以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
[1−1.構成]
図1は、本実施の形態における光ディスク装置20の構成図である。図1に示すように、光ディスク装置20は、光ヘッド201、スピンドルモータ202、サーボコントローラ203、再生PLL(Phase Locked Loop)回路204、データ復調回路205、誤り訂正復号回路206、レーザ駆動回路207、データ変調回路208、誤り訂正符号化回路209、BCA(Burst Cutting Area)再生回路218、ウォブル検出回路210、ウォブルPLL回路211、チャネルPLL回路212、ADIP(ADress In Pre−Groove)再生回路213、タイミング補間回路214、システムコントローラ215、I/F(Interface)回路216およびROM(Read Only Memory)219を備える。
光ディスク装置20は、光ディスク200に対してデータの記録および再生を行う。光ディスク200には、内周から外周にかけてらせん状にトラックが形成される。トラックは、グルーブにより形成されるグルーブトラックと、隣接するグルーブトラックの間に形成されるランドトラックからなる。データは、グルーブトラックとランドトラックのいずれにも記録する。
ここで、本実施の形態における光ディスク200について説明する。図2は、本実施の形態の光ディスク200のゾーンを示す図である。光ディスク200の記録面は、内周から順にBCAと記録可能領域とを備える。
BCAには、光ディスク200のディスク番号、ディスクの層数、ゾーンフォーマット識別番号などディスク固有のディスク管理情報が記録されている。具体的には、ディスク管理情報301には、ディスク番号として「001234」、ディスクの層数として、「3」、ゾーンフォーマット識別番号として「1」が記録されている。また、別の例として、ディスク管理情報302には、ディスク番号として「023456」、ディスクの層数として、「3」、ゾーンフォーマット識別番号として「2」が記録されている。
ここで、ゾーンフォーマット識別番号は、光ディスク200に記録されるデータのフォーマットの種類を示す識別子であり、例えば、ゾーンフォーマット識別番号1の場合を1層あたり50GBの記録容量となる線密度とし、ゾーンフォーマット識別番号2の場合を1層あたり60GBの記録容量となる線密度とし、ゾーンフォーマット識別番号3の場合を1層あたり80GBの記録容量となる線密度とする。従って、ディスク管理情報301は、1層あたり50GBの記録容量となる線密度の光ディスクであることを示し、ディスク管理情報302は、1層あたり60GBの記録容量となる線密度の光ディスクであることを示している。BCAは、ディスク管理情報を複数回、例えば、4回記録している。
記録可能領域は、半径方向にZ個(Zは2以上の自然数)のゾーンに分割される。光ディスク装置20は、複数のゾーンの各々について、記録クロックの周波数または記録の速度(線速度)を設定する。
光ディスク200の記録可能領域には、非データ領域とユーザデータ領域がある。例えば、図2に示すように、内周側のゾーン1とゾーン2を非データ領域とし、ゾーン3からゾーンZをユーザデータ領域とする。
ユーザデータ領域は、ホスト217から記録要求されたユーザデータを記録する領域である。
非データ領域は、レーザ駆動回路207による光ヘッド201のレーザ出力を適切に調整するための記録調整を行う領域、光ヘッド201から光ディスク200に照射された光ビームを光ディスク200上に設けられたグルーブトラックあるいはランドトラックに適切に集光して走査するためのサーボ調整を行う領域、ユーザデータ領域の使用状況や光ディスク200上の傷などの欠陥部分を管理するデータ管理領域を含む。
トラックは、光ディスク200の半径位置に比例した空間的周期の波長でウォブリングして形成される。トラックのウォブリングの空間的周期に対応する光ディスク200の中心角は、半径位置によらず一定である。言い換えると、ウォブリングの空間的周期は、半径位置に比例して外周ほど長くなる。したがって、トラックのウォブリングは放射上に構成される。
ウォブリングの空間的周期に同期して光ディスク200の全面にデータを記録すると、外周ほど記録パターンの線密度が低くなり記録容量が小さくなってしまう。そこで、本実施の形態の光ディスク装置20は、ウォブリングの空間的周期に対するデータの単位長さの比を半径に応じて変える、すなわち、記録される記録パターン1ビット当たりの長さを光ディスク上で変えることにより、全面にわたってほぼ一定の線密度とすることができる。
トラックのウォブリングには、光ディスク200上のトラックのアドレス情報を有するADIP情報が変調されて埋め込まれている。光ディスク200のトラックは、半径位置によらず、1周を7等分した一定の角度で分割されている。分割された各トラックに対して1つのADIP情報が埋め込まれている。トラックのウォブリングの空間的周期に対応する光ディスク200の中心角は、半径位置によらず一定であるため、7等分された各トラックに含まれるウォブリングの数、すなわち、1波長のウォブリングが含まれる数は、半径位置によらず一定である。つまり、1つのADIP情報に何波長分のウォブリングが対応するかは、半径位置によらず一定である。
図1の光ディスク装置20の説明に戻る。スピンドルモータ202は、光ディスク200を回転する。光ヘッド201は、光ディスク200に光ビームを照射することで光ディスク200にデータを記録するとともに、光ディスク200からデータを再生する。
サーボコントローラ203は、光ヘッド201およびスピンドルモータ202を制御し、光ヘッド201から光ディスク200に照射された光ビームを光ディスク200上に設けられたトラックに集光して走査する制御を行うとともに、目的のトラックにアクセスする移動制御を行う。サーボコントローラ203は、光ヘッド201が光ディスク200を線速度一定で走査するように、光ヘッド201の位置とスピンドルモータ202の回転数とを制御する。
I/F回路216は、光ディスク200に記録する記録データをホストから受け取るとともに、光ディスク200から再生された再生データをホスト217へ送る。
誤り訂正符号化回路209は、I/F回路216から受け取った記録データに、誤り訂正するためのパリティを付加する。
ウォブル検出回路210は、光ディスク200からの再生信号から、トラックのウォブリングの時間的周期に基づくウォブル信号を抽出する。光ディスク200は光ヘッド201に対向して回転している。このため、光ヘッド201と対向するトラックの半径方向における位置は、トラックのウォブリングの空間的周期と光ディスク200の当該トラックにおける線速度とに応じて周期的に変化する。ウォブル検出回路210は、この周期的変化を波形として検出し、ウォブル信号として出力する。光ディスク200を線速度一定で回転する場合、内周のトラックほどウォブル信号の周波数は高くなる。
ウォブルPLL回路211は、ウォブル信号の周波数に対応するパルス信号を生成し、このパルス信号の周波数をさらに所定の倍率で逓倍したウォブルクロックを生成する。ウォブルクロックの周波数、すなわち、単位時間当たりのパルスの数は、トラックのウォブリングの空間的周期に比例する。また、1つのADIP情報に対応するウォブルクロックのパルスの数は、半径位置によらず一定である。
ADIP再生回路213は、ウォブル信号とウォブルクロックとからADIP情報を再生する。
チャネルPLL回路212は、ウォブルクロックの位相に同期し、ウォブルクロックの周波数のn/m倍(m、nは自然数)の周波数となるような記録クロックを生成する。n/mの値は、ウォブリングの空間的周期(1波長)に対応する記録データのビットパターンのビット数の比であり、光ディスク200のゾーン毎に設定されている。m、nは、ゾーンテーブルに含まれるあらかじめ決められた値である。m、nおよびn/mは、ゾーン毎のデータの線密度に関する情報の一例である。m、nの値は、システムコントローラ215から通知される。
ここでゾーンテーブルについて説明する。ゾーンテーブルとは、光ディスク装置20が記録再生可能な光ディスクに対する、各ゾーンに関する情報を保持するテーブルである。例えば、光ディスク200に対するゾーンテーブルは、ゾーン1からゾーンZの各々について、ゾーン番号、m、n、ADIP基準位置Pwo、始端データブロック基準位置Pmの値を設定している。ADIP基準位置Pwoおよび始端データブロック基準位置Pmについては後述する。
光ディスク200に対するゾーンテーブルは、光ディスク200に対応するゾーンフォーマット識別番号と関連付けられている。このようなゾーンテーブルが、光ディスク装置20が記録再生可能な光ディスクのフォーマット識別番号毎に、ROM219に記憶されている。
図3A、図3Bは、本実施の形態におけるゾーンテーブルを示す図である。図3Aは、ゾーンフォーマット識別番号が「1」の場合のゾーンテーブルの一例であり、図3Bは、ゾーンフォーマット識別番号が「2」の場合のゾーンテーブルの一例である。図3A、図3Bにおいて、ゾーン毎に、m、n、ADIP基準位置Pwo、始端データブロック基準位置Pmの値が設定されている。図3Aにおいて、ゾーン番号は1から32まで設定されており、図3Bにおいて、ゾーン番号は1から40まで設定されている。
図1の光ディスク装置20の説明に戻る。タイミング補間回路214は、ADIP情報と、システムコントローラ215から通知されるn、mの値とから、記録データを記録再生する位置を特定する。
データ変調回路208は、チャネルPLL回路212が生成する記録クロックに同期して、誤り訂正符号化回路209からのパリティを含む記録データを、タイミング補間回路214が特定する位置に応じて所定の変調則にしたがって変調することにより、記録データを光ディスク200上に記録する記録パターンに変換する。
レーザ駆動回路207は、光ディスク200上に正確にマークを形成するために記録パターンを光パルスに変換し、光ヘッド201のレーザを駆動する。
以上のように、データ変調回路208により生成された記録パターンは、記録クロックに基づいて光ディスク200上に記録される。記録クロックの周波数は、ウォブルクロックの周波数のn/m倍である。したがって、トラックのウォブリングの空間的周期に対して、記録パターンの1ビットの長さは、n/mの比で決められる。すなわち、nの値を大きく、あるいはmの値を小さくすると、光ディスク200上に記録される記録パターンの1ビットの長さは短くなり、線密度を高くできる。さらに、光ディスク200の半径位置に応じて、外周側ほどウォブルクロックの空間的周期は長くなるので、これに対応してn/mを大きくなるようにmおよびnを設定することで、光ディスク200上の記録パターンの線密度を一定にできる。
本実施の形態の光ディスク装置20は、m、nの値を光ディスク200のゾーン毎に設定する。ゾーン毎に、外周側のゾーン番号が大きなゾーンほどn/mが大きくなるようにmおよびnを設定することで、光ディスク200上の記録パターンの線密度をほぼ一定とすることができる。すなわち、記録パターンの線密度の範囲を一定範囲内に収めることができる。
再生PLL回路204は、光ディスク200からの再生信号を復調するための同期クロックを再生信号から抽出する。
データ復調回路205は、タイミング補間回路214が特定する位置に応じて、再生信号から記録されたデータを復調する。具体的には、データ復調回路205は、再生信号と期待値波形との信号振幅の比較から最も近い期待値波形を選択し、期待値波形の元となるデータを復調結果として選択する。
誤り訂正復号回路206は、復調されたデータの誤りを訂正して復元する。
ROM219は、フラッシュメモリで構成される。ROM219は、システムコントローラ215が光ディスク装置20全体を制御するためのプログラムを記憶する。また、ROM219は、複数のゾーンテーブルを記憶する。
BCA再生回路218は、BCAを再生した再生信号から、記録されたディスク管理情報を再生する。
システムコントローラ215は、ROM219に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各ブロックを制御するとともに、ホスト217との通信も制御する。システムコントローラ215は、チャネルPLL回路212およびタイミング補間回路214に対して、記録再生対象位置を含むゾーンに対応するm、nの値をゾーンテーブルから読み出して通知する。システムコントローラ215は、チャネルPLL回路212により生成された記録クロックと、タイミング補間回路214で特定した記録位置とに基づいてデータを記録するように、光ディスク装置20の各部を制御する。データ変調回路208、レーザ駆動回路207および光ヘッド201は、記録クロックと記録位置とに基づいてデータを記録する。
[1−2.動作]
次に、本実施の形態における光ディスク装置20の動作について説明する。まず、本実施の形態における光ディスク装置20に光ディスク200が装着されたときの動作について説明する。光ディスク装置20に光ディスク200が装着されると、BCA再生回路218は、光ディスク200に記録されているBCAを再生してディスク管理情報を取得する。
システムコントローラ215は、ディスク管理情報をBCA再生回路218から受け取り、ディスク管理情報からゾーンフォーマット識別番号を抽出する。システムコントローラ215は、ROM219に記憶されたゾーンテーブルの中からゾーンフォーマット識別番号に対応するゾーンテーブルを特定し、特定したゾーンテーブルを読み出す。
次に、本実施の形態における光ディスク装置20の光ディスク200への記録動作について説明する。
I/F回路216は、ホスト217から送信された記録データと記録先の論理アドレスを取得する。記録データは所定の単位のブロックに分割され、ブロック毎に誤り訂正符号化回路209へと送られる。
誤り訂正符号化回路209は、ブロック単位の記録データに、再生時の誤りを訂正するためのパリティコードを付加する。
データ変調回路208は、パリティコードが付加された記録データを、例えば1−7PP(Parity Preserve)符号の変調則に従って記録パターンに変調する。
レーザ駆動回路207は、1−7PP符号によって、2Tから9Tの記録マークとスペースとに変調された記録パターンを、光ディスク200上に正確に記録マークを形成するためにキャッスル型のパルス波形に変換し、レーザを駆動するための駆動信号を光ヘッド201へ出力する。
光ヘッド201は、記録先の論理アドレスに対応する光ディスク200上の位置にレーザパルスを照射することで記録パターンを記録する。
光ディスク200は、放射状にADIPが付与された構造になっている。そのため、光ディスク200の記録面内の記録パターンの線密度がほぼ一定になるように、チャネルPLL回路212は、記録クロックをコントロールする。ウォブル検出回路210は、トラックのウォブリングに応じたウォブル信号を検出する。ウォブルPLL回路211は、ウォブル信号に同期したウォブルクロックを生成する。チャネルPLL回路212は、ウォブルクロックをm分周したクロックの位相と、記録クロックをn分周したクロックの位相が同期するように動作し、その結果としてウォブルクロックのn/m倍の周波数となる記録クロックを生成する。
システムコントローラ215は、上記の記録動作を制御する。システムコントローラ215ははじめに、I/F回路216で取得された記録先の論理アドレスに基づいて、記録データを記録するデータアドレスと、このデータアドレスを含むトラック(グルーブトラックまたはランドトラック)およびゾーンを特定する。ここでデータアドレスは、記録データの記録再生位置を指定するための、ADIPを基準として決められた光ディスク200上の物理アドレスである。システムコントローラ215は、ゾーンテーブルを参照し、特定したゾーンに対応するゾーン番号のm、n、ADIP基準位置Pwo、始端データブロック基準位置Pmを取得する。
記録データはブロック単位に分割されるが、一つの記録データに関する複数のブロックは、同じ層のグルーブトラックあるいはランドトラックの一方に連続して記録される。図4は、本実施の形態の光ディスク200に複数のブロックが記録されている状態を示す図である。図4は、光ディスク200上の半径方向に連続して並んだトラックを模式的に示している。図4において、データDTaを3つに分割し、連続してDTa1、DTa2、DTa3がグルーブトラックに記録されている。また図4において、データDTbを4つに分割し、連続してDTb1、DTb2、DTb3、DTb4がランドトラックに記録されている。
このように、一つの記録データを同じ層の同じトラックにまとめて記録し、光ディスク200に記録された記録データを再生するときに、光ヘッド201の位置の移動が少ないので、短時間で記録データを読み取ることができる。
図5は、本実施の形態の光ディスク200に対する、データとアドレスの配置構造を示す図である。図5は、光ディスク200のトラックのうち、ゾーンA−1とゾーンAの境界付近におけるADIP情報とデータブロックの配置の一例を模式的に示している。
図5において上段は、トラックのウォブリングに変調して配置されたADIP情報を示している。また、中段は、光ディスク200のゾーンA−1に含まれるトラックに記録された2つのデータブロックを示している。また、下段は、ゾーンA−1に隣接するゾーンAに含まれるトラックに記録された2つのデータブロックを示している。ゾーンA−1は、ウォブリングにより配置されたADIP情報が示すアドレス(以下、単にADIPと記載する)の範囲がN−4、N−3、N−2、N−1であり、ゾーンAは、ADIPの範囲がN、N+1、N+2、N+3であることを示している。
図5において、ゾーンA−1では、データアドレスがM−2、M−1と連続する2つのデータブロック(実線で記載)に対して記録パターンが記録されている。ゾーンAでは、データアドレスがM、M+1と連続する2つのデータブロック(実線で記載)に対して記録パターンが記録されている。ゾーンAの開始位置においては、ADIPのNが示す位置とデータアドレスMが示す位置の境界が一致している。なお、以下ではデータアドレスMのデータブロックをデータブロックMとも記載する。
各ゾーンの記録開始位置は、ADIPの境界位置と一致させるものとする。ゾーンA−1とゾーンAに対し、それぞれ異なるn/mの値が設定されている。ゾーンの長さは、データブロックの長さの整数倍となるわけではない。したがって、図5に示すようにゾーンA−1の最後のデータブロックM−1の終端から、ゾーンAの始端までにはデータが記録されない領域が残る場合がある。
ゾーンAにおいて、データブロックM+1の次にデータブロックM+2を記録する場合を説明する。光ヘッド201が、レーザを照射する位置を、記録するターゲット位置より手前の位置に移動させる。ウォブル検出回路210、ウォブルPLL回路211およびADIP再生回路213がADIP情報を再生することにより、システムコントローラ215は、光ヘッド201が対向している光ディスク200上の物理的な位置を特定する。タイミング補間回路214は、ゾーンAの始端をADIP基準位置Pwoとして、現在位置Pwとの距離Lwを算出する。距離Lwは、Lw=Pw−Pwoとして求められる。
ここで、光ディスク200上における基準位置Pwoと現在位置Pwは、ウォブルクロックを基準として特定できる。例えば、光ディスク200のトラックの最内周からウォブルクロックをカウントした場合に、基準位置Pwoや現在位置Pwは、ウォブルクロックのパルス数として表すことができる。ADIP情報の先頭に対応する位置も、ウォブルクロックのパルス数としてADIP情報に含まれている。したがって、ADIP情報を読み出すことにより、光ディスク200上の現在位置が把握できる。また、距離Lwもウォブルクロックのパルス数として求められる。
さらに、算出した距離Lwを記録データのブロックの長さの基準に変換した距離Ldを算出する。記録データのブロック単位基準の距離Ldは、Ld=Lw×n/mとして求められる。この式からわかるように、距離Ldは、記録クロックのパルス数(またはこれに対応する数)として求められる。ゾーンAの先頭のデータブロックの番号はMであり、ゾーンAの始端データブロック基準位置Pmを基点としたデータブロック単位基準の現在位置Pdは、Pd=Pm+Ldとして求められる。距離Ld、基準位置Pm、現在位置Pdは、ウォブルクロックを基準として特定できる。
ここで、ゾーンAの始端データブロック基準位置Pmは、ゾーンAのゾーンテーブルに記憶されている。現在位置Pdは、始端データブロック基準位置を含むゾーンの基準で求められる。つまり、現在位置がゾーンA−1に含まれるときであっても、記録再生の対象位置がゾーンAに含まれる場合には、ゾーンAを基準として現在位置を仮想的に求めることができる。
例えば、ゾーンA−1に記録されているデータブロックM−2、M−1の、ゾーンAの基準位置Pmを基点としたデータブロック単位基準の位置も算出できる。図5の下段において、破線で囲んだデータブロックM−2、M−1は、ゾーンAの基準位置Pmを基点とした場合の仮想的な位置を示している。アクセスするターゲット位置がゾーンAで、現在位置がゾーンA−1の領域であり、ゾーンの境界を跨ぐ場合であっても、仮想的な現在位置Pdを用いるので、ゾーンの境界を跨いでもデータアドレスが途切れない。但しこのようにして求めたデータブロックM−2、M−1の仮想的な位置は、中段に示す実際のデータブロックM−2、M−1の位置とは異なる。
以上のように、ADIP情報を用いて、現在位置がゾーンA−1の領域であってもゾーンAの始端を基準位置としたデータブロック単位基準の現在位置Pdを得ることができる。
チャネルPLL回路212は、ゾーンAで決められたn/mの値を用いて、ウォブルクロックをm分周したクロックの位相と、記録クロックをn分周したクロックの位相が同期するように動作し、ウォブルクロックのn/m倍の周波数となる記録クロックを生成する。
タイミング補間回路214は、特定したデータブロック単位基準現在位置Pdをもとにして、生成した記録クロックでデータタイミング補間カウンタを動作させ、後続のデータブロックの境界を1チャネルビット精度で補間していくことができる。データタイミング補間カウンタが、データを記録するターゲット位置を示したときに、データ変調回路208とレーザ駆動回路207が動作してデータの記録を開始する。
記録データには、データブロック毎にデータアドレスが付加される。図6は、本実施の形態のデータアドレスの構成を示す図である。データアドレスは、記録層番号、ブロック番号、グルーブトラック/ランドトラック情報で構成される。記録層番号は、データが記録されている記録層の番号を示す情報であり、ブロック番号は、データのブロック番号を示す情報であり、グルーブトラック/ランドトラック情報は、データが記録されている場所が、ランドトラックであるかグルーブトラックであるかを示す情報である。
データブロックM+2を記録する場合、データブロックの番号はM+2となる。データアドレスが付加された記録データは、データ変調回路208で変調され、レーザ駆動回路207と光ヘッド201により光ディスク200のトラックに記録される。
次に、本実施の形態における光ディスク装置20の再生動作について説明する。
光ディスク200に対する再生位置の特定については、記録動作における記録位置の特定の動作と同様である。タイミング補間回路214によるデータタイミング補間カウンタにしたがって、再生するデータブロックの位置となったときに、再生PLL回路204と、データ復調回路205と、誤り訂正復号回路206が動作してデータの再生を行う。
データの記録および再生を行う位置は、チャネルPLL回路212とタイミング補間回路214により決まる。この動作を決めるのが、ウォブルクロックと記録クロックの周波数の比n/mの値と、各ゾーンの始端ADIP基準位置Pwoと始端データブロック基準位置Pmの値であり、これらの値を一意に定めて記録再生を行わなければならない。これらの値がわずかでも異なると、データの再生ができなくなってしまう。以上の値を、光ディスク200の管理情報としてゾーン毎にリスト化したゾーンテーブルが構成される。
システムコントローラ215は、BCAから読み取ったゾーンフォーマット識別番号に応じてゾーンテーブルを参照して各値を特定し、上述のようなデータの記録再生の動作を行う。
本実施の形態における光ディスク200は、ゾーン毎に任意の線密度でのデータの記録が可能であり、光ディスク200のトラックのフォーマットは、記録されるデータの線密度に関係なく共通である。しかし、例えば、光ディスク200の記録膜の材料は、高い線密度で安定に記録ができるように、また長期の保存性がさらに高くなるように、また生産コストが下げられるようにといった観点で、改良され変更されることがある。この変更により、その光ディスクに適切に記録できる線密度が変わってくる。そこでトラックのフォーマットを同一としながら、そのディスクに対して適切な線密度を選択できるようにするため、トラックとは無関係なBCAにゾーンフォーマット識別番号が記録される。
本実施の形態における光ディスク200には、任意の線密度でのデータの記録が可能であるため、例えば、ゾーンフォーマット識別番号1の場合を1層あたり50GBの記録容量となる線密度とし、ゾーンフォーマット識別番号2の場合を1層あたり60GB、ゾーンフォーマット識別番号3の場合を1層あたり80GBと決めることができる。それぞれのゾーンフォーマット識別番号に対して決められたゾーンテーブルを用いることで、データの記録と再生を行うことができる。
このように線密度が大きく異なれば、それに伴って再生信号の周波数特性が変わるため、データを再生するときの再生PLL回路204、データ復調回路205の信号処理方式を大きく変える必要がある。光ディスク装置20が、1層あたり50GBから80GBの線密度まで対応できる再生PLL回路204、データ復調回路205を保有していれば、BCAに記録されているゾーンフォーマット識別番号を読み取り、それにしたがって、ゾーンテーブルを参照し、データを確実に再生することができる。
また、光ディスク装置20が、1層あたり80GBの線密度に対応できる再生PLL回路204、データ復調回路205を保有していない場合、BCAに記録されているゾーンフォーマット識別番号を読み取り、それにしたがって、ゾーンテーブルを参照したとしても、データを再生することはできない。このようなデータ再生のエラーを引き起こさないためには、1層あたり80GBの線密度に対応しない光ディスク装置20がBCAのデータを正常に再生できないように、所定のスクランブルを施してもよい。
光ディスク装置20がBCAのデータを正常に再生できない場合、ゾーンフォーマット識別番号を読み取ってゾーンテーブルを参照することができない。そのため、光ディスク装置20は、光ディスク200に対して誤った記録や再生をする前に、その光ディスクが非対応であると判定する。したがって、光ディスク200を保護することができる。
さらに、光ディスク200上の記録パターンの線密度を高くすると、再生信号のS/N比(Signal−to−Noise ratio)が低下する。このため、再生信号の振幅の変動に対して、データ復調回路205において復調誤りが発生しやすくなる。復調誤りを抑えるためには、再生信号の振幅に応じてデータ復調回路205での期待値波形の振幅を変化させるように、適応的な信号処理が必要となる。
ユーザデータ領域では、ユーザデータが連続的に記録されるため、適応的な信号処理を継続的に行って安定に再生することができる。一方、非データ領域では、短い単位で少しずつ記録されることが多く、記録状態が連続的ではないため、適応的な信号処理でも誤差が残り、再生性能の余裕が少なくなりやすい。
非データ領域において、特に欠陥部分を管理するデータ管理領域に記録される情報は重要である。データ管理領域の情報が取得できなければ、光ディスク200上のどの位置にユーザデータが記録されているかが不明になり、ユーザデータの再生ができなくなる。
そこで、本実施の形態の光ディスク装置20は、データ管理領域の情報を確実に取得できるように、再生性能の余裕を確保するために、非データ領域に対応するゾーンの線密度が、ユーザデータ領域に対応するゾーンの線密度より低くなるように、ゾーンテーブルにおけるm、nの値を設定する。
ここで、「非データ領域に対応するゾーンの線密度が、ユーザデータ領域に対応するゾーンの線密度より低くなる」とは、「非データ記録領域に対応するゾーンの線密度の最大値が、ユーザデータ領域に対応するゾーンの線密度の最小値より小さい」ということである。
ウォブルクロックと記録クロックの周波数の比n/mは、線密度が同一であれば、半径位置に比例して大きくなる。非データ領域に含まれるゾーン1とゾーン2のn/mの値は、半径位置に比例して大きくなる同一線密度であり、ユーザデータ領域に含まれるゾーン3以降のn/mの値は、非データ領域より高い線密度で、半径位置に比例して大きくなる。
また、非データ領域では、光ディスク200に対して良好な記録ができるように、レーザ駆動回路207による光ヘッド201のレーザ出力を適切に調整するための記録調整を行う。記録調整では、トラックに記録するマークの始端、終端が適切な位置になるように、レーザ出力を高くしたり、低くしたりする制御タイミングと、そのレーザ出力レベルを調整する。マークの始端、終端が適切な位置であるかどうかは、再生信号を用いて評価する。マークの始端や終端における期待値波形に対し、再生信号の遷移タイミングが早い、あるいは遅いということから制御タイミングやレーザ出力レベルを調整することができる。しかし、線密度が高くなると、マークの始端、終端に対する再生信号の振幅の遷移の傾きが緩くなる。また前後のマーク・スペースの記録パターンの影響による振幅の変化が大きくなり、遷移タイミングを正確に評価することが困難になる。したがって、遷移タイミングを正確に評価するために、低い線密度で記録調整を行ってもよい。
図3Aに示すゾーンテーブルは、全てのゾーンに対して、1層あたり50GBの記録容量となる線密度であるが、図3Bに示すゾーンテーブルは、非データ領域であるゾーン1、2に対しては、1層あたり50GBの記録容量となる線密度であり、ユーザデータ領域であるゾーン3〜40に対しては、1層あたり60GBの記録容量となる線密度である。このように、図3Bに示すゾーンテーブルは、非データ領域に対応するゾーンの線密度が、ユーザデータ領域に対応するゾーンの線密度より低い。
以上のように、光ディスク200は、ユーザデータ領域の線密度、非データ領域の線密度、ゾーンの分割数に応じて、ゾーンフォーマット識別番号を変更する。光ディスク装置20は、光ディスク200のゾーンフォーマット識別番号に従って、ゾーンテーブルを生成して、光ディスク200に対して、適切なデータの記録再生を行うことができる。