JP6543531B2 - 窒素含有炭素材料及びその製造方法、含窒素炭素材料用前駆体組成物、並びに燃料電池用電極 - Google Patents
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Description
〔1〕
ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を混合して含窒素炭素材料用前駆体組成物を得る第1の工程と、
得られた前記含窒素炭素材料用前駆体組成物を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の工程において、前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
窒素含有炭素材料の製造方法。
〔2〕
ジアミノマレオニトリルと、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上と、を反応させて化合物を得る工程と、得られた前記化合物と、遷移金属塩と、を混合して含窒素炭素材料用前駆体組成物を得る第1の工程と、
得られた前記含窒素炭素材料用前駆体組成物を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の工程において、前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
窒素含有炭素材料の製造方法。
〔3〕
ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を含む含窒素炭素材料用前駆体組成物を炭化してなり、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、窒素含有炭素材料。
〔4〕
ジアミノマレオニトリルとキノン化合物を反応させて得られるジイミノスクシノニトリル、及び/又はジアミノマレオニトリルとジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物を反応させて得られるジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルと、遷移金属塩と、を含む含窒素炭素材料用前駆体組成物を炭化してなり、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、窒素含有炭素材料。
〔5〕
〔3〕又は〔4〕に記載の窒素含有炭素材料を含む、燃料電池用電極。
〔6〕
ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を含み、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
含窒素炭素材料用前駆体組成物。
〔7〕
ジアミノマレオニトリルとキノン化合物を反応させて得られるジイミノスクシノニトリル、及び/又はジアミノマレオニトリルとジケトン化合物を反応させて得られるジピラジノ[2,3−f:2',3'−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルと、
遷移金属塩と、を含み、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
含窒素炭素材料用前駆体組成物。
本実施形態における第1態様の窒素含有炭素材料の製造方法は、ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を混合して含窒素炭素材料用前駆体組成物を得る第1の工程と、得られた前記含窒素炭素材料用前駆体組成物を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る第2の工程と、を有する。
第1の工程は、第1態様においては、ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を混合して含窒素炭素材料用前駆体組成物(以下、単に「前駆体」ともいう)を得る工程であり、第2態様においては、ジアミノマレオニトリルと、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を反応させて得られる構造を有する化合物と、遷移金属塩と、を混合して前駆体を得る工程である。
第1態様の含窒素炭素材料用前駆体組成物には、ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、が含まれる。また、第2態様の含窒素炭素材料用前駆体組成物には、ジアミノマレオニトリルと、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物を反応させて得られる構造を有する化合物と、遷移金属塩と、が含まれる。このような含窒素炭素材料用前駆体組成物を熱処理することにより、高い酸素還元開始電位を示し、高い酸素還元活性を有する窒素含有炭素材料を得ることができる。なお、含窒素芳香環化合物と、遷移金属塩とは錯体を形成していてもよい。以下、含窒素炭素材料用前駆体組成物に含まれる成分について説明する。
ジアミノマレオニトリルは、青酸の四量体であり、化学式でH2N−C(CN)=C(CN)−NH2と表される化合物である。
遷移金属塩としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属のシアノ錯体、ヒドロキシ錯体、クロロ錯体、アセチルアセトナ−ト錯体、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、亜硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は種々の有機金属化合物等が挙げられる。このなかでも、好ましくは、シアノ錯体、クロロ錯体、アセチルアセトナ−ト錯体、硝酸塩、塩化物、臭化物であり、より好ましくは、硝酸塩、塩化物、臭化物である。このなかでも、水や低級アルコール等の極性溶媒に溶解するものがさらに好ましい。
含窒素芳香環化合物としては、特に限定されないが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、1,2−ナフチリジン(シンノリン)、1,3−ナフチリジン(キナゾリン)、1,4−ナフチリジン(キノキサリン)、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、1,8−ナフチリジン、2,3−ナフチリジン(フタラジン)、2,6−ナフチリジン、2,7−ナフチリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール、2,2’−ビピリジン、2,2’−ビイミダゾール、2,2’:6’,2”−テルピリジン、4’−クロロ−2,2’:6’,2”−テルピリジン、4’−(4−クロロフェニル)−2,2’:6’,2”−テルピリジン、4’−(4−メチルフェニル)−2,2’:6’,2”−テルピリジン、4,4’,4”−トリ−tert−ブチル2,2’:6’,2”−テルピリジン、2,6−ビス(2−ベンゾイミダゾリル)ピリジン、2−(2−ピリジル)ベンゾイミダゾール、2−(2’−ピリジル)イミダゾール、2−(3−ピリジル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(クロロメチル)ベンゾイミダゾール、2−ブロモ−1H−ベンゾイミダゾール、2−クロロベンゾイミダゾール、2,3−ビス−(ブロモメチル)キノキサリン、1,10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5−アミン、4,7−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、3,4,7,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリン、5−クロロ−1,10−フェナントロリン、5−メチル−1,10−フェナントロリン、5−ニトロ−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメトキシ−1,10−フェナントロリンが挙げられる。中でも、得られる窒素含有炭素材料の酸素還元活性の観点で、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジン、が好ましい。含窒素芳香環化合物は、1種類の単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
キノン化合物としては、特に限定されないが、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラフルオロ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラブロモ−1,4−ベンゾキノン、テトラメチル−1,4−ベンゾキノン、テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、2−ブロモ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2−ブロモ−1,4−ベンゾキノン、2−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジクロロ−3,6−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、2−クロロ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジブロモ−3,6−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジブロモ−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−ベンゾキノン、メチルベンゾキノン、メトキシベンゾキノン、キンヒドロン、5−イソプロピル−2−メチル−1,4−ベンゾキノン、ベンゾキノン、などを例示することが出来る。中でも、得られる窒素含有炭素材料の酸素還元活性の観点で、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンが好ましい。キノン化合物は、1種類の単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジケトン化合物は、カルボニル基を2つ以上含む化合物である以外は特に限定されないが、例えば、ヘキサオキソシクロヘキサン8水和物、アセチルアセトン、ジアセチル、2,5−ヘキサンジオン、ジメドン、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン、5,6−ジクロロ−2,3−ピラジンジカルボニトリル、などを例示することが出来る。中でも、得られる窒素含有炭素材料の酸素還元活性の観点で、ヘキサオキソシクロヘキサン8水和物が好ましい。ジケトン化合物は、1種類の単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
含窒素芳香環化合物、もしくはキノン化合物、もしくはジケトン化合物は、それぞれ1種類の単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジアミノマレオニトリルを含む前駆体を得る第1の工程では、さらに易炭素化高分子材料を添加してもよい。易炭素化高分子材料を添加しておくことにより、より高い収率で窒素含有炭素材料を得る傾向にある。
ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、もしくはキノン化合物、もしくはジケトン化合物と、もしくはさらに易炭素化高分子材料と、を混合する方法としては、特に限定されないが、例えば、溶媒中、ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、もしくはキノン化合物、もしくはジケトン化合物と、もしくはさらに易炭素化高分子材料と、を溶解させ、溶媒を蒸発乾固する方法が好ましい。また、混合方法としては、特に限定されないが、例えば、一つの溶媒に全ての原料を溶解させても、それぞれ異なる溶媒に各原料を溶解させた後に各溶媒を混合してもよい。
第2の工程は、第1の工程で得られた前駆体を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る工程である。
本実施形態の窒素含有炭素材料は、ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を含む含窒素炭素材料用前駆体組成物を炭化(熱処理)してなるものであるか、ジアミノマレオニトリルと、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物を反応させて得られる構造を有する化合物と、遷移金属塩と、を含む含窒素炭素材料用前駆体組成物を炭化(熱処理)してなるものである。上記製造方法で製造される。本実施形態に係る窒素含有炭素材料は、燃料電池用電極等に好適に用いることができ、本実施形態に係る窒素含有炭素材料を含む燃料電池用電極は、高い酸素還元性を有する。酸素還元触媒から酸素還元電極、燃料電池等を得る方法は、特に限定されず、一般的な固体高分子形燃料電池の作製法を用いることができる。
本実施形態の燃料電池用電極は、上記窒素含有炭素材料を含む。より具体的には、燃料電池用電極は、少なくとも集電板と、上記窒素含有炭素材料を含む電極組成物と、からなる層を含み、必要に応じて、電解質膜、ガス拡散電極層、セパレータを積層してもよい。
まず、本実施例で行った測定方法について説明する。
電極作製法及び回転電極法によるリニアスイープボルタンメトリーの測定方法(日厚計測製の回転リングディスク電極装置「RRDE−1」を使用。)を以下に示す。まず、バイアル瓶に、窒素含有炭素材料5mgを秤取し、そこに、ガラスビーズを約50mg、5質量%ナフィオン(商品名)分散液(シグマアルドリッチジャパン製)を50μL、並びにイオン交換水及びエタノールをそれぞれ150μLずつ添加し、それらの混合物に20分間超音波を照射してスラリーを作製した。このスラリーを4μL秤取し、回転電極のガラス状炭素上(0.2828cm2)に塗布し、室温25℃で乾燥した。乾燥後の回転電極を作用極とし、可逆水素電極(RHE)を参照極として、炭素電極を対極とした。0.5M硫酸を電解液とし、その電解液に酸素を30分間バブリングした後、掃引速度5mV/s、回転速度1500rpmで1.1Vから0Vまで掃引して電気化学測定を行った。また、酸素還元開始電位E0は−10μA/cm2の電流を与える電位と定義した。E0が高い値を示すほど、酸素還元活性が高いことを意味する。
本実施形態に係る窒素含有炭素材料のN/Cは、以下の方法で炭素、水素、窒素のモル比率を測定して算出した。ジェイサイエンスラボ社製、MICRO CORDER JM10を用い、2500μgの試料を試料台に充填してCHN分析を行った。試料炉は950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)は850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーン、酸化銅のゾーンからなる)は550℃に設定した。酸素は15mL/min、Heは150mL/minに設定した。検出器は熱伝導度検出器(TCD)を用いた。アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行った。
<前駆体の調製>
0.5Lのナス型フラスコにジアミノマレオニトリル(東京化成社製)4.0g、1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ製)0.039g、及びメタノール200gを加え、室温で5時間撹拌した。さらに、塩化鉄(II)0.027g(和光純薬工業製)を加えて、12時間攪拌した。その後、50℃の水浴中にて、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥させて前駆体を得た。
調製した前駆体のうち2.0gを石英ボートに載置し、それを内径36mmの石英管状炉に収容し、炉内を大気圧、1NL/minの窒素流通下で60分間かけて室温から600℃まで昇温し、600℃のまま1時間保持した。室温まで冷却後、これを遊星ボールミル(フリッチュ製、商品名「Pulverisette−7」)にて粉砕及び分級することにより、平均粒子径を約2μmに調整した。更に、この粉砕処理後の焼成体を全量石英ボートに載置し、それを内径36mmの石英管状炉に収容し、炉内を大気圧、1NL/minの窒素流通下で20分間かけて室温から800℃まで昇温し、800℃のまま1時間保持した。更に、この焼成体を全量石英ボートに載置し、内径36mmの石英管状炉に収容し、炉内を大気圧、1NL/minのアンモニアガス流通下で20分間かけて室温から900℃まで昇温し、900℃のまま1時間保持した後、室温まで冷却した。最終的に窒素含有炭素材料を0.05g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.93V、電位が0.5Vのときの電流は−4.01mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−3.69mA/cm2であった。
<前駆体の調製>
1,10−フェナントロリン0.039gを2,2−ビピリジン(シグマ・アルドリッチ製)0.034gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.05g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.93V、電位が0.5Vのときの電流は−4.28mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−3.86mA/cm2であった。
<前駆体の調製>
1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ製)0.039gを、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(東京化成工業製)8.369gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.24g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.92V、電位が0.5Vのときの電流は−4.05mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−3.68mA/cm2であった。
<前駆体の調製>
1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ製)0.039gを、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(東京化成工業製)8.369gに変更し、さらにフェノール樹脂(群栄化学製、PSK−2320)8.0gを添加した以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.27g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.93V、電位が0.5Vのときの電流は−4.14mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−3.78mA/cm2であった。
<粗ジイミノスクシノニトリルの合成>
0.5Lのナス型フラスコにジアミノマレオニトリル6.5g、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン13.6g及びアセトニトリル150mlを加え、室温で30分撹拌した。反応により生成したヒドロキノン類が析出したことを確認し、ADVANTEC社製、型式:No.5C(保留粒子径1μm(カタログ記載値))の濾紙を用いて吸引濾過した。得られた濾液を0.5Lのナス型フラスコに入れて、50℃の水浴を用いて、エバポレーターでアセトニトリルを約75ml留去した。ここでさらに固形物が析出してきたので、再度ADVANTEC社製、型式:No.5Cの濾紙を用いて吸引濾過した。得られた濾液を再度0.5Lのナス型フラスコに入れて、50℃の水浴を用いて、エバポレーターでアセトニトリルを留去した。最終的に茶褐色の結晶、すなわち粗ジイミノスクシノニトリルを4.1g回収した。
ジアミノマレオニトリル(東京化成社製)4.0gを粗ジイミノスクシノニトリル4.0gに変更し、1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ製)0.039gを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.04g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.94V、電位が0.5Vのときの電流は−4.27mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−3.92mA/cm2であった。
<前駆体の調製>
1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ製)0.039gを、ヘキサオキソシクロヘキサン8水和物(東京化成工業製)3.846gに変更し、室温での攪拌時間を72時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.16g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.93V、電位が0.5Vのときの電流は−4.38mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−4.01mA/cm2であった。
<前駆体の調製>
ジアミノマレオニトリル(東京化成工業製)4.0gを、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(ハローケム製)4.0gに変更し、1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ製)0.039gを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。なお、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルは、ジアミノマレオニトリルと、ヘキサオキソシクロヘキサン8水和物とを、溶媒中で70−90℃にて2−3日還流、の条件下反応させて得られるものである。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.13g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.92V、電位が0.5Vのときの電流は−3.98mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−3.52mA/cm2であった。
<アズルミン酸の合成>
青酸80g、酢酸8.6g及び純水130gの混合溶液中に、25%アンモニア水12g(和光純薬工業製)を添加した。その後、徐々に加温し、最終的に80℃で7時間撹拌を行った。混合溶液中に生じた黒色の固形分をメンブレンフィルターで濾過し、真空乾燥を行い、アズルミン酸を40g得た。なお、詳細は特許文献3及び4に記載されている。
ジアミノマレオニトリル4.0gをアズルミン酸4.0gに変更し、1,10−フェナントロリン0.039gを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で前駆体を調製した。
調製した前駆体のうち2.0gを用いて、実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料の合成を実施した。最終的に窒素含有炭素材料を0.07g得た。
得られた窒素含有炭素材料について上記電気化学測定を行った。酸素還元開始電位E0は0.83V、電位が0.5Vのときの電流は−1.94mA/cm2、電位が0.6Vのときの電流は−1.04mA/cm2であった。
Claims (7)
- ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を混合して含窒素炭素材料用前駆体組成物を得る第1の工程と、
得られた前記含窒素炭素材料用前駆体組成物を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の工程において、前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
窒素含有炭素材料の製造方法。 - ジアミノマレオニトリルと、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上と、を反応させて化合物を得る工程と、得られた前記化合物と、遷移金属塩と、を混合して含窒素炭素材料用前駆体組成物を得る第1の工程と、
得られた前記含窒素炭素材料用前駆体組成物を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の工程において、前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
窒素含有炭素材料の製造方法。 - ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を含む含窒素炭素材料用前駆体組成物を炭化してなり、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、窒素含有炭素材料。 - ジアミノマレオニトリルとキノン化合物を反応させて得られるジイミノスクシノニトリル、及び/又はジアミノマレオニトリルとジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物を反応させて得られるジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルと、遷移金属塩と、を含む含窒素炭素材料用前駆体組成物を炭化してなり、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、窒素含有炭素材料。 - 請求項3又は4に記載の窒素含有炭素材料を含む、燃料電池用電極。
- ジアミノマレオニトリルと、遷移金属塩と、含窒素芳香環化合物、キノン化合物、及びジケトン化合物からなる群から選ばれる1つ以上の化合物と、を含み、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
含窒素炭素材料用前駆体組成物。 - ジアミノマレオニトリルとキノン化合物を反応させて得られるジイミノスクシノニトリル、及び/又はジアミノマレオニトリルとジケトン化合物を反応させて得られるジピラジノ[2,3−f:2',3'−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルと、
遷移金属塩と、を含み、
前記ジアミノマレオニトリルの質量に対する、前記遷移金属塩中の遷移金属元素の質量の比率が、0.0001〜0.5である、
含窒素炭素材料用前駆体組成物。
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