以下、本発明に係る減速装置の実施の形態を、油圧ショベルの走行装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、自走可能な装軌式(クローラ式)の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより大略構成されている。上部旋回体3の前部側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4を用いて掘削作業等を行う。
下部走行体2は、前,後方向に伸長する左,右のサイドフレーム5A(左側のみ図示)を備えたトラックフレーム5と、各サイドフレーム5Aの長手方向の一側に設けられた遊動輪6と、各サイドフレーム5Aの長手方向の他側に設けられた駆動輪(スプロケット)7と、遊動輪6と駆動輪7との間に巻回された履帯8とを含んで構成されている。駆動輪7は、図2に示すように、ボルト9によって後述の走行装置11を構成する減速装置18に固定されている。即ち、駆動輪7は、走行装置11を介して各サイドフレーム5Aに取付けられ、この走行装置11によって履帯8を周回駆動するものである。
次に、走行装置11について説明する。
走行装置11は、サイドフレーム5Aと駆動輪7との間に設けられている。走行装置11は、駆動源としての油圧モータ12と、該油圧モータ12の回転を減速する後述の減速装置18とを含んで構成されている。そして、走行装置11は、油圧モータ12の回転を減速装置18によって減速することにより、駆動輪7を大きなトルクをもって回転させ、駆動輪7と遊動輪6との間に巻回された履帯8を周回駆動させるものである。
駆動源としての油圧モータ12は、例えば可変容量型の斜板式油圧モータにより構成され、後述する固定側ハウジング19に収容されている。図2に示すように、油圧モータ12は、シリンダブロック13、複数のピストン14、斜板15、駆動軸16等を含んで構成されている。そして、油圧モータ12は、油圧ポンプ(図示せず)から圧油が供給されることにより、駆動軸16を回転駆動するものである。
駆動軸16の一端側は、後述する固定側ハウジング19の蓋体19Cに回転可能に支持され、駆動軸16の他端側は、固定側ハウジング19の軸挿通孔19Fに設けられた後述の軸受20によって回転可能に支持されている。また、駆動軸16の他端側には、雌スプライン部16Aが設けられ、この雌スプライン部16Aには、後述する回転軸25の雄スプライン部26がスプライン結合される構成となっている。
ブレーキ装置17は、後述する固定側ハウジング19の蓋体19C側に設けられている。ブレーキ装置17は、ネガティブ型のブレーキ装置からなり、油圧モータ12のシリンダブロック13と駆動軸16とに対し、制動力を与えるものである。
次に、本実施の形態による減速装置18について説明する。
減速装置18は、油圧モータ12の回転を減速して駆動輪7に伝えるものである。この減速装置18は、後述の固定側ハウジング19、回転側ハウジング21、1段目の遊星歯車減速機構24、2段目の遊星歯車減速機構32を含んで構成されている。
固定側ハウジング19は、サイドフレーム5Aに固定して設けられている。固定側ハウジング19内には、油圧モータ12、ブレーキ装置17が設けられている。固定側ハウジング19は、筒部19Aと底部19Bとによって有底筒状に形成され、筒部19Aの開口端側は蓋体19Cによって閉塞されている。筒部19Aの外周側には、環状の鍔部19Dが一体形成され、該鍔部19Dは、サイドフレーム5Aにボルト等を用いて固着される構成となっている。底部19Bの外周側には、雄スプライン部19Eが設けられ、この雄スプライン部19Eには、後述する第2のキャリア37の雌スプライン部37B2がスプライン結合されている。一方、底部19Bの中央部には軸挿通孔19Fが設けられ、この軸挿通孔19F内には、駆動軸16が挿通されている。軸挿通孔19Fと駆動軸16との間には、駆動軸16を回転可能に支持する軸受20が設けられている。
回転側ハウジング21は、固定側ハウジング19に対して回転可能に設けられている。回転側ハウジング21は、固定側ハウジング19に収容された油圧モータ12によって回転駆動されるものである。回転側ハウジング21は、筒部21Aと底部21Bとによって有底筒状に形成され、筒部21Aの開口端側は、蓋部21Cによって閉塞されている。
筒部21Aの外周側には、環状の鍔部21Dが一体形成され、該鍔部21Dには、ボルト9を用いて駆動輪(スプロケット)7が固着されている。また、筒部21Aの内周側には全周に亘って内歯車21Eが設けられ、この内歯車21Eには、後述する第1の遊星歯車29および第2の遊星歯車36が噛合する。
底部21Bの中央部には、固定側ハウジング19が挿通されるハウジング挿通孔21Fが設けられている。そして、ハウジング挿通孔21Fと固定側ハウジング19との間には、軸受22が設けられ、この軸受22によって回転側ハウジング21が回転可能に支持されている。軸受22よりも鍔部19D側で、ハウジング挿通孔21Fと固定側ハウジング19との間には、メカニカルシール(フローティングシール)23が設けられ、このメカニカルシール23によって、回転側ハウジング21内に潤滑油を封止している。さらに、蓋部21Cの内側面の中央部には摺動体21Gが設けられ、この摺動体21Gには、後述する回転軸25の端面28Bが摺動可能に当接している。
1段目の遊星歯車減速機構24は、回転側ハウジング21内の蓋部21C側に配設されている。1段目の遊星歯車減速機構24は、油圧モータ12の回転を減速し、この減速した回転を、後述する2段目の遊星歯車減速機構32に伝達するものである。1段目の遊星歯車減速機構24は、後述する回転軸25、第1の太陽歯車28、第1の遊星歯車29、第1のキャリア30等により構成されている。
回転軸25は、回転側ハウジング21内を軸方向に延びて配置されている。回転軸25は、軸方向の一側(基端側)に設けられた雄スプライン部26と、雄スプライン部26から軸方向に延びる軸部27と、回転軸25の軸方向の他側(先端側)に設けられた第1の太陽歯車28とにより構成されている。雄スプライン部26は、駆動軸16の雌スプライン部16Aにスプライン結合されている。従って、回転軸25は、油圧モータ12の駆動軸16と同軸上に配設され、この駆動軸16と一体に回転するものである。
回転軸25の軸部27は、雄スプライン部26側が大径軸27Aとなり、第1の太陽歯車28側が小径軸27Bとなった段付軸として形成されている。そして、雄スプライン部26の歯先外径寸法と大径軸27Aの外径寸法とは、後述する第2の太陽歯車33の貫通孔34の孔径よりも小さい値となっている。これにより、回転軸25の雄スプライン部26と軸部27とは、後述する第2の太陽歯車33の貫通孔34に挿通することができる構成となっている。
第1の太陽歯車28は、回転軸25の軸方向の他側に設けられている。第1の太陽歯車28は、第1のキャリア30内に配置され第1の遊星歯車29に噛合している。第1の太陽歯車28の軸方向長さ寸法は、第1の遊星歯車29の軸方向長さ寸法よりも若干大きく形成され、第1の太陽歯車28の歯先外径寸法は、大径軸27Aの外径寸法よりも大きな値となっている。そして、第1の太陽歯車28の軸方向の一側の端面28Aは、後述する第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bに摺動可能に当接し、軸方向の他側の端面28Bは、回転側ハウジング21の摺動体21Gに摺動可能に当接している。
複数の第1の遊星歯車29は、例えば第1の太陽歯車28の周囲に3個設けられている(1個のみ図示)。各第1の遊星歯車29は、回転側ハウジング21の内歯車21Eと第1の太陽歯車28とに噛合し、第1の太陽歯車28の周囲を自転しつつ公転するものである。各第1の遊星歯車29の歯先外径寸法は、その中心から第1の太陽歯車28の歯先外径までの寸法よりも大きく形成され、各第1の遊星歯車29の軸方向の一側の端面29Aのうち外径側(歯側)は、後述する第1,第2の半割ブッシュ39,40の第1の太陽歯車当接面39B1,40B1と対面している。
第1のキャリア30は、各第1の遊星歯車29を回転可能に支持するものである。第1のキャリア30は、内歯車21Eの歯先円径よりも小径な円板状をなし、各第1の遊星歯車29を軸方向から挟む他側支持板30A、一側支持板30Bと、他側支持板30Aと一側支持板30B間を連結し周方向に均等な間隔をもって離間した複数の連結部30Cと、他側支持板30Aと一側支持板30Bとの間で各第1の遊星歯車29を回転可能に支持する歯車支持軸30Dとにより構成されている。そして、第1のキャリア30は、他側支持板30Aと、一側支持板30Bと、各連結部30Cとが、例えば鋳造等により一体形成されている。
第1のキャリア30の軸方向の他側に位置する他側支持板30Aには、その中心部に回転軸挿通孔30A1が穿設され、この回転軸挿通孔30A1に回転軸25が挿通されている。回転軸挿通孔30A1の周囲には、各連結部30C間に位置して例えば3個の他側支持軸挿嵌孔30A2(1個のみ図示)が穿設されている。
一方、第1のキャリア30の軸方向の一側に位置する一側支持板30Bには、その中心部に雌スプライン部30B1が形成され、この雌スプライン部30B1は、後述する第2の太陽歯車33のキャリア連結部33Cにスプライン結合されている。雌スプライン部30B1の周囲には、他側支持板30Aの各他側支持軸挿嵌孔30A2に対応する位置に、3個の一側支持軸挿嵌孔30B2が穿設されている。
歯車支持軸30Dは、軸方向の他側が他側支持軸挿嵌孔30A2に挿嵌され、軸方向の一側が一側支持軸挿嵌孔30B2に挿嵌されることにより両持ち支持され、軸受31を介して各第1の遊星歯車29を回転可能に支持している。
第1のキャリア30は、各歯車支持軸30Dによって各第1の遊星歯車29を回転可能に支持し、各第1の遊星歯車29が第1の太陽歯車28の周囲を公転することにより回転し、この回転を2段目の遊星歯車減速機構32に伝達するものである。
2段目の遊星歯車減速機構32は、油圧モータ12と1段目の遊星歯車減速機構24との間に配設されている。2段目の遊星歯車減速機構32は、1段目の遊星歯車減速機構24の回転を減速して回転側ハウジング21を回転させるものである。2段目の遊星歯車減速機構32は、後述する第2の太陽歯車33、第2の遊星歯車36、第2のキャリア37等により構成されている。
第2の太陽歯車33は、駆動軸16の雌スプライン部16Aと第1の太陽歯車28との間に配置されている。第2の太陽歯車33は、回転軸25が挿通される貫通孔34を有する円筒体からなっている。第1の太陽歯車28側に位置する第2の太陽歯車33の軸方向他側の端面33Aは、第1のキャリア30内に配置され、第1の遊星歯車29の端面29Aに対面している(図3参照)。
図3および図5に示すように、第2の太陽歯車33の外周側には、軸方向の一側(油圧モータ12側)に配置された歯車噛合部33Bと、歯車噛合部33Bに隣接して軸方向の他側(第1の太陽歯車28側)に配置されたキャリア連結部33Cと、キャリア連結部33Cのうち第2の太陽歯車33の端面33Aの近傍部位に配置された環状溝33Dとが設けられている。歯車噛合部33Bには、各第2の遊星歯車36が噛合し、キャリア連結部33Cには、第1のキャリア30の雌スプライン部30B1がスプライン結合される。また、第2の太陽歯車33の軸方向の他側の端面33Eは、第2のキャリア37に当接している。
この場合、歯車噛合部33Bの外径寸法は、キャリア連結部33Cの外径寸法よりも大きく設定され、歯車噛合部33Bとキャリア連結部33Cとの境界部は段部となっている。これにより、第2の太陽歯車33のキャリア連結部33Cに第1のキャリア30(雌スプライン部30B1)をスプライン結合した状態で、環状溝33Dに止め輪35を取付けることにより、歯車噛合部33Bと止め輪35との間で第1のキャリア30を挟持し、第1のキャリア30を軸方向に位置決めすることができる構成となっている。
一方、第2の太陽歯車33の貫通孔34には、軸方向他側の端面33Aの近傍位置、即ち端面33Aよりも奥まった位置に段部34Aが設けられている。そして、貫通孔34は、段部34Aよりも雄スプライン部26側を全長にわたって小径孔部34Bとして形成すると共に、第1の太陽歯車28側を大径な大径孔部34Cとして形成している。段部34Aには、第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bが配設される。小径孔部34Bの孔径は、回転軸25の雄スプライン部26と大径軸27Aの外径寸法よりも若干大きく形成されている。一方、大径孔部34Cの孔径は、第1の太陽歯車28の歯先外径寸法よりも大きく形成されている。これにより、第1の太陽歯車28の端面28A側は、大径孔部34C内に収容されている。
また、回転側ハウジング21の筒部21A内には、各歯車を円滑に駆動するための潤滑油が回転軸25の軸線付近まで充填されている。即ち、貫通孔34と回転軸25の小径軸27Bとの間に形成される隙間の下側半分には、十分な量の潤滑油が満たされている。これにより、この隙間に溜まった潤滑油を第1,第2の半割ブッシュ39,40の周囲に流入させ、その潤滑状態を良好に保つことができる構成となっている。
複数の第2の遊星歯車36は、例えば第2の太陽歯車33の周囲に3個設けられている(1個のみ図示)。各第2の遊星歯車36は、回転側ハウジング21の内歯車21Eと第2の太陽歯車33とに噛合し、第2の太陽歯車33の周囲で自転することにより回転側ハウジング21を回転させる。即ち、各第2の遊星歯車36は、1段目の遊星歯車減速機構24から第2の太陽歯車33に伝達された回転を減速することにより、大きなトルクをもって回転側ハウジング21を回転させるものである。
第2のキャリア37は、固定側ハウジング19に非回転状態に取付けられ、各第2の遊星歯車36を回転可能に支持するものである。第2のキャリア37は、内歯車21Eの歯先円径よりも僅かに小径な円板状をなし、各第2の遊星歯車36を軸方向から挟む他側支持板37A、一側支持板37Bと、他側支持板37Aと一側支持板37B間を連結し周方向に均等な間隔をもって離間した複数の連結部37Cと、他側支持板37Aと一側支持板37Bとの間で各第2の遊星歯車36を回転可能に支持する歯車支持軸37Dとにより構成されている。そして、第2のキャリア37は、他側支持板37Aと、一側支持板37Bと、連結部37Cとが、例えば鋳造等により一体形成されている。
第2のキャリア37の軸方向の他側に位置する他側支持板37Aには、その中心部に太陽歯車挿通孔37A1が穿設され、この太陽歯車挿通孔37A1に第2の太陽歯車33が挿通されている。太陽歯車挿通孔37A1の周囲には、各連結部37C間に位置して例えば3個の他側支持軸挿嵌孔37A2(1個のみ図示)が穿設されている。
一方、第2のキャリア37の軸方向の一側に位置する一側支持板37Bには、その中心部に、回転軸挿通孔37B1と雌スプライン部37B2とが形成されている。回転軸挿通孔37B1には、回転軸25が挿通され、雌スプライン部37B2には、固定側ハウジング19の雄スプライン部19Eがスプライン結合されている。回転軸挿通孔37B1の周囲には、他側支持板37Aの各他側支持軸挿嵌孔37A2に対応する位置に、3個の一側支持軸挿嵌孔37B3が穿設されている。
歯車支持軸37Dは、軸方向の他側が他側支持軸挿嵌孔37A2に挿嵌され、軸方向の一側が一側支持軸挿嵌孔37B3に挿嵌されることにより両持ち支持され、軸受38を介して各第2の遊星歯車36を回転可能に支持している。
この場合、第2のキャリア37は、雌スプライン部37B2を固定側ハウジング19の雄スプライン部19Eにスプライン結合しているので、非回転状態となっている。これにより、油圧モータ12の駆動軸16の回転は、1段目の遊星歯車減速機構24で減速され、1段目の遊星歯車減速機構24から第2の太陽歯車33に伝達された後、第2の遊星歯車36によりさらに減速され、大きなトルクをもって回転側ハウジング21を回転させる構成となっている。
次に、本実施の形態に用いられる第1の半割ブッシュ39および第2の半割ブッシュ40について説明する。
第1,第2の半割ブッシュ39,40は、第1の太陽歯車28と第2の太陽歯車33との間で、かつ回転軸25を構成する小径軸27Bの外周側に設けられている。これら第1,第2の半割ブッシュ39,40は、例えば射出成型等の手段を用いて形成された同一形状を有する樹脂性の半割体からなり、円筒状に組合せることにより1個の摺動部材を形成するものである。第1,第2の半割ブッシュ39,40は、回転軸25の小径軸27Bよりも小さな軸方向長さ寸法を有し、回転軸25の小径軸27Bを外周側から挟んで円筒状に組合されることにより、第1の太陽歯車28と第2の太陽歯車33との摺動面を形成している。
第1の半割ブッシュ39は、図4ないし図8に示すように、回転軸25の小径軸27Bに沿って軸方向に延びる半円筒状の半割筒部39Aと、半割筒部39Aの軸方向の他側(第1の太陽歯車28側)から径方向の外側に張出す半円状の鍔部39Bと、第1の半割ブッシュ39の周方向の両端に位置し、小径軸27Bを挟んで第2の半割ブッシュ40と対面する2つの対向面39C,39Dと、一方の対向面39Cに設けられた移動規制部としての移動規制凸部39Eと、他方の対向面39Dに設けられた移動規制部としての移動規制凹部39Fとを含んで構成されている。
移動規制凸部39Eは、一方の対向面39Cのうち半割筒部39Aに対応する部位に設けられ、対向面39Cから周方向に突出している。一方、移動規制凹部39Fは、他方の対向面39Dのうち半割筒部39Aに対応する部位に設けられ、対向面39Dを周方向に切欠くことにより形成されている。移動規制凸部39E、移動規制凹部39Fは、それぞれ第1の半割ブッシュ39の軸方向に対して傾斜した傾斜係合面39E1、39F1を有している。そして、移動規制凸部39Eが後述する第2の半割ブッシュ40の移動規制凹部40Fに係合すると共に、移動規制凹部39Fが後述する第2の半割ブッシュ40の移動規制凸部40Eに係合することにより、第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とが軸方向に相対移動するのを規制する構成となっている。
鍔部39Bは、第1の太陽歯車28と軸方向で対面し該第1の太陽歯車28の端面28Aが摺動可能に当接する第1の太陽歯車当接面39B1と、第1の太陽歯車当接面39B1の裏面側に配置され、第2の太陽歯車33の段部34Aと軸方向で対面し該段部34Aが摺動可能に当接する第2の太陽歯車当接面39B2とを有している。鍔部39Bの周方向の両端側には、それぞれ面取り部39B3が形成されている。この面取り部39B3は、第1の太陽歯車当接面39B1から第2の太陽歯車当接面39B2に向けて斜めに傾斜し、第1の太陽歯車28の端面28Aを、第1の太陽歯車当接面39B1に向けて案内するものである。
一方の対向面39Cのうち鍔部39Bの近傍部位には、凹窪部39Gが設けられている。凹窪部39Gは、対向面39Cの端面を周方向の内側(面取り部39B3側)に向けて凹円弧状に切欠くことにより形成され、後述する第2の半割ブッシュ40の突出部40Hが嵌合するものである。一方、他方の対向面39Dのうち鍔部39Bの近傍部位には、突出部39Hが設けられている。突出部39Hは、対向面39Dの端面から周方向の外側に向けて凸円弧状に突出し、後述する第2の半割ブッシュ40の凹窪部40Gに嵌合するものである。このように、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39G、突出部39Hと、第2の半割ブッシュ40の突出部40H、凹窪部40Gとが嵌合することにより、円筒状に組合せた第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とが、径方向にずれを生じるのを規制する構成となっている。
この場合、図7に示すように、凹窪部39Gの凹円弧の中心Oは、対向面39Cの端面よりも周方向の内側(面取り部39B3側)に配置され、凹窪部39Gの半径Rは、第2の半割ブッシュ40の突出部40Hの半径Rとほぼ等しく(凹窪部39Gと突出部40Hとが嵌合可能に)設定されている。これにより、凹窪部39Gには、突出部40Hの直径よりも小さな間隔をもって対向する一対の抜止め部39Jが形成されている。これにより、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39G、突出部39Hと、第2の半割ブッシュ40の突出部40H、凹窪部40Gとを嵌合させたときに、第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とが、径方向(対向面39C,39Dと対向面40C,40Dとが離れる方向)に離間するのを規制する構成となっている。
また、図7に示すように、一方の対向面39Cに対する凹窪部39Gの周方向の凹み寸法L1と、他方の対向面39Dからの突出部39Hの周方向の突出寸法L2とは、鍔部39Bに形成された面取り部39B3の周方向の長さ寸法L3よりも小さく設定されている。これにより、凹窪部39Gと突出部39Hとを面取り部39B3の範囲内に配置することができ、第1の太陽歯車28が、凹窪部39Gや突出部39Hに干渉することなく、第1の太陽歯車当接面39B1上を摺動できる構成となっている。
ここで、第1の半割ブッシュ39は、例えば射出成型や圧縮成型等の金型を用いて形成されるもので、第1の半割ブッシュ39の形状は、金型(図示せず)から第1の半割ブッシュ39を軸方向にスライドさせるだけで容易に取出すことができるように工夫されている。
一方、第2の半割ブッシュ40も、第1の半割ブッシュ39と同様に、半円筒状の半割筒部40Aと、半円状の鍔部40Bと、2つの対向面40C,40Dと、一方の対向面40Cに設けられた移動規制部としての移動規制凸部40Eと、他方の対向面40Dに設けられた移動規制部としての移動規制凹部40Fとを含んで構成されている。移動規制凸部40Eは、第1の半割ブッシュ39の移動規制凹部39Fに係合し、移動規制凹部40Fは、第1の半割ブッシュ39の移動規制凸部39Eに係合するものである。また、移動規制凸部40E、移動規制凹部40Fは、それぞれ第2の半割ブッシュ40の軸方向に対して傾斜した傾斜係合面40E1、40F1を有している。
鍔部40Bは、第1の太陽歯車28の端面28Aが摺動可能に当接する第1の太陽歯車当接面40B1と、第2の太陽歯車33の段部34Aが摺動可能に当接する第2の太陽歯車当接面40B2とを有し、鍔部40Bの周方向の両端側には、それぞれ面取り部40B3が形成されている。
一方の対向面40Cのうち鍔部40Bの近傍部位には、凹円弧状の凹窪部40Gが設けられ、この凹窪部40Gは、第1の半割ブッシュ39の突出部39Hが嵌合するものである。他方の対向面40Dのうち鍔部40Bの近傍部位には、凸円弧状の突出部40Hが設けられ、この突出部40Hは、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39Gに嵌合するものである。ここで、凹窪部40Gには、突出部39Hの直径よりも小さな間隔をもって対向する一対の抜止め部40Jが形成されている。
第1,第2の半割ブッシュ39,40は、図4および図5に示すように、回転軸25の小径軸27Bを径方向から挟込むようにして円筒状に組合された状態で、回転軸25と一緒に第2の太陽歯車33の貫通孔34内に挿入される。これにより、鍔部39B,40Bの第1の太陽歯車当接面39B1,40B1が、第1の太陽歯車28の端面28Aに当接すると共に、鍔部39B,40Bの第2の太陽歯車当接面39B2,40B2が、貫通孔34の段部34Aに当接する。即ち、鍔部39B,40Bの第1の太陽歯車当接面39B1,40B1が同一平面上に配置されると共に、第2の太陽歯車当接面39B2,40B2が同一平面上に配置される。
このとき、第1の半割ブッシュ39の移動規制凸部39Eの傾斜係合面39E1と第2の半割ブッシュ40の移動規制凹部40Fの傾斜係合面40F1との間、および第2の半割ブッシュ40の移動規制凸部40Eの傾斜係合面40E1と第1の半割ブッシュ39の移動規制凹部39Fの傾斜係合面39F1との間には、それぞれ適度な隙間が設定されている。
この状態で、図9に示すように、平面視で移動規制凸部39Eの傾斜係合面39E1の軸方向に対する傾斜角度をXとし、移動規制凸部39Eの傾斜係合面39E1と移動規制凹部40Fの傾斜係合面40F1との間に形成される隙間寸法をCとし、第1,第2の半割ブッシュ39,40の半割筒部39A,40Aの外周面と貫通孔34の小径孔部34Bの内周面との間に形成される隙間寸法をY/2とし、第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bに設けた面取り部39B3,40B3の軸方向の長さ寸法(面取り深さ)をAとすると、この面取り部39B3,40B3の軸方向の長さ寸法Aは、下記数1のように設定されている。
ここで、面取り部39B3,40B3の軸方向の長さ寸法Aを、上記数1のように設定した理由について説明する。
まず、図10に示すように、第1の半割ブッシュ39が隙間寸法Cの範囲で軸方向に移動することにより、移動規制凸部39Eの傾斜係合面39E1と、移動規制凹部40Fの傾斜係合面40F1とが当接したときには、第1の半割ブッシュ39の軸方向の移動距離S1は、下記数2によって表される。
次に、図11に示すように、第1の半割ブッシュ39が軸方向にさらに移動した場合には、移動規制凸部39Eの傾斜係合面39E1と移動規制凹部40Fの傾斜係合面40F1とに沿って、第1,第2の半割ブッシュ39,40が径方向に移動する。そして、第1,第2の半割ブッシュ39,40の半割筒部39A,40Aは、第2の太陽歯車33の貫通孔34の内周面に当接する。このとき、第1,第2の半割ブッシュ39,40は、径方向に距離Yだけ移動し、第1の半割ブッシュ39は、図10の位置からさらに軸方向に距離S2だけ移動する。この第1の半割ブッシュ39の軸方向の移動距離S2は、下記数3によって表される。
このように、第1,第2の半割ブッシュ39,40を組合せて第2の太陽歯車33の貫通孔34内に配置した場合に、第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とは、上記数2、数3により軸方向に移動距離S1+S2だけ相対移動する可能性がある。
従って、面取り部39B3,40B3の軸方向の長さ寸法A(面取り深さ)を、移動距離S1+S2よりも大きく設定することにより、鍔部39B,40Bの第1の太陽歯車当接面39B1,40B1を、常に面取り部39B3,40B3の軸方向の長さ寸法A内に収めることができる。このため、面取り部39B3,40B3の軸方向の長さ寸法Aは、上記数1のように設定されている。
次に、本実施の形態による減速装置18の組立て手順について説明する。
減速装置18を組立てる場合には、例えば図14に示すように、回転軸25、第1の遊星歯車29、第1のキャリア30、第2の太陽歯車33等からなる第1の組立体41と、第2の遊星歯車36、第2のキャリア37等からなる第2の組立体42とを別々に組立てた後、これら第1,第2の組立体41,42を、固定側ハウジング19、回転側ハウジング21に組込む。
まず、第1の組立体41を組立てる場合には、図12に示すように、第1のキャリア30の雌スプライン部30B1に第2の太陽歯車33のキャリア連結部33Cをスプライン結合し、第2の太陽歯車33の環状溝33Dに止め輪35を取付ける。これにより、歯車噛合部33Bと止め輪35との間で第1のキャリア30を挟持し、当該第1のキャリア30を軸方向に位置決めする。
そして、回転軸25の小径軸27Bに対し、第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とを径方向外側から嵌合させた状態で、回転軸25の雄スプライン部26側を、第1のキャリア30の回転軸挿通孔30A1、第2の太陽歯車33の貫通孔34に挿通する。これにより、第1,第2の半割ブッシュ39,40の半割筒部39A,40Aが、貫通孔34の小径孔部34Bに挿入(隙間嵌め)され、第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bの第2の太陽歯車当接面39B2,40B2が、第2の太陽歯車33の段部34Aに当接する。
この場合、第1の半割ブッシュ39の一方の対向面39Cに設けられた凹窪部39Gに、第2の半割ブッシュ40の他方の対向面40Dに設けられた突出部40Hを嵌合させると共に、第2の半割ブッシュ40の一方の対向面40Cに設けられた凹窪部40Gに、第1の半割ブッシュ39の他方の対向面39Dに設けられた突出部39Hを嵌合させる。これにより、円筒状に組合せた第1,第2の半割ブッシュ39,40が、径方向にずれを生じるのを抑えると共に、径方向(対向面39C,39Dと対向面40C,40Dとが離れる方向)に離間するのを抑えることができる。
次に、内周側に軸受31を取付けた第1の遊星歯車29を、第1のキャリア30の他側支持板30Aと一側支持板30Bとの間に挿入して、歯車支持軸30Dを、他側支持板30Aの他側支持軸挿嵌孔30A2、軸受31、一側支持板30Bの一側支持軸挿嵌孔30B2に挿嵌し、固定ピン30D1により抜止めする。これにより、図13に示すように、第1の組立体41を組立てることができる。
一方、第2の組立体42を組立てる場合には、図14に示すように、内周側に軸受38を取付けた第2の遊星歯車36を、第2のキャリア37の他側支持板37Aと一側支持板37Bとの間に挿入して、歯車支持軸37Dを他側支持板37Aの他側支持軸挿嵌孔37A2、軸受38、一側支持板37Bの一側支持軸挿嵌孔37B3に挿嵌し、固定ピン(図示せず)により抜止めする。これにより、第2の組立体42を組立てることができる。
このようにして組立てられた第1の組立体41と第2の組立体42とを、回転側ハウジング21に組付けるには、図14に示すように、回転側ハウジング21の蓋部21Cを取外した状態で、第2の組立体42を回転側ハウジング21に組付ける。
具体的には、第2の遊星歯車36を回転側ハウジング21の内歯車21Eに噛合した状態で、第2のキャリア37を回転側ハウジング21の筒部21A内に挿入する。そして、第2のキャリア37の雌スプライン部37B2を、固定側ハウジング19の雄スプライン部19Eにスプライン結合させ、第2のキャリア37を固定側ハウジング19の底部19Bに当接させる。これにより、第2のキャリア37は、第2の遊星歯車36を回転可能に支持しつつ、固定側ハウジング19に非回転状態で取付けられる。
次に、第1の組立体41を回転側ハウジング21に組付ける場合には、第2の太陽歯車33を第2のキャリア37の太陽歯車挿通孔37A1に挿通し、第2の太陽歯車33の歯車噛合部33Bを第2の遊星歯車36に噛合させつつ、第1のキャリア30を回転側ハウジング21の筒部21A内に挿入していく。そして、第1の遊星歯車29を回転側ハウジング21の内歯車21Eに噛合させると共に、回転軸25の雄スプライン部26を、油圧モータ12の駆動軸16に設けた雌スプライン部16Aにスプライン結合し、第2の太陽歯車33の軸方向一側の端面33Eを、第2のキャリア37の一側支持板37Bに当接させる。
このようにして、回転側ハウジング21の筒部21A内に第1の組立体41と第2の組立体42を組込んだ状態で、回転側ハウジング21の筒部21Aに蓋部21Cを取付ける。これにより、1段目の遊星歯車減速機構24と2段目の遊星歯車減速機構32とを回転側ハウジング21の筒部21A内に組込むことができ、減速装置18を組立てることができる。
本実施の形態による減速装置18は上述の如き構成を有するもので、油圧モータ12が作動して駆動軸16が回転すると、この駆動軸16の回転は、回転軸25を介して1段目の遊星歯車減速機構24を構成する第1の太陽歯車28に出力される。第1の太陽歯車28が回転すると、第1の遊星歯車29が第1の太陽歯車28の周囲を自転しつつ公転し、この第1の遊星歯車29の公転が第1のキャリア30に伝達される。
第1のキャリア30の減速された回転は、2段目の遊星歯車減速機構32を構成する第2の太陽歯車33に伝達され、この第2の太陽歯車33に噛合する第2の遊星歯車36が、回転側ハウジング21の内歯車21Eに噛合しつつ自転する。ここで、第2の遊星歯車36を支持する第2のキャリア37は、固定側ハウジング19にスプライン結合されているので、第2の遊星歯車36の回転は、内歯車21Eを介して回転側ハウジング21に伝達される。
このように、油圧モータ12の回転は、1段目の遊星歯車減速機構24、2段目の遊星歯車減速機構32によって2段減速された後、回転側ハウジング21に伝達される。これにより、駆動輪7を固定した回転側ハウジング21が大きなトルクをもって回転し、遊動輪6と駆動輪7とに巻回された履帯8が周回駆動されることにより、油圧ショベル1が走行する。
この場合、回転軸25に設けられた第1の太陽歯車28と第2の太陽歯車33との間には、第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bが配置され、第1の太陽歯車28の軸方向一側の端面28Aは、各鍔部39B,40Bの第1の太陽歯車当接面39B1,40B1に当接し、軸方向他側の端面28Bは、回転側ハウジング21(蓋部21C)に設けられた摺動体21Gに当接している。これにより、第1の太陽歯車28と第2の太陽歯車33とは、第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bを介して円滑に相対回転することができる。また、第1の太陽歯車28と回転軸25とを、第1,第2の半割ブッシュ39,40と回転側ハウジング21の摺動体21Gとの間で軸方向に位置決めすることができる。
ここで、第1の半割ブッシュ39の一方の対向面39Cに設けられた移動規制凸部39Eは、第2の半割ブッシュ40の他方の対向面40Dに設けられた移動規制凹部40Fに係合し、第1の半割ブッシュ39の他方の対向面39Dに設けられた移動規制凹部39Fは、第2の半割ブッシュ40の一方の対向面40Cに設けられた移動規制凸部40Eに係合する。これにより、第1,第2の半割ブッシュ39,40が軸方向に相対移動するのを、各移動規制凸部39E,40Eと各移動規制凹部39F,40Fとによって規制することができる。
このため、例えば油圧ショベル1の姿勢の変化により、第1の太陽歯車28と第2の太陽歯車33との間に軸方向の大きな隙間が形成されたとしても、第1,第2の半割ブッシュ39,40が軸方向にずれを生じるのを抑えることができ、第1の太陽歯車28の端面28Aを、第1,第2の半割ブッシュ39,40の第1の太陽歯車当接面39B1,40B1に常に安定した状態で当接させることができる。従って、第1の太陽歯車当接面39B1と第1の太陽歯車当接面40B1との間に軸方向の段差が生じ、第1の太陽歯車28の端面28A側のエッジによって第1,第2の半割ブッシュ39,40が削られて破損するのを抑えることができる。この結果、第1,第2の半割ブッシュ39,40の寿命を延ばすことができ、第1の太陽歯車28、第2の太陽歯車33を長期に亘って安定して回転させることができるので、減速装置18の信頼性を高めることができる。
また、第1の半割ブッシュ39の鍔部39Bの周方向の両端には、第1の太陽歯車当接面39B1から第2の太陽歯車当接面39B2に向けて斜めに傾斜する面取り部39B3を設け、第2の半割ブッシュ40の鍔部40Bの周方向の両端には、第1の太陽歯車当接面40B1から第2の太陽歯車当接面40B2に向けて斜めに傾斜する面取り部40B3を設ける構成としている。
これにより、第1の半割ブッシュ39の第1の太陽歯車当接面39B1と、第2の半割ブッシュ40の第1の太陽歯車当接面40B1とを、各面取り部39B3,40B3を介して滑らかに連続させることができる。この結果、回転する第1の太陽歯車28の端面28A側のエッジが、第1の半割ブッシュ39の鍔部39Bと第2の半割ブッシュ40の鍔部40Bとの突合せ部分に接触し、鍔部39B,40Bが破損するのを抑えることができ、第1,第2の半割ブッシュ39,40の寿命を延ばすことができる。
また、第1の半割ブッシュ39の一方の対向面39Cには、この対向面39Cから周方向の内側に凹円弧状に窪んだ凹窪部39Gを設け、第2の半割ブッシュ40の他方の対向面40Dには、この対向面40Dから周方向の外側に向けて凸円弧状に突出する突出部40Hを設ける構成とし、同様に、第1の半割ブッシュ39の他方の対向面39Dには突出部39Hを設け、第2の半割ブッシュ40の一方の対向面40Cには凹窪部40Gを設ける構成としている。
これにより、第1,第2の半割ブッシュ39,40を円筒状に組合せたときに、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39Gに第2の半割ブッシュ40の突出部40Hを嵌合させると共に、第1の半割ブッシュ39の突出部39Hを第2の半割ブッシュ40の凹窪部40Gに嵌合させることにより、組合せた第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とが、径方向にずれを生じるのを規制することができる。この結果、第1,第2の半割ブッシュ39,40の鍔部39B,40Bに対し、第1の太陽歯車28の端面28Aと、第2の太陽歯車33の段部34Aとを適正に摺接させることができ、第1の太陽歯車28と第2の太陽歯車33とを安定して回転させることができる。
また、実施の形態では、第1の半割ブッシュ39の一方の対向面39Cに対する凹窪部39Gの周方向の凹み寸法L1と、他方の対向面39Dからの突出部39Hの周方向の突出寸法L2とを、鍔部39Bに形成された面取り部39B3の周方向の長さ寸法L3よりも小さく設定し、同様に、第2の半割ブッシュ40の一方の対向面40Cに対する凹窪部40Gの周方向の凹み寸法L1と、他方の対向面40Dからの突出部40Hの周方向の突出寸法L2とを、鍔部40Bに形成された面取り部40B3の周方向の長さ寸法L3よりも小さく設定している。
これにより、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39Gと突出部39Hとを、面取り部39B3の範囲内に配置することができ、第2の半割ブッシュ40の凹窪部40Gと突出部40Hとを、面取り部40B3の範囲内に配置することができる。この結果、第1の太陽歯車28は、凹窪部39G,40Gや突出部39H,40Hに干渉することなく、第1の半割ブッシュ39の第1の太陽歯車当接面39B1、および第2の半割ブッシュ40の第1の太陽歯車当接面40B1上を摺動できるので、第1,第2の半割ブッシュ39,40の耐久性を高めることができる。
また、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39Gには、第2の半割ブッシュ40の突出部40Hの直径よりも小さな間隔をもって対向する一対の抜止め部39Jを設け、第2の半割ブッシュ40の凹窪部40Gには、第1の半割ブッシュ39の突出部39Hの直径よりも小さな間隔をもって対向する一対の抜止め部40Jを設ける構成としている。
これにより、第1の半割ブッシュ39の凹窪部39Gに第2の半割ブッシュ40の突出部40Hを嵌合させると共に、第2の半割ブッシュ40の凹窪部40Gに第1の半割ブッシュ39の突出部39Hを嵌合させることにより、第1の半割ブッシュ39と第2の半割ブッシュ40とが、径方向(対向面39C,39Dと対向面40C,40Dとが離れる方向)に離間するのを規制することができる。この結果、油圧ショベル1の姿勢の変化等に関わらず、第1,第2の半割ブッシュ39,40は安定した円筒形状を保持することができるので、第1の太陽歯車28、第2の太陽歯車33を安定して回転させることができ、減速装置18の信頼性を高めることができる。
なお、実施の形態では、第1の半割ブッシュ39の各対向面39C,39Dに設けた移動規制凸部39E,移動規制凹部39Fに、それぞれ軸方向に対して傾斜した傾斜係合面39E1,39F1を設け、第2の半割ブッシュ40の各対向面40C,40Dに設けた移動規制凸部40E,移動規制凹部40Fに、それぞれ軸方向に対して傾斜した傾斜係合面40E1,40F1を設けた場合を例示している。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図15に示す第1の変形例のように、第1の半割ブッシュ51の一方の対向面39Cに、軸方向に対して垂直な垂直面39E1′を有する移動規制凸部39E′を設け、他方の対向面39Dに、垂直面39F1′を有する移動規制凹部39F′を設けると共に、第2の半割ブッシュ52の一方の対向面40Cに、垂直面40E1′を有する移動規制凸部40E′を設け、他方の対向面40Dに垂直面40F1′を有する移動規制凹部40F′を設ける構成としてもよい。
さらに、例えば図16に示す第2の変形例のように、第1の半割ブッシュ53の一方の対向面39Cに、凸円弧状に湾曲した凸円弧面39E1″を有する移動規制凸部39E″を設け、他方の対向面39Dに、凹円弧状に湾曲した凹円弧面39F1″を有する移動規制凹部39F″を設けると共に、第2の半割ブッシュ54の一方の対向面40Cに、凸円弧面40E1″を有する移動規制凸部40E″を設け、他方の対向面40Dに凹円弧面40F1″を有する移動規制凹部40F″を設ける構成としてもよい。
一方、実施の形態では、第1の半割ブッシュ39の一方の対向面39Cに凹円弧状の凹窪部39Gを設け、他方の対向面39Dに凸円弧状の突出部39Hを設けると共に、第2の半割ブッシュ40の一方の対向面40Cに凹円弧状の凹窪部40Gを設け、他方の対向面40Dに凸円弧状の突出部40Hを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す第3の変形例のように、第1の半割ブッシュ55の一方の対向面39Cに多角形状の凹窪部39G′を設け、他方の対向面39Dに多角形状の突出部39H′を設けると共に、第2の半割ブッシュ56の一方の対向面40Cに多角形状の凹窪部40G′を設け、他方の対向面40Dに多角形状の突出部40H′を設ける構成としてもよい。
また、実施の形態では、第1の半割ブッシュ39の一方の対向面39Cのうち半割筒部39Aに対応する部位に、移動規制凸部39Eを設けると共に、他方の対向面39Dのうち半割筒部39Aに対応する部位に、移動規制凹部39Fを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば一方の対向面39Cのうち鍔部39Bに対応する部位に移動規制凸部を設けると共に、他方の対向面39Dのうち鍔部39Bに対応する部位に移動規制凹部を設ける構成としてもよい。このことは、第2の半割ブッシュ40についても同様である。
さらに、実施の形態では、減速装置18を油圧ショベル1の走行装置11に用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン等の他の建設機械の走行装置や、ロープを巻取るウインチ装置等に広く適用することができるものである。