JP6540179B2 - 熱間加工チタン合金棒材およびその製造方法 - Google Patents

熱間加工チタン合金棒材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、疲労特性に優れた熱間加工チタン合金棒材およびの製造方法に関する。
チタンは、軽量で高比強度であり、優れた耐熱性を有している。このため、チタンまたはチタン合金は、航空機、自動車などの広範な分野で利用されている。
チタンまたはチタン合金としては、例えば、特許文献1〜特許文献5に記載の技術が提案されている。
特許文献1には、切削面に垂直な方向と結晶格子のc軸とのなす角度であるc軸の傾きが15°以下および75°以上を有し、かつ結晶粒径が100μm以上である結晶が10個/mm以下である結晶方位分布を有するα型チタン部材が記載されている。
また、特許文献2には、Ti−Al−V−Mo系合金をβ鍛造した後、β変態点より65℃低い温度以上の温度領域で鍛造するチタン合金の鍛造法が記載されている。
特許文献3には、優れた機械的性質を備え、超音波ノイズが低減されたα+β型チタン合金板の製造方法が記載され、加熱状態のα+β型チタン合金スラブをβ単相域より0.5℃/s以上の冷却速度で冷却した後、α+β温度域に加熱して高さ比10%以上の熱間鍛造を施し、それからα+β温度域での熱間圧延と、α+β温度域での熱処理を順次施すことが提案されている。
特許文献4には、ビレットの長手方向から強圧下方向に向かって±30°以内で、且つ、ビレットの長手方向から長手方向に垂直な方向に向かって±40°〜90°の範囲に、α相のc軸方向が集積しており、その集積度が3以上であるチタン合金ビレットが記載されている。
特許文献5には、粒状αチタンの平均粒径が6μm以上15μm以下、粒状αチタンの集合体であるコロニーの最大サイズが120μm以下、チタン合金ビレットの長手方向から±40°以下の範囲にαチタン相のc軸の集積が存在し、その集積度が長手方向に垂直な断面Dの中心部において1.5以上であるチタン合金ビレットが記載されている。
特開2013−1961号公報 特開昭59−104233号公報 特開平8−49053号公報 特開2012−224935号公報 特開2014−65967号公報
しかしながら、従来のチタンまたはチタン合金は、例えば、航空機エンジンのファンブレード、自動車のエンジンバルブなどに利用する場合には、疲労特性が不十分であり、疲労特性を向上させることが要求されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた疲労特性を有する熱間加工チタン合金棒材およびの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、α相とβ相とからなる金属組織を有する二相熱間加工チタン合金棒材の疲労試験を行い、破壊時のき裂の起点に着目して鋭意検討した。その結果、き裂の起点となりやすい特定の結晶方位を有する粗大な初析α粒を充分に少なくすることで、優れた疲労特性を有する熱間加工チタン合金棒材が得られることを見出し、本発明を想到した。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 熱間加工チタン合金棒材であって、
前記熱間加工チタン合金棒材の成分が、Al:5.50〜6.75質量%、V:3.50〜4.50質量%、Fe:0.05〜0.30質量%、O:0.05〜0.20質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であり、
かつ初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有し、
前記初析α粒の前記金属組織中の面積率が30%以上であり、
前記初析α粒のうち、稠密六方構造のc軸方向と前記熱間加工チタン合金棒材の長さ方向とのなす角度(c軸の傾き)が25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の前記金属組織中の面積率が2.0%以下であることを特徴とする熱間加工チタン合金棒材。
(2) 熱間加工チタン合金棒材であって、
前記熱間加工チタン合金棒材の成分が、Al:5.50〜6.50質量%、Sn:1.75〜2.25質量%、Zr:3.50〜4.50質量%、Mo:5.50〜6.50質量%、Fe:0.02〜0.15質量%、O:0.02〜0.15質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であり、
かつ初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有し、
前記初析α粒の前記金属組織中の面積率が30%以上であり、
前記初析α粒のうち、稠密六方構造のc軸方向と前記熱間加工チタン合金棒材の長さ方向とのなす角度(c軸の傾き)が25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の前記金属組織中の面積率が2.0%以下であることを特徴とする熱間加工チタン合金棒材。
) 鋳塊を熱間加工して製造されるα+β二相チタン合金からなる熱間加工チタン合金棒材の製造方法であり、
前記鋳塊をβ単相温度域で熱間加工するβ加工工程と、
α+β二相温度域で鍛錬比が1.7以上になるように熱間加工する第1α+β加工工程と、
β単相温度域まで加熱した後水冷するβ熱処理工程と、
α+β二相温度域で鍛錬比が3.0以上になるように熱間加工する第2α+β加工工程とをこの順に行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱間加工チタン合金棒材の製造方法。
本発明の熱間加工チタン合金棒材は、α相とβ相とからなる金属組織を有し、特定の結晶方位を有する粗大な初析α粒の金属組織中の面積率が2.0%以下であるので、優れた疲労特性が得られる。
本発明の熱間加工チタン合金棒材の製造方法によれば、α相とβ相とからなる金属組織を有し、特定の結晶方位を有する粗大な初析α粒の金属組織中の面積率が2.0%以下である疲労特性に優れた熱間加工チタン合金棒材が得られる。
き裂の起点となった初析α粒の大きさとc軸の傾きとの関係を示したグラフである。 稠密六方構造を有する初析α粒のc軸方向と、チタン合金棒材の長さ方向とのなす角度θ(c軸の傾き)を説明するための模式図である。 本発明のチタン合金棒材の一例の顕微鏡写真である。 No.1のチタン合金棒材の顕微鏡写真である。 No.5のチタン合金棒材の顕微鏡写真である。
以下、本発明の熱間加工チタン合金棒材およびその製造方法について詳細に説明する。
なお以下では、熱間加工チタン合金棒材を、単にチタン合金棒材と称することがある。
本発明者は、上記課題を解決するために、α相とβ相とからなる金属組織を有する二相チタン合金棒材に対して低サイクル疲労試験を行い、疲労寿命(破断するまでの繰り返し回数)を求めた。疲労試験の試験片は、鋳塊を熱間加工して製造したTi−6Al−4V(6質量%のAlと4質量%のVとを含むチタン合金)合金で形成された丸棒から採取した。そして、破断するまでの繰り返し回数が8万回以上であるものを良好と評価し、8万回未満であるものを不良と評価した。
また、疲労試験後の試験片破面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、き裂が発生する際の起点を特定した。その結果、き裂の起点は、いずれの試験片でも粗大な初析α粒であった。そこで、本発明者は、き裂の起点となった初析α粒について、大きさ(円相当直径(μm))と、結晶方位(c軸の傾きθ(°))とを、EBSD(電子線後方散乱回折;Electron Backscatter Diffraction)を用いて調査した。この結果を図1に示す。
図1は、き裂の起点となった初析α粒の大きさとc軸の傾きとの関係を示したグラフである。図1において符号○は疲労試験で破断するまでの繰り返し回数が8万回以上であった試験片の結果であり、符号×は8万回未満であった試験片の結果である。また、図1に示す初析α粒のc軸の傾きは、図2に示すように、稠密六方構造を有する初析α粒のc軸方向と、チタン合金棒材の長さ方向とのなす角度θを意味する。
図1に示すように、初析α粒が、結晶方位(c軸の傾き)が25°以上55°以下であって、かつ大きさ(円相当直径)が20μm以上である試験片では、疲労特性が不良であった。
以上の結果から、稠密六方構造のc軸の傾きが25°以上55°以下であり、かつ円相当直径が20μm以上の粗大な初析α粒が、低サイクル疲労特性を低下させる原因となることがわかった。
c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒が、低サイクル疲労特性を低下させる原因となるのは、以下に示す理由によるものと推定される。
稠密六方晶の底面すべりは、結晶方位(図2においては符号「θ」で示す。)が45°に近いほど生じやすく、結晶方位が25°以上55°以下であると活発になる。また、金属組織に含まれる等軸状の初析α粒の大きさが大きいほど、試験片に付与される応力が集中しやすく、円相当直径が20μm以上であると応力の集中が顕著となる。したがって、c軸の傾きが25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上の初析α粒は、稠密六方晶の底面すべりが生じやすく、しかも応力が集中しやすいため、疲労寿命が短くなったと考えられる。
次に、本発明者は、優れた疲労特性を有するチタン合金棒材を得るために、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒の少ないチタン合金棒材を製造する方法について、鋭意検討を行った。具体的には、熱間加工として自由鍛造方法を用いて、種々の条件でチタン合金棒材を試作した。
その結果、(1)鋳塊をβ単相温度域で熱間加工するβ加工工程と、(2)α+β二相温度域で鍛錬比が1.7以上になるように熱間加工する第1α+β加工工程と、(3)β単相温度域まで加熱した後水冷するβ熱処理工程と、(4)α+β二相温度域で鍛錬比が3.0以上になるように熱間加工する第2α+β加工工程とをこの順に行えばよいことを見出した。
すなわち、上記(1)〜(4)を行う熱間加工方法により、c軸の傾きが25°以上55°以下で円相当直径(粒径)が20μm以上である粗大な初析α粒を大幅に低減できることがわかった。
さらに、上記の熱間加工方法を用いて製造したチタン合金棒材より試験片を採取し、低サイクル疲労試験を行ったところ、優れた疲労寿命が得られた。具体的には、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒の金属組織中における面積率が2.0%以下に低減され、低サイクル疲労試験で破断するまでの繰り返し回数が8万回以上である疲労特性の良好なチタン合金棒材が得られた。
「チタン合金棒材」
次に、本実施形態のチタン合金棒材について詳細に説明する。
図3は、本発明の一例である本実施形態のチタン合金棒材の顕微鏡写真である。本実施形態のチタン合金棒材は、鋳塊を熱間加工して製造されたものであり、結晶構造が稠密六方(hcp)構造のα相と、体心立方(bcc)構造のβ相の二相からなる。
本実施形態のチタン合金棒材は、初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有している。図3に示すように、初析α粒は等軸状である。針状α粒は、熱間加工において、β単相温度域からα+β二相温度域に降温された際にβ相から生成したものである。図3に示すようにβ相を形成しているβ粒は針状である。本実施形態のチタン合金棒材の金属組織は、α+β二相温度域で十分に熱間加工したことにより、等軸状の初析α粒の間に、針状α粒とβ粒とが交互に層状にならぶ、いわゆるバイモーダル組織になっている。
本実施形態のチタン合金棒材では、金属組織中のα相の面積率(初析α粒と針状α粒の合計)は、80%以上とすることができ、90%以上であってもよい。
また、金属組織中の初析α粒の面積率は、30%以上である。金属組織中の初析α粒の面積率が30%以上であると、等軸状組織を含むことによる延性向上効果により、優れた疲労強度が得られる。
本実施形態のチタン合金棒材は、初析α粒のうち、稠密六方構造のc軸方向とチタン合金棒材の長さ方向とのなす角度(c軸の傾き)が25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の金属組織中の面積率が2.0%以下である。c軸の傾きが25°以上55°以下で円相当直径が20μm以上である初析α粒は、疲労特性を低下させる原因となるため、少ない程好ましく、金属組織中に含まれていないことが好ましい。しかし、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒が含まれていても、金属組織中の面積率が2.0%以下であれば、良好な疲労寿命が得られる。
このため、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒の金属組織中の面積率は、2.0%以下であり、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましく、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒が含まれていない(0.0%)ことが最も好ましい。
次に、本実施形態のチタン合金棒材を形成しているα+β二相チタン合金の成分について説明する。
α+β二相チタン合金の成分は、5.00〜7.00質量%のAlが含まれていることが好ましく、TiとAl以外に、V、Sn、Zr、Mo、Si、Fe、O等が含まれていてもよい。Al含有量が5.00質量%以上であると、鋼強度で優れた疲労特性を有するチタン合金棒材が得られる。また、Al含有量が7.00質量%以下であると、TiAl等の金属間化合物が生成することにより、チタン合金棒材が脆くなることを防止できる。
α+β二相チタン合金は、例えば、AMS4928で規定される成分で形成されていてもよい。つまり、Al:5.50〜6.75質量%、V:3.50〜4.50質量%、Fe:0.05〜0.30質量%、O:0.05〜0.20質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、N:0.08質量%以下、C:0.08質量%以下、H:0.015質量%以下を含有する。
また、α+β二相チタン合金は、例えば、AMS4981で規定される成分で形成されていても良い。つまり、Al:5.50〜6.50質量%、Sn:1.75〜2.25質量%、Zr:3.50〜4.50質量%、Mo:5.50〜6.50質量%、Fe:0.02〜0.15質量%、O:0.02〜0.15質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、N:0.08質量%以下、C:0.08質量%以下、H:0.015質量%以下を含有する。
本実施形態のチタン合金棒材の形状は、特に規定されるものではない。例えば、本実施形態のチタン合金棒材は、長手方向に直交する断面形状が円形である丸棒であってもよいし、四角形、八角形などの多角形である角棒であってもよい。チタン合金棒材が丸棒である場合、長手方向に直交する断面形状は、真円であってもよいが、真円である必要はなく、およそ円形状であればよい。
本実施形態のチタン合金棒材の大きさ(長さ方向に直交する断面の面積から求められる円相当直径)は、特に規定されるものではなく、チタン合金棒材の用途に応じて決定でき、溶解して得られる鋳塊の大きさと後述する製造工程における鍛錬比とを調整することにより所定の大きさとすることができる。
「チタン合金棒材の製造方法」
次に、本実施形態のチタン合金棒材の製造方法について説明する。
本実施形態のチタン合金棒材は、所定の成分を有する鋳塊(インゴット)を熱間加工して製造される。
鋳塊の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができる。鋳塊の大きさは特に限定されるものではなく、例えば、直径600mm〜750mmの円柱状とすることができる。
熱間加工の方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、鍛造、圧延、押出し等が挙げられる。
本実施形態のチタン合金棒材の製造方法では、(1)β加工工程と、(2)第1α+β加工工程と、(3)β熱処理工程と、(4)第2α+β加工工程とをこの順に行う。
本実施形態において、(1)(2)(4)の各工程で被加工材料が熱間加工される度合いである鍛錬比は、長さ方向と垂直な断面における加工前の面積と加工後の面積との比(加工前面積/加工後面積)を意味する。
以下、(1)〜(4)の各工程について詳細に説明する。
(1)β加工工程
本実施形態のβ加工工程では、溶解して得られた鋳塊を加熱炉内でβ単相温度域に加熱し、鍛造等の熱間加工を施す。β加工工程では、被加工材料である鋳塊は、β単相の状態で熱間加工される。
β加工工程において、鋳塊を加熱する加熱炉内の温度は、β変態点温度より30℃高い温度以上、β変態点温度より200℃高い温度以下(β変態点温度+30℃〜β変態点温度+200℃の温度範囲)とすることが好ましい。加熱炉内の温度が、β変態点温度より30℃高い温度であると、加熱炉内に温度が不均一な部分があったり、鋳塊の大きさが大きいものであったりしても、鋳塊全体がβ変態点温度以上に加熱されるため好ましい。また、加熱炉内の温度が、β変態点温度より200℃高い温度以下であると、鋳塊の表層の酸化が抑制されるとともに、鋳塊中の金属組織の粗大化が抑制されるため、高品質のチタン合金棒材が得られる。
β加工工程での鍛錬比は、鋳塊中の凝固組織を潰すために1.05以上であることが好ましい。鍛錬比の上限は、鋳塊の大きさと目標とするチタン合金棒材の大きさ、後述する第1α+β加工工程および第2α+β加工工程における鍛錬比などに応じて適宜決定できる。
β加工工程のヒート数(被加工材料の加熱と熱間加工の繰り返し数)は、1回であってもよいし、複数回でもよく、被加工材料である鋳塊を加熱する温度、熱間加工の方法、鍛錬比などの熱間加工の条件に応じて適宜決定できる。
鋳塊に対してβ加工工程を行うことにより、チタン合金棒材の中間素材であるビレットが得られる。得られたビレットは、第1α+β加工工程を行うためにα+β二相温度域に加熱された加熱炉に入れてもよいし、そのまま放冷(空冷)して室温まで冷却してもよい。
(2)第1α+β加工工程
本実施形態の第1α+β加工工程では、β加工工程を行うことにより得られたビレットを加熱炉内でα+β二相温度域に加熱し、鍛造等の熱間加工を施す。第1α+β加工工程では、被加工材料であるビレットは、α+β二相の状態で加工される。
第1α+β加工工程において、ビレットを加熱する加熱炉内の温度は、β変態点温度より150℃低い温度以上、β変態点温度より30℃低い温度以下(β変態点温度−150℃〜β変態点温度−30℃の温度範囲)とすることが好ましい。加熱炉内の温度が、β変態点温度より150℃低い温度以上であると、熱間加工を施す際のビレットの変形抵抗が大きくなりすぎることを防止でき、容易に効率よく熱間加工を行うことができる。また、加熱炉内の温度が、β変態点温度より30℃低い温度以下であると、ビレットの金属組織中にα相が十分に析出するため、α+β二相温度域で熱間加工を施すことによる効果が十分に得られる。
第1α+β加工工程では、熱間加工中のビレットの表面温度を、β変態点温度−270℃〜上記の加熱炉内の温度の範囲内とすることが好ましく、β変態点温度−250℃〜上記の加熱炉内の温度の範囲内とすることがより好ましい。熱間加工中のビレットの表面温度をβ変態点温度−270℃以上の温度とすることで、ビレットに十分なひずみを加えることができる。その結果、ビレットの金属組織中の結晶方位が分散し、後述する(3)および(4)の工程により結晶方位(c軸の傾き)が25°以上55°以下である初析α粒数の低減された金属組織が得られやすくなる。また、ビレットに十分なひずみを加えることができるため、後述する(3)および(4)の工程により微細な初析α粒が得られやすくなる。しかも、熱間加工中のビレットの表面温度をβ変態点温度−270℃以上の温度とすることで、ビレットの変形抵抗が大きくなりすぎることがなく、効率よく熱間加工できる。
ビレットの表面温度は、熱間加工中に徐々に低下する。したがって、所定の鍛練比の熱間加工が終了する前に、熱間加工中のビレットの表面温度がβ変態点温度−270℃未満になる場合には、熱間加工を一旦中断し、再度ビレットを加熱してから熱間加工を行うことが好ましい。
第1α+β加工工程における熱間加工は、熱間加工中のビレットの表面温度を管理するために、ビレットの表面温度を放射温度計等の温度計を用いて測定しながら行うことが好ましい。
第1α+β加工工程では、鍛錬比が1.7以上となるように熱間加工を行い、鍛練比が2.0以上となるように熱間加工を行うことがより好ましい。第1α+β加工工程での鍛錬比を1.7以上とすることで、ビレットの金属組織中に存在するβ加工工程で生成したβ粒から生成した針状α粒とβ相とからなるコロニーに十分なひずみを与えて、β熱処理工程により再結晶させることができるとともに、ビレットの金属組織中の結晶方位が分散する。その結果、後述する(3)および(4)の工程により結晶方位(c軸の傾き)が25°以上55°以下である初析α粒数の低減された金属組織が得られやすくなるとともに、微細な初析α粒が得られやすくなる。第1α+β加工工程での鍛錬比が1.7未満であると、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒を十分に低減できない。鍛錬比の上限は特に規定されるものではないが、大きすぎると第2α+β加工工程における鍛錬比を確保しにくくなるため、4.0以下であることが望ましい。
第1α+β加工工程のヒート数は、1回であってもよいし、複数回でもよく、ビレットを加熱する温度、熱間加工の方法、鍛錬比などの熱間加工の条件に応じて適宜決定できる。
本実施形態では、第1α+β加工工程を行うことにより、ビレットに十分なひずみが与えられる。このため、後述する(3)および(4)の工程により結晶方位(c軸の傾き)が25°以上55°以下である初析α粒数の低減された金属組織が得られやすくなるとともに、微細な初析α粒が得られやすくなる。
第1α+β加工工程の終了したビレットは、β熱処理工程を行うためにβ単相温度域に加熱された加熱炉に入れてもよいし、そのまま放冷(空冷)して室温まで冷却してもよい。
(3)β熱処理工程
本実施形態のβ熱処理工程では、第1α+β加工工程後のビレットを加熱炉内でβ単相温度域に加熱した後、水冷することにより、十分に速い冷却速度でビレットを冷却する。β熱処理工程では、ビレットはβ単相の状態になった後、急冷される。β熱処理工程での加熱は1回のみである。
β熱処理工程では、β単相温度域に加熱した後、すぐに水冷してもよいし、熱間加工を施してから水冷して急冷してもよい。
ビレットを水冷する手段としては、ビレットを十分な量の水に浸漬する方法を用いることができる。なお、ビレットを水冷する手段は、上記の方法に限定されるものではなく、十分に速い冷却速度でビレットを冷却することができればよく、例えば、ビレットにスプレーで水を噴霧する方法を用いてもよい。
β熱処理工程における加熱炉内の温度は、β変態点温度より20℃高い温度以上、β変態点温度より100℃高い温度以下(β変態点温度+20℃〜β変態点温度+100℃の温度範囲)とすることが好ましい。加熱炉内の温度が、β変態点温度より20℃高い温度であると、加熱炉内に温度が不均一な部分があったとしても、ビレット全体が確実にβ変態点温度に達する。また、加熱炉内の温度が、β変態点温度より100℃高い温度以下であると、ビレットの金属組織の粗大化を抑制できる。
本実施形態では、β熱処理工程においてβ単相温度域に加熱したビレットを急冷することで、β単相温度域で生成した小さいβ粒の界面に微細な針状の粒界α粒が生成される。このことにより、次工程の(4)第2α+β加工工程で、粒界α粒および/または針状α粒と、β相とからなるコロニーが分断されやすくなる。
(4)第2α+β加工工程
本実施形態の第2α+β加工工程では、β熱処理工程後のビレットを加熱炉内でα+β二相温度域に加熱し、鍛造および/または圧延等の熱間加工を施す。第2α+β加工工程では、被加工材料であるビレットは、α+β二相の状態で加工される。
第2α+β加工工程において、ビレットを加熱する加熱炉内の温度は、第1α+β加工工程と同様の理由により、β変態点温度より150℃低い温度以上、β変態点温度より30℃低い温度以下(β変態点温度−150℃〜β変態点温度−30℃の温度範囲)とすることが好ましい。
第2α+β加工工程では、第1α+β加工工程と同様に、熱間加工中のビレットの表面温度を、β変態点温度−270℃〜上記の加熱炉内の温度の範囲内とすることが好ましく、β変態点温度−250℃〜上記の加熱炉内の温度の範囲内とすることがより好ましい。熱間加工中のビレットの表面温度をβ変態点温度−270℃以上の温度とすることで、ビレットに十分なひずみを加えることができる。その結果、ビレットの金属組織中の結晶方位が分散し、結晶方位(c軸の傾き)が25°以上55°以下である初析α粒数の低減された金属組織が得られやすくなる。また、ビレットに十分なひずみを加えることができるため、微細な初析α粒が得られやすくなる。しかも、熱間加工中のビレットの表面温度をβ変態点温度−270℃以上の温度とすることで、ビレットの変形抵抗が大きくなりすぎることがなく、効率よく熱間加工できる。
ビレットの表面温度は、熱間加工中に徐々に低下する。したがって、このため、第2α+β加工工程における熱間加工においても、第1α+β加工工程と同様に、所定の鍛練比の熱間加工が終了する前に、熱間加工中のビレットの表面温度がβ変態点温度−270℃未満になる場合には、熱間加工を一旦中断し、再度ビレットを加熱してから熱間加工を行うことが好ましい。
また、第2α+β加工工程における熱間加工は、第1α+β加工工程と同様に、ビレットの表面温度を放射温度計等の温度計を用いて測定しながら行うことが好ましい。
第2α+β加工工程では、鍛錬比が3.0以上となるように熱間加工を行い、鍛練比が3.5以上となるように熱間加工を行うことがより好ましい。第2α+β加工工程での鍛錬比を3.0以上とすることで、ビレットに十分なひずみを加えることができる。その結果、β熱処理工程で生成した小さいβ粒から生成した粒界α粒および/または針状α粒と、β相とからなるコロニーが十分に分断され、分断した粒界α粒および/または針状α粒が微細等軸化されるともに、結晶方位が分散される。よって、c軸の傾きが25°以上55°以下で円相当直径(粒径)が20μm以上である初析α粒の金属組織中における面積率が2.0%以下である金属組織が得られる。第2α+β加工工程での鍛錬比が3.0未満であると、c軸の傾きおよび円相当直径が上記範囲である初析α粒を十分に低減できない。鍛錬比の上限は特に規定されるものではないが、大きすぎると、ヒート数を多くする必要が生じて生産性が劣るため、10以下であることが望ましい。
第2α+β加工工程のヒート数は、1回であってもよいし、複数回でもよく、ビレットを加熱する温度、熱間加工の方法、鍛錬比などの熱間加工の条件に応じて適宜決定できる。
本実施形態では、第2α+β加工工程を行うことにより、所定の形状および金属組織を有する本実施形態のチタン合金棒材が得られる。
なお、本実施形態においては、このようにして製造されたチタン合金棒材に対して、必要に応じて焼鈍を行ってもよいし、表面を機械加工することにより表層の酸化層の除去や寸法の調整を行ってもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
以下に示す方法によりチタン合金棒材を製造し、評価した。
(β加工工程)
溶解して得られた下記の組成を有する直径約750mmの円柱状の鋳塊を、1050℃以上1200℃以下に加熱した加熱炉内でβ単相温度域に加熱した後、加熱炉から取り出して鍛造した。その後、再度、加熱炉での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表1に示す直径の円形である丸棒状のNo.1〜No.10のビレットを得た。
一部の鋳塊については、1050℃以上1200℃以下に加熱した加熱炉内での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表1に示す幅600mm、厚さ500mmの四角形である角棒状のNo.11のビレットとした。
「組成」
Al:6.20質量%、V:4.10質量%、Fe:0.18質量%、O(酸素):0.19質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物(β変態点温度1000℃)。
(第1α+β加工工程)
No.1〜No.11のビレットを、表1に示す加熱温度の加熱炉内で加熱した後、加熱炉から取り出して鍛造した。その後、表1に示す鍛錬比となるように、再度、加熱炉での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表1に示す直径の円形または表1に示す幅および厚さの四角形であるビレットを得た。なお、第1α+β加工工程では、熱間加工中のビレットの表面温度を770℃以上表1に示す加熱温度以下の範囲とした。
(β熱処理工程)
第1α+β加工工程後のNo.1〜No.11のビレットを、表1に示す加熱温度の加熱炉内で加熱した後、加熱炉から取り出してNo.7以外のビレットについては速やかに十分な量の水を入れた水槽に浸漬して水冷した。No.7のビレットについては加熱炉から取り出してそのまま放冷した。
(第2α+β加工工程)
No.1〜No.11のビレットを、表1に示す加熱温度の加熱炉内で加熱した後、加熱炉から取り出して鍛造した。その後、表1に示す鍛錬比となるように、再度、加熱炉での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表1に示す直径の円形または表1に示す幅および厚さの四角形であるNo.1〜No.11のチタン合金棒材を得た。なお、第2α+β加工工程では、熱間加工中のビレットの表面温度を750℃以上表1に示す加熱温度以下の範囲とした。また、No.1〜No.11のチタン合金棒材には、第2α+β加工工程後に705℃で焼鈍を行った。
「金属組織」
No.1〜No.11のチタン合金棒材について、チタン合金棒材の長さ方向中心部より、長さ方向断面を観察面とする試験片を採取し、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察面を観察した。
図4は、No.1のチタン合金棒材の顕微鏡写真である。図5は、No.5のチタン合金棒材の顕微鏡写真である。また、図3は、No.3のチタン合金棒材の顕微鏡写真である。
図3〜図5に示すように、No.1、No.3、No.5のチタン合金棒材の金属組織は、等軸状の初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有するものであった。
No.2およびNo.4、No.6〜No.11のチタン合金棒材についても、No.1のチタン合金棒材と同様にして顕微鏡観察を行った結果、No.1と同様に、等軸状の初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有するものであった。
また、No.1〜No.11のチタン合金棒材について、EBSD(電子線後方散乱回折;Electron Backscatter Diffraction)を用いて、以下に示す方法により、それぞれ金属組織を調べた。
まず、チタン合金棒材の長さ方向中心部より、長さ方向断面を観察面とする試験片を採取した。次に、試験片の観察面を、縦1.2mm横0.9mmの矩形の領域を視野とし、測定間隔は2.3μm、加速電圧15kVで、EBSDを用いて測定した。
得られた測定結果から、菊池パターン解析よりPQ(パターンクオリティ)マップと相マップを作成し、α相を抽出した。なお、菊池パターン解析は、β相を排除してα相のみを対象として行った。
次に、隣り合うEBSD測定点の方位(c軸方向)の角度差(ミスオリエンテーション角)を5°以下として初析α粒を決定し、その初析α粒の測定点数から各初析α粒の面積を求め、金属組織中の初析α粒の面積率を求めた。その結果(初析α粒の面積率)を表1に示す。
また、各初析α粒のEBSD測定点数から各初析α粒の円相当直径を算出した。
また、各初析α粒内のEBSD測定点におけるc軸方向の平均値を算出し、それを用いて各初析α粒について、初析α粒のc軸方向とチタン合金棒材の長さ方向とのなす角度(c軸の傾き)θを算出した。
そして、初析α粒のうち、c軸の傾きθが25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の金属組織中の面積率を求めた。その結果(粗大な初析α粒の面積率)を表1に示す。
「疲労特性」
No.1〜No.11のチタン合金棒材について、以下に示す方法により、低サイクル疲労試験を行い、疲労特性を評価した。
チタン合金棒材の中心部から長さ方向と平行に、平行部の直径が5.08mm、長さが15.24mmである試験片を採取した。疲労試験は、軸力、片振りで、ひずみ範囲は0〜0.8%の低サイクル疲労試験とした。疲労寿命は、試験片が破断するまでの回数とし、破断するまでの回数が8万回以上は疲労特性が良好(○)、8万回未満は不良(×)と評価した。その結果(疲労特性)を表1に示す。
表1に示すように、No.1〜No.5のチタン合金棒材は、本発明例であり、粗大な初析α粒の面積率が2.0%以下であり、良好な疲労特性を有していた。
一方、No.6、10のチタン合金棒材は、第1α+β加工工程における鍛錬比が小さいため、粗大な初析α粒の面積率が2.0%を超えており、良好な疲労特性が得られなかった。
また、No.8およびNo.9のチタン合金棒材は、第2α+β加工工程における鍛錬比が小さいため、粗大な初析α粒の面積率が2.0%を超えており、良好な疲労特性が得られなかった。
また、No.7のチタン合金棒材は、β熱処理工程において加熱後放冷したため、粗大な初析α粒の面積率が2.0%を超えており、良好な疲労特性が得られなかった。
また、No.11のチタン合金棒材は、第1α+β加工工程および第2α+β加工工程における鍛錬比が小さいため、粗大な初析α粒の面積率が2.0%を超えており、良好な疲労特性が得られなかった。
<実施例2>
以下に示す方法によりチタン合金棒材を製造し、評価した。
(β加工工程)
下記の組成を有する直径約600mmの円柱状の鋳塊を、1000℃以上1150以下に加熱した加熱炉内でβ単相温度域に加熱した後、加熱炉から取り出して鍛造した。その後、再度、加熱炉での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表2に示す直径の円形である丸棒状のNo.A〜No.Gのビレットを得た。
「組成」
Al:6.20質量%、Mo:6.30質量%、Sn:2.02質量%、Zr:3.70質量%、Fe:0.12質量%、O(酸素):0.13質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物(β変態点温度950℃)。
(第1α+β加工工程)
No.A〜No.Gのビレットを、表2に示す加熱温度の加熱炉内で加熱した後、加熱炉から取り出して鍛造した。その後、表2に示す鍛錬比となるように、再度、加熱炉での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表2に示す直径の円形であるビレットを得た。なお、第1α+β加工工程では、熱間加工中のビレットの表面温度を740℃以上表2に示す加熱温度以下の範囲とした。
(β熱処理工程)
第1α+β加工工程後のNo.A〜No.Gのビレットを、表2に示す加熱温度の加熱炉内で加熱した後、加熱炉から取り出して速やかに十分な量の水を入れた水槽に浸漬して水冷した。
(第2α+β加工工程)
No.A〜No.Gのビレットを、表2に示す加熱温度の加熱炉内で加熱した後、加熱炉から取り出して鍛造した。その後、表2に示す鍛錬比となるように、再度、加熱炉での加熱と鍛造とを数回繰り返して、長手方向に直交する断面形状が表2に示す直径の円形であるNo.A〜No.Gのチタン合金棒材を得た。なお、第2α+β加工工程では、熱間加工中のビレットの表面温度を720℃以上表2に示す加熱温度以下の範囲とした。また、No.A〜No.Gのチタン合金棒材には、第2α+β加工工程後に705℃で焼鈍を行った。
「金属組織」
No.A〜No.Gのチタン合金棒材について、<実施例1>のNo.1〜No.11のチタン合金棒材と同様にして、チタン合金棒材の長さ方向中心部より、長さ方向断面を観察面とする試験片を採取し、観察面の顕微鏡観察を行った。
その結果、No.A〜No.Gのチタン合金棒材は、等軸状の初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有するものであった。
No.A〜No.Gのチタン合金棒材について、<実施例1>のNo.1〜No.11と同様にして、EBSDを用いて、それぞれ金属組織を調べ、金属組織中の初析α粒の面積率を求めた。その結果(初析α粒の面積率)を表2に示す。
また、No.A〜No.Gのチタン合金棒材について、<実施例1>のNo.1〜No.11と同様にして、初析α粒のうち、c軸の傾きθが25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の金属組織中の面積率を求めた。その結果(粗大な初析α粒の面積率)を表2に示す。
表2に示すように、No.A〜No.Eのチタン合金棒材は、本発明例であり、粗大な初析α粒の面積率が2.0%以下であり、良好な疲労特性を有していた。
一方、No.F、Gのチタン合金棒材は、第1α+β加工工程における鍛錬比が小さいため、粗大な初析α粒の面積率が2.0%を超えており、良好な疲労特性が得られなかった。

Claims (3)

  1. 熱間加工チタン合金棒材であって、
    前記熱間加工チタン合金棒材の成分が、Al:5.50〜6.75質量%、V:3.50〜4.50質量%、Fe:0.05〜0.30質量%、O:0.05〜0.20質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であり、
    かつ初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有し、
    前記初析α粒の前記金属組織中の面積率が30%以上であり、
    前記初析α粒のうち、稠密六方構造のc軸方向と前記熱間加工チタン合金棒材の長さ方向とのなす角度(c軸の傾き)が25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の前記金属組織中の面積率が2.0%以下であることを特徴とする熱間加工チタン合金棒材。
  2. 熱間加工チタン合金棒材であって、
    前記熱間加工チタン合金棒材の成分が、Al:5.50〜6.50質量%、Sn:1.75〜2.25質量%、Zr:3.50〜4.50質量%、Mo:5.50〜6.50質量%、Fe:0.02〜0.15質量%、O:0.02〜0.15質量%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であり、
    かつ初析α粒と針状α粒とからなるα相と、β相とからなる金属組織を有し、
    前記初析α粒の前記金属組織中の面積率が30%以上であり、
    前記初析α粒のうち、稠密六方構造のc軸方向と前記熱間加工チタン合金棒材の長さ方向とのなす角度(c軸の傾き)が25°以上55°以下で、かつ円相当直径が20μm以上である初析α粒の前記金属組織中の面積率が2.0%以下であることを特徴とする熱間加工チタン合金棒材。
  3. 鋳塊を熱間加工して製造されるα+β二相チタン合金からなる熱間加工チタン合金棒材の製造方法であり、
    前記鋳塊をβ単相温度域で熱間加工するβ加工工程と、
    α+β二相温度域で鍛錬比が1.7以上になるように熱間加工する第1α+β加工工程と、
    β単相温度域まで加熱した後水冷するβ熱処理工程と、
    α+β二相温度域で鍛錬比が3.0以上になるように熱間加工する第2α+β加工工程とをこの順に行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱間加工チタン合金棒材の製造方法。
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