フォーカスレンズを移動することによってレンズ系の重心位置が変化するという課題があった。重心位置の変化に敏感な系においては、フォーカシング時の重心位置の変化によって大きな影響を受ける場合がある。
本発明の一態様に係るレンズ系は、物体側より順に、正又は負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第1フォーカスレンズ群と、負の屈折力を有する第2フォーカスレンズ群とを備える。第1フォーカスレンズ群は少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズを有する。第2フォーカスレンズ群は少なくとも一つの負の屈折力を有するレンズを有する。無限遠から近距離へのフォーカシングにおいて、第1レンズ群は位置が固定され、第1フォーカスレンズ群は物体側に移動し、第2フォーカスレンズ群は像側に移動する。第1フォーカスレンズ群の焦点距離をfp、第2フォーカスレンズ群の焦点距離をfnとすると、条件式
0.5 < |fp/fn| < 9.0
を満足する。
第2フォーカスレンズ群の無限遠合焦状態における横倍率をβf2、第2フォーカスレンズ群から最も像側のレンズまでのレンズ群の無限遠合焦状態における横倍率をβf2Rとすると、条件式
−3.0 ≦(1−βf2 2 )βf2R 2 ≦ −0.4
を満足してよい。
レンズ系は、正の屈折力を有する単レンズと、負の屈折力を有する単レンズとを少なくとも含み、正の屈折力を持つ単レンズ及び負の屈折力を持つ単レンズが同じ材料で形成されてよい。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
図1は、無人航空機(UAV)100及びコントローラ50を備える移動体システム10の一例を概略的に示す。UAV100は、UAV本体101、ジンバル110、複数の撮像装置230、及び撮像装置220を備える。撮像装置220は、レンズ装置160及び撮像部140を備える。UAV100は、撮像装置を備えて移動する移動体の一例である。移動体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。
UAV本体101は、複数の回転翼を備える。UAV本体101は、複数の回転翼の回転を制御することでUAV100を飛行させる。UAV本体101は、例えば、4つの回転翼を用いてUAV100を飛行させる。回転翼の数は、4つには限定されない。UAV100は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
撮像装置230は、所望の撮像範囲に含まれる被写体を撮像する撮像用のカメラである。複数の撮像装置230は、UAV100の飛行を制御するためにUAV100の周囲を撮像するセンシング用のカメラである。撮像装置230は、UAV本体101に固定されていてよい。
2つの撮像装置230が、UAV100の機首である正面に設けられてよい。さらに他の2つの撮像装置230が、UAV100の底面に設けられてよい。正面側の2つの撮像装置230はペアとなり、いわゆるステレオカメラとして機能してよい。底面側の2つの撮像装置230もペアとなり、ステレオカメラとして機能してよい。複数の撮像装置230により撮像された画像に基づいて、UAV100の周囲の3次元空間データが生成されてよい。複数の撮像装置230により撮像された被写体までの距離は、複数の撮像装置230によるステレオカメラにより特定され得る。
UAV100が備える撮像装置230の数は4つには限定されない。UAV100は、少なくとも1つの撮像装置230を備えていればよい。UAV100は、UAV100の機首、機尾、側面、底面、及び天井面のそれぞれに少なくとも1つの撮像装置230を備えてもよい。撮像装置230は、単焦点レンズ又は魚眼レンズを有してもよい。UAV100に係る説明において、複数の撮像装置230を、単に撮像装置230と総称する場合がある。
コントローラ50は、表示部54と操作部52を備える。操作部52は、UAV100の姿勢を制御するための入力操作をユーザから受け付ける。コントローラ50は、操作部52が受け付けたユーザの操作に基づいて、UAV100を制御するための信号を送信する。例えば、操作部52は、レンズ装置160の倍率を変更する操作を受け付ける。コントローラ50は、倍率の変更を指示する信号をUAV100に送信する。
コントローラ50は、撮像装置230及び撮像装置220の少なくとも一方が撮像した画像を受信する。表示部54は、コントローラ50が受信した画像を表示する。表示部54はタッチ式のパネルであってよい。コントローラ50は、表示部54を通じて、ユーザから入力操作を受け付けてよい。表示部54は、撮像装置220に撮像させるべき被写体の位置をユーザが指定するユーザ操作等を受け付けてよい。
撮像部140は、レンズ装置160により結像された光学像の画像データを生成して記録する。レンズ装置160は、撮像部140と一体的に設けられてよい。レンズ装置160は、いわゆる交換レンズであってよい。レンズ装置160は、撮像部140に対して着脱可能に設けられてよい。
ジンバル110は、撮像装置220を可動に支持する支持機構を有する。撮像装置220は、ジンバル110を介してUAV本体101に取り付けられる。ジンバル110は、撮像装置220を、ピッチ軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル110は、撮像装置220を、ロール軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル110は、撮像装置220を、ヨー軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル110は、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の少なくとも1つの軸を中心に、撮像装置220を回転可能に支持してよい。ジンバル110は、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸のそれぞれを中心に、撮像装置220を回転可能に支持してよい。ジンバル110は、撮像部140を保持してもよい。ジンバル110は、レンズ装置160を保持してもよい。ジンバル110は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸の少なくとも1つを中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させることで、撮像装置220の撮像方向を変更してよい。
図2は、UAV100の機能ブロックの一例を示す。UAV100は、インタフェース102、制御部104、メモリ106、ジンバル110、撮像部140、及びレンズ装置160を備える。
インタフェース102は、コントローラ50と通信する。インタフェース102は、コントローラ50から各種の命令を受信する。制御部104は、コントローラ50から受信した命令に従って、UAV100の飛行を制御する。制御部104は、ジンバル110、撮像部140、及びレンズ装置160を制御する。制御部104は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。メモリ106は、制御部104がジンバル110、撮像部140、及びレンズ装置160を制御するのに必要なプログラムなどを格納する。
メモリ106は、コンピュータが可読な記録媒体でよい。メモリ106は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ106は、UAV100の筐体に設けられてよい。UAV100の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
ジンバル110は、制御部112、ドライバ114、ドライバ116、ドライバ118、駆動部124、駆動部126、駆動部128、及び支持機構130を有する。駆動部124、駆動部126及び駆動部128は、モータであってよい。
支持機構130は、撮像装置220を支持する。支持機構130は、撮像装置220の撮像方向を可動に支持する。支持機構130は、撮像部140及びレンズ装置160をヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸を中心に回転可能に支持する。支持機構130は、回転機構134、回転機構136、及び回転機構138を含む。回転機構134は、駆動部124を用いてヨー軸を中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させる。回転機構136は、駆動部126を用いてピッチ軸を中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させる。回転機構138は、駆動部128を用いてロール軸を中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させる。
制御部112は、制御部104からのジンバル110の動作命令に応じて、ドライバ114、ドライバ116、及びドライバ118に対して、それぞれの回転角度を示す動作命令を出力する。ドライバ114、ドライバ116、及びドライバ118は、回転角度を示す動作命令に従って駆動部124、駆動部126、及び駆動部128を駆動させる。回転機構134、回転機構136、及び回転機構138は、駆動部124、駆動部126、及び駆動部128によりそれぞれ駆動されて回転し、撮像部140及びレンズ装置160の姿勢を変更する。
撮像部140は、レンズ系300を通過した光により撮像する。撮像部140は、制御部222、撮像素子221及びメモリ223を備える。制御部222は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部222は、制御部104からの撮像部140及びレンズ装置160に対する動作命令に応じて、撮像部140及びレンズ装置160を制御する。制御部222は、コントローラ50から受信した信号に基づいて、レンズ装置160にフォーカス位置を移動させる指示する制御命令をレンズ装置160に出力する。
メモリ223は、コンピュータが可読な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ223は、撮像部140の筐体の内部に設けられてよい。撮像部140の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
撮像素子221は、撮像部140の筐体の内部に保持され、レンズ装置160を介して結像された光学像の画像データを生成して、制御部222に出力する。制御部222は、撮像素子221から出力された画像データをメモリ223に格納する。制御部222は、画像データを、制御部104を介してメモリ106に出力して格納してもよい。
レンズ装置160は全長固定レンズである。レンズ装置160は、単焦点レンズである。レンズ装置160は、制御部162、メモリ163、駆動機構161、及びレンズ系300を備える。レンズ系300は、3つ又は4つのレンズ群を有する。レンズ系300が4群構成の場合、レンズ系300は、物体側から順に、第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、及び第4レンズ群304を備える。なお、レンズ系300が3群構成の場合、レンズ系300は、物体側から順に、第1レンズ群301、第2レンズ群302及び第3レンズ群303を有する。本実施形態の説明において、レンズ系300の光軸のことを、単に「光軸」と呼ぶ場合がある。また、「レンズ群」とは、1つ以上のレンズのまとまりのことをいう。単一のレンズから構成されるレンズのことも「レンズ群」と呼ぶ。
制御部162は、制御部222からの制御命令に従って、第2レンズ群302及び第3レンズ群303を光軸に沿って移動させる。第2レンズ群302及び第3レンズ群303は、レンズ装置160におけるフォーカス機能を担う。第2制御部162は、フォーカシング時に、第2レンズ群302及び第3レンズ群303を光軸に沿って移動させる。レンズ装置160のレンズ系300により結像された像は、撮像部140により撮像される。
駆動機構161は、第2レンズ群302及び第3レンズ群303を少なくとも駆動する。駆動機構161は、例えばアクチュエータと、第2レンズ群302及び第3レンズ群303を保持する保持部材とを備える。アクチュエータには、制御部162から駆動用のパルスが供給される。アクチュエータは、供給されたパルスに応じた駆動量だけ変位する。アクチュエータの変位に応じて保持部材が変位することにより、第2レンズ群302及び第3レンズ群303が変位する。
レンズ装置160は、撮像部140と一体的に設けられてよい。レンズ装置160は、いわゆる交換レンズであってよい。レンズ装置160は、撮像部140に対して着脱可能に設けられてよい。
撮像装置230は、制御部232、制御部234、撮像素子231、メモリ233、及びレンズ235を備える。制御部232は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部232は、制御部104からの撮像素子231の動作命令に応じて、撮像素子231を制御する。
制御部234は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部234は、制御部104からのレンズ235に対する動作命令に応じて、レンズ235の焦点距離を制御する。制御部234は、レンズ235に対する動作命令に応じて、レンズ235の焦点を制御してよい。制御部234は、レンズ235に対する動作命令に応じて、レンズ235が有する絞りを制御してよい。
メモリ233は、コンピュータが可読な記録媒体であってよい。メモリ233は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。
撮像素子231は、レンズ235を介して結像された光学像の画像データを生成して、制御部232に出力する。制御部232は、撮像素子231から出力された画像データをメモリ233に格納する。
本実施形態では、UAV100が、制御部104、制御部112、制御部222、制御部232、制御部234、及び制御部162を備える例について説明する。しかし、制御部104、制御部112、制御部222、制御部232、制御部234、及び制御部162のうちの複数で実行される処理をいずれか1つの制御部が実行してよい。制御部104、制御部112、制御部222、制御部232、制御部234、及び制御部162で実行される処理を1つの制御部で実行してもよい。本実施形態では、UAV100が、メモリ106、メモリ223、及びメモリ233を備える例について説明する。メモリ106、メモリ223、及びメモリ233のうちの少なくとも1つに記憶される情報は、メモリ106、メモリ223、及びメモリ233のうちの他の1つ又は複数のメモリに記憶してよい。
レンズ系300の具体的な構成について説明する。第1レンズ群301は、正又は負の屈折力を有する。第2レンズ群302は、正の屈折力を有する。第2レンズ群302は、第1フォーカスレンズ群として機能する。第3レンズ群303は、負の屈折力を有する。第3レンズ群303は、第2フォーカスレンズ群として機能する。第2レンズ群302は、少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズを有する。第3レンズ群303は、少なくとも一つの負の屈折力を有するレンズを有する。無限遠から近距離へのフォーカシングにおいて、第1レンズ群301は位置が固定される。
無限遠から近距離へのフォーカシングにおいて、第2レンズ群302は物体側に移動し、第3レンズ群303は像側に移動する。すなわち、無限遠から近距離へのフォーカシングにおいて、第2レンズ群302と第3レンズ群303の間隔が増大する。
第2レンズ群302の焦点距離をfp、第3レンズ群303の焦点距離をfnとすると、条件式
0.5 < |fp/fn| < 9.0 (条件式1)
を満足する。
レンズ系300は、フォーカシングにおいて、撮像素子221に対して第1レンズ群301の位置が固定されている。レンズ系300は、全長固定レンズ用のレンズ系である。フォーカシングを担う第2レンズ群302及び第3レンズ群303は、互いに異なる符号の屈折力を有する。このように、第2レンズ群302及び第3レンズ群303が互いに異なる感度を持つことで、フォーカシング時に像ブレが生じる方向をキャンセルする方向に作用する。さらに、第2レンズ群302の屈折力を比較的に弱くして、正の屈折力を有する第2レンズ群302を、負の屈折力を有する第3レンズ群303より前側に配置させる。これにより、フォーカス敏感度を低減することができ、像ブレを効果的に抑えることができる。
レンズ系300においては、第2レンズ群302及び第3レンズ群303は、光軸方向に互いに異なる方向に移動する。これにより、レンズ系300の重心位置の変化を抑制することができる。係る構成は、UAV100等の移動体等のように、重心位置の変化の影響を受けやすい機器に搭載されるレンズ系に好適である。
条件式1の上限以上になる場合、すなわち第1フォーカスレンズ群の屈折力が比較的に弱過ぎる場合、第2フォーカスレンズ群の移動量が第1フォーカスレンズ群の移動量より大幅に増加するため、フォーカシング時の重心変化量が大きくなってしまう。条件式1の下限以下になる場合、すなわち第1フォーカスレンズ群の屈折力が比較的に強過ぎる場合、フォーカシング時のレンズ群の移動に対するフォーカス敏感度が大きくなってしまう。
上述したように、第2レンズ群302の屈折力を比較的に弱くすると、第3レンズ群303の移動量が第2レンズ群302の移動量より増加して、重心変化量が大きくなる傾向にある。第2レンズ群302の屈折力を比較的に強くすると、フォーカシング時のレンズ群の移動に対するフォーカス敏感度が大きくなる傾向にある。そのため、以下の条件式1−2を満足することがより好ましい。
0.7 < |fp/fn| < 8.5 (条件式1−2)
硝材の具体例について説明する。第2レンズ群302は少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズからなる。第3レンズ群303は、少なくとも一つの負の屈折力を有するレンズからなる。第3レンズ群303が最も物体側にある場合において、第2レンズ群302と第3レンズ群303の合成焦点距離fpnが正である場合は、第2レンズ群302における正の屈折力が最も大きいレンズのd線における屈折率をn1、アッベ数をv1とし、第2フォーカスレンズ群における負の屈折力の大きさが最も大きいレンズのd線における屈折率をn2、アッベ数をv2とすると、
n1<n2
v1>v2
を満足することが好ましい。一方、第3レンズ群303が最も物体側にある場合において、第2レンズ群302と第3レンズ群303の合成焦点距離fpnが負である場合は、
n1>n2
v1<v2
を満足することが好ましい。このような硝材配置にすることにより、フォーカシング時の色収差変動を低減することができる。
無限撮影状態における全系の焦点距離をfiとすると、条件式
0.5< |fp/fi| <8.0 (条件式2)
を満足する。
条件式2は、第2レンズ群302と全系の屈折力の関係を規定する。条件式2の上限以上になる場合、例えば第1フォーカスレンズ群の屈折力が小さくなり過ぎる場合、正と負のレンズ群のパワーバランスが悪くなるため、全体の重心変化量が大きくなってしまう。また、像ブレも拡大してしまう。また、第1フォーカスレンズ群を第1レンズ群の後ろに配置する場合、絞りに近い第1フォーカスレンズ群の焦点距離が大きくなり過ぎると光線の収束が緩やかになり過ぎるため、レンズ系の全長が長くなってしまう。一方、条件式2の下限以下になる場合、第1フォーカスレンズ群の屈折力が強くなり過ぎ、第1フォーカスレンズ群の屈折力がレンズ系全体に対して相対的に過大となり、レンズ系の重心変化の抑制と像ブレの低減が困難になる場合がある。また、軸上色収差が大きくなる傾向がある。これに対し、条件式2を満足することにより、諸収差を良好に補正することができる。また、軸上色収差を抑制することができる。また、全長をコンパクトにすることができる。重心変化量をより小さくするためには、条件式2−2を満足することがより好ましい。
0.9< |fp/fi| <7.5 (条件式2−2)
第3レンズ群303の無限遠合焦状態における横倍率をβf2、第3レンズ群303から最も像側のレンズまでのレンズ群の無限遠合焦状態における横倍率をβf2Rとすると、条件式
−3.0 ≦(1−βf2 2 )βf2R 2 ≦ −0.4 (条件式3)
を満足することが好ましい。
条件式3は、第3レンズ群303の移動距離に対する像面の軸上の移動距離の割合を規定する。フォーカスレンズ群の移動距離に対する像面の軸上の移動距離の割合は、フォーカス敏感度を表す。第3レンズ群303の屈折力が負であるため、フォーカス敏感度の符号は負になる。条件式3の上限を上回る場合、第2フォーカスレンズ群のフォーカス敏感度が弱くなり、無限遠から近距離までのフォーカシングに要するフォーカスレンズ群の移動量が増加するので、レンズ系の全長が長くなってしまう。条件式3の下限を下回る場合、第2フォーカスレンズ群の移動に対する像面の移動量が大きくなる。そのため、より高精度のフォーカシング機構及びフォーカス制御が必要になり、コストが増加してしまう。また、条件式3の上限を超える又は条件式3の下限を下回ると、第1フォーカスレンズ群及び第2フォーカスレンズ群のいずれか一方が担う屈折力が大きくなるので、フォーカシング時の重心変化量が大きくなってしまう。
上述したように、条件式3の上限に近くなるほど、レンズ系300の全長が長くなる傾向にある。また、条件式3の下限に近くなるほど、高精度のフォーカスが必要になる傾向にある。また、条件式3の上限又は下限に近くなるほど、フォーカシング時の重心変化量が大きくなる傾向にある。そのため、次の条件式3−2を満足することがより好ましい。
−2 ≦(1−βf2 2 )βf2R 2 ≦ −0.6 (条件式3−2)
無限遠状態における最も物体側のレンズの最も物体側のレンズ面から像面まで光軸上の全長をTAL、結像像高をYとすると、条件式
2.0 < TAL/Y < 5.0 (条件式4)
を満足することが好ましい。
条件式4の上限以上になると、レンズ系の全長が長くなり、レンズ系全体のサイズが大きくなってしまう。条件式4の下限以下になると、像面に入射する周辺光線の角度が大きくなり過ぎる。そのため、撮像素子への入射光の入射角度制限を満たすことが容易でなくなる。
レンズ系300において最も像側のレンズが、正又は負の屈折力を有し、像側に凸の形状を有することが望ましい。後述するように、レンズ系300において最も像側のレンズが、正の屈折力を有し、像側に凸の形状を有する構成も採用することができる。
像側の凸の形状を有することで、撮像素子221側に配置される光学フィルタ等の光学素子表面から反射された光線を画角外に偏角させることができる。これにより、内部反射による面間ゴーストを低減することができる。
より具体的には、レンズ系300において最も像側のレンズの物体側の面の曲率半径R1及び像側の面の曲率半径R2が、次の条件式を満足することが好ましい。
−0.3 <(R2−R1)/(R2+R1)<5.1 (条件式A)
また、レンズ系300において最も像側のレンズが負の屈折力を持つ単レンズの場合、次の条件式を満足することがより好ましい。
0.1 <(R2−R1)/(R2+R1)<1.5 (条件式A−2)
レンズ系300において最も物体側のレンズが、負の屈折力を持つ単レンズであることが好ましい。レンズ系300において最も物体側のレンズが負の屈折力を有することで、光線を発散した後に収束させるので、収差をキャンセルし易い。また、軸上の球面収差や軸外の像面湾曲の補正にも有利である。
より具体的には、レンズ系300において最も物体側のレンズの焦点距離をf_L1、無限撮影状態における全系の焦点距離をfiとすると、次の条件式
−4.0 < f_L1/fi < −0.2 (条件式5)
を満足することが好ましい。
条件式5の上限以上になる場合、例えば第1レンズ群の屈折力が強くなり過ぎると、最も物体側のレンズにより光線が強く発散される。これに伴い、像側の各レンズの屈折力を強くする必要が生じる。そのため、各レンズの敏感度が強くなり、組立製造が容易でなくなる。条件式5の下限以下になる場合、例えば第1レンズ群の屈折力が弱くなり過ぎると、第1レンズ群のレンズ構成が崩れてしまい、レンズ全長が長くなってしまう。また、軸上収差及び軸外収差の補正にも不利になる。
上述したように、条件式5の上限に近くなるほど、各レンズの敏感度が強くなる傾向にある。また、条件式5の下限に近くなるほど、レンズの全長が長くなる傾向にある。そのため、次の条件式を満足することがより好ましい。
−3 < f_L1/fi <−1 (条件式5−2)
第2レンズ群302及び第3レンズ群303の少なくとも一方のフォーカスレンズ群が、少なくとも1枚の非球面レンズを有することが好ましい。非球面レンズとして、ガラスモールドレンズ、樹脂非球面、樹脂非球面レンズ等を適用できる。いずれかのフォーカスレンズ群に非球面レンズを用いることで、無限遠から近距離までの収差バランスを取り易くなる。そのため、小型で高性能なレンズに有利であること。第2レンズ群302及び第3レンズ群303のそれぞれが、少なくとも1枚の非球面レンズを有することがより好ましい。
レンズ系300は、正の屈折力を有する単レンズと、負の屈折力を有する単レンズとを少なくとも含む。正の屈折力を有する単レンズ及び負の屈折力を有する単レンズが同じ材料であることが好ましい。特に、レンズの材料としてプラスチックを用いる場合、環境温度が変化すると光学特性が大きく変化する。正の屈折力を有する単レンズ及び負の屈折力を有する単レンズを同じ材料とすることで、光学特性の変化をキャンセルする効果がある。これにより、レンズの材料にプラスチック材料を用いることが可能になる。そのため、レンズの材料としてガラスを用いる場合に比べて、レンズ系300全体を軽くすることができる。また、フォーカスレンズ群を軽量化することができるので、フォーカスレンズ群を駆動する駆動力を低減することができる。
なお、無限遠から近距離へのフォーカシングにおいて、第4レンズ群304の位置は固定であってよい。この場合、第2レンズ群302及び第3レンズ群303がフォーカスレンズ群として機能する。一方、無限遠から近距離へのフォーカシングにおいて、第4レンズ群304の位置が可動であってよい。この場合、第2レンズ群302、第3レンズ群303、及び第4レンズ群304が、フォーカスレンズ群として機能してよい。なお、後述するように、第4レンズ群304を備えない構成を採用できる。すなわち、第3レンズ群303より像側に設けられるレンズを備えない構成を採用できる。この場合、最も像側の第2レンズ群302及び第3レンズ群303が、フォーカスレンズ群として機能する。
以上に説明したレンズ系300によれば、正の屈折力を有する第1フォーカスレンズ群と負の屈折力を有する第2フォーカスレンズ群を備え、第1フォーカスレンズ群及び第2フォーカスレンズ群を逆方向に移動させて像面変動を抑える。これにより、フォーカシングにおけるレンズ系300の重心位置の変動を抑制することができる。また、小型で光学特性が良好なレンズ系300を提供し得る。
図3は、第1実施例におけるレンズ系400のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。レンズ系400は、物体側から順に、第1レンズ群401と、第2レンズ群402と、第3レンズ群403とを備える。撮像素子221の物体側には光学フィルタCGが設けられている。第1レンズ群401、第2レンズ群402及び第3レンズ群403は、それぞれ、レンズ系300における第1レンズ群301、第2レンズ群302及び第3レンズ群303に対応する。
レンズ系400は3群構成を有する。なお、各実施例の説明において、「Ln」はレンズを示す。ここで、Lに続くnは、1以上の整数である。nは、物体側からn番目のレンズであることを示す。
ここで、レンズ系の各実施例の説明で用いられる記号等の意味を説明する。レンズ系が有する複数の面は、面番号iで識別される。物体側からみてレンズの最初の面を第1面とし、以降、光線が面を通過する順に面番号をカウントアップする。「Di」は、第i番目の面と第i+1番目の面との間の光軸上の間隔を示す。
「f」は焦点距離を示す。「Fno」はFナンバーを示す。「R」は曲率半径を示す。曲率半径において、「INF」は平面であることを示す。「n」は屈折率を示す。「v」は、アッベ数を示す。屈折率n及びアッベ数vは、d線(λ=587.6nm)における値である。
表1は、第1実施例におけるレンズ系400が有するレンズのレンズデータを示す。なお、表1において、Di、n及びvは面番号iに対応づけて示されている。表1において、面間隔D9、D11及びBFは、後で示されるように、フォーカシング対象の距離によって変化する。
表1において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表2は、非球面形状を有する面の面番号と、非球面パラメータとを示す。表2において、「κ」は、円錐定数(コーニック定数)を示す。「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、それぞれ4次、6次、8次、10次、及び12次の非球面係数である。また、非球面係数において、「E−i」は10を底とする指数表現を示す。すなわち、「E−i」は、「10
−i」を表す。例えば、「1.973324E−04」は、「1.973324×10
−4」を表す。
「x」をレンズ面の頂点からの光軸方向における距離とし、「y」を光軸に垂直な方向における高さとし、「c」をレンズの頂点における近軸曲率とした場合、非球面形状は次の式によって定義される。
x=cy2/(1+(1−(1+κ)c2y2)1/2)+Ay4+By6+Cy8+Dy10
なお、「x」はサグ量とも呼ばれる。「y」は像高とも呼ばれる。近軸曲率は、曲率半径の逆数である。
表3は、無限遠と近距離の物体に対してフォーカシングした場合のレンズ系400の焦点距離、Fナンバー、並びに、面間隔D9、D11及びBFの値を示す。
表4は、第1レンズ群401、第2レンズ群402、及び第3レンズ群403のそれぞれの焦点距離を示す。
図3等に示されるように、第1レンズ群401は、絞りSを含み、正の屈折力を有する。第2レンズ群402は、正の屈折力を有し、第1フォーカスレンズ群として機能する。第3レンズ群403は、負の屈折力を有し、第2フォーカスレンズ群として機能する。
第1レンズ群401は、物体側から順に、非球面レンズL1、接合レンズL2/L3、絞りS、接合レンズL4/L5を備えている。非球面レンズL1は、像側の面が凹の形状を有し、負の屈折力を有する。接合レンズL2/L3は、両凸レンズと負のメニスカスレンズとを隣接させて形成されており、正の屈折力を有する。接合レンズL4/L5は、物体側の面が凹の形状を有し、負レンズと両凸レンズとを隣接させて形成されており、正の屈折率を有する。
第2レンズ群402は、正の屈折力を有し、両面が非球面形状を有する単レンズからなる。第3レンズ群403は、物体側の面が凹の形状を有する負のメニスカス非球面レンズからなる。
レンズ系400において、フォーカスレンズ群は、第2レンズ群402及び第3レンズ群403から構成される。図3の矢印に模式的に示されるように、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に、第2レンズ群402は物体側に移動させ、第3レンズ群403は像面側へ移動させる。このとき、第2レンズ群402の移動と、第3レンズ群403の移動とは関連付けられている。第1レンズ群401はフォーカシングの際に固定される。
図4は、レンズ系400の無限遠の物体に対する球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。球面収差において、実線はd線(587.56nm)、短破線はg線(435.84nm)、長破線はc線(656.3nm)の値を示す。非点収差において、実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、第1実施例におけるレンズ系400は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
図5は、第2実施例におけるレンズ系500のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。レンズ系500は、物体側から順に、第1レンズ群501と、第2レンズ群502と、第3レンズ群503と、第4レンズ群504とを備える。撮像素子221の物体側には光学フィルタCGが設けられている。第1レンズ群501、第2レンズ群502、第3レンズ群503、及び第4レンズ群504は、それぞれ、レンズ系300における第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、及び第4レンズ群304に対応する。
表5は、第2実施例におけるレンズ系500が有するレンズのレンズデータを示す。なお、表5において、Di、n及びvは面番号iに対応づけて示されている。表5において、面間隔D9、D11及びD13は、後で示されるように、フォーカシング対象の距離によって変化する。
表5において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表6は、非球面形状を有する面の面番号と、非球面パラメータとを示す。表6において、「κ」は、円錐定数(コーニック定数)を示す。「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、それぞれ4次、6次、8次、10次、及び12次の非球面係数である。また、非球面係数において、「E−i」は10を底とする指数表現を示す。すなわち、「E−i」は、「10
−i」を表す。例えば、「4.256792E−04」は、「4.256792×10
−4」を表す。
表7は、無限遠と近距離の物体に対してフォーカシングした場合のレンズ系500の焦点距離、Fナンバー、並びに、面間隔D9、D11及びD13を示す。
表8は、第1レンズ群501、第2レンズ群502、第3レンズ群503、及び第4レンズ群504のそれぞれの焦点距離を示す。
図5等に示されるように、第1レンズ群501は、絞りSを含み、正の屈折力を有する。第2レンズ群502は、正の屈折力を有し、第1フォーカスレンズ群として機能する。第3レンズ群503は、負の屈折力を有し、第2フォーカスレンズ群として機能する。第4レンズ群504は、負の屈折力を有する。
第1レンズ群501は、物体側から順に、非球面レンズL1、接合レンズL2/L3、絞りS、接合レンズL4/L5を備えている。非球面レンズL1は、像側の面が凹の形状を有し、負の屈折力を有する。接合レンズL2/L3は、両凸レンズと負のメニスカスレンズとを隣接させて形成されており、正の屈折力を有する。接合レンズL4/L5は、物体側の面が凹の形状を有する負レンズと、両凸レンズとを隣接させて形成されており、正の屈折率を有する。
第2レンズ群502は、正の屈折力を有し、両面が非球面形状を有する単レンズL6からなる。第3レンズ群503は、物体側の面が凹の形状を有する負のメニスカス非球面レンズL7からなる。第4レンズ群504は、物体側の面が凹の形状を有するメニスカス単レンズL8からなる。
レンズ系500において、フォーカスレンズ群は、第2レンズ群502及び第3レンズ群503から構成される。図5の矢印に模式的に示されるように、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に、第2レンズ群502は物体側に移動させ、第3レンズ群503は像面側へ移動させる。このとき、第2レンズ群402の移動と、第3レンズ群403の移動とは関連付けられている。第1レンズ群501及び第4レンズ群504は、フォーカシングの際に固定される。
図6は、レンズ系500の無限遠の物体に対する球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。球面収差において、実線はd線(587.56nm)、短破線はg線(435.84nm)、長破線はc線(656.3nm)の値を示す。非点収差において、実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、第2実施例におけるレンズ系500は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
図7は、第3実施例におけるレンズ系700のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。レンズ系700は、物体側から順に、第1レンズ群701と、第2レンズ群702と、第3レンズ群703と、第4レンズ群704とを備える。第1レンズ群701、第2レンズ群702、第3レンズ群703、及び第4レンズ群704は、それぞれ、レンズ系300における第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、及び第4レンズ群304に対応する。
表9は、第3実施例におけるレンズ系700が有するレンズのレンズデータを示す。なお、表9において、Di、n及びvは面番号iに対応づけて示されている。表9において、面間隔D6、D9及びD13は、後で示されるように、フォーカシング対象の距離によって変化する。
表9において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表10は、非球面形状を有する面の面番号と、非球面パラメータとを示す。表10において、「κ」は、円錐定数(コーニック定数)を示す。「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、それぞれ4次、6次、8次、10次、及び12次の非球面係数である。また、非球面係数において、「E−i」は10を底とする指数表現を示す。すなわち、「E−i」は、「10
−i」を表す。例えば、「8.779636E−03」は、「8.779636×10
−3」を表す。
表11は、無限遠と近距離の物体に対してフォーカシングした場合のレンズ系700の焦点距離、Fナンバー、並びに面間隔D6、D9、及びD13を示す。
表12は、第1レンズ群701、第2レンズ群702、第3レンズ群703、及び第4レンズ群704のそれぞれの焦点距離を示す。
図7等に示されるように、第1レンズ群701は、絞りSを含み、正の屈折力を有する。第2レンズ群702は、正の屈折力を有し、第1フォーカスレンズ群として機能する。第3レンズ群703は、負の屈折力を有し、第2フォーカスレンズ群として機能する。第4レンズ群704は、正の屈折力を有する。
第1レンズ群701は、物体側から順に、非球面レンズL1、接合レンズL2/L3、及び絞りSを備えている。非球面レンズL1は、物体側の面が凹の形状を有し、負の屈折力を有する。接合レンズL2/L3は、両凸レンズと、物体側の面が凹の形状を有する負のメニスカスレンズとを隣接させて形成されている。
第2レンズ群702は、接合レンズL4/L5からなる。接合レンズL4/L5は、両面が凹の形状を有する負レンズと両凸レンズとを隣接させて形成されており、正の屈折率を有する。第3レンズ群703は、像側の面が凹の形状を有する正のメニスカス非球面レンズL6と、物体側の面が凹の形状を有する負のメニスカス非球面レンズL7からなる。第4レンズ群704は、物体側の面が凹の形状を有する、正のメニスカス両面非球面単レンズL8からなる。
レンズ系700において、フォーカスレンズ群は、第2レンズ群702及び第3レンズ群703から構成される。図7の矢印に模式的に示されるように、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に、第2レンズ群702は物体側に移動させ、第3レンズ群703は像面側へ移動させる。このとき、第2レンズ群402の移動と、第3レンズ群403の移動とは関連付けられている。第1レンズ群701及び第4レンズ群704は、フォーカシングの際に固定される。
図8に、レンズ系700の無限遠の物体に対する球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。球面収差において、実線はd線(587.56nm)、短破線はg線(435.84nm)、長破線はc線(656.3nm)の値を示す。非点収差において、実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、第3実施例におけるレンズ系700は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
図9は、第4実施例におけるレンズ系900のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。レンズ系900は、物体側から順に、第1レンズ群901と、第2レンズ群902と、第3レンズ群903と、第4レンズ群904とを備える。撮像素子221の物体側には光学フィルタCGが設けられている。第1レンズ群901、第2レンズ群902、第3レンズ群903、及び第4レンズ群904は、それぞれ、レンズ系300における第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、及び第4レンズ群304に対応する。
表13は、第4実施例におけるレンズ系900が有するレンズのレンズデータを示す。なお、表13において、Di、n及びvは面番号iに対応づけて示されている。表13において、面間隔D9、D11及びD13は、後で示されるように、フォーカシング対象の距離によって変化する。
表13において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表14は、非球面形状を有する面の面番号と、非球面パラメータとを示す。表14において、「κ」は、円錐定数(コーニック定数)を示す。「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、それぞれ4次、6次、8次、10次、及び12次の非球面係数である。また、非球面係数において、「E−i」は10を底とする指数表現を示す。すなわち、「E−i」は、「10
−i」を表す。例えば、「9.600047E−03」は、「9.600047×10
−3」を表す。
表15は、無限遠と近距離の物体に対してフォーカシングした場合のレンズ系900の焦点距離、Fナンバー、並びに、面間隔D9、D11及びD13を示す。
表16は、第1レンズ群901、第2レンズ群902、第3レンズ群903、及び第4レンズ群904のそれぞれの焦点距離を示す。
図9等に示されるように、第1レンズ群901は、絞りSを含み、正の屈折力を有する。第2レンズ群902は、正の屈折力を有し、第1フォーカスレンズ群として機能する。第3レンズ群903は、負の屈折力を有し、第2フォーカスレンズ群として機能する。第4レンズ群904は、正の屈折力を有する。
第1レンズ群901は、物体側から順に、非球面レンズL1、接合レンズL2/L3、絞りS、接合レンズL4/L5を備えている。非球面レンズL1は、物体側の面が凹の形状を有し、負の屈折力を有する。接合レンズL2/L3は、像側の面が凸の形状を有するメニスカスレンズと物体側の面が凹の形状を有するメニスカスレンズとを隣接させて形成されている。接合レンズL4/L5は、両側の面が凹の形状を有する負レンズと、両凸レンズとを隣接させて形成されており、正の屈折率を有する。
第2レンズ群902は、正の屈折力を有し、像側の面が凹の形状を有する正のメニスカス非球面単レンズL6からなる。第3レンズ群903は、物体側の面が凹の形状を有する負のメニスカス非球面単レンズL7からなる。第4レンズ群904は、正の屈折率を有する非球面単レンズL8からなる。
レンズ系900において、フォーカスレンズ群は、第2レンズ群902及び第3レンズ群903から構成される。図9の矢印に模式的に示されるように、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に、第2レンズ群902は物体側に移動させ、第3レンズ群903は像面側へ移動させる。このとき、第2レンズ群402の移動と、第3レンズ群403の移動とは関連付けられている。第1レンズ群901及び第4レンズ群904は、フォーカシングの際に固定される。
図10に、レンズ系900の無限遠の物体に対する球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。球面収差において、実線はd線(587.56nm)、短破線はg線(435.84nm)、長破線はc線(656.3nm)の値を示す。非点収差において、実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、第4実施例におけるレンズ系900は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
図11は、第5実施例におけるレンズ系1100のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。レンズ系1100は、物体側から順に、第1レンズ群1101と、第2レンズ群902と、第3レンズ群1103とを備える。撮像素子221の物体側には光学フィルタCGが設けられている。第1レンズ群1101、第2レンズ群1102、及び第3レンズ群1103は、それぞれ、レンズ系300における第1レンズ群301、第2レンズ群302、及び第3レンズ群303に対応する。
表17は、第5実施例におけるレンズ系1100が有するレンズのレンズデータを示す。なお、表17において、Di、n及びvは面番号iに対応づけて示されている。表17において、面間隔D9、D11及びBFは、後で示されるように、フォーカシング対象の距離によって変化する。
表17において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表18は、非球面形状を有する面の面番号と、非球面パラメータとを示す。表18において、「κ」は、円錐定数(コーニック定数)を示す。「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、それぞれ4次、6次、8次、10次、及び12次の非球面係数である。また、非球面係数において、「E−i」は10を底とする指数表現を示す。すなわち、「E−i」は、「10
−i」を表す。例えば、「−1.570703E−05」は、「−1.570703×10
−5」を表す。
表19は、無限遠と近距離の物体に対してフォーカシングした場合のレンズ系1100の焦点距離、Fナンバー、並びに、面間隔D9、D11及びBFを示す。
表20は、第1レンズ群1101、第2レンズ群1102、及び第3レンズ群1103のそれぞれの焦点距離を示す。
図11等に示されるように、第1レンズ群1101は、絞りSを含み、正の屈折力を有する。第2レンズ群1102は、正の屈折力を有し、第1フォーカスレンズ群として機能する。第3レンズ群1103は、負の屈折力を有し、第2フォーカスレンズ群として機能する。
第1レンズ群1101は、物体側から順に、非球面レンズL1、接合レンズL2/L3、絞りS、接合レンズL4/L5を備えている。非球面レンズL1は、像側の面が凹の形状を有し、負の屈折力を有する。接合レンズL2/L3は、両凸レンズとメニスカスレンズとを隣接させて形成されている。接合レンズL4/L5は、物体側の面が凹の形状を有する負レンズと、両凸レンズとを隣接させて形成されており、正の屈折率を有する。
第2レンズ群1102は、正の屈折力を有する非球面単レンズL6からなる。第3レンズ群1103は、物体側の面が凹の形状を有する負のメニスカス非球面単レンズL7からなる。
レンズ系1100において、フォーカスレンズ群は、第2レンズ群1102及び第3レンズ群1103から構成される。図11の矢印に模式的に示されるように、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に、第2レンズ群1102は物体側に移動させ、第3レンズ群1103は像面側へ移動させる。このとき、第2レンズ群402の移動と、第3レンズ群403の移動とは関連付けられている。第1レンズ群1101は、フォーカシングの際に固定される。
図12は、レンズ系1100の無限遠の物体に対する球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。球面収差において、実線はd線(587.56nm)、短破線はg線(435.84nm)、長破線はc線(656.3nm)の値を示す。非点収差において、実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、第5実施例におけるレンズ系1100は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
表21は、第1実施例〜第5実施例における条件式に係る数値をまとめて示す。
以上に説明したレンズ系によれば、正負のフォーカスレンズ群によりフローティングフォーカスを行うことで、フォーカスレンズ群の移動によるレンズ系の重心位置の変化を抑制することができる。UAV100においては、撮像装置220の重心位置が変化すると、ジンバル110により撮像装置220の姿勢の制御が行われる。上述したレンズ系によれば、フォーカシング時の重心位置の変化を抑制することができるので、ジンバル110によって姿勢を大きく制御することを抑制できる。これにより、合焦スピードを高めることができる場合がある。また、正負のフォーカスレンズ群を逆方向に移動させることで、フォーカス時の像ブレを低減することができる。また、フォーカスレンズ群の移動量を小さくすることができる。
図13は、スタビライザ800の一例を示す外観斜視図である。スタビライザ800は、移動体の他の一例である。例えば、スタビライザ800が備えるカメラユニット813が、撮像装置220と同様の構成の撮像装置を備えてよい。カメラユニット813が、レンズ装置160と同様の構成のレンズ装置を備えてよい。
スタビライザ800は、カメラユニット813、ジンバル820、及び持ち手部803を備える。ジンバル820は、カメラユニット813を回転可能に支持する。ジンバル820は、パン軸809、ロール軸810、及びチルト軸811を有する。ジンバル820は、パン軸809、ロール軸810、及びチルト軸811を中心に、カメラユニット813を回転可能に支持する。ジンバル820は、支持機構の一例である。
カメラユニット813は、撮像装置の一例である。カメラユニット813は、メモリを挿入するためのスロット812を有する。ジンバル820は、ホルダ807を介して持ち手部803に固定される。
持ち手部803は、ジンバル820、カメラユニット813を操作するための各種ボタンを有する。持ち手部803は、シャッターボタン804、録画ボタン805、及び操作ボタン806を含む。シャッターボタン804が押下されることで、カメラユニット813により静止画を記録することができる。録画ボタン805が押下されることで、カメラユニット813により動画を記録することができる。
デバイスホルダ801が持ち手部803に固定されている。デバイスホルダ801は、スマートフォンなどのモバイルデバイス802を保持する。モバイルデバイス802は、WiFiなどの無線ネットワークを介してスタビライザ800と通信可能に接続される。これにより、カメラユニット813により撮像された画像をモバイルデバイス802の画面に表示させることができる。
スタビライザ800においても、フォーカスレンズ群の移動による重心位置の変化を抑制することができる。
以上、移動体の一例としてUAV100及びスタビライザ800を取り上げて説明した。撮像装置220と同様の構成を有する撮像装置は、UAV100及びスタビライザ以外の移動体に取り付けられてよい。
以上において、移動体に取り付けられる撮像装置について説明した。しかし、撮像装置220と同様の構成を有する撮像装置は、移動体に取り付けられる撮像装置に限られない。撮像装置220と同様の構成は、いわゆるコンパクトデジタルカメラ等のレンズ非交換式のカメラに適用できる。レンズ装置160と同様の構成は、一眼レフレックスカメラ等のレンズ交換式カメラの交換レンズに適用できる。レンズ装置160と同様の構成は、ビデオカメラ等に適用できる。レンズ装置160と同様の構成は、撮像用の様々なレンズ装置の構成に適用できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。