以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る導電材料は、少なくとも導電性の外表面がはんだである導電性粒子と、硬化性化合物と、硬化剤と、(メタ)アクリル酸を含む。本発明に係る導電材料100重量%中の上記(メタ)アクリル酸の含有量は0.0001重量%以上、0.1重量%以下である。
本発明における上述した組成の採用によって、特に(メタ)アクリル酸を少量で用いていることによって、導電材料の硬化物と、該硬化物により接着された接着対象物との接着力を高めることができる。さらに、高湿度下に晒された後に、導電材料の硬化物と、該硬化物により接着された接着対象物との接着力を高く維持することができる。
さらに、本発明における上述した組成の採用によって、特に(メタ)アクリル酸を少量で用いていることによって、導電材料の保管時に、粘度変化を抑えることができる。特に、導電材料が導電ペーストである場合に、粘度変化を効果的に抑えることができる。さらに、本発明における上述した組成の採用によって、特に(メタ)アクリル酸を少量で用いていることによって、高湿度下に晒された後に、接続抵抗を低く維持することができる。
本発明に係る導電材料100重量%中の上記(メタ)アクリル酸の含有量は0.001重量%以上であってもよい。本発明に係る導電材料100重量%中の上記(メタ)アクリル酸の含有量は0.005重量%以上であることが好ましい。この場合には、導電材料の硬化物と、該硬化物により接着された接着対象物との接着力をより一層高めることができ、更に高湿度下に晒された後に、導電材料の硬化物と、該硬化物により接着された接着対象物との接着力を、より一層効果的に高く維持することができる。
本発明に係る導電材料100重量%中の上記(メタ)アクリル酸の含有量は好ましくは0.05重量%以下である。上記(メタ)アクリル酸の含有量が0.05重量%以下であると、硬化物と接着対象物との接着力がより一層高くなり、導電材料の保管時に、粘度変化がより一層抑えられ、更に高湿度下に晒された後に、接続抵抗をより一層効果的に低く維持することができる。
上記導電材料の酸価は好ましくは0.01mgKOH/g以上、より好ましくは0.02mgKOH/g以上、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは3mgKOH/g以下である。上記酸価が上記下限以上及び上記上限以下であると、優れた反応速度と優れたフラックス効果とをより一層高いレベルで両立できる。
上記(メタ)アクリル酸は、各成分(硬化性化合物、硬化剤など)の混合時にある成分に不純物として含まれていてもよく、各成分(硬化性化合物、硬化剤など)とは別に配合(後添加)されてもよい。
本発明に係る導電材料は、加熱により硬化可能な導電材料であることが好ましい。この場合には、導電材料を加熱により硬化させる際の熱によって、上記導電性粒子における導電性の外表面のはんだを溶融させることができる。本発明に係る導電材料は、光の照射と加熱との双方により硬化可能な導電材料であってもよい。この場合には、光の照射により導電材料を半硬化(Bステージ化)させ、導電材料の流動性を低下させた後、加熱により導電材料を硬化させることができる。
以下、先ず、本発明に係る導電材料に含まれている各成分、及び含まれることが好ましい各成分を詳細に説明する。
(硬化性化合物)
上記硬化性化合物は、硬化剤の作用に硬化可能であれば特に限定されない。上記硬化性化合物は、(メタ)アクリル酸とは異なる化合物である。上記硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化性化合物としては特に限定されず、不飽和二重結合を有する硬化性化合物及びエポキシ基を有する硬化性化合物等が挙げられる。
上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物としては、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物等が挙げられる。上記導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をさらに一層高めたりする観点からは、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物の使用により、Bステージ化した導電材料全体で硬化率を好適な範囲に制御することが容易になり、得られる接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
Bステージ化した導電材料の硬化率を容易に制御し、更に得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記硬化性化合物は、エポキシ化合物(エポキシ基を有する硬化性化合物)であってもよい。上記エポキシ化合物は、フェノキシ樹脂等の末端にエポキシ基を有する化合物であってもよく、該化合物はオリゴマーであってもよく、ポリマーであってもよい。
上記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させてエポキシ(メタ)アクリレートを得る際に、(メタ)アクリル酸が不純物として残存していてもよい。但し、不純物として(メタ)アクリル酸が混合されているエポキシ(メタ)アクリレートを用いる場合には、得られる導電材料100重量%中の(メタ)アクリル酸の含有量を0.0001重量%以上、0.1重量%以下に制御する必要がある。従って、上記エポキシ(メタ)アクリレートには、(メタ)アクリル酸は多く混合されていないことが好ましい。上記エポキシ(メタ)アクリレートの合成後に(メタ)アクリル酸を多く含まれる場合に、精製を行い、(メタ)アクリル酸の一部又は全部と取り除いて、エポキシ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
硬化物と接着対象物との接着力をより一層高める観点からは、上記導電材料は、エポキシ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。上記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基の全てが(メタ)アクリロイル基に変換された化合物(エポキシ基の全てに対して(メタ)アクリル基を導入する反応が行われた化合物)である。上記エポキシ(メタ)アクリレートは、フェノキシ樹脂等の末端にエポキシ基を有する化合物であってもよく、該化合物はオリゴマーであってもよく、ポリマーであってもよい。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも使用可能である。
また、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エポキシ基を有する硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化可能であるので好ましい。
上記エポキシ基を有する硬化性化合物としては、レゾルシノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、芳香族骨格を有する多塩基酸化合物とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ化合物、芳香族骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ化合物、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ε−カプロラクトン修飾テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
上記導電材料100重量%中、上記エポキシ基を有する硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
上記導電材料100重量%中、上記硬化性化合物の全体の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは60量%以下である。
(硬化剤)
上記導電材料は硬化剤を含む。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物の硬化剤は、光又は熱ラジカル重合開始剤であってもよい。
上記光又は熱ラジカル重合開始剤は、光の照射又は加熱によりラジカル種を生成する。上記光又は熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル重合性基を有する硬化性化合物の硬化を進行させる。上記光又は熱ラジカル重合開始剤は特に限定されない。上記光又は熱ラジカル重合開始剤として、従来公知の光又は熱ラジカル重合開始剤を使用可能である。上記光又は熱ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であってもよく、熱ラジカル重合開始剤であってもよい。上記光ラジカル開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、アセトフェノン光ラジカル重合開始剤、ベンゾフェノン光ラジカル重合開始剤、チオキサントン、ケタール光ラジカル重合開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光ラジカル重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光ラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、及びケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2−tert−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二水和物、及び2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
上記ジアシルパーオキサイド化合物としては、過酸化ベンゾイル、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、及びDisuccinic acid peroxide等が挙げられる。上記パーオキシエステル化合物としては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5―ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシオクトエート及びtert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。上記ハイドロパーオキサイド化合物としては、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記パーオキシジカーボネート化合物としては、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、及びジ(2−エチルヘキシル)パーオキシカーボネート等が挙げられる。また、上記過酸化物の他の例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、カリウムパーサルフェイト、及び1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期を得るための分解温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。上記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期を得るための分解温度が、30℃未満であると、上記硬化性組成物の保存安定性が低下する傾向があり、90℃を超えると、上記硬化性組成物を充分に熱硬化させることが困難になる傾向がある。
上記光又は熱ラジカル重合開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物100重量部に対して、上記光又は熱ラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。また、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物100重量部に対して、上記光又は熱ラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記光又は熱ラジカル硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、組成物の速硬化性及び硬化物の耐湿熱性がバランスよく高くなる。
上記エポキシ基を有する硬化性化合物の硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、カチオン発生剤及び酸無水物等が挙げられる。なかでも、導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能であるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。これらの硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、上記硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記カチオン発生剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
フラックス効果をより一層高める観点からは、上記硬化剤は、カチオン発生剤を含むことが好ましい。上記導電材料は、カチオン発生剤を含むことが好ましい。
上記硬化剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。また、上記エポキシ基を有する硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電材料を充分に硬化させることが容易である。上記硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記硬化剤が、カチオン発生剤を含む場合に、上記硬化性化合物100重量部に対して、上記カチオン発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記カチオン発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料が充分に硬化する。
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。該フラックスの使用により、はんだ表面に酸化膜が形成され難くなり、さらに、はんだ表面又は電極表面に形成された酸化膜を効果的に除去できる。この結果、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。なお、上記導電材料は、フラックスを必ずしも含んでいなくてもよい。
上記フラックスは特に限定されない。該フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用可能である。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸及びグルタミン酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、松脂であることが好ましい。松脂の使用により、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記フラックスは、カルボキシル基を有する有機酸であることが好ましい。カルボキシル基を有する化合物としては、アルキル鎖にカルボキシル基が結合した化合物、芳香環にカルボキシル基が結合した化合物等が挙げられる。これらのカルボキシル基を有する化合物では、アルキル鎖又は芳香環に水酸基がさらに結合していてもよい。アルキル鎖又は芳香環に結合しているカルボキシル基の数は1〜3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましい。アルキル鎖にカルボキシル基が結合した化合物におけるアルキル鎖の炭素数は、好ましくは3以上、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。アルキル鎖にカルボキシル基が結合した化合物の具体例としては、ヘキサン酸(CH3(CH2)4COOH)、ヘプタン酸(CH3(CH2)5COOH)、グルタル酸(HOOC(CH2)3COOH)、アジビン酸(HOOC(CH2)4COOH)、及びピメリン酸(HOOC(CH2)5COOH)等が挙げられる。カルボキシル基と水酸基とを有する化合物の具体例としては、リンゴ酸及びクエン酸等が挙げられる。芳香環にカルボキシル基が結合した化合物の具体例としては、安息香酸、フタル酸、無水安息香酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
上記フラックスは、バインダー樹脂中に分散されていてもよく、上記導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ表面に酸化膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ表面又は電極表面に形成された酸化膜をより一層効果的に除去できる。また、上記フラックスの含有量が上記下限以上であると、フラックスの添加効果がより一層効果的に発現する。上記フラックスの含有量が上記上限以下であると、硬化物の吸湿性がより一層低くなり、接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、少なくとも導電性の外表面がはんだであれば特に限定されない。上記導電性粒子は、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外表面がはんだ層である導電性粒子であることが好ましい。上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。上記基材粒子は、金属粒子ではない基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。接続構造体における耐熱衝撃特性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外表面がはんだ層である導電性粒子であることが好ましい。
図1に、本発明の一実施形態に係る導電材料に含まれている導電性粒子を模式的に断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、樹脂粒子2と、樹脂粒子2の表面2a上に配置された導電層3とを有する。導電層3は、樹脂粒子2の表面2aを被覆している。導電性粒子1は、樹脂粒子2の表面2aが導電層3により被覆された被覆粒子である。従って、導電性粒子1は導電層3を表面1aに有する。
導電層3は、樹脂粒子2の表面2a上に配置された第1の導電層4と、該第1の導電層4の表面4a上に配置されたはんだ層5(第2の導電層)とを有する。導電層3の外側の表面層が、はんだ層5である。従って、導電性粒子1は、導電層3(導電部)の一部としてはんだ層5を有し、更に樹脂粒子2とはんだ層5との間に、導電層3(導電部)の一部としてはんだ層5とは別に第1の導電層4を有する。このように、導電層3は、多層構造を有していてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。
上記のように、導電層3は2層構造を有する。図2に示す変形例のように、導電性粒子11は、単層の導電層として、はんだ層12を有していてもよい。導電性粒子における導電部の少なくとも外側の表面が、はんだであればよく、例えば、導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層であることが好ましい。ただし、導電性粒子の作製が容易であるので、導電性粒子1と導電性粒子11とのうち、導電性粒子1が好ましい。また、図3に示す変形例のように、基材粒子をコアに有さず、コアシェル粒子ではないはんだ粒子16を用いてもよい。はんだ粒子16は、中心部分及び外表面のいずれもはんだにより形成されている。但し、導電性粒子1と導電性粒子11とはんだ粒子16とのうち、導電性粒子1と導電性粒子11とが好ましい。
上記導電性粒子は、はんだ粒子であることがより好ましい。上記導電性粒子がはんだ粒子であると、導通性及び耐湿熱性を高めることができ、更に硬化物と該硬化物により接着された接着対象物との接着力をより一層高めることができる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。この無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、電極間の間隔を狭くすることができる。
上記基材粒子の表面上に導電層を形成する方法、並びに上記基材粒子の表面上又は第1の導電層の表面上にはんだ層を形成する方法は特に限定されない。上記導電層及び上記はんだ層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記基材粒子又は上記第1の導電層の表面上に上記はんだ層を形成する方法は、物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記はんだ層は、物理的な衝撃により、上記基材粒子又は上記第1の導電層の表面上に配置されていることが好ましい。
上記はんだ(はんだ層)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだ(はんだ層)の融点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下、より一層好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。上記はんだ(はんだ層)の融点は、100℃以上、140℃以下であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ層)と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、タングステン、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。はんだと電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだと電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記はんだ(はんだ層)100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の外側の表面がはんだ層であり、上記基材粒子と上記はんだ層との間に、上記はんだ層とは別に第1の導電層を有することが好ましい。この場合に、上記はんだ層は上記導電層全体の一部であり、上記第1の導電層は上記導電層全体の一部である。
上記はんだ層とは別の上記第1の導電層は、金属を含むことが好ましい。該第1の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、はんだ層をより一層容易に形成できる。なお、上記第1の導電層は、はんだ層であってもよい。導電性粒子は、複数層のはんだ層を有していてもよい。
従来、導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子の粒子径は、数百μm程度であった。これは、粒子径が数十μmであり、かつ表面層がはんだ層である導電性粒子を得ようとしても、はんだ層を均一に形成できなかったためである。これに対して、無電解めっき時に分散条件を最適化することによりはんだ層を形成した場合には、導電性粒子の粒子径が数十μm、特に粒子径が0.1μm以上、50μm以下の導電性粒子を得る場合であっても、第1の導電層の表面上にはんだ層を均一に形成できる。また、シータコンポーザを用いることによっても、粒子径が50μm以下である導電性粒子を得る場合であっても、第1の導電層の表面上にはんだ層を均一に形成できる。
上記はんだ及び上記はんだ層100重量%中、錫の含有量は、好ましくは90重量%未満、より好ましくは85重量%以下である。また、はんだ及びはんだ層100重量%中の錫の含有量は、はんだ及びはんだ層の融点などを考慮して適宜決定される。はんだ及びはんだ層100重量%中の錫の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
上記第1の導電層及び上記はんだ層の厚みはそれぞれ、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。第1の導電層及びはんだ層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。第1の導電層及びはんだ層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と第1の導電層及びはんだ層との熱膨張率の差が小さくなり、第1の導電層及びはんだ層の剥離が生じ難くなる。
上記第1の導電層は2層以上の積層構造を有していてもよい。上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、第1の導電層における最外層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは25nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。第1の導電層における最外層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。第1の導電層における最外層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と第1の導電層の最外層との熱膨張率の差が小さくなり、第1の導電層における最外層の剥離が生じ難くなる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電材料における導電性粒子に適した大きさとなり、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記樹脂粒子は、実装する基板の電極サイズ又はランド径によって使い分けることができる。
上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制する観点からは、導電性粒子の平均粒子径Cの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(C/A)は、1.0を超え、好ましくは3.0以下である。また、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第1の導電層がある場合に、はんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(B/A)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。さらに、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第1の導電層がある場合に、はんだ層を含む導電性粒子の平均粒子径Cのはんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する比(C/B)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。上記比(B/A)が上記範囲内であったり、上記比(C/B)が上記範囲内であったりすると、上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制できる。
FOB及びFOF用途向け導電材料:
本発明に係る導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))、又はフレキシブルプリント基板とフレキシブルプリント基板との接続(FOF(Film on Film))に好適に用いられる。
FOB及びFOF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に100〜500μmである。FOB及びFOF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以上であると、電極間に配置される導電材料及び接続部の厚みが十分に厚くなり、接着力がより一層高くなる。樹脂粒子の平均粒子径が100μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
フリップチップ用途向け導電材料:
本発明に係る導電材料は、フリップチップ用途に好適に用いられる。
フリップチップ用途では、一般にランド径が15〜80μmである。フリップチップ用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜15μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が15μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
COF向け導電材料:
本発明に係る導電材料は、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))に好適に用いられる。
COF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に10〜50μmである。COF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜10μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
上記基材粒子(上記樹脂粒子など)及び上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。上記基材粒子(樹脂粒子など)及び導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは3重量%以上、好ましくは40重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が3重量%以上、40重量%以下であると、異方導電性的な接続を行う際に、導通性と絶縁性とをより一層高いレベルで両立することができる。上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは5重量%以上、より一層好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記導電材料100重量%中の上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(他の成分)
上記導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコーン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間が短くなる。
上記導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
接着対象物の接着信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料は、接着付与剤を含むことが好ましい。上記接着付与剤としては、カップリング剤及び可撓性材料等が挙げられる。上記接着付与剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料100重量%中、上記接着付与剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記接着付与剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接着対象物の接着信頼性がより一層高くなる。
(導電材料の詳細及び用途)
本発明に係る導電材料は、ペースト状又はフィルム状の導電材料であり、ペースト状の導電材料であることが好ましい。ペースト状の導電材料は、導電ペーストである。フィルム状の導電材料は、導電フィルムである。導電材料が導電フィルムである場合、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。本発明に係る導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。本発明に係る導電材料は、電極間の接続に用いられることが好ましく、回路接続材料であることが好ましく、電極間の電気的な接続に用いられる回路接続材料であることが更に好ましい。
本発明に係る導電材料は、導電ペーストであって、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗布される導電ペーストであることが好ましい。
上記導電ペーストの25℃での粘度は、好ましくは3Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上、好ましくは600Pa・s以下、より好ましくは400Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、導電ペースト中での導電性粒子の沈降を抑制できる。上記粘度が上記上限以下であると、導電性粒子の分散性がより一層高くなる。塗布前の上記導電ペーストの上記粘度が上記範囲内であれば、第1の接続対象部材上に導電ペーストを塗布した後に、硬化前の導電ペーストの流動をより一層抑制でき、さらにボイドがより一層生じ難くなる。なお、ペースト状には液状も含まれる。
本発明に係る導電材料は、銅電極を有する接続対象部材を接続するために用いられる導電材料であることが好ましい。導電材料を用いて、銅電極を有する接続対象部材を接続した場合には、接続構造体における銅電極に起因してマイグレーションが生じやすいという問題がある。これに対して、本発明に係る導電材料の使用により、銅電極を有する接続対象部材を接続したとしても、接続構造体におけるマイグレーションを効果的に抑制でき、絶縁信頼性を効果的に高めることができる。
本発明に係る導電材料は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、上記接続部が、上述した導電材料により形成されており、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。
図4に、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
図4に示す接続構造体21は、第1の接続対象部材22と、第2の接続対象部材23と、第1,第2の接続対象部材22,23を電気的に接続している接続部24とを備える。第1の接続対象部材22と第2の接続対象部材23とは、電子部品である。接続部24は、導電性粒子1を含む導電材料により形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
第1の接続対象部材22は表面22a(上面)に、複数の第1の電極22bを有する。第2の接続対象部材23は表面23a(下面)に、複数の第2の電極23bを有する。第1の電極22bと第2の電極23bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材22,23が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。該接続構造体の製造方法の一例としては、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧により、導電性粒子1のはんだ層が溶融して、該導電性粒子1により電極間が電気的に接続される。さらに、バインダー樹脂が熱硬化性化合物を含む場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂により第1,第2の接続対象部材22,23が接続される。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
図5に、図4に示す接続構造体21における導電性粒子1と第1,第2の電極22b,23bとの接続部分を拡大して模式的に正面断面図で示す。図5に示すように、接続構造体21では、上記積層体を加熱及び加圧することにより、導電性粒子1におけるはんだ層5が溶融した後、溶融したはんだ層部分5aが第1,第2の電極22b,23bと十分に接触する。すなわち、表面層がはんだ層5である導電性粒子1を用いることにより、導電層の表面層がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、導電性粒子1と電極22b,23bとの接触面積が大きくなる。このため、接続構造体21の導通信頼性が高くなる。なお、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。
上記第1,第2の接続対象部材は電子部品であれば特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品の接続に用いられる導電材料であることが好ましい。本発明に係る導電材料は、電子部品の電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続構造体では、上記接続部と上記第1の接続対象部材との接続部分と、上記接続部と上記第2の接続対象部材との接続部分との合計の面積の1/5以上が、導電材料に含まれている導電性粒子以外の成分により接続されていることが好ましい。言い換えれば、上記接続構造体では、上記接続部と上記第1の接続対象部材との接続部分と、上記接続部と上記第2の接続対象部材との接続部分との合計の面積の1/5未満が、導電材料に含まれている導電性粒子により接続されていることが好ましい。この場合には、接続構造体の耐熱衝撃特性がより一層高くなる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
上記第1の電極及び上記第2の電極の内の少なくとも一方が、銅電極であることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極の双方が、銅電極であることが好ましい。この場合には、本発明に係る導電材料によるフラックス効果がより一層得られ、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
実施例、参考例及び比較例では、以下の材料を用いた。
(硬化性化合物と(メタ)アクリル酸との混合物)
(1)ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物の合成:
ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で31:52:17で含む)72重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル100重量部、及びトリフェニルフォスフィン1重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で6時間、付加重合反応させることにより第1の反応物を得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、第1の反応物が、ビスフェノールFに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。
得られた第1の反応物100重量部とアクリル酸4重量部とを配合し、80℃まで昇温した。昇温後、エポキシ基とカルボキシル基との反応触媒であるテトラ−n−ブチルスルホニウムブロミド0.1重量部を入れ、4時間縮合反応させることにより、両末端のエポキシ基100%に、アクリル酸のカルボキシル基が反応した化合物2を得た。GPCにより得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は8000であった。
得られた化合物2をPETフィルム上に厚みが約100μmとなるように塗布し、60℃で24時間100Pa減圧化にて真空乾燥し、アクリル酸を除去した。アクリル酸の残量をNMRにより測定したところ0.01重量%であった。
第1の反応物にメタクリル酸を反応させたこと以外は同様にして両末端にメタクリル基を有する化合物3を得た。同様に、メクリル酸の残量をNMRにより測定したところ0.01重量%であった。
(硬化性化合物)
ビスフェノールF型エポキシ化合物(DIC社製「EXA830−CRP」)
((メタ)アクリル酸)
アクリル酸
メタクリル酸
(光ラジカル硬化剤)
光ラジカル硬化剤(BASFジャパン社製「イルガキュア651」)
(硬化剤)
硬化剤1(旭化成イーマテリアル社製「HXA−3921HP」)
硬化剤2(日本曹達社製「TEP−2E4MZ」)
(フラックス)
グルタル酸(和光純薬工業社製)
アジピン酸(和光純薬工業社製)
(導電性粒子)
導電性粒子A:ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子A(平均粒子径15μm)
導電性粒子B:ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面上に銅層が形成されており、該銅層の表面にはんだ層が形成されている導電性粒子B
[導電性粒子Bの作製方法]
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ1μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み1μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子Bを作製した。
導電性粒子C:SnBiはんだ粒子(三井金属社製「DS−10」、平均粒子径(メディアン径)12μm)
(他の成分)
接着付与剤(信越化学工業社製「KBE−403」)
(実施例2〜12,14、参考例1,13及び比較例1,2)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
(接続構造体の作製)
L/Sが100μm/100μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが100μm/100μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、得られた異方性導電ペーストを厚さ200μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、LED−UV照射機により、波長365nmにおいて200mWの条件にて10秒UV照射し、異方性導電ペーストをBステージ化した。次に、Bステージ化され、硬化が進行した異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、フレキシブルプリント基板の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて、異方性導電ペースト層を185℃で本硬化させ、接続構造体を得た。
(評価)
(1)酸価
ISO 6618−1997に準拠して、酸価を求めた。
得られた異方性導電ペースト1gと純水30gとを、遊星式攪拌機を用いて、2000rpmにて3分間撹拌混合した。上澄みについて、0.05NのKOH水溶液を用い、指示薬フェノールフタレインにて滴定することで、酸価を求めた。
(2)貯蔵安定性
E型粘度測定装置(TOKI SANGYO CO.LTD社製「VISCOMETER TV−22」、使用ローター:φ15mm、温度:25℃)を用いて、異方性導電ペーストの粘度η1(回転数5rpm)を測定した。また、同様に25℃で3日間静置した後の異方性導電ペーストの粘度η2を、粘度η1と同様にして測定した。貯蔵安定性を下記の基準で判定した。
[貯蔵安定性の判定基準]
○○:η2/η1が1.3未満
○:η2/η1が1.3以上、1.5未満
×:η2/η1が1.5以上
(3)導通試験
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。上下の電極間の導通試験を下記の基準で判定した。
[導通試験の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が8.0Ωを超え、10.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超え、15.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が15.0Ωを超える
(4)耐湿試験後の導通試験
得られた接続構造体を85℃及び湿度85%雰囲気下にて1000時間放置した後、上記(3)導通試験の評価と同様にして、導通試験を評価した。耐湿試験後の導通試験を下記の基準で判定した。
[耐湿試験後の導通試験の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が8.0Ωを超え、10.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超え、15.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が15.0Ωを超える
(5)接着力
得られた接続構造体において、自動引っ張り試験機にて、引張速度10(mm/分)、23℃の雰囲気で、90°剥離接着力を測定した。
[接着力の判定基準]
○○:接着力が15N/cm以上
○:接着力が10N/cm以上、15N/cm未満
△:接着力が5N/cm以上、10N/cm未満
×:接着力が5N/cm未満
(6)耐湿試験後の接着力
得られた接続構造体を85℃及び湿度85%雰囲気下にて1000時間放置した後、上記(5)接着力の評価と同様にして、接着力を評価した。耐湿試験後の接着力を下記の基準で判定した。
[耐湿試験後の接着力の判定基準]
○○:接着力が15N/cm以上
○:接着力が10N/cm以上、15N/cm未満
△:接着力が5N/cm以上、10N/cm未満
×:接着力が5N/cm未満
組成及び結果を下記の表1に示す。
なお、実施例4,14及び参考例13の(3)導通試験の評価結果は、いずれも「○○」であるが、実施例4の方が実施例14及び参考例13よりも接続抵抗が低かった。また、実施例4,14及び参考例13の(4)耐湿試験後の導通試験の評価結果は、いずれも「○○」であるが、実施例4の方が実施例14及び参考例13よりも耐湿試験後の接続抵抗が低かった。また更に、実施例4,14及び参考例13の(5)接着力の評価結果は、いずれも「○○」であるが、実施例4の方が実施例14及び参考例13よりも接着力が高かった。さらに、実施例4,14及び参考例13の(6)耐湿試験後の接着力の評価結果は、いずれも「○○」であるが、実施例4の方が実施例14及び参考例13よりも耐湿試験後の接着力が高かった。