以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態による紙幣処理機や出納機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の概略を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機の機能ブロック図であり、図3は、図1に示す紙幣処理機により行われる精査処理を途中で停止させるときの動作を示すフローチャートである。また、図4は、本実施の形態による紙幣処理機の他の構成の概略を示す概略構成図であり、図5は、本発明に係る出納機の構成を示す斜視図である。
本実施の形態の説明を行うにあたり、図1乃至図3では、機体内にある貨幣の在高を確認する精査処理を行う貨幣処理機として、機体内の一括紙幣収納庫や金種別紙幣収納庫に収納された紙幣の在高を確認する精査処理を行う紙幣処理機を例に挙げて述べる。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機100は略直方体形状の筐体102を有しており、この紙幣処理機100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120は紙幣処理機100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
また、図1に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。
図1に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152は紙幣処理機100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣処理機100の筐体102に設けられた扉(図示せず)を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、紙幣処理機100に併設された帯封紙幣処理機(図示せず)により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。そして、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束は、帯封紙幣処理機のアーム部190によってこれらの整理一時保留部160から取り出され、帯封紙幣処理機の帯封部(図示せず)に搬送されるようになる。また、図1に示すように、出金識別部148により識別された紙幣を出金搬送部150により表裏反転部118に送ることができるようになっており、出金搬送部150により表裏反転部118に送られた紙幣は入金搬送部114により一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送されるようになっている。
また、図1に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である出金搬送部150にも設けられている。
また、本実施の形態の紙幣処理機100には、当該紙幣処理機100の各構成要素の制御を行う制御部200(図1では図示せず)が設けられている。このような制御部200の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、制御部200には紙幣繰出部112、入金搬送部114、入金識別部116、表裏反転部118、一括一時保留部130、金種別一時保留部132、紙幣繰出部144、下部搬送部146、出金識別部148、出金搬送部150、分岐部材170、紙幣検出センサ180、紙幣厚さ検知センサ182、半券検知センサ184、アーム部190等がそれぞれ接続されている。そして、入金識別部116や出金識別部148による紙幣の識別結果に係る信号や、紙幣検出センサ180、紙幣厚さ検知センサ182、半券検知センサ184による紙幣の検知結果に係る信号等が制御部200に送られるようになっている。また、制御部200は、紙幣繰出部112、入金搬送部114、表裏反転部118、一括一時保留部130、金種別一時保留部132、紙幣繰出部144、下部搬送部146、出金搬送部150、分岐部材170、アーム部190等の各構成要素に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、図2に示すように、制御部200には表示部202、操作部204、停止指令受付手段206、記憶部208がそれぞれ接続されている。表示部202は例えば紙幣処理機100の筐体102の前面や上面に設けられたモニタ等からなり、紙幣処理機100における紙幣の処理状況や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報等が表示部202に表示されるようになっている。また、操作部204は例えばキーボードや操作キー等からなり、操作者はこの操作部204により制御部200に対して様々な指令を与えることができるようになっている。なお、表示部202および操作部204がそれぞれ設けられる代わりに、表示部202および操作部204の機能が一体化されたタッチパネル等の操作表示部が紙幣処理機100の筐体102の前面や上面に設けられていてもよい。また、停止指令受付手段206は、後述する精査処理の停止指令を受け付けるようになっている。このような停止指令受付手段206の構成の詳細については後述する。また、記憶部208には、紙幣処理機100における紙幣の処理状況や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報等が記憶されるようになっている。
次に、このような構成からなる紙幣処理機100の動作について説明する。なお、以下に示すような紙幣処理機100の動作は、制御部200が当該紙幣処理機100の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
まず、紙幣処理機100において入金処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機100が待機状態となっているときに、操作者が入金処理開始の指令を操作部204により制御部200に入力するとともに、紙幣投入部110にバラ紙幣を投入すると、紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送されるようになる。そして、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別される。入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられる。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られる。入金リジェクト部120は紙幣処理機100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出されると、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出し、紙幣投入部110に再投入等するようになる。
一方、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、入金搬送部114により一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られ、これらの一時保留部で一時的に保留されるようになる。具体的には、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、対応する金種の金種別一時保留部132に送られるが、この対応する金種の金種別一時保留部132が満杯状態である場合には、当該紙幣は一括一時保留部130に送られるようになる。そして、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出され、入金リジェクト部120、一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られると、表示部202には操作者に対して入金確定の指令を促すメッセージが表示される。このときに、操作者が操作部204により入金確定の指令を入力すると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留されている紙幣が、対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られ、これらの紙幣収納庫に収納されるようになる。このようにして、紙幣処理機100における入金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣処理機100により出金処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機100が待機状態となっているときに、操作者が出金処理開始の指令および出金すべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等を操作部204により制御部200に入力すると、出金すべき金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。なお、紙幣処理機100において出金処理が完了した後に出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣処理機100の筐体102に設けられた扉(図示せず)を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すこととなる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られ、このバラ紙幣投出部152に集積される。バラ紙幣投出部152は紙幣処理機100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣処理機100において出金処理が完了すると、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積された紙幣を手動で取り出すようになる。このようにして、紙幣処理機100における出金処理に係る一連の動作が完了する。
また、図1に示すような紙幣処理機100に帯封紙幣処理機(図示せず)が併設されている場合には、紙幣処理機100において以下に示すような束紙幣作成処理を行うことができるようになっている。このような束紙幣作成処理について以下に説明する。
紙幣処理機100が待機状態となっているときに、帯封紙幣処理機により帯封紙幣を作成する旨の指令を操作者が操作部204により制御部200に入力すると、帯封紙幣処理機により作成されるべき帯封紙幣の金種に該当する紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られる。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される。そして、帯封紙幣を構成すべき所定枚数(例えば100枚)の紙幣が各整理一時保留部160に集積されると、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束は、帯封紙幣処理機のアーム部190によってこれらの整理一時保留部160から取り出され、帯封紙幣処理機の帯封部(図示せず)に搬送される。このようにして、紙幣処理機100における束紙幣作成処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣処理機100により精査処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機100が待機状態となっているときに、操作者が精査処理開始の指令を操作部204により制御部200に入力すると、あるいは金融機関や店舗等の営業時間外の予め設定された時刻になると、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について、これらの一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出して出金識別部148により識別および計数を行い、識別および計数が行われた紙幣を当該紙幣が繰り出された一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に戻すような精査処理が行われる。具体的には、一括紙幣収納庫140に収納された紙幣について、当該一括紙幣収納庫140から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別および計数が行われる。ここで、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150から表裏反転部118に送られる。そして、表裏反転部118に送られた紙幣は当該表裏反転部118によりその表裏が整えられた後、一括紙幣収納庫140に対応する一括一時保留部130に送られて当該一括一時保留部130で一時的に保留される。そして、一括紙幣収納庫140から紙幣が全て繰り出されて一括一時保留部130に送られると、一括一時保留部130で一時的に保留されている紙幣が一括紙幣収納庫140に送られる。
より厳密には、一括一時保留部130が一括紙幣収納庫140に比べて容積が小さくなっているので、一括紙幣収納庫140に収納されている紙幣の枚数が多くて、一括一時保留部130に一度に入りきらないときは、一括一時保留部130が満杯になった時点でこの紙幣を一括紙幣収納庫140に送る。一括紙幣収納庫140内は昇降自在のセパレータ
(図示せず)で仕切られており、一括一時保留部130から送られた計数済みの紙幣はこのセパレータ上に集積していく。セパレータの下側には精査処理すべき未計数の紙幣が収納されており、計数済みの紙幣と未計数の紙幣が混合することはない。そして空になった一括一時保留部130へ一括紙幣収納庫140から紙幣を計数して送り込む。この動作を繰り返して一括紙幣収納庫140内に収納されていた全ての紙幣の計数を行う。計数済みの全ての紙幣はセパレータ上に集積される。そしてセパレータが一括紙幣収納庫140の外側へ退避してセパレータ上の紙幣をセパレータの下側の元の位置に戻す。なお、以上の動作は、後述の金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の精査処理における金種別紙幣収納庫142と金種別一時保留部132との関係についても同じである。
また、各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について、金種別紙幣収納庫142毎に、金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別および計数が行われる。ここで、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150から表裏反転部118に送られる。そして、表裏反転部118に送られた紙幣は当該表裏反転部118によりその表裏が整えられた後、当該紙幣が繰り出された金種別紙幣収納庫142に対応する金種別一時保留部132に送られて当該金種別一時保留部132で一時的に保留される。そして、金種別紙幣収納庫142から紙幣が全て繰り出されて金種別一時保留部132に送られると、金種別一時保留部132で一時的に保留されている紙幣が金種別紙幣収納庫142に送られる。このような動作は金種別紙幣収納庫142毎に行われる。
なお、図1では一括一時保留部130と一括紙幣収納庫140は分離独立していているが、一括一時保留部130と一括紙幣収納庫140とが外見上は一体的になっていて、一括一時保留部130と一括紙幣収納庫140とを図示しない上下動するセパレータで区画した態様のものについても同じことである。この場合、セパレータはその上に載置された紙幣(これが一括一時保留部130に一時保留された紙幣に相当)の枚数が多くなるにつれて下降していき、一括紙幣収納庫140から繰出された全ての紙幣は一度に一括一時保留部130に保留されるようになっている。そして、一括紙幣収納庫140から紙幣が全て繰り出されて一括一時保留部130に送られると、セパレータが一括紙幣収納庫140の外側へ退避して、セパレータ上の紙幣を一括紙幣収納庫140に送るようになっている。なお、各金種別一時保留部132と対応する各金種別紙幣収納庫142についても、同様の態様のものを用いることができる。
本実施の形態では、上述したような精査処理が行われている間に、当該精査処理を途中で停止させることができるようになっている。このような精査処理を途中で停止させるときの動作について図3に示すフローチャートを用いて説明する。
上述したように一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について精査処理が行われているときに(STEP1)、操作者が操作部204により精査処理の停止指令を入力すると、停止指令受付手段206により精査処理の停止指令が受け付けられるようになる(STEP2の「YES」)。そして、停止指令受付手段206により精査処理の停止指令が受け付けられると、表示部202には停止確認画面が表示される(STEP3)。具体的には、例えば、「精査処理を停止してもよろしいですか?」というメッセージが表示部202に表示されるようになる。このような停止確認画面が表示部202に表示されているときに、操作者が操作部204により停止処理を行うことの確認指令を入力すると(STEP4の「YES」)、精査処理が停止されるようになる(STEP5)。一方、上述したような停止確認画面が表示部202に表示されているときに、操作者が操作部204により停止処理を行うことをキャンセルする指令を入力すると(STEP4の「NO」)、精査処理が再開されるようになる(STEP1)。
精査処理が停止されると、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から下部搬送部146への紙幣の繰り出しが停止される。また、精査処理が停止されると、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から既に繰り出されて下部搬送部146や出金搬送部150、入金搬送部114により搬送されている紙幣は、当該紙幣が繰り出された一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に対応する一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に送られるようになる。そして、下部搬送部146や出金搬送部150、入金搬送部114により搬送されている紙幣が全て一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に送られると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132で一時的に保留されている紙幣が対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られる。また、図1に示すような構成の紙幣処理機100では、精査処理が停止されると、当該精査処理が行われている間における出金識別部148による紙幣の計数結果が破棄され、精査処理を再開する際には最初から精査処理をやり直すようになる。
なお、図1に示すような構成の紙幣処理機100では、精査処理を再開する際に途中から精査処理をやり直そうとした場合に、以下に示すような問題が生じてしまう。具体的には、精査処理が中断されている間に紙幣の入金処理が行われる場合には、この入金された紙幣は一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に送られるようになる。このときには、これらの一時保留部には精査済の紙幣および入金された紙幣が混合状態で保留されるようになるため、これらの一時保留部に保留されている紙幣の枚数が不確定となってしまうという問題が生じてしまう。また、精査処理が中断されている間に紙幣の出金処理が行われる場合には、各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣がバラ紙幣投出部152に送られるようになるため、各金種別紙幣収納庫142から繰り出される紙幣として精査処理が行われるべき紙幣および出金処理が行われるべき紙幣が混じってしまい、各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣のうち精査処理が行われるべき紙幣の枚数が不確定となってしまうという問題が生じてしまう。このような理由により、図1に示すような構成の紙幣処理機100では、精査処理が停止された後に再開する際には最初から精査処理をやり直すようになる。
紙幣処理機100において上述したような精査処理が行われる際に、停止指令受付手段206により精査処理の停止指令が受け付けられることなく(STEP2の「NO」)、当該精査処理が完了すると(STEP6の「YES」)、表示部202には精査処理が完了した旨のメッセージが表示されるとともに、操作者に対して手操作が必要な処理を促す旨のメッセージが表示されるようになる。ここで、手操作が必要な処理とは、例えば、操作者が出金リジェクト部154から精査処理中にリジェクトとなったリジェクト紙幣を取り出して紙幣投入部110に投入し、入金識別部116により識別および計数させた後に一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に送るような動作のことをいう。そして、操作者がこのような手操作が必要な処理を行うと(STEP7)、制御部200は、記憶部208に記憶されている一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の在高データと、上述した精査処理における出金識別部148による紙幣の計数結果および上記手操作の際の入金識別部116による計数結果との合計値とを照合する照合処理を行う(STEP8)。このような照合処理において両者が一致すれば、紙幣処理機100における精査処理の一連の動作が完了する。一方、照合処理において両者が一致しない場合には、紙幣処理機100において違算が発生していると判断され、表示部202に警告メッセージが表示されるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙幣処理機100によれば、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について精査処理を行う制御部200と、精査処理の停止指令を受け付ける停止指令受付手段206とがそれぞれ設けられており、制御部200は、精査処理が行われている間に、停止指令受付手段206により精査処理の停止指令が受け付けられたときに、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から下部搬送部146への紙幣の繰り出しを停止するとともに、下部搬送部146や出金搬送部150、入金搬送部114により搬送されている紙幣を最終的に当該紙幣が繰り出された一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送るような停止処理を行うことができるようになっている。このように、本実施の形態の紙幣処理機100では、精査処理を途中で停止させることができるようになるため、精査処理の途中で入金処理や出金処理等の別の処理を緊急に行いたい場合や、精査処理を行う必要がないのに操作者が誤って精査処理開始の指令を貨幣処理機に与えてしまった場合等に、精査処理を即停止することができ、操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態の紙幣処理機100においては、前述したように、制御部200は、上述した停止処理を行う際に、精査処理が行われている間における出金識別部148による紙幣の計数結果を破棄するようになっている。この場合には、精査処理が停止された後に再開する際には最初から精査処理をやり直すようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機100においては、前述したように、停止指令受付手段206により精査処理の停止指令が受け付けられたときにこの停止処理を行うか否かを操作者に確認するための停止確認画面を表示する表示部202が設けられており、制御部200は、表示部202に停止確認画面が表示されている際に停止処理を行うことの確認指令が与えられたときに停止処理を行うようになっている。
なお、本実施の形態による、精査処理を実行可能な紙幣処理機は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、図1に示すような構成の紙幣処理機100を用いる代わりに、図4に示すような構成の紙幣処理機100aを用いてもよい。図4に示す紙幣処理機100aは、図1に示す紙幣処理機100と比較して精査処理用紙幣収納庫172が追加的に設けられている点が異なるのみであり、他の構成は実質的に図1に示す紙幣処理機100の構成と同様となっている。図4に示す紙幣処理機100aの構成要素を説明するにあたり、図1に示す紙幣処理機100の構成要素と同じものについては同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図4に示す紙幣処理機100aでは、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142と横に並ぶように精査処理用紙幣収納庫172が設けられている。この精査処理用紙幣収納庫172は、紙幣処理機100aにおいて紙幣の精査処理が行われる際に用いられるようになっている。より具体的には、紙幣処理機100aにおいて紙幣の精査処理が行われる際に、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣が、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142毎に精査処理用紙幣収納庫172に移され、この際に出金識別部148により紙幣の識別および計数を行うようになっている。そして、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から精査処理用紙幣収納庫172に紙幣が全て移された後に、精査処理用紙幣収納庫172から一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に紙幣が戻されるようになる。
図4に示すように、精査処理用紙幣収納庫172は入金搬送部114および出金搬送部150に接続されており、これらの入金搬送部114や出金搬送部150から精査処理用紙幣収納庫172に紙幣が送られるようになっている。また、精査処理用紙幣収納庫172には紙幣繰出部144と同様の構成の紙幣繰出部174が設けられており、精査処理用紙幣収納庫172に収納された紙幣は1枚ずつ紙幣繰出部174により下部搬送部146に繰り出すことができるようになっている。
このような構成からなる紙幣処理機100aにより精査処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理機100aが待機状態となっているときに、操作者が精査処理開始の指令を操作部204により制御部200に入力すると、あるいは金融機関や店舗等の営業時間外の予め設定された時刻になると、まず、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣は、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142毎に精査処理用紙幣収納庫172に移される。具体的には、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣について、これらの一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別および計数が行われる。ここで、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150から精査処理用紙幣収納庫172に送られる。そして、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の各々から紙幣が全て繰り出されて精査処理用紙幣収納庫172に送られると、精査処理用紙幣収納庫172に収納された紙幣は1枚ずつ紙幣繰出部174により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別および計数が行われ、その後、出金搬送部150から表裏反転部118を経て一括一時保留部130や金種別一時保留部132に送られる。そして、精査処理用紙幣収納庫172から紙幣が全て繰り出されて一括一時保留部130や金種別一時保留部132に送られると、一括一時保留部130や金種別一時保留部132で一時的に保留されている紙幣が対応する一括紙幣収納庫140や金種別紙幣収納庫142に送られる。このような動作は一括紙幣収納庫140や金種別紙幣収納庫142毎に行われる。
また、図4に示すような紙幣処理機100aにおいて上述したような精査処理が行われているときに当該精査処理が停止されると、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142、精査処理用紙幣収納庫172から下部搬送部146への紙幣の繰り出しが停止される。また、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から精査処理用紙幣収納庫172に送られている状態にある紙幣は、出金搬送部150により精査処理用紙幣収納庫172に送られる。同様に、精査処理用紙幣収納庫172から一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に戻されている状態にある紙幣も、入金搬送部114や出金搬送部150により精査処理用紙幣収納庫172に送られる。
また、図4に示すような構成の紙幣処理機100aでは、精査処理が停止されても、精査処理を途中から再開することができるよう、当該精査処理が行われている間における出金識別部148による紙幣の計数結果が制御部200において維持されるようになっている。このことにより、図4に示すような構成の紙幣処理機100aでは、精査処理が停止された後に再開する際に当該精査処理を続きからやり直すことができるようになる。
具体的に説明すると、図4に示すような構成の紙幣処理機100aでは、出金識別部148により識別および計数が行われた紙幣は精査処理用紙幣収納庫172に収納されるため、精査処理が停止されても、精査処理済の紙幣は精査処理用紙幣収納庫172に収納されたままとなり、精査処理前の紙幣および精査処理後の紙幣はそれぞれ別の箇所に収納されるようになる。精査処理が中断されている間に紙幣の入金処理が行われる場合には、この入金された紙幣は一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に送られて一時的に保留された後、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されるようになるが、精査処理用紙幣収納庫172に収納されている精査処理済の紙幣の枚数に変化はない。このことにより、精査処理を再開するときに当該精査処理を最初からやり直す必要はなく、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣についてのみ精査処理を行えばよい。
一方、精査処理が中断されている間に紙幣の出金処理が行われる場合には、各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣が不足するときに備えて精査処理用紙幣収納庫172から各金種別紙幣収納庫142に紙幣を戻すことがある。このようなときには、精査処理用紙幣収納庫172に収納されている精査処理済の紙幣と、各金種別紙幣収納庫142に収納されている精査処理前の紙幣とが混じってしまうため、精査処理が停止された後に再開する際には当該精査処理を途中から再開するのではなく最初からやり直すようになる。また、このときには、停止される前の精査処理における出金識別部148による紙幣の計数結果が破棄される。
精査処理が中断されている間に紙幣の出金処理が行われる場合に、上記のように各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣が不足するときに備えて前もって精査処理用紙幣収納庫172から各金種別紙幣収納庫142に紙幣を戻すのではなく、各金種別紙幣収納庫142内の紙幣がなくなった時に、精査処理用紙幣収納庫172から直接出金するようにして、精査処理用紙幣収納庫172内の枚数を管理するようにすれば、精査を再開する必要はない。また、各金種別紙幣収納庫142内の紙幣で足らなくなった時に、精査処理用紙幣収納庫172から各金種別紙幣収納庫142に紙幣を補填しても、精査処理用紙幣収納庫172内の枚数を管理することで、各金種別紙幣収納庫142に残った紙幣を繰出して計数した枚数と、精査処理用紙幣収納庫172内の枚数を合算することにより、枚数は確定し、精査処理を最初からやり直す必要はない。
以上のように図4に示すような紙幣処理機100aによれば、制御部200は、精査処理が行われている間に、停止指令受付手段206により精査処理の停止指令が受け付けられたときに、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142、精査処理用紙幣収納庫172から下部搬送部146への紙幣の繰り出しを停止するとともに、下部搬送部146や出金搬送部150、入金搬送部114により搬送されている紙幣を当該紙幣が繰り出された一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142とは別の収納部である精査処理用紙幣収納庫172に送るような停止処理を行うことができるようになっている。このように、図4に示すような紙幣処理機100aでも、精査処理を途中で停止させることができるようになるため、操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、図4に示すような紙幣処理機100aにおいては、前述したように、制御部200は、停止処理を行う際に、精査処理を途中から再開することができるよう、精査処理が行われている間における出金識別部148による紙幣の計数結果を維持するようになっている。この場合には、精査処理が停止された後に再開する際には途中から精査処理の続きを行うことができるようになる。
また、本発明における、精査処理を途中で停止させることができる貨幣処理機は、図1乃至図4に示すような紙幣処理機100、100aに限定されることはない。精査処理を途中で停止させることができる貨幣処理機の他の態様について図5を用いて説明する。
図5には、バラ硬貨の処理を行うバラ硬貨処理部10と、包装硬貨の処理を行う包装硬貨処理部20と、バラ紙幣の処理を行うバラ紙幣処理部30と、帯封紙幣の処理を行う帯封紙幣処理部40とを備えた出納機1が示されており、このような出納機1において精査処理を途中で停止させることができるようになっている。図5に示す出納機1の各構成要素について以下に説明する。
図5に示すように、バラ硬貨処理部10の上面にはバラ硬貨入金口12が設けられており、このバラ硬貨入金口12に投入されたバラ硬貨はバラ硬貨処理部10の機体内に繰り出され、当該バラ硬貨処理部10の機体内にある識別部(図示せず)によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別された後、バラ硬貨処理部10の機体内にある複数のバラ硬貨収納部(図示せず)に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、バラ硬貨処理部10の前面にはバラ硬貨出金口14が設けられており、出納機1にバラ硬貨の出金指令が与えられたときに、バラ硬貨処理部10の機体内にあるバラ硬貨収納部からバラ硬貨が繰り出されてバラ硬貨出金口14に搬送されるようになっている。また、このようなバラ硬貨処理部10では、当該バラ硬貨処理部10の機体内にある各バラ硬貨収納部に収納されたバラ硬貨について識別部により識別および計数を行うことによりその在高を確認する精査処理を行うことができるようになっている。
また、図5に示すように、バラ硬貨処理部10の左隣には包装硬貨処理部20が設置されており、バラ硬貨処理部10から包装硬貨処理部20にバラ硬貨が送られるようになっている。包装硬貨処理部20において、バラ硬貨処理部10から送られたバラ硬貨は包装部(図示せず)において例えば50枚単位で包装紙等により棒状となるよう包装され、この包装された包装硬貨は当該包装硬貨処理部20の機体内にある複数の包装硬貨収納部に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、包装硬貨処理部20の前面上部には包装硬貨出金口22が設けられており、出納機1に包装硬貨の出金指令が与えられたときに、包装硬貨処理部20の機体内にある包装硬貨収納部から包装硬貨が繰り出されて包装硬貨出金口22に搬送されるようになっている。また、このような包装硬貨処理部20では、当該包装硬貨処理部20の機体内にある各包装硬貨収納部に収納された包装硬貨について識別および計数を行うことによりその在高を確認する精査処理を行うことができるようになっている。
また、図5に示すように、包装硬貨処理部20の左隣にはバラ紙幣処理部30が設置されており、このバラ紙幣処理部30の前面上部にはバラ紙幣をバラ紙幣処理部30の機体内に投入するためのバラ紙幣入金口32が設けられているとともに、バラ紙幣処理部30の上面にはバラ紙幣を機体外に投出するためのバラ紙幣出金口34が設けられている。バラ紙幣入金口32に投入されたバラ紙幣はバラ紙幣処理部30の機体内にある識別部(図示せず)によりその金種、真偽、正損等が識別された後、バラ紙幣処理部30の機体内にある複数のバラ紙幣収納部(図示せず)に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、出納機1にバラ紙幣の出金指令が与えられたときに、バラ紙幣処理部30の機体内にあるバラ紙幣収納部からバラ紙幣が繰り出されてバラ紙幣出金口34に搬送されるようになっている。また、このようなバラ紙幣処理部30では、当該バラ紙幣処理部30の機体内にある各バラ紙幣収納部に収納されたバラ紙幣について識別部により識別および計数を行うことによりその在高を確認する精査処理を行うことができるようになっている。
また、バラ紙幣処理部30の左隣には帯封紙幣処理部40が設置されており、バラ紙幣処理部30から帯封紙幣処理部40にバラ紙幣が送られるようになっている。帯封紙幣処理部40において、バラ紙幣処理部30から送られたバラ紙幣は帯封部(図示せず)において例えば100枚単位で帯封紙等により帯封され、この帯封された帯封紙幣は当該帯封紙幣処理部40の機体内にある複数の帯封紙幣収納部に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、帯封紙幣処理部40の前面上部には帯封紙幣出金口42が設けられており、出納機1に帯封紙幣の出金指令が与えられたときに、帯封紙幣処理部40の機体内にある帯封紙幣収納部から帯封紙幣が繰り出されて帯封紙幣出金口42に搬送されるようになっている。また、このような帯封紙幣処理部40では、当該帯封紙幣処理部40の機体内にある各帯封紙幣収納部に収納された帯封紙幣について識別および計数を行うことによりその在高を確認する精査処理を行うことができるようになっている。
なお、図5に示すような本発明に係る出納機1では、これらのバラ硬貨処理部10、包装硬貨処理部20、バラ紙幣処理部30および帯封紙幣処理部40に加えて、例えば小切手や商品券等の現金以外の有価媒体の処理を行う有価媒体処理部が並設されていてもよい。具体的には、このような有価媒体処理部が例えば包装硬貨処理部20とバラ紙幣処理部30との間に設けられていてもよい。
また、図5に示すように、バラ硬貨処理部10の上面には例えばタッチパネル等からなる操作表示部50が設けられている。このような操作表示部50には、出納機1における貨幣の処理状況や、各処理部10、20、30、40の収納部に収納されている貨幣の在高等に関する情報が表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部50により出納機1に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
図5に示す出納機1では、各処理部10、20、30、40の制御を行う制御部60が設けられており、この制御部60には操作表示部50が接続されている。ここで、制御部60は、バラ硬貨、バラ紙幣、包装硬貨、帯封紙幣という複数の種類に対応する各処理部10、20、30、40で精査処理を同時に行わせることができるようになっている。すなわち、操作表示部50により精査処理開始の指令が与えられると、あるいは金融機関や店舗等の営業時間外の予め設定された時刻になると、各処理部10、20、30、40で精査処理が一斉に開始されるようになる。また、図5に示す出納機1では、図1等に示す紙幣処理機100と同様に、精査処理の停止指令を受け付ける停止指令受付手段61が設けられており、このような停止指令受付手段61は制御部60に接続されている。そして、操作者が操作表示部50により精査処理の停止指令を入力することにより、停止指令受付手段61によって精査処理の停止指令が受け付けられたときに、制御部60は、選択された貨幣の種類に対応する処理部10、20、30、40のみで停止処理を行うか、または全ての処理部10、20、30、40で停止処理を行うことができるようになっている。
より詳細には、図5に示す出納機1では、停止指令受付手段61により精査処理の停止指令が受け付けられたときに、選択された貨幣の種類に対応する処理部10、20、30、40のみで停止処理を行うか、または全ての処理部10、20、30、40で停止処理を行うかの設定を行う設定部62が設けられており、このような設定部62は制御部60に接続されている。そして、出納機1の導入時等において、操作者が操作表示部50により、精査処理の停止指令が受け付けられたときに選択された貨幣の種類に対応する処理部10、20、30、40のみで停止処理を行うような初期設定の入力を行ったときには、設定部62においてこのような設定が行われるようになる。この場合には、停止指令受付手段61によって精査処理の停止指令が受け付けられたときに、操作者は操作表示部50により精査処理を停止する貨幣の種類の選択も行い、制御部60は、選択された貨幣の種類に対応する処理部10、20、30、40のみで停止処理を行うようになる。一方、出納機1の導入時等において、操作者が操作表示部50により、精査処理の停止指令が受け付けられたときに全ての処理部10、20、30、40で停止処理を行うような初期設定の入力を行ったときには、設定部62においてこのような設定が行われるようになる。この場合には、停止指令受付手段61によって精査処理の停止指令が受け付けられたときに、制御部60は、全ての処理部10、20、30、40で停止処理を行うようになる。
このように、図5に示すような出納機1によれば、制御部60は、貨幣の複数の種類に対応する各処理部10、20、30、40で精査処理を同時に行うとともに、停止指令受付手段61により精査処理の停止指令が受け付けられたときに、選択された貨幣の種類に対応する処理部10、20、30、40のみで停止処理を行うか、または全ての処理部10、20、30、40で停止処理を行うことができるようになっている。例えば、精査処理中に緊急に硬貨の入金処理を行う必要が生じた場合には、バラ硬貨処理部10における精査処理のみの停止処理を行うようにすればよい。このことにより、出納機1において精査処理の停止指令を行うにあたり、様々な方法の停止処理を行うことができるため、精査処理を停止するにあたり操作者にとっての利便性を向上させることができるようになる。
なお、本発明では、出納機は上述した構成のものに限定されることはなく、バラ硬貨、バラ紙幣、包装硬貨、帯封紙幣という4つの種類の貨幣のうち少なくとも2つの種類の貨幣に対応するような構成のものが用いられてもよい。すなわち、出納機において、バラ硬貨処理部10、包装硬貨処理部20、バラ紙幣処理部30および帯封紙幣処理部40のうち少なくとも2つの処理部が設けられたものが用いられてもよい。本発明では、このような変形例に係る出納機でも、制御部60は、貨幣の複数の種類に対応する各処理部で精査処理を同時に行うとともに、停止指令受付手段61により精査処理の停止指令が受け付けられたときに、選択された貨幣の種類に対応する処理部のみで停止処理を行うか、または全ての処理部で停止処理を行うことができるようになっている。このことにより、上述したような変形例に係る出納機において精査処理の停止指令を行うにあたり、様々な方法の停止処理を行うことができるため、精査処理を停止するにあたり操作者にとっての利便性を向上させることができるようになる。