以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
以下においては、容器の首部に装着される首掛けラベル(以下、適宜に「ラベル」とだけいう)である場合について説明するが、これに限定されるものではなく、ストッカから1枚ずつ繰り出されたラベルまたはシートがどのような用途に使用されてもよい。
また、以下では、ラベルに形成された破断予定弱化線がミシン目である例について説明するが、これに限定されるものではない。破断予定弱化線は、例えば、長い切り目が中間位置において少なくとも1つの短い連結部分でつながっていることで破断し易くなった線であってもよいし、あるいは、ラベルの厚みが薄くなっていることで破断し易くなった薄肉線であってもよい。
図1は、本実施形態のラベル移送破断装置60を含むラベル装着装置10の全体構成を概略的に示す図である。図2(a)は本実施形態で用いられるラベルLの平面図である。また、図3(a)はラベルLの破断予定弱化線が破断された状態を示す斜視図であり、図3(b)はラベルLが容器Bに装着された状態を示す斜視図である。
図1に示すように、ラベル装着装置10は、容器搬送装置12と、ラベル繰出装置20と、ラベル移送破断装置60と、ラベル搬送装置90とを備える。
容器搬送装置12は、例えば、PETボトル等の容器Bを所定ピッチで連続的に矢印A方向に搬送する機能を有する。容器搬送装置12は、容器Bを載置しつつ移動するベルトコンベア等によって構成できる。また、容器搬送装置12は、ベルトコンベアと同期して移動する複数対の位置決めガイド14をさらに備える。各対の位置決めガイド14によって容器Bが挟まれることにより、搬送される容器B間のピッチが所定ピッチに維持されるとともに、ラベル装着時に容器Bが転倒するのを防止することができる。
ラベル繰出装置20およびラベル移送破断装置60は、容器搬送装置12の上方において容器搬送方向(矢印A方向)に並んで設置されている。ラベル繰出装置20は、ストッカ22に収容されたラベルLを1枚ずつ繰り出す機能を有する。また、ラベル移送破断装置60は、ラベル繰出装置20から1枚ずつ供給されるラベルLを移送しつつミシン目線を破断させる機能を有する。これらの装置20,60の詳細については後述する。
本実施形態では、ラベル繰出装置20によるラベルLの繰出方向が容器Bの搬送方向と一致している。下記においては、容器搬送方向に沿ったラベル繰出方向に関して下流側を「前」といい、上流側を「後」という。また、ラベル繰出方向と直交する方向を「幅方向」という。
本実施形態において用いられるラベルLは、図2(a)に示すように、4つの角部が円弧状に形成された略長方形状をなしている。ラベルLは、例えば、合成樹脂、紙、厚紙、合成紙等のシート材、これらの積層体、これらと他のシートの積層体などによって形成される。ラベルLの表面(すなわち、容器装着状態で容器とは反対側を向く面)および/または裏面には、文字、図形、背景色等の印刷が施され、商品を購入する消費者に対する情報を表示することができる。
ラベルLの中央部には、例えば長円形状(またはトラック状)の貫通孔2が予め形成されている。図2(a)に示す矢印Xはラベル繰出装置20によるラベル繰出方向に相当し、矢印Yは幅方向に相当する。貫通孔2のラベル繰出方向両側には短いミシン目線3aがそれぞれ形成され、これらのミシン目線3aが貫通孔2のラベル繰出方向両側で幅方向に延在する2本のミシン目線3bにつながっている。これにより、ラベルLにおいてミシン目線3a,3bが形成された中央領域が押される等するとミシン目線3a,3bが破断し、2つの片持ち舌片状の係合部4が形成されるようになっている。以下では、ミシン目線3a,3bを総称してミシン目線3という。
ラベルLにおいて貫通孔2およびミシン目線3は中央領域に形成され、この中央領域を取り囲んで四方の周辺部6a,6b,7a,7bが形成されている。より詳しくは、ラベルLの四方の周辺部は、前側周辺部6a、後側周辺部6b、および、幅方向周辺部7a,7bで構成される。
ラベル繰出装置20から一枚ずつ繰り出されたラベルLは、ラベル移送破断装置60を通過する際にミシン目線3が破断され、図3(a)に示すように2つの係合部4が形成される。そして、図3(b)に示すように、ミシン目線3の破断によって拡大した貫通孔2が容器Bのキャップ部Cに挿通される。これにより、ラベルLは、容器Bにおいてキャップ部Cの下方に連なって位置する首部Nの周囲に装着される。
このようにしてラベルLが容器Bの首部Nに装着されると、ラベルLの2つの係合部4,4が容器Bに押し付けられることで、ラベルLの装着状態が安定したものになる。この状態では、2つの係合部4の縁部に形成された半長円形状の縁部(すなわち貫通孔2の開口縁部に相当する)が係合部4の弾性復元力(ラベルの剛性によって、押し広げられた係合部4が閉じようとする力)によって容器Bの首部Nの周囲に当接して係合される。そのため、装着後のラベルLが容器Bに対してずれにくくなり、かつ、容器Bから脱落しにくくなる。
上記ラベル繰出装置20において使用可能なラベルLは図2(a)に示すものに限定されるものではなく、種々の形態のミシン目線付きラベルを用いることができる。例えば、図2(b)に示すラベルLのように、中央部に略矩形の貫通孔2が形成され、その4つの角部からミシン目線3cが幅方向から傾いた方向に延在していてもよい。また、図2(c)に示すラベルLのように、貫通孔が形成されておらず、H字状のミシン目線3a,3bだけが形成されているものであってもよい。さらに、図2(d)に示すラベルLのように、コ字状をなすミシン目線3dだけが形成され、ミシン目線3dが破断することで1つの係合部4が形成されるものでもよい。ここで、図2(d)中の符号5は折り曲げ線であり、この線に沿ってラベルLを折り曲げた状態とすることで容器の外周面に沿った姿勢で装着されるように構成してもよい。なお、例えば、図2(c)に示すラベルLのミシン目線3a,3bに代えて、図3(e)に示すような略H字状に形成された長い切り目8が短い連結部分9でつながっている破断予定弱化線を用いることで、2つの係合部4が区画形成されてもよい(他の形態のラベルLについても同様)。
図1を再び参照すると、ラベル搬送装置90は、ラベル受取位置αでラベル移送破断装置60から受け取ったミシン目線破断済みのラベルLをラベル装着位置βに搬送するものである。ラベル搬送装置90は、例えば、互いに接触しつつ回転駆動される無端状ベルトをそれぞれ含む上下一対の搬送ベルト91,92をラベルLの幅方向両側にそれぞれ備える。図1では、幅方向一方側の搬送ベルト91,92だけが示されている。ラベル搬送装置90において、搬送ベルト91,92は、ラベル受取位置αからラベル装着位置βに向かって斜め下方へ直線状に延びている。搬送ベルト91,92は、ラベルLの幅方向両側の周辺部7a,7bを挟持しつつ矢印D方向に回転移動することによってラベルLを搬送する。なお、ラベル搬送装置90は、搬送ベルト91,92のいずれか一方のみで構成されてもよく、その場合、例えば、吸引によりラベルLを吸着しつつラベル装着位置βまで搬送する。
ラベル搬送装置90によるラベルLの搬送ピッチは、容器搬送装置12による容器搬送ピッチと等しく設定される。これによって、ラベル装着位置βに搬送されてきたラベルLは、ミシン目線破断によって大きく開口した中央の貫通孔2が容器Bのキャップ部Cに挿通されて首部Nに装着される。このように容器Bの首部Nに装着された後、ラベルLは搬送ベルト91,92による挟持状態から解放される。そして、ラベルLが装着された容器Bは、容器搬送装置12によって引き続き搬送されて、梱包等の後工程へと送られる。
次に、図4ないし図8を参照して、ラベル繰出装置20について詳細に説明する。図4は、ラベル繰出装置20と本実施形態のラベル移送破断装置60を示す側面図である。図5は、ラベル繰出装置20のストッカを上方から見た状態で示す平面図である。
図4に示すように、ラベル繰出装置20は、ストッカ22と、吸引繰出ローラ24と、規制部材26とを備える。
ストッカ22は、ラベルLを積層状態で収容するものである。ストッカ22は、ラベルLを鉛直方向に沿って積層して収容する。ストッカ22は、図5に示すように、前壁板30aと、これに対向する2つの後壁板30bと、ラベルLの幅方向両側に配置される側壁板30c,30dとを含んで構成される。前壁板30aはラベルLの前端縁部に当接し、2つの後壁部30bはラベルLの後端縁部に当接する。また、側壁板30c,30dは、ラベルLの幅方向両側の端縁部に当接している。各壁板30a,30b,30c,30dは、後述するようにストッカ22の下端部を除いて、ラベル繰出方向と直交する鉛直方向に沿って延びている。したがって、ストッカ22に収容された多数枚のラベルLは、鉛直方向に沿って積層された状態に収容される。ただし、これに限定されるものではなく、ストッカはラベルを鉛直方向に対して傾斜する方向に積層して収容するものでもよい。
ストッカ22を構成する前壁板30aは、図示しないフレームにブラケットを介して取り付けられている。側壁板30c,30dは、フレームまたは前壁板30aにブラケットを介して取り付けることができる。また、2つの後壁板30bは、ブラケットを介して幅方向両側の側壁板30c,30dに取り付けることができる。ここで、前壁板30aおよび後壁板30bは前後方向に、側壁板30c,30dは幅方向に、それぞれ移動可能に取り付けられるのが好ましい。このように構成することで、使用するラベルLの大きさが変更になった場合に、各壁板30a−30dを移動させることで柔軟に対応することができる。また、各壁板30a−30d間には隙間が形成されているため、ストッカ22内に収容されたラベルLの残量確認、および、ラベルLの詰まり等が生じた場合の外部からのアクセスを容易に行うことができる。
図4に示すように、ストッカ22の下端部は、鉛直方向に対して前方に傾斜した状態でラベルLが収容されるように、ストッカ22を構成する各壁板30a−30dの下端部が前方に曲がって形成されている。このようにストッカ22の下端部においてラベルLの積層方向を鉛直方向に対して傾斜した方向にすることで、上下に隣接するラベルLが水平方向にずれることによって密着度合が低減される。その結果、後述するように吸引繰出ローラ24によってラベルLを一枚ずつ繰り出す動作をより確実に行うことができる。
ストッカ22の下端部には、繰出開口部28が形成されている。繰出開口部28では、ストッカ22内で最下部に位置するラベルLの下面が露出した状態になっている。繰出開口部28には、2本のサポートローラ32a,32bが配置されている。これらのサポートローラ32a,32bは、図5に示すように、ストッカ22の側壁板30c,30dによって両端が支持されている。サポートローラ32a,32bには例えばベアリング等である複数の回転部材33が所定間隔で配置されている。これらの回転部材33が繰出開口部28において最下部のラベルLの下面に当接していることで、ストッカ22に収容された多数枚のラベルLが支持されるとともに、各回転部材33が回転することによって最下部のラベルLの繰出しを円滑に行うことが可能になる。サポートローラの数は、ラベルLの大きさ等に応じて、1本としてもよいし、あるいは、3本以上としてもよい。
また、ラベル繰出装置20では、サポートローラ32aの前方に近接する位置に、例えば金属製の丸棒からなるサポートシャフト34が配置され、最下部のラベルLの下面に当接している。サポートシャフト34は、サポートローラ32a,32bより小径であるため、サポートローラ32aと吸引繰出ローラ24との間の狭い隙間に配置することができる。これにより、繰出開口部28においてラベルLの前側領域の支持をより安定して行うことができる。サポートシャフト34は、図5に示すように、両端部が側壁板30c,30dによって支持されるが、回転不能に固定されてもよいし、ベアリング等を介して取り付けることで回転可能に設けられてもよい。
図6は図4中のE部拡大図であり、図7はラベル繰出装置20における吸引繰出ローラ24の要部を示す斜視図である。吸引繰出ローラ24は、ストッカ22の下端部に形成された繰出開口部28に臨んで位置する最下部のラベルLの下面に対向して配置されている。より詳しくは、吸引繰出ローラ24は、最下部のラベルLの下面の前方端部領域にわずかな隙間を介して対向して配置されている。また、吸引繰出ローラ24は、図示しないモータによって矢印F方向に間欠的または連続的に回転駆動されるように構成されている。
吸引繰出ローラ24は、例えば、金属製の円柱部材によって構成される。吸引繰出ローラ24は、その外周面上に保持部材36を有している。保持部材36は、ラベルLに対して滑りにくい表面を有するのが好ましい。換言すれば、保持部材36は、ラベルLに対して摩擦力が大きい表面を有するのが好適である。そのため、保持部材36は、例えばゴム等で形成されるのが良い。このように保持部材36がラベルLに対して滑りにくい表面を有することで、ラベルLを吸引力に加えて摩擦力によっても安定して保持することが可能になる。
保持部材36は、例えば、一定厚みを有するゴム層を金属製の円柱部材25の外周面に接着する等によって固定されている。保持部材36の円周方向の表面長さは、ラベルLの前後方向の長さW1(図2参照)とほぼ同じにすることができる。吸引繰出ローラ24の円周方向に関し、保持部材36は円柱部材25の半周強にわたって設けられている。したがって、保持部材36の前端部36aと後端部36bとの間では、円柱部材25の表面が露出している。
また、保持部材36の表面には、複数の吸引孔38が開口形成されている。保持部材36の表面において、吸引孔38は、吸引繰出ローラ24の回転方向に関して前方に位置する前端部36aにおいて幅方向に並んで複数形成されるとともに、保持部材36の幅方向の両端部において円周方向に沿って並んで形成されている。このような並びで形成される吸引孔38は、後述するラベルLの繰出動作の際に、ラベルLにおいて中央領域を取り囲む周辺部のうち、ラベル繰出方向に関して前方に位置するラベルLの前側周辺部6aと、ラベル繰出方向と直交する方向の両側に位置するラベルLの幅方向周辺部7a,7bに対応している。したがって、吸引繰出ローラ24によるラベルLの繰出動作時にラベルLの三方の周辺部6a,7a,7b(すなわち、ミシン目線3が形成された中央領域を除いた領域)をしっかりと吸引保持してラベルLをストッカ22から引き出すことが可能になる。特に、吸引繰出ローラ24の前端部36aにおいて吸引孔38が幅方向に並んで複数形成されているので、ラベルLの前側周辺部6aを確実に吸引することができる。また、吸引繰出ローラ24は円柱状であるので、吸引されたラベルLは斜め下方に引き出され規制部材26の下端部27を超えることができる。なお、吸引孔38は、ラベルLの後側周辺部6bに対応する位置にも幅方向に並んで複数形成されてもよい。
保持部材36の表面のうち、前端部36aの表面だけが平面部37として形成されるのが好ましい。これにより、平面部37に形成された吸引孔38で吸引したラベルLの先端部分がぴったりと密着した状態に吸引保持しやすくなり、最下部のラベルLの引き出しをより確実に行うことができる。
吸引繰出ローラ24を構成する金属製の円柱部材25には連通穴39が幅方向に延伸形成されている。本実施形態では、5つの連通穴39が円柱部材の円周方向に沿って幅方向に形成されている例が示される。これらの連通穴39に各吸引孔38が連通している。各連通穴39は、円柱部材の端面において気密でかつ回転可能なジョイント等を介して図示しない吸引源(例えば、吸引ポンプ等)に接続されている。これにより、吸引繰出ローラ24の各吸引孔38に吸引力を作用させることができるように構成されている。
図4を再び参照すると、規制部材26は、ストッカ22の前壁板30aに突出して固定された取付部40にボルト42を介して取り付けられている。ボルト42は、規制部材26の上端部に形成された雌ねじ部に螺合している。これにより、ボルト42を回転させることによって、規制部材26の高さ位置を調整することができる。なお、上記取付部40およびボルト42が規制部材26の高さ位置(すなわち前壁板30aからの下方突出長さ)を調整する調整機構に相当する。
規制部材26はボルト42に螺合した上端部の下方に下端部27を有し、この下端部27がストッカ22の前壁板30aの端面に接触している。図6を参照すると、規制部材26の下端部27は、ストッカ22の前壁板30aの下端角部から突出長さdだけ下方に突出している。この突出長さdは、最下部のラベルLの先端に当接する寸法であって、吸引繰出ローラ24によるラベルLの繰出しを妨げず、かつ、直上に位置する2枚目のラベルLの先端に当接して該2枚目のラベルが連れて繰り出されるのを規制できる寸法に上記ボルト42によって調整される。
図4および図6に示すように、ラベル繰出装置20は、剥離プレート(剥離部材)44を更に備える。剥離プレート44は、吸引繰出ローラ24によってストッカ22から取り出されたラベルLを保持部材36から剥離して下流側へ送る機能を有する。剥離プレート44の剥離端部45は、上面がテーパー面となった楔状に形成され、吸引繰出ローラ24の回転動作に干渉しない程度に近接して配置されている。また、剥離プレート44は、取付部46によって図示しないフレームに取り付けることができる。取付部46に形成されたネジ挿通孔を長穴に形成する等によって、吸引繰出ローラ24に対する剥離端部45の位置を調整可能にしてもよい。
なお、図7に示すように、吸引繰出ローラ24の保持部材36に溝35を形成し、剥離プレート44の剥離端部45に上記溝35に嵌まり込む突出部を形成してもよい。これにより、吸引繰出ロール24に吸着保持されたラベルLを確実に剥離させることができる。この場合、溝35および突出部の数は、1つに限定されるものではなく、2つ以上で適宜に設定できる。
続いて、図8を参照して、上記構成からなるラベル繰出装置20の動作について説明する。図8(a)〜(c)は、ラベル繰出装置20においてストッカ22から最下部のラベルLだけが送り出される様子を示す段階的に示す図である。
図8(a)に示すように、吸引繰出ローラ24の保持部材36の平面部37が少し前方向に傾斜した状態にある位置が吸引繰出ローラ24の初期位置とされる。この状態で、図示しない吸引源からの吸引力を吸引孔38に作用させると、最下部のラベルLの前側周辺部6aだけが吸引されて下方に撓み、保持部材36の平面部37上に吸着保持される。
この状態で、吸引繰出ローラ24が矢印F方向に回転駆動されると、図8(b)に示すように、最下部のラベルLがストッカ22から引き出されていく。このとき、最下部のラベルLの直上に位置する2枚目のラベルLが連れて前進しようとするが、規制部材26にラベル先端が当接することによってストッカ22からの繰り出しが阻止される。
このようにしてストッカ22から引き出されたラベルLは、吸引繰出ローラ24の回転にしたがって移動する。このとき、ラベルLの前端縁部は、吸引繰出ローラ24に吸引保持されておらず、本実施形態では保持部材36の前端部36aから周方向に突出している。そのため、図8(c)に示すように、剥離プレート44の剥離端部45の対向位置で、ラベルLの前端縁部が剥離プレート44の剥離端部45に当接する。これにより、ラベルLが吸引繰出ローラ24から剥離されて、矢印A方向に送り出される。
吸引繰出ローラ24の回転にしたがって保持部材36の吸引孔38が順次にラベルLに対向する位置(ラベルLの幅方向周辺部7a,7b、後側周辺部6b)に到達して、ラベルLを保持部材36の表面に吸引保持しつつストッカ22から引き出す。そして、保持部材36の後端部36bがストッカ対向位置を通過すると、最下部のラベルLが完全に引き出されて、剥離プレート44上に沿って送り出される。一枚のラベルLを繰り出した後、吸引繰出ローラ24は図8(a)に示す初期位置まで回転して次のラベル繰出動作に備える。
上述したように、上記ラベル繰出装置20によれば、吸引孔38で吸引しながら回転駆動される吸引繰出ローラ24によって、ストッカ22の繰出開口部28に位置する最下部のラベルLが吸着されて繰り出される。このとき、最下部のラベルLの直上に位置する2枚目のラベルLは先端が規制部材26に当接することによって繰り出しが阻止される。したがって、吸引しながら回転駆動される吸引繰出ローラ24、および、ストッカ22に対して固定的に配置される規制部材26という簡易な構成によって複数枚のラベルLが繰り出されるのを確実に防止することができる。
なお、上記においては、吸引繰出ローラ24の保持部材36の前端部36aおよび後端部36b間で円柱部材25が露出している例について説明した。この場合、保持部材36の後端部36bと円柱部材25の表面との間に段差が形成される。すなわち、保持部材36の後端部36bがストッカ対向位置を通過して最下部のラベルLが繰り出された後に繰出開口部28に臨んだ次のラベルLの前端部分と円柱部材25の露出部との間に保持部材36の厚みに相当する隙間が形成される。そうすると、このラベルLの前側周辺部6aが少し下方に撓んだ場合には何ら支持されない状態となり、間欠的に高速で繰出動作を行うときに動作が不安定になる可能性がある。そこで、図9に示す吸引保持ローラ24aのように、保持部材36の後端部36bの回転方向下流側に連続する支持表面29を設けるのが好ましい。この場合、円柱部材25の露出部分を予め突出形状に形成しておく(すなわち、円柱部材25に窪み部25bを設け、その窪み部25bに保持部材36を接着固定する)ことで支持表面29を設けるのがさらに好ましい。この支持表面29は、保持部材36の表面よりも曲率半径が少し小さい円弧状の表面とするのが好適である。このような支持表面29を設けることで、次に繰り出されるラベルLの前側周辺部6aが保持部材36の前端部36aにある平面部37上に吸着されるまでの間、支持表面29によって支持されることになり、ラベル繰出動作をより安定したものにできる。また、支持表面29と保持部材36の前端部36aとは、吸引繰出ローラ25aの幅方向に沿って延びる溝25cを介して不連続となっているのが好ましい。このように不連続にすることで、ラベルLの前側周辺部6aを保持部材36の平面部37上に吸着する際に支持表面29に接触してラベルLが押し上げられることがなく、ラベルLの吸引をより確実に行うことができる。
次に、図1に加えて図10ないし図12を参照して、本実施形態のラベル移送破断装置60について詳細に説明する。図10は、ラベル移送破断装置60の要部を示す斜視図である。図11は、突部を有する破断ローラ64の側面図である。
図1に示すように、ラベル移送破断装置60は、ラベル繰出方向(矢印A方向)に関して剥離プレート44の下流側に隣接して配置されている。ラベル移送破断装置60は、ラベル繰出装置20から1枚ずつ繰り出されるラベルLを移送しつつミシン目線3を破断させる機能を有する。
図10に示すように、ラベル移送破断装置60は、移送ローラ62と破断ローラ64とを備える。移送ローラ62および破断ローラ64の一方は図示しないモータに連結されて矢印GまたはH方向に回転駆動される駆動ローラとし、移送ローラ62および破断ローラ64の他方は駆動ローラにギヤで連結されて従動回転する従動ローラとして構成できる。
移送ローラ62は、回転可能な第1シャフト63と、第1シャフト63上に所定間隔で固定された2つのニップローラ66とを有する。ニップローラ66の少なくとも外周面は、ラベルLに対して滑りにくい例えばゴム等の高摩擦材料で形成されるのが好ましい。
他方、破断ローラ64は、移送ローラ62の第1シャフト63と平行に配置された回転可能な第2シャフト65と、第2シャフト65上に固定された移送破断ローラ部68とを有する。移送破断ローラ部68の少なくとも外周面は、上記ニップローラ66と同様に、ラベルLに対して滑りにくい例えばゴム等の高摩擦材料で形成されるのが好ましい。
移送破断ローラ部68は、幅方向両側にそれぞれ位置する2か所の移送ローラ部68aと、これらの移送ローラ部68aの間に位置する突部68bとが一体に形成されて構成される。2か所の移送ローラ部68aは、移送ローラ62の2つのニップローラ66にそれぞれ圧接されてニップ部を形成する。ラベル繰出装置20から1枚ずつ繰り出されてきたラベルLは、その幅方向両側の周辺部7a,7b(図2参照)が上記ニップ部に挟持されながら各ローラ62,64が矢印G,H方向に回転することによってラベルLがラベル繰出方向下流側のラベル搬送装置90に向けて移送される。
移送破断ローラ部68の突部68bは、2つのニップローラ66間に対応する位置で移送ローラ部68aから径方向外側へ突出して形成されている。突部68bは、上記のように移送ローラ62および破断ローラ64の間を通って移送されるラベルLの中央領域を押し込んでミシン目線3を破断させる機能を有する。
図11に示すように、移送破断ローラ部68において突部68bとは反対側の外周面は移送ローラ部68aと同径に形成されている。移送ローラ62および破断ローラ64が回転するとき、移送ローラ62の第1シャフト63と移送破断ローラ部68との間に形成される隙間67を突部68bが通過できるように、突部68bの突出高さtは隙間67の径方向寸法よりも小さく設定されている。この突出高さtは、例えば数mm〜10mm程度に設定することができる。
図10に示すように、突部68bの幅方向長さW2は、図3(a)に示すミシン目線3bの延伸方向の長さよりも少し短く形成するのが好ましい。これにより、ラベルLの中央領域が突部68bで押し込まれたときにミシン目線3bだけを破断させ、ラベル周辺部6a,6b,7a,7bまで破れないようにできる。
また、突部68bの先端外周面は、移送ローラ部68aからの突出量がほぼ一定の円弧状をなす湾曲面に形成されるのが好ましい。これにより、破断ローラ64が回転したときの突部68bの先端面の軌跡が円弧状となり、突部68bによるラベルLの押し込み量がほぼ一定量になる。その結果、ラベルLのミシン目線3を破断させる押込み力が安定し、ラベルLの四方の周辺部6a,6b,7a,7bの破れをより確実に抑制できる。
さらに、図11に示すように、突部68bにおいて、移送ローラ部68aからほぼ接線方向に延びる側面と上記円弧状の先端外周面との連続部70a,70bは、先端外周面よりも小さい曲率半径の円弧状曲面とするのが好ましい。このように連続部70a,70bを形成することで、突部68bがラベルLの中央領域に対する押込み力が局所に集中して作用するのを抑制でき、その結果、ラベル周辺部の破れ抑制効果をより一層確実なものにできる。
図12(a)〜(e)は、図11に示した破断ローラ64によってラベルLのミシン目線3が破断される様子を段階的に示す図である。
図12(a)に示すように、破断ローラ64は、突部68bがラベルLの移送方向上流側の斜め下方に向いた位置が待機位置(すなわち角度0°)となる。
ラベル繰出装置20によって繰り出されたラベルLの先端がラベル移送破断装置60に接近していることを図示しないセンサによって検出されると、この検出結果に基づいてラベル移送破断装置60の駆動が開始される。これにより、破断ローラ64は矢印G方向(図12では反時計回り方向)に回転駆動され、図12(b)に示すように、待機位置から約40°回転した位置で突部68bの側面がラベルLの中央領域を押し始める。このとき、ラベルLの幅方向両側の周辺部7a,7bは、移送ローラ62のニップローラ66と破断ローラ64の移送ローラ部68aに挟持された状態にあって、各ローラ62,64の回転にしたがって移送される。
そして、図12(c)に示すように、待機位置から約120°回転した位置で突部68bが鉛直上方に向いた状態となる。このとき、突部68b押込み量が最大となり、ラベルLのミシン目線3が確実に破断する。これにより、ラベルLには、2つの舌片状の係合部4が形成される。
その後、図12(d)および(e)に示すように、破断ローラ64は引き続き回転して、突部68bがラベルLと非接触になる位置へと移動する。その間もラベルLは移送が継続されて、ラベル移送破断装置60から送り出される。
このようにしてミシン目線3が破断したラベルLは、ラベル移送破断装置60のニップ部から抜け出る前に、ラベル先端部がラベル搬送装置90の搬送ベルト91,92間に受け取られる。
上述したように、本実施形態のラベル移送破断装置60によれば、移送ローラ62の2つのニップローラ66と破断ローラ64の移送ローラ部68aとの間にラベルLの幅方向両側の周辺部7a,7bを挟持しつつ移送するとともに、その移送中に破断ローラ64の突部68bがラベルLの中央領域を押すことでミシン目線3が破断して舌片状の係合部4が形成される。このようにして、移送ローラ62および破断ローラ64からなる簡易な構成によって、ラベルLの移送とミシン目線3破断を確実に行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の変更や改良が可能であることはいうまでもない。