JP6572337B2 - マイオカイン産生促進用組成物 - Google Patents

マイオカイン産生促進用組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6572337B2
JP6572337B2 JP2018034784A JP2018034784A JP6572337B2 JP 6572337 B2 JP6572337 B2 JP 6572337B2 JP 2018034784 A JP2018034784 A JP 2018034784A JP 2018034784 A JP2018034784 A JP 2018034784A JP 6572337 B2 JP6572337 B2 JP 6572337B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
essential oil
myokine
production
test
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018034784A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019147777A (ja
Inventor
暢彦 佐藤
暢彦 佐藤
奈帆子 大石
奈帆子 大石
民恵 宮田
民恵 宮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fancl Corp
Original Assignee
Fancl Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fancl Corp filed Critical Fancl Corp
Priority to JP2018034784A priority Critical patent/JP6572337B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6572337B2 publication Critical patent/JP6572337B2/ja
Publication of JP2019147777A publication Critical patent/JP2019147777A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

本発明は、生体のマイオカイン産生を促進するための組成物に関する。
骨格筋は、体重の40%に相当する運動器官である。近年の研究により、単に運動に関わるだけでなく、人体最大のホルモン分泌器官としての役割を有していることが明らかになってきている。筋肉から分泌される液性因子はMyokine(マイオカイン)と総称されている。マイオカインは、オートクライン、パラクライン、エンドクラインに作用し、筋肉自身はもちろん血管、脂肪、皮膚、肝臓、腎臓、骨、脳、消化器官、免疫系器官など他臓器の生理機能に影響を与えていると考えられている(非特許文献1)。
ヒト培養骨格筋のセクレトーム解析から、300以上の液性タンパク質がマイオカイン候補物質として挙げられている(非特許文献2)。マイオカインの中で最も代表的なものはインターロイキン−6(IL−6)であり、筋肉と多岐に渡る他臓器とのクロストークを担っていると考えられ(非特許文献1参照)、抗炎症作用や抗糖尿病作用(非特許文献3)、抗肥満作用(非特許文献4)など様々な作用が報告されている。IL−6を一つの指標として筋肉のマイオカインの産生量の変動を確認することができる。
その他のマイオカインとしては、アンジオポエチン様タンパク4(Angptl4)には抗肥満作用、インターロイキン−15(IL−15)には抗肥満作用や皮膚の抗老化作用、thioredoxin−1は抗酸化作用、Secreted Protein Acidic and Rich in Cysteine(SPARC)には抗がん作用が報告されている。また、脳由来神経栄養因子(Brain−derived neurotrophic factor:BDNF)は脳に作用して記憶・学習や情動の調節に関与していると考えられている。このように、マイオカインの多くは健康増進に寄与している。しかし、一般的に全身の筋量は加齢に伴い低下する。このため、マイオカインの全体量もまた加齢に伴い低下する。
現代社会において健康寿命を延ばすことは重要であり、そのために、マイオカインの分泌を維持・促進し、その健康増進効果を利用することは非常に有用な方法である。
また、マイオカインはその多くが恒常的に分泌されており、筋収縮や機械的刺激、インスリンなどの刺激によりその分泌量は変動しうることが知られている(非特許文献5)。 例えば、IL−6やIL−15など運動によって血中濃度が上昇することが多数のマイオカインについて報告されている(非特許文献6)。運動による健康・美容増進効果の一部はマイオカインによるものであると考えられる。しかしながら、近年、特に女性の運動習慣が減少し、中でも男女とも30代は最も運動習慣が少ない年代であることが明らかになっており、高齢者のみならず若年層においても、マイオカイン分泌を簡便に促進する方法が健康・美容の両面から必要とされている。
しかしこれまで、マイカイオン産生促進を筋肉運動なしで促進する具体的な方法や、促進するための組成物は未だ提供されていない。
Pedersen BK, Febbraio MA.Nat Rev Endocrinol. 2012 Apr 3;8(8):457-65. Hartwig S他,Biochim Biophys Acta. 2014 May;1844(5):1011-7. Karstoft K, Pedersen BK.Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2016 Jul;19(4):270-5. Carey AL他, Diabetes. 2006 Oct;55(10):2688-97. Manabe Y他,J Phys Fitness Sports Med. 2012;1(1):51-58. Drenth JP他,J Appl Physiol (1985). 1995 Nov;79(5):1497-503.
本発明者は、筋肉運動に依存しないマイオカインの分泌促進方法を研究する過程で、植物由来の精油やメントール、酢酸リナリル、リナロール、α−ピネン、リモネンを含む組成物に強いマイオカイン分泌促進作用が存在することを見いだし、本発明をなした。
すなわち、本発明は、マイオカイン産生促進作用を有する組成物を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)カモミール精油、ローズマリー精油、ニュウコウジュ精油、メントール、酢酸リナリル、リナロール、α−ピネンおよびリモネンから選択される1種類以上の物質を有効成分として含有する、筋細胞における、マイオカインの1つであるIL−6の産生促進剤(抗糖尿病剤および抗肥満剤を除く)。
(2)カモミール精油を有効成分として含有する、筋細胞における、マイオカインの1つであるAngptl4の産生促進剤(抗糖尿病剤および抗肥満剤を除く)。
(3)カモミール精油、ローズマリー精油、ニュウコウジュ精油、メントールから選択される1種類以上の物質を有効成分として含有する、筋細胞における、乳酸によるマイオカインの1つであるIL−6産生能の低下抑制剤(抗糖尿病剤および抗肥満剤を除く)。
本発明の組成物は、筋肉のマイオカイン産生を促進する作用を有している。また運動不足や血行不良によるマイオカイン産生能の低下を回復又は改善させ、マイオカイン産生を増強する。
筋肉組織の産生するマイオカインは、筋肉自身のみならず、血流などを介して脂肪組織、膵臓、免疫系組織、脳神経、骨など多臓器の生理機能を整え、抗筋萎縮、抗肥満、抗糖尿病、抗炎症、記憶力促進、神経再生、骨再生、抗がんなどの作用をもたらす。また、特に皮膚組織などを構成する線維芽細胞組織においては線維芽細胞を増殖させ、更に線維芽細胞の産生するコラーゲン量を増やす。
本発明の組成物0.01質量%添加がマイオカイン産生を促進することを示すグラフである。 本発明の組成物0.05質量%添加がマイオカイン産生を促進することを示すグラフである。 本発明の組成物0.3mM又は0.03mM添加がマイオカイン産生を促進することを示すグラフである。 カモミール精油がマイオカイン産生を促進することを示すグラフである。 分化3日目の筋管組織で乳酸がマイオカイン産生を抑制することを示すグラフである。 分化7日目の筋管組織で乳酸がマイオカイン産生を抑制することを示すグラフである。 本発明の組成物が、乳酸による筋管組織のマイオカイン産生抑制を回復させることを示すグラフである。 筋管組織の産生するマイオカインを含む培養液が線維芽細胞の増殖を促進させることを示すグラフである。 筋管組織の産生するマイオカインを含む培養液が線維芽細胞のミトコンドリア膜電位を低下させることを示すグラフである。 筋管組織の産生するマイオカインを含む培養液が線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させることを示すグラフである。
本発明は、植物由来の精油及び/又はメントールを含有するマイオカイン産生促進用組成物に関する。
本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物にあっては、筋肉のマイオカイン産生を促進する作用を示す成分は、植物由来の精油及び/又はメントールである。マイオカイン産生促進作用を示す精油又はメントールを1種以上含有する組成物をマイオカイン産生促進用組成物として用いることができる。
マイオカイン産生促進作用を示す精油としては、例えば成分として酢酸リナリル及び/又はリナロール及び/又はα−ピネン及び/又はリモネンを含むものであり、カモミール、ローズマリー、ニュウコウジュ、ハッカ、ラベンダー、オレンジから得られる精油が代表的なものである。
カモミール(学名:Matricaria recutita)は、キク科の1種の耐寒性一年草で、和名はカミツレである。カモミールは、ローマンカモミールとジャーマンカモミールの2種類が一般的に知られているが、本発明にあってはいずれの種類でも良い。カモミールの花から水蒸気蒸留法で精油を抽出したカモミール油を本発明に用いることができる。市販された精油を本発明に用いることができる。精油成分としては、ローマンカモミールはアンジェリカ酸イソブチル、アンジェリカ酸イソアミル、アンジェリカ酸メチル、イソブチル酸イソアミル、アンジェリカ酸2−メチルブチレートなど、ジャーマンカモミールはビサボロールオキサイドA、カマズレン、cis−t−ディサイクロエーテル、ビサボロールオキサイドB、ビサボレンオキサイドなどを含む。
ローズマリー(学名:Rosmarinus officinalis L)は、地中海沿岸地方原産で、シソ科に属する常緑性低木で、和名マンネンロウともいう。植物全草から水蒸気蒸留法で抽出した精油を本発明において使用する。市販されたローズマリー精油を本発明に用いることができる。精油成分としては、α−ピネン、1,8−シネオール、カンファー、カンフェン、リモネンなどを含む。
ニュウコウジュ(乳香樹、学名:Boswellia carterii Birdw.)は、熱帯の乾燥地帯に自生する低木で、幹から採取した樹脂を乳香又は没薬と呼ぶ。本発明にあっては、乳香を水蒸気蒸留して得られる精油を「ニュウコウジュ精油」として、マイオカイン産生促進用の組成物に用いる。市販されたニュウコウジュ精油を本発明に用いることができる。精油成分としては、α−ピネン、α−ツエン、p−サイメン、リモネン、サビネンなどを含む。
ハッカは、狭義には日本ハッカ(学名:Mentha canadensis var. piperascens)を意味するが、日本ハッカを含むハッカ属に分類されるスペアミントなどのいわゆる「ミント類」の植物を本発明にあっては、「ハッカ」という。本発明のハッカ由来の精油は、これらのミント類の全草を水蒸気蒸留した精油(ハッカ油)であれば本発明に使用できる。このようなハッカとしては、ニホンハッカ、セイヨウハッカ、スペアミント、ペッパーミント、ベルガモットミント、アップルミントなどを例示できる。本発明にあっては、食品又は化粧品原料或いは香料として市販されたものを用いることができる。
ラベンダー(学名:Lavendula angustifolia P. Miller)は、標高800〜1000m付近で栽培されるシソ科の多年草で、本発明にあっては、ラベンダーを水蒸気蒸留して得られる精油を「ラベンダー精油」として使用する。市販されたラベンダー精油を本発明に用いることができる。精油成分としては、酢酸リナリル、リナロール、cis−β−オシメン、テルピネン−4−オールなどを含む。
オレンジ類は、スイートオレンジ (学名:Citrus sinensis L. Osbeck)、ビターオレンジ (学名:Citrus aurantinum L.) 、マンダリンオレンジ (学名:Citrus reticulata )に大別されるが、本発明にあっては、これらオレンジ類の果皮を圧搾して得られる精油を「オレンジ精油」として使用する。市販されたオレンジ精油を本発明に用いることができる。精油成分としては、スイートオレンジはリモネン、n−オクタナールなど、ビターオレンジはリモネン、ミルセンなど、マンダリンオレンジはリモネン、γ−テルピネン、α−ピネン、ミルセン、β−ピネンなどを含む。
メントール(Menthol)は環式モノテルペン、アルコールの一種の有機化合物で、IUPAC命名法の系統名は 2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノール (2−isopropyl−5−methylcyclohexanol)である(CAS登録番号:2216−51−5)。いわゆるハッカ臭を持つ、揮発性の無色結晶である。メントールにはいくつかのジアステレオマー、鏡像異性体があるが、本発明は、これらの異性体、或いは混合物であってもよい。そのうちのl−メントールは歯磨きやチューインガムなどの菓子類、口中清涼剤などに多用されるほか、局所血管拡張作用、皮膚刺激作用等を有するため、医薬品にも用いられる化合物である。
本発明にあっては、上記のハッカ精油から単離した精製メントールや、不斉合成法で得られる化学合成品であっても使用することができる。
本発明の組成物は、食品、医薬品、外用剤として使用できる。食品としては、通常の食品の他、栄養補助食品、機能性食品、健康食品、特定保健用食品等として使用しても良く、例えば、ジュースのような飲料に配合することもできる。
医薬品用途において、投与に関しては、有効成分を経口投与、非経口摂取、直腸内投与、注射等の投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。形態としては、例えば、粉末、散剤、顆粒、錠剤、カプセル、等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤、外用剤等が挙げられる。これらの製剤は常套手段により調製することが可能である。上記の医薬品用担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチレンデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤等の添加剤を適宜添加することも可能である。
本発明の組成物の投与量は、対象者の年齢、体重、症状、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、等により、適宜選択決定される。経口投与の場合、1日あたり1〜240mgが好ましい。精油は0.001〜50質量%、メントールは0.001〜1質量%を含む組成物を1日あたり、複数回投与する。
また、本発明の組成物は、外用剤として、乳液、クリーム、ローション、軟膏等に用いられる。特に限定されるものではないが、その剤型は水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水−油2層系、水−油−粉末3層系等の剤型とすることができる。
以下に試験例を示し、本発明を具体的に説明する。
試験1.筋肉に対するマイオカイン産生促進作用確認試験
(1)試験方法
筋肉組織モデルとして培養横紋筋細胞によって形成された筋管組織を用いた。
1)筋管形成
培養マウス横紋筋細胞C2C12株(DSファーマバイオメディカル株式会社)を用い、筋管を形成させた。増殖用培地にはFBS10%含有DMEM high glucose(GIBCO)にペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich/)を1%配合したものを用いた。C2C12細胞の継代にはT75フラスコを用い、1フラスコ当たり細胞数が1.5×10cellsとなるように播種した。
継代後2〜3日で細胞密度がフラスコ面積の60〜70%となったことを顕微鏡観察によって確認し、0.05% Trypsin−EDTAを用いて細胞を剥離した。次いで、0.02%のコラーゲン(株式会社高研)でコートした6−well plateに、1ウェル当たり細胞数が1.8×10 cellsとなるように播種した。
その後細胞がコンフルエントに達したことを確認した後、増殖用培地を分化用培地に切り替えた。
分化用培地は、DMEM high glucose(GIBCO)にHorse serum2%含有させた培地に、非必須アミノ酸溶液(NEAA:Sigma Aldrich)を1%、ペニシリン/ストレプトマイシンを1%添加したものを用いた。培地切り替えから3〜7日後、筋管が十分形成されていることを顕微鏡で確認した。筋管組織が形成されたものを以下の試験に用いた。
なお、すべての細胞培養環境は37℃、5%COとした。
2)マイオカイン産生促進試験(IL−6)
上記で調製した分化3日目の筋管組織を用いてマイオカイン産生促進効果を試験した。
試験に用いた精油は、市販されている香料用の精油であって、ローズマリー精油(RM ローズマリー油,香栄興業)、カモミール精油(RM ローマカミツレ油,PATAN & BERTRAND)、ニュウコウジュ精油(ニュウコウジュ油,山本香料),及びメントール (L−メントール, 和光純薬工業)及び酢酸リナリル(和光純薬工業)、リナロール(和光純薬工業)、α−ピネン(和光純薬工業)、リモネン(和光純薬工業)を用いた。また陽性対照として、筋肉組織にマイオカイン産生を促進させることが明らかな合成ペプチド、MG−132(Z−Leu−Leu−Leu−CHO:American Peptide)を用いた。これらの添加成分は、分化培地に添加後超音波破砕装置にて均一に分散させた。
各精油及びメントールは、培地中の濃度が0.01質量%及び0.05質量%、酢酸リナリル、α−ピネン、リモネンは0.3mM、リナロールは0.03mMになるように添加し、1時間培養した後に新しい分化培地に入れ替え、その5時間培養後に培地の上清を回収し、マイオカインの変化を測定した。マイオカインの指標としてIL−6量を測定した。IL−6の測定は、マウス・ラット可溶性タンパクMaster Buffer Kit(日本ベクトンディッキンソン)およびマウス可溶性タンパクFlex set IL−6(日本ベクトンディッキンソン)を用いて、FACS Calibur(日本ベクトンディッキンソン)を用いて、回収した培地上清中に含まれるIL−6タンパク質量を測定した。
3)マイオカイン産生促進試験(Angplt4)
上記で調製した分化3日目の筋管組織を用いて、脂質代謝に関わるマイオカインの1つであるAngptl4の産生促進効果を遺伝子発現レベルで試験した。
試験に用いた精油は、市販されている香料用のカモミール精油を用い、分化培地に添加後超音波破砕装置にて均一に分散させた。
精油は、培地中の濃度が0.01質量%、0.1質量%になるように添加し、1時間培養した後に新しい分化培地に入れ替え、その3時間培養後に細胞からRNAを抽出した。RNAからcDNAへの逆転写には、PrimeScript RT reagent Kit(タカラバイオ)及びTaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(登録商標)GradientTP600(タカラバイオ)を用いた。定量PCR反応には、SYBR(登録商標)Premix Ex Taq(商標)II(Tli RNaseH Plus)(タカラバイオ)及びLightCycler 480 system II(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いた。ハウスキーピング遺伝子としてβグルコシダーゼ(Gusb)を用いた。なおマウス配列を基にしたGusb及びAngptl4のプライマーの配列(配列1〜4)を表1に示す。
Figure 0006572337
(2)試験結果
図1(0.01質量%)、及び図2(0.05質量%)に各精油及びメントールによるIL−6産生量促進効果を測定した結果を示した。なお測定結果は対照(コントロール)の産生量を1とした相対値で示した。
図1、図2からローズマリー精油、カモミール精油、ニュウコウジュ精油、メントールはいずれもIL−6の産生を促進することが確認できた。また、マイオカイン産生を促進させることが明らかな合成ペプチドMG−132でも、毎試行IL−6産生の促進を確認できた。
図3に酢酸リナリル、リナロール、α−ピネン、リモネンによるIL−6産生量促進効果を測定した結果を示した。なお測定結果はコントロールの発現量を1とした相対値で示した。
図3から明らかなように、酢酸リナリル、リナロール、α−ピネン、リモネンはいずれもIL−6の産生を促進することが確認出来た。
図4にカモミール精油によるAngptl4遺伝子の発現促進効果を測定した結果を記した。なお測定結果はコントロールの発現量を1とした相対値で示した。
図4からカモミール精油がIL−6の産生のみならず、Angptl4遺伝子の発現をも促進することが確認出来た。
試験2.乳酸蓄積によるマイオカイン産生能抑制確認試験
乳酸蓄積による筋肉のマイオカイン産生能抑制を確認した。その試験について次に説明する。
(1)試験方法
試験1と同様に筋肉組織モデルとして培養横紋筋細胞によって形成された筋管組織を用いた。
1)筋管形成
試験1と同様に筋管を形成させた。これを試験に用いた。
2)乳酸負荷によるマイオカイン産生抑制の確認試験
上記で調製した分化3日目の筋管組織を用いて試験を行った。
3)乳酸負荷
分化誘導後3日後および7日後の筋管を乳酸0〜40mMを含む培地で24時間培養した後培養上清を回収し、試験1と同様の方法で培地中のIL−6を測定した。
(2)試験結果
図5(分化3日目)、図6(分化7日目)に、筋管の産生するIL−6の測定結果を示す。
図5、6から明らかなように乳酸は筋肉のマイオカイン産生機能を抑制していることが確認できた。
試験3.乳酸蓄積によるマイオカイン産生能抑制試験
乳酸蓄積による筋肉のマイオカイン産生能抑制確認をした。その試験について次に説明する。
(1)試験方法
試験1と同様に筋肉組織モデルとして培養横紋筋細胞によって形成された筋管組織を用いた。
1)筋管形成
試験1と同様に筋管を形成させた。これを試験に用いた。
2)乳酸負荷によるマイオカイン産生抑制からの回復試験
上記で調製した分化3日目の筋管組織を用いて試験を行った。
3)乳酸負荷
分化誘導後3日後筋管を、乳酸20mMを含む培地で1時間培養、又は乳酸20mMと各精油又はメントール0.01質量%を添加した培地で1時間培養後、新しい分化培地に入れ替え、その5時間培養後に培養上清を回収し、試験1と同様の方法で培地中のIL−6を測定した。
(2)試験結果
図7に筋管の産生するIL−6の測定結果を示す。測定結果は対照(乳酸、精油又はメントール無添加)の産生量を1とした相対値で示した。
図7から明らかなように、乳酸は筋肉のマイオカイン産生機能を抑制するが、精油又はメントールを添加することで、乳酸によるマイオカイン産生抑制作用を解消し、マイオカインの産生を促進することが明らかとなった。また乳酸蓄積に伴う機能低下を予防できることが明らかとなった。
以上の試験1、試験2、試験3の結果から植物由来の精油又はメントールは筋肉組織に作用してマイオカイン産生を促進させ、さらに運動不足や血行不良に伴う乳酸の蓄積による影響を解消する作用を有しているということができる。
試験4.マイオカインが線維芽細胞に及ぼす効果試験
筋肉組織近傍に存在する線維芽細胞に対する効果を確認した。
(1)試験方法
1)細胞培養
線維芽細胞としてBALB/3T3cell (継代22回) を用いた。これをT25培養フラスコ1枚に細胞密度1×10cells/cmになるように播種し、3日間培養した。次いで、0.025% trypsin−EDTAで細胞を剥離して回収し、さらに96well plate 5枚に、1×10cells/mlで播種した。
コンフルエントの80%に増殖した状態で、培地交換を行った。
交換用培地は、試験1に示したC2C12細胞の分化用培地を用いて培養した7日目の培地を回収し、これを3T3細胞の培地に、表2に示した配合比率で混合した。
培地交換24時間後にCell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を用いて細胞数を測定した。
Figure 0006572337
2)線維芽細胞(3T3)のミトコンドリア活性の測定
線維芽細胞としてBALB/3T3 cell(継代22回) を用いた。これをT25培養フラスコ1枚に細胞密度1×10cells/cmになるように播種し、3日間培養した。次いで、0.025% trypsin−EDTAで細胞を剥離して回収し、さらにT75フラスコ2枚に、0.8×10cells/mlで播種した。
コンフルエントの80%に増殖した状態で、培地交換を行った。
交換用培地は、試験1に示したC2C12細胞の分化用培地を用いて培養した7日目の培地を回収し、これを3T3細胞の培地に、表2に示した配合比率で混合した。
培地交換24時間後にMitoProbe(商標)JC−1アッセイ(Molecular probes)によりミトコンドリア膜電位を測定した。
3)線維芽細胞(3T3)のコラーゲンゲル収縮測定
線維芽細胞としてBALB/3T3 cell(継代22回)を用いた。これをT25培養フラスコ1枚に細胞密度1×10cells/cmになるように播種し、3日間培養した。次いで、0.025% trypsin−EDTAで細胞を剥離して回収し、さらにT75フラスコ2枚に、0.8×10cells/mlで播種した。
コンフルエントの80%に増殖した状態で、培地交換を行った。
培地交換6日後に細胞を剥離して回収し、表3に示す組成のコラーゲンゲルに播種した。培地は、試験1に示したC2C12細胞の分化用培地を用いて培養した7日目の培地(Sup)を回収し、表4に示した配合比率で混合したものを各々添加した。
7日間培養し、コラーゲンゲルの収縮を観察して撮影し、得られた画像をImage−Jを用いてゲルサイズを測定し収縮率を算出した。
コラーゲンゲルの調製及び収縮測定は特開2011−157281号公報に記載された方法に従った。
Figure 0006572337
Figure 0006572337
(2)結果
1)細胞数
図8に測定結果を示す。
7日目のC2C12細胞の分化用培地(Sup)の添加量に対応して線維芽細胞数が増加した。筋管組織から分泌されるマイオカインが線維芽細胞の増殖に寄与したものと考えられた。
2)ミトコンドリア膜電位
図9にJC1の測定結果を示す。線維芽細胞(3T3)のミトコンドリア膜電位が、筋管培養上清(Sup)の濃度依存的に低下することが確認された。
3)コラーゲンゲル収縮
コラーゲンゲルの収縮状態を観察した結果得られた収縮率を図10に示す。
線維芽細胞(3T3)入りコラーゲンゲルが、筋管培養上清(Sup)の濃度依存的に収縮することが観察された。
以上の試験結果から、次のことが明らかとなった。
筋管培養上清により、線維芽細胞(3T3)の増殖が起こり、ミトコンドリア膜電位の低下が認められた。これは筋管培養上清に含まれるマイオカインにより線維芽細胞賦活が起こり、細胞が増殖し、また増殖したことによりミトコンドリア膜電位の低下が起こったと考えられた。
コラーゲンゲル収縮法は、I型コラーゲンゲル中に線維芽細胞を包埋し通常の培養条件下で培養を行うと、コラーゲンゲルの体積が収縮する現象が観察される。コラーゲンゲル収縮の程度は細胞数が多いほど、あるいは培地中の血清濃度が高いほど大きいことが知られている。また、高齢者由来の線維芽細胞では若齢者由来の線維芽細胞と比較してゲルの収縮能力が低下することが明らかになっており、真皮線維芽細胞包埋コラーゲンゲルの収縮能力の測定は、加齢に伴う真皮の弾力やハリ、たるみ予防改善用薬剤の評価方法として用いられている。筋管培養上清によるコラーゲンゲル収縮が認められたことは、筋管培養上清に含まれるマイオカインが、たるみなどの皮膚機能に関する抗老化作用を持つことが考えられた。
以上のことより、植物由来の精油又はメントールは、マイオカイン産生を促進し、さらに産生されたマイオカインは皮膚細胞賦活(増殖)に働くことにより、コラーゲンゲルを収縮させ、皮膚のたるみやシワを改善するものと考えられた。

Claims (3)

  1. カモミール精油、ローズマリー精油、ニュウコウジュ精油、メントール、酢酸リナリル、リナロール、α−ピネンおよびリモネンから選択される1種類以上の物質を有効成分として含有する、筋細胞における、マイオカインの1つであるIL−6の産生促進剤(抗糖尿病剤および抗肥満剤を除く)。
  2. カモミール精油を有効成分として含有する、筋細胞における、マイオカインの1つであるAngptl4の産生促進剤(抗糖尿病剤および抗肥満剤を除く)。
  3. カモミール精油、ローズマリー精油、ニュウコウジュ精油、メントールから選択される1種類以上の物質を有効成分として含有する、筋細胞における、乳酸によるマイオカインの1つであるIL−6産生能の低下抑制剤(抗糖尿病剤および抗肥満剤を除く)。
JP2018034784A 2018-02-28 2018-02-28 マイオカイン産生促進用組成物 Active JP6572337B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018034784A JP6572337B2 (ja) 2018-02-28 2018-02-28 マイオカイン産生促進用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018034784A JP6572337B2 (ja) 2018-02-28 2018-02-28 マイオカイン産生促進用組成物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019080871A Division JP2019151642A (ja) 2019-04-22 2019-04-22 マイオカイン産生促進用組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6572337B2 true JP6572337B2 (ja) 2019-09-04
JP2019147777A JP2019147777A (ja) 2019-09-05

Family

ID=67844839

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018034784A Active JP6572337B2 (ja) 2018-02-28 2018-02-28 マイオカイン産生促進用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6572337B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7206725B2 (ja) * 2018-09-14 2023-01-18 ポーラ化成工業株式会社 肌状態改善剤のスクリーニング方法
JP7259169B2 (ja) * 2018-09-14 2023-04-18 ポーラ化成工業株式会社 肌状態の鑑別法
KR102162787B1 (ko) * 2019-04-19 2020-10-07 건국대학교 글로컬산학협력단 사비넨을 유효성분으로 함유하는 근원세포에서 근관세포로의 분화 촉진용 조성물

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2756181B1 (fr) * 1996-11-26 1999-03-05 Au Mont Beaute Composition cosmetique, pharmaceutique a base de culture inactivee de bacteries bifidobacterium, d'huile de menthe et d'un acide
IT1317911B1 (it) * 2000-09-28 2003-07-15 Idi Irccs Formulazione cosmetica.
JP2005206596A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Osaka Industrial Promotion Organization 芳香療法用組成物
JP4691320B2 (ja) * 2003-12-26 2011-06-01 株式会社資生堂 脂肪蓄積抑制用組成物
KR100873946B1 (ko) * 2007-06-11 2008-12-12 바이오스펙트럼 주식회사 알파-피넨을 유효성분으로 포함하는 피부주름 개선제
JP2009155227A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Yohei Tanaka 生体組織修復促進薬剤
JP2010195724A (ja) * 2009-02-26 2010-09-09 Pola Chem Ind Inc 皮膚状態復元促進剤
JP2011236156A (ja) * 2010-05-11 2011-11-24 Pola Chemical Industries Inc コラ−ゲン産生促進剤
JP2013023437A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Pola Chemical Industries Inc ヒアルロン酸産生促進剤
EP2885055B1 (en) * 2012-08-20 2018-12-19 L'Oréal Cosmetic use of the essential oil of laserpitium siler l. against the signs of aging of the skin and as antioxidant
KR101737046B1 (ko) * 2015-03-12 2017-05-19 고려대학교 산학협력단 리나닐 아세테이트를 포함하는 당뇨병의 예방 또는 치료용 약학적 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019147777A (ja) 2019-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6572337B2 (ja) マイオカイン産生促進用組成物
KR100950437B1 (ko) 발모, 양모 촉진 및 탈모 방지를 위한 생약 조성물 및 이의제조방법
JP2019151642A (ja) マイオカイン産生促進用組成物
US10918590B2 (en) Fat stem cell attractant-containing agent for improving skin looseness or aging caused by dermal cavitation
CN109260121B (zh) 一种防脱育发的原料配方
JP6843425B2 (ja) 幹細胞の未分化状態維持剤及び増殖促進剤
JP6156900B2 (ja) ヨモギ抽出組成物
US11607437B2 (en) Cosmetic and pharmaceutical compositions each containing aloe extract and upland rice extract
JP5678373B2 (ja) Atp産生促進剤、およびその利用
KR20180026190A (ko) 한약재 추출물(cjs03)을 함유하는 불면증 개선, 예방 또는 치료용 조성물
CN102860940A (zh) 除皱护理复方精油
JP2013151437A (ja) 幹細胞から褐色脂肪細胞への分化促進剤
JP2018140947A (ja) コラーゲン産生の促進を特徴とする組成物およびリモノイド
JP2022167197A (ja) ヒアルロン酸産生促進剤、表皮ヒアルロン酸産生促進剤、及び真皮ヒアルロン酸産生促進剤
KR20210071663A (ko) 로즈마리 추출물을 포함하는 임플란트의 골유착 개선용 조성물
JP7075694B1 (ja) アイリシンの生理作用増強剤
JP2019189542A (ja) 弾性線維形成促進剤
JP7436975B2 (ja) 精油組成物
JP2013119534A (ja) アンジオテンシンii活性阻害剤
KR20120058830A (ko) 하이페리쿰 추출물을 함유하는 지방유래 줄기세포의 줄기세포성 증진용 및 피부세포 증식용 조성물
JP7425536B2 (ja) D-chiro-イノシトールを含む外用組成物
JP6763604B2 (ja) 幹細胞の未分化状態維持剤及び増殖促進剤
RU2299726C2 (ru) Лечебно-профилактическая противоинфекционная губная помада
JP6789724B2 (ja) 脂肪燃焼組成物を調製する方法
JP6877014B2 (ja) 幹細胞の未分化状態維持剤及び増殖促進剤

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180926

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180926

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180926

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20181018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190107

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190422

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190729

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6572337

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250