JP6552692B2 - 素子基板、液体吐出ヘッド、及び記録装置 - Google Patents

素子基板、液体吐出ヘッド、及び記録装置 Download PDF

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Description

本発明は素子基板、液体吐出ヘッド、及び記録装置に関し、特に、インク等の液体を吐出するために発熱素子(ヒータ)を備えた素子基板、その素子基板を有する液体吐出ヘッド、及びその液体吐出ヘッドを用いる記録装置に関する。
ノズルからインク液滴を吐出させ、紙,プラスチックフィルムその他の記録媒体に付着させるインクジェット記録方式の中で、インクを吐出するために熱エネルギーを発生するヒータを有する液体吐出ヘッドを用いるものがある。この方式に従う液体吐出ヘッドは、例えば、通電に応じて発熱する電気熱変換素子およびその駆動回路などを半導体製造工程と同様の工程を用いて形成できる。従って、ノズルの高密度実装が容易であり記録の高精細化が達成できるなどの利点を有する。
この液体吐出ヘッドでは、異物や粘度が増加したインク等によるノズルの目詰まり、インク供給経路やノズル内に混入した気泡又はノズル表面の濡れ性の変化などの原因により、液体吐出ヘッドの全部または一部のノズルでインク吐出不良が発生することがある。そのような吐出不良が発生した場合に生じる画像品位の低下を避けるために、インク吐出状態を回復させる回復動作や、他のノズルなどによる補完動作を速やかに実行することが好ましい。しかし、これらの動作を速やかに行うためには、インク吐出状態の判定やその吐出不良発生の判定を正確にかつ適時に行うことが極めて重要な課題となっている。
従って、従来からも、種々のインク吐出状態判定方法やこれらを適用した装置が提案されている。
特許文献1は、インク吐出状態を検出するために、ヒータ直下に備えた温度検知素子により検知したインク吐出時の最高温度と予め定めた閾値と比較する方法を開示している。インクが正常に吐出され時はヒータの熱が吐出されるインク滴とともに排出されるのに対し、インク吐出不良時はインクが吐出されないため、熱が層間絶縁膜に溜まり、最高温度が高くなる。従って、この最高温度の違いからインク吐出状態を検出することができる。
また、特許文献2は吐出不良を検出するために、正常吐出時に生じる温度低下を検出する方法を開示している。正常吐出時は吐出されるインク液滴の一部が耐キャビテーション膜に接触し、温度検知素子の温度が急激に低下する。これに対して、インク吐出不良時はインク液滴が耐キャビテーション膜に接触することはないので、温度検知素子の温度は穏やかに低下する。従って、この温度変化の違いから吐出状態を検出することができる。
特開2007−290361号公報 特開2008−000914号公報
しかしながら、特許文献1に開示される吐出状態判定方法では、最高到達温度が液体吐出ヘッドの温度、印加エネルギー、温度検知素子の抵抗値の違いなどによって変化するため、それぞれの条件に応じた判定閾値が必要になる。
また、特許文献2に開示される構成では、温度の急激な低下を検出するために、検知温度を微分処理などの複数の演算処理を実行して温度変化のピークを目立たせているため、判定までの処理に時間がかかるという問題がある。さらに、その演算のために回路規模が大きくなる。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、より簡単な構成で、インク等の液体の吐出状態の判定を正確に実行可能な素子基板、液体吐出ヘッド、及び記録装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の素子基板は次のような構成を有する。
即ち、基板と、前記基板に設けられた電気熱変換素子と、前記基板と前記電気熱変換素子との間に配された絶縁膜と、前記絶縁膜の内部に配され、前記基板の面に直交する方向から見て少なくとも一部が前記電気熱変換素子と重複する位置に設けられた温度検知素子と、を有する素子基板において、前記絶縁膜の内部に配され、前記温度検知素子と電気的に接続された配線であって、前記温度検知素子の前記基板の側の面と接し、前記基板の側へ向かって延びる第1部分と、前記温度検知素子よりも前記直交する方向において前記基板の側に位置し、前記基板の面に沿って延びる第2部分と、を備える前記配線を有することを特徴とする。
また本発明を別の側面から見れば、上記構成の素子基板を有し、前記電気熱変換素子の発熱によって液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える。
さらに本発明を別の側面から見れば、そのような構成の液体吐出ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、前記温度検知素子に電流を供給する電流供給源と、前記電流供給源から供給された電流が前記温度検知素子に流れることで得られる前記温度検知素子からの出力電圧に基づいて、液体が正常に吐出されるか、吐出不良が生じるかを判定する判定手段とを有することを特徴とする記録装置を備える。
またさらに本発明を別の側面から見れば、そのような構成の液体吐出ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、フレキシブルケーブルと、前記フレキシブルケーブルを介して前記温度検知素子に電流を供給し、前記フレキシブルケーブルを介して前記温度検知素子からの出力電圧を受信可能である本体部とを有することを特徴とする記録装置を備える。
従って本発明によれば、簡単な構成で液体の吐出状態の判定を正確に行うことができるという効果がある。
本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の主要機構部分を示す斜視図である。 温度検知素子を備えるインクジェット液体吐出ヘッドの基板(ヒータボード)の一部を示す模式的平面図と、そのa−a’線に沿った模式的断面図である。 図1に示す記録装置を含む記録システムの制御構成を示すブロック図である。 正常にインク吐出が行われている場合と吐出不良が発生した場合のノズル内のインクの状態を示す図である。 正常にインク吐出が行われている場合と吐出不良が発生した場合の温度センサが検出する温度変化を示す図である。 本発明の実施例1に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す側断面図と上面図である。 本発明の実施例1に従う温度検出回路の構成を示す回路図である。 図7に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれにおける2つの温度検知素子の電圧の時間変化を示す図である。 図7に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の比較器からの出力電圧の時間変化を示す図である。 本発明の実施例2に従う温度検出回路の構成を示す回路図である。 図10に示す温度検出回路を用い、2つの別個の電流供給源から電流を供給した場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の2つの温度検知素子の電圧の時間変化を示す図である。 図10に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の比較器からの出力電圧の時間変化を示す図である。 本発明の実施例3に従う温度検出回路の構成を示す回路図である。 図13に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の2つの温度検知素子の電圧の時間変化を示す図である。 図13に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の減算器からの出力電圧の時間変化と参照電圧との関係を示す図である。 本発明の実施例4に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す側断面図と上面図である。 本発明の実施例5に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す上面図である。 図17に示す回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれにおける2つの温度検知素子の電圧の時間変化を示す図である。 図17に示す回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の比較器からの出力電圧の時間変化を示す図である。 本発明の実施例6に従う液体吐出ヘッドの1つのノズルのインク吐出不良時と正常吐出時の圧力室内のインク充填の有無の様子を示す側断面図である。 本発明の実施例6に従う温度検出素子とヒータの配置構成を示す上面図である。 本発明の実施例7に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す側断面図と上面図である。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。さらに人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「記録素子」とは、特にことわらない限りインク吐出口乃至これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
<記録装置の説明(図1)>
まず、以下に説明するいくつかの実施例に共通に適用可能なインクジェット記録装置(以下、記録装置)の構成について説明する。
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット液体吐出ヘッド(以下、液体吐出ヘッド)を搭載し、インク等の液体を記録媒体に吐出して記録を行う記録装置の主要機構部の概要を示す斜視図である。図1に示されるように、液体吐出ヘッド1はキャリッジ3上に搭載され、キャリッジ3はタイミングベルト4の回転に従ってガイドレール6に沿って矢印Sで示す方向に往復移動が可能なように案内支持されている。液体吐出ヘッド1は記録媒体2と対向する面に、キャリッジ3の移動方向と異なる方向に配列されたノズル群を有している。そして、液体吐出ヘッド1を搭載したキャリッジ3が矢印S方向に往復走査する過程で、液体吐出ヘッド1のノズル群から記録データに従ってインクを吐出させることで、記録媒体2に対する記録が行われる。
液体吐出ヘッド1は複数色のインクを吐出することを考慮して複数個数を設けることができるものであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、及び黒(Bk)のインクを用いた記録が可能である。液体吐出ヘッド1は、インクが収納されているインクタンクを分離可能または分離不能に一体に備えるものであってもよい。また、装置の固定部位に設けたインクタンクからチューブ等を介してインク供給を受けるものであってもよい。キャリッジ3には、フレキシブルケーブル8およびコネクタを介して各液体吐出ヘッド1に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
また、図1には示されていないが、液体吐出ヘッドの移動範囲であって記録媒体2に対する記録範囲外には、液体吐出ヘッドのノズルのインク吐出動作を良好な状態に維持または回復するために用いられる回復ユニットが設けられる。この回復ユニットは公知の構成のものを採用できる。例えば、液体吐出ヘッドのノズル形成面をキャッピングするキャップや、当該キャッピング状態において負圧を作用させることによりノズルからキャップ内にインクを強制排出させるポンプを備えた構成とすることができる。また、画像の記録には寄与しないインクの吐出(予備吐出)を例えばキャップ内に行わせるものであってもよい。
<液体吐出ヘッドの構成(図2)>
図2は温度検知素子を備える液体吐出ヘッドの基板(ヒータボード)の一部を示す模式的平面図とa−a’線に沿った模式的断面図である。
列状に設けられた複数のノズル103それぞれよりインクを吐出させるために、駆動パルス信号により電力が供給される。これに応じて電気熱変換素子(以下、ヒータ)104が加熱され、例えば、インクに膜沸騰を生じさせることによりインク滴が各ノズルより吐出される。
図2(a)の平面図において、106はワイヤボンディングにより外部と接続され電力供給を行うための端子、105はヒータ104と同様の成膜プロセスによりヒータボードに形成された温度検知素子(以下、温度センサともいう)である。また、107は共通液室である。
図2(b)の断面図に示すように、ヒータボードを構成するSi基板108には、熱酸化膜SiO2等からなる蓄熱層109を介して温度に応じて抵抗値が変化する薄膜抵抗体で形成される温度センサ105が配置される。温度センサ105はAl,Pt,Ti,Ta,Cr,W,AlCu等からなる。さらに、Si基板108には、ヒータ104に対する個別配線と、ヒータ104とこれに選択的に電力供給を行うための制御回路を接続する配線とを含むAl等の配線110が形成される。さらに、層間絶縁膜111を介してヒータ104、SiN等のパシベーション膜112および耐キャビテーション膜113が半導体製造工程と同様のプロセスにて高密度に積層されて配置される。なお、耐キャビテーション膜113には、ヒータ104上の耐キャビテーション性を高めるためにTa等を用いることができる。
以上説明した構造から分かるように、Si基板108は多層構造をしており、ヒータ104が形成される層とは異なる層に温度センサ105が形成され、これらの層の間には層間絶縁膜111が形成される。また、ここでは説明を簡単にするために、各ヒータ104に対応して1つの温度センサが形成される構成としているが、以下に説明する実施例のように1つのヒータに対して2つの温度センサを形成することができる。
<制御構成(図3)>
図3は図1に示す記録装置を含む記録システムの制御構成を示すブロック図である。
図3において、1700はインタフェースであり、ホストコンピュータその他の適宜の形態を有する外部装置1000から送られてくるコマンドや画像データを含む記録信号を受信する。また、インタフェース1700から外部装置1000に対しては、必要に応じて記録装置のステータス情報を送出することができる。1701はMPUであり、ROM1702に記憶された後述する処理手順に対応した制御プログラムや所要のデータに従って記録装置内の各部を制御する。
1703は各種データ(上記記録信号や液体吐出ヘッドに供給される記録データ等)を保存するDRAMである。1704は液体吐出ヘッド1に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701およびDRAM1703間のデータ転送制御も行う。1726は所要のデータを記録装置の電源オフ時にも保存するためのEEPROM等の不揮発性メモリである。
1708はキャリッジモータであり、キャリッジ3を図1に示したように矢印方向に往復移動させるために用いられる。1709は搬送モータであり、記録媒体2を搬送するために用いられる。1705は液体吐出ヘッド1を駆動するヘッドドライバ、1706および1707はそれぞれ、搬送モータ1709およびキャリッジモータ1708を駆動するためのモータドライバである。1710は回復ユニットであり、上述したキャップや、ポンプ等を備えたものとすることができる。1725は操作パネルであり、操作者が記録装置に対して各種設定を行う設定入力部や操作者に対してメッセージを表示する表示部などを有している。1800は記録媒体の搬送位置などを検出する光学センサである。
各ヒータの温度を検出するためには、端子106を通して温度センサに対して電力が供給され、その温度センサの電圧を検出し、これを出力する必要がある。従って、キャリッジ3にはそのような電力を供給する端子と温度センサからの出力電圧を受信する端子が備えられている。さらに、これらの端子を介した電力はフレキシブルケーブル8を介して記録装置本体から供給され、温度センサからの出力電圧はフレキシブルケーブル8を介して記録装置本体に出力される。
そして、記録装置本体では、フレキシブルケーブル8を介して得られた温度情報に基づいて各ノズルからインクが正常に吐出されたか、或いは、吐出不良が発生したかを判定することができる。
<吐出状態と層間絶縁膜温度の関係>
本発明が適用される液体吐出ヘッドは、基本的に、インクを吐出するため熱エネルギーを発生する発熱素子(ヒータ)と、その駆動に伴う温度変化を検出する温度検出素子(温度センサ)とを有する。
図4は正常にインク吐出が行われている場合と吐出不良が発生した場合のノズル内のインクの状態を示す図である。特に、図4は吐出状態に伴う耐キャビテーション膜113上の状態を示したものである。
図4に示すように、ヒータ104を加熱後の経過時間t=t1では、インク吐出不良時と正常吐出時共に、耐キャビテーション上は加熱により発生した泡に覆われる。さらに一定時間が経過後のt=t2では、インク吐出不良時は耐キャビテーション膜の上に泡が残存しているのに対して、正常吐出時はその吐出に伴い発生する吐出されるインク液滴の一部が耐キャビテーション膜の表面に接触する。
図5は正常にインク吐出が行われている場合と吐出不良が発生した場合の温度センサ105が検出する温度変化を示す図である。特に、図5は吐出状態における耐キャビテーション膜113の表面下の温度変化を示したものである。また、図5におけるt=t2は図4におけるt=t2に対応している。
図5によれば、インク吐出不良時は耐キャビテーション膜の表面に常に泡が存在するため急激な温度変化は発生せず穏やかに温度が低下する。一方、インク正常吐出時は、t=t2のタイミングで熱がインク側へ移動するため、耐キャビテーション膜の表面の温度は急激に低下する。
次に、以上のような構成の記録装置とインク吐出動作におけるヒータの温度変化の特性を踏まえたインク吐出状態を判定するいくつかの実施例について説明する。
図6は本発明の実施例1に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す側断面図と上面図である。
図6(a)と図6(b)とに示されるように、この実施例では1つのヒータに対して2つの温度検知素子(温度センサ)105A、105Bを設ける。上述のように薄膜抵抗体として形成される温度検知素子(温度センサ)は一つのヒータ104の直下に2つ配置される。これにより、温度変化が異なるヒータ直下の2か所の温度が測定できる。
また、図6(a)に示されるように各温度検知素子に接続される配線は層をまたいで、温度検知素子とは別の層の配線110と接続される。このように配線を別の層に設けることによって、同じ層にある2つの温度検知素子105A、105Bの間での配線を経由する熱の移動が少なくなり、温度検知素子を配置した場所の温度を正確に測定できる。
また、図6(b)にも例示されるように、2つの温度検知素子105A、105Bそれぞれの平面形状は適宜定められる。図6(b)に示す例では、第1の温度検知素子105Aをヒータ104の中心におき、第2の温度検知素子105Bをヒータ104の周縁の辺に沿って配置している。
この配置により、耐キャビテーション膜113の表面の中心(ヒータ104の中心)への吐出されたインク液滴の一部の接触することで生じる中心部の大きな温度変化と、接触が生じない周辺部の小さな温度変化を同時に検知することが可能になる。さらに、2つの温度検知素子105A、105B共に蛇行させながら配置することにより、素子の高抵抗化を図り、微小な温度変化もより大きな変化として検知することができる。
図7は本発明の実施例1に従う温度検出回路の構成を示す回路図である。
図6に示した配置から明らかなように、ヒータ104の中央の直下に第1の温度検知素子105Aがあり、ヒータ104の周辺の直下に第2の温度検知素子105Bが配置される。そして、各温度検知素子に定電流を流すための電流供給源120がSi基板108の外部に備えられる。各温度検知素子に電流が流れることで温度変化による抵抗値の変化を電圧として出力できる。そして、各温度検知素子に発生する電圧を各温度検知素子に対応して設けられた差分器121、122により抽出し、2つの温度検知素子から得られた電圧(V1,V2)どうしを比較器123で比較する。最終的には比較器123からの出力電圧Voutが1つのヒータ104の温度情報として出力される。
なお、電流供給源120を除く以上のような構成の回路はSi基板108に実装される。ただし、このような回路はSi基板108上に必ずしも実装されなければならない訳ではなく、Si基板108の外部、例えば、キャリッジ3内部や記録装置本体の制御回路に実装されても良い。しかしながら、検出された電圧への雑音の混入や信号減衰や外部配線の引き回しなどを考慮すると、Si基板108に実装することは最良の態様と考えられる。
また、第1、第2の温度検知素子105A、105Bは、ヒータ104の直下に配置されると述べたが、これは相対的な位置関係を表わすに過ぎない。従って、Si基板108を実装した液体吐出ヘッド1がキャリッジ3に搭載されたときには、その取付の位置関係によって第1、第2の温度検知素子105A、105Bはヒータ104の直上に配置されると言える場合もある。
さらに、図6では、1つのヒータの領域内に2つの温度検知素子が完全に含まれている例が図示されているが、対応する1つのヒータの温度を検知できる限り、2つの温度検知素子それぞれの一部が1つのヒータの領域内に含まれている配置でも良い。従って、上記の“直下”及び“直上”という用語は、1つのヒータの領域内に2つの温度検知素子が完全に含まれている場合のみならず、これらの一部が含まれている領域に配置される場合も含む。
図8は図7に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれにおける2つの温度検知素子105A、105Bから得られた電圧の時間変化を示す図である。
インク吐出不良時は、第2の温度検知素子105Bの温度より第2の温度検知素子105Aの温度が常に高い。このため、図8(a)に示されるように、第1の温度検知素子の電圧V1は第2の温度検知素子の電圧V2より大きい。これに対して、時間T=Tk以降での第1の温度検知素子105Aの温度は第2の温度検知素子105Bの温度よりも低くなる。このため、第1の温度検知素子105Aの電圧V1は第2の温度検知素子105Bの電圧V2よりも小さくなる。なお、Tkは、インク正常吐出時は吐出されたインク液滴の一部が耐キャビテーション膜113の中央への接触するタイミングである。
図9は図7に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の比較器からの出力電圧の時間変化を示す図である。
比較器123はV2≧V1である時にその出力信号Voutはハイ(High)レベルとなる。一方、V2<V1である時は、Voutはロー(Low)レベルとなる。インク吐出不良時は常にV1>V2であるため、比較器123からの出力信号Voutは常にロー(Low)レベルとなり一定である。一方、インク正常吐出時、発泡時はV1>V2となるため、出力信号Voutはロー(Low)レベルとなる。しかしながら、時間Tk以降では、V1<V2となるため、出力信号Voutはハイ(High)レベルとなる。なお、Tkは吐出されたインク液滴が耐キャビテーション膜113の中央に接触するタイミングである。
以上説明した実施例によれば、2つの温度検知素子105A、105Bからの出力電圧時間変化を監視することにより、インクの正常吐出と吐出不良を判定することができる。なお、記録装置は、比較器123からの出力電圧Voutを1つのヒータ104の温度情報として受信する。このため、図9に示されているように、これを所定の閾値Vthと比較し、その大小関係によりインクの正常吐出と吐出不良を判定する。即ち、時間Tk以降、Vout≧Vthであれば正常吐出と判定する。一方、Vout<Vthであれば吐出不良と判定する。
この実施例では、実施例1で示した温度検出回路を2つの電流供給源を用いて駆動する例について説明する。
図10は本発明の実施例2に従う温度検出回路の構成を示す回路図である。
図10において、図7に示した構成と同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。図10と図7とを比較すると明らかなように、この実施例では2つ温度検知素子それぞれに別個の電流供給源120A、120Bを設けるように構成している。従って、この実施例では、各温度検知素子の電流を制御することができる。
図11は電流供給源により第2の温度検知素子への供給電流を大きくした時の2つの温度検知素子からの出力電圧の時間変化を示す図である。
正常吐出時では、図11(b)に示すように、第1の温度検知素子105Aの出力電圧V1と第2の温度検知素子105Bの出力電圧V2の大小関係は変化していない。しかしながら、第2の温度検知素子により大きな電流を供給し、より大きな電圧V2'にすることで、時間Tk以降でのV1とV2'の大小関係が変化する。このとき、図11(a)に示すように、インク吐出不良時はたとえ電流供給源による電流の調整を行っても、2つの温度検知素子からの出力電圧の大小関係が変わらないようにする。
なお、調整する電流は第1の温度検知素子に対してであっても第2の温度検知素子に対してであっても良い。
図12は図10に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の比較器123からの出力電圧の時間変化を示す図である。
図12に示すように、インク正常吐出時では、時間Tk以降にV1<V2'となるため、比較器123の出力信号Voutはハイ(High)レベルとなる。一方、インク吐出不良時は常にV1>V2'となるため、出力信号Voutは常にロー(Low)レベルとなる。
なお、図11〜図12において、Tkは吐出されたインク液滴が耐キャビテーション膜の中央に接触するタイミングである。
温度検知素子の配置場所や製造バラツキ、吐出現象の変化などが原因で、実施例1の構成ではインク正常吐出時に各温度検知素子からの出力電圧V1とV2大小関係が変化しない場合がある。しかしながら、従って以上説明した実施例によれば、そのような場合でも、温度検知素子毎に電流を調整することで、電圧の大小関係を変えることができる。そして、この出力電圧の違いにより、正常吐出と吐出不良を判定することができる。
この実施例では、2つの温度検知素子間の電圧差から、インク吐出状態を検知する例について説明する。
前述のように、インク正常吐出時、ヒータ104の中央直下と周辺直下の温度差は吐出されたインク滴の一部が耐キャビテーション膜113の表面に接触するため小さくなる。これに対して、インク吐出不良時は、ヒータ104の中央と周辺はともに空気が接触しているため、中央直下と周辺直下の温度差は正常吐出時のように小さくならない。この実施例では、この温度差の大きさを検知することによって、インクの吐出状態を検知する。
図13は本発明の実施例3に従う温度検出回路の構成を示す回路図である。
図13において、図7に示した構成と同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。
図13に示すように、この実施例では2つの温度検知素子の電圧V1とV2との差を参照電圧Vrefと比較する。この実施例では2つの温度検知素子105A、105Bの両端の電位差をV1とV2として抽出する。さらに減算器124によりV1−V2である電圧V3を抽出する。そして、比較器により電圧V3と参照電圧Vrefとを比較する。
図14は図13に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の2つの温度検知素子の電圧の時間変化を示す図である。
図14に示すように、2つの温度検知素子105A、105Bの出力電圧の大小関係が吐出不良時(図14(a))であっても、正常吐出時(図14(b))であっても、変化しないときがある。この図に示す例では、インク吐出不良時も正常吐出時もともに、常にV1>V2となっている。しかし、正常吐出時では吐出されたインク液滴の一部が耐キャビテーション膜113の表面への接触するタイミングTk以降の時間からV1は大きく低下している。
図15は図13に示す温度検出回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の減算器からの出力電圧の時間変化と参照電圧との関係を示す図である。
図14(a)で示したようにインク吐出不良時、V1とV2の差がほとんどないため、図15に示すように、電圧V3は大きく変化がしない。これに対して、図14(b)で示したようにインク正常吐出時、時間Tk以降、V1は大きく低下する。従って、図15に示すように、電圧V3は小さくなる。
従って以上説明した実施例に従えば、予めインク正常吐出時と吐出不良時の電圧V3から、これら2つの状態を分ける電圧を参照電圧Vrefとして設定する。そして、この参照電圧と比較した大小関係からインク吐出状態を判定できる。即ち、V3<Vrefであれば正常吐出と判定する。一方、V3>Vrefであれば吐出不良と判定する。
ここでは、2つの温度検知素子はSi基板108上の別の層に形成する例について説明する。インク吐出状態に伴う2つの温度検知素子105A、105Bの温度の大小関係の変化は耐キャビテーション膜113の表面に対して垂直方向においても存在するので、これら2つの温度検知素子の出力電圧の大小関係からインク吐出状態を判定できる。
図4に示した通り、インク吐出不良時は常に耐キャビテーション膜113の表面は熱伝導率の低い空気で覆われ断熱状態になり、温度が最も高い。一方で、インク正常吐出時は熱伝導率の高い吐出されたインク液滴の一部が耐キャビテーション膜の表面に接触するため、耐キャビテーション膜113の表面温度が下がり、耐キャビテーション膜の表面よりも下側の温度が表面より高くなる。従って、インク吐出状態によって、別の層に形成された2つの温度検知素子の温度の大小関係が異なる。このため、実施例1と同様な図7に示したような回路構成を備えることによって、インク吐出状態を判定できる。
図16は本発明の実施例4に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す側断面図と上面図である。
この実施例では、2つの温度検知素子105A、105Bを別の層に形成する。図16(a)に示すように、第1の温度検知素子105Aの直下には、第1の層間絶縁膜111Aを形成し、さらにその直下に第2の温度検知素子105Bを形成する。さらにその直下に第2の層間絶縁膜111Bを形成する。また、それぞれの温度検知素子に接続する配線の位置は、配線からの放熱を避けるために、各温度検知素子から離れた所に接続するのが好ましい。また、この配線は熱の放熱を防ぐために短くすることが好ましい。
図16に示す例では、第1の温度検知素子105Aに接続する配線110Aは左側に伸長し、第2の温度検知素子105Bに接続する配線110Bは右側に伸長している。
また、図16(b)に示す上面図では点線で描画されているのは第2の温度検知素子105Bであり、第1の温度検知素子105Aに対して上面から見たときには重なる位置に配置されるが、実際には第1の温度検知素子105Aよりも下の層に形成される。また、2つの温度検知素子に接続される配線110A、110Bはそれぞれ互いに温度検知素子を挟んで180度、反転する位置から別の層の配線に配線される。
ここでは、2つの温度検知素子をSi基板108の同じ層に同じ形状で形成する例について説明する。同じ層に同じ形状で形成することにより、この実施例によれば、ヒータ104を形成する層との間に形成される寄生容量を等しくでき、ヒータ104に電流が流れるときに、生じる寄生容量を経由するノイズの影響を同じにできる。従って、この実施例によれば、同じ大きさのノイズが重畳した2つの温度検知素子からの出力電圧を差分器で差分演算することによりノイズの電圧成分が相殺され、ノイズの影響を小さくできる。
図17は本発明の実施例5に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す上面図である。この実施例では、上述のように、2つの温度検知素子105A、105Bを同じ層に同じ形状に形成する。2つの温度検知素子は同じ層に形成されるため、ヒータが形成される層とは同じ距離にある。また、2つの温度検知素子は同じ形状であるため、2つの温度検知素子の表面積は同じである。このように、2つの温度検知素子はヒータが形成される層に対して、距離と表面積が同じであるため、同じ大きさのヒータが形成される層に対して、同じ大きさの寄生容量をもつ。また、2つの温度検知素子を同じ層に同じ形状に形成したときの断面は図4(a)と同じようになる。
図18は図17に示す回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれにおける2つの温度検知素子の電圧の時間変化を示す図である。特に、図18ではヒータから寄生容量経由のノイズが重畳したときの2つの温度検知素子からの出力電圧の時間変化を示している。図18が示すように、ヒータ104の中央に配置される第1の温度検知素子105Aの電圧V1とヒータ104の周辺に配置される第2の温度検知素子の電圧V2には、それぞれ同じ大きさのノイズが重畳している。これは、ノイズ源となるヒータ104の層と同じ大きさの寄生容量が形成されるためである。
図18(b)に示すように、インク正常吐出時、吐出されたインク液滴の一部が耐キャビテーション膜の表面への接触するタイミング以降の時間Tkから第1の温度検知素子の電圧V1が大きく低下する。これに対して、図18(a)に示すように、インク吐出不良時、電圧V1のそのような急激な低下は認められない。
図19は図17に示す回路を用いた場合のインク吐出不良時と正常吐出時それぞれの場合の比較器からの出力電圧の時間変化を示す図である。
この実施例の構成では、電圧V1とV2にはそれぞれ、同じ大きさのノイズが重畳されるため、差分器の差分演算によりそのノイズは相殺され、出力結果はノイズの影響を受けない。その結果、インク正常吐出時では上述した時間Tk以降で比較器の出力電圧Voutはハイ(High)レベルとなる。一方、インク吐出不良時は常に、その出力電圧Voutはロー(Low)レベルとなる。
従って、比較器の出力電圧を監視することで、インク吐出状態を正しく判定することができる。
ここでは、2つの温度検知素子をヒータの中心直下とヒータ周辺部直下ではなく、1つをヒータの中心直下にもう1つをヒータのインク供給口側の直下に配置する例について説明する。このように2つの温度検知素子を配置することにより、耐キャビテーション膜113の中心とインク供給口側のインク供給時に起こる温度差を検知できる。そして、この温度差から、インク充填の有無を検知できるので、たとえ吐出されたインク液滴の一部が耐キャビテーション膜の表面に接触しない場合でも、正常にインク吐出が行われているかどうかを判定できる。
図20は本発明の実施例6に従う液体吐出ヘッドの1つのノズルのインク吐出不良時と正常吐出時の圧力室内のインク充填の有無の様子を示す側断面図である。
図20(a)はインク吐出不良時の典型例の一つを示しており、圧力室内に常に泡が留まってインク吐出が生じない泡不吐の例である。泡不吐の時は圧力室内に常に気泡があるためインク充填が正常に行われない。インク充填がない時、耐キャビテーション膜113の表面のどこにおいてもインクが接触しておらず、耐キャビテーション膜の表面には常に空気が接触している。
一方、図20(b)はインク正常吐出時の例を示している。インク正常吐出時、インク充填は正常に行われる。インク充填があるときは、耐キャビテーション膜113の表面をインク供給口側からインクが流れてくるため、インク供給口から徐々にインクが耐キャビテーション膜113の表面に接触していく。
図21は本発明の実施例6に従う温度検出素子とヒータの配置構成を示す上面図である。特に、図21はインク充填の有無によりインク吐出状態を検知するように構成した温度検知素子の配置を示している。図21に示すように、ヒータ104の中央直下に第1の温度検知素子105Aが配置され、インク供給口側の直下には第2の温度検知素子105Bが配置される。
図21に示す配置構成において、インク充填がない時は、耐キャビテーション膜113の表面には熱伝導率の低い空気が存在するため、2つの温度検知素子に急激な温度変化は生じない。従って、2つの温度検知素子の間の温度差は小さい。一方、インク充填があるときは、インク供給口側に熱伝導率の高いインクがあるため、第2の温度検知素子105Bは第1の温度検知素子105Aと比較して温度が急激に下がる。従って、2つの温度検知素子間の温度差は大きくなる。
従って以上説明した実施例に従えば、2つの温度検知素子の間の温度差(ΔT)に対してインク正常吐出時と吐出不良時に対する閾値(Tth)を予め設けることにより、インク吐出状態を判定することができる。つまり、この閾値よりも温度差が大きい時(ΔT≧Tth)、インク充填が正常に行われており、正常吐出であると判定する。これに対して、温度差が予め定めた閾値よりも小さい時(ΔT<Tth)、インク充填が正常に行われておらず、吐出不良であると判定するのである。
ここでは、2つの温度検知素子と差分器とを接続する配線を、Si基板108上の別の層ではなく同じ層に形成する例について説明する。これらの要素を同じ層に形成することにより、基板製造の工程を減らすことができ、コストダウンに貢献する。このとき、2つの温度検知素子からの配線は、配線からの放熱による2つの温度検知素子の間の熱の移動を防ぐために、互いの温度検知素子とそれに接続する配線がない場所に形成するのが望ましい。
図22は本発明の実施例7に従う温度検知素子とヒータの配置構成を示す側断面図と上面図である。
図22(a)の断面図には、配線を温度検知素子と同じ層に形成した様子が示されており、この例では、2つの温度検知素子とその温度検知素子に接続する配線が層間絶縁膜111の直下の同じ層に形成されて様子が示されている。
また、図22(b)の上面図には、2つの配線110A、110Bが2つの温度検知素子105A、105Bそれぞれから、もう一つの温度検知素子とは離れた方向に伸長し、ヒータ104の領域外まで配線されていることが示されている。
さて以上説明した7つの実施例では、1つのヒータに2つの温度検知素子を配置し、インク吐出状態の判定を行う例について説明した。しかしながら、これらの実施例が、適宜のタイミングで、液体吐出ヘッドに含まれる全ノズルについて適用できることは言うまでもない。実行タイミングに関しては、例えば、これを記録動作中に実行しても良いし、予備吐出に際して実行しても良い。いずれにしても、吐出状態判定は各ノズルの吐出動作に伴って実行されるものであるので、インク吐出不良の生じたノズルを精度よく特定することも可能となる。
また以上説明した7つの実施例の構成においても、時間微分演算を行うような複雑な演算は必要としていない。従って、どの構成も複雑な回路構成を必要としないので、簡単な構成でかつ安価に構成することが可能になる。さらに、複雑な演算は必要としていないので判定処理を高速に行うことも可能になるし、回路構成が複雑でないので、回路面積を小さくすることも可能になる。
また、吐出不良の検出に応じ回復処理を速やかに実行したり、あるいは他のノズルで記録を補完する動作を速やかに実行したりすることが可能となる。さらには、最適な駆動パルスの決定、昇温などからの液体吐出ヘッドの保護処理、ユーザへの警告なども迅速に実行できるものとなる。
以上、シリアル記録を行う記録装置に本発明を適用した例について説明した。しかしながら、本発明はフルライン液体吐出ヘッドを用いる記録装置にも適用可能であることは勿論である。かかる記録装置では、記録動作が非常に高速であり、また、一連の記録動作中に液体吐出ヘッドを回復ユニットに位置づけて回復処理を行うことができない。従って、キャップへの予備吐出中や、記録動作中において吐出不良が発生したノズルを速やかに特定し、回復処理や、他のライン状液体吐出ヘッドによる記録の補完を迅速に行う上で、本発明は有効なものである。
1 液体吐出ヘッド(記録ヘッド)、103 ノズル、104 ヒータ、
105 温度センサ、108 Si基板、110、110A、110B 配線、
111、111A、111B 層間絶縁膜、112 パシベーション膜、
113 耐キャビテーション膜

Claims (9)

  1. 基板と、前記基板に設けられた電気熱変換素子と、前記基板と前記電気熱変換素子との間に配された絶縁膜と、前記絶縁膜の内部に配され、前記基板の面に直交する方向から見て少なくとも一部が前記電気熱変換素子と重複する位置に設けられた温度検知素子と、を有する素子基板において、
    前記絶縁膜の内部に配され、前記温度検知素子と電気的に接続された配線であって、前記温度検知素子の前記基板の側の面と接し、前記基板の側へ向かって延びる第1部分と、前記温度検知素子よりも前記直交する方向において前記基板の側に位置し、前記基板の面に沿って延びる第2部分と、を備える前記配線を有することを特徴とする素子基板。
  2. 前記直交する方向から見て、前記温度検知素子は蛇行形状であることを特徴とする請求項1に記載の素子基板。
  3. 前記直交する方向から見て、前記温度検知素子の前記蛇行形状は前記電気熱変換素子の領域の内側で折り返していることを特徴とする請求項2に記載の素子基板。
  4. 前記直交する方向から見て、前記温度検知素子は複数の折り返し部を備える蛇行形状であり、前記複数の折り返し部の全ては前記電気熱変換素子の領域の内側に位置していることを特徴とする請求項3に記載の素子基板。
  5. 前記配線の前記第1部分は、前記温度検知素子の両端部のそれぞれと接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の素子基板。
  6. 前記配線を介して前記温度検知素子に電流を供給するための第1端子と、前記配線を介して前記温度検知素子からの出力電圧を受信するための第2端子と、を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の素子基板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の素子基板を有し、
    前記電気熱変換素子の発熱によって液体を吐出する液体吐出ヘッド。
  8. 請求項7に記載の液体吐出ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、
    前記温度検知素子に電流を供給する電流供給源と、
    前記電流供給源から供給された電流が前記温度検知素子に流れることで得られる前記温度検知素子からの出力電圧に基づいて、液体が正常に吐出されるか、吐出不良が生じるかを判定する判定手段とを有することを特徴とする記録装置。
  9. 請求項7に記載の液体吐出ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、
    フレキシブルケーブルと、
    前記フレキシブルケーブルを介して前記温度検知素子に電流を供給し、前記フレキシブルケーブルを介して前記温度検知素子からの出力電圧を受信可能である本体部とを有することを特徴とする記録装置。
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