JP6533074B2 - 面内せん断耐力構造、及びその面内せん断耐力構造を備えた屋根構造、壁構造、床構造 - Google Patents

面内せん断耐力構造、及びその面内せん断耐力構造を備えた屋根構造、壁構造、床構造 Download PDF

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本発明は、波形鋼板(例えばデッキプレート)と木製軸組とを接合した、面内せん断耐力構造及びその面内せん断耐力構造を備えた屋根構造、壁構造、床構造に関する。
近年、木造建築物は、所謂「公共建築物木材利用促進法」の施行や中大規模化などに伴い、高強度高耐力材の採用や施工の合理化(施工性向上、長スパン化)を進める中、部分的に木質材料以外の材料(鋼材、コンクリート等)を採用する例が増加している。
従来は、木造建築物の剛性を高めるために面内せん断耐力構造の面材として、木製軸組に木質材料の構造用合板を接合し、面内せん断力に対して高剛性高強度を実現する構造が知られている(特許文献1を参照)。
また、木質材料以外の面材では、例えば波形鋼板は、面内せん断力に対する抗力が大きく、この高強度高剛性を活用した構造材として用いられることがある。
特開2002−47751号公報
特許文献1に開示された従来の面内せん断耐力構造では、木質材料の構造用合板を使用しているため、面内せん断力に対する強度を一定以上期待することができない。
また、図13、14に示す従来技術のように木質材料の構造用合板に代えてデッキプレートなどの波形鋼板を採用した場合、木造建築物の軸組に対して波形鋼板は剛性が高いため、大きな面内せん断力を受けた場合に波形鋼板より先に木製軸組や取付手段(波板鋼板と木製軸組とを固定するビス、釘等)が破壊してしまう。
さらに、木製軸組は、取付手段に作用する軸組の軸方向に対する垂直方向成分の力によって、木繊維を引裂く割裂破壊を起こしやすくなる。また、取付手段と木製軸組の縁までの距離が小さい場合には、木製軸組がせん断破壊を起こすこともある。
そのため、波形鋼板の持つ面内せん断力の負担能力を十分発揮することができないだけでなく、木製軸組の破壊によって建築物の鉛直荷重支持能力を喪失する問題があった。
本発明は、このような木製軸組に特有の問題を解決するものであって、面内せん断耐力構造材として木製軸組に波形鋼板を採用しても、面内せん断力を受けた場合に波形鋼板より先に木製軸組や取付手段(ビス、釘等)が破壊することを防止し、波形鋼板の持つ面内せん断力の負担能力を十分発揮することが可能な面内せん断耐力構造を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る面内せん断耐力構造は、木製軸組と、波形鋼板と、前記木製軸組と前記波形鋼板とを接続する取付手段と、を備えた面内せん断耐力構造であって、前記波形鋼板は、山頂面部と、該山頂面部と平行に形成された谷底面部と、前記山頂面部と前記谷底面部とを接続するウェブ面部とを有し、前記木製軸組は、前記波形鋼板が設置される面に、山頂構成面と、該山頂構成面と平行に形成された谷底構成面と、前記山頂構成面と前記谷底構成面とを接続する傾斜構成面とが、形成され、前記ウェブ面部は、前記傾斜構成面に対向して配置され、前記山頂面部は、前記山頂構成面と対向して配置され、前記谷底面部は、前記谷底構成面と対向して配置され、前記取付手段は、前記波形鋼板の凹凸形状が延びる長手方向の両端部において、前記山頂面部と前記山頂構成面とを接続するとともに、前記谷底面部と前記谷底構成面とを接続することを特徴とする。
)前記()に係る面内せん断耐力構造において、前記取付手段は、前記ウェブ面部と前記傾斜構成面とを接続することを特徴とする。
)前記(1)又は(2)に係る面内せん断耐力構造において、前記木製軸組と、前記波形鋼板との間にゴムシートを敷設したことを特徴とする。
)前記(1)〜()のいずれかに係る面内せん断耐力構造において、前記波形鋼板は、前記取付手段を挿通する下孔を有し、前記下孔の周囲には前記木製軸組側に突設されるバーリング部が形成されることを特徴とする。
)前記(1)〜()のいずれかに係る面内せん断耐力構造において、前記木製軸組は、平行に複数本配置されることを特徴とする。
)前記(1)〜()のいずれかに係る面内せん断耐力構造において、前記木製軸組には、フェノール樹脂またはポリエステル樹脂を含浸させたことを特徴とする。
)前記(1)〜()のいずれかに係る面内せん断耐力構造を有する屋根構造。
)前記(1)〜()のいずれかに係る面内せん断耐力構造を有する壁構造。
)前記(1)〜()のいずれかに係る面内せん断耐力構造を有する床構造。
本発明に係る面内せん断耐力構造によれば、波形鋼板より先に木製軸組や取付手段(ビス、釘等)が破壊することが防止され、木製軸組と波形鋼板とが構造上強固に一体化されるため、波形鋼板の持つ面内せん断力の負担能力を十分発揮することが可能な面内せん断耐力構造を得ることができる。
実施の形態1に係る面内せん断耐力構造の分解斜視図である。 実施の形態1に係る波形鋼板のY方向断面図(波形鋼板のY方向に順行して幅切断した断面図をいう)である。 実施の形態1に係る木製軸組のY方向断面図である。 実施の形態1に係る面内せん断耐力構造における木製軸組のY方向断面図である。 実施の形態1に係る面内せん断耐力構造に面内せん断力Fが作用した際の取付手段に作用するせん断力Tを示した図である。 実施の形態1に係る最端部の取付手段に作用するY方向成分のせん断力Tyを従来例(=1.0)と比較して示したグラフである。 実施の形態1に係る木製軸組の傾斜構成面に作用する支圧Aを説明するY方向断面図である。 実施の形態1の変形例1に係る面内せん断耐力構造における木製軸組のY方向断面図である。 実施の形態1の変形例2に係る面内せん断耐力構造における木製軸組のY方向断面図である。 実施の形態1の変形例3に係る面内せん断耐力構造における波形鋼板のY方向断面図である。 実施の形態1の変形例4に係る面内せん断耐力構造の分解斜視図である。 実施の形態2に係る面内せん断耐力構造の分解斜視図である。 従来の波形鋼板と木製軸組とで構成された面内せん断耐力構造の斜視図である。 従来の面内せん断耐力構造に面内せん断力Fが作用した際の取付手段に作用するせん断力Tを示した図である。
実施の形態1.
図1〜図11を用いて実施の形態1及びその変形例に係る面内せん断耐力構造を説明する。
以下、説明の便宜上、例えば水平面に配置された木製軸組同士の間隔の方向(「スパン方向」に同じ)をY方向とし、木製軸組の長手方向(水平面上でY方向に対して直角方向)をX方向とし、鉛直上方をZ方向としているが、「水平及び鉛直」とは、文字通り厳密に水平及び鉛直であることに限定するものではない。また、実施の形態1では、面内せん断耐力構造を屋根構造として採用した例を示すが、他に床構造(床下地)や壁構造(耐力壁)等に採用することができる。なお、木製軸組は、使用される場所によって、柱、梁、桁、母屋、土台等と名称が相違する。
<面内せん断耐力構造の概要>
図1は、実施の形態1に係る面内せん断耐力構造の分解斜視図である。
実施の形態1の面内せん断耐力構造は、大きく木製軸組1と、波形鋼板2と、取付手段3と、で構成されている。木製軸組1は、屋根材、床材、壁材等を支える構造部材であり、木造建屋において水平方向、もしくは鉛直方向に平行に複数本掛け渡される構造部材である。
木製軸組1は、図1に示すように所定の間隔(スパン)を空けて配置(間隔は一定でなくても良い)されており、その断面形状は略矩形となっている。木製軸組1の上面には、波形鋼板2の凹凸形状の長手方向と木製軸組1の長手方向とが交差するように波形鋼板2が載置される。また、木製軸組1の上面には、波形鋼板2の凹凸断面形状に嵌合する凹凸形状が予め形成されており、木製軸組1の上面の凹凸形状と波形鋼板2の凹凸断面形状とが嵌合した状態で取付手段3により両者が固定される。なお、取付手段3は、ビス、釘、ラグスクリュー、ボルト等を採用することができる。
以下、実施の形態1に係る面内せん断耐力構造の各構成部材について詳述する。
<波形鋼板>
図2は、実施の形態1に係る波形鋼板のY方向断面図である。
波形鋼板2は、それぞれスパン方向(Y方向断面)に形成された、山頂面部2aと、山頂面部2aに平行な谷底面部2bと、山頂面部2aと谷底面部2bとを連結するウェブ面部2cと、を具備している。
山頂面部2aから下方に向かう一対のウェブ面部2cは、図2に示すY方向断面において谷底面部2bに近い程、対向するウェブ面部2cの距離が拡大する略ハの字状となっており、波形鋼板2はY方向断面において波状の凹凸形状を呈している。
この山頂面部2a及び谷底面部2bには、木製軸組1と波形鋼板2とを固定する取付手段3を挿通する下孔2dが開口している。
なお、本波形鋼板2は一つの例示であり、例示された構造、形状に限定するものでない。すなわち、波形鋼板2はデッキプレート、折板、スパンドレルなどで、凹凸の断面形状は台形、矩形、円弧形状、カーブ形状などでもよい。
また、波形鋼板2の材質については、表現上「鋼板」と記述したが、鉄鋼に限定されない。例えば、アルミニウム合金などの非鉄金属板や制震鋼板などの複合金属板などであっても良い。
<木製軸組>
図3は、実施の形態1に係る木製軸組のY方向断面図である。
木製軸組1は、X方向断面が矩形の木製部材である。木製軸組1の上面にはY方向断面において、波形鋼板2の凹凸が嵌合する凹凸形状を有している。
この凹凸形状は、波形鋼板2の山頂面部2aに対向して配置される山頂構成面1aと、波形鋼板2の谷底面部2bに対向して配置され、山頂面部2aと平行に形成された谷底構成面1bと、波形鋼板2のウェブ面部2cに対向して配置され、山頂構成面1aと谷底構成面1bとを接続する傾斜構成面1cとにより構成されている。
このような凹凸形状は、波形鋼板2の断面形状に合わせて工場でのプレカット加工等により形成することができる。
また、平板形状の木製軸組1の表面に凹凸形状の別部材(受材)を取り付けて形成することも可能である。
また、木製軸組1は製材に限定されず、木板を層状に積層した多数の木片から成る集成材(いわゆる、エンジニアードウッド)でも良い。また、薬剤処理を行った木材で強度若しくは耐火性能、又はその両方を向上させたものでも良いし、大部分が木材で覆われ部分的に木材以外の材(鉄骨、モルタル等)を使用し強度若しくは耐火性能、又はその両方を向上させた合成建材でも良い。
薬剤処理は、加工済みの木製軸組1にフェノール樹脂やポリエステル樹脂等の木質材料強化剤を塗布、含浸又は注入し、強度等を向上させた木材を用いることも可能である。木製軸組1を硬化させることで、接合部の割裂破壊やせん断破壊が生じにくくなり、面内せん断力の負担能力を向上させることができる。さらに、カビや腐朽菌への耐性を向上させることが可能である。
<面内せん断耐力構造の施工手順>
次に図4を用いて実施の形態1に係る面内せん断耐力構造の施工手順を説明する。
図4は、実施の形態1に係る面内せん断耐力構造における木製軸組のY方向断面図である。
はじめにstep1にて、木製軸組1の上面に波形鋼板2の断面形状に合わせた凹凸形状を、一般的に工場で行うプレカット加工により形成する。なお、このプレカット加工は、現場加工でも良い。また、上記のように平板形状の木製軸組1の表面に凹凸形状の別部材(受材)を取り付けて形成することも可能である。
次に、step2として、木製軸組1にプレカット加工した凹凸形状に合わせて波形鋼板2の凹凸形状を嵌合し位置決めする。このとき、波形鋼板2の山頂面部2aに対向させて木製軸組の山頂構成面1aを配置し、波形鋼板2の谷底面部2bに対向させて木製軸組1の谷底構成面1bを配置し、波形鋼板2のウェブ面部2cに対向させて木製軸組1の傾斜構成面1cを配置する。
次に、step3として、木製軸組1と波形鋼板2とを取付手段3により固定する。このとき、図4に示すように、波形鋼板2の山頂面部2aと木製軸組1の山頂構成面1aとを取付手段3で接合し、波形鋼板2の谷底面部2bと木製軸組1の谷底構成面1bとを同じく取付手段3で接合する。
また、両者の固定には接着剤による接合を採用しても良い。取付手段3は、波形鋼板2に予め開口した下孔2dに挿通して接合される。
なお、下孔2dを設けることなく直接ドリルねじ等の取付手段3で、波形鋼板2に接合することも可能である。
また、実施の形態1では、取付手段3は波形鋼板2の山頂面部2aと谷底面部2bとに各1本を配置する例を示したが、山頂面部2aと谷底面部2bとにそれぞれ複数本の取付手段3を配置しても良い。
また、構造計算の結果によっては取付手段3を1本も配さない山頂面部2aや谷底面部2b部位が有っても良い。
さらに、取付手段3の径や長さは1つの面内せん断耐力構造にて1種類に限定されない。
また、波形鋼板2の最端部は谷底面部2bとしたが、山頂面部2aやウェブ面部2cとしても良い。
さらに、波形鋼板2上にコンクリートを打設した構造としても良く、また当該構造はコンクリートを打設したデッキ合成スラブ構造としても良い。
この場合、波形鋼板2のウェブ面部2cに押圧加工により凸形状の複数のエンボス(図示しない)や鍵溝等の合成機構を形成する。エンボスは、波形鋼板2上にコンクリートが打設された際、その周囲にコンクリートが回り込み、硬化することで、波形鋼板2とコンクリートとがずれるのを防止し、耐力や変形性能を高める役割を果たす。
<実施の形態1に係る面内せん断耐力構造と従来例との比較>
図13は、従来の波形鋼板と木製軸組とで構成された面内せん断耐力構造の斜視図である。
図14は、従来の面内せん断耐力構造に「面内せん断力F」が作用した際の取付手段に作用する「せん断力T」を示した図である。
従来、波形鋼板の木製軸組への取付けに関し、図13、図14のように、波形鋼板2と木製軸組1との接合部は、木製軸組1が凹凸のない長方形形状のため、波形鋼板2の谷底面部2bに限定されている。すなわち、取付手段3は、波形鋼板2の谷底面部2bのみに留め付けられている。
建物に地震力や風圧力が作用すると、波形鋼板2を接合した木製軸組1の構面には面内せん断力Fが作用する。このとき、取付手段3には図14のようなせん断力Tが作用する。取付手段3に作用するせん断力Tは波形鋼板2の最端部の取付手段3aで最大になる。 木製軸組1は、取付手段3に作用するY方向成分の「せん断力Ty」によって、木繊維を引裂くような割裂破壊を起こしやすくなる。また、取付手段3と木製軸組1の端部との縁距離が小さい場合には、木製軸組1はせん断破壊を起こすこともある。
木製軸組1が割裂破壊やせん断破壊を起こすと、波形鋼板2の持つ面内せん断力の負担能力を十分発揮できなくなるだけでなく、木製軸組1の破壊による断面性能の低下や断面欠損により荷重支持能力を喪失するおそれがある。
ここで、実施の形態1に係る面内せん断耐力構造の取付手段3に作用するせん断力Tを上記従来例と比較した演算結果を説明する(波形鋼板2の山頂面部2aが7つ、谷底面部2bが8つの場合を示す)。
図5は、実施の形態1に係る面内せん断耐力構造に面内せん断力Fが作用した際の取付手段に作用するせん断力Tを示した図である。
図6は、実施の形態1に係る最端部の取付手段に作用するY方向成分のせん断力Tyを従来例(=1.0)と比較して示したグラフである。
従来例(図14を参照)に係る面内せん断耐力構造(波形鋼板2の谷底面部2bのみを木製軸組1に留め付けたもの)と、実施の形態1(図5を参照)に係る面内せん断耐力構造(波形鋼板2の山頂面部2aと谷底面部2bとを木製軸組1に留め付けたもの)とが同じ大きさの面内せん断力Fを受けた場合を比較すると、実施の形態1に係る波形鋼板2の最端部の取付手段3aに作用するせん断力Tは従来例に比べて大きく低減される。
例えば、波形鋼板2を剛体と仮定し、波形鋼板2のウェブ面部2cと木製軸組1の支圧を無視した場合で、波形鋼板2の山頂面部2aが7つ、谷底面部2bが8つの場合を検討する。
このとき、図5に示すように最端部の取付手段3aに作用するY方向成分のせん断力Tyは従来例の約0.60倍となり、従来例に比べて木製軸組1の割裂破壊やせん断破壊が生じにくくなっている。また、X方向成分の「せん断力Tx」は、従来例の約0.53倍となっている。
ここで、面内せん断耐力構造に加える面内水平力を10kN、X方向の両端の取付手段3aの間隔2.1m(山頂面部2aのピッチ0.3m)、Y方向の取付手段3の間隔2.5mとしたものを想定すると、最端部の取付手段3aに作用するX方向成分のせん断力Txは、従来例1.25kNに対し実施の形態1では0.66kN(約0.53倍)となり、Y方向成分のせん断力Tyは、従来例3.47kNに対し実施の形態1では2.08kN(約0.60倍)となる。
この例では、波形鋼板2の取付手段3に作用するX方向成分のせん断力Txは取付手段3の箇所数に反比例する。また、波形鋼板2の最端部の取付手段3aに作用するY方向成分のせん断力Tyは、波形鋼板2の山数(山頂面部2a)の数が多く、よって取付手段3の箇所数が多いほど低減する。最端部の取付手段3aに作用するY方向成分のせん断力Tyは、図6に示すように従来例を1.0とした場合、0.5に漸近する。
すなわち、従来例に比べ実施の形態1に係る取付手段3に作用するX方向成分のせん断力Tx及びY方向成分のせん断力Tyは大きく低減される。
<波形鋼板と木製軸組との間に作用する支圧Aの演算>
実施の形態1に係る波形鋼板2のウェブ面部2cと木製軸組1の傾斜構成面1cとの間に作用する支圧Aを考える。
波形鋼板2を剛体と仮定し、木製軸組1の山頂構成面1aにおける底面(図7のB−B断面)のせん断耐力で面内せん断耐力構造の耐力が決まる場合を検討する。
図7は、実施の形態1に係る木製軸組の傾斜構成面に作用する支圧Aを説明するY方向断面図である。
従来例では、波形鋼板2の山頂面部2a内は空隙部となっている。これに対して実施の形態1に係る波形鋼板2のウェブ面部2cと木製軸組1の傾斜構成面1cとの間には、図7に示すように面内せん断力FのX成分に対抗する支圧Aが作用する。
上記実施の形態1に係る取付手段3に作用するX方向成分のせん断力Txは、波形鋼板2のウェブ面部2cと木製軸組1の傾斜構成面1cとの間に作用する支圧Aを無視した場合の値である。
よって、この支圧Aによる面内せん断力Fの負担分を考慮すれば、取付手段3が負担すべきX方向成分のせん断力Txはさらに大幅に低減される。
ここで、木製軸組1の山頂面部1a一つあたりの許容支圧を演算する。
例えば、木製軸組1をすぎ製材とし、木製軸組1の基準許容せん断応力度を0.6N/mm(「針葉樹の構造用製材の日本農林規格」機械等級製材の繊維方向特性値)、木製軸組1の許容せん断応力度1.2N/mm(短期)、図7(B−B断面図)に示すように木製軸組1の山頂構成面1aにおける底面のX方向長さ180mm、Y方向長さ60mmの場合を示す。
山頂構成面1a一つあたりの許容支圧は、180mm×60mm×1.2N/mm=12.9kNとなり、非常に大きなX方向成分のせん断力を負担することが可能である。
よって、従来例に比べ、波形鋼板2の取付手段3に作用するX方向成分のせん断力Txは取付手段3の箇所数に反比例して低減されるだけではなく、この支圧Aにより大きく低減されることがわかる。
これにより取付手段3の1本が負担するせん断力が小さくなることで木製軸組1に割裂破壊やせん断破壊が生じにくくなるとともに取付手段3の破壊が防止される。また、取付手段3の径を細く、長さを短くすることが可能となるため、取付手段3を木製軸組1に打ち込む際に木割れなどの問題が生じにくくなり、品質管理面でも有利となる。
<効果>
このような実施の形態1に係る面内せん断耐力構造では、波形鋼板2より先に木製軸組1や取付手段3が破壊することが防止され、木製軸組1と波形鋼板2とが構造上一体化した構成となる。よって、波形鋼板2の持つ面内せん断力の負担能力を十分発揮することが可能なり、面内せん断力に対する耐力が大きい面内せん断耐力構造を得ることができる。
<変形例1>
図8は、実施の形態1の変形例1に係る面内せん断耐力構造における木製軸組のY方向断面図である。
実施の形態1では、図4に示すように、波形鋼板2の山頂面部2aと木製軸組1の山頂構成面1aとを取付手段3で接合し、波形鋼板2の谷底面部2bと木製軸組1の谷底構成面1bとを同じく取付手段3で接合したが、変形例1ではこれらに加えて図8に示すように波形鋼板2のウェブ面部2cと木製軸組1の傾斜構成面1cとを取付手段3で接合する。
このように波形鋼板2のウェブ面部2cと木製軸組1の傾斜構成面1cとを取付手段3で接合することで、木製軸組1と波形鋼板2とが一体化し、実施の形態1に係る面内せん断耐力構造よりさらに波形鋼板2の持つ面内せん断力の負担能力を高めた面内せん断耐力構造を得ることができる。
<変形例2>
図9は、実施の形態1の変形例2に係る面内せん断耐力構造における木製軸組のY方向断面図である。
変形例2では、プレカット加工などにより波形鋼板2の凹凸形状に合わせて加工した木製軸組1上に、ゴムシート5などの緩衝材を敷いたうえで波形鋼板2を取り付ける構成を採用している。
この構成により木製軸組1と波形鋼板2間のガタツキを抑え、さらに降雨の際の音や震動などが波形鋼板2から木製軸組1に伝わることを遮断することができる。
<変形例3>
図10は、実施の形態1の変形例3に係る面内せん断耐力構造における波形鋼板のY方向断面図である。
変形例3に係る波形鋼板2の下孔2dの下面周囲には、バーリング加工を施すことで、バーリング部2eが突設されている。この波形鋼板2を木製軸組1に載置した際には、木製軸組1の上面に波形鋼板2の表面から突設されたバーリング部2eが食い込んで固定される。すると、波形鋼板2と木製軸組1との接合強度が向上して、面内せん断耐力構造の面内せん断力の負担能力を大きくすることができる。これにより木製軸組1に割裂破壊やせん断破壊が生じにくくなる。また、取付手段3の径を細く、長さを短くすることが可能となり、木製軸組1に打ち込む際に木割れなどの問題が生じにくいため品質管理面でも有利である。
<変形例4>
図11は、実施の形態1の変形例4に係る面内せん断耐力構造の分解斜視図である。
実施の形態1では、一対の木製軸組1に対して波形鋼板2を取り付け、面内せん断耐力構造を形成する例を示したが、変形例4では、3本以上の木製軸組1を平行に配置し、面内せん断耐力構造を形成する。
このように3本以上の木製軸組1を用いることにより、実施の形態1より長スパンの面内せん断耐力構造を得ることが可能となり、設計、施工の柔軟性が向上する。
実施の形態2.
実施の形態1に係る面内せん断耐力構造は、木製軸組1上面の凹凸形状と波形鋼板2の凹凸断面形状とを嵌合した状態で取付手段3により両者を固定して構成されたが、実施の形態2に係る面内せん断耐力構造は、従来の直方体形状の木製軸組1に鋼帯4を介して波形鋼板2を取り付けた構成である。その他の構成は実施の形態1に係る面内せん断耐力構造と同様である。
<面内せん断耐力構造の概要>
図12は、実施の形態2に係る面内せん断耐力構造の分解斜視図である。
実施の形態2の面内せん断耐力構造は、大きく木製軸組1と、波形鋼板2と、取付手段3と、鋼帯4とで構成されている。
実施の形態2に係る波形鋼板2と、取付手段3とは実施の形態1と同様の仕様である。
一方、木製軸組1は、実施の形態1に係る上面に凹凸形状を形成しない直方体形状となっている。
また鋼帯4は、平板形状の鋼板であり、所定の厚みを有している。
<面内せん断耐力構造の施工手順>
はじめに、木製軸組1の上面に鋼帯4を取付手段3にて取り付ける。鋼帯4の留付けには、木製軸組1が割裂破壊やせん断破壊を起こさないよう構造設計により必要となる本数の取付手段3を配置する。鋼帯4の平面寸法は、木製軸組1の上面と略同一の寸法となっている。
そして、波形鋼板2の谷底面部2bを鋼帯4にねじ、溶接、打込み鋲、頭付きスタッドなどで留め付ける。
<効果>
このような実施の形態2に係る面内せん断耐力構造では、木製軸組1と波形鋼板2とが鋼帯4を介して構造上一体化した構成となる。よって、波形鋼板2の持つ面内せん断力の負担能力を十分発揮することが可能なり、面内せん断力に対する耐力が大きい面内せん断耐力構造を得ることができる。
1 木製軸組
1a 山頂構成面
1b 谷底構成面
1c 傾斜構成面
2 波形鋼板
2a 山頂面部
2b 谷底面部
2c ウェブ面部
2d 下孔
2e バーリング部
3 取付手段
3a 最端部の取付手段
4 鋼帯
5 ゴムシート
A 支圧
F 面内せん断力
T せん断力
Tx X方向成分のせん断力
Ty Y方向成分のせん断力

Claims (9)

  1. 木製軸組と、波形鋼板と、前記木製軸組と前記波形鋼板とを接続する取付手段と、を備えた面内せん断耐力構造であって、
    前記波形鋼板は、
    山頂面部と、該山頂面部と平行に形成された谷底面部と、前記山頂面部と前記谷底面部とを接続するウェブ面部とを有し、
    前記木製軸組は、
    前記波形鋼板が設置される面に、山頂構成面と、該山頂構成面と平行に形成された谷底構成面と、前記山頂構成面と前記谷底構成面とを接続する傾斜構成面とが、形成され
    前記ウェブ面部は、
    前記傾斜構成面に対向して配置され
    前記山頂面部は、
    前記山頂構成面と対向して配置され、
    前記谷底面部は、
    前記谷底構成面と対向して配置され、
    前記取付手段は、
    前記波形鋼板の凹凸形状が延びる長手方向の両端部において、前記山頂面部と前記山頂構成面とを接続するとともに、前記谷底面部と前記谷底構成面とを接続することを特徴とする面内せん断耐力構造。
  2. 前記取付手段は、前記ウェブ面部と前記傾斜構成面とを接続することを特徴とする請求項に記載の面内せん断耐力構造。
  3. 前記木製軸組と、前記波形鋼板との間にゴムシートを敷設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内せん断耐力構造。
  4. 前記波形鋼板は、前記取付手段を挿通する下孔を有し、
    前記下孔の周囲には前記木製軸組側に突設されるバーリング部が形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の面内せん断耐力構造。
  5. 前記木製軸組は、平行に複数本配置されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の面内せん断耐力構造。
  6. 前記木製軸組には、フェノール樹脂またはポリエステル樹脂を含浸させたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の面内せん断耐力構造。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の面内せん断耐力構造を有する屋根構造。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の面内せん断耐力構造を有する壁構造。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の面内せん断耐力構造を有する床構造。
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