JP5725457B2 - α+β型Ti合金およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、輸送機器用、化学プラント用、エネルギ−製造プラント用、一般民生品用へ広く応用されているα+β型Ti合金に関するものであり、従来のα+β型Ti合金と比べて低温−高速超塑性を示す超微細組織を有するα+β型Ti合金およびその製造方法に関する。
Ti合金は比強度が高く、耐食性に優れるため、航空機分野、化学プラント分野など多様な分野に広く使用されている。その中でも機械的性質のバランスが良いα+β型Ti合金であるTi−6Al−4V合金は最も多く使用されている。通常、Ti合金はスプリングバックが大きいことや、表面活性であり、低熱容量及び低熱伝導率による焼き付きが生じやすいことなどから、その成形は切削加工よりもニアネットシェイプ加工が望ましい。これには超塑性現象を利用した成形(以下超塑性成形という)が有効である。超塑性現象は接合加工にも応用され、特に航空機分野において超塑性/拡散接合(SPF/DB)による一体化加工が実用されている。
従来のTi−6Al−4V合金では、超塑性現象を発現させるため、その成形は、800〜950℃程度の高温で、1×10−4〜10−3/秒の低速ひずみ速度下の塑性変形条件で行われる。ところが、高温−低速変形下での成形のため、生産性が低いだけでなく、材料の酸化や超塑性成形中の結晶粒の粗大化による機械的性質の劣化が起こり易い。更には、高温での加工のため金型の寿命が短いという欠点もある。Ti−6Al−4V合金の超塑性成形はニアネットシェイプ加工が可能であるため、魅力的なプロセスではあるが、このように多くの問題を抱えており、その適用範囲は限定されているのが現状である。そのため、Ti合金の超塑性現象発現の低温化と高速化が強く望まれている。
これまでに、α相とβ相の量比を制御して合金設計することで、超塑性成形温度を低下できることが報告されており(非特許文献1)、更には適切な合金設計によりTi−6Al−4V合金より超塑性成形温度を100℃以上低下させたTi−4.5Al−3V−2Mo−2Fe合金が開発されている(特許文献1)。一方で従来のTi−6Al−4V合金における超塑性現象発現の低温・高速化の手法としては、結晶粒微細化が挙げられる。たとえば、Ti−6Al−4V合金において強加工プロセス(Severe Plastic Deformation)を利用して平均結晶粒径0.5μm以下の超微細組織を形成することで、従来よりも超塑性成形温度を150〜250℃低下させ、1×10−3〜10−2/秒の速い成形速度(ひずみ速度)で超塑性現象を発現可能であることが報告されている(非特許文献2〜7)。超塑性成形の低温・高速化は生産性を向上させるだけでなく、材料の酸化防止、機械的性質劣化の抑制、金型寿命の増加、総じて成形コストの低減など様々な利点を有する。
しかしながら、この強加工プロセスは材料にひずみ4〜5以上のひずみ量を導入する手法であり、ECAP(Equal Channel Angular Pressing)、HPT(High Pressure Torsion)、MM(Mechanical Milling)、ARB(Accumulative Roll−Bonding)、多軸鍛造加工、高速ショットピ−ニングなどの方法で成されるものである。このような強加工プロセスは多量のひずみを導入する必要があるため、大型の成形用材料の製造や量産には不向きなプロセスである。たとえば、ECAP法により加工(ひずみ量、ε=8)されたTi−6Al−4V合金(非特許文献6)やHPT法により加工(ひずみ量、ε=7)されたTi−6Al−4V合金(非特許文献8)は650℃および700℃で超塑性現象を発現するが、この材料に導入されたひずみ量は450〜1000mmの鋳塊を一気に1mmまでに圧延加工する量に相当し、単純な圧延加工による板材製造工程では現実的に製造不可能である。そして、実際の超塑性成形用の材料は航空機構造部品用を中心としてほとんどが板材で供されている。したがって、コストの観点から、入手し易い一般に普及しているα+β型Ti合金において、実用的な超塑性成形プロセス技術が強く望まれている。
また、Ti合金の結晶粒微細化は、超塑性特性の向上だけでなく、強度、耐疲労特性などの機械的特性を著しく改善する効果がある。そのため、結晶粒微細化は様々な材料特性を協調的に改善する手法として有効である。
特開平3−274238号公報
J.A.Wert and N.E.Paton、"METALLURGICAL TRANSACTIONS"、1983、A14、p.2535−2544 G.A.Salishchev et al.、"Journal of Materials Processing Technology"、2001、116、p.265−268 R.S.Mishra et al.、"Materials Science and Engineering"、2001、A298、p.44−50 G.A.Salishchev, O.R.VAliakhmetov、R.M.Gallev、"JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE"、1993、28、p.2898−2902 G.A.Salishchev, O.R.Galeyev、S.P.Malysheva、O.R.Valiakhmetov in ICSAM'97(Ed.A.H.ChokShi)、"Materials Science Forum"、1997、243−245、p.585−591 Y.G.Ko et Al.、"Materials Science and Engineering"、2005、A410−411、p.156−159 辻伸泰、"金属材料の超強加工に伴う微細粒組織の形成"、鉄と鋼、2008、 94、p.582−589 A.V.Sergueeva et al.、"Scripta MATERIALIA"、 2000、43、p.819−824 H.J.Bunge、"Texture Analysis In Materials Science.Butterworths"、(England)、1982 Y.G.KO et al.、"METALLURGICAL AND MATERIALS TRANSACTIONS"、2006、37A、p.381−391 L.D.HefTi、"JOM"、2010、62−5、p.42−45
したがって、従来と比べ、超塑性成形温度が低く、また、その塑性成形速度(ひずみ速度)が速い条件において超塑性現象を発現するTi合金を簡易な方法で製造する技術が望まれている。すなわち、本発明は、強加工プロセスによらないで従来の板材製造コストと同程度に製造することができ、従来のα+β型Ti合金と比べて低温−高速超塑性を示す超微細組織を有するα+β型Ti合金およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、α+β型Ti合金(例えばTi−6Al−4V合金等)において、α’マルテンサイト組織を出発組織として適切な加工条件で熱間加工を施す超微細組織形成技術を利用することで、ECAP法のような強加工方法を利用しなくても1回の加工で超微細組織を形成することを骨子とする。そして、超微細組織を形成することによって、低温−高速超塑性を示すTi合金を得る。
本発明者らは、β型Ti合金組成ではなく、溶体化処理後の通常冷却により室温でβ相率の少ないニアα型またはα+β型に分類される低廉Ti合金組成とすることを検討した。そして、結晶粒径をマイクロメ−トルオ−ダ−の従来組織からナノメ−トルオ−ダ−の微細等軸晶組織とすることにより、ひずみ量が小さくても低温−高速超塑性を示すTi合金を見出した。このようなTi合金を得るために、従来あまり利用されていなかったα’マルテンサイト相を加工出発組織とした熱間加工を行うことで、微細組織を形成する。
本発明の加工法は従来強加工法と比べて非常に簡単であり、加工出発材をα’マルテンサイト組織とし、これを熱間加工中に動的再結晶を発生させることにより、加工速度(ひずみ速度)1〜50/秒でひずみ1以上の変形を受けた領域で粒径1μm以下の結晶の面積率が60%以上で、最大頻度粒径が0.5μm以下の等軸晶であり、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まる超微細組織を得ることができる。このような組織が本発明が目標とする低温−高速超塑性特性を示す理由は明確ではないが、βトランザス以下の温度で超塑性成形をすると微細粒のα粒界すべりによる超塑性挙動に加えて、方位集積度が高い事によりすべり面が揃っている事が挙げられる。さらに、上記超微細組織はほぼα相で構成され殆どβ相が無い為、塑性障害となるβ→α再固溶が無く、逆に成形温度が650〜950℃では平衡相図的にα粒界で極微少量のα→β変態が生じα粒間のすべりを促進することも挙げられる。これらを基に検討した結果本発明に至った。
また、本発明のα+β型Ti合金における加工出発材料の組織はα’マルテンサイト相からなる組織とする理由を下記する。α’マルテンサイト相はTi合金を溶体化処理後に焼入れすると生成するが、これは溶体化焼入れ過程で無拡散変態にて形成する結晶相であり、β相がそのまま室温まで残留するβ型Ti合金では発現しない。α’マルテンサイト相は針状晶で、結晶構造が平衡α晶と同様に稠密六方晶構造であるが、平衡α晶との違いは、急冷により熱的に不安定な結晶相となること、針状晶組織中に多量の欠陥(α’(10−11)双晶、α’(0001)上の積層欠陥もしくは転位など)を有することなどが挙げられる。なお、「−1」は1の上にバ−(−)を付したものを示している。これは、以降の記述においても同様である。そこで、本発明者らは、このような積層欠陥または転位の集積所はエネルギ−的に不安定になり、容易にαの再結晶核生成サイトとして作用することから従来から用いられているα+β相と比べて核生成サイトになる場所が多量に存在し、この組織を出発組織として熱間加工すれば均一で微細なナノメ−トルオ−ダ−の等軸晶が広域に渡り生成し易くなるものと考えた。
ここで、動的再結晶が発現する加工とは、具体的には、昇温速度3.5〜800℃/秒で加熱し、700〜850℃の温度で加工速度(ひずみ速度)1〜50/秒でひずみ量が1以上になるような加工である。
すなわち、本発明のα+β型Ti合金の製造方法は、1000℃以上に加熱し、1秒以上保持して、冷却速度20℃/秒以上で室温まで冷却後、昇温速度3.5〜800℃/秒において700〜850℃の温度まで加熱し、10分未満保持した後、1〜50/秒の加工速度(ひずみ速度)でひずみ量が1以上となるように熱間加工を行い、冷却速度5〜400℃/秒で冷却することを特徴とする。
上記のようにして製造されたTi合金は、ニアα型および/またはα+β型Ti合金に一般分類される配合組成であり、粒径1μm以下の結晶の面積率が60%以上で、最大頻度粒径が0.5μm以下の等軸晶であり、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まる超微細組織を有する。なお、加速電圧20kVのSEM/EBSD法を用いて50000倍で観察判別できる最小の結晶粒径は98nmであるので、本発明における結晶粒径の最小値は、実質的には98nmである。ここで、α+β型Ti合金は、通常の鋳造等の冷却速度により常温でβ相が面積率で10〜50%となるTi合金であり、ニアα型Ti合金は、V、Cr、Moなどのβ相安定化元素を1〜2質量%含んでいるTi合金で、同冷却速度により常温でのβ相は面積率で0%を超え10%未満のTi合金である。ただし、これらを急冷し、ほぼ全域(X線回折法でβ相が検出できないレベル)にα’マルテンサイト組織としたものを出発材とし熱間加工後に得る本発明では、β相の面積率は1.0%以下にすることが望ましい。その理由は、β相の面積率が1.0%を超えると、上述のように均一な微細組織の形成及び本発明が目標とする低温−高速超塑性特性が発現しないからである。なお、β相が常温で50面積%を超過し、マルテンサイト変態を起こさない場合はβ型合金である。
上記のような結晶は、EBSD法での粒界マップからも分かるように等軸晶の超微細組織であり、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっている。ここで、特定の方位の集積度は、その方位をもつ結晶粒の存在頻度が、完全にランダムな方位分布をもつ組織(集積度1)に対して、何倍であるかを示す。この集積度は、後方散乱電子線回折(EBSD)法の球面調和関数法(非特許文献9等参照)を用いた逆極点図のTexture解析を用いて求める(展開指数=16、ガウス半値幅=5)。このような特定の角度範囲に高頻度で特定方位の結晶が集合存在するため、超塑性成形加工条件ですべりが起こりやすい。
以下、本発明のα+β型Ti合金およびその製造方法において、組織及び製造方法を上記のように特定している理由を説明する。
本製法における出発組織であるα’マルテンサイト組織形成のためのTi合金組成としては、通常ニアα型あるいはα+β型Ti合金に分類される組成が適している。たとえば、α型Ti合金に通常分類される組成を以てα’マルテンサイトを全体に生成すべくβトランザス温度以上から急冷すると、βトランザス温度がより高温領域に移動することで加熱エネルギ−的に非効率になるとともに、ある温度領域になると脆性なα相(例えばTiAl)が生成することから、ほぼ全体にα’マルテンサイト組織は得られない。またニアβ型およびβ型Ti合金は、常温でβ相が準安定的に維持されるため、急冷処理してもX線回折或いはEBSD分析によってβ相が検出されない程ほぼ全体にα’マルテンサイト相となる組織は得られず、β相が残存することが確認される。したがって、α’マルテンサイトを利用した均一で微細な動的再結晶組織を得ることは期待できない。一方、ニアα型およびα+β型Ti合金に通常分類される組成では、同処理後同分析レベルでほぼβ相が検出されない。したがって、ニアα型およびα+β型Ti合金に分類される組成が良い。
α’マルテンサイト相を出発組織とする理由は、熱的に不安定な相であり、針状組織中に多量の欠陥を有することから、その欠陥場所が再結晶核生成サイトとして容易に作用するためである。また、針状α+β混合組織では、a軸方向であるα<11−20>の転位が主に動くのに対して、α’マルテンサイトでは、a軸方向以外にc軸方向の転位も活発に動くことによって変形能はαより高く、さらにその針状組織の転位交差スポットがα+β混合組織より多方向でかつ多くなる。この交差スポットが核生成サイトとして作用し、熱間加工によって出発組織がα+β相と比べてはるかに多い核生成サイトが存在することになり、したがってα’マルテンサイト相を熱間加工の出発組織として利用することが有利である。
以下に上記数値限定の根拠を示す。以下の数値限定は、出発組織に与えるエネルギ−(熱・時間)が結晶粒粗大化や平衡α+β相への変態を起こす余裕を与えないように、短時間で加熱(平衡相の粗大析出防止)し、加工(無数の再結晶核生成サイト産出と方位制御)後に急冷(再結晶の成長抑制)するとの前提で検討を行った結果である。
まず、熱間加工の出発組織であるα’マルテンサイト組織形成のため、例えばTi−6Al−4V合金等のα+β型Ti合金に対し溶体化処理を行う。溶体化処理は、合金を1000℃以上に加熱し、1秒以上保持して行い、その後、冷却速度20℃/秒以上で室温まで冷却して焼入れ処理を行う。加熱温度が1000℃未満であるとα’マルテンサイト相が得られず、保持時間が1秒未満であると、溶体化処理が不十分となる。また、冷却速度が20℃/秒未満であると、平衡相の増加や結晶粒が粗大化し易くなる。
昇温速度:3.5〜800℃/秒
出発組織のα’マルテンサイト相は熱的に不安定な相であるため、昇温速度が3.5℃/秒未満であると平衡α+β相に相変態する時間の余裕を与えてしまう。一方、昇温速度が800℃/秒を超えると、被加工材の寸法にもよるが、現実的な加熱手段や一連の工程における温度制御が容易でなくなる。また、本発明で得る組織の形成領域を広範囲に得たい場合、表面と内部の温度差が大きくなり過ぎて限界がある。さらに、800℃/秒を超える昇温速度では材料の流動性が表面と内部で差が大きくなり、加工時に割れが生じ好ましくない。よって、Ti合金の昇温速度は3.5〜800℃/秒とした。
熱間加工温度:700〜850℃、加工前保持時間:10分未満、加工速度(ひずみ速度):1〜50/秒、ひずみ量:1以上
上記熱間加工条件はTi合金の動的再結晶が活発に起こり、α’マルテンサイト相を加工出発組織としたときに均一で微細結晶組織を得るための条件である。この条件において熱間加工を行うことにより、粒径が1μm以下の結晶の面積率が60%以上であり、最大頻度粒径が0.5μm以下の等軸晶である超微細組織を有し、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっている合金を得ることができる。
加工温度が700℃未満で低温になるほど動的再結晶のための駆動エネルギ−が不足し、被加工部での動的再結晶領域が少なく不均一化し、全体組織としては加工によって伸びた粗大α晶と不均一な動的再結晶したナノ結晶組織の混合組織になる。あるいは、動的再結晶が起こらずナノ結晶組織が生成されないこともある。一方、加工温度が850℃を超えると、β相の生成と成長速度が急増し、平衡β相が粗大化する。そして、その後室温までの冷却によって粗大α相や針状組織が多く残存してしまう。
また、加工速度(ひずみ速度)が1/秒未満であると、実際での操業を考慮すると、生産性の低下などの問題がある。一方、加工速度が50/秒を超える場合は、速い加工速度による変形抵抗の急増、それによる被加工材の割れ、さらに加工装置への過大な負担から実用的ではない。また、上記熱間加工前の保持時間が10分以上であると、結晶粒が粗大化し易くなる。
粒径が1μm以下の結晶が面積率で60%以上であり、さらに最大頻度粒径が0.5μm以下の等軸晶であり、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まる超微細組織を得るために、加工によるひずみは1以上にする必要がある。また、本発明では、ひずみ量1.0でも超塑性変形を発現できるため、コストを考慮し、ひずみ量は2以下で十分である。上記のような組織は、必ずしも材料全体に形成する必要はなく、製品の使われ方により、動作応力の高い表層側等、必要な領域のみに本発明の加工条件を適用しその加工部内において本発明で規定する面積率で形成してもよい。
上記したひずみの数値は、700〜850℃における熱間加工中の変形抵抗曲線から、初期ひずみで変形抵抗の最大値を迎え、その後ひずみ1未満までは減少(加工軟化現象)が起こり、1以上で動的再結晶がほぼ完了することによりほぼ一定の変形抵抗状態になることが確認されたことから規定している。
なお、本発明におけるひずみは、下記数1の「e」によって表される。ここで、式中「l」は加工後の加工方向標点間距離であり、「l」は加工前の加工方向標点距離である。
Figure 0005725457
加工後の冷却速度:5〜400℃/秒
熱間加工後は動的再結晶により生成したナノ結晶粒を粗大化させないために、5℃/秒以上の冷却速度で冷却する必要がある。また、実用上現実的な400℃/秒以下とする。
なお、この熱間加工は様々な塑性加工(圧延加工、引抜き加工、スウェ−ジング加工、鍛造加工)に適用可能である。
以上の製造方法により製造した本発明のα+β型Ti合金は、粒径が1μm以下の結晶が面積率で60%以上であり、最大頻度粒径が0.5μm以下の等軸晶である超微細組織を有し、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっていることを特徴とする。
本発明のα+β型Ti合金によれば、上記のような超微細組織を有するため、塑性変形温度650〜950℃の範囲で、引張ひずみ速度が1×10−4〜10−2/秒の範囲において超塑性現象を発現する。なお、ここでの超塑性現象とは、一般定義に則り変形応力のひずみ速度感受性指数mが0.3以上で、200%以上の塑性伸びを示す現象である。ひずみ速度感受性指数mとは、対数表記したひずみ速度−応力曲線の勾配に相当する値である。このmは通常の塑性変形の場合はせいぜい0.1〜0.2以下であるのに対し、超塑性が発現する領域では1>m≧0.3と大きくなる。
本発明のα+β型Ti合金は、4〜9質量%のAl、2〜10質量%のV、残部がTiおよび不可避不純物からなる組成であり、一般に広く用いられているTi−6Al−4V合金であることが好ましい。
本発明によれば、強加工プロセスによらないで従来の板材製造コストと同程度に製造することができ、従来のα+β型Ti合金と比べて低温−高速超塑性を示す超微細組織を有するα+β型Ti合金およびその製造方法を得ることができる。
本発明材のX線回折(XRD)プロファイルを示す図である。 (A)は後方散乱電子線回折(EBSD)法により測定した本発明材の組織形態と結晶粒径分布を示す図であり、(B)は本発明材の加工面の法線方向(加工方向)での最密六方晶の(0001)面方位の集積度(結晶配向)分布を示す図である。 (A)はEBSD法により測定した比較材の組織形態と結晶粒径分布を示す図であり、(B)は比較材の加工面の法線方向(加工方向)での最密六方晶の(0001)面方位の集積度(結晶配向)分布を示す図である。 本発明材からなる試験片の引張試験後の外観および破断伸びを示す図である。 本発明材の加工時に導入した熱間加工ひずみ(ε)と本発明材の引張ひずみ速度1×10−2/秒での引張試験時の破断伸びとの関係を示すグラフである。 各引張試験温度における引張ひずみ速度と破断伸びとの関係を示すグラフである。 引張試験後の本発明材の組織の特徴を示す図であり、(A)はEBSD法により測定した組織形態と結晶粒径分布を示す図であり、(B)は本発明材の加工面の法線方向(加工方向)での最密六方晶(0001)面方位の集積度(結晶配向)分布を示す図である。
1.組織について
厚さ4mmのTi−6Al−4V合金の板材を用意し、1100℃、30分の条件で溶体化処理を施した後、水中において冷却速度20℃/以上で焼入れ処理を行い、アシキュラ−状のα’マルテンサイト組織を形成した。その後、板材を炉に入れ、昇温速度3.5〜800℃/秒で加熱し、板材温度700〜850℃に到達後速やかに板材を取り出し、厚さが1.4mm以下(負荷されるひずみ量が1以上になる条件)となるように1パスで熱間圧延加工を行った。ロ−ル周速は圧延出口におけるひずみ速度が1〜50/秒の範囲となるようにした。圧延後、冷却速度5〜400℃/秒において板材を冷却した。
得られた板材について、その断面をX線回折(XRD)装置によって分析した。そのXRDプロファイルの一例を図1に示す。図1は、本発明例1のXRDプロファイルであり、加工温度800℃、加工ひずみ1.05、加工ひずみ速度7/秒の条件で加工したものである。図1より、圧延後の構成相はほぼα相単相であることが分かる。
次に、後方散乱電子回折(EBSD)装置((株)TSLソリュ−ションズ製、OIM ver4.6)により組織形態の観察を行った。具体的には、粒界マップを作成し、板材の主な構成相であるα相についてその結晶粒径分布の測定を行った。加工後の板材の代表的な組織形態を図2(A)に示す。図2(A)において、本発明例2は加工温度800℃、加工ひずみ1.05、加工ひずみ速度7/秒の条件で加工したものである。また、図2(A)において、上段が本発明例1および2の圧延面(加工面)の組織を示すEBSD法による粒界マップであり、下段は本発明例1および2の組織に対応したα相の結晶粒径の分布を示すグラフである。なお、粒界マップにおいて、RDとは圧延方向を示し、TDとは横断方向を示す。
図2(A)に示す粒界マップより、本発明例1および2の圧延面では、結晶粒が圧延方向に伸長した形態が若干存在するものの、微細な等軸組織が多く占める形態であることが分かる。また、図2(A)に示すグラフから、粒径の最大頻度のピ−クはいずれも0.5μm以下で現れることが分かり、粒径が1μm以下の結晶の面積率は60%以上であった。これらのことから、熱間圧延加工によって、粒径が1μm以下の結晶の面積率が60%以上であり、結晶粒径の最大頻度が0.5μm以下である等軸晶の超微細組織が形成されていることが分かる。
図2(B)は本発明例1および2における圧延面の法線方向(加工方向)での最密六方晶の(0001)面方位の集積度(結晶配向)分布を示す図である。図2(B)から分かるように、本発明例1および2の組織の特徴として、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっている。このように、本発明材は特定角度範囲に高頻度で特定方位の結晶が存在する。
比較のため、厚さ4mmのTi−6Al−4V合金の板材を1100℃、30分の条件で溶体化処理を施した後、水中において冷却速度20℃/以上で焼入れ処理を行い、アシキュラ−状のα’マルテンサイト組織を形成した。その後、板材を炉に入れ、昇温速度100℃/秒で加熱し、板材温度700〜800℃に到達後速やかに板材を取り出し、厚さが2.37mmとなるように1パスで熱間圧延加工を行った場合のロ−ル周速は圧延出口においてひずみ速度が10/秒となるように、また厚さが1.85mmとなるように1パスで熱間圧延加工を行った場合のロ−ル周速は圧延出口においてひずみ速度が1/秒となるようにし、圧延後、冷却速度5〜400℃/秒において板材を冷却して各種比較例を得た。比較例1は加工温度700℃、加工ひずみ0.77、加工ひずみ速度1/秒、比較例2は加工温度800℃、加工ひずみ0.77、加工ひずみ速度1/秒の条件で加工したものである。図3(A)の上段に、比較例1および2の圧延面(加工面)の組織を示すEBSD法による粒界マップを示し、図3(A)の下段には、比較例1および2の組織に対応したα相の結晶粒径の分布を示すグラフを示す。また、図3(B)には、比較例1および2における圧延面の法線方向(加工方向)での最密六方晶の(0001)面方位の集積度(結晶配向)分布を示す。図3(A)および3(B)から分かるように、粒径が1μm以下の結晶の面積率が60%以上であり、最大頻度の結晶粒径は0.5μm以下の等軸晶であったが、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が低く広い角度範囲に渡り分布しており、結晶配向度は低くランダムに近かった。これは、導入されたひずみ量が0.77と小さかったためと考えられ、後述のように、引張試験温度650(比較例1)及び700℃(比較例2)、引張ひずみ速度0.01/秒において引張試験を行うと、その破断伸びは200%未満となった。
2.引張試験
次に、上記と同様の条件で本発明材を作製し、図4に示す形状に成形して引張試験片を用意した(本発明例3〜13)。引張試験は、所定の試験温度で引張ひずみ速度を1×10−4〜10−2/秒の範囲で変化させて行い、超塑性現象の発現の有無について評価した。試験温度は従来のTi合金の超塑性現象発現温度よりも低い650℃、700℃、750℃とした。例えば従来のTi−6Al−4V合金(結晶粒径:3〜10μm、等軸晶(α+β組織))では超塑性現象は800〜950℃程度で発現するが、それよりも150℃以上低い試験温度とした。また、変形応力のひずみ速度感受性指数mが0.3以上で、200%以上の破断伸び(塑性伸び)を示した場合に、一般定義に則り超塑性現象が発現したものと判断した。また、比較のため、厚さ4mmのTi−6Al−4V合金の板材を表1に示す加工条件において比較例1および2と同様の工程によって製造し、比較例3〜6を得た。
図4に引張試験後の試験片外観と破断伸びの一例を示す。図4に示すように、本発明のTi−6Al−4V合金板材(最大頻度結晶粒径dα=0.5μm以下)はいずれの試験条件においても200%以上の高い破断伸びを示しており、650〜750℃の引張試験温度、1×10−4〜10−2/秒の引張ひずみ速度において超塑性現象が発現することが分かる。
本発明材の加工条件、組織形態、引張試験条件およびその結果を表1にまとめた。粒径1μm以下の結晶の面積率、最大頻度結晶粒径はEBSD法により測定を行った。表1において、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっている場合を○とし、超塑性現象が発現したものを○とした。表1に示すように、本発明例3〜13では、粒径が1μm以下の結晶の面積率が60%以上、最大頻度結晶粒径が0.5μm以下、集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっており、微細結晶粒組織からなる。その結果、650〜750℃の低温かつ引張ひずみ速度が1×10−4〜1×10−2/秒の高速においても超塑性現象が発現したと考えられる。一方、比較例3、6では、加工ひずみが1未満と小さく、集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっておらず、最大頻度結晶粒径が0.5μmを超えていた。比較例4、5では加工ひずみが1未満と小さく、集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっておらず、そのためひずみ速度感受性指数が0.3未満となって超塑性現象が発現しなかった。
Figure 0005725457
図5に、本発明材を得る為に導入した750〜850℃での熱間加工ひずみとそれにより得られた本発明材の引張ひずみ速度1×10−2/秒での引張試験時の破断伸びとの関係を示す。図5に示すように、加工温度が750〜850℃において、加工ひずみが1未満では組織形態の違い、および集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっていないため、破断伸びが200%以上とならず、超塑性現象が発現しない。
3.従来材との比較
破断伸びについて、本発明材とTi−6Al−4V合金の従来材および強加工プロセスにより結晶粒を微細化した強加工材(非特許文献10)との比較を行った。従来材は、平均結晶粒径d=11μm、焼鈍処理:850℃で2時間行ったものであり、強加工材はECAP法により製造したものであり、平均結晶粒径d=0.3μm、加工ひずみ3.92である。図6は加工温度750〜850℃、加工ひずみ1.05の熱間加工により得た本発明材(本発明例3、4、6〜8、11、12)の各引張試験温度における引張ひずみ速度1×10−4〜10−2/秒と破断伸びの関係を示すグラフである。図6に示すように、本発明材は、各引張試験温度において、引張ひずみ速度1×10−4〜10−2/秒にける破断伸びが従来材よりも著しく向上している。また、本発明材は、強加工材と比べ、各引張試験温度、各引張ひずみ速度において同等以上の破断伸びを示す。特に、引張試験温度650℃、ひずみ速度1×10−2/秒において強加工材は200%未満であるのに対し、本発明材は破断伸びが200%以上と良好である。
表2に本発明材(本発明例4、8、12)および上述の非特許文献10に記載の強加工材および従来材のひずみ速度1×10−2/秒における各塑性変形温度(引張試験温度)でのひずみ速度感受性指数m値を示す。一般に、m値は通常の塑性変形の場合、約0.1〜0.2以下であるのに対し、超塑性が発現する領域では1>m≧0.3と大きくなる。本発明材は強加工材や従来材よりも高いm値を示し、0.3を超えており、優れた超塑性特性を示すことが分かる。
Figure 0005725457
図7(A)に本発明材の引張試験温度700℃、引張ひずみ速度1×10−2/秒での引張試験後の組織形態を示す。なお、本発明材は上記本発明例1〜13と同様な工程により作製したものであるが、熱間圧延時の昇温速度は12℃/秒、試料温度が700℃になった時点で厚さが1.4mmとなるように1パスで熱間圧延加工を行った。ロール周速は圧延出口でのひずみ速度が7/秒となるように設定して圧延加工を行った。圧延後の試料の冷却速度は約100℃/秒とした。図7(A)の上段に、圧延面(加工面)の組織を示すEBSD法による粒界マップを示し、図7(A)の下段には、該組織のα相の結晶粒径の分布を示すグラフを示す。また、図7(B)には、当該材の圧延面の法線方向(加工方向)での最密六方晶の(0001)面方位の集積度(結晶配向)分布を示す。図7(A)に示すように、本発明材は引張試験後においても結晶粒径が約1μmの均質な等軸微細組織を有する。最大頻度結晶粒径は1.15μmであり、図7(B)から結晶配向度が引張試験前(本発明材)よりも低下しているが、直径1μm程度の均一な等軸晶が生成するため、変形後も高強度を有することが分かる。
以上のように、本発明によれば、既存のTi−6Al−4V合金において、α’マルテンサイト組織を出発組織として、加工温度および加工速度を適切に制御して塑性加工を施すことにより、ほぼα単相であり、粒径が1μm以下の結晶の面積率が60%以上かつ最大頻度結晶粒径が0.5μm以下であり、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっている等軸状微細組織を示すTi−6Al−4V合金板材を製造することができる。この加工過程では加工ひずみを1以上(例えば圧延加工で4mmの厚さを1.4mm以下までに加工する)導入するだけで、超微細組織を得ることが出来る。これは、α’マルテンサイトを出発組織として高いひずみ速度で熱間加工することによって、従来ではほとんど活動しない不連続動的再結晶が活発に活動したためである。そのため、上述した強加工プロセスとは異なり、より実用的に加工を行うことができ、生産コストも既存のTi合金板材の製造コストと同等程度までに抑えることができる。したがって、既存の設備を利用した簡易な製造方法で、低温−高速超塑性を示す超微細結晶粒を有するTi−6Al−4V合金材を得ることができる。
なお、本発明では、Ti合金のα’マルテンサイト組織を出発組織として、適切な加工条件で熱間加工を施すことによって結晶粒微細化を行うため、この方法はTi−6Al−4V合金だけでなく他のα+β型合金にも適用可能であり、他のα+β型合金においても超塑性現象の低温−高速化を達成することができる。たとえば、他のα+β型合金としては、Ti−8Mn、Ti−3Al−2.5V、Ti−6Al−6V−2Sn、Ti−7Al−1Mo、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−5Al−2Cr−1Fe、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Moなどが挙げられる。
Ti合金で超塑性加工が施されている製品全般に適用可能である。また、現在、超塑性ブロ−成形/拡散接合(SPF/DB)が利用されているTi合金部材全般にも適用可能である。例えば超塑性加工されている航空機用Ti合金部材(たとえば、非特許文献11参照)に適用出来る。また化学プラント、エネルギ−製造用プラント、一般民生品、スポ−ツ用品など超塑性加工が施される部材にも適用可能である。更に、本発明のα+β型Ti合金は低温(650℃以上)で10−2/秒という工業生産速度に匹敵する高速下においても超塑性を示し、超塑性変形後も高強度の微細な結晶粒組織が得られることから、これを利用した板材、棒材、線材加工への1次加工用への適用も可能である。

Claims (4)

  1. 4〜9質量%のAl、2〜10質量%のV、残部がTiおよび不可避不純物からなる組成を有し、粒径が1μm以下の結晶が面積率で60%以上であり、最大頻度粒径が0.5μm以下の等軸晶である超微細組織を有し、最密六方晶の(0001)面方位の集積度が1.00以上の部分が加工面の法線方向に対して0〜60°の範囲に収まっていることを特徴とするα+β型Ti合金。
  2. 塑性変形温度650〜950℃の範囲で、引張ひずみ速度が1×10−4〜10−2/秒の範囲において超塑性現象が発現する請求項1に記載のα+β型Ti合金。
  3. Ti−6Al−4V合金であることを特徴とする請求項1または2に記載のα+β型Ti合金。
  4. 1000℃以上に加熱し、1秒以上保持して、冷却速度20℃/秒以上で室温まで冷却後、昇温速度3.5〜800℃/秒において700〜850℃の温度まで加熱し、10分未満保持した後、1〜50/秒のひずみ速度でひずみ量が1以上となるように熱間加工を行い、冷却速度5〜400℃/秒で冷却することを特徴とする請求項1または2に記載のα+β型Ti合金の製造方法。
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