JP6538410B2 - 不織布及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、起毛繊維を含む不織布及びその製造方法に関する。
例えば、使い捨ておむつ等の吸収性物品には、破断強度が高く加工適正に優れ、しかも経済的であるとの理由からスパンボンド不織布が多用されている。しかし、スパンボンド不織布は、その製造法上、全体にふっくら感等が足らず、肌触りを向上させることが難しかった。
本出願人は、先に、長繊維の一部が破断されて、一端部のみが熱融着部により固定され他端部側の自由端部が太くなっている起毛繊維を備えている不織布を提案した(特許文献1参照)。特許文献1に記載の不織布によれば、破断強度が高いにも拘わらず、全体にふっくら感があり、しなやかで肌触りが良好である。
また、本出願人は、起毛部位と起毛していない部位を有し、起毛部位と起毛していない部位がストライプ柄状に形成されている不織布を提案した(特許文献2参照)。特許文献2に記載の不織布によれば、繊維を起毛することにより風合いが向上するとともに、強度も向上する。
これらとは別の技術として、特許文献3には、表面から離れて延びる遊離端部を有する変位繊維が配された領域が、面方向に複数個離散して形成された繊維ウェブに関する技術が開示されている。特許文献3に記載の繊維ウェブによれば、前記変位繊維が配された領域が面方向に離散しているので、流体の吸い上げ能力が向上するとともに、流体獲得能力も向上する。
特開2012−92475号公報 特開2011−137248号公報 特表2012−528955号公報
しかし、特許文献1に記載の不織布は、不織布の全面に起毛繊維が配されているので、不織布全体の強度を更に向上させることが難しかった。また、特許文献2に記載の不織布は、ストライプ柄状に不織布の全面に起毛繊維が配されているので、ストライプ柄の延びる方向の不織布の強度と肌触りは向上するが、ストライプ柄の延びる方向に直交する方向の不織布の強度と肌触りとを向上させることが難しかった。このように特許文献2に記載の不織布は、不織布の方向により強度及び肌触りが異なっており、不織布全体の強度と心地よい肌触りの両方を実現することが難しかった。更に、特許文献3に記載の繊維ウェブは、遊離端部を有する変位繊維が配された領域が面方向に離散しており、連続していないので、心地よい肌触りを実現することができていない。
本発明は、相対的に低伸度の長繊維から形成された低伸度層と相対的に高伸度の長繊維から形成された高伸度層とを有し、該低伸度層及び該高伸度層を複数の熱融着部により固定した不織布であって、前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定されている起毛繊維を備えており、前記不織布を平面視して、前記起毛繊維を含む起毛領域と、該起毛繊維を含まない非起毛領域とに区分されており、該非起毛領域が、平面方向に複数点在している不織布を提供するものである。
また、本発明は、原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施して該原料不織布の構成繊維を起毛する起毛加工工程を有する不織布の製造方法であって、前記原料不織布は、相対的に高伸度の長繊維から形成された高伸度層と相対的に低伸度の長繊維から形成された低伸度層とを有し、該高伸度層及び該低伸度層を複数の熱融着部により固定した不織布であり、前記起毛加工工程においては、一方のローラが周面に均一に分散する複数個の凸部を有し、他方のローラが周面に一方の前記ローラの前記凸部に対応する位置に該凸部が入り込む凹部を有する一対の凹凸ローラの間に、前記原料不織布を搬送して部分延伸加工を施し、前記長繊維の一部を破断して一端のみが前記熱融着部により固定された起毛繊維を形成すると共に、該起毛繊維を含む起毛領域と該起毛繊維を含まない非起毛領域とに区分されており、該非起毛領域が平面方向に複数点在する不織布を製造する不織布の製造方法を提供するものである。
本発明の不織布によれば、破断強度が更に向上し、ふっくら感があり、しなやかで心地よい肌触りを実現することができる。
また、本発明の不織布の製造方法によれば、破断強度が更に向上し、ふっくら感があり、しなやかで心地よい肌触りを実現する不織布を連続して効率的に製造することができる。
図1は、本発明の不織布の一実施形態を示す平面図である。 図2は、図1に示すII−II線断面図である。 図3は、本発明の不織布を構成する構成繊維の繊維径を測定する方法を示した模式図である。 図4は、図1に示す不織布の有する自由端部が太くなっている繊維を示す斜視図である。 図5は、本発明の不織布の起毛している繊維の量を測定する方法を示した模式図である。 図6は、本発明の不織布の製造方法に用いられる好適な製造装置を示す模式図である。 図7は、図6に示す製造装置の備える起毛加工部の要部拡大断面図である。 図8は、図6に示す起毛加工部の第1凹凸ローラ及び第2凹凸ローラを噛み合わせたときに、噛み合わせの深さdを二等分する位置d1/2にて平断面視した平断面図である。 図9は、図6に示す起毛加工部にて原料不織布に部分延伸加工を施している状態を示す要部拡大断面図である。 図10は、本発明の不織布の使用形態の例を説明するための図であり、パンツ型使い捨ておむつを展開して伸長させた状態を示す展開平面図である。 図11は、図10のXI−XI線断面図である。
以下、本発明の不織布を、その好ましい実施形態に基づき、図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施形態の不織布1は、図1,図2に示すように、相対的に低伸度の長繊維2Aから形成された低伸度層3Aと相対的に高伸度の長繊維2Bから形成された高伸度層3Bとを有し、低伸度層3A及び高伸度層3Bを複数の熱融着部4,4,4・・・により固定した不織布である。不織布1については、図1に示すように、構成繊維の配向方向に沿うMD方向をY方向、それと直交するCD方向をX方向と判断する。従って、以下の説明では、Y方向とMD方向とは同じ方向を意味し、X方向とCD方向は同じ方向を意味する。
本実施形態の不織布1について、詳述すると、不織布1は、相対的に低伸度の長繊維2Aから形成された低伸度層3Aと相対的に高伸度の長繊維2Bから形成された高伸度層3Bとの複数層を有し、低伸度層3Aとなるウェブ3A’と高伸度層3Bとなるウェブ3B’を熱融着部4により間欠的に、互いの繊維を圧着または融着し、固定して形成された積層のスパンボンド不織布を元に形成されている。ここで、複数層の積層のスパンボンド不織布としては、2層以上5層以下であることが好ましく、本実施形態においては2層から形成された積層のスパンボンド不織布が用いられている。以下、元のスパンボンド不織布を原料不織布10として説明する。原料不織布10は、長繊維2A又は長繊維2Bの一部を破断する前の不織布である。ここで、「長繊維」とは、30mm以上の繊維長を有するもので、原料不織布10としては、繊維長150mm以上の所謂連続長繊維であると破断強度が高い不織布1が得られる点で好ましい。
複数層からなる積層の原料不織布10としては、例えば、スパンボンド−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−スパンボンド−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等が挙げられる。原料不織布10は、安価でかつ、良好な肌触り感が得られること、また加工適正の観点から、その坪量が、5g/m以上であることが好ましく、そして100g/m以下あることが好ましく、25g/m以下であることが更に好ましく、具体的には、5g/m以上100g/m以下あることが好ましく、5g/m以上25g/m以下であることが更に好ましい。尚、原料不織布10を元とする不織布1の坪量も、原料不織布10の坪量と同様である。
原料不織布10における低伸度層3Aを形成する低伸度の長繊維2Aは、高伸度層3Bを形成する長繊維2Bよりも相対的に伸度が低い長繊維であればよく、具体的には、ホモポリプロピレンを主とする樹脂から形成されていることが好ましい。尚、低伸度の長繊維2Aは、ホモポリプロピレンを主とする樹脂から形成された1種の繊維から構成されている。ここで、ホモポリプロピレンには、立体規則性の異なるホモポリプロピレンも含まれる。長繊維2Aの繊維径は、原料不織布10において、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、そして、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが更に好ましく、具体的には、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。尚、長繊維2Aには、静電気防止特性剤、潤滑剤、親水剤など少量の添加物を付与してもよい。
原料不織布10における高伸度層3Bを形成する高伸度の長繊維2Bは、低伸度層3Aを形成する長繊維2Aよりも相対的に伸度が高い長繊維であればよく、具体的には、コポリプロピレンを含む樹脂から形成されていることが好ましい。尚、高伸度の長繊維2Bは、コポリプロピレンを含む樹脂から形成された1種の繊維から構成されている。コポリプロピレンとしては、エチレン、プロピレン又はブデン等の他のオレフィンと、プロピレンとのブロックコポリマー或いはランダムコポリマーを含む意味である。コポリプロピレンの中でも特にプロピレン−エチレン共重合体が肌触りの観点から好ましく用いられる。また、高伸度の長繊維2Bは、捲縮性を有していることが好ましく、具体的には、コポリプロピレン樹脂と、コポリプロピレン樹脂とは別の樹脂とから構成された複合繊維を用いることができる。また、捲縮性を有する長繊維2Bに、重合度又は添加剤を異ならせて形成されたコポリプロピレン樹脂同士から構成された複合繊維を用いることもできる。捲縮性の複合繊維としては、サイドバイサイド繊維、芯鞘繊維、偏芯したクリンプを有する芯鞘繊維などが挙げられる。長繊維2Bの繊維径は、原料不織布10において、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、そして、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが更に好ましく、具体的には、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。尚、長繊維2Bには、静電気防止特性剤、潤滑剤、親水剤など少量の添加物を付与してもよい。
原料不織布10において、低伸度層3Aを形成する低伸度の長繊維2Aは、繊維を破断して起毛繊維を形成する加工性向上と不織布強度維持の観点から、5%以上の伸度であることが好ましく、更に10%以上の伸度であることが好ましく、そして20%以下の伸度であることが好ましく、更に15%以下の伸度であることが好ましく、具体的には、5%以上20%以下の伸度であることが好ましく、更に10%以上15%以下の伸度であることが好ましい。前記伸度は以下の方法で測定される。
原料不織布10において、高伸度層3Bを形成する高伸度の長繊維2Bは、不織布強度維持及びしなやかで心地よい肌触りを実現する観点から、20%以上の伸度であることが好ましく、更に30%以上の伸度であることが好ましく、そして70%以下の伸度であることが好ましく、更に60%以下の伸度であることが好ましく、具体的には、20%以上70%以下の伸度であることが好ましく、更に30%以上60%以下の伸度であることが好ましい。前記伸度は以下の方法で測定される。
低伸度繊維2Aの伸度(%)と高伸度繊維2Bの伸度(%)との伸度の差(%)は、5パーセントポイント以上の差があることが好ましく、更に好ましくは10パーセントポイント以上の差があることが好ましい。前記の伸度は以下の方法で測定される。
〔長繊維の伸度の測定法〕
22℃65%RH環境下にて、原料不織布10から、X方向に5mm、配向方向(Y方向)に30mm以上の寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片の中央領域にあるY方向に隣り合う2個の熱融着部3,3を選出する。次に、図3に示すように、選出した熱融着部3,3どうしの間に位置する不織布、言い換えれば、選出した2個の熱融着部3,3で挟まれた領域Tの不織布の伸度を測定するために、2個の熱融着部3,3のY方向の中間位置にて、前記長方形形状の測定片のY方向に沿う両側縁それぞれから領域TのY方向に沿う両側縁それぞれの位置まで、X方向に延びる切り込みを入れる。更に、切り込みを入れた箇所に位置する不織布の第一面側近傍に存在する繊維を残して、厚み方向に残りの繊維をカットした測定サンプルを作製する。この測定サンプルを、Y方向が引張方向となるように、引張試験機(例えば、株式会社オリエンテック製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は25mmとする。測定サンプルを50mm/分で引っ張り、最大引張荷重をかけた際の伸度(%)を測定する。尚、伸度(%)は、設定した上記チャック間距離に対する、伸長されて増加した分の長さの割合であり、例えば、設定した上記チャック間距離25mmのものを50mmに伸長するとその伸度(%)は{(50−25)/25}×100=100%とされる。同じように不織布の第2面近傍の繊維のみを残して作製したサンプルを測定する。
尚、本実施形態の不織布1を一部材として使用した製品(例えば使い捨ておむつの形態)の場合に、該不織布1の各物性測定を行うには、適切な溶媒を用いて接着剤を溶解して、該不織布1を他部材から剥がし、取り出した該不織布1を測定する。
本実施形態の不織布1では、図1,図2に示すように、熱融着部4は、原料不織布10の段階から、肌触りや、加工適正の観点から、各熱融着部4の表面積が、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、1mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.05mm以上10mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1mm以下であることが更に好ましい。熱融着部4の数は、10個/cm以上であることが好ましく、35個/cm以上であることが更に好ましく、そして、250個/cm以下であることが好ましく、65個/cm以下であることが更に好ましく、具体的には、10個/cm以上250個/cm以下であることが好ましく、35個/cm以上65個/cm以下であることが更に好ましい。隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離は、不織布1においては、後述する製造装置100の備える各凸部611の頂部における最大径(後述する不織布1の各非起毛領域NTの最大径)よりも短く、後述する製造装置100の備える隣り合う一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621との間隔(後述する不織布1の非起毛領域NT,NT同士の間隔)よりも長く形成されている。具体的に隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離は、0.8mmであることが好ましく、1.3mm以上であることが更に好ましく、そして、3.5mm以下であることが好ましく、3.0mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.8mm以上3.5mm以下であることが好ましく、1.3mm以上3.0mm以下であることが更に好ましい。ここで、隣り合う熱融着部4,4同士とは、最も近い熱融着部4,4同士のことを意味する。
熱融着部4は、後述する製造装置100の原料不織布形成部5の備える一対のエンボスローラ53,54による熱圧着により間欠的に形成されたものや、超音波融着によるもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させたものなどが挙げられる。この中で熱圧着によるものが繊維を破断させやすい点で好ましい。熱融着部4の形状は、特に制限されず、例えば、図1に示す菱形の他、円形、楕円形、三角形等の多角形などの任意の形状であってもよい。不織布1の一面の表面積に占める熱融着部4の合計表面積の割合は、毛玉が出来難い観点から、5%以上であることが好ましく、10%以上であることが更に好ましく、そして、30%以下であることが好ましく、20%以下であることが更に好ましく、具体的には、5%以上30%以下であることが好ましく、10%以上20%以下であることが更に好ましい。
原料不織布10を基に形成される本実施形態の不織布1は、図1,図2に示すように、長繊維2A又は長繊維2Bの一部が破断されて、一端部20aのみが熱融着部4により固定され他端部側が自由端部20bとなっている起毛繊維20を備えている。起毛繊維20は、本実施形態においては、低伸度層3Aを形成する低伸度の長繊維2Aの一部が破断されて形成されている。不織布1は、自由端部20bを有する起毛繊維20、後述する熱融着部4,4同士の間でループ状に起立するループ状の繊維23(起毛繊維20、ループ状の繊維23をあわせて「起毛している繊維」という)及び「起毛している繊維」以外の起毛していない繊維で構成されている。不織布1は、この起毛していない繊維を主として形成されている。そして起毛繊維20は、図4に示すように、自由端部20bが太くなっている繊維21及び自由端部20bが太くなっていない繊維22からなる。先端が太くなっている繊維21としては、その先端部における断面が扁平状(楕円や潰れた形状)であるものが好ましい。ここで、「自由端部」とは、一端部20aのみが熱融着部4により固定されている起毛繊維20における「他端部」のことを意味し、言い換えれば「先端部」を意味する。自由端部20bが太くなっているか否かは、以下の測定法により繊維径を測定し、先端繊維径の増加割合を算出し判断する。
〔繊維径の測定法〕
先ず、22℃、65%RH環境下にて、図3(a)に示すように、測定する不織布1から、鋭利なかみそりで、CD方向に2cm、MD方向に2cmの大きさの測定片を切り出す。そして、図3(b)に示すように、複数個の熱融着部4を通るCD方向に延びる折り返し線Zにて山折りした測定サンプルを、図3(c)に示すように、カーボンテープを載せた走査型電子顕微鏡(SEM)用アルミ製試料台に載せて固定する。次に、およそ750倍に拡大したSEM画像から、一端部20aのみが熱融着部4により固定されている起毛繊維20をランダムに10本選出し、それら繊維の自由端部の先端付近の写真撮影を行なう。得られた写真(図4参照)から、自由端部20bの先端から120μm離れた位置での起毛繊維20の繊維径(自由端部20bを除く部位での起毛繊維20の径21a)をそれぞれ測定する。自由端部20bを除く部位での起毛繊維20の径21aの測定時における傾きを、そのまま自由端部20b側に平行移動し、自由端部20bの先端と先端から20μm離れた位置との間に挟まれた領域において最も太くなっている位置での繊維21の繊維径(自由端部20bでの繊維21の径21b)を測定する。尚、先端部が扁平状である場合は観察角度によっては先端が太く見えない場合もあるが、その場合でも得られた写真でそのまま測定する。不織布が商品にホットメルト等で接合されている場合でも、不織布を切り出して測定する。またホットメルトを溶かす溶媒を用いて、ホットメルトを除去してもよい。
自由端部20bが太くなっている繊維21とは、先のランダムに選出した10本の起毛繊維20の中で、10本の起毛繊維20の写真それぞれから測定した、自由端部20bでの起毛繊維20の径21bと、自由端部20bを除く部位での起毛繊維20の径21aとから、下記の式(1)で求められる先端繊維径の増加割合の値が15%以上との要件を満たす繊維であることを意味し、熱融着部4同士の間(熱融着部4と繊維との境界を除く、繊維形態部分)での繊維の切断が抑えられ、破断強度の減少が抑えられ、肌触りの良いものが得られる観点から、20%以上大きくなっていることが好ましく、25%以上大きくなっていることが更に好ましい。

先端繊維径の増加割合(%)=[((21b−21a)÷21a)×100]・・・(1)
不織布1においては、肌に接した際の心地よい肌触りと破断強度の両立の観点、ふっくら感向上の観点から、一端部20aのみが熱融着部4により固定されている起毛繊維20(自由端部20bが太くなっている繊維21及び自由端部20bが太くなっていない繊維22)における、自由端部20bが太くなっている繊維21の割合が、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、40%以上であることが特に好ましい。自由端部20bが太くなっている繊維21の割合は、上述した繊維径の測定法において、ランダムに10本選んだ起毛繊維20をおよそ750倍に拡大したSEM画像から、先端繊維径の増加割合をそれぞれ算出し、自由端部20bが太くなっている繊維21の割合を算出する。
上述したように、不織布1は、図1,図2に示すように、熱融着部4,4同士の間でループ状に起立するループ状の繊維23を有している。起立している「ループ状の繊維23」とは、上述した繊維径の測定法において図3(c)のように観察した際、他端部側に自由端部20bを有さず、折り返し線Zから0.5mm以上離れて起立している繊維を意味する。
不織布1は、図1に示すように平面視して、起毛繊維20を含む起毛領域KTと、起毛繊維20を含まない非起毛領域NTとに区分されており、非起毛領域NTが、平面方向に複数点在している。非起毛領域NTの輪郭形状は、後述する製造装置100の起毛加工部6の備える一対の凹凸ローラ61,62の周面の凸部611,621の頂部形状に対応する形状となっている。非起毛領域NTの輪郭形状は、特に制限されず、例えば、図1に示す円形の他、楕円形、菱形、三角形等の多角形などの任意の形状であってもよい。各非起毛領域NTの最大径は、不織布1においては、上述した隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離よりも長く形成されており、具体的には、2.0mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることが更に好ましく、そして、5.0mm以下であることが好ましく、3.5mm以下であることが更に好ましく、具体的には、2.0mm以上5.0mm以下であることが好ましく、2.5mm以上3.5mm以下であることが更に好ましい。
不織布1において、各非起毛領域NTの表面積は、3.0mm以上であることが好ましく、5.0mm以上であることが更に好ましく、そして、20mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが更に好ましく、具体的には、3.0mm以上20mm以下であることが好ましく、5.0mm以上20mm以下であることが更に好ましい。非起毛領域NTの数は、3個/cm以上であることが好ましく、5個/cm以上であることが更に好ましく、そして、16個/cm以下であることが好ましく、10個/cm以下であることが更に好ましく、具体的には、3個/cm以上16個/cm以下であることが好ましく、5個/cm以上10個/cm以下であることが更に好ましい。
また、不織布1において、隣り合う非起毛領域NT,NT同士の間隔は、不織布1においては、上述した隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離よりも短く形成されており、具体的には、0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1mm以下であることが更に好ましい。ここで、隣り合う非起毛領域NT,NT同士とは、最も近い非起毛領域NT,NT同士のことを意味する。また、非起毛領域NT,NT同士の間隔とは、一方の非起毛領域NTの輪郭と、他方の非起毛領域NTの輪郭との最短距離を意味する。不織布1の一面の表面積に占める非起毛領域NTの合計表面積の割合は、肌触りと強度の観点から、40%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、そして、80%以下であることが好ましく、70%以下であることが更に好ましく、具体的には、40%以上80%以下であることが好ましく、40%以上70%以下であることが更に好ましい。
非起毛領域NT内には、図1に示すように、起毛繊維20のみならずループ状の繊維23も含まれておらず、起毛している繊維が存在しない領域となっている。言い換えれば、非起毛領域NTは、起毛している繊維以外の起毛していない繊維のみで構成されている。このような非起毛領域NTが、不織布1においては、図1に示すように平面視して、Y方向及びX方向それぞれに、均一に等間隔を空けて点在している。即ち、不織布1の非起毛領域NTは、Y方向及びX方向に規則的に配されている。
起毛領域KT内には、起毛していない繊維が主として配されているが、起毛繊維20(自由端部20bが太くなっている繊維21及び自由端部20bが太くなっていない繊維22)のみならずループ状の繊維23も配されている。即ち、起毛領域KT内には、起毛していない繊維と起毛している繊維とが共存している。上述したように、非起毛領域NTが平面方向に点在している為、起毛していない繊維と起毛している繊維とが共存する起毛領域KTが、Y方向に連続して延在しており、X方向にも連続して延在している。
不織布1は、使用時の破れの防止、および加工適正の観点から、その破断強度の値が、5.00N/50mm以上であることが好ましく、8N/50mm以上30N/50mm以下であることが更に好ましい。尚、原料不織布10の破断強度の値は、不織布1の破断強度を達成する目的の観点から、7N/50mm以上であることが好ましく、10N/50mm以上50N/50mm以下であることが更に好ましい。このように、後述する不織布1の製造方法は、従来の他の起毛方法に比べて、原料不織布10の破断強度の値からの低下が少ない方法である。不織布1及び原料不織布10の破断強度は、X方向(CD方向)において前記の範囲を満たしていることが好ましい。不織布1と原料不織布10の破断強度の比(不織布1の破断強度/原料不織布10の破断強度)は、0.5以上、好ましくは0.7以上、そして、1.0以下、より具体的には、0.5以上1.0以下であることが好ましく、0.7以上1.0以下であることが更に好ましい。破断強度は以下の方法で測定される。
〔破断強度の測定法〕
22℃65%RH環境下にて、不織布1又は原料不織布10から、X方向に200mm、Y方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、X方向が引張方向となるように、引張試験機(例えば、株式会社オリエンテック製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は150mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サンプル破断までの最大荷重点をX方向の破断強度とする。また、Y方向に200mm、X方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのY方向が引張方向となるように引張試験機のチャックに取り付ける。上述したX方向の破断強度の測定法と同様の手順によってY方向の破断強度を求める。不織布1が商品にホットメルト等で接合されている場合でも、不織布1を切り出して測定する。またホットメルトを溶かす溶媒を用いて、ホットメルトを除去してもよい。
不織布1は、そのバルクソフトネスが、肌触りのしなやかさに優れる観点から、4.5cN以下であることが好ましく、3cN以下であることがより好ましく、2.5cN以下であることが更に好ましく、0.1cN以上であることが好ましく、0.5cN以上であることがより好ましい。具体的には、乳児や幼児のうぶ着のようなしなやかなものになる点で、0.1cN以上4.5cN以下であることが好ましく、0.1cN以上3cN以下であることがより好ましく、0.5cN以上2.5cN以下であることが更に好ましい。
尚、原料不織布10は、そのバルクソフトネスが、柔軟なものが得られ肌触りに優れる観点から、10cN以下であることが好ましく、6cN以下であることが更に好ましく、そして1cN以上であることが好ましく、具体的には、0.5cN以上10cN以下であることが好ましく、1cN以上8cN以下であることが更に好ましい。
バルクソフトネスは、以下の測定法により測定する。
〔バルクソフトネスの測定法〕
不織布1のバルクソフトネスは、22℃65%RH環境下にて、不織布1をY方向に150mm、X方向に30mm切り出し、直径45mmのリング状に、ホッチキスを用いて端部を上下2箇所で止める。このときステープラーの芯はY方向に長くなるようにする。引張試験機(例えば、株式会社オリエンテック製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)を用いて、試料台の上に前記リングを筒状に立て、上方から台とほぼ平行な平板にて圧縮速度10mm/分の速度で圧縮していった際の最大荷重を測定し、バルクスフトネスとする。不織布1がホットメルト等で接合された商品の場合はホットメルトを溶かす溶媒で十分にホットメルトを除去してから測定する。
不織布1において、一端部20aのみが熱融着部4により固定されている起毛繊維20を含む起毛している繊維(起毛繊維20及びループ状の繊維23)は、ふっくら感があり、心地よい肌触りを実現する観点から、その量(本数)が、5本/cm以上であることが好ましく、8本/cm以上であることが更に好ましい。また、十分な破断強度が得られる観点から上限は50本/cm以下が好ましい。起毛している繊維の量(本数)は、以下の測定法により測定する。尚、ループ状の繊維23とは、図2に示すように、自由端部を有さず、両端部それぞれが熱融着部4により固定されている繊維を意味する。
〔起毛している繊維の量(本数)の測定法〕
図5は、22℃65%RH環境下にて、不織布1を構成する繊維の中で起毛している繊維の量を測定する方法を示した模式図である。先ず、測定する不織布から、鋭利なかみそりで、20cm×20cmの測定片を切り出し、図5(a)に示すように、測定片の起毛した面において、複数個の熱融着部4を通るX方向に延びる折り返し線Zにて山折りして測定サンプル104を形成する。次に、この測定サンプル104を、A4サイズの黒い台紙の上に載せ、図5(b)に示すように、さらにその上に、縦1cm×横1cmの穴107をあけたA4サイズの黒い台紙を載せる。このとき、図5(b)に示すように、測定サンプル104の折り目105が、上側の黒い台紙の穴107から見えるように配置する。両台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いる。その後、上側の台紙の穴107の両側それぞれから、折り目105に沿って外方に5cm離れた位置に、50gのおもりをそれぞれ載せ、測定サンプル104が完全に折りたたまれた状態を作る。次に、図5(c)に示すように、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製VHX−900)を用いて、30倍の倍率で、台紙の穴107内を観察し、測定サンプル104の折り目105から0.2mm上方に平行移動した位置に形成される仮想線108よりも上方に起毛している1cmあたりの起毛した繊維の本数を計測する。このようにして9箇所計測し、平均値(少数第二位を四捨五入)を起毛している繊維の量(本数)とする。不織布1が商品にホットメルト等で接合されている場合でも、不織布1を切り出して測定する。またホットメルトを溶かす溶媒を用いて、ホットメルトを除去してもよい。商品の大きさが測定片よりも小さい場合、5cm×5cmを3つ切り出し、上記方法で各三箇所合計9箇所測定し、起毛している繊維の量とする。
また、起毛している繊維の数を数える際には、例えば、図5(c)に示す繊維106aのように、折り目105から0.2mm上方にある仮想線108を2回横切る繊維がある場合、その繊維は2本と数える。具体的には、図5(c)に示す例では、仮想線108を1回横切る繊維が4本、仮想線108を2回横切る繊維106aが1本存在するが、2回横切る繊維106aは2本と数え、起毛している繊維の量は6本/cmとなる。
また、起毛している繊維は、ふっくら感を高め、タッチ感を高める観点から、その高さが0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることが更に好ましい。起毛している繊維の高さが5mmを超えると、毛羽立ち様の外観となり、使用時に擦れたりすると、毛玉になったり、毛羽抜けしたりする。この観点から、起毛している繊維の高さは5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。ここで、起毛している繊維の高さとは、繊維の長さと異なり、繊維を測定時に引っ張ることなく、自然状態での繊維の高さのことを意味する。起毛している繊維の長さの値が大きい場合や繊維の剛性が高いと、起毛している繊維の高さが高くなる傾向にある。起毛している繊維の高さは、以下の測定法により測定する。
起毛している繊維の高さは、起毛している繊維の量を測定する際に、同時に測定する。具体的には、図5(c)に示すように、台紙の穴107内を観察し、折り目105から平行に線を0.05mmごとに起毛している繊維が交わらなくなるところまで引く。次に、上述のように測定した起毛している繊維の量(0.2mm上方にある仮想線108より判断)に比べて、平行な線に交わる繊維が半分になる平行線を選び、そこから折り目までの距離を測定する。以上の操作を測定する不織布に対して3枚分計測し、1枚につき3箇所、3枚で計9箇所の平均をとり、起毛している繊維の高さとする。
次に、本発明の不織布1の好適な製造方法について、図6〜図9を参照しながら説明する。不織布1の製造方法に好ましく用いられる製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、原料不織布形成部5及び起毛加工部6を、この順で備えている。
原料不織布形成部5は、図6に示すように、第1ウェブ形成装置51、第2ウェブ形成装置52及び一対のエンボスローラ53,54を備えている。第1ウェブ形成装置51及び第2ウェブ形成装置52としては、スパンボンド紡糸装置、或いはメルトブローン紡糸装置を用いることができ、製造装置100においては、スパンボンド紡糸装置が用いられている。スパンボンド紡糸装置としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。また、メルトブローン紡糸装置を用いる場合には、スパンボンド紡糸装置における溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部が、該吐出ノズルを中心に対向配置された紡糸ダイを備えたもの等を使用することができる。
原料不織布形成部5を構成する一対のエンボスローラ53,54は、図6に示すように、周面に凸部531が設けられた凸ローラ53と、周面がフラットなアンビルローラ54とから形成されている。一対のエンボスローラ53,54は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものであり、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。
凸ローラ53の各凸部531は、凸ローラ53の周面から凸部531の頂点までの高さが、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、7mm以下であることが更に好ましく、具体的には、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上7mm以下であることが更に好ましい。凸ローラ53に関しては、製造される不織布1の熱融着部4に対応しており、最も近い隣り合う凸部531同士の中心間距離(ピッチ)は、0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましく、そして、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.1mm以上5mm以下であることが好ましく、0.5mm以上3mm以下であることが更に好ましい。また、回転軸方向(X方向)に隣り合う凸部531同士の距離(ピッチ)は、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることが更に好ましく、具体的には、1mm以上10mm以下であることが好ましく、1.5mm以上8mm以下であることが更に好ましい。周方向に隣り合う凸部531同士の距離(ピッチ)は、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることが更に好ましく、具体的には、1mm以上10mm以下であることが好ましく、1.5mm以上8mm以下であることが更に好ましい。凸ローラ53の各凸部531の頂部表面の形状は、特に制限はないが、製造される不織布1の熱融着部4の形状に対応しており、製造装置100においては、菱形に形成されている。各凸部531の頂部表面の面積は、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることが更に好ましく、そして、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下であることが更に好ましい。
起毛加工部6は、図6に示すように、一対の凹凸ローラ61,62からなるスチールマッチングエンボスローラ63を備えている。スチールマッチングエンボスローラ63は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものであり、一方の凹凸ローラ61が周面に均一に分散する複数個の凸部611を有し、他方の凹凸ローラ62が、周面に一方の凹凸ローラ61の凸部611に対応する位置に凸部611が入り込む凹部622を有している。また、他方の凹凸ローラ62が周面に均一に分散する複数個の凸部621を有し、一方の凹凸ローラ61が、周面に他方の凹凸ローラ62の凸部621に対応する位置に凸部621が入り込む凹部612を有している。一対の凹凸ローラ61,62それぞれの周面に均一に分散配置される凸部611,621に関しては、製造される不織布1に点在する非起毛領域NTに対応しており、凸部611,621及び凹部612,622が何れも千鳥状に配されている。一対の凹凸ローラ61,62は、少なくとも一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。本実施形態の製造装置100においては、互いの凸部611,621が互いの凹部622,612に対応する位置に設けられている以外は、一方の凹凸ローラ61と他方の凹凸ローラ62とは同じローラである。従って、以下の説明では、同様な部分については、主に、一方の凹凸ローラ61の凸部611について説明する。
図7に示すように、凹凸ローラ61の各凸部611は、凹凸ローラ61の底から凸部611の頂点までの高さhが、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、7mm以下であることが更に好ましく、具体的には、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上7mm以下であることが更に好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部611同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが更に好ましく、そして、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましい。周方向に隣り合う凸部611同士の距離(ピッチ)Pは、0.01mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが更に好ましく、そして、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましい。凹凸ローラ61の各凸部611の頂部表面の形状に特に制限はないが、製造される不織布1に点在する非起毛領域NTに対応しているため、製造装置100においては、円形に形成されている。各凸部611の頂部における最大径は、上述した不織布1における隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離よりも長く形成されている。各凸部611の頂部表面の面積は、不織布1の備える非起毛領域NTの表面積に対応しており、肌触りと強度維持の観点から、3.0mm以上であることが好ましく、5.0mm以上あることが更に好ましく、そして、20mm以下であることが好ましく、20mm以下あることが更に好ましく、具体的には、3.0mm以上20mm以下であることが好ましく、5.0mm以上20mm以下あることが更に好ましい。凹凸ローラ62の各凹部622は、凹凸ローラ61の各凸部611に対応する位置に配されている。凹凸ローラ61の各凸部611と凹凸ローラ62の各凸部621との噛み合いの深さd(各凸部611と各凸部621とが重なっている部分の長さ)(図7参照)は、3.5mm以上であることが好ましく、4mm以上であることが更に好ましく、そして5mm以下であることが好ましく、具体的には、3.5mm以上5mm以下であることが好ましく、4mm以上5mm以下であることが更に好ましい。
一対の凹凸ローラ61,62を噛み合わせた状態において、噛み合わせの深さdを二等分する位置d1/2(図7参照)にて平断面視(該二等分する位置d1/2にて凹凸ローラ61及び凹凸ローラ62の噛み合わせた凸部611,621をX方向に沿って平行方向に切断して視た状態)すると、製造装置100においては、図8に示すように、隣り合う一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621との間隔(最短距離)が、上述した原料不織布形成部5の凸ローラ53における最も近い隣り合う凸部531同士の中心間距離(ピッチ)よりも短く形成されている。前記隣り合う一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621との間隔(最短距離)は、起毛繊維を形成するための加工性の観点から、0.1mm以上に形成されていることが好ましく、0.2mm以上に形成されていることが更に好ましく、そして、1mm以下に形成されていることが好ましく、0.8mm以下に形成されていることが更に好ましく、具体的には、0.1mm以上1mm以下に形成されていることが好ましく、0.2mm以上0.8mm以下に形成されていることが更に好ましい。
尚、製造装置100は、図7に示すように、起毛加工部6の下流側に製造された不織布1を巻き取る巻取ローラ7を備えている。製造された不織布1は、巻取ローラ7によりロール状に巻き取られるようになっている。
次に、本発明の不織布の製造方法の一実施態様を、上述した製造装置100を用いて、図6を参照しながら説明する。
本実施態様は、原料不織布10の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施して原料不織布10の構成繊維を起毛する起毛加工工程を有する不織布の製造方法である。本実施態様では、起毛加工工程において、一対の凹凸ローラ61,62の間に、原料不織布10を搬送して部分延伸加工を施し、長繊維2A又は長繊維2Bの一部を破断して一端のみが熱融着部4により固定された起毛繊維20を形成すると共に、起毛繊維20を含む起毛領域KTと起毛繊維20を含まない非起毛領域NTとに区分されており、非起毛領域NTが平面方向に複数点在する不織布1を製造する。以下、具体的に説明する。
本実施態様の不織布の製造方法は、先ず、原料不織布形成部5を構成する第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置によって紡出された相対的に高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとなるウェブ3B’を製造し、一方向に連続搬送させる。これとは別に、原料不織布形成部5を構成する第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置によって紡出された相対的に低伸度の長繊維2Aから形成された低伸度層3Aとなるウェブ3A’を、第1ウェブ形成装置51より形成され一方向に連続搬送されている高伸度層3Bとなるウェブ3B’上に積層させる。尚、2層よりも多層の不織布を製造する場合には、更に別の紡糸装置を用意して、さらにウェブを積層させるようにすればよい。
次いで、高伸度層3Bとなるウェブ3B’上に低伸度層3Aとなるウェブ3A’が積層された積層体を、原料不織布形成部5を構成する一対のエンボスローラ53,54間に搬送し、凸ローラ53周面の凸部531とフラットなアンビルローラ54とによって、ウェブ3B’及びウェブ3A’同士を熱融着部4により間欠的に、互いの繊維を圧着または融着して固定する。このようにして、複数の熱融着部4にて固定された複数層の積層のスパンボンド不織布(原料不織布10)を製造する。製造されたスパンボンド不織布(原料不織布10)は、相対的に低伸度の長繊維2Aから形成された低伸度層3Aと、相対的に高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとを有している。
次いで、原料不織布10をスチールマッチングエンボスローラ63の一対の凹凸ローラ61,62間に搬送し、原料不織布10に部分延伸加工を施して原料不織布10の構成繊維(長繊維2A又は長繊維2B)を起毛する(起毛加工工程)。詳述すると、搬送された原料不織布10を、図7及び図9に示すように、一方の凹凸ローラ61の有する均一に分散配置された凸部611と、他方の凹凸ローラ62の有する複数個の凹部622との間で挟圧し、さらに他方の凹凸ローラ62の有する均一に分散配置された凸部621と、一方の凹凸ローラ61の有する複数個の凹部612との間で挟圧して、原料不織布10の複数箇所それぞれに搬送方向及び搬送方向に直交する方向に延伸加工を施す。このように、搬送方向及び搬送方向に直交する方向に延伸加工を施すことによって、製造される不織布1の破断強度減少を方向別に抑えることができる。
更に詳述すると、部分延伸加工により延伸される部分は、図9に示すように、一方の凹凸ローラ61の各凸部611におけるエッジ611aと、他方の凹凸ローラ62の各凸部621におけるエッジ621aとにより延伸される部分である。そして、上述したように、原料不織布形成部5にて製造された原料不織布10における隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離は、各凸部611の頂部における最大径よりも短く、噛み合わせの深さdを二等分する位置d1/2にて平断面視して、隣り合う一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621との間隔よりも長く形成されている。その為、一方の凹凸ローラ61の各凸部611のエッジ611aと、他方の凹凸ローラ62の各凸部621のエッジ621aとにより延伸される部分には、原料不織布10における隣り合う熱融着部4,4同士の間の部分が配置され易く、起毛繊維20を含む起毛領域KTが形成され易くなっている。
上述した起毛領域KTには、起毛繊維20のみならず、起毛繊維20とループ状の繊維23とをあわせた起毛している繊維が含まれている。本実施態様の起毛加工工程においては、起毛繊維20は、低伸度の長繊維2Aから形成された低伸度層3A、及び高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bの2つの異なる伸度を有する繊維が存在するため、延伸加工を行うことで伸度が低い低伸度層3Aの長繊維2Aの一部に主に破断が起こり、起毛繊維が形成され易くなっている。尚、ループ状の繊維23も同様に、低伸度層3Aに形成され易くなっている。そして、起毛繊維20は、自由端部20bが太くなっている繊維21と、自由端部20bが太くなっていない繊維22とを有している。
起毛繊維20の内の自由端部20bが太くなっている繊維21は、スチールマッチングエンボスローラ43により原料不織布10が部分的に延伸され、原料不織布10の熱融着部4のごく表面部の弱化点から長繊維2Aが破断されて形成される。また、起毛繊維20の内の自由端部20bの太くなっていない繊維22は、スチールマッチングエンボスローラ43により原料不織布10が部分的に延伸され、熱融着部4と長繊維2Aとの境界部分で破断されて形成される。また、ループ状の繊維23は、スチールマッチングエンボスローラ43により原料不織布10が部分的に延伸され、熱融着部4の弱化点から、長繊維2Aが剥離し、この熱融着部4から剥離した繊維が、熱融着部4,4同士の間でループ状に起立して形成される。
本実施態様では、加工後に得られる不織布1の強度低下を低減する観点から、供給された原料不織布10の総面積に対し、10%以上の部分に部分延伸加工を施すことが好ましく、30%以上の部分に部分延伸加工を施すことが更に好ましく、そして、80%以下の部分に部分延伸加工を施すことが好ましく、70%以下の部分に部分延伸加工を施すことが更に好ましく、具体的には、10%以上80%以下の部分に部分延伸加工を施すことが好ましく、30%以上70%以下の部分に部分延伸加工を施すことが更に好ましい。
そして、一方の凹凸ローラ61の均一に分散配置された凸部611の頂部表面、及び他方の凹凸ローラ62の均一に分散配置された凸部621の頂部表面においては、延伸されず、起毛繊維20を含まない非起毛領域NTが形成される。
また、本実施態様においては、繊維を破断して効率的に起毛繊維を形成する加工性及び肌触り性の観点から、原料不織布10の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す際、50℃以下の温度で加工を行うことが好ましい。尚、50℃以下の温度とは、一対の凹凸ローラ61,62に積極的に温度を掛けず、原料不織布10に延伸加工を施す際、常温であることを意味する。言い換えれば、原料不織布10に部分延伸加工を施す際に、不織布の構成繊維間で熱融着を起こしてしまうことにより、原料不織布10が硬くなってしまわない観点から、如何なる種類の構成繊維樹脂の融点よりも低い温度であることを意味する。
また、本実施態様では、部分延伸加工にて繊維を効率的に起毛する観点から、原料不織布10を、1×10s−1以上の歪み速度で延伸することが好ましく、1×10−1以上の歪み速度で延伸することが更に好ましく、そして、1×10−1以下の歪み速度で延伸することが好ましく、1×10−1以下の歪み速度で延伸することが更に好ましく、具体的には、1×10s−1以上1×10−1以下の歪み速度で延伸することが好ましく、1×10−1以上1×10−1以下の歪み速度で延伸することが更に好ましい。ここで、歪み速度とは、図7に示すように、原料不織布10を一対の凹凸ローラ61,62間に搬送して部分延伸加工を施す直前から一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凹部622とが最大に噛み合って部分延伸加工を施した直後迄の時間、言い換えれば、一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621とが最も近接する時から一方の凹凸ローラ61の凸部611及び他方の凹凸ローラ62の凸部621が互いに垂直に位置する迄の時間の間に、原料不織布10をどれ程変形させるかを意味する。歪み速度は、下記の式(2)で求められる。

歪み速度V[s−1]=押込速度Vx / 最初の原料不織布の長さL・・・(2)

ここで、最初の原料不織布の長さLとは、一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621とが最も近接した際に一対の凹凸ローラ61,62間に搬送された原料不織布10の搬送方向の長さを意味する(図7参照)。尚、凹凸ローラ61,62の凸部611,621の頂部のエッジ611a,621aにR形状が施されている場合は、例えば凸部611,621を側面視した際の側面に沿った側辺の延長線と凸部611,621の頂部を側面視した際の頂面に沿った天辺の延長線との交点を、凸部611,621の頂部の仮想エッジとして判断する。
また、上記の式(2)に係る押込速度Vxは、下記の式(3)で求められる。

押込速度Vx=延伸量D/凹凸ローラが最大に噛み合うまでの時間tmax・・・(3)

ここで、延伸量Dとは、一方の凹凸ローラ61の凸部611及び他方の凹凸ローラ62の凸部621が互いに垂直に位置した際、即ち、一方の凹凸ローラ61の凸部611が他方の凹凸ローラ62の凹部622に最大に噛み合った際に一対の凹凸ローラ61,62間に搬送された原料不織布10の搬送方向の長さを意味する(図7参照)。また、最大に噛み合うまでの時間tmaxとは、一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621とが最も近接する時から一方の凹凸ローラ61の凸部611及び他方の凹凸ローラ62の凸部621が互いに垂直に位置する迄の時間を意味する。尚、凹凸ローラ61,62の凸部611,621の頂部のエッジ611a,621aにR形状が施されている場合は、上述したように仮想エッジ部を想定して判断する。
また、上記の式(3)に係る凹凸ローラが最大に噛み合うまでの時間tmaxは、下記の式(4)で求められる。

凹凸ローラが最大に噛み合うまでの時間tmax
=凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmax/加工速度・・・(4)

ここで、凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmaxとは、一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621とが最も近接する位置から一方の凹凸ローラ61の凸部611及び他方の凹凸ローラ62の凸部621が互いに垂直となる位置迄の距離を意味する。また、加工速度とは、不織布の搬送速度を意味し、例えば製造装置100に備えられたアウトフィードローラ(不図示)により測定される速度である。尚、凹凸ローラ61,62の凸部611,621の頂部のエッジ611a,621aにR形状が施されている場合は、上述したように仮想エッジ部を想定して判断する。
また、本実施態様では、部分延伸加工にて繊維を効率的に起毛する観点から、一方の凹凸ローラ61の凸部611の頂部での周速度(V1)に対する製造された不織布1の搬送速度(V2)のドロー比(V2/V1)が、1.2以上であることが好ましく、1.3以上であることが更に好ましい。ここで、不織布1の搬送速度(V2)は、例えば製造装置100に備えられたアウトフィードローラ(不図示)により測定される速度である。アウトフィードローラ(不図示)により測定される搬送速度(V2)は、本実施態様では、原料不織布形成部5の下流側のみならず、起毛加工部6の下流側でも同じ速度である。
以上、本実施態様の不織布の製造方法によれば、原料不織布10が低伸度の長繊維2Aから形成された低伸度層3Aを有しているので、搬送中にネックインし難く、搬送速度を高速化することができる。また、原料不織布10が高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bを有しているので、高伸度の長繊維2Bが破断し難く、製造される不織布1の破断強度が更に向上すると共に、不織布1にしなやかで心地よい肌触りを付与することができる。また、本実施態様の不織布の製造方法によれば、長繊維2A又は長繊維2Bの一部を破断して一端のみが熱融着部4により固定された起毛繊維20を形成すると共に、起毛繊維20を含む起毛領域KTと起毛繊維20を含まない非起毛領域NTとに区分されており、非起毛領域NTが平面方向に複数点在する不織布1を効率的に連続して製造することができる。このように製造された不織布1は、起毛繊維20を含む起毛している繊維を有するので、ふっくら感があり、起毛繊維20を含む起毛領域KTが、Y方向及びX方向に連続しているので、心地よい肌触りを付与することができる。尚、連続して製造された不織布1は、巻取ローラ7によりロール状に巻き取られる。
上述した本発明の実施形態の不織布1を使用した際の作用効果について説明する。
本実施形態の不織布1は、図1及び図2に示すように、高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bを有しているので、しなやかで心地よい肌触りとなり易い。また、不織布1は、スチールマッチングエンボスローラ43により部分的に起毛するので、非起毛領域NTが平面方向に複数点在しており、原料不織布10の破断強度をそのまま維持できる。また、不織布1は、長繊維2A,2Bの一部が破断されて、一端部20aのみが熱融着部4により固定されている起毛繊維20が形成されている。その為、破断強度が高いにも拘わらず、全体にふっくら感があり、最初に触った際のタッチ感が更に向上する。
特に、不織布1においては、起毛繊維20が、高伸度層3Bを構成すれ高伸度の長繊維2Bよりも、低伸度層3Aを構成する低伸度の長繊維2Aの一部を破断して形成されている。その為、高伸度層3Bを構成すれ高伸度の長繊維2Bが連続しており、破断強度が更に向上すると共に、しなやかで心地よい肌触りを実現することができる。
また、本実施形態の不織布1は、図1に示すように、非起毛領域NTがY方向及びX方向に規則的に配されている。このように、起毛領域KTの肌触りの感触と非起毛領域NTの肌触りの感触のように、感触の異なる領域が規則的に交互に存在することで、より心地良い肌触りを提供することができる。
不織布1の利用範囲は、主として使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品における構成部材に好適に用いられる。構成部材としては、例えば、表面シート、裏面シート、使い捨ておむつの外包材を構成するシート等が挙げられる。不織布1の利用範囲は、その他、清掃用シートにも好適に用いられる。以下、不織布1を利用した使い捨ておむつを例に挙げ、具体的に説明する。
パンツ型使い捨ておむつ200は、図10及び図11に示すように、吸収体81を含む吸収性本体8と、吸収性本体8の非肌当接面側に位置して該吸収性本体8を固定している外包材9とを備えている。
吸収性本体8は、図12に示すように、液透過性の表面シート82、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート83及び両シート82,83間に介在された液保持性の吸収体81を有しており、図11に示すように、実質的に縦長である。
外包材9は、図11に示すように、着用者の背側に配される背側領域A、腹側に配される腹側領域B、それらの間に位置し股間部に配される股下領域Cを有しており、背側領域Aと腹側領域Bの両側縁部9a,9b同士が接合されて、一対のサイドシール部(図示せず)、一対のレッグ開口部(図示せず)及びウエスト開口部(図示せず)が形成される。また、外包材9は、おむつの外面を形成する外層シート92、その肌当接面側に位置して部分的に該外層シート92と接合された内層シート91を有しており、ウエスト開口部及びレッグ開口部を形成するウエスト部及びレッグ部9dにおける両シート91,92間に、ギャザー形成用のウエスト部弾性部材93及びレッグ部弾性部材94が配されている。
吸収性本体8は、図11に示すように、外包材9の背側領域Aから腹側領域Bに跨って配設されており、吸収性本体8の長手方向の両端部は、外包材9の長手方向の両端部よりも長手方向の内方に後退した位置にある。吸収性本体8は、図12に示すように、吸収性本体8の裏面シート83の非肌当接面が、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材9の内層シート91の肌当接面に接合されている。
吸収性本体8の長手方向に沿う両側部には、図12に示すように、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス84,84が設けられている。各側方カフス84の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材85が伸長状態で配設固定されている。側方カフス84は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体8の幅方向への***物の流出を阻止することができる。側方カフス84形成用シートは、図12に示すように、吸収性本体8の幅方向外方の所定幅の部分が、吸収体81の非肌当接面側に巻き込まれて、吸収体81と裏面シート83との間に固定されている。尚、所定幅の部分は、裏面シート30と外包材9との間に固定されていてもよい。
本実施形態の不織布1は、着用者の肌当接面に用いるパンツ型使い捨ておむつ200の外包材9の外層シート92及び内層シート91として好ましく用いられる。また、表面シート82、裏面シート83、並びに側方カフス84形成用シートとして用いることもできる。不織布1を使用しない場合の各部の部材には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート82としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート83としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。側方カフス84形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。内層シート91及び外層シート92としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
吸収体81としては、従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体81としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものからを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。
側方カフス形成用の弾性部材85、ウエスト部弾性部材93及びレッグ部弾性部材94としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。
本発明の不織布は、上述の本実施形態の不織布1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
また、本発明の不織布の製造方法は、上述の実施態様の製造方法に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述の本実施態様の不織布1の製造方法においては、先に、第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置によって紡出された高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとなるウェブ3B’を製造し、次いで、第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置によって紡出された低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造して、低伸度層3Aとなるウェブ3A’を、連続搬送されている高伸度層3Bとなるウェブ3B’上に積層させているが、その逆であってもよい。具体的には、先に、第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置によって紡出された低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、次いで、第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置によって紡出された高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとなるウェブ3B’を製造して、高伸度層3Bとなるウェブ3B’を、連続搬送されている低伸度層3Aとなるウェブ3A’上に積層させてもよい。
また、上述の本実施態様の不織布1の製造方法においては、図6に示すように、原料不織布形成部5にて原料不織布10を製造した後、連続して、製造された原料不織布10をスチールマッチングエンボスローラ63の一対の凹凸ローラ61,62間に搬送し、原料不織布10に部分延伸加工を施しているが、連続していなくてもよい。具体的に、例えば、原料不織布形成部5にて原料不織布10を製造して巻取ローラでロール状に原料不織布10を一度巻き取った後、別ラインで、ロール状に巻き取った原料不織布10をスチールマッチングエンボスローラ6に搬送して、原料不織布10に部分延伸加工を施してもよい。
上述した実施形態に関し、さらに以下の不織布及びその製造方法を開示する。
<1>
原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施して該原料不織布の構成繊維を起毛する起毛加工工程を有する不織布の製造方法であって、
前記原料不織布は、相対的に高伸度の長繊維から形成された高伸度層と相対的に低伸度の長繊維から形成された低伸度層とを有し、該高伸度層及び該低伸度層を複数の熱融着部により固定した不織布であり、
前記起毛加工工程においては、一方のローラが周面に均一に分散する複数個の凸部を有し、他方のローラが周面に一方の前記ローラの前記凸部に対応する位置に該凸部が入り込む凹部を有する一対の凹凸ローラの間に、前記原料不織布を搬送して部分延伸加工を施し、前記長繊維の一部を破断して一端のみが前記熱融着部により固定された起毛繊維を形成すると共に、該起毛繊維を含む起毛領域と該起毛繊維を含まない非起毛領域とに区分されており、該非起毛領域が平面方向に複数点在する不織布を製造する不織布の製造方法。
<2>
前記起毛繊維は、前記低伸度層の長繊維の一部を破断して形成する前記<1>に記載の不織布の製造方法。
<3>
前記原料不織布を、1×10s−1以上の歪み速度で延伸することが好ましく、1×10−1以上の歪み速度で延伸することが更に好ましく、そして、1×10−1以下の歪み速度で延伸することが好ましく、1×10−1以下の歪み速度で延伸することが更に好ましい前記<1>又は<2>に記載の不織布の製造方法。
<4>
前記一方の凹凸ローラの前記凸部の頂部での周速度(V1)に対する製造された前記不織布の搬送速度(V2)のドロー比(V2/V1)は、1.2以上、好ましくは1.3以上である前記<1>〜<3>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<5>
前記起毛加工工程においては、前記原料不織布の総面積の10%以上80%以下の範囲に部分延伸加工を行う前記<1>〜<4>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<6>
前記原料不織布における隣り合う前記熱融着部同士の中心間の距離は、前記一方の凹凸ローラの前記凸部の頂部における最大径よりも短く、前記一対の凹凸ローラを噛み合わせた状態において、噛み合わせの深さを二等分する位置にて平断面視した際の、隣り合う前記一方の凹凸ローラの前記凸部と前記他方の凹凸ローラの前記凸部との間隔よりも長い前記<1>〜<5>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<7>
前記起毛加工工程においては、50℃以下の温度で部分延伸加工を行う前記<1>〜<6>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<8>
前記不織布における隣り合う前記熱融着部同士の中心間の距離は、前記一方の凹凸ローラの前記凸部の頂部における最大径よりも短く、隣り合う前記一方の凹凸ローラの前記凸部と前記他方の凹凸ローラの前記凸部との間隔よりも長く形成されている前記<1>〜<7>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<9>
前記原料不織布の破断強度の値は、7N/50mm以上、好ましくは10N/50mm以上50N/50mm以下である前記<1>〜<8>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<10>
前記一方の凹凸ローラの前記凸部は、該凹凸ローラの底から該凸部の頂点までの高さhが、1mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上7mm以下である前記<1>〜<9>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<11>
前記<1>〜<10>の何れか1に記載の不織布の製造方法で製造された不織布。
<12>
相対的に低伸度の長繊維から形成された低伸度層と相対的に高伸度の長繊維から形成された高伸度層とを有し、該低伸度層及び該高伸度層を複数の熱融着部により固定した不織布であって、
前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定されている起毛繊維を備えており、
前記不織布を平面視して、前記起毛繊維を含む起毛領域と、該起毛繊維を含まない非起毛領域とに区分されており、該非起毛領域が、平面方向に複数点在している不織布。
<13>
前記起毛繊維は、前記低伸度層の長繊維の一部が破断されて形成されている前記<12>に記載の不織布。
<14>
前記低伸度の長繊維は、ホモポリプロピレンを主とする樹脂から形成されている前記<12>又は<13>に記載の不織布又は前記<1>〜<10>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<15>
前記高伸度の長繊維は、コポリプロピレンを含む樹脂から形成されている前記<12>〜<14>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<16>
前記高伸度の長繊維は、捲縮性を有している前記<12>〜<15>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>、<15>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<17>
前記不織布は積層のスパンボンド不織布である前記<12>〜<16>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<16>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<18>
前記コポリプロピレンは、エチレン、プロピレン又はブデン等の他のオレフィンと、プロピレンとのブロックコポリマー或いはランダムコポリマーを含む前記<15>に記載の不織布又は前記<15>に記載の不織布の製造方法。
<19>
前記コポリプロピレンはプロピレン−共重合体である前記<18>に記載の不織布又は前記<18>に記載の不織布の製造方法。
<20>
前記低伸度の長繊維及び前記高伸度の長繊維の繊径は、それぞれ、5μm以上30μm以下、好ましくは10μm以上20μm以下である前記<12>〜<19>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<19>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<21>
前記高伸度の長繊維は、捲縮性を有しており、
前記高伸度の長繊維は、コポリプロピレン樹脂と、コポリプロピレン樹脂とは別の樹脂とから構成された複合繊維であるか、または、重合度又は添加剤を異ならせて形成されたコポリプロピレン樹脂同士から構成された複合繊維である前記<12>〜<20>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<20>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<22>
前記低伸度層を形成する前記低伸度の長繊維は、5%以上の伸度であることが好ましく、更に10%以上の伸度であることが好ましく、そして20%以下の伸度であることが好ましく、更に15%以下の伸度であることが好ましい前記<12>〜<21>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<21>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<23>
前記高伸度層を形成する前記高伸度の長繊維は、20%以上の伸度であることが好ましく、更に30%以上の伸度であることが好ましく、そして70%以下の伸度であることが好ましく、更に60%以下の伸度であることが好ましい前記<12>〜<22>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<22>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<24>
前記低伸度の長繊維と前記高伸度の長繊維の伸度の差は、5パーセントポイント以上の伸度であることが好ましく、更に好ましくは10パーセントポイント以上の伸度であることが好ましい前記<12>〜<23>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<23>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<25>
前記不織布において、隣り合う前記非起毛領域同士の間隔は、該不織布においては、隣り合う前記熱融着部同士の中心間の距離よりも短く形成されている前記<12>〜<24>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<24>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<26>
隣り合う前記非起毛領域同士の間隔は、0.1mm以上3mm以下、好ましくは0.1mm以上1mm以下である前記<12>〜<25>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<25>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<27>
前記不織布の一面の表面積に占める前記非起毛領域の合計表面積の割合は、40%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下である前記<12>〜<26>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<26>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<28>
前記不織布は、その破断強度の値が、5.00N/50mm以上、好ましくは8N/50mm以上30N/50mm以下である前記<12>〜<27>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<27>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<29>
前記不織布は、そのバルクソフトネスが、4.5cN以下、好ましくは3cN以下、更に好ましくは2.5cN以下であり、0.1cN以上、好ましくは0.5cN以上である前記<12>〜<28>の何れか1に記載の不織布又は前記<1>〜<10>、<14>〜<28>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<30>
前記不織布と前記原料不織布との破断強度の比である、不織布の破断強度/原料不織布の破断強度は、0.5以上、好ましくは0.7以上、そして、1.0以下、より具体的には、0.5以上1.0以下、好ましくは0.7以上1.0以下である前記<1>〜<10>、<14>〜<29>の何れか1に記載の不織布の製造方法
<31>
前記<11>〜<29>の何れか1に記載の不織布を用いた吸収性物品。
<32>
前記不織布を最外層シートとして用いた前記<31>に記載の吸収性物品。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図6に示す製造装置100の有する原料不織布形成部5を用い、先ず原料不織布を準備した。具体的には、第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置にホモポリプロピレンのみからなる樹脂を投入して、相対的に低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、次いで、第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置にコポリプロピレン(具体的にはプロピレン−エチレンランダム共重合体)のみからなる樹脂を投入して、相対的に高伸度の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとなるウェブ3B’を製造し、低伸度層3Aとなるウェブ3A’上に高伸度層3Bとなるウェブ3B’を積層させ、次いで、一対のエンボスローラにて固定して製造された積層のスパンボンド不織布(原料不織布)を準備した。低伸度の長繊維2Aに関し、その繊維径は15μmであり、最大荷重時の伸度が16.4%であった。高伸度の長繊維2Bに関し、その繊維径は15μmであり、最大荷重時の伸度が20.4%であった。また、各熱融着部4の表面積は0.17mmであり、隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離は、1.00mmであった。
次に、このスパンボンド不織布(原料不織布)を、図6及び図7に示すスチールマッチングエンボスローラ63に通して部分延伸加工を施して原料不織布の構成繊維を起毛して実施例1の不織布を作製した。用いたスチールマッチングエンボスローラ63における凹凸ローラ61の各凸部611と凹凸ローラ62の各凸部621との噛み合いの深さは4mmであった。また凸部611の高さが4.2mmであり、周方向に隣り合う凸部611同士の距離(ピッチP)は8.3mmであり、回転軸方向に隣り合う凸部611同士の距離(ピッチ)は8.3mmであった。また、凸部611の頂部表面の面積は7.0mmであった。スチールマッチングエンボスローラ63の凹凸ローラ62における各凸部621も同じである。更に、噛み合わせの深さdを二等分する位置d1/2にて平断面視した際、隣り合う一方の凹凸ローラ61の凸部611と他方の凹凸ローラ62の凸部621との間隔(最短距離)は0.5mmであった。更に、上述した式(2)で求められる歪み速度は1.2×10−1であった。
〔実施例2〕
図6に示す製造装置100の有する原料不織布形成部5を用い、先ず原料不織布を準備した。具体的には、第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置にホモポリプロピレンのみからなる樹脂を投入して、相対的に低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、次いで、第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置に芯がコポリプロピレン樹脂、鞘がポリエチレン樹脂を投入して、相対的に高伸度の捲縮性の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとなるウェブ3B’を製造し、低伸度層3Aとなるウェブ3A’上に高伸度層3Bとなるウェブ3B’を積層させ、次いで、一対のエンボスローラにて固定して製造された積層のスパンボンド不織布(原料不織布)を準備した。低伸度の長繊維2Aに関し、その繊維径は16μmであり、最大荷重時の伸度が12.9%であった。高伸度の長繊維2Bに関し、その繊維径は45μmであり、最大荷重時の伸度が41.5%であった。また、各熱融着部4の表面積は0.76mmであり、隣り合う熱融着部4,4同士の中心間の距離は、1.60mmであった。
〔実施例3〕
第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置に芯がコポリプロピレン樹脂、鞘がポリエチレン樹脂を投入して、相対的に高伸度の捲縮性の長繊維2Bから形成される高伸度層3Bとなるウェブ3B’を製造し、上述した式(2)で求められる歪み速度を4.9×10−1にする以外は、実施例2と同様にして実施例3の不織布を作製した。
〔比較例1〕
実施例1と同じ原料不織布を、比較例1の不織布とした。即ち、比較例1の不織布には、部分延伸加工が施されていない。
〔比較例2〕
実施例2と同じ原料不織布を、比較例2の不織布とした。即ち、比較例2の不織布には、部分延伸加工が施されていない。
〔比較例3〕
第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置にホモポリプロピレンのみからなる樹脂を投入して、低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、次いで、第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置においてもホモポリプロピレンのみからなる樹脂を投入して、低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、低伸度層3Aとなるウェブ3A’を2層積層させ、次いで、一対のエンボスローラにて固定して製造された積層のスパンボンド不織布を、原料不織布として用いた。また、上述した式(2)で求められる歪み速度を4.9×10−1とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例3の不織布を作製した。
〔比較例4〕
第1ウェブ形成装置51であるスパンボンド紡糸装置にホモポリプロピレンのみからなる樹脂を投入して、低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、次いで、第2ウェブ形成装置52であるスパンボンド紡糸装置においてもホモポリプロピレンのみからなる樹脂を投入して、低伸度の長繊維2Aから形成される低伸度層3Aとなるウェブ3A’を製造し、低伸度層3Aとなるウェブ3A’を2層積層させ、次いで、一対のエンボスローラにて固定して製造された積層のスパンボンド不織布を、原料不織布として用いた。また、上述した式(2)で求められる歪み速度を9.7×10−1とした。更に、スチールマッチングエンボスローラ63による部分延伸加工の後、後加工として周面に凸部を有する凸ローラを用いて、再度起毛加工を施した。起毛加工に用いた凸ローラ51は、直径が150mmで、ISO1997に準拠して測定したその表面の最大高さ(Rz)が125.86μmであるローラを用いた。最大高さ(Rz)は、上述した株式会社ミツトヨ製のサーフテストSJ−201(商品名)を用いて、上述した測定条件に従って測定した。それ以外は、実施例1と同様にして比較例4の不織布を作製した。
〔性能評価〕
実施例1〜3、比較例1〜4の不織布について、上述した方法に従って、バルクソフトネス、起毛している繊維の量(本数)、破断強度を測定した。それらの結果を下記表1に示す。
Figure 0006538410
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の不織布は、比較例1〜2の不織布に比べて、バルクソフトネスの値が低く、しなやかで心地よい肌触りを実現していることが判った。また、実施例1〜3の不織布は、比較例1〜2の不織布に比べて、起毛している繊維の量(本数)が多く、ふっくら感の向上が期待できる。また、実施例1〜3の不織布は、比較例3〜4の不織布に比べて、破断強度が高く、破断強度が更に向上していることが判った。
1 不織布
2A,2B 長繊維
20 起毛繊維
20a 一端部
20b 自由端部
21 自由端部が太くなっている繊維
22 自由端部が太くなっていない繊維
23 ループ状の繊維
4 熱融着部
100 製造装置
5 原料不織布形成部
51 第1ウェブ形成装置
52 第2ウェブ形成装置
53、54 エンボスローラ
531 凸部
6 起毛加工部
61,62 凹凸ローラ
611,621 凸部
612,622 凹部
63 スチールマッチングエンボスローラ
7 巻取ローラ
10 原料不織布
104 測定サンプル
105 折り目
106a 2回横切る繊維
107 穴
108 仮想線
200 パンツ型使い捨ておむつ
8 吸収性本体
81 吸収体
82 表面シート
83 裏面シート
84 側方カフス
85 側方カフス形成用の弾性部材
9 外包材
91 内層シート
92 外層シート
93 ウエスト部弾性部材
94 レッグ部弾性部材
9a,9b 側縁部
9d レッグ部
A 背側領域、B 腹側領域、C 股下領域

Claims (6)

  1. 相対的に低伸度の長繊維から形成された低伸度層と相対的に高伸度の長繊維から形成された高伸度層とを有し、該低伸度層及び該高伸度層を複数の熱融着部により固定した不織布であって、
    前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定されている起毛繊維を備えており、
    前記不織布を平面視して、前記起毛繊維を含む起毛領域と、該起毛繊維を含まない非起毛領域とに区分されており、該非起毛領域が、平面方向に複数点在しており、
    前記起毛繊維は、前記低伸度層の長繊維の一部が破断されて形成されている不織布。
  2. 前記低伸度の長繊維は、ホモポリプロピレンを主とする樹脂から形成されている請求項1に記載の不織布。
  3. 前記高伸度の長繊維は、コポリプロピレンを含む樹脂から形成されている請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記高伸度の長繊維は、捲縮性を有している請求項1〜の何れか1項に記載の不織布。
  5. 原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施して該原料不織布の構成繊維を起毛する起毛加工工程を有する不織布の製造方法であって、
    前記原料不織布は、相対的に高伸度の長繊維から形成された高伸度層と相対的に低伸度の長繊維から形成された低伸度層とを有し、該高伸度層及び該低伸度層を複数の熱融着部により固定した不織布であり、
    前記起毛加工工程においては、一方のローラが周面に均一に分散する複数個の凸部を有し、他方のローラが周面に一方の前記ローラの前記凸部に対応する位置に該凸部が入り込む凹部を有する一対の凹凸ローラの間に、前記原料不織布を搬送して部分延伸加工を施し、前記長繊維の一部を破断して一端のみが前記熱融着部により固定された起毛繊維を形成すると共に、該起毛繊維を含む起毛領域と該起毛繊維を含まない非起毛領域とに区分されており、該非起毛領域が平面方向に複数点在する不織布を製造し、
    前記起毛繊維は、前記低伸度層の長繊維の一部を破断して形成する不織布の製造方法。
  6. 前記原料不織布を、1×102-1以上1×104-1以下の歪み速度で部分延伸加工する請求項に記載の不織布の製造方法。
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