本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、タクシー会社の配車業務を効率よく行えるようにしたタクシー配車システム、タクシー配車装置、タクシーの配車方法、タクシー配車プログラム及びコンピュータで記録可能な媒体並びに記憶した機器を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記目的を達成するため、本発明の第1の形態に係るタクシー配車システムによれば、複数のタクシー会社の配車業務を行うためのタクシー配車システムであって、複数のタクシー車の配車を行うためのタクシー配車装置と、前記タクシー配車装置とネットワークを介して接続された、各タクシー車に配置されるための一以上のタクシー配車端末と、予め各タクシー会社毎に、タクシー会社を特定するタクシー会社特定情報と、該タクシー会社に所属するタクシー車を運転する乗務員に関する乗務員情報とを登録し保存するためのタクシー配車情報データベースとを備えており、前記タクシー配車装置は、前記タクシー配車情報データベースに登録された複数のタクシー会社にそれぞれ属するタクシー車を地図上に重ねて表示可能なセンター側地図表示欄と、任意のタクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の一覧を表示可能な配車指示欄とを有するセンター側表示部と、タクシーの利用者からの呼び出し情報を受けるためのセンター側通信部と、前記センター側通信部で受けた呼び出し情報に含まれる、利用者に選択されたタクシー会社の情報に基づいて、前記タクシー配車情報データベースから、当該選択タクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の情報を呼び出して、前記配車指示欄に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう前記センター側表示部を制御するためのセンター側制御部と、前記センター側表示部の配車指示欄に表示された、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかの選択を受け付けるタクシー選択部とを備え、各タクシー配車端末は、タクシー車の位置情報を取得するGPS部と、前記GPS部で取得されたタクシー車の位置情報を、前記タクシー配車装置側に送信するための端末側通信部と、前記タクシー配車装置のタクシー選択部で選択された旨の信号を、前記タクシー配車装置から受信すると、利用者の位置情報を地図上に重ねて表示させるための端末側表示部とを備えることができる。上記構成により、複数のタクシー会社の配車業務を統一的に行うに際して、利用者から指定されたタクシー会社のみを表示させることで、誤って他のタクシー会社のタクシーを配車することが阻止される。また、タクシー会社側においても、配車業務を統合しても、自社に来た配車の依頼を他のタクシー会社に利用者を奪われるという懸念も解消される。
また、本発明の第2の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記構成に加えて、前記呼び出し情報に含まれる、利用者に選択されたタクシー会社の情報が、タクシー会社の電話番号であり、該電話番号でもって前記センター側制御部は、前記タクシー配車情報データベースに登録されたタクシー会社を自動で選択し、該選択タクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の一覧を前記配車指示欄に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう前記センター側表示部を制御するよう構成できる。上記構成により、タクシー会社は利用者の通話によって自動的に選別され、オペレータによるタクシー会社の選択という手順を省くことで、人為的なミスを排除して、利用者に指定されたタクシー会社への正確な配車依頼の割り当てが可能となり、配車業務を依頼するタクシー会社側に信頼感を与えることが可能となる。
さらに、本発明の第3の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、タクシーの利用者からの呼び出し情報が、利用者からの配車依頼の通話であり、前記タクシー配車装置のセンター側通信部は、利用者からの各タクシー会社宛の配車依頼の通話が、電話回線網からインターネット回線を通じて送信可能なパケットデータに変換された状態で受信可能な呼び出し受信部を備えることができる。上記構成により、利用者からの電話を配車センターの固定電話に転送する方法と比べ、電話会社毎に複数の電話回線を用意する必要がなくなり、設備コストの削減に寄与する。特に利用者からの電話が複数同時にあった場合は、電話回線を複数用意しないと同時に受けることができないため、従来のタクシー会社は複数回線を契約することが一般的であり、これらの回線の維持費用と各回線を受け持つ電話オペレータすなわち配車業務を行う配車係の人的コストが大きかったところ、この方法であれば一のタクシー配車装置で集中的に受けることにより、電話回線の数を増やすことなく複数の同時発信に対応可能となる。一方で、複数のタクシー会社の配車業務の委託を受ける場合は、従来であれば相応の数の電話回線を用意せねばならず、コスト的な負担が増大するところ、タクシー配車装置での統一的な管理によって、大幅な費用圧縮が可能となる。さらに、従来の複数のタクシー会社の配車業務を委託した共同無線配車では、共通の電話番号を使用していたため、従来より各タクシー会社で使用していた固有の電話番号を切り替える必要があり、利用者への周知等が必要となるところ、本システムによれば既存の電話番号を利用し続けながら業務委託が可能となり、利用者側やタクシー会社への負担なく、配車業務の集中管理に移行させることが可能となる。
さらにまた、本発明の第4の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車装置は、前記呼び出し受信部で受けた配車依頼の通話に対して、会話を行うためのマイクとスピーカと、前記マイクとスピーカを通じて、複数のタクシー会社の配車業務を行うオペレータが利用者と会話して取得した、利用者の氏名と、該利用者が選択したタクシー会社の情報を入力又は選択するための操作部を備えることができる。
さらにまた、本発明の第5の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記センター側表示部は、前記センター側通信部でもって前記タクシー配車装置から取得した情報に従い、リアルタイムで表示を更新可能とできる。
さらにまた、本発明の第6の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、複数のタクシー配車装置を、異なる位置に設けることができる。上記構成により、複数のタクシー配車装置を設けることで、同時着信があった場合でも対応可能とできる。しかも同じ場所にタクシー配車装置を設けずともよく、配車業務を行うオペレータがどの場所にいても、ネットワーク接続を介してタクシー配車装置にアクセスすることで現在の情報を取得、閲覧できるようになるので、配車業務を行う配車センターを一箇所に固定する必要がなくなり、従来のコールセンターのような施設を設けることなく、在宅でも業務が可能となる。特に地方在住者であってもタクシー配車業務を行うことが可能となるので、地方の労働力を活用し、かつ地方での雇用促進、地方の活性化等にも資することが期待される。
さらにまた、本発明の第7の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、タクシー配車業務を委託した各タクシー会社側に配置された一以上の動態管理端末を備えており、各動態管理端末は、前記タクシー配車装置にアクセスして、必要な情報を取得するための会社側通信部と、前記会社側通信部で取得した、前記タクシー配車装置側で行われている、自社に所属する各タクシー車の配車状況を地図上に重ねて表示させるための会社側表示部とを備えており、前記動態管理端末が前記センター側通信部でもって前記タクシー配車装置にアクセスして情報を取得する際、自社に所属するタクシー車に関する情報のみを取得可能とし、他社に所属するタクシー車に関する情報へのアクセスを禁止するよう構成できる。上記構成により、例えば配車業務を委託したタクシー会社に所属するオーナーや責任者等が、動態管理端末を通じてタクシー配車装置側で行われる配車業務を閲覧可能とすることで、配車業務の透明性、公平性を担保でき、また自社のタクシー会社の運行状態を確認することも可能となる。
さらにまた、本発明の第8の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車端末は、前記端末側表示部において、自身のタクシー会社に所属する他のタクシー車の現在位置を地図上に表示可能とできる。上記構成により、タクシー車の乗務員も、自身のタクシー会社に所属する他のタクシー車の現在位置を把握することができるので、乗務員自身も配車センターの目線で自社の運営状況を把握できるようになり、自社の連帯意識を高め、従来個人意識の高かったタクシー業界において、例えば配車ルールの柔軟な運営といった利用者側の視点に立った運営に向かわせるような意識改革を起こさせる効果が期待できる。
さらにまた、本発明の第9の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車情報データベースは、タクシー会社の配車業務の請負時間帯を記録可能としており、前記タクシー配車装置は、前記タクシー配車情報データベースに記録された請負時間帯を参照して、当該請負時間帯の間のみ、利用者の配車予約を受付と配車を実行するよう構成できる。上記構成により、タクシー会社にとっては、配車業務を常時委託するのでなく、需要の減少する時間帯や人員不足の時間帯など、採算性の悪化する時間帯のみ、タクシー配車システムを利用するようにでき、効率のよい運営が可能となる。
さらにまた、本発明の他の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車装置のセンター側通信部は、さらに、利用者から、該利用者の保有するスマートフォンにインストールされた配車アプリを通じて各タクシー会社宛に要求される配車依頼の信号を受信するための配車依頼信号受信部を備えることができる。上記構成により、利用者からの電話を通じた配車依頼のみならず、配車アプリを通じた配車依頼も受け付け可能となり、より利便性を向上させることができる。特に従来の電話による配車では、一時的に依頼が殺到すると話し中や回線パンクのリスクがあるところ、配車アプリを利用すればクラウドサーバの活用等によりこのような状況を回避することもできる。
さらにまた、本発明の第10の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車装置を、配車業務を行う配車室に配置することができる。
さらにまた、本発明の第11の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車情報データベースに記録される利用者情報を、タクシー会社毎に作成することができる。上記構成により、同じ利用者であっても、異なるタクシー会社を利用した場合は、利用者情報は別々に作成されるようにして、利用者の登録情報を完全に分離することによって、タクシー会社間での利用者の誤配を避けることができる。
さらにまた、本発明の第12の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車情報データベースに、各タクシー会社の利用者情報として、利用者を特定する利用者特定情報、利用者の氏名、過去の依頼時の乗車地、目的地の少なくともいずれかを登録しており、前記センター側表示部は、前記呼び出し信号受信部で受けた利用者からの呼び出し信号から抽出された、利用者を特定する利用者特定情報に基づいて、該当する利用者を前記タクシー配車情報データベースから検索し、登録された利用者情報を、利用者情報表示欄に表示させるよう構成できる。上記構成により、配車を行うオペレータは、利用者に対して、この利用者に関する情報、例えば過去の乗車地や目的地などを参照しながら配車できるため、例えば高齢者で乗車地や目的地がはっきりしない場合に、過去の情報から候補地を挙げるなどしてサポートすることができ、利用者に優しい配車が可能となる。
さらにまた、本発明の第13の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記利用者情報が前記利用者特定情報である場合の、該利用者特定情報を、利用者の電話番号とできる。
さらにまた、本発明の第14の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記センター側表示部は、前記呼び出し受信部で受けた呼び出し情報に基づいて、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかに配車を割り当てるための「配車」ボタンを表示可能としており、遅くとも前記「配車」ボタンを押下したタイミングにおいて、前記配車指示欄に表示させるタクシー車の情報を、選択タクシー会社に所属するタクシー車の情報に切り替え、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とすることができる。
さらにまた、本発明の第15の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記センター側表示部は、登録済みのタクシー会社のいずれかを選択するタクシー会社選択欄を備えており、前記センター側地図表示欄は、前記タクシー会社選択欄で選択されたタクシー会社に所属するタクシー車の位置を、地図上に重ねて表示すると共に、非選択に係るタクシー会社に所属するタクシー車の位置を非表示とできる。上記構成により、各タクシー会社に所属するタクシー車の位置を切り替えて表示可能とすると共に、非選択に係るタクシー車を非表示とすることで、複数のタクシー会社間でタクシー車の区別を容易とし、配車のミス等を回避できる。
さらにまた、本発明の第16の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記端末側表示部は、前記タクシー配車装置からの配車の指示を受けて、迎車に向かう際に押下する「迎車」ボタンと、利用者を乗せて賃走する際に押下するための「実車」ボタンと、業務を終了して回送状態となった際に押下するための「回送」ボタンと、配車待ち状態となった際に押下するための「空車」ボタンを表示させており、前記端末側通信部は、前記「迎車」ボタンの押下に対応して前記タクシー配車装置に対し、迎車中であることを示す情報を送信し、前記タクシー配車装置は該迎車中情報を受けて、前記センター側表示部において当該タクシー車に、位置情報に迎車中である旨を付加して表示させ、前記端末側通信部は、前記「実車」ボタンの押下に対応して前記タクシー配車装置に対し、賃走中であることを示す情報を送信し、前記タクシー配車装置は該賃走中情報を受けて、前記センター側表示部において当該タクシー車に、位置情報に賃走中である旨を付加して表示させ、前記端末側通信部は、前記「回送」ボタンの押下に対応して前記タクシー配車装置に対し、回送中であることを示す情報を送信し、前記タクシー配車装置は該回送中情報を受けて、前記センター側表示部において当該タクシー車に、位置情報に回送中である旨を付加して表示させ、前記端末側通信部は、前記「空車」ボタンの押下に対応して前記タクシー配車装置に対し、空車中であることを示す情報を送信し、前記タクシー配車装置は該空車中情報を受けて、前記センター側表示部において当該タクシー車に、位置情報に空車中である旨を付加して表示させるよう構成できる。上記構成により、既存のタクシーメーターと同様のボタンを端末側表示部に表示させることで、乗務員は違和感なくタクシー配車端末を操作でき、またタクシー配車装置側では、これらのボタン操作に従い各タクシー車の状態を表示させて、運行状況を容易に把握できる。
さらにまた、本発明の第17の形態に係るタクシー配車システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記タクシー配車端末を、タブレット又はスレートPCで構成できる。
さらにまた、本発明の第18の形態に係るタクシー配車装置によれば、複数のタクシー会社の配車業務を行うためのタクシー配車装置であって、予め各タクシー会社毎に、タクシー会社を特定するタクシー会社特定情報と、該タクシー会社に所属するタクシー車を運転する乗務員に関する乗務員情報とを登録し保存するためのタクシー配車情報データベースに登録された複数のタクシー会社にそれぞれ属するタクシー車を地図上に重ねて表示可能なセンター側地図表示欄と、任意のタクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の一覧を表示可能な配車指示欄とを有するセンター側表示部と、タクシーの利用者からの呼び出し情報を受けるためのセンター側通信部と、前記センター側通信部で受けた呼び出し情報に含まれる、利用者に選択されたタクシー会社の情報に基づいて、前記タクシー配車情報データベースから、当該選択タクシー会社に所属するタクシー車の情報を呼び出して、前記配車指示欄に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう前記センター側表示部を制御するためのセンター側制御部と、前記センター側表示部の配車指示欄に表示された、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかの選択を受け付けるタクシー選択部とを備えることができる。上記構成により、複数のタクシー会社の配車業務を統一的に行うに際して、利用者から指定されたタクシー会社のみを表示させることで、誤って他のタクシー会社のタクシーを配車することが阻止される。また、タクシー会社側においても、配車業務を統合しても、自社に来た配車の依頼を他のタクシー会社に利用者を奪われるという懸念も解消される。
さらにまた、本発明の第19の形態に係るタクシー配車装置によれば、上記構成に加えて、前記センター側表示部は、前記呼び出し受信部で受けた呼び出し情報に基づいて、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかに配車を割り当てるための「配車」ボタンを表示可能としており、遅くとも前記「配車」ボタンを押下したタイミングにおいて、前記配車指示欄に表示させるタクシー車の情報を、選択タクシー会社に所属するタクシー車の情報に切り替え、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう構成できる。
さらにまた、本発明の他の形態に係るタクシー配車端末によれば、複数のタクシー会社の配車業務を行うためのタクシー配車システムで用いる、複数のタクシー車の配車を行うためのタクシー配車装置とネットワークを介して接続された、各タクシー車に配置されるためのタクシー配車端末であって、タクシー車の位置情報を取得するGPS部と、前記GPS部で取得されたタクシー車の位置情報を、前記タクシー配車装置側に送信するための端末側通信部と、自身のタクシー会社に所属する他の自社タクシー車の端末側通信部から得られる位置情報を、前記タクシー配車装置を介して各々取得し、自社タクシー車の現在位置を地図上にそれぞれ表示させるための端末側表示部とを備えることができる。上記構成により、タクシー車の乗務員も、自身のタクシー会社に所属する他のタクシー車の現在位置を把握することができるので、乗務員自身も配車センターの目線で自社の運営状況を把握できるようになり、自社の連帯意識を高め、従来個人意識の高かったタクシー業界において、例えば配車ルールの柔軟な運営といった利用者側の視点に立った運営に向かわせるような意識改革を起こさせる効果が期待できる。
さらにまた、本発明の第20の形態に係るタクシー配車方法によれば、複数のタクシー車の配車を行うための一以上のタクシー配車装置と、前記タクシー配車装置とネットワークを介して接続された、各タクシー車に配置されるための一以上のタクシー配車端末と、予め各タクシー会社毎に、タクシー会社を特定するタクシー会社特定情報と、該タクシー会社に所属するタクシー車を運転する乗務員に関する乗務員情報とを登録し保存するためのタクシー配車情報データベースとを備えるタクシー配車システムにおいて、複数のタクシー会社の配車業務を行うタクシーの配車方法であって、前記タクシー配車情報データベースに登録された複数のタクシー会社にそれぞれ属するタクシー車を地図上に重ねて表示させると共に、任意のタクシー会社に所属するタクシー車を、タクシー配車装置に設けられたセンター側表示部に一覧表示させる工程と、タクシーの利用者からの呼び出し情報をセンター側通信部で受けると、該呼び出し情報に含まれる、利用者に選択されたタクシー会社の情報に基づいて、前記タクシー配車情報データベースから、当該選択タクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の情報を呼び出して、前記センター側表示部に設けられた、任意のタクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の一覧を表示可能な配車指示欄に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう前記センター側表示部を制御する工程と、前記センター側表示部の配車指示欄に表示された、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかの選択を受け付ける工程と、前記選択されたタクシー車に搭載されたタクシー配車端末に対し、選択された旨の信号を送信する工程と、前記タクシー配車端末が選択信号を受信すると、利用者の位置情報を地図上に重ねて表示させる工程とを含むことができる。これにより、複数のタクシー会社の配車業務を統一的に行うに際して、利用者から指定されたタクシー会社のみを表示させることで、誤って他のタクシー会社のタクシーを配車することが阻止される。また、タクシー会社側においても、配車業務を統合しても、自社に来た配車の依頼を他のタクシー会社に利用者を奪われるという懸念も解消される。
さらにまた、本発明の第21の形態に係るタクシー配車プログラムによれば、複数のタクシー車の配車を行うための一以上のタクシー配車装置と、前記タクシー配車装置とネットワークを介して接続された、各タクシー車に配置されるための一以上のタクシー配車端末と、予め各タクシー会社毎に、タクシー会社を特定するタクシー会社特定情報と、該タクシー会社に所属するタクシー車の乗務員に関する乗務員情報とを登録し保存するためのタクシー配車情報データベースとを備えるタクシー配車システムにおける、前記タクシー配車装置を実現するコンピュータで実行され、複数のタクシー会社の配車業務を行うタクシー配車プログラムであって、前記タクシー配車情報データベースに登録された複数のタクシー会社にそれぞれ属するタクシー車を地図上に重ねて表示させると共に、任意のタクシー会社に所属するタクシー車を、前記タクシー配車装置に設けられたセンター側表示部に一覧表示させる機能と、タクシーの利用者からの呼び出し情報をセンター側通信部で受けると、該呼び出し情報に含まれる、利用者に選択されたタクシー会社の情報に基づいて、前記タクシー配車情報データベースから、当該選択タクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の情報を呼び出して、前記センター側表示部に設けられた、任意のタクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の一覧を表示可能な配車指示欄に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう前記センター側表示部を制御する機能と、前記センター側表示部の配車指示欄に表示された、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかの選択を受け付ける機能と、前記選択されたタクシー車に搭載されたタクシー配車端末に対し、選択された旨の信号を送信する機能とを実現させることができる。上記構成により、複数のタクシー会社の配車業務を統一的に行うに際して、利用者から指定されたタクシー会社のみを表示させることで、誤って他のタクシー会社のタクシーを配車することが阻止される。また、タクシー会社側においても、配車業務を統合しても、自社に来た配車の依頼を他のタクシー会社に利用者を奪われるという懸念も解消される。
さらにまた、第22の形態に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体または記憶した機器は、上記ロボットシミュレーションプログラムを格納するものである。記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray、HD DVD(AOD)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記憶した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのタクシー配車装置を例示するものであって、本発明はタクシー配車装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係るタクシー配車システム1000を図1のブロック図に示す。この図に示すタクシー配車システム1000は、複数のタクシー会社から配車業務の委託を受けて、タクシーの利用者CSTから各タクシー会社宛の配車依頼を電話で受け、これを該当するタクシー会社のタクシー車TXIに割り当てるためのシステムである。具体的には、タクシー配車システム1000は、複数のタクシー車TXIの配車を行うための一以上のタクシー配車装置100と、タクシー配車装置100とネットワークを介して接続された、各タクシー車TXIに配置されるための一以上のタクシー配車端末200と、タクシー配車情報データベースDBと、一以上の動態管理端末300を備える。
タクシーの利用者CSTは、各タクシー会社宛に電話を架けて配車依頼を行う。配車依頼の通話は、電話転送手段TRSによって、電話回線網からインターネット回線を通じて送信可能なパケットデータに変換されて、タクシー配車装置100に送信される。すなわち電話回線からの通話が、インターネット回線を介してタクシー配車装置100側に送られる。タクシー配車装置100側には、一以上のオペレータOPRが常駐しており、マイクMICとスピーカSPKを介して配車依頼の通話を受ける。オペレータOPRは、利用者CSTと会話して、利用者CSTの氏名と現在位置の情報を聞く。さらに、ナンバーディスプレイ等を確認して、どのタクシー会社への依頼であるかを確認する。これらの情報を元に、依頼のあったタクシー会社を選択すると共に、選択された選択タクシー会社に所属するタクシー車TXIのいずれかを、タクシー会社毎の配車ルールに従い選択して、選択された選択タクシー車TXIの乗務員DRVに無線で連絡し、利用者CSTの氏名と現在位置を通知する。この情報は、オペレータOPRから口頭で行われると共に、タクシー配車装置100からタクシー配車端末200にデータでも送信され、選択タクシー車TXIのタクシー配車端末200の端末側表示部210上に表示された地図上に迎車位置が表示される。これを受けて選択タクシー車TXIの乗務員DRVは、指定された位置まで迎車を行う。以下、各部材について説明する。
(タクシー配車装置100)
タクシー配車装置100は、典型的には配車業務を行う配車室に配置されている。このタクシー配車装置100は、センター側表示部10と、センター側通信部20と、センター側制御部30と、タクシー選択部40と、操作部50と、マイクMICとスピーカSPKとを備える。
センター側表示部10は、タクシー配車情報データベースDBに登録された複数のタクシー会社にそれぞれ属するタクシー車を地図上に重ねて表示可能なセンター側地図表示欄190と、任意のタクシー会社に所属するタクシー車の内、配車の候補となるタクシー車の一覧を表示可能な配車指示欄180とを有する。このセンター側表示部10は、センター側通信部20でもってタクシー配車装置100から取得した情報に従い、リアルタイムで表示を更新可能とできる。
センター側通信部20は、タクシーの利用者CSTからの呼び出し情報を受けるための部材である。なお図1の例では、タクシーの利用者CSTからの呼び出し情報を、利用者CSTからの配車依頼の通話としている。
センター側通信部20は、呼び出し受信部22を備える。呼び出し受信部22は、利用者CSTからの各タクシー会社宛の配車依頼の通話が、電話回線網からインターネット回線を通じて送信可能なパケットデータに変換された状態で受信するための部材である。
センター側制御部30は、センター側通信部20で受けた呼び出し情報に含まれる、利用者CSTに選択されたタクシー会社の情報に基づいて、タクシー配車情報データベースDBから、当該選択タクシー会社に所属するタクシー車の乗務員情報を呼び出して、配車指示欄180に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするようセンター側表示部10を制御するための部材である。
マイクMICとスピーカSPKは、タクシー配車装置100を操作するオペレータOPRが、タクシーの利用者CSTやタクシー車の乗務員DRVと会話を行うための部材である。例えば呼び出し受信部22で受けた利用者CSTから配車依頼の通話に対して、オペレータOPRが対応する。またオペレータOPRは、この配車依頼に応じて、選択された乗務員DRVに対して配車指示を伝達する。なお配車指示は、テキストメッセージで行うが、必要に応じて無線や電話で連絡することもできる。
タクシー選択部40は、センター側表示部10上の配車指示欄180に表示された、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかの選択を受け付けるための部材である。
操作部50は、マイクMICとスピーカSPKを通じて、複数のタクシー会社の配車業務を行うオペレータOPRが利用者CSTと会話して取得した、利用者CSTの氏名と、該利用者CSTが選択したタクシー会社の情報を入力又は選択するための部材である。
(センター側表示部10)
センター側表示部10に表示される管理画面のユーザインターフェース画面の一例を図2に示す。この図に示す管理画面は、左から右に、依頼表示欄110と、利用者情報表示欄130と、配車指示欄180と、乗務員情報表示欄160と、センター側地図表示欄190とを備える。
(依頼表示欄110)
依頼表示欄110は、利用者の電話の着信番号や、無線番号、予約や履歴といった情報を表示させるための領域である。依頼表示欄110の詳細を図3に示す。この図に示す依頼表示欄110は、利用者電話欄111、乗務員無線覧113、乗務員電話欄115、予約欄117、利用者着信欄118、配車欄119、乗務員着信欄120、乗務員メッセージ欄121を備える。
利用者電話欄111では、通話中、着信中の利用者の電話番号が確認できる。また利用者電話欄111で電話番号を入力して「通話」ボタン112を押すと、この番号に電話をかけることができる。
乗務員無線覧113では、乗務員と無線で通信する際の乗務員の無線番号が確認できる。乗務員無線覧113で無線番号を入力して「通話」ボタン114を押すと、指定した乗務員と通話することができる。
乗務員電話欄115では、電話で通話中の乗務員の個人所有の携帯番号が確認できる。乗務員電話欄115で無線番号を入力して「通話」ボタン116を押すと、指定した乗務員と通話することができる。また「履歴」を押下すると、過去の通話の履歴の一覧が表示され、この中から選択して電話番号を指定することができる。
予約欄117では、現在登録されている予約配車の状況を確認することができる。
利用者着信欄118では、利用者からの着信履歴を表示する。
配車欄119では、配車完了履歴を表示する。
乗務員着信欄120では、乗務員からの音声無線の着信履歴を表示する。
乗務員メッセージ欄121では、乗務員へ送信したメッセージの履歴を表示する。また送信したメッセージの既読又は未読を確認することもできる。
(利用者情報表示欄130)
利用者情報表示欄130は、利用者に関する情報を表示するための領域である。図2に示す利用者情報表示欄130では、利用者の氏名とふりがな、利用者メモ情報が表示される。利用者メモ情報には、この利用者に関するメモ、例えば「今度から建物の東側につけて下さい。奥までは来ないでいいです。」等と注意事項や備考をオペレータが記録しておくことができる。また、利用者情報を検索することもできる。例えばタクシー会社選択欄131で何れかのタクシー会社を選択した状態で、利用者の氏名、電話番号、利用者メモ情報などから検索できる。利用者検索画面の一例を図4に示す。この図に示す利用者検索画面132で、利用者の氏名、電話番号、利用者メモ情報で共有している文言などを利用者検索入力欄133に入力し、「検索」ボタン134を押すと、指定した利用者情報を検出することができる。また、「新規」ボタン135を押すと、新規の利用者情報を入力する画面が表示される。なお新規の利用者から着信があった場合には、新規の利用者の入力画面が自動で表示される。
なお、利用者情報は、タクシー会社毎に作成される。いいかえると、同じ利用者であっても、異なるタクシー会社を利用した場合は、利用者情報は別々に作成されることになる。このように、利用者の登録情報を完全に分離することによって、タクシー会社間での利用者の誤配を避けることができる。
利用者情報表示欄130の詳細を、図5に示す。この図に示す利用者情報表示欄130は、利用者氏名表示欄136、利用者ふりがな表示欄137、利用者メモ表示欄138、利用者発信欄139、迎車地点欄141が設けられる。
利用者氏名表示欄136は、利用者名を表示する欄である。また利用者ふりがな表示欄137は、利用者名のよみがなを入力する欄である。これらの表示欄において、修正を行うこともできる。修正された情報に基づいて、タクシー配車情報データベースDBが更新される。
利用者メモ表示欄138は、利用者の詳細情報を入力する欄である。
利用者発信欄139は、利用者の電話番号を入力する欄である。なお利用者発信欄139に設けられた「通話」ボタン140を押すと、通話が可能である。
迎車地点欄141は、この利用者の過去の送迎地点の履歴を表示する欄である。複数の迎車位置がある場合は、最新のものから順に一覧で表示される。また目的地を表示させてもよい。さらに迎車地点欄141には、「配車」ボタン142、「予約」ボタン143、「地図中心を追加」144ボタンが設けられる。「配車」ボタン142を押すと、図6に示す配車指示欄180が表示される。また「予約」ボタン143を押すと、図7に示す予約受付画面150が表示される。さらに「地図中心を追加」144ボタンを押すと、センター側地図表示欄190の中心地点が、送迎地点の入力画面に反映されて該当する住所が自動入力される。またセンター側地図表示欄190の地図上に施設名があれば、自動で施設名も登録される。
(予約受付画面150)
予約受付画面150の一例を図7に示す。この図に示す予約受付画面150は、予約日時欄151と、アラーム欄152と、予約メモ欄153と、「作成」ボタン154を備えている。
予約日時欄151では、予約日時を入力する。予約日時は数値等で指定する他、例えば図8に示すようにカレンダー155を表示させて、日付を選び、下部の時刻表から時間を指定するよう構成してもよい。
アラーム欄152は、アラームを鳴らす時間を指定する欄である。ここで指定した時間にアラームが起動する。
予約メモ欄153は、予約配車情報を乗務員へ送る際に必要な情報を記入する欄である。このようにして予約受付画面150で必要事項を入力して、「作成」ボタン154を押すと、予約が完了する。
(乗務員情報表示欄160)
乗務員情報表示欄160には、乗務員のステータス情報や待機場所別の順番などを表示させることができる。例えば、図9に示す管理画面では、乗務員情報表示欄160にタクシー車の番号又は乗務員の番号、現在のステータス、待機場所、このタクシー車に乗務する乗務員名などが表示される。タクシー車の番号は、無線番号やタクシー車両番号等、タクシー車を特定するための情報である。また「連絡」ボタン161を押すと、この乗務員と無線で通話することができる。また、乗務員検索欄162を設けており、乗務員をタクシー会社毎に、氏名や携帯番号などで検索することもできる。
乗務員情報表示欄160の詳細を図10に示す。この図に示す乗務員情報表示欄160は、乗務員表示側タクシー会社選択欄163と、待機場所選択欄164と、検索キーワード入力欄165と、乗務員一覧表示欄166とを備える。
乗務員表示側タクシー会社選択欄163は、複数のタクシー会社から、乗務員情報を表示させるタクシー会社を切り替えるための部材である。
待機場所選択欄164は、タクシーの待機場所を選択するボタンである。各タクシー会社に応じた、所定の待機場所がドロップボックスで一覧表示されるので、オペレータは全エリア又は一部のエリアで検索できる。
検索キーワード入力欄165は、乗務員名や乗務員の携帯番号を検索する欄である。この欄に検索キーワードを入力して「検索」ボタン167を押下すると、該当する乗務員の一覧が表示される。
乗務員一覧表示欄166には、「連絡」ボタン161、検索された乗務員の車両番号、乗務員又はタクシー車のステータス情報、待機場所、配車利用者名、乗務員名が表示される。ステータス情報は、実車、空車、迎車、回送等が挙げられる。なお、乗務員の表示は配車順に表示される。すなわち、タクシー会社毎に決められた配車ルールに従い、ソートされた結果が表示される。
図10の乗務員情報表示欄160に設けられた「連絡」ボタン161を押下すると、図11に示すように乗務員連絡画面170が表示される。乗務員連絡画面170には、「無線」ボタン171と、「電話」ボタン172と、テキストメッセージ入力欄173と、「メッセージ送信」ボタン174が配置される。「無線」ボタン171は、乗務員へ音声無線を接続するためのボタンである。「電話」ボタン172は、乗務員の携帯へ電話をかけるためのボタンである。テキストメッセージ入力欄173は、乗務員へ送信するテキストメッセージを入力するための欄である。「メッセージ送信」ボタン174を押下すると、テキストメッセージ入力欄173に入力されたテキストメッセージが送信される。
(配車指示欄180)
図5や図9の画面から、利用者情報表示欄130に設けられた「配車」ボタン142を押すと、図6に示す配車指示欄180が表示される。この図に示すように配車指示欄180は、乗務員情報表示欄160の上段に表示される。配車指示欄180の詳細を図12に示す。この図に示す配車指示欄180には、配車候補ソート条件欄181と、「一斉」ボタン182と、配車候補一覧表示欄183が設けられる。
配車候補ソート条件欄181は、配車候補となる乗務員をソートする条件を指定するための部材である。例えば「近い順」を指定すると、利用者の迎車位置から近い順に、配車候補のタクシー車又は乗務員が表示される。また、タクシー会社毎に決められた待機場を指定して、選択された待機場あるいは待機場の近傍にいる配車候補の中から、タクシー会社毎の配車ルールに従ってソートしてもよい。
配車候補ソート条件欄181で指定されたソート条件に従い、配車候補一覧表示欄183にソート結果が表示される。一覧表示される配車候補のタクシー車は、それぞれ「選択」ボタン184、ソートされた順位、ステータス情報、現在位置、乗務員名等が表示される。この状態で、オペレータが配車するタクシー車を選択する。具体的には「選択」ボタン184を押下すると、配車指示情報がタクシー配車装置100から、選択された乗務員のタクシー配車端末200へ送信される。
配車指示情報は、選択されたタクシー車に配置されたタクシー配車端末200の端末側表示部210に表示される。このような配車指示情報を表示される端末側配車指示画面240の一例を、図13に示す。ここでは、配車指示情報として、配車依頼場所241と利用者情報242を表示させている。利用者情報242には、オペレータが図11のテキストメッセージ入力欄173から入力した個別の依頼事項や注意点などの情報、例えば「玄関まで荷物を運んであげて下さい」等のメッセージが表示される。さらに端末側配車指示画面240は、「断る」ボタン243と「了解」ボタン244を備えている。乗務員は、端末側配車指示画面240に表示された情報を見て、配車指示を受ける場合は、「了解」ボタン244を押下する。これにより、タクシー配車端末200からタクシー配車装置100に、配車指示の承諾情報が送られ、これを受けてセンター側表示部10上に配車指示受領画面185が表示される。配車指示受領画面185として、例えば図14に示すように「配車が特許一郎に受領されました」等のメッセージ画面が表示される。このように、オペレータから乗務員への配車指示は、基本的にテキストメッセージで行われる。これによってタクシー車内に静かな環境が与えられる。また、必要に応じてオペレータと乗務員との間で電話や無線によって音声でやりとすることも可能である。
また、タクシー配車端末200の端末側表示部210で、「了解」ボタン244を押下すると、図15に示すように利用者迎車地点までのナビゲーションが自動で起動し、地図上に現在位置から迎車位置までの経路が表示される。
一方で、乗務員が、端末側配車指示画面240に表示された情報を見て、配車指示を断る場合は、「断る」ボタン243を押下する。これにより、タクシー配車端末200からタクシー配車装置100に、配車指示の拒否情報が送られる。これを受けてオペレータは、別の配車候補に対して、同様に配車指示を送信する。
また図12の「一斉」ボタン182は、配車情報を空車の車両に対して一斉送信するためのボタンである。
(センター側地図表示欄190)
センター側地図表示欄190は、地図を表示するための領域である。センター側地図表示欄190には、タクシー配車情報データベースDBに登録された複数のタクシー会社にそれぞれ属するタクシー車を地図上に重ねて表示できる。タクシー車の表示態様は、すべてのタクシー車を表示させる状態と、選択された選択タクシー会社に所属するタクシー車のみを表示させ、非選択に係るタクシー会社に所属するタクシー車の位置を非表示とする状態とを切り替えることができる。
センター側地図表示欄190の一例を図16に示す。この図に示すセンター側地図表示欄190は、住所入力欄191を上段に設けている。住所入力欄191からは、住所、施設名、電話番号などから送迎地点を検索することができる。図16の例では、住所検索と施設検索をそれぞれ別ボタンで用意している。
また地図上には、乗務員の現在地が、タクシー車両番号や氏名等で表示される。また地図の表示方法を「地図」と「航空写真」に切り替えることもできる。航空写真に切り替えることで、例えば施設への進入路などを写真で確認できる。さらに地図の拡大縮小を行うボタンや、ストリートビューモードを起動するボタンも用意している。ストリートビューモードでは、通りからの様子を360°視覚的に確認できる。
また、センター側表示部10は、呼び出し受信部22で受けた呼び出し情報に基づいて、選択タクシー会社に所属するタクシー車のいずれかに配車を割り当てるための「配車」ボタン142を表示している。遅くともこの「配車」ボタン142を押下したタイミングにおいては、配車指示欄180に表示させるタクシー車の乗務員情報を、選択タクシー会社に所属するタクシー車の乗務員情報に切り替え、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とする。
好ましくは、図9の管理画面に示すように、利用者から配車依頼の通話を受けた段階で、この発信先の電話番号に基づいて該当するタクシー会社を自動で選択してタクシー会社表示欄に表示させ、乗務員情報表示欄160及びセンター側地図表示欄190において表示される情報を、選択タクシー会社の情報に切り替える。すなわち、呼び出し情報に含まれる、利用者に選択されたタクシー会社の情報が、タクシー会社の電話番号として利用する。この電話番号でもって、タクシー配車情報データベースDBに登録されたタクシー会社を自動で選択し、選択タクシー会社に所属するタクシー車の乗務員情報を呼び出して、配車指示欄180に表示させると共に、他のタクシー会社に所属するタクシー車の情報を非表示とするよう、センター側制御部30はセンター側表示部10を制御する。これにより、タクシー会社は利用者の通話によって自動的に選別され、オペレータによるタクシー会社の選択という手順を省くことで、人為的なミスを排除して、利用者に指定されたタクシー会社への正確な配車依頼の割り当てが可能となり、配車業務を依頼するタクシー会社側に信頼感を与えることが可能となる。
なお、通常時には管理画面における利用者情報表示欄130、配車指示欄180、乗務員情報表示欄160、センター側地図表示欄190の表示内容は独立しており、オペレータは利用者情報の検索や乗務員情報の検索を、それぞれ独立して行うことができる。例えば図17に示すように、利用者情報表示欄130と、乗務員情報表示欄160とで、異なるタクシー会社の情報を表示させることができ、オペレータの操作性を損なうことなく利便性を高めている。一方で上述の通り、利用者からの配車依頼を受けた際には、表示内容を自動的に依頼されたタクシー会社のものに切り替えることで、操作ミスを回避している。
以上のようなタクシー配車システムを用いることによって、複数のタクシー会社の配車業務を統一的に行うに際して、オペレータのセンター側表示部10上には、利用者から指定されたタクシー会社のタクシー車のみを表示させることで、誤って他のタクシー会社のタクシー車を配車することが回避される。また、タクシー会社側においても、配車業務を統合しても、自社に来た配車の依頼を他のタクシー会社に利用者を奪われるという懸念も解消される。例えば図18に示すように、複数のタクシー会社の対応範囲が重なっており、競合関係にあるタクシー会社同士の配車業務を受託しているような場合であっても、各タクシー会社への配車依頼を正確に割り振ることができる。
(タクシー配車情報データベースDB)
タクシー配車情報データベースDBは、予め各タクシー会社毎に、タクシー会社を特定するタクシー会社特定情報と、該タクシー会社に所属するタクシー車の乗務員に関する乗務員情報とを登録し保存するための部材である。
(利用者情報)
またタクシー配車情報データベースDBは、各タクシー会社の情報のみならず、各タクシー会社の利用者情報も記録されている。すなわちタクシー配車情報データベースDBは、タクシー会社情報データベースと、各タクシー会社毎に紐付けされた利用者情報データベースを含んでいる。具体的には、利用者を特定する利用者特定情報、利用者の氏名、過去の依頼時の乗車地、目的地等が登録されている。これらの登録は、配車依頼を受けた時点で記録されていく。すなわちオペレータが、電話で利用者から配車依頼を受ける度に、これらの情報を操作部50から入力し、入力された情報をタクシー配車情報データベースDBに記録していく。利用者特定情報は、例えば利用者の電話番号とする。また後述するスマートフォンからの配車依頼の場合は、電話番号に加えて、あるいは電話番号に代えて、このスマートフォンを特定する固有の機器番号、あるいはスマートフォンにインストールされた配車アプリに付与された個別の識別番号等としてもよい。
センター側表示部10は、図2に示すように利用者情報表示欄130を設けている。利用者情報表示欄130には、呼び出し信号受信部で受けた利用者からの呼び出し信号から抽出された、利用者を特定する利用者特定情報に基づいて、該当する利用者をタクシー配車情報データベースDBから検索し、登録された利用者情報を表示させる。
ここでは、呼び出し信号である利用者からの通話を通じて、この通話の発信元の電話番号を利用者特定情報として、タクシー配車情報データベースDBに記録された過去の利用履歴からこの利用者に関する情報を呼び出す。利用者特定情報に合致する利用履歴がヒットすれば、利用者情報表示欄130に表示される。これにより、オペレータは、利用者に対して、この利用者に関する情報、例えば過去の乗車地や目的地などを参照しながら配車できるため、例えば高齢者で乗車地や目的地がはっきりしない場合に、過去の情報から候補地を挙げるなどしてサポートすることができ、利用者に優しい配車が可能となる。
一方、この利用者特定情報がヒットしない場合は、新規の利用者として、オペレータが新たな利用者情報を入力していく。この場合は、センター側表示部10上に、新規の利用者である旨を告知すると共に、利用者特定情報としてこの利用者の電話番号を入力した状態で、利用者名や現在位置情報(配車位置情報)を入力するよう、オペレータに対して促す。さらに、目的地が判明している場合は、この目的地情報も入力する。
目的地情報が配車依頼の時点で判明していない場合は、例えば迎車に向かった乗務員が、利用者から聞いた時点で、その位置情報をタクシー配車端末200上から入力する。この情報は、インターネット回線を通じてタクシー配車装置100側に送られ、自動的にタクシー配車情報データベースDBに目的地情報として記録される。一方で、端末側表示部210には、目的地情報を入力すると、現在位置から目的地までの経路が自動的に演算されて、地図上に表示される。これにより、利用者にとっては乗務員が目的地までのナビゲーション操作を行っているものと映り、違和感なく履歴情報を記録することが可能となる。また、目的地を知らない乗務員にとっては、経路を確認することができ、乗務員の利便性の面でも有利となる。
(電話の転送機能)
電話転送手段TRSは、複数のタクシー会社宛の電話番号による通話を、タクシー配車装置100に転送する部材である。具体的には、予め登録された複数のタクシー会社宛の通話をすべて、一のタクシー配車装置100にインターネット回線を通じて転送するよう、電話回線を流れる音声信号をインターネット回線に送信可能なパケットデータに変換する。
このように、電話転送手段TRSを用いて、利用者からの各タクシー会社宛の配車依頼の通話を、電話回線網からインターネット回線を通じて送信可能なパケットデータに変換した状態でタクシー配車装置100で受ける構成としたことで、従来の電話回線を用いた配車方法に比べ、運用し易い利点が得られる。すなわち、委託を受けた配車業務の運営者側においても、電話会社毎に複数の電話回線を用意する必要がなくなり、設備コストの削減に寄与する。特に利用者からの電話が複数同時にあった場合は、電話回線を複数用意しないと同時に受けることができないため、従来のタクシー会社は複数回線を契約することが一般的であり、これらの回線の維持費用と各回線を受け持つ電話オペレータ、すなわち配車係の人的コストが大きかったところ、この方法であれば一のタクシー配車装置で集中的に受けることにより、電話回線の数を増やすことなく複数の同時発信に対応可能となる。一方で、複数のタクシー会社の配車業務の委託を受ける受託運営者においても、従来であれば相応の数の電話回線を用意せねばならず、コスト的な負担が増大するところ、タクシー配車装置での統一的な管理によって、大幅な費用圧縮が可能となる。さらに、従来の複数のタクシー会社の配車業務を委託した共同無線配車では、共通の電話番号を使用していたため、従来より各タクシー会社で使用していた固有の電話番号を切り替える必要があり、利用者への周知等が必要となるところ、本システムによれば既存の電話番号を利用し続けながら業務委託が可能となり、利用者側やタクシー会社への負担なく、配車業務の集中管理に移行させることが可能となる。
加えて、インターネット回線を利用して通話を受けることにより、電話線が遮断された場合であっても配車依頼を受けることができる。特に近年は地震や津波といった自然災害への対応が求められているところ、緊急時の電話連絡手段の確保は重要な課題である。近年は通信業者も電話線の遮断対応のみならずインターネット回線の遮断対策に注力しており、現在ではインターネット回線の方が自然災害に強いともいわれている。元々タクシー車は停電に無関係であり、タクシー配車システム側を駆動する電力源が非常電源等で確保されている限りは、運営を維持させることが可能となる。
(タクシー配車端末200)
タクシー配車端末200は、図1等に示すように各タクシー車TXIに配置される端末である。このタクシー配車端末200は、例えば図19に示すように、タクシー車のダッシュボードに配置される。好ましくは、既存の料金メーターMTRと並べて配置する。これにより、既存のタクシーメーターと同様のボタンを端末側表示部210に表示させることで、乗務員は違和感なくタクシー配車端末200を操作でき、またタクシー配車装置100側では、これらのボタン操作に従い各タクシー車の状態を表示させて、運行状況を容易に把握できる。
タクシー配車端末200は、GPS部230と、端末側通信部220と、端末側表示部210とを備える。GPS部230は、タクシー車の位置情報を取得するための部材である。端末側通信部220は、GPS部230で取得されたタクシー車の位置情報を、タクシー配車装置100側に送信するための部材である。端末側表示部210は、タクシー配車装置100のタクシー選択部40で選択された旨の信号を、タクシー配車装置100から受信すると、利用者の位置情報を地図上に重ねて表示させるための部材である。
好適には、タクシー配車端末200は、タブレット又はスレートPCに、専用のアプリケーションをインストールして実現できる。例えば図20に示すように、デスクトップ上に配置されたアイコンをタッチして、タクシー配車端末用アプリケーションを実行する。タクシー配車端末用アプリケーションを起動すると、図21に示すようなログイン画面245が表示され、乗務員はタクシー会社の業者番号、車両番号、乗務員別のユーザID、パスワードを入力するよう促される。これによって乗務員毎に設定されたセキュリティレベルでのアクセス権限で、タクシー配車システムにアクセスできるようになる。
(端末側表示部210のユーザインターフェース)
端末側表示部210のユーザインターフェースの一例を、図22に示す。この図に示す端末側表示部210は、端末側地図表示領域251と、この端末側地図表示領域251に重ねて、右側に配置された「空車」ボタン261、「迎車」ボタン262、「実車」ボタン263、「回送」ボタン264、「オペレータ呼出」ボタン265を備えている。
「空車」ボタン261は、空車モードになるボタンである。賃走を終えて配車待ち状態となった際に乗務員は「空車」ボタン261を押下する。この「空車」ボタン261は、タクシー車あるいは乗務員の位置やステータスに応じて、表示内容や色を変化させる。例えば図22の例では、「配車待ち1番 今切待機」と表示されており、乗務員の待機場所(ここでは今切)での配車順番を表示している。
「迎車」ボタン262は、迎車モードになるボタンである。タクシー配車装置100からの配車指示を受けて、迎車位置に向かう際に乗務員が「迎車」ボタン262を押下する。端末側通信部は、「迎車」ボタン262の押下に対応してタクシー配車装置100に対し、迎車中であることを示す情報を送信する。タクシー配車装置100はこの迎車中情報を受けて、センター側表示部10において、このタクシー車に、位置情報に迎車中である旨を付加して地図上に表示させる。
「実車」ボタン263は、実車モードになるボタンである。迎車位置に着いて、利用者を乗せて賃走する際に「実車」ボタン263を押下する。端末側通信部は、「実車」ボタン263の押下に対応してタクシー配車装置100に対し、賃走中であることを示す情報を送信する。タクシー配車装置100は、この賃走中情報を受けて、センター側表示部10においてこのタクシー車に、位置情報に賃走中である旨を付加して表示させる。
「実車」ボタン263を押下すると、図23に示すように端末側表示部210には、行き先リスト画面270が表示される。乗務員はこの行き先リスト画面270で表示されるリスト中から、利用者が指示した目的地を選んで押下する。これに応じて、目的地情報がタクシー配車端末200からタクシー配車装置100に送信される。この例では、行き先リストを最大24箇所まで登録することができる。
指示された賃走が終了すると、乗務員は「空車」ボタン261を押下する。これを受けて端末側通信部はタクシー配車装置100に対し、空車中であることを示す情報を送信する。タクシー配車装置100は空車中情報を受けて、センター側表示部10において当該タクシー車に、位置情報に空車中である旨を付加して表示させる。
「空車」ボタン261を押下すると、図24に示すように端末側表示部210には、待機場所リスト272が表示される。乗務員は、待機場所リスト272中から配車待ちエリアを選択する。この例では、「車庫待機」か「今切待機」を選択可能としている。乗務員は、選択した配車待ちエリアにタクシー車を移動させる。この結果、各タクシー会社が設定する配車ルールに従って、自動で配車順に入る。なお、「空車」ボタン261を押下しても、配車待ちエリアにタクシー車が移動するまでは、ステータスとして「エリア外」が表示され、配車候補にはリストされない。選択した配車待ちエリア(一点でなく、一定の範囲を予め定めてもよい。)にタクシー車が移動したことがGPS部230によって確認されると、配車順に入る。
「回送」ボタン264は、回送モードになるボタンである。業務を終了して回送状態となった際に「回送」ボタン264を押下する。端末側通信部は、「回送」ボタン264の押下に対応してタクシー配車装置100に対し、回送中であることを示す情報を送信する。タクシー配車装置100は回送中情報を受けて、センター側表示部10においてこのタクシー車に、位置情報に回送中である旨を付加して表示させる。
また「回送ボタン」を2回押すと、図25に示すログアウト確認画面274が表示される。ログアウトする場合は「ログアウト」ボタン275を押下する。
最後に、「オペレータ呼出」ボタン265は、オペレーターと音声無線を開始するためのボタンである。
(端末側地図表示領域251)
また端末側地図表示領域251においては、左上に配置された方位磁石状のボタンを押下して、地図の表示方法を「ノースアップ」か「ヘディングアップ」かに切り替える。
配車を受けると、図26に示すように自動で目的地までのナビゲーションが起動し、経路が太線で示される。また、地図上に渋滞情報を表示させることもできる。例えば渋滞している道路を赤線で表示させる。
さらに端末側地図表示領域251には、図22に示すように、自身のタクシー会社に所属する他の自社タクシー車の端末側通信部220から得られる位置情報を、タクシー配車装置100を介して各々取得し、自社タクシー車の現在位置を地図上にそれぞれ表示させることができる。これにより、タクシー車の乗務員も、自身のタクシー会社に所属する他のタクシー車の現在位置を把握することができるので、乗務員自身も配車センターの目線で自社の運営状況を把握できるようになり、自社の連帯意識を高め、従来個人意識の高かったタクシー業界において、例えば配車ルールの柔軟な運営といった利用者側の視点に立った運営に向かわせるような意識改革を起こさせる効果が期待できる。なお、他の乗務員の表示機能は、非表示に切り替えることもできる。
また、タクシー配車端末200に配置されるボタン類を、既存の料金メーターMTRと同様のレイアウトとすることで、乗務員は操作に戸惑うことなく、スムーズな導入が可能となる。また既存の料金メーターMTRをそのまま利用しつつ、タクシー配車端末200を追加するだけで、容易に配車業務の委託機能に対応させることが可能となる。
なお、タクシー配車端末に、料金メーターの機能を持たせてもよい。この場合は、一のタクシー配車端末を操作するだけで、料金メーターの操作を不要とでき、操作を簡素化できる上、タクシー車内に配置する機器類を共通化して小型化できる利点も得られる。
なお図1の例ではタクシー配車装置100を一台のみ表示させているが、タクシー配車装置を複数用意することもできる。このように複数のタクシー配車装置を設けることで、同時着信があった場合でも対応可能とできる。複数のタクシー配車装置は、それぞれがインターネット回線で接続される。しかも同じ場所にタクシー配車装置を設けずともよく、配車業務を行うオペレータがどの場所にいても、ネットワーク接続を介してタクシー配車装置にアクセスすることで現在の情報を取得、閲覧できるようになるので、配車業務を行う配車センターを一箇所に固定する必要がなくなり、従来のコールセンターのような施設を設けることなく、在宅でも業務が可能となる。特に地方在住者であってもタクシー配車業務を行うことが可能となるので、地方の労働力を活用し、かつ地方での雇用促進、地方の活性化等にも資することが期待される。例えばオペレータが異なる場所での勤務を希望する場合に、そのオペレータの保有するコンピュータをタクシー配車装置とすることで、配車業務を行うことができ、いわゆるテレワークにも容易に対応できる。特に、地方のタクシー会社の配車業務を支援するために、地方在住のオペレータの在宅勤務を活用することで、地方活性化の面からも有益となる。
また上述した電話回線をインターネット回線に変換する構成と組み合わせることで、電話回線を増やすことなく同時着信に対応可能であることに加え、オペレータの不足については、このような遠隔業務を利用することで同じ場所にいなくても対応可能として、人員を確保し易くできる。
(動態管理端末300)
さらに、動態管理端末300を付加してもよい。動態管理端末300は基本的に、タクシー配車業務を委託した各タクシー会社側に配置される。動態管理端末300は、タクシー会社毎に、一台に限らず複数台を配置してもよい。例えば、タクシー会社のオーナーの他、管理職が保有することもできる。また動態管理端末の付加は任意であり、動態管理端末が無くともタクシー配車システムは運営できる。
各動態管理端末300は、図1等に示すように、タクシー配車装置100にアクセスして、必要な情報を取得するための会社側通信部310と、会社側通信部310で取得した、タクシー配車装置100側で行われている、自社に所属する各タクシー車の配車状況を地図上に重ねて表示させるための会社側表示部320とを備えている。
動態管理端末300がセンター側通信部20でもってタクシー配車装置100にアクセスして情報を取得する際、自社に所属するタクシー車に関する情報のみを取得可能としている。いいかえると、他社に所属するタクシー車に関する情報へのアクセスは禁止される。このようなアクセス制限は、例えばタクシー会社毎に付与された固有のID番号やパスワード等によって管理される。また、オーナーや経営者、タクシーの乗務員等、レベル毎に異なるアクセス権限を付与してもよい。これにより、例えば配車業務を委託したタクシー会社に所属するオーナーや責任者等が、動態管理端末300を通じてタクシー配車装置100側で行われる配車業務を閲覧可能とすることで、配車業務の透明性、公平性を担保でき、また自社のタクシー会社の運行状態を確認することも可能となる。またタクシー会社の経営者や管理職の者は、従来は物理的に配車センターにいないと動態管理を行うことができなかったところ、実施形態1に係るタクシー配車システム1000によれば、動態管理端末300を持つことで、時と場所に縛られない自由な動態管理を実現可能となる。インターネットに繋がる環境であれば、出張先や会議中でも、自社のタクシーの運行状況をリアルタイムで確認できる。
また、タクシー配車システムは、24時間フルタイムで配車業務の委託を受けるようにする他、特定のタクシー会社において、所定の時間帯のみ、配車業務を受け付けるようにしてもよい。例えば需要の減少する深夜や早朝といった時間帯や、人員不足の場面において、配車業務をアウトソーシングすることもできる。例えば、タクシー配車情報データベースDBに、タクシー会社の配車業務の請負時間帯を記録しておく。タクシー配車装置100は、タクシー配車情報データベースDBに記録された請負時間帯を参照して、この請負時間帯の間のみ、利用者の配車予約を受付と配車を実行する。これにより、タクシー会社にとっては、配車業務を常時委託するのでなく、需要の減少する時間帯や人員不足の時間帯など、採算性の悪化する時間帯のみ、タクシー配車システムを利用するようにでき、効率のよい運営が可能となる。
(実施形態2:タクシー配車サーバーSRV)
なお以上の例では、タクシー配車情報データベースDBを、タクシー配車装置100側に設ける構成を説明した。ただ、タクシー配車情報データベースは、必ずしもタクシー配車装置と同じ位置に設ける必要はなく、例えば図27に示す実施形態2に係るタクシー配車システム2000のように、タクシー配車情報データベースDB’をタクシー配車装置100’とは別体として、ネットワークに直接接続する構成としてもよい。この場合タクシー配車情報データベースDB’は、タクシー配車サーバーSRVに配置する構成としてもよい。なお図27において、図1等と同じ部材については同じ符号を付し、詳細説明を省略する。
またこの場合、利用者CSTから各タクシー会社宛の配車依頼の通話を、タクシー配車装置100’でなく、一旦タクシー配車サーバーSRVに転送するように構成してもよい。これにより、タクシー配車装置を複数台用意する場合の運用が容易となる。
さらに、上述したタクシー配車装置は、汎用のコンピュータにタクシー配車装置用プログラムをインストールして、タクシー配車装置として機能させることができる。あるいは、タクシー配車システムを、タクシー配車情報データベースを有するタクシー配車サーバー上で実行させるようwebベースで構築すれば、汎用のコンピュータのwebブラウザでタクシー配車サーバーにアクセスすることで、このコンピュータをタクシー配車装置として機能させることもできる。
同様に、タクシー配車端末や動態管理端末についても、汎用のコンピュータ(デスクトップ型に限らず、ノート型PCやスレートPC、タブレット等も含む。)についても、専用のタクシー配車端末用プログラム、動態管理端末用プログラムをインストールして、それぞれタクシー配車端末や動態管理端末として機能させる他、webベースで構築されたタクシー配車サーバーにアクセスすることで、アクセスしたコンピュータをタクシー配車端末や動態管理端末として機能させることもできる。このようにして、タクシー配車サーバーを中心としたクラウド型コールセンターを構築して、配車依頼を柔軟に管理できる。
(実施形態3)
以上の例では、タクシーの利用者からの配車依頼の通話を受けて、配車業務を行う例を説明した。ただ、本発明はこの方法に限られず、タクシー配車用のアプリケーションを介して配車依頼を受けることもできる。典型的には、スマートフォンにインストールされた配車アプリからの配車依頼となる。このような例を、実施形態3として、図28に示す。この図に示すタクシー配車システム3000においても、図1等と同じ部材については同じ符号を付し、詳細説明を省略する。
このタクシー配車装置100”のセンター側通信部20は、呼び出し受信部22と、配車依頼信号受信部24とを備える。配車依頼信号受信部24は、利用者CSTから、該利用者CSTの保有するスマートフォンSMF等にインストールされた配車アプリを通じて各タクシー会社宛に要求される配車依頼の信号を受信するための部材である。これにより、利用者からの電話を通じた配車依頼のみならず、配車アプリを通じた配車依頼も受け付け可能となり、より利便性を向上させることができる。特に従来の電話による配車では、一時的に依頼が殺到すると話し中や回線パンクのリスクがあるところ、配車アプリを利用すればクラウドサーバの活用等によりこのような状況を回避することもできる。
また上述した例では、利用者からの配車依頼は一旦タクシー配車装置に転送されて、配車業務を経て各タクシー車に割り当てられているが、タクシー配車サーバーに、上述したタクシー配車装置で行われるオペレータの配車業務を自動で行うようにすることで、タクシー配車装置を介することなく、利用者からの配車依頼をタクシー車のタクシー配車端末に割り当てることも可能となる。
以上のように、本配車システムによれば、タクシー事業者は、従来のコールセンター運営費用に比べて3分の1から半分程度のコストで、通年24時間の配車業務が可能になる。近年では日本交通やUber社が提供するようなスマートフォンで使える配車アプリも登場している。しかしながら、これらの配車アプリはスマートフォンの利用者に制限される。特に地方においてはスマホでなく電話からの配車依頼が主体である上、高齢者においては尚更である。さらに、スマートフォンの配車アプリを導入したタクシー会社側においても、従前の電話での配車依頼を依然として受け続ける以上は、配車センターを廃止することができず、これを存続させねばならない以上、依然として配車センターの維持費用が必要となってこの部分のコスト負担は避けられない。ユーザ側においても、配車アプリを用いたタクシーの配車では迎車料金を加算されることが一般的であり、追加料金が必要になることが嫌忌されている。よって、従来の電話による配車依頼に対する需要は依然として高く、このような需要に、限られたリソースで効果的に対応することが可能となる。さらに従来の共同無線配車を行う場合、配車室の電話番号を統一することが一般的であったが、本実施形態に係るタクシー配車システムでは、各タクシー会社の既存の電話番号を継続して利用することができる。このため新たな配車電話番号を利用者へ周知する必要がなく、利用者は従来の電話番号で配車依頼を継続してかけることが可能となる。
さらに、利用者が電話したタクシー会社の電話番号をナンバーディスプレイ等によってタクシー配車システム側で検出し、この情報でもってタクシー会社を自動的に選択するように構成することで、オペレータの操作ミス等によるタクシー会社の取り違えや恣意的な操作を排除し、正確な配車依頼の割り当てを行うことが可能となる。
また、依頼者からの配車依頼の通話を、発信先の電話番号の情報に基づいて、いずれのタクシー会社宛の通話であるかをタクシー配車システム側で自動的に選別して、選別されたタクシー会社を選択タクシー会社として、この選択タクシー会社に所属するタクシー車のみを表示させるように、自動的に表示を切り替えるように構成することで、オペレータの操作も省力化される上、誤って別のタクシー会社を案内することを回避することができ、信頼性を一層高めることができる。