JP6537409B2 - 開放支援機構付き錠装置及び開放支援機構付き錠装置を備えた引戸 - Google Patents
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Description
この開放支援機構付き鎌錠は、引戸102に装着されるケース110に、縦枠に取り付けたストライカー104と係脱するフックボルト115と、フックボルト115を施錠姿勢と開錠姿勢とに切り換え操作するサムターンレバーと一体のサムターン軸120と、開錠状態のフックボルト115が施錠姿勢に切り換わるのを規制するトリガー117と、開放支援機構とが設けてある鎌錠であって、開放支援機構は、ケース110内の待機姿勢と、その一部がケース110外へ突出する作動姿勢との間で往復動可能に軸支されるキックレバー142と、キックレバー142を待機姿勢へ向かって移動付勢する復帰ばね146と、復帰ばね146の付勢力に抗してキックレバー142を作動姿勢に切り換え操作する操作ハンドル145とを含む。
キックレバー142とフックボルト115は、リンク棒147を介して連動可能に連結されており、全閉状態の引戸102を操作ハンドル145で強制的に開放操作する状態において、操作ハンドル145のハンドル動作に連動してフックボルト115を施錠状態から開錠操作できるようになっている。
キックレバーとフックボルトの作動機構が全て一つのケース内に収容されているため、ケースの構造が複雑になるだけではなく、キックレバーをその操作ハンドルの位置から離して任意の位置に配置するのは困難であり、キックレバーを複数配置することもできない。また、ケースの制約があり、各部品を大型化して操作レバーで大きなトルクを伝えることは困難である等の解決を要する課題がある。
また、他の目的は、施錠、開錠及び引戸の蹴り出しの操作を一つ一つの操作ハンドルで行えるようにして意匠性を損ねることがないようにすることである。
図1は、本開放支援機構付き錠装置を適用する引戸装置1の正面図である。
ここでは、引戸装置1は、建物開口部に形成された方形状の枠体(上枠1a、下枠1b、縦枠1c)の内側に、1対の障子をスライド可能に備えたもので、引戸2は、上框2a、下框2b及び左右の縦框2cを方形状に框組みした框体と、その内側に嵌め込まれたガラス板体Gを備えている。
引戸の召し合せ部には、必要に応じてクレセント錠3が設置されており、開放支援機構付き錠装置(以下、単に錠装置という)10は、左右の縦框2cのうち、戸先框に設置される。なお、錠装置は戸先框に限定されず召し合せ框に設置してもよい。
錠装置10は、概略的には操作ハンドル20aを中心とする操作機構20と、図示しない鍵と、引戸2の開放時にその開放支援を行う開放支援機構60と、引戸2の開放状態において鍵及び開放支援機構60が動作できないように拘束(不作動に)する空掛け防止機構70と、操作ハンドル20aの回動(又は揺動)から変換された直線運動(上下動)を開放支援機構60に伝達する連動部材である連動バー50と、から成っている。
錠装置10は、操作ハンドル20aを回動することで図示しない鍵を施錠又は開錠すると共に、開放支援機構60を作動して引戸を全閉位置から押し出し(蹴り出し)て、引戸2の開放を支援する。また、引戸2の開放状態においては、空掛け防止機構70により錠装置10及び開放支援機構60の作動を禁止する。
以下、本実施形態に係る錠装置10の各構成部分について順に説明する。
図3は、操作機構20の分解斜視図である。
操作機構20について図3を参照して説明する。操作機構20は、操作ハンドル20aと、操作ハンドル20aの回動に応じて連動バー50を上下にスライドさせるスライダ40などから成る駆動機構20bとからなる。
操作ハンドル20aは、図示のように側面視L字形に形成され、その基端部にはハンドル軸22が備えられている。ハンドル軸22は、例えば外面が矩形(断面四角形)の角棒状に形成されており、リングワッシャ24を介して、駆動機構20b全体を収容するケース30に設けた開口(又は孔;図示せず)からケース30内に挿入される。
樹脂ナット34は、その外形が矩形の当接部34aと当接部34aに続く円形の鍔部34bを備えている。樹脂ナット34の当接部34aは、付勢部材、ここではコイルばね33により付勢される押圧部材32の平坦面32aにより上下から挟まれる。したがって、当接部34aを備えた樹脂ナット34は、本発明における被押圧部材に対応する。なお、断面矩形のハンドル軸22をそのまま被押圧部材として用いることもできる。
なお、詳しくは後述するが、この構成によりハンドル軸22と一体の操作ハンドル20aの回動時におけるクリックモーションと、操作ハンドル20aの自動的復帰機能が提供される。
回動片37は、開口37a(1)を備えた主体部37aと主体部37aの一方側に延在する延在部37bを有し、延在部37bにはガイドピン37(1)が例えば螺着などの任意の手段で一体に備えられている。
なお、ガイドピン37(1)には、その外周に耐久性及び耐摩耗性を確保するため、例えば合成樹脂や潤滑油を塗布した金属などの適宜の材料で構成されたカラー37(2)が装着されるのが好ましい。
スライダ40は、図4に示すように断面略L字状に形成された板状部材で、スライダ40の板状の本体部40aと、本体部40aの上下間でそれから直角に折り曲げ、本体部40aよりも短い板状の接続部40bで構成されている。
本体部40aには、上下に同じ長さでかつ互いに一直線上で延在するよう形成された一対の上下ガイド溝40a(1)、40a(2)が形成されている。また、本体部40aの上下方向中央部には、その一側部から幅方向に横ガイド溝40(1)が設けられており、この横ガイド溝40(1)には、回動片37のカラー37(2)付きガイドピン37(1)が挿入される。
接続部40bは、その上下に接続孔40b(1)、40b(2)が設けられており、この接続孔40b(1)、40b(2)を介して連動バー50にねじ止めされる。
ケースカバー43のスライダ40との対向面側にはガイドピン42a、42bが、螺合等の任意の手段により一体に備えられており、このガイドピン42a、42bは、それぞれスライダ40の上下ガイド溝40a(1)、40a(2)(図4)に挿入される。
なお、図3中、31は、ケース30の上下を覆う保護キャップである。
なお、ロック装置は、操作ハンドル20aを回動することで施錠又は開錠できる構造であれば任意の構造(例えば、実公昭59−15584号公報、特開2006−241748号公報に記載された錠など)が採用可能であり、ここで、操作ハンドル20aを回動することで施錠又は開錠する場合、操作ハンドル20aのハンドル軸22で直接掛け金などを操作するものに限定されず、連動バー50の上下動に連動して施錠、開錠するようにしてもよい。
図5Aは開放支援機構60の斜視図であり、図5Bは開放支援機構60の蹴り出しアーム63を駆動するガイドピン取付手段54の斜視図である。
開放支援機構60は、概略的には取付用の基板61と基板61に枢着された蹴り出しアーム63で構成されている。
基板61は、引戸の縦框2cに取り付けるための取付部61aと、取付部61aから直角に折曲された蹴り出しアームを支持するアーム支持部61bから成る断面略L字状に形成されている。
アーム支持部61bには、図5Aに示すように、その上端部近傍に連結ピン62で蹴り出しアーム63が枢着されており、蹴り出しアーム63の自由端(回動端)には蹴り出し手段である蹴り出しローラ64が回転可能に止着されている。
一方、ガイドピン取付手段54は、図5Bに示すように、断面略L字状を成し、その取付面54aがねじ止め等の適宜の手段で連動バー50に固着されている。ガイドピン取付手段54の取付面54aから直角に折曲させたガイドピン取付面54bにはガイドピン56が立設されている。
この構成において、引戸2の閉鎖状態から、操作ハンドル20aを回動して操作機構20により連動バー50を上昇させると、ガイドピン56は第1のガイド溝61b(1)と第2のガイド溝63aの縦方向溝部分中を上昇する。ここで、ガイドピン56が第2のガイド溝63aの縦方向溝部分中を上昇する間は、蹴り出しアーム63は駆動されず不動であるが、この間に、回動する操作ハンドル20aにより図示しない鍵の開錠が行われる。
なお、本実施形態では、第2のガイド溝63aの縦方向溝部分の長さは、操作ハンドル20aを90°回動させたときのスライダ40及び連動バー50の摺動長さに設定されている。
即ち、複数の開放支援機構60を縦框2c内において所定間隔を置いて上下に取り付け、それらを一つの連動バー50に連動させる構成を採ることもできる。この構成を採ることにより、操作ハンドル20aの一回動操作で複数の開放支援機構60を同時に作動することができる。開放支援機構60を同時に作動することにより、一つの開放支援機構60を設けた場合よりもバランス良く引戸2を押し出すことができ、引戸2の全閉位置からの押出し動作をスムーズに行うことができる。
連動バー50は、操作機構20における回動力を開放支援機構60に伝える連動部材として構成されている。その構造は、板状、棒状など任意であり、要は操作機構20で変換された回動に基づく上下運動を開放支援機構60に伝達でき、かつ後述する空掛け防止機構70が作動可能であればよい。したがって、本発明における連動バーは、これらを総称する用語として使用する。
図6は、1例として板状に形成された連動バー50の斜視図である。
連動バー50は、下端側はスライダ40の接続部40bに、また上端側はガイドピン取付手段54に連結されている。
図7Aは空掛け防止機構70(非連動手段)の断面図であり、図7Bはその側面図である。
空掛け防止機構70は、縦框2cの連動バー50に沿った操作機構20と開放支援機構60間の適宜の位置に設けられており、概略的には引戸2を閉鎖したときに当接する当接面72aを有する戸当り部(トリガともいう)72と、戸当り部72を常に引戸縦枠1c側に押圧付勢する付勢手段、ここではコイルばね74と、これらを収容すると共に、戸当り部72が出没する際のガイドとなる側壁を有するケース75からなる。
戸当り部72は、引戸が全閉した状態では、当接面72aが引戸縦枠1cまたは縦骨に当接し、コイルばね74を圧縮して縦框2c側に退却する。一方、引戸を開放した状態では、コイルばね74の付勢力(弾発力)で縦框2cから突出する。なお、図7A、7Bは、いずれも戸当り部72がコイルばね74の付勢力により突出した状態を示す。
引戸が幅W1に相当する幅だけ開くと、連動バー50の切欠き部55と戸当り部72の壁部72b(1)とが当接して連動バー50の上下動を阻止する。以後は、操作ハンドル20aを回動しようとしても連動バー50が拘束されているため回動できず、ロック装置の空掛け及び蹴り出しアーム63の作動が阻止される。
図8は、引戸の施錠位置から開錠位置までの全体構造を示す正面図であり、図8A〜8Dは、操作ハンドル20aの回動に伴う開放支援機構60の動作を示す図である。また、図9は、図8A〜8Dの動作に対応して変化する樹脂ナット34(当接部34a)と、押圧部材32(平坦面32a)との当接状態を示す図である。
この操作ハンドル20aの回動に伴い、図9Aに示したハンドル軸22、ハンドル軸22に外嵌した樹脂ナット34が回動する。その際、樹脂ナット34は、押圧部材32からの押圧力に抗して、押圧部材32の平坦面32aを上下に押し広げながら回動する。
操作ハンドル20aの回動に伴って連動バー50が更に上昇すると、連動バー50のガイドピン取付手段54のガイドピン56は、蹴り出しアーム63の第2のガイド溝63aの斜め上方へ向かう屈曲部に到達する。
即ち、操作ハンドル20a、樹脂ナット34は、いずれも動作開始から90°回動している。
この状態では、図9Aと同様に、当接部34aの矩形の面に対して、上下方向から押圧部材32の平坦面32aが当接している。つまり、当接部34aの平坦面と押圧部材32の平坦面同士は、押圧部材32の押圧力を作用させた状態で当接しており安定した状態に維持されている。
図8C及び図9Cは、この時の操作ハンドル20の位置、及び樹脂ナット34(当接部34a)と、押圧部材32(平坦面32a)との位置関係を示す。
この位置は、本実施形態では、最初から120°未満回動した位置になっている。
また、以上の説明から明らかなように、操作ハンドル20aの回動は回動ごとのクリックモーションとなる。
既に述べたように、縦框2cの連動バー50に沿った操作機構20と開放支援機構60間の適宜の位置に空掛け防止機構70が設けられている。
図10は空掛け防止機構(非連動手段)の作動手順を示す図であり、図10Aは施錠時、図10Bは開錠時、図10Cは蹴り出し時、図10Dは、空掛け防止時におけるそれぞれ空掛け防止機構70を示す。
図10Bの状態では、連動バー50が上昇し、その切欠き部55が戸当り部72の溝部72bを通過する。この段階ではロックの開錠はなされているが、まだ、開放支援機構60は作動していない。そのため、引戸の縦框2cと引戸縦枠1cとが当接しており、連動バー50は図10Aと同様に戸当り部72の溝部72b中を自由に移動できる。
この状態では、引戸が引戸縦枠1cから離れるため、戸当り部72に対する引戸縦枠1cからのコイルばね74に対する抗力は作用しない。したがって、戸当り部72は引戸の縦框2cから外方に突出しようとするが、連動バー50の切欠き部55の下側の部分が戸当り部72の溝部72bの下側側壁部と当接しているため、戸当り部72の突出が阻まれている。
したがって、ロック装置の空掛けが防止できる。
その場合、前記従来の鎌錠においては、このロックの掛合をサムターンレバーの回動によって行っていたため、操作ハンドルのような比較的大きなモーメントを利用することができない。また、サムターンレバーに代えて操作ハンドルを備えると、操作ハンドルが2個になるため配置し難いだけではなく、意匠上も見苦しくなる。
したがって、従来のロック機構に比べて強力にロック可能であり、建具をエアタイト材を介在させてエアタイト材を潰しながらロックすることが可能である。
また、ロック装置の空掛け防止を、戸当り部と連動バーの当接による簡易な構成により自動で行えるため、全体として鍵装置の操作を単純化することができるなどの効果が得られる。
Claims (4)
- 引戸の縦框に装着され、操作ハンドルで操作される操作機構と、引戸の蹴り出しを行う開放支援機構と、前記操作機構と前記開放支援機構を連結する連動バーと、前記操作ハンドルの回動に連動して開錠又は施錠する錠を備えた錠装置であって、
前記操作機構は、前記操作ハンドルの回動に連動して上下動可能なスライダを備え、
前記開放支援機構は、前記スライダに連結され前記スライダの上下動を伝達する前記連動バーに前記スライダと所定の間隔を置いて連結されたガイドピン取付手段と、前記ガイドピン取付手段に立設されたガイドピンの上下動に連動して回動して引戸縦枠または縦骨を押圧する蹴り出しアームと、を有し、かつ、
前記開放支援機構における前記蹴り出しアームの蹴り出しを、前記錠の開錠終了後に行うよう、前記蹴り出しアームの蹴り出し動作を遅延させる動作遅延手段を備え、
前記操作ハンドルと一体に回動する矩形の被押圧部材と、
前記被押圧部材に面接触する当接面を有し、前記被押圧部材を挟むように配置されかつ付勢手段で前記被押圧部材の外面に向かって付勢される押圧部材と、
を有し、
前記操作ハンドルの最大回動位置において、前記押圧部材は前記被押圧部材に逆回動方向のモーメントを作用する開放支援機構付き錠装置。 - 請求項1に記載された開放支援機構付き錠装置において、
前記動作遅延手段は、前記蹴り出しアームに設けられたガイド溝に前記ガイドピンが挿通された状態で、前記ガイドピンが前記蹴り出しアームを駆動せずに移動する前記ガイドピンの空動きによって、前記蹴り出しアームの蹴り出し動作を遅延させる開放支援機構付き錠装置。 - 請求項1又は2に記載された開放支援機構付き錠装置において、
引戸の縦框に当該縦框から突出する方向に付勢されて設けられた戸当り部を備え、
前記戸当り部は、引戸が枠体側から所定幅離れたとき、前記連動バーに当接して係合して前記連動バーの上下動を阻止し、前記引戸が枠体側から前記所定幅内にあるとき、引戸縦枠または縦骨に当接して前記連動バーとの当接を外して前記連動バーを上下動可能にする開放支援機構付き錠装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載された開放支援機構付き錠装置を備えた引戸。
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