JP6577704B2 - 床スラブ接合構造 - Google Patents
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Description
床スラブの熱膨張量は長さに比例して増大するため、床スラブの長手方向には、所定の間隔でエキスパンションジョイントが設けられ、床スラブの長手方向の熱膨張量を所定範囲内に制限している。しかし、梁に生じる曲げモーメントの大きさは、床スラブの長手方向の熱膨張量が制限された範囲内であっても、外壁位置でスラブが途切れることにより、梁の全長に渡りスタッドを設けている場合には、梁に局所的な曲げ応力が生じて、梁の損傷につながる恐れがある。
床スラブの構築方法に関する技術には、例えば特許文献1がある。
これにより、床スラブに熱膨張が生じたとき、梁の外柱側が床スラブと一体となって変位して、梁に曲げモーメントを発生させる。しかし、梁の外周柱に近い側は、床スラブと一体となっていないため緩やかに曲げられ、変形角を小さくできる。
また、スタッドが、梁を長さ方向に2等分したとき、外柱に近い領域に設けられている。これにより、梁の長さ方向における残りの1/2の領域を、梁の曲げ可能な領域とすることができ、梁の曲げ可能な領域が拡大される。この結果、変形角を小さくし、曲げモーメントを抑制できる。
図1〜図5を用いて、第1実施形態に係る床スラブ接合構造の車路スロープ10への適用例について説明する。
図1(A)、(B)は車路スロープ10の基本構成を示す断面図であり、図2は車路スロープ10の直線部の平面図であり、図3は車路スロープ10の曲り部の平面図である。図4は数値解析モデルを示す平面図であり、図5は接合部の平面図及びそれらの解析結果を示している。
建物12は、内部が梁30と、梁30に支持された床スラブ32で複数階(N階、N+1階、及びその他の階)に仕切られた一般的な構成の建物である。建物12の内部構造や用途は問わない。
床スラブ22は鉄筋コンクリートで構築され、建物12に沿ってY軸方向へ、建物12の外壁(外装材)18と所定の幅LDをあけて延設されている。また、床スラブ22は車両用のスロープであり、水平面に対して傾斜角度θで構築されている。
即ち、梁20と床スラブ22は、梁20の全長に渡り、床スラブ22とスタッド24が接合されているのではなく、接合される領域(領域AR)と、接合されない非接合領域(領域BR)とを有している。
また、床スラブ22の外柱16側の端部には、床スラブ22から図示しないガード壁が立ち上げられている。ガード壁は車止めを目的とするものであり、床スラブ22からの立上げ高さは低く、車路スロープ10の外柱16側は屋外空間に大きく開放されている。これにより、日中には、床スラブ22は直射日光を受けて加熱される。
また、X軸方向に設けられた梁20と隣の梁20の間には、Y軸方向に3本の小梁26A、26B、26Cが設けられ、それぞれ床スラブ22を支持している。小梁26A、26B、26Cは、床スラブ22の幅LSを、X軸方向に3等分する間隔(幅LS/3)で配置されている。
最も建物12側の小梁26Cは、外装材18と幅LDの空間をあけて取付けられ、床スラブ22の建物側端部を支持している。
しかし、床スラブ22の変位量が所定の範囲内であっても、端部が外周柱14及び外柱16にそれぞれ固定されている構造上、梁20には床スラブ22との接合箇所の変位に伴い、軸力や曲げモーメント等の応力が発生する。
床スラブ22の曲り部においても、直線部と同様に、二点鎖線で囲む最も外柱16に近い領域ARにおいて、スタッド24で、床スラブ22と、梁36、小梁26A、及び梁20の梁36と小梁26Aとを接合すればよい(図2の網掛け部参照)。
ここに、変形角γとは、平面視において、梁20が外周柱14を中心に水平方向に回転した角度をいう。この変形角γが大きい程、梁20は塑性変形領域に近づく。
数値解析は、図4に示す解析モデル用の車路スロープ50を用いて算出した。計算は、応力解析プログラム(MIDAS)を用いて、床スラブ22が温度荷重を受けて熱膨張した時、梁20に生じる熱応力を求めた。
図5には、数値解析で使用した、車路スロープ50の接合部の構造3種類と、その計算結果を示す。
なお、図4に示す解析モデルの車路スロープ50は、上述した車路スロープ10の構成を、数値解析用にモデル化したものである。構造上同じ構成であり、車路スロープ10と50の対応する構成部材には、同じ番号を付している。
第1車路52と第2車路54には、それぞれ1か所のエキスパンションジョイント28が設けられている。第1車路52と第2車路54は、いずれも一辺を0.5mの正方形メッシュに区画し、数値計算の最小単位とした。このとき、エキスパンションジョイント28の位置では、床スラブ22を1要素分抹消した。
数値計算は、床スラブ22と梁20との接合部における接合範囲が異なる3種類について、梁20に生じる曲げモーメントを各メッシュ毎に算出した。床スラブ22と梁20の接合部は格子点を連結させた。
図5に示すように、数値計算は、床スラブ22と梁20、及び小梁26A、26B、26Cの接合部の位置が異なる3種類(ケースA、B、C)について行った。曲げモーメントMは、反時計回りをプラスで示し、時計回りをマイナスで示した。
ケースBは、車路スロープ10の床スラブ22の幅方向の一部の範囲の床スラブ22と、梁36、小梁26A、26B、及び梁20の梁36と小梁26Bの範囲のみをスタッド24で接合した構成である。
ケースCは、本実施形態の構成であり、車路スロープ10の床スラブ22の幅方向の一部の範囲の床スラブ22と、梁36、小梁26A、及び梁20の梁36と小梁26Aの範囲のみをスタッド24で接合した構成である。
ここに、梁20Cは、エキスパンションジョイントで区画された一方の端部であり、熱膨張で矢印S方向へ移動した場合、最も大きく変位する端部である。
一方、外周柱14の位置及び小梁26Cの位置以外の場所は、ほぼゼロに近い値であった(図2では−で示した)。
ケースBは、ケースAに比べて曲げモーメントMの最大値、及び曲げモーメントMの値が全体的に低下している。
ケースCにおいては、曲げモーメントMの最大値がケースA、Bに比べ大幅に低下している。また、他の部位における曲げモーメントMも、全体的にケースA、Bに比べ大幅に低下している。これは、梁20A、20B、20Cの外周柱14側の固定端と、梁20A、20B、20Cと床スラブ22の固定部である小梁26Aとの距離が6.16mに更に増加し、曲げ可能長さが最も長くなったためと思われる。係る条件では、変形角γが更に小さくなり、梁20A、20B、20Cの変形の可能性は更に低下する。
この結果、床スラブ22に、温度上昇に伴う熱膨張が生じても、梁20に生じる変形角γが小さくなり、曲げモーメントによる変形を抑制することができる。
即ち、スタッド24を設ける範囲を、外柱16に近い側のみとし、外周柱14に近い側には設けない構成であればよい。
図6を用いて、第2実施形態に係る床スラブ接合構造の廊下40への適用例について説明する。
廊下40は、第1実施形態で説明した車路スロープ用の床スラブ22が、水平面に対して傾斜角度θで構築されているのに対し、床スラブ44が水平面に対して平行に構築されている点において相違する。相違点を中心に説明する。
他の構成は第1実施形態と同じであり、説明は省略する。
12 建物
14 外周柱
16 外柱
18 外壁(外装材)
20 梁
22 床スラブ
24 スタッド
26 小梁
40 廊下(床スラブ接合構造)
AR 外柱に近い領域
LD 幅(縁が切られた空間)
Claims (3)
- 建物の外周柱と間隔をあけて前記建物の外側へ設けられた外柱と、
前記外周柱と前記外柱との間に架設された梁と、
前記梁に支持され、前記建物に沿って延設された床スラブと、
前記梁を長さ方向に2等分したときに前記外柱に近い側の前記梁の領域にのみ設けられ、前記梁に前記床スラブを接合するスタッドと、
を有する床スラブ接合構造。 - 前記床スラブと、前記外周柱及び前記建物の外装材とは縁が切られている、
請求項1に記載の床スラブ接合構造。 - 前記床スラブは、車路スロープ又は廊下である、
請求項1又は2に記載の床スラブ接合構造。
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JP2014194036A JP6577704B2 (ja) | 2014-09-24 | 2014-09-24 | 床スラブ接合構造 |
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JP2016065382A JP2016065382A (ja) | 2016-04-28 |
JP6577704B2 true JP6577704B2 (ja) | 2019-09-18 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2014194036A Active JP6577704B2 (ja) | 2014-09-24 | 2014-09-24 | 床スラブ接合構造 |
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2014
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