JP6558542B2 - 放電加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被加工物を放電加工する放電加工方法に関する。
インゴット等の被加工物からウェーハを切り出す場合には、ワイヤソー(マルチワイヤソー)と呼ばれる加工装置を用いるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。このワイヤソーは、複数のガイドローラーに巻き掛けられたワイヤを所定の方向に送りながら被加工物に切り込ませることで、薄いウェーハを切り出す。
一方、このようなワイヤソーを用いる加工方法では、ガイドローラーに巻き掛けられたワイヤに対して砥粒を分散させたスラリーを供給し続けなければならないので、工程が煩雑である。また、被加工物に対してワイヤが直に接触するので、工程中にワイヤが切れる可能性も高かった。
これらの問題に対し、近年では、加工液に浸漬した金属製のワイヤと被加工物との間で放電させてウェーハを非接触で切り出すワイヤ放電加工装置(マルチワイヤ放電加工装置)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このワイヤ放電加工装置は、例えば、ワイヤと被加工物との間にパルス電圧を印加し、ワイヤを所定の方向に送りながら被加工物に切り込ませるように動かすことで、ウェーハを非接触で切り出す。
ところで、上述のような放電加工で発生する加工屑がワイヤと被加工物との間に残留すると、続く放電でワイヤと被加工物とが短絡し、局所的な熱が発生してしまう。その結果、被加工物の加工精度は低下し、また、ワイヤも切れ易くなる。そこで、溝内に加工液の流れを発生させて加工屑を取り除く装置や方法等が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平9−94755号公報 特開2011−140088号公報 特開2012−240128号公報
ところが、細いワイヤを用いて幅の狭い溝を形成する場合には、溝内を加工液が流れ難くなり、上述の方法等では必ずしも加工屑を適切に排出できない。本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、幅の狭い溝が形成される場合等でも加工屑を適切に排出できる放電加工方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、導電性を有するワイヤが並列するように複数回巻き掛けられ、該ワイヤの走行に合わせて回転する複数のガイドローラーと、被加工物を固定する基台と、該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させることで、該ワイヤの並列する加工部を該基台に固定された被加工物に対して加工送りする加工送り機構と、被加工物及び該加工部を浸漬するための加工液が貯留される加工液槽と、該加工部と該基台との間に高周波パルス電圧を印可する高周波パルス電源ユニットと、各構成要素を制御する制御ユニットと、を備えたワイヤ放電加工装置を用いる放電加工方法であって、該高周波パルス電圧を印加しながら該ワイヤを走行させるとともに、該加工液に浸漬した該加工部を被加工物に対して加工送りすることで、被加工物に溝を形成する放電加工ステップと、該放電加工ステップの途中に実施され、被加工物に形成された該溝から加工屑を排出する加工屑排出ステップと、を備え、該加工屑排出ステップは、該ワイヤを走行させたまま該高周波パルス電圧の印加を停止し、該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させて該加工部と被加工物との間隔を狭めることで、該溝から該加工屑を排出する接近ステップと、該接近ステップを実施した後、該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させて該加工部と被加工物との間隔を広げ、該接近ステップを実施する直前の状態に戻す戻しステップと、を含むことを特徴とする放電加工方法が提供される。
本発明の一態様において、該接近ステップにおいて該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させる速度は、該放電加工ステップでの該加工送りの速度より速く設定されることが好ましい。
また、本発明の一態様において、該加工屑排出ステップは、該放電加工ステップの加工送り量又は被加工物の除去量が所定値に達した後に実施されることが好ましい。
本発明の一態様に係る放電加工方法は、ワイヤを走行させたまま高周波パルス電圧の印加を停止して加工部と被加工物との間隔を狭めることで、被加工物に形成された溝から加工屑を排出する接近ステップと、加工部と被加工物との間隔を広げ、接近ステップを実施する直前の状態に戻す戻しステップと、を含む加工屑排出ステップを備えるので、被加工物に接近させた加工部によって溝内をクリーニングできる。よって、幅の狭い溝が形成される場合等でも加工屑を適切に排出できる。
ワイヤ放電加工装置の構成例を模式的に示す図である。 放電加工ステップを模式的に示す斜視図である。 図3(A)は、放電加工ステップを模式的に示す平面図であり、図3(B)は、図3(A)の一部を拡大した拡大図である。 図4(A)は、加工屑排出ステップ中の接近ステップを模式的に示す平面図であり、図4(B)は、加工屑排出ステップ中の戻しステップを模式的に示す平面図である。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る放電加工方法は、放電加工ステップ(図2、図3(A)、図3(B)参照)及び加工屑排出ステップ(図4(A)、図4(B)参照)を含む。加工屑排出ステップは、放電加工ステップの途中で実施され、接近ステップ(図4(A)参照)及び戻しステップ(図4(B)参照)を更に含んでいる。
放電加工ステップでは、高周波パルス電圧を印加しながらワイヤを送り(走行させ)、また、加工液に浸漬したワイヤの加工部を被加工物に対して加工送りすることで、被加工物を放電加工して溝を形成する。加工屑排出ステップの接近ステップでは、ワイヤを送りながら(走行させたまま)高周波パルス電圧の印加を停止し、更に、加工部と被加工物との間隔を狭めることで、溝から加工屑を排出する。
加工屑排出ステップの戻しステップでは、加工部と被加工物との間隔を広げることで、加工部と被加工物との位置関係を接近ステップの直前の状態まで戻す。なお、この戻しステップの後には、再び放電加工ステップが遂行される。以下、本実施形態に係る放電加工方法について詳述する。
まず、本実施形態の放電加工方法に使用されるワイヤ放電加工装置の例を説明する。図1は、ワイヤ放電加工装置の構成例を模式的に示す図である。図1に示すように、ワイヤ放電加工装置(マルチワイヤ放電加工装置)2は、ワイヤ4が巻回された繰り出しボビン6を支持する円柱状の繰り出しローラー8を備えている。
繰り出しローラー8の上方には、巻き取りボビン10を支持する円柱状の巻き取りローラー12が配置されている。繰り出しボビン6から繰り出されたワイヤ4は、後述する放電加工に使用された後、巻き取りボビン10に巻き取られる。ワイヤ4は、例えば、直径が50μm〜200μm程度のピアノ線等を、黄銅やタングステン、モリブデン等の材料で被覆して形成されており、被加工物11の放電加工に必要な導電性を備えている。
繰り出しローラー8に隣接する位置には、繰り出しボビン6から繰り出されたワイヤ4を下流側に送る第1供給ローラー14、第2供給ローラー16、第3供給ローラー18、及び第4供給ローラー20が配置されている。また、第2供給ローラー16と第3供給ローラー18との間には、ワイヤ4の張力を調整する第1調整ローラー22が設けられている。
繰り出しボビン6から繰り出されたワイヤ4は、第1供給ローラー14、第2供給ローラー16、第1調整ローラー22、第3供給ローラー18、第4供給ローラー20の順に巻き掛けられて、下流側に送られる。
第4供給ローラー20の下方には、第4供給ローラー20から送られたワイヤ4を案内する円柱状の第1ガイドローラー24が配置されている。第4供給ローラー20から送られたワイヤ4は、第1ガイドローラー24に巻き掛けられて下方に案内される。この第1ガイドローラー24は、例えば、ワイヤ4の移動(走行)に合わせて回転する従動ローラーである。
第1ガイドローラー24の下方には、第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4を更に案内する円柱状の第2ガイドローラー26が配置されている。第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4は、第2ガイドローラー26に巻き掛けられて水平方向に案内される。この第2ガイドローラー26は、例えば、モーター等の回転駆動源に連結されワイヤ4を移動(走行)させる駆動ローラーである。
第2ガイドローラー26から水平方向に離れた位置には、第2ガイドローラー26で案内されたワイヤ4を更に案内する円柱状の第3ガイドローラー28が配置されている。第2ガイドローラー26で案内されたワイヤ4は、第3ガイドローラー28に巻き掛けられて上方に案内される。この第3ガイドローラー28は、例えば、ワイヤ4の移動(走行)に合わせて回転する従動ローラーである。また、第3ガイドローラー28によって上方に案内されたワイヤ4の一部は、被加工物11を加工する加工部4aとなる。
第3ガイドローラー28の上方には、第3ガイドローラー28で案内されたワイヤ4を更に案内する円柱状の第4ガイドローラー30が配置されている。第3ガイドローラー28で案内されたワイヤ4は、第4ガイドローラー30に巻き掛けられて水平方向に案内される。この第4ガイドローラー30は、例えば、モーター等の回転駆動源に連結されワイヤ4を移動(走行)させる駆動ローラーである。
第4ガイドローラー30で案内されたワイヤ4は、第1ガイドローラー24に再び巻き掛けられて第2ガイドローラー26に案内される。上述のように、第1ガイドローラー24には、既にワイヤ4が巻き掛けられているので、ここでは、第1ガイドローラー24の別の位置にワイヤ4が巻き掛けられる。具体的には、既に巻き掛けられているワイヤ4に対して第1ガイドローラー24の回転軸方向に所定の間隔をあけてワイヤ4が再度巻き掛けられる。
同様に、第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4は、第2ガイドローラー26に再び巻き掛けられて第3ガイドローラー28に案内される。また、第2ガイドローラー26で案内されたワイヤ4は、第3ガイドローラー28に再び巻き掛けられて第4ガイドローラー30に案内される。更に、第3ガイドローラー28で案内されたワイヤ4は、第4ガイドローラー30に再び巻き掛けられて第1ガイドローラー24に案内される。
第2ガイドローラー26、第3ガイドローラー28、及び第4ガイドローラー30にも既にワイヤ4が巻き掛けられているので、ここでも、第2ガイドローラー26、第3ガイドローラー28、又は第4ガイドローラー30の回転軸方向に所定の間隔をあけてワイヤ4が再度巻き掛けられる。第4ガイドローラー30で案内されたワイヤ4は、第1ガイドローラー24に更に巻き掛けられて第2ガイドローラー26に案内される。
このように、第1ガイドローラー24、第2ガイドローラー26、第3ガイドローラー28、及び第4ガイドローラー30(以下、ガイドローラー群)には、回転軸方向に所定の間隔をあけてワイヤ4が複数回巻き掛けられる。これにより、第3ガイドローラー28と第4ガイドローラー30との間には複数の加工部4aが並列されて、被加工物11から複数のウェーハを一度に切り出すことができる。
第3ガイドローラー28及び第4ガイドローラー30に巻き掛けられるワイヤ4の回転軸方向の間隔(すなわち、隣接する加工部4aの間隔)は、切り出されるウェーハの厚みに対応し、例えば、0.5mm〜1mmに設定される。ただし、ワイヤ4の回転軸方向の間隔(隣接する加工部4aの間隔)は、ウェーハの仕様等に応じて任意に変更できる。同様に、ワイヤ4を巻き掛ける回数は、被加工物11やウェーハの仕様等に応じて任意に設定される。
巻き取りローラー12に隣接する位置には、加工に使用されたワイヤ4を下流側に送る第5供給ローラー32、第6供給ローラー34、及び第7供給ローラー36が配置されている。また、第6供給ローラー34と第7供給ローラー36との間には、ワイヤ4の張力を調整する第2調整ローラー38が設けられている。
上述のようにガイドローラー群に複数回巻き掛けられたワイヤ4は、第1ガイドローラー24で鉛直方向に案内される。第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4は、第5供給ローラー32、第6供給ローラー34、第2調整ローラー38、第7供給ローラー36の順に巻き掛けられて、巻き取りボビン10で巻き取られる。
上述のように、第2ガイドローラー26及び第4ガイドローラー30には、モーター等の回転駆動源が連結されている。この回転駆動源で、第2ガイドローラー26及び第4ガイドローラー30を回転させれば、ワイヤ4は、所定の送り方向(走行方法)に送られる(走行する)。なお、回転駆動源は、例えば、繰り出しローラー8、巻き取りローラー12、第1調整ローラー22、第2調整ローラー38等に連結されていても良い。
加工部4aの側方には、被加工物11を固定する基台40が配置されている。基台40は、アーム状の本体42と、本体42の一端部に装着される固定部材44とを含む。被加工物11は、例えば、シリコンやSiC、ダイヤモンド(単結晶ダイヤモンド)等の材料で円柱状に形成されたインゴットであり、ワイヤ4(加工部4a)の送り方向に対して被加工物11の高さ方向(円柱の高さ方向、代表的には、結晶成長方向)が垂直になるように、導電性接着剤や半田等で固定部材44に接着される。ただし、被加工物11の種類等に特段の制限はない。
本体42の他端部には、基台40を水平方向に移動(加工送り)させる加工送り機構(加工送り手段)46が連結されている。この加工送り機構46で、基台40(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)とを相対的に移動(加工送り)させることで、被加工物11に対してワイヤ4の加工部4aを切り込ませるように動かすことができる。
本体42には、放電加工用の高周波パルス電圧を発生する高周波パルス電源ユニット48の第1端子が接続されている。一方、第1ガイドローラー24と第4ガイドローラー30との間には、高周波パルス電源ユニット48の第2端子に接続された給電ローラー50が配置されている。この給電ローラー50は、第1ガイドローラー24と第4ガイドローラー30との間でワイヤ4に接触している。すなわち、ワイヤ4(加工部4a)には、高周波パルス電源ユニット50の第2端子が電気的に接続されている。
高周波パルス電源ユニット48は、例えば、高周波パルス電圧の発生を制御し、パルス幅や繰り返し周波数を調整するパルス調整部48aと、電圧を調整する電圧調整部48bと、を含んでいる。この高周波パルス電源ユニット48により、放電加工に必要なパルス電圧を発生できる。
第1端子に接続される基台40の本体42及び固定部材44は、例えば、カーボン、金属等の導電性材料(導電材)で構成され、被加工物11は、導電性接着剤や半田等で固定部材44に接着されている。また、給電ローラー50を介して第2端子に接続されるワイヤ4は、導電性を備えている。そのため、高周波パルス電源ユニット48で発生した高周波パルス電圧は、ワイヤ4(加工部4a)と被加工物11との間に印加される。
第2ガイドローラー26及び第3ガイドローラー28を囲む位置には、加工液槽52が配置されている。加工液槽52の内部には、純水等の加工液54が貯留されており、少なくとも、ワイヤ4の加工部4a、被加工物11、及び基台40の一部が加工液54に浸漬している。
また、第2ガイドローラー26及び第4ガイドローラー30を回転させる回転駆動源、加工送り機構46、高周波パルス電源ユニット48等の各構成要素には、制御ユニット(制御手段)56が接続されている。この制御ユニット56は、例えば、あらかじめ設定される放電加工条件等に基づいて、上述した各構成要素の動作等を制御する。
次に、上述したワイヤ放電加工装置2を用いる被加工物11の放電加工方法について説明する。本実施形態に係る放電加工方法では、高周波パルス電圧を印加しながらワイヤ4を送り(走行させ)、更に、加工液54に浸漬したワイヤ4の加工部4aを被加工物11に対して加工送りする放電加工ステップによって被加工物11を放電加工する。
図2は、放電加工ステップを模式的に示す斜視図であり、図3(A)は、放電加工ステップを模式的に示す平面図であり、図3(B)は、図3(A)の一部を拡大した拡大図である。この放電加工ステップでは、まず、高周波パルス電源ユニット48でワイヤ4(加工部4a)と基台40(被加工物11)との間に高周波パルス電圧を印加する。また、ガイドローラー群等を回転させて、図2に示すように、ワイヤ4を所定の送り方向(走行方向)に送る(走行させる)。
次に、ワイヤ4(加工部4a)が被加工物11に切り込むように、移動機構46で被加工物11を水平方向に移動(加工送り)させる。つまり、基台40(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)とを相対的に移動させることで、ワイヤ4の加工部4aを被加工物11に対して加工送りする。加工液54中で絶縁状態にある被加工物11とワイヤ4の加工部4aとが十分に近づくと、加工液54による絶縁が破壊されて、被加工物11と加工部4aとの間で放電が生じる。
その結果、放電に伴う熱で被加工物11の加工部4aに近接する部分が溶融される。また、加工液54の温度が急激に上昇して沸騰し、体積が膨張して被加工物11の溶融した部分を飛散(拡散)させる。このように、ワイヤ4(加工部4a)と基台40(被加工物11)との間に高周波パルス電圧を供給しながら加工送りすることで、被加工物11に対する加工部4aの移動経路に応じた溝11aを形成できる(図3(A)、図3(B))。
なお、この放電加工ステップでは、基台40(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)との相対的な移動の速度(加工送り速度)を、例えば、0.5μm/秒〜2μm/秒、代表的には、1μm/秒に設定する。基台40とガイドローラー群との相対的な移動(加工送り)は、被加工物11が完全に切断されるまで続けられる。以上により、被加工物11から複数のウェーハを同時に切り出すことができる。
このように実施される放電加工ステップでは、図3(B)に示すように、被加工物11から発生する加工屑11bが溝11a内に滞留し易い。加工屑11bを溝11a内に放置すると、被加工物11の加工精度が低下したり、ワイヤ4が切れ易くなったりする。そこで、本実施形態に係る放電加工方法では、放電加工ステップの途中に、溝11aから加工屑11bを排出する加工屑排出ステップを実施する。
加工屑排出ステップは、例えば、ワイヤ4の加工部4aと被加工物11との間隔を狭める接近ステップと、ワイヤ4の加工部4aと被加工物11との間隔を元に戻す戻しステップと、によって構成される。図4(A)は、加工屑排出ステップ中の接近ステップを模式的に示す平面図であり、図4(B)は、加工屑排出ステップ中の戻しステップを模式的に示す平面図である。
まず、ワイヤ4の加工部4aと被加工物11との間隔を狭める接近ステップを実施する。この接近ステップでは、ワイヤ4を送りながら(走行させたまま)高周波パルス電圧の印加を停止し、更に、移動機構46で被加工物11を水平方向に移動させる。被加工物11を移動させる方向は、図4(A)に示すように、加工部4aと被加工物11との間隔が狭くなる方向である。つまり、基台40(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)とを相対的に移動させることで、ワイヤ4の加工部4aを被加工物11に対して接近させる。
このように、ワイヤ4を送りながら(走行させたまま)、加工部4aと被加工物11との間隔を狭めることで、ワイヤ4の送りによって生じる加工液54の流れを溝11aの壁面にまで強く作用させることができる。よって、この加工液54の流れにより、溝11a内の加工屑11bを溝11a外に排出して除去できる。
ここで、最も接近した状態の加工部4aと被加工物11との間隔D1は、例えば、0mm〜0.02mmの範囲で設定される。すなわち、接近ステップでは、被加工物11に対して加工部4aを接触させても良い。ただし、その場合には、被加工物11との接触でワイヤ4が切断されないように制御する必要がある。
また、この接近ステップでは、ワイヤ4の送り速度(走行速度)を200mm/秒以上に設定することが望ましい。これにより、加工屑11bの排出に適した加工液54の流れを形成できる。
更に、基台4(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)との相対的な移動の速度(接近速度)は、例えば、1mm/秒〜7mm/秒、好ましくは、3mm/秒〜5mm/秒とする。すなわち、接近ステップの接近速度は、放電加工ステップの加工送り速度より十分に速く設定される。これにより、溝11a内の加工液54を素早く振動させて、加工屑11bの排出を促進させることができる。
なお、基台4(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)との相対的な移動の距離は、接近ステップを実施する直前の加工部4aと被加工物11との間隔D0(図4(B)参照)、最も接近した状態の加工部4aと被加工物11との間隔D1とによって決まるが、代表的には、0.005mm〜0.4mm程度である。
上述した接近ステップの後には、ワイヤ4の加工部4aと被加工物11との間隔を広げる(元に戻す)戻しステップを実施する。この戻しステップでも、高周波パルス電圧の印加を停止したまま、移動機構46で被加工物11を水平方向に移動させる。被加工物11を移動させる方向は、図4(B)に示すように、加工部4aと被加工物11との間隔が拡がる方向である。
つまり、基台40(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)とを相対的に移動させることで、ワイヤ4の加工部4aを被加工物11に対して遠ざける。加工部4aと被加工物11との間隔が接近ステップを実施する直前の間隔D0まで戻ると、戻しステップは終了する。
なお、この戻しステップは、ワイヤ4を送りながら(走行させながら)実施されることが望ましい。この場合、ワイヤ4の送り速度(走行速度)は、接近ステップと同じ(例えば、200mm/秒以上)で良い。これにより、戻しステップでも、加工屑11bの排出に適した加工液54の流れを形成できる。
同様に、基台4(被加工物11)とガイドローラー群(ワイヤ4)との相対的な移動の速度(離脱速度)も、例えば、1mm/秒〜7mm/秒、好ましくは、3mm/秒〜5mm/秒とする。すなわち、戻しステップの離脱速度も、放電加工ステップの加工送り速度より十分に速く設定される。これにより、溝11a内の加工液54を素早く振動させて、加工屑11bの排出を促進させることができる。
戻しステップの終了後(すなわち、加工屑排出ステップの終了後)には、再び放電加工ステップが継続される。ここで、加工屑排出ステップを実施するタイミングに制限はないが、例えば、放電加工ステップの加工送り量(加工送りの距離)や、被加工物11の除去量(放電加工で除去される被加工物11の質量又は体積)等に基づいて加工屑排出ステップを実施すると良い。この場合、生産性を高く維持しながら加工屑11bの滞留を防ぐことができる。
具体的には、例えば、放電加工ステップの加工送り量や被加工物11の除去量が所定の基準値(所定値)に達した後に加工屑排出ステップを実施する。放電加工ステップの加工送り量を基準とする場合には、例えば、0.1mm〜1mm程度の加工送り量を基準値として設定する。ただし、この基準値は、任意に設定、変更できる。
以上のように、本実施形態に係る放電加工方法は、ワイヤ4を走行させたまま高周波パルス電圧の印加を停止して加工部4aと被加工物11との間隔を狭めることで、被加工物11に形成された溝11aから加工屑11bを排出する接近ステップと、加工部4aと被加工物11との間隔を広げ、接近ステップを実施する直前の状態に戻す戻しステップと、を含む加工屑排出ステップを備えるので、被加工物11に接近させた加工部4aによって溝11a内をクリーニングできる。よって、幅の狭い溝11aが形成される場合等でも加工屑11bを適切に排出できる。
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、接近ステップ及び戻しステップを1回ずつ実施する加工屑排出ステップについて説明しているが、本発明に係る加工屑排出ステップでは、接近ステップ及び戻しステップを複数回繰り返すこともできる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
2 ワイヤ放電加工装置(マルチワイヤ放電加工装置)
4 ワイヤ
4a 加工部
6 繰り出しボビン
8 繰り出しローラー
10 巻き取りボビン
12 巻き取りローラー
14 第1供給ローラー
16 第2供給ローラー
18 第3供給ローラー
20 第4供給ローラー
22 第1調整ローラー
24 第1ガイドローラー(ガイドローラー群)
26 第2ガイドローラー(ガイドローラー群)
28 第3ガイドローラー(ガイドローラー群)
30 第4ガイドローラー(ガイドローラー群)
32 第5供給ローラー
34 第6供給ローラー
36 第7供給ローラー
38 第2調整ローラー
40 基台
42 本体
44 固定部材
46 加工送り機構(加工送り手段)
48 高周波パルス電源ユニット
48a パルス調整部
48b 電圧調整部
50 給電ローラー
52 加工液槽
54 加工液
56 制御ユニット(制御手段)
11 被加工物
11a 溝
11b 加工屑

Claims (3)

  1. 導電性を有するワイヤが並列するように複数回巻き掛けられ、該ワイヤの走行に合わせて回転する複数のガイドローラーと、
    被加工物を固定する基台と、
    該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させることで、該ワイヤの並列する加工部を該基台に固定された被加工物に対して加工送りする加工送り機構と、
    被加工物及び該加工部を浸漬するための加工液が貯留される加工液槽と、
    該加工部と該基台との間に高周波パルス電圧を印可する高周波パルス電源ユニットと、
    各構成要素を制御する制御ユニットと、を備えたワイヤ放電加工装置を用いる放電加工方法であって、
    該高周波パルス電圧を印加しながら該ワイヤを走行させるとともに、該加工液に浸漬した該加工部を被加工物に対して加工送りすることで、被加工物に溝を形成する放電加工ステップと、
    該放電加工ステップの途中に実施され、被加工物に形成された該溝から加工屑を排出する加工屑排出ステップと、を備え、
    該加工屑排出ステップは、
    該ワイヤを走行させたまま該高周波パルス電圧の印加を停止し、該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させて該加工部と被加工物との間隔を狭めることで、該溝から該加工屑を排出する接近ステップと、
    該接近ステップを実施した後、該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させて該加工部と被加工物との間隔を広げ、該接近ステップを実施する直前の状態に戻す戻しステップと、を備えることを特徴とする放電加工方法。
  2. 該接近ステップにおいて該基台と該複数のガイドローラーとを相対的に移動させる速度は、該放電加工ステップでの該加工送りの速度より速く設定されることを特徴とする請求項1記載の放電加工方法。
  3. 該加工屑排出ステップは、該放電加工ステップの加工送り量又は被加工物の除去量が所定値に達した後に実施されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電加工方法。
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