JP6520623B2 - 陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法 - Google Patents

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Description

この発明は、アルカリ性物質を溶出して地下水中にアルカリを流出させるリスクのある土木資材(以下、「アルカリ性資材」という。)を陸上現場で使用するに際し、この陸上現場の土壌のアルカリ吸着を考慮したコンピュータシミュレーションにより、雨水等によるアルカリ流出リスクを予測する方法に関する。
陸上での土木工事には、道路土工、地盤改良工、舗装工、仮設工等の道路工事を始めとして、重機や車両の走行性改善のための仮設道路、駐車場、資材置場、林道等において行われる簡易舗装や、土地の嵩上げや軟弱地盤の改良等を目的とした盛土、覆土等、様々な工事がある。そして、このような土木工事においては、砂利等の土木資材を単に敷き詰めただけで、表面が被覆されることなく、土木資材がそのまま外気に露出されたままにされることが多々ある。
一方、このような土木工事で用いられる土木資材としては、岩石を破砕して得られる砕石、山砂等の天然資源や、建設副産物等として発生するコンクリート塊やアスファルトコンクリート塊を破砕して得られる再生砕石、製鉄所から副生する鉄鋼スラグ等のリサイクル材料があるが、天然資源については、良質な材料の枯渇や自然保護意識の高まり等により、簡易舗装や嵩上げ盛土等の用途にはリサイクル材料の利用が推進されている。特に、リサイクル材料のうちの鉄鋼スラグについては、締固め特性が良好で高い支持力が得られることから、陸上現場において、道路用路盤材、軟弱地盤上の仮設道路、資材置場、嵩上げ盛土等の用途に多く用いられている。
しかしながら、リサイクル材料には、例えば鉄鋼スラグや再生砕石等のようにカルシウム成分等のアルカリ性物質が含まれていることが多々あり、降雨時や防塵目的の散水時に雨水等によりリサイクル材料からアルカリが溶出し、数十年あるいは数百年の長期間の間には、アルカリ水が地下に浸透し、地下水のpHを上昇させるリスクが懸念される。
そこで、本発明者は、先に、アルカリ性物質を溶出して地下水中にアルカリ(OH-)を流出させるリスクのあるアルカリ性資材として鉄鋼スラグを例にし、土壌汚染や地下水汚染等の解析ツールとして、下記の式(1)を基本方程式とする移流分散解析の手法を用い、また、現場土壌の分配係数kdを非特許文献2に記載された方法(以下、「非特許文献2の方法」という。)に従ってアルカリ吸着試験により実験的に求め、アルカリ流出リスクを予測した(非特許文献1)。
Figure 0006520623
「pHシミユレーション技術を用いた鉄鋼スラグの土木利用におけるアルカリ流出のリスク評価」新日鉄住金技報第399号(2014年)、第10〜13頁 嘉門 雅史、勝見 武、大山 将「セメント・石灰幸定処理発生土の環境要因としてのアルカリ溶出とその制御」第7回廃棄物学会研究発表会講演論文集、pp218-221(1996)
しかるに、移流分散解析の基礎方程式(1)では、土壌のアルカリ吸着現象を物質の移動の遅れとして扱い、それを下記の式(7)
R=1+(ρd/θ)kd…(7)
(但し、式中、θは体積含水率であり、ρdは土粒子密度であり、また、kdは飽和土に対する分配係数である。)
で表わされる遅延係数Rでモデル化するためには、現場土壌の分配係数kdを求めることが必要になる。なお、分配係数kdとは、対象物質の溶液中の濃度(今回の場合、土壌の間隙水の濃度)に対する土壌に吸着される物質の量の比である。
そして、この現場土壌の分配係数kdを求める方法としては、吸着モデルとして、下記のフロインドリッヒによる吸着等温式(2)
d=kCa…(2)
(但し、式中、Cは間隙水中の物質濃度であり、kは分配係数kdを求める際の定数であり、また、aは分配係数kdを求める際の定数である。)
があり、このフロインドリッヒによる吸着等温式(2)の分配係数kdについては、現場土壌を用いたアルカリ吸着試験により実験的に求める必要があり、このアルカリ吸着試験には極めて多くの操作と時間とを要する。
すなわち、現場土壌の分配係数kdを非特許文献2の方法に従ってアルカリ吸着試験により実験的に求める際には、先ず土壌とアルカリ溶液(アルカリ性資材から現場土壌に浸透するアルカリ溶液水)とを混合し、アルカリ溶液中のアルカリ性物質が土壌に吸着されてそれ以上は吸着されなくなるまで(平衡になるまで)十分に接触させ、その後にアルカリ溶液のpH値を測定する操作を、所定の面積当り同一の種類と考えられる土壌を複数個所から採取し、それぞれ各土壌の質量とアルカリ溶液の濃度及び質量の組み合わせを様々に変更しながら、土壌にアルカリ溶液中のアルカリ物質が吸着しなくなるまで実施し、このようにして得られた多数のデータから平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度:mol/g)と吸着アルカリ量(OH-mol/g)との関係(グラフ図及び/又は関係式)を求め、この関係から当該現場土壌の分配係数kdを求めることが必要になる。このため、アルカリ性資材を陸上現場で使用する際には、現場土壌のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析を用いるコンピュータシミュレーションにより雨水等によるアルカリ流出リスクを予測するためには、極めて多くの手間と時間とを要することになる。
そこで、本発明者は、移流分散解析で用いる遅延係数Rを求める際に必要な現場土壌の分配係数kdを簡便に予測する方法について、できれば上記のアルカリ吸着試験を行うことなく簡便に求める方法について、様々な種類の土壌を用いて様々な観点から数多くの検討を行った。そして、このような検討を進める中で、以下のような知見を得た。
すなわち、第1に、土壌のアルカリ吸着モデルがフロインドリッヒ型の吸着等温式で表現できることを知見し、また、第2に、土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と、フロインドリッヒ吸着等温式(2)により土壌の分配係数kdを求める際に必要な定数kとの間には一定の相関関係〔Cmax−k相関関係〕が存在し、このCmax−k相関関係を用いて最大アルカリ吸着能Cmaxから定数kを予測できることを見出し、更に、第3に、土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxと、フロインドリッヒ吸着等温式(2)により土壌の分配係数kdを求める際に必要な定数aとの間には一定の分布領域〔Cmax−a分布領域〕が存在し、このCmax−a分布領域の中から定数aとして分配係数を小さくに評価できるように安全な値を選ぶことにより評価可能なことを見出した。そして、Cmax−k相関関係から予測された定数kとCmax−a分布領域の中から安全値として採用された定数aとを用いることにより、現場土壌の分配係数kdを予測することができることを見出した。
更に、土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に関して、以下のような知見を得た。
すなわち、第4に、現場土壌が10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の土壌である場合には、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定し求められた粒度指標DS(mm)と最大アルカリ吸着能Cmaxとの間に一定の相関関係〔DS−Cmax相関関係〕が存在し、土壌の粒度指標DS(mm)を測定することにより最大アルカリ吸着能Cmaxを予測できることを見出し、また、第5に、現場土壌がJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能であるJIS A 1205試験適用可能な土壌の場合には、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmaxとの間に一定の相関関係〔LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係〕が存在し、土壌の液性限界LL(%)及び/又は塑性限界LS(%)を測定することにより最大アルカリ吸着能Cmaxを予測できることを見出した。そして、これらDS−Cmax相関関係、LL−Cmax相関関係、又はLS−Cmax相関関係から予測された最大アルカリ吸着能Cmaxの予測値(Cmax予測値)を用いて、フロインドリッヒ吸着等温式(2)から現場土壌の分配係数kdを求める際に必要な定数kを求め、また、定数aを決定することができ、その結果、現場土壌の分配係数kdを予測することができることを見出した。
本発明は、以上のような知見の下になされたものであり、アルカリ性資材を陸上現場で使用する際に、陸上現場の土壌(現場土壌)のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析手法により、陸上現場でのアルカリ流出リスクを予め予測するために必要なアルカリ吸着パラメーターの簡便な予測方法を提供するものである。
すなわち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1) アルカリ性物質を溶出して地下水中にアルカリを流出させるリスクのある土木資材(以下、「アルカリ性資材」という。)を陸上現場で使用するに際し、予め前記陸上現場の土壌(現場土壌)のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析により、長期間の雨水等によるアルカリ流出リスクを予測する方法において、
前記現場土壌のアルカリ吸着現象に関する遅延係数Rを用い、また、この遅延係数Rを、下記のフロインドリッヒ吸着等温式(2)
d=kCa……(2)
(但し、式中、Cは間隙水のアルカリ性物質の濃度であり、k及びaは実験的に求められる定数である。)
を採用した前記現場土壌の分配係数kdから求めるに際し、
前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求め、
次いで、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係〔Cmax−k相関関係〕を用いて、先に求められたCmaxから前記式(2)における現場土壌の定数kを予測すると共に、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxに対する定数aの分布領域〔Cmax−a分布領域〕の中から安全を考慮して前記式(2)における現場土壌の定数aとして定め、
この予測された現場土壌の定数kと安全を考慮して採用された現場土壌の定数aとを用いて前記現場土壌の分配係数kdを求めることを特徴とする陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(2) 求められた前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)の値が、現場土壌を用いて実測されたCmax実側値であることを特徴とする前記(1)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(3) 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm以上である場合に、これら複数の10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の土壌を用いて、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定された土壌の粒度指標DS(mm)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1204に準拠して測定された前記現場土壌の粒度指標DS(mm)から前記DS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする前記(1)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(4) 前記現場土壌の平均粒径DS(mm)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する際に用いられる前記DS−Cmax相関関係が、下記の関係式(3)
max(mol/g)=a×DS b…(3)
〔但し、式(3)において、粒度指標Dsは10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30のいずれかであり、粒度指標Dsが10%粒径D10のときa=2×10-5及びb=0.469であり、粒度指標Dsが20%粒径D20のときa=3×10-5及びb=0.547であり、また、粒度指標Dsが30%粒径D30のときa=3×10-5及びb=0.755である。〕
で表されることを特徴とする前記(3)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(5) 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm未満の粘土系土壌である場合に、又は現場土壌についてJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能である場合に、これら複数のJIS A 1205試験適用可能な土壌を用い、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された土壌の液性限界LL(%)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LL−Cmax相関関係〕、又は土壌の塑性限界LS(%)と当該最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1205に準拠して測定された前記現場土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)から前記LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする前記(1)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(6) 前記現場土壌の液性限界LL(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LL−Cmax相関関係が、下記の関係式(4)
max(mol/g)=0.996×10-5×LL(%)−0.0002…(4)
で表され、また、
前記現場土壌の塑性限界LS(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LS−Cmax相関関係が、下記の関係式(5)
max(mol/g)=1.494×10-5×LS(%)+0.0002…(5)
で表されることを特徴とする前記(5)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(7) 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数kを予測する前記Cmax−k相関関係が、下記の関係式(6)
k=196×Cmax(mol/g)…(6)
で表されることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(8) 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数aを求める際の前記Cmax−a分布領域が−0.3〜−1.0の範囲であり、前記安全値定数aとして下限値−1.0の値を採用することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
本発明の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法によれば、陸上現場の土壌(現場土壌)の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を測定するだけの簡便な方法で、フロインドリッヒ吸着等温式で用いる定数kを予測し、また、安全値としての定数aを選ぶことができ、現場土壌の分配係数kdを予測して現場土壌の移流分散解析に用いる遅延係数Rを決定し、現場土壌の移流分散解析で遅延係数Rを計算し、陸上現場におけるアルカリ流出リスクを簡便に予測することができる。
また、現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)についても、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して粒度指標DS(mm)を測定するだけで、又は、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して液性限界LL(%)及び/又は塑性限界LS(%)を求めるだけで簡便に予測することができ、このCmax予測値を用いて現場土壌の分配係数kdを予測し、また、現場土壌の移流分散解析で遅延係数Rを計算し、陸上現場におけるアルカリ流出リスクを簡便に予測することができる。
図1は、鉄鋼スラグ等のアルカリ性資材からのアルカリ溶出(源泉項Qc)を設定する際に用いたpH測定試験のためのpH測定試験装置の一例を示す説明図である。 図2は、本発明の実施例で得られた鉄鋼スラグからのアルカリ溶出(源泉項Qc)を設定する際のpH測定試験の結果「累積通水量(経過年数)−浸透水のpH値の関係」を示すグラフ図である。 図3は、ある粘土系土壌について、非特許文献2の方法に基づいてアルカリ吸着試験を実施し、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度:mol/g)と吸着アルカリ量(OH-mol/g)との関係を整理し、最大アルカリ吸着能Cmaxと分配係数kdとを求める際の一例を示すグラフ図である。 図4は、本発明の実施例で用いられた56種の土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)の分布を整理したグラフ図である。 図5は、本発明の実施例1で得られた土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と定数kとの相関関係〔Cmax−k相関関係〕を示すグラフ図である。 図6は、本発明の実施例1で得られた土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に対する定数aの分布領域〔Cmax−a分布領域〕を示すグラフ図である。 図7は、本発明の実施例2で得られた土壌の粒度指標Ds(mm)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係(DS−Cmax相関関係)を示すグラフ図である。 図8は、本発明の実施例3で得られた土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係(LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係)を示すグラフ図である。
本発明は、アルカリ性資材を陸上現場で使用する際に、この陸上現場の土壌(現場土壌)のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析により、数十年あるいは数百年に及ぶ長期間の雨水等によるアルカリ流出リスクを予測するための方法である。ここで、前記アルカリ性資材としては、JGS 0211-2000「土懸濁液のpH試験方法」に準拠して測定されたpH値が8.6以上のものを対象としている。これは、陸上の河川水の環境基準がpH値8.5であるので、この環境基準を超えるpH値として設定したものである。
解析を行うための必要な情報やパラメーター及び設定方法は以下の通りである。
使用するアルカリ性資材や周辺の土壌を含む解析対象範囲の幾何学的情報(寸法、大きさ等)は、通常の有限要素法と同様に解析対象を分割された要素で表わし、各要素構成する接点に座標値を入力して設定することができる。
また、遅延係数Rを求めるために必要なフロインドリッヒ吸着等温式(2)で用いる現場土壌の分配係数kd及び源泉項Qc以外の情報として、使用するアルカリ性資材や現場土壌の物理特性として必要な土粒子密度、透水係数については、直接JIS規格で定められた方法により求めて使用し、また、間隙率については、土質に応じて予めプログラムで与えられている値を用いるか、若しくは、使用するアルカリ性資材や現場土壌の乾燥状態での単位容積質量を現場あるいは室内にて直接測定し、前述の土粒子密度より土質力学の理論により求めて使用することができる。
ここで、使用するアルカリ性資材に関する解析パラメーターの源泉項Qcについては、例えば図1に示すpH測定試験装置を用いて下記の方法で設定することができる。
すなわち、上端部に上方に向けて開口する開口部5と側方に向けて開口する溢水口6とを有し、下端中央部には下方に向けて開口する流出口7をするカラム2を使用し、このカラム2内下部に層厚d1の透水層3を形成し、また、この透水層3の上に層厚d2及び所定量の試料(アルカリ性資材)層4を形成して試験体1を構成し、この試験体1の開口部5から蒸留水を連続的に通水し、この際の通水液のpH値を経時的に測定し、得られた通水量及びpH値のデータから試料(アルカリ性資材)層4についての累積通水液固比〔累積通水量(質量)/アルカリ性資材の質量〕とpH値との関係を求め、得られた試験結果の累積通水液固比が陸上現場での累積通水液固比〔{降雨浸透量(質量)×経年数}/{アルカリ性資材の厚さ×乾燥密度}〕と同じであるとして、この試験結果の累積通水液固比を経過年数とpH値との関係に変換し、更に、このpH値を水酸基イオン濃度(OH-=10(pH-14))に変換し、経過年数と共に変化するpH値を濃度固定境界として試料(アルカリ性資材)層4の源泉項Qcとして使用する方法である。
なお、この解析パラメーターの源泉項Qcを設定するためのその他の方法としては、下記の式で与えられる溶出フラックスJを用いてもよい。
溶出フラックスJは、J=10(pH-14)×Tにおける通水量(L)/質量(g)を計算し、この溶出フラックスJ〔ある時刻における単位質量及び単位時間当りの溶出量(速度)〕を縦軸とし、経過時間Tを横軸にして得られる関係図を溶出フラックスJ=k・exp(-aT)×αVβの指数関数の式で近似させて得ることができる。但し、上記の各式において、k及びaは定数であり、α及びβは流速依存係数であり、Tは経過時間であり、及び、Vは流速である。
本発明においては、遅延係数Rを求めるためにフロインドリッヒ吸着等温式(2)で用いる現場土壌の分配係数kdについて、現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求め、次いで、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係〔Cmax−k相関関係〕を用いて、先に求められたCmaxから現場土壌の定数kを予測すると共に、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxに対する定数aの分布領域〔Cmax−a分布領域〕の中から分配係数を小さく評価可能な安全な値を選んで現場土壌の定数aを定め、このCmax−k相関関係を用いて予測された現場土壌の定数kと、Cmax−a分布領域の中から安全値として採用された現場土壌の定数aとを用いて現場土壌の分配係数kdを求める。
ここで、現場土壌の定数kをCmax−k相関関係を用いて予測するために、また、現場土壌の定数aをCmax−a分布領域の中から安全値として選んで定めるために用いられる現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)については、その測定方法や求め方等について特に制限されるものではなく、現場土壌から実測されたCmax実側値であってもよく、また、後述する方法で現場土壌について予測されたCmax予測値であってもよい。ここで、現場土壌からCmax実側値を測定する方法としては、例えば非特許文献2の方法を例示することができ、この方法は、所定量の土壌に対して数水準の濃度の消石灰溶液を数水準の量で混合し、2時間放置後の懸濁水のpH値を測定し、土壌に加えられたOHの量(mol/L)を横軸に、また、土壌によって中和(吸着)されたOHの量(mol/L)を縦軸にして溶液中のアルカリ(OH-)量と土壌に吸着されたアルカリ(OH-)量との関係図を描き、土壌に吸着されたアルカリ(OH-)量が限界に達した時のアルカリ(OH-)量を当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとする方法である。
また、本発明において、上記の現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する方法については、現場土壌の特性に応じて、以下の方法が挙げられる。
すなわち、現場土壌が10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の粘土系土壌である場合には、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定された土壌の粒度指標DS(mm)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1204に準拠して測定された前記現場土壌の平均粒径DS(mm)から前記DS−Cmax相関関係を用いて最大アルカリ吸着能Cmaxを予測し、この予測された最大アルカリ吸着能CmaxをCmax予測値とする方法である。
また、現場土壌がJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能である場合には、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された土壌の液性限界LL(%)及び/又は塑性限界LS(%)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係〔LL−Cmax相関関係及び/又はLS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1205に準拠して測定された前記現場土壌の液性限界LL(%)及び/又は塑性限界LS(%)から前記LL−Cmax相関関係及び/又はLS−Cmax相関関係を用いて最大アルカリ吸着能Cmaxを予測し、この予測された最大アルカリ吸着能CmaxをCmax予測値とする方法である。
本発明によれば、アルカリ性資材を陸上現場で使用する際に、上述した非特許文献2の方法に従って実測されたCmax実側値、又は、上述したDS−Cmax相関関係、LL−Cmax相関関係、又はLS−Cmax相関関係から予測されたCmax予測値を用いて、上述したCmax−k相関関係から現場土壌の定数kを予測すると共に、上述したCmax−a分布領域の中から安全な値を選んで現場土壌の定数aを定め、これら予測された現場土壌の予測定数kと定数aとを用いて現場土壌の分配係数kdを求め、この求められた分配係数kdを用い、移流分散解析により、数十年あるいは数百年に及ぶ長期間の雨水等によるアルカリ流出リスクを予測する。
以下、アルカリ性資材として鉄鋼スラグを用いる場合を例にして、本発明で用いるCmax−k相関関係、Cmax−a分布領域、DS−Cmax相関関係、LL−Cmax相関関係、及びLS−Cmax相関関係を求めた実施例と、これらの相関関係と分布領域を用いてアルカリ流出リスクを予測した実施例とに基づいて、本発明を具体的に説明する。
〔鉄鋼スラグの源泉項Qc〕
鉄鋼スラグからのアルカリ溶出(源泉項Qc)は、図1に示す前述のpH測定試験装置を用いる方法で設定した。すなわち、直径77mmφ及び溢水口6までの高さ70mmのカラム2を用い、層厚35cmの排水層3と、試料(鉄鋼スラグ)層4として層厚25cm及び2455gの鉄鋼スラグ(アルカリ性資材)とを充填し、この鉄鋼スラグ層4の上に溢水口6まで10cmの高さの空間を有する試験体1を形成し、この試験体1の上部から蒸留水を連続的に通水し、この際の通水液のpH値を経時的に測定して鉄鋼スラグ4についての累積通水液固比〔累積通水量(質量)/アルカリ性資材の質量〕とpH値との関係を求めた。
このようにして求められた鉄鋼スラグ4の累積通水液固比〔累積通水量(質量)/アルカリ性資材の質量〕とpH値との関係を陸上現場での経過年数とpH値との関係に換算するために、年間降雨量を1800mm/年、鉄鋼スラグ4で形成される舗装等のスラグ層の厚さを25cm、このスラグ層の乾燥密度を2.2g/cm3、及びスラグ層上に降った雨がこのスラグ層を通過する割合(浸透率)を0.5と想定し、年間降雨量1800mm/年×浸透率0.5×{1年/10/(スラグ層厚さ25cm×スラグ層乾燥密度2.2g/cm3)}の計算式から陸上現場での累積通水量を1.63/年とし、上記の累積通水液固比〔累積通水量(質量)/アルカリ性資材の質量〕とpH値との関係を陸上現場での経過年数とpH値の関係に変換した。
なお、年間降水量は、非特許文献2に示されるアルカリ吸着厚さの試算例として設定されている年間降雨量の平均値1760mmを参考に設定した。また、降雨浸透率については、同じく非特許文献2に示されるアルカリ吸着厚さの試算例として設定されている1/3に対して安全側の0.5を採用した。また、スラグ層の厚さは、通常の仮設路盤材に用いられている平均的な厚さとして25cmに設定した。
得られた結果は、図2の「経年年数−浸透水のpH」の関係を示すグラフ図に示す通りであり、更に、この図2に示す結果を図中直線で示すように20年毎の変化に近似し、また、浸透水を鉄鋼スラグ層4の間隙水とし、求められたpH値を表1に示すように水酸基イオン濃度(OH-=10(pH-14))に変換し、この水酸基イオン濃度(OH-=10(pH-14))を経過年数と共に変化する濃度境界として鉄鋼スラグの要素(源泉項Qc)に与えた。
Figure 0006520623
〔土壌の粒度指標及び液性(塑性)限界、最大アルカリ吸着能の測定〕
液性限界LL(%)及び塑性限界LS(%)を求めることができない非塑性の砂・シルト系の16種類の土壌と、液性限界LL(%)及び塑性限界LS(%)を求めることができる10種類の粘性土壌の合計26種類の土壌を用い、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して各土壌の粒度指標DS(mm)〔10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30、及び50%粒径D50〕を測定し、更に粘性土についてはJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して各土壌の液性限界LL(%)及び塑性限界LS(%)を測定し、また、上記の非特許文献2の方法に従って各土壌の平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度:mol/g)及び各土壌に吸着された吸着アルカリ量(OH-mol/g)を測定し、これら測定されたアルカリ溶液のアルカリ量及び吸着アルカリ量のデータについてアルカリ量を横軸に、また、吸着アルカリ量を縦軸に整理し、得られた図3に示すグラフから吸着アルカリ量の最大値を読み取り、この値を最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)として求めた。
このようにして物性の測定に用いられた56種類の土壌について、求められた最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)の値は図4に示す通りであった。
また、これら各土壌について、上で得られた図3から次のようにしてフロインドリッヒ吸着等温式(2:kd=kCa)における分配係数k、定数k及び定数aを求めた。すなわち、分配係数kdは、図3に示す右上がりの直線部分の勾配に相当するので、この図3の縦軸である吸着アルカリ量(OH-mol/g)をSとし、また、横軸である平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度:mol/g)をCとし、これら吸着アルカリ量Sとアルカリ量Csk関係をS=kCa+1の累乗関数として近似し、分配係数kdが「対象物質の溶液中の濃度に対する土壌に吸着される物質の量の比」であることから、kd=S/C=kCa+1/C=kCaとして、この式から分配係数k、定数k及び定数aをそれぞれ求めた。
〔実施例1:土壌のCmaxとCmax−k相関関係及びCmax−a分布領域〕
以上のようにして求められた上記56種類の各土壌に関する最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と定数k及び定数aとについて、最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの関係を整理し、Cmaxとkとの相関関係(Cmax−k相関関係)を求めると共に、最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に対する定数aの分布領域(Cmax−a分布領域)とを求めた。
この全ての土壌について求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係(Cmax−k相関関係)は図5に示す通りであり、決定係数R2≧0.95という高い相関性が示され、また、このCmax−k相関関係については、下記の関係式(6)
k=196×Cmax(決定係数R2=0.9547)…(6)
で与えられた。
また、以上のようにして求められた上記56種類の各土壌に関する最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と定数k及び定数aとについて、最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に対する定数aの分布領域(Cmax−a分布領域)を求めた。
この全ての土壌について求められた最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と定数aとを整理し、最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に対する定数aの分布領域(Cmax−a分布領域)を求めた結果は、図6に示す通りであり(図6では、図5に合わせて10-4×Cmax−a分布領域として表示した。)、分布領域は−0.3〜−1.0の範囲であって相関性は認められなかった。
〔実施例2:DS−Cmax相関関係〕
上で得られた各土壌についての粒度指標DS(mm)及び最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を整理し、土壌の粒度指標DS(mm)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を求めた。
結果は、図7に示す通りであり、50%粒径D50の場合には最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関性が決定係数R2=0.3242と低かったが、10%粒径D10、20%粒径D20、及び30%粒径D30の場合にはいずれも決定係数R2≧0.7と高い相関性を示した。また、このDS−Cmax相関関係は、下記の関係式(3)
max=a×DS b…(3)
〔但し、式(3)において、粒度指標Dsは10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30のいずれかであり、粒度指標Dsが10%粒径D10のときa=2×10-5、b=0.469、及び決定係数R2=0.7267であり、粒度指標Dsが20%粒径D20のときa=3×10-5、b=0.547、及び決定係数R2=0.7342であり、また、粒度指標Dsが30%粒径D30のときa=3×10-5、b=0.755、及び決定係数R2=0.7626である。〕
で与えられる。
〔実施例3:LL−Cmax相関関係及びLS−Cmax相関関係〕
上で得られた各土壌についての液性限界LL(%)、塑性限界LS(%)、及び最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を整理し、土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係〔LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係〕を求めた。
結果は、図8に示す通りであり、液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関性についてはいずれも決定係数R2≧0.8と高い値を示した。また、これらのLL−Cmax相関関係及びLS−Cmax相関関係については、下記の関係式(4)及び(5)
max=0.996×10-5×LL(%)−0.0002(決定係数R2=0.8608)…(4)
max=1.494×10-5×LS(%)+0.0002(決定係数R2=0.8507)…(5)
で与えられる。
〔実施例4:Cmax実測値とCmax−k相関関係及びCmax−a分布領域とから分配係数kdの予測〕
ある陸上現場の土壌(現場土壌)について、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に従って10%粒径D10、20%粒径D20、及び30%粒径D30を測定し、また、非特許文献2の方法に従って、アルカリ吸着試験を実施すると共に、得られた結果を非特許文献2の方法に基づいて平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度)(mol/L)と吸着アルカリ量(OH-mol/g)との関係に整理し、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度) (mol/L)が大きい範囲で吸着アルカリ量(OH-mol/g)が一定値になる時の値を読み取って最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求めた。
また、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度)(mol/L)と吸着アルカリ量(OH-mol/g)との関係を示すグラフから、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度)(mol/L)が小さい範囲における累乗型の近似曲線を求め(例えばエクセルにおける累乗近似の指定)、得られた近似曲線の式S=k'Cxより、分配係数kd=kCa-1の定数k=k'、a=x-1として求めた。
このようにして実測された最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)、分配係数の定数k、及び定数aと、溶液濃度cが10mol/m3、1mol/m3、0.1mol/m3、及び0.01mol/m3の場合に算出された分配係数kdの値とを表2に示す。
また、上記のある現場土壌について、本発明の実施例2に基づいて10%粒径D10、20%粒径D20、及び30%粒径D30の測定から予測した最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と、この予測された最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から本発明の実施例1に基づいて予測し、また、安全を考慮して定められた分配係数の定数k、及び定数aの予測値を、上記の実測された最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)、分配係数の定数k、及び定数aの結果と、溶液濃度cが10mol/m3、1mol/m3、0.1mol/m3、及び0.01mol/m3の場合に予測された分配係数kdの結果とを表2に示す。
Figure 0006520623
この表2に示す結果より、最大アルカリ吸着能Cmax、分配係数の定数kについて、アルカリ吸着試験により直接求められた実測値と予測された予測値とがほぼ同等であることが理解され、また、定数aについては、実測値と予測値との間に差異があるが、安全側の値であることが理解される。
また、以上の予測された最大アルカリ吸着能Cmaxと、分配係数の定数k及び定数aを基に予測された分配係数kdは完全には一致しないが、少なくとも高濃度のアルカリ領域(pH=11, 12)においては、予測値の方が小さく安全側に評価できることが理解される。

Claims (8)

  1. アルカリ性物質を溶出して地下水中にアルカリを流出させるリスクのある土木資材(以下、「アルカリ性資材」という。)を陸上現場で使用するに際し、予め前記陸上現場の土壌(現場土壌)のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析により、アルカリ性資材から現場土壌に浸透するアルカリ溶液水によるアルカリ流出リスクを予測する方法において、
    前記現場土壌のアルカリ吸着現象に関する遅延係数Rを用い、また、この遅延係数Rを、下記のフロインドリッヒ吸着等温式(2)
    d=kCa…(2)
    (但し、式中、Cは間隙水のアルカリ性物質の濃度であり、k及びaは実験的に求められる定数である。)
    を採用した前記現場土壌の分配係数kdから求めるに際し、
    前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求め、
    次いで、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係〔Cmax−k相関関係〕を用いて、先に求められたCmaxから前記式(2)における現場土壌の定数kを予測すると共に、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxに対する定数aの分布領域〔Cmax−a分布領域〕の中から安全を考慮して前記式(2)における現場土壌の定数aとして定め、
    この予測された現場土壌の定数kと安全を考慮して採用された現場土壌の定数aとを用いて前記現場土壌の分配係数kdを求めることを特徴とする陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  2. 求められた前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)の値が、現場土壌を用いて実測されたCmax実側値であることを特徴とする請求項1に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  3. 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm以上である場合に、これら複数の10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の土壌を用いて、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定された土壌の粒度指標DS(mm)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1204に準拠して測定された前記現場土壌の粒度指標DS(mm)から前記DS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする請求項1に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  4. 前記現場土壌の平均粒径DS(mm)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する際に用いられる前記DS−Cmax相関関係が、下記の関係式(3)
    max(mol/g)=a×DS b…(3)
    〔但し、式(3)において、粒度指標Dsは10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30のいずれかであり、粒度指標Dsが10%粒径D10のときa=2×10-5及びb=0.469であり、粒度指標Dsが20%粒径D20のときa=3×10-5及びb=0.547であり、また、粒度指標Dsが30%粒径D30のときa=3×10-5及びb=0.755である。〕
    で表されることを特徴とする請求項3に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  5. 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm未満の粘土系土壌である場合に、又は現場土壌についてJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能である場合に、これら複数のJIS A 1205試験適用可能な土壌を用い、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された土壌の液性限界LL(%)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LL−Cmax相関関係〕、又は土壌の塑性限界LS(%)と当該最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1205に準拠して測定された前記現場土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)から前記LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする請求項1に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  6. 前記現場土壌の液性限界LL(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LL−Cmax相関関係が、下記の関係式(4)
    max(mol/g)=0.996×10-5×LL(%)−0.0002…(4)
    で表され、また、
    前記現場土壌の塑性限界LS(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LS−Cmax相関関係が、下記の関係式(5)
    max(mol/g)=1.494×10-5×LS(%)+0.0002…(5)
    で表されることを特徴とする請求項5に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  7. 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数kを予測する前記Cmax−k相関関係が、下記の関係式(6)
    k=196×Cmax(mol/g)…(6)
    で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
  8. 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数aを求める際の前記Cmax−a分布領域が−0.3〜−1.0の範囲であり、前記安全値定数aとして下限値−1.0の値を採用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
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