JP6515617B2 - 測定方法および測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用して検体中の被測定物質を測定する測定装置を使用して、検体中の被測定物質を測定する測定方法に関する。また、本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用して検体中の被測定物質を測定するための測定装置に関する。
臨床検査などにおいて、タンパク質やDNAなどの微量の被測定物質を高感度に測定することができれば、患者の状態を迅速に把握して治療を行うことが可能となる。このため、微量の被測定物質を高感度に測定できる方法が求められている。
被測定物質を高感度に測定できる方法として、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy):以下「SPFS」と略記する)が知られている。SPFSでは、所定の条件で金属膜に光を照射することで生じる表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:以下「SPR」と略記する)を利用する。
まず、SPFSで使用される測定チップでは、被測定物質に特異的に結合できる捕捉体(例えば1次抗体)を金属膜上に固定化して、被測定物質を特異的に捕捉するための反応場を形成する。この反応場に被測定物質を含む検体を提供すると、被測定物質は反応場で捕捉体に結合する(1次反応)。次いで、蛍光物質で標識された別の捕捉体(例えば2次抗体)を反応場に提供すると、反応場で捕捉体に結合した被測定物質は蛍光物質で標識される(2次反応)。この状態で金属膜に励起光を照射すると、被測定物質を標識する蛍光物質は、SPRにより増強された電場(以下、「エバネッセント場」ともいう)により励起され、蛍光を放出する。SPFSでは、放出された蛍光を光電子増倍管(PMT)やCCDカメラなどで検出することで、被測定物質を測定することができる。また、SPFSでは、SPRにより増強された電場により蛍光物質を励起するため、高感度で被測定物質を測定することができる。
しかし、検体中に含まれる被測定物質の濃度が高濃度である場合には、多量の捕捉体を必要とし、これに伴って検出される蛍光の光量も強くなる。これにより、光電子増倍管やCCDカメラなどの光検出手段のダイナミックレンジを越えてしまい正確な測定をすることができないという問題がある。そこで、このような問題を解決するための測定装置(SPFS装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のSPFS装置では、測定チップと光検出手段との間に減光(ND)フィルターや波長選択フィルター、ダイアフラムレンズなどの蛍光量調整手段が配置されている。これにより、光検出手段に到達する蛍光の光量を、光検出手段のダイナミックレンジ内に調整することができる。これにより、特許文献1に記載のSPFS装置では、被測定物質の濃度が高濃度の場合であっても、光検出手段の種類によらず、被測定物質を正確に測定することができると説明されている。
国際公開第2012/172987号
しかしながら、特許文献1に記載のSPFS装置でも、検体中に含まれる被測定物質の濃度がさらに高濃度になると、光検出手段に到達する蛍光の光量を調整しきれなくなり、正確な測定をすることができなくなる。高濃度の測定を達成するために光学系の性能を向上させることは、測定装置のコストが増大してしまい、かつ測定装置を大型化させる必要が生じてしまうため好ましくない。このため、特許文献1に記載のSPFS装置には、被測定物質を高濃度で含む検体に対する測定精度について改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)を利用して検体中の被測定物質を測定する測定装置を使用して、検体中の被測定物質を測定する測定方法であって、被測定物質を高濃度に含む検体についても、被測定物質を高精度に測定することができる測定方法を提供することを目的とする。また、本発明は、SPFSを利用して検体中の被測定物質を測定するための測定装置であって、被測定物質を高濃度に含む検体についても被測定物質を高精度に測定することができる測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る測定方法は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用して検体中の被測定物質を測定する測定装置を使用して、検体中の前記被測定物質を測定する方法であって、液体を収容するための収容部を有する測定チップを準備する工程と、被測定物質と、前記被測定物質に特異的に結合しうる捕捉体が固定化されている担体とを接触させて、前記担体の凝集体を形成する工程と、前記凝集体が前記収容部内に存在する状態で、前記測定チップに光を照射したときに生じたプラズモン散乱光が、前記収容部を透過した散乱光を検出して、前記被測定物質を測定する工程と、を含む。
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る測定装置は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用して、検体中の被測定物質を測定するための測定装置であって、液体を収容するための収容部を有する測定チップを保持するためのホルダーと、前記測定チップに光を照射する光照射部と、前記光照射部が前記測定チップに光を照射したときに前記測定チップから放出される光を検出する光検出部と、を有し、被測定物質と、前記被測定物質に特異的に結合しうる捕捉体が固定化されている担体とを接触させて形成される凝集体が前記収容部内に存在する場合、前記光検出部は、前記光照射部が前記測定チップに光を照射したときに生じたプラズモン散乱光が、前記収容部を通過した散乱光を検出する。
本発明によれば、SPFSを利用した測定装置をそのまま使用して、被測定物質を低濃度で含む検体と、被測定物質を高濃度で含む検体のいずれについても、被測定物質を高精度に測定することができる。
図1は、SPFS装置の構成を示す模式図である。 図2は、SPFS装置の第1の動作手順の一例を示すフローチャートである。 図3は、SPFS装置の第2の動作手順の一例を示すフローチャートである。 図4は、SPFS装置の第3の動作手順の一例を示すフローチャートである。 図5は、各種免疫測定法による測定可能な濃度範囲を示すグラフである。 図6は、回折格子を含む金属膜の斜視図である。 図7A、Bは、シスタチンCの量を示すシグナル値と、検体中に含まれるシスタチンCの濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る測定装置の代表例として、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy:以下「SPFS」と略記する)を利用した測定装置(SPFS装置)について説明する。本実施の形態に係るSPFS装置は、被測定物質を低濃度に含む検体はもちろん、被測定物質を高濃度に含む検体であっても、被測定物質を高精度で測定することができる。なお、本明細書において「低濃度」とは、化学発光免疫測定法(CLIA)や電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、発光酵素チャンネリング免疫測定法(LOCI)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)などの高感度な測定方法で測定することが多い濃度範囲をいい、「高濃度」とは、ラテックス凝集法(LPIA)や比濁分析法(Nephelometry)、免疫比濁法(TIA)などの低感度な測定方法で測定することが多い濃度範囲をいう。
[SPFS装置および測定チップの構成]
図1は、本実施の形態に係るSPFS装置100の構成を示す模式図である。図1に示されるように、SPFS装置100は、光照射部110、光検出部120、送液部130、搬送部140および制御部150を有する。SPFS装置100は、搬送部140のチップホルダー(ホルダー)142に測定チップを装着した状態で使用される。そこで、先に測定チップについて説明し、その後にSPFS装置100について説明する。
本実施の形態に係るSPFS装置100では、被測定物質を低濃度に含む検体用の測定チップ10’(以下、「低濃度用の測定チップ」ともいう)と、被測定物質を高濃度に含む検体用の測定チップ10(以下、「高濃度用の測定チップ」ともいう)とが使用されうる。まず、高濃度用の測定チップ10の構成について説明する。
(高濃度用の測定チップ)
測定チップ10は、入射面21、成膜面22および出射面23を有するプリズム20と、成膜面22上に配置された金属膜30と、金属膜30上に配置された流路蓋40とを有する。測定チップ10は、好ましくは各片の長さが数mm〜数cmの構造物であるが、「チップ」の範疇に含まれないようなより小型の構造物、またはより大型の構造物であってもよい。
プリズム20は、励起光αに対して透明な誘電体からなる。プリズム20は、入射面21、成膜面22および出射面23を有する。入射面21は、光照射部110からの励起光αをプリズム20の内部に入射させる。成膜面22上には、金属膜30が配置されている。プリズム20の内部に入射した励起光αは、金属膜30の裏面で反射されて反射光(不図示)となる。より具体的には、励起光αは、プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22)で反射されて反射光となる。出射面23は、反射光をプリズム20の外部に出射させる。
プリズム20の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、プリズム20の形状は、台形を底面とする柱体である。台形の一方の底辺に対応する面が成膜面22であり、一方の脚に対応する面が入射面21であり、他方の脚に対応する面が出射面23である。底面となる台形は、等脚台形であることが好ましい。これにより、入射面21と出射面23とが対称になり、励起光αのS波成分がプリズム20内に滞留しにくくなる。
入射面21は、励起光αが光照射部110に戻らないように形成される。励起光αの光源がレーザーダイオード(以下「LD」ともいう)である場合、励起光αがLDに戻ると、LDの励起状態が乱れてしまい、励起光αの波長や出力が変動してしまう。そこで、理想的な共鳴角または増強角を中心とする走査範囲において、励起光αが入射面21に垂直に入射しないように、入射面21の角度が設定される。
ここで「共鳴角」とは、金属膜30に対する励起光αの入射角を走査した場合に、出射面23から出射される反射光の光量が最小となるときの、入射角を意味する。また、「増強角」とは、金属膜30に対する励起光αの入射角を走査した場合に、測定チップ10の上方に放出される励起光αと同一波長の散乱光(以下「プラズモン散乱光」という)γの光量が最大となるときの、入射角を意味する。本実施の形態では、入射面21と成膜面22との角度および成膜面22と出射面23との角度は、いずれも約80°である。
なお、測定チップ10の設計により、共鳴角(およびその極近傍にある増強角)が概ね決まる。設計要素は、プリズム20の屈折率や、金属膜30の屈折率、金属膜30の膜厚、金属膜30の消衰係数、励起光αの波長などである。金属膜30上に捕捉された被測定物質によって共鳴角および増強角がシフトするが、その量は数度未満である。
プリズム20は、複屈折特性を少なからず有する。プリズム20の材料の例には、樹脂およびガラスが含まれる。プリズム20の材料は、好ましくは、屈折率が1.4〜1.6であり、かつ複屈折が小さい樹脂である。
金属膜30は、プリズム20の成膜面22上に配置されている。これにより、成膜面22に全反射条件で入射した励起光αの光子と、金属膜30中の自由電子との間で表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:以下「SPR」と略記する)が生じ、金属膜30の表面上に局在場光(一般に「エバネッセント光」または「近接場光」とも呼ばれる)を生じさせることができる。本実施の形態では、金属膜30は、成膜面22の全面に形成されている。
金属膜30の材料は、表面プラズモン共鳴を生じさせうる金属であれば特に限定されない。金属膜30の材料の例には、金、銀、銅、アルミニウム、これらの合金が含まれる。本実施の形態では、金属膜30は、金薄膜である。金属膜30の形成方法は、特に限定されない。金属膜30の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、メッキが含まれる。金属膜30の厚みは、特に限定されないが、30〜70nmの範囲内が好ましい。
流路蓋40は、金属膜30上に配置されている。金属膜30がプリズム20の成膜面22の一部にのみ形成されている場合、流路蓋40は、成膜面22上に配置されていてもよい。本実施の形態では、流路蓋40は、金属膜30の上に配置されている。金属膜30上に流路蓋40を配置することで液体を収容するための収容部(微小空間)が形成される。収容部の形状や大きさなどは、液体を収容することができれば特に限定されない。たとえば、収容部は、液体を収容するウェルであってもよいし、液体が連続して供給される流路であってもよい。本実施の形態では、収容部は、液体が流れる流路41である。流路蓋40の裏面には、流路溝が形成されており、金属膜30(およびプリズム20)上に流路蓋40が配置されることで、流路41が形成されている。流路41の底面には、金属膜30が配置されている。流路41の両端は、流路蓋40の上面に形成された不図示の注入口および排出口とそれぞれ接続されている。
流路蓋40は、金属膜30上から放出されるプラズモン散乱光γに対して透明な材料からなることが好ましい。流路蓋40の材料の例には、ガラスおよび樹脂が含まれる。プラズモン散乱光γを外部に取り出す部分がプラズモン散乱光γに対して透明であれば、流路蓋40の他の部分は、不透明な材料で形成されていてもよい。流路蓋40は、例えば、両面テープや接着剤などによる接着や、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより金属膜30またはプリズム20に接合されている。
図1に示されるように、励起光αは、入射面21からプリズム20内に入射する。プリズム20内に入射した励起光αは、金属膜30に全反射角度(SPRが生じる角度)で入射する。このように金属膜30に対して励起光αをSPRが生じる角度で照射することで、金属膜30上にエバネッセント場を形成することができる。エバネッセント場における金属膜30からは、流路41側にプラズモン散乱光γが放出される。SPFS装置100は、金属膜30から放出され、流路41内を通過したプラズモン散乱光γの光量を測定することで、被測定物質を測定することができる。
(低濃度用の測定チップ)
次いで、低濃度用の測定チップ10’について説明する。低濃度用の測定チップ10’は、高濃度用の測定チップ10と同様に、入射面21、成膜面22および出射面23を有するプリズム20と、成膜面22上に配置された金属膜30と、金属膜30上に配置された流路蓋40’とを有する。以下、高濃度用の測定チップ10と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
低濃度用の測定チップ10’では、金属膜30のプリズム20と対向しない面(金属膜30の表面)には、被測定物質を補足するための捕捉体が固定化されている。捕捉体の種類は、被測定物質を捕捉することができれば特に限定されない。たとえば、捕捉体は、被測定物質に特異的に結合する抗体またはその断片である。また、乾燥による変性を防止する観点から、通常、捕捉体は、測定チップ10’の未使用時において保護層により保存される。
低濃度用の測定チップ10’に使用される流路蓋40’は、金属膜30上から放出される蛍光βおよびプラズモン散乱光γに対して透明な材料からなることが好ましい。流路蓋40’の材料の例には、ガラスおよび樹脂が含まれる。蛍光βおよびプラズモン散乱光γを外部に取り出す部分が蛍光βおよびプラズモン散乱光γに対して透明であれば、流路蓋40’の他の部分は、不透明な材料で形成されていてもよい。
低濃度用の測定チップ10’では、金属膜30に対して励起光αをSPRが生じる角度で照射することで、金属膜30上に局在場光を生じさせることができる。局在場光により、金属膜30上に存在する被測定物質を標識する蛍光物質が励起され、蛍光βが金属膜30の流路41側の面の近傍から放出される。SPFS装置100は、蛍光物質から放出された蛍光βの光量を測定することで、被測定物質を測定することができる。
(SPFS装置)
次に、SPFS装置100の各構成要素について説明する。前述のとおり、SPFS装置100は、光照射部110、光検出部120、送液部130、搬送部140および制御部150を有する。
光照射部110は、チップホルダー142に保持された測定チップ10、10’に励起光αを照射する。蛍光βまたはプラズモン散乱光γの検出時には、光照射部110は、金属膜30でSPRが発生するように、金属膜30に対するP波のみを入射面21に向けて出射する。ここで「励起光」とは、金属膜30上にプラズモン散乱光γを生じさせる光であり、蛍光物質を直接もしくは間接的に励起させる光でもある。光照射部110は、光源ユニット111、角度調整機構112および光源制御部113を含む。
光源ユニット111は、コリメートされ、かつ波長および光量が一定の光を、金属膜30の裏面における照射スポットの形状が略円形となるように出射する。光源ユニット111は、例えば、光源、ビーム整形光学系、APC機構および温度調整機構(いずれも不図示)を含む。
光源の種類は、特に限定されず、例えばレーザーダイオード(LD)である。光源の他の例には、発光ダイオードや水銀灯などのレーザー光源が含まれる。光源から出射される励起光αがビームでない場合は、励起光αは、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から出射される励起光αが単色光でない場合は、励起光αは、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から出射される励起光αが直線偏光でない場合は、励起光αは、偏光子などにより直線偏光の光に変換される。
ビーム整形光学系は、例えば、コリメーターやバンドパスフィルター、直線偏光フィルター、半波長板、スリット、ズーム手段などを含む。ビーム整形光学系は、これらのすべてを含んでいてもよいし、一部を含んでいてもよい。コリメーターは、光源から出射された励起光αをコリメートする。バンドパスフィルターは、光源から出射された励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。光源から出射された励起光αは、若干の波長分布幅を有しているためである。直線偏光フィルターは、光源から出射された励起光αを完全な直線偏光の光にする。半波長板は、金属膜30にP波成分が入射するように光の偏光方向を調整する。スリットおよびズーム手段は、金属膜30の裏面における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、光源から出射された励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。
APC機構は、光源の出力が一定となるように光源を制御する。より具体的には、APC機構は、励起光αから分岐させた光の光量を不図示のフォトダイオードなどで検出する。そして、APC機構は、回帰回路で投入エネルギーを制御することで、光源の出力を一定に制御する。
温度調整機構は、例えば、ヒーターやペルチェ素子などである。光源から出射された励起光αの波長およびエネルギーは、温度によって変動することがある。このため、温度調整機構で光源の温度を一定に保つことにより、光源から出射された励起光αの波長およびエネルギーを一定に制御する。
角度調整機構112は、金属膜30(プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22))に対する、光源から出射された励起光αの入射角を調整する。角度調整機構112は、プリズム20を介して金属膜30の所定の位置に向けて所定の入射角で光を照射するために、光源から出射された励起光αの光軸とチップホルダー142とを相対的に回転させる。
たとえば、角度調整機構112は、光源ユニット111を光源から出射された励起光αの光軸と直交する軸(図1の紙面に対して垂直な軸)を中心として回動させる。このとき、入射角を走査しても金属膜30上での照射スポットの位置がほとんど変化しないように、回転軸の位置を設定する。特に、回転中心の位置を、入射角の走査範囲の両端における2つの光源から出射された励起光αの光軸の交点近傍(成膜面22上の照射位置と入射面21との間)に設定することで、照射位置のズレを極小化することができる。
前述のとおり、金属膜30に対する光源から出射された励起光αの入射角のうち、プラズモン散乱光γの光量が最大となる角度が増強角である。光源から出射された励起光αの入射角を増強角またはその近傍の角度に設定することで、高強度の蛍光βおよびプラズモン散乱光γを検出することが可能となる。プリズム20の材料および形状、金属膜30の膜厚、流路41内の液体の屈折率などにより、光源から出射された励起光αの基本的な入射条件が決まるが、流路41内の捕捉体の種類および量、プリズム20の形状誤差などにより、最適な入射条件はわずかに変動する。このため、測定ごとに最適な増強角を求めることが好ましい。
光源制御部113は、光源ユニット111に含まれる各種機器を制御して、光源ユニット111からの励起光αの出射を制御する。光源制御部113は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
光検出部120は、光照射部110が金属膜30へ光を照射することにより測定チップ10、10’から放出される光を検出する。被測定物質を高濃度で含む検体について測定を行う場合には、光検出部120は、光照射部110が高濃度用の測定チップ10に光を照射したときに生じ、流路41を通過したプラズモン散乱光γを検出する。また、被測定物質を低濃度で含む検体について測定を行う場合には、光検出部120は、上記プラズモン散乱光γと、光照射部110が低濃度用の測定チップ10’の金属膜30へ励起光αを照射したときに、反応場の蛍光物質から放出された蛍光βとを検出する。光検出部120は、受光光学系ユニット121、位置切り替え機構122およびセンサー制御部123を含む。
受光光学系ユニット121は、測定チップ10の金属膜30の法線方向に配置される。受光光学系ユニット121は、第1レンズ124、光学フィルター125、第2レンズ126および受光センサー127を含む。
第1レンズ124は、例えば、集光レンズであり、金属膜30上から出射される光を集光する。第2レンズ126は、例えば、結像レンズであり、第1レンズ124で集光された光を受光センサー127の受光面に結像させる。両レンズの間の光路は、略平行な光路になっている。光学フィルター125は、両レンズの間に配置されている。
光学フィルター125は、蛍光成分のみを受光センサー127に導き、高いS/N比で蛍光βを検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光γ)を除去する。光学フィルター125の例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルターおよびバンドパスフィルターが含まれる。光学フィルター125は、例えば、所定の光成分(所定の波長成分の光)を反射する多層膜を含むフィルター、または所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターである。
受光センサー127は、蛍光βおよびプラズモン散乱光γを検出する。受光センサー127は、微量の被測定物質からの微弱な蛍光βを検出することが可能な、高い感度を有する。受光センサー127は、例えば、光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)などである。
位置切替え機構122は、光学フィルター125の位置を、受光光学系ユニット121における光路上または光路外に切り替える。具体的には、受光センサー127が蛍光βを検出する時には、光学フィルター125を受光光学系ユニット121の光路上に配置し、受光センサー127がプラズモン散乱光γを検出する時には、光学フィルター125を受光光学系ユニット121の光路外に配置する。
センサー制御部123は、受光センサー127の出力値の検出や、検出した出力値による受光センサー127の感度の管理、適切な出力値を得るための受光センサー127の感度の変更、などを制御する。センサー制御部123は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
送液部130は、チップホルダー142に保持された測定チップ10、10’の流路41内に、検体や標識液、担体分散液、洗浄液などを供給する。送液部130は、液体チップ131、シリンジポンプ132および送液ポンプ駆動機構133を含む。
液体チップ131は、検体や標識液、担体分散液、洗浄液などの液体を収容する容器である。液体チップ131としては、通常、複数の容器が液体の種類に応じて配置されるか、または複数の容器が一体化したチップが配置される。
液体チップ131に収容される液体の例には、被測定物質を含む検体(例えば、血液や血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、***など)や、蛍光物質で標識された捕捉体を含む標識液、捕捉体が固定化されている担体(後述)を含む担体分散液(ラテックス粒子分散液やシリカ粒子分散液、金コロイドなど)、洗浄液(緩衝液)などが含まれる。
担体は、被測定物質に特異的に結合しうる捕捉体を担持する粒子である。担体の種類は、捕捉体を担持することができれば特に限定されず、用途に応じて公知の担体から適宜選択すればよい。担体の種類の例には、ラテックス粒子、シリカ粒子および金粒子が含まれる。詳細については後述するが、担体の平均粒径は、0.05〜1.0μmであることが好ましい。被測定物質の測定の再現性を高める観点からは、担体の粒径の変動係数(CV値)は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。また、担体分散液中の担体の濃度は、特に限定されないが、通常は1〜20質量%である。担体分散液中の担体の濃度が1質量%未満である場合、担体分散液を濃縮する必要があり、20質量%超である場合、担体が凝集してしまうおそれがある。
担体に担持される捕捉体の種類は、前述した測定チップ10’の反応場に固定化される捕捉体の種類と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、担体に担持される捕捉体の種類は、反応場に固定化される捕捉体の種類と同じである。また、担体に担持される捕捉体の量は、特に限定されず、捕捉体の種類や被測定物質の量などに応じて適宜設定されうる。また、担体に捕捉体を担持させる方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。たとえば、担体に捕捉体を担持させる方法の例には、物理的吸着および化学的吸着が含まれる。さらに、検体中の他の物質と、担体との非特異的結合を防止する観点から、担体はブロッキング処理を施されてもよい。ブロッキング剤の例には、アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン、アミノ酸および界面活性剤が含まれる。
シリンジポンプ132は、シリンジ134と、シリンジ134内を往復動作可能なプランジャー135とによって構成される。プランジャー135の往復運動によって、液体の吸引および吐出が定量的に行われる。シリンジ134が交換可能であると、シリンジ134の洗浄が不要となる。このため、不純物の混入などを防止する観点から好ましい。シリンジ134が交換可能に構成されていない場合は、シリンジ134内を洗浄する構成をさらに付加することにより、シリンジ134を交換せずに使用することが可能となる。
送液ポンプ駆動機構133は、プランジャー135の駆動装置、およびシリンジポンプ132の移動装置を含む。シリンジポンプ132の駆動装置は、プランジャー135を往復運動させるための装置であり、例えば、ステッピングモーターを含む。ステッピングモーターを含む駆動装置は、シリンジポンプ132の送液量や送液速度を管理できるため、測定チップ10の残液量を管理する観点から好ましい。シリンジポンプ132の移動装置は、例えば、シリンジポンプ132を、シリンジ134の軸方向(例えば垂直方向)と、軸方向を横断する方向(例えば水平方向)との二方向に自在に動かす。シリンジポンプ132の移動装置は、例えば、ロボットアーム、2軸ステージまたは上下動自在なターンテーブルによって構成される。
送液部130は、液体チップ131より各種液体を吸引し、測定チップ10、10’の流路41内に供給する。このとき、プランジャー135を動かすことで、流路41内を液体が往復し、流路41内の液体が撹拌される。これにより、液体の濃度分布の均一化や、流路41内における反応(例えば、後述する担体の凝集体の形成、1次反応および2次反応)を促進することができる。このような操作を行う観点から、測定チップ10の注入口は多層フィルムで保護されており、かつシリンジ134がこの多層フィルムを貫通した時に注入口を密閉できるように、測定チップ10、10’およびシリンジ134が構成されていることが好ましい。
流路41内の液体は、再びシリンジポンプ132で吸引され、液体チップ131などに排出される。これらの動作の繰り返しにより、各種液体による反応、洗浄などを実施し、流路41内に、担体の凝集体や、蛍光物質で標識された被測定物質などを配置することができる。
搬送部140は、測定チップ10、10’を設置位置、検出位置または送液位置に搬送し、固定する。ここで「設置位置」とは、測定チップ10、10’をSPFS装置100に設置するための位置である。また、「検出位置」とは、光照射部110が測定チップ10、10’に光を照射し、それに伴い発生する蛍光βまたはプラズモン散乱光γを光検出部120が検出する位置である。さらに、「送液位置」とは、送液部130が測定チップ10、10’の流路41内に液体を供給するか、または測定チップ10、10’の流路41内の液体を除去する位置である。
搬送部140は、搬送ステージ141およびチップホルダー142を含む。チップホルダー142は、搬送ステージ141に固定されており、測定チップ10、10’を着脱可能に保持する。チップホルダー142の形状は、測定チップ10、10’を保持することができ、かつ励起光αや反射光、蛍光β、プラズモン散乱光γなどの光の光路を妨げない形状である。たとえば、チップホルダー142には、励起光αや反射光、蛍光β、プラズモン散乱光γなどの光が通過するための開口が設けられている。搬送ステージ141は、チップホルダー142を一方向およびその逆方向に移動させる。搬送ステージ141も、励起光αや反射光、蛍光β、プラズモン散乱光γなどの光の光路を妨げない形状である。搬送ステージ141は、例えば、ステッピングモーターなどで駆動される。
制御部150は、角度調整機構112、光源制御部113、位置切替え機構122、センサー制御部123、送液ポンプ駆動機構133および搬送ステージ141を制御する。制御部150は、光検出部120(受光センサー127)の検出結果を処理する処理部としても機能する。制御部150は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
[SPFS装置の測定動作]
次に、本実施の形態に係るSPFS装置100の測定動作(本発明の実施の形態に係る測定方法)について説明する。本実施の形態に係るSPFS装置100は、被測定物質の測定を行うための3つの測定動作を行うことができる。被測定物質を高濃度に含む検体中の被測定物質を測定する場合は、第1の動作手順および第2の動作手順のいずれかが採用され、被測定物質を低濃度に含む検体中の被測定物質を測定する場合は、第3の動作手順が採用される。検体中の被測定物質の濃度を推測できない場合は、第1の動作手順または第2の動作手順と、第3の動作手順とを組み合わせて行ってもよい。
(第1の動作手順)
まず、第1の動作手順(1ステップ法)について説明する。図2は、SPFS装置100の第1の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、測定の準備をする(工程S110)。具体的には、SPFS装置100の設置位置に配置されたチップホルダー142に、高濃度用の測定チップ10を設置する。
次いで、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を増強角に設定する(工程S120)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10を設置位置から測定位置に移動させる。この後、制御部150は、光源制御部113および角度調整部112を制御して、光源ユニット111から励起光αを金属膜30(成膜面22)の所定の位置に照射しながら、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を走査する。このとき、制御部150は、位置切替え機構122を制御して、光学フィルター125を受光光学系ユニット121の光路外に移動させる。これとともに、制御部150は、センサー制御部123を制御して、受光センサー127でプラズモン散乱光γを検出する。制御部150は、励起光αの入射角とプラズモン散乱光γの強度との関係を含むデータを得る。そして、制御部150は、データを解析して、プラズモン散乱光γの強度が最大となる入射角(増強角)を決定する。最後に、制御部150は、角度調整部112を制御して、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を増強角に設定する。なお、増強角を測定するときに検出したプラズモン散乱光γの検出値は、ブランク値として制御部に150に記録しておいてもよい。
なお、増強角は、プリズム20の素材および形状、金属膜30の厚み、流路41内の液体の屈折率などにより決まるが、流路41内の液体の種類および量、プリズム20の形状誤差などの各種要因によりわずかに変動する。このため、測定を行うたびに増強角を決定することが好ましい。増強角は、0.1°程度のオーダーで決定される。
次いで、流路41内で、担体の凝集体を形成する(工程S130)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10を測定位置から送液位置に移動させる。この後、制御部150は、送液ポンプ駆動機構133を制御して、液体チップ131中の検体および担体分散液を流路41内にそれぞれ提供し、流路41内で混合させる。これにより、担体に担持された捕捉体と、被測定物質とが結合し、担体の凝集体を形成することができる。
このとき、形成される担体の凝集体のサイズは、検体に含まれる被測定物質の量に依存する。検体中に含まれる被測定物質の量が多いほど、担体をより多く凝集させることができるため、形成される凝集体のサイズは大きくなる。
次いで、プラズモン散乱光γを検出する(工程S140)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10を送液位置から測定位置に移動させる。この後、制御部150は、光源制御部113を操作して、流路41内に担体の凝集体が存在する状態で、金属膜30に光を増強角で照射する。これと同時に、制御部150は、センサー制御部123を制御して、金属膜30から放出され、流路41を透過したプラズモン散乱光γを検出する。検出値は、制御部150に記録される。
このとき、流路41内において大きな凝集体が形成されているほど、流路41内を通過するプラズモン散乱光γは、より多く遮蔽される。これにより、流路41内を透過して受光センサー127に到達するプラズモン散乱光の光量が減少するため、測定されるプラズモン散乱光γの光量は小さくなる。したがって、検体中に含まれる被測定物質が高濃度であるほど、測定されるプラズモン散乱光γの光量は小さくなる。
最後に、被測定物質の量を算出する(工程S150)。具体的には、工程S140で得られたプラズモン散乱光γの検出値(被測定物質の存在または量を示すシグナル値)を、あらかじめ作成しておいた検量線により、被測定物質の量に換算する。なお、プラズモン散乱光γの検出値を、被測定物質の濃度などに換算してもよい。また、シグナル値として、プラズモン散乱光γの検出値と、増強角を測定する工程(工程S120)で記憶しておいたブランク値との比を使用してもよい。
以上の手順により、検体中の被測定物質の存在の確認または量の決定することができる。高精度に被測定物質を測定する観点から、担体の平均粒径は、使用される受光センサー127の感度に応じて適宜変更されうるが、例えば、前述のとおり0.05〜1.0μmであることが好ましい。担体の平均粒径が0.05μm未満である場合、凝集によるプラズモン散乱光γの検出値変化が小さくなり、必要な感度を得られないおそれがある。また、担体の平均粒径が1.0μm超である場合、プラズモン散乱光γが遮蔽されたときに、最低限必要な光量を得られないおそれがある。
(第2の動作手順)
次いで、第2の動作手順(2ステップ法)について説明する。図3は、SPFS装置100の第2の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、測定の準備をする(工程S210)。具体的には、SPFS装置100の設置位置に配置されたチップホルダー142に測定チップ10を設置する。
次いで、上記の工程S120と同様に、金属膜30(成膜面22)に対する光源から出射された励起光αの入射角を増強角に設定する(工程S220)。このとき、測定チップ10は、設置位置から測定位置に搬送される。
次いで、流路41外で、担体の凝集体を形成する(工程S230)。具体的には、制御部150は、送液ポンプ駆動機構133を制御して、液体チップ131中の検体および担体分散液を1つの液体チップ131にそれぞれ提供して混合する。これにより、担体に担持された捕捉体と、被測定物質とが結合し、担体の凝集体が形成される。以下、形成された凝集体を含む液体を凝集体分散液とする。
次いで、形成された担体の凝集体を流路41内に提供する(工程S240)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10を測定位置から送液位置に移動させる。この後、制御部150は、送液ポンプ駆動機構133を制御して、液体チップ131中の凝集体分散液を流路41内にそれぞれ提供する。これにより、担体の凝集体を流路41内に提供することができる。
次いで、プラズモン散乱光γを検出する(工程S250)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10を送液位置から測定位置に移動させる。この後、制御部150は、光源制御部113を制御して、流路41内に担体の凝集体が存在する状態で、金属膜30で表面プラズモン共鳴が発生するように、金属膜30に光を照射する。これと同時に、制御部150は、センサー制御部123を操作して、金属膜30から放出され、流路41を透過したプラズモン散乱光γを検出する。検出値は、制御部150に記録される。このとき、制御部150は、位置切り替え機構122を操作して、光学フィルター125を受光光学系ユニット121の光路外に配置する。
最後に、被測定物質の量を算出する(工程S260)。具体的には、工程S250で得られたプラズモン散乱光γの検出値(被測定物質の存在または量を示すシグナル値)を、あらかじめ作成しておいた検量線により、被測定物質の量に換算する。なお、プラズモン散乱光γの検出値を、被測定物質の濃度などに換算してもよい。
以上の手順により、第2の動作手順によっても、第1の動作手順と同様に被測定物質の存在の確認または量の決定をすることができる。
(第3の動作手順)
次いで、第3の動作手順について説明する。第3の動作手順は、従来のSPFS装置により行われている動作手順(SPFS)と基本的に同一である。図4は、SPFS装置100の第3の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、測定の準備をする(工程S310)。具体的には、SPFS装置100の設置位置に配置されたチップホルダー142に、低濃度用の測定チップ10’を設置する。
次いで、上記の工程S120と同様に、金属膜30(成膜面22)に対する光源から出射された励起光αの入射角を増強角に設定する(工程S320)。このとき、測定チップ10は、設置位置から測定位置に搬送される。
次いで、検体中の被測定物質と金属膜30上の捕捉体とを反応させる(1次反応;工程S330)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10’を測定位置から送液位置に移動させる。この後、制御部150は、送液ポンプ駆動機構133を制御して、液体チップ131中の検体を流路41内に提供する。これにより、検体中に被測定物質が存在する場合は、被測定物質の少なくとも一部は金属膜30上の捕捉体により捕捉される。この後、流路41内を緩衝液などで洗浄して、捕捉体に捕捉されなかった物質を除去する。
次いで、プリズム20を介して励起光αを金属膜30(成膜面22)に照射して、蛍光βと同じ波長の光の光量(光学ブランク値)を測定する(工程S340)。ここで、「光学ブランク値」とは、蛍光値の測定(工程S360)において蛍光βとともに測定される背景光の光量を意味する。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10’を送液位置から測定位置に移動させる。制御部150は、位置切替え機構122を制御して、光学フィルター125を受光光学系ユニット121の光路上に移動させる。次いで、制御部150は、光源制御部113を制御して、金属膜30(成膜面22)に向けて光源ユニット111から励起光αを出射させる。これと同時に、制御部150は、センサー制御部123を制御して、受光センサー127で蛍光βと同じ波長の光の光量を検出する。これにより、受光センサー127は、正確にノイズとなる光の光量(光学ブランク値)を測定することができる。測定値は、制御部150に送信され、光学ブランク値として記録される。
次いで、金属膜30上の捕捉体に捕捉された被測定物質を蛍光物質で標識する(2次反応;工程S350)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10’を測定位置から送液位置に移動させる。この後、制御部150は、送液ポンプ駆動機構133を制御して、液体チップ131中の蛍光標識液を流路41内に提供する。これにより、被測定物質を蛍光物質で標識することができる。蛍光標識液は、例えば、蛍光物質で標識された抗体(2次抗体)を含む緩衝液である。この後、流路41内を緩衝液などで洗浄し、遊離の蛍光物質などを除去する。
次いで、流路41の底面(金属膜30)上に直接的または間接的に、蛍光物質で標識された被測定物質が存在する状態で、プリズム20を通して励起光αを金属膜30(成膜面22)に照射して、反応場の被測定物質を標識する蛍光物質からの蛍光値を測定する(工程S360)。具体的には、制御部150は、搬送ステージ141を制御して、測定チップ10’を送液位置から測定位置に移動させる。この後、制御部150は、光源制御部113を制御して、金属膜30(成膜面22)に向けて光源ユニット111から励起光αを出射させる。これと同時に、制御部150は、センサー制御部123を制御して、受光センサー127で蛍光βと同じ波長の光の光量を検出する。これにより、受光センサー127は、正確にノイズとなる光の光量(光学ブランク値)を測定することができる。測定値は、制御部150に送信され、光学ブランク値として記録される。
最後に、被測定物質の存在または量を示すシグナル値を算出する(工程S370)。蛍光値は、主として、被測定物質を標識する蛍光物質に由来する蛍光成分(シグナル値)と、光学ブランク値とを含む。したがって、制御部150は、工程S360で得られた蛍光値から工程S340で得られた光学ブランク値を引くことで、被測定物質の量に相関するシグナル値を算出することができる。シグナル値は、あらかじめ作成しておいた検量線により、被測定物質の量や濃度などに換算される。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る測定方法およびSPFS装置100では、被測定物質の量または濃度に応じたサイズの担体の凝集体が流路41内に存在する状態にしておき、この状態において金属膜30から放出され、当該凝集体により遮光されずに、流路41内を透過したプラズモン散乱光γを検出する。これにより、被測定物質を高濃度に含む検体についても被測定物質を高精度に測定することができる。第1の動作手順では、担体の凝集体は、1ステップで流路41内に提供される。これにより、被測定物質を簡単かつ短時間で測定することができる。第2の動作手順では、担体の凝集体が流路41外で形成された後、流路41内に提供される(2ステップ)。これにより、超音波振動などにより液体を撹拌して、効率的に担体の凝集体を形成することができるため、被測定物質をより高精度に測定することができる。さらに、第3の動作手順に示されるように、被測定物質を低濃度に含む検体についても被測定物質を高精度に測定することができる。このように、本実施の形態に係る測定方法およびSPFS装置100では、被測定物質の濃度範囲が低濃度域から高濃度域に亘る広範囲の検体について、被測定物質を高精度に測定することができる。また、新たな構成要素が不要であるため、高濃度域での測定を行うためのコストおよびスペースが増大することがない。
前述したとおり、従来のSPFS装置では、検体中に含まれる被測定物質の濃度が高くなるにつれて、検出される蛍光の光量も増大する。このため、検体中に含まれる被測定物質の濃度が過剰に高くなると、受光センサーのダイナミックレンジを超えてしまい、正確な測定をすることができないおそれがある。これに対して、本実施の形態に係るSPFS装置100において高濃度の被測定物質を測定する場合は、凝集体による遮光により、検体中に含まれる被測定物質の濃度が高くなるにつれて、検出されるプラズモン散乱光γの光量は減少する。このため、検体中に含まれる被測定物質の濃度が過剰に高くなっても、受光センサー127のダイナミックレンジを超えるおそれが小さく、従来のSPFS装置よりも高濃度の被測定物質を測定することができる。一方で、検体中に含まれる被測定物質の濃度が過剰に高くなると、最低限必要な光量を得られないおそれもあるが、微量な被測定物質を測定するためのSPFS装置100においては、ダイナミックレンジの上限と比較して、ダイナミックレンジの下限の方が到達しにくい。
検体中に含まれる被測定物質の濃度について、測定可能な濃度範囲は、各種免疫測定法によって異なる。図5は、各種免疫測定法により測定可能な濃度範囲を示すグラフである。図5では、従来のSPFS、免疫比濁法(TIA)、比濁分析法(Nephelometry)、ラテックス凝集法(LPIA)、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、および発光酸素チャンネリング免疫測定法(LOCI)により測定可能な濃度範囲をそれぞれ示す。図5に示されるように、従来の各種免疫測定法では、低濃度域から高濃度域に亘る広範囲について被測定物質を測定できる方法はなかった。これに対し、本実施の形態に係る測定方法では、低濃度域だけでなく高濃度域についても被測定物質を測定することができる(後述の実施例参照)。このため、本実施の形態に係る測定方法では、低濃度域から高濃度域に亘る広範囲で被測定物質を測定することができる。
なお、上記実施の形態では、金属膜30を有する高濃度用の測定チップ10を使用した態様について説明したが、本発明に係る測定方法および測定装置では、高濃度用の測定チップ10として金属膜30を有しない測定チップ10を使用してもよい。この場合、光源から出射されたレーザー光がプリズム20の成膜面22で反射するときに散乱光が金属膜30上に放出される。受光センサー127は、金属膜30上に放出され、流路41内を通過した散乱光を検出する。
また、上記実施の形態では、金属膜30に捕捉体が固定化されていない高濃度用の測定チップ10を使用した態様について説明したが、本発明に係る測定方法および測定装置では、高濃度用の測定チップ10として金属膜30に捕捉体が固定化されている測定チップ10を使用してもよい。この場合、金属膜30上の捕捉体が固定化されている領域には、反応場が形成され、担体の凝集体の少なくとも一部は、反応場上に固定化される。この場合も、担体の凝集体は、金属膜30から放出されたプラズモン散乱光γを遮蔽することができるため、上記実施の形態と同様に、被測定物質を高精度に測定することができる。
また、上記実施の形態では、第1の動作手順および第2の動作手順において、入射角を増強角に設定する工程(工程S120、S220)の後に、担体の凝集体を形成する工程(工程S130、S230)を行う態様について説明した。しかし、本発明に係る測定方法および測定装置では、担体の凝集体を形成する工程を行った後に、入射角を設定する工程を行ってもよい。
また、上記実施の形態では、第3の動作手順において、入射角を増強角に設定する工程(工程S320)、1次反応を行う工程(工程S330)および光学ブランク値を測定する工程(工程S340)をこの順番に行う態様について説明した。しかし、本発明に係る測定方法および測定装置では、これらの順番に限定されない。たとえば、1次反応を行った後に入射角を増強角に設定してもよいし、光学ブランク値を測定した後に1次反応を行ってもよい。
また、上記実施の形態では、高濃度用の測定チップ10と、低濃度用の測定チップ10’とが異なる場合について説明した。しかし、本発明に係る測定方法および測定装置では、高濃度用の測定チップおよび低濃度用の測定チップとして、共通の測定チップを使用してもよい。この場合、反応場が形成されている測定チップが使用される。
さらに、上記実施の形態では、金属膜30が形成されたプリズム20を使用し、光子と表面プラズモンとを結合(カップリング)させるプリズムカップリング(PC)−SPFSを利用する測定方法および測定装置について説明した。しかし、本発明に係る測定方法および測定装置は、この態様に限定されない。図6は、回折格子を含む金属膜30’の斜視図である。本発明に係る測定方法および測定装置では、図6に示されるように、回折格子を含む金属膜30’を有する測定チップを使用してもよい。この場合も、光子と表面プラズモンとを結合させ、金属膜30’からプラズモン散乱光γを放出させることができる。この場合、プリズム20は不要である。また、光照射部110は、測定チップの金属膜30’側に配置され、蛍光βの検出工程およびプラズモン散乱光γの検出工程では、回折格子に向けて励起光αを照射する。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されない。
1.第1の動作手順によるシスタチンCの測定
(1)測定チップの準備
プリズムの一面上に金属膜が配置されている高濃度用の測定チップを準備した。この測定チップの金属膜上には、反応場は形成されていない。準備した測定チップをSPFS装置のチップホルダーに設置した。
(2)担体分散液の調製
まず、担体としてラテックス粒子(JSR株式会社製、IMMUTEX(同社の登録商標)、IMM−P2015;平均粒径0.086μm)、抗体として抗シスタチンポリクローナル抗体(Bioss Inc.、bs−3595R)を準備した。
次いで、ラテックス粒子の純水分散液を遠心分離により精製した。精製したラテックス粒子を、濃度が5%(w/v)となるようにラテックス粒子分散液調製用の緩衝液(20mM Tris−HCl、pH8.0)に加えて、ラテックス粒子分散液を調製した。また、抗シスタチンC抗体を濃度が1mg/mLとなるように、抗シスタチンC抗体を検体希釈用の緩衝液(0.15%BSA、30mM Tris−HCl、pH8.5)に加えて、抗体溶液を調製した。
次いで、ラテックス粒子分散液(1mL)を撹拌しながら、抗体溶液(1mL)を混合して、ラテックス粒子に抗シスタチンC抗体を固定化した。次いで、この混合液を撹拌しながら、ブロッキング用緩衝液(2%BSA、20mM Tris−HCl、pH8.0)をさらに混合してラテックス粒子をブロッキング処理した。最後に、濃度が0.5%(w/v)となるように、この混合液に緩衝液(20mM Tris−HCl、pH8.0)を添加して、担体分散液を調製した。
(3)シスタチンCの測定
シスタチンC(被測定物質)を10ng/mL〜1000ng/mLのうちの種々の濃度で含む6種類の検体(50μL)と、調製した担体分散液(100μL)とを測定チップの流路内にそれぞれ提供した。次いで、流路内において往復送液を行うことで、流路内でラテックス粒子の凝集体を形成した。
流路内にラテックス粒子の凝集体が存在する状態で、プリズムを介して波長637nmの光を測定チップの金属膜に増強角で照射した。これと同時に金属膜から放出され、測定チップの流路を透過したプラズモン散乱光を検出した。これにより、シスタチンCの量を示すシグナル値を得た。
2.第2の動作手順によるシスタチンCの測定
(1)測定チップの準備
プリズムの一面上に金属膜が配置されている高濃度用の測定チップを準備した。この測定チップの金属膜上には、反応場は形成されていない。準備した測定チップをSPFS装置のチップホルダーに設置した。
(2)担体分散液の調製
第1の動作手順と同様に、担体分散液を調製した。
(3)凝集体分散液の調製
被測定物質としてシスタチンCを10ng/mL〜1000ng/mLのうち種々の濃度で含む検体(50μL)と、調製した担体分散液(100μL)とを測定チップの流路外の液体チップにそれぞれ提供し、1分間撹拌した。これにより、ラテックス粒子の凝集体を形成し、凝集体分散液を調製した。
(4)凝集体の提供
流路外で凝集体を形成した後、凝集体分散液を流路内に提供した。
(5)シスタチンCの測定
流路内に凝集体を提供した後、流路内にラテックス粒子の凝集体が存在する状態で、プリズムを介して波長637nmの光を測定チップの金属膜に増強角で照射した。これと同時に金属膜から放出され、測定チップの流路を透過したプラズモン散乱光を検出した。これにより、シスタチンCの量を示すシグナル値を得た。
3.第3の動作手順(SPFS)によるシスタチンCの測定
(1)測定チップの準備
金属膜上の反応場に捕捉体として、抗シスタチンC抗体が固定されている、低濃度用の測定チップを準備した。準備した測定チップをSPFS装置のチップホルダーに設置した。
(2)シスタチンCの測定
被測定物質としてシスタチンCを10ng/mL〜1000ng/mLのうち種々の濃度で含む検体(50μL)を流路内の反応場に提供して、流路内において往復送液し、1次反応を行った。
次いで、流路内の検体を除去し、流路内をリン酸緩衝液で洗浄した。その後、波長635nmの励起光をプリズム側から金属膜に増強角で照射した。反応場から放出される光を検出し、光学ブランク値を得た。
次いで、蛍光物質としてAlexa-Fluor(登録商標)で標識された抗シスタチンC抗体を含む溶液(100μL)を、流路内において往復送液を行って、2次反応を行った。
2次反応の後、流路内の溶液を除去し、流路内をリン酸緩衝液で洗浄した。その後、光学ブランク値の測定と同様に、励起光を照射して、反応場から放出される蛍光を検出した。そして、蛍光の検出値から光学ブランク値を引き、シスタチンCの量を示すシグナル値を得た。
4.結果
図7A、Bは、検体中に含まれるシスタチンCの濃度と、シスタチンCの量を示すシグナル値との関係を示すグラフである。図7Aは、第1の動作手順および第2の動作手順による測定結果を示し、図7Bは、第3の動作手順(SPFS)による測定結果を示す。図7Aにおいて、黒丸(●)は、第1の動作手順による測定結果を示し、白丸(○)は、第2の動作手順による測定結果を示す。図7A、Bにおいて、横軸は検体中に含まれるシスタチンCの濃度(ng/mL)を示し、縦軸はシスタチンCの量を示すシグナル値(a.u.)を示す。
図7Aに示されるように、第1の動作手順または第2の動作手順で測定した場合、検体中に含まれるシスタチンCの濃度が高くなるほど、シスタチンCの量を示すシグナル値は小さくなっていた。このことから、シスタチンCの濃度が高くなるほど、より大きな凝集体が形成され、より多くのプラズモン散乱光が遮蔽されたことがわかる。このように、本発明に係る測定方法(第1の動作手順および第2の動作手順)では、検体中に含まれるシスタチンCの濃度が高濃度であっても適切に被測定物質を測定できることがわかる。また、本実施例において、シスタチンCの濃度が最も高い10ng/mLでも10(a.u.)以上の十分なシグナル値が得られており、より高濃度の領域においても被測定物質を高精度に測定できると考えられる。
一方、図7Bに示されるように、第3の動作手順(SPFS)で測定した場合、検体中に含まれるシスタチンCの濃度が高くなるほど、シスタチンCの量を示すシグナル値は大きくなっていた。しかしながら、シスタチンCの濃度が100ng/mLを超えると、シグナル値は飽和していた。このように、第3の動作手順(SPFS)のみでは、検体中に含まれるシスタチンCの濃度が高い場合には、シスタチンCを正確に測定できないことがわかる。
以上の結果から分かるとおり、検体中に含まれる被測定物質の濃度が高い場合には、第1の動作手順または第2の動作手順を採用することにより、被測定物質を正確に測定することができる。また、検体中に含まれる被測定物質の濃度が低い場合には、第3の動作手順を採用することにより、被測定物質を正確に測定することができる。したがって、本発明に係る測定装置(SPFS装置)は、低濃度域から高濃度域に亘る広い濃度範囲について、被測定物質を高精度かつ正確に測定することができる。
本発明に係る被測定物質の測定方法および測定装置は、被測定物質を高い信頼性で検出することができるため、例えば疾患の検査などに有用である。
10、10’ 測定チップ
20 プリズム
21 入射面
22 成膜面
23 出射面
30、30’ 金属膜
40、40’ 流路蓋
41 流路
100 SPFS装置
110 光照射部
111 光源ユニット
112 角度調整機構
113 光源制御部
120 光検出部
121 受光光学系ユニット
122 位置切り替え機構
123 センサー制御部
124 第1レンズ
125 光学フィルター
126 第2レンズ
127 受光センサー
130 送液部
131 液体チップ
132 シリンジポンプ
133 送液ポンプ駆動機構
134 シリンジ
135 プランジャー
140 搬送部
141 搬送ステージ
142 チップホルダー
150 制御部
α 励起光
β 蛍光
γ プラズモン散乱光

Claims (10)

  1. 表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用して検体中の被測定物質を測定する測定装置を使用して、検体中の前記被測定物質を測定する方法であって、
    液体を収容するための収容部を有する測定チップを準備する工程と、
    被測定物質と、前記被測定物質に特異的に結合しうる捕捉体が固定化されている担体とを接触させて、前記担体の凝集体を形成する工程と、
    前記凝集体が前記収容部内に存在する状態で、前記測定チップに光を照射したときに生じたプラズモン散乱光が、前記収容部を透過した散乱光を検出して、前記被測定物質を測定する工程と、
    を含む、
    測定方法。
  2. 前記凝集体を形成する工程では、前記凝集体は前記収容部内で形成される、請求項1に
    記載の測定方法。
  3. 前記凝集体を形成する工程では、前記凝集体は前記収容部外で形成される、請求項1に記載の測定方法。
  4. 前記担体は、ラテックス粒子、シリカ粒子または金粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定方法。
  5. 前記測定チップは、誘電体からなるプリズムと、前記プリズムの一面上に配置されている前記収容部と、前記収容部の底面に配置されている金属膜とを有し、
    前記散乱光は、前記プリズムを介して前記金属膜に光を照射したときに前記金属膜から
    放出されるプラズモン散乱光である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の測定方法。
  6. 前記測定チップは、前記収容部と、前記収容部の底面に配置された、回折格子を含む金属膜とを有し、
    前記散乱光は、前記回折格子に光を照射したときに前記回折格子から放出されるプラズモン散乱光である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の測定方法。
  7. 蛍光物質で標識された前記被測定物質が前記金属膜上に直接的または間接的に固定化されている状態で、前記金属膜に表面プラズモン共鳴が発生するように光を照射したときに、前記蛍光物質から放出される蛍光を検出して、前記被測定物質を測定する工程をさらに含む、請求項5または請求項6に記載の測定方法。
  8. 表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用して、検体中の被測定物質を測定するための測定装置であって、
    液体を収容するための収容部を有する測定チップを保持するためのホルダーと、
    前記測定チップに光を照射する光照射部と、
    前記光照射部が前記測定チップに光を照射したときに前記測定チップから放出される光を検出する光検出部と、
    を有し、
    被測定物質と、前記被測定物質に特異的に結合しうる捕捉体が固定化されている担体とを接触させて形成される凝集体が前記収容部内に存在する場合、前記光検出部は、前記光照射部が前記測定チップに光を照射したときに生じたプラズモン散乱光が、前記収容部を通過した散乱光を検出する、
    測定装置。
  9. 前記測定チップは、誘電体からなるプリズムと、前記プリズムの一面上に配置されている前記収容部と、前記収容部の底面に配置されている金属膜とを有し、
    前記光照射部は、前記プリズムを介して前記金属膜に光を照射し、
    前記散乱光は、前記光照射部が前記金属膜に光を照射したときに前記金属膜から放出されるプラズモン散乱光である、
    請求項8に記載の測定装置。
  10. 前記測定チップは、前記収容部と、前記収容部の底面に配置され、回折格子を含む金属膜とを有し、
    前記光照射部は、前記回折格子に光を照射し、
    前記散乱光は、前記光照射部が前記回折格子に光を照射したときに前記回折格子から放出されるプラズモン散乱光である、
    請求項8に記載の測定装置。
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