JP6552088B2 - 造粒顆粒およびその製造方法と、錠剤およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、造粒顆粒およびその製造方法と、錠剤およびその製造方法に関する。
非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)の中でもロキソプロフェンナトリウムは、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有し、副作用が比較的少ないことから解熱鎮痛剤の成分として広く使用されている。
しかし、ロキソプロフェンナトリウムは付着性が強いため、ロキソプロフェンナトリウムを含む粉体を打錠すると、粉体が打錠機の杵や回転盤に付着するといった付着障害が生じることがあった。特に、ロキソプロフェンナトリウムに対して配合安定性が悪い薬物を、ロキソプロフェンナトリウムを含む薬物層とは別の層に配合した積層錠を製造する際や、服用性向上を目的として錠剤を小型化する際には、薬物層中もしくは錠剤中におけるロキソプロフェンナトリウムの濃度が高まり、付着障害が発生しやすくなる。
これまで、ロキソプロフェンナトリウムを含む錠剤を製造する際の付着障害を抑制する方法としては、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を多量に配合する方法や、ロキソプロフェンナトリウムをトウモロコシデンプン等の汎用の賦形剤とともに造粒する方法(例えば特許文献1、2参照)などが知られている。
特開平10−182448号公報 特開2014−58510号公報
しかしながら、滑沢剤を増量すると錠剤強度が低下し、打錠機からの排出時、包装時、輸送時などに錠剤が欠けたり割れたりする傾向にあった。
また、特許文献1、2に記載のようにロキソプロフェンナトリウムを汎用の賦形剤とともに造粒する場合でも、賦形剤の種類や配合量、造粒条件が適切でないと、錠剤の欠けや割れが生じることがあった。そのため、錠剤の欠けや割れを抑制するには、錠剤を大型化せざるをえない。特に、積層錠の場合はロキソプロフェンナトリウムを含む薬物層とは別の層が欠けやすかった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、ロキソプロフェンナトリウムを高濃度に含有する錠剤や、積層錠を製造する場合であっても、打錠機への付着障害が抑制され、強度が高い錠剤を得ることができる造粒顆粒およびその製造方法と、錠剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記(A)成分および下記(B)成分を含み、水分量が5〜15質量%である、造粒顆粒。
(A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
(B)成分:低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、α化デンプンからなる群より選ばれる少なくとも1種。
[2] (A)成分/(B)成分で表される質量比が0.4〜4である、[1]に記載の造粒顆粒。
[3] [1]または[2]に記載の造粒顆粒を含む薬物層を備えた、錠剤。
[4] 前記薬物層中に前記(A)成分を20質量%以上含む、[3]に記載の錠剤。
[5] 積層錠である、[3]または[4]に記載の錠剤。
[6] [1]または[2]に記載の造粒顆粒の製造方法であって、造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように、前記(A)成分と前記(B)成分とを湿式造粒する、造粒顆粒の製造方法。
[7] [6]に記載の造粒顆粒の製造方法により造粒顆粒を製造する工程と、得られた造粒顆粒を打錠して薬物層を形成する工程とを含む、錠剤の製造方法。
本発明によれば、ロキソプロフェンナトリウムを高濃度に含有する錠剤や、積層錠を製造する場合であっても、打錠機への付着障害が抑制され、強度が高い錠剤を得ることができる造粒顆粒およびその製造方法と、錠剤およびその製造方法を提供できる。
[造粒顆粒]
本発明の造粒顆粒は、以下に示す(A)成分と(B)成分とを含む。
<(A)成分>
(A)成分は、ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(A)成分は、解熱鎮痛成分である。
ロキソプロフェンの塩としては、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩であれば特に制限されず、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、ロキソプロフェンおよびその塩は、水和物の状態で存在していてもよい。水和物の状態であるものの好適例としては、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が挙げられる。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の場合、原末の水分量は約12質量%である。
(A)成分としては、ロキソプロフェンの塩が好ましく、ロキソプロフェンナトリウムがより好ましい。
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
<(B)成分>
(B)成分は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、α化デンプンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとは、セルロースのヒドロキシ基がヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシプロピルセルロースのうち、低置換のものをいう。具体的には、ヒドロキシプロポキシ基の置換度(含有量)が7〜16質量%のものをいう。
(B)成分としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、マンニトールが好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウムが特に好ましい。
(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、1種単独で用いることが好ましい。
<粒子径>
造粒顆粒の顆粒群の平均粒子径は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
本明細書において、顆粒群の平均粒子径とは、体積平均粒子径を意味し、レーザー回折・散乱法により測定される値を示す。例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LS−13 320」(BECKMAN COURTER社製)を用いて測定される。
<含有量>
造粒顆粒における(A)成分の含有量は、造粒顆粒の総質量100質量%中、25〜70質量%が好ましく、30〜65質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が、25質量%以上であれば一回当たりの服用錠剤数を減らすことができ、十分な解熱、鎮痛効果が得られ、70質量%以下であれば(B)成分を十分に含有させることができるので、保存後の造粒顆粒の凝集を抑制できる。
造粒顆粒における(B)成分の含有量は、造粒顆粒の総質量100質量%中、15〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が、15質量%以上であれば保存後の造粒顆粒の凝集を抑制でき、70質量%以下であれば造粒顆粒を配合した錠剤の強度をより高めることができる。
なお、(A)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、造粒顆粒中の(A)成分の含有量は、錠剤となったときに1錠あたり45〜85mgとなる量が好ましく、より好ましくは50〜70mgである。
造粒顆粒中の(B)成分の含有量は、(A)成分60mgに対して、10〜150mgとなる量が好ましく、より好ましくは20〜150mgであり、さらに好ましくは30〜150mgである。
なお、(A)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、(A)成分/(B)成分で表される質量比は、0.4〜4が好ましく、0.4〜3がより好ましく、0.4〜2がさらに好ましい。質量比を上記下限値以上とすることで造粒顆粒の流動性が良好となり、上記下限値以下とすることで保存後の造粒顆粒の凝集を抑制できる。
なお、(A)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
<物性>
造粒顆粒の水分量は、造粒顆粒100質量%中、5〜15質量%であり、5〜13質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。造粒顆粒の水分量が、5質量%以上であれば造粒顆粒を配合した錠剤の強度を高めることができ、15質量%以下であれば打錠時における打錠機への付着障害を抑制できるとともに、造粒顆粒の凝集も抑制できる。
造粒顆粒の水分量は、電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から算出する。
<任意成分>
造粒顆粒は、保存後の凝集性を損なわない範囲内であれば、(A)成分および(B)成分以外の成分(顆粒用の任意成分)を含有していてもよい。
顆粒用の任意成分としては、生理活性成分、添加剤などが挙げられる。
生理活性成分としては、(A)成分以外の解熱鎮痛成分(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、チアラミド、アセトアミノフェン、エテンザミド、スルピリン、イブプロフェン、アスピリン等)、鎮静催眠成分(例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等)、抗ヒスタミン成分(例えば、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等)、中枢興奮成分(例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等)、鎮咳去痰成分(例えば、コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、dl−メチルエフェドリン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン)、ビタミン成分(例えば、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等)、制酸剤(例えば、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト等)などが挙げられる。これらの生理活性成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、香料、甘味剤、酸味料などが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
結合剤としては、デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなどが挙げられる。
賦形剤としては、乳糖造粒物、コーンスターチ、粉糖、L−システインなどが挙げられる。
崩壊剤としては、クロスポビドンなどが挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクなどが挙げられる。
香料としては、メントール、リモネン、植物精油(例えば、ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)などが挙げられる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロースなどが挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、氷酢酸、リン酸およびそれらの塩などが挙げられる。
生理活性成分や添加剤の含有量は、本発明の効果および保存安定性を損なわない範囲内であれば特に制限されない。ただし、上述した添加剤のうち、酸味料は(A)成分と組み合わせて用いると(A)成分の効果を低下させることがある。そのため、造粒顆粒は酸味料を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、錠剤となったときに、錠剤100質量%中、0.1質量%未満のことをいう。
<製造方法>
本発明の造粒顆粒は、(A)成分と(B)成分とを造粒することで得られる。造粒顆粒が任意成分を含む場合は、(A)成分および(B)成分とともに任意成分を造粒する。
造粒方法としては、湿式造粒(例えば、流動層造粒、転動造流、攪拌造粒等)、乾式造粒(例えば、圧縮造粒、破砕造粒等)などが挙げられる。中でも、湿式造粒が好ましく、流動層造粒が特に好ましい。
流動層造粒にて造粒顆粒を製造する場合、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて任意成分とを結合させる目的で、水に溶解した結合剤を噴霧させながら造粒を行うことが好ましい。
結合剤として具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。中でも、PVA、HPCが好ましい。
(水分量の調整)
造粒顆粒を製造する際には、造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように水分量を調整する。
水分量の調整方法としては特に制限されないが、以下の方法(1)、(2)が挙げられる。
(1)造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように、(A)成分と(B)成分とを造粒する前に、(A)成分の原末および(B)成分の原末の少なくとも一方の水分量を調整する。
(2)造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように、(A)成分と(B)成分とを湿式造粒して水分量を調整する。
方法(1)では、造粒前に、(A)成分の原末および(B)成分の原末の少なくとも一方の水分量を調整する。
(A)成分の原末や(B)成分の原末の水分量の調整方法としては、原末を調湿した恒温槽で加湿または乾燥させて調整する方法などが挙げられる。
方法(2)では、造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように、(A)成分と(B)成分とを湿式造粒して水分量を調整する。水分量の調整は、造粒しながら行ってもよいし、造粒した後に行ってもよい。
造粒しながら水分量を調整する場合は流動層造粒が好適であり、例えば給気温度70℃以下で(A)成分と(B)成分とを流動層造粒しながら水分量を調整する。さらに、結合剤の噴霧を停止した後も給気温度70℃以下で熱風を供給して乾燥を行うことが好ましい。造粒顆粒の水分量は、給気温度や乾燥時間により調整できる。
造粒した後に乾燥を行う場合は、例えば攪拌造粒により(A)成分と(B)成分とを造粒した後、造粒物を乾燥することが好ましい。造粒物の乾燥には、流動層造粒機や調湿した恒温槽などを用いることができる。
造粒顆粒の水分量の調整方法としては、保存後の造粒顆粒の凝集をより抑制でき、造粒顆粒を配合した錠剤の強度がより高まる点で、方法(2)が好ましく、結合剤を噴霧させながら(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて任意成分とを流動層造粒して水分量を調整することがより好ましく、結合剤の噴霧を停止した後も熱風を供給して乾燥を行うことがさらに好ましい。例えば、水分量が5〜11質量%である造粒顆粒を製造する場合、結合剤の噴霧を停止した後に給気温度70℃、給気風量2〜3m/minの条件にて熱風を10〜45分程度供給しながら乾燥することが好ましい。
<作用効果>
本発明の造粒顆粒は、上述した(A)成分と(B)成分とを含み、かつ水分量が5〜15質量%である。よって、本発明の造粒顆粒を用いれば、打錠機への付着障害が抑制され、強度が高い錠剤を得ることができる。
また、上述した造粒顆粒の製造方法によれば、打錠機への付着障害が抑制され、強度が高い錠剤を得ることができる造粒顆粒を簡便に製造できる。
本発明の造粒顆粒は、医薬品の保存試験においても凝集しにくいことから、服用性に優れた顆粒剤として用いることができる。
また、本発明の造粒顆粒は、打錠機への付着障害が抑制されることから、ロキソプロフェンナトリウムを高濃度に含有する錠剤や積層錠を製造する場合、小型の錠剤を製造する場合などに特に好適である。
[錠剤]
本発明の錠剤は薬物層を備える。錠剤は、薬物層のみで構成された単層構造(単層錠)であってもよいし、薬物層と薬物層以外の層(任意層)とで構成された積層構造(積層錠)であってもよい。
薬物層は、上述した本発明の造粒顆粒を含む。
<錠剤の形態>
錠剤の大きさは特に限定されないが、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の観点から、錠剤の直径は6〜13mmφが好ましく、7〜10mmφがより好ましく、7〜9mmφがさらに好ましい。
1錠あたりの錠剤質量は、150〜550mgが好ましい。
錠剤の形状としては、丸みを帯びたR錠または2段階R錠が好ましく、キャップ部分の高さは服用性の観点から1.0〜2.0mmが好ましい。キャップ部の高さが上記範囲内であれば、錠剤の崩壊性がより向上し、錠剤強度もより高まる。
薬物層における本発明の造粒顆粒の含有量は、造粒顆粒中の(A)成分の含有量が薬物層の総質量100質量%、20質量%以上となる量が好ましく、より好ましくは25〜60質量%であり、さらに好ましくは30〜55質量%である。(A)成分の含有量が、20質量%以上であれば錠剤を小型化できたり、一回当たりの服用錠剤数を減らしたりでき、60質量%以下であれば造粒の際に顆粒の粒子径を制御しやすくなるといったメリットがある。
なお、(A)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、薬物層における本発明の造粒顆粒の含有量は、薬物層の総質量100質量%、40質量%以上が好ましい。造粒顆粒の含有量が40質量%以上であれば錠剤を小型化できたり、一回当たりの服用錠剤数を減らしたりできる。
<錠剤の物性>
薬物層の水分量は、薬物層100質量%中、2〜15質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましく、5〜13質量%がさらに好ましく、6〜13質量%が特に好ましく、7〜11質量%が最も好ましい。薬物層の水分量が2質量%以上であれば、錠剤の強度がより高まる。また、錠剤の崩壊性も向上する。また、打錠適性の観点から水分量は15質量%以下が好ましい。
錠剤が単層錠の場合、薬物層の水分量が錠剤の水分量となる。すなわち、錠剤の水分量は、錠剤100質量%中、2〜15質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましく、5〜13質量%がさらに好ましく、6〜13質量%が特に好ましく、7〜11質量%が最も好ましい。
一方、錠剤が積層錠の場合、薬物層の水分量は2〜15質量%が好ましい。任意層の水分量は特に制限されないが、錠剤全体としての水分量が3〜14質量%となることが好ましい。
薬物層の水分量は、以下のようにして求められる。
錠剤が単層錠の場合は、まず、錠剤を乳鉢で粗粉砕する。次いで、粉砕した錠剤を電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から錠剤の水分量を算出し、これを薬物層の水分量とする。
一方、錠剤が積層錠の場合、例えば、薬物層に任意層が含まれないように、薬物層と任意層との界面で積層錠を切断し、薬物層のみを乳鉢で粗粉砕した後に、電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から水分量を算出し、これを薬物層の水分量とする。また、積層錠の全体の水分量は、単層錠の場合と同様にして測定すればよい。
<任意成分>
錠剤は、本発明の造粒顆粒以外の成分(錠剤用の任意成分)を含有していてもよい。
錠剤用の任意成分は、錠剤が単層錠の場合は薬物層に含まれ、錠剤が積層錠の場合は薬物層に含まれていてもよいし、任意層に含まれていてもよいし、薬物層と任意層の両方に含まれていてもよい。
錠剤用の任意成分としては、生理活性成分、添加剤などが挙げられる。
生理活性成分としては、顆粒用の任意成分の説明において先に例示した生理活性成分が挙げられる。
特に、生理活性成分の中でも制酸剤は、(A)成分との配合安定性の観点から造粒顆粒に含有させるのではなく、造粒顆粒と併用することが好ましく(すなわち、制酸剤は顆粒用の任意成分としてではなく、錠剤用の任意成分として用いることが好ましく)、任意層に配合することがより好ましい。
すなわち、錠剤が、錠剤用の任意成分として制酸剤を含む場合、錠剤は積層錠であることが好ましく、本発明の造粒顆粒を含む薬物層と、制酸剤を含む任意層とを備えた積層錠がより好ましい。
制酸剤としては、錠剤強度がより向上することから、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましく、乾燥水酸化アルミニウムゲルがより好ましい。
制酸剤の含有量は、1錠あたり50〜200mgが好ましい。また、制酸剤の含有量は、錠剤の総質量100質量%中、20〜60質量%が好ましい。
添加剤としては結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、香料、甘味剤、酸味料、着色料などが挙げられる。
結合剤としては、デンプン、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなどが挙げられる。
賦形剤としては、結晶セルロース、乳糖水和物、乳糖造粒物、コーンスターチ、粉糖、マンニトール、L−システイン等などが挙げられる。
崩壊剤としては低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、部分α化デンプンなどが挙げられる。
滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
香料としては、メントール、リモネン、植物精油(例えば、ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)などが挙げられる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロースなどが挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、氷酢酸、リン酸およびそれらの塩などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、青色一号、黄色5号アルミニウムレーキ、カラメル、酸化チタン、タルク等などが挙げられるが、これらに限定されることはなく、昭和四十一年八月三十一日厚生省令第三十号である医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令に記載された色素であればよい。
生理活性成分や添加剤の含有量は、本発明の効果および保存安定性を損なわない範囲内であれば特に制限されない。ただし、上述したように、酸味料は(A)成分と組み合わせて用いると(A)成分の効果を低下させることがある。そのため、錠剤は酸味料を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、錠剤100質量%中、0.1質量%未満のことをいう。
<製造方法>
本発明の錠剤は、本発明の造粒顆粒を打錠して薬物層を形成することで得られる。
錠剤の製造方法としては、造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように、上述した(A)成分と(B)成分とを湿式造粒して造粒顆粒を製造する工程(造粒顆粒製造工程)と、得られた造粒顆粒を打錠して薬物層を形成する工程(打錠工程)とを含むものが挙げられる。
造粒顆粒が顆粒用の任意成分を含む場合は、造粒顆粒製造工程において(A)成分および(B)成分と共に顆粒用の任意成分を湿式造粒する。
錠剤が錠剤用の任意成分を含む場合、錠剤が単層錠であれば造粒顆粒と錠剤用の任意成分とを混合し、得られた混合物を打錠して薬物層を形成する。錠剤が積層錠であれば造粒顆粒、または造粒顆粒と錠剤用の任意成分との混合物を打錠して薬物層を形成し、錠剤用の任意成分を打錠して任意層を形成する。上述したように、制酸剤は(A)成分との配合安定性が悪い傾向にあるため、本発明の造粒顆粒と同一層(薬物層)に含まれていないことが好ましい。よって、制酸剤は任意層を構成する粉体として用いることが好ましい。
(打錠工程)
打錠方法としては特に制限されず、例えば、臼と杵とを有する打錠機を用いた方法などが挙げられる。
打錠の際に用いる打錠機としては、例えば、ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製:リブラ3L)等が挙げられる。
打錠圧、回転盤の回転速度等の打錠条件は適宜設定される。
なお、錠剤が積層錠である場合、薬物層を構成する粉体は、臼に最初に充填されてもよく、任意層を構成する粉体よりも後に充填されてもよい。
積層数やその際の層間予備圧縮の有無は特に制限はないが、より境界面積が小さくなる層間予備圧縮が好ましい。
(その他の工程)
得られた錠剤は、必要に応じてコーティング剤によりコーティング処理を施してもよい。
コーティング剤としては、錠剤の崩壊性を損なわないものを選択して用いることが好ましく、水溶性高分子化合物、可塑剤が適している。
水溶性高分子化合物としては、例えば、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖など)、乳糖水和物、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、トリアセチン等の日本薬局方(広川書店)および医薬品添加物規格(株式会社薬事日報社)等の公定書に記載されているものが挙げられる。
これら水溶性高分子化合物や可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
コーティング剤の被覆量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定される。
<作用効果>
本発明の錠剤は、上述した本発明の造粒顆粒を含む薬物層を備えるので、ロキソプロフェンナトリウムを高濃度に含有する錠剤や、積層錠を製造する場合であっても、打錠機への付着障害が抑制され、強度も高い。本発明の錠剤は強度が高いので、打錠機からの排出時、包装時、輸送時などに錠剤が欠けたり割れたりするのを抑制できる。
また、上述した錠剤の製造方法によれば、打錠機への付着障害を抑制できる。加えて、高い強度の錠剤を簡便に製造できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例および比較例で使用した原料、測定・評価方法は、以下の通りである。
なお、実施例11、35は参考例である。
[使用原料]
・ロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソプロフェンNa水和物):大和薬品工業株式会社製
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(低置換度HPC):信越化学工業株式会社製、製品名:LH−31
・乳糖水和物:DSP五協フード&ケミカルズ株式会社製
・結晶セルロース:旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名:PH−302
・カルメロース:ニチリン化学工業株式会社製
・クロスカルメロースナトリウム(クロスカルメロースNa):旭化成ケミカルズ株式会社製
・マンニトール:ロケットジャパン株式会社製
・α化デンプン:旭化成ケミカルズ株式会社製
・イソマルト:BENEO Palatinit社製
・ポリビニルアルコール(PVA):日本合成化学工業株式会社製
・ヒドロキシプロピルセルロース(HPC):日本曹達株式会社製
・三二酸化鉄:癸巳化成株式会社製
・ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸Mg):太平化学産業株式会社製
・乾燥水酸化アルミニウムゲル:協和化学工業株式会社製
・合成ヒドロタルサイト:協和化学工業株式会社製
・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(メタケイ酸アルミン酸Mg):富士化学工業株式会社製
・乳糖造粒物:フロイント産業株式会社製
[測定・評価方法]
<水分量の測定>
造粒顆粒の水分量(質量%)は、以下のようにして求めた。
造粒顆粒を2g採取し、電子水分計(株式会社島津製作所製、「MOISTURE BALANCE MOC−120H」)にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から算出した。具体的には、加熱前の質量をa、加熱後の質量をbとし、下記式より求めた。
水分量(質量%)=(a−b)/a×100
<凝集性の評価>
予め目開き250μmの篩を通過し、目開き75μmの篩に残留した造粒顆粒を2g採取し、シャーレに入れて、温度40℃、湿度75%RHの恒温槽で1日間保存した。
保存後の造粒顆粒について、目開き250μmの篩(いずれも内径は75mm)を用いて、篩い分け法(一般試験法)にて試験を行い、各篩上に残った残留分の質量を測定することで通過分の質量を求め、通過分の初期質量に対する割合(質量%)を計算し、下記評価基準にて評価した。通過分の割合が高いほど凝集が抑制されたことを意味する。3点以上を合格とした。
5点:目開き250μmの篩を通過した分が90%以上である。
4点:目開き250μmの篩を通過した分が70%以上、90%未満である。
3点:目開き250μmの篩を通過した分が50%以上、70%未満である。
2点:目開き250μmの篩を通過した分が30%以上、50%未満である。
1点:目開き250μmの篩を通過した分が30%未満である。
<付着障害の評価>
各実施例および比較例において打錠した際の杵付着を目視にて確認し、下記評価基準にて付着障害を評価した。3点以上を合格とした。
6点:2時間連続打錠しても、杵付着を生じない
5点:1時間30分以上2時間未満の連続打錠で、杵付着を生じる。
4点:1時間以上1時間30分未満の連続打錠で、杵付着を生じる。
3点:30分以上1時間未満の連続打錠で、杵付着を生じる。
2点:20分以上30分未満の打錠で、杵付着を生じる。
1点:20分未満の打錠で、杵付着を生じる。
<硬度の測定>
錠剤5錠について、硬度計(PHARMA TEST社製、「Type PTB301型」)を用いて硬度を測定した。錠剤5錠の硬度のうち、最高と最低を除いた3錠の硬度の平均値を求め、これを錠剤の硬度とした。硬度が高いほど錠剤の強度が高いことを意味し、打錠機からの排出時、包装時、輸送時の振動により錠剤が欠けたり割れたりしにくい。
[実施例1]
結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースの濃度が6質量%となるように水に溶解させ、結合液を調製した。
(A)成分としてロキソプロフェンナトリウム水和物と、(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを表1に示す割合で、合計で2kg計量した。なお、表中のロキソプロフェンナトリウムの量(質量部)は、無水物換算量である。ロキソプロフェンナトリウム水和物の水分量は約12質量%であることから、例えばロキソプロフェンナトリウム水和物68.1質量部中には、約8.1質量部の水が含まれていることになる。よって、ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1質量部は、無水物換算量で示した場合、ロキソプロフェンナトリウム60質量部に相当する。
流動層造粒機(フロイント産業株式会社製、「FLO−2型」)に、ロキソプロフェンナトリウム水和物と低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを合計で2kg投入し、給気温度70℃、給気風量2〜4m/minの条件で空気を供給して、ロキソプロフェンナトリウム水和物および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動させた。これらに、先に調製した結合液を液速30〜50g/minの条件で噴霧しながら造粒した。結合液の噴霧量は表1に示す割合、すなわち、ロキソプロフェンナトリウム60質量部(無水物換算量)と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30質量部に対して、ヒドロキシプロピルセルロースの割合が3質量部となる量とした。
結合液の噴霧終了後、引き続き、給気温度70℃、給気風量2〜4m/minの条件で空気を25分供給して乾燥を行い、造粒顆粒を得た。
得られた造粒顆粒の平均粒子径は200μmであり、水分量を測定したところ、造粒顆粒100質量%中、8.9質量%であった。これは、ロキソプロフェンナトリウム60質量部(無水物換算量)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30質量部、ヒドロキシプロピルセルロース3質量部に対して、9.1質量部の水が含まれていることを意味する。結果を表1に示す。
また、得られた造粒顆粒について凝集性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2〜12、14〜18、比較例1、3〜5]
(B)成分および結合剤として表1〜3に示す種類のものを用い、(A)成分と(B)成分との割合を表1〜3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして造粒した。なお、比較例3では、(B)成分の代替品((B’)成分)としてイソマルトを用いた。
結合液の噴霧終了後、引き続き空気を供給して乾燥を行い、造粒顆粒を得た。供給温度および供給風量は造粒時と同じであり、乾燥時間を5〜45分に設定することで、造粒顆粒の水分量を調整した。例えば、実施例14の場合、乾燥時間は45分であり、実施例18の場合、乾燥時間は15分であり、比較例1の場合、乾燥時間は5分である。
得られた造粒顆粒の平均粒子径は、いずれも200μmであった。また、各造粒顆粒の水分量を測定し、凝集性を評価した。これらの結果を表1〜3に示す。
[実施例13]
ヒドロキシプロピルセルロースの濃度が6質量%となるように水に溶解させ、結合液を調製した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物と、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを表2に示す割合で、合計で0.5kg計量した。
攪拌造粒機(株式会社アーステクニカ製、「ハイスピードミキサー2型」)に、ロキソプロフェンナトリウム水和物と低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを合計で0.5kg投入し、チョッパー回転数1000rpm、アジテーター回転数200rpmの条件で攪拌しながら、先に調製した結合液を液速10〜20g/minの条件で噴霧し、造粒した。結合液の噴霧量は表2に示す割合、すなわち、ロキソプロフェンナトリウム60質量部(無水物換算量)と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30質量部に対して、ヒドロキシプロピルセルロースの割合が3質量部となる量とした。
造粒後、流動層造粒機(フロイント産業株式会社製、「FLO−2型」)に移し、給気温度70℃、給気風量2〜4m/minの条件で空気を供給して、乾燥を行い、造粒顆粒を得た。乾燥時間を5〜45分に設定することで、造粒顆粒の水分量を調整した。
得られた造粒顆粒の平均粒子径は200μmであった。また、造粒顆粒の水分量を測定し、凝集性を評価した。これらの結果を表2に示す。
[比較例2]
表3に示す割合(質量部)になるように各成分を合計で2kg計量し、造粒は行わず、水を9.1質量部加え、混合機(寿工業株式会社製、「ボーレコンテナミキサーLC20」)を用い、回転数20rpmの条件で10分間混合し、混合粉体を得た。
得られた混合粉体の平均粒子径は150μmであった。また、混合粉体の水分量を測定し、凝集性を評価した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0006552088
Figure 0006552088
Figure 0006552088
表1、2から明らかなように、実施例1〜18で得られた造粒顆粒は、凝集が抑制されていた。
一方、表3から明らかなように、水分量が15.5質量%である比較例1の造粒顆粒は、凝集しやすかった。
造粒しなかった比較例2の混合粉体は、凝集しやすかった。
(B)成分の代替品((B’)成分)を用いた比較例3の造粒顆粒は、凝集しやすかった。
(B)成分を用いなかった比較例4の造粒顆粒は、凝集しやすかった。
水分量が1.5質量%である比較例5の造粒顆粒は、凝集が抑制されていた。
[実施例19]
実施例1で得られた造粒顆粒102.1mgと、錠剤用の任意成分として結晶セルロース20mgおよびステアリン酸マグネシウム1.2mgとを混合し、混合物を以下の条件にて打錠し、薬物層からなる錠剤(単層錠)を得た。
得られた錠剤について、付着障害を評価し、硬度を測定した。これらの結果を表4に示す。
<打錠条件>
・打錠機:ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、「リブラ3L」)
・盤回転速度:30rpm
・臼杵:直径9.0mm(2段R)×12本立て、刻印無し
・本圧縮圧力:6kN(約60MPa、約600kgf/cm
[実施例20〜43、比較例6〜9]
表4〜8に示す種類および量の造粒顆粒と錠剤用の任意成分を用いた以外は、実施例19と同様にして錠剤を製造し、付着障害を評価し、硬度を測定した。これらの結果を表4〜8に示す。
Figure 0006552088
Figure 0006552088
Figure 0006552088
Figure 0006552088
Figure 0006552088
表4〜7から明らかなように、実施例1〜18で得られた造粒顆粒は、打錠機への付着障害を抑制できた。また、実施例1〜18で得られた造粒顆粒からは、強度の高い錠剤を得ることができた(実施例19〜43)。
一方、表8から明らかなように、比較例6の場合、比較例1で得られた造粒顆粒を用いて打錠したところ杵付着が生じ、また錠剤内部の結合力が弱いため、錠剤を製造することができなかった。
比較例2で得られた造粒顆粒を用いた比較例7の場合、杵付着が生じ、また錠剤内部の結合力が弱いため、錠剤を製造することができなかった。
比較例3で得られた造粒顆粒を用いた比較例8の場合、錠剤の硬度が低かった。
比較例4で得られた造粒顆粒を用いた比較例9の場合、錠剤の硬度が低かった。
[実施例44]
実施例1で得られた造粒顆粒102.1mgと、錠剤用の任意成分として乳糖水和物20mgおよびステアリン酸マグネシウム1.221mgとを混合し、混合物(薬物層を構成する粉体)を得た。
別途、錠剤用の任意成分として乾燥水酸化アルミニウムゲル100mg、乳糖造粒物20mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース20mgおよびステアリン酸マグネシウム1.4mgを混合し、混合物(任意層を構成する粉体)を得た。
薬物層を構成する粉体を第1層、任意層を構成する粉体を第2層となるように臼に充填し、以下の条件にて打錠し、薬物層および任意層からなる錠剤(積層錠)を得た。
得られた錠剤について、付着障害を評価し、硬度を測定した。これらの結果を表9に示す。
<打錠条件>
・打錠機:ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、「リブラ3L」)
・盤回転速度:30rpm
・臼杵:直径9.0mm(2段R)×12本立て、刻印無し
・層間予備圧縮圧力(層間予圧):1kN(約10MPa、約100kgf/cm
・積層後予圧:1kN(約10MPa、約100kgf/cm
・本圧縮圧力:6kN(約60MPa、約600kgf/cm
[実施例45〜49、比較例10]
薬物層および任意層を構成する粉体の配合組成を、それぞれ表9に示すように変更した以外は、実施例44と同様にして錠剤を製造し、付着障害を評価し、硬度を測定した。これらの結果を表9に示す。
[実施例50]
薬物層および任意層を構成する粉体の配合組成を、それぞれ表9に示すように変更し、以下に示す打錠条件にて打錠した以外は、実施例44と同様にして錠剤を製造し、付着障害を評価し、硬度を測定した。これらの結果を表9に示す。
<打錠条件>
・打錠機:ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、「リブラ3L」)
・盤回転速度:30rpm
・臼杵:直径9.0mm(2段R)×12本立て、刻印無し
・積層後予圧:1kN(約10MPa、約100kgf/cm
・本圧縮圧力:6kN(約60MPa、約600kgf/cm
Figure 0006552088
表9から明らかなように、実施例1で得られた造粒顆粒は、積層錠を製造する場合であっても、打錠機への付着障害を抑制できた。また、実施例1で得られた造粒顆粒からは、強度の高い錠剤を得ることができた(実施例44〜50)。
一方、比較例10の場合、比較例5で得られた造粒顆粒を用いて打錠したところ薬物層と任意層の間で層間剥離が生じた。そのため、錠剤硬度は測定できなかった。
[実施例51]
実施例1で得られた造粒顆粒を、ロキソプロフェンナトリウム水和物の量が無水物換算で60mgとなるように薬包紙に取り、アルミスティック(最外:ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/ポリエチレン(PE)15μm/アルミニウム(AL)7μm/ポリエチレン(PE)40μm/最内:ポリ塩化ビニリデン(PVDC)7g/m)に充填し、開口部をヒートシールして気密とした。
造粒顆粒のアルミスティックへの充填性を評価したところ、薬包紙を傾けただけで全量充填可能であった。
また、アルミスティックに充填した造粒顆粒を薬包紙に空けた後、アルミスティック内を目視にて確認したところ、アルミスティック中に造粒顆粒は残っていなかった。

Claims (7)

  1. 下記(A)成分および下記(B)成分を含み、水分量が5〜15質量%であり、(A)成分/(B)成分で表される質量比が0.6〜4である、造粒顆粒。
    (A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
    (B)成分:低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、α化デンプンからなる群より選ばれる少なくとも1種。
  2. 前記造粒顆粒の総質量100質量%中、前記(A)成分の含有量が25〜70質量%であり、前記(B)成分の含有量が15〜70質量%である、請求項1に記載の造粒顆粒。
  3. 請求項1または2に記載の造粒顆粒を含む薬物層を備えた、錠剤。
  4. 前記薬物層中に前記(A)成分を20質量%以上含む、請求項3に記載の錠剤。
  5. 積層錠である、請求項3または4に記載の錠剤。
  6. 請求項1または2に記載の造粒顆粒の製造方法であって、
    造粒顆粒の水分量が5〜15質量%となるように、かつ(A)成分/(B)成分で表される質量比が0.6〜4となるように、前記(A)成分と前記(B)成分とを湿式造粒する、造粒顆粒の製造方法。
  7. 請求項6に記載の造粒顆粒の製造方法により造粒顆粒を製造する工程と、得られた造粒顆粒を打錠して薬物層を形成する工程とを含む、錠剤の製造方法。
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