本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を記述する目的のためだけであり、限定するとは意図されない。
本明細書において使用される時、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」には、文脈が別段明確に指示しない限り複数の指示物が含まれる。
本明細書における数値範囲の列挙については、同程度の精度でその間に介在する各々の数が明示的に企図される。例えば、6〜9の範囲については、数7及び8が6及び9に加えて企図され、6.0〜7.0の範囲については、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明示的に企図される。
本明細書において使用される時、「急性Mtb抗原」は、急性期結核感染に関与する任意のMtb抗原を意味する。
本明細書において使用される時、「アジュバント」は、本明細書において記載される任意の組成物へ添加してMtb抗原の免疫原性を促進する任意の分子を意味する。
本明細書において使用される時、「コード配列」または「コード核酸」はMtb抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNA分子またはDNA分子)を意味する。コード配列には、調節エレメントへ作動可能に連結された開始シグナル及び終結シグナルがさらに含まれ、それらには、核酸が投与される個体または哺乳類の細胞における発現を指令することができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルが含まれ得る。
本明細書において使用される時、「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、特定のMtb抗原の複数のサブタイプのアライメントの分析に基づくポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。かかる抗原をコードするコンセンサス配列及び/または核酸分子を含むMtb抗原を含むワクチンを使用して、特定の抗原の複数のサブタイプまたはセロタイプに対する幅広い免疫を誘導することができる。
本明細書において使用される時、「エレクトロポレーション」は、生体膜における微視的な経路(孔)を誘導し、それらの存在が、細胞膜の1つの側面から他の側面へ生体分子(プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン及び水等)が通過することを可能にする、膜貫通電場パルスの使用を意味する。
本明細書において使用される時、核酸配列に関して「断片」は、全長の野生型Mtb抗原と交差反応する、哺乳類における免疫応答を誘発できるMtb抗原の部分をコードする、核酸配列またはその部分を意味する。断片は、以下に説明されるタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。
本明細書において使用される時、ポリペプチド配列に関して「断片」または「免疫原性断片」は、全長の野生型株Mtb抗原と交差反応する、哺乳類における免疫応答を誘発できる、MTB抗原の部分を意味する。コンセンサスまたは野生型のMtb抗原の断片は、コンセンサスまたは野生型のMtb抗原の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を含むことができる。いくつかの実施形態において、コンセンサスタンパク質の断片は、コンセンサスまたは野生型のタンパク質のうちの少なくとも20アミノ酸以上、少なくとも30アミノ酸以上、少なくとも40アミノ酸以上、少なくとも50アミノ酸以上、少なくとも60アミノ酸以上、少なくとも70アミノ酸以上、少なくとも80アミノ酸以上、少なくとも90アミノ酸以上、少なくとも100アミノ酸以上、少なくとも110アミノ酸以上、少なくとも120アミノ酸以上、少なくとも130アミノ酸以上、少なくとも140アミノ酸以上、少なくとも150アミノ酸以上、少なくとも160アミノ酸以上、少なくとも170アミノ酸以上、少なくとも180アミノ酸以上を含むことができる。
本明細書において使用される時、「遺伝子コンストラクト」は、Mtb抗原をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子またはRNA分子を指す。コード配列には、調節エレメントへ作動可能に連結された開始シグナル及び終結シグナルが含まれ、それらには、核酸分子が投与される個体の細胞における発現を指令することができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルが含まれる。
本明細書において使用される時、「発現可能な形態」は、個体の細胞中に存在する場合にコード配列が発現されるように、Mtb抗原をコードするコード配列へ作動可能に連結された必要な調節エレメントを含有する遺伝子コンストラクトを指す。
本明細書において使用される時、「相同性」は、相補性の程度を指す。部分的相同性または完全相同性(すなわち同一性)があり得る。完全に相補的な配列が標的核酸へハイブリダイズすることを、少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な配列は、機能的な用語「実質的に相同」を使用して表される。二本鎖核酸配列(cDNAまたはゲノムクローン等)に関して使用される場合、「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖へハイブリダイズできるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合、「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸鋳型配列へハイブリダイズできる(すなわち、その相補物である)プローブを指す。
本明細書において使用される時、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、「同一である」または「同一性」は、配列が規定された領域にわたって規定されたパーセンテージの同じ残基を有することを意味する。パーセンテージは、2つの配列を最適に整列させること、規定された領域にわたって2つの配列を比較すること、同一の残基が両方の配列において生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得ること、規定された領域中の位置の合計の数によってマッチした位置の数を割ること、及び結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算することができる。2つの配列が異なる長さであるかまたはアライメントが1つまたは複数の付着末端を産生し、比較の規定された領域が単一配列のみを含む事例において、単一配列の残基は、計算の分子ではなく分母中に含まれる。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)及びウラシル(U)残基は等価であると判断できる。同一性は、手動でまたはコンピューター配列アルゴリズム(BLASTまたはBLAST 2.0等)の使用によって行うことができる。
本明細書において使用される時、「免疫応答」は、Mtb抗原の導入に応答して、宿主の免疫系(例えば哺乳類の免疫系)の活性化を意味する。免疫応答は、細胞性応答もしくは液性応答の形態、または両方であり得る。
本明細書において使用される時、「潜伏Mtb抗原」は、潜伏期結核感染に関与する任意のMtb抗原を意味する。
本明細書において使用される時、「Mtb抗原」は、ヒト型結核菌からの抗原(単離された抗原であり得る)、または他の抗原(複数可)との融合タンパク質の一部分を形成する抗原を意味する。
本明細書において使用される時、「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または、「ポリヌクレオチド」は、ともに共有結合で連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の描写は相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸は描写された一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントは、与えられた核酸と同じ目的のために使用できる。したがって、核酸は実質的に同一の核酸及びその相補物も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列へハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。核酸は一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖配列及び一本鎖配列の両方の部分を含有することができる。核酸はDNA(ゲノムDNA及びcDNAの両方)、RNA、またはハイブリッドであり得、核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組み合わせ、ならびに塩基の組み合わせ(ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン及びイソグアニンが含まれる)を含有することができる。核酸は化学合成法または組換え法によって得ることができる。
本明細書において使用される時、「作動可能に連結される」は、遺伝子の発現が、遺伝子が空間的に接続されるプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、プロモーターの制御下の遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に配置することができる。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターとプロモーターが由来する遺伝子においてプロモーターが制御する遺伝子との間の距離とおよそ同じであり得る。当該技術分野において公知のように、この距離におけるバラツキは、プロモーター機能の損失なしに適合させることができる。
本明細書において使用される時、「プロモーター」は、細胞中での核酸の発現を付与、活性化または促進することができる、合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、発現をさらに促進するならびに/または核酸の空間的発現及び/もしくは時間的発現を変更する、1つまたは複数の特異的転写調節配列を含むことができる。プロモーターは遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントも含むことができ、それらは転写の開始部位から数千塩基対ほどに配置することができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫及び動物が含まれる源に由来し得る。プロモーターは、発現が起こる細胞、組織もしくは器官に関して、または発現が起こる発生ステージに関して、または外部刺激(生理的ストレス、病原体、金属イオンまたは誘導剤等)に応答して、遺伝子構成要素の発現を構成的にまたは差異的に調節することができる。
本明細書において使用される時、「蘇生Mtb抗原」は、結核感染の蘇生または再活性化に関与する任意のMtb抗原を意味する。
本明細書において使用される時、互換的に使用される「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書において説明されるMtb抗原性タンパク質のアミノ末端に連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的にはタンパク質の局所化を指令する。本明細書において使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質が産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進するか、または膜中にタンパク質をアンカーすることができる。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、細胞からの分泌に際して、タンパク質の残り(多くの場合成熟タンパク質と称される)から切断される。シグナルペプチド/リーダー配列はタンパク質のN末端に連結される。
本明細書において使用される時、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複合体混合物等中で、第1の核酸配列(例えばプローブ)が第2の核酸配列(例えば標的)へハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況において異なるだろう。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHでの特異的配列についての熱融解点(Tm)よりも約5〜10℃低いように選択することができる。Tmは、標的へ相補的なプローブの50%が、平衡で標的配列へハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH及び核酸濃度下で)であり得る(標的配列がTmで過剰に存在するので、平衡ではプローブの50%は占領される)。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が、約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度等の約1.0M未満のナトリウムイオン(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば約10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃及び長いプローブ(例えば約50ヌクレオチドより長い)について少なくとも約60℃である、条件であり得る。ストリンジェントな条件は、不安定化剤(ホルムアミド等)の添加により達成することもできる。選択的または特異的なハイブリダイゼーションについて、陽性シグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2〜10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、以下の、42℃でのインキュベーションで、50%ホルムアミド、5×SSC及び1%SDS、または65℃でのインキュベーションで、5×SSC、1%SDS、そして65℃での0.2×SSC及び0.1%SDS中の洗浄が含まれる。
本明細書において使用される時、「実質的に相補的」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540もしくはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の相補物へ、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または2つの配列が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
本明細書において使用される時、「実質的に同一」は、第1及び第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540もしくはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、または第1の配列が第2の配列の相補物へ実質的に相補的であるならば、核酸に関する領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であることを意味する。
本明細書において使用される時、核酸に関して「バリアント」は、i)参照されたヌクレオチド配列の部分もしくは断片;ii)参照されたヌクレオチド配列もしくはその部分の相補物;iii)参照された核酸もしくはその相補物に実質的に同一の核酸;またはiv)参照された核酸、その相補物もしくはそれに実質的に同一の配列へストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を意味する。
本明細書において使用される時、ペプチドまたはポリペプチドに関して「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失または保存的置換によってアミノ酸配列は異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持することを意味する。バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を備えた参照されたタンパク質に実質的に同一のアミノ酸配列を備えたタンパク質も意味することができる。アミノ酸の保存的置換、すなわち、類似する特性(例えば親水性、荷電領域の程度及び分布)の異なるアミノ酸によりアミノ酸を置き換えることは、典型的にはわずかな変化を伴うと当技術分野において認識される。生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、アミノ酸の相対的な類似性及び特にそれらのアミノ酸の側鎖(疎水性、親水性、電荷、サイズ及び他の特性によって現わされるような)に依存することが理解される。
本明細書において使用される時、「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、バクテリア人工染色体または酵母人工染色体であり得る。ベクターはDNAベクターまたはRNAベクターであり得る。ベクターは自己複製する染色体外ベクターであり得る。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む。
いくつかの実施形態において、任意の特定のMtb抗原をコードする核酸分子は、マイコバクテリウムの配列、細菌のコドンに至適化された配列(大腸菌に至適化された配列等)、または哺乳類に至適化された配列(ヒトに至適化された配列等)であり得る。大腸菌に至適化された配列は、例えば融合タンパク質の産生に使用することができる。ヒトに至適化された配列は、例えばウイルスベクター中で使用することができる。コドン至適化(細菌または哺乳類のためのものにかかわらず)の方法は当業者に周知である。
いくつかの実施形態において、急性Mtb抗原は、Ag85B、ESAT6、MPT64、PPE15、PPE51またはRv3615cである。いくつかの実施形態において、急性Mtb抗原は、Ag85B、ESAT6またはRv3615cである。いくつかの実施形態において、急性Mtb抗原はAg85BまたはESAT6である。追加の急性Mtb抗原は当業者に周知である。
急性Mtb抗原Ag85BはRv1886cとしても公知である。Ag85Bをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:1(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)、配列番号:2(大腸菌に至適化された)及び配列番号:3(ヒトに至適化された)として表1中で示され、Ag85Bのアミノ酸配列は、配列番号:4(マイコバクテリウムの配列)及び配列番号:5(大腸菌及びヒトに至適化された)として表1中で示される。
急性Mtb抗原ESAT−6はRv3875としても公知である。ESAT−6をコードするヌクレオチド配列は、配列番号:6(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)及び配列番号:7(ヒトに至適化された)として表1中で示され、SAT−6のアミノ酸配列は配列番号:8として表1中で示される。
急性Mtb抗原MPT64はRv1980cとしても公知である。急性Mtb抗原MPT64をコードするヌクレオチド配列は、配列番号:9(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)及び配列番号:10(ヒトに至適化された)として表1中で示され、MPT64のアミノ酸配列は配列番号:11として表1中で示される。
急性Mtb抗原PPE15はRv1039cとしても公知である。急性Mtb抗原PPE15をコードするヌクレオチド配列は、配列番号:12(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)及び配列番号:13(ヒトに至適化された)として表1中で示され、PE15のアミノ酸配列は配列番号:14として表1中で示される。
急性Mtb抗原PPE51はRv3136としても公知である。急性Mtb抗原PPE51をコードするヌクレオチド配列は、配列番号:15(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)、配列番号:16(大腸菌に至適化された)及び配列番号:17(ヒトに至適化された)として表1中で示され、PPE51のアミノ酸配列は配列番号:18として表1中で示される。
急性Mtb抗原Rv3615cをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:19(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)及び配列番号:20(ヒトに至適化された)として表1中で示され、Rv3615cのアミノ酸配列は配列番号:21として表1中で示される。
いくつかの実施形態において、潜伏Mtb抗原はRv1733c、Rv2626c、Rv3407またはRv2628cである。いくつかの実施形態において、潜伏Mtb抗原はRv1733cまたはRv2626cである。追加の潜伏Mtb抗原は当業者に周知である。
野生型潜伏Mtb抗原Rv1733cをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:22(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)、配列番号:23(大腸菌に至適化された)として表2中で示され、野生型Rv1733cのアミノ酸配列は配列番号:24として表2中で示される。これらの配列はRv1733cの2つの膜貫通領域を含む。両方の膜貫通領域を欠失したRv1733cをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:25(大腸菌に至適化された)及び配列番号:26(ヒトに至適化された)として表2中で示され、対応するアミノ酸配列は、配列番号:27(大腸菌に至適化された)及び配列番号:28(ヒトに至適化された)として表2中で示される(Rv1733cΔTM)。いくつかの実施形態において、第1及び/もしくは第2の膜貫通領域の部分のみまたは両方の膜貫通領域が欠失される。大腸菌に至適化されたヌクレオチド配列(配列番号:23)において、XmaI制限部位を加え、これはアミノ酸PGの追加に対応し;XbaI制限部位を加え、これはアミノ酸SRの追加に対応する(下線が引かれ太字で示される、加えられた配列を参照)。
潜伏Mtb抗原Rv2626cをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:29(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)、配列番号:30(大腸菌に至適化された)及び配列番号:31(ヒトに至適化された)として表2中で示され、Rv2626cのアミノ酸配列は配列番号:32として表2中で示される。
潜伏Mtb抗原Rv3407をコードするヌクレオチド配列は、配列番号:33(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)、配列番号:34(大腸菌に至適化された)及び配列番号:35(ヒトに至適化された)として表2中で示され、Rv3407のアミノ酸配列は配列番号:36として表2中で示される。
潜伏Mtb抗原Rv2628cをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:37(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)及び配列番号:38(ヒトに至適化された)として表2中で示され、Rv2628cのアミノ酸配列は配列番号:39として表2中で示される。
いくつかの実施形態において、蘇生Mtb抗原は、RpfB、RpfDまたはRpfEである。いくつかの実施形態において、蘇生Mtb抗原はRpfBまたはRpfDである。追加の蘇生抗原には、Rv0867c、Rv0288、Rv1009、Rv0685、Rv0824c、Rv2744c、Rv3347c、Rv1130、Rv1169c、R
vl884c、Rv2389c及びRv2450cが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、蘇生抗原は、Rv0867c、Rv1884cまたはRv2389cである。追加の蘇生Mtb抗原は当業者に周知である。いくつかの実施形態において、蘇生抗原は、以下のRv0867c、Rv0288、Rv1009、Rv0685、Rv0824c、Rv2744c、Rv3347c、Rv1130、Rv1169c、Rvl884c、Rv2389c及びRv2450cのうちの任意の1つまたは複数ではない。いくつかの実施形態において、蘇生抗原は、Rv0867c、Rv1884cまたはRv2389cではない。
蘇生Mtb抗原RpfBはRv1009としても公知である。蘇生Mtb抗原RpfBをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:40(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)及び配列番号:41(マイコバクテリウムの配列;シグナル配列を欠失)として表3中で示され、それらに対応するRpfBのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:42及び配列番号:43として表3中で示される。
蘇生Mtb抗原RpfDはRv2389cとしても公知である。蘇生Mtb抗原RpfDをコードするヌクレオチド配列は、配列番号:44(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)、配列番号:45(大腸菌に至適化された;リーダー配列を欠失)及び配列番号:46(ヒトに至適化された;リーダー配列は存在)として表3中で示され、RpfDのアミノ酸配列は、配列番号:47(大腸菌に至適化された)及び配列番号:48(マイコバクテリウムの配列でありヒトに至適化された)として表3中で示される。
蘇生Mtb抗原RpfEはRv2450cとしても公知である。蘇生Mtb抗原RpfEをコードするヌクレオチド配列は配列番号:49(マイコバクテリウムの配列;非至適化コドン)として表3中で示され、RpfEのアミノ酸配列は配列番号:50として表3中で示される。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも4つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも5つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも6つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも3から少なくとも6つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも3から少なくとも5つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも3または少なくとも4つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも4から少なくとも6つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも4または少なくとも5つのMtb抗原を含む。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、RpfB、ESAT6、Rv1733c及びRv2626c Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、Ag85B、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、Ag85B、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、PPE51、Rv1733c、Rv2628c及びRpfD Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、PPE51、Rv1733c、Rv2628c及びRpfB Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、Rv3407、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、Rv3407、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原を含む。
本明細書において説明される融合タンパク質の任意の実施形態において、個々のMtb抗原は任意の順序で存在し得る。例えば、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原を含む融合タンパク質について、第1の(またはN末端の)抗原は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626cまたはRpfDであり得;第2の抗原は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626cまたはRpfDであり得;第3の抗原は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626cまたはRpfDであり得;第4の(またはC末端の)抗原は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626cまたはRpfDであり得る。本明細書において開示されるすべての融合タンパク質について同様である。
個々のMtb抗原は、C末端をN末端へという様式でリンカーなしにともに連結することができる(すなわちESAT6のC末端はRv1733cのN末端に直接連結される)。あるいは、リンカーを、本明細書において開示される任意の融合タンパク質内の2つの任意のMtb抗原の間に存在させることができる。いくつかの実施形態において、リンカーは1つまたは複数の制限部位を任意で含有するDNAまたはRNAのセグメントであり、そこでリンカーは、本明細書において開示される任意の融合タンパク質のうちの2つのMtb抗原をコードする核酸分子の間に挿入される。表5は、融合タンパク質コンストラクトの中への制限部位の導入に使用される、特定のMtb抗原についての代表的なプライマーを示す。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はESAT6−Rv1733c−Rv2626c−RpfDを含む(コンストラクトA;ヌクレオチド配列は、配列番号:51(大腸菌に至適化された;挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる)及び配列番号:52(ヒトに至適化された;挿入されたBstBI、PvuI及びAscI制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる)であり;対応するアミノ酸配列は配列番号:53(大腸菌に至適化された)及び配列番号:54(ヒトに至適化された)である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はESAT6−Rv1733c−Rv2626c−RpfBを含む(コンストラクトB;ヌクレオチド配列は配列番号:55であり、挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:56である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はRpfB−ESAT6−Rv1733c−Rv2626cを含む(コンストラクトC;ヌクレオチド配列は配列番号:57であり、挿入されたBamHI、EcoRI、SacI及びSacI制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:58である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はAg85B−ESAT6−Rv1733c−Rv2626c−RpfDを含む(コンストラクトD;ヌクレオチド配列は、配列番号:59(大腸菌に至適化された;挿入されたBamHI、EcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる)及び配列番号:60(ヒトに至適化された;挿入されたXmaI、BstBI、PvuI及びAscI制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる)であり;アミノ酸配列は配列番号:61(大腸菌に至適化された)及び配列番号:62(ヒトに至適化された)である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はPPE51−Rv1733c−Rv2628c−RpfDを含む(コンストラクトE;ヌクレオチド配列は配列番号:63であり、挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:64である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はPPE51−Rv1733c−Rv2628c−RpfBを含む(コンストラクトF;ヌクレオチド配列は配列番号:65であり、挿入されたEcoRI、SalI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:66である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はRv3407−Rv1733c−Rv2626c−RpfBを含む(コンストラクトG;ヌクレオチド配列は配列番号:67であり、挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:68である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はRv3407−Rv1733c−Rv2626c−RpfDを含む(コンストラクトH;ヌクレオチド配列は配列番号:69であり、挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:70である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はPPE51−Rv1733c−Rv2626c−RpfDを含む(コンストラクトI;ヌクレオチド配列は配列番号:71であり、挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:72である;表4を参照)。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質はPPE51−Rv1733c−Rv2626c−RpfBを含む(コンストラクトJ;ヌクレオチド配列は配列番号:73であり、挿入されたEcoRI、SacI及びHindIII制限部位は、それぞれ太字で下線が引かれる;アミノ酸配列は配列番号:74である;表4を参照)。
任意のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)は、表1〜4中でリストされる特定のアミノ酸配列へ100%または70%〜99.9%同一のアミノ酸配列を有することができる。任意の個々のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)のアミノ酸配列は、表1〜4中でリストされる特定のアミノ酸配列へ少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり得る。アミノ酸またはヌクレオチド配列に関して、同一性または類似性は、配列をアライメントさせ、必要であるならばギャップを導入して最大のパーセント配列同一性を達成した後で、表1〜4中で示されるMtb抗原についてのアミノ酸またはヌクレオチド配列と同一(すなわち同じ残基)である、特定のMtb抗原中のアミノ酸残基(または事例に応じてヌクレオチド残基)のパーセンテージとして本明細書において定義される。パーセント配列同一性は、例えばSmith and Watermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,82−489)を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Unixのためのバージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison、WI)によって、デフォルト設定を使用して、決定することができる。%同一性として計算された任意のアミノ酸数は、事例に応じて、最も近い整数へ切り上げまたは切り捨てることができる。
任意のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)は、表1〜3中でリストされる特定のアミノ酸配列の断片であり得る。任意の個々のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)のアミノ酸配列は、表1〜3中でリストされる特定のアミノ酸配列のうちの少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、少なくとも5%、少なくとも4%、少なくとも3%、少なくとも2%または少なくとも1%を構成する連続アミノ酸を欠損することができる。省略された連続アミノ酸は、抗原のC末端部分またはN末端部分からであり得る。あるいは、省略された連続アミノ酸は抗原の内部部分からであり得、したがって少なくとも抗原のC末端及びN末端のアミノ酸を保持する。
任意のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)は、表1〜3中でリストされる特定のアミノ酸配列に比較して、1つまたは複数のアミノ酸の追加、欠失または置換を有することができる。任意の個々のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)は、表1〜3中でリストされる特定のアミノ酸配列に比較して、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、または少なくとも12のアミノ酸の追加、欠失または置換を有することができる。アミノ酸追加、欠失または置換はMtb抗原内の任意のアミノ酸位置で起こり得る。
特定のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)が、少なくとも1つまたは複数の置換を含む場合には、置換アミノ酸(複数可)は、各々独立して任意の天然に存在するアミノ酸または任意の天然に存在しないアミノ酸であり得る。したがって、特定のMtb抗原は、天然に存在するアミノ酸である1つもしくは複数のアミノ酸置換及び/または天然に存在しないアミノ酸である1つもしくは複数のアミノ酸置換を含むことができる。個々のアミノ酸置換は、以下の、1)非極性側鎖を備えたアミノ酸のセット(例えばAla、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Val);2)負に荷電した側鎖を備えたアミノ酸のセット(例えばAsp、Glu);3)正に荷電した側鎖を備えたアミノ酸のセット(例えばArg、His、Lys);ならびに4)Cys、Gly、Met及びPheを加えた、非荷電性極性側鎖を備えたアミノ酸のセット(例えばAsn、Cys、Gln、Gly、His、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、Tyr)のうちの任意の1つから選択される。1つのクラスのメンバーを同じクラスの別のメンバーにより置換することは本明細書において企図される。天然に存在するアミノ酸には、例えばアラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)及びバリン(Val)が含まれる。天然に存在しないアミノ酸には、例えばノルロイシン、オミチン(omithine)、ノルバリン、ホモセリン、及びEllman et al.,Meth.Enzym.,1991,202,301−336中で記述されるもの等の他のアミノ酸残基アナログが含まれる。かかる天然に存在しないアミノ酸残基を生成するために、Noren et al.,Science,1989,244,182及びEllman et al.(前出)の手順を使用することができる。簡潔には、これらの手順は天然に存在しないアミノ酸残基によりサプレッサーtRNAを化学的に活性化すること、続いてRNAのインビトロ転写及び翻訳を行うことを含む。
本明細書において記載されるように修飾されるMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)は、ヒト型結核菌に対する免疫応答を誘発する能力を保持する。すなわち、特定のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内の任意のMtb抗原が含まれる)の修飾は、生じたMtb抗原またはそれを含む融合タンパク質が、ヒト型結核菌に対する免疫応答を誘発することをまだ可能にするだろう。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む、本明細書において記述される任意の融合タンパク質をコードする核酸分子も提供する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む。
本明細書において及び表1〜4中で記述される核酸分子は代表的なものである。すなわち、表1〜4中で列挙された具体的な配列は、融合タンパク質内の特定のMtb抗原をコードできる核酸分子の単に1つの例である。遺伝コードの知識を有する当業者は、同じMtb抗原をコードするおびただしい数の核酸分子をルーチンに調製しデザインすることができる。任意の特定の核酸分子の長さ及びヌクレオチドの含有量は、コードされたMtb抗原の所望されるアミノ酸配列によって規定される。RNA核酸分子も企図されるが、表1〜4中で示される核酸分子配列はDNAである。
本開示は、任意のMtb抗原(本明細書において記述される任意の融合タンパク質内のMtb抗原が含まれる)をコードするベクター(本明細書において記述される任意の修飾バージョンが含まれる)も提供する。ベクターは、哺乳類において免疫応答を誘発するのに効果的な量で哺乳類の細胞中でMtb抗原を発現することができる。ベクターは組換えであり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含むことができる。ベクターはプラスミドであり得る。ベクターは、Mtb抗原をコードする核酸により細胞をトランスフェクションするのに有用であり得、その形質転換された宿主細胞は培養され、抗原の発現が起こる条件下で維持される。
いくつかの実施形態において、コード配列は、発現の安定性及び高レベルの発現のために至適化することができる。いくつかの場合において、コドンはRNAの二次構造形成(分子内の結合に起因して形成されたもの等)を低減するように選択される。
いくつかの実施形態において、ベクターは、核酸のコード配列の遺伝子発現のための調節エレメントを含むことができる。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、開始コドン、終止コドンまたはポリアデニル化シグナルであり得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、Mtb抗原をコードする異種核酸を含むことができ、開始コドン(それは抗原コード配列の上流である)及び終止コドン(それは抗原コード配列の下流である)をさらに含むことができる。開始コドン及び終止コドンは抗原コード配列とインフレームである。
ベクターは、抗原コード配列へ作動可能に連結されるプロモーターも含むことができる。Mtb抗原コード配列へ作動可能に連結されたプロモーターは、シミアンウイルス40(SV40)からのプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター(ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーター等)、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(CMV最初期プロモーター等)、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーターもしくはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、または同種のものであり得る。プロモーターは、ヒト遺伝子(ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンまたはヒトメタロチオネイン等)からのプロモーターでもあり得る。プロモーターは、天然または合成の組織特異的プロモーター(筋肉または皮膚特異的プロモーター等)でもあり得る。プロモーターの代表的な例には、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータープロモーター、tacプロモーター、マイコバクテリウムのHsp60プロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV−LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが含まれる。
ベクターは、抗原コード配列の下流であり得るポリアデニル化シグナルも含むことができる。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、CMVポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナルまたはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(Invitrogen、San Diego、CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
ベクターは、コンセンサスBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−F抗原配列の上流にエンハンサーも含むことができる。エンハンサーはDNA発現のために必要であり得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンまたはウイルスのエンハンサー(CMV、HA、RSVまたはEBVからのエンハンサー等)であり得る。ポリヌクレオチド機能を促進するものは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、及びWO94/016737(各々の内容は参照として完全に援用される)中で記述される。
ベクターは、細胞中でベクターを染色体外に維持しベクターの複数のコピーを産生するために、哺乳類の複製起点も含むことができる。ベクターは(Invitrogen、San Diego、CA)からのpVAX1、pCEP4またはpREP4であることができ、それらはエプスタインバーウイルス複製起点及び核抗原EBNA−1のコード領域を含み、組み込みなしで高コピーエピソーム複製を産生することができる。ベクターは、pVAX1または変化を備えたpVax1バリアント(本明細書において記述される異なるプラスミド等)であり得る。異なるpVax1プラスミドは、骨格ベクタープラスミドpVAX1(Invitrogen、Carlsbad、CA)の2998塩基対のバリアントである。CMVプロモーターは塩基137〜724に位置する。T7プロモーター/プライミング部位は塩基664〜683にある。複数のクローニング部位は塩基696〜811にある。ウシGHポリアデニル化シグナルは塩基829〜1053にある。カナマイシン耐性遺伝子は塩基1226〜2020にある。pUC起点は塩基2320〜2993にある。
ベクターは、ベクターが投与される哺乳類細胞またはヒト細胞中での遺伝子発現に良好に合わせることができる調節配列も含むことができる。コンセンサスコード配列は、宿主細胞中でのコード配列のより効果的な転写を可能にできるコドンを含むことができる。
ベクターはpSE420(Invitrogen、San Diego、Calif.)またはpET28b(EMD Millipore、Billerca、Mass.)であり得、Escherichia coli(大腸菌)中でのタンパク質生産のために使用することができる。ベクターはpYES2(Invitrogen、San Diego、Calif.)でもあり得、酵母のSaccharomyces cerevisiae株中でのタンパク質生産のために使用することができる。ベクターはMAXBAC(商標)の完全なバキュロウイルス発現システム(Invitrogen、San Diego、Calif.)でもあり得、昆虫細胞中でのタンパク質生産のために使用することができる。ベクターはpcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen、San Diego、Calif.)でもあり得、哺乳類細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等)中でのタンパク質生産のために使用することができる。ベクターは、Sambrook et al.、Molecular Cloning and Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor(1989)(参照として完全に援用される)が含まれる、ルーチンの技法及び容易に利用可能な出発材料によってタンパク質を産生する発現ベクターまたは発現システムであり得る。
いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。適切なウイルスベクターには、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター及びパラミクソウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。適切なアデノウイルスベクターには、アデノウイルス4、アデノウイルス5、チンパンジーアデノウイルス3、チンパンジーアデノウイルス63及びチンパンジーアデノウイルス68が含まれるが、これらに限定されない。適切なワクシニアウイルスベクターには、改変ワクシニアAnkara(MVA)が含まれるが、これらに限定されない。適切なパラミクソウイルスベクターには、改変パラインフルエンザウイルス(PIV2)及び組換えヒトパラインフルエンザウイルス(rHPIV2)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ベクターは薬学的に許容される担体を含む組成物内に存在する。当業者は、その多くが商業的に入手可能である多数のベクターに容易に精通している。
本開示は、本明細書において開示される任意の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞も提供する。宿主細胞は、例えばMtb抗原またはその断片の発現に使用することができる。Mtb抗原またはその断片は、細胞中でインビボでも発現させることができる。Mtb抗原またはその断片を産生するように形質転換された(例えばトランスフェクションされた)宿主細胞は、リンパ系起源の細胞株(例えばミエローマ、ハイブリドーマ、トリオーマまたはクアドローマ細胞株)等の不死化哺乳類細胞株であり得る。宿主細胞には、ウイルス(例えばエプスタインバーウイルス)による形質転換によって不死化された正常なリンパ系組織(B細胞等)も含まれ得る。
いくつかの実施形態において、宿主細胞には、細菌細胞(大腸菌、Caulobacter crescentus、Streptomyces属の種及びSalmonella typhimurium等);酵母細胞(Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia methanolica等);昆虫細胞株(Spodoptera frugiperdaからの細胞株(例えばSf9及びSf21細胞株ならびにexpresSF(商標)細胞(Protein Sciences Corp.、Meriden、CT、米国))、ショウジョウバエS2細胞、及びTrichoplusia属のHigh Five(登録商標)細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)等);ならびに哺乳類細胞(COS1細胞及びCOS7細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0ミエローマ細胞、NIH 3T3細胞、293細胞、Procell92S、perC6、HEPG2細胞、HeLa細胞、L細胞、HeLa、MDCK、HEK293、WI38、マウスES細胞株(例えば129/SV、C57/BL6、DBA−1、129/SVJ系統から)、K562、Jurkat細胞、ならびにBW5147等)が含まれるが、これらに限定されない。他の有用な哺乳類細胞株は周知であり、American Type Culture Collection(「ATCC」)(Manassas、VA、米国)、及びCoriell Cell RepositoriesのNational Institute of General Medical Sciences(NIGMS)Human Genetic Cell Repository(Camden、NJ、米国)から容易に利用可能である。いくつかの実施形態において、細胞は組換えBCGである。これらの細胞タイプは代表的なものにすぎず、網羅的なリストであることは意味しない。
他の考慮事項の中で、そのいくつかは上記されており、宿主細胞株は、所望される様式で発現されるMtb抗原またはその断片をプロセスする能力について選択することができる。ポリペプチドの翻訳後修飾には、糖鎖付加、アセチル化、カルボキシル化及びリン酸化、脂質化及びアシル化が含まれるが、これらに限定されず、本開示の態様は、そのMtb抗原にこれらの翻訳後修飾のうちの1つまたは複数を提供する。
いくつかの実施形態において、組換えBCGは、中性付近のpH値(例えば約pH6〜8または約6.5〜7.5)で生体活性がある機能的なエンドソーム溶解性(endosomolytic)タンパク質を発現するように遺伝子操作された。エンドソーム溶解性タンパク質は、マイコバクテリウム属の菌を含有するエンドソーム(典型的には中性付近の内部pHを有する)内で活性がある。rBCGによって産生されるエンドソーム溶解性タンパク質の活性はエンドソームの崩壊をもたらし、rBCGがエンドソームから細胞の細胞質の中へ脱出することを可能にする。いくつかの実施形態において、WO2007/058663(その全体は参照として本明細書に援用される)中で記述されるように、遺伝子操作によってrBCGの中へ導入されるエンドソーム溶解性タンパク質はウェルシュ菌またはその変異体(PfoAG137Q)からのパーフリンゴリジンO(PfoA)である。
いくつかの実施形態において、BCGによって例示されるように、マイコバクテリウム属の菌は弱毒化されている。しかしながら、当業者は、本明細書における使用のために好適な他の弱毒化マイコバクテリウム属の菌及び非弱毒化マイコバクテリウム属の菌も存在することを認識するだろう。追加のタイプのマイコバクテリウム属の菌の例には、ヒト型結核菌株CDC1551、ヒト型結核菌株Beijing、ヒト型結核菌株H37Ra(ATCC#:25177)、ヒト型結核菌株H37Rv(ATCC#:25618)、ウシ型結核菌(ATCC#:19211及び27291)、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M.fortuitum)(ATCC#:15073)、スメグマ菌(M.smegmatis)(ATCC#:12051及び12549)、バテー杆菌(M.intracellulare)(ATCC#:35772及び13209)、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansasii)(ATCC#:21982及び35775)マイコバクテリウム・アビウム(M.avium)(ATCC#:19421及び25291)、マイコバクテリウム・ガリナラム(M.gallinarum)(ATCC#:19711)、マイコバクテリウム・バッカエ(M.vaccae)(ATCC#:15483及び23024)、癩菌(M.leprae)(ATCC#:)、マイコバクテリウム・マリナルム(M.marinarum)(ATCC#:11566及び11567)、及びマイコバクテリウム・ミクロティ(M.microtti)(ATCC#:11152)が含まれるが、これらに限定されない。
弱毒化されたマイコバクテリウム属の菌の株の例には、ヒト型結核菌パントテン酸塩栄養要求体株、ヒト型結核菌rpoV変異株、ヒト型結核菌ロイシン栄養要求体株、BCGデンマーク株(ATCC#35733)、BCG日本株(ATCC#35737)、BCG Chicago株(ATCC#27289)、BCG Copenhagen株(ATCC#:27290)、BCG Pasteur株(ATCC #: 35734)、BCG Glaxo株(ATCC#:35741)、BCG Connaught株(ATCC#35745)、BCG Montreal(ATCC#35746)、BCG1331株、BCG Tokyo株、BCG Moreau株、BCG−Pasteur Aeras、及びBCG Moscow株が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のベクターを含む細胞は、薬学的に許容される担体を含む組成物内に存在する。
いくつかの実施形態において、Mtb抗原またはその断片は検出可能なマーカーにより標識される。検出可能なマーカーには、放射性同位体(P32及びS35等)、酵素(ホースラディシュペルオキシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)及び同種のもの等)、蛍光色素、発色団、コロイド金、色素及びビオチンが含まれるが、これらに限定されない。標識したMtb抗原またはその断片を使用して、多様な細胞タイプまたは組織タイプにおける診断手順を実行することができる。インビトロまたはインビボの画像化手順のために、Mtb抗原は、追加の薬剤(NMR造影剤、X線造影剤または量子ドット等)により標識することができる。ポリペプチドへ検出可能な薬剤を付加する方法は当技術分野において公知である。Mtb抗原は不溶性支持体(ビーズ、ガラスもしくはプラスチックのスライドまたは同種のもの等)へも付加することができる。
いくつかの実施形態において、Mtb抗原またはその断片は、放射性同位体(111Inまたは90Y等)、毒素(破傷風トキソイドまたはリシン等)、トキソイド及び化学療法剤が含まれるが、これらに限定されない治療用の薬剤へコンジュゲートすることができる。
いくつかの実施形態において、Mtb抗原またはその断片は画像化剤へコンジュゲートすることができる。画像化剤には、例えば容易な単離または検出のための標識部分(ビオチン、蛍光部分、放射性部分、ヒスチジンタグまたは他のペプチドタグ等)が含まれる。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む組成物であって、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む該組成物も提供する。いくつかの実施形態において、少なくとも3つのMtb抗原は融合タンパク質中に存在しない。いくつかの実施形態において、少なくとも3つのMtb抗原は、タンパク質の形態であり、Mtb抗原をコードする核酸分子ではない。
いくつかの実施形態において、急性Mtb抗原は、Ag85B、ESAT6、MPT64、PPE15、PPE51またはRv3615cである。いくつかの実施形態において、潜伏Mtb抗原はRv1733c、Rv2626c、Rv3407またはRv2628cである。いくつかの実施形態において、Rv1733cの第1及び/または第2の膜貫通領域が欠失される(Rv1733cΔTM)。いくつかの実施形態において、蘇生Mtb抗原は、RpfB、RpfDまたはRpfEである。いくつかの実施形態において、組成物は少なくとも4つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原;ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原;RpfB、ESAT6、Rv1733c及びRv2626c Mtb抗原;Ag85B、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原;Ag85B、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原;PPE51、Rv1733c、Rv2628c及びRpfD Mtb抗原;PPE51、Rv1733c、Rv2628c及びRpfB Mtb抗原;Rv3407、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原;またはRv3407、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む組成物であって、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含み;Mtb抗原のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子を含む該組成物も提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、タンパク質形態で1つのMtb抗原、及び2つのMtb抗原をコードする1つまたは2つの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、タンパク質形態で2つのMtb抗原(任意で融合タンパク質として)、及び1つのMtb抗原をコードする1つの核酸分子を含む。したがって、本組成物は、タンパク質のMtb抗原(複数可)、及びMtb抗原(複数可)をコードする核酸分子(複数可)の混合物である。
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのMtb抗原が、1つまたは複数のベクター内の1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のベクターは、1つまたは複数のウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクターまたはパラミクソウイルスベクターのうちの任意の1つまたは複数である。いくつかの実施形態において、アデノウイルスベクターは、アデノウイルス4、アデノウイルス5、チンパンジーアデノウイルス3、チンパンジーアデノウイルス63またはチンパンジーアデノウイルス68である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のワクシニアウイルスベクターは改変ワクシニアAnkara(MVA)である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のパラミクソウイルスベクターは、改変パラインフルエンザウイルス(PIV2またはPIV3)または組換えヒトパラインフルエンザウイルス(rHPIV2)のうちの任意の1つまたは複数である。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのMtb抗原は、融合タンパク質として同じ発現ベクター内で単一核酸分子によってコードされる。
いくつかの実施形態において、急性Mtb抗原は、Ag85B、ESAT6、MPT64、PPE15、PPE51またはRv3615cである。いくつかの実施形態において、潜伏Mtb抗原はRv1733c、Rv2626c、Rv3407またはRv2628cである。いくつかの実施形態において、Rv1733cの第1及び/または第2の膜貫通領域が欠失される。いくつかの実施形態において、蘇生Mtb抗原は、RpfB、RpfDまたはRpfEである。いくつかの実施形態において、組成物は少なくとも4つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原;ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原;RpfB、ESAT6、Rv1733c及びRv2626c Mtb抗原;Ag85B、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原;Ag85B、ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原;PPE51、Rv1733c、Rv2628c及びRpfD Mtb抗原;PPE51、Rv1733c、Rv2628c及びRpfB Mtb抗原;Rv3407、Rv1733c、Rv2626c及びRpfB Mtb抗原;またはRv3407、Rv1733c、Rv2626c及びRpfD Mtb抗原を含み;任意の2つ以上のMtb抗原は融合タンパク質内にあり得る。いくつかの実施形態において、組成物は少なくとも4つのMtb抗原を含む。いくつかの実施形態において、組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの実施形態において、rBCGが、Mtb抗原もしくは融合タンパク質、またはそれらを含むかもしくはコードする核酸及び/もしくはベクターを送達するビヒクルとして使用される場合、Dos Rレギュロンのうちのすべてまたは一部分の発現はrBCG中でアップレギュレートされない。いくつかの実施形態において、以下のDos Rレギュロン抗原(Rv1738、Rv2623、Rv2031c、Rv2032、Rv2626c、Rv2005c、Rv3127、Rv1733c、Rv1996、Rv2628c、Rv0079、Rv3130c、Rv3131、Rv1813c、Rv2006、Rv2029c、Rv2627c、Rv2030c、Rv3132c及びRv2629)のうちの1つまたは複数は、rBCG中でアップレギュレートされない。いくつかの実施形態において、rBCGは、1)「古典的な」Mtb抗原(85A、85B及びTB 10.4等)が含まれる、1つまたは複数のMtb抗原;2)Rv0867c、Rv1009、Rv1884c、Rv2389c、Rv2450c、Rv0288、Rv1009、Rv0685、Rv0824c、Rv1349、Rv2744c、Rv3347c、Rv1130及びRv1169cから選択される少なくとも1つのMtb蘇生抗原、のアップレギュレーションを含まない。いくつかの実施形態において、rBCGは、以下の組み合わせ、古典的抗原Rv1886c、Rv3804c;蘇生抗原Rv0867c、Rv1884c、Rv2389c;及びMtb特異的抗原Rv3407の発現を含まない。いくつかの実施形態において、rBCGは、以下の組み合わせ、Rv3804c、Rv1886c及びRv3407、または加えて、Rv3133cと、ならびにRv0867c、Rv1884c及びRv2389cの組み合わせの発現を含まない。いくつかの実施形態において、rBCGは、以下の組み合わせ、TB10.4、Ag85B、Ag85A及びRv3407の発現を含まない。いくつかの実施形態において、細胞はrBCGではない。
本開示は、融合タンパク質、Mtb抗原、Mtb抗原をコードする核酸分子のうちの任意の1つまたは複数(その融合タンパク質、細胞及び/またはベクターが含まれる)及び薬学的に許容される担体を含む組成物も提供する。組成物には例えば医薬組成物が含まれる。薬学的に許容される担体は、通常は活性成分の投与のために使用される医薬品のうちの少なくとも1つの構成要素を指す。それゆえ、担体は、当技術分野において使用される任意の医薬品賦形剤、及び投与のための任意の形態のビヒクルを含有することができる。担体には、リン酸緩衝生理食塩水、生理的食塩水、水、クエン酸塩/ショ糖/Tween製剤、及びエマルション(例えば油/水乳化物)が含まれるが、これらに限定されない。
組成物は、活性のある治療用の薬剤、及び多様な他の薬学的に許容される構成要素も含むことができる。Remington’ Pharmaceutical Science(第15版、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania(1980))を参照されたい。所望される形態は、意図される投与モード及び治療適用に依存する。組成物は、所望される製剤に依存して、薬学的に許容される非毒性の担体または希釈剤(通常は動物またはヒト投与のための医薬組成物の製剤化に使用されるビヒクルとして定義される)も含むことができる。希釈剤は組み合わせの生物学的活性に影響を与えないように選択される。かかる希釈剤の例には、蒸留水、生理的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液及びハンクス液が含まれるが、これらに限定されない。加えて、医薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性の非治療用の非免疫原性の安定剤及び同種のものも含むことができる。
経口投与のための組成物の固形製剤は、適切な担体または賦形剤(トウモロコシデンプン、ゼラチン、ラクトース、アカシア、ショ糖、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウムまたはアルギン酸等)を含有することができる。使用できる崩壊剤には、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム及びアルギン酸が限定されずに含まれる。使用できる錠剤結合剤には、アカシア、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖、デンプン及びエチルセルロースが含まれる。使用できる潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、ワックス、油及びコロイダルシリカが含まれる。追加の賦形剤には、例えば着色剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁剤、圧縮剤、腸溶コーティング、持続放出補助剤及び同種のものが含まれる。
いくつかの実施形態において、組成物は、デポー注射またはインプラント調製物の形態で投与することができ、それは持続放出を可能にするような様式で製剤化することができる。例示的な組成物は、水性緩衝液中で製剤化された本明細書において記載される組成物のうちの任意の1つまたは複数を含む。
いくつかの実施形態において、水または他の水性ビヒクル中で調製される経口投与のための医薬組成物の液体製剤は、様々な懸濁化剤(メチルセルロース、アルギン酸塩、トラガカントゴム、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラギーナン、アカシア、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコール等)を含有することができる。医薬組成物の液体製剤は、溶液、エマルション、シロップ及びエリキシルも含むことができ、活性化合物(複数可)、湿潤剤、甘味料、ならびに着色剤及び風味添加剤と共に含有する。医薬組成物の様々な液体製剤及び粉末製剤は、治療される哺乳類の肺の中への吸入のために従来の方法によって調製することができる。
いくつかの実施形態において、注射のための医薬組成物の液体製剤は、様々な担体(植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール及びプロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)及び同種のもの等)を含むことができる。いくつかの実施形態において、組成物はクエン酸塩/ショ糖/Tween担体を含む。静脈注射のために、組成物の水溶性バージョンは点滴法によって投与することができ、それによって抗真菌剤及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤は、例えば5%デキストロース、0.9%食塩水、リンゲル液または他の適切な賦形剤を含むことができる。適切な不溶性形態の組成物は、水性基材または薬学的に許容される油基材(例えばオレイン酸エチル等の長鎖脂肪酸のエステル等)中での懸濁物として調製及び投与することができる。
組成物は、例えば注射可能溶液、水性の懸濁物または溶液、非水性の懸濁物または溶液、固体及び液体の経口製剤、膏薬、ゲル、軟膏、皮内パッチ、クリーム、ローション、錠剤、カプセル、持続放出製剤、ならびに同種のものであり得る。いくつかの実施形態において、局所適用のために、医薬組成物は適切な軟膏中で製剤化することができる。いくつかの実施形態において、局所半固体軟膏製剤は、担体(医薬クリーム基材等)中で、典型的には約1〜20%、または5〜10%の濃度の活性成分を含む。局所使用のための組成物の製剤のいくつかの例には、活性成分ならびに様々な支持体及びビヒクルを含有する、ドロップ、チンキ、ローション、クリーム、溶液及び軟膏が含まれるが、これらに限定されない。
典型的には、組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかとして注射可能物として調製され;注射の前の液体ビヒクル中の溶液または懸濁物に好適な固体の形態も調製することができる。調製物は、リポソームまたはマイクロ粒子(アジュバント効果促進のためのポリラクチド、ポリグリコリドまたはコポリマー等)中で乳化またはカプセル化することもできる(Langer,Science,1990,249,1527及びHanes,Advanced Drug Delivery Reviews,1997,28,97を参照)。滅菌注射可能調製物(例えば滅菌注射可能な水性または油性の懸濁物等)も調製することができる。この懸濁物は、適切な分散剤、湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当技術分野において公知の技法に従って製剤化することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、タンパク質に対する宿主の免疫応答を低減または防止するようにマイクロカプセル化デバイスにおいて送達することができる。
本開示の組成物の効果的な用量は、病態の治療のために、様々な因子(投与の手段、標的部位、対象の生理的状態、対象がヒトまたは動物であるか、投与される他の医薬物、及び治療は予防的または治療的なものであるかが含まれる)に依存して変動する。通常は、対象はヒトであるが、トランスジェニック哺乳類が含まれる非ヒト哺乳類も治療することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、標準的な方法の使用によって、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、髄内、脳室内、硬膜内、動脈内、血管内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝内、髄腔内、腫瘍内、頭蓋内、腸経由、肺内、経粘膜、子宮内、舌下、または炎症もしくは腫瘍増殖の部位での局所の注射によって、対象へ投与することができる。あるいは、組成物は、経口、鼻腔、目、直腸、または局所が含まれる経路によって対象へ投与することができる。他の経路は効果的であり得るが、投与の最も典型的な経路は血管内、皮下、または筋肉内である。いくつかの実施形態において、組成物は、持続放出組成物またはデバイス(Medipad(商標)デバイス等)として投与される。組成物は、例えば乾燥粉末吸入装置、ネビュライザーまたは用量測定式吸入器を使用して、気道経由でも投与することができる。組成物は、従来のシリンジ、無針注射装置、「マイクロプロジェクタイル爆撃遺伝子銃(gone guns)」または他の物理的方法(エレクトロポレーション(「EP」)、「流体力学的方法」または超音波等)によっても投与することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、持続放出投与によって、外科手術の間に直接適用される分解性インプラントのデポー注射のような手段によって、または対象の中への注入ポンプもしくは生体適合性持続放出インプラントの埋込みによって、対象へ投与することができる。あるいは、組成物は、注射可能デポー投与経路によって(1、3または6か月のデポー注射可能または生物分解性の材料及び方法の使用によって等)、または対象の皮膚へ組成物を含有する経皮パッチを適用すること、及び一般的に1パッチあたり1〜5時間対象の皮膚と接触させてパッチを放置することによって、対象へ投与することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は約1ナノグラム〜約10mgの核酸を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、1)少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100ナノグラム、または少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95,100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995もしくは1000マイクログラム、または少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10mg以上;及び2)15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100ナノグラム以下、または1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95,100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、もしくは1000マイクログラム以下、または1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10mg以下を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は約5ナノグラム〜約10mgの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約25ナノグラム〜約5mgの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約50ナノグラム〜約1mgの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約0.1〜約500マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約1〜約350マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約5〜約250マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約10〜約200マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約15〜約150マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約20〜約100マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約25〜約75マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約30〜約50マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約35〜約40マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約100〜約200マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約10〜約100マイクログラムの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約20〜約80マイクログラムの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約25〜約60マイクログラムの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約30ナノグラム〜約50マイクログラムの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約35ナノグラム〜約45マイクログラムの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約0.1〜約500マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約1〜約350マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約25〜約250マイクログラムの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、組成物は約100〜約200マイクログラムの核酸分子を含有する。
組成物は使用される投与のモードに従って製剤化することができる。組成物が注射可能医薬組成物である事例において、それらは滅菌済み、パイロジェン無し、及び微粒子無しである。等張の製剤を使用することができる。一般的に、等張性のための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースが含まれ得る。いくつかの事例において、等張液(リン酸緩衝生理食塩水等)は適切である。安定剤にはゼラチン及びアルブミンが含まれる。いくつかの実施形態において、血管収縮剤が製剤へ添加される。
組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤としての機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、それには、界面活性剤(免疫刺激複合体(ISCOMS)等)、フロイント不完全アジュバント、LPSアナログ(モノホスホリルリピドAが含まれる)、ムラミルペプチド、キノンアナログ、小胞(スクアレン及びスクアラン等)、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルス性タンパク質、ポリアニオン、ポリカチオンもしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリL−グルタミン酸塩(LGS)が含まれる)または脂質である。トランスフェクション促進剤はポリL−グルタミン酸塩であり、より適切には、ポリL−グルタミン酸塩は6mg/ml未満の濃度で組成物中に存在する。トランスフェクション促進剤には、界面活性剤(免疫刺激複合体(ISCOMS)等)、フロイント不完全アジュバント、LPSアナログ(モノホスホリルリピドAが含まれる)、ムラミルペプチド、キノンアナログ及び小胞(スクアレン及びスクアラン等)も含まれ、ヒアルロン酸は遺伝子コンストラクトと併用して投与されて使用することもできる。いくつかの実施形態において、プラスミド組成物には、トランスフェクションを促進する薬剤(脂質、リポソーム(DNA−リポソーム混合物として、レシチンリポソームまたは当技術分野において公知の他のリポソーム(例えばW09324640を参照)が含まれる)、カルシウムイオン、ウイルス性タンパク質、ポリアニオン、ポリカチオンもしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤等)も含まれ得る。いくつかの実施形態において、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリL−グルタミン酸塩(LGS)が含まれる)または脂質である。組成物中のトランスフェクション薬剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
薬学的に許容される賦形剤はアジュバントであり得る。アジュバントは、代替のプラスミド中で発現されるか、または上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される、他の遺伝子であり得る。アジュバントは、α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、表皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、CD86(シグナル配列を欠失し、任意でIgEからのシグナルペプチドを含むIL−15が含まれる)からなる群から選択することができる。アジュバントは、IL−12、IL−15、IL−28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、表皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、またはその組み合わせであり得る。
有用なアジュバントであり得る他の遺伝子には、MCP−1、MIP-la、MIP−1p、IL−8、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の変異型、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL−7、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun及びSp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答性遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2及びその機能的断片をコードするものが含まれる。
プラスミド組成物は、1994年4月1日に出願された米国シリアル番号021,579(それは参照として完全に援用される)中で記述されるような遺伝子ワクチン促進剤をさらに含むことができる。
本開示は、本明細書において記述される、Mtb抗原、その断片、融合タンパク質、核酸分子、ベクターまたは細胞のうちの任意のものを含むキットも提供する。キットは、例えばラベル及び投与または使用のための説明書と共に、容器(複数可)、パッケージ(複数可)または分配器(複数可)を含むことができる。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む1つまたは複数の融合タンパク質を免疫学的に十分な量で哺乳類へ投与することを含み、少なくとも1つの融合タンパク質が、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む、哺乳類におけるヒト型結核菌に対する免疫応答を誘発する方法も提供する。本明細書において記述される任意の融合タンパク質を投与することができる。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は少なくとも4つのMtb抗原を含む。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む組成物であって、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含む該組成物を、免疫学的に十分な量で哺乳類へ投与することを含む、哺乳類におけるヒト型結核菌に対する免疫応答を誘発する方法も提供する。3つ以上Mtb抗原を含む任意の組成物を投与することができる。いくつかの実施形態において、組成物は少なくとも4つのMtb抗原を含む。
本開示は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含む組成物であって、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含み;Mtb抗原のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子を含む該組成物を、免疫学的に十分な量で哺乳類へ投与することを含む、哺乳類におけるヒト型結核菌に対する免疫応答を誘発する方法も提供する。本明細書において記述される1つまたは複数のMtb抗原タンパク質及び1つまたは複数のMtb抗原をコードする1つまたは複数の核酸分子の混合物を含む任意の組成物を投与することができる。
本明細書において記載される融合タンパク質及び組成物を使用して、結核を治療または防止することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、結核感染が減退または防止されるように、本明細書において記載される任意の融合タンパク質または組成物を、治療上効果的な量または予防的に効果的な量で、ヒトへ投与することを含む。
いくつかの実施形態において、治療されている対象は以前に結核を有すると診断されているだろう。したがって、かかる対象は、かかる治療を必要としていると診断されているだろう。あるいは、治療は、まだ結核に罹患していない対象における結核感染または結核が流行している地域へ旅行する対象への結核感染を防止することを意図し得る。
結核を患う対象の治療は標準的な方法を使用してモニターすることができる。いくつかの方法は、例えば、薬剤の投薬量を投与する前に対象における抗体レベルまたはプロファイルのベースライン値を決定すること、及び治療後にこれをプロファイルまたはレベルについての値と比較することを要する。例えば、同じサンプルの反復測定における典型的な許容実験誤差(レベルまたはプロファイルのかかる測定値の平均からの1標準偏差として表現される)より大きい等の有意な増加は、陽性の治療転帰のシグナルである(すなわち、薬剤のその投与は所望される応答を達成した)。免疫応答についての値が有意に変化しないかまたは減少するならば、陰性の治療転帰が示される。
他の実施形態において、レベルまたはプロファイルの対照値(平均及び標準偏差等)は、対照集団について決定される。典型的には、対照集団中の個体は事前の治療を受けていない。次いで、治療用の薬剤の投与後の対象におけるレベルまたはプロファイルの測定値は、対照値と比較される。対照値と比較して有意な増加(平均からの1標準偏差より大きい等)は、陽性または十分な治療転帰のシグナルである。有意な増加の欠如または減少は陰性または不十分な治療転帰のシグナルである。レベルが対照値と比較して増加している間、治療剤の投与は一般的には継続される。前述のように、対照値と比較してプラトーの到達は、治療の投与を中止または投薬量及び/または頻度を低減することができる指標である。
他の実施形態において、レベルまたはプロファイルの対照値(平均及び標準偏差等)は、治療用の薬剤による治療を受け、そのレベルまたはプロファイルが治療に応答してプラトーに達した個体の対照集団から決定される。対象におけるレベルまたはプロファイルの測定値は、対照値と比較される。対象における測定レベルが対照値と(1標準偏差を超える等)有意に異ならないならば、治療は中止することができる。対象におけるレベルが対照値より有意に下であるならば、薬剤の継続的な投与が当然とされる。対象におけるレベルが対照値より下で持続されるならば、治療の変更が指摘され得る。
他の実施形態において、現時点で治療を受けていないが、以前に治療過程を受けた対象は、抗体レベルまたはプロファイルについてモニターして、治療の再開が必要とされるかどうかを決定する。対象における測定レベルまたはプロファイルは、以前の治療過程後の対象において以前に達成された値と比較することができる。以前の測定と比較して有意な減少(同じサンプルの反復測定における典型的な許容誤差より大きい等)は、治療を再開することができるという指標である。あるいは、対象において測定した値は、治療過程を受けた後に、対象の集団において決定された対照値(平均+標準偏差)と比較することができる。あるいは、対象における測定値は、疾患の症状がないままである予防的に治療された対象の集団、または疾患特徴の寛解を示す治療的に治療された対象の集団における対照値と比較することができる。これらのすべての事例において、対照レベルと比較して有意な減少(標準偏差より大きい等)は、対象における治療が再開されるべきである指標である。
いくつかの方法において、対象において与えられた抗原への抗体のベースライン測定を投与の前に行い、第2の測定をその後すぐに行ってピーク抗体レベルを決定し、1つまたは複数のさらなる測定を間隔を置いて行い、抗体レベルの減衰をモニターする。抗体のレベルがベースライン、またはベースラインを差し引いたピークの既定のパーセンテージ(50%、25%または10%等)へ低下した場合、さらなる投薬量の抗原の投与が施される。いくつかの実施形態において、バックグラウンドを差し引いたピークまたは後続の測定レベルを、以前に決定された参照レベルと比較して、他の対象において有益な予防的または治療的な治療レジームを構成する。測定した抗体レベルが、有意に参照レベル未満(治療から利益を得る対象の集団における参照値の1標準偏差を引いた平均未満等)であるならば、抗原の追加投与の投与が指摘される。
いくつかの実施形態において、上述の方法によって治療できる対象(複数可)は、哺乳類等の動物であり、それらには、ヒト、非ヒト霊長目の動物、齧歯目の動物(ラット、マウス、ハムスター及びモルモットが含まれる)、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ及びネコが含まれるが、これらに限定されない。大部分の場合において、哺乳類はヒトである。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止のための医薬品の調製における使用のための融合タンパク質であって、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む該融合タンパク質も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止における使用のための融合タンパク質であって、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む該融合タンパク質も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止のための医薬品の調製における融合タンパク質の使用であって、融合タンパク質は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む、該融合タンパク質の使用も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止における融合タンパク質の使用であって、該融合タンパク質は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原を含む、該融合タンパク質の使用も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止のための医薬品の調製における使用のための組成物であって、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含む該組成物も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止における使用のための組成物であって、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含む該組成物も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止のための医薬品の調製における組成物の使用であって、該組成物は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含む、該組成物の使用も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止における組成物の使用であって、該組成物は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含む、該組成物の使用も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止のための医薬品の調製における使用のための組成物であって、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含み;Mtb抗原のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子を含む該組成物も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止における使用のための組成物であって、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含み;Mtb抗原のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子を含む該組成物も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止のための医薬品の調製における組成物の使用であって、該組成物は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含み;Mtb抗原のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子を含む、該組成物の使用も提供する。
本開示は、ヒト型結核菌感染の治療または防止における組成物の使用であって、該組成物は、少なくとも3つのヒト型結核菌(Mtb)抗原を含み、少なくとも1つの急性Mtb抗原、少なくとも1つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;または少なくとも2つの潜伏Mtb抗原及び少なくとも1つの蘇生Mtb抗原;ならびに薬学的に許容される担体を含み;Mtb抗原のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸分子を含む、該組成物の使用も提供する。
本開示は、実質的に添付の実施例及び/または図を参照して記述されるような、本明細書において記述される任意の融合タンパク質、または本明細書において記載される任意の組成物、または本明細書において記述される任意の細胞、または本明細書において記述される任意のベクター、または本明細書において記述される任意の方法、または本明細書において記述される任意の使用も提供する。
本明細書において開示される対象物がより効率的に理解されるために、実施例を以下に提供する。これらの実施例が例示の目的のためのみであること、及び任意の様式において請求される対象物を限定すると決して解釈できないことを理解すべきである。これらの実施例を通して、分子クローニング反応、及び他の標準的な組み換えDNA技法は、特別に指摘された場合を除いて、商業的に入手可能な試薬を使用して、Maniatis et al.、Molecular Cloning−A Laboratory Manual、第2編、Cold Spring Harbor Press(1989)中で記述される方法に従って実行した。
実施例1:後続のプラットフォーム挿入のための基礎的なツールとしての抗原カセットの構築
5つの抗原カセット(コンストラクトD)はヒトコドンに至適化されており、Aldevronによって商業的に合成され、pVAX−1の中へクローン化された。MVAベクター中での使用のために、抗原85Bはその生来のリーダー配列を備えて合成された。MVA以外のウイルスベクターのために、抗原85Bはリーダー配列を含有する遺伝子または含有しない遺伝子のいずれかと置き換えられ、これはユニークなEcoRI及びXmaIヌクレアーゼ標的配列を使用して達成された。アデノウイルスベクターまたはCMVベクターの中へ5つの抗原カセットをクローン化するために、相同性アームを備えたプライマーを使用してカセットをPCR増幅し、このPCR産物はBACの適切な領域の中へ組換えられた。
コンストラクトDの組換えタンパク質発現のために、85B、Rv1733、Rv2626及びRpfD遺伝子をDNA2.0によって合成し、大腸菌発現のためにコドンを至適化した。抗原85B及びRpfDは生来のリーダー配列なしに合成された。各々の遺伝子を、適切な制限部位を付加してそれぞれのDNA2.0ベクターからPCR増幅し、pET28bの中へ連続してクローン化した。ESAT−6はH37Rv DNAからPCR増幅した。
より具体的には、タンパク質抗原をコードする遺伝子を、表5中のプライマーを使用してPCR増幅し、示された制限酵素部位を介してpET28bベクター(Novagen)の中へクローン化した。ESAT6をMtbからPCR増幅し、最初にpET23bベクター(Novagen)の中へクローン化した。続いてそれをPCR増幅し、pET28bの中へクローン化した。抗原85B、Rv1733c、Rv2626c及びRpfDについてのすべての遺伝子は、大腸菌(DNA2.0)における発現のために至適化されたそれらのコドンにより合成された。抗原Ag85B及びrpfDはN末端のシグナル配列をコードする塩基なしに合成され、rpfBはN末端のシグナル配列なしにMtbからPCR増幅された。コドン至適化遺伝子をPCR増幅し、pET28bの中へクローン化し、N末端の6×Hisタグを付加した融合タンパク質を生成した。遺伝子はスペーサー配列なしに、各々の遺伝子の間の制限酵素部位のみを備えてクローン化した。Rv1733cの2つの膜貫通領域を除去するために、Rv1733cをともにライゲーションした3片においてPCR増幅した。
別の実施形態において、4抗原タンパク質及び5抗原タンパク質は、膜貫通領域を含む野生型Rv1733cにより構築された。pET28bコンストラクトを大腸菌クローニング株中でクローン化し、制限消化によってスクリーニングし、シーケンスして各々のコンストラクトを検証した。
実施例2:組換えBCG(rBCG)株の構築
活動性感染、潜伏期間及び蘇生に関与する抗原を過剰発現するrBCG株が構築された。興味ある遺伝子は、attB組み込み部位でBCGの染色体中の遺伝子の挿入を可能にするプラスミド中で最初にクローン化した(pJFINT−RIAR)。このプラスミドは3つの異なるクローニング部位を有するので、5つの遺伝子はともに融合されず、3つの群へと分割された。Ag85BをESAT−6へ融合し(Ag85B−ESAT6;配列番号:91(ヌクレオチド)及び配列番号:92(アミノ酸)、Ag85Bシグナル配列を備えた;配列番号:93(ヌクレオチド)及び配列番号:94(アミノ酸)、19kDaリポタンパク質シグナル配列を備えた)、第1のクローニング部位中に配置し、Rv1733cを単独でクローン化し、Rv2626cをRpfDと融合し(Rv2626c−RpfD;配列番号:95及び配列番号:96、Ag85Bシグナル配列を備えた;配列番号:97及び配列番号:98、19kDaリポタンパク質シグナル配列を備えた)、次いで第3の部位の中へ置いて、以下のAg85B−ESAT6+Rv1733c+Rv2626c−RpfDのコンストラクトを生成した。各々のインサートをHsp60プロモーターの制御下に配置し、Rv1733cが既にマイコバクテリウムの膜タンパク質であるので、Rv1733c以外の両方の融合物へシグナル配列を付加した。2つの異なるシグナル配列(融合物の分泌を可能にするAg85Bシグナル配列、及び膜の中へ融合物をアンカーする19kDaリポタンパク質シグナル配列)を備えたコンストラクトを作製して、どれが抗原のより良好な発現及び/または免疫原性を可能にするかを調査した。それらのrBCG株の複製バージョン及び非複製バージョンの両方を構築した。rBCG株の構築に使用されたプラスミドのマップを、図1A(Ag85Bシグナル配列を備えた融合物)及び図1B(19kDaシグナル配列を備えた融合物)中で示す。
rBCG株を、BCG SSI、BCG SSIΔPanCDまたは他のBCG株の染色体中でのシャトルプラスミドの組み込みによって構築した後に、細胞溶解物及び上清を調製して、異なる抗原の相対的な発現に加えて、rBCG細胞中でのそれらの局所化を評価した。プローブとしてESAT−6に対するモノクローナル抗体を使用するウエスタンブロットデータは、以下の通りに示された。BCG SSI対照(それはESAT−6についての遺伝子を有していない)は、細胞溶解物または培養上清のいずれかにおいてモノクローナル抗体との反応性を示さず;19kDaシグナル配列へ連結されたAg85B−ESAT6融合物を発現するrBCGについて、低いレベルの融合物が検出されたが、複製rBCG株及び非複製rBCG株の両方の培養上清中でではなく細胞溶解物中でのみであり、このシグナル配列が予想されるように融合物の分泌をもたらさないことを示し;Ag85Bシグナル配列へ連結されたAg85B−ESAT6融合物を発現するrBCG株は、細胞溶解物及び培養上清の両方中で非常に高レベルの発現を示し、このシグナル配列がこの融合物の分泌をもたらすことを確認した(データ不掲載)。
抗原発現研究に続いて、予備的な免疫原性実験をC57/BL6マウス中で実行し、BCG SSI対照及び2つの異なるシグナル配列を備えた融合物を発現するrBCG株を比較した。マウスを、105または106CFUのいずれかの異なるBCG株により1回皮下で免疫付与し、6週間後に屠殺した。脾細胞を組換えAg85BまたはESAT−6タンパク質により72時間刺激し、ELISAアッセイを使用して、培養上清中に放出された抗原特異的IFNγのレベルを測定した。以下の結果はAg85B−ESAT6融合物により得られた(図2を参照)。最低用量で与えられたBCG SSI対照はIFNγのバックグラウンドレベルを示し、ナイーブマウスにより得られたものに類似するが、最高用量を与えられたマウスはより高いレベルのAg85B特異的IFNγを示し、しかし、ESAT6特異的応答はなく、これは、BCG SSI対照はESAT−6についての遺伝子を有していないので、予想されていた。これとは対照的に、Ag85Bシグナル配列へ連結されたAg85B−ESAT6融合物を発現するrBCG株は、両方の用量ではるかに強いAg85B特異的応答を与えたが、より高い用量でのみバックグラウンドより上のESAT−6応答があり;類似する結果は、19kDaシグナル配列へ連結された融合物を発現するrBCG株により得られたが、それはより高い用量でのみであり、このことは、発現レベルがその株においてはるかに低かったことから判断すれば、意外でない(データ不掲載)。
Ag85Bシグナル配列を備えたAg85B−ESAT6融合物のDNA配列:
atgacagacgtgagccgaaagattcgagcttggggacgccgattgatgatcggcacggcagcggctgtagtccttccgggcctggtggggcttgccggcggagcggcaaccgcgggcgcgttctcccggccggggctgccggtcgagtacctgcaggtgccgtcgccgtcgatgggccgcgacatcaaggttcagttccagagcggtgggaacaactcacctgcggtttatctgctcgacggcctgcgcgcccaagacgactacaacggctgggatatcaacaccccggcgttcgagtggtactaccagtcgggactgtcgatagtcatgccggtcggcgggcagtccagcttctacagcgactggtacagcccggcctgcggtaaggctggctgccagacttacaagtgggaaaccttcctgaccagcgagctgccgcaatggttgtccgccaacagggccgtgaagcccaccggcagcgctgcaatcggcttgtcgatggccggctcgtcggcaatgatcttggccgcctaccacccccagcagttcatctacgccggctcgctgtcggccctgctggacccctctcaggggatggggcctagcctgatcggcctcgcgatgggtgacgccggcggttacaaggccgcagacatgtggggtccctcgagtgacccggcatgggagcgcaacgaccctacgcagcagatccccaagctggtcgcaaacaacacccggctatgggtttattgcgggaacggcaccccgaacgagttgggcggtgccaacatacccgccgagttcttggagaacttcgttcgtagcagcaacctgaagttccaggatgcgtacaacgccgcgggcgggcacaacgccgtgttcaacttcccgcccaacggcacgcacagctgggagtactggggcgctcagctcaacgccatgaagggtgacctgcagagttcgttaggcgccggcatgacagagcagcagtggaatttcgcgggtatcgaggccgcggcaagcgcaatccagggaaatgtcacgtccattcattccctccttgacgaggggaagcagtccctgaccaagctcgcagcggcctggggcggtagcggttcggaggcgtaccagggtgtccagcaaaaatgggacgccacggctaccgagctgaacaacgcgctgcagaacctggcgcggacgatcagcgaagccggtcaggcaatggcttcgaccgaaggcaacgtcactgggatgttcgcatga(配列番号:91)。
Ag85Bシグナル配列を備えたAg85B−ESAT6融合物のアミノ酸配列:
MTDVSRKIRAWGRRLMIGTAAAVVLPGLVGLAGGAATAGAFSRPGLPVEYLQVPSPSMGRDIKVQFQSGGNNSPAVYLLDGLRAQDDYNGWDINTPAFEWYYQSGLSIVMPVGGQSSFYSDWYSPACGKAGCQTYKWETFLTSELPQWLSANRAVKPTGSAAIGLSMAGSSAMILAAYHPQQFIYAGSLSALLDPSQGMGPSLIGLAMGDAGGYKAADMWGPSSDPAWERNDPTQQIPKLVANNTRLWVYCGNGTPNELGGANIPAEFLENFVRSSNLKFQDAYNAAGGHNAVFNFPPNGTHSWEYWGAQLNAMKGDLQSSLGAGMTEQQWNFAGIEAAASAIQGNVTSIHSLLDEGKQSLTKLAAAWGGSGSEAYQGVQQKWDATATELNNALQNLARTISEAGQAMASTEGNVTGMFA(配列番号:92)。
19kDaシグナル配列を備えたAg85B−ESAT6融合物のDNA配列:
atgaagcgtggactgacggtcgcggtagccggagccgccattctggtcgcaggtctttccggatgttcaagcaacaagtcgactacaggaagcggtgagaccacgaccgcggcaggtaccacggcaagccccggccggccggggctgccggtcgagtacctgcaggtgccgtcgccgtcgatgggccgcgacatcaaggttcagttccagagcggtgggaacaactcacctgcggtttatctgctcgacggcctgcgcgcccaagacgactacaacggctgggatatcaacaccccggcgttcgagtggtactaccagtcgggactgtcgatagtcatgccggtcggcgggcagtccagcttctacagcgactggtacagcccggcctgcggtaaggctggctgccagacttacaagtgggaaaccttcctgaccagcgagctgccgcaatggttgtccgccaacagggccgtgaagcccaccggcagcgctgcaatcggcttgtcgatggccggctcgtcggcaatgatcttggccgcctaccacccccagcagttcatctacgccggctcgctgtcggccctgctggacccctctcaggggatggggcctagcctgatcggcctcgcgatgggtgacgccggcggttacaaggccgcagacatgtggggtccctcgagtgacccggcatgggagcgcaacgaccctacgcagcagatccccaagctggtcgcaaacaacacccggctatgggtttattgcgggaacggcaccccgaacgagttgggcggtgccaacatacccgccgagttcttggagaacttcgttcgtagcagcaacctgaagttccaggatgcgtacaacgccgcgggcgggcacaacgccgtgttcaacttcccgcccaacggcacgcacagctgggagtactggggcgctcagctcaacgccatgaagggtgacctgcagagttcgttaggcgccggcatgacagagcagcagtggaatttcgcgggtatcgaggccgcggcaagcgcaatccagggaaatgtcacgtccattcattccctccttgacgaggggaagcagtccctgaccaagctcgcagcggcctggggcggtagcggttcggaggcgtaccagggtgtccagcaaaaatgggacgccacggctaccgagctgaacaacgcgctgcagaacctggcgcggacgatcagcgaagccggtcaggcaatggcttcgaccgaaggcaacgtcactgggatgttcgcatga(配列番号:93)。
19kDaシグナル配列を備えたAg85B−ESAT6融合物のアミノ酸配列:
MKRGLTVAVAGAAILVAGLSGCSSNKSTTGSGETTTAAGTTASPGRPGLPVEYLQVPSPSMGRDIKVQFQSGGNNSPAVYLLDGLRAQDDYNGWDINTPAFEWYYQSGLSIVMPVGGQSSFYSDWYSPACGKAGCQTYKWETFLTSELPQWLSANRAVKPTGSAAIGLSMAGSSAMILAAYHPQQFIYAGSLSALLDPSQGMGPSLIGLAMGDAGGYKAADMWGPSSDPAWERNDPTQQIPKLVANNTRLWVYCGNGTPNELGGANIPAEFLENFVRSSNLKFQDAYNAAGGHNAVFNFPPNGTHSWEYWGAQLNAMKGDLQSSLGAGMTEQQWNFAGIEAAASAIQGNVTSIHSLLDEGKQSLTKLAAAWGGSGSEAYQGVQQKWDATATELNNALQNLARTISEAGQAMASTEGNVTGMFA(配列番号:94)。
Ag85Bシグナル配列を備えたRv2626c−RpfD融合物のDNA配列:
atgacagacgtgagccgaaagattcgagcttggggacgccgattgatgatcggcacggcagcggctgtagtccttccgggcctggtggggcttgccggcggagcggcaaccgcgggcgcgttctccatgaccaccgcacgcgacatcatgaacgcaggtgtgacctgtgttggcgaacacgagacgctaaccgctgccgctcaatacatgcgtgagcacgacatcggcgcgttgccgatctgcggggacgacgaccggctgcacggcatgctcaccgaccgcgacattgtgatcaaaggcctggctgcgggcctagacccgaataccgccacggctggcgagttggcccgggacagcatctactacgtcgatgcgaacgcaagcatccaggagatgctcaacgtcatggaagaacatcaggtccgccgtgttccggtcatctcagagcaccgcttggtcggaatcgtcaccgaagccgacatcgcccgacacctgcccgagcacgccattgtgcagttcgtcaaggcaatctgctcgcccatggccctcgccagcatgacaccgggtttgcttactactgcgggtgctggccgaccacgtgacaggtgcgccaggatcgtatgcacggtgttcatcgaaaccgccgttgtcgcgaccatgtttgtcgcgttgttgggtctgtccaccatcagctcgaaagccgacgacatcgattgggacgccatcgcgcaatgcgaatccggcggcaattgggcggccaacaccggtaacgggttatacggtggtctgcagatcagccaggcgacgtgggattccaacggtggtgtcgggtcgccggcggccgcgagtccccagcaacagatcgaggtcgcagacaacattatgaaaacccaaggcccgggtgcgtggccgaaatgtagttcttgtagtcagggagacgcaccgctgggctcgctcacccacatcctgacgttcctcgcggccgagactggaggttgttcggggagcagggacgattag(配列番号:95)。
Ag85Bシグナル配列を備えたRv2626c−RpfD融合物のアミノ酸配列:
MTDVSRKIRAWGRRLMIGTAAAVVLPGLVGLAGGAATAGAFSMTTARDIMNAGVTCVGEHETLTAAAQYMREHDIGALPICGDDDRLHGMLTDRDIVIKGLAAGLDPNTATAGELARDSIYYVDANASIQEMLNVMEEHQVRRVPVISEHRLVGIVTEADIARHLPEHAIVQFVKAICSPMALASMTPGLLTTAGAGRPRDRCARIVCTVFIETAVVATMFVALLGLSTISSKADDIDWDAIAQCESGGNWAANTGNGLYGGLQISQATWDSNGGVGSPAAASPQQQIEVADNIMKTQGPGAWPKCSSCSQGDAPLGSLTHILTFLAAETGGCSGSRDD(配列番号:96)。
19kDaシグナル配列を備えたRv2626c−RpfD融合物のDNA配列:
Atgaagcgtggactgacggtcgcggtagccggagccgccattctggtcgcaggtctttccggatgttcaagcaacaagtcgactacaggaagcggtgagaccacgaccgcggcaggtaccacggcaagccccggcatgaccaccgcacgcgacatcatgaacgcaggtgtgacctgtgttggcgaacacgagacgctaaccgctgccgctcaatacatgcgtgagcacgacatcggcgcgttgccgatctgcggggacgacgaccggctgcacggcatgctcaccgaccgcgacattgtgatcaaaggcctggctgcgggcctagacccgaataccgccacggctggcgagttggcccgggacagcatctactacgtcgatgcgaacgcaagcatccaggagatgctcaacgtcatggaagaacatcaggtccgccgtgttccggtcatctcagagcaccgcttggtcggaatcgtcaccgaagccgacatcgcccgacacctgcccgagcacgccattgtgcagttcgtcaaggcaatctgctcgcccatggccctcgccagcatgacaccgggtttgcttactactgcgggtgctggccgaccacgtgacaggtgcgccaggatcgtatgcacggtgttcatcgaaaccgccgttgtcgcgaccatgtttgtcgcgttgttgggtctgtccaccatcagctcgaaagccgacgacatcgattgggacgccatcgcgcaatgcgaatccggcggcaattgggcggccaacaccggtaacgggttatacggtggtctgcagatcagccaggcgacgtgggattccaacggtggtgtcgggtcgccggcggccgcgagtccccagcaacagatcgaggtcgcagacaacattatgaaaacccaaggcccgggtgcgtggccgaaatgtagttcttgtagtcagggagacgcaccgctgggctcgctcacccacatcctgacgttcctcgcggccgagactggaggttgttcggggagcagggacgattag(配列番号:97)。
19kDaシグナル配列を備えたRv2626c−RpfD融合物のアミノ酸配列:
MKRGLTVAVAGAAILVAGLSGCSSNKSTTGSGETTTAAGTTASPGMTTARDIMNAGVTCVGEHETLTAAAQYMREHDIGALPICGDDDRLHGMLTDRDIVIKGLAAGLDPNTATAGELARDSIYYVDANASIQEMLNVMEEHQVRRVPVISEHRLVGIVTEADIARHLPEHAIVQFVKAICSPMALASMTPGLLTTAGAGRPRDRCARIVCTVFIETAVVATMFVALLGLSTISSKADDIDWDAIAQCESGGNWAANTGNGLYGGLQISQATWDSNGGVGSPAAASPQQQIEVADNIMKTQGPGAWPKCSSCSQGDAPLGSLTHILTFLAAETGGCSGSRDD(配列番号:98)。
実施例3:カセット及びバリアントの融合タンパク質のクローニング及び過剰発現
融合タンパク質としての抗原カセット及びそのバリアントの調製は、以下の修飾した戦略アウトラインを必要とした。
クローン化:複数の組換え融合タンパク質を生成し、そのうちの2つは本明細書において例示され、4つのMtb抗原(ESAT6−Rv1733c−Rv2626c−RpfD)を備えたもの、5つの抗原(Ag85B−ESAT6−Rv1733c−Rv2626c−RpfD)を備えたものである。タンパク質抗原をコードする遺伝子を、表5中のプライマーを使用してPCR増幅し、示された制限酵素部位を介してpET28bベクター(Novagen)の中へクローン化した。ESAT6をMtbからPCR増幅し、最初にpET23bベクター(Novagen)の中へクローン化した。続いてそれをPCR増幅し、pET28bの中へクローン化した。抗原85B、Rv1733c、Rv2626c及びRpfDについてのすべての遺伝子は、大腸菌(DNA2.0)における発現のために至適化されたそれらのコドンにより合成された。Ag85B及びrpfDはN末端のシグナル配列をコードする塩基なしに合成され、rpfBはN末端のシグナル配列なしにMtbからPCR増幅された。コドン至適化遺伝子をPCR増幅し、pET28bの中へクローン化し、N末端の6×Hisタグを付加した融合タンパク質を生成した。遺伝子はスペーサー配列なしに、各々の遺伝子の間の制限酵素部位のみを備えてクローン化した。Rv1733cの2つの膜貫通領域を除去するために、Rv1733cをともにライゲーションした3片においてPCR増幅した。別の実施形態において、4抗原タンパク質及び5抗原タンパク質は、膜貫通領域を含む野生型Rv1733cにより構築された。pET28bコンストラクトを大腸菌クローニング株中でクローン化し、制限消化によってスクリーニングし、シーケンスして各々のコンストラクトを検証した。4抗原融合物及び5抗原融合物のDNA配列及びアミノ酸配列は、Rv1733cの膜貫通領域なしに調製された。これらの融合物の後のバージョンでは、4抗原融合物中でRpfDはRpfBにより置き換えられ、融合物の5’末端または3’末端のいずれかに配置されたRpfBを備えていた。
発現:コンストラクトD及びその異なる融合タンパク質をコードするプラスミドを、大腸菌T7エクスプレス(NEB)または大腸菌BL21 DE3(Novagen)に形質転換した。各々の融合物コンストラクトの複数のコロニーをピックアップし、トリプシン分解ダイズブロス(TSB)(Sigma)中で37℃で一晩振盪して増殖させた。一晩の培養物をTSB中で1:100に希釈し、OD600=0.6まで37℃で振盪しながら増殖させた。培養物を1mM IPTGにより誘導し、37℃で3時間振盪しながら増殖させた。各々の培養物の誘導アリコート及び非誘導アリコートを、4〜12%ビス/トリスSDS−PAGEゲル上で泳動して、融合タンパク質の誘導を確認した。融合タンパク質の各々を発現するコロニーを、研究ストックとして−80℃でTSB+20%グリセロール中で凍結した。
融合タンパク質の精製
10mlの培養物を、BE1726D及びその異なる融合物コンストラクトのグリセロールストックから接種し、37℃で一晩振盪しながら増殖した。一晩の培養物を250mlのTSB中で1:100に希釈し、OD600=0.6まで37℃で振盪しながら増殖させた。培養物を1mM IPTGにより誘導し、37℃で3時間振盪しながら増殖させた。誘導したサンプルのアリコートを、4〜12%ビス/トリスSDS−PAGEゲル上で泳動して、タンパク質の誘導を確かめた。誘導した培養物を6,000×gで10分間遠心分離し、ペレットを−80℃で凍結した。ペレットを10mlのBPER緩衝液(Thermo Scientific)中で融解及び再懸濁し、アリコートは試験のために採取した(溶解物)。リゾチーム(20u/ml)及びDNase I(25U/ml)を添加して完全な細胞溶解を支援した。溶解した細胞を12,000×gで10分間遠心分離し、上清を収集した(可溶性画分)。不溶性ペレットを10mlのBPERバッファー中で再懸濁し、100μlアリコートを取り出した(不溶性画分)。再懸濁したペレット中の細胞を10mlの10%BPER緩衝液により希釈し、懸濁物を12,000×gで10分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを10mlの10%BPER緩衝液によりさらに3回再び洗浄した。溶解物、可溶性画分及び不溶性画分ならびに洗浄物を4〜12%ビス/トリスSDS−PAGEゲル上で泳動して、発現を確かめ、タンパク質の細胞内局在を決定した。融合タンパク質は封入体中の不溶性ペレットへ局在化していることが見出された。不溶性ペレットを、10mlの変性結合バッファー(DBB)(8M尿素、92mM Na2HPO4、7mM NaH2PO4、10mMトリス)pH7.8中で再懸濁した。封入体を超音波処理によって溶解し、溶解物を12,000×gで20分間遠心分離することによって残屑を清澄化した。
Rv1733cの膜貫通領域を欠失したタンパク質をカラム精製によって精製した。5mlのHisPurコバルト樹脂(Thermo Scientific)をDBBにより平衡化し、5mlの清澄化した溶解物と共にインキュベーションした。混合物を室温で90分間揺り動かした。次いで溶解物/樹脂混合物を30mlのカラムにロードし、25体積の変性洗浄バッファー(8M尿素、25mM Na2HPO4、75mM NaH2P
O4、10mMトリス、12mMデオキシコール酸ナトリウム、pH7.8)により洗浄した。Hisタグを付加したタンパク質を、50、100、350、500及び1000mMイミダゾールを備えた溶出バッファー(8M尿素、10mMトリス、5%グリセロール)pH8.0により溶出することによって、Co+カラムから溶出した。溶出したタンパク質を4〜12%ビス/トリスSDS−PAGEゲル上で泳動し、清浄な画分を、8M尿素、10mMトリス、5%グリセロールから10mMトリス、5%グリセロールへ段階的に透析した。透析されたタンパク質を、純度についてSDS−PAGE、各々の抗原の存在についてウエスタンブロットによって分析し、残存エンドトキシンの存在についてアッセイした。<0.25Uエンドトキシン/mlの純粋なサンプルをアリコートにし、−80℃で冷凍した。
AKTA精製機(GE Healthcare)を使用して、野生型Rv1733cを有するタンパク質を精製した。封入体がBPER洗浄によって上述のように分離された後に、不溶性ペレットを10mlの変性結合緩衝液(DBB)+20mMイミダゾール中で再懸濁した。封入体を超音波処理によって溶解し、溶解物を12,000×gで20分間遠心分離することによって残屑を清澄化した。5mlのNiセファロース高性能(GE Healthcare)樹脂をDBBにより平衡化し、10mlの清澄化した溶解物と共にインキュベーションした。混合物を室温で2時間揺り動かした。次いで混合物をAKTA精製機にロードした。AKTA精製機上で使用されるすべてのラインを、DBB+20mMイミダゾール、変性洗浄バッファー(8M尿素、25mM Na2HPO4、75mM NaH2PO4、10mMトリス、12mMデオキシコール酸ナトリウム、20mMイミダゾール)pH7.8、または溶出バッファー(8M尿素、10mMトリス、5%グリセロール、20mMイミダゾール)により、必要に応じて平衡化した。タンパク質を勾配溶出によって溶出し(溶出バッファー1:8M尿素、10mMトリス、5%グリセロール、20mMイミダゾール、100%〜0で実行;溶出バッファー2:8M尿素、10mMトリス、5%グリセロール、500mMイミダゾール、0〜100%で実行)、画分を収集した。陽性画分を4〜12%ビス−トリスSDS−PAGEゲル上で泳動し、8M尿素、10mMトリス、5%グリセロールから10mMトリス、5%グリセロールへ段階的に透析した。透析されたタンパク質を、純度についてSDS−PAGE、各々の抗原の存在についてウエスタンブロットによって分析し、残存エンドトキシンの存在についてアッセイした。<0.25Uエンドトキシン/mlの純粋なサンプルをアリコートにし、−80℃で冷凍した。
前述のものは、6×Hisタグを備えて発現された4抗原タンパク質及び5抗原タンパク質の精製を記述した。タンパク質はタグなしでも発現させることができる。非タグ付加タンパク質は、クロマトグラフィー法(イオン交換及びサイズ排除クロマトグラフィーが含まれる)及び濾過方法(接線流等)を組み合わせることによって精製することができる。
実施例4:マウスにおける5抗原融合タンパク質及び4つの抗原融合タンパク質の免疫原性
5抗原融合タンパク質を、合成ポリI:C TLR3アゴニストによりアジュバント添加して、CB6F1マウスにおける免疫原性について試験した。複数の他のアジュバント(TLR4アゴニスト等)を試験し、免疫原性であることが示され、したがって実施形態は使用されるアジュバントに非依存性であり、多くのクラスのアジュバントへ適用可能である。マウスを、アジュバントを添加した1または10μgの融合タンパク質により2週間間隔で2回皮下で免疫付与した。第2の免疫付与の2週間後に、マウスを屠殺し、脾細胞を単離した。脾細胞は、インビトロ刺激については組換えタンパク質抗原、及びELISpot分析については組換えタンパク質または重複ペプチドによりインキュベーションした。5抗原融合タンパク質は、各々の抗原への有意なIFN−γ応答(インビトロ刺激及びELISpotの両方によって測定することができる)を誘導した(図3A及び3Bを参照)。Ag85B(融合タンパク質のうちで最も免疫原性である第1の抗原)への応答は、他の抗原への応答に対してはるかに強かった。
次いで、4抗原タンパク質及び5抗原タンパク質の両方を、合成MPL TLR4アゴニストによりアジュバント添加して、CB6F1マウスにおける免疫原性について試験した。マウスを、アジュバントを添加した3μgの融合タンパク質により2週間間隔で2回皮下で免疫付与した。インビトロ刺激及びELISpotのために脾細胞を単離した。脾細胞を個々の抗原または融合タンパク質により刺激した。4抗原融合タンパク質または5抗原融合タンパク質のいずれかによる免疫付与は、すべての抗原へのIFN−γ応答を誘導した。ESAT6、Rv1733c、Rv2626c及びRpfDへのすべての応答は、4抗原融合タンパク質(Ag85Bを欠損する)において5抗原融合タンパク質よりも高かった(図4A及び4Bを参照)。
免疫原性研究は、野生型Rv1733cを備えた融合タンパク質(85B−ESAT6−Rv1733cwt−Rv2626c−RpfD及びESAT6−Rv1733cwt−Rv2626c−RpfD)及びRpfDがRpfBによって置き換えられた4抗原融合物(ESAT6−Rv1733c−Rv2626c−RpfB及びRpfB−ESAT6−Rv1733c−Rv2626c)上でも行われた。これらの研究は、野生型Rv1733cを含有する融合物の免疫原性と修飾したRv1733cを含有する融合タンパク質の免疫原性を比較し、RpfBを含有する融合物の免疫原性とRpfDを含有する融合タンパク質の免疫原性も比較した。この研究は、修飾したRv1733cを野生型1733cにより置き換えることは全体的な免疫原性に影響を与えないが、これらの融合物中でRpfBはRpfDよりも有意に免疫原性であることを示した(図5A及び5Bを参照)。
実施例5:進行中の保護的有効性
5抗原融合タンパク質及び4抗原融合タンパク質(BE1726D、E1726D)をマウスにおけるプライミングブースト保護実験で使用した。マウスを、BCG SSI、及び5抗原融合タンパク質を作り上げる5つのMtb抗原を過剰発現する組換えBCG SSIによりプライミングした。6及び8週間後に、マウスを、5抗原タンパク質または4抗原タンパク質のいずれか+ポリI:Cアジュバントによりブーストした。第2のブーストの(4)週間後に、マウスは50〜100CFUのエアロゾルMtbの攻撃投与を受けた。次いで攻撃投与の4及び12週間後にマウスを屠殺して、肺(図6Aを参照)及び脾臓(図6Bを参照)中の生存細菌を決定した。この実験は、Ag85Bへの大きな応答が、4抗原融合タンパク質における他の4つの抗原へのより幅広い応答よりも、マウスにおいてより保護的であるかどうかを決定した。
本明細書において記述された対象物に加えて、記述されたものの様々な修飾は、前述の記述から当業者に明らかである。かかる修飾も添付の請求項の範囲内であることが意図される。本出願において引用される各々の参照文献(ジャーナル論文、米国特許及び非米国特許、特許出願公報、国際特許出願公報、ジーンバンクアクセッション番号、ならびに同種のものが含まれるが、これらに限定されない)は、その全体が参照として本明細書に援用される。