以下、本発明の光配線部品、端面保護部材付き光配線部品、端面保護部材付き光配線部品の製造方法および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<端面保護部材付き光配線部品>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の端面保護部材付き光配線部品の第1実施形態および本発明の光配線部品の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の端面保護部材付き光配線部品の第1実施形態を示す斜視図、図2(a)は、図1に示す端面保護部材付き光配線部品をA方向から見たときの平面図、図2(b)は、図1のB−B線断面図、図3は、図2のC−C線断面図である。図4は、図1に示す端面保護部材付き光配線部品とコネクター付き光ファイバーとを接続する様子を説明するための図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図2の上方を「上」、下方を「下」という。
図1に示す端面保護部材付き光配線部品100は、光導波路1と、光導波路1の端部に設けられた光コネクター5と、レンズ基板7(端面保護部材)と、光コネクター5とレンズ基板7との間に設けられた接着フィルム4と、を有している。
このうち、レンズ基板7を除く部位を、光配線部品10とする。したがって、端面保護部材付き光配線部品100は、光配線部品10とレンズ基板7とを有するものである。
図1に示す光導波路1は、長尺状をなし、かつ幅よりも厚さが小さい横断面形状を有するシート状のものである。この光導波路1では、長手方向の一端と他端との間で光信号を伝送することができる。
このような端面保護部材付き光配線部品100は、例えば、図4に示すように、コネクター付き光ファイバー9が備える光ファイバー91の端面とレンズ基板7の端面とを対向させつつ、図4に矢印で示すように、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9とを互いに近づけて接続するように用いられる。
図4に示すコネクター付き光ファイバー9は、光ファイバー91と、光ファイバー91の一端部を覆うように設けられたコネクター92と、を備えている。
上記のように端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9とを接続することにより、光導波路1と光ファイバー91とを光学的に接続し、両者の間で安定した光結合効率が実現されることによって安定した光通信を行うことができる。
なお、本願の各図では、端面保護部材付き光配線部品100のうち、図2に示す光導波路1の左端近傍のみを図示しており、その他の部位の図示は省略している。端面保護部材付き光配線部品100のうち、図2に示す光導波路1の右端近傍の構成は、特に限定されないが、例えば左端近傍と同様の構成にしたり、それ以外の構成にしたりすることができる。また、本明細書では、図2(b)に示す光導波路1の左端部を「先端部101」、左端の端面を「先端面102」ともいう。
このような光導波路1は、図2(b)に示すように、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12が下方からこの順で積層された積層体を備えている。また、コア層13には、図3に示すように、並列に設けられた8本の長尺状のコア部14と、各コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。
これらのコア部14が、光導波路1において光信号を伝送する伝送路として機能する。各コア部14の先端面102は、各コア部14の光路に対して光結合可能な光入出射面である。
光導波路1の先端部101には、図1に示すように、この先端部101を覆うようにして光コネクター5が設けられている。すなわち、光コネクター5は、略直方体形状をなすコネクター本体51と、コネクター本体51に形成された貫通孔50(貫通部)と、を備えており、この貫通孔50内に光導波路1の先端部101が挿入されている。
図2(b)におけるこの光コネクター5の左端面は、端面保護部材付き光配線部品100をコネクター付き光ファイバー9と光接続するときに、コネクター付き光ファイバー9側に位置する面となる。本明細書では、図2(b)における光コネクター5の左端面を「対向面52」といい、図2(b)における光コネクター5の右端面(対向面52とは反対側の面)を「非対向面53」という。換言すれば、光コネクター5は、コネクター本体51と、コネクター本体51に設けられた対向面52と、コネクター本体51に設けられた非対向面53と、コネクター本体51に形成された貫通孔50と、を備えている。
貫通孔50は、コネクター本体51の対向面52を含む平面内から非対向面53を含む平面内にかけて貫通するように形成されている。また、貫通孔50は、その長手方向に直交する方向に沿って切断されたとき、長方形をなす切断面を有するように構成されている。
貫通孔50の内面のうち、上方に位置する内面を「上面」とすると、この上面は、光導波路1を載置する載置面501である。この載置面501には、接着剤6を介して光導波路1が接着されている。接着剤6は、載置面501と光導波路1との隙間に広がって硬化しており、光導波路1を十分に広い面積で固定するとともに、光導波路1と光コネクター5との位置関係をより正確に決定することができる。
また、図2(b)における光コネクター5の対向面52には、レンズ基板7が隣接するように設けられている。
本実施形態に係るレンズ基板7は、コネクター付き光ファイバー9と光導波路1との間に介在し略球面を有するレンズ部71と、このレンズ部71を支持する支持部72と、を備えている。図2に示すレンズ基板7の外縁は、略直方体形状をなしており、図1のA方向から見たとき、その外形が光コネクター5の対向面52の外形とほぼ一致している。
また、支持部72は、光コネクター5の対向面52に当接する面を備え、レンズ部71を囲うように設けられたフレーム721と、フレーム721の内側に設けられ、フレーム721とレンズ部71とを接続する接続体722と、を備えている。
このようなレンズ機能を有するレンズ基板7を設けることにより、コネクター付き光ファイバー9から光導波路1に入射する光や、反対に光導波路1からコネクター付き光ファイバー9に入射する光を収束させ、相互の光結合効率を高めることができる。
さらに、図1、2に示す光コネクター5とレンズ基板7との間には、接着フィルム4が設けられている。
接着フィルム4は、例えば接着性を有する熱硬化性樹脂の硬化物で構成されたフィルムであり、光コネクター5とレンズ基板7とを接着している。すなわち、硬化により接着性を発現する未硬化または半硬化のフィルムを介して光コネクター5とレンズ基板7とを配置した後、このフィルムが硬化されることにより、光コネクター5とレンズ基板7とを接着する接着フィルム4が得られる。
このような接着フィルム4を介して光コネクター5とレンズ基板7とを接着することにより、接着フィルム4は光導波路1とレンズ基板7との間にも介在することとなる。硬化前の接着フィルム4は、適度な形状追従性を有しているため、光導波路1の先端面102に多少の凹凸がある場合でも、光導波路1と接着フィルム4との間に空隙が生じるのを抑制し、光導波路1とレンズ基板7との光結合効率をより高めることができる。その結果、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率をより高めることができる。
また、接着フィルム4を介して接着することにより、例えば液状の接着剤を介して接着した場合に比べて、接着剤がはみ出たり、被接着面同士の距離が不均一になったりする不具合の発生を抑制することができる。はみ出た接着剤は、意図しない箇所に付着して、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率が低下させるおそれがある。また、被着面同士の距離が不均一になると、光導波路1の先端面102に対してレンズ基板7が傾き、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率の低下を招くおそれがある。したがって、接着フィルム4を用いることにより、接着剤のはみ出しや被接着面同士の距離の不均一化による不具合の発生を抑制することができる。
さらに、接着フィルム4を介して接着することにより、光導波路1の先端面102が外気に接触し難くなる。このため、先端面102が酸化されたり水分の影響を受けたりし難くなり、長期にわたって入出射効率の変動が少なく抑えられる。加えて、接着界面に空隙を生じさせないことによって環境変化への耐性を高めることができる(例えば、温度変化による空隙の膨張・収縮の発生が抑えられる。)。
したがって、本実施形態に係る端面保護部材付き光配線部品100は、環境によらず、コネクター付き光ファイバー9との光結合効率を安定化させることができる。
また、レンズ基板7は、光導波路1の先端面102を覆うように配置されている。
このようなレンズ基板7を設けることにより、光導波路1の先端面102が外部に直接露出するのを避けることができる。このため、光導波路1の先端面102は、レンズ基板7によって保護されることとなり、先端面102に傷が付いたり、異物が付着したりする不具合の発生を防止することができる。すなわち、レンズ基板7は、光導波路1の先端面102を保護する機能を有する。
なお、このような不具合は、例えば光配線部品10とコネクター付き光ファイバー9とを接続する作業の過程で発生することがある。
仮に、レンズ基板7が存在しないと、光配線部品10とコネクター付き光ファイバー9との光接続過程において、作業手順に不備がある場合や作業に不注意が伴った場合等に、光ファイバー91と光導波路1の先端面102とが接触し、先端面102に傷が付くおそれがある。
これに対し、端面保護部材付き光配線部品100では、レンズ基板7によって光導波路1の先端面102が保護されるため、光接続過程において光導波路1の先端面102がコネクター付き光ファイバー9と接触するのを防止することができる。したがって、端面保護部材付き光配線部品100は、光接続過程においてコネクター付き光ファイバー9との光結合効率が低下し難いものである。
なお、光導波路1の先端面102としては、例えば、光導波路1の母材を切断した切断面を利用することができる。切断面は、通常、平滑な面になり易く、光入出射効率が高いため、上述したような工夫によって傷が付いたり異物が付着したりするのを防ぐことができれば、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率を高めることに寄与することができる。換言すれば、本実施形態によれば、切断直後の切断面からなる良好な先端面102を、その良好な状態に維持したまま、コネクター付き光ファイバー9との接続に供することができる。
また、仮に、切断等によって先端面102に傷や凹みが付いた場合でも、接着フィルム4が傷や凹みに入り込むことによって、光導波路1と接着フィルム4との光結合効率を高めることができる。その結果、傷や凹みが、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合損失の原因になるのを抑制することができる。
以下、端面保護部材付き光配線部品100の構成についてさらに詳述する。
(光コネクター)
光コネクター5は、前述したように、コネクター本体51と、コネクター本体51に形成された貫通孔50と、を備えている。
この光コネクター5は、各種コネクター規格に準拠した部位を含んでいてもよい。かかるコネクター規格としては、例えば小型(Mini)MTコネクター、JIS C 5981に規定されたMTコネクター、16MTコネクター、2次元配列型MTコネクター、MPOコネクター、MPXコネクター等が挙げられる。
本実施形態に係る光コネクター5のコネクター本体51の対向面52を含む平面内には、図1、3に示すように、2つのガイド孔511が開口している。これらのガイド孔511は、コネクター本体51を貫通し、非対向面53を含む平面内にも開口している。
これらのガイド孔511には、端面保護部材付き光配線部品100をコネクター付き光ファイバー9と接続する際、図示しないガイドピンが挿入される。これにより、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9とを位置合わせする際に、互いの位置をより正確に合わせることができ、かつ、両者を互いに固定することができる。すなわち、ガイド孔511は、端面保護部材付き光配線部品100をコネクター付き光ファイバー9と接続するための接続機構として機能する。
なお、ガイド孔511は、必ずしもコネクター本体51を貫通している必要はなく、非対向面53を含む平面内には開口していなくてもよい。
また、上記接続機構に代えて、その他の接続機構、例えば爪による係止を利用した係止機構や接着剤等を用いるようにしてもよい。
貫通孔50は、コネクター本体51を貫通するように形成された空洞(孔)であり、光コネクター5の対向面52を含む平面内および非対向面53を含む平面内にそれぞれ開口している。
貫通孔50の横断面形状(開口同士を結ぶ線と直交する方向での切断面形状)は、図示しているような長方形に限定されず、正方形であってもよく、平行四辺形、六角形、八角形、長円形のようなその他の形状であってもよい。
また、貫通孔50の幅W1は、光導波路1の幅Wと等しくてもよいが、好ましくは光導波路1の幅Wよりも広くなるように設定される(図2参照)。これにより、光導波路1の側面と貫通孔50の内面との間に隙間を設けることができる。その結果、光導波路1の側面に接着剤6のはみ出しが許容されることになるので、その分、接着剤6が光導波路1の先端面102に到達し難くなり、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率の低下をより確実に抑制することができる。また、光導波路1が膨張した場合でも、その膨張を許容できる空間が存在することになるため、膨張に伴って光導波路1に応力が集中し難くなる。その結果、応力集中に伴う光導波路1の伝送効率の低下を抑制することができる。
なお、貫通孔50の幅W1は、端面保護部材付き光配線部品100に使用する接着剤6の量等に応じて適宜調整されるものの、光導波路1の幅Wの1.01〜3倍程度であるのが好ましく、1.1〜2倍程度であるのがより好ましい。これにより、光コネクター5が著しく大型化するのを避けつつ、接着剤6のはみ出しの抑制および光導波路1の伝送効率の低下抑制をより確実に図ることができる。
また、貫通孔50の内面のうち、下方に位置する内面を「下面502」とすると、光導波路1は、空間を隔てて下面502と離間している。すなわち、光導波路1は、貫通孔50のうち、載置面501側に片寄せされた状態で、光コネクター5に対して固定されている。
換言すると、光導波路1は前述したように帯状をなしているので、互いに対向する(表裏の関係にある)2つの主面を備えている。したがって、2つの主面のうち、一方の主面が接着剤6を介して貫通孔50の載置面501に接着されているのに対し、他方の主面は貫通孔50の下面502との間に空間を隔てている。
このような状態では、仮に、端面保護部材付き光配線部品100が置かれた環境の変化によって、接着剤6や光導波路1に体積変化が生じた場合でも、光導波路1と下面502との間の空間によって、その体積変化を吸収することができる。このため、体積変化に伴って大きな応力が発生するのを防止し、応力集中に伴う光導波路1の伝送効率の低下等を防止することができる。
なお、図2に示す光コネクター5では、載置面501と下面502との距離は一定になるよう図示されているが、貫通孔50の形状はこれに限定されず、例えば、対向面52側から非対向面53側に向かうにつれて、載置面501と下面502との距離が徐々に大きくなるような形状であってもよい。
光導波路1と貫通孔50の下面502との距離L2は、光導波路1の平均厚さtの1〜1500%程度であるのが好ましく、3〜1000%程度であるのがより好ましい。距離L2を前記範囲内に設定することにより、仮に光導波路1が膨張したとしても、距離L2の空間によってその体積変化を十分に吸収することができる。その結果、応力集中に伴う光導波路1の伝送効率の低下等を防止することができる。その一方、光コネクター5が著しく大きくなるのを防ぐことができる。
なお、本発明では、必ずしも、光導波路1と貫通孔50の下面502との間が離間していることを必須としない。例えば、光導波路1と下面502との間も接着剤等を介して接着されていてもよい。また、接着剤等を用いないものの、光導波路1と下面502とが接触している状態であってもよい。さらに、光導波路1と下面502との間に、光導波路1よりも弾性率が低い材料が充填されていてもよい。
光コネクター5の構成材料としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂のような各種樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウム合金のような各種金属材料等が挙げられる。
また、本実施形態に係る貫通孔50(貫通部)は、その側面が完全に閉じられているが、本発明に係る貫通部は、かかる構成に限定されない。例えば、コネクター本体51が、複数の部位に分割されていてもよい。すなわち、これらの複数の部位が組み立てられ、互いに固定された状態でコネクター本体51が構成されていてもよい。また、例えば、コネクター本体51が、貫通孔50の下面502を含む部位を除去されてなるものであってもよい。この場合、貫通孔50の下面が開放された状態となる。
なお、光導波路1を外力や環境変化等から保護するという観点からは、貫通孔50の側面が閉じられているのが好ましい。
(光導波路)
光導波路1は、前述したように、接着剤6を介して載置面501に接着されている。これにより、光導波路1は、貫通孔50に挿入された状態で固定される。その結果、光導波路1を外力や環境変化等から保護することができるので、光配線部品10とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率の低下をより確実に抑制することができる。
図5は、図3に示す光配線部品に含まれる光導波路の一部を示す部分拡大斜視図である。図5では、説明の便宜のため、図3に示す光導波路1が含む8本のコア部14のうち、2本のコア部14の近傍を拡大して図示している。
図5に示す2本のコア部14は、それぞれクラッド部(側面クラッド部15および各クラッド層11、12)で囲まれており、コア部14に光を閉じ込めて伝搬することができる。
コア部14の横断面における屈折率分布は、いかなる分布であってもよい。この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。SI型の分布であれば屈折率分布の形成が容易であり、GI型の分布であれば屈折率の高い領域に信号光が集まる確率が高くなるため伝送効率が向上する。
また、コア部14は、平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、コア部14は途中で分岐または交差していてもよい。
なお、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1の伝送効率の低下を抑えつつコア部14の高密度化を図ることができる。
一方、図3に示すように複数のコア部14が並列しているとき、コア部14同士の間に位置する側面クラッド部15の幅は、5〜250μm程度であるのが好ましく、10〜200μm程度であるのがより好ましく、10〜120μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部14同士の間で光信号が混在(クロストーク)するのを防止しつつコア部14の高密度化を図ることができる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。
クラッド層11、12の平均厚さは、コア層13の平均厚さの0.05〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.1〜1.25倍程度であるのがより好ましい。具体的には、クラッド層11、12の平均厚さは、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、3〜100μm程度であるのがより好ましく、5〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1が必要以上に厚膜化するのを防止しつつ、クラッド部としての機能が確保される。
また、クラッド層11、12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。
光導波路1の幅は、特に限定されないが、1〜100mm程度であるのが好ましく、2〜50mm程度であるのがより好ましい。
また、光導波路1中に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、1〜100本程度であるのが好ましい。なお、コア部14の数が多い場合は、必要に応じて、光導波路1を多層化してもよい。具体的には、図5に示す光導波路1の上に、さらにコア層とクラッド層とを交互に重ねることにより多層化することができる。
また、図5に示す光導波路1は、さらに、最下層として支持フィルム2を、最上層としてカバーフィルム3を、それぞれ備えている。
支持フィルム2およびカバーフィルム3の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料が挙げられる。
また、支持フィルム2およびカバーフィルム3の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、支持フィルム2およびカバーフィルム3は、適度な剛性を有するものとなるため、コア層13を確実に支持するとともに、外力や外部環境からコア層13を確実に保護することができる。
なお、支持フィルム2やカバーフィルム3は、それぞれ必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。また、図5以外の各図では、支持フィルム2およびカバーフィルム3の図示を省略している。
(接着剤)
接着剤6としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
接着剤6の硬化物の引張弾性率(ヤング率)は、好ましくは100〜20000MPa程度とされ、より好ましくは300〜15000MPa程度とされ、さらに好ましくは500〜12500MPa程度とされ、特に好ましくは1000〜10000MPa程度とされる。接着剤6の硬化物の引張弾性率を前記範囲内に設定することにより、光コネクター5に対して光導波路1をより確実に固定しつつ、光導波路1中に熱応力等が集中するのを抑制し、伝送損失の増大を抑えることができる。
なお、接着剤6の引張弾性率は、JIS K 7127に準拠した方法を用い、かつ、温度25℃で測定される。
また、接着剤6の硬化物のガラス転移温度は、30〜260℃程度であるのが好ましく、35〜200℃程度であるのがより好ましい。接着剤6の硬化物のガラス転移温度を前記範囲内に設定することにより、光配線部品10の耐熱性をより高めることができる。
なお、接着剤6の硬化物のガラス転移温度は、動的粘弾性測定法(DMA法)により測定することができる。
また、接着剤6は、載置面501の全面に設けられている必要はなく、例えば図3に示すように、載置面501のうち非対向面53側の一部においては接着剤6が設けられていない部位があってもよい。このように接着剤6が設けられていない部位では、光導波路1が拘束されないため、光導波路1が厚さ方向にある程度撓むことが許容される。このため、光導波路1がその厚さ方向に曲げられたときでも、光導波路1の一部に応力が集中し易くなるのを防ぐことができる。その結果、光導波路1が曲げられたときでも、伝送損失の増大等を抑制することができる。
(端面保護部材)
レンズ基板7(端面保護部材)は、光透過性を有するものであれば、その形状は特に限定されないものの、本実施形態では、前述したように、レンズ部71と、支持部72と、を備えている。
このうち、レンズ部71は、光導波路1の光軸の延長線上に配置されている。
また、レンズ基板7は、2つのガイド孔75を備えている。これらのガイド孔75は、それぞれ図3に示すように、レンズ基板7のフレーム721の左端面および右端面に開口している。すなわち、ガイド孔75は、フレーム721を貫通するように設けられている。
これらのガイド孔75には、光配線部品10をコネクター付き光ファイバー9と接続する際、図示しないガイドピンが挿入される。これにより、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9とを接続する際に、互いの位置をより正確に合わせることができ、かつ、両者を互いに固定することができる。すなわち、ガイド孔75は、端面保護部材付き光配線部品100をコネクター付き光ファイバー9と接続するための接続機構として機能する。
なお、本実施形態に係るガイド孔75は、コネクター本体51に設けられたガイド孔511と連通している。このため、ガイドピンが挿入されるときには、ガイド孔75とガイド孔511とに連続して挿入されることとなるため、コネクター付き光ファイバー9に対して、レンズ基板7および光コネクター5をそれぞれ位置合わせすることができる。
また、上記接続機構に代えて、爪による係止を利用した係止機構や接着剤等を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態に係るレンズ基板7の右端面は、図3に示すように、ガイド孔75の開口を除いて平坦面になっている。このため、本実施形態に係るレンズ基板7は、接着フィルム4に対して最大限の接着面積が確保されており、信頼性の高いものとなる。
加えて、レンズ基板7と接着フィルム4との界面が平坦面になるため、界面における光の散乱が最小限に抑えられる。これにより、界面における伝送損失の低減が図られ、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率をより高めることができる。
なお、上記観点を考慮すると、少なくとも光導波路1の先端面102の延長線上においては、レンズ基板7の右端面が平坦面であることが好ましい。
レンズ基板7の構成材料としては、光透過性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料、サファイア、水晶のような各種結晶材料等が挙げられる。
また、レンズ基板7の引張弾性率は、コア層13の引張弾性率より大きいことが好ましく、具体的には、コア層13の引張弾性率の1.1倍以上であるのが好ましく、1.5〜10倍であるのがより好ましい。このようなレンズ基板7は、外力から光導波路1の先端面102をより確実に保護することができる。すなわち、このようなレンズ基板7は、例えば耐擦性や耐摩耗性に優れているので、キズ等が付き難く、それによる光入出射効率の低下を抑えることが可能である。
なお、レンズ基板7の引張弾性率は、例えば、JIS K 7127に規定された方法に準拠して測定され、測定温度は25℃とする。
また、コア部14の延在方向におけるレンズ基板7の長さL3(レンズ基板7の厚さ)は、レンズ部71の光学設計や支持部72の構成材料等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、100μm〜10mm程度であるのが好ましく、200μm〜5mm程度であるのがより好ましい。レンズ基板7の厚さを前記範囲内に設定することにより、レンズ基板7が十分な機械的強度を有することになるため、レンズ基板7に外力が加わっても、変形し難くなる。その結果、光学特性の高いレンズ基板7が得られ、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率をより高めることができる。
一方、図2(b)に示すレンズ基板7は、光コネクター5とは反対側(コネクター付き光ファイバー9側)に設けられた空間74を備えている。
すなわち、レンズ基板7のフレーム721の左端面は、レンズ部71の左端面よりも左側に突出しており、その突出長さに相当する長さの空間74が、フレーム721の内側に形成されている。
このような空間74を設けることにより、例えばコネクター92から光ファイバー91の一部が突出している場合でも、その突出部分を空間74に受け入れることができる。これにより、コネクター付き光ファイバー9とレンズ部71とが接触するのを防止することができる。その結果、レンズ部71に傷が付くのを防止することができ、光接続過程において端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率が低下するのを防止することができる。
なお、端面保護部材は、上記のレンズ基板7に限定されず、光コネクター5の対向面52に設けられることにより、結果的に光導波路1の先端面102を保護し得るものであれば、いかなるものであってもよい。すなわち、レンズ基板7は、光透過性を有する任意の部材で代替可能であり、かかる光透過性部材としては、例えば、フィルター、プリズム、導光路のような光学要素の他、単板、シート等であってもよい。
図6は、本発明の端面保護部材付き光配線部品の第1実施形態の他の構成例を示す断面図である。
図6に示す端面保護部材付き光配線部品100は、光配線部品10と平板状基板70とを有している。すなわち、図6に示す端面保護部材付き光配線部品100は、レンズ基板7に代えて平板状基板70を有している以外、図2に示す端面保護部材付き光配線部品100と同様である。なお、以下の説明では、図2に示す端面保護部材付き光配線部品100との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
平板状基板70では、平板状をなしており、右端面と左端面の双方が平坦面である。したがって、このような平板状基板70は、レンズ機能を有さないものの、光導波路1の先端面102を保護する機能を有している。このため、光接続過程において光導波路1の先端面102がコネクター付き光ファイバー9と接触するのを防止することができる。
(接着フィルム)
接着フィルム4は、前述したように、未硬化または半硬化の状態において接着性を有するフィルム(ボンディングフィルム)を硬化させたものであり、この硬化により、光コネクター5とレンズ基板7との間および光導波路1とレンズ基板7との間をそれぞれ接着している。
なお、本明細書では、未硬化または半硬化の状態にあるフィルム、または、このフィルムを硬化させてなるフィルムを「接着フィルム」という。
また、接着フィルム4は、2つのガイド孔41を備えている。これらのガイド孔41は、それぞれ図3に示すように、接着フィルム4の左端面4Lおよび右端面4Rに開口している。すなわち、ガイド孔41は、接着フィルム4を貫通するように設けられている。
なお、本実施形態に係るガイド孔41は、レンズ基板7に設けられたガイド孔75およびコネクター本体51に設けられたガイド孔511とそれぞれ連通している。
これらのガイド孔75、ガイド孔41およびガイド孔511には、それぞれ、光配線部品10をコネクター付き光ファイバー9と接続する際、図示しないガイドピンが挿入される。これにより、レンズ基板7と光コネクター5とを接着フィルム4を介して接着する際、互いの位置合わせを容易に行うことができ、かつ、互いに固定することができる。
接着フィルム4を介して光導波路1とレンズ基板7とを接着することにより、光導波路1とレンズ基板7との間に空隙が生じるのを抑制することができる。
前述したように、接着フィルム4は、未硬化または半硬化のボンディングフィルムを硬化させてなるものであるため、接着剤がはみ出したり、被接着面同士の距離が不均一になったりする不具合の発生を抑えつつ、光導波路1とレンズ基板7とを接着することができる。このため、光導波路1とレンズ基板7との光結合効率を高め、ひいては、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率を高めることができる。
また、本実施形態に係る接着フィルム4には、光コネクター5の対向面52から突出する光導波路1の先端面102がめり込んでいる。これにより、光導波路1の先端面102をより確実に固定することができる。また、めり込んだ分だけ、光導波路1の先端面102とレンズ基板7との距離が短くなるため、光路長の短縮による伝送損失の低減や光束(光ビーム)の広がりを少なくすることによる光結合損失の低減を図ることができる。
加えて、光導波路1の先端面がめり込むことによって、光導波路1の先端面102と接着フィルム4との間の空気が押し出されるため、先端面102近傍(コア部14の光路近傍)に空隙が残存し難くなる。
さらに、接着フィルム4の一部の領域43は、光導波路1の先端面102によって図3の左方に押圧されており、それに伴って接着フィルム4の一部がその周囲よりも圧縮されている。その一方、接着フィルム4の領域43以外の部分は、光コネクター5の対向面52に接着している。その結果、接着フィルム4の右端面4Rには、その一部が凹没されてなる凹部42が形成されており、光導波路1の先端面102は、その凹部42の底面に接している。
このような凹部42を備える接着フィルム4は、例えば未硬化または半硬化の状態にあるフィルムに対して光導波路1の先端面102を押し付け、その状態のままフィルムを硬化させることによって形成される。このため、接着フィルム4のうち、凹部42に対応する領域43には、硬化前の圧縮に伴って生じる圧縮応力が硬化後においても残留している。この残留応力は、領域43の熱膨張率を相対的に低下させる。したがって、例えば、端面保護部材付き光配線部品100の温度が上昇したり下降したりした場合でも、領域43の熱膨張や熱収縮がより抑えられるため、領域43と光導波路1との間、あるいは、領域43とレンズ基板7との間において接着状態が解除されることが抑制される。その結果、温度変化が加わった場合でも、接着フィルム4と光導波路1との間や接着フィルム4とレンズ基板7との間に空隙が生じるのを抑制し、空隙に伴う伝送損失の増大、すなわち、空隙におけるフレネル反射に伴って光信号の損失が増大するのを抑制することができる。
なお、上記の説明では、光導波路1の先端面102が接着フィルム4にめり込んでいる構成について特に説明しているが、本発明において光導波路1の先端面102は、必ずしも接着フィルム4にめり込んでいる必要はなく、例えば、接着フィルム4の熱膨張率が小さい場合や、接着フィルム4の柔軟性が高く変形によって熱膨張や熱収縮を補い得る場合等には、単に接着フィルム4に接しているのみでもよく、さらには、光導波路1の先端面102と接着フィルム4とが離間していてもよい。この場合であっても、接着フィルム4による効果については享受することができる。
接着フィルム4のうち、光導波路1の先端面102に接している部分(例えば領域43)の平均厚さL6は、特に限定されないが、50μm以下であるのが好ましく、3μm以上45μm以下であるのがより好ましく、5μm以上40μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1とレンズ基板7とを十分な接着力で接着することができ、かつ、接着フィルム4における伝送損失の増大を抑えることができる。
また、前記部分の平均厚さL6が前記下限値を下回ると、接着フィルム4の構成材料によっては、接着力が低下するおそれがある。一方、前記部分の平均厚さL6が前記上限値を上回ると、接着フィルム4の構成材料によっては、前記部分の透過損失が増大したり、熱膨張による寸法変化量が大きくなり過ぎたりするおそれがある。
なお、前記部分の平均厚さL6は、例えば、互いに十分離間した3点以上において前記部分の厚さを測定し、その測定値を平均することによって求められる。
また、凹部42の深さは、硬化前のフィルムの厚さやフィルムに対する光導波路1の押圧力等に応じて変わるものの、一例として、3〜500μm程度であるのが好ましく、5〜300μm程度であるのがより好ましい。
一方、凹部42の深さは、接着フィルム4の最大厚さの0.1〜75%程度であるのが好ましく、0.5〜50%程度であるのがより好ましい。
凹部42の深さを前記範囲内に設定することにより、接着フィルム4の領域43には、必要かつ十分な圧縮応力が残留することとなる。このため、領域43の熱膨張率を十分に抑えることができ、温度変化があった場合でも、光導波路1とレンズ基板7との間に空隙が特に生じ難くなる。なお、凹部42の深さが前記下限値を下回ると、接着フィルム4に対して光導波路1が単に接している状態とほとんど変わらなくなるので、前述した効果が薄れるおそれがある。一方、凹部42の深さが前記上限値を上回ると、接着フィルム4に残留する圧縮応力が大きくなり過ぎて、接着フィルム4の変形を招き、光コネクター5とレンズ基板7との接着状態が損なわれるおそれがある。
また、接着フィルム4の屈折率は、好ましくはコア部14の屈折率の90〜110%程度とされ、より好ましくは94〜107%程度とされる。これにより、接着フィルム4とコア部14との間で発生する伝送損失を抑制することができ、ひいては、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率をより高めることができる。
このような接着フィルム4を構成する材料は、未硬化または半硬化の状態において粘着性を有し、硬化によって接着性を発現し得る材料であれば特に限定されないが、例えば熱硬化性樹脂を主成分とする材料であるのが好ましい。
かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のようなノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等のような芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂のほか、ポリイミド、ポリアミドイミドのようなイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、接着フィルム4を構成する材料には、熱硬化性樹脂の他に、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、反応性末端カルボキシル基NBR(CTBN)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ビニルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これらのゴム成分および熱可塑性樹脂の含有率は、熱硬化性樹脂100質量部に対して10〜200質量部程度であるのが好ましく、20〜150質量部程度であるのがより好ましい。
さらに、接着フィルム4を構成する材料には、必要に応じて、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤のような硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、フィラー等の各種添加物が添加されていてもよい。これらの添加物の含有率は、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.05〜50質量部程度であるのが好ましく、0.1〜30質量部程度であるのがより好ましい。
ところで、本実施形態では、平面視において、光導波路1の先端面102(光入出射面)が、光コネクター5の対向面52よりも左側にずれている。なお、平面視とは、載置面501の法線方向からの平面視のことをいう。
上記を換言すれば、図2(b)に示すように、光導波路1の先端面102が、光コネクター5の対向面52よりも非対向面53とは反対側に突出しているといえる。これにより、前述したように、光導波路1の先端面102を接着フィルム4に対してめり込ませることができる。
また、それとともに、光コネクター5の載置面501に光導波路1を載置する際、接着剤6が光導波路1の先端面102に付着するのを抑制または防止することができる。すなわち、本実施形態では、先端面102が載置面501からはみ出すように、光コネクター5に対して光導波路1が配置されている。このため、先端面102と載置面501との間にはある程度の距離が確保される。これにより、載置面501と光導波路1との隙間に供給された接着剤6が広がるように流れたとしても、載置面501から離れて位置する先端面102にまで到達する確率は非常に小さくなる。その結果、接着剤6が先端面102に付着し難くなり、光導波路1とレンズ基板7との光結合効率が低下するのを抑制することができる。
なお、光導波路1の先端面102が光コネクター5の対向面52よりも左側に突出していることによって、この突出した部分が接着フィルム4にめり込むことになるが、このような構成は、接着フィルム4を光コネクター5に接着させた状態で、接着フィルム4の領域43にのみ、圧縮応力を付与することにつながる。かかる圧縮応力は、前述したように、圧縮応力が発生していないときに比べて熱膨張率の低下をもたらす。これにより、接着フィルム4を介して光コネクター5とレンズ基板7とを接着するという機能と、領域43の熱膨張率を抑えて空隙の発生を抑えるという効果と、を両立させることができる。
また、光導波路1の先端面102の突出長さL1は、3〜500μm程度であるのが好ましく、5〜300μm程度であるのがより好ましい。
一方、光導波路1の先端面102の突出長さL1は、接着フィルム4の最大厚さの0.1〜75%程度であるのが好ましく、0.5〜50%程度であるのがより好ましい。
突出長さL1を前記範囲内に設定することにより、接着フィルム4の領域43には、必要かつ十分な圧縮応力が残留することになる。このため、領域43の熱膨張率を十分に抑えることができ、温度変化があった場合でも、光導波路1とレンズ基板7との間に空隙が特に生じ難くなる。また、接着剤6が光導波路1の先端面102に付着する確率を十分に下げることができる。
なお、光導波路1の先端面102が光コネクター5の対向面52よりも左側にずれていることは、本発明において必ずしも必須の事項ではなく、先端面102は対向面52と揃っていてもよく、対向面52よりも右側にずれていてもよい。
(光配線部品)
図7は、本発明の光配線部品の第1実施形態を示す斜視図、図8(a)は、図7に示す部分をD方向から見たときの平面図、図8(b)は、図7のE−E線断面図である。なお、図7、8では、図1と同様の構成について同一符号を付している。
前述したように、図1に示す端面保護部材付き光配線部品100は、光配線部品10とレンズ基板7とを有するものである。したがって、図7、8に示す光配線部品10は、図1、2に示す端面保護部材付き光配線部品100からレンズ基板7を除いた部位に相当する。
また、図7、8に示す光配線部品10は、接着フィルム4に代えて、接着フィルム4の硬化前の状態に相当する接着フィルム40を備えている。かかる接着フィルム40は、硬化により接着性を発現するため、この接着フィルム40を介して任意の光学部品を接着することができる。その結果、接着フィルム40を介して、光導波路1と任意の光学部品を光学的に接続することができる。
なお、以下の説明では、図1〜4に基づいてすでに説明された構成については、一部、その説明を省略している。
図7、8に示す光配線部品10は、光導波路1と、光導波路1の端部に設けられた光コネクター5と、光コネクター5の対向面52に設けられた接着フィルム40と、を有しており、例えば、レンズ基板7のような光学部品との接着に供されることにより、光学部品を接着フィルム40に接着させ、接着体を組み立てることができる。
この接着フィルム40は、前述したように、例えば未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂で構成されたフィルムであり、硬化することによって接着性を発現するものである。
接着フィルム40の光導波路1の先端面102に接している部分の平均厚さは、特に限定されないが、50μm以下であるのが好ましく、3μm以上45μm以下であるのがより好ましく、5μm以上40μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、前述したのと同様の効果、例えば、光導波路1と任意の光学部品とを十分な接着力で接着することができ、かつ、接着フィルム40を硬化してなる接着フィルム4における伝送損失の増大を抑えることができる。
また、光コネクター5の対向面52に設けられた(貼り付けられた)接着フィルム40に対しては、光導波路1の先端面102がめり込んでいるのが好ましい。これにより、前述したのと同様の効果、例えば、接着フィルム40には圧縮応力が付与され、この部位においては硬化後も熱膨張率が抑えられる。その結果、接着フィルム40を硬化してなる接着フィルム4において、光導波路1が接している部分の熱膨張率を抑えることができ、温度変化が生じた場合でも光導波路1と任意の光学部品との間に空隙が生じるのを抑制することができる。
なお、光導波路1の先端面102は、必ずしも接着フィルム40にめり込んでいる必要はなく、例えば、単に接着フィルム40に接しているのみでもよい。
ここで、接着フィルム40に対して光導波路1の先端面102がめり込んでいるとき、接着フィルム40には、凹部420が形成される。
凹部420の深さは、接着フィルム40の厚さや接着フィルム40に対する光導波路1の押圧力等に応じて変わるものの、一例として、3〜500μm程度であるのが好ましく、5〜300μm程度であるのがより好ましい。
また、凹部420の深さは、接着フィルム40の最大厚さの0.1〜75%程度であるのが好ましく、0.5〜50%程度であるのがより好ましい。
凹部420の深さを前記範囲内に設定することにより、接着フィルム40には、必要かつ十分な圧縮応力が残留することとなる。このため、接着フィルム40の硬化後においても、光導波路1を押圧している領域の熱膨張率を十分に抑えることができ、温度変化があった場合でも、光導波路1と光学部品との間に空隙が特に生じ難くなる。
なお、接着フィルム40は、未硬化状態または半硬化状態(Bステージ状態)のフィルムであり、加熱されることによって一旦溶融し、その後、硬化する際に接着性が発現する。接着フィルム40が80℃に加熱されたときの溶融粘度は、700〜6000Pa・s程度であるのが好ましく、1000〜3000Pa・s程度であるのがより好ましい。加熱時の溶融粘度が前記範囲内であれば、接着フィルム40を光導波路1の先端面102やレンズ基板7の右端面に対して十分に追従させ、隙間なく接着させることができる。このため、接着界面に空隙が生じるのを抑制し、伝送損失の低減を図るとともに、接着力の低下を抑制することができる。
また、接着フィルム40の弾性率は、接着フィルム40の構成材料によって若干異なるものの、0.01〜10MPa程度であるのが好ましく、0.05〜5MPa程度であるのがより好ましく、0.1〜1MPa程度であるのがさらに好ましい。接着フィルム40の弾性率を前記範囲内に設定することにより、接着フィルム40は適度な柔軟性を有するものとなるため、接着フィルム40は、それに密着する部材との界面に隙間を生じ難くすることができる。その結果、界面における伝送損失の低減を図るとともに、接着力の低下を抑制することができる。
なお、接着フィルム40の弾性率は、JIS K 7244に規定された方法に準拠して25℃で測定された貯蔵せん断弾性率G’である。この際、測定装置には、動的粘弾性測定装置が用いられ、引張モード、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で、25℃から250℃まで昇温させながら測定される。
また、光配線部品10が接続される任意の光学部品は、図4に示すコネクター付き光ファイバー9であってもよい。すなわち、光配線部品10は、レンズ基板7を介することなく、コネクター付き光ファイバー9のような光学部品との接続に供されてもよい。
(端面保護部材付き光配線部品の製造方法)
次に、図1に示す端面保護部材付き光配線部品100の製造方法(本発明の端面保護部材付き光配線部品の製造方法の実施形態)について説明する。
図9は、本発明の端面保護部材付き光配線部品の製造方法の実施形態を説明するための図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図9の上方を「上」、下方を「下」という。
本実施形態に係る端面保護部材付き光配線部品100の製造方法は、光コネクター5の対向面52から光導波路1の先端面102が突出するように、載置面501に対して光導波路1を載置する工程と、レンズ基板7の表面に接着フィルム40を貼り付けた状態で、接着フィルム40が光コネクター5の対向面52および光導波路1の先端面102に接するようにレンズ基板7および接着フィルム40を配置する工程と、接着フィルム40を硬化させ、接着フィルム4を得る工程と、を有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、光導波路1と光コネクター5とを用意し、光コネクター5の載置面501に対して光導波路1を接着する。このとき、図9(a)に示すように、光コネクター5の対向面52を含む平面から左側へ向かって光導波路1の先端面102が突出するように、載置面501に対して光導波路1を載置する。
[2]次に、レンズ基板7の右端面7Rに接着フィルム40を貼り付けた組立体を用意する(図9(b)参照)。そして、接着フィルム40が光コネクター5の対向面52および光導波路1の先端面102に接するようにレンズ基板7および接着フィルム40を配置する。
この際、光コネクター5の対向面52に対して接着フィルム40が接すると、図9(c)に示すように、対向面52から突出している光導波路1の先端面102は、その突出長さの分だけ、接着フィルム40中にめり込むこととなる。硬化前の状態にある接着フィルム40は、十分な柔軟性を有しているため、その右端面40Rに光導波路1の先端面102がめり込んだとしても、接着フィルム40の左端面40Lの表面形状には影響が及び難い。その結果、レンズ基板7と接着フィルム40との接着状態を良好に維持することができる。
[3]次に、必要に応じて、接着フィルム40を硬化させる。これにより、接着フィルム40が硬化した接着フィルム4を介してレンズ基板7と光コネクター5とが接着され、端面保護部材付き光配線部品100が得られる。
接着フィルム40は、光硬化性のものでも、熱硬化性のものでもよい。
熱硬化性の場合、加熱条件は、接着フィルム40の構成材料に応じて適宜設定されるが、一例として80〜170℃程度、1〜240分程度とされる。
なお、本工程は、必要に応じて行えばよく、例えば、硬化させなくても十分な接着性を有する接着フィルム40を用いた場合には省略されてもよい。
以上のようにして、端面保護部材付き光配線部品100を効率よく製造することができる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の端面保護部材付き光配線部品の第2実施形態および本発明の光配線部品の第2実施形態について説明する。
図10(a)は、本発明の端面保護部材付き光配線部品の第2実施形態のうち、光コネクターの対向面についての平面図であり、図10(b)は、図10(a)の断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図10において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図10に示す光コネクター5の貫通孔50の上面は、非対向面53側に位置する載置面501aを含んでいる。この載置面501aには、接着剤6を介して光導波路1が接着されている。
また、貫通孔50の上面は、対向面52側に位置し、載置面501aを含む平面を図10の上方に凹没させてなる凹部501bを含んでいる。
さらに、載置面501aと凹部501bとの境界は段差を伴っており、その段差面503は、載置面501aおよび凹部501bに対してそれぞれ直交している。
本実施形態では、光コネクター5に対してこのような凹部501bが設けられることにより、貫通孔50の上面と光導波路1との間に、凹部501bの厚さに応じた隙間501cを生じさせる。このような隙間501cが設けられることにより、載置面501aと光導波路1との間を接着している接着剤6の一部が、隙間501cにもはみ出すことが可能になる。隙間501cの厚さは、載置面501aと光導波路1と隙間よりも厚いため、隙間501cでは、十分な量の接着剤6を溜めることができる。その結果、本実施形態では、接着剤6が光導波路1の先端面102にまで到達する確率をさらに下げることができる。
なお、凹部501bは、貫通孔50の上面に設けられていればよいが、好ましくは図10に示すように、光コネクター5の対向面52を含む平面内に露出するように設けられる。このような構造の光コネクター5は、例えば機械加工等によっても凹部501bを容易に形成し得るものになることから、製造が容易である。また、凹部501b内に接着剤6が溜まった場合、光や外気が当たる接着剤6の面積が増えるため、接着剤6の硬化反応が速やかに進み易いという利点もある。
凹部501bの長さL4、すなわち貫通孔50の開口同士を結ぶ方向における凹部501bの長さL4は、端面保護部材付き光配線部品100に使用する接着剤6の量や光導波路1と載置面501aとの隙間の厚さ等に応じて適宜調整されるものの、10〜200μm程度であるのが好ましく、30〜100μm程度であるのがより好ましい。長さL4を前記範囲内に設定することにより、光導波路1の先端面102の位置精度が低下するのを抑制しつつ、接着剤6が先端面102に至るまではみ出すのを抑制することができる。
また、光導波路1の幅W(コア部14の長手方向に直交する方向における長さ)に対する凹部501bの長さL4は、0.003〜0.1倍程度であるのが好ましく、0.01〜0.05倍程度であるのがより好ましい。これにより、光導波路1の先端面102が大きく変位しない程度に、凹部501bの長さが確保される。その結果、端面保護部材付き光配線部品100とコネクター付き光ファイバー9との光結合効率が大きく低下するのを防止しつつ、凹部501bを設けることによる効果を十分に享受することができる。
また、凹部501bの幅W2は、光導波路1の幅Wよりも狭くてもよいが、広く設定されるのが好ましい。これにより、光導波路1の幅方向の外側においても十分な厚さの隙間501cが配置されるので、接着剤6が光導波路1の先端面102にまで到達する確率をさらに下げることができる。
このとき、光導波路1の幅Wに対する凹部501bの幅W2は、1.01〜3倍程度であるのが好ましく、1.1〜2倍程度であるのがより好ましい。これにより、光コネクター5が著しく大型化するのを避けつつ、接着剤6のはみ出しの抑制および光導波路1の伝送効率の低下抑制をより確実に図ることができる。
また、凹部501bの凹没深さdは、接着剤6を貯留し得る量に影響するので、凹部501bの長さL4に応じて適宜設定されるものの、50〜1000μm程度であるのが好ましく、100〜500μm程度であるのがより好ましい。凹部501bの凹没深さdを前記範囲内に設定することで、凹部501bにおいて十分な量の接着剤6を貯留することができるので、接着剤6がよりはみ出し難くなるとともに、多量の接着剤6が溜まることによって光導波路1の先端面102の位置精度が低下するのを抑制することができる。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
<電子機器>
上述したような本発明の端面保護部材付き光配線部品および本発明の光配線部品は、前述したように、任意の光学部品と接続されたとき、光結合効率の低下が抑えられる。したがって、本発明の端面保護部材付き光配線部品または本発明の光配線部品を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
本発明の端面保護部材付き光配線部品または本発明の光配線部品を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の端面保護部材付き光配線部品または本発明の光配線部品を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、本発明の光配線部品、端面保護部材付き光配線部品、端面保護部材付き光配線部品の製造方法および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前記各実施形態では、光導波路の一端部に光コネクターが装着されているが、他端部にも同様の光コネクターが装着されていてもよく、これとは異なる光コネクターが装着されていてもよい。また、他端部には、光コネクターに代えて、各種の受発光素子が実装されていてもよい。
また、本発明の実施形態は、前記各実施形態のうち、任意の2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.光電気混載基板の製造
(実施例1)
(1)光導波路および光コネクターの準備
まず、ノルボルネン系樹脂で構成された、図5に示す光導波路を用意した。この光導波路の厚さは105μm、幅は3mmである。
一方、MTコネクター規格に準拠した光コネクターを用意した。
そして、エポキシ系接着剤を用いて、光コネクターの載置面に光導波路を接着した。
このとき、光コネクターの対向面を含む平面から光導波路の先端面を5μm突出させるようにした。
(2)光導波路と接着層付き端面保護フィルムの接着
厚み25μmのアクリル系接着フィルムを有する厚み50μmのハードコートフィルムをコネクターの端面外形形状に打ち抜き加工し、光導波路の先端面および光コネクターの対向面が接するようにして配置した。
このとき、光導波路の先端面は、半硬化の接着フィルムにめり込んでおり、図1に示す端面保護部材付き光配線部品を得た。
フィルムの厚さは25μmであり、光導波路がめり込むことにより形成された凹部の深さは5μmであった。よって、光導波路がめり込んでいる領域の接着フィルムの厚さは20μmであった。
(実施例2)
光導波路がめり込むことにより接着フィルムに形成された凹部の深さを10μmにした以外は、実施例1と同様にして端面保護部材付き光配線部品を得た。
(実施例3)
光導波路がめり込むことにより接着フィルムに形成された凹部の深さを20μmにした以外は、実施例1と同様にして端面保護部材付き光配線部品を得た。
(実施例4)
接着フィルムに対して光導波路がめり込まないようにした以外は、実施例1と同様にして端面保護部材付き光配線部品を得た。
(比較例1)
光導波路の先端面および光コネクターの対向面が接するようにして配置し、端面研磨を実施して導波路端面がコネクター対向面に対して面位置となる光配線部品を得た。
(比較例2)
接着フィルムに代えて液状のエポキシ系接着剤により光導波路および光コネクターと、ハードコートフィルムを接着するようにした以外は、実施例1と同様にして端面保護部材付き光配線部品を得た。
なお、光導波路を光コネクターの載置面に接着するときには、光コネクターの対向面と光導波路の先端面とが揃うようにした。
2.接着フィルムの評価
2.1 屈折率の評価
まず、各実施例で用いた接着フィルムについて、JIS K 7142に規定されたA法に準拠して屈折率を測定した。
その結果、各実施例で用いた接着フィルムは、いずれも屈折率がコア部の屈折率の94〜95%であった。
2.2 引張弾性率の評価
次に、各実施例で用いた接着ついて、動的粘弾性率を測定した。
測定の結果、各実施例で用いた接着フィルムは、いずれも動的弾性率が0.1〜0.2MPaであった。
3.端面保護部材付き光配線部品の評価
3.1 接着フィルムまたは接着剤層の厚さの均一性の評価
各実施例および比較例2で得られた端面保護部材付き光配線部品を切断し、接着フィルムまたは接着剤層の厚さの均一性を評価した。この厚さの均一性は、接着フィルムまたは接着剤層の切断面の一端における厚さと他端における厚さとの差(以下、「膜厚差」という。)を算出し、これを比較することによって評価した。
その結果、各実施例で得られた接着フィルムは、いずれも膜厚差が小さく、厚さの均一性が高いことが認められた。
一方、比較例2で得られた接着剤層は、各実施例で得られた接着フィルムに比べて膜厚差が大きく、厚さの均一性が低いことが認められた。
3.2 外観の評価
各実施例および比較例2で得られた端面保護部材付き光配線部品を拡大鏡で観察し、汚れの有無について評価した。
その結果、各実施例で得られた端面保護部材付き光配線部品には、ほとんど汚れが認められなかったものの、比較例2で得られた端面保護部材付き光配線部品には、ハードコートフィルムの側面付近に、接着剤のはみ出しに起因すると思われる汚れの付着が認められた。
3.3 光結合損失の評価
各実施例および比較例で得られた端面保護部材付き光配線部品について、ハードコートフィルムの端面(図2(b)の左端面に相当)と、光導波路の他面(図2(b)に図示していない右端面に相当)との間の挿入損失P1を測定した。
一方、組み立て前にあらかじめ測定しておいた光導波路の挿入損失をP0とすると、平板状基板と光導波路との間の光結合損失は、P1−P0で求められる。
そこで、各端面保護部材付き光配線部品について、光結合損失を求めた。
その結果、実施例1、2で得られた端面保護部材付き光配線部品では、光結合損失が1.5dBであり、コア間の値のバラつきは±0.2dB未満であった。
実施例3では、光結合損失が1.8dBであり、端面保護フィルム表面が盛り上がったような形状の多少の変形が見られた。
一方、比較例1で得られた端面保護部材無しの光配線部品では、光結合損失は平均1.3dBと低損失であったがコア間の値でバラつきが大きく、2dBを超えるコアも散見された。
また、比較例2で得られた端面保護部材付き光配線部品では、光結合損失が約2dBであった。
次に、各端面保護部材付き光配線部品を、温度サイクル試験(−10℃〜60℃、500サイクル)に供し、試験後の光結合損失を再び測定した。
その結果、実施例1、2で得られた端面保護部材付き光配線部品では、試験前後の損失変化量が0.5dB未満であった。
また、実施例4で得られた端面保護部材付き光配線部品では、試験前後の損失変化量が1dB程度であり、接着フィルムと導波路端面との間に局所的な剥離が見られた。
一方、比較例2で得られた端面保護部材付き光配線部品では、試験前後の損失変化量が約3dBであった。
以上のことから、本発明によれば、光導波路と、端面保護部材のような光学部品とを光学的に接続する際に接着フィルムを用いているため、接続界面における光結合損失を小さく抑えられることが認められた。
また、本発明によれば、温度サイクル試験のような過酷な温度変化を加えた場合でも、損失が著しく悪化することを抑制し得ることも認められた。