本発明は、天井に形成された開口部に取り付けられる天井設置型空調装置の取付構造において、空調装置の装置本体を天井の開口部に取り付けるためのアダプタ部材の構造を工夫することにより、天井の下面からの出代を小さくすることができるとともに、様々な厚さの天井への対応を可能とし、しかも、室内側(下側)からの取付作業の作業性の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
以下に説明する本発明の実施の形態では、天井設置型空調装置の取付構造の適用例として、浴室乾燥装置の取付構造を例にとって説明する。つまり、本発明の実施の形態では、天井設置型空調装置として、浴室の天井に形成された開口部に取り付けられる浴室乾燥装置を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、天井の開口部に設置される天井取付型空調装置の取付構造として広く適用することができる。したがって、本発明に係る天井設置型空調装置は、天井に設置される空調装置であれば特に限定されるものではなく、例えば、換気機能、乾燥機能、暖房機能、冷房機能等の少なくともいずれかの機能を有する空調装置等であってもよい。また、本発明に係る天井についても、浴室の天井に限らず、例えば、洗面室、トイレ、キッチン、居間等の天井であってもよい。
図1から図3に示すように、本実施形態の浴室乾燥装置1は、浴室の天井2に形成された開口部(以下「天井開口部」とする。)3に取り付けられる。天井2は、いずれも水平な上面(以下「天井上面」とする。)2aおよび下面(以下「天井下面」とする。)2bを形成する水平な板状部材により構成されている。天井開口部3は、天井2をその板面に対して垂直方向に貫通する矩形状の開口を形成する部分である。天井開口部3は、矩形状の開口を形成する面として、天井2の板面に対して垂直な内側面3a,3bを有する。天井開口部3の開口形状である矩形状の短辺をなす内側面を内側面3aとし、長辺をなす内側面を内側面3bとする。
本実施形態の浴室乾燥装置1は、装置本体4と、装置本体4に対する着脱が可能なフィルタ5と、装置本体4の下側に取り付けられる表面パネル6とを備える。浴室乾燥装置1は、装置本体4の全体を天井下面2bよりも上方に位置させた状態で、取付部材としての取付補強材7と、開口カバー8とが用いられて、天井開口部3に取り付けられる。
本実施形態の浴室乾燥装置1の取付構造においては、取付補強材7および開口カバー8が、装置本体4を天井開口部3に取り付けるためのアダプタ部材として機能する。アダプタ部材は、天井開口部3に取り付けられた状態で装置本体4の取付面を形成し、装置本体4は、アダプタ部材により形成された取付面に取り付けられる。つまり、浴室乾燥装置1は、取付補強材7および開口カバー8を介して、天井開口部3に間接的に取り付けられる。本実施形態では、取付補強材7により、装置本体4の取付面が形成される。
ここで、本実施形態の浴室乾燥装置1について、図4および図5を加えて説明する。なお、図4は、図2におけるA−A矢視断面図に相当し、図5は、図2におけるB−B矢視断面図に相当する。浴室乾燥装置1の装置本体4は、筐体としての本体ケーシング10を有する。本体ケーシング10は、天井下面2bよりも上方に位置し、装置本体4の外装構造を構成する。
本体ケーシング10は、全体として略直方体状の外形をなし、一面側を開放させて箱状に構成されている。本体ケーシング10は、その平面視形状である略矩形状における長手方向および短手方向を天井開口部3の矩形状の開口形状に合わせるとともに、開放側を天井開口部3から下側に臨ませた状態で設けられる。したがって、本体ケーシング10は、その略直方体状の箱外形における開放側を下側とし、開放側と反対側を上面側とする。以下の説明では、浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10の平面視形状である略矩形状における長手方向(図4における左右方向)を装置長手方向とし、同略矩形状における短手方向(図5における左右方向)を装置短手方向とする。
本体ケーシング10は、その下端縁部に、矩形状の外周形状に沿って鍔状に突出するフランジ部11を有する。フランジ部11は、本体ケーシング10の下側の開口端部において、本体ケーシング10の平面視の矩形状の外形を囲むように、本体ケーシング10の各側面から略板状の外形をなして突出した部分である。このようにフランジ部11が設けられる本体ケーシング10の下側に、表面パネル6が取り付けられる。
表面パネル6は、全体として略矩形板状の部材であり、本体ケーシング10の開放側を塞ぐように取り付けられる。表面パネル6は、本体ケーシング10のフランジ部11を含む全体を覆うように本体ケーシング10に取り付けられる。したがって、表面パネル6は、フランジ部11の底面視の矩形状に対応して、その外形寸法と略同じ大きさの外形寸法を有する。
表面パネル6は、浴室乾燥装置1の下面部を構成する。表面パネル6は、装置本体4の下側に取り付けられた状態で、その下面6aを、天井下面2bと略面一とする。また、表面パネル6は、天井開口部3から下側に臨む本体ケーシング10の開放側に、本体ケーシング10の全体を覆うように取り付けられる。このようにして、表面パネル6は、天井開口部3を下側から覆うように設けられる。
このように本体ケーシング10および表面パネル6により構成される外装構造を有する浴室乾燥装置1は、機能的には、浴室内に温風を送り込む乾燥機能と、浴室内を換気する機能とを有する。浴室乾燥装置1は、吸込口12から浴室内の空気を吸い込んで、吸い込んだ空気を加熱して温め、温めた空気を吹出口13から浴室内に吹き出すことで、乾燥機能を発揮する。一方、浴室乾燥装置1は、浴室内を換気する際には、吸込口12から吸い込んだ空気を、換気口14から浴室外に送り出す。
図4および図5に示すように、浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10の内部には、空気の吸込みや吹出しを行うための送風ファン15が設けられている。送風ファン15は、多翼ファンであり、直方体状の本体ケーシング10の内部において、装置長手方向の一側(図4において右側)寄りの位置に形成されたファン室15a内に、回転軸方向を上下方向(鉛直方向)とするように設けられている。送風ファン15は、その上側に配置されたファンモータ16により回転駆動する。送風ファン15は、その下側から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を側方へと送り出す。
送風ファン15の下側には、本体ケーシング10内において風路を形成する風路形成部材17が設けられている。風路形成部材17は、その上側の面部において送風ファン15が臨む円形状の開口17aを形成するとともに、下側を開放させた枠状ないし箱状の部材である。風路形成部材17は、本体ケーシング10内において、送風ファン15と同様に装置長手方向の一側寄りの位置に装着されており、送風ファン15の下側において、本体ケーシング10の内壁面等とともに、吸込口12から吸い込まれた空気を受け入れる吸気室17bを区画形成する。
吸気室17bは、風路形成部材17の開口17aを介してファン室15aと連通している。吸気室17bの下側の開放部、つまり風路形成部材17の開放された下側の開口部が、吸込口12から本体ケーシング10内に吸い込まれた空気が流れ込む内部吸込口18となる。
本体ケーシング10内において、送風ファン15の側方には、ダンパ19が設けられている(図4参照)。ダンパ19は、送風ファン15に対して、装置長手方向の他側(図4において左側の側方に設けられている。ダンパ19は、送風ファン15を収容するファン室15aと内部吹出口20を介して連通する送風空間19a内に設けられている。
図4に示すように、ダンパ19が設けられた送風空間19aの下側には、吹出口13に連通する循環風路21が設けられており、送風空間19aの内部吹出口20側と反対側(図4において左側)には、換気口14に連通する換気風路22が設けられている。すなわち、送風ファン15の下流側の風路は、内部吹出口20から送風空間19aおよび循環風路21を経て吹出口13に連通する経路と、内部吹出口20から送風空間19aおよび換気風路22を経て換気口14に連通する経路とに分岐しており、この2つの経路の分岐部分となる送風空間19a内に、ダンパ19が設けられている。
ダンパ19は、内部吹出口20から送り込まれる空気を、循環風路21および換気風路22のいずれかまたは両方に送り出すように、送風ファン15の下流側における風路を切り替える。ダンパ19は、回転式のロータリダンパであり、その回転位置により、循環風路21および換気風路22を塞いだり開放したりして風路を切り替える。
本実施形態の浴室乾燥装置1において、浴室側から本体ケーシング10内に空気を吸い込む吸込口12は、本体ケーシング10の下側に取り付けられる表面パネル6と、その周囲に位置する開口カバー8との間に下側に開口するように形成された隙間として設けられ、吸気風路を構成する。したがって、吸込口12は、下面視で矩形状の外形をなす表面パネル6の外形に沿って矩形状をなすスリット状の開口部となる。
また、本実施形態の浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10内から浴室へ空気を吹き出す吹出口13は、ダンパ19の下側に設けられた循環風路21を下側に開口させるように、表面パネル6に設けられている。つまり、吹出口13は、表面パネル6において、ダンパ19の下方に対応する位置に設けられている。したがって、吹出口13は、装置長手方向について送風ファン15が位置する側と反対側(図4において左側)寄りの位置に設けられている。吹出口13は、表面パネル6を貫通する矩形状の吹出開口部13aにグリル13bを設けた構成となっている。
吹出口13の上流側となる吹出口13の上側に、空気を暖めるヒータ23が配置されている(図4参照)。ヒータ23は、吹出口13の上側に設けられたヒータケース24内に収容された状態で設けられている。
また、本実施形態の浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10内から浴室外へ空気を送り出す換気口14は、ダンパ19の側方に設けられた換気風路22を本体ケーシング10の側壁から側方外側に開口させる。換気口14は、本体ケーシング10の装置長手方向の他側(図4において左側)の側壁から突出する管状の部材により構成されている。換気口14には、図示せぬ排気管が接続され、浴室外への排気経路が構成される。
以上のような構成において、ファンモータ16によって送風ファン15が回転することにより、浴室内の空気が、吸込口12から本体ケーシング10内に吸い込まれる。本体ケーシング10内に吸い込まれた空気は、内部吸込口18から吸気室17b内を経て開口17aを介してファン室15aに導かれ、送風ファン15の回転によって内部吹出口20側へ送り出される。
浴室乾燥装置1の動作モードが乾燥を行うモードの場合、ダンパ19によって循環風路21が開放され、内部吹出口20から送り出された空気は、循環風路21側に流れ、ヒータ23により温められて吹出口13から吹き出される。一方、浴室乾燥装置1の動作モードが換気を行うモードの場合、ダンパ19によって換気風路22が開放され、内部吹出口20から送り出された空気は、換気風路22側に流れ、換気口14から送り出される。なお、乾燥を行うモードにおいても、適宜換気口14への風路を確保するため、ダンパ19によって換気風路22が一部開放される。
このような空気の流れを形成する浴室乾燥装置1において、吸込口12から吸い込まれた空気が入り込む内部吸込口18を塞ぐように、フィルタ5が設けられている。フィルタ5は、全体として略矩形板状の部材であり、矩形状の開口をなす内部吸込口18を下側から全体的に覆うように設けられている。
フィルタ5は、平面視において略矩形状の外形の長手方向が装置短手方向に沿うように、風路形成部材17の下部に設けられた一対のフィルタレール部17cに嵌め込まれることで、略矩形状の外形の短手方向の両側の縁部が風路形成部材17に支持された状態で設けられる。一対のフィルタレール部17cは、風路形成部材17において装置長手方向に互いに対向する壁部に形成されており、装置長手方向を互いの対向方向として、かかる方向について対称に設けられている。フィルタレール部17cは、もう一方のフィルタレール部17cに対向する側(内側)、つまり吸気室17b側を開口側として断面略「コ」字状をなす溝状の部分である。フィルタレール部17cは、装置短手方向となる長手方向の両側を開放させた貫通形状を有する。
フィルタレール部17cは、全体としてアーチ状をなすように上側に凸な湾曲形状に沿って形成されている。したがって、フィルタ5は、一対のフィルタレール部17cに嵌め込まれることで、長手方向を湾曲方向として、フィルタレール部17cの湾曲形状に沿って、全体としてアーチ状をなすように湾曲した状態で設けられる。
フィルタレール部17cは、装置短手方向について略対称なアーチ形状に沿って形成されており、装着状態のフィルタ5を装置短手方向について略対称なアーチ状に湾曲させる(図5参照)。このように、フィルタ5は、本体ケーシング10内に設けられる風路形成部材17に装着されることで、本体ケーシング10の下側に装着される表面パネル6の上方の位置に設けられている。
フィルタ5は、装置本体4に対して着脱可能に設けられている。フィルタ5は、フィルタレール部17cに対して差し込まれたり引き抜かれたりすることで着脱される。フィルタ5は、装置本体4に対する着脱の際に掴まれる取手部5bを有する。取手部5bは、矩形状のフィルタ本体部5aの長手方向の一側の辺部から突出するように設けられている。
フィルタ5は、装置本体4に表面パネル6が取り付けられた状態で、装置本体4に対して着脱可能に構成されている。このため、取手部5bは、フィルタ5の装置本体4に対する装着状態で、表面パネル6の外側に突出して下側に露出する(図2、図5参照)。つまり、フィルタ5の装着状態において、取手部5bは、矩形状に沿う吸込口12の一辺部において、下側から見て視認可能な位置に露出した状態にある。これにより、天井2の下側からのフィルタ5の着脱作業が容易に行われる。本実施形態では、取手部5bは、吸込口12の装置短手方向の一側(図5において右側)の辺部において下側に露出している。
フィルタ5の装着に際しては、フィルタ5が、その取手部5b側と反対側の端部から、フィルタレール部17cに対してその端部の開放部から差し込まれる。フィルタ5は、フィルタレール部17cの湾曲形状に沿って斜め上側に向けて差し込まれる。フィルタ5は、フィルタレール部17cに差し込まれることで、フィルタレール部17cの湾曲形状に倣って自動的にアーチ状に湾曲した形状で装着される。一方、フィルタ5の取外しに際しては、取手部5bを掴んで斜め下側にフィルタ5を引っ張り出すことで、フィルタレール部17cに沿ってフィルタ5が取り出される。
フィルタ5は、装置本体4に対して、装置短手方向の両側からの着脱が可能となっている。すなわち、フィルタ5は、上記のとおり長手方向の両側を開放させたフィルタレール部17cに対して、長手方向についての反転装着が可能となっている。本実施形態の浴室乾燥装置1では、図5に示すように、取手部5bが表面パネル6に対して装置短手方向の一側(図5において右側)に突出する向きでのフィルタ5の装着状態を標準装着状態とし、その反対の装着状態、つまり取手部5bが表面パネル6に対して装置短手方向の他側(図5において左側)に突出する向きでの装着状態を反転装着状態とする。
以上のような構成により装置本体4にフィルタ5が設けられた構成においては、送風ファン15が回転することによって吸込口12から吸い込まれた空気は、内部吸込口18を覆うように装着されたフィルタ5を介して、吸気室17b内に流れ込むことになる。
以上のような構成を備える本実施形態の浴室乾燥装置1の天井開口部3に対する取付構造(以下「装置取付構造」という。)について、以下に説明する。本実施形態の装置取付構造は、浴室乾燥装置1の装置本体4を構成する本体ケーシング10と、アダプタ部材としての取付補強材7および開口カバー8とを備える。本実施形態の装置取付構造によれば、本体ケーシング10が、取付補強材7により天井2よりも上方に形成される取付面に固定されることで、装置本体4の全体が天井下面2bよりも上側に埋め込んだ態様で設けられる。
取付補強材7について説明する。図3、図6、および図7に示すように、取付補強材7は、全体として矩形枠状の部材であり、その枠状の形状について、天井開口部3の開口形状・寸法に対応した形状・寸法を有する。取付補強材7は、例えば鉄板等の金属板により構成された金属製の部材である。ただし、取付補強材7は、金属製に限らず、樹脂製の部材であってもよい。
取付補強材7は、矩形状の外形をなすとともに水平面に沿う天面部31と、天面部31の外縁部から天面部31に対して直角状に形成された4つの縦壁部32と、各縦壁部32の下端部から縦壁部32に対して直角状に形成された板状の鍔部33とを有する。
天面部31は、いずれも略平面である上面31aおよび下面31bを有する略平面板状の部分である。天面部31の上面31aが、取付補強材7の上面となる。天面部31には、その矩形状の外形に沿う矩形状の開口31cが形成されている。開口31cにより、天面部31は、矩形枠状の形状を有する平面部となる。
縦壁部32は、取付補強材7の側壁部を構成する鉛直状の板状部分である。天面部31の短辺側に設けられた縦壁部32Aと、天面部31の長辺側に設けられた縦壁部32Bとは、端部同士で接合されて略直角状をなす。つまり、4つの縦壁部32は、隣り合う縦壁部32A,32B同士で略直角状をなして接合されている。天面部31および4つの縦壁部32により、外形的には、下側開放の箱状の本体部分が構成され、天面部31に開口31cが形成された形態として、矩形枠状の形態が構成されている。
鍔部33は、各縦壁部32の下端部、つまり取付補強材7の開放側の縁端から取付補強材7の長手方向(図7(b)における左右方向)および短手方向(図7(c)における左右方向)それぞれの両外側に向けて折り曲げ形成された部分である。鍔部33は、いずれも平面である上面33aおよび下面33bを形成する板状部分である。鍔部33は、取付補強材7の長手方向および短手方向に沿う帯板状に形成されている。
取付補強材7は、天面部31、縦壁部32、および鍔部33により、長手方向を左右方向とする側面視(図7(b)参照)、および短手方向を左右方向とする側面視(図7(c)参照)それぞれにおいて、偏平なハット状の外形をなす。取付補強材7は、その長手方向および短手方向それぞれについて略対称な形状を有する。
全体として枠状に構成された取付補強材7に対して、その枠状の内側の開口縁部により形成される開口31cに、本体ケーシング10が貫通した状態で設けられる。取付補強材7の開口31cは、本体ケーシング10の平面視外形に沿うように、本体ケーシング10の平面視の外形形状である矩形状と略同じ形状・寸法を有する。つまり、取付補強材7の開口31cは、その内部に貫通させる本体ケーシング10の外側面に対して全周にわたってわずかな隙間を隔てるように形成されている。
取付補強材7は、図1および図3に示すように、天井2よりも上方に位置する吊下支持部材としての吊ボルト41および吊下げハンガー42により支持された状態で設けられる。本実施形態では、取付補強材7は、4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42によって吊下げ支持されている。4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42は、本体ケーシング10の略矩形状の平面視形状における4隅の近傍の位置に配置されている。
吊ボルト41は、外周面にネジ面が形成された棒状のボルト部41aと、ボルト部41aに螺嵌される2つのナット41bとを有する。吊ボルト41は、ボルト部41aの上側の部分を、天井2の上方にある建物側の天井等の構造物(図示略)に固定させた状態で垂設される。2つのナット41bは、ボルト部41aの下部に位置する。
吊下げハンガー42は、略「L」字状に折り曲げ形成された板状部材であり、短冊状の本体部42aと、本体部42aの長手方向の一端側(上端側)にて本体部42aに対して直角状に形成された係止部42bとを有する。係止部42bには、本体部42aからの突出側である先端側を開放側とする切欠部42cが形成されており、係止部42bは、略「U」字状の形状を有する。
吊下げハンガー42の上端部は、吊ボルト41に固定される。吊下げハンガー42は、係止部42b側を上側としながら本体部42aの長手方向を上下方向とし、係止部42bを吊ボルト41に係止固定させた状態で、吊ボルト41に連結される。吊下げハンガー42は、ボルト部41aの2つのナット41b間の部分に、切欠部42cにより係止部42bを係合させた状態で、吊ボルト41に係止される。吊下げハンガー42は、係止部42bの部分がその上下のナット41bによって挟持固定されることで、吊ボルト41に固定される。ボルト部41aにおけるナット41bの位置調整により、吊下げハンガー42のボルト部41aに対する固定位置つまり高さ位置が調整される。
吊下げハンガー42の下端部、つまり本体部42aの係止部42b側と反対側の端部は、取付補強材7に固定される。取付補強材7は、吊下げハンガー42の下端部が固定される部分として、矩形板状の突片部である支持突片部34を有する。支持突片部34は、取付補強材7において、4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42の配置位置に対応して4箇所に設けられている。
支持突片部34は、取付補強材7の天面部31における開口31cの開口縁部に沿って形成されている。つまり、取付補強材7の上面視において、直線状に表れる板状の支持突片部34は、その直線方向を開口31cの開口縁部に沿わせるように設けられている。支持突片部34は、取付補強材7の短手方向を板厚方向とし、取付補強材7の短手方向の両側の支持突片部34は、板面を互いに対向させるように設けられている。したがって、上述のとおり取付補強材7の開口31cが本体ケーシング10の外側面に対して全周にわたってわずかな隙間を隔てるように形成された構成において、支持突片部34は、本体ケーシング10に対して装置短手方向の両側の側面に対向するように位置する。
このような支持突片部34に対し、吊下げハンガー42は、本体部42aの下端部を支持突片部34の外側に重ねた状態で、ボルト等の締結具43によって固定される。締結具43は、互いに重なった状態の支持突片部34および本体部42aの下端部を貫通し、これらを互いに固定させる。支持突片部34には、締結具43を貫通させる孔部34aが形成されている。
吊下げハンガー42は、本体部42aからの係止部42bの突出方向を本体ケーシング10に対して外側に向けるように、つまり係止部42bの突出方向が取付補強材7の短手方向の両外側を向くように、支持突片部34に固定される。したがって、吊下げハンガー42は、その本体部42aを、本体ケーシング10の装置短手方向の両側の側面10aに沿わせた態様で支持突片部34に固定される。なお、吊下げハンガー42は、取付補強材7に取り付けられた状態の本体ケーシング10の高さ寸法と略同じ長さを有する。
このように、取付補強材7は、4箇所の支持突片部34それぞれにおいて吊下げハンガー42の下端部の連結を受け、4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42により吊下げ支持される。かかる支持構成によれば、各吊ボルト41において係止部42bを上下から挟む2つのナット41bのボルト部41aに対する位置調整により、吊下げハンガー42を介して取付補強材7の高さ位置が調整される。
なお、本実施形態では、取付補強材7を吊下げ支持する吊下支持部材として、吊ボルト41および吊下げハンガー42が用いられているが、これに限定されるものではない。吊下支持部材としては、取付補強材7を吊下げ支持することができるものであれば、その支持態様等は限定されない。取付補強材7の支持構造としては、例えば、天井2の上側に井桁等の支持部を設け、この支持部から吊下げハンガー42等の支持部材を垂設した構成等であってもよい。また、取付補強材7の吊下げ支持部の数や配置位置についても本実施形態に限定されず適宜設定される。
取付補強材7は、本体ケーシング10を所定の取付位置に支持する。取付補強材7は、天井2よりも上方の位置に、本体ケーシング10の取付面を形成し、この取付面に本体ケーシング10を固定支持させることで、本体ケーシング10を支持する。
本実施形態では、本体ケーシング10の取付面は、取付補強材7の天面部31により形成される。すなわち、本実施形態において、天面部31は、天井下面2bよりも上方の位置に本体ケーシング10の取付面を形成する水平部に相当する。天面部31の下面31bが、本体ケーシング10の取付面となる。また、本実施形態の取付補強材7においては、縦壁部32が、天面部31の外周端部から鉛直方向下向きに延出し、天井開口部3の縁に沿う鉛直部に相当し、鍔部33が、縦壁部32の下端部から外周方向に張り出して形成される張出部に相当する。
そして、取付補強材7は、鍔部33の上面33aが天井下面2bに接触するように吊ボルト41および吊下げハンガー42により支持される。具体的には次のとおりである。
取付補強材7は、鍔部33を天井2に対して下側から接触させた状態、つまり鍔部33の上面33aを天井下面2bに接触させた状態で、天井2に支持される。また、取付補強材7は、上記のとおり天面部31および4つの縦壁部32により構成される下側開放の箱状の本体部分の上側の過半部分を、天井2よりも上側に位置させる。すなわち、縦壁部32の高さは、天井2の厚さよりも十分に大きく、鍔部33が天井2に下側から接触した状態において、取付補強材7は、その上側の大部分を天井開口部3を介して天井2の上側に突出させた状態で支持される。
このように、取付補強材7は、箱状の本体部分を天井2に対して下側から天井開口部3に貫通させるとともに、鍔部33を天井2の天井下面2b側に係止させた状態で設けられる。したがって、平面視において、取付補強材7の箱状の本体部分の外形寸法は、天井開口部3を貫通できるように天井開口部3の開口寸法よりも小さく、取付補強材7の鍔部33を含む外形寸法は、天井開口部3の開口寸法よりも大きい。ここで、取付補強材7の本体部分の外形寸法は、天井開口部3の開口寸法と略同じであり、取付補強材7の本体部分が天井開口部3に貫通した状態において、縦壁部32の外側の側面32aと天井開口部3の内側面3a,3bとの間には微小な隙間が形成される。
取付補強材7は、吊ボルト41および吊下げハンガー42により吊下げ支持された状態で、本体部分を天井開口部3から上方に突出させるとともに鍔部33を天井下面2bに接触させる。すなわち、ボルト部41aに対するナット41bの位置調整により、鍔部33が天井下面2bに接触するように、取付補強材7の高さ位置が調整される。言い換えると、取付補強材7は、吊ボルト41および吊下げハンガー42によって上方に引き上げられる作用を得ながら鍔部33を天井下面2bに係止させた態様で支持される。以上のように、取付補強材7は、鍔部33が接触する天井下面2bを支持面として、吊ボルト41および吊下げハンガー42による支持を受ける。
そして、天井開口部3を介する取付補強材7の天井2からの上側への突出部分の上面部となる天面部31が、本体ケーシング10の支持部であって、天井2よりも上方の位置に本体ケーシング10の取付面を形成する部分となる。すなわち、略水平面部となる天面部31の下面31bが、天井2よりも上方に位置し、本体ケーシング10の取付面として用いられる。
このように取付補強材7によって天井2よりも上方に形成された取付面に対して、本体ケーシング10が取り付けられる。本体ケーシング10は、天面部31に対して下側から上側に向かって締結される締結部材としての固定用ネジ45により取付補強材7に固定される。具体的には次のとおりである。
本体ケーシング10は、その下端縁部に有するフランジ部11を、取付補強材7の天面部31に対して下側から接触させた状態、つまりフランジ部11の上面11aを天面部31の下面31bに接触させた状態で、天面部31に固定される。また、本体ケーシング10は、下側開放の箱状の本体部分の略全体を、取付補強材7(天面部31)よりも上側に位置させる。すなわち、フランジ部11が天面部31に下側から接触した状態において、本体ケーシング10は、その略全体を天面部31の開口31cを介して取付補強材7の上側に突出させた状態で取付補強材7に固定される。
このように、本体ケーシング10は、箱状の本体部分を取付補強材7の天面部31に対して下側から開口31cに貫通させるとともに、フランジ部11を天面部31の下面31b側に係止させた状態で設けられる。したがって、平面視において、本体ケーシング10の箱状の本体部分の外形寸法は、開口31cを貫通できるように開口31cの開口寸法よりも小さく、本体ケーシング10のフランジ部11を含む外形寸法は、開口31cの開口寸法よりも大きい。ここで、本体ケーシング10の本体部分の外形寸法は、開口31cの開口寸法と略同じであり、本体ケーシング10の本体部分が開口31cに貫通した状態において、本体ケーシング10の外側の側面と天面部31の開口縁端との間にはわずかな隙間が形成される。
本体ケーシング10を取付補強材7の天面部31に固定する固定用ネジ45は、天面部31と、天面部31に対して下側から重なったフランジ部11の上面部11bとを、下側から上側に向かって貫通するようにねじ込まれる。詳細には、図8に示すように、フランジ部11の上面部11bには、固定用ネジ45を貫通させる貫通孔11dが形成されており、取付補強材7の天面部31には、固定用ネジ45が螺合するネジ孔31dが形成されている。そして、固定用ネジ45は、ワッシャ46を介して貫通孔11dを貫通するとともに、ネジ孔31dに螺合してねじ込まれる。つまり、固定用ネジ45は、締結された状態において、頭部45aを、ワッシャ46を介して上面部11bの下面11cに接触させるとともに、上面部11bおよび天面部31を貫通し、ネジ部45bを天面部31の上面31aから突出させる。
このように固定用ネジ45がフランジ部11および天面部31に対して下側からねじ込まれて締結されることにより、フランジ部11が天面部31に固定される。以上のように、本体ケーシング10は、下側から螺挿される固定用ネジ45によってフランジ部11が天面部31に締結固定されることにより、取付補強材7に固定される。
本実施形態では、固定用ネジ45によるフランジ部11の天面部31に対する固定部は、天面部31の開口31cの開口縁部の近傍の位置にて複数箇所に設けられている。天面部31には、開口31cの開口縁部に沿うように長手状の長手凹部31eが形成されており、この長手凹部31eにおける所定の位置に、固定用ネジ45が螺合するネジ孔31dが穿設されている。
本実施形態では、図7(a)に示すように、開口31cの長手方向に沿う長手凹部31eにおいては、それぞれ3箇所のネジ孔31dが設けられており、開口31cの短手方向に沿う長手凹部31eにおいては、それぞれ2箇所のネジ孔31dが設けられている。フランジ部11においては、これらの長手凹部31eに対応する位置に、貫通孔11dが形成されている。そして、これらのネジ孔31dのうち、適宜全部または一部のネジ孔31dおよび貫通孔11dが、固定用ネジ45による本体ケーシング10の固定に用いられる。本実施形態では、開口31cの長辺側に設けられた3箇所のネジ孔31dのうちの両端側に位置する2箇所のネジ孔31dと、開口31cの短辺側に設けられた2箇所のネジ孔31dのうちの1箇所のネジ孔31dとの計6箇所のネジ孔31dが用いられ、6本の固定用ネジ45によって本体ケーシング10が取付補強材7に固定されている(図1参照)。
以上のような固定用ネジ45による本体ケーシング10の取付補強材7に対する固定構造については、天面部31に対して下側から上側に向かって締結される締結部材により本体ケーシング10を取付補強材7に固定する構造であれば、本実施形態に限定されず、種々の構造を採用することができる。本実施形態では、フランジ部11に貫通孔11dが形成され、天面部31にネジ孔31dが形成されているが、例えば、ネジ孔31dを単なる貫通孔として固定用ネジ45の天面部31からの突出部分にナットを螺合させる構造であってもよい。また、締結部材としては、固定用ネジ45のほか、例えば固定用のピンが用いられてもよい。また、固定用ネジ45による固定部の数や配置位置についても本実施形態に限定されず適宜設定される。
開口カバー8について説明する。図3、図9および図10に示すように、開口カバー8は、全体として矩形枠状の部材であり、その枠状の形状について、天井開口部3の開口形状・寸法に対応した形状・寸法を有する。開口カバー8は、樹脂製の部材である。ただし、開口カバー8は、樹脂製に限らず、金属製の部材であってもよい。
開口カバー8は、全体としての矩形枠状の形状を構成する部分として、開口カバー8の長手方向(図10(a)、(b)における左右方向)に沿う一対の長手辺部51と、開口カバー8の短手方向(同図における上下方向)に沿う一対の短手辺部52とを有する。開口カバー8は、枠状の外形に沿って形成された上面部50を有する。上面部50は、長手辺部51および短手辺部52に共通の略水平面である上面50aを形成する。上面部50には、その矩形状の外形に沿う矩形状の開口50cが形成されている。
開口カバー8は、上面部50の外縁側から下側に枠状に形成された枠壁部を有し、この枠壁部および上面部50によって、下側開放の箱状の本体部分を構成する。つまり、上面部50およびその下側の枠壁部により、外形的には、下側開放の箱状の本体部分が構成され、上面部50に開口50cが形成された形態として、矩形枠状の形態が構成されている。
開口カバー8は、その下側の開放側の縁端から開口カバー8の矩形状の外形に沿って鍔状に突出した爪部53を有する。爪部53は、開口カバー8の矩形状の外形に沿って全周にわたって形成されており、平面視で枠状の形状に沿う形状を有する。開口カバー8は、その長手方向を左右方向とする側面視(図4参照)、および短手方向を左右方向とする側面視(図5参照)それぞれにおいて、偏平なハット状の外形をなす。開口カバー8、その長手方向および短手方向それぞれについて略対称な形状を有する。
開口カバー8は、取付補強材7の下側に設けられ、上面部50の開口50cに本体ケーシング10の本体部分を貫通させる。開口カバー8の開口50cは、取付補強材7の開口31cよりも一回り大きく、開口端面を、開口31cの開口端面よりも開口カバー8の外周側に位置させる。詳細には、開口カバー8の開口50cの開口端面は、上述したように取付補強材7においてネジ孔31dが形成される部分であって開口31cの開口縁部に沿うように形成された長手凹部31eよりもわずかに外側に位置させる(図11参照)。
開口カバー8を構成する長手辺部51および短手辺部52は、いずれも、上面部50の外側において上面50aに対して下側に位置する段差面54a,55aを形成する段差部54,55を有する。すなわち、開口カバー8の短手方向の左右両外側において、長手辺部51の長手方向に沿って段差部54が形成され、開口カバー8の長手方向の左右両側において、短手辺部52の長手方向に沿って段差部55が形成されている。
また、開口カバー8は、段差部54,55の外縁部から段差部54,55に対して直角状に形成された垂直面部56を有する。垂直面部56の下端部から垂直面部56に対して直角状に爪部53が延出している。
このように長手辺部51および短手辺部52について共通の上面50aを形成する上面部50と、長手辺部51および短手辺部52それぞれの段差部54,55と、垂直面部56と、爪部53とを有する開口カバー8は、長手辺部51および短手辺部52のそれぞれについて、内縁側(開口50c側)から外縁側(爪部53側)にかけて下る階段状の形状を有する。
開口カバー8は、天井開口部3の縁に沿って取付補強材7を下側から覆う。開口カバー8は、取付補強材7の少なくとも天面部31の外周側の部分、縦壁部32、および鍔部33を下側から覆うように設けられる。
開口カバー8は、取付補強材7の内縁側については、上述したように、開口50cの開口端面を、開口カバー8の天面部31における長手凹部31eよりもわずかに外側に位置させる。一方、開口カバー8は、取付補強材7の外縁側については、爪部53により、鍔部33の全体を下側から覆った状態となる。また、開口カバー8は、垂直面部56を取付補強材7の縦壁部32の内側に沿うように縦壁部32に対向させる。開口カバー8は、断面視において略「L」字状をなす取付補強材7の縦壁部32および鍔部33に対して、これらと同様に断面視において略「L」字状をなす垂直面部56および爪部53を内側および下側から沿わせた態様で、取付補強材7の各部を下側から覆う。
このように、取付補強材7に対して下側から重なる態様で設けられる開口カバー8は、天面部31の開口31cの開口縁部を除いた外周側の大部分、縦壁部32、および鍔部33を、天井開口部3の枠形状に沿って全体的に覆った状態で設けられる。ただし、取付補強材7の内縁側については、開口カバー8により、開口50cの開口端面を、開口31cの開口端面と略同じ位置、あるいは開口31cの開口端面よりも内側に位置させ、天面部31の全体を覆う構成であってもよい。
開口カバー8の爪部53について説明する。爪部53は、上述したように天井下面2bに接触した状態の取付補強材7の鍔部33の全体を下側から覆う。したがって、爪部53は、天井開口部3の開口形状に沿って天井下面2b側に枠状に露出した部分となる(図2参照)。つまり、爪部53は、天井2の下側において、天井開口部3をその開口形状に沿って縁取る態様となる。
爪部53は、鍔部33を下側から覆う被覆面部61と、被覆面部61の外周縁部から立ち上がり天井下面2bに接触する当接壁部62とを含む。被覆面部61および当接壁部62は、開口カバー8の下端部において全周にわたって形成され、爪部53を構成する。
被覆面部61は、開口カバー8において、垂直面部56の下端部から横方向かつ外側に延出する部分であり、断面視において垂直面部56とともに略「L」字状をなす板状部分である。被覆面部61は、取付補強材7の縦壁部32の内側に位置する垂直面部56の下端部から、鍔部33よりも外側(図11において右側)の位置まで延出され、鍔部33の全体を下側から覆う。
当接壁部62は、被覆面部61の垂直面部56からの延出先端側の端部から上側に屈曲形成された部分であり、断面視において被覆面部61とともに略「L」字状をなす板状部分である。当接壁部62は、開口カバー8の垂直面部56と略平行であって垂直面部56に対して十分に低い壁面部である。当接壁部62は、その上面62aを天井2に対する接触面とする。つまり、開口カバー8は、当接壁部62の上面62aを天井下面2bに接触させた状態で設けられる。
このような爪部53を有する開口カバー8は、取付補強材7の天面部31に対して下側から上側に向かって締結される締結部材としての第2固定用ネジ65により取付補強材7に固定される。具体的には次のとおりである。
開口カバー8は、第2固定用ネジ65による固定部として、複数のボス部58を有する。ボス部58は、開口カバー8を構成する長手辺部51および短手辺部52のそれぞれにおいて、外周側の段差面54a,55aから上方に向けて突出するように設けられている。
本実施形態において、長手辺部51に設けられたボス部58Aは、段差面54aから円筒状に突出する部分として設けられている。各長手辺部51において、ボス部58Aは、長手辺部51の長手方向の両端部および中央部の3箇所に設けられている。また、短手辺部52に設けられたボス部58Bは、段差面55a上において、上面50aと段差面55aとの間の垂直状の壁面55bから半円筒状に突出する部分として設けられている。各短手辺部52において、ボス部58Bは、短手辺部52の長手方向の中央部の1箇所に設けられている。このように、開口カバー8は、各長手辺部51に3箇所ずつ、各短手辺部52に1箇所ずつ、合計で8箇所にボス部58を有する。
図11に示すように、ボス部58は、上端面58aを形成する上面部58bを有する下側開放の中空状の部分である。ボス部58の上端面58aは、開口カバー8の上面50aと同一平面上に位置する。取付補強材7の下側に設けられる開口カバー8は、上面50aおよびボス部58の上端面58aを天面部31の下面31bに接触させた状態で、第2固定用ネジ65によって取付補強材7に固定される。
開口カバー8を取付補強材7の天面部31に固定する第2固定用ネジ65は、天面部31と、天面部31に対して下側から重なったボス部58の上面部58bとを、下側から上側に貫通するようにねじ込まれる。詳細には、ボス部58の上面部58bには、第2固定用ネジ65を貫通させる貫通孔58cが形成されており、取付補強材7の天面部31には、第2固定用ネジ65が螺合するネジ孔31fが形成されている。そして、第2固定用ネジ65は、貫通孔58cを貫通するとともに、ネジ孔31fにねじ込まれる。つまり、第2固定用ネジ65は、締結された状態において、頭部65aを、上面部58bの下面58dに接触させるとともに、上面部58bおよび天面部31を貫通し、ネジ部65bを天面部31の上面31aから突出させる。
このように第2固定用ネジ65がボス部58および天面部31に対して下側からねじ込まれて締結されることにより、ボス部58が天面部31に固定される。以上のように、開口カバー8は、下側から螺挿される第2固定用ネジ65によってボス部58が天面部31に締結固定されることにより、取付補強材7に固定される。
本実施形態では、第2固定用ネジ65によるボス部58の天面部31に対する固定部は、上述のとおり各長手辺部51に3箇所ずつ、各短手辺部52に1箇所ずつ計8箇所に設けられている。取付補強材7の天面部31において、第2固定用ネジ65による固定部、つまり第2固定用ネジ65が貫通するネジ孔31fは、固定用ネジ45が貫通するネジ孔31dよりも外縁側の位置であって天面部31の外縁部近傍に設けられている。
以上のような第2固定用ネジ65による開口カバー8の取付補強材7に対する固定構造については、固定用ネジ45による固定構造と同様に、天面部31に対して下側から上側に向かって締結される締結部材により開口カバー8を取付補強材7に固定する構造であれば、本実施形態に限定されず、種々の構造を採用することができる。
このように複数の第2固定用ネジ65によって取付補強材7と開口カバー8とが互いに固定される構成において、開口カバー8の爪部53を構成する被覆面部61と取付補強材7の鍔部33との間には隙間66が形成されている。すなわち、図12に示すように、隙間66は、上面33aを天井下面2bに接触させた状態の鍔部33の下面33bと、鍔部33を下側から覆う被覆面部61の上面61aとの間に形成されている(矢印D1参照)。
天井2の天井開口部3を形成する開口縁部の下側(天井下面2b側)には、天井下面2bと爪部53とにより偏平枠状の空間67が形成される。すなわち、天井下面2bと被覆面部61の上面61aとの間には、上面62aを天井下面2bに当接させる当接壁部62が被覆面部61の上面61aから上側に突出していることで、天井下面2bと爪部53との間に空間67が形成され、この空間67の上下方向の寸法が、鍔部33の板厚寸法よりも大きく、鍔部33と被覆面部61との間に隙間66が形成される。したがって、被覆面部61の上面61aからの当接壁部62の突出寸法は、少なくとも鍔部33の板厚寸法よりも大きいことになる。なお、被覆面部61の上面61aには、上述の空間67内において被覆面部61上に装着されるパッキン(図示略)の位置決め用の突条部61cが形成されている。
また、開口カバー8の爪部53の下面となる被覆面部61の下面61bは、爪部53の内周端部側から外周端部側にかけて天井2側に近付くように傾斜した傾斜面となっている。すなわち、被覆面部61の下面61bは、開口カバー8の外周縁側となる当接壁部62側(図12において右側)から、開口カバー8の内周縁側となる垂直面部56側(図12において左側)にかけて下るように傾斜している(矢印D2参照)。したがって、図12に示すように、被覆面部61の下面61bは、直線D3で示す水平面に対して所定の傾斜角度αをもって開口カバー8の内縁側下がりに傾斜している。
本実施形態では、互いに略平行な上面61aおよび下面61bを有する板状の被覆面部61が全体的に傾斜することで、下面61bが上述のとおり傾斜している。一方、隙間66を形成する鍔部33の下面33bは、天井下面2bに沿って略水平である。このため、鍔部33の下面33bと被覆面部61の上面61aとの間の隙間66の寸法(上下方向の寸法)については、開口カバー8の内縁側よりも外縁側の方が小さくなっている。
以上のような爪部53の傾斜構造によれば、次のような作用が得られる。開口カバー8は、上述したような第2固定用ネジ65による締結固定が行われることで、爪部53よりも内側に位置するボス部58において、取付補強材7側に押し付けられる方向の作用を受ける(図11、矢印F1参照)。開口カバー8が取付補強材7の下側にセットされ第2固定用ネジ65による締結作用を受けていない開口カバー8の自然状態において、当接壁部62の上面62aは、天井下面2bに接触し、第2固定用ネジ65が貫通するボス部58の上端面58aと取付補強材7の天面部31の下面31bとの間には、隙間(締め代)が存在する。
そして、第2固定用ネジ65を締め付けて開口カバー8を取付補強材7に締結することにともない、ボス部58の上端面58aが取付補強材7の天面部31の下面31bに接触する。すなわち、ボス部58の上側において天面部31との間に締め代が存在することにより、第2固定用ネジ65の締付けの作用によって、当接壁部62の上面62aを天井下面2bに接触させた状態の開口カバー8は、爪部53よりも内縁側の部分が持ち上がるように撓んで変形する(図12、矢印F2参照)。
言い換えると、開口カバー8は、第2固定用ネジ65による取付補強材7に対する固定に関し、当接壁部62の上面62aが天井下面2bに接触することで外周側の端部の上方への移動が規制された状態で、第2固定用ネジ65が締め付けられることにより、天面部31との間に隙間を有するボス部58が存在する、爪部53よりも内側の部分が上昇変形するように構成されている。このような構成は、当接壁部62の上面62aを確実に天井下面2bに接触させて開口カバー8の外周縁部を天井下面2bに密着させることに寄与する。
このような開口カバー8の固定構造において、上述したように被覆面部61の下面61bが傾斜していることにより、第2固定用ネジ65の締付けにともなって、開口カバー8の自然状態での下面61bの傾斜が軽減され、水平面に近付くことになる。すなわち、上述したような開口カバー8の爪部53よりも内側の部分が持ち上がるような変形によれば、爪部53は、天井下面2bに接触する当接壁部62の部分を基点として被覆面部61が内縁側から持ち上がるように変形し、被覆面部61の傾斜が軽減されることになる。そこで、開口カバー8の自然状態において被覆面部61について傾斜を設けることで、開口カバー8が第2固定用ネジ65による締結の作用を受けた状態において、被覆面部61の特に下面61bが略水平となるような構成が採用される。
したがって、被覆面部61の下面61bの傾斜角度αは、第2固定用ネジ65の締付けにともなう開口カバー8の変形量が考慮され、第2固定用ネジ65を締め付けた状態で被覆面部61の下面61bが略水平ないし水平となるような角度に設定される。被覆面部61の下面61bの傾斜角度αは、特に限定されるものではないが、例えば3〜5°程度である。
また、本実施形態の装置取付構造においては、開口カバー8と取付補強材7との関係について、開口カバー8には、取付補強材7の天面部31を下側から上側に向けて貫通して開口カバー8を取付補強材7に係止させる仮固定用の係止片部70が設けられている。係止片部70は、開口カバー8を構成する材料の弾性を利用したいわゆるスナップフィットの態様で取付補強材7に係合し、開口カバー8を取付補強材7に仮固定させるための形状部分である。
図9に示すように、係止片部70は、開口カバー8を構成する短手辺部52において、開口31cの開口縁部の近傍の位置に、上面50aから上方に向けて突設されている。本実施形態の開口カバー8において、係止片部70は、各短手辺部52の長手方向の両側の端部近傍に2箇所ずつ、計4箇所に設けられている。
係止片部70の詳細について、図13を用いて説明する。図13(a)〜(b)に示すように、係止片部70は、開口カバー8の長手方向を板厚方向とする矩形板状の基部71と、基部71に対して開口カバー8の内周側に設けられる係止板部72と、基部71に対して係止板部72側と反対側の板面に設けられるガイド板部73とを有する。係止片部70は、係止板部72の部分の弾性変形を利用し、取付補強材7の天面部31に係合する。
基部71は、水平面部となる上面部50に対して略垂直な矩形板状の突片部であり、開口カバー8の上面部50における開口50cの開口縁部に沿って形成されている。したがって、基部71は、断面視において、上面部50とともに略「L」字状をなす。
係止板部72は、基部71に対して上端部同士を繋げた状態で設けられる板状部分であり、基部71の内側の板面71aに対して所定の隙間を隔てるように形成されている。つまり、基部71と係止板部72とは、上端部同士を繋げるとともに下側を開放させた互いに対向する板状部分である。係止板部72は、基部71の板面71aとの間の隙間を、基部71に対する弾性変形の変形代とする。係止片部70は、取付補強材7に対する係合の過程で、係止板部72が基部71に近付くことで自然状態における基部71と係止板部72との間の隙間を小さくするように弾性変形する。
係止板部72は、基部71側と反対側の面の上部に、第1ガイド斜面72aを有する。第1ガイド斜面72aは、係止片部70の上側から下側にかけて基部71側から遠ざかるように傾斜している。また、係止板部72は、第1ガイド斜面72aの下端から基部71側に形成された係止面72bを有する。係止面72bは、第1ガイド斜面72aを形成する係止板部72の上側の部分に対する下側の部分の段差を形成する面である。係止面72bは、下側を向く略水平面であり、係止片部70の側面視において第1ガイド斜面72aとともに鋭角をなす(図13(c)参照)。
ガイド板部73は、基部71の外側の板面71bにおいて突設された板状部分である。ガイド板部73は、基部71の左右幅方向の両側の縁部近傍の2箇所に設けられている。ガイド板部73は、その上部において、第1ガイド斜面72aとは対称的な第2ガイド斜面73aを有する。すなわち、第1ガイド斜面72aと第2ガイド斜面73aとは、係止片部70の下側から上端部に向けて互いに近付くように傾斜しており、係止片部70の側面視において、基部71と第1ガイド斜面72aおよび第2ガイド斜面73aとは、上側の方向を指す略矢印状の形状をなす(図13(c)参照)。つまり、第1ガイド斜面72aと第2ガイド斜面73aとは、基部71側を中心側とする下広がりの傾斜面となる。
このように開口カバー8に設けられた係止片部70に対し、取付補強材7の天面部31においては、4箇所の係止片部70に対応する位置に、係止孔部31gが形成されている。係止孔部31gは、係止片部70の平面視での外形形状に対応する矩形状の開口を形成する。開口カバー8は、係止片部70を係止孔部31gに下側から挿入して係止板部72の弾性変形をともなって天面部31を貫通させることで、係止片部70により取付補強材7に係止支持された状態となる。
具体的には、係止片部70が、その先端側(上端側)から係止孔部31gに対して下側から挿入されることにより、第1ガイド斜面72aおよび第2ガイド斜面73aが係止孔部31gの開口端面に接触する。かかる状態で、開口カバー8が取付補強材7に対して押し付けられること等によって係止片部70が天面部31を貫通する方向に進むことで、第1ガイド斜面72aおよび第2ガイド斜面73aのガイド作用によって、係止板部72が基部71側に押される押圧作用を受けて基部71側に近付くように弾性変形する。そして、天面部31に対する係止片部70の相対移動が進み、天面部31を貫通した係止片部70の係止面72bが天面部31よりも上方の位置に達することで、係止孔部31gの開口端面からの係止板部72に対する押圧作用が解除され、弾性変形した状態の係止板部72が自然状態に復帰する。これにより、係止片部70が天面部31に係止された状態となる。かかる状態においては、係止片部70は、係止面72bを取付補強材7の天面部31の上面31aに対向させる。
このように、開口カバー8は、4箇所の係止片部70を係止孔部31gにより天面部31に係止させることで、取付補強材7に仮固定(仮止め)された状態となる。一方、係止片部70による開口カバー8の仮固定状態を解除する際には、天面部31を貫通した状態の係止片部70の係止板部72を押圧して変形させて基部71に近付け、係止面72bを係止孔部31gの開口の内側に位置させることで、係止片部70を係止孔部31gから下側に引き抜くことが可能となる。
以上のような開口カバー8の取付補強材7に対する係止構造において、天面部31を貫通させる係止片部の形状等については、本実施形態に限定されず、種々の構造を採用することができる。つまり、開口カバー8に設けられる係止片部としては、いわゆるスナップフィットの態様で取付補強材7に係合し、開口カバー8を取付補強材7に仮固定させるための形状部分であれば、その形状等は特に限定されない。また、係止片部70による係止部の数や配置位置についても本実施形態に限定されず適宜設定される。
また、本実施形態の装置取付構造においては、開口カバー8と本体ケーシング10との関係について、開口カバー8には、下方に向けて突出し、本体ケーシング10に嵌合することで開口カバー8に本体ケーシング10を位置決めさせる嵌合突部80が設けられている。嵌合突部80は、開口カバー8の上面部50から下方に向けて突出する突起状の部分であり、本体ケーシング10のフランジ部11に嵌合することで、開口カバー8と本体ケーシング10とを互いに水平方向(天井面方向)について位置決めする位置ずれ防止用のボスとして機能する。
図9および図10に示すように、嵌合突部80は、開口カバー8を構成する短手辺部52において、開口31cの開口縁部から水平状に突出する突片部81から下方に向けて突設されている。突片部81は、開口31cの開口縁部から開口カバー8の内側に向けて突出する略矩形状の突片部分であり、上面50aと面一をなすように形成されている。突片部81の下面に、嵌合突部80から突設されている。
嵌合突部80は、外周面として円筒面を形成する円筒状の基部と、この基部に連続して嵌合突部80の突出先端側にかけて縮径する截頭円錐状の円錐部とからなり、円錐部において円錐面状の外周面を形成する。嵌合突部80は、基部および円錐部からなる外形形状に沿うとともに突片部81の上面に開口する中空部を有し、中空状の部分として形成されている。
このような嵌合突部80に対し、本体ケーシング10のフランジ部11においては、嵌合突部80が挿嵌される嵌合孔部11eが設けられている(図14参照)。嵌合孔部11eは、嵌合突部80が差し込まれる嵌合孔11fを形成する部分である。嵌合孔11fは、フランジ部11の上面11aおよび下面11c側に開口し、上面部11bを貫通するように形成されている。
嵌合孔部11eは、嵌合孔11fを形成する部分として、上面部11bの下面11c側に突出する略短円筒状ないし略円環状のボス部11gを有する。ボス部11gの内周面により、嵌合孔11fの下側の部分が形成される。嵌合孔11fは、嵌合突部80の基部の外径寸法とよりもわずかに大きい内径寸法を有する。嵌合突部80は、嵌合孔部11eに嵌合した状態において、先端側の部分である円錐部を嵌合孔11fの下側開口から突出させた状態となる。
嵌合突部80と嵌合孔部11eによる嵌合部においては、本体ケーシング10のフランジ部11と取付補強材7の天面部31との間に突片部81が介在する(図14参照)。このため、取付補強材7において開口31cの短手方向に沿う長手凹部31eは、その長手方向の中央部にて分断されており、この分断部分において、フランジ部11の上面11aと天面部31の下面31bとの間に突片部81が介装される隙間が存在する。
本実施形態では、開口カバー8において、嵌合突部80は、各短手辺部52においてその長手方向の中央部の1箇所ずつ、合計で2箇所の位置に設けられている。つまり、嵌合突部80は、短手辺部52の外周側に設けられたボス部58Bに対して短手辺部52の内周側の近傍に位置する。
以上のような嵌合突部80によるフランジ部11に対する位置決め用の嵌合構造において、嵌合突部80の突出形状や嵌合孔部11eの形状等については、本実施形態に限定されず、種々の構造を採用することができる。つまり、開口カバー8に設けられる嵌合突部としては、フランジ部11に設けられた所定の嵌合部に対して嵌合し、開口カバー8に対して下側からフランジ部11を接触させる本体ケーシング10を開口カバー8に対して横方向(水平方向)について位置決めさせるための形状部分であれば、その形状等は特に限定されない。また、本体ケーシング10のフランジ部11側に嵌合突部を設け、開口カバー8側に嵌合孔部を設けた構成であってもよい。また、嵌合突部80による嵌合部の数や配置位置についても本実施形態に限定されず適宜設定される。
以上のような構成を備える本実施形態の装置取付構造による浴室乾燥装置1の取付手順の一例について説明する。
まず、天井2の上方にある建物側の天井等の構造物の4箇所に吊ボルト41をねじ込み、吊ボルト41を垂設し、各吊ボルト41に吊下げハンガー42を取り付ける。4箇所の吊ボルト41および吊下げハンガー42に対し、取付補強材7が、天井2の下側から天井開口部3を介して取り付けられる。取付補強材7は、開口31cの開口縁部に設けられた支持突片部34が吊下げハンガー42の下端部に締結具43によって固定されることで取り付けられる。取付補強材7は、本体部分を天井開口部3から上方に突出させるとともに鍔部33を天井下面2bに接触させた状態で、吊ボルト41および吊下げハンガー42により吊下げ支持される。取付補強材7の支持位置は、各吊ボルト41において係止部42bを上下から挟む2つのナット41bによって調整される。
次に、開口カバー8が、取付補強材7に対して下側から取り付けられる。開口カバー8の取付補強材7への取付けに際しては、まず、開口カバー8の4箇所の係止片部70により、開口カバー8が取付補強材7に仮固定される。すなわち、係止片部70を取付補強材7の係止孔部31gに対して下側から位置合わせした状態で、取付補強材7に対して開口カバー8を押し付けることで、係止片部70が係止孔部31gを貫通して天面部31に対してスナップフィットの態様で係合し、開口カバー8が取付補強材7に仮止めされる。
開口カバー8が取付補強材7に仮固定された後、第2固定用ネジ65により、開口カバー8が取付補強材7に8箇所で締結固定される。第2固定用ネジ65は、開口カバー8の下側から、開口カバー8のボス部58を貫通するとともに取付補強材7の天面部31に螺合し、ネジ部65bの大部分を天面部31から上方に突出させた状態で、開口カバー8を取付補強材7に締結させる。
また、第2固定用ネジ65の締結にともない、上述したような開口カバー8の爪部53の傾斜構造により、下側に露出する爪部53の上面61aが略水平面となる。すなわち、第2固定用ネジ65の締付け作用によって、開口カバー8の内周側が持ち上がるように開口カバー8が変形し、爪部53の内周側が天井開口部3内に押し込まれる態様となり、自然状態で傾斜している爪部53の下面61bが略水平に沿った状態となる。
開口カバー8が取付補強材7に固定された後、装置本体4にフィルタ5および表面パネル6が装着された浴室乾燥装置1が、取付補強材7および開口カバー8により天井開口部3に沿うように形成された開口部に対して取り付けられる。浴室乾燥装置1は、下側から螺挿される固定用ネジ45によって本体ケーシング10が6箇所で取付補強材7に固定されることにより、取付補強材7に固定支持される。
本体ケーシング10は、箱状の本体部分を下側から取付補強材7の天面部31の開口31cに貫通させるとともに、フランジ部11を天面部31に対して下側に係止させた状態で、固定用ネジ45により固定される。固定用ネジ45は、フランジ部11の下側から、フランジ部11の貫通孔11dを貫通するとともに取付補強材7の天面部31に螺合し、ネジ部45bの大部分を天面部31から上方に突出させた状態で、本体ケーシング10を取付補強材7に締結させる。
本体ケーシング10の取付補強材7に対する固定に際しては、嵌合突部80のフランジ部11の嵌合孔部11eに対する嵌合作用によって、本体ケーシング10が取付補強材7に固定された開口カバー8に対して位置決めされ、本体ケーシング10の位置ずれが防止される。
以上のようにして、浴室乾燥装置1が天井2の天井開口部3に取り付けられる。
以上説明した本実施形態に係る装置取付構造によれば、天井下面2bからの出代を可及的に小さくすることができるとともに、天井2の厚さに左右されずに取り付けることが可能であり、しかも、天井2の下側からの取付作業を容易に行うことができる。
本実施形態に係る装置取付構造によれば、取付補強材7の天面部31に対して、本体ケーシング10を下側から上側に向かって固定用ネジ45によりネジ固定する構成であることから、天井開口部3の奥まった位置、つまり天井下面2bよりも上方の位置で、浴室側からの簡単な作業によって本体ケーシング10を容易に取り付けることができる。したがって、施工者が浴室側から浴室乾燥装置1を取り付ける際に、容易に施工することができ、取付作業の作業効率を向上することができる。
また、本実施形態に係る装置取付構造によれば、本体ケーシング10を天井下面2bよりも上方に位置する取付面に対して固定する構成であることから、浴室乾燥装置1の天井下面2bからの出代を可及的に小さくすることができるため、天井下面2bに対して浴室乾燥装置1を面一の態様に近付けることができる。これにより、天井面において高い意匠性を得ることができる。
また、本実施形態に係る装置取付構造によれば、浴室乾燥装置1を天井2に取り付けるためのアダプタ部材である取付補強材7および開口カバー8は、天井2に対して天井下面2b側からのみ係止した状態となる。このため、天井2の天井上面2a側は開放されていることから、天井2の厚さについての制限を受けることなく、天井2の厚さについて高い汎用性を得ることができる。
また、本実施形態に係る装置取付構造においては、取付補強材7に取り付けられる開口カバー8に関し、天井下面2bに当接して取付補強材7の鍔部33を下側から覆う爪部53を有し、下側から螺挿される第2固定用ネジ65によって取付補強材7に固定される構成が採用されるとともに、爪部53の下面61bについての傾斜構造が採用されている。
このような構成によれば、開口カバー8を取付補強材7に第2固定用ネジ65によって締結することで、その締結部分に上方の力が作用し、爪部53の下面61bの傾斜が軽減されるように爪部53が撓む。これにより、爪部53の下面61bを水平に近付けることができ、しかも、爪部53の当接壁部62の上面62aと天井下面2bとの間に隙間が生じることを防止することができる。すなわち、爪部53の上面61a側においては被覆面部61の上方に存在する鍔部33との間に隙間を設けるとともに、被覆面部61の下面61bに傾斜を付けることで、開口カバー8を上側に食い込ませる態様で、取付補強材7および天井2に対して確実に接触支持させることができるとともに、下側に枠状に露出する爪部53の下面61bを略水平にすることができる。
したがって、開口カバー8の取付補強材7に対する固定構造に関し、下側からの締結作業による容易かつ確実な固定状態が得られる。また、下側に枠状に露出する爪部53の下面61bを略水平にすることができるので、爪部53の下面61bを天井下面2bと略面一とすることができ、すっきりとした外観を得ることができ、意匠性の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係る装置取付構造においては、取付補強材7に対する開口カバー8の固定構造に関し、第2固定用ネジ65による最終的な締結固定に先立つ係止片部70によるスナップフィットの仮固定構造が採用されている。
このような構成によれば、開口カバー8の落下を防ぐことができる。このため、第2固定用ネジ65による開口カバー8の締結作業において、開口カバー8を押さえて支持しておく必要がなくなり、良好な作業性を得ることができ、施工性を改善することができる。
また、本実施形態に係る装置取付構造においては、取付補強材7に固定された状態の開口カバー8に対して本体ケーシング10を位置決めするための嵌合突部80による嵌合構造が採用されている。
このような構成によれば、本体ケーシング10の取付けに際し、嵌合突部80が嵌合孔11fに嵌合することにより、本体ケーシング10の位置が自動的に矯正されることから、下側から取り付けられる本体ケーシング10を開口カバー8に対して容易に位置決めすることができ、本体ケーシング10の位置ずれを防ぐことができる。したがって、本体ケーシング10の取付けに際し、良好な取付作業性を得ることができ、施工者の技量によらず、本体ケーシング10について天井2に対する取付状態として水平な状態を容易に得ることができる。
また、嵌合突部80の先端側の部分がテーパ状の円錐部により構成されていることから、嵌合突部80を嵌合孔部11eに挿入しやすくなり、嵌合突部80の嵌合孔部11eに対する挿嵌について良好な挿嵌性を得ることができる。結果として、本体ケーシング10の位置決め作業性を向上することができる。