JP6544107B2 - 車載用電子制御ユニットの製造方法、および封止用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、車載用電子制御ユニットの製造方法、および封止用樹脂組成物に関する。
近年、車載用電子制御ユニットとして、電子部品等を搭載した基板を封止樹脂により封止したものが検討されている。このような技術としては、たとえば特許文献1および2に記載のものが挙げられる。
特許文献1は、スルーホールが設けられた配線基板と、配線基板に実装された電子部品と、配線基板が搭載された金属ベースと、金属ベースに取り付けられて配線基板と外部とを電気的に接続するコネクタとを備え、配線基板の前面と金属ベースの一部とが熱硬化性樹脂により一体的に封止成形された樹脂封止型電子制御装置に関する技術である。特許文献2は、相手方コネクタと接続される少なくとも1つのカードエッジ端子が少なくとも一面に形成されたカードエッジ部を有する基板と、基板が第1金型および第2金型内に配置され、第1金型および第2金型内に注入された合成樹脂材により一体にモールド成型され、カードエッジ部が少なくとも一方の端部から突出された樹脂成型部とを有するカード部材に関する技術である。
特開2009−147014号公報 特開2013−232312号公報
車載用電子制御ユニットについては、上述のように、電子部品等が搭載された基板を封止用樹脂組成物によって封止することにより製造することが検討されている。この場合、たとえば基板に設けられた外部と接続するための接続端子が露出するように、基板の封止が行われる。しかしながら、接続端子周辺において封止樹脂にバリが生じた場合には、外部との接続信頼性の低下を招くおそれがあった。一方で、基板を貫通するスルーホールが設けられている場合には、封止用樹脂組成物のスルーホールに対する充填性を向上させることも求められる。これまでは、封止用樹脂組成物を用いて基板を封止する車載用電子制御ユニットの製造方法において、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、について優れたバランスを実現することは困難であった。
本発明によれば、
第1金型と、前記第1金型とともにキャビティを構成し、かつ前記キャビティを構成する領域中に前記第1金型との当接部から離間して設けられた凹部を有する第2金型と、を準備する工程と、
一辺に接続端子が設けられた基板を、前記凹部内に前記接続端子を嵌め込むように前記キャビティ内へ配置する工程と、
前記キャビティ内へ封止用樹脂組成物を注入する工程と、
を備え、
ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件で前記封止用樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上1.2N・m以下であり、
厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で前記封止用樹脂組成物を成形した場合に、前記スリット内に充填される前記封止用樹脂組成物の長さが0.2mm以上1.3mm以下である車載用電子制御ユニットの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
上述の車載用電子制御ユニットの製造方法に用いられる封止用樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、
無機充填剤と、
を含み、
ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件で前記封止用樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上1.2N・m以下であり、
厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で前記封止用樹脂組成物を成形した場合に、前記スリット内に充填される前記封止用樹脂組成物の長さが0.2mm以上1.3mm以下である封止用樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、封止用樹脂組成物を用いて基板を封止する車載用電子制御ユニットの製造方法において、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスを向上させることができる。
本実施形態に係る車載用電子制御ユニットの一例を示す断面模式図である。 図1に示す車載用電子制御ユニットの製造方法の一例を示す断面模式図である。 スリットバリ測定用金型を示す断面模式図、および平面模式図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る車載用電子制御ユニット10の一例を示す断面模式図である。図2は、図1に示す車載用電子制御ユニット10の製造方法の一例を示す断面模式図である。なお、本実施形態に係る車載用電子制御ユニット10、およびその製造方法は、図1および2に例示されるものに限定されるものではない。
本実施形態に係る車載用電子制御ユニットの製造方法は、次のようにして行われる。まず、第1金型22と、第1金型22とともにキャビティ28を構成し、かつキャビティ28を構成する領域中に第1金型22との当接部から離間して設けられた凹部26を有する第2金型24と、を準備する。次いで、一辺に接続端子18が設けられた基板12を、凹部26内に接続端子18を嵌め込むようにキャビティ28内へ配置する。次いで、キャビティ28内へ封止用樹脂組成物を注入する。
封止用樹脂組成物は、ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件でトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上2.5N・m以下である。また、厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で封止用樹脂組成物を成形した場合に、スリット内に充填される封止用樹脂組成物の長さが2mm以下である。
車載用電子制御ユニットの製造方法においては、たとえば第1金型と第2金型により形成されるキャビティ内に電子部品等が搭載された配線基板を配置した後、キャビティ内に封止用樹脂組成物を注入することにより、配線基板の封止が行われる。このような工程においては、上述のように、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスを向上させることが求められていた。本発明者は、第2金型のうちのキャビティを構成する領域内であって、かつ第1金型との当接部から離間した位置に設けた凹部に、接続端子を嵌め込んだ状態において、封止用樹脂組成物による封止を行うことによって、接続端子周辺におけるバリの発生の抑制を図った。しかしながら、このような技術のみでは、接続端子周辺におけるバリの発生を十分に抑制することは困難であった。また、スルーホールへの充填性に関する課題についても依然として解決されない。
鋭意検討の結果、本発明者は、ラボプラストミルを用いて特定の条件下で測定した最低トルク値と、スリットバリの長さと、を同時に制御することによって、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスを向上させることが可能な封止用樹脂組成物が得られることを新たに見出した。本実施形態に係る車載用電子制御ユニットの製造方法は、このような知見に基づいて実現されたものである。したがって、本実施形態によれば、封止用樹脂組成物を用いて基板を封止する車載用電子制御ユニットの製造方法において、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスを向上させることが可能となる。
以下、本実施形態に係る車載用電子制御ユニット、封止用樹脂組成物、および車載用電子制御ユニットの製造方法について詳細に説明する。
まず、車載用電子制御ユニット10について説明する。
車載用電子制御ユニット10は、エンジンや各種車載機器等を制御するために用いられる。図1に示すように、車載用電子制御ユニット10は、たとえば基板12と、基板12上に搭載された電子部品16と、基板12および電子部品16を封止する封止樹脂14と、を備えている。基板12は、少なくとも一辺において、外部と接続するための接続端子18を有している。本実施形態の一例に係る車載用電子制御ユニット10は、接続端子18と相手方コネクタを嵌合することによって、接続端子18を介して上記相手方コネクタに電気的に接続されることとなる。
基板12は、たとえば一面および当該一面とは反対の他面のうちの一方または双方に回路配線が設けられた配線基板である。図1に示すように、基板12は、たとえば平板状の形状を有している。本実施形態においては、たとえばポリイミド等の有機材料により形成された有機基板を基板12として採用することができる。また、基板12の厚さは、とくに限定されないが、たとえば0.1mm以上5mm以下としてもよく、好ましくは0.5mm以上3mm以下としてもよい。
本実施形態においては、基板12に、たとえば基板12を貫通して、一面と他面を接続するスルーホール120が設けられていてもよい。この場合、基板12のうちの一面に設けられた配線と、他面に設けられた配線と、がスルーホール120内に設けられた導体パターンを介して電気的に接続される。導電パターンは、スルーホール120の壁面上に沿って形成される。すなわち、スルーホール120内における導電パターンは、筒形状に形成されている。封止工程後のスルーホール120内において、導電パターンの内壁面で構成された空隙孔には、本実施形態の封止用樹脂組成物の硬化物(封止樹脂14)が充填している。上記スルーホール120の孔径は、とくに限定されないが、たとえば0.1mm以上1mm以下としてもよく、好ましくは0.3mm以上0.8mm以下としてもよい。スルーホール120導電パターンの膜厚は、上記の空隙孔が残されていれば、特に限定されないが、例えば、1μm以上10μm以下としてもよい。
本実施形態において、基板12のスルーホール120の内部は、封止用樹脂組成物の硬化物(封止樹脂14)が充填することができるので、熱応力に対するスルーホール120の導電パターンの耐久性を高めることができる。これにより、信頼性に優れた車載用電子制御ユニットを得ることができる。また、スルーホール120は、基板12に複数形成されていてよい。これにより、放熱性に優れた構造とすることができる。スルーホール120の全てに導電パターンが形成されていなくてもよい。
本実施形態では、スルーホール120について説明したが、これに限定されず、接続端子18を複数に分断するスリット(切り込み)が基板12に形成されていてもよい。このスリットは、例えば、相手方との接続の際に位置決めなどに使用される部分となる。本実施形態では、スリットのスリット幅を、スルーホール120と同程度に幅狭とすることができる。基板12のスリットの付け根部分(先端部とは反対の基底部)の一部に、本実施形態の封止用樹脂組成物の硬化物(封止樹脂14)を充填することができるので、分断された接続端子18の機械強度を高めることができる。
基板12の一面および他面のうちの一方または双方には、たとえば電子部品16が搭載されている。電子部品16としては、車載用電子制御ユニットに搭載され得るものであればとくに限定されないが、たとえばマイクロコンピュータが挙げられる。
封止樹脂14は、基板12および電子部品16を封止するよう封止用樹脂組成物を成形することにより形成される。封止樹脂14は、基板12の一面および他面の一方または双方を封止するように設けられている。図1においては、基板12の一面および他面、ならびに基板12に搭載された電子部品16を封止するように封止樹脂14が設けられている場合が例示されている。また、封止樹脂14は、基板12の一部のみを封止していてもよく、基板12の全体を封止していてもよい。図1においては、接続端子18が露出するように、基板12のうちの接続端子18を封止せずに他の部分全体を封止するように封止樹脂14が設けられる場合が例示されている。
本実施形態に係る車載用電子制御ユニット10において、基板12は、たとえば金属ベース上に搭載されていてもよい。金属ベースは、たとえば電子部品16から発生する熱を放熱するためのヒートシンクとして機能することができる。本実施形態においては、たとえば金属ベースと、金属ベース上に搭載された基板12と、を封止用樹脂組成物により一体的に封止成形することにより車載用電子制御ユニット10を形成することができる。金属ベースを構成する金属材料としては、とくに限定されないが、たとえば鉄、銅、およびアルミ、ならびにこれらの一種または二種以上を含む合金等を含むことができる。なお、車載用電子制御ユニット10は、金属ベースを有していなくともよい。
次に、本実施形態に係る封止用樹脂組成物について説明する。
封止用樹脂組成物は、ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件でトルク値を経時的に測定した際の最低トルク値が0.5N・m以上2.5N・m以下である。これにより、上述したように、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスを向上させることが可能となる。本実施形態においては、たとえばラボプラストミル試験機(4C150、(株)東洋精機製作所製)を用いて、回転数30rpm、測定温度175℃の条件で封止用樹脂組成物の溶融トルクを経時的に測定することにより最低トルク値を得ることができる。
封止用樹脂組成物の上記最低トルク値は、たとえば2.0N・m以下であることがより好ましく、1.5N・m以下であることがとくに好ましい。これにより、基板を貫通するスルーホールの充填性をより効果的に向上させることができる。また、複数の電子部品16間等に形成される狭い隙間への充填性の向上にも寄与することができる。一方で、封止用樹脂組成物の上記最低トルク値は、たとえば0.6以上であることがより好ましい。これにより、より効果的にバリの発生を抑制することが可能となる。
封止用樹脂組成物は、厚さ20μm、幅10mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で成形した場合に、スリット内に充填される封止用樹脂組成物の長さ(以下、スリットバリ長さとも呼ぶ)が2mm以下である。これにより、上述したように、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスを向上させることが可能となる。
図3は、スリットバリ測定用金型30を示す模式図である。図3(a)がスリットバリ測定用金型30の断面模式図を示し、図3(b)がスリットバリ測定用金型30のうちの下型34の平面模式図を示している。なお、図3(a)に示す断面模式図は、図3(b)におけるA−A'断面に対応している。
図3に示すように、スリットバリ測定用金型30は、キャビティ38と、キャビティ38に接続されたスリット36と、を有する下型34と、キャビティ38へ樹脂を注入するための樹脂注入口40を有する上型32を備えている。また、スリット36は、厚さTが20μmであり、幅Wが5mmである。本実施形態においては、たとえば樹脂注入口40からキャビティ38へ封止用樹脂組成物を注入し、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で成型した際に、キャビティ38を介してスリット36に充填される封止用樹脂組成物(スリットバリ)の長さを計測し、これをスリットバリ長さとすることができる。
封止用樹脂組成物のスリットバリ長さは、たとえば1.7mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがとくに好ましい。これにより、バリの発生をより効果的に抑制することができる。一方で、スリットバリ長さの下限値は、とくに限定されるものではないが、たとえば0.1mmとすることができ、狭い隙間への充填性を向上させる観点からは0.2mmであることがより好ましい。
本実施形態においては、たとえば封止用樹脂組成物の調製方法を制御すること、および封止用樹脂組成物を構成する成分の種類や配合割合をそれぞれ適切に選択すること等により、封止用樹脂組成物の上記最低トルク値および上記スリットバリ長さをともに所望の範囲内とすることができる。封止用樹脂組成物の調製方法としては、たとえば各成分を混合した後、得られた混合物を回転ボールミルによって一定の条件下により微粉砕することが重要であると、本発明者により推定されている。たとえば装置容積に対するボールの体積充填率、および材料供給量(kg/hr)等の条件を調整して、回転ボールミルによる微粉砕を行うことが、封止用樹脂組成物の上記最低トルク値および上記スリットバリ長さに影響を与えるものと考えられている。また、回転ボールミルによる微粉砕の後における溶融混練工程の条件を制御することや、各成分の混合から溶融混練までのプロセスを連続的に行うこと等も封止用樹脂組成物の特性に影響を与え得るものと考えられる。なお、封止用樹脂組成物の調製方法は、上記のものに限定されるものではない。
本実施形態においては、たとえば封止用樹脂組成物のゲルタイムを20秒以上45秒以下とすることができる。これにより、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスをさらに向上させることが可能となる。封止用樹脂組成物のゲルタイムは、23秒以上40秒以下であることがより好ましく、24秒以上35秒以下であることがとくに好ましい。
また、本実施形態においては、たとえばキュラストメーターを用いて金型温度175℃にて封止用樹脂組成物の硬化トルクを経時的に測定した際の、測定開始から0.1N・mとなるまでの時間(以下、立ち上がり時間とも呼ぶ)を、20秒以上40秒以下とすることができる。これにより、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスをさらに向上させることが可能となる。
また、本実施形態においては、たとえばスパイラルフローにより測定される封止用樹脂組成物の流動長が、40cm以上150cm以下とすることができる。これにより、接続端子周辺におけるバリの抑制と、基板を貫通するスルーホールの充填性と、のバランスをさらに向上させることが可能となる。封止用樹脂組成物のスパイラルフロー流動長は、45cm以上125cm以下であることがより好ましい。なお、スパイラルフロー測定は、たとえば低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を注入し、流動長を測定することにより行うことができる。
封止用樹脂組成物の上記ゲルタイム、上記立ち上がり時間、および上記スパイラルフロー流動長は、たとえば封止用樹脂組成物の調製方法を制御すること、および封止用樹脂組成物を構成する成分の種類や配合割合をそれぞれ適切に選択すること等により、それぞれ所望の範囲内とすることが可能である。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、たとえば熱硬化性樹脂と、無機充填剤と、を含むことができる。これにより、耐熱性、耐湿信頼性、および機械強度等を向上させつつ、熱膨張率を低下させること等によって、車載用電子制御ユニット10の信頼性向上に寄与することが可能となる。
以下、封止用樹脂組成物を構成する各成分について詳述する。
((A)熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂(A)は、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、およびマレイミド樹脂からなる群から選択される一種類または二種類以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性、保存性、耐熱性、耐湿性、および耐薬品性を向上させる観点から、エポキシ樹脂を含むことができる。
熱硬化性樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態において、エポキシ樹脂は、たとえばビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等に例示されるトリスフェノール型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。これらのうち、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を含むことが、バリの抑制や、充填性、耐熱性、耐湿性等の諸特性のバランスを向上させる観点からより好ましい。
封止用樹脂組成物中における熱硬化性樹脂(A)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがとくに好ましい。熱硬化性樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形時における流動性を向上させることができる。このため、充填性や成形安定性の向上を図ることができる。一方で、封止用樹脂組成物中における熱硬化性樹脂(A)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがとくに好ましい。熱硬化性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、車載用電子制御ユニット10について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
((B)硬化剤)
封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を含むことができる。封止用樹脂組成物に含まれる硬化剤(B)としては、たとえば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプに大別することができる。
硬化剤(B)として用いられる重付加型の硬化剤は、たとえばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノール、アラルキル型フェノール樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。
硬化剤(B)として用いられる触媒型の硬化剤は、たとえばベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;BF3錯体などのルイス酸からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。
硬化剤(B)として用いられる縮合型の硬化剤は、たとえばレゾール型フェノール樹脂;メチロール基含有尿素樹脂などの尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂などのメラミン樹脂からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。
これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、および保存安定性等についてのバランスを向上させる観点から、フェノール樹脂系硬化剤を含むことがより好ましい。フェノール樹脂系硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は特に限定されない。硬化剤(B)として用いられるフェノール樹脂系硬化剤は、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物からなる群から選択される一種類または二種類以上を含む。これらの中でも、封止用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点からは、ノボラック型フェノール樹脂、およびフェノールアラルキル型フェノール樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
封止用樹脂組成物中における硬化剤(B)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがとくに好ましい。硬化剤(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形時において、優れた流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図ることができる。一方で、封止用樹脂組成物中における硬化剤(B)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して40質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがとくに好ましい。硬化剤(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、車載用電子制御ユニット10の耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
((C)硬化触媒)
封止用樹脂組成物は、たとえば硬化触媒(C)をさらに含むことができる。硬化触媒(C)は、熱硬化性樹脂(A)(たとえば、エポキシ樹脂のエポキシ基)と、硬化剤(B)(たとえば、フェノール樹脂系硬化剤のフェノール性水酸基)と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般の封止用樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
本実施形態において、硬化触媒(C)は、たとえば有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン等のアミン系硬化促進剤から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、バリの抑制や充填性、硬化性のバランスを向上させる観点からは、リン原子含有化合物およびイミダゾール化合物から選択される一種または二種以上を含むことがより好ましい。また、硬化性を向上させる観点からはリン原子含有化合物を含むことがより好ましい。
封止用樹脂組成物で用いることができる有機ホスフィンとしては、例えばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
封止用樹脂組成物で用いることができるテトラ置換ホスホニウム化合物としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006544107
(上記一般式(4)において、Pはリン原子を表す。R、R、RおよびRは芳香族基またはアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3の数、zは0〜3の数であり、かつx=yである。)
一般式(4)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られるがこれに限定されるものではない。まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで水を加えると、一般式(4)で表される化合物を沈殿させることができる。一般式(4)で表される化合物において、リン原子に結合するR、R、RおよびRがフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどの単環式フェノール類、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アントラキノールなどの縮合多環式フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、フェニルフェノール、ビフェノールなどの多環式フェノール類などが例示される。
封止用樹脂組成物で用いることができるホスホベタイン化合物としては、例えば、下記一般式(5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006544107
(上記一般式(5)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rはヒドロキシル基を表す。fは0〜5の数であり、gは0〜3の数である。)
一般式(5)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。
封止用樹脂組成物で用いることができるホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006544107
(上記一般式(6)において、Pはリン原子を表す。R10、R11およびR12は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13、R14およびR15は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R14とR15が結合して環状構造となっていてもよい。)
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換またはアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基等の置換基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
一般式(6)で表される化合物において、リン原子に結合するR10、R11およびR12がフェニル基であり、かつR13、R14およびR15が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が封止用樹脂組成物の硬化物の熱時弾性率を低下させる点で好ましい。
封止用樹脂組成物で用いることができるホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、例えば下記一般式(7)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006544107
(上記一般式(7)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R16、R17、R18およびR19は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中R20は、基YおよびYと結合する有機基である。式中R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYは、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。R20、およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y、Y、YおよびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。Zは芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基である。)
一般式(7)において、R16、R17、R18およびR19としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等のアルキル基、アルコキシ基、水酸基などの置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
また、一般式(7)において、R20は、YおよびYと結合する有機基である。同様に、R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。同様にYおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。基R20およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、基Y、Y、Y、およびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。このような一般式(7)中の−Y−R20−Y−、および−Y−R21−Y−で表される基は、プロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、プロトン供与体としては、分子内にカルボキシル基、または水酸基を少なくとも2個有する有機酸が好ましく、さらには芳香環を構成する隣接する炭素にカルボキシル基または水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物が好ましく、芳香環を構成する隣接する炭素に水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物がより好ましく、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、1,1'−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオールおよびグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
また、一般式(7)中のZは、芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基およびオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびビフェニル基等の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基等のグリシジルオキシ基、メルカプト基、アミノ基を有するアルキル基およびビニル基等の反応性置換基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基が熱安定性の面から、より好ましい。
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。しかし、これに限定されるものではない。
硬化触媒(C)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.15質量%以上であることがとくに好ましい。硬化触媒(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止成形時における硬化性を効果的に向上させることができる。一方で、硬化触媒(C)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがとくに好ましい。硬化触媒(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止成形時における流動性を向上させ、充填性の向上に寄与することができる。
((D)無機充填剤)
無機充填剤(D)は、たとえば溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、および窒化アルミからなる群から選択される一種類または二種類以上を含むことができる。これらの中でも、汎用性に優れている観点から、シリカを含むことがより好ましく、溶融シリカを含むことがとくに好ましい。また、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止樹脂の難燃性を向上させる観点からは、水酸化アルミニウムを含むことがより好ましい。本実施形態においては、シリカと水酸化アルミニウムをともに含む場合を、好ましい態様の一例として挙げることができる。
無機充填剤(D)は、たとえば破砕シリカを含むことができる。これにより、車載用電子制御ユニット10の製造コストを低減しつつ、バリをより効果的に抑制することが可能となる。無機充填剤(D)が破砕シリカを含む場合、破砕シリカの含有量は、たとえば無機充填剤(D)全体に対して10重量%以上100重量%以下とすることができ、15重量%以上95重量%以下とすることがより好ましい。また、無機充填剤(D)は、封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、成形安定性や充填性の向上に寄与する観点から、球状シリカを含むことができる。無機充填剤(D)が球状シリカを含む場合、球状シリカの含有量は、たとえば無機充填剤(D)全体に対して10重量%以上100重量%以下とすることができ、15重量%以上95重量%以下とすることがより好ましい。本実施形態においては、無機充填剤(D)として球状シリカと破砕シリカをともに含む場合を、好ましい態様の一例として挙げることができる。
無機充填剤(D)がシリカを含む場合、無機充填剤(D)は、たとえば平均粒径D50が3μm以上50μm以下であるシリカを含むことが好ましく、平均粒径D50が10μm以上30μm以下であるシリカを含むことがより好ましい。これにより、充填性や、バリの抑制、耐湿性、耐熱性等のバランスをより効果的に向上させることができる。なお、シリカの平均粒径D50は、たとえば市販のレーザー式粒度分布計(たとえば、(株)島津製作所製、SALD−7000等)を用いて測定することができる。
封止用樹脂組成物中における無機充填剤(D)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。無機充填剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、低吸湿性および低熱膨張性を向上させ、車載用電子制御ユニット10の耐湿信頼性や耐リフロー性をより効果的に向上させることができる。一方で、封止用樹脂組成物中における無機充填剤(D)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。無機充填剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させることが可能となる。
((E)その他の成分)
封止用樹脂組成物には、必要に応じて、たとえばカップリング剤、離型性付与剤、着色剤、イオン捕捉剤、オイル、低応力剤、難燃剤および酸化防止剤等の各種添加剤のうち1種以上を適宜配合することができる。カップリング剤は、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を含むことができる。これらの中でも、エポキシシラン、アミノシランを含むことがより好ましく、アミノシランである2級アミノシランを含むことが本願の効果をより発現し得るものであることからとくに好ましい。離型性付与剤は、たとえばカルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックスや酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類、ならびにパラフィンから選択される一種類または二種類以上を含むことができる。着色剤は、たとえばカーボンブラックおよび黒色酸化チタンのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。イオン捕捉剤は、たとえばハイドロタルサイトを含むことができる。オイルは、たとえばシリコーンオイルを含むことができる。低応力剤は、たとえばシリコーンゴムを含むことができる。難燃剤は、たとえば水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、およびホスファゼンから選択される一種類または二種類以上を含むことができる。酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤から選択される一種類または二種類以上を含むことができる。
次に、車載用電子制御ユニット10の製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、第1金型22と第2金型24を備える車載用電子制御ユニット10の製造装置を準備する。第2金型24は、第1金型22とともにキャビティ28を構成し、かつキャビティ28を構成する領域中に第1金型22との当接部から離間して設けられた凹部26を有している。凹部26には、後述するように、基板12の接続端子18が嵌め込まれることとなる。また、本実施形態においては、第1金型22および第2金型24のそれぞれに凹部26が設けられていてもよく、第2金型24に二つ以上の凹部26が設けられていてもよい。これにより、基板12に二つ以上の接続端子18が互いに離間して設けられている場合であっても、各接続端子18が封止されないように封止用樹脂組成物の成形を行うことが可能となる。なお、凹部26の幅や深さは、車載用電子制御ユニット10の接続端子18の形状に応じて、適宜変更することが可能である。
図2に示す例においては、第1金型22のうちの一面に、キャビティ28を構成するための凹部220が形成されている。また、第2金型24のうちの一面に、キャビティ28を構成するための凹部240が形成されている。第1金型22と第2金型24を型締めすることにより、凹部220および凹部240によってキャビティ28が構成されることとなる。また、第2金型24のうちのキャビティ28を構成するための凹部240内に、凹部26が形成されている。図2においては、第2金型24のうちの第1金型22と当接する当接面と直交する方向に窪むように、凹部26が形成されている。この場合、凹部26に接続端子18が嵌め込まれた基板12は、たとえば上記当接面と直交する方向にその平面方向を有する。なお、凹部26が形成される位置は、図2に示すものに限定されない。
次に、図2(b)に示すように、一辺に接続端子18が設けられた基板12を、凹部26内に接続端子18を嵌め込むようにキャビティ28内へ配置する。本実施形態においては、たとえば接続端子18を凹部26に嵌め込んだ後、第1金型22と第2金型24を型締めすることにより、基板12をキャビティ28内へ配置することができる。一方で、基板12を第1金型22に固定した後、接続端子18が凹部26に嵌め込まれるように第1金型22と第2金型24を型締めしてもよい。なお、第1金型22および第2金型24は、いずれが下型であってもよいが、第2金型24を下型とすることが基板12を安定的に固定する観点からより好ましい。
また、本実施形態においては、接続端子18の一部または全体を覆うキャップが接続端子18に装着されていてもよい。この場合、キャップが装着された接続端子18を、凹部26へ嵌め込むことができる。これにより、凹部26と接続端子18との間に隙間が発生することを抑制して、接続端子18周辺におけるバリの発生をより確実に抑制できる。上記キャップを構成する材料は、とくに限定されないが、たとえばシリコーンゴムが挙げられる。
次に、図2(c)に示すように、キャビティ28内へ封止用樹脂組成物を注入する。本実施形態においては、加熱した金型内に注入された封止用樹脂組成物が成形され、基板12および電子部品16を封止する封止樹脂14が形成されることとなる。このとき、凹部26に嵌め込まれた接続端子18は、封止樹脂14によって封止されない。このようにして、基板12が封止樹脂14により封止された車載用電子制御ユニット10が得られる。封止用樹脂組成物の成形は、とくに限定されないが、たとえばトランスファー成形法により行うことができる。
次いで、第1金型22および第2金型24を冷却した後、第1金型22および第2金型24から車載用電子制御ユニット10を取り出す。本実施形態に係る車載用電子制御ユニット10の製造方法は、たとえばこのようにして行うことができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1金型と、前記第1金型とともにキャビティを構成し、かつ前記キャビティを構成する領域中に前記第1金型との当接部から離間して設けられた凹部を有する第2金型と、を準備する工程と、
一辺に接続端子が設けられた基板を、前記凹部内に前記接続端子を嵌め込むように前記キャビティ内へ配置する工程と、
前記キャビティ内へ封止用樹脂組成物を注入する工程と、
を備え、
ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件で前記封止用樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上2.5N・m以下であり、
厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で前記封止用樹脂組成物を成形した場合に、前記スリット内に充填される前記封止用樹脂組成物の長さが2mm以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
2. 1.に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記封止用樹脂組成物は、ゲルタイムが20秒以上45秒以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
3. 1.または2.に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記封止用樹脂組成物は、キュラストメーターを用いて金型温度175℃にて硬化トルクを経時的に測定した際の、測定開始から0.1N・mとなるまでの時間が20秒以上40秒以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
4. 1.〜3いずれか一つに記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記封止用樹脂組成物は、無機充填剤を含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
5. 4.に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記無機充填剤の含有量は、前記封止用樹脂組成物全体に対して60重量%以上90重量%以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
6. 4.または5.に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記無機充填剤は、破砕シリカを含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
7. 1.〜6いずれか一つに記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
8. 7.に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
前記エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
9. 1.〜8いずれか一つに記載の車載用電子制御ユニットの製造方法に用いられる封止用樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、
無機充填剤と、
を含み、
ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件で前記封止用樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上2.5N・m以下であり、
厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で前記封止用樹脂組成物を成形した場合に、前記スリット内に充填される前記封止用樹脂組成物の長さが2mm以下である封止用樹脂組成物。
次に、本発明の実施例について説明する。
(封止用樹脂組成物)
各実施例および各比較例について、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。まず、表1に示す配合に従って、各成分を、室温状態に設定したヘンシェルミキサー(容量200リットル、回転数900rpm)で20分間予備混合した。次いで、得られた混合物を、連続式回転ボールミル(日本コークス工業(株)製ダイナミックミルMYD25、スクリュー回転数500rpm、アルミナ製ボール径10mm、装置容積に対するボールの体積充填率50%)を用いて、材料供給量200kg/hrで材料温度を30℃以下に保ちながら微粉砕した。次いで、微粉砕された混合物を、単軸押出混練機(スクリュー径D=46mm、押出機長さ=500mm、溶融混練部長さ=7D、スクリュー回転数200rpm、吐出量30kg/hr)を用いて溶融混練した。次いで、混練後の混合物を冷却し、粉砕して封止用樹脂組成物を得た。なお、ヘンシェルミキサーによる予備混合から、封止用樹脂組成物を得るまでの各工程は、連続的に行った。
表1には、封止用樹脂組成物全体に対する各成分の配合割合(重量%)が示されている。なお、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
((A)熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N−660、DIC(株)製)
熱硬化性樹脂2:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N−670−EXP−S、DIC(株)製)
熱硬化性樹脂3:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬(株)製)
熱硬化性樹脂4:ビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000H、三菱化学(株)製)
((B)硬化剤)
硬化剤1:ノボラック型フェノール樹脂(PR−HF−3、住友ベークライト(株)製)
硬化剤2:ノボラック型フェノール樹脂(PR−51470、住友ベークライト(株)製)
硬化剤3:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(MEH−7851SS、明和化成(株)製)
硬化剤4:フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(XL−225−3L、三井化学(株)製)
((C)硬化触媒)
硬化触媒1:トリフェニルホスフィン(PP−360、ケイ・アイ化成(株)製)
硬化触媒2:トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物(TPP−BQ)
硬化触媒3:2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(2MZ−A、四国化成工業(株)製)
((D)無機充填剤)
無機充填剤1:溶融球状シリカ(FB−950、電気化学工業(株)製、平均粒径D50=24μm)
無機充填剤2:溶融破砕シリカ(RD−8、(株)龍森製、平均粒径D50=15μm)
無機充填剤3:水酸化アルミニウム
((E)その他の成分)
シランカップリング剤:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業(株)製)
オイル:シリコーンオイル(FZ−3730、東レ・ダウコーニング(株)製)
低応力剤:シリコーンゴム(CF2152、東レ・ダウコーニング(株)製)
離型性付与剤:モンタン酸エステルワックス(リコルブWE−4、クラリアントジャパン(株)製)
着色剤:カーボンブラック(#5、三菱化学(株)製)
(溶融トルク測定)
各実施例および各比較例について、得られた封止用樹脂組成物について溶融トルクの測定を行った。測定は、ラボプラストミル試験機((株)東洋精機製作所製、4C150)を用いて、回転数30rpm、測定温度175℃の条件で封止用樹脂組成物の溶融トルクを経時的に測定することにより行った。そして、測定結果から、最低トルク値を算出した。結果を表1に示す。表1における単位はN・mである。
(スリットバリ測定)
各実施例および各比較例について、得られた封止用樹脂組成物についてスリットバリ測定を次のようにして行った。まず、図3に示すスリットバリ測定用金型30を準備した。スリットバリ測定用金型30は、キャビティ38と、キャビティ38に接続されたスリット36と、を有する下型34と、キャビティ38へ樹脂を注入するための樹脂注入口40を有する上型32を備えている。また、スリット36は、厚さTが20μmであり、幅Wが5mmである。次いで、スリットバリ測定用金型30を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、注入時間15秒、硬化時間120秒で封止用樹脂組成物を成形した。次いで、キャビティ38を介してスリット36内に充填される封止用樹脂組成物(スリットバリ)の長さを計測した。スリットに流れ出た樹脂の長さをノギスで測定した。結果を表1に示す。表1における単位はmmである。
(スパイラルフロー測定)
各実施例および各比較例について、得られた封止用樹脂組成物に対しスパイラルフロー測定を行った。スパイラルフロー測定は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を注入し、流動長を測定することにより行った。結果を表1に示す。表1における単位はcmである。
(ゲルタイム測定)
各実施例および各比較例について、得られた封止用樹脂組成物のゲルタイムを測定した。ゲルタイムの測定は、175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、へらで練りながら硬化するまでの時間(ゲルタイム)を測定することにより行った。結果を表1に示す。表1における単位は秒である。
(車載用電子制御ユニットの製造)
各実施例および各比較例について、上記で得られた封止用樹脂組成物を用いて、車載用電子制御ユニットを次のように製造した。まず、第1金型と、第1金型とともにキャビティを構成し、かつキャビティを構成する領域中に第1金型との当接部から離間して設けられた凹部を有する第2金型と、を準備した。次いで、一辺に接続端子が設けられた配線基板(縦30mm×横50mm×幅1mmt)を、第2金型の凹部内に接続端子を嵌め込んだ。なお、配線基板は、上面と下面を貫通するスルーホール(孔径0.4mm)を有していた。次いで、第1金型と第2金型を型締めして、内部に配線基板が配置されたキャビティを形成した。次いで、キャビティ内に封止用樹脂組成物を注入し、成型して、配線基板のうちの接続端子を除く部分を覆う封止樹脂を形成した。封止用樹脂組成物の成型は、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、注入時間15秒、硬化時間120秒の条件により行った。このようにして、車載用電子制御ユニットを製造した。
(接続端子周辺におけるバリ抑制評価)
各実施例および各比較例について、上記で得られた車載用電子制御ユニットの接続端子周辺において、封止樹脂にバリが生じているか否かを観察した。ここでは、バリの長さが1mm未満、もしくはバリが生じなかったものを○とし、1mm以上のバリが発生していたものを×として、バリ抑制の評価を行った。結果を表1に示す。
(スルーホールへの充填性評価)
各実施例および各比較例について、上記で得られた車載用電子制御ユニットの接続端子部において、配線基板のスルーホール内に封止樹脂が充填されているか否かを観察した。ここでは、製品上問題となり得るボイドが生じなかったものを○とし、製品上問題となり得るボイドが生じたものを×として、充填性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006544107
10 車載用電子制御ユニット
12 基板
14 封止樹脂
16 電子部品
18 接続端子
22 第1金型
24 第2金型
26、220、240 凹部
28、38 キャビティ
30 スリットバリ測定用金型
32 上型
34 下型
36 スリット
40 樹脂注入口
120 スルーホール

Claims (9)

  1. 第1金型と、前記第1金型とともにキャビティを構成し、かつ前記キャビティを構成する領域中に前記第1金型との当接部から離間して設けられた凹部を有する第2金型と、を準備する工程と、
    一辺に接続端子が設けられた基板を、前記凹部内に前記接続端子を嵌め込むように前記キャビティ内へ配置する工程と、
    前記キャビティ内へ封止用樹脂組成物を注入する工程と、
    を備え、
    ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件で前記封止用樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上1.2N・m以下であり、
    厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で前記封止用樹脂組成物を成形した場合に、前記スリット内に充填される前記封止用樹脂組成物の長さが0.2mm以上1.3mm以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
  2. 請求項1に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記封止用樹脂組成物は、ゲルタイムが20秒以上45秒以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記封止用樹脂組成物は、キュラストメーターを用いて金型温度175℃にて硬化トルクを経時的に測定した際の、測定開始から0.1N・mとなるまでの時間が20秒以上40秒以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記封止用樹脂組成物は、無機充填剤を含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
  5. 請求項4に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記無機充填剤の含有量は、前記封止用樹脂組成物全体に対して60重量%以上90重量%以下である車載用電子制御ユニットの製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記無機充填剤は、破砕シリカを含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
  7. 請求項1〜6いずれか一項に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
  8. 請求項7に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法において、
    前記エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を含む車載用電子制御ユニットの製造方法。
  9. 請求項1〜8いずれか一項に記載の車載用電子制御ユニットの製造方法に用いられる封止用樹脂組成物であって、
    エポキシ樹脂と、
    無機充填剤と、
    を含み、
    ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度175℃の条件で前記封止用樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値が0.5N・m以上1.2N・m以下であり、
    厚さ20μm、幅5mmのスリットを有するスリットバリ測定用金型を用いて金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で前記封止用樹脂組成物を成形した場合に、前記スリット内に充填される前記封止用樹脂組成物の長さが0.2mm以上1.3mm以下である封止用樹脂組成物。
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