JP6530770B2 - インク及びこれを用いた可食体の製造方法並びに可食体の印刷方法 - Google Patents

インク及びこれを用いた可食体の製造方法並びに可食体の印刷方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に錠剤やカプセル剤、食品等の経口製品の表面にマーキングを施すために、インクジェット方式での印刷に好適なインクに関する。
誤飲防止、偽造防止、薬剤の識別等のため、錠剤や硬質カプセル剤、軟質カプセル剤などの固形製剤の表面に記号や文字、数字及び/ 又は模様を印刷することが一般的に行われている。
従来より、これら固形製剤表面の印刷は、オフセット印刷やグラビア印刷などの有版の方法で行われている。たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、ラバーロール表面を錠剤等の印刷物に押し当てることによって、スタンプ式にインクを被印刷物に転写する方法が記載されている。
しかし、これら有版の方法では、印刷表面がある程度の固さを有していること、また表面が平らで凹凸がないことが前提となっているため、必ずしもこれらの特性を備えない素錠、糖衣錠、OD錠(口腔内崩壊錠)等の多種多様の錠剤に、満足できるマーキングすることは容易ではなかった。
そこで、インクジェット方式、UVレーザー方式等の非有版の印刷方法の採用が考えられる。特にインクジェット方式によれば、UVレーザー方式より被印刷表面の制限が少なく、より広範な対象物に印刷可能である。
インクジェット方式は、コンティニュアス型とオンデマンド型に大別され、いずれの方式においても細いノズルからインクが安定的に吐出される必要がある。コンティニュアス型では、連続的に噴射されるインク粒子を必要に応じて帯電させ、偏向電極によって帯電量に応じて偏向させることにより進路を曲げて印字面に付着させる。この際、帯電させなかったインク粒子は回収されて再びインクタンクに戻る。一方、オンデマンド型は、必要時のみにインクを吐出する方式である。後者のオンデマンド型の場合、コンティニュアス型と比べてインク吐出機構の構造が簡単で小型化しやすいという利点があるものの、吐出されない間にインクが濃縮したり沈降したりしてノズルが詰まりやすいという問題点があるので、インクの色材として顔料を用いた場合には満足のいく吐出性、性能の安定性を達成するのは容易ではない。特に、錠剤等の可食体に印刷するためには、インクに含まれる全ての成分が体内に摂取しても問題ないものである必要があり、従来より知られているインクジェット用インクをそのまま用いることは難しい。ここで、可食体に使用できる顔料は限られており、レーキ顔料や無機顔料などがあげられる。しかし、これらの顔料を水媒体中に微粒子として安定的に分散させるのは難しく、経時で液中での分離や沈殿などが生じ、これがインクノズルの目詰まりを誘発するためインクに用いることは困難である。また、錠剤のような被印刷物の場合は、その表面にコーティングが施されていることがあるため、インク成分との満足な密着性が得られない場合が多い。さらに、被印刷物表面の材料の選択の際には、食用可能であること、錠剤の有効成分の効果発現を阻害しないこと、インクとの親和性に問題がなく十分に密着することなどの制約がある。
他方、色材として染料を用いた場合には、満足な耐光性及び耐水性が得られないという問題がある。
特許文献4には、炭末色素を用いてセラック樹脂やセルロース系樹脂で分散してなるインクが記載されている。しかしインク中の顔料濃度は0.7重量%が上限となるため、印刷のコントラスト(着色性)が十分に確保ができないと思われる。また、コンティニュアス型のインクジェットに用いることが開示されており、オンデマンド型のインクジェットに用いた場合のノズルの目詰まりの発生を防止することは困難であると推測される。
特開2000−42089号公報 特開2000−229847号公報 特開2001−31898号公報 WO2014/014010A1公報
本発明は、錠剤やカプセル剤、もしくは一部の食品等の可食体の表面へのマーキングに使用可能であり、インクジェット方式での印刷にも好適なインクを提供することを目的とする。
そこで本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定の色材を用い、適宜特定の高分子材料を添加したり分散粒子径を調整することにより、体内摂取可能な成分のみで、特に錠剤表面への優れた密着性を有し、インクジェット方式での印刷においても連続吐出を可能にしつつ定着性ならびに耐光性を備え、かつ十分な着色性を発揮する、優れたインクを完成し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)少なくとも(i)色材、(ii)分散媒、及び(iii)分散剤を含有するインクであって、色材が活性炭であることを特徴とするインク、
(2)少なくとも(i)色材及び(ii)分散媒を含有するインクであって、色材が活性炭であり、かつインク中の活性炭の平均分散粒子径が50nm〜1μmであることを特徴とするインク、
(3)分散媒が、エタノール、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンのうち1種以上を含む上記(1)又は(2)記載のインク、
(4)粘度が1.0〜10.0mPa・s、表面張力が30〜38mN/mである(1)〜(3)のいずれかに記載のインク、
(5)インクジェット用インクである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のインク、
(6)経口摂取製品の表面のマーキングインク用途である(1)〜(5)のいずれかに記載のインク、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のインクを、インクジェット印刷装置を用いて被印刷面に印刷することを特徴とする経口摂取製品の製造方法、及び
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のインクを、インクジェット印刷装置を用いて経口摂取製品に印刷することを特徴とする印刷方法、にある。
本発明により、体内摂取可能な成分のみで、特に錠剤表面への優れた密着性を有し、インクジェット方式での印刷においても連続吐出性を可能にしつつ密着性ならびに耐水性、耐光性、かすれのない十分な着色性を備えた優れたインクを得ることができる。
本発明のインクは、少なくとも、(i)色材及び(ii)分散媒を含有し、色材として活性炭を用いることが特徴である。
〔活性炭〕
活性炭は、黒色の多孔質粉末であり、一般にはその細孔を利用して脱臭、浄水、排水処理、触媒担持などに使用されている。特に精製された活性炭は、薬用炭として服用され腸内のガスや有毒物質を吸着して体外へ排出させるために用いられている。本発明ではこのように色材としては一般的ではない活性炭を、黒色の色材として用いるものである。
活性炭は、極めて比表面積の大きい炭素材料として知られている。木材などの炭素材料を加熱することにより、備長炭などの、いわゆる炭が得られる(この工程は「炭化」と称されている)が、炭(粉末にしたものを含む)の比表面積は一般に、300〜500m/gと言われている。これに対し、活性炭は、炭をさらに1000℃近い高温で処理することにより、800〜2000m/g、さらには500〜3000m2/gに達したもので(このように炭素材料が高温で処理されることにより比表面積が増大して活性炭となることを「賦活」あるいは「活性化反応」と称されている)、極めて高い吸着性能を有するものとして知られている。
一般に活性炭は、石炭やヤシ殻などの炭素物質を原料として高温でガスや薬品と反応させて作られる。原料に塩化亜鉛溶液を含浸後に一定の条件で加熱賦活する薬品賦活法、原料と加熱した水蒸気を800〜1000℃の温度で賦活する水蒸気賦活法が知られているが、本発明では、活性炭の製法は特に問わない。
活性炭は原料によって大きく3種類、すなわち「石炭系」「植物系」「その他」に分けられるが、本発明では特に限定せず使用することができる。
また、形状により粉末活性炭と粒状活性炭に大きく分けられる。粉末活性炭は、100Mesh(目開き0.15mm)のふるいを通過する粒度を有する粉末を指し、粒状活性炭は当該ふるいを通過しない粒度のものを指す。その他、特殊な形状のものとして、繊維状活性炭、特殊成形活性炭(ハニカム状、板状(シート状))がある。本発明では、より微細で分散性・着色性に優れるため、粉末状活性炭を用いることが好ましい。
本発明で使用する活性炭の物性は特に限定されないが、一般には、平均粒径が1〜100μm、特に好ましくは5〜70μmのものである。
比表面積も特に限定されないが、好ましくは500〜3000m/g、特に好ましくは1000〜2000m/gである。
全細孔容積も特に限定されないが、好ましくは0.3〜5ml/g、より好ましくは0.5〜4ml/g、最も好ましくは0.5〜3ml/gである。
平均細孔直径は、好ましくは1〜20nm、特に好ましくは2〜10nmである。
活性炭のpHは、好ましくは3〜8、特に好ましくは4.5〜7.5である。
活性炭中の鉄分は、好ましくは0.03重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。
pH、平均粒径、比表面積、全細孔容積、平均細孔直径、鉄分の測定は、JIS K 1474-91の方法による。
また、本発明に使用する活性炭は、JIS K 1474−91ならびに食品添加物公定書に記載の方法に準じて、塩化物(Clとして)0.53%以下、硫酸塩(SOとして)0.48%以下、亜鉛0.10%以下、ヒ素(Asとして)4.0μg/g以下であるものが好適である。
これらの範囲であれば、食品添加物規格に合致しているので可食体への印刷も可能であり、また不純物によるインク物性への影響も防止できる。
活性炭の配合量は、インク液中に0.1重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から8重量%が望ましく、さらに好ましくは1重量%から5重量%が良い。
0.1重量%未満では、着色剤として濃度が薄く、対象物のマーキング性能が十分でないことがある。10重量%を超えると、活性炭の凝集によるインクの経時安定性の不良や、さらにはノズルからの吐出性が低下することにより連続吐出の達成が困難となることがある。
活性炭は、前述したように黒色の粉末又は粒状物ではあるが、通常は色材(着色材)としては用いられない。これは、通常の使用法では、黒色度の発現は高くなく、分散性も高くないためである。これに対し、本発明では、意外にも活性炭を色材としてインク化することにより、十分な着色を達成し、インクジェット印刷にも適用可能な安定かつ微細な分
散を達成し、しかも経口投与にも安全に用いることができる。
また本発明では、活性炭と後述する分散剤とを用いることにより、前述した0.1重量%から10重量%、特に0.5重量%から8重量%、さらには1重量%から5重量%という高い濃度でインク中に含有させることができ、しかも安定な分散状態を保つことができることから、コンティニアス型のインクジェットプリンタにも用いることができる。
このような優れたインクを得ることができたのは、まず、通常は色材として用いられない材料であっても先入観にとらわれることなく、適正な分散を行うことにより着色の用途に使用できないか、本発明者らが鋭意検討を重ねたことによるところが大きい。また、従来はインクジェット印刷の対象ではなかった、錠剤その他の可食体の表面と、活性炭との親和性が、結果的に優れていたことが挙げられる。特に、後述する微細な分散状態でインク中に存在させることにより、優れたインク性能を得ることができた。
〔分散剤〕
本発明のインクは、少なくとも(i)色材、(ii)分散媒、及び(iii)分散剤を含有するインクであって、色材が活性炭であることを特徴とするインクである。
一般に、顔料等の固体微粒子を液媒体に分散させた液状組成物を作製するためには、分散剤と呼ばれる化合物を添加する。これらは、顔料等の固体微粒子を分散媒中に安定に分散させる機能を有する界面活性物質の総称であり、大きくは、比較的低分子量で一般的に数百から数千の分子量を有する界面活性剤(両親媒性物質)と呼ばれる化合物と、より高分子量でありオリゴマー又はポリマーから成る高分子系分散剤に大別される。
界面活性剤は、水と相溶性の高い官能基から成る親水部と、油になじみやすい疎水部とから成る。界面活性剤は、大別して、イオンの型により、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤などがある。
具体的には、ノニオン系界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加アセチレングリコールなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、たとえば脂肪族アミン塩、脂肪族ホスホニウム塩、脂肪族スルホニウム塩などが挙げられる。
両性イオン系界面活性剤とはカチオン性を与える基とアニオン性を与える基を有しpHによりイオン性が変化するものであるが、例えばN−アルキルアミノプロピオン酸、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、アルキルベタイン、N−アルキルスルホベタイン等が挙げられる。
高分子系分散剤は、一般に水可溶性樹脂及び自己乳化性樹脂に大別される。
固体微粒子への吸着基としては、イソシアネート基、エポキシ基、アマイドやアミンなどの塩基性基や、カルボキシ基やリン酸基などの酸性基が一般的である。
分子鎖に多くの親水基を有し、これに水分子が水和して溶解するタイプのもの、固体微粒子への吸着基がナトリウム、カリウム、アンモニウムなどで中和され中和塩となることにより可溶性を示すタイプのもの、モノマーの親水基により自己乳化するタイプのものがある。
高分子系分散剤の樹脂の種類は、様々なものがあり、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが一般的である。
本発明で用いる高分子分散剤として好ましくは、分散性及び定着性にも優れたアクリル樹脂やウレタン樹脂があげられる。
アクリル樹脂としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン―アクリル酸―(メタ)アクリル酸エステル(C1〜C4程度の低級アルキルエステル、以下同様)共重合体、メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、またはそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩、さらには、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダなどが挙げられる。それ以外の変性タイプも含まれる。
これら分散剤を、特に制限なく使用することができる。さらに、活性炭に親和性を有し、活性炭を液媒体中で安定化させる機能を有する化合物であれば、特に分散剤として知られているものに限られず使用できる。
これら各種の分散剤のうち特に、高分子系分散剤が、本発明の活性炭を含有するインクにおいては好適である。高分子系分散剤は、公知の方法で合成することもできるが、市販品を使用してもよい。そのような市販品としては、例えば以下のものが挙げられる。
アクリル樹脂である高分子系分散剤の市販品としては、水溶液タイプとしてジョンクリル61J、ジョンクリル62、アルカリ中和溶解させて使用するフレーク状のタイプとしてジョンクリル67、ジョンクリル678、ジョンクリル586、ジョンクリル680、ジョンクリル683、ジョンクリル690など(以上はBASF社製商品の商品名);水溶液タイプとしてBYK−154、DISPERBYK190、DISPERBYK191、DISPERBYK2010、DISPERBYK2015など(以上はビックケミー株式会社製商品の商品名)があげられる。
ウレタン樹脂である高分子系分散剤の市販品としては、ネオレッツR−9320、ネオラッドR−440(以上はアストラゼネカ株式会社製商品の商品名);アイゼラックスS−1020、アイゼラックスS−1020、アイゼラックスS−1040(以上は保土谷化学工業株式会社製商品の商品名);タケラックW−5025、タケラック5030、タケラックW−5661、タケラックW−6010、タケラックW−6020,タケラックW−6061、タケラックW−6110、タケラックW−405,タケラックW−605、タケラックWS−4000、タケラックWS−5000、タケラックWS−5100,タケラックWS−5984、タケラックWS−6021、タケラックWSA−5920など(以上は三井化学株式会社製商品の商品名);ハイドランADS−110、ハイドランADS−120、ハイドランCP−7050、ハイドラン7610など(以上はDIC株式会社製商品の商品名)があげられる。
エポキシ樹脂の具体例として、W2801、W2821R70(以上は三菱化学株式会社製商品の商品名);SR−PG、SR−2EGなど(以上は阪本薬品工業株式会社製商品の商品名)があげられる。
高分子系分散剤の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000である。さらに好ましくは1,000〜80,000、中でも好ましくは1,500〜50,000、最も好ましくは2,000〜30,000である。
分散剤の重量平均分子量の測定は、GPC法(Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いておこなうが、ポリマーの分子量測定法として、最も広く用いられている方法で、SEC法(Size Exclusion Chromatography;サイズ排除クロマトグラフィー)、またはGFC法(Gel Filtration Chromatography;ゲルろ過クロマトグラフィー)とも呼ばれている液体クロマトグラフィーの1つである。あらかじめ、ポリスチレンなどの標準ポリマーを用いて溶出時間と分子量との関係を示す較正曲線(「検量線」ともいう。)を求め、算出するのが一般である。
本発明では、以下の条件により測定したものを用いる。
GPC測定装置:島津製作所社製GPCシステムにおいて、検出器としてRI検出器及びPDA検出器を備えたものを用い、RI検出器により検出する。
カラム:
東ソー株式会社製ガードカラム「SuperHZ−L」(内径4.6mm×2cm)+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ4000」(内径4.6mm×15cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ3000」(内径4.6mm×15cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ2000」(内径4.6mm×15cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ1000」(内径4.6mm×15cm)
流速 0.35ml/分
カラム温度:40℃
試料注入量:Sample;10μl、標準品;100μl
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液とし、マイクロフィルターでろ過したもの(10μl)。
較正曲線:単分散標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー株式会社製)分子量4000000〜250を用いて較正曲線を得た。
なお、カラムの種類は、分離能、分子量分画範囲、較正曲線の直線性、吸着性、回収率、溶媒交換性、カラムの寿命、試料負荷量、システムのデッドボリュームなどを考慮して適宜選択するのが望ましい。
また、他の方法でも同等の結果を得られるものであれば差し支えない。
以上の好ましい分子量の高分子系分散剤は、公知の方法で合成することもできるが、市販品を選択して用いてもよい。最も好ましい分子量の範囲の市販品としては、前記のうちでは、ジョンクリル61J、ジョンクリル62、ジョンクリル67、ジョンクリル678、ジョンクリル586、ジョンクリル680、ジョンクリル683、ジョンクリル690BYK−154、DISPERBYK190、DISPERBYK191、DISPERBYK2010、DISPERBYK2015が挙げられる。
分散剤の添加量は、活性炭100重量部に対して好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは15〜180重量部、最も好ましくは20〜150重量部である。10重量%未満では、色材の十分な分散が困難であり、分散媒中での活性炭の分散粒子径が大きくなる。200重量部を超えると、インクの粘度が高くなり、ノズルから吐出しにくくなり、連続吐出性が低下する。
本発明のインクでは、以上説明した分散剤を配合することにより、活性炭を安定的かつ微細に分散させることができ、インクジェット印刷に好適に用いることができることが見いだされた。しかも、この特定の水溶性高分子を配合することにより、活性炭の色調発現に優れ、また様々な錠剤等の印刷対象物に印刷した際の密着性が向上し、印刷対象物への定着が良く、擦れて消えてしまうこともなく、優れた黒色の印刷が可能となった。このような優れた効果が得られる機構は完全には明らかではないが、多孔性の微細粉末である活性炭との親和性が良く、活性炭の表面の極性との相互作用により安定化していることが推測される。又同時に、錠剤等の表面のコーティング成分との親和性にも優れていることも推測される。
〔分散媒〕
本発明の分散媒としては、活性炭を分散しうる液体であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよいが、水を主体とすることにより安全性の面、操作性の面で優れたインクとすることができる。また本発明のインクにより、分散媒として水を主体とした場合でも、安定な分散性とインクジェット方式の印刷における連続吐出を維持できる。錠剤等の医薬用可食体の印刷に用いる場合には、蒸留水や注射用水などが好適である。なおここで水を主体とするとは、インクを構成する液体のうちの50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上を水とすることをいう。特に好ましくは以下に説明する特定の水溶性有機溶剤以外の液体成分としては実質的に水である組成とする。
〔水溶性有機溶剤〕
本発明では、水以外の液体成分として特定の水溶性有機溶剤を含有させるのが望ましい。これらの水溶性有機溶剤の添加により、インクジェット方式での印刷に用いる場合に、ヘッド部分の目詰まり防止やインクの乾燥性を調整することができる。このような水溶性有機溶剤の具体例としては、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、チオグルコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオ−ル、モノエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチレングリコールモノエチルエーテル、モノエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの中から選ばれ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。特に好ましくは、食品添加物として、エタノール、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが好適である。
水溶性有機溶剤の添加量は、インク液中に5重量%から30重量%、好ましくは6重量%から25重量%が望ましく、それ以上の添加では、インク自体が高粘度となり、インクの安定性やノズルからの吐出性が低下したり、乾燥速度が遅くなることがある。5重量%未満の添加では、ノズルの吐出に問題を生じ、かすれの発生や、連続吐出性が出来なくなることがある。
〔表面張力調整剤〕
本発明では、必要に応じて表面張力調整剤を用いることができる。表面張力調整剤は、ノズルからの吐出向上と表面張力を調整する働きを有する成分である。
表面張力調整剤の具体例としては、ノニオン、アニオンなどの界面活性剤などが好ましく、具体的には、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルなどのアニオン系界面活性剤;たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加アセチレングリコールなどのノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、イソプロパノールなどの水溶性有機溶剤があげられる。
本発明のインクにおいては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加アセチレングリコールなどのノニオン系界面活性剤が特に好適であり、中でもショ糖モノステアリン酸エステルやショ糖オリゴエステルなどのショ糖脂肪酸エステルや、トリアセチンなどのグリセリン脂肪酸エステルが最も好ましい液性を達成できる。
表面張力調整剤の添加量は、必要とされる表面張力に応じて適宜選択すればよいが、好ましくはインク中に0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%である。
〔糖類その他の添加物〕
吐出性や密着性を向上させる目的で、糖類を添加することができる。糖は、単糖類、二糖類、多糖類があげられ、具体例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、グロース、タロース、アロース、アルトロース、イドース、フラクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、シュクロース、マルトース、ラクトース、マルトトリオース、イソマルトース、マルトテトラオース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、パノース、ニゲロース、コウジビオース、ラクチェロース、パラチノース、ケストース、ニストース、フラクトシルニストース、イヌロビオース、イヌロトリオース、イヌロテトラオース、イソマルチェロース、マルトシルシュクロース、マルトトリオシルシュクロース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなどがあげられる。また、これらの糖の誘導体としては、上記糖を還元または酸化された糖が好ましく、具体例としては、マルチトール、ソルビットなどがあげられる。
添加量はインク液中に1重量%から20重量%含有するのが好ましく、被記録体に印字した場合のかすれを改善し、吐出性を安定化させる働きがある。
さらに、本発明のインクには、所望の物性を有するようにするために、防カビ剤として、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、ジフェニル、チアベンダゾール、イマザリルが好ましく、殺菌剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、エタノールが好ましい。また消泡剤、防錆剤、PH調整剤などの添加剤を適宜配合することができる。
また、本発明のインクは、色材として活性炭を含有することを特徴とするものであるが、本発明の性能を妨げない範囲で、他の色材を含有させることも差し支えない。
しかし、後述する可食体の印刷用途には、活性炭のみでも十分な発色を得ることができる。
また、インクの粘度調整や密着性向上その他の目的のために、本発明の性能を妨げない範囲で、適宜、水溶性高分子その他の成分を添加してもよい。例えば、グアガム、ローカストビーンガム、カンテン、メチルデンプンなどのデンプン系、ゼラチン、プルラン、キサンタンガム、トラガントガム、デキストリン、カゼイン、水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの非極性の水溶性高分子を添加することもできる。
〔インクの作製〕
本発明のインク中の活性炭は、平均分散粒子径が50nm〜1μm、好ましくは50〜800nm、より好ましくは50〜700nm、さらに好ましくは50〜600nm、さらに好ましくは50〜500nm、さらに好ましくは100〜450nm、最も好ましくは150 〜400nmである。この範囲で、着色力、分散安定性、ノズル吐出性、被印刷物への定着性が最も優れているが、特に平均分散粒子径が50〜500nmの範囲で、インクジェット装置やノズルを問わず上記の各物性が極めて優れている。
平均分散粒子径が50nm未満である場合は、粒子間同士のファンデルワールス力によって凝集が発生しやすく経時安定性が低下する傾向にある。平均分散粒子径が1μmを超える場合は、液中に色材が分隊しやすく沈殿が起きやすくなることがある。
また、平均粒子径のコントロールだけでなく、粗大な粒子の量を抑制することが好ましい。液中の活性炭全粒子の90%以上が1μm以下、より好ましくは500nm以下の分散粒子径となるように調整すると、一層優れた物性のインクを得ることができる。全粒子の大きさがこの範囲となるまで分散処理を行うことも考えられるが、微細すぎる粒子が大量に発生して再凝集することを防ぐため、平均粒子径が上記の範囲となるまで分散処理を行った後に、遠心分離やフィルター濾過等の公知の方法により、粗大粒子を除去する方法も好適である。
なおここでの平均分散粒子径、全粒子の分散粒子径の測定は、以下のとおりである。
コンディショニング:定められた測定濃度領域に入るように原液をイオン交換水で希釈する。
測定機器:動的光散乱式粒度分布測定器(「NIKKISO : Microlracwave-EX150」)
測定時間:120秒
また、以上説明した本発明のインクの粘度は、1.0〜10.0mPa・sである。好ましくは、1.5〜9.0mPa・sであり、特に好ましくは、2.0〜8.0mPa・sである。
粘度が1.0mPa・s未満である場合は、サテライト現象が発生したりノズルから液滴にならないことがある。逆に粘度が10.0mPa・sを超える場合にも同様にサテライト現象が発生したりインク滴にならなくなることがある。なお、サテライト現象とは、ヘッドノズルから、射出されたインク滴の主滴から分離してでるチリのような小液滴のことを指す。
粘度の測定方法は、以下のとおりである。
コンディショニング:原液
測定機器:円錐平板型回転粘度計(東機産業(株)製「TVE-20L型」(品番))
測定条件:50rpm
測定温度:25℃
表面張力は28〜40mN/mが好ましいが、より好ましくは30〜38mN/mであり、特に好ましくは31〜37mN/mである。
さらに表面張力が28mN/m未満である場合は、ノズルから十分な液滴にならずに吐出してしまう現象が生じ、表面張力が40mN/mを超える場合も、同様である。
表面張力の測定方法は、以下のとおりである。
コンディショニング:原液
測定機器:自動表面張力計(プレート法) (協和界面科学(株)製「CBVP-Z」)
測定温度:25℃
〔インクの作製〕
本発明のインクの作製は、前述した各成分を混合してインクとすればよい。混合方法は特に制限されないが、例えば、活性炭と水溶性高分子と水とを混合撹拌したのち、分散機、たとえば、ペイントシェイカ一、ロールミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミルなどで分散させ、活性炭を水中に安定化させることができる。
この段階で、粗大粒子を除去処理し、そののち上記において説明した水溶性有機溶剤や表面張力調整剤を添加しインク化する方法も、安定で良好な分散状態の確保には好適である。
あるいは、調製したインクを公知の技術によりフィルター処理等を施したり、不純物イオンを除去して品質をより一層向上させることも可能である。
〔印刷方法と用途〕
以上説明した本発明のインクを用いて、各種の対象物に印刷できる。本発明のインクは、体内に安全に摂取できる成分のみで作製できるので、例えば、錠剤、カプセル等の医薬品への印刷、あるいは各種の食品への印刷にも好適に使用できる。印刷方法も制限されず、従来より可食体の印刷に使用されているオフセット印刷やグラビア印刷等の方法に用いてもよいが、インクジェット印刷に用いた場合でも、安定した吐出性を保ち、優れた性能を発揮することができる。すなわち、インクジェット印刷装置を用いた印刷に、インクジェット用インクとして用いることができ、また可食体の表面のマーキングインク用途とすることができ、本発明のインクを、インクジェット印刷装置を用いて被印刷面に印刷して可食体を製造することができる。
こうして得られる印刷物は着色性、定着性に優れているので、偽造防止、トレサビリティの確保、誤飲防止、識別性の向上、アミューズメント性の付与等様々な目的で、本発明のインクを用いて、医薬品、食品等への印刷を行うことができる。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。実施例において「部」はすべて重量部を示し、「%」はすべて重量部を示す。
[実施例1]
以下に示す成分を配合し、プロペラ撹拌機にて室温で1時間撹拌した。

成 分 量
(重量部(以下、部という))
活性炭 10.0
(平均粒径;25μm、平均細孔直径;2.8nm)
20%ジョンクリル683 15.0
TEA120%中和(分子量8000)
水 75.0
ついで、えられた混合物に対し、0.7mm径ガラスビーズを150gをペイントシェイカー用ポットに入れ、3時間振とうした。
この分散液に含まれている粗大粒子を除去処理して全粒子の90%以上の分散粒子径が500nm以下、固形分濃度が10重量%となるように調整して「分散液1」とし、以下の方法でインク化をおこなった。
成 分 量(部)
分散液1(固形分10%) 50.0
グリセリン 10.0
エタノール 10.0
脂肪酸モノグリセリド 3.0
水 27.0
上記配合にて30分撹拌し、インクを作製した。
得られたインクは、平均分散粒子径が297nm、粘度が2.8mPa・s、表面張力が33mN/mであった。
さらに、上記インクについて、経時安定性、吐出性、定着性、耐光性、耐水性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
(イ)経時安定性試験
インクをガラス瓶に入れ、5℃の恒温室内に1か月間静置したのち、色材の分離、水浮きおよび沈降の有無を確認した。色材の分離、水浮きおよび沈降が少しでも生じた状態を異常と評価した。
表1中で、異常なしの場合を○、異常ありの場合を×とした。
(ロ)吐出性試験
インクジェット印刷機(クオリカプス(株)製)と液滴観測装置を使用し、ヘッド部からのインクの吐出可否、液滴の形成可否、および吐出一旦停止後の再吐出の可否について調査した。
(ハ)定着性乾燥性試験
インクジェット印刷機で印刷した直後の錠剤を試料とし、不織布で試料の印字部を擦り、インクの伸展の有無および不織布へのインクの転写の有無を調査した。
(ニ)耐光性試験
インク約0.5 mLをバーコーターNo.5を用いて色調試験用白色紙に塗布し、インクを乾燥させ、耐光性試験の試料を作製した。試料を光安定性試験器(東京理化器械製LST-300D)に入れ、総照度120万lux・hrで曝光後、目視および分光色差計(日本電色工業製SE6000)を用いて曝光前の試料との色調の差異を調査した。
(ホ)耐水性試験
インクジェット印刷機で錠剤に線径が約0.1 mmで、約0.5 mm四方の大きさの文字を印刷し、耐水性試験の試料を作製した。デシケーターに塩化ナトリウムの飽和溶液を入れて恒湿状態(相対湿度約75%)とした雰囲気中に試料を1週間保存後、印字部の滲みの有無を調査した。
(ヘ)発色試験
(ホ)の試験において作製した試験を行った後の試料の印字部を、目視で確認し、印字が判別できるか及び色調を確認した。黒ないし濃灰色(赤色色材を用いた場合は赤色)で印字が良好に判別できるものを〇、それ以外を×とした。
[比較例1]
実施例1において、活性炭を弁柄に代えた以外は、同様にして、インクを作製した。
[比較例2]
実施例1において、活性炭を黒色酸化鉄に代えた以外は、同様にして、インクを作製した。
[実施例2]
以下に示す成分を配合し、プロペラ撹拌機にて室温で1時間撹拌した。
成 分 量
活性炭 10.0
(平均粒径;30μm、平均細孔直径;2.1nm)
20%ジョンクリル678 15.0
TEA120%中和(分子量8500)
水 75.0
ついで、得られた混合物に対し、0.7mm径ガラスビーズ150gをペイントシェイカー用ポットに入れ、3時間振とうした。
この分散液に含まれている粗大粒子を除去処理して全粒子の90%以上の分散粒子径が500nm以下、固形分濃度が10重量%となるように調整して「分散液2」とし、以下の方法でインクを得た。
成 分 量(部)
分散液2(固形分10%) 50.0
グリセリン 10.0
プロピレングリコール 10.0
ショ糖脂肪酸エステル 10.0
水 20.0
上記配合にて30分撹拌し、インクを作製した。
得られたインクは、平均分散粒子径が320nm、粘度が2.3mPa・s、表面張力が32mN/mであった。
[比較例3]
実施例2において、活性炭を水溶性黒色染料に代えた以外は、同様にインクを作製した。
[実施例3]
以下に示す成分を配合し、プロペラ撹拌機にて室温で1時間撹拌した。
成 分 量
活性炭 10.0
(平均粒径;35μm、平均細孔直径;3.4nm)
20%ジョンクリル690 15.0
TEA200%中和(分子量16500)
水 75.0
ついで、えられた混合物に対し、0.5mm径ジルコニアビーズ370gをペイントシェイカー用ポットに入れ、5時間振とうした。
この分散液に含まれている粗大粒子を除去処理して全粒子の90%以上の分散粒子径が500nm以下、固形分濃度が10重量%となるように調整して「分散液3」とし、つぎのインク化をおこなった。
成 分 量(部)
分散液3(固形分10%) 48.0
ショ糖脂肪酸エステル 10.9
水 41.1
上記配合にて30分撹拌し、インクを作製した。
得られたインクは、平均分散粒子径が397nm、粘度が4.3mPa・s、表面張力が32mN/mであった。
[比較例4]
実施例4において、活性炭を備長炭に代えた以外は、同様にしてインクの作製を試みたが、プロペラ撹拌機に投入して撹拌すると、激しく増粘してゲル化し、流動性を失ったため、インク化はできなかったため、いずれの試験もできなかった。
Figure 0006530770
なお比較例1及び比較例2では、吐出性が悪くインクジェット印刷機による印字が困難であり、耐水性試験のための試料を作成できなかった。また、比較例3では、耐水性試験の実施により、錠剤に印字された文字が滲んでしまい、発色試験においては文字の判別が困難で、また印字の濃度も薄くなっていた。
以上の実施例及び比較例から、色材として活性炭を用い、分散剤を含有させた本発明のインクは、インクジェット用インクとして優れた特性を有していることがわかる。
本発明により、体内摂取可能な成分のみで、特に錠剤表面への優れた定着性を有し、インクジェット方式、特にオンデマンド型での印刷においても連続吐出性を可能にしつつ定着性ならびに耐光性を備えた優れたインク、これを用いた印刷方法並びに可食体の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも(i)色材、(ii)分散媒、及び(iii)分散剤を含有するインクであって、色材が活性炭であり、かつ分散剤がアクリル樹脂又はウレタン樹脂であることを特徴とする可食体の表面のマーキングインク用途であるインク。
  2. 少なくとも(i)色材、(ii)分散媒、及び(iii)分散剤を含有するインクであって、色材が活性炭であり、かつインク中の活性炭の平均分散粒子径が50nm〜1μmであり、かつ分散剤がアクリル樹脂又はウレタン樹脂であることを特徴とする可食体の表面のマーキングインク用途であるインク。
  3. 分散媒が、エタノール、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンのうち1種以上を含む請求項1又は2記載のインク。
  4. 粘度が1.0〜10.0mPa・s 、表面張力が30〜38mN/mである請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
  5. インクジェット用インクである請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のインクを、インクジェット印刷装置を用いて被印刷面に印刷することを特徴とする可食体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクを、インクジェット印刷装置により経口摂取製品に印刷することを特徴とする印刷方法。
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