JP6520454B2 - 垂直共振器型面発光レーザの製造方法 - Google Patents

垂直共振器型面発光レーザの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、垂直共振器型面発光レーザの製造方法に関する。
垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は、基板面と垂直方向に光共振器を形成することにより、基板面と垂直方向にレーザ光を出力するレーザ装置である。通常、VCSELでは、電流を発光領域に集中させるために電流狭窄構造が形成される。
電流狭窄構造として多くの場合、AlAs(アルミニウム・ヒ素)層の外周側を酸化させることによって形成された開口構造が利用される。具体的には、AlAs層が側面に露出するようにメサ型に加工した積層体(酸化対象物)が形成された基板を400〜500℃の加熱水蒸気中に保持することによってAlAs層の酸化が実行される。設計どおりに電流狭窄層を作製するためには、AlAs層の酸化量を精密に制御する必要がある。
たとえば、特開2006−228811号公報(特許文献1)は、AlAs層の酸化量を精密に制御するための方法を開示する。具体的にこの文献の方法は、処理容器内で試料の酸化処理中に処理を中断する工程、酸化処理の中断中に処理容器に設けられた観察窓を通して試料の酸化量を検出する工程、検出した酸化量に基づいて追加酸化量を求め、その求めた追加酸化量だけ試料を追加酸化する工程を含む。試料の酸化量を検出する工程では、マイクロスコープによって試料の拡大画像が取得される。取得された拡大画像において、AlAs層の酸化領域と未酸化領域との境界は明瞭に認識できる。
特開2006−303415号公報(特許文献2)は、上記の文献と同様の方法を開示している。この文献の方法では、試料表面でレーザ光を走査した際の反射光量の差に基づいて、AlAs層の酸化領域と未酸化領域との境界が判別される。
特開2006−228811号公報 特開2006−303415号公報
上記の特開2006−228811号公報(特許文献1)に記載の製造方法では、水蒸気と窒素の混合ガスを処理容器に導入した後に、加熱ヒータがオンされ、所定の酸化温度まで試料の温度が上昇される。このため、試料の温度の上昇中にも試料の酸化がある程度進むと考えられるが、この温度上昇中の酸化の影響については何ら考慮されていない。
上記の特開2006−303415号公報(特許文献2)に記載の製造方法では、酸化ガスが噴出されるともに所定温度に設定された酸化炉内に試料を入れることによって酸化工程が開始される。この場合、試料を酸化炉に入れた直後では試料の温度が安定していないために酸化の進行が一定にならないという問題がある。
この発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、電流狭窄層を作製する際の酸化量の制御性をより高めることが可能な、垂直共振器型面発光レーザの製造方法を提供することである。
この発明は、垂直共振器型面発光レーザの製造方法であって、第1および第2の反射鏡層、活性層、ならびに電流狭窄構造となる被酸化層を含む積層体を基板上に形成するステップと、少なくとも被酸化層の側面が露出するように、積層体を加工するステップと、積層体を加工した後に、電流狭窄構造の形成のために被酸化層を側面から酸化するステップとを備える。この酸化するステップは、少なくともN回(N≧3)実行される。各回の酸化するステップは、加工後の積層体を昇温する第1ステップと、予め設定された酸化温度で予め設定された酸化時間の間、加工後の積層体の水蒸気酸化を行う第2ステップと、水蒸気の供給を停止して加工後の積層体を降温する第3ステップとを含む。製造方法は、さらに、第1回目から第N−1回目までの各回の酸化するステップの終了後に、各回ごとの被酸化層の酸化量を測定するステップと、第1回目から第N−1回目の各回ごとの酸化量の測定値および酸化時間の設定値に基づいて、第N回目の酸化するステップにおける第2ステップ以外での被酸化層の酸化量と、第2ステップでの被酸化層の酸化速度とを推定し、推定した酸化量および酸化速度に基づいて第N回目の酸化するステップでの酸化時間を決定するステップとを備える。
上記の製造方法によれば、第2ステップ以外、すなわち第1ステップ(昇温時)、第3ステップ(降温時)、第1ステップから第2ステップへの切替え時、および第2ステップから第3ステップへの切替え時での酸化量も考慮しているので、より正確に、第N回目の酸化するステップでの酸化時間を決定することができる。
好ましくは、酸化時間を決定するステップは、第1回目から第N−1回目の各回の酸化量の測定値と酸化時間の設定値との関係を近似直線に当て嵌めるステップと、酸化時間が0のときの近似直線の切片に基づいて、第2ステップ以外での被酸化層の酸化量を推定するステップと、近似直線の傾きに基づいて、第2ステップでの被酸化層の酸化速度を推定するステップとを含む。
上記のように直線近似を行うことによって、最低3回(N=3)の酸化するステップで精度良く電流狭窄層の酸化を行うことができる。
好ましくは、垂直共振器型面発光レーザの製造方法は、第1回目の酸化するステップの前に被酸化層を側面から予備的に酸化するステップと、この予備的に酸化するステップの終了後に被酸化層の酸化量を測定することによって、第1回目の酸化するステップによる酸化量の測定の際の基準位置を決定するステップとをさらに備える。
上記の製造方法によれば、メサポスト加工後(酸化前)の電流狭窄層の側面に存在する自然酸化膜の影響によって、最初の酸化工程による酸化の進行量が安定しないという問題を解消することができる。
好ましくは、上記の第1ステップでは、水蒸気を供給しながら前記加工後の積層体を昇温する。第1ステップでは、必ずしも水蒸気を供給しなくてもよいが、酸化炉の内部空間の雰囲気を安定化させるために、予めこの段階で水蒸気を供給しておいても構わない。
好ましくは、第1回目から第N回目までの各回の第1ステップにおける水蒸気の供給量および温度上昇の条件は同一である。これによって、第2ステップ以外での被酸化層の酸化量の推定精度を高めることができる。
好ましくは、各酸化するステップは、密閉された酸化炉内で実行される。そして、第3ステップでは、酸化炉内を排気してから加工後の積層体が降温される。これによって、降温時の残留水蒸気による酸化の影響を考慮する必要がなくなる。
したがって、この発明によれば、垂直共振器型面発光レーザの電流狭窄層を作製する際の酸化量の制御性をより高めることができる。
VCSELの構成を模式的に示す平面図である。 図1のII−II線に沿った断面構造を模式的に示す図である。 図2のうちレーザ光の生成に関係する部分を示した断面図である。 図3の各層のAl組成の分布図である。 VCSELの作製プロセスにおいてメサポスト構造の形成を模式的に示す断面図である。 VCSELの作製プロセスにおいて電流狭窄層の外周部の酸化を模式的に示す断面図である。 VCSELの作製プロセスを示すフローチャートである。 電流狭窄層の形成に用いる半導体酸化装置の構成を示す図である。 第1の実施形態による垂直共振器型面発光レーザの製造方法において、電流狭窄層の酸化手順を示すフローチャートである。 図9の酸化工程の詳細を示すフローチャートである。 各酸化工程における温度の変化を示すタイミング図である。 図8のマイクロスコープ130で撮影された半導体試料111の拡大画像の一例を示す図である。 酸化時間と酸化幅との関係を模式的に示す図である。 各酸化時間に対する酸化幅の変化を実験的に測定した結果を示す図である。 第1回目の酸化工程からの積算の昇温/酸化時間と、積算の酸化量との関係を示す図である。 第2の実施形態による垂直共振器型面発光レーザの製造方法において、電流狭窄層の酸化手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態の場合において、各酸化工程における温度の変化を示すタイミング図である。 第2の実施形態の場合において、図8のマイクロスコープ130で撮影された半導体試料111の拡大画像の一例を示す図である。 予備的な酸化工程からの積算の昇温/酸化時間と、積算の酸化幅との関係を示す図である。
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。以下では、最初にVCSELの全体構成およびその製造方法について簡単に説明し、次に、電流狭窄層の作製方法について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
<第1の実施形態>
[VCSELの構成]
図1は、VCSELの構成を模式的に示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面構造を模式的に示す図である。図3は、図2のうちレーザ光の生成に関係する部分を示した断面図である。なお、図2および図3に示す断面図は模式図である。図中の各層の厚みは実際のデバイスの厚みと比例関係になく、図2の厚みと図3の厚みも比例関係にない。
図1〜図3を参照して、VCSEL1は、基板10と、半導体多層膜反射鏡層(DBR:Distributed Bragg Reflector)11,15と、クラッド層12,14と、活性層13と、半導体多層膜反射鏡層15の内部に設けられた電流狭窄層16と、アノード電極層19と、カソード電極層20とを含む。
この実施形態では、基板10としてN型の導電型を示すGaAs(ガリウム・ヒ素)半導体基板が用いられる。基板10の裏面にカソード電極層(裏面電極層)20が形成される。
基板10の主面上には、N型の導電型を示す化合物半導体で構成されたDBR層11が形成される。DBR層11は、たとえばAl0.15Ga0.85AsとAl0.9Ga0.1Asとを光学膜厚λ/4(λは発振波長を表す)ずつ交互に積層した構造を含む。N型の導電型を与えるためにSi(シリコン)がドーピングされており、その濃度は、たとえば2〜3×1018[cm-3]である。SiはGa(Al)サイトに配位してドナーになりやすい。P型不純物は意図的にはドーピングされていない。
なお、AlXGa(1-X)As(アルミニウム・ガリウム・ヒ素)は、GaAsとAlAsとの混晶半導体であり、Al組成(X)が高いほどエネルギーギャップが広く、屈折率は低くなる。Al組成(X)に応じて格子定数がほとんど変化しないために、あらゆるAl組成(X)のAlXGa(1-X)As膜をGaAs基板上にエピタキシャル成長可能である。この明細書では、Al組成(X)を特定しない場合には、AlGaAsと記載する場合がある。
DBR層11の上に、レーザ光を発生する活性領域が形成される。活性領域は、クラッド層12,14と、クラッド層12,14に挟まれた光学利得を有する活性層13とによって構成される。活性層13およびクラッド層12,14は、発振波長に応じて適宜、その膜厚および材料を調整することができる。たとえば、活性層13には、量子井戸層と障壁層とを多重に積層した多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)が形成される。活性層13は、不純物を意図的に導入しないノンドープ領域である。
クラッド層12,14は、デバイスの抵抗値の設計に応じて、ノンドープにすることも部分的に不純物をドープすることもできる。本実施形態では、N型およびP型DBR層11,15に接するクラッド層12,14の一部に、隣接するDBR層11,15と同じ導電型の不純物をドープしている。したがって、P型不純物がドープされた領域31(以下、P型ドープ領域31と記載する)は、上層側のDBR層15から上層側のクラッド層14の一部にまで至る。N型不純物がドープされた領域30(以下、N型ドープ領域30と記載する)は、下層側のDBR層11から下層側のクラッド層12の一部にまで至る。
活性領域の上に、P型の化合物半導体で構成された上層側のDBR層15が形成される。上層側のDBR層15は、下層側のDBR層11とともに光共振器を構成する。DBR層15は、電流狭窄層16を除いて、下層側(基板側)のDBR層11と同様に、たとえばAl0.15Ga0.85AsとAl0.9Ga0.1Asとを光学膜厚λ/4ずつ交互に積層した構造を含む。P型の導電型を与えるために、C(カーボン)がドーピングされており、その濃度は、たとえば2〜3×1018[cm-3]である。CはAsサイトに配位してアクセプタになりやすい。
ここで、導電型を上記と反対にして、基板10をP型半導体基板にし、下層側のDBR層11の導電型をP型にし、上層側のDBR層15の導電型をN型としてもよい。なお、この明細書において第1および第2の導電型と記載した場合には、第1および第2の導電型のうち一方がP型であり、他方がN型である。
さらに、上層側のDBR層15の一部に、活性領域に効率よく電流を注入し、レンズ効果をもたらす電流狭窄層16が形成される。図3に示すように、電流狭窄層16は中心部分の未酸化部18とその周囲のほぼ絶縁体の酸化部17とを有する。この構造は、電流狭窄層16となるべき被酸化層を0.95≦X≦1のAlXGa(1-X)Asで形成し(X=1の場合、すなわちAlAsを含む)、被酸化層を含むエピタキシャル多層膜をメサポスト形状に加工した後に、加熱水蒸気雰囲気下で被酸化層を周囲から選択的に酸化させることによって得られる。中心部分の未酸化部18のみが電流経路となるので、活性領域に効率よく電流を注入できる。
図1、図2に示すようにメサポスト構造を有するエピタキシャル多層膜上には、防湿用の絶縁膜21(耐湿膜とも称する)が形成されている。メサポスト上部の絶縁膜21にはDBR層15の上面(基板から遠い側の表面)が露出するような開口が形成される。露出したDBR層15の上面には、アノード電極層19(リング電極層)が接続される。アノード電極層19にはボンディング用のパッド電極23が接続される。パッド電極23とDBR層11との間には、寄生容量を低減するために絶縁層(ポリイミドパターン)22が設けられている。
なお、図1〜図3の場合と異なるが、基板10として半絶縁性を示すノンドープのGaAs基板を用いることもできる。この場合には、図2において、たとえば、成膜工程の段階で基板10とN型DBR層11との間にN型半導体コンタクト層を形成しておく。メサポスト構造および耐湿膜21の形成後に、耐湿膜21およびN型DBR層11(図2のメサポスト構造の左側の部分)を貫通する掘り込みパターンを形成することによってN型半導体コンタクト層の上面を露出させる。この露出したN型半導体コンタクト層の上にカソード電極を形成することができる。
[Al組成分布]
図4は、図3の各層のAl組成の分布図である。図4の縦軸はAlXGa(1-X)AsのAl組成(X)を示し、横軸はVCSELの深さ方向を任意単位(AU)で示す。X=0の場合はGaAsを意味し、X=1の場合はAlAsを意味する。
図4を参照して、DBR層11,15では、Al含有量が多い低屈折率層と、Al含有量が少ない高屈折率層とが交互に積層されている。DBR層11,15のうちクラッド層12,14に隣接する領域が第1番目の低屈折率層に相当する。図4の場合、電流狭窄層16は、DBR層15の第1番目の低屈折率層内で、最も活性層13から離間した位置に形成される。電流狭窄層16を第1番目の低屈折率層内でより下層側(たとえば、クラッド層14に隣接する位置)に配置してもよい。
なお、電流狭窄層16は、DBR層15を構成する第1番目の低屈折率層の内部に形成されていたが、クラッド層14の内部など、より活性層13に近い位置に配置することも可能である。したがって、より一般的に言えば、電流狭窄層16は、DBR層15の内部またはDBR層15と活性層13との間に配置される。あるいは、電流狭窄層16は、活性層13よりも基板10側に配置することも可能であり、DBR層11の内部またはDBR層11と活性層13との間に配置してもよい。
[VCSELの作製プロセス]
次にVCSELの作製プロセスについて説明する。
図5は、VCSELの作製プロセスにおいてメサポスト構造の形成を模式的に示す断面図である。図6は、VCSELの作製プロセスにおいて電流狭窄層の外周部の酸化を模式的に示す断面図である。図7は、VCSELの作製プロセスを示すフローチャートである。以下、図2、図5〜図7を参照して、VCSEL1の作製方法について説明する。
まず、半導体基板10(ここでは、N型GaAs基板)上に、多層のエピタキシャル膜11〜16を形成する(ステップS100)。エピタキシャル膜の形成はMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)などの手法が好適である。
具体的に、GaAs基板10上に、まずN型の導電型を示すDBR層11を形成する。次に、N型DBR層11の上に、クラッド層12,14に挟まれた形で量子井戸(QW:Quantum Well)を含む活性層13を形成する。次に、クラッド層14の上に、P型のDBR層15,15Aを形成する。P型のDBR層15,15Aの形成の途中で、電流狭窄層16となるべき被酸化層を形成する。
図1〜図4で説明した構造の場合には、クラッド層14に接する第1番目の低屈折率層内に電流狭窄層16となるべき被酸化層を形成する。例えば、クラッド層14の上にAlXGa(1-X)As層15A(ただし、X=0.65)を2〜3×1018[cm-3]程度のC(カーボン)を導入しながら形成し、次に、Al組成Xを0.95以上に増加させることによって、被酸化層としてAlXGa(1-X)As層(ただし、0.95≦X≦1)を2〜3×1018[cm-3]程度のC(カーボン)を導入しながら形成する。なお、電流狭窄層16となるべき被酸化層は、酸化処理を行うときの体積収縮により歪が発生するので、歪の影響を抑えるために40nm以下にすることが望ましい。
次に、図5に示すように、基板10上に形成されたエピタキシャル多層膜(積層体)を、たとえばφ30μmのメサポスト構造に加工する(ステップS105)。メサポスト構造は、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングの手法で形成する。ドライエッチングは、少なくとも電流狭窄層16となるべき被酸化層の側面が露出するまで行う必要があり、図5の場合には下層側のDBR層11の上面(基板から遠い側の表面)が露出する深さまで行っている。
次に、メサポストパターンに加工されたエピタキシャル多層膜付きの基板を水蒸気雰囲気中で400〜500℃程度に加熱する。この結果、電流狭窄層16となるべき被酸化膜の外周部から酸化が進行し、図6に示すような酸化部17が形成される(ステップS110)。この酸化工程ついては後で詳しく説明する。
その後、耐湿膜21として、窒化シリコン膜または酸化シリコン膜を形成する(ステップS115)。耐湿膜21の形成は、CVDまたはスパッタなどの手法が適用可能である。メサポストの上部の耐湿膜21には、コンタクト電極層用の開口部が、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングの手法で形成される。
次に、上記の開口部に、たとえばフォトリソグラフィーおよび蒸着によってアノード電極層(コンタクト電極層)19を形成する(ステップS120)。アノード電極層19として、たとえば、Ti(チタン)、Pt(白金)、およびAu(金)からなる積層膜を利用することができる。
次に、パッド電極23下の容量低減の目的で絶縁層(ポリイミドパターン)22を形成する(ステップS125)。その後、P型コンタクト電極層19と接続するパッド電極23を、たとえばフォトリソグラフィーおよびスパッタリング製膜の手法で形成する(ステップS130)。
次に、基板10の厚みを調整した後にカソード電極層(裏面電極層)20を形成する(ステップS135)。裏面電極層20として、たとえば、Au、Ge、およびNiからなる積層膜を用いることができる。さらに、各電極層19,20と半導体層とのオーミックコンタクトをとるためのアニール処理を行うことによって、VCSELが完成する。
[電流狭窄層の形成方法の詳細]
以下、加熱水蒸気酸化による電流狭窄層の形成方法(図7のステップS110)について詳細に説明する。
(半導体酸化装置の構成)
図8は、電流狭窄層の形成に用いる半導体酸化装置の構成を示す図である。図8を参照して、半導体酸化装置100は、酸化炉101と、半導体試料111を支持するための基台110と、回転昇降機構120と、マイクロスコープ130と、画像処理部131と、配管140,150,160と、電磁弁143,144,151,161と、窒素供給源145と、水蒸気供給源146と、真空装置152と、制御装置170とを含む。
酸化炉101は、ステンレスなどの金属壁によって外部と仕切られた耐圧密閉容器である。酸化炉101の内部空間105の底部には、半導体試料111を支持するための基台110が設けられている。酸化炉101の天井壁103には、透明の耐熱材料によって形成された観察窓104が、基台110と対向する位置に設けられている。
基台110は、加熱テーブル113と試料テーブル112とを含む。加熱テーブル113は、電熱線またはランプヒータなどのヒータ114を備えており、試料テーブル112を介して半導体試料111を加熱する。加熱テーブル113は、回転昇降機構120によって回転および昇降が可能である。試料テーブル112は、半導体試料111を支持固定するとともに加熱テーブル113が発生した熱を半導体試料111に伝熱するための部材である。なお、試料テーブル112と加熱テーブル113とが一体となっている場合もある。
回転昇降機構120は、駆動軸121と、モータ122と、昇降機構123とを含む。駆動軸121は、容器101の底壁102を上下方向に貫通することによって、酸化炉101の内部で加熱テーブル113と接続される。モータ122は、酸化炉101の外部で駆動軸121と連結され、駆動軸121をその軸線の回りに回転させる。モータ122の駆動に基づいて、基台110は、駆動軸121を中心として回転する。昇降機構123は、モータ122を駆動軸121とともに上下方向に移動させる。図8の場合、昇降機構123は、モータ124とラックアンドピニオン(図示せず)とによって構成されるが、その他の構成、たとえば、油圧シリンダまたは空圧シリンダであってもよい。昇降機構123の駆動に基づいて、基台110は、実線で示す酸化位置(下降位置)と点線で示す観察位置(上昇位置)との間を移動する。
マイクロスコープ130は、顕微鏡付きのカメラであって、図示しない移動機構によって水平2方向および垂直1方向の3方向に移動可能に構成されている。マイクロスコープ130は、基台110が観察位置のときに半導体試料111を撮影する。撮影された画像は画像処理部131によって処理される。
酸化炉101の内部空間105の雰囲気を制御するために、酸化炉101の壁を貫通する配管140,150,160が設けられている。
配管140は、酸化炉101の外部で2つの配管141,142に分岐する。分岐した一方の配管141は、電磁弁143を介して窒素供給源145と接続される。分岐した他方の配管142は、電磁弁144を介して水蒸気供給源146と接続される。これによって、酸化炉101の内部空間105に水蒸気および/または窒素を供給することができる。
配管150は、酸化炉101の外部で電磁弁151を介して真空装置152と接続される。酸化炉101の内部空間105は真空装置152によって排気することができる。真空装置152は、酸化炉101の内部空間の残留ガスを急速に排気する場合に用いられる。
配管160は、電磁弁161と接続される。水蒸気および/または窒素の供給時には電磁弁161を開放状態にすることによって、水蒸気および/または窒素の循環(フロー)状態を保つことができる。
制御装置170は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータをベースに構成される。制御装置170は、ヒータ114の温度制御、電磁弁143,144,151,161の開閉、モータ122の駆動制御、および昇降機構123の駆動制御、マイクロスコープ130の制御など、半導体酸化装置100全体を制御する。
(酸化方法の詳細)
次に、上記の半導体酸化装置100を用いた酸化方法の詳細について説明する。図7のステップS110で説明したように、メサポストパターンに加工されたエピタキシャル多層膜付きの基板を水蒸気雰囲気中で400〜500℃程度に加熱することによって、被酸化膜の外周部から酸化が進行する。
図9は、第1の実施形態による垂直共振器型面発光レーザの製造方法において、電流狭窄層の酸化手順を示すフローチャートである。電流狭窄層の形成のために、合計3回の酸化工程が実行される点に特徴がある(ステップS210,S220,S235)。
図10は、図9の酸化工程の詳細を示すフローチャートである。
図8〜図10を参照して、最初に、半導体試料111が酸化炉101内の試料テーブル112上に固定される(ステップS200)。制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を酸化位置(下降位置)に移動する。この状態で、制御装置170は、ヒータ114によって半導体試料111を加熱することによって、半導体試料111の温度を待機温度TEMP1まで上昇させる(ステップS205)。待機温度TEMP1は、たとえば、200℃程度であり、水蒸気雰囲気中でも被酸化層(たとえば、AlAs層)の酸化がほとんど進行しない温度である。
次に、第1回目の酸化工程が実行される(ステップS210)。具体的には、制御装置170は、最初に図8の電磁弁143,144,161を開放することによって、酸化炉101の内部空間105に窒素および水蒸気の混合ガスを循環させる(ステップS300)。
酸化炉101の内部空間105の雰囲気が安定したら、制御装置170は、ヒータ114の出力を徐々に上昇させることによって、半導体試料111の温度を待機温度TEMP1から酸化温度TEMP2まで上昇させる(ステップS305)。上記の昇温時のプロセス条件は、3回の酸化工程のいずれでも同じにする。
制御装置170は、半導体試料111の温度が酸化温度TEMP2に達したら、ヒータ114の出力を一定に保つことによって酸化温度TEMP2で維持するとともに、半導体試料111の温度が酸化温度TEMP2に達してからの時間経過を測定する。これによって、設定された酸化温度TEMP2での半導体試料111の酸化が開始される(ステップS310)。なお、酸化中には、モータ122によって半導体試料111を回転させることが望ましい。これによって、半導体基板面内への水蒸気の供給を均一化することができる。
上記の昇温プロセス(ステップS300,S305)では、必ずしも水蒸気を供給しなくてもよい。この場合、酸化炉101の内部空間105に窒素ガスのみを循環させながら(ステップS300)、半導体試料111の温度を待機温度TEMP1から酸化温度TEMP2まで上昇させる(ステップS305)。半導体試料111の温度が酸化温度TEMP2に達したら、または酸化温度TEMP2に達する前に、酸化炉101の内部空間105に窒素ガスに加えてさらに水蒸気が導入される。半導体試料111の温度が酸化温度TEMP2に達するとともに水蒸気が酸化炉101の内部空間105に導入された後に、酸化時間の計測が開始される。水蒸気が内部空間105に導入されてから酸化時間計測を開始するまでの間にも半導体試料111の酸化は進行するが、この間の酸化量は後述する近似直線の切片bに含まれる。
制御装置170は、測定時間が予め設定した酸化時間Tox1に達したら、電磁弁144を閉じることによって水蒸気の供給を停止する(ステップS315)。なお、窒素の供給を継続することによって、酸化炉101の内部空間に残留している水蒸気は配管160から外部に排出される。制御装置170は、さらに、ヒータ114の出力を減少させることによって、半導体試料111の温度を酸化温度TEMP2から待機温度TEMP1まで下降させる(ステップS320)。降温時のプロセス条件は、3回の酸化工程でいずれも同じにする。以上によって、第1回目の酸化工程が終了する。
第1回目の酸化工程が終了すると、制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を観察位置(上昇位置)に移動する。この状態で、制御装置170は、マイクロスコープ130によって半導体基板に垂直な方向から半導体試料111の拡大画像を取得する。取得された拡大画像において、電流狭窄層の酸化領域と未酸化領域との境界は明瞭に認識できる。画像処理部131は、取得した拡大画像に基づいて、第1回目の酸化工程による酸化の進行量(酸化幅W1)を測定する(ステップS215)。
なお、酸化幅の測定方法は他の方法でも構わない。たとえば、レーザ光を半導体試料111の表面を走査したときの反射光の強度の相違から、図3の酸化部17と未酸化部18とを検出することができる。
次に、制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を酸化位置(下降位置)に移動してから、第2回目の酸化工程を実行する(ステップS220)。第2回目の酸化工程では酸化温度TEMP2での酸化時間がTox2に変更されるが、その他の条件は第1回目の酸化工程と同じである。
第2回目の酸化工程が終了すると、制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を観察位置(上昇位置)に移動してから、マイクロスコープ130によって半導体基板に垂直な方向から半導体試料111の拡大画像を取得する。画像処理部131は、取得した拡大画像に基づいて、第2回目の酸化工程による酸化の進行量(酸化幅W2)を測定する(ステップS225)。
制御装置170は、第1回目の酸化工程の酸化時間Tox1と検出された酸化幅W1、および第2回目の酸化工程の酸化時間Tox2と検出された酸化幅W2に基づいて、最終的に所望の未酸化部18の寸法を得るために必要な追加の酸化幅W3を決定する。さらに、その追加の酸化幅W3を得るのに必要な酸化時間Tox3を決定する(ステップS230)。具体的な酸化時間の決定方法については、図13〜図15を参照して後述する。
その後、制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を酸化位置(下降位置)に移動してから、第3回目の酸化工程を実行する(ステップS235)。第3回目の酸化工程では酸化温度TEMP2での酸化時間がステップ230で決定された酸化時間Tox3に変更されるが、その他の条件は第1回目および第2回目の酸化工程と同じである。
第3回目の酸化工程の終了後に半導体試料111は、酸化炉101から取り出される。なお、第1回目の酸化工程の開始から第3回目の酸化工程の終了まで酸化炉101の外部に半導体試料111を取り出さないようにすることによって、各酸化工程における酸化の進行を安定化することができる。
図11は、各酸化工程における温度の変化を示すタイミング図である。横軸は時間を表し、縦軸は半導体試料111の温度を表す。図11には、さらに、酸化炉101内に供給されるガスの種類も併せて示されている。
図11を参照して、第1回目の酸化工程は、時刻t11から時刻t14までに相当する。第2回目の酸化工程は、時刻t21から時刻t24までに相当する。第3回目の酸化工程は、時刻t31から時刻t34までに相当する。各酸化工程での昇温時間Tup1,Tup2,Tup3は同一であり、温度の上昇速度も同一である。各酸化工程での降温時間Tdown1,Tdown2,Tdown3は同一であり、温度の降下速度も同一である。
降温期間(時刻t13から時刻t14まで、時刻t23から時刻t24まで、時刻t33から時刻t34まで)と、酸化幅を測定するために待機温度TEMP1に維持されている期間(時刻t14から時刻t21まで、時刻t24から時刻t31まで)とでは、酸化炉101の内部空間105内に窒素が供給されている。窒素の供給に代えて、図8の真空装置152を用いることによって酸化炉101の内部空間105を排気状態にするようにしてもよい。この場合は、各酸化工程での降温時間Tdown1,Tdown2,Tdown3を同一にする必要がなく、温度の降下速度も同一にする必要がない。
図12は、図8のマイクロスコープ130で撮影された半導体試料111の拡大画像の一例を示す図である。図12では、メサポスト形状が円柱状の例が示されているが、メサポストの断面形状は円に限らず、正方形または長方形など、どのような形状であっても構わない。
図12(A)は、第1回目の酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。第1回目の酸化工程では、メサポスト構造の端部50から、酸化部と未酸化部との境界51まで酸化が進行する。このときの酸化幅はW1である。
図12(B)は、第2回目の酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。第2回目の酸化工程では、第1回目の酸化工程における酸化部と未酸化部との境界51からさらに酸化幅W2だけ酸化が進行する。
図12(C)は、第3回目の酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。第3回目の酸化工程では、第2の回目の酸化工程における酸化部と未酸化部との境界52からさらに酸化幅W3だけ酸化が進行する。最終的に、メサポスト構造の端部50から、酸化部と未酸化部との境界53までの酸化幅はW1+W2+W3になる。
[酸化時間の決定方法]
次に、図9のステップS230における酸化時間の決定方法について説明する。
図13は、酸化時間と酸化幅との関係を模式的に示す図である。図13では、第1回目の酸化工程における酸化時間Tox1と検出された酸化幅W1、第2回目の酸化工程における酸化時間Tox2と検出された酸化幅W2、および第3回目の酸化工程における酸化時間Tox3と検出された酸化幅W3とがプロットされている。図13に示すように酸化時間Tox1,Tox2,Tox3と酸化幅W1,W2,W3との関係は、傾きaおよび切片bを有する直線で近似することができる。
近似直線の傾きaおよび切片bは、第1回目および第2回目の酸化工程における酸化の進行量(すなわち、酸化時間Tox1,Tox2に対する酸化幅W1,W2)から、
a=(W1−W2)/(Tox1−Tox2) …(1)
b=W1−a×Tox1=W2−a×Tox2 …(2)
に従って求めることができる。
上記の傾きaは、第1回目および第2回目の酸化工程における電流狭窄層の酸化速度を意味している。したがって、水蒸気の供給量および酸化温度TEMP2が第3回目の酸化工程においても同じであれば、第3回目の酸化工程における電流狭窄層の酸化速度も同じ酸化速度aを有することが推定される。
上記の切片bは、第1回目および第2回目の各酸化工程における酸化温度TEMP2以外の温度での酸化量、すなわち昇温時の酸化量と降温時の残留水蒸気による酸化量の和を意味している。したがって、水蒸気の供給量、昇温時間、降温時間、温度の上昇速度、および温度の下降速度などが第3回目の酸化工程においても同じであれば、第3回目の酸化工程における酸化温度TEMP2以外の温度での酸化量も同じ酸化量bを有することが推定される。
よって、所望の未酸化部18の寸法を得るために必要な追加の酸化幅をW3(酸化部17の設計寸法からW1+W2を減算することによって求められる)とすると、第3回目の酸化工程の酸化時間Tox3は、
W3=a×Tox3+b …(3)
の関係式を満たすことがわかる。すなわち、酸化時間Tox3は、
Tox3=(W3−b)/a …(4)
によって求めることができる。
なお、酸化温度TEMP2における酸化が終了した時点で、真空装置152を用いて酸化炉101内を急速に排気するようにすれば、降温期間における残留水蒸気による酸化の影響を考慮する必要がなくなる。すなわち、上記の切片bは昇温時における酸化量のみを意味していることになる。
図14は、各酸化時間に対する酸化幅の変化を実験的に測定した結果を示す図である。図14では、3通りの酸化温度A,B,Cの場合の実験結果が示されている。いずれの酸化温度の場合も、酸化時間と酸化幅とは直線で近似できることが実証されている。
図15は、第1回目の酸化工程からの積算の昇温/酸化時間と、積算の酸化量との関係を示す図である。図15では、降温期間の残留水蒸気による酸化の影響は無視できるものとしている。
図15を参照して、各酸化工程の昇温時間Tup1,Tup2,Tup3は全て同一である。この場合、各酸化工程の昇温期間ごとに酸化幅bだけ酸化が進行する。ただし、半導体試料111の温度が待機温度TEMP1に近いときにはほとんど酸化は進行せず、半導体試料111の温度が酸化温度TEMP2に近づくほど酸化が進行するので、昇温時の酸化量bと昇温時間Tup1,Tup2,Tup3とは比例関係にない。
一方、各酸化工程の酸化温度TEMP2での酸化量w1,w2,w3は、酸化時間Tox1,Tox2,Tox3と比例関係にある(比例定数a)。マイクロスコープ130によって検出された酸化幅W1,W2,W3は、酸化温度TEMP2での酸化量w1,w2,w3に昇温時の酸化量bを加算することによってそれぞれ求めることができる。
[第1の実施形態の効果]
以上のとおり、第1の実施形態によれば、第1回目と第2回目の酸化工程の各々における酸化時間と酸化量の測定値に基づいて、酸化時間と酸化量との関係を表す近似直線の傾きおよび切片が決定される。決定した傾きおよび切片を用いて第3回目の酸化工程における酸化時間を決定するので、制御性良く電流狭窄層を作製することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態における第1回目の酸化工程の前に予備的な酸化工程が追加される。すなわち、電流狭窄層の形成のために合計4回の酸化工程が実行される点に特徴がある。この場合、予備的な酸化工程は、第1回目の酸化工程による酸化量の測定の基準位置を決定するためだけに実行され、予備的な酸化工程による酸化幅の測定値は、酸化時間と酸化幅との関係を表す近似直線の係数(傾き)aおよび切片bを求めるためには用いられない。この理由は、メサポスト加工後(酸化前)の電流狭窄層の側面に存在する自然酸化膜の影響によって、最初の酸化工程による酸化の進行量が安定しない場合があるからである。以下、第2の実施形態の場合の電流狭窄層の形成方法(被酸化層の酸化方法)について詳細に説明する。なお、半導体酸化装置は、第1の実施形態と同じものが用いられる。
[酸化方法について]
図16は、第2の実施形態による垂直共振器型面発光レーザの製造方法において、電流狭窄層の酸化手順を示すフローチャートである。図16のフローチャートは、予備的な酸化工程(酸化時間Tox0)の実行するステップS206と、予備的な酸化工程の終了後にマイクロスコープ130を用いて酸化幅W0を測定するステップS207とが追加された点で、第1の実施形態の場合の図9のフローチャートと異なる。以下では、図9のフローチャートと異なる点を主に説明し、共通する点については説明を繰り返さない。
図8および図16を参照して、最初に、半導体試料111が酸化炉101内の試料テーブル112上に固定され(ステップS200)、半導体試料111の温度が待機温度TEMP1まで上昇した後に(ステップS205)、予備的な酸化工程(酸化時間Tox0)が実行される(ステップS206)。酸化工程の詳細は、図10で説明したものと同様であるので説明を繰り返さない。予備的な酸化工程は、第1回目の酸化工程による酸化幅W1の測定の際の基準位置を決定するために実行される。
予備的な酸化工程が終了すると、制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を観察位置(上昇位置)に移動する。その状態で、制御装置170は、マイクロスコープ130によって半導体基板に垂直な方向から半導体試料111の拡大画像を取得する。画像処理部131は、取得した拡大画像に基づいて、予備的な酸化工程による酸化の進行量(酸化幅W0)を測定する(ステップS207)。
次に、制御装置170は、昇降機構123を駆動することによって、基台110を酸化位置(下降位置)に移動してから、第1回目の酸化工程を実行する(ステップS210)。第1回目の酸化工程以降の手順は、図9の場合と同じであるので説明を繰り返さない。なお、予備的な酸化工程の開始から第3回目の酸化工程の終了まで酸化炉101の外部に半導体試料111を取り出さないようにすることによって、第1〜第3回目の酸化工程における酸化の進行を安定化することができる。
図17は、第2の実施形態の場合において、各酸化工程における温度の変化を示すタイミング図である。横軸は時間を表し、縦軸は半導体試料111の温度を表す。図17には、さらに、酸化炉101内に供給されるガスの種類も併せて示されている。
図17を参照して、予備的な酸化工程は時刻t1から時刻t4までに相当する。予備的な酸化工程の昇温時間Tup0および温度の上昇速度は、第1から第3回目の酸化工程での昇温時間Tup1,Tup2,Tup3および温度の上昇速度と同じである必要はない。同様に、予備的な酸化工程の降温時間Tdown0および温度の下降速度は、第1から第3回目の酸化工程での降温時間Tdown1,Tdown2,Tdown3および温度の下降速度と同じである必要はない。さらに、予備的な酸化工程における酸化温度は、図17の場合には第1〜第3回目の酸化工程での酸化温度TEMP2と同じにしているが、必ずしも同じにする必要はない。なお、第1〜第3回目の酸化工程のタイミング図は図11の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
図18は、第2の実施形態の場合において、図8のマイクロスコープ130で撮影された半導体試料111の拡大画像の一例を示す図である。
図18(A)は、予備的な酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。予備的な酸化工程では、メサポスト構造の端部50から、酸化部と未酸化部との境界50Aまで酸化が進行する。このときの酸化幅はW0である。
図18(B)は、第1回目の酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。第1回目の酸化工程では、予備的な酸化工程における酸化部と未酸化部との境界50Aからさらに酸化幅W1だけ酸化が進行する。
図18(C)は、第2回目の酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。第2回目の酸化工程では、第1回目の酸化工程における酸化部と未酸化部との境界51からさらに酸化幅W2だけ酸化が進行する。
図18(D)は、第3回目の酸化工程の終了後における半導体試料111の拡大画像の例を示す。第3回目の酸化工程では、第2回目の酸化工程における酸化部と未酸化部との境界52からさらに酸化幅W3だけ酸化が進行する。最終的に、メサポスト構造の端部50から、酸化部と未酸化部との境界53までの酸化幅はW0+W1+W2+W3になる。
[酸化時間の決定方法]
次に、図16のステップS230における第3回目の酸化工程における酸化時間の決定方法について説明する。酸化時間の決定方法は、基本的には図13に関連して説明した方法と同じである。ただし、第3回目の酸化時間における追加の酸化幅W3は、酸化部17の設計寸法からW0+W1+W2を減算することによって求められる。酸化幅W3に対応する酸化時間Tox3が前述の式(4)に従って求められる点は、第1の実施形態の場合と同じである。
図19は、予備的な酸化工程からの積算の昇温/酸化時間と、積算の酸化幅との関係を示す図である。図19では、降温期間の残留水蒸気による酸化の影響は無視できるものとしている。
図19を参照して、第1〜第3回目の酸化工程の昇温時間Tup1,Tup2,Tup3は全て同一である。この場合、第1〜第3回目の酸化工程において、昇温期間ごとに共通の酸化幅bだけ酸化が進行する。ただし、半導体試料111の温度が待機温度TEMP1に近いときにはほとんど酸化は進行せず、半導体試料111の温度が酸化温度TEMP2に近づくほど酸化が進行するので、昇温時の酸化量bと昇温時間Tup1,Tup2,Tup3とは比例関係にない。
一方、第1〜第3回目の酸化工程において、酸化温度TEMP2での酸化量w1,w2,w3は、酸化時間Tox1,Tox2,Tox3と比例関係にある(比例定数a)。検出された酸化幅W1,W2,W3は、酸化温度TEMP2での酸化量w1,w2,w3に昇温時の酸化量bを加算することによってそれぞれ求めることができる。
予備的な酸化工程における昇温時の酸化量cは、昇温時間Tup0が第1回目以降の酸化工程における昇温時間Tup1,Tup2,Tup3と同じであったとしても、第1回目以降の酸化工程における酸化量bと等しくならない場合がある。この理由は、メサポスト加工後(酸化前)の電流狭窄層の側面に存在する自然酸化膜の影響によって、予備的な酸化工程による酸化の進行量が安定しないからである。また、予備的な酸化工程における酸化温度TEMP2での酸化についても開始直後の酸化は自然酸化膜の影響を受けると考えられるので、酸化量w0が酸化時間Tox0と比例しない場合があり得る。
そこで、第2の実施形態では、第1回目の酸化工程での酸化量の測定の基準位置を決定するだけのために、予備的な酸化工程が実行される。酸化時間と酸化幅との関係を表す近似直線の係数(傾き)aおよび切片bは、予備的な酸化工程の実行後の第1回目および第2回目の酸化工程での酸化時間および酸化幅を用いて計算される。これによって、第3回目の酸化工程における酸化時間Tox3を、第1の実施形態の場合よりも精度良く決定することができる。
[変形例]
上記の実施形態では、DBR層11,15、クラッド層12,14、活性層13、および電流狭窄層16となるべき被酸化層を含む積層体をメサポスト状に加工した。これに代えてリセス構造に積層体を加工してもよい。リセス構造の場合も、電流狭窄層16となるべき被酸化層の側面から酸化が進行することによって、未酸化部を取り囲むように酸化部が形成される。
上記の実施形態では、予備的な酸化工程を除いて合計3回の酸化工程を実行しているが、3回を超える酸化工程を実行してもよい。たとえば、N回(N≧3)の酸化工程が実行される場合には、第1回から第N−1回目までの酸化工程における酸化時間をそれぞれTox1,Tox2,…,ToxN−1とし、第1回から第N−1回目までの酸化工程における酸化の進行度(酸化幅)をそれぞれW1,W2,…,WN−1とする。これらN−1個の酸化時間と、対応するN−1個の酸化幅との関係を、傾きaおよび切片bを有する直線で近似する。データ点が多くなるほど直線近似の精度を高めることができるので、所望の酸化量を得るために必要な第N回目の酸化工程における酸化時間ToxNの決定精度を高めることができる。
今回開示された各実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 VCSEL、10 基板、11,15 半導体多層膜反射鏡層(DBR層)、12,14 クラッド層、13 活性層、16 電流狭窄層、17 酸化部、18 未酸化部、19 コンタクト電極層(アノード電極層)、20 裏面電極層(カソード電極層)、21 耐湿膜(絶縁膜)、22 ポリイミドパターン、23 パッド電極、25 高抵抗領域、30 N型ドープ領域、31 P型ドープ領域、100 半導体酸化装置、101 酸化炉、104 観察窓、105 内部空間、110 基台、111 半導体試料、112 試料テーブル、113 加熱テーブル、114 ヒータ、120 回転昇降機構、121 駆動軸、122,124 モータ、123 昇降機構、130 マイクロスコープ、131 画像処理部、145 窒素供給源、146 水蒸気供給源、152 真空装置、170 制御装置。

Claims (5)

  1. 垂直共振器型面発光レーザの製造方法であって、
    第1および第2の反射鏡層、活性層、ならびに電流狭窄構造となる被酸化層を含む積層体を基板上に形成するステップと、
    少なくとも前記被酸化層の側面が露出するように、前記積層体を加工するステップと、
    前記積層体を加工した後に、電流狭窄構造の形成のために前記被酸化層を側面から酸化するステップとを備え、
    前記酸化するステップは、少なくともN回(N≧3)実行され、
    各回の前記酸化するステップは、
    前記加工後の積層体を昇温する第1ステップと、
    予め設定された酸化温度で予め設定された酸化時間の間、前記加工後の積層体の水蒸気酸化を行う第2ステップと、
    水蒸気の供給を停止して前記加工後の積層体を降温する第3ステップとを含み、
    前記製造方法は、さらに、
    第1回目から第N−1回目までの各回の前記酸化するステップの終了後に、各回ごとの前記被酸化層の酸化量を測定するステップと、
    第1回目から第N−1回目の各回ごとの前記酸化量の測定値および前記酸化時間の設定値に基づいて、第N回目の前記酸化するステップにおける前記第2ステップ以外での前記被酸化層の酸化量と、前記第2ステップでの前記被酸化層の酸化速度とを推定し、前記推定した酸化量および酸化速度に基づいて第N回目の前記酸化するステップでの酸化時間を決定するステップと
    第1回目の前記酸化するステップの前に前記被酸化層を側面から予備的に酸化するステップと、
    前記予備的に酸化するステップの終了後に前記被酸化層の酸化量を測定することによって、第1回目の前記酸化するステップによる酸化量の測定の際の基準位置を決定するステップとを備える、垂直共振器型面発光レーザの製造方法。
  2. 前記酸化時間を決定するステップは、
    第1回目から第N−1回目の各回の前記酸化量の測定値と前記酸化時間の設定値との関係を近似直線に当て嵌めるステップと、
    前記酸化時間が0のときの前記近似直線の切片に基づいて、前記第2ステップ以外での前記被酸化層の酸化量を推定するステップと、
    前記近似直線の傾きに基づいて、前記第2ステップでの前記被酸化層の酸化速度を推定するステップとを含む、請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザの製造方法。
  3. 前記第1ステップでは、水蒸気を供給しながら前記加工後の積層体を昇温する、請求項1または2に記載の垂直共振器型面発光レーザの製造方法。
  4. 第1回目から第N回目までの各回の前記第1ステップにおける水蒸気の供給量および温度上昇の条件は同一である、請求項に記載の垂直共振器型面発光レーザの製造方法。
  5. 各前記酸化するステップは、密閉された酸化炉内で実行され、
    前記第3ステップでは、前記酸化炉内を排気してから前記加工後の積層体が降温される、請求項1〜のいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光レーザの製造方法。
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