JP6555528B2 - エンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体及びその製造方法、これを配合した皮膚外用製剤及び経口投与用製剤、並びにエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法 - Google Patents

エンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体及びその製造方法、これを配合した皮膚外用製剤及び経口投与用製剤、並びにエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、エンドトキシンやサイトカインの吸着除去に適した吸着体、およびこれを配合した皮膚外用製剤及び経口投与用製剤に関する。
エンドトキシン(内毒素)は、主としてグラム陰性菌に由来するリポ多糖であり、血液中で発熱、血圧低下、血管内凝固、ハーゲマン因子の活性化など種々の生物学的作用を示すことが知られている。特に臨床の場では、例えば外科手術後に患者血液中に混入したエンドトキシンによって重篤な悪性の症状を誘発することが知られている。
エンドトキシンの生物学的作用は、補体の活性化を除いて、ほとんどはサイトカインが介在している。サイトカインは、免疫系による感染症への防御反応として産生されるが、サイトカインが過剰産生され、それが過剰なレベルになると気道閉塞や多臓器不全を引き起こすとされている。
このように人体に及ぼす影響が大きいエンドトキシンやサイトカインを除去する技術として、エンドトキシンの吸着材(例えば、特許文献1〜3)、サイトカインの吸着材(例えば、特許文献4,5)が報告されている。
特表2012−515577号公報 特表2013−534438号公報 特許第5180830号公報 特開2009−125265号公報 国際公開第2003/055545号パンフレット
しかしながら、上記従来のエンドトキシンやサイトカインの吸着材は、ポリマーベースの吸着材であり、ポリマーベースの吸着材の場合、生産プロセス、吸着に用いられるリガンドの固定化といった複雑な工程が含まれており、その製造が困難であるものが多いという問題もある。また、上記従来のエンドトキシンやサイトカインの吸着材は、エンドトキシン、サイトカインの片方を吸着する吸着材であり、エンドトキシン、サイトカインの両方を効果的に吸着除去できるものではない。
かかる状況下、本発明はエンドトキシンやサイトカインの吸着除去に適した無機系吸着体、及びその応用品の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物を含有するエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体。
<2> 当該吸着体に含まれるゼオライトの割合が、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、10〜90重量%である<1>に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体。
<3> 前記<1>または<2>に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体の製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含む、製造方法。
工程(1):
ゼオライト及びアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程
工程(2):
2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解し、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を調製する工程
工程(3):
前記原料(A)と前記原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が結合したイオン吸着材を含むスラリーを得る工程
<4> 前記<1>または<2>に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体を配合した皮膚外用製剤。
<5> 前記<1>または<2>に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体を配合した経口投与用製剤。
<6> 前記<1>または<2>に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体を、エンドトキシン及び/又はサイトカインを含有する被処理液体に接触させることにより、前記被処理液体からエンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去するエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法。
<7> 被処理液体が、エンドトキシン及び/又はサイトカインで汚染された生体液である<6>に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法。
本発明のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体によれば、液体中から効率的にエンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去できる。また、本発明の吸着体を配合した皮膚外用製剤、経口投与用製剤によれば、ヒトや動物の皮膚、体内のエンドトキシンやサイトカインを吸着除去できる。
参考用試料1(ゼオライト)のXRDパターンである。 参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)のXRDパターンである。 実施例1の吸着体(複合化組成物)のXRDパターンである。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明は、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物を含有するエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体(以下、「本発明の吸着体」と記載する場合がある。)に関する。
本発明の吸着体が含有するゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物(以下、「本発明の複合組成物」または、単に「複合組成物」と記載する場合がある。)は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物とが互いに接触し、単純な篩分けなどでは分離しないように複合化した構造を有する複合組成物である。具体的には、ゼオライトをハイドロタルサイト様化合物が被覆した構造を有する複合組成物や、ゼオライトをハイドロタルサイト様化合物で結合した構造を有する複合組成物などの複合構造が挙げられる。複合組成物の構造は、X線回折法(XRD)や電子顕微鏡で観察することで確認することができる。
本発明の吸着体が含有する複合組成物を構成するゼオライトに由来する陽イオン交換作用と、ハイドロタルサイト様化合物に由来する陰イオン交換作用により、液相中のイオンと置換することで陽イオン及び陰イオンの両方を吸着する性質を有する。
本発明の特徴のひとつは、本発明の複合組成物にエンドトキシン及びサイトカインに対する優れた吸着性を見出し、本発明の複合組成物をエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着用途に使用することにある。なお、本発明の複合組成物は、ゼオライト又はハイドロタルサイト様化合物を単独で使用した場合よりも、複合化によってより優れた吸着性を有する。
また、本発明の吸着体は、エンドトキシンやサイトカインの吸着性に優れると共に、無機系材料で構成されるため、有機系材料からなるポリマー系吸着体と比較して、安定性が高く、長期間の使用に耐えうる、という利点もある。
本発明の複合組成物が、なぜエンドトキシン及びサイトカインに対する優れた吸着性を有するかについての詳細な理由、メカニズムについては、現段階では完全に明らかではないが、以下のように推測される。
エンドトキシン及びサイトカインは負に帯電するため、イオン吸着性を有する本発明の複合組成物に吸着される性質がある。そして、さらに複合組成物を構成するゼオライトやハイドロタルサイト様化合物は、詳しくは後述するようにnmオーダーの微細孔や層状構造を有する。そのため、ゼオライトの微細孔やハイドロタルサイト様化合物の層間にエンドトキシン及びサイトカインが取り込まれていることが推測される。
本発明の吸着体は、複合組成物のみから構成されていてもよいし、必要に応じて他の成分を混合させて用いてもよい。
以下、本発明の吸着体による除去対象であるエンドトキシン及びサイトカインについて説明する。
エンドトキシンは、グラム陰性菌の細胞壁中のリポ多糖(LPS)であり、細胞溶解によって遊離される。実際には、グラム陰性菌の外膜の最も一般的な脂質成分のリポ多糖体である。発熱性物質であるエンドトキシンは、体内に入り込むと、強い炎症反応と発熱などの原因となり、より重篤な場合では敗血症を引き起こすことがある。なお、エンドトキシンの生物学的作用は、補体の活性化を除いて、ほとんどはサイトカインが介在している。
サイトカインは、感染などの刺激により各種の細胞によって産生され細胞外に放出されて作用する一群のタンパク質である。サイトカインは、生体内で過剰に産生されることにより各種炎症性疾患に関与する。そして、特に、全身性炎症反応症候群を引き起こす原因として、インターロイキンや腫瘍壊死因子やインターフェロン類が知られている。
本発明の吸着体の好適な処理対象として、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、トランスフォーミング・グロウス・ファクター・ベータ(TGF−β)、血管新生増殖因子(VEGF)、免疫抑制酸性蛋白(IAP)なる群から選ばれる少なくとも1種のサイトカインが挙げられる。この中でも、IL−8が好適な処理対象のひとつである。
次に本発明の吸着体が含有する複合組成物の構成成分について詳細に説明する。
(ゼオライト)
ゼオライトは、結晶中に0.4nm〜2nm程度の微細孔を持つ結晶性アルミノケイ酸塩の総称であり、Si−O四面体とAl−O四面体とが頂点のO原子を共有した三次元ネットワーク構造をもつ複合酸化物であり、その内部に含まれる交換性の陽イオン(Na+やK+)とイオン交換することで、陽イオンを吸着する。
ゼオライトとしては、ZSM−5型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、L型ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどが挙げられ、いずれも使用できる。また、クリノブチライト、モルデナイトや合成ゼオライト等のゼオライト様化合物も、ゼオライトと同等の機能を有するものとして、本発明におけるゼオライトして使用できるものとする。
ゼオライトの種類は、本発明の吸着体の処理対象(エンドトキシン及びサイトカインの種類)や使用用途を考慮して適宜選択すればよい。
なお、本発明の吸着体を、医療用途へ使用する場合には、ゼオライトには有害な不純物ができる限り少ない方が好ましい。例えば、高純度のシリカ源、アルミナ源、塩基性塩を原料とした合成ゼオライトは、本発明の吸着体に使用されるゼオライトとして好適である。これらのゼオライト原料については、本発明の吸着体の製造方法と併せて後述する。また、本発明の吸着体として、試薬グレードの合成ゼオライトを使用してもよい。
一方で、本発明の吸着体を、医療用途以外の用途、例えば、廃液中のエンドトキシンやサイトカインの除去等に使用する場合には、不純物が含有されていてもよく、より低コストなゼオライトを使用すればよい。
(ハイドロタルサイト様化合物)
本発明において、ハイドロタルサイト様化合物は、下記一般式(I)で表される化合物を意味する。
[M2+ 1-x3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O]・・・・・・・(I)
なお、式(I)で表される化合物において、M2+とM3+は2価及び3価の金属イオンであり、An- x/nは層間陰イオンを表す。また。xは、0.20〜0.33の範囲の数値である。
また、[An- x/n・mH2O]におけるmは0以上の数値であり、脱水状態によって大きく変化する。
ハイドロタルサイト様化合物は、[M2+ 1-x3+ x(OH)2]で表されるシート状の水酸化物が幾層も重なった層状構造を有し、その層間には、交換性の陰イオン(An- x/n)と水(H2O)が保持された構造を有する。なお、静電的なバランスは、層間に陰イオンが取り込まれることによって保たれていて、層間の陰イオン同士の隙間には水分子(層間水)が存在する。
ハイドロタルサイト様化合物はシートの積み重なり方によって、菱面体晶系と六方晶系のポリタイプがあり、本発明の複合組成物ではいずれでもよい。
ハイドロタルサイト様化合物は、その層間に含まれる陰イオンと、イオン交換することで、陰イオンを吸着する。
ハイドロタルサイト様化合物の種類は、本発明の吸着体の処理対象(エンドトキシン及びサイトカインの種類)を考慮して適宜選択すればよい。
シート状の水酸化物を構成する2価の金属イオン(M2+)としては、Mg2+、Ca2+、Mn2+又はCu2+等が挙げられる。また、3価の金属イオン(M3+)としては、Al3+、Fe3+又はTi3+等が挙げられる。また、層間陰イオン(An- x/n)としては、Cl-、CO3 2-、SO4 2-などが挙げられる。
本発明の複合組成物におけるハイドロタルサイト様化合物の合成方法については、後述する製造方法にて説明する。
(複合組成物の組成)
本発明の複合組成物のゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の割合は、それぞれが均質な組成物を形成できる範囲であればよく、使用目的に応じて選択すればよい。例えば、処理対象における、陽イオン含有量が多い場合はゼオライトの割合を大きくし、陰イオン含有量が多い場合はハイドロタルサイト様化合物の割合を多くすればよい。
本発明の複合組成物に含まれるゼオライトの重量割合は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、通常、0.01〜99.9重量%であり、好適には10〜90重量%であり、より好適には30〜70重量%である。
<複合組成物の製造方法>
本発明の複合組成物は、以下に説明する製造方法(以下、「本発明の複合組成物の製造方法」又は単に「本発明の製造方法」と称す。)で製造されることが好適である。
以下、本発明の複合組成物の製造方法について説明する。
本発明の複合組成物の製造方法は、下記工程を有することを特徴とする。
工程(1):
ゼオライト及びアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程
工程(2):
2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解し、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を調製する工程
工程(3):
前記原料(A)と前記原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を含むスラリーを得る工程
本発明の製造方法の特徴のひとつは、工程(3)において、前駆体を含む原料(B)からハイドロタルサイト様化合物を合成する際に必要となるアルカリ成分を、ゼオライトを含むアルカリ原料(A)として添加することにある。このようにすることで、ゼオライトと、合成されるハイドロタルサイト様化合物とが均等に分散した微細粒子を含むスラリーが得られる。このスラリーから通常、溶媒を留去して、イオン交換剤として用いられる。
このような本発明の複合組成物の製造方法では、複合組成物を合成する段階において陽イオン交換性を有するゼオライトと陰イオン交換性を有するハイドロタルサイト様化合物が混合され、両者が結合しているため、合成後のハイドロタルサイト様化合物にゼオライト粉末を混合する場合と比較して、エンドトキシン及びサイトカインに対する優れた吸着能を有する複合組成物を再現性良く安定的に製造することができる。
以下、本発明の複合組成物の製造方法における各工程をより詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、ゼオライトとアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程である。
ゼオライトの物性等は、上述の通りであるため、説明を省略する。
原料(A)としては、ゼオライト及びアルカリ溶液を含有していればよく、ゼオライトがアルカリ溶液に分散した溶液あるいはスラリー、顆粒状のゼオライトにアルカリ溶液を含有させたもの等いかなる形態でもよい。
原料(A)におけるゼオライトとアルカリ溶液の割合は、本発明の複合組成物におけるゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の比率を考慮し、かつ、工程(3)において原料(A)と原料(B)とが、短時間に均等にできる範囲で決定される。
また、原料(A)は、アルカリ性、すなわちpH7超を必須とし、pH11以上が好ましい。原料(A)のpHが7未満であると、工程(3)において、原料(B)と混合した際に混合溶液が所定のpHとならず、ハイドロタルサイト様化合物が形成されない。
原料(A)におけるアルカリ溶液の溶媒は、水又は水を主体とする溶媒である。当該溶媒の水の割合は、50重量%以上、好ましくは80重量%以上(100重量%含む)である。水以外の溶媒としては、揮発性を高めるために、エタノールなどが挙げられる。
原料(A)に含まれるゼオライトは、天然のゼオライトでもよく、合成したゼオライトでもよく、水又は水を主体とする溶媒に塩基性塩と共に添加して、アルカリ性の原料(A)を調製する。
なお、皮膚外用製剤や経口投与用製剤等の医療用途に使用する場合を考慮すると、不純物の少ない合成ゼオライトを使用することも好ましい。例えば、市販の試薬グレードの合成ゼオライトは好適例の一つである。
また、原料(A)の調整方法として、シリカ源、アルミナ源、塩基性塩を含む溶液を加熱処理してゼオライトを合成することによって原料(A)を調製すると、ゼオライトの分散性が高くなることに加え、合成時に使用した塩基性塩によりアルカリ性となるため、別途塩基性塩を添加する必要がないという利点がある。
ゼオライト合成に用いられるシリカ源、アルミナ源、及び塩基性塩は、本発明の複合組成物として機能する陽イオン吸着性を有するゼオライトが合成できるものであればよく、特に制限はない。
具体的には、ゼオライト合成に好ましく用いられるシリカ源として、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩等が挙げられる。また、シリカガラスをシリカ源として使用してもよい。
また、アルミナ源として、例えば、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。塩基性塩として、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
医療用途に使用する場合を考慮すると、安全面の観点からもシリカ源、アルミナ源、塩基性塩として用いる原料は、できる限り純度が高いことが好ましい。
シリカ源、アルミナ源及び塩基性塩を、目的とする種類のゼオライトが形成される割合で混合し、加熱処理を行うことで、目的とする種類のゼオライトを形成する。加熱方法は特に限定はないが、例えば、水熱処理またはマイクロ波による加熱処理を挙げることができる。
低コストに単一骨格を有するゼオライトを再現性良く形成できる点で、特開2012−41251号公報で開示された製造方法により、合成されたゼオライトは好適例の一つである。当該方法では、100℃以下の低温で目的とするゼオライトが合成でき、かつ、合成後の溶液はアルカリ性であるため、合成後の溶液を原料(A)として用いることができる。
なお、原料(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼオライト以外の成分を任意の割合で含有していてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調製剤などが挙げられる。
原料(A)の各成分を混合するときの温度は、通常は室温でよいが、性能を損なわない範囲で、40〜100℃程度に加温してもよい。
混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、原料(A)の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体として、2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解した原料(B)を調製する工程である。
3価金属(M3+)を含む可溶性塩としては、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体となりうる化合物であればよい。好ましくは、Al、Fe及びTiのいずれか1種を含む可溶性塩であり、それぞれの元素の塩化物(MCl3)、硫酸塩(M2(SO43)、硝酸塩(M(NO33)等が挙げられる。この中でも、Al塩化物であるAlCl3は好適な前駆体の一つである。
2価金属(M2+)を含む可溶性塩としては、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体となりうる化合物であればよい。好ましくは、Mg、Ca、Mn及びCuのいずれか1種を含む可溶性塩であり、それぞれの元素の塩化物(MCl2)、硫酸塩(MSO4)、硝酸塩(M(NO32)等が挙げられる。この中でも、Mg塩化物であるMgCl2は好適な前駆体の一つである。
溶媒としては、水を主体とする溶媒が用いられる。当該溶媒の水の割合は、50重量%以上、好ましくは80重量%(100重量%含む)である。水以外の溶媒としては、上記可溶性塩の溶解性を損なわない溶媒が選択され、例えば、エタノールなどが挙げられる。
2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩の割合は、合成目的のハイドロタルサイト様化合物の組成及びゼオライトに対する重量割合を考慮して適宜決定される。
なお、原料(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩以外の成分を任意の割合で含有していてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調製剤などが挙げられる。
原料(B)は、構成成分(2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩、必要に応じて他の成分)を混合することで調整することができる。通常、水を主体とする溶媒に、前記構成成分を添加することにより調整される。
原料(B)を調整するときの温度は、通常は室温であるが、性能を損なわない範囲で、室温以下に冷却したり、30〜70℃程度に加温してもよい。
混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、原料(B)の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(1)及び工程(2)で調製した、原料(A)と原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が複合化した複合組成物を含むスラリーを得る工程である。
工程(3)では、原料(B)に含まれるハイドロタルサイト様化合物の前駆体は、pH6.0以上となることによって、ハイドロタルサイト様化合物を形成する。
本発明の製造方法の特徴は、そのアルカリ源として原料(A)を用いることにあり、ゼオライトを含む原料(A)と原料(B)との接触により、ゼオライト存在下でハイドロタルサイト様化合物が合成されるので、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物とが均一に複合化した複合組成物を得ることができる。
より均質なハイドロタルサイト様化合物が形成される点で、pH6.0〜11.5の範囲であることが好ましい。この範囲になるように、原料(A)の塩基性塩濃度、添加量を調整する。
原料(A)と原料(B)とを接触させるときの温度は、通常は室温であるが、性能を損なわない範囲で、室温以下に冷却したり、30〜70℃程度に加温してもよい。
原料(A)と原料(B)とを接触させる方法としては、ハイドロタルサイト様化合物が形成され、特段の問題がない限り任意である。すなわち、原料(A)と原料(B)とを一度に全部を混合してもよいし、原料(A)の一部を原料(B)に添加、混合を繰り返して混合してもよい。
ハイドロタルサイト様化合物とゼオライトがより均一に結合するように原料(B)に原料(A)を滴下することによって、原料(A)と原料(B)とを接触させて行うことが好ましい。この際、原料(B)を撹拌しながら原料(A)を滴下することがより好ましい。
なお、混合後のスラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、原料(A)及び原料(B)以外の成分を任意の割合で含有させてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調製剤などが挙げられる。
また、工程(3)において、原料(B)に含まれるハイドロタルサイト様化合物の前駆体に対する、原料(A)由来のアルカリが不足する場合に、さらにアルカリ溶液を添加することが好ましい。追加添加されるアルカリ溶液における塩基性塩、溶媒は、本発明の効果を損なわない限り、任意である。
また、原料(A)及び原料(B)の混合後のスラリーには、必要に応じて水や水を主体とする溶媒を添加して希釈してもよい。
<工程(4)>
工程(3)で得られるスラリーには、本発明の複合組成物が含まれる。スラリーをこのまま用いることもできるが、
本発明の製造方法では、さらに、工程(4)として、工程(3)で得られた複合組成物を含むスラリーへ炭酸塩、硝酸塩及び硫酸塩から選ばれる1種の化合物を溶解させた溶液(C)を添加する、又は当該スラリーを固液分離して得られた複合組成物を溶液(C)に添加することにより、複合組成物に含まれる交換性陰イオンを置換させる工程を有していてもよい。
例えば、原料に塩化物を使用した場合、層間陰イオンとしてCl-が入った、Cl型ハイドロタルサイト様化合物が合成されるが、用途に応じて、炭酸イオン(CO3 2-)、硫酸イオン(SO4 2-)、硝酸イオン(NO3 -)等に置換してもよい。
<その他の工程>
工程(3)で得られるスラリーには、本発明の複合組成物が含まれる。スラリーをこのまま用いることもできるが、通常、脱水工程により、溶媒を除去して用いられる。脱水方法は公知の方法を用いて行えばよく、例えば、濾過、遠心分離、加圧脱水、減圧脱水等による固液分離方法が挙げられる。
また、脱水工程の前段に、洗浄工程により不純物を除去してもよい。また、より不純物を除去するために、洗浄と脱水を2回以上繰り返し行ってもよい。洗浄に用いる溶媒は水であることが好ましく、より好ましくは純水および/またはイオン交換水である。
スラリーを脱水した後には、粘土状の複合組成物が得られる。粘土状の複合組成物は所定の大きさに粒径調整したのちに乾燥させることで、所定粒径の乾燥した複合組成物を得ることができる。また、粘土状の塊のまま乾燥させて、その後粉砕して粒径を整えてもよい。
乾燥方法については、特に限定されず、公知の熱風乾燥、真空乾燥等を使用することができる。また、乾燥時の雰囲気は特に限定されるものではないが、通常、大気雰囲気である。減圧雰囲気中で行うこともできる。乾燥温度は、複合組成物の物性が変化して、イオン吸着性が低下しない範囲で選択され、通常、100℃以下である。
なお、本発明の複合組成物は、完全に乾燥させる前には、粘土のような粘り気を有するため、容易に任意の大きさとすることができる。そのため、使用用途に応じて適宜粒径を制御できる。例えば、粒径50〜500μm程度に調整することが可能である。
(吸着体の用途)
本発明の吸着体の具体的な用途は特に制限はないが、詳しくは後述するように、エンドトキシン及び/又はサイトカインで汚染された生体液、より具体的には血液、血清、血漿等と接触させて、前記生体液からエンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去する方法が代表的な用途である。すなわち、本発明のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法は、上記本発明の吸着体を、エンドトキシン及び/又はサイトカインを含有する被処理液体に接触させることにより、前記被処理液体からエンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去することを特徴とする。
被処理液体としては、エンドトキシン及び/又はサイトカインを含有する液体のすべてが該当し、具体的には、エンドトキシンで汚染された生体液、より具体的には血液、血清、血漿等が挙げられる。
本発明の吸着体に血液等の被処理液体を接触させる方法としては限定ではなく、バッチ式でも、フロー式(循環式含む)のいずれでもよい。
バッチ式では、例えば、処理容器に本発明の吸着体とエンドトキシン及び/又はサイトカインを含む被処理液体とをいれ、被処理液体等を所定時間撹拌することにより、本発明の吸着体と被処理液体を接触させて、エンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去する。フロー式では、例えば、カラムに本発明の吸着体を充填し、被処理液体を流通させることにより、本発明の吸着体と被処理液体を接触させ、エンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去する。また、フロー式(循環式)ではカラム出口から排出される被処理液体を再度カラムに流通させ、目的とするエンドトキシン及び/又はサイトカイン濃度になるまで循環させてもよい。
また、本発明の吸着体は、生体液だけでなく、エンドトキシン及び/又はサイトカインで汚染されたれ排水等の被処理液体の処理に用いることもできる。
(皮膚外用製剤、経口投与用製剤)
また、本発明の吸着体の他の用途として、皮膚外用製剤や、経口投与用製剤等の医療用途が挙げられる。このような場合には、吸着体の製造に用いられる原料は、できる限り純度が高いことが好ましい。
本発明の皮膚外用製剤は、本発明の吸着体を配合してなる。本発明の皮膚外用製剤は、一般に皮膚に塗布する形の皮膚外用剤として用いられる場合には、液状やクリーム状である。この場合、本発明の吸着体は、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品に使用される、油性成分、可溶化剤、保湿剤、色素、乳化剤、増粘剤、香料等の任意の成分を含有することができる。
本発明の皮膚外用製剤における本発明の吸着体の配合量は、その剤形等にもよるが、吸着体がエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着作用を十分に発揮する範囲で適宜選択される。
本発明の経口投与用製剤は、本発明の吸着体を配合してなる。本発明の経口投与用製剤は、経口投与に利用される剤形としては、具体的には、固形製剤として、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ等が挙げられる。また、液状製剤として内用液剤、外用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等が例示され、これら剤形やその他の剤形が目的に応じて適宜選択される。また、必要に応じて、医薬品・医薬部外品・食品などに配合される任意の成分を含有することができる。
本発明の経口投与用製剤における本発明の吸着体の配合量は、その剤形等にもよるが、吸着体がエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着作用を十分に発揮する範囲で適宜選択される。
以上、本発明の吸着体、及び被処理液体からエンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去する方法について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の技術的思想の範囲内である限り、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.複合組成物の製造方法
使用した原料は次の通りである。
「原料」
・塩化マグネシウム六水和物(WAKO)
・塩化アルミニウム六水和物(WAKO)
・水酸化ナトリウム(WAKO)
・炭酸ナトリウム(WAKO)
・蒸留水(WAKO)
・発泡ガラス(粒径30〜100μm)
・アルミン酸ナトリウム(朝日化学工業株式会社)
・合成ゼオライトA−4(平均粒径2〜5μm, 品番268−01522)(WAKO)
<実施例1の吸着体(複合組成物)の合成>
工程(1):原料(A)の調整
原料(A)としてのゼオライト含有アルカリ溶液は、以下の手順で調整した。
まず、シリカ源として粒径30〜100μmの発泡ガラス1000gを使用し、該発泡ガラスに対し、アルカリ源の水酸化ナトリウム2300gを混合し、常圧85〜95℃で、8時間加熱して発泡ガラスの溶解液(ガラス溶解液)を得た。次いで、ガラス溶解液に対してアルミナ源のアルミン酸ナトリウム3100gを混合し、攪拌しながら常圧85〜95℃で、8時間加熱してゼオライトを合成し、ゼオライトとアルカリ溶液を含有する溶液である原料(A)を得た。
原料(A)中のゼオライト濃度は、10〜12重量%、pHは14であった。
工程(2):原料(B)の調整
2価金属(M2+)を含む可溶性塩である塩化マグネシウム六水和物17.31g、3価金属(M3+)を含む可溶性塩である塩化アルミニウム六水和物10.30gを蒸留水27.61gに添加して溶解させることで、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を得た。
工程(3):原料(A)と原料(B)との混合
原料(B)55.22gに対し、原料(A)110.44gを添加し、撹拌して十分に混合した後、3倍希釈用に蒸留水496.98gを添加し、混合してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過により固液分離して得た固形分を100℃、10時間乾燥することによって得られた複合組成物を、実施例1の吸着体とした。
なお、原料(A)110.44gにはゼオライト成分13.3mg、原料(B)55.22gにはハイドロタルサイト様化合物成分が10mg含まれる。そのため、得られた吸着体(複合組成物)中のゼオライトの割合は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、57重量%である。
<参考用試料1(ゼオライト)の製造>
まず、実施例1と同様の原料(A)55.22gを、遠心分離機(4000rpm、8分)で固液分離し、固形分(ゼオライト)を分離した。分離した固形分に対し、蒸留水200gを加え、遠心分離機で固液分離を行った。この操作を3回繰り返した後に、固形分を00℃、10時間乾燥することで、参考用試料1のゼオライト(Ze)を得た。
<参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)の製造>
まず、実施例1と同様の原料(B)を使用し、原料(B)55.22gに対し、18.5重量%水酸化ナトリウム溶液55.22gを添加し、撹拌して十分に混合した後、3倍希釈用に蒸留水331.32gを添加し、混合してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過により固液分離して得た固形分を100℃、10時間乾燥することで、参考用試料2のハイドロタルサイト様化合物(HT)を得た。
「pH測定」
実施例1の吸着体(複合組成物)を含むスラリー及び参考用試料2のハイドロタルサイト様化合物を含むスラリーのpHをpHメーター(東亜DKK株式会社、型番:HM−30P)で測定したところ、実施例1のpH8.8であり、参考用試料2のpH8.24であった。すなわち、実施例1と参考用試料2とほぼ同程度のアルカリ量ということを意味している。
「XRD分析」
実施例1の吸着体(複合組成物)、参考用試料1(ゼオライト)及び参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)について、X線回折法による評価を行った。X線回折装置には、株式会社リガク製、型番:MiniFlexを使用した。
図1に参考用試料1(ゼオライト)、図2に参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)、図3に実施例1の吸着体(複合組成物)のXRD分析の結果を示す。
図3に示すように、実施例1では、ゼオライト由来のシグナルとハイドロタルサイト様化合物由来のシグナルが混在していた。この結果は、ゼオライト合成時に発生するアルカリ溶液である原料(A)を適量、原料(B)に添加することにより、ハイドロタルサイト様化合物とゼオライトが複合化した複合組成物が合成できていることを示している。
2.評価
(2−1)エンドトキシン吸着試験
実施例1の吸着体(複合組成物)を用いて、エンドトキシン吸着試験を行った。エンドトキシンの測定は、エンドポイント比色法LAL試験で行った。
エンドトキシン測定試薬QCL−1000TM(ロンザジャパン株式会社)に添付のリムルス試薬(LAL)、エンドトキシン標準液(日本薬局方、エンドトキシン標準品(RSE)及びパイロジェンフリー水(エンドトキシン試験用水、ロンザジャパン株式会社)を用いた。また、すべての評価用器具はエンドトキシンを除去した器具を用いた。
エンドトキシン標準液をパイロジェンフリー水で希釈した溶液に所定量の実施例1の吸着体を添加し、室温で1時間撹拌することにより、実施例1の吸着体(複合組成物)濃度0.01g/mL、エンドトキシン濃度10EU/mLに調製された実施例1の評価用試料溶液1を得た。
エンドトキシン標準液をパイロジェンフリー水で希釈することにより、エンドトキシン濃度10EU/mLに調製された対照試料溶液を得た。また、ブランク1として、エンドトキシンを含まないパイロジェンフリー水、ブランク2として、実施例1の吸着体(複合組成物)を0.01g/mLをパイロジェンフリー水に分散させた溶液を使用した。
上記の試料溶液を遠心分離(3000〜15000rpm,10分間)した後、上澄を採取し、エンドトキシン測定に供した。エンドトキシン測定は、QCL−1000に添付のプロトコルに従った。
表1に試料溶液の構成、表2に評価結果を示す。
(2−2)サイトカイン吸着試験
実施例1の吸着体及び参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物,HT)を用いて、サイトカイン吸着試験を行った。なお、測定対象のサイトカインとして、Human interleukin-8 (IL-8,製造元:eBioscience,Inc.)、溶媒として超純水(超純水製造装置で生成)を使用した。
サイトカイン(IL-8)の測定は、eBioscience,Inc.製のELISAキット(Human IL-8 ELISA Kit)を使用し、ELISA法(酵素結合免疫吸着法)により測定した。また、すべての評価用器具はサイトカインを除去した器具を用いた。
サイトカイン(IL-8)を超純水で希釈した溶液に所定量の実施例1の吸着体を添加し、室温で1時間撹拌することにより、実施例1の吸着体(複合組成物)濃度0.01g/mL、サイトカイン(IL-8)濃度1000pg/mLに調製された評価用試料溶液1を得た。
サイトカイン(IL-8)を超純水で希釈した溶液に所定量のハイドロタルサイト様化合物(HT)を添加し、室温で1時間撹拌することにより、HT濃度0.01g/mL、サイトカイン(IL-8)濃度1000pg/mLに調製された評価用試料溶液2を得た。
サイトカイン(IL-8)を超純水で希釈することにより、サイトカイン(IL-8)濃度1000pg/mLに調製された対照試料溶液を得た。また、ブランク1として、サイトカイン(IL-8)を含まない超純水、ブランク2として、実施例1の吸着体(複合組成物)を0.01g/mLを超純水に分散させた溶液を使用した。
上記の試料溶液を遠心分離(3000〜15000rpm,10分間)した後、上澄を採取し、サイトカイン(IL-8)測定に供した。サイトカイン(IL-8)測定は、ELISAキット(Human IL-8 ELISA Kit)に添付のプロトコルに従った。
表3に試料溶液の構成、表4に評価結果を示す。
(2−3)エンドトキシン−サイトカイン共存系での吸着試験
実施例1の吸着体及び参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物,HT)を用いて、エンドトキシン及びサイトカイン吸着試験を行った。
試験溶液として、表5に示す組成の評価用試料溶液1,2、対照溶液、ブランク1〜3を作製した。使用した試薬は(2−1)エンドトキシン吸着試験、(2−2)サイトカイン吸着試験と同じものであり、溶媒にはパイロジェンフリー水を使用した。それぞれの試験溶液の作製は2−1)エンドトキシン吸着試験、(2−2)サイトカイン吸着試験に準じる方法で行った。
これらの試料溶液を遠心分離(3000〜15000rpm,10分間)した後、上澄を採取し、エンドトキシン及びサイトカイン(IL-8)測定に供した。エンドトキシン測定は、QCL−1000に添付のプロトコルに従い、サイトカイン(IL-8)測定は、ELISAキット(Human IL-8 ELISA Kit)に添付のプロトコルに従った。
表5に試料溶液の構成、表6に評価結果を示す
上記評価により、ゼオライトをハイドロタルサイト様化合物で結合をした構造を有する実施例1の吸着体(複合組成物)は、エンドトキシン又はサイトカイン(IL-8)を含む溶液において、エンドトキシン又はサイトカイン(IL-8)に対する優れた吸着能を示した。そして、エンドトキシン及びサイトカイン(IL-8)が共存する溶液であっても、同様にエンドトキシン及びサイトカインに対する優れた吸着能を示した。この結果から、実施例1の吸着体を用いることにより、エンドトキシン及び/又はサイトカインを含む溶液から、エンドトキシン及びサイトカインを吸着除去できることがわかった。
3.<実施例2の吸着体(複合組成物)の合成>
工程(1):原料(A)の調整
原料(A)としてのゼオライト含有アルカリ溶液は、以下の手順で調整した。
所定量の合成ゼオライト(Wako)と、アルカリ源の水酸化ナトリウムと蒸留水を混合して、室温で十分に撹拌することにより、ゼオライトとアルカリ溶液を含有する溶液である原料(A)を得た。
原料(A)中のゼオライト濃度は、3重量%、pHは12以上であった。
工程(2):原料(B)の調整
2価金属(M2+)を含む可溶性塩である塩化マグネシウム六水和物17.31g、3価金属(M3+)を含む可溶性塩である塩化アルミニウム六水和物10.30gを蒸留水27.61gに添加して溶解させることで、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を得た。
工程(3):原料(A)と原料(B)との混合
原料(B)55.22gに対し、原料(A)110.44gを添加し、撹拌して十分に混合してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過により固液分離して得た固形分を100℃、10時間乾燥することによって得られた複合組成物を、実施例2の吸着体とした。
なお、原料(A)110.44gにはゼオライト成分10mg、原料(B)55.22gにはハイドロタルサイト様化合物成分が10mg含まれる。そのため、得られた吸着体(複合組成物)中のゼオライトの割合は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、50重量%である。
4.評価
(4−1)等温吸着試験
実施例2の吸着体のホウ酸イオンおよびフッ素イオンの吸着特性を調べるために、等温吸着試験を実施した。実施例2の吸着体についての単位重量あたりの吸着量を示した。なお、参考様試料2(ハイドロタルサイト様化合物)(HT)についても、比較の為に、同様の試験を行った。
(4−2)ホウ酸イオンの等温吸着試験
まず、H3BO3をイオン交換水1Lに溶解させ、イオン標準液を作製した。この標準液を希釈し、表7に示す濃度調製した反応溶液を100mL用意した。ここに実験例2の吸着体またはHTを1g添加し、1時間撹拌した。撹拌後、濾紙(5B)を用いて濾過し、反応液をICP−AESにて測定した結果を表7に示す。実施例2の吸着体は、HT単独に比べ高い吸着能を示した。
(4−3)フッ素イオンの等温吸着試験
ホウ酸イオンの吸着試験と同様にして、表8に示すフッ素イオン反応溶液を100mL用意した。実験例2の吸着体またはHTを1g添加し、1時間撹拌した。撹拌後、濾紙(5B)を用いて濾過し、反応液をイオンクロマトグラフにて測定した結果を表8に示す。実施例2の吸着体は、HT単独に比べ高い吸着能を示した。
(4−4)エンドトキシン吸着試験
実施例2の吸着体によるエンドトキシン量の軽減効果を評価するために、エンドトキシンを添加した溶液に実施例2の吸着体を加えて1時間撹拌した液について、カイネティック−比濁法によりエンドトキシン試験を行った。
試験には以下の材料を用いた。
・カブトガニ血球抽出物 ES−II(和光純薬工業株式会社):ライセート試薬
・日本薬局方 エンドトキシン標準品(RSE)(一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団)
・エンドトキシン試験用水
(1)日本薬局方 注射用水(500mL)(株式会社 大塚製薬工場)
:試料溶液の調製に使用
(2)日本薬局方 注射用水(100mL)(株式会社 大塚製薬工場)
:試料溶液の希釈、ライセート試薬の溶解及びRSE溶液の調製に使用
また、すべての評価用器具はエンドトキシンを除去した器具を用いた。
表9に調製した試料溶液、表10に測定結果を示す。試料溶液は、いずれも室温で1時間撹拌した後に遠心分離(400rpm、10分間及び1500rpm、10分間)し、上澄み液を試験に用いた。また、表10に示すように、測定の結果、実施例2の吸着体は、高いエンドトキシン吸着能を示した。
本発明の吸着体および吸着除去方法によれば、エンドトキシン及び/又はサイトカインを含む血液などの生体液から、エンドトキシン及びサイトカインを高効率に吸着除去できる。

Claims (7)

  1. ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物を含有することを特徴とするエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体。
  2. 当該吸着体に含まれるゼオライトの割合が、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、10〜90重量%である請求項1に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体。
  3. 請求項1または2に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体の製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする製造方法。
    工程(1):
    ゼオライト及びアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程
    工程(2):
    2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解し、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を調製する工程
    工程(3):
    前記原料(A)と前記原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が結合したイオン吸着材を含むスラリーを得る工程
  4. 請求項1または2に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体を配合した皮膚外用製剤。
  5. 請求項1または2に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体を配合した経口投与用製剤。
  6. 請求項1または2に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着体を、エンドトキシン及び/又はサイトカインを含有する被処理液体に接触させることにより、前記被処理液体からエンドトキシン及び/又はサイトカインを吸着除去することを特徴とするエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法。
  7. 被処理液体が、エンドトキシン及び/又はサイトカインで汚染された生体液である請求項6に記載のエンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着除去方法。
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