JP6520623B2 - 陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法 - Google Patents
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Description
R=1+(ρd/θ)kd…(7)
(但し、式中、θは体積含水率であり、ρdは土粒子密度であり、また、kdは飽和土に対する分配係数である。)
で表わされる遅延係数Rでモデル化するためには、現場土壌の分配係数kdを求めることが必要になる。なお、分配係数kdとは、対象物質の溶液中の濃度(今回の場合、土壌の間隙水の濃度)に対する土壌に吸着される物質の量の比である。
kd=kCa…(2)
(但し、式中、Cは間隙水中の物質濃度であり、kは分配係数kdを求める際の定数であり、また、aは分配係数kdを求める際の定数である。)
があり、このフロインドリッヒによる吸着等温式(2)の分配係数kdについては、現場土壌を用いたアルカリ吸着試験により実験的に求める必要があり、このアルカリ吸着試験には極めて多くの操作と時間とを要する。
すなわち、第4に、現場土壌が10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の土壌である場合には、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定し求められた粒度指標DS(mm)と最大アルカリ吸着能Cmaxとの間に一定の相関関係〔DS−Cmax相関関係〕が存在し、土壌の粒度指標DS(mm)を測定することにより最大アルカリ吸着能Cmaxを予測できることを見出し、また、第5に、現場土壌がJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能であるJIS A 1205試験適用可能な土壌の場合には、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmaxとの間に一定の相関関係〔LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係〕が存在し、土壌の液性限界LL(%)及び/又は塑性限界LS(%)を測定することにより最大アルカリ吸着能Cmaxを予測できることを見出した。そして、これらDS−Cmax相関関係、LL−Cmax相関関係、又はLS−Cmax相関関係から予測された最大アルカリ吸着能Cmaxの予測値(Cmax予測値)を用いて、フロインドリッヒ吸着等温式(2)から現場土壌の分配係数kdを求める際に必要な定数kを求め、また、定数aを決定することができ、その結果、現場土壌の分配係数kdを予測することができることを見出した。
(1) アルカリ性物質を溶出して地下水中にアルカリを流出させるリスクのある土木資材(以下、「アルカリ性資材」という。)を陸上現場で使用するに際し、予め前記陸上現場の土壌(現場土壌)のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析により、長期間の雨水等によるアルカリ流出リスクを予測する方法において、
前記現場土壌のアルカリ吸着現象に関する遅延係数Rを用い、また、この遅延係数Rを、下記のフロインドリッヒ吸着等温式(2)
kd=kCa……(2)
(但し、式中、Cは間隙水のアルカリ性物質の濃度であり、k及びaは実験的に求められる定数である。)
を採用した前記現場土壌の分配係数kdから求めるに際し、
前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求め、
次いで、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係〔Cmax−k相関関係〕を用いて、先に求められたCmaxから前記式(2)における現場土壌の定数kを予測すると共に、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxに対する定数aの分布領域〔Cmax−a分布領域〕の中から安全を考慮して前記式(2)における現場土壌の定数aとして定め、
この予測された現場土壌の定数kと安全を考慮して採用された現場土壌の定数aとを用いて前記現場土壌の分配係数kdを求めることを特徴とする陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(2) 求められた前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)の値が、現場土壌を用いて実測されたCmax実側値であることを特徴とする前記(1)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(3) 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm以上である場合に、これら複数の10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の土壌を用いて、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定された土壌の粒度指標DS(mm)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1204に準拠して測定された前記現場土壌の粒度指標DS(mm)から前記DS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする前記(1)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(4) 前記現場土壌の平均粒径DS(mm)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する際に用いられる前記DS−Cmax相関関係が、下記の関係式(3)
Cmax(mol/g)=a×DS b…(3)
〔但し、式(3)において、粒度指標Dsは10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30のいずれかであり、粒度指標Dsが10%粒径D10のときa=2×10-5及びb=0.469であり、粒度指標Dsが20%粒径D20のときa=3×10-5及びb=0.547であり、また、粒度指標Dsが30%粒径D30のときa=3×10-5及びb=0.755である。〕
で表されることを特徴とする前記(3)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(5) 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm未満の粘土系土壌である場合に、又は現場土壌についてJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能である場合に、これら複数のJIS A 1205試験適用可能な土壌を用い、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された土壌の液性限界LL(%)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LL−Cmax相関関係〕、又は土壌の塑性限界LS(%)と当該最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1205に準拠して測定された前記現場土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)から前記LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする前記(1)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(6) 前記現場土壌の液性限界LL(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LL−Cmax相関関係が、下記の関係式(4)
Cmax(mol/g)=0.996×10-5×LL(%)−0.0002…(4)
で表され、また、
前記現場土壌の塑性限界LS(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LS−Cmax相関関係が、下記の関係式(5)
Cmax(mol/g)=1.494×10-5×LS(%)+0.0002…(5)
で表されることを特徴とする前記(5)に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(7) 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数kを予測する前記Cmax−k相関関係が、下記の関係式(6)
k=196×Cmax(mol/g)…(6)
で表されることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
(8) 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数aを求める際の前記Cmax−a分布領域が−0.3〜−1.0の範囲であり、前記安全値定数aとして下限値−1.0の値を採用することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
使用するアルカリ性資材や周辺の土壌を含む解析対象範囲の幾何学的情報(寸法、大きさ等)は、通常の有限要素法と同様に解析対象を分割された要素で表わし、各要素構成する接点に座標値を入力して設定することができる。
また、遅延係数Rを求めるために必要なフロインドリッヒ吸着等温式(2)で用いる現場土壌の分配係数kd及び源泉項Qc以外の情報として、使用するアルカリ性資材や現場土壌の物理特性として必要な土粒子密度、透水係数については、直接JIS規格で定められた方法により求めて使用し、また、間隙率については、土質に応じて予めプログラムで与えられている値を用いるか、若しくは、使用するアルカリ性資材や現場土壌の乾燥状態での単位容積質量を現場あるいは室内にて直接測定し、前述の土粒子密度より土質力学の理論により求めて使用することができる。
すなわち、上端部に上方に向けて開口する開口部5と側方に向けて開口する溢水口6とを有し、下端中央部には下方に向けて開口する流出口7をするカラム2を使用し、このカラム2内下部に層厚d1の透水層3を形成し、また、この透水層3の上に層厚d2及び所定量の試料(アルカリ性資材)層4を形成して試験体1を構成し、この試験体1の開口部5から蒸留水を連続的に通水し、この際の通水液のpH値を経時的に測定し、得られた通水量及びpH値のデータから試料(アルカリ性資材)層4についての累積通水液固比〔累積通水量(質量)/アルカリ性資材の質量〕とpH値との関係を求め、得られた試験結果の累積通水液固比が陸上現場での累積通水液固比〔{降雨浸透量(質量)×経年数}/{アルカリ性資材の厚さ×乾燥密度}〕と同じであるとして、この試験結果の累積通水液固比を経過年数とpH値との関係に変換し、更に、このpH値を水酸基イオン濃度(OH-=10(pH-14))に変換し、経過年数と共に変化するpH値を濃度固定境界として試料(アルカリ性資材)層4の源泉項Qcとして使用する方法である。
なお、この解析パラメーターの源泉項Qcを設定するためのその他の方法としては、下記の式で与えられる溶出フラックスJを用いてもよい。
溶出フラックスJは、J=10(pH-14)×Tにおける通水量(L)/質量(g)を計算し、この溶出フラックスJ〔ある時刻における単位質量及び単位時間当りの溶出量(速度)〕を縦軸とし、経過時間Tを横軸にして得られる関係図を溶出フラックスJ=k・exp(-aT)×αVβの指数関数の式で近似させて得ることができる。但し、上記の各式において、k及びaは定数であり、α及びβは流速依存係数であり、Tは経過時間であり、及び、Vは流速である。
すなわち、現場土壌が10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の粘土系土壌である場合には、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定された土壌の粒度指標DS(mm)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1204に準拠して測定された前記現場土壌の平均粒径DS(mm)から前記DS−Cmax相関関係を用いて最大アルカリ吸着能Cmaxを予測し、この予測された最大アルカリ吸着能CmaxをCmax予測値とする方法である。
鉄鋼スラグからのアルカリ溶出(源泉項Qc)は、図1に示す前述のpH測定試験装置を用いる方法で設定した。すなわち、直径77mmφ及び溢水口6までの高さ70mmのカラム2を用い、層厚35cmの排水層3と、試料(鉄鋼スラグ)層4として層厚25cm及び2455gの鉄鋼スラグ(アルカリ性資材)とを充填し、この鉄鋼スラグ層4の上に溢水口6まで10cmの高さの空間を有する試験体1を形成し、この試験体1の上部から蒸留水を連続的に通水し、この際の通水液のpH値を経時的に測定して鉄鋼スラグ4についての累積通水液固比〔累積通水量(質量)/アルカリ性資材の質量〕とpH値との関係を求めた。
なお、年間降水量は、非特許文献2に示されるアルカリ吸着厚さの試算例として設定されている年間降雨量の平均値1760mmを参考に設定した。また、降雨浸透率については、同じく非特許文献2に示されるアルカリ吸着厚さの試算例として設定されている1/3に対して安全側の0.5を採用した。また、スラグ層の厚さは、通常の仮設路盤材に用いられている平均的な厚さとして25cmに設定した。
液性限界LL(%)及び塑性限界LS(%)を求めることができない非塑性の砂・シルト系の16種類の土壌と、液性限界LL(%)及び塑性限界LS(%)を求めることができる10種類の粘性土壌の合計26種類の土壌を用い、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して各土壌の粒度指標DS(mm)〔10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30、及び50%粒径D50〕を測定し、更に粘性土についてはJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して各土壌の液性限界LL(%)及び塑性限界LS(%)を測定し、また、上記の非特許文献2の方法に従って各土壌の平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度:mol/g)及び各土壌に吸着された吸着アルカリ量(OH-mol/g)を測定し、これら測定されたアルカリ溶液のアルカリ量及び吸着アルカリ量のデータについてアルカリ量を横軸に、また、吸着アルカリ量を縦軸に整理し、得られた図3に示すグラフから吸着アルカリ量の最大値を読み取り、この値を最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)として求めた。
また、これら各土壌について、上で得られた図3から次のようにしてフロインドリッヒ吸着等温式(2:kd=kCa)における分配係数kd、定数k及び定数aを求めた。すなわち、分配係数kdは、図3に示す右上がりの直線部分の勾配に相当するので、この図3の縦軸である吸着アルカリ量(OH-mol/g)をSとし、また、横軸である平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度:mol/g)をCとし、これら吸着アルカリ量Sとアルカリ量Csk関係をS=kCa+1の累乗関数として近似し、分配係数kdが「対象物質の溶液中の濃度に対する土壌に吸着される物質の量の比」であることから、kd=S/C=kCa+1/C=kCaとして、この式から分配係数kd、定数k及び定数aをそれぞれ求めた。
以上のようにして求められた上記56種類の各土壌に関する最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と定数k及び定数aとについて、最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの関係を整理し、Cmaxとkとの相関関係(Cmax−k相関関係)を求めると共に、最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に対する定数aの分布領域(Cmax−a分布領域)とを求めた。
この全ての土壌について求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係(Cmax−k相関関係)は図5に示す通りであり、決定係数R2≧0.95という高い相関性が示され、また、このCmax−k相関関係については、下記の関係式(6)
k=196×Cmax(決定係数R2=0.9547)…(6)
で与えられた。
この全ての土壌について求められた最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)と定数aとを整理し、最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)に対する定数aの分布領域(Cmax−a分布領域)を求めた結果は、図6に示す通りであり(図6では、図5に合わせて10-4×Cmax−a分布領域として表示した。)、分布領域は−0.3〜−1.0の範囲であって相関性は認められなかった。
上で得られた各土壌についての粒度指標DS(mm)及び最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を整理し、土壌の粒度指標DS(mm)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を求めた。
結果は、図7に示す通りであり、50%粒径D50の場合には最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関性が決定係数R2=0.3242と低かったが、10%粒径D10、20%粒径D20、及び30%粒径D30の場合にはいずれも決定係数R2≧0.7と高い相関性を示した。また、このDS−Cmax相関関係は、下記の関係式(3)
Cmax=a×DS b…(3)
〔但し、式(3)において、粒度指標Dsは10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30のいずれかであり、粒度指標Dsが10%粒径D10のときa=2×10-5、b=0.469、及び決定係数R2=0.7267であり、粒度指標Dsが20%粒径D20のときa=3×10-5、b=0.547、及び決定係数R2=0.7342であり、また、粒度指標Dsが30%粒径D30のときa=3×10-5、b=0.755、及び決定係数R2=0.7626である。〕
で与えられる。
上で得られた各土壌についての液性限界LL(%)、塑性限界LS(%)、及び最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を整理し、土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関関係〔LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係〕を求めた。
結果は、図8に示す通りであり、液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)と最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)との相関性についてはいずれも決定係数R2≧0.8と高い値を示した。また、これらのLL−Cmax相関関係及びLS−Cmax相関関係については、下記の関係式(4)及び(5)
Cmax=0.996×10-5×LL(%)−0.0002(決定係数R2=0.8608)…(4)
Cmax=1.494×10-5×LS(%)+0.0002(決定係数R2=0.8507)…(5)
で与えられる。
ある陸上現場の土壌(現場土壌)について、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に従って10%粒径D10、20%粒径D20、及び30%粒径D30を測定し、また、非特許文献2の方法に従って、アルカリ吸着試験を実施すると共に、得られた結果を非特許文献2の方法に基づいて平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度)(mol/L)と吸着アルカリ量(OH-mol/g)との関係に整理し、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度) (mol/L)が大きい範囲で吸着アルカリ量(OH-mol/g)が一定値になる時の値を読み取って最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求めた。
また、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度)(mol/L)と吸着アルカリ量(OH-mol/g)との関係を示すグラフから、平衡時のアルカリ溶液のアルカリ量(濃度)(mol/L)が小さい範囲における累乗型の近似曲線を求め(例えばエクセルにおける累乗近似の指定)、得られた近似曲線の式S=k'Cxより、分配係数kd=kCa-1の定数k=k'、a=x-1として求めた。
このようにして実測された最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)、分配係数の定数k、及び定数aと、溶液濃度cが10mol/m3、1mol/m3、0.1mol/m3、及び0.01mol/m3の場合に算出された分配係数kdの値とを表2に示す。
また、以上の予測された最大アルカリ吸着能Cmaxと、分配係数の定数k及び定数aを基に予測された分配係数kdは完全には一致しないが、少なくとも高濃度のアルカリ領域(pH=11, 12)においては、予測値の方が小さく安全側に評価できることが理解される。
Claims (8)
- アルカリ性物質を溶出して地下水中にアルカリを流出させるリスクのある土木資材(以下、「アルカリ性資材」という。)を陸上現場で使用するに際し、予め前記陸上現場の土壌(現場土壌)のアルカリ吸着を考慮した移流分散解析により、アルカリ性資材から現場土壌に浸透するアルカリ溶液水によるアルカリ流出リスクを予測する方法において、
前記現場土壌のアルカリ吸着現象に関する遅延係数Rを用い、また、この遅延係数Rを、下記のフロインドリッヒ吸着等温式(2)
kd=kCa…(2)
(但し、式中、Cは間隙水のアルカリ性物質の濃度であり、k及びaは実験的に求められる定数である。)
を採用した前記現場土壌の分配係数kdから求めるに際し、
前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を求め、
次いで、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxと定数kとの相関関係〔Cmax−k相関関係〕を用いて、先に求められたCmaxから前記式(2)における現場土壌の定数kを予測すると共に、予め複数の土壌を用いて求められた最大アルカリ吸着能Cmaxに対する定数aの分布領域〔Cmax−a分布領域〕の中から安全を考慮して前記式(2)における現場土壌の定数aとして定め、
この予測された現場土壌の定数kと安全を考慮して採用された現場土壌の定数aとを用いて前記現場土壌の分配係数kdを求めることを特徴とする陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。 - 求められた前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)の値が、現場土壌を用いて実測されたCmax実側値であることを特徴とする請求項1に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
- 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm以上である場合に、これら複数の10%粒径D10(JIS A 1204)0.0001mm以上の土壌を用いて、JIS A 1204(土の粒度試験方法)に準拠して測定された土壌の粒度指標DS(mm)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔DS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1204に準拠して測定された前記現場土壌の粒度指標DS(mm)から前記DS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする請求項1に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
- 前記現場土壌の平均粒径DS(mm)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する際に用いられる前記DS−Cmax相関関係が、下記の関係式(3)
Cmax(mol/g)=a×DS b…(3)
〔但し、式(3)において、粒度指標Dsは10%粒径D10、20%粒径D20、30%粒径D30のいずれかであり、粒度指標Dsが10%粒径D10のときa=2×10-5及びb=0.469であり、粒度指標Dsが20%粒径D20のときa=3×10-5及びb=0.547であり、また、粒度指標Dsが30%粒径D30のときa=3×10-5及びb=0.755である。〕
で表されることを特徴とする請求項3に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。 - 前記現場土壌の定数k及びaを求める際に用いられる前記現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)は、現場土壌の10%粒径D10(JIS A 1204)が0.0001mm未満の粘土系土壌である場合に、又は現場土壌についてJIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)の適用が可能である場合に、これら複数のJIS A 1205試験適用可能な土壌を用い、JIS A 1205(土の液性限界・塑性限界試験方法)に準拠して測定された土壌の液性限界LL(%)と当該土壌の最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LL−Cmax相関関係〕、又は土壌の塑性限界LS(%)と当該最大アルカリ吸着能Cmaxとの相関関係〔LS−Cmax相関関係〕を予め求めておき、JIS A 1205に準拠して測定された前記現場土壌の液性限界LL(%)又は塑性限界LS(%)から前記LL−Cmax相関関係又はLS−Cmax相関関係を用いて予測されたCmax予測値であることを特徴とする請求項1に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
- 前記現場土壌の液性限界LL(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LL−Cmax相関関係が、下記の関係式(4)
Cmax(mol/g)=0.996×10-5×LL(%)−0.0002…(4)
で表され、また、
前記現場土壌の塑性限界LS(%)から当該現場土壌の最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)を予測する前記LS−Cmax相関関係が、下記の関係式(5)
Cmax(mol/g)=1.494×10-5×LS(%)+0.0002…(5)
で表されることを特徴とする請求項5に記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。 - 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数kを予測する前記Cmax−k相関関係が、下記の関係式(6)
k=196×Cmax(mol/g)…(6)
で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。 - 前記最大アルカリ吸着能Cmax(mol/g)から現場土壌の定数aを求める際の前記Cmax−a分布領域が−0.3〜−1.0の範囲であり、前記安全値定数aとして下限値−1.0の値を採用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の陸上現場におけるアルカリ流出リスクの予測方法。
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