JP6554336B2 - 無励磁作動ブレーキの組立方法および輸送用のブレーキ部品組立体 - Google Patents

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Description

本発明は、アーマチュアをフィールドコアから離間する方向へ付勢するばね部材を備えた無励磁作動ブレーキの組立方法およびこの組立方法に使用する輸送用のブレーキ部品組立体に関する
従来の無励磁作動ブレーキとしては、例えば特許文献1〜5に記載されているものがある。特許文献1〜5に開示された無励磁作動ブレーキは、電磁コイルへの通電が絶たれてアーマチュアがばね部材のばね力で被制動回転体に向けて押されることによって、制動力が発生する構成が採られている。
特許文献1〜5に開示された無励磁作動ブレーキは、電磁コイルを内蔵した環状のフィールドコアと、このフィールドコアと隣り合う位置でフィールドコアの軸線方向に並ぶアーマチュアおよび被制動回転体などを備えている。
フィールドコアは、例えば被制動装置としてのモータのハウジングに固定される。フィールドコアの軸心部には、被制動装置の回転軸が挿通される。
アーマチュアは、円環板状に形成されてフィールドコアと隣り合う位置に配置されている。アーマチュアの軸心部にはモータの回転軸が挿通される。また、アーマチュアは、フィールドコアの軸線を中心として回転することができない状態でフィールドコアに軸線方向へ移動自在に支持されている。さらに、このアーマチュアは、フィールドコアに設けられたばね部材と接触しており、このばね部材のばね力によって被制動回転体に向けて付勢されている。
被制動回転体は、フィールドコアとアーマチュアの軸心部に挿通された回転軸に設けられている。この被制動回転体は、回転軸に対して軸線方向への移動が規制された状態で回転軸と一体に回転する。この被制動回転体には、アーマチュアと接触する摩擦部材が設けられている。
このように構成された無励磁作動ブレーキは、被制動装置とは異なる場所で組立てられることが多い。このため、無励磁作動ブレーキの各部品は、被制動装置に組付けられる以前に、予めブレーキ部品組立体として組み立てられ、梱包されて輸送される。梱包は、輸送中にアーマチュアがフィールドコアから離れ、ばね部材がフィールドコアから脱落することを防止するために行われる。特許文献1〜5に示す無励磁作動ブレーキは、輸送中にばね部材がフィールドコアから脱落することを防ぐために、アーマチュアをフィールドコアに組付状態で固定する固定機構を備えている。
特許文献1に示す無励磁作動ブレーキの固定機構は、被制動回転体が一端部に設けられてアーマチュアおよびフィールドコアの軸心部を貫通する筒体と、この筒体の他端部に取付けられたセットカラーとによって構成されている。この固定機構においては、ばね部材のばね力でアーマチュアが被制動回転体に当たるとともに、セットカラーがフィールドコアに当たることによって、フィールドコアとアーマチュアとの間にエアギャップが設定される。このため、アーマチュアがフィールドコアに組付けられた状態に保持される。セットカラーは、専用の治具を使用して筒体を所定の位置に位置付けた状態で筒体に固定される。この所定の位置とは、エアギャップが設定される位置である。
特許文献2〜5に示す無励磁作動ブレーキの固定機構は、アーマチュアをボルトによって保持位置に固定する構成が採られている。保持位置とは、ばね部材がアーマチュアによって押されて圧縮される位置である。
ところで、このような固定機構を装備していない従来の無励磁作動ブレーキにおいては、梱包用テープを使用してアーマチュアが上述した保持位置に保持されている。梱包用テープは、フィールドコアの一側部から軸線方向において被制動回転体側に延び、アーマチュアと被制動回転体とにこれらの部材がフィールドコアに向けて付勢されるように巻き付けられ、フィールドコアの他側部まで延びている。
上述したように梱包されて輸送されたブレーキ部品組立体は、電磁コイルに通電されてアーマチュアがフィールドコアに磁気によって吸着された状態で、梱包が解かれて被制動装置に組付けられる。
特許第4259745号公報 特開2002−13563号公報 特開2003−90364号公報 特開2003−176840号公報 特開2012−237433号公報
輸送中にばね部材の脱落を防ぐにあたって、特許文献1に示す構成を採ると、セットカラーを筒体に装着するための専用の治具が必要になるため、作業が繁雑になる。また、フィールドコアと回転軸との間と、アーマチュアと回転軸との間とに保持機構の筒体を挿入しなければならないために、フィールドコアが径方向に大型化してしまう。
特許文献2〜5に示すようにボルトでアーマチュアの移動を規制する場合は、ボルトを通すための貫通孔や、ボルトが螺着するねじ孔などの加工が必要になるから、製造コストが高くなってしまう。
梱包用テープを使用してアーマチュアの移動を規制する場合は、梱包用テープが貼り付けられた状態で長期間にわたって保管されると、梱包用テープの接着力が低下して梱包用テープが剥がれてしまうおそれがある。また、被制動装置への取付時に電磁コイルが通電されてアーマチュアがフィールドコアに吸着されるときに、梱包用テープがフィールドコアとアーマチュアとの間に挟み込まれることもある。このように梱包用テープが挟まれることを防ぐために、通電以前に梱包用テープを剥がすと、テープを外す際にアーマチュアがフィールドコアから離されてばね部材が脱落し、ばね部材を紛失するおそれがある。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、フィールドコアの径方向の小型化を図りながら、ブレーキ部品組立体の状態でばね部材の脱落を簡単にかつ確実に防ぐことが可能な無励磁作動ブレーキの組立方法および輸送用のブレーキ部品組立体を提供することを目的とする。
本発明に係る無励磁作動ブレーキの組立方法は、回転軸が挿通される第1の貫通孔を有するフィールドコアと、前記回転軸が挿通される第2の貫通孔を有し、前記フィールドコアに前記回転軸の軸線方向へ移動自在に支持されたアーマチュアと、前記フィールドコアに設けられ、通電されることにより磁束が発生して前記アーマチュアを前記フィールドコアに磁気によって吸着させる電磁コイルと、前記フィールドコアに設けられ、前記アーマチュアを前記フィールドコアから離間する方向へ付勢するばね部材とからなるブレーキ部品組立体の前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に前記回転軸の代わりに連結部材を挿入し、この連結部材の両端部に設けられた係止部を前記ブレーキ部品組立体に前記軸線方向の両側から対向させる第1の組立ステップと、前記電磁コイルに通電し、前記アーマチュアが前記ばね部材のばね力に抗して前記フィールドコアに磁気によって吸着された状態で前記連結部材を前記ブレーキ部品組立体から出す第2の組立ステップと、前記ブレーキ部品組立体の前記第1および第2の貫通孔に前記回転軸を挿入するとともに、前記回転軸に対する前記ブレーキ部品組立体の軸線方向の位置を決める第3の組立ステップと、前記回転軸が挿通される第3の貫通孔を有しかつ前記回転軸に対して前記軸線方向の位置を変更可能に構成された被制動回転体を、前記アーマチュアに摩擦部材を介して前記軸線方向に重ね、前記回転軸に固定する第4の組立ステップとによって実施する。
本発明は、前記無励磁作動ブレーキの組立方法において、前記第1の組立ステップが、前記回転軸が挿通される第3の貫通孔を有しかつ前記回転軸に対して前記軸線方向の位置を変更可能に構成された被制動回転体を、前記アーマチュアに摩擦部材を介して前記軸線方向に重ね、前記フィールドコア、前記アーマチュアおよび前記被制動回転体を含むブレーキ部品組立体を形成する連結ステップを有していてもよい。
本発明に係る輸送用のブレーキ部品組立体は、回転軸が挿通可能な第1の貫通孔を有するフィールドコアと、前記回転軸が挿通可能な第2の貫通孔を有し、前記フィールドコアに前記回転軸の軸線方向へ移動自在に支持されたアーマチュアと、前記フィールドコアに設けられ、通電されることにより磁束が発生して前記アーマチュアを前記フィールドコアに磁気によって吸着させる電磁コイルと、前記フィールドコアに設けられ、前記アーマチュアを前記フィールドコアから離間する方向へ付勢するばね部材と、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に挿入された軸部を有しかつ両端部に係止部が設けられた連結部材とを備えた輸送用のブレーキ部品組立体であって、前記係止部が、前記軸部の一端部に突設された第1の係止部と、前記軸部の他端部に突設された第2の係止部とから構成され、前記軸部が、前記第1の係止部と第2の係止部とのうち一方の係止部を前記ブレーキ部品組立体に前記軸線方向において対向する使用位置と、前記軸線方向から見て前記ブレーキ部品組立体の軸心部の貫通孔の中に入る着脱位置との間で変位可能に支持する弾性片を有しているものである。
本発明は、前記輸送用のブレーキ部品組立体において、前記軸部が、円筒状に形成され、前記第1の係止部と前記第2の係止部とのうち前記一方の係止部と、この係止部を支持する前記弾性片は、前記軸部の周方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられ、前記軸部の中には、前記一方の係止部が前記軸部の径方向外側に向けて押されて前記使用位置に位置付けられる第1の形態と、前記一方の係止部の押圧状態が解消されてこの係止部が前記着脱位置に位置付けられる第2の形態とを切替える切替部材が挿入されていてもよい。
本発明によれば、ブレーキ部品組立体の第1および第2の貫通孔に連結部材が挿通され、連結部材の係止部がブレーキ部品組立体と対向する状態においては、フィールドコアから離れる方向へのアーマチュアの移動が連結部材によって規制される。このため、ばね部材が脱落することを防ぎながら、ブレーキ部品組立体を運搬することができる。
連結部材の第1の係止部と第2の係止部とのうち一方の係止部は、軸部の弾性片に支持されているから、弾性片が弾性変形することによって使用位置と着脱位置との間で簡単に移動できる。この係止部が着脱位置に位置付けられている状態においては、連結部材が第1および第2の貫通孔に出入れ可能になる。
このため、ブレーキ部品組立体を組立てるときに連結部材を簡単に装着できるとともに、ブレーキ部品組立体が被制動装置に組込まれるときに連結部材を簡単に取外すことができる。
連結部材は、回転軸を通すために形成されている第1、第2の貫通孔に通されている。このため、専ら連結部材を通すための穴をフィールドコアやアーマチュアに形成する必要はないから、製造コストを低く抑えることができる。また、連結部材は、第1および第2の係止部とブレーキ部品組立体とを係合させて部品の軸線方向への相対的な移動を規制する構成であるから、梱包用テープを使用する従来の無励磁作動ブレーキと較べると、ばね部材の脱落防止を図るうえで信頼性が高い。
さらに、被制動装置に組付ける際に電磁コイルに通電することによって、アーマチュアがフィールドコアに磁気によって吸着されるから、連結部材を外したとしても、ばね部材の脱落防止が図られる。このため、ブレーキ部品組立体を被制動装置に組付けるときにばね部材が脱落することを確実に防ぐことができる。
ブレーキ部品組立体を被制動装置に組付けるときには連結部材が残存していないから、第1および第2の貫通孔の孔径を、回転軸が挿通可能な最小限の孔径とすることができる。
したがって、フィールドコアの径方向の小型化を図りながら、ブレーキ部品組立体の状態でばね部材の脱落を簡単にかつ確実に防ぐことが可能な無励磁作動ブレーキの組立方法を提供することができる。連結部材は、ブレーキ部品組立体から外された後に初期の場所に戻すことによって、繰り返し使用可能である。
本発明に係る無励磁作動ブレーキの正面図である。 図1におけるII−II線断面図である。 図1におけるIII−III線断面図である。 本発明に係る無励磁作動ブレーキの組立方法を説明するためのフローチャートである。 ハブを含まないブレーキ部品組立体にスナップピンを装着した状態を示す断面図である。 ハブを含むブレーキ部品組立体にスナップピンを装着した状態を示す断面図である。 スナップピンを示す図で、図7(A)は斜視図、図7(B)は正面図、図7(C)は図7(B)におけるC−C線断面図である。 スナップピンの変形例を示す図で、図8(A)は斜視図、図8(B)は正面図、図8(C)は図8(B)におけるC−C線断面図である。 スナップピンの変形例を示す図で、図9(A)は組立状態の斜視図、図9(B)はインナーピンの斜視図、図9(C)はアウターピンの斜視図である。 インナーピンを示す図で、図10(A)は1つの凹部が表れる状態を示す平面図、図10(B)は2つの凹部が表れる状態を示す平面図、図10(C)は図10(B)におけるC−C線断面図、図10(D)は図10(B)におけるD−D線断面図である。 アウターピンを示す図で、図11(A)は平面図、図11(B)は正面図、図11(C)は背面図、図11(D)は図11(A)におけるD−D線断面図である。 インナーピンとアウターピンとからなるスナップピンの使用方法を説明するための断面図である。図12は、スナップピンをブレーキ部品組立体に挿入した状態を示している。 インナーピンとアウターピンとからなるスナップピンの使用方法を説明するための断面図である。図13は、第2の係止部が使用位置に位置している状態を示している。 インナーピンとアウターピンとからなるスナップピンの使用方法を説明するための断面図である。図14は、インナーピンを押し込んで第2の係止部が外側に変位した状態を示している。 インナーピンとアウターピンとからなるスナップピンの使用方法を説明するための断面図である。図15は、第2の係止部が着脱位置に位置している状態を示している。 ハブを含むブレーキ部品組立体にインナーピンとアウターピンとからなるスナップピンを装着した状態を示す断面図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る無励磁作動ブレーキの組立方法およびブレーキ部品組立体の連結部材の一実施の形態を図1〜図7によって詳細に説明する。
図1に示す無励磁作動ブレーキ1は、被制動装置としてのモータ2(図2参照)に取付けられ、モータ2が停止したときにモータ2の回転軸3を制動するためのものである。回転軸3は、図2に示すように、モータ2のハウジング2aから予め定めた長さだけ突出しており、モータ2に通電されることにより回転する。以下においては、回転軸3がハウジング2aから突出する方向(図2においては右方)を前方といい、この方向とは反対方向を後方という。また、以下においては、前方の位置を前側といい、後方の位置を後側という。
この無励磁作動ブレーキ1は、ハウジング2aに固定されたフィールドコア4と、このフィールドコア4の前方に配置されてフィールドコア4と対向するアーマチュア5と、このアーマチュア5の前方に位置し、フィールドコア4から回転軸3の軸線方向に離れて配置されたハブ6とを備えている。
フィールドコア4は、磁性材によって環状に形成されており、外周部の取付片7を貫通する固定用ボルト8によってハウジング2aに固定されている。取付片7は、図2に示すように、フィールドコア4の後端部であって、図1に示すように、フィールドコア4を周方向に2分する位置にそれぞれ形成されている。フィールドコア4における取付片7より前側には、切欠き9が形成されている。このため、取付片7は、図1に示すように、回転軸3の軸線方向から見て円形を呈するフィールドコア4より径方向の外側に突出することなく、フィールドコア4の外周縁部に形成されている。固定用ボルト8は、取付片7のボルト用挿入穴7aに通されてハウジング2aに螺着されている。
フィールドコア4の軸心部には、回転軸3が挿通される第1の貫通孔11が形成されている。第1の貫通孔11の孔径は、回転軸3の外径より大きい。フィールドコア4の内周部分には、環状に形成された電磁コイル12が設けられている。電磁コイル12は、通電されることにより磁束(図示せず)が発生するもので、フィールドコア4の環状溝13内に収容されている。環状溝13は、フィールドコア4におけるアーマチュア5と対向する磁極面4aに開口している。電磁コイル12に通電するリード線14は、図2に示すように、環状溝13内からフィールドコア4内を径方向の外側に向けて延び、フィールドコア4の外周面から導出されている。フィールドコア4におけるリード線14が貫通する部分には、ブッシュ15が設けられている。
フィールドコア4の外周部であって、上述した切欠き9やリード線14が存在しない部分には、図3に示すように、ガイドピン16と制動ばね17とが設けられている。ガイドピン16は、後述するアーマチュア5を支持するものである。ガイドピン16は、回転軸3の軸線と平行に延びる状態でフィールドコア4に固定されている。ガイドピン16の前端部は、フィールドコア4の磁極面4aから前方に突出している。このガイドピン16は、図1に示すように、回転軸3の軸線方向から見て、フィールドコア4を周方向に3等分する位置にそれぞれ配置されている。
制動ばね17は、アーマチュア5をハブ6に向けて付勢するもので、圧縮コイルばねによって構成されている。この実施の形態においては、この制動ばね17によって本発明でいう「ばね部材」が構成されている。この制動ばね17は、フィールドコア4に形成された非貫通穴18の中に圧縮された状態で収容されている。制動ばね17の前端部は、非貫通穴18の外に突出し、アーマチュア5に当接している。制動ばね17と非貫通穴18は、図1に示すように、フィールドコア4を周方向に3等分する位置であって、上述した3本のガイドピン16とはフィールドコア4の周方向に離間する位置にそれぞれ配置されている。
アーマチュア5は、磁性材によって円環板状に形成されており、フィールドコア4と後述するハブ6との間に配置されている。アーマチュア5の軸心部には、回転軸3が挿通される第2の貫通孔21が形成されている。第2の貫通孔21の孔径は、回転軸3の外径より大きい。この実施の形態による第2の貫通孔21の孔径は、第1の貫通孔11の孔径と同一である。アーマチュア5の外周部は、図1に示すように、回転軸の3の軸線方向から見て、上述した3本のガイドピン16や3個の制動ばね17より径方向の外側に延びる大きさに形成されている。この外周部には、フィールドコア4の切欠き9と隣り合う第1の切欠き22(図2参照)と、上述したガイドピン16が挿入される第2の切欠き23(図3参照)とが形成されている。上述した制動ばね17は、アーマチュア5の外周側に当接している。
アーマチュア5の第1の切欠き22は、アーマチュア5を周方向に2分する位置にそれぞれ形成されている。第2の切欠き23は、3本のガイドピン16と対応する3箇所にそれぞれ形成されている。これらのガイドピン16が第2の切欠き23に挿入されることによって、アーマチュア5がフィールドコア4に回転軸3の軸線方向へ移動自在に支持される。また、アーマチュア5は、ガイドピン16によって、フィールドコア4に対して回転することができない状態に連結される。この回転とは、回転軸3の軸線を中心とする回転である。
ハブ6は、図2および図3に示すように、回転軸3が貫通する円筒状のボス部24と、このボス部24の後端部に接続された円環板状の受圧部25とによって構成されている。この実施の形態においては、このハブ6によって、本発明でいう「被制動回転体」が構成されている。この実施の形態によるハブ6は、アルミニウム合金によって形成されている。
ハブ6の軸心部には、回転軸3が嵌合する第3の貫通孔26が形成されている。ボス部24には、径方向に延びるねじ孔27が形成されている。このねじ孔27にねじ込まれた固定用ボルト(図示せず)が回転軸3に押し付けられることによって、ハブ6が回転軸3に固定される。すなわち、ハブ6は、固定用ボルトが締め込まれた状態においては、回転軸3に対して軸線方向への移動が規制された状態で回転軸3と一体に回転する。
ハブ6の受圧部25には、摩擦板28が設けられている。摩擦板28は、円環板状に形成され、受圧部25におけるアーマチュア5と対向する側面に固着されている。摩擦板28は、アーマチュア5の外周部と対向する大きさに形成されている。この実施の形態においては、この摩擦板28によって、本発明でいう「摩擦部材」が構成されている。
回転軸3にハブ6を固定する位置は、フィールドコア4とアーマチュア5との間のエアギャップGの広さに対応して変わる。エアギャップGの広さを0.1mmとする場合は、例えば、ハウジング2aに固定されているフィールドコア4とアーマチュア5との間に厚みが0.1mmのシムを挿入する。そして、電磁コイル12に通電し、アーマチュア5を磁気によって制動ばね17のばね力に抗してフィールドコア4に吸着させる。次に、ハブ6の摩擦板28をアーマチュア5に押し付け、ハブ6のねじ孔27に固定用ボルトを締め込んでハブ6を回転軸3に固定する。しかる後、電磁コイル12への通電を絶ち、シムを取り外す。このようにシムが取り外されることにより、無励磁作動ブレーキ1のエアギャップGの広さが0.1mmになる。
この無励磁作動ブレーキ1は、このようにエアギャップGが設定されることによって完成状態となる。完成状態で例えば電磁コイル12に通電されると、アーマチュア5が磁気により制動ばね17のばね力に抗してフィールドコア4に吸着される。このとき、アーマチュア5がハブ6の摩擦板28から後方に離間するから、モータ2の回転によりハブ6が回転軸3と一体に回転する。一方、モータ2が停止して電磁コイル12への通電が絶たれると、アーマチュア5が制動ばね17のばね力で摩擦板28に押し付けられ、ハブ6が制動されて回転軸3が停止する。
次に、本発明に係る無励磁作動ブレーキの組立方法を説明する。この無励磁作動ブレーキ1は、図4のフローチャートに示す第1〜第4の組立ステップS1〜S4を実施することにより組立てられる。
第1の組立ステップS1が実施されることにより、無励磁作動ブレーキ1が輸送可能な状態に組立てられる。第1の組立ステップS1においては、先ず、フィールドコア4とアーマチュア5とを仮に組み合わせてブレーキ部品組立体31(図5参照)を形成する。
第1の組立ステップS1を実施するときのフィールドコア4には、電磁コイル12と、ガイドピン16と、制動ばね17などが予め組付けられている。次に、図5に示すように、このブレーキ部品組立体31の軸心部(第1および第2の貫通孔11,21)に後述するスナップピン32を回転軸3の代わりに挿入する。図5に示すブレーキ部品組立体31には、ハブ6は含まれていない。しかし、ブレーキ部品組立体31は、図6に示すように、ハブ6を含めて構成することができる。図6に示すブレーキ部品組立体31は、フィールドコア4と、アーマチュア5と、ハブ6とに後述するスナップピン32が挿通されている。
ここで、この実施の形態による無励磁作動ブレーキの組立方法を実施するにあたり使用するスナップピン32の構成を説明する。
スナップピン32は、図7(A)〜(C)に示すように、円筒状の軸部33と、この軸部33の一端部に突設された第1の係止部34と、軸部33の他端部に突設された第2の係止部35とによって構成されている。この実施の形態によるスナップピン32は、プラスチック材料によって所定の形状に成形されている。軸部33と、第1および第2の係止部34,35とは、成形によって一体に形成されている。この実施の形態においては、このスナップピン32によって、本発明でいう「連結部材」が構成されている。
軸部33は、図5および図6に示すように、ブレーキ部品組立体31の第1および第2の貫通孔11,21とハブ6の第3の貫通孔26に回転軸3の代わりに挿通されるものである。図5に示すスナップピン32の軸部33は、第1および第2の貫通孔11,21に挿通される長さに形成され、これらの貫通孔11,21に嵌合している。図6に示すスナップピン32の軸部33は、第1〜第3の貫通孔11,21,26に挿通される長さに形成され、第3の貫通孔26に嵌合している。
第1の係止部34は、図7に示すように、軸部33から径方向の外側に突出する円環板状に形成されている。
第2の係止部35は、軸部33に設けられた弾性片33aの先端部に径方向の外側に向けて突設されている。第2の係止部35と弾性片33aは、軸部33の周方向に並ぶ複数の位置に設けられている。この実施の形態による第2の係止部35と弾性片33aは、軸部33を周方向に3等分する位置に設けられている。この弾性片33aは、第2の係止部35を図5および図6において実線で示す使用位置と、径方向の内側に変位した着脱位置との間で変位可能に支持している。
図5に示す使用位置に位置している第2の係止部35は、フィールドコア4に後方から対向している。図6に示す使用位置に位置している第2の係止部35は、ハブ6のボス部24に前方から対向している。上述した着脱位置とは、図5に示すスナップピン32においては、図5中に二点鎖線で示すように、第2の係止部35が第1および第2の貫通孔11,21の中に入ることが可能な位置であり、図6に示すスナップピン32においては、図6中に二点鎖線で示すように、第2の係止部35が第3の貫通孔26の中に入ることが可能な位置である。
第2の係止部35は、図7(B)に示すように、軸部33の軸線方向から見て、軸部33に沿って湾曲する円弧状に形成されている。また、第2の係止部35の外周部であって、第1の係止部34とは反対側の端部には、テーパ面35aが形成されている。このテーパ面35aは、第1の係止部34から離れるにしたがって第2の係止部35の外径が次第に小さくなる形状に形成されている。
第1の組立ステップS1において、図5に示すようにスナップピン32をブレーキ部品組立体31の軸心部内に挿入するにあたっては、先ず、スナップピン32をアーマチュア5の第2の貫通孔21からフィールドコア4の第1の貫通孔11に挿入する。アーマチュア5の第2の貫通孔21にスナップピン32を挿入する際には、第2の係止部35のテーパ面35aを第2の貫通孔21の開口縁に当接させ、この状態でスナップピン32をアーマチュア5に押し付ける。このようにスナップピン32を押すことにより、力の作用する方向がテーパ面35aによって径方向の内側に変えられ、第2の係止部35が径方向の内側に向けて押される。この結果、弾性片33aが弾性変形し、第2の係止部35が着脱位置に変位する。
そして、この状態でスナップピン32をさらに押すことにより、軸部33が第2の貫通孔21に通される。このとき、フィールドコア4がアーマチュア5と並べられていると、スナップピン32を押すことにより第2の係止部35がフィールドコア4の第1の貫通孔11の中に入る。このようにスナップピン32の先端部を径方向の内側に押し縮めた状態でスナップピン32をさらに押す。そして、第2の係止部35が第1の貫通孔11の他端から出るまでスナップピン32を押すことにより、図5に示すように、弾性片33aのばね力で第2の係止部35が変位して使用位置に位置付けられる。また、このときは、第1の係止部34がアーマチュア5に前方から対向して接触する。なお、図5に示すスナップピン32は、図6に示すように、ブレーキ部品組立体31の軸心部に後方から挿入してもよい。
また、第1の組立ステップS1において、図6に示すようにスナップピン32をブレーキ部品組立体31の軸心部内に挿入するにあたっては、スナップピン32をフィールドコア4の第1の貫通孔11からアーマチュア5の第2の貫通孔21を経てハブ6の第3の貫通孔26に挿入する。この場合の第1の組立ステップS1は、フィールドコア4とアーマチュア5とにスナップピン32を挿入するステップと、ハブ6をアーマチュア5に摩擦板28を介して回転軸3の軸線方向に重ね、スナップピン32によって連結する連結ステップS1Aとによって実施される。この連結ステップS1Aが請求項2記載の発明でいう「連結ステップ」に相当する。なお、スナップピン32を挿入する方向は、上記とは逆方向とすることができる。この場合は、ハブ6がスナップピン32によってアーマチュア5に連結された後(連結ステップS1Aが実施された後)に、スナップピン32がフィールドコア4に挿通され、ブレーキ部品組立体31が形成される。
第1の組立ステップS1が終了することにより、フィールドコア4からアーマチュア5が離れることができなくなるから、制動ばね17がフィールドコア4とアーマチュア5とによって挟まれた状態に保持され、制動ばね17の脱落を防止することができる。
図5に示すブレーキ部品組立体31とハブ6や、図6に示すブレーキ組立体31は、第1の組立ステップS1が終了した後、モータ2に組み込まれる作業場所に輸送することができる。輸送の途中でアーマチュア5がフィールドコア4から分離して制動ばね17が脱落してしまうことはない。
図5に示すような、ハブ6を含まないブレーキ部品組立体31や、図6に示すような、ハブ6を含むブレーキ部品組立体31がモータ2に組み込むための作業場所に送られた後、第2の組立ステップS2が実施される。
第2の組立ステップS2においては、先ず、電磁コイル12が通電される。電磁コイル12が通電されると、アーマチュア5が制動ばね17のばね力に抗して磁気によってフィールドコア4に吸着される。なお、この通電を行う以前に、フィールドコア4とアーマチュア5との間に、エアギャップGに相当する厚みのシム(図示せず)を挿入しておくことができる。次に、この状態でスナップピン32の3個の第2の係止部35を径方向の内側に変位させて着脱位置に位置付ける。第2の係止部35をこのように変位させるためには、図示してはいないが、例えば円筒状の治具を3個の第2の係止部35のテーパ面35aに押し付けて行うことができる。
そして、スナップピン32をブレーキ部品組立体31から引き出す。このとき、アーマチュア5が磁気によってフィールドコア4に吸着されているから、制動ばね17が脱落することはない。このようにスナップピン32が取出された後、第3の組立ステップS3が実施される。ブレーキ部品組立体31から外されたスナップピン32は、フィールドコア4やアーマチュア5が製造される場所に戻される。
第3の組立ステップS3は、電磁コイル12が通電された状態で実施される。第3の組立ステップS3においては、先ず、フィールドコア4とアーマチュア5とからなるブレーキ部品組立体31の第1および第2の貫通孔11,21にモータ2の回転軸3を挿入する。次に、回転軸3に対するブレーキ部品組立体31の軸線方向の位置を決める。言い換えれば、フィールドコア4をモータ2のハウジング2aに固定用ボルト8によって固定する。その後、第4の組立ステップS4が実施される。
第4の組立ステップS4においては、ハブ6をアーマチュア5に摩擦板28を介して軸線方向に重ね、回転軸3に固定する。このとき、第2の組立ステップS2でフィールドコア4とアーマチュア5との間にシムが挿入された場合は、ハブ6の摩擦板28をアーマチュア5の前端面に押し付けた状態でハブ6を回転軸3に固定する。一方、第2の組立ステップS2でシムが挿入されることなく電磁コイル12が通電された場合は、摩擦板28がアーマチュア5からエアギャップGだけ離間する状態でハブ6を回転軸3に固定する。この第4の組立ステップS4が実施されることにより、無励磁作動ブレーキ1をモータ2に組付ける作業が完了する。
この実施の形態による無励磁作動ブレーキ1は、スナップピン32によって1つのブレーキ部品組立体31として組立て可能なフィールドコア4および制動ばね17と、アーマチュア5とを備えている。ブレーキ部品組立体31のアーマチュア5は、フィールドコア4から離れることができないものである。このため、制動ばね17が脱落することを防ぎながら、ブレーキ部品組立体31を運搬することができる。
スナップピン32の第2の係止部35は、軸部33の弾性片33aに支持されているから、弾性片33aが弾性変形することによって使用位置と着脱位置との間で簡単に移動できる。この第2の係止部35が着脱位置に位置付けられている状態においては、スナップピン32が第1および第2の貫通孔11,21に出入れ可能になる。
このため、ブレーキ部品組立体31を組立てるときにスナップピン32を簡単に装着できるとともに、ブレーキ部品組立体31がモータ2に組込まれるときにスナップピン32を簡単に取外すことができる。
スナップピン32は、回転軸3を通すために形成されている第1および第2の貫通孔11,21(図5参照)または第1〜第3の貫通孔26(図6参照)に通されている。このため、専らスナップピン32を通すための穴をフィールドコア4やアーマチュア5、ハブ6などに形成する必要はないから、製造コストを低く抑えることができる。また、スナップピン32は、第1および第2の係止部34,35とブレーキ部品組立体31とを係合させて部品の軸線方向への相対的な移動を規制する構成であるから、梱包用テープを使用する従来の無励磁作動ブレーキと較べると、制動ばね17の脱落防止を図るうえで信頼性が高い。
さらに、ブレーキ部品組立体31を被制動装置としてのモータ2に組付ける際に電磁コイル12に通電することによって、アーマチュア5がフィールドコア4に磁気によって吸着されるから、スナップピン32を外したとしても、制動ばね17の脱落防止が図られる。このため、ブレーキ部品組立体31をモータ2に組付けるときに制動ばね17が脱落することを確実に防ぐことができる。
ブレーキ部品組立体31をモータ2に組付けるときにはスナップピン32が残存していないから、第1および第2の貫通孔11,21の孔径(図5参照)または第1〜第3の貫通孔26の孔径(図6参照)を、回転軸3が挿通可能な最小限の孔径とすることができる。
したがって、この実施の形態によれば、フィールドコア4の径方向の小型化を図りながら、ブレーキ部品組立体31の状態で制動ばね17の脱落を簡単にかつ確実に防ぐことが可能な無励磁作動ブレーキの組立方法を提供できる。スナップピン32は、ブレーキ部品組立体31から外された後にフィールドコア4やアーマチュア5を製造する場所に戻されるから、繰り返し使用可能で、無駄がない。
この実施の形態によるハブ6は、回転軸3が挿通される第3の貫通孔26を有しているとともに、回転軸3に対して軸線方向の位置を変更可能に構成されている。このハブ6には摩擦板28が設けられている。このハブ6は、図6に示すように、スナップピン32によってフィールドコア4やアーマチュア5などの他の部品と連結されてブレーキ部品組立体31を形成できるものである。
このため、無励磁作動ブレーキ1の全ての部品をスナップピン32で保持し、梱包して輸送することができるから、無励磁作動ブレーキ1の運搬をより一層容易に行うことが可能になる。
この実施の形態による無励磁作動ブレーキ1の組立方法によれば、第1の組立ステップS1を実施することによって、フィールドコア4に対するアーマチュア5の軸線方向への移動がスナップピン32で規制される。第2〜第4の組立ステップS2〜S4においては、電磁コイル12が通電されてアーマチュア5が磁気によってフィールドコア4に吸着された状態で作業が行われる。
したがって、この実施の形態による無励磁作動ブレーキの組立方法によれば、ブレーキ部品組立体31の輸送、スナップピン32の取外し、ブレーキ部品組立体31のモータ2への組込みなどの全ての工程において、制動ばね17の脱落を防止することが可能になる。
この実施の形態による第1の組立ステップS1は、ハブ6をアーマチュア5に連結してハブ6を含むブレーキ部品組立体31を形成する連結ステップS1Aを有している。この実施の形態によれば、図6に示すように、無励磁作動ブレーキ1の全ての部品をスナップピン32によって保持された状態で輸送することができる。このため、フィールドコア4とアーマチュア5とからなるブレーキ部品組立体31とハブ6とを分けて輸送する場合と較べると、これらの部品の輸送を簡単に行うことができる。
この実施の形態による無励磁作動ブレーキの組立方法を実施するにあたって使用するスナップピン32は、弾性片33aが弾性変形することによって、第2の係止部35がブレーキ部品組立体31に係合する状態と、係合が解除される状態とを切替えることが可能なものである。このため、フィールドコア4に対するアーマチュア5の移動を規制するためにボルト(図示せず)を使用する場合と較べると、制動ばね17の脱落防止を図るための作業が簡単になる。
(第2の実施の形態)
スナップピンは、図8に示すように構成することができる。図8において、図1〜図7によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図8に示すスナップピン32は、第2の係止部35と軸部33の弾性片33aとが軸部33の周方向の2箇所に設けられている。これらの第2の係止部35と弾性片33aは、軸部33を周方向に2分する位置にそれぞれ設けられている。
このスナップピン32の軸部33は、周方向において弾性片33aと隣り合う一対のガイド片33bを有している。このガイド片33bは、第1および第2の貫通孔11,21、あるいは第3の貫通孔26に嵌合する形状に形成されている。この実施の形態による弾性片33aは、第1の実施の形態で示したスナップピン32の弾性片33aと較べると周方向に短く、弾性変形し易い形状に形成されている。
図8に示すスナップピン32を使用したとしても、第1の実施の形態を採るときと同等の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
スナップピンは図9〜図15に示すように構成することができる。図9〜図15において、図1〜図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図9(A)に示すスナップピン41は、軸心部に位置するインナーピン42と、このインナーピン42が挿入されたアウターピン43とによって構成されている。
インナーピン42は、図9(B)および図10(A)〜(D)に示すように、円柱状に形成された棒体44と、この棒体44の先端側に形成された3箇所の凹部45と、棒体44の先端部44aより細く形成されて棒体44から突出する小径部46と、この小径部46の先端から軸線方向に突出する円錐部47とを備えている。このインナーピン42は、プラスチック材料によって所定の形状に成形されている。
3箇所の凹部45は、図10(C)に示すように、棒体44を周方向に3等分する位置にそれぞれ形成されている。
棒体44の先端部44aは、棒体44の軸線方向において予め定めた長さに形成されている。円錐部47は、外径が棒体44と等しい円錐状に形成されている。円錐部47の外径は、棒体44から離れるにしたがって次第に小さくなる。このインナーピン42が請求項4記載の発明でいう「切替部材」に相当する。
アウターピン43は、図9(C)および図11(A)〜(D)に示すように、円筒状に形成された軸部51と、この軸部51の一端に設けられた第1の係止部52と、軸部51の弾性片51aに支持された第2の係止部53とによって構成されている。このアウターピン43は、プラスチック材料によって形成されている。アウターピン43の軸部51と、第1および第2の係止部52,53は、成形によって一体に形成されている。
軸部51の軸心部の第4の貫通孔54{図11(D)参照}は、図12〜図15に示すように、インナーピン42の棒体44が移動自在に嵌合する形状に形成されている。
第1の係止部52は、円環板状に形成されており、軸部51から径方向の外側に突出している。
弾性片51aと第2の係止部53は、図11(B)に示すように、軸部51を周方向に3等分する位置にそれぞれ設けられている。3つの弾性片51aは、軸部51より外径が小さい円筒(図示せず)を周方向に3分割した形状に形成されている。弾性片51aどうしの間には、図11(A)に示すように、隙間dが形成されている。
第2の係止部53は、弾性片51aの先端部に径方向の外側に向けて突設されている。この第2の係止部53の外径は、軸部51の外径と等しい。
第2の係止部53の先端部には、テーパ面53a{図11(A)参照}と、爪片55{図11(D)参照}とが形成されている。テーパ面53aは、軸部51から離れるにしたがって第2の係止部53の外径が小さくなる形状に形成されている。爪片55は、径方向の内側に向けて突出している。爪片55は、先端に向かうにしたがって尖る形状に形成されている。詳述すると、爪片55は、図11(C)に示すように、軸部51の軸線方向から見て軸部51の軸心を指向する扇状に形成されている。また、爪片55の厚み(軸部51の軸線方向における長さ)は、図11(D)に示すように、先端に向かうにしたがって次第に薄くなっている。
このように構成されたスナップピン41は、図12〜図15に示すように使用される。このスナップピン41でフィールドコア4とアーマチュア5とからなるブレーキ部品組立体31を形成するためには、先ず、図12に示すように、フィールドコア4とアーマチュア5とを仮に組み合わせた状態で第1および第2の貫通孔11,21にアウターピン43を挿入する。図12は、アウターピン43を第2の貫通孔21から挿入した状態を示している。図12〜図15に示すアウターピン43の軸部51と第2の係止部53の外径は、第1および第2の貫通孔11,21の内径と等しい。また、第1の係止部52と第2の係止部53の間隔は、フィールドコア4とアーマチュア5とからなるブレーキ部品組立体31の、制動ばね17が僅かに圧縮された状態における全長に等しい。
アウターピン43をアーマチュア5の第2の貫通孔21に挿入して押し込むと、図12に示すように、第1の係止部52がアーマチュア5に当たる。この状態でインナーピン42を押し込むと、円錐部47が第2の係止部53の爪片55を押し、制動ばね17が圧縮されてアウターピン43がアーマチュア5とともに前進する。そして、第2の係止部53が第1の貫通孔11から出たときに、円錐部47によって径方向の外側に押され、弾性片51aの弾性変形を伴って図13に示す使用位置に位置付けられる。そして、爪片55がインナーピン42の小径部46に当たり、第2の係止部53がフィールドコア4に後方から対向する状態が保持される。このように第2の係止部53が使用位置に位置することによって、アーマチュア5がフィールドコア4から離れる方向へ移動できなくなり、制動ばね17の脱落が防止される。
このスナップピン41をブレーキ部品組立体31から取外すためには、先ず、電磁コイル12に通電してアーマチュア5を磁気によってフィールドコア4に吸着させる。そして、インナーピン42の棒体44を図13に示す位置からアウターピン43内にさらに押し込み、棒体44の先端部を第2の係止部53の爪片55に押し付ける。この状態で棒体44をさらに押し込むと、爪片55が棒体44の先端部によって押されて径方向の外側に変位し、図14に示すように、棒体44の先端部44aの外周面と重なる。そして、インナーピン42の棒体44をさらにアウターピン43の中に押し込み、爪片55が先端部44aから外れると、弾性片51aのばね力で第2の係止部53が径方向の内側に移動する。そして、図15に示すように、第2の係止部53の爪片55がインナーピン42の凹部45の中に収容され、第2の係止部53が初期の位置(着脱位置)に戻される。このように第2の係止部53が初期の着脱位置に戻った状態でアウターピン43をブレーキ部品組立体31から引き出すことにより、スナップピン41をブレーキ部品組立体31から取外すことができる。
この実施の形態によるスナップピン41のインナーピン42は、第2の係止部53が軸部51の径方向外側に向けて押されて使用位置に位置付けられる第1の形態と、第2の係止部53の押圧状態が解消されて第2の係止部53が着脱位置に位置付けられる第2の形態とを切替えるものである。
このため、この実施の形態によれば、インナーピン42をアウターピン43(軸部51)に対して移動させるだけで第2の係止部53が使用位置と着脱位置との間で移動するから、工具や専用の治具を使用することなくスナップピン41の着脱を行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、無励磁作動ブレーキ1の組立をより一層簡単に行うことが可能になる。
(第3の実施の形態の変形例)
インナーピンとアウターピンとからなるスナップピンは、図16に示すように、ハブを含むブレーキ部品組立体に使用することができる。図16において、図1〜図15によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図16に示すスナップピン41は、フィールドコア4の第1の貫通孔11からブレーキ部品組立体31内に挿入されている。このブレーキ部品組立体31の第3の貫通孔26の孔径は、第1および第2の貫通孔11,21の孔径と同一である。また、この実施の形態によるアウターピン43の軸部51と第2の係止部53の外径は、第1〜第3の貫通孔26の孔径と等しい。さらに、第1の係止部52と第2の係止部53との間隔は、フィールドコア4と、アーマチュア5と、ハブ6とからなるブレーキ部品組立体31の、制動ばね17が僅かに圧縮された状態における全長に等しい。
図16に示すスナップピン41を使用すると、無励磁作動ブレーキ1の全ての部品を1つの組立体として取扱うことができる。このため、この実施の形態によれば、無励磁作動ブレーキ1の運搬を簡単に行うことができるとともに、インナーピン42の操作のみによってスナップピン41の着脱が可能であるから、組立作業も簡単に行うことができる。
1…無励磁作動ブレーキ、3…回転軸、4…フィールドコア、5…アーマチュア、6…ハブ(被制動回転体)、11…第1の貫通孔、12…電磁コイル、21…第2の貫通孔、17…制動ばね(ばね部材)、26…第3の貫通孔、28…摩擦板(摩擦部材)、31…ブレーキ部品組立体、32,41…スナップピン(連結部材)、33,51…軸部、33a,51a…弾性片、34,52…第1の係止部、35,53…第2の係止部、42…インナーピン(切替部材)、43…アウターピン、S1…第1の組立ステップ、S2…第2の組立ステップ、S3…第3の組立ステップ、S4…第4の組立ステップ、S1A…連結ステップ。

Claims (4)

  1. 回転軸が挿通される第1の貫通孔を有するフィールドコアと、
    前記回転軸が挿通される第2の貫通孔を有し、前記フィールドコアに前記回転軸の軸線方向へ移動自在に支持されたアーマチュアと、
    前記フィールドコアに設けられ、通電されることにより磁束が発生して前記アーマチュアを前記フィールドコアに磁気によって吸着させる電磁コイルと、
    前記フィールドコアに設けられ、前記アーマチュアを前記フィールドコアから離間する方向へ付勢するばね部材とからなるブレーキ部品組立体の前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に前記回転軸の代わりに連結部材を挿入し、この連結部材の両端部に設けられた係止部を前記ブレーキ部品組立体に前記軸線方向の両側から対向させる第1の組立ステップと、
    前記電磁コイルに通電し、前記アーマチュアが前記ばね部材のばね力に抗して前記フィールドコアに磁気によって吸着された状態で前記連結部材を前記ブレーキ部品組立体から出す第2の組立ステップと、
    前記ブレーキ部品組立体の前記第1および第2の貫通孔に前記回転軸を挿入するとともに、前記回転軸に対する前記ブレーキ部品組立体の軸線方向の位置を決める第3の組立ステップと、
    前記回転軸が挿通される第3の貫通孔を有しかつ前記回転軸に対して前記軸線方向の位置を変更可能に構成された被制動回転体を、前記アーマチュアに摩擦部材を介して前記軸線方向に重ね、前記回転軸に固定する第4の組立ステップとを有することを特徴とする無励磁作動ブレーキの組立方法。
  2. 請求項1記載の無励磁作動ブレーキの組立方法において、
    前記第1の組立ステップは、
    前記回転軸が挿通される第3の貫通孔を有しかつ前記回転軸に対して前記軸線方向の位置を変更可能に構成された被制動回転体を、前記アーマチュアに摩擦部材を介して前記軸線方向に重ね、前記フィールドコア、前記アーマチュアおよび前記被制動回転体を含むブレーキ部品組立体を形成する連結ステップを有することを特徴とする無励磁作動ブレーキの組立方法。
  3. 回転軸が挿通可能な第1の貫通孔を有するフィールドコアと、
    前記回転軸が挿通可能な第2の貫通孔を有し、前記フィールドコアに前記回転軸の軸線方向へ移動自在に支持されたアーマチュアと、
    前記フィールドコアに設けられ、通電されることにより磁束が発生して前記アーマチュアを前記フィールドコアに磁気によって吸着させる電磁コイルと、
    前記フィールドコアに設けられ、前記アーマチュアを前記フィールドコアから離間する方向へ付勢するばね部材と、
    前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に挿入された軸部を有しかつ両端部に係止部が設けられた連結部材とを備えた輸送用のブレーキ部品組立体であって、
    前記係止部は、前記軸部の一端部に突設された第1の係止部と、前記軸部の他端部に突設された第2の係止部とから構成され、
    前記軸部は、
    前記第1の係止部と第2の係止部とのうち一方の係止部を前記ブレーキ部品組立体に前記軸線方向において対向する使用位置と、
    前記軸線方向から見て前記ブレーキ部品組立体の軸心部の貫通孔の中に入る着脱位置との間で変位可能に支持する弾性片を有していることを特徴とする輸送用のブレーキ部品組立体。
  4. 請求項3記載の輸送用のブレーキ部品組立体において、
    前記軸部は、円筒状に形成され、
    前記第1の係止部と前記第2の係止部とのうち前記一方の係止部と、この係止部を支持する前記弾性片は、前記軸部の周方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられ、
    前記軸部の中には、前記一方の係止部が前記軸部の径方向外側に向けて押されて前記使用位置に位置付けられる第1の形態と、前記一方の係止部の押圧状態が解消されてこの係止部が前記着脱位置に位置付けられる第2の形態とを切替える切替部材が挿入されていることを特徴とする輸送用のブレーキ部品組立体。
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