受信部324及びアンテナ330dが機能するものとする。
但し、各RFコイル装置からのMR信号のデータの受信(中継)は、制御側無線通信装置36Aではなく、制御側無線通信装置36B又は36Cが実行してもよい。或いは、制御側無線通信装置36A〜36Cとは別の構成として、データ受信部312やアンテナ330a等が含まれると共にMR信号のデータの受信を実行するMRデータ受信ユニットを例えばガントリ30の内壁上などに配置してもよい(即ち、各RFコイル装置の位置特定と、各RFコイル装置からのMR信号のデータの受信とは、別々のユニットにより実行されてもよい)。
また、RFコイル装置100は、前述の制御部108と、前述の要素コイル106a〜106iと、プリアンプAMPと、A/D変換器(Analogue / Digital Converter)ADCと、P/S変換器(Parallel/Serial Converter)PSCと、データ送信部112と、参照信号受信部116と、ゲート信号受信部120と、位置信号応答部124と、アンテナ130a,130b,130c,130dと、クロック信号生成部136と、電力供給部140とを有する。
但し、図4では煩雑となるので、要素コイル106c〜106iを図示していない。プリアンプAMP及びA/D変換器ADCは、要素コイル106a〜106iにそれぞれ対応するように9個ずつ内蔵されるが、図4では煩雑となるので要素コイル106a,106bに対応するもののみを示す。
RFコイル装置100の電力供給部140は、充電池BATと、充電コネクタCTRとを有する。ここでは一例として、充電コネクタCTRが外部電源に接続されることで、RFコイル装置100の未使用期間中に充電池BATが充電されるものとする。但し、電力供給方法に関して、本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
例えば、RFパルスの送信期間と、要素コイル106a〜106iによるMR信号の検出期間とを避けて、RFコイルユニット34の全身用コイルから共振器結合方式でRFコイル装置100に交流電力を無線送信してもよい。その場合、第1共振周波数としてのラーモア周波数、及び、ラーモア周波数とは異なる第2共振周波数で共振する二重共振式の回路で全身用コイルを構成し、第2共振周波数で共振する電力受信回路をRFコイル装置100に別途設ければよい。
なお、図4では図示しないが、カバー部材204の形状や各要素コイル206a〜206fのサイズ、形状、配置等の違いを除いて、図3のRFコイル装置200のデジタル無線通信系統の構成は、図4のRFコイル装置100と同様である。
以下、図1では触れなかった固定周波数生成部84等の制御装置40の構成要素の機能を説明後、制御側無線通信装置36AとRFコイル装置100との間の4つの無線通信経路について順に説明する。
図4において固定周波数生成部84は、一定周波数の基準クロック信号を生成する。固定周波数生成部84は、基準クロック信号を生成するために、例えば安定度の高い水晶発振器などを有する。固定周波数生成部84は、参照信号送信部316及び可変周波数生成部86に基準クロック信号を入力する。また、固定周波数生成部84は、画像再構成部62やパルス波形生成部82、位置信号送受信部324などのMRI装置10A内でクロック同期が行われる箇所にも基準クロック信号を入力する。
可変周波数生成部86は、PLL(Phase-Locked Loop:位相同期回路)、DDS(Direct Digital Synthesizer:デジタル直接合成発振器)、ミキサなどを有する。可変周波数生成部86は、上記の基準クロック信号に基づいて動作する。可変周波数生成部86は、RFパルスの中心周波数としてシステム制御部61から入力される設定値に一致する可変周波数のローカル信号(クロック信号)を生成し、生成したローカル信号を周波数ダウンコンバージョン部50a及び周波数アップコンバージョン部80に入力する。
そのために、システム制御部61は、プレスキャンの前にRFパルスの中心周波数の初期値を可変周波数生成部86に入力する。また、システム制御部61は、プレスキャン後にはRFパルスの中心周波数の補正値を可変周波数生成部86に入力する。また、システム制御部61は、入力装置72を介して入力された撮像条件に基づいて、RFパルスの種別、RFパルスの帯域幅などの撮像条件を決定する。システム制御部61は、このように決定した撮像条件をパルス波形生成部82に入力する。
パルス波形生成部82は、システム制御部61から入力される撮像条件に応じて、固定周波数生成部84から入力される基準クロック信号を用いてベースバンドのパルス波形信号を生成する。パルス波形生成部82は、ベースバンドのパルス波形信号を周波数アップコンバージョン部80に入力する。
周波数アップコンバージョン部80は、ベースバンドのパルス波形信号に対して、可変周波数生成部86から入力されるローカル信号を乗算し、さらにフィルタリングによって所望の信号帯域のみを通過させることで、周波数変換(アップコンバージョン)を実施する。周波数アップコンバージョン部80は、このようして周波数が上げられたベースバンドのパルス波形信号をRF送信器48に入力する。RF送信器48は、入力されたパルス波形信号に基づいて、RFパルスを生成する。
次に、制御側無線通信装置36AとRFコイル装置100との間の4つの無線通信経路について説明する。
第1に、アンテナ330c−130c間では、制御側無線通信装置36Aのゲート信号送信部320からRFコイル装置100のゲート信号受信部120に対して、ゲート信号が撮像中において継続的に無線送信される。
より詳細には、RFコイル装置100内の各要素コイル106a〜106iのオンオフを切り替えるスイッチとして、例えば、PINダイオード(p-intrinsic-n Diode)を含むトラップ回路などが用いられる。ゲート信号は、例えば、トラップ回路のインピーダンスの切替タイミングを規定する信号(上記スイッチの制御信号)である。なお、ゲート信号送信部320からゲート信号受信部120にトリガ信号が送信され、ゲート信号受信部120内でトリガ信号に基づいてゲート信号が生成される構成でもよい。
RFパルスが被検体Pに送信される期間では、ゲート信号送信部320、アンテナ330c、130c、ゲート信号受信部120を介してRFコイル装置100に入力されるゲート信号は、通常、オンレベルにされる。ゲート信号がオンレベルの期間では、上記スイッチはオフ状態となり、各要素コイル106a〜106iは、ループが途切れた状態となり、MR信号を検出できない。
RFパルスが被検体Pに送信される期間を除く期間では、オフレベルのゲート信号が無線送信される。ゲート信号がオフレベルの期間では、上記スイッチはオン状態となり、各要素コイル106a〜106iは、MR信号を検出できる。このような要素コイル106a〜106iのオンオフの切り替えにより、被検体PにRFパルスを送信するRFコイル(例えばRFコイルユニット34内の全身用コイル)と、MR信号を受信する要素コイル106a〜106iとの間のカップリングが防止される。
第2に、アンテナ330b−130b間では、制御側無線通信装置36Aの参照信号送信部316からRFコイル装置100の参照信号受信部116に対して、デジタルの参照信号が無線送信される。
具体的には、参照信号は、MR信号の送信側であるRFコイル装置100と、固定周波数生成部84をベースとしたシステムの基準周波数とを同期させる信号である。参照信号送信部316は、固定周波数生成部84から入力される基準クロック信号に対して変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施すことで参照信号を生成する。
参照信号受信部116は、生成した参照信号を各A/D変換器ADCに対して、スキャン中に継続的に入力する。
また、A/D変換器ADCにおけるサンプリングのタイミングを決めるトリガ信号(A/D変換開始信号)が、システム制御部61から参照信号送信部316に入力される。ここでのサンプリングとは、例えば、アナログ信号の強さを一定時間ごとに採取し、デジタル記録が可能な形にすることである。ここでは一例として、参照信号送信部316は、トリガ信号を参照信号に重畳することで参照信号及びトリガ信号の双方を参照信号受信部116に無線送信する。
第3に、アンテナ130a−330a間では、RFコイル装置100のデータ送信部112から制御側無線通信装置36Aのデータ受信部312に対して、デジタルのMR信号が無線送信される。
具体的には、受信用に選択された要素コイル(106a〜106iの少なくとも1つ)で検出されたアナログのMR信号は、対応するプリアンプAMPに入力されて増幅された後、対応するA/D変換器ADCに入力され、デジタル信号に変換される。このとき、各A/D変換器ADCには、参照信号受信部116から参照信号及びトリガ信号が入力される。従って、各A/D変換器ADCは、トリガ信号が送信されたタイミングに同期して、参照信号(サンプリングクロック信号)に基づいてサンプリング及び量子化を開始する。各A/D変換器ADCは、デジタルのMR信号をP/S変換器PSCに入力する。
但し、MR信号の受信用に選択されていない要素コイル(106a〜106i)が存在する場合、当該非選択の要素コイルに対応するプリアンプAMP及びA/D変換器ADCは動作しない。
P/S変換器PSCは、入力されたMR信号を無線送信用にパラレル信号からシリアル信号に変換し、このシリアル信号をデータ送信部112に入力する。
データ送信部112は、入力されたシリアルのMR信号に対し、誤り訂正符号化、インタリーブ、変調、周波数変換、増幅、フィルタリングなどの処理を施すことで、(シリアル信号かつデジタル信号である)無線送信用のMR信号を生成する。データ送信部112は、無線送信用のMR信号をアンテナ130aからアンテナ330aに無線送信する。
但し、本実施形態はシリアル信号としてMR信号を無線送信する態様に限定されるものではない。例えばMR信号の送信用及び受信用のアンテナ数を増やす等により、パラレル信号のままMR信号を無線送信する構成にしてもよい。
データ受信部312は、アンテナ330aで受信したMR信号に対して、増幅、周波数変換、復調、逆インタリーブ、誤り訂正復号等の処理を施す。これにより、データ受信部312は、無線送信用のMR信号から元のデジタルのMR信号を抽出し、抽出したMR信号をRF受信器50の周波数ダウンコンバージョン部50aに入力する。
周波数ダウンコンバージョン部50aは、可変周波数生成部86から入力されるローカル信号を、データ受信部312から入力されるMR信号に乗算し、さらにフィルタリングによって所望の信号帯域のみを通過させる。これにより、周波数ダウンコンバージョン部50aは、MR信号に周波数変換を施し、周波数が低くされたMR信号をデータ生成部50bに入力する。
データ生成部50bは、周波数が低くされたMR信号に所定の信号処理を施すことで、MR信号の生データを生成し、MR信号の生データを画像再構成部62に入力する。画像再構成部62は、MR信号の生データをk空間データに変換して保存する。
第4に、アンテナ130d−330d間では、RFコイル装置100の位置特定のための検査信号及び応答信号の送受信が行われる。ここで、位置特定に際しては、RFコイル装置100側において、応答信号の受信時刻を判定できる構成が望ましい。
ここでは一例として、クロック信号生成部136は、固定周波数生成部84が生成する基準クロック信号と同じで周波数で、且つ、一定周波数のコイル側クロック信号を生成する水晶発振器などを有する。クロック信号生成部136は、参照信号受信部116による参照信号の受信前では、独自にコイル側クロック信号を生成し、コイル側クロック信号を位置信号応答部124に入力する。クロック信号生成部136は、参照信号の受信後では、参照信号受信部116経由で入力される参照信号に基づいて、基準クロック信号と同期したコイル側クロック信号を生成する。
位置取得部65は、例えば、天板22の位置がガントリ30内の最初の撮像位置で固定されたことを契機として、RFコイル装置100,200の位置判定の検査信号の送信指示を制御側無線通信装置36Aの位置信号送受信部324に入力する。
検査信号の送信指示の受信に同期して、位置信号送受信部324は、制御側無線通信装置36B,36Cから区別できるように、制御側無線通信装置36Aの識別情報が含まれる所定周波数の検査信号を生成する。この後、位置信号送受信部324は、検査信号の電磁波をアンテナ330dから空間に放射させる。このとき、位置信号送受信部324は、前述の基準クロック信号に基づいて、検査信号の送信時刻を算出及び記憶する。
位置信号応答部124は、アンテナ130dによって検査信号を受信すると共に、クロック信号生成部136から入力されるコイル側クロック信号に基づいて、検査信号の受信時刻を算出及び記憶する。この後、位置信号応答部124は、送信元識別情報として例えばRFコイル装置100の識別情報が含まれるように、RFコイル装置100の固有の周波数の応答信号(即ち、他のRFコイル装置とは周波数が異なる応答信号)を生成する。位置信号応答部124は、送信時刻が検査信号の受信時刻から所定の遅延時間となるように、アンテナ130dから応答信号の電磁波を空間に放射させる。
上記のように、ここでは一例として、RFコイル装置(100,200)毎に応答信号の周波数を変えることで、位置信号応答部124が各応答信号の送信元のRFコイル装置を特定し易くする。但し、上記構成は、説明の簡単化のための一例に過ぎない。例えば、RFコイル装置(100,200)毎に応答信号の送信順番を設定しておく場合、各RFコイル装置(100,200)の応答信号の周波数を統一してもよい。各RFコイル装置(100,200)の応答信号の送信順番の設定方法としては、例えば検査信号の受信時刻から応答信号の送信時刻までの遅延時間をRFコイル装置毎に別々の値とすればよい。
位置信号送受信部324は、RFコイル装置100からの応答信号をアンテナ330dで受信すると共に、前述の基準クロック信号に基づいて、応答信号の受信時刻を算出及び記憶する。また、位置信号送受信部324は、応答信号を解析することで応答信号に含まれるRFコイル装置100の識別情報を取得する。
これにより、位置信号送受信部324は、検査信号の送信時刻と、RFコイル装置100からの応答信号の受信時刻との間の時間差から前述の所定の遅延時間を差し引いた応答時間をTA−100として算出及び記憶する。
なお、図4には図示しないが、制御側無線通信装置36Aから放射される検査信号は、RFコイル装置200の位置信号応答部及びアンテナでも受信される。この受信時刻から、RFコイル装置100と同じ遅延時間後に、RFコイル装置200の識別情報が含まれると共にRFコイル装置200固有の周波数の応答信号の電磁波が放射される。
そして、制御側無線通信装置36Aの位置信号送受信部324は、上記同様に、RFコイル装置200からの応答信号の受信時刻を算出及び記憶し、応答信号からRFコイル装置200の識別情報を取得する。この後、位置信号送受信部324は、検査信号の送信時刻と、RFコイル装置200からの応答信号の受信時刻との間の時間差から前記遅延時間を差し引いた応答時間をTA−200として算出及び記憶する。
位置信号送受信部324は、RFコイル装置100,200の各識別情報及び各応答時間TA−100,TA−200を位置取得部65に入力する。位置取得部65は、RFコイル装置100,200の各識別情報をシステム制御部61に入力し、これによりシステム制御部61は、RFコイル装置100,200が正常に装着されていることを認識する。
ここで、検査信号に対する応答時間TA−100は、制御側無線通信装置36Aのアンテナ330dと、RFコイル装置100のアンテナ130dとの距離に依存して変化する値である。従って、位置取得部65は、応答時間TA−100に基づいて、RFコイル装置100のアンテナ130dと、制御側無線通信装置36A(のアンテナ330d)との距離をDA−100として算出及び記憶する。同様に、位置取得部65は、応答時間TA−200に基づいて、RFコイル装置200のアンテナ130dと、制御側無線通信装置36A(のアンテナ330d)との距離をDA−200として算出及び記憶する。
位置取得部65は、制御側無線通信装置36Aと、各RFコイル装置100,200との各距離DA−100,DA−200を算出後、上記検査信号の送信指示を制御側無線通信装置36Bの位置信号送受信部324(図示せず)に入力する。そして、上記同様の動作が制御側無線通信装置36B−RFコイル装置100間、及び、制御側無線通信装置36B−RFコイル装置200間で同時に実行される。
即ち、制御側無線通信装置36Bの位置信号送受信部324は、検査信号の送信時刻と、RFコイル装置100からの応答信号の受信時刻との間の時間差から上記遅延時間を差し引いた応答時間をTB−100として算出する。また、制御側無線通信装置36Bの位置信号送受信部324は、検査信号の送信時刻と、RFコイル装置200からの応答信号の受信時刻との間の時間差から前記遅延時間を差し引いた応答時間をTB−200として算出する。
この後、上記同様に位置取得部65は、RFコイル装置100のアンテナ130dと制御側無線通信装置36Bとの距離をDB−100として算出及び記憶し、RFコイル装置200のアンテナ130dと制御側無線通信装置36Bとの距離をDB−200として算出及び記憶する。
位置取得部65は、制御側無線通信装置36Bと、各RFコイル装置100,200との各距離DB−100,DB−200を算出後、上記検査信号の送信指示を制御側無線通信装置36Cの位置信号送受信部324(図示せず)に入力する。そして、上記同様の動作が制御側無線通信装置36C−RFコイル装置100間、及び、制御側無線通信装置36C−RFコイル装置200間で同時に実行される。
即ち、制御側無線通信装置36Cの位置信号送受信部324は、上記同様に、検査信号の送信時刻と、RFコイル装置100からの応答信号の受信時刻との間の時間差から上記遅延時間を差し引いた応答時間をTC−100として算出する。また、制御側無線通信装置36Cの位置信号送受信部324は、検査信号の送信時刻と、RFコイル装置200からの応答信号の受信時刻との間の時間差から上遅延時間を差し引いた応答時間をTC−200として算出する。
この後、上記同様に位置取得部65は、RFコイル装置100のアンテナ130dと制御側無線通信装置36Cとの距離をDC−100として算出及び記憶し、RFコイル装置200のアンテナ130dと制御側無線通信装置36Cとの距離をDC−200として算出及び記憶する。
位置取得部65は、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cの各アンテナ330dの装置座標系での位置を記憶している。位置取得部65は、制御側無線通信装置36Aのアンテナ330dから距離DA−100の球面、制御側無線通信装置36Bのアンテナ330dから距離DB−100の球面、制御側無線通信装置36Cのアンテナ330dから距離DC−100の球面、の3つの交差点をRFコイル装置100のアンテナ130dの位置として算出及び記憶する。
また、位置取得部65は、各RFコイル装置(100,200等)の識別情報毎に、そのRFコイル装置内の位置信号応答部用のアンテナ(130d)の位置、要素コイルの数、配置のデータを記憶している。
さらに、位置取得部65は、入力装置72を介してMRI装置10Aに対し入力される撮像条件から、天板22上での被検体Pの***を取得する。ここでの***とは、体軸をZ軸方向に沿わせている、頭側をガントリ30の奥側にしている、うつ伏せか仰向けかなどの情報である。装着時のRFコイル装置100の向き(アンテナ130dがZ軸方向に正側となるように装着されているのか、等)は、被検体Pの***によってほぼ決定できる。
従って、位置取得部65は、このようにして決定できる天板22上でのRFコイル装置100の向きと、RFコイル装置100内の要素コイル106a〜106iの配置のデータと、上記のように算出されたRFコイル装置100のアンテナ130dの位置とに基づいて、各要素コイル106a〜106iの位置を算出及び記憶する。ここでの各要素コイル106a〜106iの位置とは、例えば、要素コイル106a〜106iの幾何学的中心が装置座標系でどの位置にあるか、である。
位置取得部65は、上記同様にして、3つの球面の交差点に基づいてRFコイル装置200のアンテナ130dの位置を算出及び記憶する。また、位置取得部65は、RFコイル装置200の向きと、RFコイル装置200内の要素コイル206a〜206fの配置のデータと、RFコイル装置200のアンテナ130dの位置とに基づいて、各要素コイル206a〜206fの位置を算出及び記憶する。
以上が4つの無線通信経路、及び、RFコイル装置内の各要素コイルの位置特定方法に関する説明である。
図5は、表示装置74に表示される位置決め画像に基づいて撮像領域を設定する方法の一例を示す平面模式図である。図5の上段は、左から順にアキシャル断面(Axial Cross-Section)、コロナル断面(Coronal Cross-Section)、サジタル断面(Sagittal Cross-Section)の位置決め画像をそれぞれ示す。
上記アキシャル断面、コロナル断面、サジタル断面は、患者座標系に基づく表記である。ここでは一例として、患者座標系のX軸、Y軸、Z軸を以下のように定義する。被検体Pの左右方向をX軸方向とし、腹側を前、背中側を後ろとした被検体Pの前後方向をY軸方向とする。また、およそ背骨延在方向に頭を上、足を下とした被検体Pの上下方向をZ軸方向とする。また、患者座標系のX−Y平面をアキシャル面、患者座標系のX−Z平面をコロナル面、患者座標系のY−Z平面をサジタル面とする。
図5の上段では、初期状態の撮像領域(平面的にはFOV:Field Of View)の枠が破線で示されている。操作者は、入力装置72を介してこの破線枠を移動、拡大、又は、縮小することで、撮像領域を選択できる。なお、ここでは一例として、画像の外縁の太線の枠は、撮像領域として設定できる最大範囲を示す。
図5の下段も同様に、左から順にアキシャル断面、コロナル断面、サジタル断面の位置決め画像をそれぞれ示し、各画像上の破線枠は、撮像領域を示す。図5の下段は、ユーザにより、撮像領域が選択された後を示す。第1の実施形態では、このように選択される撮像領域は、要素コイルの適正選択数を決定する一要素となる。
図6は、RFコイル装置の組み合わせと、パルスシーケンスの種類と、撮像領域とに基づいて与えられる要素コイルの適正選択数の一例を示す表である。
例えばスピンエコー法などの遅めのパルスシーケンスや、1の繰り返し時間内の空き時間が長めのパルスシーケンスでは、要素コイルの選択数が多くても、無線型RFコイル装置から制御側無線通信装置36AにMR信号のデータを無線送信する速度は、パルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従しうる。
しかし、EPI(Echo Planar Imaging)のような高速のパルスシーケンスにおいて、要素コイルの選択数が多すぎる場合、無線型RFコイル装置から制御側無線通信装置36AにMR信号のデータを無線送信する速度は、パルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従しない。一方で、要素コイルの選択数が少なすぎると、他の撮像条件に依っては、画質が劣化する。
そこで、選択部66は、各種条件に応じて、要素コイルの適正選択数のテーブルデータを(例えばMRI装置10Aの設置時から)予め記憶している。ここでの各種条件とは例えば、使用されるRFコイル装置の組み合わせ、パルスシーケンスの種類、撮像領域、の3つである。
また、上記適正選択数とは例えば、制御側無線通信装置36A側にMR信号のデータを無線送信する速度がパルスシーケンス及び画像再構成処理の進行速度に追従可能な上限の要素コイル数である。但し、要素コイルを全て選択してもパルスシーケンスの進行速度や画像再構成処理の進行速度に追従可能な場合、全要素コイルを適正選択数としてもよいし、全要素コイル数よりも少ないが十分に良好な画質を与える程度の要素コイル数を適正選択数としてもよい。
或いは、無線通信エラーの可能性をも考慮して、パルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従可能な上限の要素コイル数よりも若干少ない要素コイル数を適正選択数としてもよい。
また、上記のテーブルデータは、シミュレーションや実験により、MRI装置10Aの設置前に生成可能である。
図6の最も左の列は、上記適正選択数を決める一要素としての撮像領域の様々のパターンを示す。例えば、撮像領域内の主なターゲット組織と、撮像領域のサイズとの組み合わせのパターンが各行に入っている。図6では平面的な撮像領域のサイズのみ示されているが、実際にはボリュームデータを収集する場合の3次元的なサイズの撮像領域のパターンも含まれる。
図6の左から2番目の列は、上記適正選択数を決める一要素としてのパルスシーケンスの種類を示す。ここでは一例として、FSE(Fast Spin Echo)法やEPI法が図示されているが、実際には、MRI装置10Aで実行可能な全てのパルスシーケンスの種類が含まれる。
なお、パラレルイメージングのパラメータである高速化率が大きいと、間引き率が高く、MR信号のデータが減る。従って、パラレルイメージングの高速化率に応じて、画像再構成に十分なデータを与える要素コイル数となるように、適正選択数は定められる。
図6の左から3番目の列は、上記適正選択数を決める一要素としてのRFコイル装置の種類を示す。無線型の頭部RFコイル装置のみが使用される場合、無線型の胸部用のRFコイル装置100のみが使用される場合など、使用されうるRFコイル装置の全ての組み合わせのパターンが網羅されている。使用されうるRFコイル装置としては、有線でMRI装置10Aの天板22上の不図示のコネクタに接続されるRFコイル装置も含まれる。
選択部66は、撮像領域、パルスシーケンスの種類、RFコイル装置の組み合わせの3条件が本スキャンの条件と一致する行をテーブルデータから検索することで、要素コイルの適正選択数を決定する。なお、各行の撮像領域のパターンのどれもが、本スキャンの撮像領域に完全一致しない場合、選択部66は、テーブルデータ内で、本スキャンの撮像領域に最も近い撮像領域のパターンを一致条件として扱うことで適正選択数を決定する。また、図6に示す適正選択数は、説明を分かり易くするために示した一例にすぎず、本実施形態を限定するものではない。
図7は、撮像領域IMRの中心IMCと、RFコイル装置100の各要素コイル106a〜106iとの各距離関係の一例を示す模式図である。
図8は、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDに応じて、各要素コイル106a〜106iの受信感度を補正する感度補正係数(Sensitivity Correction Coefficient)のテーブルデータの一例を示す表である。
ここでの感度補正係数とは、ある要素コイルの至近距離内の受信感度を基準(1.0)とした場合に、各距離DDでの当該要素コイルの受信感度の値を示す係数である。以下、図7及び図8を参照しながら、適正選択数の要素コイルがどのように選択されるかを説明する。
決定された撮像領域を発信源とするMR信号に対する受信感度が高い順に、適正選択数の要素コイルが選択されることが望ましい。ここで、どの要素コイル106a〜106iも、MR信号の発信源から離れるほど、受信感度は下がる。
従って、選択部66は、単純に撮像領域IMRの中心IMCからの距離が短い順に適正選択数の要素コイルを選択してもよい。しかし、第1の実施形態では、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDに応じた感度補正係数を用いることで、撮像領域IMRの中心IMCを発信源とするMR信号に対する受信感度が高いと推定される順に、要素コイルを選択する。
より詳細には、図7の例では、要素コイル106a,106b,106fのようにサイズが小さい要素コイル程、至近距離を発信源とするMR信号に対しては高感度となるが、MR信号の発信源から離れるほど急激に受信感度が落ちる。
要素コイル106d,106hのようにサイズが大きい要素コイルは、サイズが小さい要素コイルと対比して、近距離内については受信感度が劣るが、MR信号の発信源から離れても受信感度の下がり方が緩やかになる。
図8では説明の簡単化のため、要素コイルの受信感度が基準(最大)となる至近距離を10cm以内とし、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDの最大値を40cm超としている。実際の撮像では、それよりも離れた位置にある要素コイルが選択されることは少ないからである。但し、図8に示す距離DDの分け方は一例にすぎず、例えば2cm単位で分けてもよいし、40cm超の場合についてもさらに細かく分けてもよい。
図8に示すように、要素コイル106aは、サイズが小さいので、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDが40cmを超えると、感度補正係数が0.5まで下がる。一方、要素コイル106hは、サイズが大きいので、距離DDが40cmを超えても感度補正係数0.8までしか下がらない。なお、図8の右の列に示す感度補正係数は、説明を分かり易くするために示した一例にすぎず、本実施形態を限定するものではない。
図8のような感度補正係数のデータは、シミュレーションや実験により、RFコイル装置100の製造時に生成可能であり、MRI装置10Aの設置時から選択部66に記憶される。さらに選択部66は、至近距離での各要素コイルの基準受信感度(最大受信感度)が例えば、所定強度のMR信号に対して発生する電流の振幅値でどの程度になるかのデータも記憶している。
従って、選択部66は、位置取得部65から入力される各要素コイルの位置と、システム制御部61から入力される本スキャンの撮像領域IMRに基づいて、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDを要素コイル106a〜106i毎に算出する。
選択部66は、算出した距離DDに応じて上記テーブルデータから一義的に与えられる感度補正係数を、各要素コイル(106a〜106i)の基準受信感度に乗じることで、各要素コイル(106a〜106i)の推定受信感度をそれぞれ算出する。そして、選択部66は、推定受信感度が高い順に、適正選択数の要素コイルを選択する。
図9は、第1の実施形態のMRI装置10Aの動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、前述の各図を適宜参照しながら、図9に示すステップ番号に従って、MRI装置10Aの動作の流れを説明する。
[ステップS1]システム制御部61(図1参照)は、入力装置72を介してMRI装置10Aに対して入力された撮像条件に基づいて、天板22上での被検体Pの***や、パルスシーケンスの種別などの本スキャンの撮像条件の一部を設定する。
また、ガントリ30外において、天板22が支持台21上の定位置にある状態で、被検体PにRFコイル装置100,200が装着される。この後、操作者は投光器37の位置決め光の照射位置を磁場中心に位置させたいポイントに固定する。この後、天板移動機構23は、最終的に固定された照射位置が磁場中心となるように、天板22をガントリ30内に水平移動させ、天板22の位置を一旦固定する。
この後、ステップS2に進む。
[ステップS2]天板22の位置が一旦固定されたことを契機として、位置取得部65は、前述のように検査信号の送信指示を制御側無線通信装置36Aの位置信号送受信部324(図4参照)に入力する。この後、位置取得部65は、前述のように、RFコイル装置100,200の各識別情報を取得し、制御側無線通信装置36Aと、各RFコイル装置100,200との各距離DA−100,DA−200を算出する。
次に、位置取得部65は、検査信号の送信指示を制御側無線通信装置36Bの位置信号送受信部324に入力し、制御側無線通信装置36Bと、各RFコイル装置100,200との各距離DB−100,DB−200を同様に算出する。次に、位置取得部65は、検査信号の送信指示を制御側無線通信装置36Cの位置信号送受信部324に入力し、制御側無線通信装置36Cと、各RFコイル装置100,200との各距離DC−100,DC−200を同様に算出する。
この後、ステップS3に進む。
[ステップS3]位置取得部65は、制御側無線通信装置36Aのアンテナ330dから距離DA−100の球面、制御側無線通信装置36Bのアンテナ330dから距離DB−100の球面、制御側無線通信装置36Cのアンテナ330dから距離DC−100の球面、の交差点をRFコイル装置100のアンテナ130dの位置として算出及び記憶する。同様に、位置取得部65は、RFコイル装置200のアンテナ130dの位置を算出及び記憶する。
この後、ステップS4に進む。
[ステップS4]位置取得部65は、撮像条件としての被検体Pの***をシステム制御部61から取得し、***から得られるRFコイル装置100の向きと、RFコイル装置100内の要素コイル106a〜106iの配置データと、RFコイル装置100のアンテナ130dの位置とに基づいて、各要素コイル106a〜106iの位置を算出及び記憶する。
位置取得部65は、上記同様に、RFコイル装置200のアンテナ130dの位置を算出後、RFコイル装置200の各要素コイル206a〜206fの位置を算出及び記憶する。
また、位置取得部65は、RFコイル装置100,200の各識別情報をシステム制御部61に入力し、これによりシステム制御部61は、RFコイル装置100,200が正常に装着されていることを認識する。
これにより、システム制御部61は、RFコイル装置100,200と制御側無線通信装置36Aとの間のさらなる通信を許可する通信許可指令を参照信号送信部316等の各部に入力する。
参照信号送信部316は、通信許可指令に従って、アンテナ330b−130b間の無線通信経路により、参照信号受信部116に対して、デジタルの参照信号の入力を開始する。参照信号の送信は、例えば本スキャン終了まで継続される。なお、送信される参照信号には、サンプリングのタイミングを決めるためのトリガ信号も重畳される。
この後、ステップS5に進む。
[ステップS5]システム制御部61は、MRI装置10Aの各部を制御することで、プレスキャンを実行させる。プレスキャンでは、例えば、RFパルスの中心周波数の補正値が算出される。
また、選択部66は、例えば位置決め画像の撮像領域の中心から一定範囲内の要素コイルを位置決め画像のMR信号の収集用に選択し、選択した要素コイルをいずれかの無線通信経路でRFコイル装置100,200の各制御部108に伝達する。位置決め画像のMR信号の収集用に選択された要素コイルの情報は、例えば、アンテナ330d−130d間の無線通信経路で送信可能である。
なお、位置決め画像は、本スキャンよりも粗い画素数でよく、画像数も少ないので、MR信号のデータをMRI装置の制御側に無線送信する速度が、パルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従しないといった問題は生じない。
次に、システム制御部61は、MRI装置10Aの各部を制御することで、位置決め画像用のMR信号の収集スキャンを実行させる。具体的には、静磁場電源42により励磁された静磁場磁石31によって撮像空間には静磁場が既に形成されている。また、シムコイル電源44からシムコイルユニット32に電流が供給されて、撮像空間に形成された静磁場が均一化される。
また、位置決め画像のMR信号の収集スキャンの実行中において、アンテナ330c−130c間では、ゲート信号送信部320からゲート信号受信部120にゲート信号が継続的に無線送信されている。
この後、入力装置72からシステム制御部61に撮像開始指示が入力されると、以下の<1>〜<4>の処理が順次繰り返されることで、被検体PからのMR信号が収集される。
<1>シーケンスコントローラ58は、システム制御部61から入力された位置決め画像用のパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源46、RF送信器48及びRF受信器50を駆動させることで、被検体Pの撮像部位が含まれる撮像領域に傾斜磁場を形成させると共に、RFコイルユニット34から被検体PにRFパルスを送信する。RFパルスが被検体Pに送信される期間のみ、ゲート信号は例えばオンレベルにされる。
これにより、RFコイル装置100,200の各要素コイル106a〜106i,206a〜206fはオフ状態となり、カップリングが防止される。
<2>RFパルスの送信後、各ゲート信号は例えばオフレベルに切り替えられ、各要素コイル106a〜106i,206a〜206fは、被検体P内の核磁気共鳴により生じたMR信号を検出する。ここで、RFコイル装置100,200の各制御部108,208は、非選択の要素コイル対応するプリアンプAMP(図4参照)及びA/D変換器ADCを動作させない。即ち、選択部66によって選択された要素コイル(106a〜106i,206a〜206f)に対応するプリアンプAMP及びA/D変換器ADCのみが動作する。
従って、選択された要素コイルで検出されたアナログのMR信号は、対応するプリアンプAMPに入力されて増幅された後、対応するA/D変換器ADCにそれぞれ入力される。
<3>選択された各要素コイルに対応する各A/D変換器ADCは、トリガ信号が無線送信されたタイミングに同期して、参照信号に基づいてMR信号のサンプリング及び量子化を開始し、デジタル化したMR信号をP/S変換器PSCにそれぞれ入力する。P/S変換器214は、入力されたMR信号をシリアル信号に変換し、これをデータ送信部112に入力する。データ送信部112は、シリアルのMR信号に所定の処理を施すことで無線送信用のMR信号を生成し、これをアンテナ130aからアンテナ330aに無線送信する。
<4>制御側無線通信装置36Aのデータ受信部312は、アンテナ330aで受信した無線送信用のMR信号に所定の処理を施すことで元のデジタルのMR信号を抽出し、抽出した各MR信号を周波数ダウンコンバージョン部50aに入力する。周波数ダウンコンバージョン部50aは、入力されるMR信号に周波数ダウンコンバージョンを施し、周波数が落とされたMR信号をデータ生成部50bに入力する。データ生成部50bは、所定の信号処理を施すことで、MR信号の生データを生成し、これを画像再構成部62に入力する。画像再構成部62は、MR信号の生データをk空間データに変換して保存する。
以上の<1>〜<4>の処理が繰り返されることで、RFコイル装置100,200内の選択された要素コイルで検出されたMR信号が収集される。この後、画像再構成部62は、k空間データに画像再構成処理を施すことで画像データを再構成し、得られた画像データを画像処理部64(図1参照)に入力すると共に記憶装置76に保存する。
画像処理部64は、再構成後の画像データに所定の画像処理を施すことで位置決め画像の表示用画像データを生成し、位置決め画像の表示用画像データを記憶装置76に保存する。この後、ステップS6に進む。
[ステップS6]システム制御部61は、位置決め画像の表示用画像データが示す画像を表示装置74に3次元的に表示させる。ここでの3次元的とは、例えば、アキシャル断面、コロナル断面、サジタル断面の各位置決め画像を図5のように並列表示することである。
この後、ステップS7に進む。
[ステップS7]操作者は、表示装置74に表示される位置決め画像を参照しながら、入力装置72を介して、本スキャンの撮像領域を前述のように入力する。システム制御部61は、ユーザにより指定された領域を本スキャンの撮像領域IMRとして決定後、決定した撮像領域の情報を選択部66に入力する。
この後、ステップS8に進む。
[ステップS8]選択部66は、図5及び図6で説明したように、撮像領域、パルスシーケンスの種類、本スキャンで用いられるRFコイル装置の組み合わせの3条件に基づいて、要素コイルの適正選択数を決定する。
次に、選択部66は、図7及び図8で説明したように、位置取得部65から入力される各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの位置と、本スキャンの撮像領域IMRとに基づいて、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDを各要素コイル106a〜106i,206a〜206f毎に算出する。
次に、選択部66は、距離DDに応じて前述のテーブルデータから与えられる感度補正係数を各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの基準受信感度に乗じることで、各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの推定受信感度をそれぞれ算出する。選択部66は、推定受信感度が高い順に適正選択数の要素コイル(106a〜106i,206a〜206fの少なくとも1つ)を選択する。
この後、ステップS9に進む。
[ステップS9]選択部66は、ステップS9で選択した要素コイルがどれかの情報を表示装置74に表示させる。具体的には例えば、表示装置74は、各要素コイルを円で示す模式的配置図と共に、選択された要素コイルの円を識別的な有彩色で表示することができる。
操作者は、選択部66が自動選択した要素コイルでよければ、入力装置72を介してその旨を入力する。操作者は、選択部66が自動選択した要素コイル以外の要素コイルにしたい場合、入力装置72を介して手動で要素コイルを選択することができる。但し、要素コイルの選択数が適正選択数以下となるように、選択部66及び入力装置72により入力制限がなされる。
このようにして、本スキャンで用いられる要素コイルが操作者により決定された後、システム制御部61は、ステップS10に処理を進める。
但し、本実施形態は、本スキャンで用いられる要素コイルを最終的に操作者が決定する態様に限定されるものではない。このステップS9の処理を省略してもよい。即ち、ステップS8で選択部66が選択した要素コイルを本スキャンで用いられる要素コイルとして決定し、次のステップS10に進めてもよい。
[ステップS10]システム制御部61は、ステップS9で最終決定された本スキャンで用いられる要素コイル(106a〜106i,206a〜206fの少なくとも1つ)等に基づいて、本スキャンの撮像条件を全て決定する。また、選択部66は、前述同様に例えばアンテナ330d−130d間の無線通信経路により、本スキャンで用いられる要素コイルの情報をRFコイル装置100,200の各制御部108,208に伝達する。
この後、ステップS11に進む。
[ステップS11]ステップS10までに設定された撮像条件に従って本スキャンが実行される。本スキャンのMR信号の収集動作は、どの要素コイルが用いられるか、パルスシーケンスの違い、撮像領域の違い、画素数の違い等を除き、基本的には前述した位置決め画像用のMR信号の収集動作と同様である。
本スキャンの終了後、ステップS12に進む。
[ステップS12]画像再構成部62は、本スキャンのk空間データに画像再構成処理を施すことで画像データを再構成し、得られた画像データを画像処理部64に入力すると共に記憶装置76に保存する。
画像処理部64は、再構成後の画像データに所定の画像処理を施すことで本スキャンの表示用画像データを生成し、本スキャンの表示用画像データを記憶装置76に保存する。この後、システム制御部61は、本スキャンの表示用画像データが示す画像を表示装置74に表示させる。
以上が第1の実施形態のMRI装置10Aの動作説明である。
このように第1の実施形態では、選択部66は、使用されるRFコイル装置の組み合わせ、パルスシーケンスの種類、撮像領域に応じて、予め記憶されたテーブルデータにより与えられる要素コイルの適正選択数を決定する(図5、図6、図9のステップS8参照)。このテーブルデータは、制御側無線通信装置36A側にMR信号のデータを無線送信する速度がパルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従可能な上限以下の要素コイル数を適正選択数として与える。
従って、要素コイルの選択数が多すぎるために、制御側無線通信装置36A側にMR信号のデータを無線送信する速度がパルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従しない、といった問題は生じない。
また、位置判定用の3つの制御側無線通信装置36A,36B,36Cが互いに離して配置される(図1参照)。このため、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cと、各RFコイル装置100,200との無線信号の各応答時間に基づいて、各RFコイル装置100,200の位置を正確に判定することができる(図4,図9のステップS3,S4参照)。
従って、位置取得部65は、(a)上記のように正確に算出される各RFコイル装置100,200の位置と、(b)被検体Pの***から定まる各RFコイル装置100,200の向きと、(c)各RFコイル装置100,200内の各要素コイルの配置データとに基づき、各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの位置も正確に算出できる。
さらに、選択部66は、上記のように正確に算出される各要素コイルの位置と、各要素コイルの撮像領域からの距離DDと、感度補正係数(図8参照)とに基づいて、撮像領域を発信源とするMR信号に対する各要素コイルの推定受信感度を正確に算出できる。そして、選択部66は、推定受信感度が高い順に、上記適正選択数の要素コイルを選択するので、本スキャンにおいて良好な画質が得られる。また、以上の要素コイルの選択処理は、MRI装置10A側で自動実行されるので、ユーザは煩雑な操作を行う必要がない。この結果、ユーザの利便性は大いに向上する。
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、RFコイル装置100’,200’の位置判定方法、及び、各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの位置判定方法の違いを除き、第1の実施形態と同様である。従って、重複する説明を省略し、第1の実施形態との違いのみを説明する。
図10は、第2の実施形態のMRI装置10Bの全体構成の一例を示すブロック図である。図10において、第2の実施形態で用いられるRFコイル装置100’,200’は、内部構造は図2、図3で説明した第1の実施形態のRFコイル装置100,200’とそれぞれ同様であるが、表面に多数の識別マークが付されている点のみが異なる(次の図11参照)。
また、第2の実施形態のMRI装置10Bは、第1の実施形態のMRI装置10Aの制御側無線通信装置36B,36Cの代わりに、選択マーク取得機構38(図12参照)と、これを制御する選択マーク取得部37とを有する。この選択マーク取得機構38は、不図示のデジタルカメラを内蔵する。選択マーク取得機構38は、デジタルカメラにより、前述の識別マークを認識する。
なお、第2の実施形態では、制御側無線通信装置36Aは、RFコイル装置100’,200’の位置判定に関する動作を実行しない点を除き、第1の実施形態と同様に機能する。即ち、制御側無線通信装置36Aは、本スキャン用に選択された要素コイルがどれかを示すデータの送信や、RFコイル装置100’,200’からの識別信号の取得、MR信号のデータの受信を実行する。
図11は、第2の実施形態の各RFコイル装置100’,200’の各カバー部材104’,204’の表面に付された多数の識別マークの例を示す平面模式図である。ここでは一例として、RFコイル装置100’のカバー部材104’上には、1〜46の黒字の数字と、大文字のアルファベットのA〜Zの計72個の識別マークが付されている。また、RFコイル装置200’のカバー部材204’上には、1〜14の白抜き数字と、小文字のアルファベットのa〜zの計40個の識別マークが付されている。
なお、図11に示す各識別マークは、一例に過ぎない。RFコイル装置100’,200’の表面の位置を識別マークにより指定可能な構成であればよいので、例えば、絵文字や記号を用いてもよい。
また、図11内の横方向の一点鎖線は、天板22の幅方向(X軸方向)の中央のライン、即ち、X=0のラインを示す。ここでは一例として、次の図12で説明するようにRFコイル装置100’上の識別マーク(29)が磁場中心に位置するように、被検体Pが天板22上において仰向けで若干右寄りに配置されている。
図12は、第2の実施形態のMRI装置10Bのガントリ30の入り口近辺の構造の一例を示す模式的斜視図である。
天板移動機構23は、支持台21上における天板22の所定部分(例えばガントリ30とは反対側の端)の定位置と、磁場中心の位置とをZ軸座標で記憶している。また、操作者は、例えば支持台21の側面に設置された不図示の操作ボタンにより、天板22を水平移動させることで、投光器37の照射位置をZ軸方向に移動可能である。
従って、天板移動機構23は、投光器37による照射位置が最終固定された時点での天板22の所定部分のZ軸座標と、磁場中心のZ軸座標に基づき、最終固定された照射位置が磁場中心に位置するように、天板22を水平移動させる。
図12の例では、RFコイル装置100’上の識別マーク(29)の部分が投光器37の照射位置として最終固定される。この場合、選択マーク取得機構38は、デジタルカメラにより投光器37の照射位置を撮像後、得られた画像データにパターンマッチング解析を施すことで照射位置の識別マークを判定する。選択マーク取得機構38は、不図示の配線を介して、投光器37の照射位置の識別マークの情報を位置取得部65に入力する。
なお、ここでは説明の簡単化のため、天板22は幅方向(X軸方向)には移動しないものとする。従って、操作者は、天板22上で被検体Pを左右に若干動かすことで、撮像したいターゲット箇所を天板22の幅方向の中央(図11の一点鎖線上)に配置させることができる。
位置取得部65は、各RFコイル装置(100’,200’)上の識別マークの色彩、模様、及び、配置の態様のデータをRFコイル装置の識別情報毎に記憶している。位置取得部65は、以下の3つの情報に基づいて、RFコイル装置100’の中心位置、及び、各要素コイル106a〜106iの位置を算出する。
第1には、選択マーク取得機構38から入力される識別マークの情報であり、この例ではRFコイル装置100’の識別マーク(29)の位置が磁場中心に位置することを判定できる。第2に、撮像条件としての被検体Pの***から得られるRFコイル装置100’の向きの情報である。第3に、第1の実施形態で述べたRFコイル装置100’の各要素コイル106a〜106iの配置データである。
また、ここでは一例として、位置取得部65は、各RFコイル装置100’,200’から無線送信される各識別情報により、識別マークで認識済のRFコイル装置100’以外に、RFコイル装置200’の存在を認識する。
また、位置取得部65は、複数のRFコイル装置が用いられる場合のRFコイル装置同士の位置関係を与えるテーブルデータをMRI装置10Bの設置時から予め記憶している。このテーブルデータは、複数のRFコイル装置の組み合わせと、天板22上での被検体Pの***と、被検体Pの身長とに基づき、各RFコイル装置の中心位置同士が、Z軸方向、X軸方向、Y軸方向にどれだけ離れるかのデータを与える。このようなテーブルデータは、実験やシミュレーションによりMRI装置10Bの設置前に得ることができる。
そして、位置取得部65は、RFコイル装置100’の中心位置と、上記テーブルデータとに基づいてRFコイル装置200’の中心位置を算出後、第1の実施形態と同様にRFコイル装置200’内の各要素コイル206a〜206fの位置を算出する。
なお、第2の実施形態の位置判定のポイントは、磁場中心などの特定位置に配置されるのは、RFコイル装置のどこかの位置特定情報を得る点にある。従って、例えば手動により、この位置特定情報を入力する構成とし、選択マーク取得機構38を省略してよい。その場合、操作者は、例えばRFコイル装置の識別情報と、そのRFコイル装置のどの識別マークの部分を磁場中心に位置させたいかの情報とを入力装置72から入力できる。
図13は、第2の実施形態のMRI装置10Bの動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、前述の各図を適宜参照しながら、図13に示すステップ番号に従って、MRI装置10Bの動作の流れを説明する。
[ステップS21]第1の実施形態の図9のステップS1と同様に、システム制御部61(図10参照)は、入力装置72を介して入力される撮像条件に基づいて、天板22上での被検体Pの***、被検体Pの身長などの本スキャンの撮像条件の一部を設定する。また、天板22が支持台21上の定位置にある状態で、被検体PにRFコイル装置100,200が装着される。この後、操作者は、投光器37の位置決め光の照射位置が、磁場中心に位置させたいポイントに固定されるように、天板22を水平移動させる(或いは天板22上で被検体Pを左右に移動させる)。
この後、ステップS22に進む。
[ステップS22]位置決め光の照射位置の固定後、選択マーク取得機構38は、前述のように照射位置を撮像して得られる画像データを解析することで、照射位置の識別マークを判定し、照射位置の識別マークの情報を位置取得部65に入力する。位置取得部65は、識別マークの情報により、どのRFコイル装置が磁場中心に配置されるかを判定する。ここでは一例として、RFコイル装置100’が磁場中心に配置されるものとして説明するが、RFコイル装置200’が磁場中心に配置される場合も動作は同様である。
この後、ステップS23に進む。
[ステップS23]天板移動機構23は、前述のように、最終固定された照射位置が磁場中心に位置するように、天板22を水平移動させる。
この後、ステップS24に進む。
[ステップS24]天板22の位置が一旦固定されたことを契機として、位置取得部65は、各RFコイル装置100’,200’の識別信号の取得指示を制御側無線通信装置36Aの位置信号送受信部324(図4参照)に入力する。
この後、各RFコイル装置100’,200’の各位置信号応答部124は、アンテナ130dから各識別情報を制御側無線通信装置36Aのアンテナ330dに無線送信し、位置信号取得部324は、アンテナ330dで受信した各識別情報を位置取得部65に入力する。これにより、位置取得部65は、識別マークでは認識していないRFコイル装置として、RFコイル装置200’の存在を認識する。さらに、位置取得部65は、天板22上での被検体Pの***、被検体Pの身長をシステム制御部61から取得する。
次に、位置取得部65は、ステップS22で取得した識別マークの情報と、被検体Pの***から得られるRFコイル装置100’の向きと、RFコイル装置100’内の各要素コイル106a〜106iの配置データとに基づいて、RFコイル装置100’の中心位置、及び、各要素コイル106a〜106iの位置を算出及び記憶する。
次に、位置取得部65は、以下の条件に基づいてRFコイル装置200’のRFコイル装置100’の中心位置を算出する。第1には、複数のRFコイル装置が用いられる場合のRFコイル装置同士の位置関係を与えるテーブルデータである。第2に、RFコイル装置の組み合わせであり、この例ではRFコイル装置100’200’の2つが用いられることである。第3に、被検体Pの***から得られるRFコイル装置200’の向きである。第4に、被検体Pの身長である。
次に、位置取得部65は、RFコイル装置200’の中心位置に基づいて、第1の実施形態と同様にしてRFコイル装置200’内の各要素コイル206a〜206fの位置を算出及び記憶する。
この後、ステップS25に進む。
[ステップS25〜S32]第1の実施形態の図9のステップS5〜S12の処理とそれぞれ同様であるので、重複する説明を省略する。
以上が第2の実施形態の構成及び動作の説明である。
重複する説明を省略したが、第2の実施形態においても、選択部66は、使用されるRFコイル装置の組み合わせ、パルスシーケンスの種類、撮像領域に応じて、テーブルデータにより与えられる要素コイルの適正選択数を決定する(図13のステップS28)。このテーブルデータは、MR信号のデータを無線送信する速度がパルスシーケンスや画像再構成処理の進行速度に追従可能な上限以下の要素コイル数を適正選択数として与える。従って、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
以上説明した各実施形態によれば、無線型RFコイル装置からMRI装置の受信器側にMR信号のデータを無線送信する速度を、パルスシーケンスの進行速度や画像再構成処理の進行速度に追従させることができる。
<各実施形態の補足事項>
[1]第1の実施形態では、検査信号の送信から応答信号の受信までの応答時間に基づいて各制御側無線通信装置36A,36B,36Cと、RFコイル装置100のアンテナ130dとの距離DA−100,DB−100,DC−100を算出する例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
例えば、検査信号に対する応答信号の減衰の程度に基づいて、各制御側無線通信装置36A,36B,36Cと、RFコイル装置100のアンテナ130dとの距離DA−100,DB−100,DC−100を算出してもよい。
この場合、図4において各制御側無線通信装置36Aは、アンテナ330dから検査信号を所定の電磁波強度で発信し、RFコイル装置100の位置信号応答部124は、アンテナ130dにより受信する検査信号の強度を測定する。そして、位置信号応答部124は、RFコイル装置毎に固有の第1の遅延時間後に、検査信号と同じ周波数で、且つ、測定した受信時の電磁波強度で、RFコイル装置100の識別情報が含まれる応答信号をアンテナ130dから放射する。
同様に、RFコイル装置200の位置信号応答部は、アンテナにより受信する検査信号の強度を測定し、RFコイル装置200に固有の第2の遅延時間後に、検査信号と同じ周波数で、且つ、測定した受信時の電磁波強度で、RFコイル装置200の識別情報が含まれる応答信号をアンテナから放射する。
第1の遅延時間、第2の遅延時間が異なるので、制御側無線通信装置36Aの位置信号送受信部324は、各RFコイル装置100,200からの各応答信号をアンテナ330dにより時分割で受信し、各応答信号の強度を測定する。この後、位置信号送受信部324は、各応答信号を解析して識別情報を取得し、各応答信号の発信元のRFコイル装置を判定する。
次に、位置信号送受信部324は、例えば検査信号の強度を100%とした場合のRFコイル装置100からの応答信号の受信強度(減衰比)及びRFコイル装置200からの応答信号の受信強度(減衰比)を位置取得部65に入力する。位置取得部65は、入力された情報に基づいて、各RFコイル装置100,200のアンテナ130dと、制御側無線通信装置36Aのアンテナ330dとの各距離を算出する。
次に、位置取得部65は、制御側無線通信装置36Bに同様の動作を指令し、各RFコイル装置100,200のアンテナ130dと、制御側無線通信装置36Bのアンテナ330dとの各距離を算出後、制御側無線通信装置36Cに対して同様の動作を指令し、各RFコイル装置100,200のアンテナ130dと、制御側無線通信装置36Cのアンテナ330dとの各距離を算出する。
このように、検査信号の送信強度に対する応答信号の受信強度(減衰比)で距離を判定する場合、各RFコイル装置100,200の応答信号の周波数は、例えば検査信号の周波数に統一することが望ましい。電磁波は、周波数が高くなるほどエネルギーの減衰が激しく、周波数が異なると減衰比が異なるからである。
[2]第1の実施形態では、図4で述べたように位置信号送受信部324及びアンテナ330dが検査信号の送信及び応答信号の受信を兼用し、位置信号応答部124及びアンテナ130dが検査信号の受信及び応答信号の送信を兼用する例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
制御側無線通信装置36Aにおいてアンテナの数を増やし、検査信号の送信及び応答信号を別々のアンテナで実行してもよい。RFコイル装置100についても同様である。
図14は、第1の実施形態の変形例として、検査信号の送信及び応答信号を別々のアンテナで実行する場合のデジタル無線通信系統のブロック図である。
図14の制御側無線通信装置36Aにおいて、検査信号送信部324a及びアンテナ330dは、前述同様に検査信号を送信し、応答信号受信部324b及びアンテナ330eは前述同様に応答信号を受信し、受信により得られた識別情報や距離情報(応答時間)を位置取得部65に入力する。
また、図14のRFコイル装置100において、検査信号受信部124a及びアンテナ130dは、前述同様に検査信号を受信し、応答信号送信部124b及びアンテナ130eは前述同様に応答信号を送信する。その他の構成は、図4で説明した第1の実施形態の構成と同様である。
[3]第1及び第2の実施形態では、無線型の胸部用のRFコイル装置100,100’及び無線型の骨盤部用のRFコイル装置200,200’が用いられる例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。MRI装置10A,10Bは、RFコイル装置100,100’,200,200’に加えて、肩用RFコイル装置、膝用RFコイル装置などの各種の装着型RFコイル装置をMR信号の受信用に使用可能である。
また、MRI装置10A,10Bは、不図示の接続ポートを天板22上に有し、無線型のRFコイル装置に限らず、有線型のRFコイル装置も使用可能である。ここでの有線型のRFコイル装置とは、被検体Pに装着され、接続ポートにケーブル接続され、検出したMR信号のデータを有線で接続ポート経由により送信するものである。以上の各RFコイル装置も前述同様に、MRI装置10A,10Bの一部として捉えてもよいし、MRI装置10A,10Bとは独立した別個の構成要素として捉えてもよい。
[4]撮像領域が立方体に近い場合、図7及び図8で説明したように、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDに基づいて、各要素コイルの推定受信感度を算出する構成で何ら問題ない。一方、最も長い辺と、最も短い辺との長さの差が大きい直方体状の撮像領域の場合を考える。この場合、選択部66は、上記最も長い辺を一定倍、上記最も短い辺を同じ一定倍にした楕円体状の領域を算出し、この楕円体状の領域を相似形で徐々に拡大しながら、この楕円体状の領域に入る要素コイルを適正選択数だけ選択してもよい。
第1及び第2の実施形態では、選択部66は、撮像領域IMRの中心IMCからの距離DDと、感度補正係数により推定受信感度を算出するが、これは一例にすぎない。例えば、撮像領域の中心がほぼ磁場中心となるように天板22が位置する場合、選択部66は、磁場中心からの距離と、感度補正係数により推定受信感度を算出し、同様に推定受信感度の高い順に適正選択数の要素コイルを選択してもよい。
第1及び第2の実施形態において、感度補正係数による推定受信感度の算出を省略してもよい。即ち、第1及び第2の実施形態において、選択部66は、撮像領域の中心からの距離DDが近い順に、適正選択数の要素コイルを選択してもよい(撮像領域の中心が磁場中心とほぼ合致する場合には、磁場中心からの距離が近い順に選択してもよい)。
[5]上記各実施形態では、選択部66が識別情報毎に各RFコイル装置100,100’,200,200’内の各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの配置のデータを予め記憶している例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
選択部66が識別情報毎に各RFコイル装置内の各要素コイルの配置のデータを記憶せずに、無線通信により各要素コイルの配置データを取得する構成でもよい。第1の実施形態も第2の実施形態も、各RFコイル装置100,100’,200,200’から各識別情報が制御側無線通信装置36Aに無線送信される構成なので、例えば、各要素コイルの配置データを識別情報に含めてもよい。
[6]請求項の用語と実施形態との対応関係を説明する。なお、以下に示す対応関係は、参考のために示した一解釈であり、本発明を限定するものではない。
撮像領域を設定する入力を受け付ける入力装置72、入力装置72に対する入力内容に基づいて撮像領域及びパルスシーケンスを設定するシステム制御部61は、請求項記載の設定部の一例である。
第1の実施形態における制御側無線通信装置36A,36B,36Cは、請求項記載の第1無線通信部の一例である。
第1の実施形態における位置信号応答部124及びアンテナ130dは、請求項記載の第2無線通信部の一例である。
第2の実施形態における制御側無線通信装置36Aは、請求項記載の無線通信部の一例である。
選択部66に記憶されたデータであって、撮像領域IMRの中心IMCから距離DDに応じた各要素コイル106a〜106i,206a〜206fの受信感度の下がり方を示す感度補正係数(図8参照)は、請求項記載の受信感度の変化のデータの一例である。
選択マーク取得機構38は、請求項記載の選択マーク取得部の一例である。
[6]本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。