以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の電子機器用液状ガスケットは、(A)架橋性珪素基含有有機重合体と、(B)光塩基発生剤と、(C)Si−F結合を有するケイ素化合物と、(D)光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物と、を含有するものである。
前記(A)架橋性珪素基含有有機重合体としては、架橋性珪素基を有する有機重合体であれば特に制限はないが、主鎖がポリシロキサンでない有機重合体であり、ポリシロキサンを除く各種の主鎖骨格を持つものは、接点障害の要因となる低分子環状シロキサンを含有もしくは発生させない点で好適である。
具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル及びスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、または、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
さらに、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れることから特に好ましい。
本発明に用いる(A)有機重合体の架橋性珪素基は、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。前記架橋性珪素基としては、例えば、下記一般式(1)で示される基が好適である。
前記式(1)中、R1は、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、R1 3SiO−(R1は、前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基、又は1位から3位の炭素原子上の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン、−OR41、−NR42R43、−N=R44、−SR45(R41、R42、R43、R45はそれぞれ水素原子または炭素原子数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基、R44は炭素原子数1から20の2価の置換あるいは非置換の炭化水素基である。)、炭素原子数1から20のペルフルオロアルキル基、若しくはシアノ基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R1が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またp個の下記一般式(2)におけるbは同一である必要はない。pは0〜19の整数を示す。但し、a+(bの和)≧1を満足するものとする。
該加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
前記架橋性珪素基としては、下記一般式(3)で示される架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。
前記式(3)中、R1、Xは前記におなじ、aは1、2又は3の整数である。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るには、前記式(3)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。
上記R1の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R1 3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、F原子以外であれば特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシル基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシル基が特に好ましい。アルコキシル基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
架橋性珪素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)3]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR1(OR)2]が挙げられ、反応性が高いことにより、トリアルコキシシリル基[−Si(OR)3]が好適であり、トリメトキシシリル基がより好適である。ここでRはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結された珪素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
架橋性珪素基を有する有機重合体は直鎖状、または分岐を有してもよく、その数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算において500〜100,000程度、より好ましくは1,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が500未満では、硬化物の伸び特性の点で不都合な傾向があり、100,000を越えると、高粘度となる為に作業性の点で不都合な傾向がある。
高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、有機重合体に含有される架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して0.8個以上、好ましくは1.0個以上、より好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が平均して0.8個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。架橋性珪素基は、有機重合体分子鎖の主鎖の末端あるいは側鎖の末端にあってもよいし、また、両方にあってもよい。特に、架橋性珪素基が分子鎖の主鎖の末端にのみあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる有機重合体成分の有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
前記ポリオキシアルキレン系重合体は、本質的に下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R2−O−・・・(4)
前記一般式(4)中、R2は炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基であり、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい。
一般式(4)で示される繰り返し単位の具体例としては、
−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、−CH2CH2CH2CH2O−
等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られるものをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる(以下、高分子反応法という)。
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法をあげることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号、米国特許3,632,557、同4,345,053、同4,960,844等の各公報に提案されているものをあげることができる。
上記の架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記飽和炭化水素系重合体は芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、その骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましく、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であるものは、耐熱性、耐候性、耐久性、及び湿気遮断性に優れる特徴を有する。
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよいが、ゴム特性の面からイソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有するものが好ましく、80質量%以上含有するものがより好ましく、90〜99質量%含有するものが特に好ましい。
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多くのいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体の場合、Kennedyらによって見出されたイニファー重合(J. P. Kennedyら、J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed. 1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、分子量500〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入できることが知られている。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開平1−197509号、特許公報第2539445号、特許公報第2873395号、特開平7−53882号の各明細書などに記載されているが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の(メタ)アクリル酸の誘導体;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ビス(トリフルオロメチル)メチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。該ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の珪素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸系モノマーからなる重合体が好ましい。より好ましくは、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを用い、必要に応じて他の(メタ)アクリル酸モノマーを併用した(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することにより、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)中の珪素基の数を制御することができる。接着性が良いことから特に好ましくはメタクリル酸エステルモノマーからなるメタクリル酸エステル系重合体である。また、低粘度化、柔軟性付与、粘着性付与を行う場合には、アクリル酸エステルモノマーを適時使用することが好適である。なお、本願明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得る方法は、特に限定されず、公知の重合法(例えば、特開昭63−112642号、特開2007−230947号、特開2001−40037号、特開2003−313397号等の記載の合成法)を利用することができ、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端などの制御された位置に反応性シリル基を導入することが可能な制御ラジカル重合法が挙げられる。但し、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るためには、制御ラジカル重合法を用いることが好適である。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられ、付加−開裂移動反応(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer;RAFT)重合法、遷移金属錯体を用いたラジカル重合法(Transition-Metal-Mediated Living Radical Polymerization)等のリビングラジカル重合法がより好ましい。また、反応性シリル基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性シリル基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応(特開2001−40037号公報)も好適である。
上記の架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
これらの架橋性珪素基を有する有機重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体、からなる群から選択される2種以上をブレンドしてなる有機重合体も使用できる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法は、特開昭59−122541号、特開昭63−112642号、特開平6−172631号、特開平11−116763号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。好ましい具体例は、架橋性珪素基を有し分子鎖が実質的に、下記一般式(5):
−CH2−C(R3)(COOR4)− ・・・(5)
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、下記一般式(6):
−CH2−C(R3)(COOR5)− ・・・(6)
(式中、R3は前記に同じ、R5は炭素数6以上のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法である。
前記一般式(5)のR4としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基があげられる。なお、R4のアルキル基は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。
前記一般式(6)のR5としては、たとえば2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数6以上、通常は7〜30、好ましくは8〜20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、R5のアルキル基はR4の場合と同様、単独でもよく、2種以上混合したものであってもよい。
該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の分子鎖は実質的に式(5)及び式(6)の単量体単位からなるが、ここでいう「実質的に」とは該共重合体中に存在する式(5)及び式(6)の単量体単位の合計が50質量%をこえることを意味する。式(5)及び式(6)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。また式(5)の単量体単位と式(6)の単量体単位の存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
該共重合体に含有されていてもよい式(5)及び式(6)以外の単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する)としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法に用いられる架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体として、例えば、特開昭63−112642号公報記載の架橋性珪素基を有し、分子鎖が実質的に(1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等の公知の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体も使用可能である。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の数平均分子量は、600〜10,000が好ましく、600〜5,000がより好ましく、1,000〜4,500がさらに好ましい。数平均分子量を該範囲とすることにより、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性を向上させることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。前記架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と前記架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との配合比には特に制限はないが、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体を10〜60質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜50質量部の範囲内であり、さらに好ましくは25〜45質量部の範囲内である。前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体が60質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体は、特開平1−168764号、特開2000−186176号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。
さらに、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性珪素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行う方法が利用できる。この製造方法は、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報に具体的に開示されているが、これらに限定されるものではない。
2種以上の重合体をブレンドして使用するときは、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対し、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び/又は架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を10〜200質量部使用することが好ましく、20〜80質量部使用することがさらに好ましい。
本発明において、(B)光塩基発生剤は、光を照射すると(A)架橋性珪素基含有有機重合体の硬化触媒として作用する。前記(B)光塩基発生剤とは、紫外線、電子線、X線、赤外線および可視光線などの活性エネルギー線の作用により塩基を発生する物質であれば特に限定されず、(1)紫外線・可視光・赤外線等の活性エネルギー線の照射により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、(2)分子内求核置換反応や転位反応などにより分解してアミン類を放出する化合物、あるいは(3)紫外線・可視光・赤外線等のエネルギー線の照射により何らかの化学反応を起こして塩基を放出するもの、等の公知の光塩基発生剤を用いることができる。
(B)光塩基発生剤から発生する塩基としては特に限定されないが、アミン化合物等の有機塩基が好ましく、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、1,5−ジアミノペンタン等の第1級アルキルアミン類;N−メチルベンジルアミン、4,4’−メチレンジアニリン等の第1級芳香族アミン類;ジエチルアミンなどの第2級アルキルアミン類;イミダゾール等の2級アミノ基及び3級アミノ基を有するアミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの第3級アルキルアミン類;4−イソプロピルモルホリン等の第3級複素環式アミン;4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミンなどの第3級芳香族アミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)等のアミジン類;特開2011−80032号公報記載のトリス(ジメチルアミノ)(メチルイミノ)ホスホラン等のホスファゼン誘導体が挙げられ、第3級アミノ基を有するアミン化合物が好ましく、強塩基であるアミジン類、ホスファゼン誘導体がより好ましい。アミジン類は非環状アミジン類及び環式アミジン類のいずれも使用可能であるが、環式アミジン類がより好ましい。
これら塩基は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記非環状アミジン類としては、例えば、グアニジン系化合物、ビグアニド系化合物等が挙げられる。
グアニジン系化合物としては、グアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1−ブチルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジンなどを挙げることができる。
ビグアニド系化合物としては、ブチルビグアニド、1−o−トリルビグアニドや1−フェニルビグアニドを挙げることができる。
また、非環状アミジン化合物の中でも、フェニルグアニジン、1−o−トリルビグアニドや1−フェニルビグアニドなどのアリール置換グアニジン系化合物あるいはアリール置換ビグアニド系化合物を発生する光塩基発生剤を用いた場合は、重合体(A)の触媒として用いた場合、表面の硬化性が良好となる傾向を示すこと、得られる硬化物の接着性が良好となる傾向を示すこと、などから好ましい。
前記環式アミジン類としては、環式グアニジン系化合物、イミダゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、テトラヒドロピリミジン系化合物、トリアザビシクロアルケン系化合物、ジアザビシクロアルケン系化合物が挙げられる。
前記環式グアニジン系化合物としては、例えば、特開2011−80032号公報記載の1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン、7−エチル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン、7−イソプロピル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン等が挙げられる。
前記イミダゾリン系化合物としては、例えば、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1−メチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−オクチルイミダゾリン等が挙げられる。
前記イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどを挙げることができる。
前記テトラヒドロピリミジン系化合物としては、例えば、1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチル−2−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチル−2−ブチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−オクチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。
前記トリアザビシクロアルケン系化合物としては、例えば、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、7−エチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5等が挙げられる。
ジアザビシクロアルケン系化合物としては、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.2.0]オクテン−5、1,8−ジアザビシクロ[7.2.0]ウンデセン−8、1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、3−メチル−1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、3,6,7,7−テトラメチル−1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、7,8,8−トリメチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[7.3.0]ドデセン−8、1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−6、8−フェニル−1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−6、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、4−フェニル−1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,8−ジアザビシクロ[7.4.0]トリデセン−8、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−メチルブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−メチルオクチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ブチルベンジルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジヘキシルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、9−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、9−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,6−ジアザビシクロ[5.5.0]ドデセン−6、1,7−ジアザビシクロ[6.5.0]トリデセン−7、1,8−ジアザビシクロ[7.5.0]テトラデセン−8、1,10−ジアザビシクロ[7.3.0]ドデセン−9、1,10−ジアザビシクロ[7.4.0]トリデセン−9、1,14−ジアザビシクロ[11.3.0]ヘキサデセン−13、1,14−ジアザビシクロ[11.4.0]ヘプタデセン−13等が挙げられる。
前記環式アミジン類のうち、工業的に入手が容易であるという点や、共役酸のpKa値が12以上であることから高い触媒活性を示す点から、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)が特に好適である。
本発明に用いられる(B)光塩基発生剤としては、公知の光塩基発生剤を用いることができるが、活性エネルギー線の作用によりアミン化合物を発生する光潜在性アミン化合物が好ましい。該光潜在性アミン化合物としては、活性エネルギー線の作用により第1級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第1級アミン、活性エネルギー線の作用により第2級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第2級アミン、及び活性エネルギー線の作用により第3級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第3級アミンのいずれも使用可能であるが、発生塩基が高い触媒活性を示す点から光潜在性第3級アミンがより好適である。
前記光潜在性第1級アミン及び光潜在性第2級アミンとしては、例えば、1,3−ビス〔N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル〕プロパン、N−{[(3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン、N−{[(6,7−ジメトキシ−3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N,N’−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ヘキシルジアミン、o−ニトロベンジルN−カルバミン酸シクロヘキシル、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2−ニトロフェニル)エチルシクロヘキシルカーバメート、2,6−ジニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2,6−ジニトロフェニル)エチルシクロヘキシルカーバメート、1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチルシクロヘキシルカーバメート、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン等のオルトニトロベンジルウレタン系化合物;α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート等のジメトキシベンジルウレタン系化合物;1−(3,5−ジメトキシベンゾイル)−1−(3,5−ジメトキシフェニル)メチルシクロヘキシルカルバメート、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノンシクロヘキシルカルバメート、ジベンゾインイソホロンジカルバメート、1−ベンゾイル−1−フェニルメチルシクロヘキシルカーバメート、2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルシクロヘキシルカーバメート等のカルバミン酸ベンゾイン類;o−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミン等のo−アシルオキシム類;[(ペンタン−1,5−ジイル)ビスカルバモイル]ビス(ジフェニルメチリデンヒドロキシルアミン)、α−(シクロヘキシルカルバモイルオキシイミノ)−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル等のo−カルバモイルオキシム類;N−(オクチルカルバモイルオキシ)フタルイミド、N−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)スクシンイミド等のN−ヒドロキシイミドカルバマート類;4,4’−メチレンビス(ホルムアリニド)等のホルムアニリド誘導体;N−シクロヘキシル−2−ナフタレンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等の芳香族スルホンアミド類;Co(NH2C3H7)Br+ClO4 −等のコバルトアミン錯体等が挙げられる。
前記光潜在性第3級アミンとしては、例えば、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体、ベンジルアミン誘導体、ベンジルアンモニウム塩誘導体、α−アミノアルケン誘導体、α−アンモニウムアルケン誘導体、アミンイミド類、光によりアミジンを発生するベンジルオキシカルボニルアミン誘導体、及びカルボン酸と3級アミンとの塩等が挙げられる。
α−アミノケトン誘導体として、例えば、下記式(I)〜(IV)で示されるα−アミノケトン化合物が好適な例として挙げられる。
前記式(I)中、式中、R51は、芳香族又は複素芳香族基であり、R51が、芳香族基(これは、非置換であるか、又はC1−C18アルキル、C3−C18アルケニル、C3−C18アルキニル、C1−C18ハロアルキル、NO2、NR58R59、N3、OH、CN、OR60、SR60、C(O)R61、C(O)OR62若しくはハロゲンにより1回以上置換されている。R58、R59、R60、R61及びR62は、水素又はC1−C18アルキルである)であることが好ましく、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、ピレニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアトレニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、テルフェニル、スチルベニル、フルオレニル若しくはフェノキサジニルからなる群から選択されることがより好ましい。
R52及びR53は、互いに独立して、水素、C1−C18アルキル、C3−C18アルケニル、C3−C18アルキニル又はフェニルであり、そしてもしR52が水素又はC1−C18アルキルであれば、R53は、更に、基−CO−R64(式中、R64は、C1−C18アルキル又はフェニルである)であるか;或いは、R51とR53は、カルボニル基及びR53が結合しているC原子と一緒になって、ベンゾシクロペンタノン基を形成する。
R54およびR56は、一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成する。R55およびR57は、一緒になって、R54およびR56とは独立して、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成する。R54とR56が、一緒になって、C3アルキレン橋を形成し、R55とR57が、一緒になって、プロピレン又はペンチレンであることが好ましい。
前記式(II)〜(IV)において、R51〜R53はそれぞれ前記式(I)のR51〜R53と同様である。
R66は炭素原子数1〜12のアルキル基;−OH、−炭素原子数1〜4のアルコキシ、−CNもしくは−COO(炭素原子数1〜4のアルキル)で置換された炭素原子数2〜4のアルキル基を表すか、または、R66は炭素原子数3〜5のアルケニル基、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基またはフェニル−炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。R67は炭素原子数1〜12のアルキル基;または−OH、−炭素原子数1〜4のアルコキシ基、−CNもしくは−COO(炭素原子数1〜4のアルキル)で置換された炭素原子数2〜4のアルキル基を表すかまたはR67は炭素原子数3〜5のアルケニル基、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基、フェニル−炭素原子数1〜3のアルキル基、または、未置換であるかまたは炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基もしくは−COO(炭素原子数1〜4のアルキル)によって置換されたフェニル基を表すか、あるいはR67はRR66と一緒になって炭素原子数1〜7のアルキレン基、フェニル−炭素原子数1〜4のアルキレン基、o−キシリレン基、2−ブテニレン基または炭素原子数2もしくは3のオキサアルキレン基を表すか、あるいはR66およびR67は一緒になって−O−、−S−もしくは−CO−で中断され得る炭素原子数4〜7のアルキレン基を表すか、またはR66およびR67は一緒になってOH、炭素原子数1〜4のアルコキシ基もしくは−COO(炭素原子数1〜4のアルキル)で置換され得る炭素原子数3〜7のアルキレン基を表す。R66およびR67が複数存在する場合それらは同じであっても異なっていてもよい。
Y1は下記式(V)で示される2価の基、−N(R68)−又は−N(R68)−R69−N(R68)−で示される2価の基を表し、R68は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数3〜5のアルケニル基、フェニル−炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基もしくはフェニル基を表し、R69は1もしくはそれ以上の−O−または−S−により中断され得る枝分かれしていないまたは枝分かれした炭素原子数2〜16のアルキレン基を表す。
Y2は炭素原子数1〜6のアルキレン基、シクロヘキシレン基もしくは直接結合を表す。
前記式(I)で示されるα−アミノケトン化合物としては、例えば、特開2001−512421号公報記載の5−(4’−フェニル)フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−ナフトイルメチル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−ピレニルカルボニルメチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(4’−ニトロ)フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’、4’−ジメトキシ)フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(9’−アンスロイルメチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、8−(4’−フェニル)フェナシル−(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)等が挙げられる。
前記式(II)で示されるα−アミノケトン化合物としては、例えば、特開平11−71450号公報記載の4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン(イルガキュア369)、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン(イルガキュア379)等が挙げられる。
α−アンモニウムケトン誘導体として、例えば、下記式(VI)で示されるα−アンモニウムケトン化合物が挙げられる。
前記式(VI)において、kは1又は2であって、カチオンの正電荷数に相当する。V−はカウンターアニオンであり、ボレートアニオン(テトラフェニルボレート、メチルトリフェニルボレート、エチルトリフェニルボレート、プロピルトリフェニルボレート及びブチルトリフェニルボレート等)、フェノラートアニオン(フェノラート、4−tert−ブチルフェノラート、2,5−ジ−tert−ブチルフェノラート、4−ニトロフェノラート、2,5−ジニトロフェノラート及び2,4,6−トリニトロフェノラート等)及びカルボキシレートアニオン(安息香酸アニオン、トルイル酸アニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオン等)等が挙げられる。これらのうち、光分解性の観点から、ボレートアニオン及びカルボキシレートアニオンが好ましく、さらに好ましくはブチルトリフェニルボレートアニオン、テトラフェニルボレートアニオン、安息香酸アニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオン、光分解性及び熱安定性の観点から特に好ましくはテトラフェニルボレートアニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオンである。
前記式(VI)において、R51〜R53はそれぞれ前記式(I)のR51〜R53と同様である。
R70〜R72は、それぞれ互いに独立に、水素、C1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニルもしくはフェニルであり;またはR70とR71および/もしくはR72とR71が、互いに独立にC2〜C12アルキレン架橋を形成しているか;あるいはR70〜R72が、結合している窒素原子とともに、P1、P2、P<t/4>型のホスファゼン塩基を、または、下記構造式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)もしくは(g)の基を形成している。
前記式(a)〜(g)中、R51及びR52は前記式(I)のR51及びR52と同様であり、l及びqはそれぞれ互いに独立に2〜12の数である。
α−アンモニウムケトン誘導体の具体例としては、例えば、特表2001−513765号公報、WO2005/014696号公報記載のフェナシルトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、(4−メトキシフェナシル)トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、1−フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、(1,4−フェナシル−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)ビス(テトラフェニルボレート)、1−ナフトイルメチル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、1−(4’−フェニル)フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)テトラフェニルボレート、5−(4’−フェニル)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート、5−(4’−メトキシ)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート、5−(4’−ニトロ)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート、5−(4’−フェニル)フェナシル−(8−アゾニア−1−アザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)テトラフェニルボレート等が挙げられる。
ベンジルアミン誘導体として、例えば、下記式(VII)で示されるベンジルアミン化合物が挙げられる。
前記式(VII)において、R51、R54〜R57はそれぞれ前記式(I)のR51、R54〜R57と同様である。
R73およびR74は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20のアシル基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基及びフェ二ルチオ基の群から選ばれる基で置換されていてもよいフェニル基を表し、R73及びR74は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
ベンジルアミン誘導体の具体例としては、例えば、特表2005−511536号公報記載の5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(アントラセン−9−イル−メチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(4’−シアノベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(3’−シアノベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’−クロロベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’,4’,6’−トリメチルベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(4’−エテニルベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(3’−メトキシベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(ナフト−2−イル−メチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、1,4−ビス(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナニルメチル)ベンゼン、8−(2’,6’−ジクロロベンジル)−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカン等のベンジルアミン誘導体等が挙げられる。
ベンジルアンモニウム塩誘導体として、例えば、下記式(VIII)で示されるベンジルアンモニウム塩が挙げられる。
前記式(VIII)において、V−及びkは前記式(VI)のV−及びkと同様である。R51は前記式(I)のR51と同様である。R70〜R72はそれぞれ前記式(VI)のR70〜R72と同様である。R73及びR74は前記式(VII)のR73及びR74と同様である。
ベンジルアンモニウム塩誘導体の具体例としては、例えば、WO2010/095390号公報及びWO2009/122664号公報記載の光塩基発生剤、例えば、(9−アントリル)メチルトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチルトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、(9−アントリル)メチル1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタニウムテトラフェニルボレート、(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタニウムテトラフェニルボレート、9−アントリルメチル−1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタニウムテトラフェニルボレート、5−(9−アントリルメチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネニウムテトラフェニルボレート、8−(9−アントリルメチル)−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムフェニルグリオキシラート、N−(9−アントリルメチル)−N,N,N−トリオクチルアンモニウムテトラフェニルボレート、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフェニルボレート、8−(4−ベンゾイルフェニル)メチル−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、{8−(t−ブチル−2−ナフタリルメチル)−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、N−ベンゾフェノンメチルトリ−N−メチルアンモニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
α−アミノアルケン誘導体としては、例えば、特表2001−515500号公報記載の5−(2’−(4”−ビフェニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’−(2”−ナフチル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’−(4”−ジエチルアミノフェニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−メチル、2’−(4”−ビフェニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−メチル、2’−(2”−チオキサンチル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−メチル、2’−(2”−フルオレニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、8−(2’−(4”−ビフェニル)アリル)−(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)等が挙げられる。
α−アンモニウムアルケン誘導体としては、例えば、特表2002−523393号公報記載のN−(2’−フェニルアリル)−トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、1−(2’−フェニルアリル)−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、1−(2’−フェニルアリル)−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、1−(2’−フェニルアリル)−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)トリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート等が挙げられる。
アミンイミド類としては、例えば、WO2002/051905号公報記載の[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ](4−ニトロベンゾイル)アミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ](4−シアノベンゾイル)アミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ](4−メトキシベンゾイル)アミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ]ベンゾイルアミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ][4−(ジメチルアミノ)ベンゾイル]アミンアニオン等が挙げられる。
前記光によりアミジンを発生するベンジルオキシカルボニルアミン誘導体としては、ベンジルオキシカルボニルイミダゾール類、ベンジルオキシカルボニルグアニジン類、ジアミン誘導体等が挙げられる。
ベンジルオキシカルボニルイミダゾール類としては、例えば、特開平9−40750号公報記載のN−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等が挙げられる。
ベンジルオキシカルボニルグアニジン類としては、例えば、WO97/31033号公報記載のベンジルオキシカルボニルテトラメチルグアニジン等が挙げられる。
ジアミン誘導体としては、例えば、特開2011−116869号公報記載のN−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−N−メチルアセトアミド、N−(N’−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム等が挙げられる。
前記カルボン酸と3級アミンとの塩としては、α−ケトカルボン酸アンモニウム塩、及びカルボン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
α−ケトカルボン酸アンモニウム塩としては、例えば、特開昭55−22669号公報記載のフェニルグリオキシル酸のジメチル・ベンジル・アンモニウム塩、フェニルグリオキシル酸のトリ−n−ブチル・アンモニウム塩等が挙げられる。
カルボン酸アンモニウム塩としては、例えば、特開2009−280785号公報記載のジアザビシクロウンデセン(DBU)のケトプロフェン塩、2−メチルイミダゾールのケトプロフェン塩、特開2011−80032号公報記載のジアザビシクロウンデセン(DBU)のキサントン酢酸塩、ジアザビシクロウンデセン(DBU)のチオキサントン酢酸塩、特開2007−262276号公報記載の2−(カルボキシメチルチオ)チオキサントンの3−キヌクリジノール塩、2−(カルボキシメトキシ)チオキサントンの3−キヌクリジノール塩、並びに特開2010−254982号公報及び特開2011−213783号公報記載のtrans−o−クマル酸の3−キヌクリジノール塩が挙げられる。
前述した(B)光塩基発生剤の中でも、発生塩基が高い触媒活性を示す点から光潜在性第3級アミンが好ましく、塩基の発生効率が良いこと及び組成物としての貯蔵安定性が良いことなどから、ベンジルアンモニウム塩誘導体、ベンジル置換アミン誘導体、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体が好ましく、特に、より塩基の発生効率が良いことから、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体がより好ましく、配合物に対する溶解性よりα−アミノケトン誘導体がより好ましい。α−アミノケトン誘導体の中でも発生塩基の塩基性の強さより前記式(I)で示されるα−アミノケトン化合物が良く、入手のしやすさより前記式(II)で示されるα−アミノケトン化合物が良い。
これら(B)光塩基発生剤は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記光塩基発生剤(B)の配合割合は特に制限はないが、(A)架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.01〜40質量部がより好ましく、0.1〜30質量部がさらに好ましい。
本発明において、(C)Si−F結合を有するケイ素化合物は(A)架橋性珪素基含有有機重合体の硬化触媒として作用する。前記(C)Si−F結合を有するケイ素化合物としては、Si−F結合を有するケイ素基(以下、フルオロシリル基と称することがある)を含む公知の化合物を広く使用することができ、特に制限はなく、低分子化合物及び高分子化合物のいずれも使用可能であるが、フルオロシリル基を有する有機珪素化合物が好ましく、フルオロシリル基を有する有機重合体が、安全性が高くより好適である。また、配合物が低粘度となる点からフルオロシリル基を有する低分子有機珪素化合物が好ましい。
前記(C)Si−F結合を有するケイ素化合物としては、具体的には、下記式(7)で示されるフルオロシラン類等の下記式(8)で示されるフルオロシリル基を有する化合物(本明細書では、フッ素化化合物とも称する)、フルオロシリル基を有する有機重合体(本明細書では、フッ素化ポリマーとも称する)等が好適な例として挙げられる。
R11 4-dSiFd ・・・(7)
(式(7)において、R11はそれぞれ独立して、置換あるいは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基、またはR12SiO−(R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基、又はフッ素原子である)で示されるオルガノシロキシ基のいずれかを示す。dは1〜3のいずれかであり、dが3であることが好ましい。R11及びR12が複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。)
−SiFdR11 eZf ・・・(8)
(式(8)中、R11及びdはそれぞれ式(7)と同じであり、Zはそれぞれ独立して水酸基又はフッ素以外の加水分解性基であり、eは0〜2のいずれかであり、fは0〜2のいずれかであり、d+e+fは3である。R11、R12及びZが複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。)
前記式(7)で示されるフルオロシラン類としては、式(7)で示される公知のフルオロシラン類が挙げられ、特に制限はないが、例えば、フルオロトリメチルシラン、フルオロトリエチルシラン、フルオロトリプロピルシラン、フルオロトリブチルシラン、フルオロジメチルビニルシラン、フルオロジメチルフェニルシラン、フルオロジメチルベンジルシラン、フルオロジメチル(3−メチルフェニル)シラン、フルオロジメチル(4−メチルフェニル)シラン、フルオロジメチル(4−クロロフェニル)シラン、フルオロトリフェニルシラン、ジフルオロジメチルシラン、ジフルオロジエチルシラン、ジフルオロジブチルシラン、ジフルオロメチルフェニルシラン、ジフルオロジフェニルシラン、トリフルオロエチルシラン、トリフルオロプロピルシラン、トリフルオロブチルシラン、トリフルオロフェニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフルオロシラン、γ−グリシドキシプロピルジフルオロメチルシラン、ビニルトリフルオロシラン、ビニルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルフルオロジメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メルカプトプロピルトリフルオロシラン、オクタデシルフルオロジメチルシラン、オクタデシルジフルオロメチルシラン、オクタデシルトリフルオロシラン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラフルオロ−1,3,5,7−テトラシラトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン、1,1−ジフルオロ−1−シラシクロ−3−ペンテン、フルオロトリス(トリメチルシロキシ)シランなどが挙げられる。
これらのなかでも、原料の入手が容易なこと、合成が容易なことなどから、フルオロジメチルビニルシラン、フルオロジメチルフェニルシラン、フルオロジメチルベンジルシラン、ビニルトリフルオロシラン、ビニルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルフルオロジメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メルカプトプロピルトリフルオロシラン、オクタデシルフルオロジメチルシラン、オクタデシルジフルオロメチルシラン、オクタデシルトリフルオロシラン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が好ましい。
前記式(8)で示されるフルオロシリル基を有する化合物において、式(8)中のZで示される加水分解性基としては、例えば、式(1)のXの加水分解性基と同様の基を挙げることができるが、具体的には、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
また、前記式(8)中のR11としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R12がメチル基、フェニル基等であるR12SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
前記式(8)で表されるフルオロシリル基を具体的に例示すると、フッ素以外に加水分解性基を持たないケイ素基として、フルオロジメチルシリル基、フルオロジエチルシリル基、フルオロジプロピルシリル基、フルオロジフェニルシリル基、フルオロジベンジルシリル基等のケイ素基上に1個のフッ素が置換したケイ素基;ジフルオロメチルシリル基、ジフルオロエチルシリル基、ジフルオロフェニルシリル基、ジフルオロベンジルシリル基等のケイ素基上に2個のフッ素が置換したケイ素基;トリフルオロシリル基であるケイ素基上に3個のフッ素が置換したケイ素基;が挙げられ、フッ素とその他の加水分解性基を両方有するケイ素基として、フルオロメトキシメチルシリル基、フルオロエトキシメチルシリル基、フルオロメトキシエチルシリル基、フルオロメトキシフェニルシリル基、フルオロジメトキシシリル基、フルオロジエトキシシリル基、フルオロジプロポキシシリル基、フルオロジフェノキシシリル基、フルオロビス(2−プロペノキシ)シリル基、ジフルオロメトキシシリル基、ジフルオロエトキシシリル基、ジフルオロフェノキシシリル基、フルオロジクロロシリル基、ジフルオロクロロシリル基などが挙げられ、フッ素以外に加水分解性基を持たないケイ素基やR11がメチル基であるフルオロシリル基が好ましく、トリフルオロシリル基がより好ましい。
また、合成の容易さからフルオロジメチルシリル基、ジフルオロメチルシリル基、トリフルオロシリル基、フルオロメトキシメチルシリル基、フルオロエトキシメチルシリル基、フルオロメトキシエチルシリル基、フルオロジメトキシシリル基、フルオロジエトキシシリル基、ジフルオロメトキシシリル基、ジフルオロエトキシシリル基がより好ましく、安定性の観点からフルオロジメチルシリル基、ジフルオロメチルシリル基、トリフルオロシリル基などのフッ素以外に加水分解性基を持たないケイ素基がさらに好ましく、硬化性の高さからは、ジフルオロメチルシリル基、ジフルオロメトキシシリル基、ジフルオロエトキシシリル基、トリフルオロシリル基など、ケイ素基上に2個ないし3個のフッ素が置換したケイ素基が好ましく、トリフルオロシリル基が最も好ましい。
前記式(8)で示されるフルオロシリル基を有する化合物としては、特に限定されず、単分子化合物、高分子化合物のいずれも使用可能であり、例えば、テトラフルオロシラン、オクタフルオロトリシラン等の無機珪素化合物;上記式(7)で示されるフルオロシラン類、フルオロトリメトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、トリフルオロメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロエトキシシラン、メチルフルオロジメトキシシラン、メチルジフルオロメトキシシラン、メチルトリフルオロシラン、メチルフルオロジエトキシシラン、メチルジフルオロエトキシシラン、ビニルフルオロジメトキシシラン、ビニルジフルオロメトキシシラン、ビニルトリフルオロシラン、ビニルフルオロジエトキシシラン、ビニルジフルオロエトキシシラン、フェニルフルオロジメトキシシラン、フェニルジフルオロメトキシシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルフルオロジエトキシシラン、フェニルジフルオロエトキシシラン、フルオロトリメチルシラン等の低分子有機珪素化合物;末端に式(8)で示されるフルオロシリル基を有するフッ素化ポリシロキサンなどの高分子化合物が挙げられ、前記式(7)で示されるフルオロシラン類や、主鎖又は側鎖の末端に式(8)で示されるフルオロシリル基を有する重合体が好適である。
前記式(7)で示されるフルオロシラン類及び前記式(8)で示されるフルオロシリル基を有する化合物は、市販の試薬を用いても良いし、原料化合物から合成してもよい。合成方法としても特に制限はないが、下記式(9)で示される加水分解性ケイ素基を有する化合物と、フッ素化剤とを公知の方法(例えば、Organometallics 1996年,15,2478頁(Ishikawaほか)等)を用いて反応させることにより得られる化合物が好適に用いられる。
−SiR11 3-pZp ・・・(9)
(式(9)中、R11及びZはそれぞれ式(8)と同じであり、pは1〜3のいずれかである。)
上記式(9)で示される加水分解性ケイ素基としては、例えば、アルコキシシリル基、シロキサン結合、クロロシリル基等のハロシリル基、ヒドロシリル基等が挙げられる。
アルコキシシリル基のフッ素化に使用されるフッ素化剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、NH4F、Bu4NF、HF、BF3、Et2NSF3、HSO3F、SbF5、VOF3、CF3CHFCF2NEt2などが挙げられる。
ハロシリル基のフッ素化に使用されるフッ素化剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、AgBF4、SbF3、ZnF2、NaF、KF、CsF、NH4F、CuF2、NaSiF6、NaPF6、NaSbF6、NaBF4、Me3SnF、KF(HF)1.5〜5などが挙げられる。
ヒドロシリル基のフッ素化に使用されるフッ素化剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、AgF、PF5、Ph3CBF4、SbF3、NOBF4、NO2BF4などが挙げられる。
シロキサン結合を有する化合物はBF3などにより開裂し、フルオロシリル基が得られる。
これらのフッ素化剤を用いたフルオロシリル基の合成方法のなかでも、反応が簡便であること、反応効率が高いこと、安全性が高いことなどから、BF3を用いたアルコキシシランのフッ素化法、CuF2またはZnF2を用いたクロロシランのフッ素化法が好ましい。
BF3としては、BF3ガス、BF3エーテル錯体、BF3チオエーテル錯体、BF3アミン錯体、BF3アルコール錯体、BF3カルボン酸錯体、BF3リン酸錯体、BF3水和物、BF3ピペリジン錯体、BF3フェノール錯体等が使用できるが、取扱いが容易であることなどからBF3エーテル錯体、BF3チオエーテル錯体、BF3アミン錯体、BF3アルコール錯体、BF3カルボン酸錯体、BF3水和物が好ましい。中でもBF3エーテル錯体、BF3アルコール錯体、BF3水和物は反応性が高く好ましく、BF3エーテル錯体が特に好ましい。
前記フルオロシリル基を有する有機重合体(本明細書では、フッ素化ポリマーとも称する)としては、Si−F結合を有する有機重合体であれば特に制限はなく、公知のSi−F結合を有する有機重合体を広く使用可能である。
有機重合体中のSiF結合の位置も特に制限はなく、重合体分子内のいずれの部位にあっても効果を発揮し、主鎖または側鎖の末端であれば−SiR’2F、重合体の主鎖に組み込まれていれば、−SiR’F−または≡SiF(R’はそれぞれ独立に、任意の基)の形で表される。
主鎖又は側鎖の末端にSi−F結合を有する有機重合体としては、前述した式(8)で示されるフルオロシリル基を有する重合体が好適である。フルオロシリル基が重合体の主鎖中に組み込まれたものの例としては、−Si(CH3)F−、−Si(C6H5)F−、−SiF2−、≡SiFなどが挙げられる。
前記フッ素化ポリマーは、フルオロシリル基および主鎖骨格が同種である単一の重合体、すなわち、1分子あたりのフルオロシリル基の数、その結合位置、および該フルオロシリル基が有するFの数、ならびに主鎖骨格が同種である単一の重合体であってもよく、これらのいずれか、またはすべてが異なる、複数の重合体の混合物であってもよい。フッ素化ポリマーが単一の重合体、複数の重合体の混合物のいずれの場合においても、フッ素化ポリマーは、速硬化性を示す硬化性組成物の樹脂成分として好適に用いることができるが、高い硬化性を発揮し、かつ高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、フッ素化ポリマーに含有されるフルオロシリル基は、重合体1分子あたり平均して少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個、さらに好ましくは1.2〜3個存在するのがよい。1分子中に含まれるフルオロシリル基の数が平均して1個未満になると、硬化性が不十分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる可能性がある。また、1分子中に含まれるフルオロシリル基の数が平均して5個より多い場合には、ゴム状硬化物の伸びが小さくなる場合がある。なお、上述のように、フルオロシリル基は、重合体分子鎖の主鎖の末端あるいは側鎖の末端に存在していてもよく、または主鎖中に組み込まれていてもよいが、特に主鎖の末端に存在するときは、最終的に形成される硬化物に含まれる有機重合体成分の有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。1分子中にフルオロシリル基が2個以上存在する場合は、それぞれのケイ素基は同じであっても異なっていてもよい。
また、フッ素化ポリマーは、フルオロシリル基とともに、加水分解性基としてフッ素以外の加水分解性基のみを有するケイ素基(たとえば、メチルジメトキシシリル基等)などのフルオロシリル基以外の置換基を含有していてもよい。このようなフッ素化ポリマーとしては、たとえば一方の主鎖末端がフルオロシリル基であり、他方の主鎖末端が、加水分解性基としてフッ素以外の加水分解性基のみを有するケイ素基である重合体を挙げることができる。
フッ素化ポリマーにおいて、フルオロシリル基の導入は、いかなる方法を用いてもよいが、フルオロシリル基を有する低分子ケイ素化合物と重合体との反応による導入方法(方法(i))と、フッ素以外の加水分解性基を有する反応性ケイ素基を含有する重合体(以下、「重合体(X)」と称することがある。)のケイ素基をフルオロシリル基に変性する方法(方法(ii))が挙げられる。
方法(i)の具体例として、以下の方法が挙げられる。
(イ)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有する重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基およびフルオロシリル基を有する化合物を反応させる方法。たとえば、末端に水酸基を有する重合体とイソシアネートプロピルジフルオロメチルシランを反応させる方法や、末端にSiOH基を有する重合体とジフルオロジエトキシシランを反応させる方法が挙げられる。
(ロ)分子中に不飽和基を含有する重合体に、フルオロシリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法。たとえば、末端にアリル基を有する重合体に、ジフルオロメチルヒドロシランを反応させる方法が挙げられる。
(ハ)不飽和基を含有する重合体に、メルカプト基およびフルオロシリル基を有する化合物を反応させる方法。たとえば、末端にアリル基を有する重合体に、メルカプトプロピルジフルオロメチルシランを反応させる方法が挙げられる。
上記方法(ii)で用いる、フッ素以外の加水分解性基を有する反応性ケイ素基を含有する重合体(重合体(X))としては、前述した架橋性珪素基含有有機重合体(A)が好適に用いられる。
また、方法(ii)において、フッ素以外の加水分解性基を有する反応性ケイ素基をフルオロシリル基に変換する方法としては、公知の方法が使用でき、例えば、前述した前記式(9)で示される加水分解性ケイ素基を、フッ素化剤でフルオロシリル基に変換する方法が挙げられる。
フッ素化剤としては、例えば、前述したフッ素化剤が挙げられ、中でも、BF3エーテル錯体、BF3アルコール錯体、BF3二水和物は活性が高く、効率よくフッ素化が進行し、さらに副生成物に塩等が生じず、後処理が容易であるためにより好ましく、BF3エーテル錯体が特に好ましい。
さらに、BF3エーテル錯体によるフッ素化は、加熱しなくても反応が進行するが、より効率よくフッ素化を行なうためには、加熱することが好ましい。加熱温度としては50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上130℃がより好ましい。50℃以下であると反応が効率よく進行せず、フッ素化に時間がかかる場合がある。150℃以上であるとフッ素化ポリマーが分解する虞がある。BF3錯体によるフッ素化において、用いる重合体(X)の種類によっては着色が起こる場合があるが、着色の抑制の点から、BF3アルコール錯体、BF3二水和物を用いることが好ましい。
フッ素化ポリマーの製造に使用されるフッ素化剤は、フッ素化ポリマーの硬化触媒としても作用する可能性があり、上記(ii)の方法を用いてフッ素化ポリマーを製造するときに水分が存在すると、シラノール縮合反応が進行し、得られるフッ素化ポリマーの粘度が上昇してしまう虞がある。このため、フッ素化ポリマーの製造は、できるだけ水分が存在しない環境下で行なわれることが望ましく、フッ素化前に、フッ素化する重合体(X)をトルエンやヘキサン等を利用して共沸脱水に供するなどの脱水操作を行なうことが好ましい。但し、BF3アミン錯体を用いる場合には、脱水操作後にはフッ素化が進行し難く、微量の水分を添加することで反応性が向上する傾向があるため、粘度上昇が許容される範囲で水分を添加することが好ましい。また、フッ素化ポリマーの安定性の点で、フッ素化後にフッ素化剤および副生したフッ素化剤由来成分を、濾過、デカンテーション、分液、減圧脱揮などで除去することが好ましい。上記したBF3系のフッ素化剤を用いてフッ素化ポリマーを製造する場合には、製造されたフッ素化ポリマー中に残存するBF3および反応によって生成したBF3由来成分が、B量で500ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましく、50ppm未満であることが特に好ましい。BF3およびBF3由来成分を除去することで、得られたフッ素化ポリマー自身およびフッ素化ポリマーと重合体(X)との混合物の粘度上昇などが抑制できる。この点を考慮すると、BF3エーテル錯体、BF3アルコール錯体を用いたフッ素化法は、ホウ素成分を真空脱揮により比較的簡便に除去できるため好ましく、BF3エーテル錯体を用いた方法が特に好ましい。
ここで、重合体(X)が、フッ素以外の加水分解性基を2個以上有する場合は、全ての加水分解性基をフッ素化してもよいし、フッ素化剤の量を減量するなどの方法によって、フッ素化の条件を調整することにより、部分的にフッ素化してもよい。たとえば、上記(ii)の方法において、重合体(X)を用いてフッ素化ポリマーを製造する場合、フッ素化剤の使用量は特に制限されるものではなく、フッ素化剤中のフッ素原子のモル量が、重合体(X)のモル量に対して等モル以上になる量であればよい。(ii)の方法により、重合体(X)が含有する加水分解性基のすべてをフッ素化しようとする場合には、フッ素化剤中のフッ素原子のモル量が、重合体(X)が含有する反応性ケイ素基中の加水分解性基の総モル量に対して等モル以上となるような量のフッ素化剤を使用することが好ましい。ここで、「フッ素化剤中のフッ素原子」とは、フッ素化剤中のフッ素化に有効なフッ素原子、具体的には、重合体(X)の反応性ケイ素基中の加水分解性基を置換できるフッ素原子をいう。
上記方法(i)におけるフルオロシリル基を有する低分子化合物も、上記フッ素化方法を利用して、汎用な反応性ケイ素基含有低分子化合物から合成することができる。
方法(i)では、フルオロシリル基とともに、重合体とケイ素含有低分子化合物を反応させるための反応性基があるため、反応が複雑になる場合には、方法(ii)によってフッ素化ポリマーを得ることが好ましい。
フッ素化ポリマーのガラス転移温度は、特に限定は無いが、20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度が20℃を上回ると、冬季または寒冷地での粘度が高くなり取り扱い難くなる場合があり、また、硬化性組成物として使用した場合に得られる硬化物の柔軟性が低下し、伸びが低下する場合がある。ガラス転移温度はDSC測定により求めることができる。
フッ素化ポリマーは直鎖状であってもよく、または分岐を有してもよい。フッ素化ポリマーの数平均分子量は、GPCにおけるポリスチレン換算において3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは3,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が3,000未満では、硬化物の伸び特性の点で不都合な傾向があり、100,000を越えると、高粘度となるために作業性の点で不都合な傾向がある。
前記Si−F結合を有するケイ素化合物(C)の配合割合は特に制限はないが、成分(C)としてフッ素化ポリマー等の数平均分子量3000以上の高分子化合物を用いる場合は、(A)架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、0.01〜80質量部が好ましく、0.01〜30質量部がより好ましく、0.05〜20質量部がさらに好ましい。成分(C)として数平均分子量3000未満のフルオロシリル基を有する低分子化合物(例えば、前記式(7)で示されるフルオロシラン類や式(8)で示されるフルオロシリル基を有する低分子有機珪素化合物、フルオロシリル基を有する無機珪素化合物等)を用いる場合は、(A)架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
前記(D)光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物としては、公知の光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物を使用することができ、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び窒素原子にビニル基が直接結合したN−ビニル化合物が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物や(メタ)アクリルアミド基を有する化合物が挙げられ、貯蔵安定性の点から(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましい。また、反応性の点からは(メタ)アクリルアミド基を有する化合物が好ましい。
前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、モノマー及びオリゴマーのいずれも使用可能であり、粘度の点からは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーが好ましい。また、硬化物の物性の点からは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマーが好適である。
前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個以上有する化合物であれば、特に限定はないが、例えば、単官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート 、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレートなどが挙げられる。柔軟性が求められる際には、単官能(メタ)アクリレート類を用いることが好ましい。
多官能アクリレート類としては、例えば、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能アクリレート類は、酸素阻害が生じにくい点から好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマーとしては、アクリル系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
前記アクリル系オリゴマーとしては、主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマーを用いることができる。このような重合体はアニオン重合又はラジカル重合によって製造されることが好ましく、モノマーの汎用性あるいは制御の容易さからラジカル重合がより好ましい。ラジカル重合の中でも、リビングラジカル重合あるいは連鎖移動剤を用いたラジカル重合によって製造されるのが好ましく、リビングラジカル重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法が特に好ましい。リビングラジカル重合法を用いると、重合体鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体を得ることができる。
該アクリル系オリゴマーとして、例えば、WO2012/008127号公報の製造例1に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリアクリル酸n−ブチルや同公報の製造例2に記載されている片末端にアクリロイル基を有するポリアクリル酸n−ブチル、WO2005/000927号公報の製造例1に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)、WO2006/112420号公報の製造例2に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル)、同公報の製造例3に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)等を用いることができる。
前記アクリル系オリゴマーの骨格成分として、ポリメタクリル酸メチル(MMA)、ポリスチレン(St)、ポリ(アクリロニトリル(AN)/St)、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)/MMA)、ポリ(HEMA/メタクリル酸ブチル(BMA))等のオリゴマーが数多く市販されている。
前記アクリル系オリゴマーの市販品としては、例えば、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6,AA−714,AB−6,AJ−7,AN−6,AS−6,AW−6,AZ−8,HA−6,HN−6,HS−6、(株)カネカ製のRC−300,RC−100,RC−200等が挙げられる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。ここで、ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
カルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号エポキシ樹脂〔高分子刊行会、昭和48年発行〕の4〜6頁、9〜16頁に記載されている様な化合物を挙げることができる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル、並びにペンタエリスリトール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ、トリ又はテトラグリジジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら以外にも、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。これら芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂以外にも、トリアジン核を骨格に持つエポキシ化合物、例えばTEPIC(日産化学(株))、デナコールEX−310(ナガセ化成(株))等が挙げられ、又、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の289〜296頁に記載されているような化合物等が挙げられる。上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、従来知られている合成法に従い製造されたもので良い。例えば、ジブチルスズジラウレート等の付加触媒存在下、使用する有機イソシアネートとポリオール成分を加熱撹拌し付加反応せしめ、さらにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加し、加熱撹拌し付加反応せしめる方法等が挙げられる。
前記ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)ジアクリレートがあり、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド基を有する化合物としては、例えば、下記式(10)で表される化合物や下記式(11)で示される化合物が挙げられる。
前記式(10)において、R80は水素原子又はメチル基を表し、R81及びR82は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、1分子中のR81及びR82は、同一の基であっても、異なる基であっても良い。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、直鎖状でも分岐を有していても良い。アルキル基としては、水酸基、芳香族基及びジアミノアルキル基をさらに有するアルキル基であっても良い。
アルキル基の具体例としては、メチル基、プロピル基、ブチル基、ブチル基及びヘキシル基等が挙げられる。
水酸基を有するアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。
芳香族基を有するアルキル基としては、ベンジル基等を挙げることができる。
ジアルキルアミノアルキル基としては、N,N−ジメチルアミノエチル基及びN,N−ジメチルアミノプロピル等を挙げることができる。
前記式(11)において、R80は前記式(10)のR80と同様である。
前記式(10)で示される(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。
前記式(11)で示される(メタ)アクリルアミドの具体例としては、アクリロイルモルホリン、メタアクリロリルモルホリンが挙げられ、硬化性が良い点から、アクリロイルモルホリンが好ましい。
前記N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。本発明において、N−ビニル化合物は、反応性の点や、酸素阻害が生じにくい点から好ましい。
前記(D)光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物の配合割合は特に制限はないが、(A)架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、10〜700質量部が好ましく、20〜600質量部がより好ましく、30〜500質量部がさらに好ましい。これら光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の液状ガスケットは、(E)成分として粘着付与樹脂をさらに含有することが好ましい。粘着付与樹脂を添加することにより、本発明の液状ガスケットは硬化後に粘着性を有しており、再接着した場合にも粘着性によりハウジング部材等の基材に対する強い接着性が得られる。
粘着付与樹脂の例として、スチレン系(共)重合体;クマロン−インデン樹脂、クマロン樹脂にナフテン樹脂、フェノール樹脂、ロジン等を混合したもの等のクマロン系樹脂;p−t−ブチルフェノール−アセチレン樹脂、重合度が低く低軟化点が60〜100℃程度のフェノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、粘着性のみならず接着性や耐熱性も向上させるテルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂等のフェノール系、テルペン系樹脂;合成ポリテルペン樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂等の石油系炭化水素樹脂;ロジンやロジンのペンタエリスリトール・エステル、ロジンのグリセロール・エステル、水素添加ロジン、高度に水素添加したウッドレジン、水素添加ロジンのメチルエステル、水素添加ロジンのトリエチレングリコールエステル、水素添加ロジンのペンタエリスリトール・エステル、重合ロジン、重合ロジンのグリセロール・エステル、樹脂酸亜鉛、硬化ロジン等のロジン誘導体;低分子量ポリスチレン、その他の特殊調合品等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。粘着付与樹脂を含有すると、難接着性材料への接着性を付与できる点で好ましい。これらの粘着付与樹脂は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記(F)粘着付与樹脂の配合割合は特に制限はないが、(A)架橋性珪素基含有有機重合体と(D)光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物との合計量100質量部に対して、0.1〜300質量部が好ましく、1〜250質量部がより好ましく、5〜200質量部がさらに好ましい。これら粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の液状ガスケットは、前記(B)光塩基発生剤に加え、光により、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群から選択される1種以上のアミノ基を生成する架橋性珪素基含有化合物をさらに含むことが好ましい。該光により、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群から選択される1種以上のアミノ基を生成する架橋性珪素基含有化合物は、接着性能を向上させることができる。
該光により、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群から選択される1種以上のアミノ基を生成する架橋性珪素基含有化合物としては、光照射により、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群から選択される1種以上のアミノ基と、架橋性珪素基とを有するアミノシラン化合物を発生する化合物であればいかなるものでも使用可能である。本願明細書において、前記光により、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群から選択される1種以上のアミノ基を生成する架橋性珪素基含有化合物を光アミノシラン発生化合物とも称する。
前記光照射により発生する、前記アミノシラン化合物としては、架橋性珪素基、及び置換あるいは非置換のアミノ基を有する化合物が用いられる。置換アミノ基の置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。また、架橋性珪素基としては、特に限定されず、前記(A)有機重合体の項で記載した架橋性珪素基を挙げることでき、加水分解性基が結合した珪素含有基が好ましい。このなかでも、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基が、加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから好ましい。前記アミノシラン化合物中、加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、2個以上が好ましく、特に3個が好ましい。
本発明において、(A)架橋性珪素基含有有機重合体の硬化触媒として三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素の錯体、フッ素化剤及び多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩からなる群から選択される1種以上のフッ素系化合物を含有していても良い。
前記三フッ化ホウ素の錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が例示される。上記三フッ化ホウ素の錯体の中では、安定性と触媒活性を兼ね備えたアミン錯体が特に好ましい。
前記タレ止め剤としては、公知のタレ止め剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類、有機ベントナイト、コロイダルシリカ、変性ポリエステルポリオール、石綿粉等の無機揺変剤、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤等が挙げられる。また、特開平11−349916号公報に記載されているような粒子径10から500μmのゴム粉末や、特開2003−155389号公報に記載されているような有機質繊維を用いると、チクソ性が高く作業性の良好な組成物が得られる。これらタレ止め剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。本発明の液状ガスケットにおいて、タレ止め剤を含有する場合には、(A)成分100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましい。
本発明の液状ガスケットには、必要に応じて、シランカップリング剤、光増感剤、増量剤、可塑剤、水分吸収剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料、樹脂フィラー等の各種添加剤を加えてもよい。
本発明の液状ガスケットは、シランカップリング剤を配合することにより、金属、プラスチック、ガラス等、全般的な被着体に対する接着性を向上させることができる。 前記シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記アミノ基含有シラン類と前記のシラン類を含むエポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて、アミノ基を変性した変性アミノ基含有シラン類を用いてもよい。
前記シランカップリング剤の配合割合は特に制限はないが、(A)架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、0.2〜20質量部が好ましく、0.3〜15質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。これらシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光増感剤としては、225−310kJ/molの三重項エネルギーをもつカルボニル化合物が好ましく、例えば、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、フタルイミド、アントラキノン、9,10−ジブトキシアントラセン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、アシルナフタレン、2(アシルメチレン)チアゾリン、3−アシルクマリンおよび3,3′−カルボニルビスクマリン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン等が挙げられ、チオキサントン、3−アシルクマリンおよび2(アロイルメチレン)−チアゾリンが好ましく、チオキサントンおび3−アシルクマリンがより好ましい。これら増感剤は組成物の保存寿命を短くすることなく発生したアミン塩基の反応性を増強する。
また、光増感剤として、活性エネルギー線を照射することで開裂し、ラジカルを発生するタイプの活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤がより好ましい。該活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤を使用すると、光塩基開始剤の増感剤として知られていたベンゾフェノン類やチオキサントン類等の光増感剤を使用した場合と比較して、格段に速い硬化速度を示し、エネルギー線照射後本発明の光硬化性組成物をさらに短時間で硬化することが可能となる。
該エネルギー線開裂型ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾインエーテル誘導体、アセトフェノン誘導体等のアリールアルキルケトン類、オキシムケトン類、アシルホスフィンオキシド類、チオ安息香酸S−フェニル類、チタノセン類、およびそれらを高分子量化した誘導体が挙げられる。市販されている開裂型ラジカル発生剤としては、例えば、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、ジフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン、ベンジルジメチルケタール、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタン、(η6−イソプロピルベンゼン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシドまたはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド等が挙げられる。
光増感剤の配合割合は特に制限はないが、組成物中に0.01〜5質量%が好ましく、0.025〜2質量%がより好ましい。これら光増感剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記増量剤としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪族一塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水分吸収剤としては、前述したシランカップリング剤やシリケートが好適である。前記シリケートとしては、特に限定されず、例えば、テトラアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物があげられ、より具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート)、および、それらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
前記硬化触媒としては、公知の硬化触媒を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、有機金属化合物やアミン類等が挙げられ、特にシラノール縮合触媒を用いることが好ましい。前記シラノール縮合触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、オクチル酸錫及びナフテン酸錫等の有機錫化合物;ジメチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のジアルキルスズオキサイド;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛及びナフテン酸鉛等の有機酸鉛;オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス及びロジン酸ビスマス等の有機酸ビスマス;シラノール縮合触媒として公知のその他の酸性触媒及び塩基性触媒等が挙げられる。しかしながら、有機錫化合物は添加量に応じて、得られる光硬化性組成物の毒性が強くなる場合がある。
本発明の液状ガスケットを製造する方法は特に制限はなく、例えば、前記成分(A)〜(E)を所定量配合し、また必要に応じて他の配合物質を配合し、脱気攪拌することにより製造することができる。各成分及び他の配合物質の配合順は特に制限はなく、適宜決定すればよい。
本発明の液状ガスケットは、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。本発明の光硬化性組成物は光照射により硬化する光硬化性組成物であって、常温(例えば、23℃)で硬化することが可能であり、常温光硬化型硬化性組成物として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
本発明の硬化物は、本発明の液状ガスケットに対し、光を照射することにより形成されてなるガスケットである。 また、本発明の製品は、本発明の液状ガスケットを用いて製造されてなる製品であり、電子回路、電子部品、自動車等に好適に利用可能である。
本発明の液状ガスケットに対し、光を照射する条件としては特に制限はないが、硬化時に活性エネルギー線を照射する場合、活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のしやすさ及び価格、太陽光や一般照明下での取扱の容易性等から紫外線または電子線照射による硬化が好ましく、紫外線照射による硬化がより好ましい。なお、紫外線には、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等も含まれるものである。活性エネルギー線源としては、特に限定されないが、使用する光塩基発生剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等があげられ、発光ダイオードが好ましい。
照射エネルギーとしては例えば紫外線の場合、10〜20,000mJ/cm2が好ましく、50〜10,000mJ/cm2がより好ましい。10mJ/cm2未満では硬化性が不十分となる場合があり、20,000mJ/cm2より大きいと、必要以上に光を当てても時間とコストの無駄となるばかりか、基材を傷めてしまう場合がある。
本発明の液状ガスケットの被着体への塗布方法は特に制限はないが、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロール印刷、スピンコート、ディスペンサーによる塗布等の塗布方法が好適に用いられる。
また、本発明において、液状ガスケットの被着体への塗布及び光照射の時期に制限はなく、液状ガスケットに光を照射させた後、被着体と接合し、製品を製造してもよく、また液状ガスケットを被着体に塗布し、光を照射することにより液状ガスケットを硬化させ、製品を製造してもよい。
本発明の液状ガスケットが使用される電子機器は、特に制限されない。例えば、携帯通信機器(例えば携帯電話機、PDA端末、スマートフォン、タブレット等)、携帯型パーソナルコンピューター、デジタル時計、携帯型ラジオ、携帯型テレビ、デジタルカメラ、携帯デジタルビデオレコーダー、携帯型CDプレーヤー、MDプレイヤー、DVDプレーヤー、MP3プレーヤー、デジタルレコーダーなどの携帯型の録音・録画再生装置などが上げられる。また、本発明の液状ガスケットは内部の電子回路、メモリー、CPUあるいはバッテリー部分を個別に保護するために使用することもできる。
本発明の液状ガスケットは、本体や蓋体等の複数のハウジング部材の一方あるいは双方のシールすべき箇所に塗布し、活性エネルギー線を照射した後、ハウジング部材を合体して使用される。架橋性珪素基含有有機重合体は活性エネルギー線照射の後、空気中の湿分によって硬化するので、ハウジング部材を合体後放置しておけば硬化が進行する。硬化速度を大きくしたい場合には加熱することも可能である。
ハウジング部材には塗布すべき箇所に溝を設け、液状ガスケットを固定することも可能であるが、溝は必須ではない。ハウジング部材の材料としてはポリアミド樹脂(ナイロン等)、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、PMMA樹脂などの合成樹脂、これらの合成樹脂にガラス繊維を添加し強化した合成樹脂、SUS、軟鋼板等の金属、ガラス等のセラミックス等を使用できる。これらの中では合成樹脂、特に、ガラス繊維で強化した合成樹脂、が好ましい。
本発明の液状ガスケットは電子機器をリワークする場合有用である。リワークする場合、まず、本体と蓋体等のハウジング部材を分離するが、本発明の液状ガスケットは通常の接着剤のように基材と強固に接着していないので、比較的容易に分離することができる。この際、液状ガスケットは全体が一方のハウジング部材に残り、一部が他方のハウジング部材に残ることはなく(糊残りがない)、きれいに界面剥離する。
本発明の液状ガスケットは、活性エネルギー線の照射により(D)光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物が硬化するため、活性エネルギー線照射後の形状保持性に優れるとともに、ハウジング部材を活性エネルギー線の照射の直後に、粘着状となるため、直ちに仮固定をすることができる。その後、湿気により(A)架橋性珪素基含有有機重合体が硬化するまで、ハウジング部材の再結合ができるため、リワーク性に優れる。
シールされているハウジング部材の材料が異なる場合には、液状ガスケットは剥離強度が大きい材料のほうに残る。また、シールされているハウジング部材の材料が同じ場合には、液状ガスケットを塗布した側のハウジング部材に液状ガスケットが残る。片方のハウジング部材に設けられた溝などにより機械的にガスケットが固定されている場合、液状ガスケットは固定されている側のハウジング部材に残る。また、ハウジング部材を分離する際、液状ガスケットの一部を強制的に剥離すると剥離した側のハウジング部材において液状ガスケットが剥離する。いずれにしても、液状ガスケットが剥離する側においては基材との界面できれいに剥離し、糊残りはない。
ハウジング部材を分離して、不良部分を交換した後、新たに液状ガスケットを塗布することなく、一方のハウジング部材に残っている液状ガスケットを用い、再度シールすることができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1)末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A1の合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。得られたポリオキシプロピレントリオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M1を得た。
次に、ポリオキシアルキレン系重合体M1に塩化アリルを反応させて、未反応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得た。この末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、水素化珪素化合物であるトリメトキシシランを白金含量3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppmを添加して反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A1を得た。
得られた末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A1の分子量をGPCにより測定した結果、ピークトップ分子量は25000、分子量分布1.3であった。H1−NMR測定により末端のトリメトキシシリル基は1分子あたり1.7個であった。
(合成例2)末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A2の合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させ、ポリオキシプロピレントリオールを得た。得られたポリオキシプロピレントリオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M2を得た。
次に、ポリオキシアルキレン系重合体M2に塩化アリルを反応させて、未反応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得た。この末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、水素化珪素化合物であるトリメトキシシランを白金含量3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppmを添加して反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A2を得た。
得られた末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A2の分子量をGPCにより測定した結果、ピークトップ分子量は12000、分子量分布1.3であった。H1−NMR測定により末端のトリメトキシシリル基は1分子あたり1.7個であった。
(合成例3)トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体A3の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチルを40.00g、メチルメタクリレート70.00g、2−エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)30.00g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業(株)製)12.00g、及び金属触媒としてチタノセンジクライド0.10gを仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。ついで、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下にフラスコ内に一気に添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱及び冷却を4時間行った。さらに、充分に窒素ガス置換した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30gを撹拌下に5分かけてフラスコ内に追加添加した。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.30g全量を追加添加後、撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が90℃に維持できるように、さらに冷却及び加温を行いながら、反応を4時間行った。合計で8時間5分間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20.00g添加して重合を停止し、トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体A3を得た。ピークトップ分子量は4000、分子量分布は2.4であった。H1−NMR測定により含有されるトリメトキシシリル基は1分子あたり2.00個であった。
(合成例4)フッ素化ポリマーCの合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えた新しいフラスコに、分子量約2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて得られた水酸基価換算分子量14500、かつ分子量分布1.3のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換し、ポリオキシアルキレン系重合体M3を得た。
次に、ポリオキシアルキレン系重合体M3に塩化アリルを反応させて、未反応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得た。この末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、水素化ケイ素化合物であるメチルジメトキシシランを白金含量3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppmを添加して反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A4を得た。得られた末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A4の分子量をGPCにより測定した結果、ピークトップ分子量は15000、分子量分布1.3であった。H1−NMR測定により末端のメチルジメトキシシリル基は1分子あたり1.7個であった。
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、減圧脱気後、窒素ガス置換して、窒素気流下にてBF3ジエチルエーテル錯体2.4g入れ、50℃に加温した。続いて脱水メタノール1.6gの混合物をゆっくりと滴下し混合させた。撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えた新たなフラスコに、前記得られた重合体A4を100g、トルエン5g入れた。23℃にて30分間撹拌後、110℃に加温し減圧撹拌を2時間行い、トルエンを除去した。この容器に先ほど得られた混合物を窒素気流下にて4.0gゆっくりと滴下し、滴下終了後、反応温度を120℃に昇温し、30分間反応させた。反応終了後、減圧脱気を行い未反応物の除去を行った。末端にフルオロシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体C(以下、フッ素化ポリマーCと称する)を得た。得られたフッ素化ポリマーCの1HNMRスペクトル(Shimazu社製のNMR400を用いて、CDCl3溶媒中で測定)を測定したところ、原料である重合体A4のシリルメチレン(−CH2−Si)に対応するピーク(m,0.63ppm)が消失し、低磁場側(0.7ppm〜)にブロードピークが現れた。
(実施例1)
表1に示す配合割合にて、攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに、各配合物質をそれぞれ添加し、混合撹拌することにより液状ガスケットを調製した。
表1において、各配合物質の配合量は質量部で示され、ポリオキシアルキレン系重合体A1は合成例1で得たポリオキシアルキレン系重合体A1であり、ポリオキシアルキレン系重合体A2は合成例2で得たポリオキシアルキレン系重合体A2であり、ポリオキシアルキレン系重合体A3は合成例3で得たポリオキシアルキレン系重合体A3であり、フッ素化ポリマーCは合成例4で得たフッ素化ポリマーCである。他の配合物質の詳細は下記の通りである。
※1 Irgacure(登録商標)379EG(BASF社製、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、プロピレンカーボネート溶液で50質量%に希釈して使用。表1では、固形分の質量部を記載している。)
※2 ライトアクリレートDPM−A(共栄社化学(株)製、商品名、メトキシジプロピレングルコールアクリレート)
※3 UV3700B(日本合成化学工業(株)製、ウレタンアクリレート)
※4 パインクリスタルKE−100(荒川化学工業(株)製、商品名、粘着付与樹脂)
※5 Irgacure(登録商標)1173(BASF社製、活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン。)
※6 AEROSIL(登録商標)R972(日本アエロジル(株)製、疎水性シリカ)
得られた液状ガスケットに対して下記方法により試験を行った。その結果を表1に示した。
(UV未照射時の作業性試験)
500nm以下の波長をカットするフィルムを張り付けた蛍光灯下、23℃50%RHの条件下で内径0.84mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて実施例1で調製した組成物のUV未照射時の作業性試験を行った。23℃50%RHの環境下で、PETフィルムへの連続塗布を行い、指触にてディスペンス塗布が可能な時間を測定する。
8時間以上作業可能な場合を◎、4時間以上8時間未満作業可能な場合を○、4時間未満でノズル先が硬化し作業不可となった場合を×とした。
(形状保持性)
内径0.84mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、縦75.00mm、横25.00mm、厚さ2.00mmのガラス板に縦65.00mm、横18mmの四角形に光硬化性組成物を塗工し、UV照射[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm2)、積算光量:1000mJ/cm2]を行った。照射後直ちに、もう一枚の同じ大きさのガラス板を貼り合わせた。その後、23℃50%RHの環境下で、500gの重りをのせて15分間養生した。養生後、貼り合わせ前の硬化性組成物の幅と比較して幅が2倍未満のものを〇、3倍未満のものを△、3倍以上のものを×とした。
(初期防水性)
内径0.84mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、縦75.00mm、横25.00mm、厚さ2.00mmのガラス板に縦65.00mm、横18mmの四角形に光硬化性組成物を塗工し、UV照射[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm2)、積算光量:1000mJ/cm2]を行った。照射後直ちに、もう一枚の同じ大きさのガラス板を貼り合わせた。その後、23℃50%RHの環境下で、500gの重りをのせて15分間養生した。養生後、水深1.0mの水槽に、重ね合わせて張り合わせたガラス板を30分間没し、ガスケット内側への水の浸入の有無を目視にて判定した。水の浸入がないものを○、水の侵入があるものを×とした。
(剥離した液状ガスケットの防水性)
内径0.84mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、縦75.00mm、横25.00mm、厚さ2.00mmのガラス板に縦65.00mm、横18mmの四角形に光硬化性組成物を塗工し、UV照射[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm2)、積算光量:1000mJ/cm2]を行った。照射後直ちに、もう一枚の同じ大きさのガラス板を貼り合わせた。その後、重ね合わせて張り合わせたガラス板を一度はがし、再び貼り合わせた。再び貼り合わせた後、23℃50%RHの環境下で、500gの重りをのせて15分間養生した。養生後、水深1.0mの水槽に、重ね合わせて張り合わせたガラス板を30分間没し、ガスケット内側への水の浸入の有無を目視にて判定した。水の浸入がないものを○、水の侵入があるものを×とした。
(剥離性)
内径0.84mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、縦75.00mm、横25.00mm、厚さ2.00mmのガラス板に縦65.00mm、横18mmの四角形に光硬化性組成物を塗工し、UV照射[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm2)、積算光量:1000mJ/cm2]を行った。照射後直ちに、もう一枚の同じ大きさのガラス板を貼り合わせた。その後、23℃50%RHの環境下で、500gの重りをのせて1日間養生した。養生後、重ね合わせて張り合わせたガラス板をはがしガラスと接着剤間で破断する。ガラス板の界面での破壊を○、接着剤の凝集破壊を×とした。
(実施例2〜3、比較1〜4)
表1に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法により光硬化性組成物及び硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物の硬化性試験及び接着性試験を実施例1と同様の方法により行い、その結果を表1に示した。
比較例2〜4の液状ガスケットは形状保持性が悪く、ガラス板を貼り合わせた際にぬれ広がり、ガスケットとして使用することができなかった。
表1に示した如く、本発明の液状ガスケットは、活性エネルギー線未照射時は硬化せず、形状保持性に優れており、活性エネルギー線照射後には貼り合わせ可能時間を十分に有している。また、液状ガスケットを使用して接合したハウジング部材においては、シールを望まない部分にはみ出すことがなく、小さい力でハウジング部材を取り外すことができ、リワーク後、このガスケットをそのまま用いてハウジング部材を再結合可能であり、再結合後も当初の防水性能等のシール性能を維持している。