このようなM2Mシステム等の通信システムにおいて、無線端末装置の省電力動作を簡易な処理で適切に行なうことが可能な技術が望まれる。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことが可能な無線端末装置、ゲートウェイ装置、通信システム、省電力制御方法および省電力制御プログラムを提供することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線端末装置は、複数レイヤを有するプロトコルに従って動作し、管理装置を含む他の装置と通信可能な無線端末装置であって、上記複数レイヤのうちの第1のレイヤの処理を行なう第1処理部と、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤの処理を行なう第2処理部とを備え、上記第2処理部は、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して上記管理装置へ送信し、上記第2処理部は、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて上記無線端末装置の省電力動作を実行する。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置の情報を取得して管理装置に通知し、管理装置からの省電力動作情報に基づいて省電力動作を実行する構成により、無線端末装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置の通信方式等、下位レイヤが扱う無線端末装置の構成および動作を意識することなく、無線端末装置の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。また、たとえば、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
また、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のスリープ動作およびDRX(Discontinuous Reception)動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
(2)好ましくは、上記第1処理部は、上記第1のレイヤの複数種類の処理を行うことが可能である。
第1処理部が複数種類の処理を行う場合、第2処理部は、これら複数種類の処理によって得られた各種情報を単純化して管理装置へ送信することが可能である。これにより、無線端末装置から管理装置へ送信されるデータの量を抑制し、また、管理装置において無線端末装置の省電力動作の実行判断を容易に行うことができる。
(3)好ましくは、上記無線端末装置は、複数の通信方式のうちのいずれかを選択して通信を行なうことが可能であり、上記第2処理部は、上記無線端末装置が選択中の上記通信方式に応じた上記省電力動作を実行する。
このような構成により、無線端末装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置の扱う複数の通信方式の相違を意識することなく、無線端末装置の省電力動作を実行することができる。
(4)好ましくは、上記第2処理部は、上記無線端末装置の状態として上記無線端末装置のバッテリーの状態を取得する。
このような構成により、たとえば無線端末装置のバッテリーの蓄電残量を考慮した適切な省電力動作を実行することができる。
(5)より好ましくは、上記第1処理部は、上記無線端末装置のバッテリーの状態を測定し、上記第2処理部は、上記無線端末装置のバッテリーの状態を上記第1処理部から取得する。
このように、上位レイヤの処理部が無線端末装置のバッテリーの状態を取得する構成により、通信処理等を行なう下位レイヤの処理部がこのような取得処理を行なう必要が無く、各レイヤにおいて適切な役割分担を設定することができる。
(6)好ましくは、上記第2処理部は、上記無線端末装置の状態として上記無線端末装置の通信品質を取得する。
このような構成により、たとえば無線端末装置の電波環境を考慮した適切な省電力動作を実行することができる。
(7)好ましくは、上記第2処理部は、上記無線端末装置の動作目標として上記無線端末装置の通信速度の目標を取得する。
このような構成により、たとえば無線端末装置が達成すべき通信速度を考慮した適切な省電力動作を実行することができる。
(8)好ましくは、上記第2処理部は、上記無線端末装置の行なうべき通信動作の内容を上記省電力動作情報として受信し、受信した上記通信動作の内容に基づいて、上記省電力動作として上記無線端末装置の通信動作を変更する。
このような構成により、省電力動作を実現するための適切な通信動作を管理装置側で設定することができ、たとえば通信システム全体の状況等を考慮して各無線端末装置の省電力動作を最適化することができる。
(9)好ましくは、上記無線端末装置は、さらに、上記複数レイヤのうち、上記第2のレイヤよりも下位の第3のレイヤの処理により上記他の装置との間で通信信号を送受信する第3処理部を備え、上記第2処理部は、上記省電力動作情報に基づいて、上記省電力動作として上記第3処理部の動作を変更する。
このように、アプリケーション等の上位レイヤおよび通信処理を行なう下位レイヤ間に省電力動作を制御する中間レイヤを設ける構成により、通信処理を行なう下位レイヤがこのような省電力動作の制御を行なう必要が無く、各レイヤにおいて適切な役割分担を設定することができる。すなわち、無線端末装置に実装された通信処理用の下位レイヤにおいて省電力動作の制御を行なうことなく、無線端末装置の省電力動作を実行することができる。これにより、無線端末装置に下位レイヤ用の汎用的なソフトウェアおよびハードウェアを実装することができるか、あるいは下位レイヤの処理を簡易化することができるため、たとえば無線端末装置のソフトウェアおよびハードウェアの開発コストを低減することができる。
(10)好ましくは、上記第2処理部は、上記省電力動作情報を受信して、上記省電力動作を実行するか否かを判断する。
このように、無線端末装置側で省電力動作の実行判断を行なう構成により、優先度の高いアプリケーションが実行されている等、無線端末装置における種々の状況を考慮して省電力動作の実行の有無を適切に判断することができる。
(11)好ましくは、上記無線端末装置は、複数の無線基地局装置のうちのいずれかを選択して通信可能であり、上記第2処理部は、上記省電力動作として、上記無線端末装置の通信相手となる上記無線基地局装置を変更する。
このような構成により、たとえば無線端末装置により近い位置にある無線基地局装置を新たな通信相手として選択し、良好な電波環境下において短時間で通信を完了することができるため、無線端末装置の省電力化を実現することができる。
(12)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるゲートウェイ装置は、好ましくは、無線端末装置および管理装置と通信可能なゲートウェイ装置であって、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を上記無線端末装置から受信して上記管理装置へ中継する第1処理部と、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて省電力命令を作成する第2処理部とを備え、上記第1処理部は、上記省電力命令を上記無線端末装置へ送信する。
このように、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線基地局装置の指示に従って無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、上記のような簡易な処理で適切に行なうことができる。
(13)好ましくは、上記ゲートウェイ装置は、複数レイヤを有するプロトコルに従って動作し、上記第2処理部は、上記複数レイヤのうちの第1のレイヤの処理を行い、上記第1処理部は、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤの処理を行なう。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置からの端末情報を取得して管理装置へ中継し、管理装置からの省電力動作情報に基づいて作成された省電力命令を無線端末装置へ送信する構成により、ゲートウェイ装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、ゲートウェイ装置の通信方式等、下位レイヤが扱うゲートウェイ装置の構成および動作を意識することなく、ゲートウェイ装置の制御による無線端末装置の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、ゲートウェイ装置に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができるため、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
(14)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信システムは、管理装置と、複数レイヤを有するプロトコルに従って動作し、上記管理装置を含む他の装置と通信可能な無線端末装置とを備える通信システムであって、上記無線端末装置は、上記複数レイヤのうちの第1のレイヤの処理を行なう第1処理部と、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤの処理を行なう第2処理部とを含み、上記第2処理部は、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して上記管理装置へ送信し、上記第2処理部は、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて上記無線端末装置の省電力動作を実行する。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置の情報を取得して管理装置に通知し、管理装置からの省電力動作情報に基づいて省電力動作を実行する構成により、無線端末装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置の通信方式等、下位レイヤが扱う無線端末装置の構成および動作を意識することなく、無線端末装置の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。また、たとえば、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
また、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のスリープ動作およびDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
(15)またこの発明の別の局面に係わる通信システムは、管理装置と、ゲートウェイ装置と、無線端末装置とを備える通信システムであって、上記ゲートウェイ装置は、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を上記無線端末装置から受信して上記管理装置へ中継する第1処理部と、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて省電力命令を作成する第2処理部とを含み、上記第1処理部は、上記省電力命令を上記無線端末装置へ送信する。
このように、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線基地局装置の指示に従って無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、上記のような簡易な処理で適切に行なうことができる。
(16)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる省電力制御方法は、複数レイヤを有するプロトコルに従って動作し、管理装置を含む他の装置と通信可能な無線端末装置における省電力制御方法であって、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤの処理を行うことにより、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して上記管理装置へ送信するステップと、上記第2のレイヤの処理を行うことにより、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて上記無線端末装置の省電力動作を実行するステップとを含む。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置の情報を取得して管理装置に通知し、管理装置からの省電力動作情報に基づいて省電力動作を実行する構成により、無線端末装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置の通信方式等、下位レイヤが扱う無線端末装置の構成および動作を意識することなく、無線端末装置の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。また、たとえば、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
また、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のスリープ動作およびDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
(17)またこの発明の別の局面に係わる省電力制御方法は、無線端末装置および管理装置と通信可能なゲートウェイ装置における省電力制御方法であって、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を上記無線端末装置から受信して上記管理装置へ中継するステップと、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて省電力命令を作成するステップと、上記省電力命令を上記無線端末装置へ送信するステップとを含む。
このように、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線基地局装置の指示に従って無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、上記のような簡易な処理で適切に行なうことができる。
(18)またこの発明の別の局面に係わる省電力制御方法は、管理装置と、複数レイヤを有するプロトコルに従って動作し、上記管理装置を含む他の装置と通信可能な無線端末装置とを備える通信システムにおける省電力制御方法であって、上記無線端末装置が、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤの処理を行うことにより、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して上記管理装置へ送信するステップと、上記管理装置が、上記端末情報を受信して、上記端末情報に基づいて省電力動作情報を作成し、上記無線端末装置へ送信するステップと、上記無線端末装置が、上記第2のレイヤの処理を行うことにより、上記省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて上記無線端末装置の省電力動作を実行するステップとを含む。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置の情報を取得して管理装置に通知し、管理装置からの省電力動作情報に基づいて省電力動作を実行する構成により、無線端末装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置の通信方式等、下位レイヤが扱う無線端末装置の構成および動作を意識することなく、無線端末装置の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。また、たとえば、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
また、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のスリープ動作およびDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
(19)またこの発明の別の局面に係わる省電力制御方法は、管理装置と、ゲートウェイ装置と、無線端末装置とを備える通信システムにおける省電力制御方法であって、上記無線端末装置が、自己の状態および自己の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を上記ゲートウェイ装置へ送信するステップと、上記ゲートウェイ装置が、上記端末情報を上記無線端末装置から受信して上記管理装置へ中継するステップと、上記管理装置が、上記ゲートウェイ装置から上記端末情報を受信して、上記端末情報に基づいて作成した省電力動作情報を上記ゲートウェイ装置へ送信するステップと、上記ゲートウェイ装置が、上記管理装置から上記省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて作成した省電力命令を上記無線端末装置へ送信するステップと、上記無線端末装置が、上記ゲートウェイ装置から上記省電力命令を受信して、上記省電力命令に従って省電力動作を実行するステップとを含む。
このように、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線基地局装置の指示に従って無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、上記のような簡易な処理で適切に行なうことができる。
(20)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる省電力制御プログラムは、複数レイヤを有するプロトコルに従って動作し、管理装置を含む他の装置と通信可能な無線端末装置、において用いられる省電力制御プログラムであって、コンピュータに、上記複数レイヤのうち、上記第1のレイヤよりも下位の第2のレイヤの処理を行うことにより、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して上記管理装置へ送信するステップと、上記第2のレイヤの処理を行うことにより、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて上記無線端末装置の省電力動作を実行するステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置の情報を取得して管理装置に通知し、管理装置からの省電力動作情報に基づいて省電力動作を実行する構成により、無線端末装置に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置の通信方式等、下位レイヤが扱う無線端末装置の構成および動作を意識することなく、無線端末装置の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。また、たとえば、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
また、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のスリープ動作およびDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
(21)またこの発明の別の局面に係わる省電力制御プログラムは、無線端末装置および管理装置と通信可能なゲートウェイ装置において用いられる省電力制御プログラムであって、コンピュータに、上記無線端末装置の状態および上記無線端末装置の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を上記無線端末装置から受信して上記管理装置へ中継するステップと、上記管理装置から上記端末情報に対する省電力動作情報を受信して、上記省電力動作情報に基づいて省電力命令を作成するステップと、上記省電力命令を上記無線端末装置へ送信するステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、管理装置側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置の省電力動作を実行する構成により、通信システム全体の状況等を考慮して、無線端末装置の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置に実行させることができる。具体的には、たとえば、無線端末装置のDRX動作等、他の無線端末装置への干渉に影響するような省電力動作を無線基地局装置の指示に従って無線端末装置が行なう場合、管理装置側で通信システムにおける電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。したがって、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、上記のような簡易な処理で適切に行なうことができる。
本発明によれば、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、通信システム301は、たとえば、3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システム、およびIEEE802.11で規格化された無線LANシステムを含み、1または複数の無線端末装置202と、1または複数のWiFiアクセスポイント151と、1または複数のLTE基地局152と、管理装置101とを備える。ここで、図1では、1つの無線端末装置202、1つのWiFiアクセスポイント151および1つのLTE基地局152を代表的に示している。
WiFiアクセスポイント151およびLTE基地局152は、ネットワーク401を介して管理装置101と接続されている。なお、WiFiアクセスポイント151およびLTE基地局152と管理装置101とが直接接続されてもよい。
無線端末装置202は、複数の通信方式のうちのいずれかを選択して通信を行なうことが可能であり、たとえばM2Mシステム用の装置である。
具体的には、無線端末装置202は、無線LAN方式に従って無線通信を行なうことにより、WiFiアクセスポイント151と通信を行い、また、WiFiアクセスポイント151を介して管理装置101と通信を行なうことが可能である。
また、無線端末装置202は、LTE方式に従って無線通信を行なうことにより、LTE基地局152と通信を行い、また、LTE基地局152を介して管理装置101と通信を行なうことが可能である。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムにおける無線端末装置および管理装置の構成を示す図である。
図2を参照して、無線端末装置202は、アプリケーション(第1処理部)11と、ミドルウェア(第2処理部)12と、通信処理部(第3処理部)19と、バッテリー16とを備える。通信処理部19は、TCP/UDP処理部13と、IP処理部14と、MAC/PHY処理部15とを含む。なお、無線端末装置202は、複数のアプリケーション11を備える構成であってもよい。
無線端末装置202は、階層化された複数のレイヤを有するプロトコルに従って動作する。具体的には、アプリケーション11は、アプリケーションレイヤ(第1のレイヤ)の処理を行なう。ミドルウェア12は、アプリケーションレイヤよりも下位のミドルウェアレイヤ(第2のレイヤ)の処理を行なう。通信処理部19は、ミドルウェアレイヤよりも下位の通信処理レイヤ(第3のレイヤ)の処理を行うことにより、他の装置との間で通信信号を送受信する。たとえば、アプリケーション11は、バッテリー16の監視、および温度センサ等のセンシング結果の取得等、アプリケーションレイヤの複数種類の処理を行うことが可能である。
また、通信処理部19において、TCP/UDP処理部13は、TCP/UDPレイヤの処理を行なう。IP処理部14は、TCP/UDPレイヤよりも下位のIPレイヤの処理を行なう。MAC/PHY処理部15は、IPレイヤよりも下位のMAC/PHYレイヤの処理を行なう。
また、無線端末装置202における各ユニットは、バッテリー16から供給される電力を用いて動作する。
なお、無線端末装置202は、TCP/UDP処理部13、IP処理部14およびMAC/PHY処理部15で構成される通信処理部の代わりに、他の通信方式の処理部で構成される通信処理部を備える構成であってもよい。
また、管理装置101は、アプリケーション31と、ミドルウェア32と、通信処理部39と、データベース36とを備える。通信処理部39は、TCP/UDP処理部33と、IP処理部34と、MAC/PHY処理部35とを含む。なお、管理装置101は、複数のアプリケーション31を備える構成であってもよい。
管理装置101は、階層化された複数のレイヤを有するプロトコルに従って動作する。具体的には、アプリケーション31は、アプリケーションレイヤの処理を行なう。ミドルウェア32は、アプリケーションレイヤよりも下位のミドルウェアレイヤの処理を行なう。通信処理部39は、ミドルウェアレイヤよりも下位の通信処理レイヤの処理を行うことにより、他の装置との間で通信信号を送受信する。
また、通信処理部39において、TCP/UDP処理部33は、TCP/UDPレイヤの処理を行なう。IP処理部34は、TCP/UDPレイヤよりも下位のIPレイヤの処理を行なう。MAC/PHY処理部35は、IPレイヤよりも下位のMAC/PHYレイヤの処理を行なう。
アプリケーション31は、データベース36に保存された各種情報を用いて、通信システム301における無線端末装置202等の管理を行なう。データベース36には、たとえば、無線端末装置202のID、IPアドレスおよびセキュリティ情報等が保存される。
なお、管理装置101は、TCP/UDP処理部33、IP処理部34およびMAC/PHY処理部35で構成される通信処理部の代わりに、他の通信方式の処理部で構成される通信処理部を備える構成であってもよい。
無線端末装置202において、ミドルウェア12は、無線端末装置202の状態および無線端末装置202の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して管理装置101へ送信する。そして、ミドルウェア12は、管理装置101から端末情報に対する省電力動作情報を受信して、当該省電力動作情報に基づいて無線端末装置202の省電力動作を実行する。
より詳細には、ミドルウェア12は、管理装置101から受信した省電力動作情報に基づいて作成した省電力命令をたとえばMAC/PHY処理部15へ出力する。
MAC/PHY処理部15は、ミドルウェア12から受けた省電力命令に従い、省電力動作を実行する。
たとえば、ミドルウェア12は、無線端末装置202が選択中の通信方式に応じた省電力動作を実行する。具体的には、ミドルウェア12は、無線端末装置202が選択中のLTE方式または無線LAN方式に応じた省電力動作を実行する。
また、たとえば、ミドルウェア12は、無線端末装置202の状態として無線端末装置202のバッテリー16の状態を取得する。
より詳細には、たとえば、アプリケーション11は、無線端末装置202のバッテリー16の状態を測定し、測定結果を示すバッテリー情報をミドルウェア12へ出力する。
ミドルウェア12は、アプリケーション11からバッテリー情報を受けることにより、無線端末装置202のバッテリー16の状態を取得する。
また、たとえば、ミドルウェア12は、無線端末装置202の状態として無線端末装置202の通信品質を、たとえばIP処理部14から取得する。
また、たとえば、ミドルウェア12は、無線端末装置202の動作目標として無線端末装置202の通信速度の目標を、たとえばアプリケーション11から取得する。また、たとえば、ミドルウェア12は、アプリケーション11およびIP処理部14等から取得した情報を単純化して管理装置101へ送信する。より詳細には、ミドルウェア12は、たとえば、取得したデータのヘッダを削除するか、または各情報を「通信品質が悪い」および「ユーザの満足度が低い」等の単純な情報に変換することにより、管理装置101へ送信するデータを圧縮する。
ここで、無線端末装置202の動作目標は、たとえば、通信速度値であってもよいし、値ではなく、「高速」および「低速」等、通信速度のレベルであってもよい。また、通信速度は、スループットすなわち実効速度であってもよいし、理論値であってもよい。
また、無線端末装置202の動作目標は、たとえば、無線端末装置202に1つのアプリケーション11が実装されている場合には固定的な設定となり、無線端末装置202に複数のアプリケーション11が実装されている場合には、実行中のアプリケーションに応じた動的な設定となる。
また、たとえば、管理装置101におけるアプリケーション31は、無線端末装置202から受信した端末情報に基づいて、当該無線端末装置202の省電力動作を実行するか否かを判断する。
アプリケーション31は、無線端末装置202の省電力動作を実行すると判断した場合、省電力動作の実行を示す省電力動作情報を作成して無線端末装置202へ送信する。
一方、アプリケーション31は、たとえば、無線端末装置202からの端末情報に含まれる動作目標たとえば要求スループットが大きい場合には、無線端末装置202の省電力動作を実行しないと判断し、省電力動作情報を作成しない。
無線端末装置202は、たとえば、省電力動作用の通信動作の内容を記憶しており、アプリケーション31から省電力動作情報を受信すると、通常時の通信動作から当該省電力動作用の通信動作へ変更する。
なお、管理装置101におけるアプリケーション31は、省電力動作の実行を示す省電力動作情報を作成する構成に限らず、省電力動作の内容を示す省電力動作情報を作成する構成であってもよい。
すなわち、無線端末装置202におけるミドルウェア12は、無線端末装置202の行なうべき通信動作の内容を省電力動作情報として管理装置101から受信する。そして、ミドルウェア12は、受信した通信動作の内容に基づいて、省電力動作として無線端末装置202の通信動作を変更する。たとえば、ミドルウェア12は、省電力動作情報の示す通信動作の内容に基づいて、省電力動作として通信処理部19の動作を変更する。
また、たとえば、管理装置101におけるアプリケーション31は、無線端末装置202の評価関数Jの値が最大になるように、無線端末装置202の省電力動作の実行の有無、および省電力動作のパラメータ設定等を行なう。評価関数Jは、たとえば、無線端末装置202のバッテリー16の蓄電残量、および無線端末装置202の通信品質を変数とする。
また、たとえば、無線端末装置202におけるミドルウェア12は、管理装置101から省電力動作情報を受信して、無線端末装置202の省電力動作を実行するか否かを判断する。ミドルウェア12は、無線端末装置202の省電力動作を実行すると判断した場合、省電力命令を作成する。
具体的には、たとえば、ミドルウェア12は、無線端末装置202において優先度の高いアプリケーションが実行されている場合には、管理装置101から省電力動作情報を受信しても、省電力動作を実行しないと判断し、省電力命令を作成しない。
なお、ミドルウェア12は、無線端末装置202のバッテリー16の状態、無線端末装置202の状態としての通信品質、および無線端末装置202の動作目標たとえば通信速度の目標、の一部または全部の組み合わせを端末情報として管理装置101へ送信することが可能である。
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムにおける省電力制御について図面を用いて説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムにおける省電力制御のシーケンスの一例を示す図である。無線端末装置202および管理装置101の各々は、シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。
図3を参照して、まず、無線端末装置202において、アプリケーション11は、許容遅延時間およびスループット等の通信品質の目標値をミドルウェア12へ出力する(ステップS1)。
また、アプリケーション11は、バッテリー16の状態を監視し、バッテリー16の蓄電残量をバッテリー情報としてミドルウェア12へ出力する(ステップS2)。
また、通信処理部19は、自己の無線端末装置202における他の装置との通信品質を測定し、測定結果をミドルウェア12へ出力する(ステップS3)。
次に、ミドルウェア12は、アプリケーション11および通信処理部19から取得したこれらの端末情報に、他の装置への送信に必要な情報を付加する送信処理を行い、処理後のデータを通信処理部19へ出力する。具体的には、ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202が通信方式として無線LANを選択している場合、データ送信先のWiFiアクセスポイント151のSSID等を端末情報に付加して通信処理部19へ出力する。また、ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202が通信方式としてLTEを選択している場合、データ送信先のLTE基地局152のID等を端末情報に付加して通信処理部19へ出力する(ステップS4)。
次に、通信処理部19は、ミドルウェア12から受けたデータをたとえばIPパケットに含め、WiFiアクセスポイント151またはLTE基地局152経由で管理装置101へ送信する(ステップS5)。
次に、管理装置101において、通信処理部39は、無線端末装置202における通信処理部19から受信したIPパケットに含まれるデータおよびIPアドレスをミドルウェア32へ出力する(ステップS6)。
次に、ミドルウェア32は、無線端末装置202からのデータ送信の再送制御およびセキュリティ処理等を行なうとともに、通信処理部39から受けたデータから端末情報を抽出する受信処理を行なう(ステップS7)。
次に、ミドルウェア32は、通信処理部39から受けたIPアドレスおよび抽出した端末情報をアプリケーション31へ出力する(ステップS8)。
次に、アプリケーション31は、ミドルウェア32から受けたIPアドレスに基づいて無線端末装置202を特定し、ミドルウェア32から受けた端末情報に基づいて、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断する(ステップS9)。
アプリケーション31は、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきであると判断すると、省電力動作情報を作成してミドルウェア32へ出力する(ステップS10)。
次に、ミドルウェア32は、アプリケーション31から受けた省電力動作情報に、無線端末装置202への送信に必要な情報を付加する送信処理を行い、処理後のデータを通信処理部39へ出力する。具体的には、ミドルウェア32は、無線端末装置202のID等を省電力動作情報に付加して通信処理部39へ出力する(ステップS11)。
次に、通信処理部39は、無線端末装置202のIPアドレスおよびミドルウェア32から受けたデータをIPパケットに含め、WiFiアクセスポイント151またはLTE基地局152経由で無線端末装置202へ送信する(ステップS12)。
次に、無線端末装置202において、通信処理部19は、管理装置101における通信処理部39から受信したIPパケットに含まれるデータをミドルウェア12へ出力する(ステップS13)。
次に、ミドルウェア12は、管理装置101からのデータ送信の再送制御およびセキュリティ処理等を行なうとともに、通信処理部19から受けたデータから省電力動作情報を抽出する受信処理を行なう(ステップS14)。
次に、ミドルウェア12は、抽出した省電力動作情報に基づいて、自己の無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断する(ステップS15)。
ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202の省電力動作を実行すべきであると判断すると、省電力命令を作成して通信処理部19へ出力する(ステップS16)。
次に、通信処理部19は、ミドルウェア12から受けた省電力命令に従い、省電力動作を開始する(ステップS17)。
なお、管理装置101において、アプリケーション31は、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断することなく、省電力動作情報を作成してミドルウェア32へ出力する構成であってもよい。
また、無線端末装置202において、ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断することなく、省電力命令を作成して通信処理部19へ出力する構成であってもよい。
次に、無線端末装置202の省電力動作の具体例を説明する。
再び図2を参照して、無線端末装置202が通信方式として無線LANを選択している状態を考える。この状態において、無線端末装置202におけるミドルウェア12は、管理装置101から省電力動作情報を受信して、たとえばスリープ動作におけるスリープ期間を長くする省電力命令を作成し、MAC/PHY処理部15へ出力する。
MAC/PHY処理部15は、ミドルウェア12からの省電力命令に従い、スリープ動作において、WiFiアクセスポイント151との無線信号の送受信を停止するスリープ期間の長さを変更する。
また、たとえば、無線端末装置202は、複数の無線基地局装置のうちのいずれかを選択して通信可能である。なお、無線端末装置202の通信相手となる無線基地局装置は、複数であってもよい。ここで、無線基地局装置は、たとえばWiFiアクセスポイント151またはLTE基地局152である。
ミドルウェア12は、省電力動作として、無線端末装置202の通信相手となる無線基地局装置を変更する。
具体的には、無線端末装置202におけるミドルウェア12は、管理装置101から省電力動作情報を受信して、接続先のWiFiアクセスポイント151を変更する省電力命令を作成し、たとえばMAC/PHY処理部15へ出力する。たとえば、ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202により近い位置にあるWiFiアクセスポイント151へ接続先を変更する。
MAC/PHY処理部15は、ミドルウェア12からの省電力命令に従い、現在、通信相手となっているWiFiアクセスポイント151との通信接続を切断する処理、および他のWiFiアクセスポイント151との通信接続を確立する処理を行なう。
また、通信処理部19は、省電力動作として、たとえば、データ送信における再送回数を少なくしたり、あるいは再送までの待ち時間を長くしたりすることもできる。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムにおけるレイヤ間の情報のやり取りを概略的に示す図である。
図4を参照して、無線端末装置202において、アプリケーション11からミドルウェア12へ通信品質の要求等の動作目標、およびバッテリー情報が通知される。
また、アクセスネットワークレイヤ21からミドルウェア12へ現在の通信品質が通知される。ここで、アクセスネットワークレイヤ21には、無線端末装置202の通信処理部19および管理装置101の通信処理部39の他、WiFiアクセスポイント151およびLTE基地局152も含まれる。
また、ミドルウェア12から管理装置101におけるミドルウェア32へ端末情報が通知され、ミドルウェア32から無線端末装置202におけるミドルウェア12へ省電力動作情報が通知される。
このように、通信システム301では、無線端末装置202におけるミドルウェア12および管理装置101におけるミドルウェア32間で端末情報および省電力動作情報をやり取りし、無線端末装置202の省電力動作を制御する。これにより、無線端末装置202に実装されたアプリケーション11において、無線端末装置202、WiFiアクセスポイント151およびLTE基地局152の通信方式等、下位レイヤが扱う各装置の構成および動作を意識することなく、無線端末装置202の省電力動作を実行することができる。
ところで、M2Mシステム等の通信システムにおいて、無線端末装置の省電力動作を簡易な処理で適切に行なうことが可能な技術が望まれる。
本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、アプリケーション11は、アプリケーションレイヤの処理を行なう。ミドルウェア12は、アプリケーションレイヤよりも下位のミドルウェアレイヤの処理を行なう。ミドルウェア12は、無線端末装置202の状態および無線端末装置202の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して管理装置101へ送信する。そして、ミドルウェア12は、管理装置101から端末情報に対する省電力動作情報を受信して、当該省電力動作情報に基づいて無線端末装置202の省電力動作を実行する。
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムでは、まず、無線端末装置202が、複数レイヤのうち、アプリケーションレイヤよりも下位のミドルウェアレイヤの処理を行うことにより、無線端末装置202の状態および無線端末装置202の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を取得して管理装置101へ送信する。次に、管理装置101が、端末情報を受信して、当該端末情報に基づいて省電力動作情報を作成し、無線端末装置202へ送信する。次に、無線端末装置202が、ミドルウェアレイヤの処理を行うことにより、省電力動作情報を受信して、当該省電力動作情報に基づいて無線端末装置202の省電力動作を実行する。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置202の情報を取得して管理装置101に通知し、管理装置101からの省電力動作情報に基づいて省電力動作を実行する構成により、無線端末装置202に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置202の通信方式等、下位レイヤが扱う無線端末装置202の構成および動作を意識することなく、無線端末装置202の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、無線端末装置202に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、簡易な処理で適切に行なうことができる。また、たとえば、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
また、管理装置101側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置202の省電力動作を実行する構成により、通信システム301全体の状況等を考慮して、無線端末装置202の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置202に実行させることができる。
具体的には、たとえば、無線端末装置202のスリープ動作およびDRX動作等、他の無線端末装置202への干渉に影響するような省電力動作を無線端末装置202が行なう場合、管理装置101側で通信システム301における電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、アプリケーション11は、アプリケーションレイヤの複数種類の処理を行うことが可能である。
アプリケーション11が複数種類の処理を行う場合、ミドルウェア12は、これら複数種類の処理によって得られた各種情報を単純化して管理装置101へ送信することが可能である。これにより、無線端末装置202から管理装置101へ送信されるデータの量を抑制し、また、管理装置101において無線端末装置202の省電力動作の実行判断を容易に行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、無線端末装置202が選択中の通信方式に応じた省電力動作を実行する。
このような構成により、無線端末装置202に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、無線端末装置202の扱う複数の通信方式の相違を意識することなく、無線端末装置202の省電力動作を実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、無線端末装置202の状態として無線端末装置202のバッテリー16の状態を取得する。
このような構成により、たとえば無線端末装置202のバッテリーの蓄電残量を考慮した適切な省電力動作を実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、アプリケーション11は、無線端末装置202のバッテリー16の状態を測定する。そして、ミドルウェア12は、無線端末装置202のバッテリー16の状態をアプリケーション11から取得する。
このように、上位レイヤの処理部が無線端末装置202のバッテリーの状態を取得する構成により、通信処理等を行なう下位レイヤの処理部がこのような取得処理を行なう必要が無く、各レイヤにおいて適切な役割分担を設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、無線端末装置202の状態として無線端末装置202の通信品質を取得する。
このような構成により、たとえば無線端末装置202の電波環境を考慮した適切な省電力動作を実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、無線端末装置202の動作目標として無線端末装置202の通信速度の目標を取得する。
このような構成により、たとえば無線端末装置202が達成すべき通信速度を考慮した適切な省電力動作を実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、無線端末装置202の行なうべき通信動作の内容を省電力動作情報として受信し、受信した通信動作の内容に基づいて、省電力動作として無線端末装置202の通信動作を変更する。
このような構成により、省電力動作を実現するための適切な通信動作を管理装置101側で設定することができ、たとえば通信システム301全体の状況等を考慮して各無線端末装置202の省電力動作を最適化することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、通信処理部19は、ミドルウェアレイヤよりも下位の通信処理レイヤの処理を行うことにより、他の装置との間で通信信号を送受信する。そして、ミドルウェア12は、省電力動作情報に基づいて、省電力動作として通信処理部19の動作を変更する。
このように、アプリケーション等の上位レイヤおよび通信処理を行なう下位レイヤ間に省電力動作を制御する中間レイヤを設ける構成により、通信処理を行なう下位レイヤがこのような省電力動作の制御を行なう必要が無く、各レイヤにおいて適切な役割分担を設定することができる。すなわち、無線端末装置202に実装された通信処理用の下位レイヤにおいて省電力動作の制御を行なうことなく、無線端末装置202の省電力動作を実行することができる。これにより、無線端末装置202に下位レイヤ用の汎用的なソフトウェアおよびハードウェアを実装することができるか、あるいは下位レイヤの処理を簡易化することができるため、たとえば無線端末装置202のソフトウェアおよびハードウェアの開発コストを低減することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、省電力動作情報を受信して、省電力動作を実行するか否かを判断する。
このように、無線端末装置202側で省電力動作の実行判断を行なう構成により、優先度の高いアプリケーションが実行されている等、無線端末装置202における種々の状況を考慮して省電力動作の実行の有無を適切に判断することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、ミドルウェア12は、省電力動作として、無線端末装置202の通信相手となる無線基地局装置を変更する。
このような構成により、たとえば無線端末装置202により近い位置にある無線基地局装置を新たな通信相手として選択し、良好な電波環境下において短時間で通信を完了することができるため、無線端末装置202の省電力化を実現することができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置では、アプリケーション11のレイヤのすぐ下位のレイヤがミドルウェア12のレイヤであるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置202において、アプリケーション11のレイヤおよびミドルウェア12のレイヤ間に他のレイヤが存在してもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線端末装置は、2つの通信方式に従った通信が可能な構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置202は、3つ以上の通信方式に従った通信が可能な構成であってもよいし、1つの通信方式のみに従って通信を行なう構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムは、LTEに従う移動体通信システム、およびIEEE802.11で規格化された無線LANシステムを含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301は、ZigBee(登録商標)およびBluetooth(登録商標)等、他の通信システムを含む構成であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る通信システムと比べてゲートウェイ装置が無線端末装置へ省電力命令を与える通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る通信システムと同様である。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る通信システムにおけるゲートウェイ装置の構成を示す図である。
図5を参照して、ゲートウェイ装置161は、無線端末装置202および管理装置101と通信可能である。ゲートウェイ装置161は、たとえばWiFiアクセスポイント151またはLTE基地局152であり、アプリケーション51と、ミドルウェア(第2処理部)52と、通信処理部(第1処理部)59とを備える。通信処理部59は、TCP/UDP処理部53と、IP処理部54と、MAC/PHY処理部55とを含む。なお、ゲートウェイ装置161は、複数のアプリケーション51を備える構成であってもよい。
ゲートウェイ装置161は、階層化された複数のレイヤを有するプロトコルに従って動作する。具体的には、アプリケーション51は、アプリケーションレイヤ(第1のレイヤ)の処理を行なう。ミドルウェア52は、アプリケーションレイヤよりも下位のミドルウェアレイヤ(第2のレイヤ)の処理を行なう。通信処理部59は、ミドルウェアレイヤよりも下位の通信処理レイヤ(第3のレイヤ)の処理を行うことにより、他の装置との間で通信信号を送受信する。たとえば、アプリケーション51は、アプリケーションレイヤの複数種類の処理を行うことが可能である。
また、通信処理部59において、TCP/UDP処理部53は、TCP/UDPレイヤの処理を行なう。IP処理部54は、TCP/UDPレイヤよりも下位のIPレイヤの処理を行なう。MAC/PHY処理部55は、IPレイヤよりも下位のMAC/PHYレイヤの処理を行なう。
なお、ゲートウェイ装置161は、TCP/UDP処理部53、IP処理部54およびMAC/PHY処理部55で構成される通信処理部の代わりに、他の通信方式の処理部で構成される通信処理部を備える構成であってもよい。
ゲートウェイ装置161において、通信処理部59は、無線端末装置202の状態および無線端末装置202の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を無線端末装置202から受信して管理装置101へ中継する。
また、ミドルウェア52は、管理装置101から端末情報に対する省電力動作情報を受信して、省電力動作情報に基づいて省電力命令を作成する。
通信処理部59は、ミドルウェア52によって作成された省電力命令を無線端末装置202へ送信する。
なお、ゲートウェイ装置161は、無線端末装置202の省電力動作として、無線端末装置202の通信相手となる無線基地局装置を変更する動作、たとえばLTE基地局152を変更するハンドオーバ動作を行なってもよい。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る通信システムにおける省電力制御のシーケンスの一例を示す図である。
図6を参照して、まず、無線端末装置202において、アプリケーション11は、許容遅延時間およびスループット等の通信品質の目標値をミドルウェア12へ出力する(ステップS21)。
また、アプリケーション11は、バッテリー16の状態を監視し、バッテリー16の蓄電残量をバッテリー情報としてミドルウェア12へ出力する(ステップS22)。
また、通信処理部19は、自己の無線端末装置202における他の装置との通信品質を測定し、測定結果をミドルウェア12へ出力する(ステップS23)。
次に、ミドルウェア12は、アプリケーション11および通信処理部19から取得したこれらの端末情報に、他の装置への送信に必要な情報を付加する送信処理を行い、処理後のデータを通信処理部19へ出力する。具体的には、ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202が通信方式として無線LANを選択している場合、データ送信先のWiFiアクセスポイント151のSSID等を端末情報に付加して通信処理部19へ出力する。また、ミドルウェア12は、自己の無線端末装置202が通信方式としてLTEを選択している場合、データ送信先のLTE基地局152のID等を端末情報に付加して通信処理部19へ出力する(ステップS24)。
次に、通信処理部19は、ミドルウェア12から受けたデータをたとえばIPパケットに含め、WiFiアクセスポイント151またはLTE基地局152であるゲートウェイ装置161へ送信する(ステップS25)。
次に、ゲートウェイ装置161において、通信処理部59は、無線端末装置202から受信したIPパケットを管理装置101へ中継する(ステップS26)。
次に、管理装置101において、通信処理部39は、ゲートウェイ装置161経由で無線端末装置202における通信処理部19から受信したIPパケットに含まれるデータおよびIPアドレスをミドルウェア32へ出力する(ステップS27)。
次に、ミドルウェア32は、無線端末装置202からのデータ送信の再送制御およびセキュリティ処理等を行なうとともに、通信処理部39から受けたデータから端末情報を抽出する受信処理を行なう(ステップS28)。
次に、ミドルウェア32は、通信処理部39から受けたIPアドレスおよび抽出した端末情報をアプリケーション31へ出力する(ステップS29)。
次に、アプリケーション31は、ミドルウェア32から受けたIPアドレスに基づいて無線端末装置202を特定し、ミドルウェア32から受けた端末情報に基づいて、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断する(ステップS30)。
アプリケーション31は、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきであると判断すると、省電力動作情報を作成してミドルウェア32へ出力する(ステップS31)。
次に、ミドルウェア32は、アプリケーション31から受けた省電力動作情報に、ゲートウェイ装置161への送信に必要な情報を付加する送信処理を行い、処理後のデータを通信処理部39へ出力する。具体的には、ミドルウェア32は、ゲートウェイ装置161のID等を省電力動作情報に付加して通信処理部39へ出力する(ステップS32)。
次に、通信処理部39は、無線端末装置202のIPアドレスおよびミドルウェア32から受けたデータをIPパケットに含め、ゲートウェイ装置161へ送信する(ステップS33)。
次に、ゲートウェイ装置161において、通信処理部59は、管理装置101における通信処理部39から受信したIPパケットに含まれるデータをミドルウェア52へ出力する(ステップS34)。
次に、ミドルウェア52は、管理装置101からのデータ送信の再送制御およびセキュリティ処理等を行なうとともに、通信処理部59から受けたデータから省電力動作情報を抽出する受信処理を行なう(ステップS35)。
次に、ミドルウェア52は、抽出した省電力動作情報に基づいて、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断する(ステップS36)。
ミドルウェア52は、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきであると判断すると、省電力命令を作成し、省電力命令に、無線端末装置202への送信に必要な情報を付加する送信処理を行い(ステップS37)、処理後のデータを通信処理部59へ出力する(ステップS38)。具体的には、ミドルウェア52は、無線端末装置202のID等を省電力命令に付加して通信処理部59へ出力する。
次に、通信処理部59は、無線端末装置202のIPアドレスおよびミドルウェア52から受けたデータをIPパケットに含めて無線端末装置202へ送信する(ステップS39)。
次に、通信処理部19は、ゲートウェイ装置161における通信処理部59から受信した省電力命令に従い、省電力動作を実行する(ステップS40)。
なお、ゲートウェイ装置161において、ミドルウェア52は、無線端末装置202の省電力動作を実行すべきか否かを判断することなく、省電力命令を通信処理部59へ出力する構成であってもよい。
次に、無線端末装置202の省電力動作の具体例を説明する。
たとえば、無線端末装置202は、LTE基地局152からの通信制御情報を含むPDCCH(Physical Downlink Control Channel)のモニタを間欠的に停止するDRX(Discontinuous Reception)動作を行なう。DRXの詳細は、3GPP TS 36.321 V10.4.0 2011.12に開示されている。たとえば、DRXでは、通常のDRX周期を用いるロングDRXに加えて、ロングDRXよりも周期の短いショートDRXが設けられている。
無線端末装置202は、たとえば、PDCCHのモニタを行なった結果、LTE基地局152との通信を行なう必要がない場合には送信回路の動作を停止する。すなわち、DRX動作を実行することにより、PDCCHのモニタを連続して行なう必要がなくなるため、送信回路も含めた消費電力の低減を図ることができる。
無線端末装置202が通信方式としてLTEを選択し、DRX動作を行なっていない状態を考える。この状態において、LTE基地局152におけるミドルウェア52は、管理装置101から省電力動作情報を受信して、DRX動作開始を示す省電力命令を作成し、通信処理部59経由で無線端末装置202へ送信する。
無線端末装置202は、LTE基地局152から省電力命令を受信すると、たとえばロングDRXのDRX動作を開始する。
他の例として、無線端末装置202が通信方式としてLTEを選択し、ロングDRXでDRX動作を行なっている状態を考える。この状態において、LTE基地局152におけるミドルウェア52は、管理装置101から省電力動作情報を受信して、ロングDRXからショートDRXへの切り替えを示すDRXコマンドを省電力命令として作成し、通信処理部59経由で無線端末装置202へ送信する。
無線端末装置202は、ロングDRXで動作している状態において、LTE基地局152からDRXコマンドを受信すると、ショートDRXに切り替える。
さらに他の例として、無線端末装置202が通信方式としてLTEを選択し、ロングDRXまたはショートDRXでDRX動作を行なっている状態を考える。この状態において、LTE基地局152におけるミドルウェア52は、管理装置101から省電力動作情報を受信して、DRX周期の長さの変更を示す省電力命令を通信処理部59経由で無線端末装置202へ送信する。
無線端末装置202は、LTE基地局152から受信した省電力命令に従って、DRX周期の長さを変更する。
このように、本発明の第2の実施の形態に係るゲートウェイ装置では、通信処理部59は、無線端末装置202の状態および無線端末装置202の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報を無線端末装置202から受信して管理装置101へ中継する。ミドルウェア52は、管理装置101から端末情報に対する省電力動作情報を受信して、省電力動作情報に基づいて省電力命令を作成する。そして、通信処理部59は、省電力命令を無線端末装置202へ送信する。
また、本発明の第2の実施の形態に係る通信システムでは、まず、無線端末装置202が、自己の状態および自己の動作目標の少なくともいずれか一方の端末情報をゲートウェイ装置161へ送信する。次に、ゲートウェイ装置161が、端末情報を無線端末装置202から受信して管理装置101へ中継する。次に、管理装置101が、ゲートウェイ装置161から端末情報を受信して、当該端末情報に基づいて作成した省電力動作情報をゲートウェイ装置161へ送信する。次に、ゲートウェイ装置161が、管理装置101から省電力動作情報を受信して、当該省電力動作情報に基づいて作成した省電力命令を無線端末装置202へ送信する。次に、無線端末装置202が、ゲートウェイ装置161から省電力命令を受信して、当該省電力命令に従って省電力動作を実行する。
このように、管理装置101側で作成した省電力動作情報に基づいて無線端末装置202の省電力動作を実行する構成により、通信システム301全体の状況等を考慮して、無線端末装置202の省電力動作の実行判断を適切に行い、また、たとえば、適切な内容の省電力動作を無線端末装置202に実行させることができる。
具体的には、たとえば、無線端末装置202のDRX動作等、他の無線端末装置202への干渉に影響するような省電力動作を無線基地局装置の指示に従って無線端末装置202が行なう場合、管理装置101側で通信システム301における電波環境等を考慮した適切な判断を行なうことができる。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係るゲートウェイ装置では、通信システムにおける無線端末装置の省電力動作を、上記のような簡易な処理で適切に行なうことができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係るゲートウェイ装置では、ミドルウェア52は、ミドルウェアレイヤの処理を行なう。通信処理部59は、ミドルウェアレイヤよりも下位の通信処理レイヤの処理を行なう。
このように、下位レイヤの処理部が無線端末装置202からの端末情報を取得して管理装置101へ中継し、管理装置101からの省電力動作情報に基づいて作成された省電力命令を無線端末装置202へ送信する構成により、ゲートウェイ装置161に実装されたアプリケーション等、上位レイヤの処理部において、ゲートウェイ装置161の通信方式等、下位レイヤが扱うゲートウェイ装置161の構成および動作を意識することなく、ゲートウェイ装置161の制御による無線端末装置202の省電力動作を実現することができる。これにより、たとえば、ゲートウェイ装置161に実装されるアプリケーションの処理を簡易化することができるため、アプリケーションの開発が容易となり、アプリケーションの開発コストを低減することができる。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。