JP6554781B2 - 逆浸透膜装置の運転方法、及び逆浸透膜装置 - Google Patents
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Description
本発明はまた、この逆浸透膜装置を用いた水処理方法に関する。
D=8.76×10−9(Mw)−0.48 式(3)
D[m2/s]:拡散係数
Mw[g/mole]:高分子有機物の分子量
しかし、MBR処理水は、膜汚染物質となる分子量10,000以上の高分子有機物を多く含み、MBR処理水を処理する逆浸透膜装置では、経時によるフラックスの低下あるいは膜間差圧の増加が大きいという問題がある。
このような腐植物質を含有する湖水、河川水や地下水を逆浸透膜装置で処理する場合においても、経時によるフラックスの低下あるいは膜間差圧の増加が大きいという問題がある。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
(I):該逆浸透膜装置における逆浸透膜処理に用いる逆浸透膜エレメントの本数、バンクの構成、透過水量、濃縮水量、及び前記原水の前処理による該逆浸透膜装置供給水の生物代謝物系有機物濃度のうちのいずれか1以上を調整する。
(II):該原水又は該逆浸透膜装置供給水に分散剤を添加する。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
本発明における逆浸透膜装置に装填する逆浸透膜エレメントとしては、逆浸透膜の平膜の一次側に被処理水を通水するための原水スペーサを配置し、二次側に処理水を通水するための透過水スペーサを配置し、これを積層させ、巻き回してスパイラル状にしたスパイラル型逆浸透膜エレメントを好適に用いることができるが、何らこれに限定されない。
スパイラル型逆浸透膜エレメントの膜の直径としては特に制限がなく、4インチ、8インチ、16インチといったものが通常用いられる。スパイラル型逆浸透膜エレメントの長さは通常1m程度である。
通常、逆浸透膜装置は、供給水に対する水回収率を高める目的から、例えば、図1,2に示すようなクリスマスツリーと呼ばれる配置をとる。
逆浸透膜装置の供給水はまず第1バンク1に流入し、透過水と濃縮水とに分離される。続いて第1バンク1の濃縮水は第2バンク2に流入し、ここでも透過水と濃縮水とに分離される。第1バンク1の透過水と第2バンク2の透過水は合流して後段処理工程に移送され、第2バンクの濃縮水は系外に放流されるか排出処理設備等に移送される。
逆浸透膜装置の供給水はまず第1バンク1に流入し、透過水と濃縮水とに分離される。続いて第1バンク1の濃縮水は第2バンク2に流入し、ここでも透過水と濃縮水とに分離される。第2バンク2の濃縮水は第3バンク3に流入し、更に透過水と濃縮水とに分離される。第1バンク1の透過水と第2バンク2の透過水と第3バンク3の透過水は合流して後段処理工程に移送される。一方、第3バンクの濃縮水は系外に放流されるか排出処理設備等に移送される。
通常、1つのベッセルには逆浸透膜エレメントが1〜6本程度内蔵されている。
本発明において、逆浸透膜装置で逆浸透膜処理する原水は、生物代謝物系有機物を含有するものであり、具体的には以下の原水(i)又は原水(ii)が挙げられる。なお、原水(i)と原水(ii)とが混合された水を原水としてもよい。
原水(i):分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の
濃度で含有する水
原水(ii):腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有する水
原水(i)は、分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有する水である。分子量10,000以上の高分子有機物、特に多糖類、たんぱく質のような生物代謝物は、膜を汚染し易く、フラックスの低下の原因となり易い。本発明においては、このような高分子有機物を0.01mg/L以上、例えば0.05〜0.5mg/L含み、通水により逆浸透膜のフラックスを大きく低下させる水を原水として効果的に逆浸透膜処理することができる。
原水(ii)は、腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有する水である。腐植物質はカルシウムやマグネシウムなどの多価のカチオンと共存すると、膜を汚染し易く、フラックスの低下の原因となり易い。本発明においては、このような腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上、好ましくは0.1mg/L以上、例えば0.5〜5mg/L含み、通水により逆浸透膜のフラックスを大きく低下させる水を原水として効果的に逆浸透膜処理することができる。
本発明で処理する原水中の生物代謝物系有機物濃度が過度に高いと、逆浸透膜がファウリングを起こし、また、他の条件制御では生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の平均値を所定値X以下とすることができない場合がある。
このため、原水中の生物代謝物系有機物濃度が過度に高い場合、或いは、逆浸透膜装置の透過水や濃縮水量等の他の条件を変更せずに生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の平均値を所定値X以下とするために、原水を凝集処理や限外濾過膜処理等によって前処理し、原水中の生物代謝物系有機物の一部を除去して、逆浸透膜装置供給水の生物代謝物系有機物濃度を低減するようにすることも好ましい方法である。
また、原水(ii)を処理する場合、逆浸透膜装置の供給水の腐植物質濃度がTOCとして0.1mg/L以下となるように原水を必要に応じて前処理することが好ましい。
本発明においては、逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って算出される各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の逆浸透膜装置における平均値が所定値X以下となるように制御を行う、あるいはこの平均値に応じて原水又は逆浸透膜装置の供給水に分散剤を添加して生物代謝物系有機物の膜付着を防止することで、フラックスの低下を防止する。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
従来、特許文献1のように、NaClなどの低分子の溶質の膜面濃度を求め、浸透圧がフラックスに及ぼす影響を検討した報告はなされているが、生物代謝物系有機物の膜面濃度とフラックス低下速度の関係を膜汚染に基づいて解明することは行われていない。
本発明では、以下の手順で逆浸透膜装置におけるフラックスの低下を予測する。
2) 生物代謝物系有機物の膜面濃度とフラックス低下速度の関係を調べ、定式化する。
3) 被処理水の生物代謝物系有機物濃度を測定する。
4) 3)で得られた生物代謝物系有機物濃度と、1)の物質移動係数(k)を用いて、生物代謝物系有機物の膜面濃度を求め、2)よりフラックス低下速度を求める。
なお、非特許文献3、特許文献1では、シャーウッド数を求めることによって物質移動係数(k)を決定することができ、シャーウッド数が、レイノルズ数とシュミット数によって表されている。この時、膜面に平行な流れについては、レイノルズ数として考慮しているが、膜の透過方向の流れは考慮していない。
式(3)より算出した溶質拡散係数(D)を用いて、物質移動係数(k)は下記の通り算出されるが、拡散係数(D)のシャーウッド数の算出方法は種々知られており、どのような式を用いても膜面濃度を制御できれば良い。
Sh=k・d/D
Re=u・d/ν
Sc=ν/D
Sh[−]:シャーウッド数
Re[−]:レイノルズ数
Sc[−]:シュミット数
d[m]:代表径(スパイラルエレメントの場合は流路スペーサ厚み×2)
u[m/s]:膜面に平行な流れの速度
ν[m2/s]:被処理水の動粘度
物質移動係数(k)は以下の式で表される。
k=(D/d)・Sh
逆浸透膜エレメント1本あたりの濃縮水量(Fc)を用いると、膜面に平行な流れの速度(u)は以下の式で表すことができる。
u=(Fc+Fp/2)/((d/2)・S/(2L))
Fc[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本あたりの濃縮水量
L[m]:有効膜長
Sh=A・Reb・Scc
A,b,c[−]:定数
A=a・(d/L)e
a,e[−]:定数
L[m]:有効膜長
Sh=A・Reb・Scc・(Cb/ρ)f
ρ[kg/m3]:被処理水の密度
A,b,c,f[−]:定数
Sh=a・(Reb+gReyh)・Scc・(d/L)e
Rey=Jv・d/ν
Rey[−]:膜の透過方向の流れにおけるレイノルズ数
Jv[m/s]:膜の透過方向の流れ(Fp/S)
a,b,c,e,g,h[−]:定数
Reyの狭い範囲においては、以下の式も成り立つと考えられる。
Sh=a・Reb・Reyh・Scc・(d/L)e
a,b,c,e,h[−]:定数
前掲の非特許文献1、2に記載されているように、フラックスが10%低下するまでを連続運転の許容値とし、年2回を限度に薬液洗浄を行うのが好ましい。年2回以下の薬液洗浄頻度でフラックスの低下を10%以内に抑えるためには、フラックスの低下速度としては、20%/年以下である必要がある。
後述の表1の関係から、高分子有機物に着目し、該高分子有機物の膜面濃度を0.7kg/m3以下にすることによって、フラックス低下速度を20%/年以下とすることができ、年2回以下の薬液洗浄頻度でフラックスを回復でき、安定に運転することができることが分かる。即ち、原水(i)の逆浸透膜処理において、前記所定値Xは0.7kg/m3である。
式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)の平均値が0.7kg/m3を超えるとフラックスの低下速度が20%/年を超え、年2回の薬液洗浄では安定運転を維持できず、年に3回以上の薬液洗浄を必要とし、好ましくない。各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)の平均値は、0.7kg/m3以下であればよいが、好ましくは0.5kg/m3以下、より好ましくは0.2kg/m3以下である。
後述の表2の関係から、腐植物質に着目し、該腐植物質の膜面濃度を0.4×10−3kg/m3以下にすることによって、フラックス低下速度を20%/年以下とすることができ、年2回以下の薬液洗浄頻度でフラックスを回復でき、安定に運転することができることが分かる。即ち、原水(ii)の逆浸透膜処理において、前記所定値Xは0.4kg/m3である。
式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)の平均値が0.4×10−3kg/m3を超えるとフラックスの低下速度が20%/年を超え、年2回の薬液洗浄では安定運転を維持できず、年に3回以上の薬液洗浄を必要とし、好ましくない。各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)の平均値は、0.4×10−3kg/m3以下であればよいが、好ましくは0.2×10−3kg/m3以下である。
本発明においては、演算手段で、前記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出し、逆浸透膜装置内の各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の平均値(以下「平均Cm値」と称す。)が上記所定値X以下となるように下記(I)の操作を行う、及び/又は、平均Cm値が所定値Xを超える場合に下記(II)の操作を行う。
(I):該逆浸透膜装置における逆浸透膜処理に用いる逆浸透膜エレメントの本数、バンクの構成、透過水量、濃縮水量、及び前記原水の前処理による該逆浸透膜装置供給水の生物代謝物系有機物濃度のうちのいずれか1以上を調整する。
(II):該原水又は該逆浸透膜装置供給水に分散剤を添加する。
この生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の調整、制御及び分散剤の添加制御について以下に説明する。
平均Cm値が前記所定値Xを超える場合、逆浸透膜装置全体の透過水量を低減することにより、式(1)の逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量(Fp)を低減して生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を低くして平均Cm値を低くすることができる。
また、逆に逆浸透膜装置全体の濃縮水量(Fc)を増加することで、生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を低くして平均Cm値を低くすることができる。
上記の透過水量及び/又は濃縮水量の調整は、逆浸透膜装置の透過水量及び/又は濃縮水量を調整する流量調整バルブ等の流量調整手段を設け、演算手段からの計算結果が入力される制御手段により、この流量調整手段を制御することにより行うことができる。
平均Cm値が前記所定値Xを超える場合、凝集処理及び/又は限外濾過膜処理等の前処理手段により、原水を処理して原水中の生物代謝物系有機物の一部を除去し、逆浸透膜装置への供給水の生物代謝物系有機物濃度を低減することにより、被処理水の生物代謝物系有機物濃度(Cb)を低減して、生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を低くして平均Cm値を低くすることができる。
逆浸透膜装置がバンクを2段以上の複数段直列に連結して構成される場合、逆浸透膜装置の供給水を1段目のバンクに供給する流路及び/又は前段のバンクの濃縮水を後段のバンクに供給する流路を切り換えることにより、逆浸透膜処理に使用するベッセル数を調整する被処理水流路切り換え手段を設け、演算手段からの計算結果が入力される制御手段により、被処理水の流路を切り換えることにより平均Cm値を前記所定値X以下とすることができる。
同様に、同一バンク内においても、流路切り換えにより、逆浸透膜処理に使用するベッセル数を増減することで、平均Cm値を制御することもできる。
平均Cm値が前記所定値Xを超える場合、分散剤添加手段により原水或いは原水を前処理した供給水に分散剤を添加して、逆浸透膜装置供給水中の生物代謝物系有機物を分散させて、膜への付着を防止し、安定運転を行うことができる。
更に、逆浸透膜装置が、前述のようにバンクを多段に設けて構成される場合、少なくとも1つのバンクにおいて各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)が前記所定値Yを超える場合は分散剤を添加するようにしたり、或いは分散剤添加量を増量させ、すべてのバンクにおいて、各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)が前記所定値Yを下回るようになったら、分散剤の添加量を減量したり、分散剤の添加を停止するといった薬注制御を行う方法を採用することができる。
これらの分散剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明は、海水淡水化、超純水製造、工業用水処理、排水回収処理等に使用される各種の逆浸透膜装置に適用することができるが、特に、湖水、河川水、あるいは地下水を原水として処理する逆浸透膜装置に好適に適用される。
また、本発明の逆浸透膜装置は、特に生物処理水の逆浸透膜分処理に好適に用いられる。
本発明による生物処理水の処理方法の処理手順としては、例えば、図3(a)に示すように、好気及び/又は嫌気性生物処理手段11、凝集処理手段12、加圧浮上等の固液分離手段13、濾過手段14で処理した生物処理水を保安フィルタ15を通して逆浸透膜装置16に導入して逆浸透膜処理する方法、図3(b)に示すように、生物処理手段11の処理水を直接膜濾過装置等の濾過手段14で固液分離した水を逆浸透膜装置16に導入して逆浸透膜処理する方法、或いは、図3(c)に示すように、MBR(浸漬型膜分離装置)17の処理水を直接逆浸透膜装置16に導入して処理する方法などが挙げられるが、何らこれらの方法に限定されるものではない。
高分子有機物濃度0.2mg/Lの生物処理水を原水として逆浸透膜処理した。
この原水中の高分子有機物について、高速液体クロマトグラフィーにより測定した分子量Mwは1,300,000であり、前記式(3)より算出した拡散係数Dは1.0×10−11m2/sである。
このように構成された逆浸透膜装置により、逆浸透膜装置全体の透過水量を60m3/h、濃縮水量を20m3/hの条件で一年間運転を行ったところ、第2バンクにおいて、79%/年のフラックス低下が起き、年5回の薬液洗浄が必要となった。
物質移動係数を求める式として、以下の式を用いた。
Sh=0.080・Re0.875・Sc0.25
k=(D/d)・0.080・Re0.875・Sc0.25
その結果、第1バンク、第2バンクともに物質移動係数(k)は以下の値となった。
k=9.6×10−7[m/s]
Z=0.016・{log(Cm)+3}6.8 式(2A)
Z[%/年]:フラックス低下速度
実験例1において、逆浸透膜装置全体の透過水量56m3/h、濃縮水量24m3/hの運転条件を設定すると、前記式(1)で算出される高分子有機物の膜面濃度(Cm)は、第1バンク0.68kg/m3、第2バンク0.68kg/m3となる(従って、平均Cm値は0.68kg/m3(=0.68×40+0.68×20)/60))。
この高分子有機物の膜面濃度(Cm)から前記近似式(2A)で算出されるフラックス低下速度(Z)は、第1バンクが19.2%/年、第2バンクが19.5%/年であり、逆浸透膜装置全体では19.3%/年である。
そこで、実際に、運転条件を、逆浸透膜装置全体の透過水量56m3/h、濃縮水量24m3/hに設定して運転を行ったところ、年2回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
この実施例1より、前記式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)の平均値が0.7kg/m3以下となるように、逆浸透膜装置の透過水量と濃縮水量を制御することにより、安定運転を行えることが分かる。
実験例1において、原水を凝集処理することにより高分子有機物濃度を0.065mg/Lとした水を供給水とし、逆浸透膜装置全体の透過水量が60m3/h、濃縮水量20m3/hで逆浸透膜処理を行った。
この運転条件から、前記式(1)で算出される高分子有機物の膜面濃度(Cm)は、第1バンクで0.49kg/m3、第2バンクで0.99kg/m3であり(従って、平均Cm値は0.66kg/m3(=(0.49×40+0.99×20)/60))、前記近似式(2A)で算出されるフラックス低下速度は、第1バンクが13.7%/年、第2バンクが28.3%/年であり、逆浸透膜装置全体では18.6%/年となった。
この運転条件で膜処理を行ったところ、年2回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
この実施例2より、前記式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)の平均値が0.7kg/m3以下となるように、原水を前処理して原水の高分子有機物濃度を低減した水を供給水とすることにより、透過水量、濃縮水量はそのままでも安定運転を行えることが分かる。
実施例2において、原水の前処理で更に高分子有機物濃度を低減し、高分子有機物濃度0.035mg/Lとした水を供給水として逆浸透膜処理したところ、逆浸透膜装置全体のフラックス低下速度は9.4%/年にまで低下する計算結果が得られるが、実際に、この前処理条件で膜処理を行ったところ、年1回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
実験例1において用いたものと同一の逆浸透膜装置エレメントを4本装填したベッセルを14個用い、逆浸透膜装置のバンク構成を、図2に示すように、第1バンクはベッセル8個の並列配置、第2バンクはベッセル4個の並列配置、第3バンクはベッセル2個の並列配置とし、同じ原水(高分子有機物濃度0.2mg/L)を同様の運転条件(逆浸透膜装置全体の透過水量60m3/h、濃縮水量20m3/h)で逆浸透膜処理を行った。
この運転条件においては、後段ほど線流速が速くなり、前記式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)は、第1バンクで0.34kg/m3、第2バンクで0.20kg/m3、第3バンクで0.08kg/m3となり(従って、平均Cm値は0.26kg/m3(=(0.34×32+0.20×16+0.08×8)/56))、この高分子有機物の膜面濃度(Cm)から前記近似式(2A)で算出されるフラックス低下速度は第1バンクが9.1%/年、第2バンクが4.8%/年、第3バンクが1.3%/年であり、逆浸透膜装置全体では6.8%/年である。
そこで、実際にこの第1〜3バンクの構成の逆浸透膜装置で逆浸透膜処理を行ったところ、年2回以下の薬液洗浄で運転を維持することができた。
この実施例4より、バンク構成を変更することで、同一の高分子有機物濃度の供給水であっても、逆浸透膜装置全体の透過水量と濃縮水量を変えることなく、各逆浸透膜エレメント毎の高分子有機物の膜面濃度(Cm)を調整することができ、平均Cm値を下げて安定運転を行えることが分かる。
腐植物質濃度がTOCとして0.08mg/Lの地下水(多価イオンとしてCaイオンを20mg/L含む。)を原水として逆浸透膜処理した。腐植物質の濃度は、高速液体クロマトグラフィーにより、UVを検出器として測定した。標準物質として、カナディアンフルボ(ピィアイシィ・バイオ製)を用いた。腐植物質の分子量Mwは7,000であり、前記式(3)より算出した拡散係数Dは1.25×10−10m2/sである。
このように構成された逆浸透膜装置により、逆浸透膜装置全体の透過水量を60m3/h、濃縮水量を20m3/hの条件で一年間運転を行ったところ、第2バンクにおいて、37%/年のフラックス低下が起き、年4回の薬液洗浄が必要となった。
物質移動係数を求める式として、以下の式を用いた。
Sh=0.080・Re0.875・Sc0.25
k=(D/d)・0.080・Re0.875・Sc0.25
その結果、第1バンク、第2バンクともに物質移動係数(k)は以下の値となった。
k=5.7×10−6[m/s]
Z=43.8×Cm0.859 式(2B)
Z[%/年]:フラックス低下速度
実験例2において、逆浸透膜装置全体の透過水量54m3/h、濃縮水量26m3/hの運転条件を設定すると、前記式(1)で算出される腐植物質の膜面濃度(Cm)は、第1バンク0.33×10−3kg/m3、第2バンク0.52×10−3kg/m3となる(従って、平均Cm値は0.39×10−3kg/m3(=0.33×10−3×40+0.52×10−3×20)/60))。
この腐植物質の膜面濃度(Cm)から前記近似式(2B)で算出されるフラックス低下速度(Z)は、第1バンクが17.0%/年、第2バンクが24.8%/年であり、逆浸透膜装置全体では19.6%/年である。
そこで、実際に、運転条件を、逆浸透膜装置全体の透過水量50m3/h、濃縮水量31m3/hに設定して運転を行ったところ、年2回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
この実施例5より、前記式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)の平均値が0.4×10−3kg/m3以下となるように、逆浸透膜装置の透過水量と濃縮水量を制御することにより、安定運転を行えることが分かる。
実験例2において、原水を凝集処理することにより腐植物質濃度を0.055mg/L(Caイオン濃度20mg/L)とした水を供給水とし、逆浸透膜装置全体の透過水量が60m3/h、濃縮水量20m3/hで逆浸透膜処理を行った。
この運転条件から、前記式(1)で算出される腐植物質の膜面濃度(Cm)は、第1バンクで0.28×10−3kg/m3、第2バンクで0.57×10−3kg/m3であり(従って、平均Cm値は0.38×10−3kg/m3(=(0.28×10−3×40+0.57×10−3×20)/60)、第二バンクのCm≦0.6×10−3kg/m3)、前記近似式(2B)で算出されるフラックス低下速度は、第1バンクが14.8%/年、第2バンクが26.9%/年であり、逆浸透膜装置全体では18.9%/年となった。
この運転条件で膜処理を行ったところ、年2回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
この実施例6より、前記式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)の平均値が0.4×10−3kg/m3以下となるように、原水を前処理して原水の腐植物質濃度を低減した水を供給水とすることにより、透過水量、濃縮水量はそのままでも安定運転を行えることが分かる。
実施例6において、原水の前処理で更に腐植物質濃度を低減し、腐植物質濃度0.025mg/L(Caイオン濃度20mg/L)とした水を供給水として逆浸透膜処理したところ、逆浸透膜装置全体のフラックス低下速度は9.6%/年にまで低下する計算結果が得られるが、実際に、この前処理条件で膜処理を行ったところ、年1回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
実験例2において用いたものと同一の逆浸透膜装置エレメントを4本装填したベッセルを14個用い、逆浸透膜装置のバンク構成を、図2に示すように、第1バンクはベッセル8個の並列配置、第2バンクはベッセル4個の並列配置、第3バンクはベッセル2個の並
列配置とし、同じ原水(腐植物質濃度0.08mg/L)を同様の運転条件(逆浸透膜装置全体の透過水量60m3/h、濃縮水量20m3/h)で逆浸透膜処理を行った。
この運転条件においては、前記式(1)で算出される各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)は、第1バンクで0.31×10−3kg/m3、第2バンクで0.45×10−3kg/m3、第3バンクで0.55×10−3kg/m3となり(従って、平均Cm値は0.38×10−3kg/m3(=(0.31×10−3×32+0.45×10−3×16+0.55×10−3×8)/56))、この腐植物質の膜面濃度(Cm)から前記近似式(2B)で算出されるフラックス低下速度は第1バンクが16.1%/年、第2バンクが22.0%/年、第3バンクが26.4%/年であり、逆浸透膜装置全体では19.3%/年である。
そこで、実際にこの第1〜3バンクの構成の逆浸透膜装置で逆浸透膜処理を行ったところ、年2回以下の薬液洗浄で運転を維持することができた。
この実施例8より、バンク構成を変更することで、同一の腐植物質濃度の供給水であっても、逆浸透膜装置全体の透過水量と濃縮水量を変えることなく、各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)を調整することができ、平均Cm値を下げて安定運転を行えることが分かる。
実験例2において、同じ原水(腐植物質濃度0.08mg/L)に多価カチオンの分散剤として「クリバーター−N500」(栗田工業(株)製)を10mg/L、腐植物質の分散剤としてポリビニルピロリドンを3mg/L添加した水を供給水とし、逆浸透膜装置全体の透過水量が60m3/h、濃縮水量20m3/hで逆浸透膜処理を行った。逆浸透膜装置全体のフラックスは安定化し、年1回の薬液洗浄で安定運転を維持することができた。
この実施例9より、分散剤を添加することで、各逆浸透膜エレメント毎の腐植物質の膜面濃度(Cm)が高くなっても、膜への付着が抑制されて、安定運転を行えることが分かる。
2 第2バンク
3 第3バンク
11 生物処理手段
12 凝集処理手段
13 固液分離手段
14 濾過手段
15 保安フィルタ
16 逆浸透膜装置
17 MBR(浸漬型膜分離装置)
Claims (17)
- 生物代謝物系有機物を含有する生物処理水、表層水又は地下水を原水として処理する逆浸透膜装置の運転方法において、
該生物代謝物系有機物は腐食物質又は分子量10,000以上の高分子有機物であり、
該逆浸透膜装置は、逆浸透膜エレメントを内蔵したベッセル又は該ベッセルを複数機並列配置してなるバンクを、1段又は2段以上の複数段直列に連結してなり、
該逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出し、
該逆浸透膜装置における該算出値の平均値が所定値X以下となるように下記(I)の操作を行う、及び/又は、該逆浸透膜装置における該算出値の平均値が所定値Xを超える場合に下記(II)の操作を行う逆浸透膜装置の運転方法であって、該所定値Xが下記(i)又は(ii)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置の運転方法。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
(I):該逆浸透膜装置における逆浸透膜処理に用いる逆浸透膜エレメントの本数、バンクの構成、透過水量、濃縮水量、及び前記原水の前処理による該逆浸透膜装置供給水の生物代謝物系有機物濃度のうちのいずれか1以上を調整する。
(II):該原水又は該逆浸透膜装置供給水に分散剤を添加する。
(i) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記原水は、該分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.7kg/m 3 である。
(ii) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記原水は、該腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.4×10 −3 kg/m 3 である。 - 請求項1において、前記前処理が、凝集処理及び/又は限外濾過膜処理であることを特徴とする逆浸透膜装置の運転方法。
- 請求項1又は2において、前記逆浸透膜装置が、前記バンクを2段以上の複数段直列に連結してなり、すべてのバンクにおいて前記生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の算出値が所定値Y以下となるように前記(I)の操作を行う、及び/又は、1以上のバンクにおいて前記生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の算出値が所定値Yを超える場合に前記(II)の操作を行う逆浸透膜装置の運転方法であって、該所定値Yが下記(iii)又は(iv)を満たす、ことを特徴とする逆浸透膜装置の運転方法。
(iii) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記所定値Yが1kg/m 3 である。
(iv) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記所定値Yが0.6×10 −3 kg/m 3 である。 - 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記逆浸透膜装置を、2回/年以下の頻度で薬液洗浄することを特徴とする逆浸透膜装置の運転方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記逆浸透膜が芳香族ポリアミド系逆浸透膜であることを特徴とする逆浸透膜装置の運転方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記分散剤が生物代謝物系有機物分散剤及び/又はスケール分散剤であることを特徴とする逆浸透膜装置の運転方法。
- 生物代謝物系有機物を含有する生物処理水、表層水又は地下水を原水として処理する逆浸透膜装置であって、
該生物代謝物系有機物は腐食物質又は分子量10,000以上の高分子有機物であり、
逆浸透膜エレメントを内蔵したベッセル又は該ベッセルを複数機並列配置してなるバンクを、1段又は2段以上の複数段直列に連結してなり、
該逆浸透膜装置の透過水量及び/又は濃縮水量を調整する流量調整手段と、
該逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出する演算手段と、
該演算手段の算出値に基づいて、該逆浸透膜装置における該算出値の平均値が所定値X以下となるように、前記流量調整手段を制御する流量制御手段とを備え、該所定値Xが下記(i)又は(ii)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
(i) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記原水は、該分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.7kg/m 3 である。
(ii) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記原水は、該腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.4×10 −3 kg/m 3 である。 - 生物代謝物系有機物を含有する生物処理水、表層水又は地下水を原水として処理する逆浸透膜装置であって、
該生物代謝物系有機物は腐食物質又は分子量10,000以上の高分子有機物であり、
逆浸透膜エレメントを内蔵したベッセル又は該ベッセルを複数機並列配置してなるバンクを、1段又は2段以上の複数段直列に連結してなり、
該原水を凝集処理及び/又は限外濾過膜処理により前処理して該原水中の生物代謝物系有機物の一部を除去することにより該逆浸透膜装置への供給水の生物代謝物系有機物濃度を低減する前処理手段と、
該原水を、直接供給水として該逆浸透膜装置に供給する流路と、該前処理手段を経て該逆浸透膜装置に供給する流路とを切り換える原水流路切り換え手段と、
該逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出する演算手段と、
該演算手段の算出値に基づいて、該逆浸透膜装置における該算出値の平均値が所定値X以下となるように、前記原水流路切り換え手段による流路切り換えを行うか、或いは前記前処理手段における処理条件を調整する原水調整手段とを備え、該所定値Xが下記(i)又は(ii)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
(i) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記原水は、該分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.7kg/m 3 である。
(ii) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記原水は、該腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.4×10 −3 kg/m 3 である。 - 生物代謝物系有機物を含有する生物処理水、表層水又は地下水を原水として処理する逆浸透膜装置であって、
該生物代謝物系有機物は腐食物質又は分子量10,000以上の高分子有機物であり、
逆浸透膜エレメントを内蔵したベッセルを複数機並列配置してなるバンクを2段以上の複数段直列に連結してなり、
前段のバンクの濃縮水を系外に排出する流路と後段のバンクに送給する流路とを切り換えて逆浸透膜処理に使用するバンク数を調整する流路切り換え手段と、
該逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出する演算手段と、
該演算手段の算出値に基づいて、該逆浸透膜装置における該算出値の平均値が所定値X以下となるように、前記流路切り換え手段を制御する流路制御手段とを備え、該所定値Xが下記(i)又は(ii)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
(i) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記原水は、該分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.7kg/m 3 である。
(ii) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記原水は、該腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.4×10 −3 kg/m 3 である。 - 生物代謝物系有機物を含有する生物処理水、表層水又は地下水を原水として処理する逆浸透膜装置であって、
該生物代謝物系有機物は腐食物質又は分子量10,000以上の高分子有機物であり、
逆浸透膜エレメントを内蔵したベッセルを複数機並列配置してなるバンクを2段以上の複数段直列に連結してなり、
同一バンク内における逆浸透膜処理に使用するベッセル数を調整する流路切り換え手段と、
該逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出する演算手段と、
該演算手段の算出値に基づいて、該逆浸透膜装置における該算出値の平均値が所定値X以下となるように、前記流路切り換え手段を制御する流路制御手段とを備え、該所定値Xが下記(i)又は(ii)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度
(i) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記原水は、該分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.7kg/m 3 である。
(ii) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記原水は、該腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.4×10 −3 kg/m 3 である。 - 生物代謝物系有機物を含有する生物処理水、表層水又は地下水を原水として処理する逆浸透膜装置であって、
該生物代謝物系有機物は腐食物質又は分子量10,000以上の高分子有機物であり、
逆浸透膜エレメントを内蔵したベッセル又は該ベッセルを複数機並列配置してなるバンクを、1段又は2段以上の複数段直列に連結してなり、
該原水又は該逆浸透膜装置供給水に分散剤を添加する分散剤添加手段と、
該逆浸透膜装置内の逆浸透膜エレメントの物質移動係数(k)に基づいて、下記式(1)に従って各逆浸透膜エレメント毎の生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)を算出する演算手段と、
該演算手段の算出値に基づいて、前記分散剤添加手段を制御する分散剤添加量制御手段とを備えることを特徴とする逆浸透膜装置。
Cm=Cb exp{Fp/(S・k)} 式(1)
k[m/s]:逆浸透膜エレメントの物質移動係数
Fp[m3/s]:逆浸透膜エレメント1本当たりの透過水量
S[m2]:逆浸透膜エレメント1本当たりの膜面積
Cb[kg/m3]:逆浸透膜エレメントの被処理水の生物代謝物系有機物濃度
Cm[kg/m3]:生物代謝物系有機物の膜面濃度 - 請求項11において、前記分散剤が生物代謝物系有機物分散剤及び/又はスケール分散剤であることを特徴とする逆浸透膜装置。
- 請求項11又は12において、前記分散剤添加量制御手段は、前記演算手段で算出された前記逆浸透膜装置における前記算出値の平均値が所定値Xを超える場合に、前記分散剤添加手段の分散剤添加量を増加させるか、あるいは分散剤の添加を開始させるものであり、該所定値Xが下記(i)又は(ii)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
(i) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記原水は、該分子量10,000以上の高分子有機物を0.01mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.7kg/m 3 である。
(ii) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記原水は、該腐植物質をTOCとして0.05mg/L以上の濃度で含有するものであり、前記所定値Xが0.4×10 −3 kg/m 3 である。 - 請求項13において、前記バンクを2段以上の複数段直列に連結してなり、前記分散剤添加量制御手段は、前記演算手段で算出された前記生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の算出値が、1以上のバンクにおいて所定値Yを超える場合に、前記分散剤添加手段の分散剤添加量を増加させるか、あるいは分散剤の添加を開始させるものであり、該所定値Yが下記(iii)又は(iv)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
(iii) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記所定値Yが1kg/m 3 である。
(iv) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記所定値Yが0.6×10 −3 kg/m 3 である。 - 請求項7ないし10のいずれか1項において、前記バンクを2段以上の複数段直列に連結してなり、すべてのバンクにおいて、前記生物代謝物系有機物の膜面濃度(Cm)の算出値が所定値Y以下となるように制御される逆浸透膜装置であって、該所定値Yが下記(iii)又は(iv)を満たすことを特徴とする逆浸透膜装置。
(iii) 前記生物代謝物系有機物が分子量10,000以上の高分子有機物であり、前記所定値Yが1kg/m 3 である。
(iv) 前記生物代謝物系有機物が腐植物質であり、前記所定値Yが0.6×10 −3 kg/m 3 である。 - 請求項7ないし15のいずれか1項において、前記逆浸透膜を2回/年以下の頻度で薬液洗浄する薬液洗浄手段を備えることを特徴とする逆浸透膜装置。
- 請求項7ないし16のいずれか1項において、前記逆浸透膜が芳香族ポリアミド系逆浸透膜であることを特徴とする逆浸透膜装置。
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