JP6534139B2 - 漁業用洗浄装置 - Google Patents
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Description
(1)引き込み体の入り口側に、入り口側洗浄具が設けられているので、引き込み体の入り口側に詰まった雑物を自動的に除去することができる。このため、一々、洗浄装置を停止させて、詰まった雑物を除去する面倒がなく、作業能率の低減を防止できる。
(2)入り口側洗浄具として、二以上の洗浄具を設ければ、引き込み体の入り口側に詰まった雑物を効率よく除去することができる。
(3)通路側洗浄具も設ければ、入り口側と通路側の双方で洗浄できるので洗浄効果が高まる。出口側洗浄具をも設ければ、筐体内の出口側の洗浄もできる。高圧洗浄具を筐体の内面に向けて配置すれば、筐体の内面に付着した雑物も除去、洗浄することができる。
(4)入り口側洗浄具と、通路側洗浄具と、出口側洗浄具の三者を設ければ、洗浄効果がより一層向上する。
本願発明の漁業用洗浄装置(以下「洗浄装置」という。)の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本願発明の洗浄装置は海中から引き上げた昆布や他の海産物の洗浄にも利用できるものであるが、図示した洗浄装置は吊下げ養殖の貝付きロープLを洗浄する場合の実施形態である。
一例として図1(a)(b)に示す洗浄装置2は、筐体14内に、貝付きロープLを引き込みながら入り口B側から出口D側に搬送する引き込み体Aを備える。引き込み体Aは網状走行体が回転する無端コンベア式の搬送体6の上方に、網状走行体が回転する無端コンベア式の押し具7が対向配置されて、搬送体6と押し具7の間に貝付きロープLが通過可能な通路8が形成されている。
海中に向けて鉛直方向に吊り下げられている貝付きロープLを引き上げる際は、船の上に洗浄装置2を設置し、漁業用回転体1を船の側面に取り付けて海上に突き出させ、漁業用回転体1の外周に貝付きロープLを掛け、漁業用回転体1の回転により、又は別途設けた引き上げ具で引き上げると共に漁業用回転体1を回転させて、貝付きロープLを鉛直方向から水平方向へ方向転換して海中から連続的に引き上げる。
搬送体6は図2(a)に示すように搬送体駆動機構の外周に金属製の網状走行体22a(図3(a))を巻き付けて、当該網状走行体22aが搬送体駆動機構により回転可能とした無端コンベア式である。搬送体駆動機構は駆動軸23の軸方向両端寄りと中央に駆動スプロケット9aが固定された駆動回転体と、従動軸24の軸方向両端寄りと中央に従動スプロケット9bが回転可能に取り付けられた従動回転体と、これら両回転体の間に配置された走行体ガイド25とから構成されている。走行体ガイド25は底板のない長方形の箱状であり、上板の中央部に開口部が設けられている。前記網状走行体22aには図3(a)に示す網状走行体を使用するのが望ましい。
図1(a)、図2(a)(b)の押し具7は押し具駆動機構の外周に金属製の網状走行体22b(図3(a))を巻き付けて回転可能としてある。その駆動機構は図4(a)〜(c)に示すように、駆動軸31に駆動スプロケット7aが取り付けられ、前方従動軸12aに前方従動スプロケット7bが回転可能に取り付けられた前方駆動回転体と、後方従動軸12bに後方従動スプロケット7cが回転可能に取り付けられた後方従動回転体とが、二枚平行に配置されている側板30(図2(a))間に回転可能に取り付けられている。二枚の平行な側板30間には補強材が渡されている。前記網状走行体22bにも図3(a)に示す網状走行体を使用することができる。網状走行体22bの上走行部22c(図4(a)〜(c))は押しローラ39により屈曲部40側に押されている。押し具7は入り口B側が持ち上がって、貝付きロープLを搬送体6との間の通路8に引き込み易くしてある。
搬送体6の網状走行体22a、押し具7の網状走行体22bは、共に、細長板19a(図3(b))をコの字形に曲げて波の山部分18aと波の谷部分18bが繰り返し形成された多数本の波板20が、波の山部分18a同士、波の谷部分18b同士を位置合わせして配列されている。更に、図3(b)に示すように、山側には上挿入孔20bが、谷側には下挿入孔20cがそれぞれ設けられ、上側に配置された波板20の下挿入孔20cと、下側に配置された波板20の上挿入孔20bが重ねられて、下挿入孔20cと上挿入孔20bに連結軸21を差込んで、上下に配置された波板20が回転自由に連結されて網状になっている。網状走行体22a、22bを構成する波板20及び連結軸21は金属製や樹脂製等とすることができるが、金属製とする場合は海中使用するため防錆加工を施すかステンレス製とすることが望ましい。前記細長板19a(図3(b))は貝付きロープLの滑り止め突起となり、波の山部分18aと波の谷部分18bで囲まれた空間部18cは貝付きロープLが弛んで落ち込む滑り止め空間となる。図3(a)の網状走行体22a、22bの形状はほぼ矩形であるが、半円形、三角形、五角形などの任意の形状であってもよい。
図2(a)の押し具7は引き込み体Aの通路8内に貝付きロープLが引き込まれると、それに伴って回転するようにしてあるが、押し具7は自らが回転駆動体を備え、この回転駆動体の回転により網状走行体22bが常時回転し、その回転によって貝付きロープLを引き込み可能なものであってもよい。押し具7は図5(a)に示すように、細長材を二本以上並べて連結した櫛型押し具Fとすることもできる。
図1(a)、図2(a)に示す入り口側洗浄具44は引き込み体Aの入り口B付近に配置してあり、引き込み体Aの入り口B付近に高圧洗浄液を噴射して、引き込み体Aの入り口B付近に付着したり詰まったりしている雑物を除去、洗浄できるものである。入り口側洗浄具44は回転式であっても、非回転式であってもよく、形状、構造等は通路側洗浄具13と同じものであっても異なるものであってもよい。回転式の場合はモータ、その他の回転駆動機構で強制回転させるものであってもよく、高圧洗浄液を噴射することによる反力で自動的に回転するものであってもよい。できれば入り口B付近全般に万遍なく高圧洗浄液を噴射できるようにして、それら入り口Bに雑物が詰まるのを防止でき、詰まった雑物を除去できるものが望ましい。
図1(a)、図2(a)(b)に示す通路側洗浄具13は搬送体6と押し具7との間の通路8を通過する貝付きロープLに高圧洗浄液を噴射して洗浄するものであり、搬送体6の外側下方と押し具7の外側上方とに対向配置してある。この通路側洗浄具13は回転可能なロータリージョイントに連結された給水パイプ13aから四本の分岐パイプ13bが分岐され、その先端に噴射ノズルが取り付けられており、給水パイプ13aが回転すると分岐パイプ13b及び噴射ノズルが回転して、被洗浄物に万遍なく洗浄液が高圧で噴射されるようにしてある。分岐パイプ13bの本数は四本以上であっても以下であってもよい。通路側洗浄具13は貝付きロープLを洗浄できれば、図5(a)のように網状走行体22aの上走行部22eを挟んで上下に配置するとか、図5(b)のように搬送体6の網状走行体22aの内側と、押し具7の網状走行体22bの内側に配置することもできる。このようにすると、下の通路側洗浄具(搬送体側洗浄具)13から噴射される高圧洗浄液が、搬送体6の網状走行体22aの上走行部22eにしか邪魔されずに通路8内を通過する被洗浄物に噴射でき、上の通路側洗浄具(押し具側洗浄具)13から噴射される高圧洗浄液が、押し具7の網状走行体22bの下走行部22dにしか邪魔されずに通路8内を通過する被洗浄物に噴射できるので、図2(b)のように搬送体6の下と、押し具7の上に配置した場合よりも雑物を除去、洗浄し易くなる。洗浄具(噴射ノズル)は搬送体6、押し具7の幅方向に一列に数個配置するとか回転式、あるいは他の形状、構造とすることができる。
本願発明では、筐体14内に出口側洗浄具45(図1)を設けることもできる。出口側洗浄具45は引き込み体Aの出口D側に詰まった雑物を除去、洗浄し、必要に応じて、筐体14内の出口側に付着している雑物を除去、洗浄できるものである。この洗浄具45も回転式望ましい。その個数は出口側の雑物を除去、洗浄するのに必要な数とする。
筐体14(図1(b))の下方部分は筐体14内で洗浄した洗浄液や貝付きロープLから落下した雑物を回収する回収容器を兼ねており、筐体14の底部から排出路15を外部に突設して、それに排水用のホースを接続して、洗浄除去された汚れや通路側洗浄具13から噴射された洗浄液がその排出路15から排水ホース内を通って外部に排出されるようにしてある。
図2(a)に示すように、搬送体6と押し具7の間の通路8の出口Dよりも外側には、出口Dから送り出される貝付きロープLを案内する出口側案内体26が配置されている。この出口側案内体26はポール状の横案内体26aとポール状の縦案内体26bとからなり、縦案内体26bは樋状のシュータ26cの上に立設されている。この縦案内体26bはシュータ26cに回転可能に取り付けてもよく、回転しないように固定してもよい。シュータ26cは先端側を下り傾斜にしてある。通路8の出口Dとシュータ26cとの間には回収受け具26dを配置してある、この回収受け具26dは洗浄中に吊下げロープ3から外れた貝類4が通路8の出口Dから落下する位置に配置して、その貝類4を回収できるようにしてある。この回収受け具26dも樋状であり、先端に向けて下り傾斜にして、回収された貝類4が自重で自動的に先端方向に落下して、その先に配置してある回収篭に落下して回収されるようにしてある。これらの出口側案内体26、シュータ26c、回収受け具26dも筐体14に取り付けられている。この場合、出口側案内体26、シュータ26c、回収受け具26dは筐体14の出口35よりも外側先方に取り付けて、洗浄装置2を船上に搭載固定したときに、シュータ26cの出口が海上に突出するようにしてある。出口側案内体26は横案内体26aと縦案内体26bのいずれか一方だけであってもよい。横案内体26a、縦案内体26bの取り付け箇所は、それらの機能が発揮される任意の位置に取り付けることができる。
図1(a)に示す漁業用回転体1はドラム形であり、筐体14を船上に搭載すると船の側面から海上に突出して、海中の貝付きロープLを引き上げ易くするのがよい。漁業用回転体1は筐体14に取り付けずに、筐体14と別にして船の側壁に取り付けることもできる。いずれの場合も漁業用回転体1の回転速度は搬送体6の走行回転速度と同期させて、漁業用回転体1の回転により海中から引上げられる貝付きロープLが引き込み体Aの入り口Bにスムースに送り込まれるようにする。漁業用回転体1と搬送体6との回転が同期せずに、漁業用回転体1の回転速度が搬送体6の走行回転速度よりも速過ぎると貝付きロープLの送り込み量が多くなって貝付きロープLが搬送体6の手前に溜って絡まり、逆に、漁業用回転体1の回転速度が搬送体6の走行回転速度よりも遅過ぎると、搬送体6による貝付きロープLの引き込みが速くなり過ぎてロープが切れるおそれがある。搬送体6と漁業用回転体1とを同期回転させるためには共通の駆動源で回転させるようにすればよい。
前記した実施形態の洗浄装置2を用いて養殖用の貝付きロープLを引き上げながら洗浄するには例えば次のようにする。
(1)洗浄装置2を船舶に搭載して固定する。
(2)貝付きロープLの上端部を海中から引き上げて漁業用回転体1の外周に掛ける。
(3)漁業用回転体1の外周に掛けた貝付きロープLを筐体14の側面に開口された側面導入口33(図1(b))から搬送体6と押し具7との間の通路8(図1(a))に引き込んでセットする。
(4)モータの駆動により漁業用回転体1、搬送体6、押し具7を同期回転させて、搬送体6と押し具7の間に挟まれている貝付きロープLを筐体14の出口35側に搬送する。搬送体6と押し具7の回転速度をずらしてもよく、ずらすことにより貝付きロープLにかかる負荷が大きくなって、汚れが落ちやすくなることもある。
(5)前記搬送中に、入り口側洗浄具44から高圧洗浄液を引き込み体Aの入り口B側に噴射して、入り口B側に付着したり詰まった雑物を除去(排除)し、洗浄する。
(6)上下の通路側洗浄機13(図2((a)(b))から高圧洗浄液を噴射して貝付きロープLを上下から洗浄して、貝付きロープLの貝類4、吊下げロープ3に付着している雑物も除去・洗浄する。
(7)除去・洗浄された貝付きロープLは、筐体14の出口35から送り出され、出口側案内体26(図6)によりシュータ26cでガイドされて海中に投入される。
(8)前記搬送中或は洗浄中に吊下げロープ3から外れた貝類4は、シュータ26cの底面に設けられた回収口37から落下してその下方に配置されている籠などの回収容器に回収さる。
(9)洗浄により除去された雑物及び洗浄後の汚水は筐体14(図1(b))内に落下して自動的に回収され、筐体14の底の排出路15(図1(b))から筐体14の外部に排出され、図示されていないフィルターで濾過する等して処理される。
(10)前記洗浄において、入り口側洗浄具44、出口側洗浄具45及び通路側洗浄具13は、切替え弁の切り替え操作により、高圧洗浄液を前記洗浄具44、45、13から同時に又は順番に又は任意の順序で噴射できるように切替えることができる。
2 洗浄装置
3 吊下げロープ(縦ロープ)
4 貝類
5 係止ピン
6 搬送体
7 押し具
7a (押し具の)駆動スプロケット
7b (押し具の)前方従動スプロケット
7c (押し具の)後方従動スプロケット
8 通路
9a (搬送体の)駆動スプロケット
9b (搬送体の)従動スプロケット
11 底面支持具
12a 前方従動軸
12b 後方従動軸
12c 押しローラ軸
13 通路側洗浄具(搬送体側洗浄具、押し具側洗浄具)
13a 給水パイプ
13b 分岐パイプ
14 筐体
15 排出路
16 胴体
17 鍔
18a 波の山部分(滑り止め突起)
18b 波の谷部分
18c 空間部(滑り止め空間)
19a 細長板
20 波板
20b 上挿入孔
20c 下挿入孔
21 連結軸
22a (搬送体の)網状走行体
22b (押し具の)網状走行体
22c (網状走行体22bの)上走行部
22d (網状走行体22bの)下走行部
22e (網状走行体22aの)上走行部
23 (搬送体6の)駆動軸
24 (搬送体6の)従動軸
25 走行体ガイド
26 出口側案内体
26a 横案内体
26b 縦案内体
26c シュータ
26d 回収受け具
26e 溝
30 側板
31 駆動軸
33 側面導入口
34 (筐体の)入り口
35 (筐体の)出口
36 洗浄液飛散防止具
37 回収口
38 ベルト
39 押しローラ
40 屈曲部
44 入り口側洗浄具
45 出口側洗浄具
A 引き込み体
B (引き込み体の)入り口
Ba 回転ベアリング
C 海面
D (引き込み体の)出口
F 櫛型押し具
L 貝付きロープ
N ノズル
P パイプ
R ロータリージョイント
Claims (3)
- 海中から引き上げた被洗浄物を筐体の入り口から筐体内に引き込んで洗浄し、洗浄済後に筐体の出口から送り出す漁業用洗浄装置において、
一つの筐体内に引き込み体と、入り口側洗浄具と、通路側洗浄具と、出口側洗浄具があり、
引き込み体は搬送体と押し具を備え、搬送体は網状走行体を回転可能とした回転コンベア式であり、押し具は網状走行体を回転可能とした回転コンベア式であり、
搬送体と押し具は上下に対向配置されて、搬送体と押し具の間に被洗浄物が通過可能な通路があり、搬送体と押し具の回転により海中から引き上げられる被洗浄物を、前記入り口から前記通路内に引き込んで出口側に送り出し可能であり、
入り口側洗浄具は筐体内の入り口側に、通路側洗浄具は引き込み体の上下に、出口側洗浄具は筐体内の出口側にあり、
入り口側洗浄具は高圧洗浄液の噴射により、筐体の入り口側の雑物を除去、洗浄することができ、
通路側洗浄具は搬送体側洗浄具と押し具側洗浄具を備え、搬送体側洗浄具は前記通路内を通過する被洗浄物に高圧洗浄液を噴射して被洗浄物を搬送体側から洗浄することができ、押し具側洗浄具は前記通路内を通過する被洗浄物に高圧洗浄液を噴射して被洗浄物を押し具側から洗浄することができ、
出口側洗浄具は高圧洗浄液の噴射により、筐体の出口側の雑物を除去、洗浄することができる、
ことを特徴とする漁業用洗浄装置。 - 請求項1記載の漁業用洗浄装置において、
搬送体側洗浄具を搬送体の網状走行体の上走行部と下走行部の内側に設けて、搬送体側洗浄具から噴射される高圧洗浄液が、通路内を通過する被洗浄物に向けて噴射されるようにし、
押し具側洗浄具を押し具の網状走行体の上走行部と下走行部の内側に設けて、押し具側洗浄具から噴射される高圧洗浄液が、通路内を通過する被洗浄物に向けて噴射されるようにした、
ことを特徴とする漁業用洗浄装置。 - 請求項1又は請求項2記載の漁業用洗浄装置において、
入り口側洗浄具と通路側洗浄具と出口側洗浄具への給水を切替え可能な切替え弁を備え、
前記切替え弁は、入り口側洗浄具と通路側洗浄具と出口側洗浄具のうちの二以上の洗浄具から同時に又は任意の順番で、高圧洗浄液を噴射できるように自動又は手動で切替え操作可能である、
ことを特徴とする漁業用洗浄装置。
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