JP6517702B2 - 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物 - Google Patents

脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6517702B2
JP6517702B2 JP2015556262A JP2015556262A JP6517702B2 JP 6517702 B2 JP6517702 B2 JP 6517702B2 JP 2015556262 A JP2015556262 A JP 2015556262A JP 2015556262 A JP2015556262 A JP 2015556262A JP 6517702 B2 JP6517702 B2 JP 6517702B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
endoderm
pluripotent
pdx1
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015556262A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016506736A5 (ja
JP2016506736A (ja
Inventor
アラン ディー. アグルニック、
アラン ディー. アグルニック、
オリビア ケリー、
オリビア ケリー、
ユキ オオイ
ユキ オオイ
アラン ロビンス、
アラン ロビンス、
トーマス シュルツ、
トーマス シュルツ、
Original Assignee
ヴィアサイト インコーポレイテッド
ヴィアサイト インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US13/761,078 external-priority patent/US9109245B2/en
Application filed by ヴィアサイト インコーポレイテッド, ヴィアサイト インコーポレイテッド filed Critical ヴィアサイト インコーポレイテッド
Publication of JP2016506736A publication Critical patent/JP2016506736A/ja
Publication of JP2016506736A5 publication Critical patent/JP2016506736A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6517702B2 publication Critical patent/JP6517702B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/0012Cell encapsulation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0676Pancreatic cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/10Growth factors
    • C12N2501/11Epidermal growth factor [EGF]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/70Enzymes
    • C12N2501/72Transferases (EC 2.)
    • C12N2501/727Kinases (EC 2.7.)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2506/00Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells
    • C12N2506/45Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from artificially induced pluripotent stem cells

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年2月6日に出願された米国特許出願第13/761,078号、表題CELL COMPOSITIONS DERIVED FROM DEDIFFERENTIATED REPROGRAMMED CELLSの優先権を主張し、それは、2010年4月22日に出願された米国特許出願第12/765,714号、表題CELL COMPOSITIONS DERIVED FROM DEDIFFERENTIATED REPROGRAMMED CELLSの一部継続出願であり、それは、米国特許法第119(e)条の下で、2009年4月22日に出願された米国特許仮出願第61/171,759号、表題CELL COMPOSITIONS DERIVED FROM DEDIFFERENTIATED REPROGRAMMED CELLSの優先権を主張する非仮出願であり、それらの開示は参照により完全に本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、電子フォーマットの配列表とともに出願されている。配列表は、2013年1月28日に作成された、CYTHERA068P1.TXTという名称のサイズが8.92Kbのファイルで提供される。配列表の電子フォーマットの情報は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本発明は、一般に、細胞培養物の単離、維持および使用に関する。より具体的には、本発明は、人工多能性幹細胞から導出された細胞組成物に関する。
多能性細胞の重要な用途は、細胞療法でのそれらの使用である。多能性幹細胞には、ヒト胚性幹(hES)細胞、ヒト胚性生殖(hEG)細胞が含まれるが、これらに限定されない。さらに他のタイプの多能性細胞が存在し、例えば、脱分化したマウスおよびヒトの幹細胞、すなわち分化した体性成体細胞は脱分化して多能性様幹細胞になる。ES細胞に類似した多能性および成長能力を有する細胞を確立するために誘導されるこれらの脱分化した細胞は、「人工多能性幹(iPS)細胞」、「胚性幹細胞様細胞」、「ES様細胞」またはそれらの同等物とも呼ばれる。そのような細胞は、潜在的に存続可能な代替多能性細胞である。iPS細胞の治療的適用には、糖尿病および他の疾患を治療するための前臨床研究でこれらの細胞が安定であり、適当な安全性プロファイルを示すことを実証することが必要である。多能性状態への分化したヒト体性細胞のリプログラミングは、患者および疾患特異的幹細胞を可能にする。Takahashi,K.らCell、1〜12、2007およびJu,J.らScience 2007を参照されたい。TakahashiらおよびJuらは、iPS細胞を生成するために4つの遺伝子を成体および胎児/新生児の線維芽細胞に各々導入した:Oct4、Sox2、Klf4およびc−myc、Takahashiら;Oct4、Sox2、NanogおよびLin28、Juら。いずれの場合にも、iPS細胞は、hES細胞形態、マーカー発現、長期にわたる増殖、正常な核型および多能性などの、hES細胞の一部の特徴を有していた。
iPS細胞は関連する倫理論争なしで細胞療法に基づく再生医療を提供することができるが、iPS細胞の分化特性、例えばin vitroでの分化潜在能力および分化効率はなお不明であり、iPS細胞のための指向性分化方法は実証されていない。したがって、iPS細胞の詳細な分化特性および指向性分化効率を判定し、実証する必要性がある。
本明細書に記載される実施形態は、多能性細胞、例えば人工多能性幹(iPS)細胞などの脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物を提供する。
一実施形態は、ヒト細胞を含む組成物およびヒト細胞を含むin vitro細胞培養物を作製する方法を提供し、ヒト細胞の少なくとも約15%は胚体内胚葉細胞であり、胚体細胞は脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出される。一態様では、胚体内胚葉細胞は、それから導出される腸管または器官の細胞に分化することができる多分化能細胞である。
別の実施形態は、ヒト細胞を含む組成物およびヒト細胞を含むin vitro細胞培養物を作製する方法を提供し、ヒト細胞の少なくとも約15%は膵臓−十二指腸ホメオボックス因子1(PDX1)陽性の前腸内胚葉細胞であり、PDX1陽性の前腸内胚葉細胞は脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出される。一態様では、PDX1陽性の前腸内胚葉細胞は、PDX1、SOX9、PROX1およびHNF6に関して共陽性である。
さらなる実施形態は、ヒト細胞を含む組成物およびヒト細胞を含むin vitro細胞培養物を作製する方法を提供し、ヒト細胞の少なくとも約15%は膵臓−十二指腸ホメオボックス因子1(PDX1)陽性の膵臓前駆細胞であり、PDX1陽性の膵臓前駆細胞は脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出される。一態様では、PDX1陽性の膵臓前駆細胞は、PDX1およびNKX6.1に関して共陽性である。
さらなる別の実施形態は、ヒト細胞を含む組成物およびヒト細胞を含むin vitro細胞培養物を作製する方法を提供し、ヒト細胞の少なくとも約15%はNeurogenin3(NGN3)陽性の内分泌先駆細胞であり、NGN3内分泌先駆細胞は脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出される。一態様では、NGN3陽性の内分泌先駆細胞は、NGN3、PAX4およびNKX2.2に関して共陽性である。
本明細書に記載される細胞培養組成物のさらなる実施形態は、脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出された分化した細胞およびERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質を含む、in vitroヒト膵臓内胚葉細胞培養物を含む。
本明細書に記載される追加の実施形態は、インスリンを生成する方法に関する。一部のそのような実施形態では、この方法は、(a)脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出された少なくとも前腸内胚葉細胞培養物および/または少なくともPDX1陰性前腸内胚葉細胞培養物をERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質とin vitroで接触させ、それにより、内分泌細胞および非内分泌細胞亜集団を含む膵臓内胚葉細胞集団を生成するステップと、(b)ステップ(a)の膵臓内胚葉細胞集団またはステップ(a)の細胞亜集団をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌する、ステップとを含む。
本明細書に記載されるさらなる他の実施形態は、インスリンを生成する方法であって、(a)脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞を、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を含む第1の培地とin vitroで接触させるステップと、(b)TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を欠く第2の培地でステップ(a)の細胞をin vitroで培養し、それにより、少なくとも前腸内胚葉細胞および/または少なくともPDX1陰性前腸内胚葉細胞を生成するステップと、(c)ステップ(b)の細胞をERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質と接触させ、それにより、内分泌細胞および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を生成するステップと、(d)ステップ(c)の細胞集団またはステップ(c)の細胞亜集団をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌する、ステップとを含む方法に関する。本明細書に記載されるさらに他の実施形態は、少なくとも前腸内胚葉細胞、少なくともPDX1陰性前腸内胚葉細胞および/または少なくともPDX1陽性膵臓内胚葉細胞を含む集団を、ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質と接触させ、それにより、in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞に成熟することが可能な細胞集団を生成することに関する。
本明細書に記載されるさらに他の実施形態は、少なくとも前腸内胚葉細胞、少なくともPDX1陰性前腸内胚葉細胞および/または少なくともPDX1陽性膵臓内胚葉細胞を含む集団を、ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質およびrhoキナーゼ阻害剤と接触させ、それにより、in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞に成熟することが可能な細胞集団を生成することに関する。
本明細書で使用される場合、語句「少なくとも前腸内胚葉細胞」、「少なくともPDX1陰性前腸内胚葉細胞」および「少なくともPDX1陽性膵臓内胚葉細胞」は、細胞集団の細胞のいくつかまたは一部が、膵島細胞へのそれらの分化の中で、iPSCから前腸内胚葉細胞またはそれ以上、iPSCからPDX1陰性前腸内胚葉細胞またはそれ以上、および/またはiPSCからPDX1陽性膵臓内胚葉細胞またはそれ以上に分化していることを意味する。
本明細書で使用される場合、細胞集団の細胞に言及するとき、語句「いくつか」および/または「一部」は、細胞集団が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも95%を超える指定された細胞型の細胞を含むことを意味する。
脱分化したリプログラミングされた細胞、または本明細書でiPS細胞とも呼ばれる細胞の凝集懸濁培養の写真画像である。
OCT4(図2A)、BRACHYURY(図2B)、CER1(図2C)、GSC(図2D)、FOXA2(図2E)、FOXA1(図2F)、HNF6(図2G)、PDX1(図2H)、PTF1A(図2I)、NKX6.1(図2J)、NGN3(図2K)およびINS(図2L)の相対的な遺伝子発現レベルを示す棒グラフである。発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子、サイクロフィリンGおよびTATA結合タンパク質(TBP)発現の平均発現レベルに標準化される。グラフは、データセット中の最も低いデータポイントからの上方制御倍率を表す。
(3A)PDX−1;(3B)NKX6.1;(3C)PTF1A;および(3D)Dapiに特異的な抗体を使用したステージ4分化からのヒトiPS細胞培養物の免疫細胞化学(ICC)の顕微鏡写真である。
(図4A)グルカゴン、(図4B)インスリン、(図4C)ソマトスタチンおよび(図4D)Dapiに特異的なリガンドを使用した、ステージ4分化からのiPS細胞培養の免疫細胞化学(ICC)の写真である。 R&D SystemsからのProteome Profiler(商標)ヒトホスホRTK抗体アレイで提供されるアレイ位置図およびアレイキーを示す図である。図5Aの位置図は、RTK抗体の座標または位置を示す。RTKファミリーおよび抗体のアイデンティティまたは名前は、図5Bのキーに記載される。したがって、現像したフィルムで観察される陽性シグナルは、図5Aのように透明画をオーバレイし、図5BのRTKの名前でオーバレイ(図5A)の上の座標を参照することによってシグナルを同定することによって、同定することができる。 4つの異なる条件(実施例5に記載されるように、図A、B、CおよびD)下のiPS細胞導出膵臓内胚葉細胞(PEC)のRTKアレイ分析を示す図である。特定のRTKのチロシンリン酸化が、高強度から低強度のシグナルの同定によって観察される。IGF 1R/IRおよびERBB(EGFR)ファミリーメンバーが同定されるか、四角で囲まれる。 表9に示すように、実験E2314、E2356およびE2380(図7A)、E2347(図7B)ならびにE2354(図7C)の移植されたマウスの血清中のヒトCペプチドおよびインスリンの濃度を示すグラフである。空腹時、ならびに腹腔内グルコース投与の30分および60分後に、ヒトCペプチドの血清レベルについてPECを移植したマウスを指示された移植後時点で分析した。図7Cで、細胞封入デバイス(Encaptra(登録商標)EN20またはEN20、ViaCyte、San Diego、CA)でPECを封入し、一部の場合には、デバイスは微穿孔を有した(pEN20、ViaCyte、San Diego、CA)。そのようなデバイスは、米国特許第8,278,106号に記載され、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。 実験#2347のSTZ処置マウスの血中グルコース分析の結果を示すグラフである。図8Aは、13匹の各マウスの血中グルコースを示し(ヘレグリンの有る無しによるベースライン)、図8Bは、各処置の合わせた平均測定値を示す(ヘレグリンの有る無しによるベースライン)。STZによる処置(0日目)の最大14日前までにiPEC移植片を移植した13匹のマウスについて、同じマウスについてSTZ処置の後、および移植片を外植した後の、ランダムな非絶食血中グルコースレベルの測定値を示す。STZ処置動物は、移植片の移植から約26週後にSTZを与えられた(0日目)。移植片移植から28週後、STZ処置の開始からおよそ2週後に、iPEC移植片を外植した(取り出した)。各動物につき、非絶食血中グルコース測定値を経時的に収集した。
本発明は、本明細書に含まれる本発明の好ましい実施形態および実施例の以下の詳細な説明を参照することによって容易に理解することができる。しかし、本化合物、組成物、および方法の開示および記載の前に、本発明は、特定の細胞型、特定のフィーダー細胞層、特定の条件、または特定の方法などに限定されず、それ自体変わり得ることが理解されるべきである。多数の改変および変形が当業者には明らかであろう。本明細書において使用される用語は、単に特定の実施形態を記載するためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
定義
本明細書で表される数値範囲は、記載されている終点を含み、示された数値範囲の終点間の全ての整数を記載するものであることが理解されよう。
特に断りのない限り、本明細書で使用される用語は、当業者による従来の使用に従って理解される。また、本明細書および添付の特許請求の範囲の目的に関して、別段に特定されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の分量、材料の百分率または割合、反応条件を表す数、および他の数値は全て、全ての場合に「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、それに反する指示がない限り、以下の明細書および添付されている特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明によって得られるべき所望の性質に応じて変動し得る近似値である。最低限、かつ特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告されている有意な桁数に照らして、および通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
本明細書に記載の実施形態の実施には、別段に特定されていない限り、細胞生物学、分子生物学、遺伝学、化学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技法が使用される。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈が明らかに別に指示しない限り、複数形が含まれることを理解するべきである。したがって、例えば、「細胞」への言及には1つまたは複数のそのような異なる細胞が含まれ、「方法」への言及には、本明細書に記載される方法に代えて改変または置換することができる、当業者に公知である同等のステップおよび方法への言及が含まれる。
「細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、個々の細胞、細胞系、またはそのような細胞から導出される培養物を指す。「培養物」とは、同じまたは異なる種類の単離された細胞を含む組成物を指す。
本明細書で使用される場合、「全能性幹細胞」という句は、卵細胞と***細胞の融合から生成する細胞などの、生物体を構成する全ての細胞に分化する能力を有する細胞を指す。受精卵の最初の数回の***によって生成する細胞も全能性であり得る。これらの細胞は、胚および胚体外細胞系列に分化することができる。例えばES細胞などの多能性幹細胞は、いかなる胎児または成体の細胞型も生じ得る。しかし、これらは、胚体外組織に発達する能力を欠くので、単独では胎児または成体動物に発達することはできない。胚体外組織は、一部において、胚体外内胚葉から導出され、遠位内胚葉(parietal endoderm)(ライヘルト膜)および近位内胚葉(visceral endoderm)(卵黄嚢の一部を形成する)にさらに分類することができる。遠位内胚葉および近位内胚葉はどちらも胚の発生を支持するが、それら自体は胚構造を形成しない。胚体外中胚葉および胚体外外胚葉を含めた他の胚体外組織も存在する。
一部の実施形態では、「多能性細胞」を、内胚葉系列、より詳細には、膵臓内胚葉型細胞に分化させるための出発材料として使用する。本明細書で使用される場合、「多能性」または「多能性細胞」またはその等価物とは、細胞培養物中で増殖することができ、かつ多分化能の性質を示す種々の系列限定的な細胞集団に分化することができる細胞を指し、例えば、多能性ES細胞および人工多能性幹(iPS)細胞はどちらも、3種の胚細胞系列のそれぞれを生じ得る。しかし、多能性細胞は、生物体全体を生成することはできない場合がある。すなわち、多能性細胞は全能性ではない。
ある特定の実施形態では、出発材料として使用される多能性細胞は、hES細胞、hEG細胞、iPS細胞、さらには単為発生細胞などを含めた幹細胞である。本明細書で使用される場合、「胚(embryonic)」とは、単一の接合体から始まり、もはや発生した配偶子細胞以外の多能性または全能性細胞を含まない多細胞構造で終わる生物体の様々な発生ステージを指す。「胚(embryonic)」という用語は、配偶子融合によって導出された胚に加えて、体細胞核移植によって導出された胚も指す。さらに別の実施形態では、多能性細胞は胚から導出されたまたは直接導出されたものではなく、例えば、iPS細胞は、非多能性細胞、例えば多分化能細胞または最終分化した細胞から導出されたものである。
ヒト多能性幹細胞は、分化を導く遺伝子の抑制および多能性の維持を確実にするコア調節複合体を形成する転写因子Oct−4、Nanog、およびSox−2などのいくつかの転写因子および細胞表面タンパク質、ならびに糖脂質SSEA3、SSEA4およびケラタン硫酸抗原、Tra−1−60およびTra−1−81などの細胞表面抗原が存在すると定義または特徴付けることもできる。
本明細書で使用される場合、「人工多能性幹細胞」または「iPS細胞」または「iPSC」という句は、非多能性細胞、一般には成体の体細胞、または、例えば線維芽細胞、造血細胞、筋細胞、ニューロン、表皮細胞などの最終分化した細胞から、リプログラミング因子と称される特定の遺伝子または遺伝子産物を挿入することによって人工的に調製された多能性幹細胞の一種を指す。その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる、Takahashiら、Cell、131:861−872(2007);Wernigら、Nature、448:318−324(2007);Parkら、Nature、451:141−146(2008)を参照されたい。人工多能性幹細胞は、hES細胞などの天然のヒト多能性幹細胞と、ある特定の幹細胞遺伝子およびタンパク質の発現、クロマチンメチル化パターン、倍加時間、胚葉体形成、奇形腫形成、生存可能なキメラ形成、ならびに発生能および分化可能性(differentiability)を含めた多くの点で実質的に類似している。ヒトiPS細胞により、胚の使用を伴うことなく多能性幹細胞の供給源がもたらされる。
iPS細胞を生成するために様々な方法を用いることができ、それらは本明細書において下でさらに詳細に記載される。しかし、全ての方法は、Sox−2、Oct−4、Nanogおよび任意選択でLin−28をコードする発現カセット、またはSox−2、Oct−4、Klf4および任意選択でc−mycをコードする発現カセット、またはSox−2、Oct−4および任意選択でEsrrbをコードする発現カセットなどの特定のリプログラミング因子を用いる。これらのリプログラミング因子をコードする核酸は、同じ発現カセット、異なる発現カセット、同じリプログラミングベクター、または異なるリプログラミングベクターの中にあってもよい。Oct−3/4およびSox遺伝子ファミリーの特定のメンバー(Sox−1、Sox−2、Sox−3およびSox−15)は、その不在により誘導を不可能にする、誘導プロセスに関与する大事な転写制御因子である。Oct−3/4(Pou5f1)は八量体(「Oct」)転写因子のファミリーの1つであり、多能性の維持で重要な役割をする。例えば、通常Oct−3/4+の細胞、例えば割球および胚性幹細胞中のOct−3/4の不在は、自発的な栄養芽細胞分化につながり、一方、Oct−3/4の存在は、胚性幹細胞の多能性および分化潜在能力をもたらす。さらに、「Oct」ファミリーの他の遺伝子、例えばOct1およびOct6は多能性を誘導せず、したがって、この多能性誘導プロセスはOct−3/4に帰することができる。Oct−3/4に類似の多能性の維持に関連する遺伝子の別のファミリーは、Soxファミリーである。しかし、Soxファミリーは多能性細胞型に限定的でなく、多分化能および単能性幹細胞にも関連する。Soxファミリーは誘導プロセスでも働くことが見出されている。上記Takahashiら、2006による初期研究では、Sox2が使用された。それ以来、Sox1、Sox3、Sox15およびSox18遺伝子によってもiPS細胞が生成されている。Klfファミリーの遺伝子(Klf−1、Klf2、Klf4およびKlf5)のKlf4は、当初はマウスiPS細胞の生成の因子として、上記Yamanakaら2006によって同定された。本明細書において、S.YamanakaからのヒトiPS細胞は、hIPS細胞の細胞療法適用を探索するために使用した。しかし、上記Yuら2007は、Klf4が必要とされないこと、および実際ヒトiPS細胞を生成することができなかったことを報告した。Klf1、Klf2およびKlf5を含むKlfファミリーの他のメンバーは、iPS細胞を生成することが可能である。最後に、Mycファミリー(C−myc、L−mycおよびN−myc)、がんと結びつけられているがん原遺伝子;c−mycは、マウスおよびヒトのiPS細胞の生成と結びつけられた因子であったが、上記Yuら(2007)は、c−mycがヒトiPS細胞の生成のために必要とされなかったことを報告した。
本明細書で使用される場合、「多分化能」または「多分化能細胞」またはその等価物は、限られた数の他の特定の細胞型を生じさせることができる細胞型を指す。すなわち、多分化能細胞は1つまたは複数の胚細胞の運命に傾倒し、したがって、多能性細胞とは対照的に、3種の胚細胞系列のそれぞれ、ならびに胚体外細胞を生じさせることができない。多分化能体細胞は、多能性細胞よりも分化しているが、最終分化はしていない。したがって、多能性細胞の発生能は多分化能細胞よりも高い。体細胞をリプログラミングすることまたはiPS細胞を生じさせるために使用することができる発生能決定因子としては、これだけに限定されないが、Oct−4、Sox2、FoxD3、UTF1、Stella、Rexl、ZNF206、Soxl5、Mybl2、Lin28、Nanog、DPPA2、ESG1、Otx2またはこれらの組合せなどの因子が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質」としては、これだけに限定されないが、ERBB受容体に結合する少なくとも16種の異なるEGFファミリーリガンド:EGF(上皮成長因子)、AGまたはAREG(アンフィレギュリン)、およびTGF−アルファ(形質転換成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合性EGF)、およびEreg(エピレギュリン))、ニューレグリン−1、−2、−3および−4(またはヘレグリン−1、−2、−3および−4などのニューグレリン(またはヘレグリン)が挙げられる。しかし、本発明では、4種のERBB受容体のいずれか1つまたはこれらの組合せに結合して、内因性キナーゼドメインの活性化およびその後のリン酸化を導くホモ二量体受容体複合体およびヘテロ二量体受容体複合体の形成を誘導することができる任意のリガンドが意図されている。表11も参照されたい。
本明細書に記載されるインスリンの生成方法の一部の実施形態は、グルコース刺激に応答してインスリンを分泌するインスリン生成細胞にin vivoで成熟することができる膵臓内胚葉細胞を動物に提供することによって、糖尿病の動物を処置するか、動物の血液中のグルコース濃度を制御することを含むことができる。
本明細書に記載される一態様は、適当な条件の下で培養されるときに異なる細胞系統に選択的に、および一部の態様では選択的、可逆的に発達することが可能である、多能性または先駆細胞の集団を含む。本明細書で使用される場合、「集団」という用語は、同じ識別特徴を有する複数の細胞の細胞培養物を指す。「細胞系列」という用語は、最も早期の先駆細胞から完全成熟細胞(すなわち特殊化した細胞)までの細胞型の発達の全ステージを指す。「先駆細胞」または「前駆細胞」とは、細胞分化経路内の、より成熟した細胞に分化することができる任意の細胞であってよい。そのように、先駆細胞は、多能性細胞であってもよく、部分的に分化した多分化能細胞または可逆的に分化した細胞であってもよい。「先駆細胞集団」という用語は、より成熟または分化した細胞型に発達することができる細胞の群を指す。先駆細胞集団は、多能性の細胞、幹細胞系列に制限された細胞(すなわち、外胚葉系列の全てには発達できない細胞、または、例えばニューロン系列の細胞にのみ発達することができる細胞)、および可逆的に幹細胞系列に制限された細胞を含み得る。したがって、「前駆細胞」または「先駆細胞」という用語は、「多能性細胞」または「多分化能細胞」であり得る。
本明細書で使用される場合、「リプログラミング」、「リプログラミングされた」という用語またはそれと同等の用語は、培養またはin vivoにおいて、リプログラミングなしで同じ条件下でそれが有するであろう能力よりも測定可能な程度高い、少なくとも1つの新しい細胞型の後代を形成する能力を細胞に付与するプロセスを指す。本明細書に記載される特定の実施形態では、体細胞は、多能性細胞に「リプログラミングされる」。特定の態様では、十分な増殖の後に、in vivoまたはin vitro細胞培養において、測定可能な程度の割合の細胞が新しい多能性細胞型の表現型の特徴を提示するとき、体細胞はリプログラミングされている。リプログラミングなしでは、そのような体細胞は、新しい多能性細胞型の表現型の特徴を提示する後代を生成しないだろう。リプログラミングなしでも体細胞が新しい多能性細胞型の表現型の特徴を提示する後代を生成することができた場合は、これらの体細胞からの新しい多能性細胞型の表現型の特徴を提示する後代の割合は、リプログラミング前よりも測定可能な程度高い。
本明細書で使用される場合、語句「分化プログラミング」は、培養またはin vivoにおいて、分化リプログラミングなしで同じ条件下でそれが有するであろうよりも、新しい分化状態の少なくとも1つの新しい細胞型の後代を形成するように細胞を変化させるプロセスを指す。このプロセスには、分化、脱分化および分化転換が含まれる。したがって、本明細書で使用される場合、語句「分化」は、より特殊化していない細胞がより特殊化した細胞型になるプロセスを指す。対照的に、語句「脱分化」は、部分的または最終的に分化した細胞がより初期の発達段階、例えば多能性または多分化能を有する細胞に戻る細胞プロセスを指す。さらに対照的に、語句「分化転換」は、1つの分化細胞型を別の分化細胞型に転換するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「多能性細胞から発達する」、「多能性細胞から分化する」、「多能性細胞から成熟する」または「多能性細胞から生成する」、「多能性細胞から導出された」、「多能性細胞から分化する」という用語および等価の表現は、例えば、その開示が参照により本明細書に完全に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2007/015536号、表題「METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES」に記載の、in vivoにおいて移植されたPDX1膵臓内胚葉細胞から成熟する内分泌細胞の場合では、in vitroまたはin vivoにおいて多能性細胞から分化した細胞型が生成することを指す。そのような用語は全て、少なくとも2種の異なる細胞系列に分化する潜在性を有するステージから特殊化および最終分化した細胞になるまでの細胞の進行を指す。そのような用語は、本出願の目的に関して互換的に使用することができる。本明細書に記載の実施形態では、そのような分化を可逆的なものにし、したがって、多能性または少なくとも2種以上の細胞系列に分化する能力を選択的に取り戻すことができるような培養条件が意図されている。
「フィーダー細胞」という用語は、in vitroで成長し、少なくとも1種の因子を細胞培養中に分泌し、また、培養物中の別の目的の細胞の成長を支持するために使用することができる細胞培養物を指す。本明細書で使用される場合、「フィーダー細胞層」は、「フィーダー細胞」という用語と互換的に使用され得る。フィーダー細胞は、培養皿の表面がフィーダー細胞で、重なり合って増幅する前の完全な層で覆われた単層を含んでもよく、細胞のクラスターを含んでよい。好ましい実施形態では、フィーダー細胞は、接着性の単層を含む。
本明細書で使用される場合、「クラスター」、「凝集塊」または「凝集体」という用語は互換的に使用することができ、単細胞に解離していない一群の細胞を一般に指す。クラスターは、より小さいクラスターに解離することができる。この解離は本来一般的に手動である(例えば、パスツールピペットを使用する)が、他の解離手段が企図される。凝集懸濁多能性または多分化能細胞培養物は、実質的に、国際公開PCT/US2007/062755、表題COMPOSITIONS AND METHODS FOR CULTURING DIFFERENTIAL CELLSおよびPCT/US2008/082356、表題STEM CELL AGGREGATE SUSPENSION COMPOSITIONS AND METHODS OF DIFFERENTIATION THEREOFに記載されている通りであり、それらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
同様に、多能性細胞培養物または多能性凝集懸濁培養物をフィーダー細胞の使用を伴わない規定された条件において成長させる実施形態は「フィーダーフリー」である。フィーダーフリー培養方法では、多能性細胞培養物のスケーラビリティおよび再現性が増し、例えばフィーダー細胞または他の動物を供給源とする培養物構成成分に由来する感染因子によるコンタミネーションのリスクが低下する。フィーダーフリー方法は、Bodnarらに対する米国特許第6,800,480号(Geron Corporation、Menlo Park、Californiaに譲渡された)にも記載されている。しかし、米国特許第6,800,480号特許とは対照的に、本明細書に記載の実施形態は、多能性細胞培養物、多分化能細胞培養物または分化した細胞培養物のいずれであるかにかかわらず、フィーダーフリーであり、内在性または外因性の細胞外マトリックスをさらに含有しない;すなわち、本明細書に記載の培養物は、フィーダーフリーであるだけでなく、細胞外マトリックスフリーでもある。例えば、米国特許第6,800,480号では、線維芽細胞を培養し、線維芽細胞をin situで溶解し、次いで、溶解後に残ったものを洗浄することによって細胞外マトリックスが調製される。あるいは、米国特許第6,800,480号では、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、ビグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンから選択される単離されたマトリックス構成成分または構成成分の組合せからも細胞外マトリックスが調製され得る。本明細書に記載の実施形態では、フィーダー層または線維芽細胞層を成長させ、細胞を溶解して細胞外マトリックスを生成することによって細胞外マトリックスを生成することもなく、最初にコラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、ビグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンから選択される細胞外マトリックス構成成分または細胞外マトリックス構成成分の組合せを用いて組織培養容器をコーティングする必要もない。したがって、多能性細胞、多分化能細胞および分化した細胞用の本明細書に記載の凝集懸濁培養物には、外因的に添加された細胞外マトリックスまたはマトリックス構成成分である細胞外マトリックスコーティングを生成するフィーダー層、溶解したフィーダー細胞または線維芽細胞は必要なく、参照により本明細書に完全に組み込まれる国際出願PCT/US2008/080516、表題METHODS AND COMPOSITIONS FOR FEEDER−FREE PLURIPOTENT STEM CELL MEDIA CONTAINING HUMAN SERUMに記載の通り、可溶性ヒト血清構成成分の使用により、フィーダー細胞またはフィーダー単層の必要性を克服し、同様に、フィーダー細胞もしくは線維芽細胞または外因的に添加された細胞外マトリックス構成成分に由来する内在性の細胞外マトリックスの必要性も克服される。
好ましい実施形態では、培養方法は、動物を供給源とする産物を含まない。別の好ましい実施形態では、培養方法はゼノフリーである。さらに好ましい実施形態では、本明細書に記載の培養方法はヒト細胞治療薬の商業的な製造のための1つまたは複数の条件または要件を満たすかまたはそれを上回っていた。
多能性細胞の集団をある特定の補足的な成長因子の存在下でさらに培養して、異なる細胞系列であるか、またはそれに発達することになる細胞の集団を得ることができ、または、異なる細胞系列に発達することが可能になるように選択的に逆行させることができる。「補足的な成長因子」という用語は、その最も広範な文脈で使用され、多能性細胞の成長を促進するため、細胞の生存を維持するため、細胞の分化を刺激するため、および/または、細胞の分化の逆行を刺激するために有効である物質を指す。さらに、補足的な成長因子は、フィーダー細胞からその培地中に分泌される物質であってよい。そのような物質としては、これだけに限定されないが、サイトカイン、ケモカイン、小分子、中和抗体、およびタンパク質が挙げられる。成長因子は、細胞の発生および維持ならびに組織の形態および機能を制御する細胞間シグナル伝達ポリペプチドも含んでよい。好ましい実施形態では、補足的な成長因子は、幹細胞因子(steel cell factor)(SCF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、インターロイキン−6(IL−6)と可溶性インターロイキン−6受容体(IL−6R)の組合せ、線維芽細胞成長因子(FGF)、骨形成タンパク質(BMP)、腫瘍壊死因子(TNF)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)からなる群から選択される。
本明細書に記載の細胞を生成するためのある特定のプロセスでは、成長因子を、添加後に細胞培養物または細胞集団から除去する。例えば、アクチビンA、アクチビンB、GDF−8、またはGDF−11などの成長因子を添加し、それらを添加してから約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内または約10日以内に除去することができる。一部の実施形態では、分化因子を細胞培養物から除去することはしない。
分化プロセスの効率は、これだけに限定されないが、細胞の成長条件、成長因子濃度および培養ステップのタイミングを含めたある特定のパラメータを改変することによって調整することができるので、本明細書に記載の分化手順により、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約95%超の、人工多能性細胞を含む多能性細胞から多分化能細胞または分化した細胞、例えば、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1共陽性膵臓内胚葉、内分泌先駆体またはNGN3/NKX2.2共陽性内分泌先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞への変換をもたらすことができる。前原条(preprimitive streak)細胞または中内胚葉細胞の単離を使用するプロセスでは、実質的に純粋な前原条細胞または中内胚葉細胞集団を回収することができる。
多能性幹細胞から導出された様々な細胞組成物が、本明細書に記載される。一実施形態は、iPS細胞およびそれから導出された細胞を含む。本明細書に記載される実施形態に関連するが異なるさらに他のプロセスおよび組成物は、2003年12月23日に出願の米国特許仮出願第60/532,004号、表題DEFINITIVE ENDODERM;2004年4月27日に出願の米国特許仮出願第60/566,293号、表題PDX1 EXPRESSING ENDODERM;2004年7月9日に出願の米国特許仮出願第60/586,566号、表題CHEMOKINE CELL SURFACE RECEPTOR FOR THE ISOLATION OF DEFINITIVE ENDODERM;2004年7月14日に出願の米国特許仮出願第60/587,942号、表題CHEMOKINE CELL SURFACE RECEPTOR FOR THE ISOLATION OF DEFINITIVE ENDODERM;2004年12月23日に出願の米国特許出願第11/021,618号、表題DEFINITIVE ENDODERM、および2005年4月26日に出願の米国特許出願第11/115,868号、表題PDX1 EXPRESSING ENDODERM;2005年6月23日に出願の米国特許出願第11/165,305号、表題METHODS FOR IDENTIFYING FACTORS FOR DIFFERENTIATING DEFINITIVE ENDODERM;2005年10月27日に出願の米国特許仮出願第60/730,917号、表題PDX1−EXPRESSING DORSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERM;2005年11月14日に出願の米国特許仮出願第60/736,598号、表題MARKERS OF DEFINITIVE ENDODERM;2006年3月2日に出願の米国特許仮出願第60/778,649号、表題INSULIN−PRODUCING CELLS AND METHOD OF PRODUCTION;2006年7月26日に出願の米国特許仮出願第60/833,633号、表題INSULIN−PRODUCING CELLS AND METHOD OF PRODUCTION;2006年10月18日に出願の米国特許仮出願第60/852,878号、表題ENRICHMENT OF ENDOCRINE PRECURSOR CELLS,IMMATURE PANCREATIC ISLET CELLS AND MATURE PANCREATIC ISLET CELLS USING NCAM;2006年10月27日に出願の米国特許出願第11/588,693号、表題PDX1−EXPRESSING DORSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERM;2007年3月2日に出願の米国特許出願第11/681,687号、表題ENDOCRINE PRECURSOR CELLS,PANCREATIC HORMONE−EXPRESSING CELLS AND METHODS OF PRODUCTION;2007年7月5日に出願の米国特許出願第11/773,944号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES;2007年9月13日に出願の米国特許出願第60/972,174号、表題METHODS OF TREATMENT FOR DIABETES;2007年9月24日に出願の米国特許出願第11/860,494号、表題METHODS FOR INCREASING DEFINITIVE ENDODERM PRODUCTION;2007年10月3日に出願の米国特許出願第60/977,349号、表題CELL SURFACE MARKERS OF HUMAN EMBRYONIC STEM CELLS AND CANCER STEM CELLS;および2008年4月8日に出願の米国特許出願第12/099,759号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES;および2008年4月21日を出願の米国特許出願第12/107,020号、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FORM HUMANE EMBRYONIC STEM CELLSに見出すことができ、それらの開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
hES細胞から導出された内胚葉系列細胞を生成するための一般的な方法は、上記の関連する米国特許出願、ならびにD’Amourら、2005 Nat Biotechnol.23:1534−41、およびD’Amourら、2006 Nat Biotechnol.24(11):1392−401に記載され、それらの開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。D’Amourらにより、5段階の分化プロトコル:ステージ1(大部分は胚体内胚葉生成がもたらされる)、ステージ2(大部分はPDX1陰性前腸内胚葉生成がもたらされる)、ステージ3(大部分はPDX1陽性前腸内胚葉生成がもたらされる)、ステージ4(大部分は膵臓内胚葉または膵臓内分泌前駆体生成がもたらされる)およびステージ5(大部分はホルモン発現内分泌細胞生成がもたらされる)が記載されている。
「栄養外胚葉」という用語は、HAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBB遺伝子からなる群から選択されるマーカーの発現が、非栄養外胚葉細胞または細胞集団におけるHAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBBの発現レベルと比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「胚体外内胚葉」は、SOX7遺伝子、SOX17遺伝子、THBD遺伝子、SPARC遺伝子、DAB1遺伝子、またはAFP遺伝子からなる群から選択されるマーカーの発現レベルが、非胚体外内胚葉細胞または細胞集団におけるSOX7、SOX17、THBD、SPARC、DAB1、またはAFPの発現レベルと比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「前原条細胞」という用語は、FGF8マーカー遺伝子および/またはNODALマーカー遺伝子の発現レベルが、BRACHURY低、FGF4低、SNAI1低、SOX17低、FOXA2低、SOX7低およびSOX1低と比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「中内胚葉細胞」という用語は、brachyuryマーカー遺伝子、FGF4、SNAI1、MIXL1および/またはWNT3マーカー遺伝子の発現レベルが、SOX17低、CXCR4低、FOXA2低、SOX7低およびSOX1低と比較して相対的に高い多分化能細胞を指す。
「胚体内胚葉(DE)」という用語は、腸管または腸管から導出された器官の細胞に分化することができる多分化能内胚葉系列細胞を指す。ある特定の実施形態によると、胚体内胚葉細胞は哺乳動物細胞であり、好ましい実施形態では、胚体内胚葉細胞はヒト細胞である。本発明の一部の実施形態では、胚体内胚葉細胞は、ある特定のマーカーを発現する、またはある特定のマーカーを有意に発現することができない。一部の実施形態では、SOX17、CXCR4、MIXL1、GATA4、HNF3β、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CMKOR1およびCRIP1から選択される1種または複数種のマーカーが胚体内胚葉細胞において発現される。他の実施形態では、OCT4、アルファ−フェトプロテイン(AFP)、トロンボモジュリン(TM)、SPARC、SOX7およびHNF4アルファから選択される1種または複数種のマーカーが胚体内胚葉細胞において発現されないまたは有意には発現されない。胚体内胚葉細胞集団およびそれを生成する方法は、米国特許出願第11/021,618号、表題DEFINITIVE ENDODERM、2004年12月23日出願にも記載され、それは本明細書に完全に組み込まれる。
さらに他の実施形態は、「PDX1陰性前腸内胚葉細胞」または「前腸内胚葉細胞」と呼ばれる細胞培養物、またはその同等物に関する。一部の実施形態では、前腸内胚葉細胞は、SOX17、HNF1β(HNF1B)、HNF4アルファ(HNF4A)およびFOXA1マーカーを発現するが、PDX1、AFP、SOX7またはSOX1を実質的に発現しない。PDX1陰性前腸内胚葉細胞集団およびその生成方法も、2006年10月27日に出願の米国特許出願第11/588,693号、表題PDX1−expressing dorsal and ventral foregut endodermに記載され、それは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本明細書に記載される他の実施形態は、「PDX1陽性の背側に偏った前腸内胚葉細胞」(背側のPDX1陽性前腸内胚葉細胞)または単に「PDX1陽性内胚葉」の細胞培養物に関する。一部の実施形態では、PDX1陽性内胚葉細胞は、表1から選択される1つまたは複数のマーカーおよび/または表2から選択される1つまたは複数のマーカーを発現し、これらも同様に、2006年10月27日に出願の関連する米国特許出願第11/588,693号、表題PDX1 EXPRESSING DOSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERM、および2005年4月26日に出願の米国特許出願第11/115,868号、表題PDX1−expressing endodermに記載され、これらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
本明細書に記載される方法によって生成されるものなどのPDX1陽性前腸内胚葉細胞は、完全に分化した膵臓ホルモン分泌または内分泌細胞、例えばインスリン生成β細胞を生成するために使用することができる前駆体である。本発明の一部の実施形態では、PDX1陽性前腸内胚葉細胞は、PDX1陽性前腸内胚葉細胞を形成するように、PDX1を実質的に発現しない胚体内胚葉細胞(PDX1陰性胚体内胚葉細胞;本明細書では胚体内胚葉とも呼ばれる)を分化させることによって生成される。
本明細書で使用される場合、「膵臓内胚葉」、「膵臓上皮(pancreatic epithelial)」、「膵臓上皮(pancreatic epithelium)」(全て「PE」と省略することができる)「膵臓前駆体」、「PDX−1陽性膵臓内胚葉または膵臓内胚葉細胞(「PEC」)などのその等価物は全て、先駆または前駆膵臓細胞である。本明細書に記載のPECは、ステージ4分化(約12〜14日目)後の前駆細胞集団であり、少なくとも2つの主要な別個の集団:i)NKX6.1を発現するが、CHGAを発現しない(またはCHGA陰性、CHGA−)膵臓前駆細胞;およびii)CHGAを発現する複数ホルモン性(polyhormonal)内分泌細胞(CHGA陽性、CHGA+)を含む。理論に束縛されることなく、NKX6.1を発現するがCHGAを発現しない細胞集団は、PECのより活性かつ治療的な構成成分であると仮定され、一方、CHGA陽性複数ホルモン性内分泌細胞の集団はin vivoでグルカゴン発現膵島細胞にさらに分化および成熟すると仮定される。それらの開示はともに参照により本明細書に完全に組み込まれる、Kellyら(2011)Cell−surface markers for the isolation of pancreatic cell types derived from human embryonic stem cells、Nat Biotechnol.29(8):750−756、2011年7月31日オンライン出版およびSchulzら(2012)、A Scalable System for Production of Functional Pancreatic Progenitors from Human Embryonic Stem Cells、PLosOne 7(5):1−17、e37004を参照されたい。
さらに、時には、膵臓内胚葉細胞は、すぐ上に記載されているPECを指すのではなく、一般に少なくともステージ3およびステージ4型細胞を指して使用される。使用および意味は文脈から明らかになろう。このように多能性幹細胞、ならびに少なくともhES細胞およびhIPS細胞から導出される膵臓内胚葉は、他の内胚葉系の系列細胞型とは、PDX1、NKX6.1、PTF1A、CPA1、cMYC、NGN3、PAX4、ARXおよびNKX2.2マーカーから選択されるマーカーの発現が差次的または高いレベルであるが、膵臓内分泌細胞の特質である遺伝子、例えばCHGA、INS、GCG、GHRL、SST、MAFA、PCSK1およびGLUT1は実質的に発現しないことに基づいて区別される。さらに、NGN3を発現するいくつかの「内分泌前駆細胞」は他の非膵臓構造(例えば、十二指腸)に分化することができる。一実施形態では、本明細書に記載されるNGN3発現内分泌前駆体は、成熟した膵臓系列細胞、例えば膵臓内分泌細胞に分化する。膵臓内胚葉または内分泌前駆細胞集団およびその方法は、米国特許出願第11/773,944号、表題Methods of producing pancreatic hormones、2007年7月5日出願、および米国特許出願第12/107,020号、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FORM HUMAN EMBRYONIC STEM CELLS、2008年4月21日出願にも記載され、それらの開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、「内分泌先駆細胞」は、ニューロゲニン3(NEUROG3)を発現し、限定されずに膵島ホルモン発現細胞などの内分泌系の細胞にさらに分化することができる、胚体内胚葉系列の多分化能細胞を指す。内分泌先駆細胞は、より低い特異性で分化した胚体内胚葉系列細胞、例えばPDX1陽性膵臓内胚葉細胞と比較して、同じくらい多くの異なる細胞、組織および/または器官タイプには分化することができない。
本明細書で使用される場合、「膵島ホルモン発現細胞」、「膵臓内分泌細胞」またはその同等物は、in vitroで多能性細胞から誘導された、複数ホルモン性または単一ホルモン性であってもよい細胞を指す。したがって、内分泌細胞は、ヒト膵島細胞の機能の少なくとも一部を有する、1つまたは複数の膵臓ホルモンを発現することができる。膵島ホルモン発現細胞は、成熟していても未熟であってもよい。未熟な膵島ホルモン発現細胞は、特定のマーカーの差次的発現に基づくか、それらの機能的能力、例えばグルコース応答性に基づいて、成熟した膵島ホルモン発現細胞から区別することができる。
本明細書に記載の実施形態では、限定培地、馴化培地、フィーダーフリー培地、無血清培地などを含めた多くの幹細胞培地培養物または成長環境が想定される。本明細書で使用される場合、「成長環境」または「環境」という用語またはその等価物は、未分化の幹細胞または分化した幹細胞(例えば、霊長類胚性幹細胞)がin vitroで増殖する環境である。環境の特徴は、細胞を培養する培地、および存在する場合には支持構造(例えば、固体表面上の基質など)を含む。多能性細胞を培養または維持するためおよび/または多能性細胞を分化させるための方法は、PCT/US2007/062755、表題COMPOSITIONS AND METHODS USEFUL FOR CULTURING DIFFERENTIABLE CELLS、2007年2月23日出願;米国特許出願第11/993,399号、表題EMBRYONIC STEM CELL CULTURE COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF、2007年12月20日出願;および米国特許出願第11/875,057号、表題Methods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serum、2007年10月19日出願にも記載され、それらの開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
「本質的に」または「実質的に」という用語は、ある成分または細胞が、最小または少ない量で任意の細胞凝集懸濁液タイプ、例えば本明細書に記載される懸濁液中の細胞凝集体中に存在することが、「本質的または実質的に均一」、「本質的または実質的にホモ細胞性」であること、あるいは、「本質的にhES細胞」、「本質的または実質的に胚体内胚葉細胞」、「本質的または実質的に前腸内胚葉細胞」、「本質的または実質的にPDX1陰性前腸内胚葉細胞」、「本質的または実質的にPDX1陽性前膵臓内胚葉細胞」、「本質的または実質的にPDX1陽性膵臓内胚葉または前駆細胞」、「本質的または実質的にPDX1陽性膵臓内胚葉端細胞」、「本質的または実質的に膵臓内分泌先駆細胞」、「本質的または実質的に膵臓内分泌細胞」等で構成されることを意味する。
細胞培養中または細胞集団内の細胞に関して、「を実質的に含まない」という用語は、細胞培養物または細胞集団が含まれないと特定された細胞型が、細胞培養物または細胞集団中に存在する細胞の総数の約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満の量で存在することを意味する。
細胞培養物は、含有する血清が減少しているまたは血清を実質的に含まないまたは血清を含まない培地中で成長させることができる。ある特定の培養条件下で、血清濃度は約0%(v/v)から約10%(v/v)の範囲とすることができる。例えば、いくつかの分化プロセスでは、培地の血清濃度は、約0.05%(v/v)未満、約0.1%(v/v)未満、約0.2%(v/v)未満、約0.3%(v/v)未満、約0.4%(v/v)未満、約0.5%(v/v)未満、約0.6%(v/v)未満、約0.7%(v/v)未満、約0.8%(v/v)未満、約0.9%(v/v)未満、約1%未満(v/v)、約2%未満(v/v)、約3%未満(v/v)、約4%未満(v/v)、約5%未満(v/v)、約6%未満(v/v)、約7%未満(v/v)、約8%未満(v/v)、約9%未満(v/v)または約10%(v/v)未満であってよい。いくつかのプロセスでは、血清を用いずに、または血清代替物を用いずに前原条細胞を成長させる。さらに他のプロセスでは、B27の存在下で前原条細胞を成長させる。そのようなプロセスでは、B27サプリメントの濃度は約0.1%(v/v)から約20%(v/v)までにわたってよい。
さらに他のプロセスでは、B27の存在下で未成熟膵島ホルモン発現細胞を成長させる。そのようなプロセスでは、B27サプリメントの濃度は約0.1%(v/v)から約20%(v/v)までの範囲であってもよく、約20%(v/v)を超える濃度であってもよい。ある特定のプロセスでは、培地中のB27の濃度は、約0.1%(v/v)、約0.2%(v/v)、約0.3%(v/v)、約0.4%(v/v)、約0.5%(v/v)、約0.6%(v/v)、約0.7%(v/v)、約0.8%(v/v)、約0.9%(v/v)、約1%(v/v)、約2%(v/v)、約3%(v/v)、約4%(v/v)、約5%(v/v)、約6%(v/v)、約7%(v/v)、約8%(v/v)、約9%(v/v)、約10%(v/v)、約15%(v/v)または約20%(v/v)である。あるいは、添加するB27サプリメントの濃度は、市販のB27ストック溶液の強度の倍数として測定することができる。例えば、B27はInvitrogen(Carlsbad、CA)から50×ストック溶液として入手可能である。十分な量のこのストック溶液を十分な体積の成長培地に添加することにより、所望の量のB27が補充された培地を生成する。例えば、50×B27ストック溶液10mlを成長培地90mlに添加することにより、5×B27が補充された成長培地を生成することになる。培地中のB27サプリメントの濃度は、約0.1×、約0.2×、約0.3×、約0.4×、約0.5×、約0.6×、約0.7×、約0.8×、約0.9×、約1×、約1.1×、約1.2×、約1.3×、約1.4×、約1.5×、約1.6×、約1.7×、約1.8×、約1.9×、約2×、約2.5×、約3×、約3.5×、約4×、約4.5×、約5×、約6×、約7×、約8×、約9×、約10×、約11×、約12×、約13×、約14×、約15×、約16×、約17×、約18×、約19×、約20×および約20×超であってよい。
本明細書で使用される場合、例えば成長因子、分化因子などの「外因的に添加された」化合物とは、培養物または馴化培地に関しては、培養物または培地にすでに存在していてもよい任意の化合物または成長因子を補うために培養物または培地に添加される成長因子を指す。例えば、一部の実施形態では、細胞培養物および/または細胞集団は、外因的に添加されたレチノイドを含まない。
本明細書で使用される場合、「レチノイド」とは、レチノール、レチナールまたはレチノイン酸ならびにこれらの化合物のいずれかの誘導体を指す。好ましい実施形態では、レチノイドはレチノイン酸である。
「FGFファミリー成長因子」、「線維芽細胞成長因子」または「線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバー」は、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22およびFGF23からなる群から選択されるFGFを意味する。一部の実施形態では、「FGFファミリー成長因子」、「線維芽細胞成長因子」または「線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバー」とは、公知の線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーとの相同性および/またはそれと同様の機能を有する任意の成長因子を意味する。
本明細書で使用される場合、「発現」は、材料または物質の生成ならびに材料または物質の生成のレベルまたは量を指す。したがって、特定のマーカーの発現を決定することとは、発現されるマーカーの相対量または絶対量を検出することまたは単にマーカーが存在するかしないかを検出することを指す。
本明細書で使用される場合、「マーカー」は、観察または検出することができる任意の分子を指す。例えば、マーカーとしては、これだけに限定されないが、特定の遺伝子の転写物などの核酸、遺伝子のポリペプチド産物、非遺伝子産物ポリペプチド、糖タンパク質、炭水化物、糖脂質、脂質、リポタンパク質または小分子(例えば、分子量が10,000amu未満の分子)を挙げることができる。
本明細書に記載の大多数のマーカーについて、公式のHuman Genome Organization(HUGO)遺伝子記号が提供される。HUGO Gene Nomenclature Committeeにより開発されるそのような記号により、命名されたヒト遺伝子および遺伝子産物のそれぞれに対して特有の略語が提供される。当業者はこれらの遺伝子記号を容易に認識することができ、また、対応する独特のヒト遺伝子および/またはタンパク質配列と容易に関連付けることができる。
HUGOによる名称によると、以下の遺伝子記号は次のように定義される:GHRL−グレリン;IAPP−島アミロイドポリペプチド;INS−インスリン;GCG−グルカゴン;ISL1−ISL1転写因子;PAX6−ペアードボックス遺伝子6;PAX4−ペアードボックス遺伝子4;NEUROG3−ニューロゲニン3(NGN3);NKX2−2−NKX2転写因子関連遺伝子座2(NKX2.2);NKX6−1−NKX6転写因子関連遺伝子座1(NKX6.1);IPF1−インスリンプロモーター 因子1(PDX1);ONECUT1−ワンカットドメイン、ファミリーメンバー1(HNF6);HLXB9−ホメオボックスB9(HB9);TCF2−転写因子2、肝臓(HNF1b);FOXA1−フォークヘッドボックスA1;HGF−肝細胞成長因子;IGF1−インスリン様成長因子1;POU5F1−POUドメイン、クラス5、転写因子1(OCT4);NANOG−Nanogホメオボックス;SOX2−SRY(性決定領域Y)−ボックス2;CDH1−カドヘリン1、1型、E−カドヘリン(ECAD);T−brachyuryホモログ(BRACH);FGF4−線維芽細胞成長因子4;WNT3−無翅型MMTV組み込み部位ファミリー、メンバー3;SOX17−SRY(性決定領域Y)−ボックス17;GSC−グースコイド;CER1−(ケルベロス1、システインノットスーパーファミリー、ホモログ(CER);CXCR4−ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4;FGF17−線維芽細胞成長因子17;FOXA2−フォークヘッドボックスA2;SOX7−SRY(性決定領域Y)−ボックス7;SOX1−SRY(性決定領域Y)−ボックス1;AFP−アルファ−フェトプロテイン;SPARC−分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);およびTHBD−トロンボモジュリン(TM)、NCAM−神経系細胞接着分子;SYP−シナプトフィジン;ZIC1−Zicファミリーメンバー1;NEF3−神経フィラメント3(NFM);SST−ソマトスタチン;MAFA−v−maf筋腱膜線維肉腫癌遺伝子ホモログA;MAFB−v−maf筋腱膜線維肉腫癌遺伝子ホモログB;SYP−シナプトフィジン;CHGA−クロモグラニンA(副甲状腺分泌型タンパク質1)。
非HUGO遺伝子記号に対応する完全遺伝子名、ならびに本明細書で使用することができる他の略記号を以下に提供する:SS−ソマトスタチン(SOM);PP−膵臓ポリペプチド;Cペプチド−接続ペプチド;Ex4−エキセンディン4;NIC−ニコチンアミドおよびDAPT−N−[N−(3,5−ジフルオロフェナセチル)−L−アラニル]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル;RA−レチノイン酸;RPMI−Roswell Park Memorial Institute培地;CMRL−Connaught Medical Research Labs培地;FBS−ウシ胎児血清;NBP 10−NCAM結合タンパク質10;PTF1a−膵臓特異的転写因子1a。
多能性細胞から種々の多分化能および/または分化した細胞への進行は、遺伝子、または遺伝子マーカーの相対的な発現量、特定の細胞の特性を、第2の遺伝子または対照遺伝子、例えばハウスキーピング遺伝子の発現と比較して決定することによってモニタリングすることができる。いくつかのプロセスでは、ある特定のマーカーの発現を、マーカーが存在するかしないかを検出することによって決定する。あるいは、ある特定のマーカーの発現は、細胞培養物または細胞集団の細胞中でマーカーが存在するレベルを測定することによって決定することができる。そのようなプロセスでは、マーカーの発現の測定は定性的であっても定量的であってもよい。マーカー遺伝子によって生成するマーカーの発現を定量化する1つの方法は、定量的PCR(Q−PCR)を使用することによるものである。Q−PCRを実施する方法は当技術分野で周知である。当技術分野で公知の他の方法も、マーカー遺伝子発現を定量化するために使用することができる。例えば、マーカー遺伝子の発現産物は、目的のマーカー遺伝子産物に特異的な抗体を使用することによって検出することができる。
いくつかのプロセスでは、以下の遺伝子の高発現により、細胞のある特定の集団が示される。例えば、SOX17、SOX7、AFPまたはTHBDにより胚体外内胚葉が示され、NODALおよび/またはFGF8により前原条が示され、brachyury、FGF4、SNAI1および/またはWNT3により中内胚葉が示され、CER、GSC、CXCR4、SOX17およびFOXA2により胚体内胚葉細胞が示され、SOX17、FOXA2、FOXA1、HNF1BおよびHNF4Aにより前腸内胚葉(またはPDX1陰性内胚葉)が示され、PDX1、HNF6、SOX9およびPROX1によりPDX1陽性内胚葉が示され、PDX1、NKX6.1、PTFA1、CPAおよびcMYCにより膵臓上皮(PEまたは膵臓前駆体)が示され、NGN3、PAX4、ARXおよびNKX2.2により内分泌先駆細胞が示され、INS、GCG、GHRL、SSTおよびPPにより種々の内分泌細胞が示され、MAFA遺伝子発現がMAFB遺伝子発現に対して相対的に高いことにより、インスリン分泌内分泌細胞が示され、MAFA遺伝子発現に対するMAFBの相対的な高発現により、グルカゴン分泌内分泌細胞が示される。
用語線維芽細胞成長因子7(FGF7)およびケラチノサイト成長因子(KGF)は、同義である。
人工多能性幹(iPS)細胞を生成するための方法
本明細書に記載の実施形態は、いかなる1つの型のiPS細胞にも、いかなる1つのiPS細胞の生成方法にも限定されない。種々の方法が存在するので、実施形態は限定的なものではない、またはiPS細胞の生成の効率のレベルに左右される。本明細書に記載の実施形態はiPS細胞の内胚葉系列細胞への分化およびその使用にあてはまる。
アデノウイルス、プラスミド、またはCre−loxP3もしくはpiggy BAC転位を使用したリプログラミング因子の切除を使用する、人工多能性幹細胞(iPSC)を生じさせるためのウイルスによる方法、ウイルスによらない方法および非組込み型ウイルスによる方法が記載されている。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Stadtfeld,M.ら、Science 322、945−949(2008);Okita,K.ら、Science 322、949−953(2008);Kaji,K.ら、Nature 458、771−775(2009);Soldner,F.ら、Cell 136、964−977(2009);およびWoltjen,K.ら、Nature 458、766−770(2009)を参照されたい。同様に、それらもまた参照により本明細書に完全に組み込まれる、Mack,A.らに対する米国特許出願公開第20100003757号(2010年1月7日公開)およびShiらに対するPCT/US2009/037429も参照されたい。しかし、これらの方法のリプログラミング効率は低く(<0.003%)、切除にもかかわらずベクター配列が残留する可能性があり、それにより、それらの治療への適用が限定される。例えば、上記の転写因子の宿主ゲノムへのウイルスによる組み込みおよび過剰発現は腫瘍形成に関連付けられており、導入遺伝子の発現が残留することは、ES細胞およびiPS細胞を区別する潜在的な特徴である。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Solder,F.ら、Cell 136:964−977(2009);Fosterら、Oncogene 24:1491−1500(2005);およびHochedlinger,K.ら、Cell 121:465−477(2005)を参照されたい。
本発明の他の実施形態では、iPSCを生じさせるための方法はエプスタイン・バーウイルス由来のエピソームベクターを含む。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Yu,J.ら、Science324、797−801(2009)およびMack,A.らに対する米国特許出願公開第20100003757号、2010年1月7日公開を参照されたい。これらの方法では、癌遺伝子SV40を含めた7種の因子の組合せを有する3つの別々のプラスミドが必要である。
本発明の別の実施形態では、iPSCを生じさせるための方法は、マウス細胞およびヒト胎児細胞および新生児細胞由来のタンパク質に基づくiPSCを含む。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Zhou,H.ら、Cell Stem Cell 4、381−384(2009);およびKim,D.ら、Cell Stem Cell 4、472−476(2009)を参照されたい。これらの方法体系は、化学的処理(例えば、Zhouら、2009、上記の場合ではバルプロ酸)または多数回の処理(Kimら、2009、上記)を使用して実現される。
本発明の別の実施形態では、細菌の複製開始点および抗生物質耐性遺伝子を欠くスーパーコイルDNA分子であるミニサークルベクターまたはプラスミドを使用することができる。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Chen、Z.−Y.ら、Mol. Ther. 8、495−500(2003);Chen、Z.−Y.ら、Hum. Gene Ther. 16、126−131(2005);およびJia,Fら、Nature Methods Advance Publication Online 7 February 2010を参照されたい。これらの方法体系では、外因性サイレンシング機構の活性化が低いので、より高いトランスフェクション効率およびより長期の異所性発現でiPSCが生じる。
本発明のさらに別の実施形態では、糖尿病患者、ALS、脊椎筋ジストロフィーおよびパーキンソン患者を含めた種々の疾患のヒト患者からiPS細胞を生じさせることができる。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Maehrら、PNAS USA 106(37):15768−73(2009);Dimosら、Science、321:1218−21(2008);Ebertら、Nature 457:277−80(2009);Parkら、Cell 134:877−886(2008);およびSoldnerら、Cell 136:964−977を参照されたい。特定の疾患を有する患者からhIPS細胞を生成することの少なくとも1つの利点は、導出された細胞がヒト疾患の遺伝子型および細胞応答を含有することである。現存するヒトiPS細胞株の少なくとも一部が列挙されている表3も参照されたい。この情報は、文献および例えばNational Institutes of Health(NIH) Stem Cell Registry,the Human Embryonic Stem Cell RegistryおよびUniversity of Massachusetts Medical School,Worcester,Massachusetts,USAにあるInternational Stem Cell Registryを含めた公的に利用可能なデータベースから得られるものである。これらのデータベースは、細胞株が利用可能になり登録が得られた時に定期的に更新されている。
本明細書に記載の組成物および方法の複数の実施形態では、これだけに限定されないが、CyT49、CyT212、CyT203、CyT25、(少なくとも本出願の出願時に、ViaCyte Inc.、3550 General Atpmics Court、San Deigo CA 92121から市販されていた)、BGO1、BG02およびMEL1を含めたhESCなどのヒト多能性幹細胞、ならびにiPSC−482c7およびiPSC−603(Cellular Dynamics International、Inc.、Madison、Wisconsin)、ならびにiPSC−G4(以下「G4」)およびiPSC−B7(以下、「B7」)(Shinya Yamanaka、Center for iPS Cell Research、Kyoto University)などの人工多能性幹(iPS)細胞を含めた種々の分化可能な霊長類多能性幹細胞の使用が意図されており、G4およびB7を使用した試験は、本明細書に詳しく記載されている。ある特定のこれらのヒト多能性幹細胞はNational Institutes of Health(NIH)などの国際登録機関に登録され、NIH Human Stem Cell Registryに列挙されている(例えば、CyT49の登録番号は0041である)。他の入手可能な細胞株はstemcells.nih.gov/research/registryのワールドワイドウェブにも見出すことができる。さらに他の細胞株、例えば、BG01およびBGO1vは、それぞれWisconsin International Stem Cell(WISC)Bankの関係団体であるWiCell(登録商標)(カタログ名、BG01)およびATCC(カタログ番号SCRC−2002)によって第三者に販売および配布されている。本明細書に記載の他の細胞株はWiCell(登録商標)またはATCCなどの生物学的リポジトリによって登録または配布されていない場合があるが、そのような細胞株は原理研究者、研究室および/または施設から直接または間接的に公に入手可能である。細胞株および試薬の公開要求は、例えば生命科学の当業者にとっては通例である。一般には、これらの細胞または材料の譲渡は、細胞株または材料の所有者と受取人の間の標準の材料譲渡契約を介する。これらの型の材料譲渡は、特に生命科学における研究環境では頻繁に生じる。実際、出願人は、CyT49(2006)、CyT203(2005)、Cyt212(2009)、CyT25(2002)、BG01(2001)、BG02(2001)、BG03(2001)およびBGOlv(2004)を含めた細胞が導出され特徴付けられた時から、営利および非営利産業パートナーおよび共同研究者とのそのような契約を通じて常套的に細胞の譲渡を受けてきた。前記の一覧の各細胞株の隣の括弧内の年は、細胞株または材料が公的に入手可能かつ不死のものになった(例えば細胞バンクが作製された)年を示し、したがって、組成物を作製するためおよび本明細書に記載の方法を実施するためにこれらの細胞株が樹立された時から別の胚の破壊は実施または要求されていない。
2006年8月、Klimanskayaらは、hESCは単一の割球から誘導することができ、したがって胚を無傷にしておき、それらの破壊を引き起こさないことを実証した。顕微操作技術を使用して各胚から生検を実施し、十九(19)個のES細胞様増生および二(2)個の安定したhESC系が得られた。これらのhESC系は六(6)カ月以上も未分化状態に維持することができ、正常な核型、ならびにOct−4、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60、TRA−1−81、Nanogおよびアルカリ性ホスファターゼを含む多能性のマーカーの発現を示した。これらのhESCは、in vitroで全て三つ(3つ)の胚性胚葉の誘導体を分化、形成すること、およびin vivoでテラトーマの形で形成することができる。胚の破壊なしで新しい幹細胞系を作製するこれらの方法は、ヒト胚を使用することの倫理上の懸念に対処する。その開示が参照により本明細書に完全に組み込まれる、Klimanskayaら(2006)Nature 444:481〜5頁、Epub 2006年8月23日を参照。しかし、Klimanskayaらは、誘導したhESC系を他のhESCと共培養した。後に、2008年に、Chung Y.らは、hESCとの共培養なしで単一の割球から再びhES細胞系を得ることができた。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Chung Y.ら、Cell Stem Cell 2008、2(2)、113〜117頁を参照。したがって、本明細書に記載される組成物および方法、特に人工多能性幹細胞または遺伝的に脱分化した多能性幹細胞に関連するようなそのような組成物および方法は、ヒト胚の破壊を必要としない。
表3および表4は、それぞれ、ある特定のiPSCおよびhESCの包括的ではない一覧であり、研究目的および/または商業目的で世界的に利用可能であり、本発明の方法および組成物での使用に適している。表3および表4の情報は、文献および例えばNational Institutes of Health(NIH)Human Stem Cell Registry、Human Embryonic Stem Cell RegistryおよびUniversity of Massachusetts Medical School、Worcester、Massachusetts、USAにあるInternational Stem Cell Registryを含めた公的に利用可能なデータベースから得られるものである。これらのデータベースは、細胞株が利用可能になり登録が得られた時に定期的に更新されている。
本明細書に記載のヒトiPSC(少なくともiPSC−603およびiPSC−482−c7)はCellular Dynamics International,Inc.(Madison、Wisconsin、USA)により提供されたものである。
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
別の利点は、そのようなhIPS細胞が免疫学的に適合した自己細胞集団であり、患者に特異的な細胞により、疾患の起源および進行を試験することが可能になることである。したがって、疾患の根本原因を理解することが可能であり、それにより、疾患に対する予防的処置および治療的処置の開発を導く洞察がもたらされ得る。
多能性ヒト胚性幹(hES)細胞
一部の実施形態は、胚体内胚葉細胞および最終的には、これだけに限定されないが、前腸内胚葉、膵臓内胚葉、内分泌先駆細胞および/または膵島ホルモン発現細胞を含めた任意の内胚葉系列由来細胞型を、ヒト胚性幹(hES)細胞を出発材料として使用して導出するための方法を対象とする。これらのhES細胞は、桑実胚、胚内部細胞塊または胚の生殖***から得られるものを起源とする細胞であってよい。ヒト胚性幹細胞は、当技術分野で公知の方法を使用して、培養物中、実質的な分化を伴わずに多能性の状態で維持することができる。そのような方法は、例えば、米国特許第5,453,357号、同第5,670,372号、同第5,690,926号、同第5,843,780号、同第6,200,806号および同第6,251,671号に記載され、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
いくつかのプロセスでは、多能性幹細胞、例えばhES細胞は、フィーダー層上で維持される。そのようなプロセスでは、多能性細胞を多能性の状態で維持することを可能にする任意のフィーダー層を使用することができる。ヒト胚性幹細胞の培養(cultivation)に一般に使用されるフィーダー層の1つは、マウス線維芽細胞の層である。つい最近、多能性細胞の培養(cultivation)において使用するためのヒト線維芽細胞フィーダー層が開発された(その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0072117号)。代替のプロセスでは、フィーダー層を使用せずに多能性細胞を維持することが可能になる。多能性細胞をフィーダーフリー条件下で維持する方法は、米国特許出願公開第2003/0,175,956号に記載されており、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本明細書に記載の多能性細胞は、血清を含むまたは含まない、細胞外マトリックスを含むまたは含まない、FGFを含むまたは含まない培養物中で維持することができる。いくつかの多能性細胞の維持手順では、血清代替物を使用する。多能性細胞または多分化能細胞を培養し、分化させるためのこれらおよび他の方法は、それぞれ、PCT/US2007/062755、2007年2月23日出願、表題COMPOSITIONS AND METHODS FOR CULTURING DIFFERENTIAL CELLSおよびPCT/US2008/080516、2008年10月20日出願、表題METHODS AND COMPOSITIONS FOR FEEDER−FREE PLURIPOTENT STEM CELL MEDIA CONTAINING HUMAN SERUMに記載され、それらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本明細書に記載の発明は全てのhES細胞株、および少なくとも、表4に列挙されているものと共に有用である。この情報は、文献および例えば、National Institutes of Health(NIH) Stem Cell Registry、Human Embryonic Stem Cell RegistryおよびUniversity of Massachusetts Medical School、Worcester、Massachusetts、USAにあるInternational Stem Cell Registryを含めた公的に利用可能なデータベースから得られるものである。これらのデータベースは、細胞株が利用可能になり登録が得られた時に定期的に更新されている。本出願の出願日現在、Internation Stem Cell Registryに掲載された254個のiPSC系、および1211個のhESC系があった。以下の表4は列挙されているhESCおよびiPSCの全てを含むものではなく、潜在的に入手可能な多能性幹細胞の例である。
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
Figure 0006517702
多能性脱分化体細胞
最近、ある特定の核リプログラミング因子を使用した試験により、多能性幹細胞または多能性様幹細胞を患者自身の体細胞から導出することが可能になった。これらの細胞は人工多能性幹(iPS)細胞とも称される。本発明では、Shinya Yamanaka、Kyoto Universityにより提供された種々のiPS細胞株について記載されている。しかし、他のiPS細胞株、例えばJames Thomsonら、A1.に記載されているものは本発明によるものである。参照により本明細書に完全に組み込まれる、米国特許出願公開第20090047263号、国際公開WO2005/80598、米国特許出願公開第20080233610号および国際公開WO2008/11882を参照されたい。したがって、本明細書で使用される場合、「人工多能性幹(iPS)細胞」とは、他の多能性幹細胞、例えばhES細胞、hEG細胞、pPS(霊長類多能性幹)細胞、単為発生細胞などと同様の性質を有する細胞を意味する。
核プログラミング因子は、米国特許出願公開第20090047263号、国際公開WO2005/80598、米国特許出願公開第20080233610号および国際公開WO2008/11882に記載されており、卵、胚、またはES細胞を使用せずに、分化した細胞のリプログラミングを誘導するために使用される。本発明で使用され、記載されているものと同様の核リプログラミング因子を使用することによって体細胞から誘導されたiPS細胞を調製するための方法は特に限定されない。好ましい実施形態では、体細胞および人工多能性幹細胞が増殖し得る環境で核リプログラミング因子を体細胞と接触させる。本明細書に記載のある特定の実施形態の利点は、卵、胚、または胚性幹(ES)細胞の不在下で核リプログラミング因子を体細胞と接触させることによって人工多能性幹細胞を調製することができることである。核リプログラミング因子を使用することによって、体細胞の核をリプログラミングしてiPS細胞または「ES様細胞」を得ることができる。
本明細書に記載の多能性幹細胞は、hES細胞であるかiPS細胞であるかにかかわらず、これだけに限定されないが、アルカリホスファターゼ(AP);ABCG2;ステージ特異的胚抗原−1(SSEA−1);SSEA−3;SSEA−4;TRA−1−60;TRA−1−81;Tra−2−49/6E;ERas/ECAT5、E−カドヘリン;.β.III−チューブリン;.アルファ.−平滑筋アクチン(アルファ.−SMA);線維芽細胞成長因子4(Fgf4)、クリプト(Cripto)、Dax1;ジンクフィンガータンパク質296(Zfp296);N−アセチルトランスフェラーゼ−1(Nat1);(ES細胞関連転写物1(ECAT1);ESG1/DPPA5/ECAT2;ECAT3;ECAT6;ECAT7;ECAT8;ECAT9;ECAT10;ECAT15−1;ECAT15−2;Fthl17;Sall4;未分化胚細胞転写因子(Utf1);Rex1;p53;G3PDH;TERTなどのテロメラーゼ;サイレントX染色体遺伝子;Dnmt3a;Dnmt3b;TRIM28;F−ボックス含有タンパク質15(Fbx15);Nanog/ECAT4;Oct3/4;Sox2;Klf4;c−Myc;Esrrb;TDGF1;GABRB3;Zfp42、FoxD3;GDF3;CYP25A1;発生多能性関連2(developmental pluripotency−associated 2)(DPPA2);T細胞リンパ腫ブレイクポイント1(T−cell lymphoma breakpoint 1)(Tcl1);DPPA3/Stella;DPPA4などの任意の数の多能性細胞マーカーを発現し得る。本発明は本明細書において列挙されているマーカーに限定されず、細胞表面マーカー、抗原、ならびにEST、RNA(マイクロRNAおよびアンチセンスRNAを含む)、DNA(遺伝子およびcDNAを含む)およびその一部を含めた他の遺伝子産物などのマーカーを包含することが理解される。
一実施形態では、本明細書で使用されるiPS細胞株は、以下の核リプログラミング因子遺伝子を含有する:Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、およびSoxファミリー遺伝子。ある1つのiPS細胞株では、以下の3種類の遺伝子:Oct3/4、Klf4、およびSox2のそれぞれが提供される。以下の3種類の遺伝子:Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、およびMycファミリー遺伝子、例えば、Oct3/4、Klf4およびc−Mycのそれぞれの他のiPS細胞株遺伝子産物を使用した。したがって、核リプログラミング因子はMycファミリー遺伝子を含んでもよく含まなくてもよいことが理解される。
本明細書に記載されており、当技術分野でも公知の核リプログラミング因子は、分化した成体の体細胞からiPS細胞を生じさせるために使用することができ、また、これはリプログラミングされる体細胞の型に限定されない、すなわち、任意の種類の体細胞をリプログラミングまたは脱分化させることができる。体細胞のリプログラミングには卵および/または胚が必要ないので、iPS細胞は哺乳動物細胞であってよく、したがって、患者または疾患に特異的な多能性幹細胞を生じさせる機会がもたらされる。
多能性幹細胞の凝集懸濁液
個々の細胞をポリマー足場、マトリックスおよび/またはゲルに播種することに基づく、以前に公知の組織工学の方法とは対照的に、本明細書に記載の実施形態では、多能性幹細胞から形成された細胞凝集懸濁液、単一細胞懸濁液またはそれから導出された分化した単一細胞懸濁液を使用することができる。幹細胞凝集懸濁液の処理および/または製造ならびにその細胞の分化の方法は、国際出願PCT/US2007/062,755およびPCT/US2008/082,356に記載され、それらは参照により完全に本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、多能性幹細胞培養物、例えばhESまたはiPS細胞培養物の単細胞懸濁液から、多能性幹細胞凝集懸濁液を生成する方法が提供される。多能性幹細胞は線維芽細胞フィーダーで最初に培養することができるか、またはフィーダーフリーであってもよい。hES細胞を単離し、それらをヒトフィーダー細胞の上で培養する方法は、米国特許第7,432,104号に記載され、それは参照により完全に本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、「単一細胞懸濁液」という用語またはその等価物は、多能性、多分化能もしくは最終分化した単一細胞懸濁液、または多能性細胞もしくは多分化能細胞から任意の機械的手段または化学的手段によって導出された単一細胞懸濁液を指す。一次組織、付着した培養物中の細胞、および凝集体から細胞クラスターを解離させて単一細胞懸濁液を形成するためのいくつかの方法、例えば、物理的な力(細胞スクレーパー、口径が狭いピペットを通しての粉砕、細針穿刺吸引、ボルテックスによる脱凝集および細かいナイロンメッシュまたはステンレス鋼メッシュを通した強制的な濾過などの機械的解離)、酵素(例えばトリプシン、コラゲナーゼ、アキュターゼ(商標)などの酵素による解離)、またはその両方の組合せが存在する。さらに、多能性細胞、多分化能細胞または分化した細胞の単一細胞への解離を支持することができる方法および培養培地条件は、多ウェルプレートアッセイのための増殖、細胞選別、および規定された播種のために有用であり、また、培養順およびクローン増殖の自動化を可能にする。
他の実施形態は、分化培地、例えば作用物質、好ましくはTGFβファミリーの受容体を活性化することが可能であるTGFβファミリーメンバー、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF−8、GDF−11およびNodalを含有する分化培地に、多能性幹細胞凝集懸濁液を直接に生成する方法を提供する。内胚葉の生成のための成長因子は、国際出願番号PCT/US2008/065,686に記載され、それは参照により完全に本明細書に組み込まれる。分化培地で細胞凝集懸濁液を生成する方法は、同様に本明細書に記載される、多能性幹細胞培地、例えばPCT/US2007/062,755に記載されるヘレグリンをベースとしたDC−HAIF培地に基づくStemPro(登録商標)hES SFM(Invitrogen)で細胞凝集懸濁培養物の生成を提供する他の方法から区別することができる。
本明細書に記載の実施形態は、多能性接着培養物から、多能性細胞を、未分化の状態での増殖を可能にする接着性成長培養条件で培養し、接着性多能性細胞培養物を単一細胞懸濁培養物に解離させ、単一細胞懸濁培養物を、単一細胞懸濁培養物を単一細胞懸濁培養物から懸濁液中の多能性由来細胞凝集体が形成されるまでの期間にわたって撹拌することによって懸濁液中のhES由来細胞凝集体の形成を可能にする第1の分化培養条件と接触させ、それにより、懸濁液中の多能性由来細胞凝集体を生じさせることによって懸濁液中の多能性細胞凝集体を生じさせるための方法に関する。好ましい実施形態では、単一細胞懸濁培養物の撹拌は、約80rpm〜160rpmで回転させることによって実施する。本明細書に記載のある特定の他の実施形態では、多能性幹細胞の凝集、成長、増殖、増大および/または細胞塊を容易にするためにrhoキナーゼ阻害剤を使用する。
本明細書に記載される実施形態は、未分化状態での増大を可能にする接着性成長培養条件でhES細胞を培養し;未分化hES細胞をhES細胞の分化に適する第1の分化培養条件と接触させて、接着性多能性由来細胞をもたらし;接着性のhES由来細胞を単一細胞懸濁培養物に解離させ;単一細胞懸濁培養物が懸濁状の多能性由来細胞凝集体を形成するそのような時期まで単一細胞懸濁培養物を撹拌することによって、単一細胞懸濁培養物を、懸濁状のhES由来細胞凝集体の形成を可能にする第2の分化培養条件と接触させ、それにより懸濁状の多能性由来細胞凝集体を生成することによって、多能性由来単一細胞懸濁液から懸濁状の多能性由来細胞凝集体を生成する方法にも関する。好ましい実施形態では、単一細胞懸濁培養物の撹拌は、約80rpmから160rpmの回転によって実施される。
好ましい実施形態では、製造規模の懸濁培養は、細胞密度を最大にしながら細胞生存力を維持する方法として、培地の連続潅流を利用する。この関係において、培地交換は、接着細胞および懸濁凝集体に異なった影響を及ぼす流体剪断を培養物に寄与する。培地が細胞表面を接線方向に越流するので、固定された接着細胞は流体剪断応力を受ける。対照的に、凝集体は剪断力の負荷に応答して自由に転がるので、懸濁凝集体が受ける凝集体表面を横切る剪断応力はかなりより弱い。長期間の剪断応力は接着性の多能性細胞に有害であり、最適な生存および機能のために懸濁凝集形式が好ましいと予想される。したがって、多能性幹細胞および/または多能性幹細胞から導出された多分化能前駆細胞の生成のための効率的な製造プロセスの必要性、ならびに剪断速度および剪断応力に関する上記の観察された機構に基づき、本明細書に記載される実施形態は、初めて、懸濁液形式、特に細胞凝集懸濁液形式の、多能性幹細胞から導出された多能性幹細胞および/または多分化能前駆細胞の生成のための製造方法を提供する。
さらに別の実施形態では、hES細胞凝集懸濁液を、血清を実質的に含まない培地中、さらに、外因的に添加された線維芽細胞成長因子(FGF)の不在下で培養した。これは、血清を含まないが、FGFなどの外因的に添加された成長因子を含有する培地中でhES細胞を培養することが必要なThomson,J.に対する米国特許第7,005,252号とは区別される。一部の実施形態では、iPS細胞凝集懸濁液を、血清を実質的に含まない培地中で、かつ/または、さらに、外因的に添加された線維芽細胞成長因子(FGF)の不在下で培養する。
サイズおよび形状の両方が異なるかもしれない既知の方法によって生成される細胞凝集体と対照的に、本明細書に記載される細胞凝集体および方法はサイズおよび形状の狭い分布を有し、すなわち、細胞凝集体はサイズおよび/または形状が実質的に均一である。細胞凝集体のサイズ均一性は、分化性能および培養均一性のために重要である。基本的な物質輸送分析を凝集体に適用すると、等しい透過性を仮定する限り、大きな凝集体の中央への酸素および栄養素の拡散は、より小さい凝集体への拡散と比較して遅くなると予想される。膵臓系列細胞への凝集ES細胞またはiPS細胞の分化は特定の成長因子の一時的適用に依存するので、異なる径の凝集体の混合物による培養物は、細胞凝集体の均一な(サイズおよび形状)培養物と比較して非同期化される可能性がある。細胞凝集体のこの混合物は異質性をもたらし、結果として分化性能が劣り、最終的に製造、規模拡大および生産に適合しない可能性がある。したがって、本明細書で使用される場合、語句「実質的に均一」または「サイズおよび形状が実質的に均一」またはその同等物は、凝集体の均一性の広がり程度を指し、約20%以下である。別の実施形態では、凝集体の均一性の広がり程度は、約15%、10%または5%以下である。
凝集体当たりの細胞の正確な数は重要ではないが、各凝集体のサイズ(したがって、凝集体当たりの細胞の数)は酸素および栄養分が中心細胞に拡散する最大限度によって限定されること、およびこの数は細胞型およびその細胞型の栄養素の要件に応じても変動し得ることが当業者には理解されよう。細胞凝集体は、凝集体当たり最小数の細胞(例えば、2つまたは3つの細胞)を含んでもよく、凝集体当たり何百ものまたは何千もの細胞を含んでもよい。一般には、細胞凝集体は、凝集体当たり数百から数千の細胞を含む。本発明の目的上、細胞凝集体は、一般には約50ミクロンから約600ミクロンまでのサイズであるが、細胞型に応じて、サイズはこの範囲を下回ることも上回ることもある。一実施形態では、細胞凝集体は、約50ミクロンから約250ミクロンまでのサイズ、または約75〜200ミクロンのサイズであり、約100〜150ミクロンのサイズであることが好ましい。
さらに他の方法では胚様体(EB)の作製が記載されている。本明細書で使用される場合、「胚様体」、「凝集体(aggregate body)」という用語またはその等価物は、ES細胞が単層培養物中で過成長した際、または、未定義の培地中の懸濁培養物中で維持された、または非定方向プロトコルによって多数の胚葉組織に分化した際に生じる分化した細胞および未分化の細胞の凝集体を指す。すなわち、EBは、本明細書に記載の多能性幹細胞の単一細胞懸濁液から形成されることもなく、EBは、多能性由来多分化能細胞の接着培養物から形成されることもない。これらの特徴単独により、本発明は胚葉体から明白に区別される。
分化した細胞と未分化の細胞の混合物であり、一般にはいくつかの胚葉由来の細胞からなり、ランダムな分化をたどる胚様体とは対照的に、本明細書に記載の細胞凝集体は、基本的にまたは実質的に均一な細胞であり、多能性、多分化能、二分化能、または単能性型の細胞、例えば、胚細胞、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉、膵臓内分泌細胞などの凝集体として存在する。
本明細書に記載される実施形態は、大規模製造に容易に適用することができるプロセスを使用して、サイズおよび形状が実質的に均一である細胞凝集体を繰り返し生成することが可能な費用効率の高い製造プロセスまたは方法を提供することによって、上記の問題に対処する。特定の一実施形態では、分化可能な細胞は、本発明の細胞培地を用いて懸濁培養で増殖させる。別の特定の実施形態では、分化可能な細胞は懸濁状態で維持および増殖することができ、すなわち、それらは未分化のままであるか、さらに分化することを阻止される。細胞培養との関連で「増殖させる」という用語は、当技術分野で使用されるように使用され、細胞の増殖および細胞数の増加、好ましくは存続可能な細胞数の増加を指す。具体的な実施形態では、約1日、すなわち約24時間を超えて培養することによって、細胞を培養懸濁液で増殖させる。より具体的な実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7日、または少なくとも2、3、4、5、6、7、8週の間培養することによって、細胞を懸濁培養で増殖させる。
本発明のさらに他の実施形態は、分化した多能性幹細胞培養物、例えば、上記d’Amour2005および2006に記載されるステージ1、2、3、4および5からの細胞を含む、本明細書に記載される多能性細胞から生成される細胞から形成される細胞凝集懸濁液を生成する方法を提供する。したがって、本明細書に記載される細胞凝集体を作製する方法はいかなる1つの多能性または多分化能細胞または細胞ステージにも限定されず、むしろ、使用方法および細胞型最適化の必要性によってどの方法が好ましいかが決定される。
多能性細胞、例えばhESまたはiPS細胞、および他の多能性細胞源、例えば胚性生殖または単為生殖生物細胞から導出された細胞の凝集懸濁培養物を生成するための本明細書に記載の方法は、実質的に、2007年2月23日に出願された表題がCompositions and methods for culturing differential cellsであるPCT/US2007/062,755、および2008年10月20日に出願された表題がMethods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serumであるPCT/US2008/080,516に記載されている通りであり、それらは参照により完全に本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の方法では、例えば、Bodnarらに対するものであり、Geron Corporationに譲渡された米国特許第6,800,480号に記載の通り最初に培養容器を細胞外マトリックスでコーティングする必要は全くない。本明細書に記載の一部の実施形態では、iPS細胞は、他の多能性幹細胞、例えばhESおよびiPS細胞が、実質的に、参照により本明細書に完全に組み込まれる2008年10月20日に出願の、表題がMethods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serumである米国特許出願PCT/US2008/080,516に記載されるように可溶性ヒト血清を使用して培養されるのと同じ方法で培養することができる。
本明細書に記載の方法では、Thomson,J.に対するものであり、Wisconsin Alumni Research Foundation(WARF)に譲渡された、参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許第7,005,252号に記載の通り単に線維芽細胞フィーダー層以外の供給源から供給される外因的に添加された線維芽細胞成長因子(FGF)は全く必要ない。
多分化能および分化した細胞組成物
本明細書に記載の方法によって生成する細胞組成物は、多能性幹細胞、前原条、中内胚葉、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1共陽性膵臓内胚葉、内分泌先駆体またはNGN3/NKX2.2共陽性内分泌先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞を含む細胞培養物を含み、培養物中の細胞の少なくとも約5〜90%が、生成された前原条、中内胚葉、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1共陽性膵臓内胚葉、内分泌先駆体またはNGN3/NKX2.2共陽性内分泌先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞である。
本明細書に記載の一部の実施形態は、幹細胞およびiPS細胞などの多能性細胞と、前原条、中内胚葉または胚体内胚葉などの多分化能細胞の両方、ならびに、PDX1陽性前腸内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉またはPDX1/NKX6.1共陽性膵臓内胚葉、内分泌先駆体またはNGN3/NKX2.2共陽性内分泌先駆体、およびホルモン分泌内分泌細胞またはINS、GCG、GHRL、SST、PP単独陽性内分泌細胞などの、より分化しているが、なお潜在的に多分化能である細胞を含む細胞集団および細胞培養物などの組成物に関する。例えば、本明細書に記載の方法を使用して、多能性幹細胞および他の多分化能細胞または分化した細胞の混合物を含む組成物を生成することができる。一部の実施形態では、約95の多能性細胞ごとに少なくとも約5の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物が生成する。他の実施形態では、約5の多能性細胞ごとに少なくとも約95の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物が生成する。さらに、他の比の多分化能細胞または分化した細胞と多能性細胞を含む組成物が考えられる。例えば、約1,000,000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約100,000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約10,000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約1000の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約500の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約100の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約10の多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、約5の多能性細胞ごと、および約1までの多能性細胞ごとに少なくとも約1の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物、および約1の多能性細胞ごとに少なくとも約1,000,000の多分化能細胞または分化した細胞を含む組成物が考えられる。
本明細書に記載の一部の実施形態は、少なくとも約5%の多分化能細胞または分化した細胞から少なくとも約99%の多分化能細胞または分化した細胞までを含む細胞培養物または細胞集団に関する。一部の実施形態では、細胞培養物または細胞集団は哺乳動物細胞を含む。好ましい実施形態では、細胞培養物または細胞集団はヒト細胞を含む。例えば、ある特定の実施形態は、ヒト細胞を含む細胞培養物であって、ヒト細胞の少なくとも約5%〜少なくとも約99%が多分化能細胞または分化した細胞である細胞培養物に関する。他の実施形態は、ヒト細胞を含む細胞培養物であって、ヒト細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または99%超が多分化能細胞または分化した細胞である細胞培養物に関する。細胞培養物または細胞集団がヒトフィーダー細胞を含む複数の実施形態では、細胞培養中のヒトフィーダー細胞を考慮せずに上記の百分率を算出する。
多能性、多分化能または分化細胞は、前原条、内胚葉系中胚葉、胚体内胚葉の細胞、ならびにそれらから導出される細胞、組織および/または器官に分化すること、またはさらに分化することが可能である。内胚葉系中胚葉細胞は、中胚葉細胞および/または胚体内胚葉細胞、ならびにこれらの系列のいずれかから導出される細胞、組織および/または器官に分化することが可能である。一部の実施形態では、前原条細胞は、内胚葉系中胚葉中間体を通して、中胚葉または胚体内胚葉系列のいずれかの最終分化細胞に変換される。例えば、そのようなプロセスは、ヒト内胚葉由来組織、例えば膵臓、肝臓、肺、胃、腸、甲状腺、上皮小体、胸腺、咽頭、胆嚢および膀胱の効率的な生成のための基礎を提供することができる。重要なことに、前原条細胞および/または内胚葉系中胚葉細胞の生成は、機能的インスリン生成β細胞への多能性幹細胞の分化での初期段階である。別の例として、前原条細胞および/または内胚葉系中胚葉細胞の分化は、ヒト中胚葉由来組織、例えば血球、心血管組織、骨格組織ならびに他の構造および結合組織の効率的な生成のための基礎を提供することができる。
本明細書に記載の組成物および方法には、いくつかの有用な特徴がある。例えば、多分化能細胞、例えば、前原条細胞および/または中内胚葉細胞を含む細胞培養物および細胞集団、ならびにそのような細胞培養物および細胞集団を生成するための方法は、ヒト発生の初期をモデリングするために有用である。さらに、本明細書に記載の組成物および方法は、真性糖尿病などの病態への治療介入としても機能し得る。例えば、前原条細胞および/または中内胚葉細胞は限られた数の組織のみの供給源として機能するので、純粋な組織または細胞の型の発生において使用することができる。前原条細胞を生成するためのいくつかのプロセスでは、出発材料として使用される多能性細胞は、多能性幹細胞、例えばhES細胞、hEG細胞またはiPS細胞である。
栄養外胚葉細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、栄養外胚葉細胞を含む組成物を生成することができる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する栄養外胚葉細胞集団または細胞培養物では、HAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBB遺伝子からなる群から選択されるマーカーの発現が、非栄養外胚葉細胞または細胞集団におけるHAND1、Eomes、MASH2、ESXL1、HCG、KRT18、PSG3、SFXN5、DLX3、PSX1、ETS2、およびERBBの発現レベルと比較して実質的に高い。
前原条細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、前原条細胞を含む組成物を生成することができる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する前原条細胞集団または細胞培養物は、FGF8マーカー遺伝子および/またはNODALマーカー遺伝子を、BRACHURY低、FGF4低、SNAI1低、SOX17低、FOXA2低、SOX7低およびSOX1低と比較して実質的に発現する。
胚体外細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、胚体外細胞を含む組成物を生成することができる。原始内胚葉細胞、近位内胚葉細胞および遠位内胚葉細胞は胚体外細胞である。原始内胚葉細胞は近位内胚葉細胞および遠位内胚葉細胞を生じる。近位内胚葉細胞は、卵黄嚢の一部を形成する内胚葉細胞である。近位内胚葉細胞は、栄養分の取り込みおよび輸送の両方において機能する。遠位内胚葉細胞は、ライヘルト膜として公知の胚体外組織と近接している。遠位内胚葉細胞の役割のうちの1つは、基底膜の構成成分の生成である。まとめると、近位内胚葉細胞および遠位内胚葉細胞は、多くの場合、胚体外内胚葉と称されるものを形成する。名称に示されている通り、胚体外内胚葉細胞は発生の間に形成される胚構造を生じない。対照的に、本明細書に記載の胚体内胚葉細胞および他の内胚葉系列または膵臓の系列細胞は、胚性であるまたは胚細胞から導出されたものであり、胚発生の間に形成される腸管から導出された組織を生じる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する胚体外細胞集団または細胞培養物では、SOX7遺伝子、SOX17遺伝子、THBD遺伝子、SPARC遺伝子、DAB1遺伝子、FTNF4alpha遺伝子またはAFP遺伝子からなる群から選択されるマーカーの発現が、少なくとも、他の細胞型または細胞集団、例えば胚体内胚葉では発現されないSOX7、SOX17、THBD、SPARC、DAB1、またはAFPの発現レベルと比較して実質的に高い。
中内胚葉(mensendoderm)細胞
本明細書に記載の方法を使用して、他の細胞型を実質的に含まない、中内胚葉細胞を含む組成物を生成することができる。本明細書に記載の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する中内胚葉細胞集団または細胞培養物は、FGF4、SNAI1、MIXL1および/またはWNT3マーカー遺伝子からなる群から選択されるマーカーの発現が、SOX17低、CXCR4低、FOXA2低、SOX7低およびSOX1低と比較して実質的に高い。
スクリーニング方法
一部の実施形態では、スクリーニング方法を使用して、ヒト多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、前原条細胞、中内胚葉細胞、胚体内胚葉細胞、前腸内胚葉またはPDX1陰性前腸内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉またはPDX1陽性膵臓内胚葉細胞または膵臓前駆細胞、内分泌先駆細胞、および/または内分泌細胞などの多能性細胞、多分化能細胞および/または分化した細胞などのある特定の細胞集団を得る。次いで、細胞集団に候補分化因子をもたらす。候補分化因子をもたらす前またはそれとほぼ同時である第1の時点で、マーカーの発現を決定する。あるいは、候補分化因子をもたらした後にマーカーの発現を決定することができる。第1の時点の後であり、かつ候補分化因子を細胞集団にもたらすステップの後である第2の時点で、同じマーカーの発現を再度決定する。候補分化因子が膵臓先駆細胞の分化を促進することができるかどうかを、第1の時点におけるマーカーの発現と第2の時点におけるマーカーの発現を比較することによって決定する。第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点におけるマーカーの発現と比較して増加または減少した場合、当該候補分化因子は膵臓前駆細胞の分化を促進することができることになる。
本明細書に記載のスクリーニング方法の一部の実施形態では、ヒト胚体内胚葉、PDX−1陰性前腸内胚葉、PDX−1陽性前腸内胚葉、PDX−1陽性膵臓内胚葉、または膵臓前駆体または内分泌先駆細胞を含む細胞集団または細胞培養物を利用する。例えば、細胞集団は、PDX−1陽性膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞の実質的に精製された集団であってよい。例えば、細胞集団はヒト膵臓前駆細胞の濃縮された集団であってよく、細胞集団内のヒト細胞の少なくとも約50%〜97%がヒト膵臓前駆細胞であり、残りは、内分泌先駆体または内分泌細胞および他の細胞型で構成される。
本明細書に記載のスクリーニング方法の複数の実施形態では、細胞集団を候補(試験)分化因子と接触させる、または他のやり方で候補(試験)分化因子をもたらす。候補分化因子は、上記の細胞のいずれか、例えばヒト膵臓前駆細胞の分化を促進する潜在性を有し得る任意の分子を含んでよい。本明細書に記載の一部の実施形態では、候補分化因子は、細胞の1種または複数種の型に対する分化因子であることが分かっている分子を含む。代替の実施形態では、候補分化因子は、細胞分化を促進することが分かっていない分子を含む。好ましい実施形態では、候補分化因子は、ヒト膵臓前駆細胞の分化を促進することが分かっていない分子を含む。
本明細書に記載されるスクリーニング方法の一部の実施形態では、候補分化因子は小分子を含む。好ましい実施形態では、小分子は約10,000amu以下の分子量を有する分子である。
本明細書に記載される他の実施形態では、候補分化因子は、大分子、例えばポリペプチドを含む。ポリペプチドは、限定されずに、糖タンパク質、リポタンパク質、細胞外基質タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ペプチドホルモン、インターロイキンまたは成長因子を含む、任意のポリペプチドであってもよい。好ましいポリペプチドには、成長因子が含まれる。
本明細書に記載されるスクリーニング方法の一部の実施形態では、候補分化因子は、アンフィレグリン、Bリンパ球刺激物質、IL−16、サイモポイエチン、TRAIL/Apo−2、プレB細胞コロニー促進因子、内皮分化関連因子1(EDF1)、内皮単球活性化ポリペプチドII、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、ナチュラルキラー細胞促進因子(NKEFA)、骨形成タンパク質2、骨形成タンパク質8(骨形成タンパク質2)、骨形成タンパク質6、骨形成タンパク質7、結合組織成長因子(CTGF)、CGI−149タンパク質(神経内分泌分化因子)、サイトカインA3(マクロファージ炎症タンパク1−アルファ)、グリア芽細胞腫細胞分化関連タンパク質(GBDR1)、肝癌由来成長因子、ニューロメディンU−25先駆体、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、血管内皮細胞成長因子B(VEGF−B)、T細胞特異的RANTES先駆体、胸腺樹状細胞由来因子1、トランスフェリン、インターロイキン−1(IL1)、インターロイキン−2(IL2)、インターロイキン−3(IL3)、インターロイキン−4(IL4)、インターロイキン−5(IL5)、インターロイキン−6(IL6)、インターロイキン−7(IL7)、インターロイキン−8(IL8)、インターロイキン−9(IL9)、インターロイキン−10(IL10)、インターロイキン−11(IL11)、インターロイキン−12(IL12)、インターロイキン−13(IL13)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、ビタミンD3、上皮成長因子(EGF)、脳由来神経栄養因子、白血病抑制因子、甲状腺ホルモン、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、aFGF、FGF−4、FGF−6、FGF−7/ケラチノサイト成長因子(KGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、血小板由来成長因子−BB、β神経成長因子、アクチビンA、トランスフォーミング成長因子β1(TGFβ1)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、腫瘍壊死−α、腫瘍壊死因子−β、バースト促進活性(BPA)、赤血球促進活性(EPA)、PGE2、インスリン成長因子−1(IGF−1)、IGF−II、ニューロトロフィン(Neutrophin)成長因子(NGF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン4/5、線毛神経栄養因子、神経膠由来のネキシン、デキサメタゾン、β−メルカプトエタノール、レチノイン酸、ブチルヒドロキシアニソール、5−アザシチジン、アンホテリシンB、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、イソブチルキサンチン、インドメタシン、β−グリセロールホスフェート、ニコチンアミド、DMSO、チアゾリジンジオン、TWS119、オキシトシン、バソプレシン、メラニン細胞刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、リポトロピン、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、プロラクチン、黄体形成ホルモン、ヒト絨毛ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、ゴナドトロピン放出因子、プロラクチン放出因子、プロラクチン抑制因子、成長ホルモン放出因子、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン放出因子、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、副甲状腺ホルモン、グルカゴン様ペプチド1、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、モチリン、血管作用性小腸ペプチド、サブスタンスP、膵臓ポリペプチド、ペプチドチロシン、神経ペプチドチロシン、インスリン、グルカゴン、胎盤性ラクトゲン、リラキシン、アンジオテンシンII、カルシトリオール(calctriol)、心房性ナトリウム利尿ペプチドおよびメラトニン、チロキシン、トリヨードサイロニン、カルシトニン、エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、テストステロン、コルチゾル、コルチコステロン、アルドステロン、エピネフリン、ノルエピネフリン、アンドロスチエン(androstiene)、カルシトリオール、コラーゲン、デキサメタゾン、β−メルカプトエタノール、レチノイン酸、ブチルヒドロキシアニソール、5−アザシチジン、アンホテリシンB、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、イソブチルキサンチン、インドメタシン、β−グリセロールホスフェート、ニコチンアミド、DMSO、チアゾリジンジオンおよびTWS119からなる群から選択される1つまたは複数の成長因子を含む。
本明細書に記載されるスクリーニング方法の一部の実施形態では、候補分化因子は、1つまたは複数の濃度で細胞集団に提供される。一部の実施形態では、候補分化因子は、細胞周囲の培地中の候補分化因子の濃度が約0.1ng/mlから10mg/mlであるように、細胞集団に提供される。一部の実施形態では、細胞周囲の培地中の候補分化因子の濃度は、約1ng/mlから約1mg/mlである。他の実施形態では、細胞周囲の培地中の候補分化因子の濃度は、約10ng/mlから約100μg/mlである。さらに他の実施形態では、細胞周囲の培地中の候補分化因子の濃度は、約100ng/mlから約10μg/mlである。好ましい実施形態では、細胞周囲の培地中の候補分化因子の濃度は、約5ng/mlから約1000μg/mlである。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるスクリーニング方法のステップは、第1の時点および第2の時点で少なくとも1つのマーカーの発現を判定することを含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1の時点は候補分化因子を細胞集団に提供する前かほぼ同じ時期であってもよい。あるいは、一部の実施形態では、第1の時点は、候補分化因子を細胞集団に提供する後である。一部の実施形態では、第1の時点で複数のマーカーの発現が判定される。
少なくとも1種のマーカーの発現を第1の時点で決定することに加えて、本明細書に記載のスクリーニング方法の一部の実施形態では、少なくとも1種のマーカーの発現を、第1の時点の後であり、かつ細胞集団に候補分化因子をもたらした後である第2の時点で決定することが意図されている。そのような実施形態では、第1の時点と第2の時点の両方で同じマーカーの発現を決定する。一部の実施形態では、第1の時点と第2の時点の両方で複数種のマーカーの発現を決定する。そのような実施形態では、第1の時点と第2の時点の両方で同じ複数種のマーカーの発現を決定する。一部の実施形態では、それぞれが第1の時点の後であり、かつそれぞれが細胞集団に候補分化因子をもたらした後である複数の時点でマーカーの発現を決定する。ある特定の実施形態では、Q−PCRによってマーカーの発現を決定する。他の実施形態では、免疫細胞化学によってマーカーの発現を決定する。
本明細書に記載のスクリーニング方法のある特定の実施形態では、第1の時点および第2の時点において発現が決定されるマーカーは、膵臓前駆細胞から膵島組織を構成する最終分化した細胞の先駆体である細胞への分化に関連するマーカーである。そのような細胞としては、未成熟膵島ホルモン発現細胞を挙げることができる。
本明細書に記載のスクリーニング方法の一部の実施形態では、細胞集団に候補分化因子をもたらすステップと第2の時点におけるマーカーの発現を決定するステップの間に十分な時間を経過させることができる。細胞集団に候補分化因子をもたらすステップと第2の時点におけるマーカーの発現を決定するステップの間の十分な時間は、約1時間の短さから約10日間の長さまでであってよい。一部の実施形態では、少なくとも1種のマーカーの発現を、細胞集団に候補分化因子をもたらした後に多数回決定する。一部の実施形態では、十分な時間は、少なくとも約1時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、または少なくとも約8週間である。
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点におけるこのマーカーの発現と比較して増加または減少したかどうかをさらに決定する。少なくとも1種のマーカーの発現の増加または減少により、候補分化因子が内分泌先駆細胞の分化を促進することができることが示される。同様に、複数種のマーカーの発現を決定する場合、第2の時点における複数種のマーカーの発現が第1の時点におけるこの複数種のマーカーの発現と比較して増加または減少したかどうかをさらに決定する。マーカーの発現の増加または減少は、第1の時点および第2の時点での細胞集団におけるマーカーの量、レベルまたは活性を測定することまたは他のやり方で評価することによって決定することができる。そのような決定は、他のマーカー、例えばハウスキーピング遺伝子発現との比較的なものであってもよく、絶対的なものであってもよい。第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点と比較して増加するある特定の実施形態では、増加の量は、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍または少なくとも約100倍超である。一部の実施形態では、増加の量は、2倍未満である。第2の時点におけるマーカーの発現が第1の時点と比較して減少する実施形態では、減少の量は、少なくとも約2分の1、少なくとも約5分の1、少なくとも約10分の1、少なくとも約20分の1、少なくとも約30分の1、少なくとも約40分の1、少なくとも約50分の1、少なくとも約60分の1、少なくとも約70分の1、少なくとも約80分の1、少なくとも約90分の1、少なくとも約100分の1または少なくとも約100分の1未満である。一部の実施形態では、減少の量は2分の1を下回らない。
多分化能細胞または分化した細胞の生成のモニタリング
多能性細胞から多分化能細胞、多分化能細胞から膵臓前駆体またはホルモン内分泌細胞などのさらに多分化能の細胞または分化した細胞への進行は、内分泌細胞における島ホルモンの発現およびプロインスリンからインスリンおよびCペプチドへのプロセシングなどの、遺伝子マーカーおよび表現型マーカーを含めた特定の細胞に特有のマーカーの発現を決定することによってモニタリングすることができる。いくつかのプロセスでは、ある特定のマーカーの発現を、マーカーが存在するかしないかを検出することによって決定する。あるいは、ある特定のマーカーの発現は、細胞培養物または細胞集団の細胞中でマーカーが存在するレベルを測定することによって決定することができる。例えば、ある特定のプロセスでは、未成熟膵島ホルモン発現細胞に特有のマーカーの発現、ならびに多能性細胞、胚体内胚葉、前腸内胚葉、PDX1陽性前腸内胚葉、内分泌先駆体、胚体外内胚葉、中胚葉、外胚葉、成熟膵島ホルモン発現細胞および/または他の細胞型に特有のマーカーの有意な発現の欠如を決定する。
他の胚体内胚葉系列の分化の程度がより低い細胞型の生成のモニタリングに関連して記載されている通り、ブロット転写法および免疫細胞化学などの定性的技法または半定量的技法を使用して、マーカーの発現を測定することができる。あるいは、マーカーの発現は、Q−PCRなどの技法を使用することによって正確に定量化することができる。さらに、ポリペプチドレベルでは、膵島ホルモン発現細胞のマーカーの多くは分泌タンパク質であることが理解されよう。このように、ELISAなどの細胞外マーカー含有量を測定するための技法を利用することができる。
例えば、一実施形態では、PDX1はPDX1陽性前腸内胚葉と関連したマーカー遺伝子である。このように、本発明の一部の実施形態では、PDX1の発現が判定される。他の実施形態では、限定されずにSOX17、HNF6、SOX9およびPROX1などの、PDX1陽性前腸内胚葉で発現される他のマーカーの発現も判定される。PDX1は特定の他の細胞型(すなわち、内臓内胚葉および特定の神経外胚葉)が発現することもできるので、本発明の一部の実施形態は、内臓内胚葉および/または神経外胚葉と関連したマーカー遺伝子発現の不在または実質的な不在を実証することに関する。例えば、一部の実施形態では、限定されずにSOX7、AFP、SOX1、ZIC1および/またはNFMを含む、内臓内胚葉および/または神経細胞で発現されるマーカーの発現が判定される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって生成されるPDX1陽性前腸内胚葉細胞培養物は、SOX7、AFP、SOX1、ZIC1またはNFMマーカー遺伝子を発現する細胞を実質的に含まない。特定の実施形態では、本明細書に記載されるプロセスによって生成されるPDX1陽性前腸内胚葉細胞培養物は、近位内胚葉、遠位内胚葉および/または神経細胞を実質的に含まない。
本明細書に記載される多能性細胞(例えば、上記D’Amourら2006に記載されるステージまたはステップ1〜5の結果として生成される細胞)の発達の進行は、発達経路に沿う各hES由来またはiPS由来の細胞型の特徴であるマーカーの発現を判定することによって監視することができる。一部のプロセスでは、hES由来またはiPS由来の細胞型の同定および特徴づけは、特定のマーカーの発現または複数のマーカーの異なる発現レベルおよびパターンによる。すなわち、1つまたは複数のマーカーの存在または不在、高発現または低発現は細胞型の特徴を表し、それを特定する。さらに、特定のマーカーは一過性の発現を有することができ、それによりそのマーカーは発達の1つのステージの間に高度に発現され、発達の別のステージでは弱く発現される。特定のマーカーの発現は、標準化または規格化された対照マーカーと比較して細胞培養物または細胞集団の細胞にそのマーカーが存在するレベルを測定することによって判定することができる。そのようなプロセスでは、マーカー発現の測定は、定性的であっても定量的であってもよい。マーカー遺伝子によって生成されるマーカーの発現を定量化する1つの方法は、定量的PCR(Q−PCR)の使用による。Q−PCRの実施方法は、当技術分野で周知である。
本発明の一部の実施形態では、マーカーの存在、不在および/または発現レベルは、定量的PCR(Q−PCR)によって判定される。例えば、特定の遺伝子マーカー、例えばSOX17、CXCR4、OCT4、AFP、TM、SPARC、SOX7、CDX2、MIXL1、GATA4、HNF3β、HNF4アルファ、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CMKOR1、CRIP1および本明細書に記載される他のマーカーによって生成される転写産物の量は、定量的Q−PCRによって判定される。
他の実施形態では、免疫組織化学的検査を使用して、上記の遺伝子によって発現されるタンパク質を検出する。さらに他の実施形態では、Q−PCRを免疫組織化学的な技法またはフローサイトメトリー技法と併せて使用して、細胞型を有効かつ正確に特徴付け、同定し、目的の細胞型におけるそのようなマーカーの量および相対的割合の両方を決定することができる。一実施形態では、Q−PCRにより、細胞が混在する集団を含有する細胞培養物におけるRNA発現のレベルを数量化することができる。しかし、Q−PCRでは、目的のマーカーまたはタンパク質が同じ細胞で共発現されるかどうかをもたらすまたは認定することはできない。別の実施形態では、Q−PCRをフローサイトメトリー法と併せて使用して細胞型を特徴付け、同定する。したがって、本明細書に記載の方法と、例えば上記のものなどを組み合わせて使用することによって、内胚葉系列型細胞を含めた種々の細胞型の完全な特徴付けおよび同定を実現および実証することができる。
例えば、好ましい一実施形態では、膵臓前駆体または膵臓内胚葉またはPDX−1陽性膵臓内胚葉は、Q−PCRおよび/またはICCによって実証される通り少なくともPDX1、Nkx6.1、PTF1A、CPAおよび/またはcMYCを発現するが、そのような細胞は、PDX1陽性発現細胞と同定されるためには、ICCによって実証される通り少なくともPDX1およびNkx6.1を共発現し、SOX17、CXCR4、またはCERを含めた他のマーカーを発現しない。同様に、in vitroまたはin vivoで成熟ホルモン分泌膵臓細胞を適切に同定するために、例えばインスリン分泌細胞において、C−ペプチド(成熟かつ機能性のβ細胞におけるプロインスリンの適切なプロセシングの産物)およびインスリンが共発現されることがICCによって実証される。
さらに、当技術分野で公知の他の方法も、マーカー遺伝子発現を定量化するために使用することができる。例えば、マーカー遺伝子産物の発現は、目的のマーカー遺伝子産物に特異的な抗体を使用することによって検出することができる(例えば、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー分析など)。ある特定のプロセスでは、hES由来細胞に特有のマーカー遺伝子の発現ならびにhES由来細胞に特有のマーカー遺伝子の有意な発現の欠如。hES由来細胞型を特徴付け、同定するためのさらに別の方法は、上に示されている関連出願に記載され、それらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
増幅アッセイで使用するのに適する増幅プローブ/プライマー組合せは、以下の通りである:インスリン(INS)(GenBank NM_000207):プライマーAAGAGGCCATCAAGCAGATCA(配列番号1);CAGGAGGCGCATCCACA(配列番号2);Nkx6.1(NM_006168):プライマーCTGGCCTGTACCCCTCATCA(配列番号3);CTTCCCGTCTTTGTCCAACAA(配列番号4);Pdx1(NM_000209):プライマーAAGTCTACCAAAGCTCACGCG(配列番号5);GTAGGCGCCGCCTGC(配列番号6);Ngn3(NM_020999):プライマーGCTCATCGCTCTCTATTCTTTTGC(配列番号7);GGTTGAGGCGTCATCCTTTCT(配列番号8);FOXA2(HNF3B)(NM_021784):プライマーGGGAGCGGTGAAGATGGA(配列番号9);TCATGTTGCTCACGGAGGAGTA(配列番号10);グルカゴン(GCG)(NM_002054):プライマーAAGCATTTACTTTGTGGCTGGATT(配列番号11);TGATCTGGATTTCTCCTCTGTGTCT(配列番号12);HNF6(NM_030712):プライマーCGCTCCGCTTAGCAGCAT(配列番号13);GTGTTGCCTCTATCCTTCCCAT(配列番号14);HNF4アルファ(NM_000457):プライマーGAAGAAGGAAGCCGTCCAGA(配列番号15);GACCTTCGAGTGCTGATCCG(配列番号16);Sox17(NM_022454):プライマーGGCGCAGCAGAATCCAGA(配列番号17);NNNNNNNNNNNNNNN NNNNN(配列番号18);HLxB9(NM_005515):プライマーCACCGCGGGCATGATC(配列番号19);ACTTCCCCAGGAGGTTCGA(配列番号20);Nkx2.2(NM_002509):プライマーGGCCTTCAGTACTCCCTGCA(配列番号21);GGGACTTGGAGCTTGAGTCCT(配列番号22);PTF1a(NM_178161):プライマーGAAGGTCATCATCTGCCATCG(配列番号23);GGCCATAATCAGGGTCGCT(配列番号24);SST(NM_001048):プライマーCCCCAGACTCCGTCAGTTTC(配列番号25);TCCGTCTGGTTGGGTTCAG(配列番号26);PAX6(NM_000280):プライマーCCAGAAAGGATGCCTCATAAAGG(配列番号27);TCTGCGCGCCCCTAGTTA(配列番号28);Oct4プライマー:TGGGCTCGAGAAGGATGTG(配列番号29);GCATAGTCGCTGCTTGATCG(配列番号30);MIXL1プライマーCCGAGTCCAGGATCCAGGTA(配列番号31)CTCTGACGCCGAGACTTGG(配列番号32);GATA4プライマーCCTCTTGCAATGCGGAAAG(配列番号33)CGGGAGGAAGGCTCTCACT(配列番号34);GSCプライマーGAGGAGAAAGTGGAGGTCTGGTT(配列番号35)CTCTGATGAGGACCGCTTCTG(配列番号36);CERプライマーACAGTGCCCTTCAGCCAGACT(配列番号37)ACAACTACTTTTTCACAGCCTTCGT(配列番号38);AFPプライマーGAGAAACCCACTGGAGATGAACA(配列番号39)CTCATGGCAAAGTTCTTCCAGAA(配列番号40);SOX1プライマーATGCACCGCTACGACATGG(配列番号41)CTCATGTAGCCCTGCGAGTTG(配列番号42);ZIC1プライマーCTGGCTGTGGCAAGGTCTTC(配列番号43)CAGCCCTCAAACTCGCACTT(配列番号44);NFMプライマーATCGAGGAGCGCCACAAC(配列番号45)TGCTGGATGGTGTCCTGGT(配列番号46)。他のプライマーは、FGF17(Hs00182599_m1)、VWF(Hs00169795_m1)、CMKOR1(Hs00604567_m1)、CRIP1(Hs00832816_g1)、FOXQ1(Hs00536425_s1)、CALCR(Hs00156229_m1)およびCHGA(Hs00154441_m1)を含め、ABI Taqmanを通して入手できる。
In vivoにおけるPDX1陽性膵臓内胚葉(ステージ1〜4)の生成およびインスリン生成の要約
特定の内胚葉系列および膵臓内胚葉系列細胞の生成のための方法が本明細書で提供され、関連出願、例えば2007年7月5日に出願の米国特許出願第11/773,944号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONESの別の箇所で述べられ、それは2007年3月2日に出願の米国特許出願第11/681,687号、表題ENDOCRINE PRECURSOR CELLS,PANCREATIC HORMONE−EXPRESSING CELLS AND METHODS OF PRODUCTIONの一部継続出願であり、それらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
簡単に述べると、多能性幹細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞に関する本発明の定方向分化法は、少なくとも4つまたは5つのステージで説明することができる。ステージ1は、多能性幹細胞からの胚体内胚葉の生成であり、約2〜5日、好ましくは2日または3日かかる。多能性幹細胞は、RPMI、TGFスーパーファミリーメンバー成長因子、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF−8またはGDF−11(100ng/ml)、WntファミリーメンバーまたはWnt経路アクチベータ、例えばWnt3a(25ng/ml)、あるいはrhoキナーゼまたはROCK阻害剤、例えばY−27632(10μΜ)を含む培地に懸濁させ、成長、生存および増殖を増強するだけでなく細胞間接着を促進する。約24時間後に、培地を、血清、例えば0.2%FBSなど、およびTGFβスーパーファミリーメンバー成長因子、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF−8またはGDF−11など(100ng/mL)、あるいはrhoキナーゼまたはROCK阻害剤を含有するRPMIを含む培地と交換し、さらに24時間(1日目)〜48時間(2日目)置く。あるいは、アクチビン/Wnt3aを含む培地中に約24時間置いた後、その後の24時間、アクチビンを単独で含む培地(すなわち、培地はWnt3aを含まない)で細胞を培養する。重要なことに、胚体内胚葉の生成には、低血清含有量、およびそれにより、低インスリンまたはインスリン様成長因子含有量の細胞培養条件が必要である。本明細書に完全に組み込まれるMcLeanら(2007)Stem Cells 25:29−38を参照されたい。McLeanらにより、ステージ1においてhES細胞をわずか0.2μg/mLの濃度のインスリンと接触させることは、胚体内胚葉の生成にとって有害であり得ることも示された。また別の当業者により、多能性細胞から胚体内胚葉へのステージ1分化が実質的に本明細書およびD’Amourら(2005)に記載の通り改変された。例えば、少なくとも、Agarwalら、Efficient Differentiation of Functional Hepatocytes from Human Embryonic Stem Cells、Stem Cells(2008)26:1117−1127;Borowiakら、Small Molecules Efficiently Direct Endodermal Differentiation of MouseおよびHuman Embryonic Stem Cells、(2009)Cell Stem Cell 4:348−358;およびBrunnerら、Distinct DNA methylation patterns characterize differentiated human embryonic stem cells and developing human fetal liver、(2009)Genome Res. 19:1044−1056。他の内胚葉系列細胞を導出するためには胚体内胚葉の適切な分化、特定化、特徴付けおよび同定が必要である。このステージにおける胚体内胚葉細胞は、SOX17およびHNF3β(FOXA2)を共発現し、少なくともHNF4アルファ、HNF6、PDX1、SOX6、PROX1、PTF1A、CPA、cMYC、NKX6.1、NGN3、PAX3、ARX、NKX2.2、INS、GSC、GHRL、SST、またはPPは評価できるほどには発現しない。
ステージ2はステージ1から胚体内胚葉細胞培養物をとり、懸濁培養物をITSの1:1000希釈液中の0.2%FBSなどの低い血清レベル、25ngのKGF(またはFGF7)、あるいはROCK阻害剤を有するRPMIと24時間(2日目から3日目)インキュベートして、成長、生存、増殖を増強し、細胞間接着を促進することによって、前腸内胚葉またはPDX1陰性前腸内胚葉を生成する。24時間後に(3日目〜4日目)、培地を、TGFβ阻害剤を含まないが、その代わりに、細胞の成長、生存および増殖を増強するためにROCK阻害剤をなお含む同じ培地と交換し、さらに24時間(4日目〜5日目)〜48時間(6日目)置く。前腸内胚葉を適切に特定化するための重要なステップはTGFβファミリー成長因子の除去である。したがって、2.5μMのTGFβ阻害剤番号4またはTGFβI型受容体であるアクチビン受容体様キナーゼ(ALK)の特異的な阻害剤である5μMのSB431542などのTGFβ阻害剤をステージ2細胞培養物に添加することができる。ステージ2で生成した前腸内胚葉またはPDX1−陰性前腸内胚葉細胞は、SOX17、HNF1βおよびHNF4アルファを共発現し、胚体内胚葉、PDX1陽性膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞または内分泌先駆体ならびに単一または複数ホルモン型細胞の特質である、少なくともSOX17およびHNF3β(FOXA2)も、HNF6、PDX1、SOX6、PROX1、PTF1A、CPA、cMYC、NKX6.1、NGN3、PAX3、ARX、NKX2.2、INS、GSC、GHRL、SST、またはPPも評価できるほどには共発現しない。
ステージ3(5〜8日目)では、ステージ2から前腸内胚葉細胞培養物を取得し、1%B27、0.25μMのKAADシクロパミン、0.2μMのレチノイン酸(RA)などのレチノイドまたは3nMのTTNPBなどのレチノイン酸類似体、および50ng/mLのノギン中、DMEMまたはRPMIにより、約24時間(7日目)〜48時間(8日目)にわたってPDX1陽性前腸内胚葉細胞を生成する。具体的には、出願人らは、およそ2003年からDMEM−高グルコースを使用しており、その時点の全ての特許および非特許開示物では、「DMEM−高グルコース」などの言及がなくてもDMEM−高グルコースが使用されている。これは、一部において、Gibcoなどの製造者が、例えばDMEM(Cat番号11960)およびKnockout DMEM(Cat番号10829)などのように、DMEMをそのように名付けていなかったことが理由である。本出願の出願日時点で、GibcoはさらなるDMEM製品を提供しているが、従来通り、例えばKnockout DMEM(Cat番号10829−018)など、それらの高グルコースを含有するある特定のDMEM産物に「高グルコース」と付けていないことに注目すべきである。したがって、DMEMが記載されているそれぞれの場合に、高グルコースを含有するDMEMを意味すると推定することができ、これは、この分野における研究開発を行っている他者には明らかなことであった。さらに、ROCK阻害剤またはrhoキナーゼ阻害剤、例えばY−27632などを使用して、成長、生存、増殖を増強することおよび細胞間接着を促進することができる。ステージ3で生成したPDX1陽性前腸細胞は、PDX1およびHNF6、ならびにSOX9およびPROXを共発現し、上のステージ1およびステージ2に記載されている胚体内胚葉細胞もしくは前腸内胚葉(PDX1陰性前腸内胚葉)細胞またはPDX1陽性前腸内胚葉細胞を示すマーカーは評価できるほどには共発現しない。
ステージ4(8〜14日目)では、ステージ3から培地を取得し、それを、1%vol/volのB27サプリメント、それに加えて50ng/mLのKGFおよび50ng/mLのEGF、および時にはさらに50ng/mLのノギン中、DMEMを含有する培地と交換する。再び、成長、生存、増殖を増強し、細胞間接着を促進するために、Y−27632などのROCK阻害剤を使用することができる。ステージ4から生成されるPDX1陽性膵臓内胚葉細胞は、少なくともPDX1およびNkx6.1、ならびにPTF1Aを共発現し、上においてステージ1、2および3で記載される胚体内胚葉または前腸内胚葉(PDX1陰性前腸内胚葉)細胞の指標となるマーカーをあまり発現しない。
あるいは、ステージ4からの細胞は、約1〜6日間(15日目から20日目)の1体積/体積%のB27サプリメント中のDMEM含有培地で、ステージ5でさらに分化させて、内分泌先駆体もしくは前駆体型の細胞および/または単一および複数ホルモン性の膵臓内分泌型の細胞をステージ4細胞から生成することができる。ステージ5から生成される内分泌先駆細胞は、少なくともNGN3およびPAX4ならびにNkx2.2を共発現し、上においてステージ1、2、3および4で記載される、胚体内胚葉または前腸内胚葉(PDX1陰性前腸内胚葉)またはPDX1陽性膵臓内胚葉もしくは前駆細胞の指標となるマーカーを感知し得るほどには発現しない。
ステージ4で生成したPDX1陽性膵臓内胚葉をマクロ封入デバイスにローディングし、完全に含有させ、患者に移植し、PDX1陽性膵臓内胚葉細胞をin vivoで膵臓ホルモン分泌細胞、例えばインスリン分泌性細胞に成熟させる。PDX1陽性膵臓内胚葉細胞の封入およびin vivoにおけるインスリンの生成は、米国特許出願第12/618,659号(‘659出願”)、表題「ENCAPSULATION OF PANCREATIC LINEAGE CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLS」、2009年11月13日出願に詳細に記載されている。‘659出願は、仮特許出願第61/114,857号、表題「ENCAPSULATION OF PANCREATIC PROGENITORS DERIVED FROM HES CELLS」、2008年11月14日出願;および米国特許仮出願第61/121,084号、表題「ENCAPSULATION OF PANCREATIC ENDODERM CELLS」、2008年12月9日出願の優先権を主張するものである。これらの出願の各々の開示は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本明細書に記載の方法、組成物およびデバイスは、現在、好ましい実施形態を表し、例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。その変化および他の使用は本発明の主旨の範囲内に包含され、本開示の範囲によって定義されることが当業者には想起されよう。したがって、本明細書に開示されている発明に対して、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく様々な置換および改変を行うことができることが当業者には明らかになろう。
例えば、多能性細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞から胚体内胚葉を生成するために、成長因子またはシグナル伝達タンパク質のTGFβスーパーファミリーのメンバーであるアクチビンAが使用されるが、参照により本明細書に完全に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2008/065686号、表題「GROWTH FACTORS FOR PRODUCTION OF DEFINITIVE ENDODERM」、2008年6月3日出願に記載されているものなど他のTGFβスーパーファミリーメンバー、例えばGDF−8およびGDF−11を、胚体内胚葉を生成するために使用することができる。
ステージ2のPDX1陰性前腸内胚葉細胞をステージ3のPDX1陽性前腸細胞に分化させるためにレチノイン酸(RA)を使用する。しかし、4−[(E)−2−(5、6、7、8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(またはTTNPB)などの他のレチノイドまたはレチノイン酸類似体および同様の類似体(例えば、4−HBTTNPB)を使用することができる。
ノギンは、例えば、骨形成タンパク質−4(BMP4)などのTGFβスーパーファミリーシグナル伝達タンパク質のメンバーを不活化するタンパク質である。しかし、コーディンおよびねじれ原腸形成(Twisted Gastrulation)(Tsg)などの他のBMP4阻害剤または抗BMP中和抗体によっても、BMPとその細胞表面受容体の結合を妨げ、それにより、BMPシグナル伝達を有効に阻害することができる。あるいは、ヒトノギンの遺伝子はクローニングされ、配列決定されている。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,075,007号を参照されたい。ノギン配列の解析により、Kunitz型プロテアーゼ阻害剤との相同性を有するカルボキシ末端領域が示され、これにより、潜在的に他のKunitz型プロテアーゼ阻害剤がBMPの阻害に関して同様の効果を有し得ることが示されている。
最後に、本明細書および米国出願第12/618,659号に記載され、参照により本明細書に完全に組み込まれているマクロ封入デバイスは、再度、単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。特に、デバイスのサイズ、デバイス内のチャンバーまたは亜区画が複数であること、またはポートが複数であること、さらにはデバイスのローディングおよび抽出の機構などのデバイス設計の変化は全て本発明の主旨の範囲内に包含される。したがって、本明細書に記載の分化方法への種々の置換および改変だけでなく、封入デバイスへの種々の置換および改変も同様に、本明細書に開示されている発明に対して、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく行うことができることが当業者には明らかになろう。
胚体内胚葉の生成および組成物(ステージ1)
一部のプロセスでは、胚体内胚葉への分化は、胚体内胚葉への分化を促進するのに十分な量でTGFβスーパーファミリーの成長因子を多能性細胞培養物に供給することによって達成される。胚体内胚葉の生成のために有益であるTGFβスーパーファミリーの成長因子は、Nodal/アクチビン、GDF−8、−9、−10、−11等またはBMPサブグループから選択される。一部の好ましい分化プロセスでは、成長因子は、Nodal、アクチビンA、アクチビンB、GDF−8、GDF−11およびBMP4からなる群から選択される。さらに、成長因子Wnt3a、他のWntファミリーメンバー、およびWnt経路アクチベータが胚体内胚葉細胞の生成のために有益である。ある特定の分化プロセスでは、前述の成長因子のいずれかの組合せを使用することができる。この方法および他の方法は米国特許第7,510.876号に詳細に記載され、それは参照により完全に本明細書に組み込まれる。
多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるためのプロセスの一部に関して、上記の成長因子は、成長因子が培養物中に、多能性細胞の少なくとも一部分から胚体内胚葉細胞への分化を促進するために十分な濃度で存在するように細胞に供給される。いくつかのプロセスでは、上記の成長因子は、細胞培養物中に少なくとも約5ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約75ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約200ng/mL、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約1000ng/mL、少なくとも約2000ng/mL、少なくとも約3000ng/mL、少なくとも約4000ng/mL、少なくとも約5000ng/mLまたは約5000ng/mL超の濃度で存在する。
胚体内胚葉細胞への多能性細胞の分化のためのある特定のプロセスでは、前述の成長因子はそれらが添加された後に細胞培養物から除去される。例えば、成長因子を添加してから約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、約8日以内、約9日以内または約10日以内にそれらを除去することができる。好ましいプロセスでは、成長因子を添加した約4日後にそれらを除去する。
本明細書に記載されるプロセスの一部の実施形態では、胚体内胚葉細胞はさらなる分化の前に濃縮、単離および/または精製される。そのような実施形態では、胚体内胚葉細胞は、任意の公知の方法を使用して濃縮、単離および/または精製することができる。好ましい実施形態では、胚体内胚葉細胞は、2004年12月23日に出願の米国特許出願第11/021,618号、表題DEFINITIVE ENDODERM、および2005年11月14日に出願の米国特許仮出願第60/736,598号、表題MARKERS OF DEFINITIVE ENDODERMに記載される方法の1つまたは複数を使用して濃縮、単離および/または精製され、その開示は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
好ましい実施形態では、ハウスキーピング遺伝子などの対照遺伝子のレベルに標準化され、比較されるとき、本明細書で生成され、記載される胚体内胚葉細胞は、比較的高いレベルのCER、GSC、CXCR4、SOX17およびFOXA2遺伝子発現を有する。
PDX1陰性前腸内胚葉の生成および組成物(ステージ2)
胚体内胚葉細胞は、PDX1陰性前腸内胚葉細胞を生成するこれらの細胞のさらなる分化によって、膵臓分化の方向に特定化することができる。本明細書に記載される分化プロセスの一部では、胚体内胚葉細胞を含む細胞培養物ならびに濃縮または精製された細胞集団は、PDX1陰性前腸内胚葉細胞を含む細胞培養物および/または濃縮された細胞集団へのさらなる分化のために使用することができる。
一般的に、SOX17陽性胚体内胚葉細胞の細胞培養物または細胞集団でTGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達を低減、除去(eliminating)または取り除く(removing)ことによって、胚体内胚葉細胞はPDX1陰性前腸内胚葉細胞に分化する。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達を低減または除去することは、外部から加えられるTGFβスーパーファミリー成長因子、例えばアクチビンAを希釈するか、胚体内胚葉の細胞培養物または細胞集団から除去することによって媒介される。他の実施形態では、TGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達は、TGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達をブロックする化合物、例えばフォリスタチンおよび/またはノギンを胚体内胚葉細胞に供給することによって低減または除去される。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達は、胚体内胚葉細胞へのヒト多能性細胞の分化の後の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日または約10日を超える間、低減または除去することができる。
一部の実施形態では、FGFファミリー成長因子および/またはヘッジホッグ経路阻害剤を胚体内胚葉細胞培養物または細胞集団に供給することによって、前腸内胚葉細胞への胚体内胚葉細胞の分化が増強される。そのような実施形態では、FGFファミリー成長因子および/またはヘッジホッグ経路阻害剤は、胚体内胚葉細胞培養物でのTGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達の低減または除去から約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日の後、または約10日を超える日数の後に供給される。好ましい実施形態では、FGFファミリー成長因子および/またはヘッジホッグ経路阻害剤は、胚体内胚葉細胞培養物でのTGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達の低減または除去とほぼ同じ時期に供給される。
好ましい実施形態では、胚体内胚葉細胞培養物または細胞集団に供給されるFGFファミリー成長因子は、FGF10および/またはFGF7である。しかし、他のFGFファミリー成長因子またはFGFファミリー成長因子類似体もしくは模倣体をFGF10および/またはFGF7の代わりに、またはそれに加えて供給することができることが理解される。例えば、FGF1、FGF2、FGF3、およびFGF23までのそれらからなる群から選択されるFGFファミリー成長因子を供給することができる。そのような実施形態では、FGFファミリー成長因子および/またはFGFファミリー成長因子類似体もしくは模倣体は、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約25ng/ml、少なくとも約50ng/ml、少なくとも約75ng/ml、少なくとも約100ng/ml、少なくとも約200ng/ml、少なくとも約300ng/ml、少なくとも約400ng/ml、少なくとも約500ng/mlまたは少なくとも約1000ng/mlの濃度で存在するように細胞培養物の細胞に供給される。
他の好ましい実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤は、KAAD−シクロパミンである。しかし、他のヘッジホッグ阻害剤を使用することができることが理解される。そのような阻害剤には、KAAD−シクロパミン類似体、ジェルビン、ジェルビン類似体、ヘッジホッグ経路遮断抗体、および当業者に公知であるヘッジホッグ経路機能の任意の他の阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。単独で、またはFGFファミリー成長因子と併用されるとき、ヘッジホッグ阻害剤は少なくとも約0.01μΜから50μΜの濃度で供給することができる。
胚体内胚葉細胞からのPDX1陰性前腸内胚葉細胞の集団の生成のための好ましいプロセスでは、TGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達は、胚体内胚葉へのヒト多能性細胞の実質部分の分化から約2日の間低減または除去される(例えば、下の実施例に記載される3日、4または5日分化プロトコルの後)。同じ頃に、胚体内胚葉細胞の細胞培養物または細胞集団に、ノギンおよびKAAD−シクロパミン、例えば、2mMのRAまたは3nMのTTNPBの存在下のDMEM培地中に50ng/mlのノギンおよび0.25μMのKAAD−シクロパミンを供給する。
一部の実施形態では、PDX1陰性前腸内胚葉細胞は、レチノイン酸(RA)などのレチノイドを含有する培地と細胞を接触させるか、さもなければそれを細胞に供給することによって、PDX1陽性前腸内胚葉細胞にさらに分化させることができる。一部の実施形態では、少なくとも約1nMから50μMの濃度で存在するように、レチノイドを細胞培養物の細胞に供給する。そのような実施形態では、レチノイドは、胚体内胚葉細胞培養物でのTGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達の低減または除去から約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日の後、または約10日を超える日数の後に細胞に供給される。好ましい実施形態では、TGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達の低減または除去から約2〜3日後に、約0.05μΜのRAから約2μΜのRAがPDX1陰性前腸内胚葉細胞培養物に供給される。
本明細書に記載される分化プロセスの一部では、前述の分化因子は添加された後に細胞培養物から除去される。例えば、前述の分化因子は、添加してから約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日または約10日以内に除去することができる。
好ましい実施形態では、ハウスキーピング遺伝子などの対照遺伝子のレベルに標準化されるとき、本明細書で生成され、記載されるPDX1陰性前腸内胚葉細胞は、比較的高いレベルのSOX17、FOXA1、HNF1BおよびHNF4A遺伝子発現を有する。特に、HNF4A遺伝子発現レベルは、例えば胚体内胚葉培養物からのTGFβスーパーファミリー成長因子シグナル伝達(例えば、アクチビン)の除去まで実質的に増加しない。
PDX1陽性前腸内胚葉の生成および組成物(ステージ3)
PDX1陰性前腸内胚葉細胞は、PDX1陽性前腸内胚葉細胞またはPDX1陽性膵臓内胚葉またはそれらの等価物を生成するこれらの細胞のさらなる分化によって、膵臓分化の方向にさらに特定化することができる。本明細書に記載される分化プロセスの一部では、胚体内胚葉細胞を含む細胞培養物ならびに濃縮または精製された細胞集団は、PDX1陽性前腸内胚葉細胞を含む細胞培養物および/または濃縮された細胞集団へのさらなる分化のために使用することができる。
一般的に、レチノイン酸(RA)などのレチノイドをSOX17陽性前腸内胚葉細胞を含む細胞培養物に供給することによって、PDX1陰性前腸内胚葉細胞をPDX1陽性前腸内胚葉細胞に分化させる。分化プロセスの一部では、培養物中のPDX1陰性前腸内胚葉細胞には、RAの添加の前かそれとほぼ同じ時期に線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーも供給される。好ましい線維芽細胞成長因子は、FGF−7である。別の好ましいプロセスでは、線維芽細胞成長因子は、任意の線維芽細胞成長因子、または線維芽細胞成長因子2受容体IIIb(FGFR2(IIIb))を刺激するかさもなければそれと相互作用するリガンドを含む。さらに好ましいプロセスでは、FGFファミリー成長因子は、ヘッジホッグ経路阻害剤と併用される。好ましいヘッジホッグ経路阻害剤は、KAAD−シクロパミンである。特に好ましい分化プロセスでは、RA存在下でのPDX1陰性胚体内胚葉細胞を含む細胞培養物に、FGF−10および/またはKAAD−シクロパミンが供給される。ある特定のプロセスでは、RA存在下でBMP4がFGF10および/またはKAAD−シクロパミンとともに含まれてもよい。一部のプロセスでは、レチノイドは、ΤGFβスーパーファミリー成長因子のメンバーおよび/またはConnaught Medical Research Labs培地(CRML培地)(Invitrogen、Carlsbad、CA)と併用される。
本明細書に記載される分化プロセスの実施形態の一部に関して、レチノイドおよび/または前述の分化因子の組合せは、これらの因子がPDX1陽性前腸内胚葉細胞へのPDX1陰性前腸内胚葉細胞培養物または細胞集団の少なくとも一部の分化を促進するのに十分な濃度で細胞培養物または細胞集団に存在するように細胞に供給される。
他のプロセスでは、FGF−10は、少なくとも約1ng/ml、少なくとも約2ng/ml、少なくとも約5ng/ml、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約25ng/ml、および50μΜまでの濃度で存在するように、細胞培養物の細胞に供給される。本発明の一部の実施形態では、線維芽細胞成長因子または線維芽細胞成長因子2受容体IIIb(FGFR2(IIIb))を刺激するかさもなければそれと相互作用するリガンドが、単独で、またはヘッジホッグ経路阻害剤と組み合わせて供給される。
PDX1陰性前腸内胚葉細胞からのPDX1陽性前腸内胚葉細胞の集団の生成のための好ましいプロセスでは、PDX1陰性前腸内胚葉細胞の細胞培養物または濃縮された細胞集団に、FGF−7、KAAD−シクロパミンおよびレチノイン酸(RA)、例えば2μΜのRA存在下のCMRL培地中の25ng/mlのFGF−7および0.2μΜのKAAD−シクロパミンが供給される。
本明細書に記載される一部のプロセスでは、TGFβシグナル伝達因子、例えばアクチビンAおよび/またはアクチビンB、GDF−8、GDF−11等は、レチノイドおよび/または線維芽細胞成長因子およびヘッジホッグ阻害剤と一緒に細胞培養物に供給される。例えばそのようなプロセスでは、アクチビンAおよび/またはアクチビンBおよび/またはGDF−8および/またはGDF−11は、少なくとも約5ng/ml、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約25ng/ml、少なくとも約50ng/ml、少なくとも約75ng/ml、少なくとも約100ng/ml、少なくとも約200ng/ml、少なくとも約300ng/ml、少なくとも約400ng/ml、少なくとも約500ng/mlまたは少なくとも約1000ng/mlの濃度で細胞培養物に供給される。
一部のプロセスでは、分化因子および/またはCRML培地は、多能性細胞からの分化の開始から約1日、2日、3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日後、または約10日を超える日数の後に、PDX1陰性前腸内胚葉細胞に供給される。好ましいプロセスでは、分化因子および/またはCRML培地は、多能性幹細胞からの分化の開始から約3日、または4日、または5日後にPDX1陰性前腸内胚葉細胞に供給される。
本明細書に記載されるある特定のプロセスでは、前述の分化因子は添加された後に細胞培養物から除去される。例えば、前述の分化因子は、添加してから約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日または約10日以内に除去することができる。
これらおよび他の方法は、2005年10月27日に出願の米国特許仮出願第60/730,917号、表題PDX1−EXPRESSING DORSAL AND VENTRAL FOREGUT ENDODERMに詳細に記載され、PDX1陽性前腸内胚葉細胞は、2005年4月26日に出願の米国特許出願第11/115,868号、表題PDX1 EXPRESSING ENDODERMに見出すことができ、その開示は参照により完全に本明細書に組み込まれる。
好ましい実施形態では、ハウスキーピング遺伝子などの対照遺伝子のレベルに標準化され、比較されるとき、本明細書で生成され、記載されるPDX1陽性前腸内胚葉細胞は、比較的高いレベルのPDX1、NKX6.1、PTF1A、CPAおよびcMYC遺伝子発現を有する。
PDX1陽性膵臓内胚葉の生成および組成物(ステージ4)
PDX1陽性膵臓内胚葉または「膵臓上皮」またはより一般に膵臓前駆体の生成および組成物は、2008年7月2日に出願の米国特許出願第12/167,227号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONESに詳細に記載され、それは米国特許第7,534,608号として2009年5月19日に公布された。第12/167,227号出願は、2007年7月5日に出願の米国特許出願第11/773,944号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONESの継続出願であり、それは2007年3月2日に出願の米国特許出願第11/681,687号、表題ENDOCRINE PRECURSOR CELLS,PANCREATIC HORMONE−EXPRESSING CELLS AND METHODS OF PRODUCTIONの一部継続出願である。これらの出願の各々の開示は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
第12/167,227号出願の実施例22は、本明細書ステージ1〜4に記載される細胞培養条件の様々な改変を詳細に記載する。一般に、ステージ3のPDX1陽性前腸内胚葉型の細胞は、1体積/体積%のB27サプリメント中のDMEMに加えてノギン、または別のBMP4特異的阻害剤を含有する培地で、約1〜3日、または約1〜4日、または1〜5日、または約1〜6日の間培養される。ステージ4の終わりに、PDX1陽性膵臓内胚葉が生成され、その細胞はPDX1およびNkx6.1ならびにPTF1Aを少なくとも共発現する。細胞培養物は、ステージ5の単一もしくは複数ホルモン性内分泌細胞、またはステージ1の胚体内胚葉細胞、またはステージ2のPDX1陰性前腸内胚葉細胞、またはステージ3のPDX1陽性前腸内胚葉細胞の指標となる細胞を認め得る程には発現しない。
内分泌先駆細胞の生成および組成物(ステージ5)
本明細書に記載される一部の実施形態は、多能性細胞から開始して内分泌先駆細胞を生成する方法に関する。上記の通り、内分泌先駆細胞は、最初に多能性細胞を分化させて胚体内胚葉細胞を生成し、次に胚体内胚葉細胞をさらに分化させてPDX1陽性前腸内胚葉細胞を生成することによって生成することができる。そのような実施形態では、PDX1陽性前腸内胚葉細胞は、多分化能内分泌先駆細胞にさらに分化し、それはヒト膵島ホルモン発現細胞に分化することが可能である。
一実施形態では、PDX1陽性前腸内胚葉細胞は、内分泌先駆細胞の生成に十分な時間、レチノイン酸などのレチノイドの存在下でPDX1陽性前腸内胚葉細胞のインキュベーションを続けることによって内分泌先駆細胞に分化する。一部の実施形態では、内分泌先駆細胞の生成に十分な時間は、細胞培養物中の細胞の一部でのPDX1マーカーの発現の後の約1時間から約10日間である。一部の実施形態では、レチノイドは細胞培養物中に、細胞培養物中の細胞の一部でのPDX1マーカーの発現の後の約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約16時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、または約10日を超える日数維持される。
本明細書に記載される一部のプロセスでは、内分泌先駆細胞に細胞培養物または細胞集団中のPDX1陽性前腸内胚葉細胞を分化させるために使用されるレチノイドの濃度は、約1nMから約100μΜである。
一部の好ましい実施形態では、ヒトPDX1陽性前腸内胚葉細胞を含む細胞培養物または細胞集団へのガンマセクレターゼ阻害剤の供給によって、PDX1陽性前腸内胚葉細胞から膵臓内分泌先駆細胞への分化が媒介される。好ましい一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、N−[N−(3,5−ジフルオロフェナセチル−L−アラニル)]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル(DAPT)である。
他の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、分化プロセスの開始時に、例えば多能性ステージに供給され、膵島ホルモン発現細胞への分化の間ずっと細胞培養物中に残存する。さらに他の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、分化の開始の後に、しかしPDX1陽性前腸内胚葉ステージへの分化の前に加えられる。好ましい実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、PDX1陽性内胚葉への胚体内胚葉の変換を促進する分化因子の供給と同じ頃に、細胞培養物または細胞集団に供給される。他の好ましい実施形態では、細胞培養物または細胞集団中の細胞の実質的な部分がPDX1陽性前腸内胚葉細胞に分化した後に、ガンマセクレターゼ阻害剤は細胞培養物または細胞集団に供給される。
内分泌先駆細胞へのPDX1陽性前腸内胚葉細胞の分化に関する一部の実施形態に関して、ガンマセクレターゼ阻害剤は、内分泌先駆細胞へのPDX1陽性細胞の少なくとも一部の分化を促進するのに十分な濃度で細胞培養物または細胞集団に存在するように細胞に供給される。一部の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、約0.01μΜから約1000μΜの濃度で細胞培養物または細胞集団に存在する。好ましい実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、約0.1μΜから約100μΜの濃度で細胞培養物または細胞集団に存在する。
本明細書に記載される内分泌先駆細胞を生成するプロセスのある特定の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、前に供給された1つまたは複数の分化因子が細胞培養物から除去された後に供給される。例えば、前に供給される1つまたは複数の分化因子は、ガンマセクレターゼ阻害剤の添加より約1日から10日前、または約10日以上前に除去することができる。他の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、前に供給されたか、ガンマセクレターゼ阻害剤と同じ頃に供給された1つまたは複数の分化因子を含む細胞培養物または細胞集団に供給される。好ましい実施形態では、前に供給されたかガンマセクレターゼ阻害剤と同じ頃に供給された分化因子としては、FGF−10、KAAD−シクロパミン、アクチビンA、アクチビンB、GDF−8、GDF−11、BMP4および/またはRAが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の本発明の一部の実施形態では、分化する細胞培養物または細胞集団に、ガンマセレクターゼ阻害剤とほぼ同じ時間にエキセンディン4をもたらす。ある特定の実施形態では、エキセンディン4を、細胞培養物または細胞集団中に少なくとも約0.1ng/mLから、1000ng/mLまでの濃度で存在するようにもたらす。
PDX1陽性前腸内胚葉細胞からの内分泌先駆細胞の生成のための好ましいプロセスでは、PDX1陽性前腸内胚葉細胞の細胞培養物または細胞集団は、3μΜのDAPTおよび40ng/mlのエキセンディン4が供給される。特に好ましい実施形態では、細胞はCMRLで分化する。別の特に好ましいプロセスでは、PDX1陽性前腸内胚葉細胞からの内分泌先駆細胞の生成のために、PDX1陽性前腸内胚葉細胞の細胞培養物または細胞集団には、2μΜのRAの存在下で3μΜのDAPTおよび40ng/mlのエキセンディン4が供給される。
NGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、内分泌先駆細胞において分化の状態に応じて様々な異なるレベルにわたって誘導されることが理解されよう。そのように、本明細書に記載の一部の実施形態では、内分泌先駆細胞または細胞集団におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、非内分泌先駆細胞または細胞集団、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉細胞、未成熟膵島ホルモン発現細胞、成熟膵島ホルモン発現細胞、胚体外内胚葉細胞、中胚葉細胞および/または外胚葉細胞におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現の少なくとも約2倍〜少なくとも約10,000倍である。他の実施形態では、内分泌先駆細胞または細胞集団におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、非内分泌先駆細胞または細胞集団、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉細胞、未成熟膵島ホルモン発現細胞、成熟膵島ホルモン発現細胞、胚体外内胚葉細胞、中胚葉細胞および/または外胚葉細胞におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現の少なくとも約4倍、少なくとも約6倍〜10,000倍である。一部の実施形態では、内分泌先駆細胞または細胞集団におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、非内分泌先駆細胞または細胞集団、例えば、多能性細胞様iPS細胞およびhES細胞、胚体内胚葉細胞、PDX1陽性前腸内胚葉細胞、未成熟膵島ホルモン発現細胞、成熟膵島ホルモン発現細胞、胚体外内胚葉細胞、中胚葉細胞および/または外胚葉細胞におけるNGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現よりもはるかに高い。
本発明の別の実施形態は、ヒト内分泌先駆細胞などのヒト細胞を含む細胞培養物または細胞集団などの組成物であって、ヒト細胞の少なくとも約2%においてNGN3マーカーの発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい組成物に関する。他の実施形態では、ヒト細胞の少なくとも約5%〜98%においてNGN3マーカーの発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい。一部の実施形態では、細胞培養物または細胞集団中の、NGN3の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きいヒト細胞の百分率は、フィーダー細胞を考慮せずに算出する。
本発明の一部の実施形態は、ヒト内分泌先駆細胞を含む細胞培養物または細胞集団などの組成物であって、ヒト細胞の少なくとも約2%から少なくとも約98%超までにおいてNKX2.2および/またはPAX4の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい組成物に関することが理解されよう。一部の実施形態では、ヒト細胞の少なくとも約5%〜ヒト細胞の98%においてNKX2.2および/またはPAX4の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きい。一部の実施形態では、細胞培養物または細胞集団中の、NKX2.2および/またはPAX4の発現がAFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーの発現よりも大きいヒト細胞の百分率は、フィーダー細胞を考慮せずに算出する。
本発明の追加の実施形態は、in vitroで胚体内胚葉から分化した哺乳動物細胞、例えばin vitroで胚体内胚葉から分化したヒト細胞を含む組成物、例えば細胞培養物または細胞集団に関し、in vitroで胚体内胚葉から分化した細胞の少なくとも約2%では、NGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRLおよび/またはPAX6マーカーの発現より大きい。他の実施形態では、in vitroで胚体内胚葉から分化した細胞の少なくとも約5%からin vitroで胚体内胚葉から分化した細胞の98%で、NGN3、NKX2.2および/またはPAX4マーカーの発現は、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRLおよび/またはPAX6マーカーの発現より大きい。
本明細書に記載のプロセスを使用して、他の細胞型を実質的に含まない、内分泌先駆細胞を含む組成物を生成することができる。本発明の一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する内分泌先駆細胞集団または細胞培養物は、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーを有意に発現する細胞を実質的に含まない。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって生成する細胞培養物の内分泌先駆細胞集団は、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1、NFM、MAFA、SYP、CHGA、INS、GCG、SST、GHRL、および/またはPAX6マーカーを有意に発現する細胞を実質的に含まない。
本発明の一実施形態では、マーカーの発現に基づく内分泌先駆細胞の記述は、高NGN3、高NKX2.2、高PAX4、低AFP、低SOX7、低SOX1、低ZIC1、低NFM、低MAFA;低SYP;低CHGA;低INS、低GCG、低SST、低GHRLおよび/または低PAX6である。
未熟な膵島ホルモン発現細胞の生成
本明細書に記載される実施形態は、多能性細胞から開始して未熟な膵島ホルモン発現細胞を生成する方法に関する。上記の通り、未熟な膵島ホルモン発現細胞は、最初に多能性細胞を分化させて胚体内胚葉細胞を生成し、胚体内胚葉細胞を分化させて前腸内胚葉細胞を生成し、前腸内胚葉を分化させてPDX1陽性前腸内胚葉細胞を生成し、次にPDX1陽性前腸内胚葉細胞をさらに分化させて内分泌先駆細胞を生成することによって生成することができる。一部の実施形態では、内分泌先駆細胞を未熟な膵島ホルモン発現細胞にさらに分化させることによって、そのプロセスを継続する。
本発明の一部の実施形態では、細胞がNGN3を実質的に発現することを停止し、PAX6の発現を開始するのに十分な時間、および細胞が少なくとも1つの膵島細胞ホルモンを発現する能力を有するように、ガンマセクレターゼ阻害剤との内分泌先駆細胞の培養物のインキュベーションを続けることによって、内分泌先駆細胞から未熟な膵島ホルモン発現細胞への分化が進行する。一部の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、内分泌先駆細胞の誘導の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日後、または約10日以上後に除去される。好ましい一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、N−[N−(3,5−ジフルオロフェナセチル−L−アラニル)]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル(DAPT)である。
本明細書に開示される未熟な膵島ホルモン発現細胞の生成のためのある特定のプロセスは、ヒト内分泌先駆細胞を含む細胞培養物または細胞集団への、ニコチンアミド、エキセンディン4、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子1(IGF1)からなる群から選択される1つまたは複数の因子の供給によって媒介される。一部の実施形態では、上記の因子の全4つは、一緒に供給される。一部の実施形態では、上記の因子の1つまたは複数は、内分泌先駆細胞の分化の前に細胞培養物に供給され、内分泌先駆細胞への細胞培養物中の細胞の少なくとも一部の分化の間、細胞培養物に残存する。他の実施形態では、上記の因子の1つまたは複数は内分泌先駆細胞への細胞の実質的な部分の分化時かその頃に細胞培養物に供給され、細胞の少なくとも実質的な部分が未熟な膵島ホルモン発現細胞に分化するまで細胞培養物に残存する。本発明の一部の実施形態では、上記の因子の1つまたは複数は、分化プロセスの開始時に、例えば多能性細胞ステージに供給され、未熟な膵島ホルモン発現細胞への分化の間ずっと細胞培養物中に残存する。
本明細書に開示される未熟な膵島ホルモン発現細胞の生成のための一部のプロセスでは、ニコチンアミド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチン酸が、未熟な膵島ホルモン発現細胞への内分泌先駆細胞の少なくとも一部の分化を促進するのに十分な濃度で細胞培養物または細胞集団に存在するように細胞に供給される。一部の実施形態では、ニコチンアミドは、少なくとも約0.1mM、少なくとも約0.5mMから1000mMの濃度で、細胞培養物または細胞集団に存在する。
本明細書に開示される未熟な膵島ホルモン発現細胞の生成のための他のプロセスでは、エキセンディン4が未熟な膵島ホルモン発現細胞への内分泌先駆細胞の少なくとも一部の分化を促進するのに十分な濃度で細胞培養物または細胞集団に存在するように細胞に供給される。一部の実施形態では、エキセンディン4は、少なくとも約1ng/ml、少なくとも約5ng/mlから1000ng/mlの濃度で、細胞培養物または細胞集団に存在する。
本明細書に開示される未熟な膵島ホルモン発現細胞の生成のためのさらに他のプロセスでは、HGFが未熟な膵島ホルモン発現細胞への内分泌先駆細胞の少なくとも一部の分化を促進するのに十分な濃度で細胞培養物または細胞集団に存在するように細胞に供給される。一部の実施形態では、HGFは、少なくとも約1ng/ml、少なくとも約5ng/mlから1000ng/mlの濃度で、細胞培養物または細胞集団に存在する。
本明細書に開示される未熟な膵島ホルモン発現細胞の生成のためのさらに他のプロセスでは、IGF1が未熟な膵島ホルモン発現細胞への内分泌先駆細胞の少なくとも一部の分化を促進するのに十分な濃度で細胞培養物または細胞集団に存在するように細胞に供給される。一部の実施形態では、IGF1は、少なくとも約1ng/mlから1000ng/mlの濃度で、細胞培養物または細胞集団に存在する。
本明細書に記載の未成熟膵島ホルモン発現細胞を生成するためのプロセスのある特定の実施形態では、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種を、前に供給された1種または複数種の分化因子を細胞培養物から除去した後に供給する。他の実施形態では、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種を、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種よりも前に供給された、またはほぼ同時に供給された1種または複数種の分化因子を含む細胞培養物または細胞集団に供給する。好ましい実施形態では、ニコチンアミド、エキセンディン4、HGFおよびIGF1のうちの1種または複数種よりも前に供給される、またはほぼ同時に供給される分化因子としては、これだけに限定されないが、DAPT、FGF−10、KAAD−シクロパミン、アクチビンA、アクチビンB、BMP4および/またはRAが挙げられる。
本発明の別の実施形態は、ヒト未成熟膵島ホルモン発現細胞などのヒト細胞を含む細胞培養物または細胞集団などの組成物であって、ヒト細胞の少なくとも約2%においてMAFB、SYP、CHGA、NKX2.2、ISL1、PAX6、NEUROD、PDX1、HB9、GHRL、IAPP、INS、GCG、SST、PP、および/またはC−ペプチドマーカーの発現がNGN3、MAFA、MOX1、CER、POU5F1、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーの発現よりも大きい組成物に関する。他の実施形態では、ヒト細胞の少なくとも約5%において、ヒト細胞の少なくとも約10%〜ヒト細胞の95%においてまたはヒト細胞の少なくとも約98%においてMAFB、SYP、CHGA、NKX2.2、ISL1、PAX6、NEUROD、PDX1、HB9、GHRL、IAPP、INS、GCG、SST、PP、および/またはC−ペプチドマーカーの発現がNGN3、MAFA、MOX1、CER、POU5F1、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーの発現よりも大きい。
一部の実施形態では、MAFB、SYP、CHGA、NKX2.2、ISL1、PAX6、NEUROD、PDX1、HB9、GHRL、IAPP、INS GCG、SST、PPおよび/またはCペプチドの発現がNGN3、MAFA、MOX1、CER、POU5F1、AFP、SOX7、SOX1、ZIC1および/またはNFMマーカーの発現より大きい場合、細胞培養物または集団中のヒト細胞の百分率は、フィーダー細胞に関係なく計算される。
本発明のある特定の実施形態では、未成熟膵島ホルモン発現細胞を含む細胞培養物および/または細胞集団は、グレリン、インスリン、ソマトスタチンおよび/またはグルカゴンから選択される、1種または複数種の分泌されたホルモンを含む培地も含む。他の実施形態では、培地は、C−ペプチドを含む。好ましい実施形態では、培地中の1種または複数種の分泌されたホルモンまたはC−ペプチドの濃度は、細胞内DNA1μg当たり少なくとも約1pmolのグレリン、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴンまたはC−ペプチドから、細胞内DNA1μg当たり少なくとも約1000ピコモル(pmol)のグレリン、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴンまたはC−ペプチドまでの範囲である。
インスリンをin vivoで生成させる方法
一部の実施形態では、上記のin vitroで導出された膵臓前駆細胞またはPDX−1陽性膵臓内胚葉型細胞またはその等価物を哺乳動物対象に移植する。これらの方法は、国際出願第PCT/US2007/015536号、表題「METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONES」に詳しく記載され、それは参照により本明細書に完全に組み込まれる。好ましい実施形態では、哺乳動物対象はヒト対象である。特に好ましい対象は、生理的に高い血中グルコース濃度に応答して十分なレベルのインスリンを生成する対象の能力が限定される状態を有すると同定された対象である。任意の特定の哺乳動物種についての生理的に高い血中グルコースレベルを構成する血中グルコースレベルの範囲は、当業者には容易に決定することができる。認識される疾患または状態をもたらすいかなる持続的な血中グルコースレベルも、生理的に高い血中グルコースレベルとみなされる。
本発明のさらなる実施形態は、in vitro多能性幹細胞またはその後代、例えば、PDX−1陽性前腸内胚葉細胞、PDX−1陽性膵臓内胚葉もしくは膵臓前駆細胞、NGN3陽性内分泌先駆体などの内分泌先駆体などの多分化能細胞、またはインスリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、ソマトスタチン(somatistatin)分泌細胞、グレリン分泌細胞、もしくは膵臓ポリペプチド分泌細胞などの機能的な分化したホルモン分泌細胞から導出されるin vivoインスリン分泌細胞に関する。上記の最終分化した細胞または多分化能細胞のいずれも、宿主、または哺乳動物に移植し、宿主血中グルコースレベルに応答してインスリンを分泌する細胞などの生理的に機能的なホルモン分泌細胞に成熟させることができる。好ましい実施形態では、細胞はin vivoで奇形腫を形成せず、そのように形成された場合には、移植の領域に局在したままであり、容易に切除または除去することができる。特に好ましい実施形態では、細胞は、in vitroにおける分化プロセスの間、または哺乳動物にin vivoで移植された際、またはin vivoで機能的な島に成熟および発達する際に、いかなる核型異常も含有しない。
さらに、本明細書に記載の実施形態は、工学的に操作されたまたは遺伝子組換えされた、多能性細胞、ヒトiPS細胞などの多能性細胞から本明細書において提供される説明に基づいて導出された多分化能細胞または分化した細胞に関するが、iPS細胞では、hES細胞およびhES由来細胞と同様の生理機能および遺伝子マーカーの発現プロファイルが実証されるので、iPS細胞はin vivoにおける同様の生理的特性を有することが予測される。
膵臓前駆体を封入する方法
一部の実施形態では、本明細書に記載の多能性細胞、多分化能細胞および分化した細胞組成物を生物学的および/または非生物学的機械デバイスに封入することができ、封入されたデバイスにより、細胞組成物が宿主から分離および/または隔離される。
封入の方法は、2008年11月14日に出願の米国特許出願第61/114,857号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC PROGENITORS DERIVED FROM HES CELLS、および2008年12月12日に出願の米国特許出願第61/121,086号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC ENDODERM CELLSに詳細に記載され、それらは参照により完全に本明細書に組み込まれ、半透膜、例えばTheracyte(商標)またはGoreデバイスを使用する膵臓内胚葉細胞の封入を記載する。
一実施形態では、hES由来の細胞は、生体適合性のポリエチレングリコール(PEG)を使用して封入される。PEGをベースとした封入は、米国特許第7,427,415号、表題IMPLANTATION OF ENCAPSULATED BIOLOGICAL MATERIALS FOR TREATING DISEASES;米国特許第6,911,227号、表題GELS FOR ENCAPSULATION OF BIOLOGICAL MATERIALS;および米国特許第6,911,227号、第5,529,914号、第5,801,033号、第6,258,870号、表題GELS FOR ENCAPSULATION OF BIOLOGICAL MATERIALSでさらに詳細に記載され、それらは参照により完全に本明細書に組み込まれ、ポリエチレングリコールを使用する細胞凝集体のコンフォーマルコーティングを記載する。
一実施形態では、封入デバイスは、多能性由来細胞、例えば、PDX−1陽性前腸内胚葉細胞、PDX−1陽性膵臓内胚葉もしくは前駆細胞、NGN3陽性内分泌先駆体などの内分泌先駆体、または、インスリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、ソマトスタチン分泌細胞、グレリン分泌細胞、もしくは膵臓ポリペプチド分泌細胞などの機能的な分化したホルモン分泌細胞を、移植された細胞集団が通過するのを防ぎ、それらをデバイス内に保持すると同時に、ある特定の分泌されたポリペプチド、例えばインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、グレリン、膵臓ポリペプチドなどの通過を可能にする半透膜の中に含有する。あるいは、デバイスは血管化膜などの複数の膜を有する。
ヒト多能性幹細胞、例えばhES細胞およびiPS細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を増強および促進するための作用物質の使用
膜を介した細胞外シグナルの伝達により細胞調節に影響を及ぼし、今度はそれにより、細胞内の生化学的な経路をモジュレートすることができる。タンパク質のリン酸化は、細胞内シグナルが分子から分子へ伝搬され、最終的に細胞の応答がもたらされる1つの経過を表すものである。これらのシグナルトランスダクションカスケードは、高度に調節されており、多くの場合、多くのプロテインキナーゼおよびホスファターゼが存在することによって証明されるように、重複している。ヒトにおいて、タンパク質チロシンキナーゼは、糖尿病、がんを含めた多くの病態の進行において重要な役割を有することが分かっていることが報告されており、また、多種多様な先天性の症候群に関連付けられている。セリントレオニンキナーゼ、例えばRhoキナーゼは、阻害された場合に、糖尿病、がん、および種々の炎症性心血管障害およびAIDSを含めたヒト疾患の治療と関連し得る酵素のクラスである。現在までに同定されている大多数の阻害剤は、ATP結合部位で作用する。そのようなATP競合阻害剤は、ATP結合部位のあまり保存されていない領域を標的とするそれらの能力による選択性が実証されている。
低分子GTP結合性タンパク質のRhoキナーゼファミリーは、RhoA〜EおよびRhoG、Rac1およびRac2、Cdc42、およびTC10を含む少なくとも10種のメンバーを含む。阻害剤は、多くの場合、ROK阻害剤もしくはROCK阻害剤またはRhoキナーゼ阻害剤と称され、これらは、本明細書では互換的に使用される。RhoA、RhoB、およびRhoCのエフェクタードメインは同じアミノ酸配列を有し、同様の細胞内標的を有すると思われる。RhoキナーゼはRhoの最初の下流メディエーターとして作動し、2つのアイソフォーム:α(ROCK2)およびβ(ROCK1)として存在する。Rhoキナーゼファミリータンパク質は、それらのN末端ドメイン内に触媒(キナーゼ)ドメインを有し、その中央部分にコイルドコイルドメインを有し、それらのC末端領域内に推定プレクストリン相同性(PH)ドメインを有する。ROCKのRho結合性ドメインはコイルドコイルドメインのC末端部分に局在し、GTPと結合した形態のRhoとの結合により、キナーゼ活性の増強がもたらされる。Rho/Rhoキナーゼ媒介性経路は、アンジオテンシンII、セロトニン、トロンビン、エンドセリン−1、ノルエピネフリン、血小板由来成長因子、ATP/ADPおよび細胞外ヌクレオチド、およびウロテンシンIIなどの多くのアゴニストによって開始されるシグナルトランスダクションにおいて重要な役割を果たす。Rhoキナーゼは、その標的エフェクター/基質のモジュレーションを通じて、平滑筋収縮、アクチン細胞骨格組織化、細胞の接着および運動性ならびに遺伝子発現などの種々の細胞機能において重要な役割を果たす。動脈硬化症の発病と関連すると認知されているいくつもの細胞機能の媒介においてRhoキナーゼタンパク質が果たす役割により、これらのキナーゼの阻害剤も種々の動脈硬化性心血管疾患を治療または予防するために有用であり得、また、内皮収縮に関与する。
一部の実施形態では、これだけに限定されないが、Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632、ファスジル(HA1077とも称される)、H−1152PおよびITS(インスリン/トランスフェリン/セレン;Gibco)、Wf−536、Y−30141(米国特許第5,478,838号に記載され、それは参照により本明細書に完全に組み込まれる)およびそれらの誘導体、ならびにROCKに対するアンチセンス核酸、RNA干渉誘導性核酸(例えば、siRNA)、競合的ペプチド、アンタゴニストペプチド、阻害性抗体、抗体−scFV断片、ドミナントネガティブバリアントおよびその発現ベクターなどの、細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を促進し、かつ/または支持する作用物質を種々の細胞培養培地条件に添加する。さらに、ROCK阻害剤として他の低分子化合物が公知であるので、そのような化合物またはその誘導体も本発明において使用することができる(例えば、参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許出願第20050209261号、同第20050192304号、同第20040014755号、同第20040002508号、同第20040002507号、同第20030125344号および同第20030087919、ならびに国際特許公開第2003/062227号、同第2003/059913号、同第2003/062225号、同第2002/076976号および同第2004/039796号を参照されたい)。
本発明では、1種または2種またはそれ以上のROCK阻害剤の組合せも使用することができる。これらの作用物質は、一部において、解離したhES細胞、iPSまたは分化した細胞培養物、例えば、胚体内胚葉、前腸内胚葉、膵臓内胚葉、膵臓上皮、膵臓前駆体集団、内分泌前駆体および集団などの再会合を促進することによって機能する。同様に、作用物質は、細胞解離が行われない場合にも機能し得る。ヒト多能性幹細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着の増大は、細胞が懸濁液中の細胞凝集体から生成したものであるか、または接着プレート培養物(細胞外マトリックスの構成成分を含みまたは含まずに、血清を含みまたは含まずに、線維芽細胞フィーダーを含みまたは含まずに、FGFを含みまたは含まずに、アクチビンを含みまたは含まずに)から生成したものであるかとは独立して実現された。これらの細胞集団の生存率の増加により、セルソーターを使用する精製系が容易になり、改善され、したがって、細胞の回収の改善が可能になる。Y27632などのRhoキナーゼ阻害剤の使用により、解離した単一細胞の段階的な継代の間、または低温保存からのそれらの生存が促進されることにより、分化した細胞型の増幅も可能になり得る。Y27632などのRhoキナーゼ阻害剤はヒト多能性幹細胞(例えばhES細胞およびiPS細胞)およびそれが分化した細胞に対して試験されてきたが、Rhoキナーゼ阻害剤は、他の細胞型、例えば、一般に、これだけに限定されないが、腸、肺、胸腺、腎臓ならびに網膜色素上皮と同様の神経系細胞型を含めた上皮細胞に適用することができる。
細胞培養培地中のROCK阻害剤の濃度は、その濃度により所望の効果が実現される、例えば、細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着の増強、増加、および/または促進が実現される限りは、下記の実施例に記載されているものに限定されない。種々のROCK阻害剤を種々の条件下で最適化することが必要な場合があることが当業者には理解されよう。例えば、Y−27632を使用する場合、好ましい濃度は、約0.01〜約1000μM、より好ましくは約0.1〜約100μM、なおより好ましくは約1.0〜約50μM、最も好ましくは約5〜20μMの範囲であり得る。ファスジル/HA1077を使用する場合、上述のY−27632濃度の約2倍または3倍で使用することができる。H−1152を使用する場合、上述のY−27632濃度の量のおよその分数、例えば、約1/10、1/20、1/30、1/40、1/50または1/60で使用することができる。使用するROCK阻害剤の濃度は、一部において、阻害剤の生物活性および効力ならびにそれが使用される条件に左右される。
ROCK阻害剤を用いて処理する時間および期間は、成長、生存、増殖(細胞集団)および細胞間接着の増強、増加、および/または促進などの所望の効果に応じて限定される場合もされない場合もある。しかし、ROCK阻害剤の添加は、実施例7によりよく記載されている通り、驚くべき様式で分化にも影響を及ぼし得る。下記の実施例には、約12時間、24時間、48時間、またはそれ以上にわたって処理されたヒト多能性幹細胞培養物および/または分化した細胞培養物が記載されている。
ROCK阻害剤を用いて処理されるヒト多能性幹細胞培養物の密度も同様に、それが、細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着の増強、増加、および/または促進などの所望の効果が実現される密度である限りは限定されない。播種される細胞の細胞密度は、これだけに限定されないが、接着培養物または懸濁培養物の使用、使用する細胞培養培地の特定のレシピ、成長条件および培養細胞の意図された使用を含めた種々の因子に応じて調整することができる。細胞培養物の密度の例としては、これだけに限定されないが、1ml当たり細胞0.01×10個、1ml当たり細胞0.05×10個、1ml当たり細胞0.1×10個、1ml当たり細胞0.5×10個、1ml当たり細胞1.0×10個、1ml当たり細胞1.2×10個、1ml当たり細胞1.4×10個、1ml当たり細胞1.6×10個、1ml当たり細胞1.8×10個、1ml当たり細胞2.0×10、1ml当たり細胞3.0×10個、1ml当たり細胞4.0×10個、1ml当たり細胞5.0×10個、1ml当たり細胞6.0×10個、1ml当たり細胞7.0×10個、1ml当たり細胞8.0×10個、1ml当たり細胞9.0×10個、または1ml当たり細胞10.0×10個、またはそれ以上、例えば、1mL細胞5×10個まで、またはそれ以上、または間の任意の値が挙げられ、良好な細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を伴って培養された。
TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質の使用
さらに別の実施形態では、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質は、成長因子のTGFβスーパーファミリーのメンバーを含み、本明細書に記載されている。本明細書で使用される場合、「TGFβスーパーファミリーメンバー」またはその等価物とは、TGFβ1、TGFβ2、TF−β3、GDF−15、GDF−9、BMP−15、BMP−16、BMP−3、GDF−10、BMP−9、BMP−10、GDF−6、GDF−5、GDF−7、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−2、BMP−4、GDF−3、GDF−1、GDF11、GDF8、アクチビンβC、βΕ、βΑおよびβΒ、BMP−14、GDF−14、MIS、インヒビンアルファ、Lefty1、Lefty2、GDNF、ニュールツリン(Neurteurin)、パーセフィンおよびアルテミンなどのサブファミリーを含めた30種を超える構造的に関連するタンパク質を指す。Changら(2002)Endocrine Rev.23(6):787−823を参照されたい。
TGFβファミリーメンバーは、TGFβファミリーメンバーに応答して細胞の性質の変化を伝達する、または他のやり方で引き起こすことに関与するポリペプチドまたは相互作用の1種または複数種を刺激する化合物であるTGFβシグナル伝達経路活性化因子によって置き換えること、またはそれと併せて使用することができる。TGFβシグナル伝達経路はTGFβファミリーメンバー自体を含む。TGFβスーパーファミリーメンバーは、II型およびI型セリン−トレオニンキナーゼ受容体およびSmadとして公知の細胞内エフェクターを通じたシグナル伝達によってシグナルを核に伝達する。これらの受容体は、協同的に作用してリガンドに結合し、シグナルを伝達するI型受容体およびII型受容体として公知の2つのサブファミリーに入る(Attisanoら、Mol Cell Biol 16(3)、1066−1073(1996))。リガンドはI型受容体およびII受容体の細胞表面に結合し、リン酸化によるI型受容体の活性化を促進する。この活性化された複合体が今度は細胞内Smadを活性化し、それが転写を調節する多サブユニット複合体に集合する。TGFベータスーパーファミリーのメンバーは、2つのシグナル伝達サブグループ:TGFβ/アクチビンと機能的に関連するもの、およびBMP/GDFサブファミリーと関連するものに分けられる。大部分のTGFβリガンドは、最初にII型受容体に結合し、次いで、このリガンド/II型受容体複合体がI型受容体を動員またはリン酸化すると考えられている(Mathews,L S、Endocr Rev 15:310−325(1994);Massague、Nature Rev:Mol Cell Biol.1、169−178(2000))。II型受容体キナーゼは、I型受容体キナーゼをリン酸化および活性化することにより、次いで、Smadタンパク質をリン酸化および活性化する。TGFβ/アクチビンリガンドはTGFβおよびアクチビンII型受容体に結合し、このアクチビン型経路を通じてSmad−2、Smad−3、NodalおよびLeftyシグナルを活性化することができる。BMP/GDFリガンドはBMP II型受容体に結合し、Smad1、Smad5、およびSmad8を活性化することができる。Derynck,Rら、Cell 95、737−740(1998)を参照されたい。リガンド刺激の際、Smadは核内に移動し、転写複合体の構成成分として機能する。
TGFβシグナル伝達は、種々の機構を通じて正におよび負に調節される。陽性調節では、シグナルが生物学的活性のために十分なレベルまで増幅される。TGFβスーパーファミリーリガンドがII型受容体に結合し、これによりI型受容体が動員およびリン酸化される。次いで、I型受容体により、受容体により調節されるSMAD(R−SMAD、例えばSMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD5、およびSMAD8)がリン酸化され、そこで共通のメディエーターSmadまたはco−SMADに結合することができる。R−SMAD/coSMAD複合体は核内に蓄積され、そこで転写因子としての機能を果たし、標的遺伝子発現の調節に関与する。例えば、成長分化因子としては1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、および15が挙げられる。また、好ましい一実施形態では、GDF8およびGDF11はTGFβファミリーメンバーであり、同様にTGFβシグナル伝達経路活性化因子(陽性調節)でもあり、ActRII受容体の細胞外リガンド結合性ドメイン部分に結合し、次いでActRIと複合体を形成し、それによりSmad7負の制御因子の阻害およびSmad2/Smad3複合体のリン酸化を導くことによって作用する。Smad2/Smad3複合体はSmad4と会合して特定の遺伝子の発現を調節する。
TGFβシグナル伝達の負の調節は、細胞外、膜、細胞質および核レベルで起こる。TGFβによって開始されるシグナル伝達を抑圧するために、シグナル伝達を妨害することができる。これは、TGFβ受容体およびSMADタンパク質相互作用をブロックするかそれと競合するタンパク質などの、TGFβ受容体(複数可)とSMADタンパク質の間の相互作用と拮抗またはそれを阻止する、当技術分野で公知である任意の手段によって達成することができる。あるいは、シグナル伝達経路に沿うシグナル伝達を阻止するために、当技術分野で公知である任意の手段によって、TGFβ受容体またはSMADタンパク質の転写または翻訳を変化させることができる。様々なTGFβメンバータンパク質の正および負の調節は、下の因子のいくつかのより詳細な記載によってさらに例示される。
任意の作用物質の使用と同様に、細胞培養培地中の任意のTGFβスーパーファミリーメンバーの濃度は、その濃度により、例えばTGFβ受容体ファミリーメンバーが活性化されることなどの所望の効果を実現することができる限りは、下記の実施例に記載されているものに限定されない。例えば、アクチビン、例えば、アクチビンAおよび/またはアクチビンB、またはGDF8およびGDF−11を使用する場合、好ましい濃度は、約10〜約300nM、より好ましくは約50〜約200nM、なおより好ましくは約75〜約150nM、最も好ましくは約100〜125nMの範囲であり得る。当業者は、任意の濃度を容易に試験することができ、当技術分野における標準の技法を使用して、そのような濃度の有効性を決定すること、例えば、任意の細胞型について遺伝子マーカー(gene maker)パネルの発現および非発現を決定することによって分化を評価することができる。
ヒト多能性幹細胞を分化させるために使用されるこれらおよび他の成長因子は、2008年6月3日に出願の米国特許出願第12/132,437号、表題GROWTH FACTORS FOR PRODUCTION OF DEFINITIVE ENDODERMでさらに詳細に記載され、それは参照により完全に本明細書に組み込まれる。
本発明を一般に記載したが、本明細書において提供される、単に例示するためのものであり、限定するものではないある特定の実施例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。
上述のものが本発明の好ましい実施形態に関連すること、および本発明の範囲を逸脱しないでそこに多数の変更を加えることができることも理解するべきである。本発明は以下の実施例でさらに例示されるが、それらはその範囲に制限を加えるものと決して解釈されてはならない。逆に、様々な他の実施形態、改変形およびその同等物を用いることができることを明らかに理解するべきであり、それらは、本明細書の説明を読んだ後ならば、本発明の精神および/または添付の特許請求の範囲を逸脱しないで、当業者が思いつくことができる。
(実施例1)
胚体内胚葉および内胚葉中間体を経た膵臓の前駆体および内分泌細胞へのヒトiPS細胞の分化
膵臓前駆体、内分泌前駆体およびホルモン発現内分泌細胞などの膵臓細胞型の集団を生成するために、約2週(または14日)にわたる四(4)ステージ手順を使用して、懸濁凝集体でヒト人工多能性幹(iPS)細胞を分化させた。本明細書で用いたヒトiPS細胞系は、S.Yamanaka、京都大学、日本およびCellular Dynamics International,Inc.(CDI)によって提供された。
本明細書に記載されるiPS細胞は、Shinya Yamanakaによって最初に、その後CDIによって提供された。未分化iPS細胞は、20%ノックアウト血清代替物を含有するDMEM/F12において、有糸***不活性化マウス胚線維芽細胞上で、または好ましくはフィーダーフリー(線維芽細胞フィーダー細胞層なし)で増殖させた。アキュターゼを使用して未分化iPS細胞を単細胞に解離させることによって分化を開始し、RNAの単離と分析のために細胞試料をとった。細胞は、1:5000希釈のインスリン−トランスフェリン−セレン(ITS)、アクチビンA(100ng/mL)、wnt3a(50ng/mL)およびrhoキナーゼまたはROCK阻害剤、Y−27632を10μΜで含有するRPMI+0.2体積/体積%FBSに、1ミリリットルにつき細胞数1,000,000〜2,000,000で再懸濁させ、回転プラットホームの上に置いた超低付着6ウェルプレートに入れ、約100rpmで回転させた。培養物は、分化プロセスの残りの間、培地を毎日交換し、100rpmで回転させた。iPSCの成長、継代および増殖は、実質的に米国特許第7,961,402号および第8,211、699号に記載されている通りであり、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
多能性細胞、例えばhESまたはiPS細胞、および多能性細胞から導出された細胞の凝集懸濁培養物を生成するための本明細書に記載の方法は、実質的に、2007年2月23日に出願された表題がCompositions and methods for culturing differential cellsであるPCT/US2007/062755、および2008年10月20日に出願された表題がMethods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serumであるPCT/US2008/080516に記載されている通りであり、それらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
本明細書に記載される方法は、例えば、Geron Corporationに帰属する、Bodnarらへの米国特許第6,800,480号に記載のように、培養容器を細胞外マトリクスで先ずコーティングすることによって促進することができる。他の多能性幹細胞、例えばhESおよびiPS細胞を培養するための他の方法と同様に、この方法は、実質的に2008年10月20日に出願された表題がMethods and compositions for feeder−free pluripotent stem cell media containing human serumである、参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許出願PCT/US2008/080516に記載されるように、可溶性ヒト血清を使用して培養することができる。
本明細書に記載される方法は、Wisconsin Alumni Research Foundation(WARF)に帰属する、参照により本明細書に完全に組み込まれるThomson,J.への米国特許第7,005,252号に記載されるように、線維芽細胞フィーダー層だけ以外の供給源から供給される、外部から加えられた線維芽細胞成長因子(FGF)によって促進することができる。
回転の最初の約24時間の間に、互いに付着した単細胞は細胞凝集体を形成し、RNAの単離と分析のために十分な細胞試料をとった。細胞凝集体は、直径が約60ミクロンから120ミクロンであった。iPS細胞試料を回転プラットホームに置いてから約1日(または24時間)後に、培養に、1:5000希釈のITS、アクチビンA(100〜200ng/mL)、およびWnt3a(50〜100ng/mL)を含有するRPMI+0.2体積/体積%FBSを約1日間(0日目から1日目まで)、およびさらに1日間、またはWnt3aのないこと以外は同じ培地を(1日目から2日目)与えた。RNAの単離および分析のために毎日の細胞試料をとった。2日間の分化の後、培養物に、1:1000希釈のITS、KGF(またはFGF7、25ng/mL)およびTGFβ阻害剤no.4(2.5μM)を含有するRPMI+0.2体積/体積%FBSを1日間(または24時間、2日目から3日目まで)与えた。次の2日間(3日目から5日目)、TGFβ阻害剤を培地から除いたこと以外は同じ成長因子カクテル培地をiPS細胞凝集懸濁液に与えた。再び、このステージ(ステージ2または5日目)の終わりに、RNA単離のために細胞試料をとった。ステージ3(5日目から8日目)については、TTNPB[4−[E−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸](3nM)、KAAD−シクロパミン(0.25μΜ)およびノギン(50ng/mL)を含有するDMEM+1体積/体積%B27サプリメントに細胞培養培地を代えた。再び、このステージ(ステージ3または8日目)の終わりに、RNAの単離と分析のために細胞試料をとった。ステージ4(8日目から14日目)については、ノギン(50ng/mL)、KGF(50ng/mL)およびEGF(50ng/mL)を含有するDMEM+1体積/体積%B27サプリメントに培地を代えた。再び、ステージ4(または14日目)の終わりに、RNAの単離と分析のために細胞試料をとった。
分化中の様々なマーカー遺伝子の遺伝子発現を測定するために、リアルタイムPCRを実施した。特異的マーカーまたは遺伝子の遺伝子発現は、ハウスキーピング遺伝子、サイクロフィリンGおよびTATA結合タンパク質(TBP)発現の平均発現レベルに先ず標準化した。次に標準化した相対的な遺伝子発現は、未分化iPS細胞での発現レベルに対して棒グラフに表示され、したがって様々な分化マーカーの上方制御倍率を表す。OCT4については、遺伝子発現は、データセットの最低の試料(14日目)を設定するために標準化され、したがって分化中の下方制御倍率を表す。
図2A〜Lは、未分化iPS細胞中の同じ遺伝子の発現レベルと比較した、同定された遺伝子(例えば、Oct4、Brachyury、Cer1、GSC、FOXA2、FOXA1、HNF6、PDX1、PTF1A、NKX6.1、NGN3およびINS)の相対的な遺伝子発現を示す棒グラフである。遺伝子の発現レベルをハウスキーピング遺伝子(対照)のセットに標準化し、2つの異なる時点での遺伝子発現レベルを比較することにより、その遺伝子または発現マーカーに上方制御か下方制御があることが示された。OCT4(図2A)については、遺伝子発現を標準化し、最低レベルの発現の試料を1に設定した(14日目)。したがって、図2Aによって示されるように、OCT4の相対的な発現レベルは、分化中(X軸、ステージ0から4、または0日目から14日目)の下方制御倍率(y軸)を表す。
図2Aに示すように、OCT4(POU5F1)は未分化iPS細胞において高レベルで発現され、その後分化中(0日目から14日目)は下方制御を示す。14日目までには、OCT4発現レベルは未分化細胞で観察される発現レベルから3000倍を超えて減少した。対照的に、最初の2日間(1日目および2日目)中にbrachyury遺伝子(BRACHYURY、図2B)発現の一過性の上方制御があった。brachyuryの一過性の上方制御は、アクチビンAおよびwnt3aの適用による多能性/iPS細胞の内胚葉系中胚葉へ誘導された分化の結果であった。3日目のステージ1の終わりまでのCER1、GSCおよびFOXA2の上方制御によって示されるように(図2C〜E)、内胚葉系中胚葉はアクチビンAへの連続曝露によって2日目および3日目の間に胚体内胚葉にさらに分化した。分化の6日目までのFOXA1の上方制御、FOXA2発現の維持ならびにCER1およびGSCの下方制御によって示されるように(図2C〜F)、ステージ2の間に、胚体内胚葉は腸管内胚葉に分化するようにさらに誘導された。8日目までのHNF6およびPDX1の上方制御によって示されるように(図2G〜H)、ステージ3の間、レチノイド、シクロパミンおよびノギンへの曝露の結果、腸管内胚葉は後部前腸/PDX1発現内胚葉に分化するようにさらに誘導された。14日目までのPTF1A、NKX6−1、NGN3およびINSの上方制御によって示されるように(図2I〜L)、ステージ4の間、KGFおよびEGFへの曝露の結果、後部前腸/PDX1発現内胚葉は、膵臓前駆体、内分泌前駆体およびホルモン発現内分泌細胞に分化するようにさらに誘導された。
(実施例2)
Rhoキナーゼ阻害剤は、iPS細胞の成長、生存、増殖および細胞間接着を促進する
様々なhESおよびiPS細胞系を分化させる方法は、実質的にここで、および実施例1に記載される通りである。分化の間の成長、生存、増殖および細胞間接着を増強および促進するために、ステージ1、2、3、4および5について記載される培養条件に加えて、アポトーシス阻害剤および/またはRhoキナーゼもしくはROCK阻害剤を培地に加えた。一般的に約10μΜのRhoキナーゼ阻害剤、例えばY−27632を、各ステージで細胞培養に加えた。あるいは、少なくともステージ1および2、ならびにステージ4および5、またはその任意の組合せでRhoキナーゼ阻害剤を加えた。分化したiPS懸濁液(凝集体)細胞培養の形態および遺伝子マーカー発現プロファイルは、hES細胞から導出された懸濁細胞培養のそれに実質的に類似する。
図3および4は、それぞれステージ4と5からのiPS細胞培養の免疫細胞化学(ICC)を示す。図3は、PDX1/NKX6.1共陽性細胞など、PDX1陽性膵臓内胚葉(膵臓上皮または膵臓前駆体とも呼ばれる)の特徴を示す典型的な遺伝子マーカーを発現する、ステージ4からの細胞凝集体を示す。図3に示されていないが、ステージ4細胞は、インスリン(INS)、グルカゴン(GCG)、ソマトスタチン(SST)および膵臓ポリペプチド(PP)などのステージ5細胞の特色をより示すホルモン分泌タンパク質または遺伝子マーカーを発現しない。図4は、ステージ5からのホルモン発現細胞の細胞凝集体を示す。これらのICC結果は、QPCRを使用してさらに確認された。しかし、QPCRは試料または細胞培養で発現されるRNAの全レベルの全集団研究であるので、それは任意の1つの細胞が複数のマーカーを発現することを確定的に示すことができない。
(実施例3)
iPS導出膵臓前駆体の封入
現在まで、iPS細胞の生成方法およびiPS細胞の生成のための供給源が報告されている。しかし、特定の疾患、例えば糖尿病を治療するための細胞療法での潜在的使用のための、任意の機能性分化細胞への任意のiPS細胞の分化に関する十分な記載はない。
ヒトiPS細胞から導出されたステージ4のPDX1陽性の膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞培養が、グルコース感受性インスリン分泌細胞にin vivoで発達および成熟することが完全に可能かどうか判定するために、実質的に実施例1および2に記載のような膵臓前駆体集団を、参照により本明細書に完全に組み込まれる2009年11月13日に出願された米国特許出願12/618,659、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC LINEAGE CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLS;ならびに米国特許第7,534,608号および第7,695,965号、表題METHODS OF PRODUCING PANCREATIC HORMONESに記載のものに実質的に類似のマクロ封入デバイスに加えた。簡潔には、実質的に約3×10細胞数を有する、5−10−20μLの重力沈降細胞懸濁凝集体を各デバイスに加えた。
次に、哺乳動物、例えば免疫不全SCID/Bgマウスへの移植のためにデバイス内の封入細胞を調製したが、ラット、ブタ、サルまたはヒト患者などのより大きな動物に移植することができる。封入細胞を移植する方法およびデバイスは、実質的に、GELFOAMマトリックスに移植されて精巣上体の脂肪パッド(EFP)の下に移植される膵臓前駆細胞等、米国特許出願第12/618,659号、米国特許第7,534,608号および第7,695,965号に記載される通りである。
これらの研究で免疫抑制は必要でなかったが、デバイス内の前駆体が完全に成熟してグルコース応答性になるまで、最初の中間期間の間特定の哺乳動物のために免疫抑制が必要とされることがある。一部の哺乳動物では、免疫抑制レジメンは約1、2、3、4、5、6週間以上であってもよく、哺乳動物次第である。
移植された細胞は、in vivoで分化させ、さらに成熟させた。移植された細胞が例えば天然に存在するベータ細胞のように正常な生理機能を有するかどうか判定するために、ヒトCペプチドのレベルの検査によってヒトインスリンのレベルを判定する。ヒトCペプチドはヒトプロインスリンから切断または処理され、したがって、内因性マウスCペプチドでなくヒトCペプチドの特異的検出は、インスリン分泌が移植された(外因性)細胞から導出されたことを示す。移植片を有する動物は、それらへのアルギニンまたはグルコース、好ましくはグルコースのボーラス注射によって、2、3または4週ごとにヒトCペプチドのレベルを検査する。その後成熟したベータ細胞(分化した多能性iPS細胞から導出された)は、天然に存在するか内因性のベータ細胞と同様に生理的に機能的で、グルコース応答性であるはずである。一般的に、50pMまたは平均基礎(閾値)レベルを上回るヒトCペプチドの量が、移植された前駆体からの今ではベータ細胞の機能の指標である。
参照により本明細書に完全に組み込まれるKroonら(2008)、前掲、米国特許出願12/618,659、米国特許第7,534,608号;第7,695,965号および第7,993,920号に記載のものと同様に、hIPS細胞から導出された封入膵臓前駆体は、天然に存在する島のそれと同様の内分泌、腺房および管細胞を有する、機能性の膵島クラスターに成熟することが期待される。また、移植前のhIPS細胞から導出された精製または濃縮された膵臓前駆体も、機能性の膵島に成熟および発達し、in vivoでインスリンを生成することが予想される。様々な分化した細胞集団を精製、濃縮するための特定の実施形態は、2008年4月8日に出願された米国特許出願12/107,020、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FROM HES CELLS、現在の米国特許第8,338,170号にさらに詳細に記載され、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。凍結保存されたhIPS細胞から導出された膵臓前駆体は、移植の前に解凍し、培養に適合させることができ、その結果、in vivoで成熟してインスリンを生成することができることがさらに予想される。hIPS細胞から導出された移植された膵臓前駆体を有する糖尿病誘導動物では、低血糖を改善することができる。
要約すると、マクロ封入デバイス中のhIPS細胞から導出された完全封入膵臓前駆細胞は、生理的に機能的な膵島に成熟し、in vivoでグルコースに応答してインスリンを生成することが予想される。
(実施例4)
膵臓前駆体およびホルモン分泌細胞組成物
それぞれ表5a、5bおよび6に示すように、フローサイトメトリーを用いて、分化したhIPS細胞集団を、PDX1陽性の膵臓内胚葉または膵臓前駆細胞(ステージ4);および内分泌または内分泌先駆細胞(ステージ5)の含有量について分析した。表5bは表5aのそれと同じデータセットであるが、比較のために表9のそれと同様に提示する。全体のPDX1+およびNKX6.1+数はNKX6.1+/PDX1+/CHGA−細胞集団(表5aの第5列)のそれと重複するので、表5a集団は互いと重複する、例えば全細胞数は100%を超える。表5bはPDX1+だけおよび三重陰性(残留)データを含み、それは表5aでは示されない。in vivo機能を判定するために、これらのiPEC移植片の特定のもの、ならびに実質的に類似の処方を使用する他のものを動物に移植したが、ヒト血清Cペプチドのレベルはどの潜在的治療目的のためにも十分に安定的でなかった(データは示さず)。示す値は、所与の集団に属する全細胞の百分率である。懸濁細胞凝集体中にある膵臓前駆体(NKX6.1(+)/PDX1(+)/クロモグラニンA(−))の数およびNKX6.1+/PDX1−/CHGA−の非常に小さい集団は、hES細胞から導出された膵臓前駆細胞懸濁凝集体で観察されたものと一致し、2008年11月4日に出願された米国特許出願12/264,760、表題STEM CELL AGGREGATE SUSPENSION COMPOSITIONS AND METHODS OF DIFFERENTIATION THEREOFに記載され、参照により本明細書に完全に組み込まれる通り、ESCステージで凝集した。内分泌物および/または内分泌先駆細胞のレベルも、参照により本明細書に完全に組み込まれる2008年4月8日に出願された米国特許出願12/107,020、表題METHODS FOR PURIFYING ENDODERM AND PANCREATIC ENDODERM CELLS DERIVED FROM HES CELLS中のhES由来の細胞培養物で得られたものと実質的に一致していた。hES由来の細胞の懸濁凝集体と同様に、分化の特定のステージ(例えば、ステージ4)で培地中の異なる成長因子の濃度を変化させることは、膵臓内胚葉、内分泌、PDX1陽性の内胚葉または非膵臓細胞型の特定の集団を増加および/または減少させるはずである。
Figure 0006517702
Figure 0006517702
(実施例5)
PEC受容体チロシンキナーゼ
上記の方法は、上記のSchulzら(2012)をもとにした下の表7に記載されるものと実質的に同じである。本明細書に記載されるこれらおよび他の方法は、それらの開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許第7,964,402号;第8,211,699号;第8,334,138号;第8,008,07号;および第8,153,429号等の、出願人の多くの特許および非特許公開文書に見出すことができる。
Figure 0006517702
動物に移植されたiPS細胞および膵臓前駆体に上の方法を適用したとき、同じ方法をhESCおよびhES導出膵臓前駆体に適用したときと比較して、出願人は同じく安定した(robust)in vivo機能を一貫して得たとは限らない。iPS細胞がhESCの形態および遺伝子発現パターンを有し、in vitroで胚様体およびin vivoでテラトーマを形成することができるヒト多能性幹細胞であり、それらが3つの胚葉全てからの細胞を形成することができることを示していることを考慮すると、これは意外であった。少なくとも、例えば上記の、Yuら(2007);米国特許出願公開第2009/0047263号、国際特許出願公開WO2005/80598;米国特許出願公開第2008/0233610号;および国際特許出願公開WO2008/11882、を参照。これらの参考文献は、iPS細胞がESCの定義基準を満たすことを記載する。したがって、完全に機能性のグルコース応答性細胞にin vivoでさらに成熟および発達する、hESから導出された膵臓前駆細胞を与えるin vitro分化プロトコルにおいて、iPS細胞がESCの代用となることができることが予想される。しかし、上の方法を使用する一貫しないin vivo機能データを考慮し、出願人は、膵臓前駆体および/または膵臓内胚葉細胞(PEC)、すなわち、hESCから導出されたPECで一貫して観察されているin vivo機能の実質的に類似の安定したレベルを提供することが可能であるhiPSC(または「iPEC」)からのステージ4由来の細胞に特異的である分化培地の処方を探索しようと努めた。
出願人は、PECに存在する内分泌(CHGA+細胞)細胞が複数ホルモン性内分泌細胞であり、in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞を有する島を生成するPEC中の細胞の亜集団でないことを前に報告した。上記Kellyら(2011)を参照されたい。むしろ、それは、非内分泌細胞集団(CHGA−細胞)、特に、in vivoで機能性の島を実際に生成するPECであると考えられている、NKX6.1およびPDX−1を共発現するものである。したがって、出願人は、内分泌および非内分泌亜集団の相対比をモジュレートするか、変化させるか、シフトすることが、後のin vivo機能に影響を及ぼすかどうかを探索した。
hESCで受容体−リガンドシグナル伝達を解読する以前の努力は、自己複製を促進する成長因子の同定に成功を収め、規定の培地培養条件の開発を可能にした。上記Wangら(2007)を参照されたい。Wangらは、ERBB3に結合してERBB2との二量体化を誘導し、その場面でhESCの自己複製に影響を及ぼすリガンドとしてヘレグリン−1βを同定した。ERBBは受容体チロシンキナーゼ(RTK)であり、RTKは、成長因子および他の細胞外シグナル伝達分子の受容体として作用する、広く発現される膜貫通タンパク質である。リガンド結合の結果、それらは細胞質テール中の特定の残基でチロシンリン酸化を受け、RTK媒介シグナル伝達に関与する他のタンパク質基質の結合のためのシグナル伝達カスケードを始動する。細胞の生存、増殖および運動性の調節を含むいくつかの発達過程におけるRTK機能、およびがん形成でのそれらの役割は文書で十分に立証されている。ERBBチロシンキナーゼ受容体は、発達中の胎児のヒト膵臓全体で発現されることも知られていたが、特定のERBB受容体およびそれらのリガンドの特異的役割は知られていない。Mari−Anne Huotariら(2002)ERRB Signaling Regulates Lineage Determination of Developing Pancreatic Islet Cells in Embryonic Organ Culture、Endocrinology 143(11):4437〜4446頁を参照されたい。
上記Wangら(2007)によって実証される胎児のヒト膵臓での多能性幹細胞の自己複製およびそれらの発現、ならびにヒト胎児膵臓でのERBB RTK発現でのERBB RTKシグナル伝達の役割のために、次に出願人は、分化の間のPEC特定化、または自己複製の促進による増殖、または生理的に機能する島ホルモン分泌細胞へのin vivo成熟を促進するいくつかの他の未知の機構を向上させる可能性がある受容体およびリガンドを同定する努力の中で、hESCから導出されたin vitroの膵臓内胚葉細胞(PEC)でRTKの潜在的な活性化の調査に取りかかった。以下の変更を除いて実質的に表8に記載のように、分化凝集体の懸濁液でPECを生成した。
RTKブロット分析のために、4つのPEC試料を生成した。db−N50 K50 E50でのPEC凝集体の「定常状態」試料を、ステージ4の終わり(またはd13)に収集した。「絶食させた」試料は、db(DMEM高グルコースまたは0.5×B−27サプリメント(Life Technologies)を追加したDMEM高グルコース)培地だけ(成長因子なし)を与え、d13に収集した、d12PEC凝集体を表した。2つの「パルス投与」試料は、d12にdb培地を与えてそこで培養し、次にd13に、収集する前に15分間、db−K50 E50培地または2%FBS含有db培地のいずれかを与えた。そのような条件は、ステージ4条件で活性であったRTKの検出、ならびにKGF、EGFおよびインスリン(B27サプリメントに存在する)または血清のパルス投与でどのような応答を導き出すことができるか検出することを意図した。血清パルス投与は、PECに存在し、本ステージ4条件で活性化することができるが刺激されないRTKを潜在的に同定する、広域な成長因子刺激を意図した。
RTK分析は、事実上前掲のWangら(2007)で前に記載される通りに実施した。簡潔には、Proteome Profiler(商標)ヒトホスホRTK抗体アレイ(R&D Sysytems)を、製造業者の指示通りに使用した。1%NP−40、20mMトリス−HCl(pH8.0)、137mM NaCl、10%グリセロール、2.0mM EDTA、1.0mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10μg/mLアプロチニン、および10μg/mLロイペプチンでタンパク質溶解物を調製した。500μgの新鮮なタンパク質溶解物を、42個の抗RTK抗体および5つの陰性対照抗体のための重複(duplicate)スポット、ならびに8つの抗ホスホチロシン陽性対照スポットの点在するニトロセルロース膜と一晩インキュベートした(図5A)。配列された抗体はリン酸化および非リン酸化RTKの細胞外ドメインを捕捉し、結合したホスホRTKは、化学発光を使用して西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされた汎抗ホスホチロシン抗体で検出される。RTKアレイレイアウトについては図5を、ならびにアレイ中のRTKの一覧については下の表8を参照されたい。
Figure 0006517702
RTKブロットの分析(図6A)は、hESCで以前に観察されたものと同様に、インスリン受容体およびIGF1受容体(それぞれIR、IGF1R)が全ての条件でリン酸化され、活性化されたことを示した。上記Wangら(2007)を参照されたい。EGF受容体(EGFR、ERBB1としても知られる)は定常状態条件でリン酸化されたが、それはステージ4培地中のEGFの存在を考慮すると予想されていたことである。実際、ERBB2の低レベルのリン酸化が、定常状態および絶食条件の両方で検出された。EGFRおよびERBB2の両方のリン酸化は各パルス投与条件で上昇し、リガンドのパルス投与に応答する活性化を検出するアッセイの能力を確認した。リン酸化されたVEGFR3も全ての条件で検出され、パルス投与試料で上昇した。このことは、PECが内因性VEGFR3リガンドを生成することを示唆し、可能性のある候補はVEGF−CおよびDであった。血清パルス投与は、低レベルのERBB3リン酸化を含め、さらなる受容体を活性化するようであった。リン酸化ERBB2/3の検出は、ヘレグリン様EGFファミリーメンバーがPECでシグナル伝達を活性化することができることを示唆する。TIE−2は2つのアンギオポエチン受容体の1つであり、血清に応答して低いレベルでリン酸化されるようであった。アンギオポエチン1およびアンギオポエチン4はTie−2のリガンドを活性化することが公知であるが、アンギオポエチン2およびアンギオポエチン3は、場面依存性競合的アンタゴニストとして機能する。HGF受容体(HGFR)も血清パルス投与に応答してリン酸化され、肝細胞成長因子もPECでシグナル伝達を導き出すことができることを示唆した。最後に、エフリンB2 RTK(EPHB2)の低レベルのリン酸化が検出されたが、エフリン/Ephシグナル伝達は膜結合細胞間シグナル伝達系であり、PEC分化で容易に活用されるようではない。興味深いことに、ERBB4はリン酸化されなかった。したがって、RTK分析は、PECでリン酸化されるか、または異なる条件、例えば血清に応答してリン酸化することができるいくつかの受容体を鮮明にした。これらの結果は、いくつかの可溶性リガンドがPECでRTKシグナル伝達を導き出すことができ、細胞の増殖、分化および/または特定化に潜在的に影響を与え、したがって、機能性の膵島への後のin vivo成熟に潜在的に影響を及ぼすことができることを示唆する。
(実施例6)
ヘレグリンおよびFGF2成長因子は、hESC組成物から導出されたPECに影響を及ぼす
上の実施例5に記載のように特定の条件下で特定のRTKが活性化(またはリン酸化)されることを実証したRTK分析を考慮し、また、少なくともERBB2およびERBB3がPECで活性化される(ステージ1〜4から13日間の分化後に)ようであったので、出願人はステージ3および4の細胞に適用したときのヘレグリンの影響を判定しようと努めた。
ヘレグリンおよびFGFを使用して予備研究を実施した。これらの研究の特定のものに、Rhoキナーゼ阻害剤、Y−27632が含まれた。これらの予備研究は、10ng/mLヘレグリン−1β(Wangら(2007)に開示されるのと同じ濃度およびヘレグリン異性体)によるステージ1での1日間の多能性幹細胞の処置は、ヘレグリン−1β(Hrg1β)のない懸濁培養でのhES導出細胞凝集体の凝集体サイズと比較して、懸濁培養でhES導出細胞凝集体の細胞凝集体サイズを増加させた。細胞凝集体サイズの増加は、動物での後の移植および機能検査のためにより大きな細胞量をもたらす点で有利である。さらに、Hrg1βがステージ3で10ng/mLから50ng/mLに増加したとき、凝集体ディスクサイズが増加した。この結果は、FGF2の不在下での培養と比較して50ng/mLの別の成長因子、FGF2がステージ3で使用されたときも観察された。細胞凝集体サイズの増加は、ステージ3培養をFGF2曝露にさらなる日数、例えば2日間と比較して3日間の50ng/mLのFGF2に曝露させたときも観察された。
表9は、ステージ3および/またはステージ4にHrg1βおよびFGF2で処置したPEC細胞のフローサイトメトリー分析の要約を提供する。内分泌細胞はCHGA陽性(またはCHGA+)細胞と表し、非内分泌細胞はCHGA陰性(またはCHGA−)細胞と表す。内分泌物(CHGA+)および非内分泌細胞(CHGA−)は、他のマーカーで陽性に染色することができ、例えばPDX1および/またはNKX6.1に陽性に染色される。試験したマーカーのいずれにも染色しない細胞は、三重陰性細胞または残留細胞(CHGA−/NKX6.1−/PDX1)と表す。
Figure 0006517702
細胞凝集体サイズの増加がPEC亜集団に影響を及ぼすかどうか判定するために、PEC集団の組成物をフローサイトメトリーによって分析した。細胞を分化するためにHrg1βおよびFGF2が使用されなかった対照培養と比較して、PEC非内分泌亜集団(CHGA−)は、ステージ3で10ng/mLのHrg1βの添加により54.01%から61.2%に増加し、ステージ3で50ng/mLのHrg1βの添加により54.01%から64.2%に増加した。内分泌亜集団(CHGA+)は、10ng/mLのHrg1βの処置であまり影響を受けなかったが、50ng/mLでよりそうであった。一方、残留細胞の相対レベルは減少し、50ng/mLのHrg1βでより減少した。したがって、Hrg1β処置による細胞凝集体サイズの増加は、内分泌および残留亜集団と比較して非内分泌亜集団の増加に大部分帰された。
ステージ3培養でのFGF2の影響も同様であったが、Hrg1βのそれよりさらに顕著であった。例えば、PEC非内分泌亜集団(CHGA−)は、Hrg1βでそうであったように増加した。これらの培養でのFGF2の主要な影響は、内分泌亜集団の実質的な減少であった。ある場合には、これらの細胞は、3日間の処置でほとんど検出不能であった(32.9%から0.33%)。したがって、FGF2で処置した培養の細胞凝集体サイズの増加は、非内分泌、一部の場合には残留細胞亜集団の増加(ステージ3の3日間で13.1%から22.7%)に大部分帰された。
したがって、ヘレグリンおよび/またはFGF2は、PEC集団での細胞の特定化において役割を果たすようである。多能性幹細胞との関連で使用されるとき、ヘレグリン単独で細胞再生において役割を果たすと上記のWangら(2007)が報告したことを考慮すると、これは意外である。
(実施例7)
ヘレグリンによるiPS由来の細胞培養物の処置によってPECのin vivo移植片機能を向上させる方法
iPECを生成するためにiPSCに適用したときの表7による方法は、動物で安定したin vivo機能を提供しなかったので、出願人はiPEC生成のための他の方法を探索した。表7に示す標準方法の変更としては、限定されずに以下のものが挙げられる:任意のiPSCの継代回数の最適化;BMPシグナル伝達のレベルをモジュレートすること;増大および分化の間のiPSC懸濁凝集パラメータをモジュレートすること(例えばせん断力、回転速度等);成長因子、例えばWnt、アクチビンおよびrhoキナーゼ阻害剤の濃度、使用時期および使用期間の最適化;ならびに、分化プロトコルの1から4の様々なステージでの、細胞の量、増殖、分化、生存等を向上させるための候補としての他の成長因子による処置(例えばERBBリガンド)。ステージ1〜4の間のiPSCの分化方法をどのように最適化することができるか判断するために、これらの多くの反復実験を単独で、または組合せで検証した。そのような最適化された分化方法は、移植したときに、hESCについて観察および報告されたものに類似した安定したグルコース応答性インスリン分泌細胞をin vivoでもたらしたiPEC集団を生成する。下の表10は、後にin vivoでグルコース応答性島細胞に成熟するiPECにiPSCを分化させることが実証された、ヘレグリンの有る無しのベースライン条件を記載する。ベースライン条件は、ヘレグリンがステージ3および4で加えられたこと以外、本明細書の実施例1、2および5ならびに表7に記載されるものに類似していた。30ng/mLのΗrg1βを使用したが、10ng/mLから50ng/mLの濃度、または50ng/mLを超える濃度でさえも適する。さらに、実施例2に記載の通り、Rhoキナーゼ阻害剤、Yー27632の添加が分化培養で維持された。
Figure 0006517702
ステージ3および4の細胞亜集団に及ぼすヘレグリンまたはヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤の添加の影響を判定するために、iPEC集団をフローサイトメトリーによって分析した。表11は、表10に示す配合、ならびにアクチビン濃度を200ng/mLに増加させることによって改変した配合を使用した、様々なiPEC集団のフローサイトメトリー分析の要約を提供する。さらに、表11は、各セットの実験(ヘレグリンの有る無しのベースライン)で用いた一般的な条件、およびiPEC集団中の細胞型(内分泌、非内分泌、PDX1だけおよび三重陰性または残留細胞亜集団)の相対的百分率を示す。表11は、各実験で生成された細胞のin vivo機能に関するデータも開示する。
Figure 0006517702
特定の条件において、PEC(hESC、E2354)およびiPEC(E2314、E2344、E2347)集団中の細胞亜集団の比は変化した。例えば、時には、ベースライン(ヘレグリンなし)条件と比較して、内分泌(CHGA+)細胞の百分率は減少し、非内分泌細胞(CHGA−/NKX6.1+/PDX1+)の百分率は増加した。ヘレグリンがこれらのPECおよびiPEC集団中の非内分泌細胞と比較した内分泌細胞の割合の変化の原因となるようであったが、実験#2380(E2380)では、ヘレグリンの添加によって内分泌(CHGA+)細胞のレベルは減少せずに増加した。
PECおよびiPEC集団の構成の変化がin vivo機能に影響を及ぼしたかどうかを判定するために、表11に記載される大部分の実験からのPECおよびiPEC移植片を、実質的に本明細書ならびに上記のSchulzら(2012)およびKroonら(2008)、および上記の米国特許第7,534,608号;第7,695,965号;第7,993,920号および第8,278,106号を含む出願人の他の特許および非特許出版物に前述の通り、マウスに移植した。簡潔には、PECおよびiPEC集団を生分解性の半透過性細胞封入デバイスに全て封入し、そのいくつかは微穿孔を含んでいた。デバイスは出願人によって製造され、2009年11月13日に出願された米国特許第8,278,106号、表題ENCAPSULATION OF PANCREATIC CELLS FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLSで詳細に記載され、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)アッセイを、移植の約56日後から実施した。グルコース投与の前(空腹時)、およびグルコース投与の30分後および/または60分後の組合せで血液を収集した。グルコース投与に応答した血清中のヒトCペプチド濃度を測定することによって、移植片機能を評価した。
血清に放出されるヒトCペプチドの量は、放出されるインスリンの量の指標となる。CペプチドはプロインスリンおよびプレプロインスリンのAおよびB鎖を接続または連結する短い31アミノ酸ペプチドであり、機能性ベータまたはインスリン分泌細胞によって分泌される。上記Kroonら(2008)および他によって前述される通り、ヒトCペプチドの測定は、移植細胞による新規生成インスリンの放出の評価に適当である。したがって、これらの動物の血清中のヒトCペプチドのレベルは、成熟したPECおよびiPEC移植片のin vivo機能の尺度である。ヒトCペプチドは、移植後少なくとも8週までに血清で検出された。追加の数週の移植および絶食により、グルコース刺激Cペプチドレベルは増加し、Cペプチドのピークレベルはグルコース投与の60分後から30分後にシフトし、それは、インスリン細胞の成熟に従う、グルコース投与へのより速い応答の指標となる。機能を示すことができなかったか、不良な健康状態のために屠殺された少数のマウスがいた。しかし、これらのマウスはさもなければ高機能を示した動物のコホート中にあり、したがって、移植細胞が分化して機能する能力がないということよりも移植の失敗を示唆した。
図7A〜Cは、E2344以外の表11に示す実験の全てについての、グルコース投与後の血清中のヒトCペプチドレベルを示す。図7A〜Cは、ベースライン対照と比較して、ヘレグリン処置からもたらされた移植片が血清中ヒトCペプチドのより高いレベルを一般に有したことを示す。例えば、図7Aでは実験2380において、ヘレグリンなしで調製したもの(ベースライン)と比較して、ヘレグリン処置からもたらされた移植片の約5倍の増加(グルコース投与の60分後に933pM:200pM)がある。実験2354(図7C)はベースライン対照と比較してヘレグリン処置からもたらされた移植片で血清Cペプチドのより高いレベルを示さないので、ヘレグリンは、hESCから生成されるPECにより少ない影響を及ぼすようである。さらに、hESCから導出されたPEC(CyT203)とiPSCから導出されたiPECを比較すると、iPEC移植片は、PEC移植片と同等の機能をin vivoで有する(例えば、図7Aおよび図7B(iPSC移植片)を図7C(CyT203 hESC)と比較する)。このように、iPEC移植片は、PEC移植片と同じくらい頑強である。さらに、内分泌および非内分泌亜集団で同じシフトを有しなかったE2380からのiPECも優れた機能を示したので、iPEC集団のいくつか(例えばE2314、E2347およびE2354)に影響を及ぼすように見えた、内分泌細胞対非内分泌細胞の相対比は、in vivo機能に影響を及ぼさないようであった(図7A〜Cを参照)。
グルコース刺激インスリン分泌を試験することに加えて、宿主動物のベータ細胞を破壊した場合に、hESCから導出されたPECによって維持される正常血糖と同様の正常血糖をそれらが単独で維持することができるかどうか判定するために、成熟したiPEC移植片を試験した。これは、ヒトベータ細胞と比較してマウスベータ細胞に対してより強い細胞毒性を示すベータ細胞毒素、ストレプトゾトシン(STZ)を使用して、移植されたマウスのベータ細胞を破壊することを必要とした。STZ処置の前後に各マウスについて、ランダムな非絶食血中グルコースを測定した。STZ処置から13日目のiPEC移植片の外植の結果、高血糖が再開した(血中グルコースの急騰を記す)が、それは内因性マウス膵臓ではなくiPEC移植片による血糖症の制御を実証する(図8Aおよび図8Bを参照する)。
さらに、分化のステージ1〜4の間にヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤が与えられたときに、相乗効果があるようであった(表10を参照する)。例えば、rhoキナーゼ阻害剤なしでステージ3および4でヘレグリンによって処置したiPSCは、目にみえて劣る細胞量をもたらし、移植を不可能にした。ヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤の相乗効果のさらなる傍証が、実験のいくつか、例えばE2356、E2380で明白であったが、そこではrhoキナーゼ阻害剤単独によるベースライン条件は、rhoキナーゼ阻害剤とヘレグリンによる移植片と同じくらい安定的には機能しなかった(図7AおよびBを参照)。ヘレグリン単独の添加が提供した細胞量は移植に不十分であり、rhoキナーゼ阻害剤単独の添加(ベースライン条件)は不良なin vivo機能を有したので、ヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤による処置は相加的でなかったようである。このように、ヘレグリンだけまたはrhoキナーゼ阻害剤だけの提供は、2つを組み合わせた合計の影響に実質的に同等でない。すなわち、単独ではいずれもin vivoで安定したグルコース応答性をもたらさないが、組み合わせるとそれらはhES由来の細胞のそれと同等のグルコース応答性をもたらす。したがって、ヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤の両方の提供は、それらの組み合わせた影響が各々別々の影響の合計より大きいので相乗的であるようであった。すなわち、rhoキナーゼ阻害剤およびヘレグリンで処置したiPECはin vivoで成熟してグルコース刺激インスリン分泌を示し、糖尿病マウスモデルで正常血糖を維持することができた(図7A〜Bおよび図8A〜Bを参照されたい)。
ERBB機能性は、リガンド結合、受容体二量体化および受容体輸送を必要とする。各過程での変動は、受容体およびそれらが制御する下流シグナルの差次的調節をもたらす場合がある。例えば、異なるERBBリガンドはERBB受容体に異なる親和性で結合し、それによってERBB二量体構成体のパターンおよび動態力学を変化させる。表12は、リガンドおよび受容体結合複合体の多くの可能な異なる組合せを示す。この系の複雑性に関するレビューは、Odaら(2005)A comprehensive pathway map of epidermal growth factor receptor signaling、Mol.Syst.Biol.、1(2005)およびLazzaraら(2009)Quantitative modeling perspectives on the ERBB system of cell regulatory processes、Experimental Cell Research 315(4):717〜725頁によって提供され、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
Figure 0006517702
Huotariらは、ニューレグリン−4がグルカゴン(アルファ)細胞を代償にしてソマトスタチン(デルタ)細胞の数を増加させることによって内分泌細胞亜集団の相対レベルをモジュレートすることができること、およびニューレグリン−4は、内分泌(例えば、β−インスリン、α−グルカゴン、δ−ソマトスタチン、PP−膵臓ポリペプチド)細胞に対する外分泌(例えば、アミラーゼ)細胞の比に影響を及ぼさないことを示唆した。しかし、これらの研究は、E12.5日目のマウスから得られたホールマウント器官組織培養の上でニューレグリン−4をインキュベートすることによって実施された。これらのマウス外植細胞集団は、本明細書に記載されるステージ3(例えばPDX1陰性前腸内胚葉)および/またはステージ4(PDX1陽性前腸内胚葉)細胞集団よりさらに分化していた。ニューレグリン−4はERBB4 RTKだけに結合するので、ホールマウントマウス培養物の内分泌亜集団だけをこの関係においてニューレグリン−4によってモジュレートすることができる。したがって、Hrg1はERBB3に結合してERBB2/3の二量体化を誘導することが既に示されているので、本明細書に記載されるように、異なるERBBリガンド、例えばHrg1によるステージ3(PDX1陰性前腸内胚葉)および/またはステージ4(PDX1陽性前腸内胚葉)細胞の処置が、Huotariにおけるように相対的な内分泌亜集団をモジュレートするとは予想され得ない。しかし、図6に示すようにPECでのERBB2および3の低レベルの発現のために、ステージ3および4型の細胞が低いレベルか高いレベルのERBB2および3を発現してHrg1に結合するかどうかは不明であった。
さらに、異なる場面で、出願人はHrg1がERRB2/3に結合して、多能性幹細胞の自己複製を促進したことを記載していた(Wangら(2007)を参照する)。Hrg1がステージ3および4の場面で同じ能力で作用することができる可能性があるが、出願人はPECの生成のための大部分の細胞増大が多能性幹細胞ステージ(ステージ0)で起こることを以前に記載した。ステージ0の間、hESCは約二(2)週の間成長、継代および増殖させられる。したがって、細胞増殖または細胞増殖をもたらす自己複製のほとんどは、ステージ1〜4の間には起こらない。上記Schulzら(2012)を参照されたい。さらに、ERRB2/3がステージ3および4の間に存在すると仮定すると、誘導される分化に影響を与えるのと反対に多能性幹細胞と同様の効果(自己複製)をヘレグリンが有すると予想し得る。そうすると、機能の差は、場面に、すなわち多能性幹細胞か、内胚葉または膵臓系列の細胞型かに依存するようである。
要約すると、前腸内胚葉(ステージ3)およびPDX1発現膵臓内胚葉細胞(ステージ3の終わりおよびステージ)へのヘレグリンまたはヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤のin vitroでの提供は、移植されたときにin vivoで成熟してグルコース応答性インスリン分泌細胞に発達するPECおよびiPEC集団を生成した(図7および8を参照する)。ヘレグリンまたはヘレグリンおよびrhoキナーゼ阻害剤のそのような使用は、ここで初めて報告された。そのような使用および影響は、特許または非特許文献で前に記載されたものからは認識できない。
本明細書に記載されるQ−PCR結果は免疫細胞化学(ICC)によってさらに確認することができ、当業者が容易に実施することができることが理解される。
本明細書に記載される方法、組成物およびデバイスは、現在好ましい実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲を限定することを意図していない。当業者は、本発明の精神に包含され、開示の範囲によって規定される、それへの変更および他の使用を思いつくであろう。したがって、本発明の範囲および精神を逸脱しない範囲で、様々な置換および改変を本明細書に開示される本発明に加えることができることは、当業者には明らかであろう。
下の請求項およびこの開示全体において、語句「から事実上なる」は、語句の後に掲載される任意の要素を含むことを意味し、掲載される要素について開示で特定される活性または作用に干渉しないか寄与しない他の要素に限定される。したがって、語句「から事実上なる」は、掲載される要素は必要とされるか必須であるが、他の要素は任意選択であり、掲載される要素の活性か作用にそれらが影響を及ぼすかどうかによって存在しても存在しなくてもよいことを示す。さらに、数値、例えば量、濃度、百分率、割合または範囲が列挙される実施形態では、言及される値は、「少なくとも約」その数値、「約」その数値、または「少なくとも」その数値であってもよいことが理解される。
実施形態
実施形態1.in vitroヒト膵臓内胚葉細胞培養物。
実施形態2.膵臓内胚葉細胞が多能性細胞から導出される、実施形態1に記載の細胞培養物。
実施形態3.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触している、実施形態1または2に記載の細胞培養物。
実施形態4.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質が、EGF(上皮成長因子)、AREG(アンフィレグリン)、TGF−アルファ(トランスフォーミング成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合EGF)、Ereg(エピレグリン)、ニューレグリンまたはヘレグリンである、実施形態3に記載の細胞培養物。
実施形態5.膵臓内胚葉細胞が膵臓前駆細胞および複数ホルモン性内分泌細胞を含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態6.膵臓前駆細胞がNKX6.1を発現するがCHGAを発現しない、実施形態5に記載の細胞培養物。
実施形態7.複数ホルモン性内分泌細胞がCHGAを発現する、実施形態5に記載の細胞培養物。
実施形態8.膵臓内胚葉細胞がCHGA陽性およびCHGA陰性細胞を含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態9.膵臓内胚葉細胞の少なくとも30%はCHGA陰性細胞である、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態10.膵臓内胚葉細胞の少なくとも50%はPDX1陽性細胞である、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態11.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質がヘレグリン−4である、実施形態3に記載の細胞培養物。
実施形態12.線維芽細胞成長因子(FGF)と接触している、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態13.FGFがFGF−7である、実施形態12に記載の細胞培養物。
実施形態14.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびFGFと接触している、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態15.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態16.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質、FGFおよびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の細胞培養物。
実施形態17.in vitroヒト膵臓内胚葉集団。
実施形態18.膵臓内胚葉細胞が多能性細胞から導出される、実施形態17に記載の細胞集団。
実施形態19.多能性細胞がヒト胚性幹細胞または脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞である、実施形態18に記載の細胞集団。
実施形態20.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触している、実施形態17〜19のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態21.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質が、EGF(上皮成長因子)、AREG(アンフィレグリン)、TGF−アルファ(トランスフォーミング成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合EGF)、Ereg(エピレグリン)、ニューレグリンまたはヘレグリンである、実施形態20に記載の細胞集団。
実施形態22.膵臓内胚葉細胞が膵臓前駆細胞および複数ホルモン性内分泌細胞を含む、実施形態17〜21のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態23.膵臓前駆細胞がNKX6.1を発現するがCHGAを発現しない、実施形態22に記載の細胞集団。
実施形態24.複数ホルモン性内分泌細胞がCHGAを発現する、実施形態22に記載の細胞集団。
実施形態25.膵臓内胚葉細胞がCHGA陽性およびCHGA陰性細胞を含む、実施形態17〜24のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態26.膵臓内胚葉細胞の少なくとも30%はCHGA陰性細胞である、実施形態17〜25のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態27.膵臓内胚葉細胞の少なくとも50%はPDX1陽性である、実施形態17〜26のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態28.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質がヘレグリン−4である、実施形態20に記載の細胞集団。
実施形態29.細胞培養物が線維芽細胞成長因子(FGF)と接触している、実施形態17〜28のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態30.FGFがFGF−7である、実施形態29に記載の細胞集団。
実施形態31.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびFGFと接触している、実施形態17〜30のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態32.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態17〜30のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態33.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質、FGFおよびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態17〜20のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態34.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触しているヒト膵臓内胚葉細胞を含むin vitro細胞集団。
実施形態35.膵臓内胚葉細胞が多能性細胞から導出される、実施形態34に記載の細胞集団。
実施形態36.多能性細胞がヒト胚性幹細胞または脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞である、実施形態35に記載の細胞集団。
実施形態37.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質が、EGF(上皮成長因子)、AREG(アンフィレグリン)、TGF−アルファ(トランスフォーミング成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合EGF)、Ereg(エピレグリン)、ニューレグリンまたはヘレグリンである、実施形態34〜36のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態38.膵臓内胚葉細胞が膵臓前駆細胞および複数ホルモン性内分泌細胞を含む、実施形態34〜37のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態39.膵臓前駆細胞がNKX6.1を発現するがCHGAを発現しない、実施形態38に記載の細胞集団。
実施形態40.複数ホルモン性内分泌細胞がCHGAを発現する、実施形態38に記載の細胞集団。
実施形態41.膵臓内胚葉細胞がCHGA陽性およびCHGA陰性細胞を含む、実施形態34〜40のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態42.膵臓内胚葉細胞の少なくとも30%はCHGA陰性細胞である、実施形態34〜41のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態43.膵臓内胚葉細胞の少なくとも50%はPDX1陽性である、実施形態34〜42のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態44.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質がヘレグリン−4である、実施形態34〜36のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態45.ヒト膵臓内胚葉細胞が線維芽細胞成長因子(FGF)と接触している、実施形態34〜44のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態46.FGFがFGF−7である、実施形態45に記載の細胞集団。
実施形態47.ヒト膵臓内胚葉細胞がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびFGFと接触している、実施形態34〜46のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態48.ヒト膵臓内胚葉細胞がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態34〜47のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態49.ヒト膵臓内胚葉細胞がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質、FGFおよびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態34〜48のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態50.インスリンを生成する方法であって、
a.前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させ、それにより膵臓内胚葉を含む細胞集団を生成するステップと、
b.ステップ(a)の膵臓内胚葉をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップと
を含む方法。
実施形態51.インスリンを生成する方法であって、
a.脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出された前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質とin vitroで接触させ、それにより、内分泌および非内分泌亜集団を含む細胞集団を生成するステップと、
b.ステップ(a)の亜集団をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップと
を含む方法。
実施形態52.インスリンを生成する方法であって、
a.膵臓内胚葉細胞をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップ
を含む方法。
実施形態53.膵臓内胚葉細胞が前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させることによって作製される、実施形態52に記載の方法。
実施形態54.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質が、EGF(上皮成長因子)、AREG(アンフィレグリン)、TGF−アルファ(トランスフォーミング成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合EGF)、Ereg(エピレグリン)、ニューレグリンまたはヘレグリンである、実施形態50〜52および53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55.前腸内胚葉細胞が線維芽細胞成長因子(FGF)とさらに接触している、実施形態50〜52および53〜54のいずれか1つに記載の方法。
実施形態56.FGFがFGF−7である、実施形態55に記載の方法。
実施形態57.前腸内胚葉細胞がrhoキナーゼ阻害剤とさらに接触している、実施形態50〜52および53〜56のいずれか1つに記載の方法。
実施形態58.前腸内胚葉細胞がrhoキナーゼ阻害剤およびFGFとさらに接触している、実施形態50〜52および53〜57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141、ROCKのアンチセンス核酸、RNA干渉誘導核酸、競合的ペプチド、アンタゴニストペプチド、阻害性抗体、抗体−ScFV断片、そのドミナントネガティブバリアント、誘導体および発現ベクターからなる群から選択される、実施形態57〜58のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536およびY−30141およびそれらの誘導体からなる群から選択される、実施形態57〜59のいずれか1つに記載の方法。
実施形態61.Rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジルおよびH−1152P、およびそれらの誘導体からなる群から選択される、実施形態57〜60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62.膵臓内胚葉が内分泌および非内分泌細胞亜集団を含む、実施形態50に記載の方法。
実施形態63.内分泌細胞亜集団がCHGA陽性(CHGA+)細胞である、実施形態62に記載の方法。
実施形態64.非内分泌細胞亜集団がCHGA陰性(CHGA−)である、実施形態62に記載の方法。
実施形態65.非内分泌細胞亜集団がNKX6.1を発現する、実施形態62に記載の方法。
実施形態66.膵臓内胚葉の少なくとも30%はCHGA陰性である、実施形態50に記載の方法。
実施形態67.膵臓内胚葉の少なくとも50%はPDX1陽性である、実施形態50に記載の方法。
実施形態68.インスリンを生成する方法であって、
a.脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞を、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を含む第1の培地とin vitroで接触させるステップと、
b.TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を欠く第2の培地でステップ(a)の細胞をin vitroで培養し、それにより前腸内胚葉細胞を生成するステップと、
c.(b)の前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させ、それにより、内分泌および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を生成するステップと、
d.(c)の細胞集団をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップと
を含む方法。
実施形態69.非内分泌細胞がCHGA陰性(CHGA−)細胞である、実施形態68に記載の方法。
実施形態70.内分泌細胞がCHGA陽性(CHGA+)細胞である、実施形態68〜69のいずれか1つに記載の方法。
実施形態71.CHGA陰性(CHGA−)細胞がNKX6.1を発現する、実施形態69に記載の方法。
実施形態72.(b)の前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤と接触させる、実施形態69に記載の方法。
実施形態73.(b)の前腸内胚葉細胞をFGFと接触させる、実施形態69に記載の方法。
実施形態74.(b)の前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤およびFGFと接触させる、実施形態69に記載の方法。
実施形態75.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141、ROCKのアンチセンス核酸、RNA干渉誘導核酸、競合的ペプチド、アンタゴニストペプチド、阻害性抗体、抗体−ScFV断片、そのドミナントネガティブバリアント、誘導体および発現ベクターからなる群から選択される、実施形態72〜74のいずれか1つに記載の方法。
実施形態76.内分泌細胞と比較して膵臓内胚葉細胞集団中の非内分泌細胞の比率を増加させる方法であって、
前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させ、それにより膵臓内胚葉細胞集団中の非内分泌細胞の比率を増加させるステップを含む方法。
実施形態77.前腸内胚葉細胞をFGFと接触させる、実施形態76に記載の方法。
実施形態78.前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤と接触させる、実施形態76に記載の方法。
実施形態79.前腸内胚葉細胞をFGFおよびrhoキナーゼ阻害剤とさらに接触させる、実施形態76に記載の方法。
実施形態80.移植された膵臓内胚葉のグルコース応答性を向上させる方法であって、
前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させ、それにより膵臓内胚葉を含む細胞集団を生成するステップと、
膵臓内胚葉をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞が、前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させることなく作製した膵臓内胚葉から導出されたインスリン分泌細胞よりもよくインスリンを分泌するステップと
を含む方法。
実施形態81.膵臓内胚葉細胞が脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出される、実施形態80に記載の方法。
実施形態82.インスリンを生成する方法であって、(a)生細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させるステップと、(b)ステップaの最後に細胞を移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップとを含む方法。
実施形態83.生細胞が前腸内胚葉またはPDX1陰性前腸内胚葉である、実施形態82に記載の方法。
実施形態84.生細胞が脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出される、実施形態82〜83のいずれか1つに記載の方法。
実施形態85.内分泌および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団。
実施形態86.内分泌および非内分泌細胞亜集団が多能性細胞から導出される、実施形態85に記載の細胞集団。
実施形態87.多能性細胞がヒト胚性幹細胞または脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞である、実施形態86に記載の細胞集団。
実施形態88.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質が、EGF(上皮成長因子)、AREG(アンフィレグリン)、TGF−アルファ(トランスフォーミング成長因子−アルファ)、Btc(ベータセルリン)、HBEGF(ヘパリン結合EGF)、Ereg(エピレグリン)、ニューレグリンまたはヘレグリンである、実施形態85〜87のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態89.非内分泌細胞はNKX6.1を発現するがCHGAを発現しない、実施形態85〜88のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態90.内分泌細胞がCHGAを発現する、実施形態85〜89のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態91.細胞の少なくとも30%はCHGA陰性細胞である、実施形態85〜90のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態92.細胞の少なくとも50%はPDX1陽性である、実施形態85〜91のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態93.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質がヘレグリン−4である、実施形態85〜92のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態94.細胞培養物が線維芽細胞成長因子(FGF)と接触している、実施形態85〜93のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態95.FGFがFGF−7である、実施形態94に記載の細胞集団。
実施形態96.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびFGFと接触している、実施形態85〜95のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態97.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質およびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態85〜96のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態98.細胞培養物がERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質、FGFおよびrhoキナーゼ阻害剤と接触している、実施形態85〜97のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態99.インスリンを生成する方法であって、(a)脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞を、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を含む第1の培地とin vitroで接触させるステップと、(b)TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を欠く第2の培地でステップ(a)の細胞をin vitroで培養し、それにより、少なくとも前腸内胚葉または少なくともPDX1陰性前腸内胚葉細胞を生成するステップと、(c)(b)の細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させ、それにより、内分泌および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を生成するステップと、(d)(c)の細胞集団をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップとを含む方法。
実施形態100.インスリンを生成する方法であって、(a)PDX1陽性細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させるステップと、(b)(a)の細胞集団をin vivoで移植し、成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップとを含む方法。
実施形態101.rhoキナーゼ阻害剤がステップa、bまたはcで加えられる、実施形態68または99に記載の方法。
実施形態102.rhoキナーゼ阻害剤がステップa、bおよびcで加えられる、実施形態68または99に記載の方法。
実施形態103.rhoキナーゼ阻害剤がステップaおよびbで加えられる、実施形態68または99〜100のいずれか1つに記載の方法。
実施形態104.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質がステップaまたはcで加えられる、実施形態68または99に記載の方法。
実施形態105.ERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質がステップaおよびcで加えられる、実施形態68または99に記載の方法。
実施形態106.in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞に成熟することが可能な細胞集団を生成する方法であって、少なくとも前腸内胚葉、少なくともPDX1陰性前腸内胚葉の集団、または少なくともPDX1陽性膵臓内胚葉細胞の集団を、ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質と接触させ、それにより、in vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞に成熟することが可能な細胞集団を生成するステップを含む方法。
実施形態107.膵臓内胚葉を生成する方法であって、
a.前腸内胚葉細胞をERBBチロシンキナーゼ受容体活性化作用物質と接触させ、それにより膵臓内胚葉を含む細胞集団を生成するステップ
を含む方法。
実施形態108.前腸内胚葉細胞を線維芽細胞成長因子(FGF)と接触させることをさらに含む、実施形態107に記載の方法。
実施形態109.FGFがFGF−7である、実施形態108に記載の方法。
実施形態110.前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態107〜109のいずれか1つに記載の方法。
実施形態111.前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤およびFGFと接触させることをさらに含む、実施形態107〜109のいずれか1つに記載の方法。
実施形態112.膵臓内胚葉の少なくとも30%はCHGA陰性である、実施形態107〜111のいずれか1つに記載の方法。
実施形態113.膵臓内胚葉の少なくとも50%はPDX1陽性である、実施形態107〜112のいずれか1つに記載の方法。
実施形態114.前腸内胚葉細胞が多能性細胞から導出される、実施形態50、76、107〜113のいずれか1つに記載の方法。
実施形態115.多能性細胞がヒト胚性幹細胞または脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞である、実施形態50、76、107〜114のいずれか1つに記載の方法。
実施形態116.多能性細胞がヒト胚性幹細胞または脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞である、実施形態1に記載の細胞培養物。
実施形態117.脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出された分化した細胞およびERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質を含む、in vitroヒト膵臓内胚葉細胞集団。
実施形態118.ERRB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質がEGF成長因子またはリガンドを含む、実施形態117に記載の膵臓内胚葉細胞集団。
実施形態119.EGF成長因子またはリガンドが、ヘレグリン−1、ヘレグリン−2およびヘレグリン−3およびヘレグリン−4からなる群から選択されるヘレグリンアイソフォームを含む、実施形態118に記載の膵臓内胚葉細胞集団。
実施形態120.ヘレグリンアイソフォームがヘレグリン−1およびヘレグリン−4を含む、実施形態119に記載の膵臓内胚葉細胞集団。
実施形態121.リガンドヘレグリンアイソフォームがヘレグリン−4を含む、実施形態119に記載の膵臓内胚葉細胞集団。
実施形態122.インスリンを生成する方法であって、
a.脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞から導出された前腸内胚葉細胞培養物をERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質とin vitroで接触させ、それにより、内分泌細胞および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を生成するステップと、
b.ステップ(a)の亜集団をin vivoで成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌する、ステップと
を含む方法。
実施形態123.前腸内胚葉細胞培養物をrhoキナーゼ阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態122に記載の方法。
実施形態124.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141、ROCKのアンチセンス核酸、RNA干渉誘導核酸、競合的ペプチド、アンタゴニストペプチド、阻害性抗体、抗体−ScFV断片、ドミナントネガティブバリアント、それらの誘導体およびそれらの発現ベクターからなる群から選択される、実施形態123に記載の方法。
実施形態125.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141およびそれらの誘導体からなる群から選択される、実施形態123に記載の方法。
実施形態126.Rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152Pおよびそれらの誘導体からなる群から選択される、実施形態125に記載の方法。
実施形態127.インスリンを生成する方法であって、
a.脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞を、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を含む第1の培地とin vitroで接触させるステップと、
b.TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を欠く第2の培地でステップ(a)の細胞をin vitroで培養し、それにより前腸内胚葉細胞を生成するステップと、
c.ステップ(b)の前腸内胚葉細胞をERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質と接触させ、それにより、内分泌細胞および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を生成するステップと、
d.ステップ(c)の細胞亜集団をin vivoで成熟させ、それによりインスリン分泌細胞を得るステップであって、インスリン分泌細胞がグルコース刺激に応答してインスリンを分泌するステップと
を含む方法。
実施形態128.非内分泌細胞がCHGA陰性(CHGA−)細胞である、実施形態127に記載の方法。
実施形態129.内分泌細胞がCHGA陽性(CHGA+)細胞である、実施形態127に記載の方法。
実施形態130.CHGA陰性(CHGA−)細胞がNKX6.1をさらに発現する、実施形態127に記載の方法。
実施形態131.前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態127に記載の方法。
実施形態132.rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141、ROCKのアンチセンス核酸、RNA干渉誘導核酸、競合的ペプチド、アンタゴニストペプチド、阻害性抗体、抗体−ScFV断片、ドミナントネガティブバリアント、それらの誘導体およびそれらの発現ベクターからなる群から選択される、実施形態131に記載の方法。

Claims (14)

  1. in vitroヒト膵臓内胚葉細胞集団、ノギン、KGF、EGF、およびERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質を含み、前記ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質がヘレグリン−1を含む、
    組成物。
  2. 前記ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質がさらにヘレグリン−4を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. さらにrhoキナーゼ阻害剤を含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 請求項1または2に記載の組成物を生成する方法であって、
    前腸内胚葉細胞集団をノギン、KGF、EGF、および前記ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質と接触させ、それにより、内分泌細胞および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を含む前記組成物を生成するステップ
    を含む方法。
  5. 前腸内胚葉細胞の培養物をrhoキナーゼ阻害剤と接触させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
  6. rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141、およびROCKのアンチセンス核酸からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  7. rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、およびY−30141からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  8. Rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、およびH−1152Pからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  9. 請求項1または2に記載の組成物を生成する方法であって、
    a.脱分化した遺伝的にリプログラミングされた細胞を、TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を含む第1の培地とin vitroで接触させるステップと、
    b.TGFβ受容体ファミリーメンバーを活性化する作用物質を欠く第2の培地でステップ(a)の細胞をin vitroで培養し、それにより前腸内胚葉細胞を生成するステップと、
    c.ステップ(b)の前腸内胚葉細胞をノギン、KGF、EGF、および前記ERBB受容体チロシンキナーゼ活性化作用物質と接触させ、それにより、内分泌細胞および非内分泌細胞亜集団を含む細胞集団を含む前記組成物を生成するステップと
    を含む方法。
  10. 非内分泌細胞がCHGA陰性(CHGA−)細胞である、請求項に記載の方法。
  11. 内分泌細胞がCHGA陽性(CHGA+)細胞である、請求項に記載の方法。
  12. CHGA陰性(CHGA−)細胞がさらにNKX6.1を発現する、請求項10に記載の方法。
  13. 前腸内胚葉細胞をrhoキナーゼ阻害剤と接触させることをさらに含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. rhoキナーゼ阻害剤が、Y−27632、ファスジル、H−1152P、Wf−536、Y−30141、およびROCKのアンチセンス核酸からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
JP2015556262A 2013-02-06 2014-02-06 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物 Active JP6517702B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US13/761,078 US9109245B2 (en) 2009-04-22 2013-02-06 Cell compositions derived from dedifferentiated reprogrammed cells
US13/761,078 2013-02-06
PCT/US2014/015156 WO2014124172A1 (en) 2013-02-06 2014-02-06 Cell compositions derived from dedifferentiated reprogrammed cells

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019078983A Division JP6721752B2 (ja) 2013-02-06 2019-04-18 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016506736A JP2016506736A (ja) 2016-03-07
JP2016506736A5 JP2016506736A5 (ja) 2017-03-09
JP6517702B2 true JP6517702B2 (ja) 2019-05-22

Family

ID=50239931

Family Applications (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015556262A Active JP6517702B2 (ja) 2013-02-06 2014-02-06 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物
JP2019078983A Active JP6721752B2 (ja) 2013-02-06 2019-04-18 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物
JP2020104982A Active JP7250731B2 (ja) 2013-02-06 2020-06-18 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物
JP2022172222A Pending JP2023017838A (ja) 2013-02-06 2022-10-27 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物

Family Applications After (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019078983A Active JP6721752B2 (ja) 2013-02-06 2019-04-18 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物
JP2020104982A Active JP7250731B2 (ja) 2013-02-06 2020-06-18 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物
JP2022172222A Pending JP2023017838A (ja) 2013-02-06 2022-10-27 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP2954045A1 (ja)
JP (4) JP6517702B2 (ja)
AU (4) AU2014214879A1 (ja)
CA (2) CA2898431C (ja)
HK (1) HK1218139A1 (ja)
IL (3) IL239953B (ja)
RU (2) RU2754089C2 (ja)
WO (1) WO2014124172A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9109245B2 (en) 2009-04-22 2015-08-18 Viacyte, Inc. Cell compositions derived from dedifferentiated reprogrammed cells
CA2957000C (en) 2014-08-04 2023-08-01 Takeda Pharmaceutical Company Limited Method for proliferation of pancreatic progenitor cells
MA45479A (fr) * 2016-04-14 2019-02-20 Janssen Biotech Inc Différenciation de cellules souches pluripotentes en cellules de l'endoderme de l'intestin moyen
JP7367951B2 (ja) * 2016-05-18 2023-10-24 慶應義塾 オルガノイド培養用細胞培養培地
JP7107504B2 (ja) 2017-01-27 2022-07-27 株式会社カネカ 内胚葉系細胞集団、及び多能性細胞から三胚葉のいずれかの細胞集団を製造する方法
IL271195B2 (en) 2017-06-14 2024-04-01 Semma Therapeutics Inc Devices and methods for drug administration
TW202014514A (zh) * 2018-08-03 2020-04-16 國立大學法人京都大學 細胞製造法
WO2020243665A1 (en) 2019-05-31 2020-12-03 W. L. Gore & Associates, Inc. A biocompatible membrane composite
EP3976236A1 (en) 2019-05-31 2022-04-06 W.L. Gore & Associates Inc. A biocompatible membrane composite
US20220233298A1 (en) 2019-05-31 2022-07-28 W. L. Gore & Associates, Inc. A biocompatible membrane composite
JP7328362B2 (ja) 2019-05-31 2023-08-16 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド 制御された酸素拡散距離を伴う細胞カプセル化デバイス

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE397959T1 (de) * 1999-04-06 2008-07-15 Genentech Inc Verwendung von erbb-rezeptorliganden zur behandlung von diabetes
US6759039B2 (en) * 2000-06-30 2004-07-06 Amcyte, Inc. Culturing pancreatic stem cells having a specified, intermediate stage of development
EP1366148A2 (en) * 2001-01-24 2003-12-03 THE GOVERNMENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA, represented by THE DEPARTMENT OF HEALTH & HUMAN SERVICES Differentiation of stem cells to pancreatic endocrine cells
SG169324A1 (en) * 2005-10-14 2011-03-30 Univ Minnesota Differentiation of non-embryonic stem cells to cells having a pancreatic phenotype
US20090298169A1 (en) * 2006-06-02 2009-12-03 The University Of Georgia Research Foundation Pancreatic and Liver Endoderm Cells and Tissue by Differentiation of Definitive Endoderm Cells Obtained from Human Embryonic Stems
JP2012508584A (ja) 2008-11-14 2012-04-12 ヴィアサイト,インコーポレイテッド ヒト多能性幹細胞由来膵臓細胞のカプセル化
US20100272695A1 (en) * 2009-04-22 2010-10-28 Alan Agulnick Cell compositions derived from dedifferentiated reprogrammed cells
US8685726B2 (en) * 2009-04-27 2014-04-01 Viacyte, Inc. Small molecules supporting pluripotent cell growth and methods thereof

Also Published As

Publication number Publication date
IL239953B (en) 2021-05-31
AU2022200075C1 (en) 2023-07-06
IL283088A (en) 2021-06-30
AU2022200075A1 (en) 2022-02-03
AU2019201314A1 (en) 2019-03-14
JP2020178694A (ja) 2020-11-05
CA3212301A1 (en) 2014-08-14
AU2022200075B2 (en) 2023-02-02
RU2018144412A3 (ja) 2020-02-14
AU2019201314B2 (en) 2021-10-14
EP2954045A1 (en) 2015-12-16
AU2014214879A1 (en) 2015-07-30
RU2018144412A (ru) 2019-03-25
IL239953A0 (en) 2015-08-31
IL283088B (en) 2022-04-01
IL290717A (en) 2022-04-01
JP2016506736A (ja) 2016-03-07
CA2898431C (en) 2023-10-17
AU2023202507A1 (en) 2023-05-11
RU2675928C2 (ru) 2018-12-25
WO2014124172A1 (en) 2014-08-14
HK1218139A1 (zh) 2017-02-03
RU2754089C2 (ru) 2021-08-26
CA2898431A1 (en) 2014-08-14
JP2019146578A (ja) 2019-09-05
JP7250731B2 (ja) 2023-04-03
JP6721752B2 (ja) 2020-07-15
RU2015131279A (ru) 2017-03-13
JP2023017838A (ja) 2023-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7187647B2 (ja) 多能性幹細胞の膵臓内胚葉細胞(PEC)および内分泌細胞へのin vitro分化
JP7250731B2 (ja) 脱分化したリプログラミングされた細胞から導出された細胞組成物
US11905530B2 (en) Cell encapsulation device comprising a pancreatic progenitor cell population
EP2421957B1 (en) Cell compositions derived from dedifferentiated reprogrammed cells

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170201

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171220

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190418

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6517702

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250